JP6336873B2 - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板の製造方法、及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板の製造方法、及び画像表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置では、表示面への傷付きを防止するために、ハードコート性を有する光学フィルムを設けることが好適である。特に、近年の画像表示装置の高品位化、大サイズ化、薄層化、長寿命化等に対応し、適用される光学フィルムに対してもハードコート性に加えてその他の性能も良好であることが要求されている。このような光学フィルムは、基材上にハードコート層を有する構成が一般的であり、基材としてはセルロースアシレートフィルムが広く用いられている。
光学フィルムの基材となるセルロースアシレートフィルムには、種々の特性を満たすように、可塑剤を添加することがある。
特許文献1及び2には、可塑剤として、糖エステル化合物、重縮合エステル化合物を用いた光学フィルムが記載されている。
また、セルロースアシレートフィルム基材上にハードコート層を形成する場合に、ハードコート層形成用組成物にセルロースアシレートを溶解する溶剤を用いると、この溶剤がセルロースアシレートフィルムに染込み、ハードコート層形成用組成物中のモノマーも染込むことで、セルロースアシレートフィルム基材とハードコート層との密着性が向上したり、セルロースアシレートフィルム基材とハードコート層間の屈折率界面をなくすことで干渉ムラが抑制されたりすることが知られている(例えば特許文献3)。
特開2013−101331号公報 特開2014−121790号公報 特開2012−78541号公報
しかしながら、糖エステル化合物や重縮合エステル化合物を含有するセルロースアシレートフィルム基材上にハードコート層を設ける場合、ハードコート層形成用組成物中にセルロースアシレートを溶解する溶剤のみを用いた場合、セルロースアシレートフィルム基材から糖エステル化合物や重縮合エステル化合物がこの溶剤で抽出され難いため、セルロースアシレートフィルム基材とハードコート層間に屈折率界面が生じ、干渉ムラが発生するという問題があることが分かった。
この問題を解決するために、セルロースアシレートを溶解する溶剤に加えて、糖エステル化合物や重縮合エステル化合物をよく抽出する溶剤であるメタノールを用いると、干渉ムラの問題が改善することが分かった。
しかしながら、メタノールを含む表面張力が低い溶剤を多量に用いると、乾燥時に乾燥ムラが生じた際に、乾燥が進んだ部分とそうでない部分の表面張力差が大きくなり、ハードコート層表面に風ムラやスジが発生するという新たな問題が発生した。
本発明の目的は、干渉ムラの発生が抑制され、かつハードコート層表面の風ムラ及びスジの発生が抑制された光学フィルムの製造方法を提供することにある。また、この製造方法により作製された光学フィルム、光学フィルムを含む偏光板、及び画像表示装置を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、ハードコート層形成用組成物に、特定量のメタノールを含有させることにより、干渉ムラの発生を抑制し、更に、特定の表面張力の溶剤を特定量含有させることにより、風ムラ及びスジの発生を抑制することができることを見出した。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、下記の構成により解決することができる。
<1>
下記一般式(1)で表される構造を有する糖エステル化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する光学フィルムの製造方法。
(HO)−G−(L−R 一般式(1)
一般式(1)中、Gは単糖残基または二糖残基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族基または芳香族基を表す。Lはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。mは0以上の整数、nは1以上の自然数である。
(a)多官能(メタ)アクリレート化合物
(b)メタノール
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
(1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
(2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
(3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
<2>
芳香環を有する少なくとも1種のジカルボン酸と、平均炭素数が2.5〜8.0である少なくとも1種の脂肪族ジオールと、から得られる重縮合エステル化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する光学フィルムの製造方法。
(a)多官能(メタ)アクリレート化合物
(b)メタノール
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
(1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
(2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
(3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
<3>
以下の(4)の条件を満たす、<1>又は<2>に記載の光学フィルムの製造方法。
(4):(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤の含有量は、ハードコート層形成用塗布組成物の全固形分中、0.01〜0.5質量%である。
<4>
以下の(5)の条件を満たす、<1>又は<2>に記載の光学フィルムの製造方法。
(5):(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤の含有量は、ハードコート層形成用塗布組成物の全固形分中、0.01〜0.04質量%である。
<5>
上記ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、上記メタノールの含有量が10質量%〜25質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
<6>
上記ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤が総量で10質量%〜25質量%含有する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
<7>
上記ハードコート層形成用組成物は、20℃における表面張力が23mN/m以上であり、セルロースアシレートを溶解しない溶剤を含有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
<8>
上記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤が、下記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(1)である、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 0006336873

一般式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。
<9>
上記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤が、下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(2)である<1>〜<>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 0006336873

一般式(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上6以下の整数を表す。
<10>
上記ハードコート層の上に更に低屈折率層を形成する工程を有する、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
<11>
上記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤として、<8>に記載の光学フィルムの製造方法における上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)及び<9>に記載の光学フィルムの製造方法における
上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)を含有する、<10>に記載の光学フィルムの製造方法。
<12>
糖エステル化合物及び重縮合エステル化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)、及び(6)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する工程と、上記ハードコート層の上に更に低屈折率層を形成する工程と、を有する光学フィルムの製造方法。
(a)多官能(メタ)アクリレート化合物
(b)メタノール
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
(1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
(2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
(3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
(6):(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤として、
下記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(1)と、
下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(2)を含有する。
Figure 0006336873

一般式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。
Figure 0006336873

一般式(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上6以下の整数を表す。
<13>
上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)の全固形分中に含まれる割合が0.01〜0.2質量%であり、上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)の全固形分中に含まれる割合が0.001〜0.01質量%である、<12>に記載の光学フィルムの製造方法。
<14>
<1>〜<13>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルムを含む偏光板の製造方法。
<15>
<1>〜<13>のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルム及び<14>に記載の偏光板の製造方法により作製された偏光板の少なくともいずれか1種を含む画像表示装置の製造方法。
本発明は上記<1>〜<15>に関するものであるが、参考のためその他の事項(下記[1]〜[14]など)についても記載した。
[1]
糖エステル化合物及び重縮合エステル化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する光学フィルムの製造方法。
(a)多官能(メタ)アクリレート化合物
(b)メタノール
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
(1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
(2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
(3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
[2]
上記ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、上記メタノールの含有量が10質量%〜25質量%である[1]に記載の光学フィルムの製造方法。
[3]
上記ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤が総量で10質量%〜25質量%含有する[1]又は[2]に記載の光学フィルムの製造方法。
[4]
上記糖エステル化合物が下記一般式(1)で表される構造を有する[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
(HO)−G−(L−R 一般式(1)
一般式(1)中、Gは単糖残基または二糖残基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族基または芳香族基を表す。Lはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。mは0以上の整数、nは1以上の自然数である。
[5]
上記重縮合エステル化合物が、芳香環を有する少なくとも1種のジカルボン酸と、平均炭素数が2.5〜8.0である少なくとも1種の脂肪族ジオールと、から得られる化合物である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
[6]
上記ハードコート層形成用組成物は、20℃における表面張力が23mN/m以上であり、セルロースアシレートを溶解しない溶剤を含有する、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
[7]
上記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤が、下記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(1)である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 0006336873
一般式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。
[8]
上記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤が、下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(2)である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 0006336873
一般式(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上6以下の整数を表す。
[9]
上記ハードコート層の上に更に低屈折率層を形成する工程を有する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
[10]
上記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤として、[7の上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)及び[8の上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)を含有する、[9]に記載の光学フィルムの製造方法。
[11]
上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)の全固形分中に含まれる割合が0.01〜0.2質量%であり、上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)の全固形分中に含まれる割合が0.001〜0.01質量%である、[10]に記載の光学フィルムの製造方法。
[12]
[1]〜[11]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルム。
[13]
[1]〜[11]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルムを含む偏光板。
[14]
[1]〜[11]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルム及び[13]に記載の偏光板の少なくともいずれか1種を含む画像表示装置。
本発明によれば、干渉ムラの発生が抑制されると共に、ハードコート層表面の風ムラ、スジの発生を防止することができ、良好な耐擦傷性及び鉛筆硬度を有する光学フィルムの製造方法、この製造方法により作製された光学フィルム、光学フィルムを含む偏光板、およびこれを使用した画像表示装置を提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、特に限定しない場合には、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルを表す。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムの製造方法は、糖エステル化合物及び重縮合エステル化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する光学フィルムの製造方法である。
(a)多官能(メタ)アクリレート化合物
(b)メタノール
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
(1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
(2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
(3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
[セルロースアシレートフィルム]
本発明の製造方法に用いられるセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートを含んでなる。セルロースアシレートについては、特に限定されない。アシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートについて簡単に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシル基を有している。セルロースアシレートは、これらのヒドロキシル基の一部又は全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位に位置するセルロースのヒドロキシル基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は1.5〜3.0であることが、好ましく、2.0〜3.0であることがより好ましく、2.5〜3.0であることが更にまた好ましく、2.7〜3.0であることが更に好ましく、2.70〜2.98であることが特に好ましい。また、製膜性の観点からは場合により、2.80〜2.95であることが好ましく、2.85〜2.90であることが特にまた好ましい。ここで、DS2はグルコース単位の2位のヒドロキシル基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位のヒドロキシル基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位のヒドロキシル基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は全アシル置換度に対する6位のアシル置換度の割合であり、以下「6位のアシル置換率」とも言う。
これらセルロースに関しては、国際公開第2011/102492号の段落番号0034から0039の記載を参考にすることができる。
<添加剤>
本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムは、糖エステル化合物及び重縮合エステル化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む。これらの化合物は可塑剤として用いられるのが好ましい。また、本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムは、その他の添加剤を含有してもよい。添加剤を含有すること湿度寸法変化率の制御に加えて、フィルムの熱的性質、光学的性質、機械的性質の改善、柔軟性付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点で、有用な効果を示す。なお、添加剤とは、セルロースアシレート以外の成分すべてを指し、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子などが挙げられる。
<糖エステル化合物>
本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムに、可塑剤として糖エステル化合物が添加されていると、フィルムの機械的な性質を制御することができるという利点がある。
糖エステル化合物はセルロースエステルとの相溶性が良いため製膜時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくく、かつ嵩高い構造を有するためにフィルムの硬度を改良することが可能となる。
糖エステル化合物としては、好ましくは、ピラノース環又はフラノース環にアシル基を導入した糖エステル化合物である。糖エステル化合物については、特開2012−181516号公報の[0068]〜[0092]の(糖エステル化合物)の記載を参照することができる。
糖エステル化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(1)
(HO)−G−(L−R
式(1)中、Gは単糖残基または二糖残基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族基又は芳香族基を表す。Lはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。mは0以上の整数、nは1以上の自然数である。
糖エステル化合物とは、この化合物を構成する糖骨格構造中の置換可能な基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基)の少なくとも1つと、少なくとも1種の置換基とがエステル結合されている化合物のことを言う。すなわち、ここで言う糖エステル化合物には広義の糖誘導体類も含まれ、例えばグルコン酸のような糖残基を構造として含む化合物も含まれる。すなわち、糖エステル化合物には、グルコースとカルボン酸のエステル体も、グルコン酸とアルコールのエステル体も含まれる。
本発明に用いることができる一般式(1)で表される糖エステル化合物は、フラノース構造もしくはピラノース構造を有する化合物であることが好ましい。フラノース構造もしくはピラノース構造を糖骨格として有する場合、一般式(1)中、m+n≧4である。
また、フラノース構造もしくはピラノース構造を糖骨格として有する場合、m+nはそれぞれGが残基ではなく同じ骨格の環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しいという条件も満たすことができる。
なお、m+nの上限値は、Gの種類によって定まる値を採用することができ、Gが単糖残基であれば5、二糖残基であれば8となる。
一般式(1)で表される糖エステル化合物の例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストースが挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられが、これらに限定されるものではない。特にフラノース構造とピラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フクラトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
上記化合物中のヒドロキシル基の全てもしくは一部をエステル化するのに用いられる置換基としては、特に制限はない。その中でも、モノカルボン酸を用いることが好ましい。一般式(1)中のR1が、それぞれ独立にアシル基を表すことが好ましい。
モノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種類以上の混合であってもよい。R1が複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一方、一般式(1)中のLが、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−NR11−(R11は1価の置換基を表す)のいずれか一つを表すことが好ましい。
以下に、本発明に用いることができる一般式(1)で表される糖エステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0006336873
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以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に任意の置換基を表し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。以下の表1〜4において、置換基1、2はそれぞれ任意のRを表す。また、置換度は、Rが置換基で表される数を表す。「なし」はRが水素原子であることを表す。
Figure 0006336873
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本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムに糖エステル化合物を添加する場合、糖エステル化合物の含有量は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
<重縮合エステル化合物>
重縮合エステル系化合物は、芳香環を有する少なくとも1種のジカルボン酸(芳香族ジカルボン酸とも呼ぶ)と、平均炭素数が2.5〜8.0である少なくとも1種の脂肪族ジオールと、から得られる化合物から得られることが好ましい。また、芳香族ジカルボン酸と少なくとも一種の脂肪族ジカルボン酸との混合物と、平均炭素数が2.5〜8.0の少なくとも一種の脂肪族ジオールと、から得られることも好ましい。
ジカルボン酸残基の平均炭素数の計算は、ジカルボン酸残基とジオール残基で個別に行う。
ジカルボン酸残基の組成比(モル分率)を構成炭素数に乗じて算出した値を平均炭素数とする。例えば、アジピン酸残基とフタル酸残基が50モル%ずつから構成される場合は、平均炭素数7.0となる。
また、ジオール残基の場合も同様で、ジオール残基の平均炭素数は、ジオール残基の組成比(モル分率)を構成炭素数に乗じて算出した値とする。例えばエチレングリコール残基50モル%と1,2−プロパンジオール残基50モル%から構成される場合は平均炭素数2.5となる。
重縮合エステルの数平均分子量は500〜2000であることが好ましく、600〜1500がより好ましく、700〜1200がさらに好ましい。重縮合エステルの数平均分子量は500以上であれば揮発性が低くなり、セルロースアシレートフィルムの延伸時の高温条件下における揮散によるフィルム故障や工程汚染を生じにくくなる。また、2000以下であればセルロースアシレートとの相溶性が高くなり、製膜時及び加熱延伸時のブリードアウトが生じにくくなる。
重縮合エステルの数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定、評価することができる。また、末端が封止のないポリエステルポリオールの場合、重量あたりのヒドロキシル基の量(以下、水酸基価とも言う)により算出することもできる。本明細書中において、水酸基価は、ポリエステルポリオールをアセチル化した後、過剰の酢酸の中和に必要な水酸化カリウムの量(mg)を測定する。
芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸との混合物をジカルボン酸成分として用いる場合は、ジカルボン酸成分の炭素数の平均が5.5〜10.0のジカルボン酸であることが好ましく、より好ましくは5.6〜8である。
炭素数の平均が5.5以上であれば耐久性に優れた偏光板を得ることができる。炭素数の平均が10以下であればセルロースアシレートへの相溶性が優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜過程でブリードアウトの発生を抑制することができる。
ジオールと、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合エステルには、芳香族ジカルボン酸残基が含まれる。
本明細書中では、残基とは、重縮合エステルの部分構造で、重縮合エステルを形成している単量体の特徴を有する部分構造を表す。例えばジカルボン酸HOOC−R−COOHより形成されるジカルボン酸残基は−OC−R−CO−である。
上記重縮合エステルの芳香族ジカルボン酸残基比率は40mol%以上であることが好ましく、40mol%〜95mol%であることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸残基比率を40mol%以上とすることで、十分な光学異方性を示すセルロースアシレートフィルムが得られ、耐久性に優れた偏光板を得ることができる。また、95mol%以下であればセルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくくすることができる。
重縮合エステル系化合物の形成に用いることができる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。その中でもフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、フタル酸、テレフタル酸がより好ましく、テレフタル酸がさらに好ましい。
重縮合エステルには、混合に用いた芳香族ジカルボン酸に由来する芳香族ジカルボン酸残基が形成される。
すなわち、上記芳香族ジカルボン酸残基は、フタル酸残基、テレフタル酸残基、イソフタル酸残基の少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくはフタル酸残基、テレフタル酸残基の少なくとも1種を含み、さらに好ましくはテレフタル酸残基を含む。
重縮合エステルの形成における混合に、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いることで、よりセルロースアシレートとの相溶性に優れ、セルロースアシレートフィルムの製膜時及び加熱延伸時においてもブリードアウトを生じにくいセルロースアシレートフィルムとすることができる。また、上記芳香族ジカルボン酸は1種でも、2種以上を用いてもよい。2種用いる場合は、フタル酸とテレフタル酸を用いることが好ましい。
フタル酸とテレフタル酸の2種の芳香族ジカルボン酸を併用することにより、常温での重縮合エステルを軟化することができ、ハンドリングが容易になる点で好ましい。
重縮合エステルのジカルボン酸残基中における、テレフタル酸残基の含有量は40mol%〜100mol%であることが好ましい。
テレフタル酸残基比率を40mol%以上とすることで、十分な光学異方性を示すセルロースアシレートフィルムが得られる。
ジオールと、脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合エステルには、脂肪族ジカルボン酸残基が含まれる。
上記重縮合エステル系化合物を形成することができる脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
重縮合エステルには、混合に用いた脂肪族ジカルボン酸に由来する脂肪族ジカルボン酸残基が形成される。
脂肪族ジカルボン酸残基は、平均炭素数が5.5〜10.0であることが好ましく、5.5〜8.0であることがより好ましく、5.5〜7.0であることがさらに好ましい。脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数が10.0以下であれば化合物の加熱減量が低減でき、セルロースアシレートウェブ乾燥時のブリードアウトによる工程汚染が原因と考えられる面状故障の発生を防ぐことができる。また、脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数が5.5以上であれば相溶性に優れ、重縮合エステルの析出が起き難く好ましい。
上記脂肪族ジカルボン酸残基は、具体的には、コハク酸残基を含むことが好ましく、2種用いる場合は、コハク酸残基とアジピン酸残基を含むことが好ましい。
すなわち、重縮合エステルの形成における混合に、脂肪族ジカルボン酸を1種用いても、2種以上を用いてもよく、2種用いる場合は、コハク酸とアジピン酸を用いることが好ましい。重縮合エステルの形成における混合に、脂肪族ジカルボン酸を1種用いる場合は、コハク酸を用いることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸残基の平均炭素数を所望の値に調整することができ、セルロースアシレートとの相溶性の点で好ましい。
重縮合エステルの形成における混合には、ジカルボン酸を2種又は3種を用いることが好ましい。2種を用いる場合は脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを1種ずつ用いることが好ましく、3種を用いる場合は脂肪族ジカルボン酸を1種と芳香族ジカルボン酸を2種又は脂肪族ジカルボン酸を2種と芳香族ジカルボン酸を1種用いることができる。ジカルボン酸残基の平均炭素数の値を調整しやすく、かつ芳香族ジカルボン酸残基の含有量を好ましい範囲とすることができ、偏光子の耐久性を向上し得るためである。
ジオールとジカルボン酸を含むジカルボン酸とから得られた重縮合エステルには、ジオール残基が含まれる。
本明細書中では、ジオールHO−R−OHより形成されるジオール残基は−O−R−O−である。
重縮合エステルを形成するジオールとしては、芳香族ジオール及び脂肪族ジオールが挙げられ、上記可塑剤に用いられる重縮合エステルは少なくとも脂肪族ジオールから形成されることが好ましい。
上記重縮合エステルは、平均炭素数が2.5〜7.0の脂肪族ジオール残基を含むことが好ましく、より好ましくは平均炭素数が2.5〜4.0の脂肪族ジオール残基を含む。上記脂肪族ジオール残基の平均炭素数が7.0より小さいとセルロースアシレートとの相溶性が改善され、ブリードアウトが生じにくくなり、また、化合物の加熱減量が増大しにくくなり、セルロースアシレートウェブ乾燥時の工程汚染が原因と考えられる面状故障が発生し難くなる。また、脂肪族ジオール残基の平均炭素数が2.5以上であれば合成が容易である。
上記重縮合エステル系化合物を形成することができる脂肪族ジオールとしては、アルキルジオール又は脂環式ジオール類を好ましい例として挙げることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が好ましい。これらはエチレングリコールとともに1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。
より好ましい上記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンジオールの少なくとも1種であり、特に好ましくはエチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールの少なくとも1種である。上記脂肪族ジオールを2種用いて上記重縮合エステルを形成する場合は、エチレングリコール、及び1,2−プロパンジオールを用いることが好ましい。1,2−プロパンジオール、又は1,3−プロパンジオールを用いることにより重縮合エステルの結晶化を防止することができる。
上記重縮合エステルには、混合に用いたジオールによりジオール残基が形成される。
すなわち、上記重縮合エステルは、ジオール残基としてエチレングリコール残基、1,2−プロパンジオール残基、及び1,3−プロパンジオール残基の少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコール残基又は1,2−プロパンジオール残基であることがより好ましい。
上記重縮合エステルに含まれる脂肪族ジオール残基には、エチレングリコール残基が10mol%〜100mol%含まれることが好ましく、20mol%〜100mol%含まれることがより好ましい。
上記重縮合エステルの末端は、封止せずにジオールあるいはカルボン酸のままとしてもよく、さらにモノカルボン酸類又はモノアルコール類を反応させていわゆる末端の封止を実施してもよい。
封止に用いるモノカルボン酸類としては酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸等が好ましい。封止に用いるモノアルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等が好ましく、メタノールが最も好ましい。重縮合エステルの末端に使用するモノカルボン酸類の炭素数が7以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
上記重縮合エステルの末端は、封止せずにジオール残基のままであることか、酢酸またはプロピオン酸又は安息香酸によって封止されていることがさらに好ましい。
上記重縮合エステルの両末端は、それぞれ、封止の実施の有無が同一であることを問わない。
縮合体の両末端が未封止の場合、重縮合エステルはポリエステルポリオールであることが好ましい。
上記重縮合エステルの態様の一つとして脂肪族ジオール残基の炭素数が2.5〜8.0であり、重縮合エステルの両末端は未封止である重縮合エステルを挙げることができる。
重縮合エステルの両末端が封止されている場合、モノカルボン酸と反応させて封止することが好ましい。このとき、上記重縮合エステルの両末端はモノカルボン酸残基となっている。本明細書中では、モノカルボン酸R−COOHより形成されるモノカルボン酸残基はR−CO−である。重縮合エステルの両末端がモノカルボン酸で封止されている場合、上記モノカルボン酸は脂肪族モノカルボン酸残基であることが好ましく、モノカルボン酸残基が炭素数22以下の脂肪族モノカルボン酸残基であることがより好ましく、炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸残基であることがさらに好ましい。また、炭素数2以上の脂肪族モノカルボン酸残基であることが好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸残基であることが特に好ましい。
上記重縮合エステルの態様の一つとして脂肪族ジオール残基の炭素数が2.5より大きく7.0以下であり、重縮合エステルの両末端がモノカルボン酸残基で封止されている重縮合エステルを挙げることができる。
重縮合エステルの両末端を封止しているモノカルボン酸残基の炭素数が3以下であると、揮発性が低下し、重縮合エステルの加熱による減量が大きくならず、工程汚染の発生や面状故障の発生を低減することが可能である。
すなわち、封止に用いるモノカルボン酸類としては脂肪族モノカルボン酸が好ましく、モノカルボン酸が炭素数2から22の脂肪族モノカルボン酸であることがより好ましく、炭素数2〜3の脂肪族モノカルボン酸であることがさらに好ましく、炭素数2の脂肪族モノカルボン酸残基であることが特に好ましい。
例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体等が好ましく、酢酸又はプロピオン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。
封止に用いるモノカルボン酸は2種以上を混合してもよい。
上記重縮合エステルの両末端は酢酸又はプロピオン酸による封止が好ましく、酢酸封止により両末端がアセチルエステル残基(アセチル残基と称する場合がある)となることが最も好ましい。
上記重縮合エステルの両末端を封止した場合は、常温での状態が固体形状となりにくく、ハンドリングが良好となり、また湿度安定性、偏光板耐久性に優れたセルロースアシレートフィルムを得ることができる。
下記表5に上記重縮合エステルの具体例A−1〜A−34を記すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006336873
上記表5中の略称は、それぞれ以下の化合物を表す。PA:フタル酸、TPA:テレフタル酸、AA:アジピン酸、SA:コハク酸、2,6−NPA:2,6−ナフタレンジカルボン酸。
上記重縮合エステルの具体例としては、さらに、以下のA−35〜A−39も挙げられる。
A−35:PA/エタンジオール/末端アセチルエステル基
A−36:PA/プロピレングリコール/末端アセチルエステル基
A−37:PA/プロピレングリコール/末端ベンゾイルエステル基
A−38:AA/プロピレングリコール/末端ベンゾイルエステル基
A−39:TPA/プロピレングリコール/末端メチルベンゾイルエステル基
上記重縮合エステルの合成は、常法によりジオールとジカルボン酸とのポリエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。また、上記重縮合エステルについては、村井孝一編者「可塑剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムに重縮合エステル化合物を添加する場合、重縮合エステル化合物の含有量は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明に用いられるセルロースアシレートフィルムは、添加剤として紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。具体的な例としては特開2012−181516号公報の段落[0121]に記載の化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.0001質量部以上10以下であることが好ましく、0.0001質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.001質量部以上3質量部以下であることが更に好ましい。
<微粒子添加剤>
セルロースアシレートフィルム表面には、フィルム間の滑り性付与やブロッキング防止のために微粒子を添加することが好ましい。この微粒子としては、疎水基で表面が被覆され、二次粒子の態様をとっているシリカ(二酸化ケイ素,SiO)が好ましく用いられる。なお、微粒子には、シリカとともに、あるいはシリカに代えて、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウムなどの微粒子を用いてもよい。
この微粒子はいわゆるマット剤として機能し、微粒子添加によりフィルム表面に微小な凹凸が形成されこの凹凸によりフィルム同士が重なっても互いに貼り付かず、フィルム同士の滑り性が確保される。この際のフィルム表面からの微粒子が突出した突起による微小凹凸は高さ30nm以上の突起が10個/mm以上である場合に特に滑り性、ブロッキング性の改善効果が大きい。
マット剤微粒子は特に表層に付与することが、フィルムのヘイズ上昇がなくブロッキング性、滑り性改善するために好ましい。表層に微粒子を付与する方法としては、重層流延や塗布などによる手段があげられる。
フィルムロール中で接触面圧が高くなると、フィルムの重なる部分同士が一定の確率で貼り付き、滑りにくくなる。このように、フィルムの表面に過重な圧力が加わることなどが原因で、重なったフィルム同士が貼り付いてしまう現象は、ブロッキングとも呼ばれている。フィルム同士が貼り付いてしまうために滑りにくくなることにより、フィルムを巻き取った際の変形が滑りにより緩和されなくなる。そのため、従来のフィルムロールには、ベコと呼ばれる周方向に沿った凹みやしわ、巻き芯の凹凸や巻き付け時のフィルム端面(切り口)に起因して巻き芯側にフィルム変形となる故障(以下、芯側写り故障と称する)等が発生する。このベコやしわや芯側写り故障は、フィルムの膜厚やフィルムの弾性率の低下によって発生しやすい。
フィルムロールでは、ナーリング部分の間の使用に供される領域部分(使用部分)においては0.01MPa以上0.10MPa程度以下の範囲内の接触面圧がかかっている。
巻き芯付近のフィルムの部分にかかる接触面圧は、フィルムが長尺になればなるほど、高くなる傾向にある。長さ4000m弱の長尺フィルムの巻き芯側では、0.05MPa以上0.10MPa以下の範囲内程度の接触面圧がかかっている。そのため、従来では、フィルムが2000mより短い場合には大きな問題は生じなかったものの、例えばフィルムの長さが2000m以上10000m以下の範囲内というようにフィルムが長いと、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障が発生しやすい傾向にあった。
また、従来では、例えばフィルムの厚さが10μm以上65μm以下の範囲内というようにフィルムが薄いと、巻芯に巻き取ってフィルムロールにする際に、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障が発生しやすい傾向にあった。また、従来では、例えばフィルムの弾性率が1.0GPa以上4.0GPa以下の範囲内というようにフィルムの弾性率が低いと、巻芯に巻き取ってフィルムロールにする際に、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障が発生しやすい。
このような巻き取り適性の改善にはフィルム表面の微小凹凸付与によるブロッキング性、滑り性の改善が有効である。特にフィルム同士の接触面圧が0.05MPa以上0.10MPaの範囲での静摩擦係数が1.2以下であることが、フィルムの重なる部分間で滑りが生じるので、ブロッキング、ベコ、しわ、芯側写り故障の発生が低減される。接触面圧が0.05MPa以上0.10MPa以下の範囲内の部分の静摩擦係数が1.0以下であれば好ましく、接触面圧が0.05MPa以上0.10MPa以下の範囲内の部分の静摩擦係数が0.9以下であればより好ましい。
次に、ハードコート層について説明する。本発明においては、上記セルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有するハードコート層形成用組成物を、塗布・乾燥・硬化することにより、光学フィルムを形成することができる。
本発明において、ハードコート層とは、上記層を形成することで透明支持体の鉛筆硬度が向上する(硬度が高くなる)層をいう。実用的には、ハードコート層積層後の鉛筆硬度(JIS K5400)はH以上が好ましく、更に好ましくは2H以上であり、最も好ましくは3H以上である。
ハードコート層の厚みは、1〜35μmが好ましく、更に好ましくは1〜25μmであり、最も好ましくは1.5〜15μmである。
本発明においてハードコート層は1層でも複数でもかまわない。ハードコート層が複数層の場合、全てのハードコート層の膜厚の合計が上位範囲であることが好ましい。
本発明の光学フィルムのハードコート層の表面は平坦であって凹凸があっても構わない。また、必要に応じて、表面凹凸や内部散乱付与のためにハードコート層に透光性粒子を含有させることもできる。
以下に、ハードコート層形成用組成物に含まれる各成分についての詳細を記載する。
<(a)多官能(メタ)アクリレート化合物>
ハードコート層形成用組成物に含まれる不飽和二重結合を有する化合物は、バインダーとして機能することができ、特に、重合性不飽和基を2つ以上有する多官能モノマーは、硬化剤として機能することができ、塗膜の強度や耐擦傷性を向上させることが可能となる。
本発明において用いられるハードコート層形成用組成物は、(a)多官能(メタ)アクリレート化合物を含有する。多官能(メタ)アクリレート化合物とは、分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を示す。
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート化合物類は市販されているものを用いることもでき、新中村化学工業(株)社製NKエステル A−TMMT、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA等を挙げることができる。多官能モノマーについては、特開2009−98658号公報の段落[0114]〜[0122]に記載されており、本発明においても同様である。カールと硬度のバランスをとったり、基材への染み込みを制御するために複数種のモノマーを併用することも好ましい。
本発明のハードコート層形成用組成物中の多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、十分な重合率を与えて硬度などを付与するため、ハードコート層形成用組成物中の無機成分を除いた全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、60〜99質量%がより好ましく、70〜99質量%が更に好ましく、80〜99質量%が特に好ましい。
本発明において、ハードコート層形成用組成物に含有される多官能(メタ)アクリレート化合物としては、分子内に環状脂肪族炭化水素と2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることも好ましい。このような化合物を用いることで、ハードコート層に低透湿性を付与することができる。
ハードコート層形成用組成物が分子内に環状脂肪族炭化水素と2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を含有する場合、分子内に環状脂肪族炭化水素と2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物はハードコート層形成用組成物中の多官能(メタ)アクリレート化合物中、1〜90質量%が好ましく、2〜80質量%がより好ましく、5〜70質量%が特に好ましい。
ハードコート層形成用組成物が分子内に環状脂肪族炭化水素と2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、更に5官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
ハードコート層形成用組成物が、更に、5官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、5官能以上の(メタ)アクリレート化合物は、ハードコート層形成用組成物中の多官能(メタ)アクリレート化合物中、1〜70質量%が好ましく、2〜60質量%がより好ましく、5〜50質量%が特に好ましい。
<(b)メタノール>
本発明において用いられるハードコート層形成用組成物は、溶剤としてメタノールを含有する。メタノールは、糖エステル化合物や重縮合エステル化合物を抽出することができるため、セルロースアシレートを溶解する溶剤に加えてメタノールを用いることにより、糖エステル化合物や重縮合エステル化合物を含むセルロースアシレートフィルムを基材とした場合にも、基材とハードコート層の間に屈折率界面が生じにくく、干渉ムラの発生を抑制することができる。
但し、ハードコート層形成用組成物中に、メタノールを含む表面張力が低い溶剤を多量に含有すると、ハードコート層乾燥時の乾燥ムラで乾燥が進んだ部分とそうでない部分の表面張力差が大きくなり、風ムラやスジが発生することがあるので、メタノールの含有量及び低表面張力溶剤の含有量は、適切に制御する必要がある。また、メタノールの含有量が多くなり過ぎるとセルロースアシレートの溶解性が落ちるために干渉ムラが悪化してくる。
このため、ハードコート層形成用組成物中のメタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、10質量%〜30質量%とする。メタノールの含有量が上記範囲内であると、干渉ムラの発生を抑制することができると共に、ハードコート層乾燥時の風ムラやスジの発生も防止することができる。メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、10〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。
<(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤>
本発明において用いられるハードコート層形成用組成物は、溶剤として、セルロースアシレートを溶解する溶剤を含有する。ハードコート層形成用組成物中がセルロースアシレートを溶解する溶剤を含有していると、ハードコート層を形成したときに、溶剤がセルロースアシレートを溶解して染込むので、上記のメタノールとあわせて用いることで、糖エステル化合物や重縮合エステル化合物を含むセルロースアシレート基材とハードコート層との界面がなくなり、干渉ムラを抑制することができる。
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤としては、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等の一部のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、その他としてN−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン)、下記一般式(d1)で表されるカーボネート系溶剤等が挙げられ、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、下記一般式(d1)で表されるカーボネート系溶剤が好ましく、酢酸メチル、アセトン、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネートがより好ましい。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006336873
一般式(d1)中、Ra及びRbは、それぞれ独立にアルキル基を表し、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20質量%〜90質量%である。(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量が上記範囲内であると、基材フィルムへの染込み量が最適となり、良好な鉛筆硬度が得られると共に、干渉ムラが発生することを抑制することができる。(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、30〜80質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、55〜80質量%であることが最も好ましい。
<(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤>
本発明において用いられるハードコート層形成用組成物は、(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤を含有する。
一般的にレベリング剤は、乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制したり、塗布物のハジキを改良したりする効果を有している。
レベリング剤として、具体的には、シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤を用いる。なお、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
レベリング剤を添加すると、塗布された液膜の表面にレベリング剤が速やかに移動して偏在化し、膜乾燥後もレベリング剤がそのまま表面に偏在することになるので、レベリング剤を添加したハードコート層の表面エネルギーは、レベリング剤によって低下する。ハードコート層の膜厚不均一性やハジキ、ムラを防止するという観点からは、膜の表面エネルギーが低いことが好ましい。
シリコーン系レベリング剤の好ましい例としては、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む、化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはポリエーテル基、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリール基、シンナモイル基、オキセタニル基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、などを含む基が挙げられる。
シリコーン系レべリング剤の数平均分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、1000〜30000であることが特に好ましく、1000〜20000であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系レベリング剤の例としては、電離放射線硬化基を有しない市販のシリコーン系レベリング剤として、信越化学工業(株)製のX22−3710、X22−162C、X22−3701E、X22160AS、X22170DX、X224015、X22176DX、X22−176F、X224272、KF8001、X22−2000等;チッソ(株)製のFM4421、FM0425、FMDA26、FS1265等;東レ・ダウコーニング(株)製のBY16−750、BY16880、BY16848、SF8427、SF8421、SH3746、SH8400、SF3771、SH3749、SH3748、SH8410等;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のTSFシリーズ(TSF4460、TSF4440、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4453、TSF4452、TSF4730、TSF4770等)、FGF502、SILWETシリーズ(SILWETL77、SILWETL2780、SILWETL7608、SILWETL7001、SILWETL7002、SILWETL7087、SILWETL7200、SILWETL7210、SILWETL7220、SILWETL7230、SILWETL7500、SILWETL7510、SILWETL7600、SILWETL7602、SILWETL7604、SILWETL7604、SILWETL7605、SILWETL7607、SILWETL7622、SILWETL7644、SILWETL7650、SILWETL7657、SILWETL8500、SILWETL8600、SILWETL8610、SILWETL8620、SILWETL720)等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
電離放射線硬化基を有するものとして、信越化学工業(株)製のX22−163A、X22−173DX、X22−163C、KF101、X22164A、X24−8201、X22174DX、X22164C、X222426、X222445、X222457、X222459、X22245、X221602、X221603、X22164E、X22164B、X22164C、X22164D、TM0701等;チッソ(株)製のサイラプレーンシリーズ(FM0725、FM0721、FM7725、FM7721、FM7726、FM7727等);東レ・ダウコーニング(株)製のSF8411、SF8413、BY16−152D、BY16−152、BY16−152C、8388A等;エボニック デグサ ジャパン(株)製のTEGO Rad2010、2011、2100、2200N、2300、2500、2600,2700等;ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK3500;信越シリコーン社製のKNS5300;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のUVHC1105、UVHC8550等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
上記レベリング剤は、ハードコート層用塗布組成物の全固形分中に0.01〜0.5質量%含有されることが好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましい。
フッ素系レベリング剤は、フルオロ脂肪族基と、例えばこのレべリング剤を添加剤として使用したときに、コーティング用、成形材料用等の各種組成物に対する親和性に寄与する親媒性基とを同一分子内に有する化合物であり、このような化合物は、一般に、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと親媒性基を有するモノマーとを共重合させて得ることができる。
フルオロ脂肪族基を有するモノマーと共重合される、親媒性基を有するモノマーの代表的な例としては、ポリ(オキシアルキレン)アクリレート、ポリ(オキシアルキレン)メタクリレート等が挙げられる。
好ましい市販のフッ素系レベリング剤としては、電離放射線硬化基を有しないものとしてDIC(株)製のメガファックシリーズ(MCF350−5、F472、F476、F445、F444、F443、F178、F470、F475、F479、F477、F482、F486、TF1025、F478、F178K等);ネオス(株)製のフタ―ジェントシリーズ(FTX218、250、245M、209F、222F、245F、208G、218G、240G、206D、240D等)が挙げられ、電離放射線硬化基を有するものとして、ダイキン工業(株)製のオプツールDAC;DIC(株)製のデイフェンサシリーズ(TF3001、TF3000、TF3004、TF3028、TF3027、TF3026、TF3025等)、RSシリーズ(RS71、RS101、RS102、RS103、RS104、RS105等)が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明におけるフッ素系レベリング剤としては、下記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(1)であることが好ましい。
Figure 0006336873
一般式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。
上記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーについて、詳細に説明する。
一般式(2)において、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Lは酸素原子、窒素原子、イオウ原子のいずれかを含んでいる2価の連結基を表し、−COO−、−COO(R5)−、−COS−、−COS(R5)−、−CON(R6)−、−CON(R5)(R6)−等が好ましい。ここでR5は炭素数1以上8以下のアルキル基、R6は水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。nは1以上18以下の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましく、6であることが最も好ましい。
また、フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)中に、一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)の重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
上記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)は、下記一般式(2−1)で表される構造であることが好ましい。
Figure 0006336873
一般式(2−1)中、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子または−N(R2)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上18以下の整数を表す。ここで、R2は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表す。
上記一般式(2−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーについて、詳細に説明する。
一般式(2−1)において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R2)−を表し、酸素原子または−N(R2)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R2は水素原子または炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。mは1以上6以下の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。nは1以上18以下の整数を表し、4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましく、6であることが最も好ましい。
また、上記フッ素系レベリング剤中に一般式(2−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
また、本発明におけるフッ素系レベリング剤としては、下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(2)であることも好ましい。
Figure 0006336873
一般式(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上6以下の整数を表す。
一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーについて、詳細に説明する。
一般式(3)において、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Lは酸素原子、窒素原子、イオウ原子のいずれかを含んでいる2価の連結基を表し、−COO−、−COO(R5)−、−COS−、−COS(R5)−、−CON(R6)−、−CON(R5)(R6)−等が好ましい。ここでR5は炭素数1以上8以下のアルキル基、R6は水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。nは1以上6以下の整数を表し、4〜6がより好ましく、6が更に好ましい。
フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)中に、一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)の重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
上記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)は、下記一般式(3−1)で表される構造であることが好ましい。
Figure 0006336873
一般式(3−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上6以下の整数を表す。Rは水素原子または置換基を有しても良い炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。
上記一般式(3−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーについて、詳細に説明する。
一般式(3−1)において、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R)−を表し、酸素原子または−N(R)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。Rは水素原子または炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。mは1以上6以下の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。nは1以上6以下の整数を表し、4〜6がより好ましく、6が更に好ましい。フルオロ脂肪族基含有共重合体中に一般式(3−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位が2種類以上構成単位として含まれていても良い。
一般式(2)又は一般式(2−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)、一般式(3)又は一般式(3−1)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)、ならびにフルオロ脂肪族基含有共重合体(1)および(2)の具体例については、特開2010−1549434号公報、特開2010−121137号公報、特開2004−331812号公報、及び特開2004−163610号記載の具体例を挙げることができるが、本発明はそれらに限定されるものではない。
本発明において、上記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)に由来する繰り返し単位を有するレベリング剤(フルオロ脂肪族基含有共重合体(2))と、上記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)に由来する繰り返し単位を有するレベリング剤(フルオロ脂肪族基含有共重合体(1))を適切な添加量で併用することにより、ハードコート層表面にスジが発生することを抑制することができると共に、ハードコート層上に低屈折率層を積層した場合に、良好な耐擦傷性を得ることができる。
フルオロ脂肪族基含有共重合体の含有量としては、上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)の全固形分中に含まれる割合は0.01〜0.2質量%であり、上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)の全固形分中に含まれる割合が0.001〜0.01質量%であることが好ましい。これらの共重合体の含有量が上記範囲内であると、ハードコート層表面にスジが発生することを抑制することができると共に、低屈折率層を積層した場合に、良好な耐擦傷性を得ることができる。
また、本発明において、(d)フッ素系レベリング剤の質量平均分子量は、1000〜50000が好ましく、5000〜50000がより好ましく、8000〜30000がさらに好ましく、10000〜20000が特に好ましい。風ムラ防止能が十分である点で、質量平均分子量1000以上が好ましい。また、有機溶剤への溶解性・溶出性が十分である点で、質量平均分子量が50000以下が好ましい。添加する処方によっては、ハジキなどの面状故障を抑制することを主眼とし、質量平均分子量は1000〜20000が好ましい場合がある。
ここで、質量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量である。
本発明のフッ素系レベリング剤は公知の方法で製造することができる。例えば先にあげたフルオロ脂肪族基を有する(メタ)アクリレート、直鎖、分岐または環状のアルキル基を有する(メタ)アクリレート等の単量体を有機溶媒中、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、重合させることにより製造できる。もしくは場合によりその他の付加重合性不飽和化合物とを、添加して上記と同じ方法にて製造することができる。各モノマーの重合性に応じ、反応容器にモノマーと開始剤を滴下しながら重合する滴下重合法なども、均一な組成のポリマーを得るために有効である。
本発明で用いられるフルオロ脂肪族基含有共重合体(フッ素系レベリング剤)を構成するこれらのフルオロ脂肪族基含有モノマーAの重合単位の量は、フッ素系レベリング剤を構成する全重合単位に基づいて、10質量%を超えることが好ましく、40〜95質量%であることがより好ましく、80〜95質量%であることが更に好ましい。
ハードコート層形成用組成物に対する上記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)の添加量は、0.001質量%〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜0.2質量%である。
なお、本発明において用いられるハードコート層形成用組成物は、(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択された少なくとも1種のレベリング剤の他に、上記レベリング剤以外のレベリング剤を併用してもよい。
本発明において、フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)又は(2)に含まれるフルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位は、下記一般式[I]で表される構造を有することが好ましい。
Figure 0006336873
一般式[I]において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、L1は2価の連結基を表し、Yは置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基を表す。
上記一般式[I]で示されるフルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位について、詳細に説明する。
一般式[I]で示されるモノマー(B)に由来する繰り返し単位としては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2Page 1〜483記載のものを用いることが出来る。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
具体的には、以下の単量体をあげることができる。
アクリル酸エステル類:
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ターシャリーブチルアクリレート等、
メタクリル酸エステル類:
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート等、
アクリルアミド類:
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミドなど。
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど。
ビニルエーテル類:
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど。
ビニルエステル類:
ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β―フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
イタコン酸ジアルキル類:
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:
ジブチルフマレートなど。
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレンなど。
これらの中でも一般式[I]において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。L1は2価の連結基を表し、Yは置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基を表す。L1は酸素原子、窒素原子、イオウ原子のいずれかを含んでいる2価の連結基を表し、−COO−、−COO(R5)−、−COS−、−COS(R5)−、−CON(R6)−、−CON(R5)(R6)−等が好ましい。ここでR5は炭素数1以上8以下のアルキル基、R6は水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。Yは置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基であることが好ましい。
本発明の一般式[I]で表されるモノマーのより具体的なモノマーとしては、特開2007−1022061号公報に記載のモノマーを好ましく使用することができるがこの限りではない。
<20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤>
本発明において用いられるハードコート層形成用組成物は、溶剤としてメタノールを含有するが、上述の通り、メタノールを含む表面張力が低い溶剤を多量に含有すると、ハードコート層乾燥時の乾燥ムラに起因して乾燥が進んだ部分とそうでない部分の表面張力差が大きくなり、風ムラやスジが発生することがあるので、メタノールの含有量及び低表面張力溶剤の合計の含有量を、適切に制御する必要がある。
20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤としては、メタノールの他に、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、t-ブタノール、およびn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の炭化水素類等が挙げられる。表面張力が23mN/m未満である溶剤の含有量が上記範囲内であると、ハードコート層乾燥時の風ムラやスジの発生も防止することができる。
20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤の含有量は、総量で10〜25質量%であることが好ましく、15〜20質量%であることがより好ましい。
また、本発明におけるハードコート層形成用組成物は、20℃における表面張力が23mN/m以上であり、セルロースアシレートを溶解しない溶剤を含有するものであることが好ましい。
ハードコート層形成用組成物中の成分のセルロースアシレートフィルム基材への染込み量が多いと、光学フィルムの鉛筆硬度が低下し、少ないと干渉ムラが発生することがあるが、本発明においては、表面張力が23mN/m未満である溶剤の含有量を30質量%以下に制限し、表面張力が23mN/m以上であり、セルロースアシレートを溶解する溶剤と、セルロースアシレートを溶解しない溶剤とを組み合わせて使用することにより、染込み量を最適に調整することができる。
表面張力が23mN/m以上であり、セルロースアシレートを溶解しない溶剤としては、n−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、メトキシプロパノール、等のアルコール類、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルブチルケトン等の一部のケトン類、シクロヘキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
〔光重合開始剤〕
本発明において用いられるハードコート層用組成物は、光重合開始剤を含有することができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
本発明におけるハードコート層用組成物中の光重合開始剤の含有量は、ハードコート層用組成物に含まれる重合可能な化合物を重合させるのに十分多く、かつ開始点が増えすぎないよう十分少ない量に設定するという理由から、ハードコート層用組成物中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
本発明では、高い硬度を付与したり、屈折率を調整したりする目的で無機微粒子を用いることもできる。また、帯電防止性を付与する目的で、公知の導電性化合物や導電性無機微粒子を用いることもできる。導電性化合物としては、4級アンモニウム塩基を有する化合物やπ共役構造を有する導電性ポリマー等の有機化合物であることが好ましく、具体的には特開2012−73544に記載の導電性有機化合物が好適に用いられる。
<光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、セルロースアシレートフィルム(支持体)上に上記ハードコート層形成用組成物を塗布・乾燥・硬化することにより得ることができる。
本発明により製造される光学フィルムの好ましい層構成の例を下記に示すが、特にこれらの層構成のみに限定されるわけではない。
・支持体/ハードコート層
・支持体/ハードコート層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/防眩層(帯電防止層)/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層(帯電防止層)/防眩層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/高屈折率層/帯電防止層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層(帯電防止層)/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/中屈折率層(帯電防止層)/高屈折率層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層(帯電防止層)/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
ここで、帯電防止層、防眩層はハードコート性を有していても良い。
〔低屈折率層〕
本発明では、反射率低減効果の付与を目的としてハードコート層の上に低屈折率層を形成することもできる。
低屈折率層の屈折率は、直下の層の屈折率より低く、1.20〜1.55であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜150nmであることがさらに好ましく、80〜110nmであることが最も好ましい。低屈折率層は低屈折率層形成用の硬化性組成物を硬化して得ることが好ましい。
好ましい低屈折率層の硬化性物組成の態様としては、
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと無機微粒子(特に中空構造を有する無機微粒子が好ましい。)を含有する組成物、などが挙げられる。
(1)及び(2)に関しても、無機微粒子を含有することが好ましく、さらに屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子用いると、低屈折率化や無機微粒子添加量と屈折率の調整などの観点で特に好ましい。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性または重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号、特開2008−169364号公報等に記載されている。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号、特開2013−130865号、特開2006−291077に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記ハードコート層の硬化性樹脂化合物として説明した2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特許317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記ハードコート層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明に用いられる低屈折率層用の組成物には、前述の光ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、上記化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明に用いられる低屈折率層には、無機微粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜70%の粒径を有する微粒子を使用することができる。無機微粒子は低屈折率であるものが好ましい。具体的にはシリカが好ましく、中空構造であることがさらに好ましい。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
シリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤の具体例としては、前述のフッ素系あるいはシリコーン系のレヘ゛リンク゛剤の中で電離放射線硬化基を有するものを好適に使用することができるがこれらに限定されるものではない。
これらの防汚剤は低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、さらに好ましくは1〜5質量%である。
〔塗布方式〕
本発明の光学フィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(特開2003−164788号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
(乾燥、硬化条件)
本発明におけるハードコート層などを塗布により層形成する場合の、乾燥、硬化方法に関して、以下に述べる。
硬化は電離放射線を照射することで行うことができる。電離放射線の種類については、特に制限はなく、X線、電子線、紫外線、可視光、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm〜1000mJ/cmの照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。照射の際には、上記エネルギーを一度に当ててもよいし、分割して照射することもできる。特に塗膜の面内での性能ばらつきを少なくする点や、カールを良化させるという観点からは、2回以上に分割して照射することが好ましく、初期に150mJ/cm以下の低照射量の紫外光を照射し、その後、50mJ/cm以上の高照射量の紫外光を照射し、かつ初期よりも後期の方で高い照射量を当てることが好ましい。
硬化時の酸素濃度は0〜1%であることが好ましく、0〜0.1%であることがさらに好ましく、0〜0.01%であることが最も好ましい。硬化時の酸素濃度を1%よりも小さくすることで、酸素による硬化阻害の影響を受けにくくなり、強固な膜となる。
複数の層を形成する場合(例えば、ハードコート層上に低屈折率層を設ける等)は、下層と上層の界面密着をとるために、下層硬化時はハーフキュアにすることが好ましい。その場合は、酸素濃度1%以上で硬化させる事が良い場合もある。
本発明では、電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが好ましい。
以下に、いくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。(以下の「−」は熱処理を行っていないことを示す。)
照射前 → 照射と同時 → 照射後
(1)熱処理 → 熱処理 → −
(2)熱処理 → 熱処理 → 熱処理
(3) − → 熱処理 → 熱処理
(4) − → 熱処理 → −
本発明においては、上記のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、ハードコートフィルムの支持体、ハードコート層を含めた構成層を損なうものでなければ特に制限はないが、好ましくは40〜150℃、更に好ましくは40〜80℃である。
熱処理に要する時間は、使用成分の分子量、その他成分との相互作用、粘度などにより異なるが、1秒〜1時間、好ましくは1秒〜30分、最も好ましくは1秒〜5分である。
[セルロースアシレートフィルムの製造方法]
本発明において用いられるセルロースアシレートフィルムの製造方法について説明する。
セルロースアシレートを含むフィルムは溶液流延製膜法又は溶融製膜法を利用して製膜することができる。以下に例として溶液流延製膜法の場合についての説明をする。
(ポリマー溶液)
溶液流延製膜方法では、上記セルロースアシレートや必要に応じて各種添加剤を含有するポリマー溶液(セルロースアシレート溶液)を用いてウェブを形成する。以下において、溶液流延製膜方法に用いることができる本発明におけるポリマー溶液(以下、適宜セルロースアシレート溶液と称する場合もある)について説明する。
本発明におけるポリマー溶液の主溶媒としては、セルロースアシレートの良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機溶媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい。上記有機溶媒の沸点は、10〜80℃であることが更に好ましく、20〜60℃であることが特に好ましい。また、場合により沸点が30〜45℃である有機溶媒も上記主溶媒として好適に用いることができる。本発明においては、後述の溶媒群のうち、特にハロゲン化炭化水素を主溶媒として好ましく用いることができ、ハロゲン化炭化水素の中では塩素化炭化水素が好ましく、ジクロロメタン及びクロロホルムが更に好ましく、ジクロロメタンが最も好ましい。また、乾燥過程初期においてハロゲン化炭化水素とともに揮発する割合が小さく、次第に濃縮される沸点が95℃以上の溶媒を全溶媒に対し1〜15質量%含有する溶媒を用いることができ、1〜10質量%含有する溶媒を用いることが好ましく、1.5〜8質量%含有する溶媒を用いることがより好ましい。そして、沸点が95℃以上の溶媒は、セルロースアシレートの貧溶媒であることが好ましい。沸点が95℃以上の溶媒の具体例としては、後述する「主溶媒と併用される有機溶媒」の具体例のうち沸点が95℃以上の溶媒を挙げることができるが、中でもブタノール、ペンタノール、1,4−ジオキサンを用いることが好ましい。更に、本発明に用いられる本発明におけるポリマー溶液の溶媒はアルコールを5〜40質量%含有し、10〜30質量%含有することが好ましく、12〜25質量%含有することがより好ましく、15〜25質量含有することが更に好ましい。ここで用いるアルコールの具体例としては、後述する「主溶媒と併用される有機溶媒」のアルコールとして例示されている溶媒を挙げることができるが、中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを用いることが好ましい。なお、上記の「沸点が95℃以上の溶媒」がブタノールなどのアルコールである場合は、その含有量もここでいうアルコール含有量にカウントする。このような溶媒を用いることにより、作製したセルロースアシレートフィルムの熱処理温度における力学強度を上昇させることができるため、熱処理中に必要以上に延伸されて、得られたフィルムが割れやすくなることを防ぐことができる。
このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を特に好ましく挙げることができ、場合により、エステル、ケトン、エーテル、アルコール及び炭化水素などが挙げることもでき、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、上記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。更に、上記エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。なお、本発明の製造方法に用いるセルロースアシレートフィルムの作製に用いられる本発明におけるポリマー溶液の主溶媒とは、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒のことを示し、複数の溶媒からなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶媒のことを示す。主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素を好適に挙げることができる。
上記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタン及びクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンが更に好ましい。 上記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートなどが挙げられる。
上記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。 上記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
上記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコール及び炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、上記有機溶媒としては、エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二つ以上を有していてもよい。更に、上記エステル、ケトン、エーテル及びアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタン及びクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンが更に好ましい。
上記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートなどが挙げられる。
上記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。
上記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどが挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなどが挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノール又はブタノールであり、最も好ましくはメタノール、ブタノールである。
上記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルアセトアセテートなどが挙げられる。
本発明において、セルロースアシレートフィルムを構成するポリマーは、ヒドロキシル基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含むため、全溶媒中に5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが流延支持体からの剥離荷重低減の観点から好ましい。
アルコール含有量を調整することによって、本発明の製造方法により製造されるセルロースアシレートフィルムのReやRthの発現性を調整しやすくすることができる。具体的には、アルコール含有量を上げることによって、熱処理温度を比較的低く設定したり、ReやRthの到達範囲をより大きくしたりすることが可能となる。
また、本発明においては、水を少量含有させることも溶液粘度や乾燥時のウェットフィルム状態の膜強度を高めたり、ドラム法流延時のドープ強度を高めるのに有効であり、例えば溶液全体に対して0.1〜5質量%含有させてもよく、より好ましくは0.1〜3質量%含有させてもよく、特には0.2〜2質量%含有させてもよい。
本発明におけるポリマー溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例については、特開2009−262551号公報に挙げられている。
また、必要に応じて、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とすることもでき、詳細な記載は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載がある。
本発明におけるポリマー溶液中のセルロースアシレート濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%が更に好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。
上記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。更に、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。
添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定することができる。
(ポリマー溶液の調製)
本発明におけるポリマー溶液の調製は、例えば、特開昭58−127737号公報、同61−106628号公報、特開平2−276830号公報、同4−259511号公報、同5−163301号公報、同9−95544号公報、同10−45950号公報、同10−95854号公報、同11−71463号公報、同11−302388号公報、同11−322946号公報、同11−322947号公報、同11−323017号公報、特開2000−53784号公報、同2000−273184号公報、同2000−273239号公報に記載されている調製方法に準じて行うことができる。具体的には、ポリマーと溶媒とを混合攪拌し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過して本発明におけるポリマー溶液を得る。
本発明においては、ポリマーの溶媒への溶解性を向上させるため、ポリマーと溶媒との混合物を冷却及び/又は加熱する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を冷却する場合、混合物を−100〜10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程より前の工程に−10〜39℃で膨潤させる工程を含み、冷却より後の工程に0〜39℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を加熱する場合、下記(a)又は(b)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(a)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜39℃に加温する。
(b)−10〜39℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜39℃に冷却する。
更に、溶媒として非ハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を冷却する場合、混合物を−100〜−10℃に冷却する工程を含むことが好ましい。また、冷却工程よりも前の工程に−10〜55℃で膨潤させる工程を含み、冷却よりも後の工程に0〜57℃に加温する工程を含むことが好ましい。
溶媒としてハロゲン系有機溶媒を用い、セルロースアシレートと溶媒との混合物を加熱する場合、下記(c)又は(d)より選択される1以上の方法で溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程を含むことが好ましい。
(c)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0〜57℃に加温する。
(d)−10〜55℃で膨潤させ、得られた混合物を0.2〜30MPaで40〜240℃に加熱し、加熱した混合物を0〜57℃に冷却する。
(ウェブの製膜)
本発明におけるウェブは、ポリマー溶液を用いて溶液流延製膜方法により形成することができる。溶液流延製膜方法の実施に際しては、従来の方法に従って、公知の装置を用いることができる。具体的には、溶解機(釜)で調製されたドープ(ポリマー溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製する。ドープは30℃に保温し、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延する(ドープ流延工程)。次いで、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブ)を金属支持体から剥離し、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、ロール群で搬送しながら乾燥を終了する。溶液流延製膜方法の流延工程、乾燥工程の詳細については、特開2005−104148号公報の120〜146頁にも記載があり、適宜本発明にも適用することができる。
セルロースアシレートフィルムは単層であっても、2層以上の積層体であってもよい。セルロースアシレートフィルムが2層以上の積層体である場合は、2層構造または3層構造であることがより好ましく、3層構造であることが好ましい。3層構造の場合は、1層の中間層(すなわち、最も厚い層であり、以下、基層とも言う)と、上記中間層を挟むスキン層Aおよびスキン層Bとを有することが好ましい。すなわち、本発明のセルロースアシレートフィルムはスキン層B/中間層/スキン層Aの3層構造であることが好ましい。スキン層Bは、セルロースアシレートフィルムが溶液製膜で製造される際に、後述する金属支持体と接する層(以下、流延支持体側層とも言う)であり、スキン層Aは上記金属支持体とは逆側の空気界面の層(以下、エア層とも言う)である。なお、スキン層Aとスキン層Bを総称してスキン層とも言う。
積層体を作製する場合は、共流延法、逐次流延法、塗布法などの一般的な各種の積層流延法を適宜選択して使用することができる。
本発明においては、ウェブの製膜の際に用いる金属支持体として金属バンド又は金属ドラムを使用することができる。
(延伸工程)
本発明に係るセルロースアシレートフィルムの製造方法は、セルロースアシレートを含むフィルム全体を特定の方向に延伸する工程を含む。本発明に係るセルロースアシレートフィルムは、延伸することによって、延伸方向の熱膨張係数と湿度寸法変化率を低減させることができる。延伸は、長手方向(フィルムを搬送する搬送方向に対応)と直交する幅手方向に10%以上40%以下の倍率から選択して行うことができる。更に、幅手方向と一致しない方向(例えば、長手方向)への延伸と組み合わせた二軸延伸でもよい。
幅手方向への延伸倍率は、0〜20%であることが好ましく、3〜15%であることがより好ましい。また、長手方向への延伸倍率は、0〜20%が好ましく、5〜15%がより好ましい。
フィルムのヘイズを上昇させずに延伸して弾性率の異方性を制御する方法については、特定の条件で延伸する特開2007−176164等に記載の延伸方法や、一旦ヘイズを上昇させてからヘイズを低下させる特開2009−137289等の記載の延伸方法を好ましく用いることができる。また、フィルム中に溶媒を残した状態で延伸して弾性率の異方性を制御する方法については、特開2007−119717等に記載の延伸方法を好ましく用いることができる。
なお、本明細書でいう「延伸倍率(%)」とは、延伸方向でのフィルムの長さに関する以下の式により求められるものを意味する。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
また、延伸工程におけるウェブの延伸速度は、特に限定されるものではないが、延伸適正(シワ、ハンドリングなど)の観点から、1〜1000%/minが好ましく、1〜100%/minが更に好ましい。延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。また、更に、搬送方向に対して直交する方向(横方向)に延伸を加えてもよい。
延伸工程を経たウェブは、続いて乾燥ゾーンへ搬送して延伸工程後に乾燥工程を実施してもよい。上記乾燥工程においてウェブは、テンターで両端をクリップされたり、ロール群で搬送したりしながら乾燥される。
本発明において生乾きの状態(乾燥未了状態)とは、セルロースアシレートフィルムの残留溶媒が0.1%以上であることを意味する。
<偏光板>
本発明の偏光板は、偏光膜と、少なくとも1枚の本発明の光学フィルムとを有し、上記光学フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いたものである。
上記偏光板は、従来公知の一般的な構成の偏光板を挙げることができ、上記偏光板の具体的な構成については、特に制限はなく公知の構成を採用できるが、例えば、特開2008−262161号公報の図6に記載の構成を採用することができる。本発明の光学フィルムは、一般的な偏光板の一方の面上に積層させ、偏光眼鏡方式の3D映像表示システムに用いることができるパターン位相差フィルムとすることができる。上記偏光板の態様は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、帯状、すなわち、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。
偏光板の一方の保護フィルムとして本発明の光学フィルムを用い、他方の保護フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、その他方の保護フィルムには、溶液製膜法で製造され、かつ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における幅方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
また、偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、本発明の光学フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい態様である。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
また偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落番号0020〜0030に詳しい記載がある。
[画像表示装置]
本発明の光学フィルム又は偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いることができる。
特に、液晶セルと、液晶セルの少なくとも一方の面に配置された本発明の光学フィルム又は偏光板とを含み、本発明の光学フィルムにおけるハードコート層が形成された面が最表面に配置された液晶表示装置が好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(セルロースアシレートフィルム基材の作製)
(アセチル置換度)
セルロースアシレートのアセチル置換度については以下の方法で測定した。
アセチル置換度は、ASTM D−817−91に準じて測定した。
(エア層用セルロースエステル溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、エア層用セルロースエステル溶液を調製した。
エア層用セルロースエステル溶液の組成
・セルロースエステル(アセチル置換度2.86) 100質量部
・式(I)の糖エステル化合物 3質量部
・式(II)の糖エステル化合物 1質量部
・紫外線吸収剤 2.4質量部
・シリカ粒子分散液(平均粒径16nm) “AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製 0.026質量部
・メチレンクロライド 377質量部
・メタノール 61質量部
・ブタノール 2.6質量部
式(I)
Figure 0006336873
式(II)
Figure 0006336873
紫外線吸収剤
Figure 0006336873
(ドラム層用セルロースエステル溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドラム層用セルロースエステル溶液を調製した。
ドラム層用セルロースエステル溶液の組成
・セルロースエステル(アセチル置換度2.86) 100質量部
・式(I)の糖エステル化合物 3質量部
・式(II)の糖エステル化合物 1質量部
・紫外線吸収剤 2.4重量部
・シリカ粒子分散液(平均粒径16nm) “AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製
0.091質量部
・メチレンクロライド 339質量部
・メタノール 74質量部
・ブタノール 3質量部
(コア層用セルロースエステル溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、コア層用セルロースエステル溶液を調製した。
コア層用セルロースエステル溶液の組成
・セルロースエステル(アセチル置換度2.86) 100質量部
・式(I)の糖エステル化合物 8.3質量部
・式(II)の糖エステル化合物 2.8質量部
・紫外線吸収剤 2.4重量部
・メチレンクロライド 266質量部
・メタノール 58質量部
・ブタノール 2.6質量部
(共流延による製膜)
流延ダイとして、共流延用に調整したフィードブロックを装備して、3層構造のフィルムを成形できるようにした装置を用いた。上記エア層用セルロースエステル溶液、コア層用セルロースエステル溶液、及びドラム層用セルロースエステル溶液を流延口から−7℃に冷却したドラム上に共流延した。このとき、厚みの比がエア層/コア層/ドラム層=7/90/3となるように各ドープの流量を調整した。
直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。ドラム上で34℃の乾燥風を300m/分で当てた。
そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースエステルフィルムをドラムから剥ぎ取った後、両端をピンテンターで把持した。剥離の際、搬送方向(長手方向)に8%の延伸を行った。
ピンテンターで保持されたセルロースエステルウェブを乾燥ゾーンに搬送した。初めの乾燥では45℃の乾燥風を送風し、次に110℃で5分乾燥した。このとき、セルロースエステルウェブを幅手方向に倍率を10%で延伸しながら搬送した。
ピンテンターからウェブを離脱させたあと、ピンテンターで保持されていた部分を連続的に切り取り、ウェブの幅方向両端部に15mmの幅で10μmの高さの凹凸をつけた。このときのウェブの幅は1610mmであった。搬送方向に130Nのテンションをかけながら140℃で10分乾燥した。さらに、ウェブが所望の幅になるように幅方向端部を連続的に切り取り、膜厚60μmの基材1を作製した。このとき、140℃乾燥後に切り取られる幅方向端部とウェブ中央部の膜厚は同じであった。
基材1の作製において、式(I)の糖エステル化合物および式(II)の糖エステル化合物を全て表5のA−3(数平均分子量1000)に置き換えた以外は同様にして基材2を作製した。
基材1の作製において、式(I)の糖エステル化合物および式(II)の糖エステル化合物を全て表5のA−35(数平均分子量800)に置き換えた以外は同様にして基材3を作製した。
基材1の作製において、式(I)の糖エステル化合物および式(II)の糖エステル化合物を全て表5のA−37(数平均分子量700)に置き換えた以外は同様にして基材4を作製した。
基材1の作製において、式(I)の糖エステル化合物および式(II)の糖エステル化合物を全て表5のA−38(数平均分子量1000)に置き換えた以外は同様にして基材5を作製した。
(ハードコート層形成用組成物の調製)
下記表6に記載のハードコート層用塗布液B−1の組成で固形分濃度が58質量%となるように各成分を添加し、得られた組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌し、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層塗布液B−1とした。
ハードコート層用塗布液B−1と同様の方法で、各成分を下記表6のように混合して溶剤に溶解してハードコート層用塗布液B−2〜B−24を作製した(数値は質量%を表す)。
Figure 0006336873
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)NKエステル)
AD−TMP:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(新中村化学工業(株)NKエステル)
Irg.127:光重合開始剤、イルガキュア127(チバ・ジャパン(株)製)
FP−1:下記式で表されるフッ素系レベリング剤
(下記繰り返し単位の比は質量比である。)
Figure 0006336873
FP−2:下記式で表されるフッ素系レベリング剤
(下記繰り返し単位の比は質量比である。)
Figure 0006336873
TSF4460:シリコーン系レベリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
イオン伝導性化合物AS−1
反応時間を70℃6時間に変更した以外は、特許第4678451号公報の合成例6と同様に実施し、上記特許文献の(A−6)に対応する化合物として、エチレンオキサイド鎖を有する4級アンモニウム塩基含有ポリマーであるAS−1を合成した(GPCで測定した重量平均分子量:約6万)。
MFG:プロピレングリコールモノメチルエーテル
(ハードコート層の塗設)
基材1のエア面側に、上記ハードコート層用塗布液B−1をダイコーターを用いて塗布した。60℃で約1分間乾燥した後、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm、照射量60mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ11μmの光学フィルムHC1を形成した。
同様の方法で基材1〜5、ハードコート層用塗布液B−2〜B−24を用いて表7の組み合わせで光学フィルムHC2〜HC32を作製した。
(光学フィルムの評価方法)
以下の方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表7に示す。
なお、光学フィルムHC28は参考例に読み替えるものとする。
(干渉ムラ)
支持体の塗布層を設けた側とは反対の面に油性黒色のインキ(補填用マジックインキ:寺西化学)を塗って裏面の光反射を防止した30cm×30cmのサンプルを作製した。このサンプルを干渉ムラのレベルを非常に見やすくするために周囲が全て黒色の部屋で外光を遮断し、斜めから三波長蛍光灯(FL20SS・EX−N/18(松下電器産業(株)製)の付いた電気スタンド(蛍光灯部に拡散シートを貼り拡散光とする)でサンプルの表面を照射し、その時に観察される干渉ムラを目視にて評価した。
A:注意深く見てもムラがあることがわからない
B:注意深く見るとわずかにムラが視認されるが気にならない
C:弱いムラが視認される
D:一目見ただけで強いムラが視認され気になる
E:一目見ただけで非常に強いムラが視認され非常に気になる
(風ムラ)
支持体の塗布層を設けた側とは反対の面に油性黒色のインキ(補填用マジックインキ:寺西化学)を塗って裏面の光反射を防止した1m×0.5mのサンプルを作製した。このサンプルを風ムラのレベルを非常に見やすくするために周囲が全て黒色の部屋で外光を遮断し、斜めから三波長蛍光灯(FL20SS・EX−N/18(松下電器産業(株)製)の付いた電気スタンド(蛍光灯部に拡散シートは貼らない)でサンプルの表面を照射し、その時に観察される風ムラ(表面の凹凸)を目視にて評価した。
A:注意深く見てもムラがあることがわからない
B:注意深く見るとわずかにムラが視認されるが気にならない
C:弱いムラが視認される
D:一目見ただけで強いムラが視認され気になる
E:一目見ただけで非常に強いムラが視認され非常に気になる
(スジ)
スジのレベルを見やすくするために暗室で評価を実施した。背後を白いスクリーンにして光学フィルムを上から1枚吊るし、S−Light(日本技術センター(株)製)で塗工面から光を照射し、スクリーンに投影した。その時に観察されるスジを目視にて評価した。(評価面積:1m×5m)
A:注意深く見てもスジは観察されない
B:注意深く見ると1〜2本弱いスジが観察されるが気にならない
C:弱いスジが数本観察される
D:強いスジが数本〜20本観察され気になる
E:全面に強いスジが20本以上観察され非常に気になる
(スチールウール耐擦傷性)
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とした。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキ(補填用マジックインキ:寺西化学)を塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察し、以下の基準で評価した。評価は上記テストを3回繰り返し、平均して5段階で評価した。
A :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
B :傷が数本あるが、注意深く見ないとわからない。
C :傷が数本〜数十本見える。
D :傷が数え切れないほどあり、一目見ただけで分かる。
(鉛筆硬度)
JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。光学フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する試験用鉛筆を用いて評価した。ハードコート性能として、硬度は3H以上であることが好ましい。
Figure 0006336873
上記表に示すように、
(a)多官能(メタ)アクリレート化合物
(b)メタノール
(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
を含み、(1):(b)メタノールの含有量が、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%であり、
(2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%であり、
(3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量10質量%〜30質量%含有するハードコート層形成用組成物を塗布して得られた光学フィルムは干渉ムラ、風ムラ、スジがなく良好な面状が得られた。
実施例2
ハードコート層用塗布液B−1と同様の方法で、各成分を下記表8のように混合して溶剤に溶解してハードコート層用塗布液B−25〜B−29を作製した(数値は質量%を表す)。
Figure 0006336873
(低屈折率層用塗布液の作製)
各成分を以下のように混合し、全溶剤中プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが20質量%になるように添加した後メチルエチルケトンで希釈し、最終的に固形分濃度が5質量%にした。攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌後、孔径0.5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、各低屈折率層用塗布液を得た。
低屈折率層用塗布液C−1
P−1(固形分15.2質量%) 157.9質量部
F−1(固形分100質量%) 25.0質量部
PET−30(固形分100質量%) 5.0質量部
スルーリア4320(固形分20.5質量%) 170.7質量部
MEK−ST−L(固形分30質量%) 16.7質量部
Irg.127(固形分100質量%) 3.0質量部
Rad2600(固形分100質量%) 1.5質量部
Rad2500(固形分100質量%) 0.5質量部
FM−0725(固形分100質量%) 1.0質量部
低屈折率層用塗布液C−2
DPHA(固形分100質量%) 51.0質量部
スルーリア2320(固形分20.5質量%) 215.0質量部
Irg.127(固形分100質量%) 3.0質量部
X22−164C(固形分100質量%) 2.0質量部
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
P−1:特開2013−130865実施例に記載のエチレン性不飽和基を有する含フッ素重合体A
F−1:下記含フッ素多官能アクリレート化合物
Figure 0006336873
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
スルーリア2320:中空シリカ微粒子の分散液(日揮触媒化成(株)製)
スルーリア4320:中空シリカ微粒子の分散液(日揮触媒化成(株)製)
MEK−ST−L:コロイダルシリカ微粒子(日産化学工業(株)製)
Rad2600:シリコーン変性アクリレート(EVONIK社製、数平均分子量:16,000)
Rad2500:シリコーン変性アクリレート(EVONIK社製、数平均分子量:1,500)
FM−0725:シリコーン化合物、サイラプレーンFM−0725(チッソ社製、数平均分子量:10,000)
X22−164C:シリコーン化合物(信越化学工業(株)製)
(ハードコート層の塗設)
光学フィルムHC1と同様の方法で基材1上にハードコート層用塗布液B−25を用いて光学フィルムを作製した。
(低屈折率層の塗設)
上記光学フィルム上に低屈折率層形成用組成物C−1をダイコーターを用いて塗布し、光学フィルム試料Ln1を得た。乾燥条件は60℃、60秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量300mJ/cmの照射量とした。低屈折率層の膜厚は95nmとした。
基材、ハードコート層形成用塗布液、及び低屈折率層形成用塗布液を表9に示す組み合わせで使用した以外は光学フィルムLn1と同様にしてそれぞれ光学フィルム試料Ln2〜7を得た。
実施例1に記載の方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表9に示す。
Figure 0006336873
表9に示すように、レベリング剤として2種のフッ素系レベリング剤を併用すると、干渉ムラ、風ムラ、スジが良好なだけではなく、ハードコート層上に低屈折率層を積層した場合でも良好な耐擦傷性が得られた。
実施例3
ハードコート層用塗布液B−1と同様の方法で、各成分を下記表10のように混合して溶剤に溶解してハードコート層用塗布液B−30〜B−34を作製した(数値は質量%を表す)。
Figure 0006336873
(ハードコート層の塗設)
光学フィルムHC1と同様の方法で基材1上にハードコート層用塗布液B−30〜B−34を用いて表11の組み合わせで光学フィルム試料HC33〜37を作製した。
実施例1に記載の方法により光学フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表11に示す。
Figure 0006336873
表11に示すように、表面張力が23mN/m未満である溶剤の含有量を30質量%以下に制限し、表面張力が23mN/m以上であり、セルロースアシレートを溶解する溶剤と、セルロースアシレートを溶解しない溶剤とを組み合わせて使用することにより、染込み量を最適に調整することができ、干渉ムラ、風ムラ、スジが良好で、かつ鉛筆硬度が良好な光学フィルムが得られた。

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有する糖エステル化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する光学フィルムの製造方法。
    (HO)−G−(L−R 一般式(1)
    一般式(1)中、Gは単糖残基または二糖残基を表す。Rはそれぞれ独立に脂肪族基または芳香族基を表す。Lはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。mは0以上の整数、nは1以上の自然数である。
    (a)多官能(メタ)アクリレート化合物
    (b)メタノール
    (c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
    (d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
    (1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
    (2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
    (3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
  2. 芳香環を有する少なくとも1種のジカルボン酸と、平均炭素数が2.5〜8.0である少なくとも1種の脂肪族ジオールと、から得られる重縮合エステル化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する光学フィルムの製造方法。
    (a)多官能(メタ)アクリレート化合物
    (b)メタノール
    (c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
    (d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
    (1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
    (2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
    (3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
  3. 以下の(4)の条件を満たす、請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
    (4):(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤の含有量は、ハードコート層形成用塗布組成物の全固形分中、0.01〜0.5質量%である。
  4. 以下の(5)の条件を満たす、請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
    (5):(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤の含有量は、ハードコート層形成用塗布組成物の全固形分中、0.01〜0.04質量%である。
  5. 前記ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、前記メタノールの含有量が10質量%〜25質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤が総量で10質量%〜25質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記ハードコート層形成用組成物は、20℃における表面張力が23mN/m以上であり、セルロースアシレートを溶解しない溶剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  8. 前記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤が、下記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(1)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
    Figure 0006336873


    一般式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。
  9. 前記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤が、下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(2)である請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
    Figure 0006336873

    一般式(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上6以下の整数を表す。
  10. 前記ハードコート層の上に更に低屈折率層を形成する工程を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  11. 前記(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤として、請求項8に記載の光学フィルムの製造方法における前記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)及び請求項9に記載の光学フィルムの製造方法における前記フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)を含有する、請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
  12. 糖エステル化合物及び重縮合エステル化合物から選択される少なくとも1種の化合物を含むセルロースアシレートフィルム基材上に、以下の(a)〜(d)を含有し、かつ以下の(1)〜(3)、及び(6)の条件を満たすハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層を形成する工程と、前記ハードコート層の上に更に低屈折率層を形成する工程と、を有する光学フィルムの製造方法。
    (a)多官能(メタ)アクリレート化合物
    (b)メタノール
    (c)セルロースアシレートを溶解する溶剤
    (d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤
    (1):(b)メタノールの含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し10質量%〜30質量%である。
    (2):(c)セルロースアシレートを溶解する溶剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し20質量%〜90質量%である。
    (3):ハードコート層形成用組成物中の溶剤の全質量に対し、20℃における表面張力が23mN/m未満である溶剤を総量で10質量%〜30質量%含有する。
    (6):(d)シリコーン系レベリング剤及びフッ素系レベリング剤から選択される少なくとも1種のレベリング剤として、
    下記一般式(2)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(A)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(1)と、下記一般式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー(C)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種と、フルオロ脂肪族基を含有しないモノマー(B)に由来する繰り返し単位の少なくとも1種とを含むフルオロ脂肪族基含有共重合体(2)を含有する。
    Figure 0006336873


    一般式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。
    Figure 0006336873

    一般式(3)中、Rは水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、Lは2価の連結基を表し、nは1以上6以下の整数を表す。
  13. 前記フルオロ脂肪族基含有共重合体(1)の全固形分中に含まれる割合が0.01〜0.2質量%であり、前記フルオロ脂肪族基含有共重合体(2)の全固形分中に含まれる割合が0.001〜0.01質量%である、請求項12に記載の光学フィルムの製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルムを含む偏光板の製造方法。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により作製された光学フィルム及び請求項14に記載の偏光板の製造方法により作製された偏光板の少なくともいずれか1種を含む画像表示装置の製造方法。
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