JP2010097005A - 反射防止フィルム、その製造方法、反射防止フィルムを用いた偏光板、及び表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、その製造方法、反射防止フィルムを用いた偏光板、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶表示装置(LCD)等に用いられる薄膜の反射防止フィルムについて、十分に大きな帯電防止性能を有しかつハードコート層形成用組成物の塗布性が優れていて、透明フィルム基材と厚膜のハードコート層との密着性、並びに厚膜のハードコート層と、その上の低屈折率層との密着性がいずれも非常に良く、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れている、反射防止フィルム、その製造方法、反射防止フィルムを用いた偏光板、及び表示装置を提供する。
【解決手段】 膜厚12〜80μmを有する透明フィルム基材の表面上に、膜厚8〜30μmを有しかつリンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子を含むハードコート層と、膜厚70〜120nmを有しかつカチオン重合性バインダーを含む低屈折率層とを積層する反射防止フィルムの製造方法であって、ハードコート層形成用塗布組成物中に0.2〜2.0質量%のレベリング剤が添加されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、その製造方法、反射防止フィルムを用いた偏光板、及び表示装置に関するものである。
一般に、反射防止フィルムは、陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、多層薄膜の光干渉によって、反射率を低減する機能を有しており、ディスプレイの最表面に配置される。
一般的に、反射防止は、透明フィルム基材上にハードコート層を介して、下層よりも屈折率の低い低屈折率層を形成することで行なわれている。また光学物品の表面に傷が付くと、ひいては表示パネルの視認性を悪くするため、反射防止フィルムにハード性能を付与することが行なわれている。さらにプラスチックからなる光学物品は絶縁性であるために、静電気等により帯電し、表面にほこり等が付着することにより、表示パネルの視認性が悪くなることを防ぐために、帯電防止性能を付与することが求められている。
下記の特許文献1には、これらのハード性能及び帯電防止性能を付与する方法として、透明フィルム基材上にリンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子を含有させた帯電防止性能を有するハードコート層を形成し、さらにその上に、下層よりも屈折率の低い低屈折率層を形成して、反射防止フィルムを作製する方法が記載されている。
下記の特許文献2には、ハードコート層付き透明プラスチックフィルム基材上の最表面に、無機粒子、分子内にシリル基を有するカチオン重合性化合物、及び光カチオン重合開始剤を含有する光硬化性組成物で低屈折率層を形成した反射防止フィルムが開示されている。
特開2008−127413号公報 特開2006−281773号公報
しかしながら、近年、薄膜の反射防止フィルムについて、大きな帯電防止性能を付与して、表示パネルの視認性の向上が求められており、大きな帯電防止性能の付与ために、ハードコート層の膜厚を厚くし、逆に、低屈折率層の膜厚を薄くすることが必要となってきた。
しかし、上記の特許文献1および2に記載された反射防止フィルムでは、ハードコート層の膜厚が、比較的に薄いものであり、これでは、表示パネルの表面が静電気等により帯電し、パネル表面にほこり等が付着して、視認性が低下するのを充分に防ぐことができないという問題があった。
一方、大きな帯電防止性能を付与するために、ハードコート層の膜厚を厚くすることが考えられるが、従来の反射防止フィルムにおいて、ハードコート層の膜厚を、単に厚くしただけでは、透明フィルム基材と、帯電防止性能を有する厚膜のハードコート層との密着性、並びに厚膜のハードコート層と、その上の低屈折率層との密着性が、いずれも十分でなく、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に劣るという問題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、いわゆる薄膜の反射防止フィルムについて、ハードコート層が十分に大きな帯電防止性能を有するとともに、ハードコート層形成用組成物の塗布性が優れていて、透明フィルム基材と厚膜のハードコート層との密着性、並びに厚膜のハードコート層と、その上の低屈折率層との密着性がいずれも非常に良く、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れている、反射防止フィルム、その製造方法、反射防止フィルムを用いた偏光板、及び表示装置を提供しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、膜厚12〜80μmを有する透明フィルム基材の表面上に、膜厚8〜30μmを有しかつリンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子を含むハードコート層と、膜厚70〜120nmを有しかつカチオン重合性バインダーを含む低屈折率層とをこの順で積層する反射防止フィルムの製造方法であって、ハードコート層形成用塗布組成物中に0.2〜2.0質量%のレベリング剤が添加されていることを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、レベリング剤が、アクリル系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エーテル型非イオン性界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、透明フィルム基材が、ポリエチレンフタレート(PET)樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、セルロースエステル樹脂フィルム、またはアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の混合樹脂フィルムよりなるものであることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、透明フィルム基材が、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法によって作製されたものであることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、ハードコート層が、少なくとも1種の多官能アクリレート樹脂を含有する紫外線硬化型樹脂であることを特徴としている。
請求項6の反射防止フィルムは、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法によって製造され、かつ下記式で表わされる低屈折率層の面内膜厚差が、10nm以下であることを特徴としている。
低屈折率層の面内膜厚差=低屈折率層の膜厚の最大値−同最小値
請求項7の偏光板の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射防止フィルムを一方の面に用いることを特徴としている。
請求項8の表示装置の発明は、請求項7に記載の偏光板を用いることを特徴としている。
請求項1の発明は、膜厚12〜80μmを有する透明フィルム基材の表面上に、膜厚8〜30μmを有しかつリンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子を含むハードコート層と、膜厚70〜120nmを有しかつカチオン重合性バインダーを含む低屈折率層とをこの順で積層する反射防止フィルムの製造方法であって、ハードコート層形成用塗布組成物中に0.2〜2.0質量%のレベリング剤が添加されているものであるから、請求項1の発明によれば、大きな帯電防止性能を付与するために、ハードコート層の膜厚を厚くした反射防止フィルムについて、ハードコート層が十分に大きな帯電防止性能を有するとともに、ハードコート層形成用組成物の塗布性が優れていて、透明フィルム基材と厚膜のハードコート層との密着性、並びに厚膜のハードコート層と、その上の低屈折率層との密着性がいずれも非常に良く、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れている反射防止フィルムを製造することができるという効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、レベリング剤が、アクリル系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エーテル型非イオン性界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の化合物であるもので、請求項2の発明によれば、ハードコート層形成用組成物の塗布性が優れていて、透明フィルム基材と厚膜のハードコート層との密着性、並びに厚膜のハードコート層と、その上の低屈折率層との密着性がいずれも非常に良く、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れている反射防止フィルムを製造することができるという効果を奏する。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、透明フィルム基材が、ポリエチレンフタレート(PET)樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、セルロースエステル樹脂フィルム、またはアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の混合樹脂フィルムよりなるものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、透明フィルム基材が、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法によって作製されたものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法であって、ハードコート層が、少なくとも1種の多官能アクリレート樹脂を含有する紫外線硬化型樹脂であるもので、請求項5の発明によれば、ハードコート層形成用組成物中に多官能アクリレート樹脂が含まれることにより、ハードコート層が高硬度化されて、とりわけ耐擦傷性に優れている反射防止フィルムを製造することができるという効果を奏する。
請求項6の反射防止フィルムは、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法によって製造され、かつ下記式で表わされる低屈折率層の面内膜厚差が、10nm以下である。
低屈折率層の面内膜厚差=低屈折率層の膜厚の最大値−同最小値
請求項6の発明によれば、反射防止フィルムは、十分に大きな帯電防止性能を有する厚膜のハードコート層と、透明フィルム基材との密着性、並びにハードコート層とその上の低屈折率層との密着性がいずれも非常に良く、反射防止フィルムは、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れているという効果を奏する。
請求項7の偏光板の発明は、請求項6に記載の大きな帯電防止性能を有する反射防止フィルムを一方の面に用いるものであるから、請求項7の偏光板の発明によれば、これを表示パネルに組み込んだ場合、静電気等により帯電して、表面にほこり等が付着するがなく、表示パネルの視認性が非常に優れており、しかも環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れているという効果を奏する。
請求項8の表示装置の発明は、請求項7に記載の大きな帯電防止性能を有する反射防止フィルムを一方の面を有する偏光板を用いるものであるから、請求項8の表示装置によれば、光の写り込みが気にならず、視認性に優れており、また、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れているという効果を奏する。
つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明による反射防止フィルムは、透明フィルム基材上に、帯電防止性能を有するハードコート層と、屈折率が透明フィルム基材よりも低い低屈折率層とをこの順に有するものである。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、膜厚12〜80μmを有する透明フィルム基材の表面上に、膜厚8〜30μm、好ましくは12〜30μmを有しかつリンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子を含むハードコート層と、膜厚70〜120nmを有しかつカチオン重合性バインダーを含む低屈折率層とをこの順で積層したいわゆる薄膜の反射防止フィルムの製造方法であって、ハードコート層形成用塗布組成物中に0.2〜2.0質量%のレベリング剤が添加されているものである。
本発明の方法によれば、大きな帯電防止性能を付与するために、ハードコート層の膜厚を厚くして、透明フィルム基材の表面上に、膜厚8〜30μmを有しかつリンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子を含むハードコート層と、膜厚70〜120nmを有しかつカチオン重合性バインダーを含む低屈折率層とが積層された反射防止フィルムについて、ハードコート層が十分に大きな帯電防止性能を有するとともに、ハードコート層形成用組成物の塗布性が優れていて、透明フィルム基材と厚膜のハードコート層との密着性、並びに厚膜のハードコート層と、その上の低屈折率層との密着性がいずれも非常に良く、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れている反射防止フィルムを製造することができる。
上記の本発明の反射防止フィルムの製造方法によって製造されたハードコートフィルムは、下記式で表わされる低屈折率層の面内膜厚差が、10nm以下、好ましくは2〜5nmである。
低屈折率層の面内膜厚差=低屈折率層の膜厚の最大値−同最小値
(ハードコート層:活性線硬化樹脂層)
まず、本発明による反射防止フィルムのハードコート層について説明する。
本発明の反射防止フィルムには、透明樹脂フィルムと反射防止層との間にハードコート層として活性線硬化樹脂を含有する層を設けることが、反射防止フィルムの取り扱い性や反射防止フィルムを後述する偏光板にする際の工程で、傷が付きにくくなることから好ましい。
活性線硬化樹脂層とは、紫外線や電子線のような活性線(以下、活性エネルギー線ともいう)照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
ハードコート層が、少なくとも1種の多官能アクリレート樹脂を含有する紫外線硬化型樹脂である。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号号公報に記載のものを用いることができる。
例えば、ユニディック17−806(大日本インキ株式会社製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン株式会社製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これら紫外線硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光重合開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化株式会社製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学株式会社製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業株式会社製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー株式会社製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業株式会社製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業株式会社製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製);RCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成株式会社製)等を適宜選択して利用できる。また、具体的化合物例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法においては、ハードコート層に、リンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子が含まれる。
ここで、リンドープ酸化スズは、高い帯電防止性能を有するとともに、着色が少なく、透過率の低下が見られない。また毒性の懸念がなく、安全に用いることができる。
また、硬化樹脂層には、耐傷性、滑り性や屈折率を調整するために、さらに無機化合物または有機化合物の粒子を含んでもよい。
リンドープ酸化スズと、その他の無機化合物または有機化合物の粒子との配合割合は、100〜70:0〜30が好ましい。
無機粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を添加することができる。好ましくい粒子は、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)が挙げられる。
これらの粒子の平均粒径としては、0.01〜5μmが好ましく0.1〜5.0μm、さらには、0.1〜4.0μmであることがハードコート層を形成する塗布組成物に添加した際の組成物の安定性から好ましい。
また、粒径の異なる2種以上の粒子を含有しても良い。紫外線硬化性樹脂と粒子の割合は、樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
ハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、ハードコート層を形成する塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理することで形成できる。
ハードコート層形成用塗布組成物の塗布量は、最終的に、反射防止フィルムのハードコート層のドライ膜厚が、8〜30μm、好ましくは12〜30μm、さらに好ましくは12〜20μmとなるようなものとする。
ここで、反射防止フィルムのハードコート層のドライ膜厚が、8μm未満であれば、ハードコート層の導電性が小さく、大きな帯電防止性能を付与することができないので、好ましくない。またハードコート層のドライ膜厚が、30μmを超えると、近年の表示パネルの薄膜化、およびこれに伴う反射防止フィルムに薄膜化の要望に応えることができなくなり、好ましくない。
UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは20〜400mJ/cmであるが、特に好ましくは50〜300mJ/cmである。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによってさらに平面性優れたフィルムを得ることができる。
ハードコート層の形成する塗布組成物には溶媒が含まれていてもよい。塗布組成物に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒からも適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。
有機溶媒としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等が好ましい。また、有機溶媒の含有量としては塗布組成物中、5〜80質量%が好ましい。
ハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.001〜0.1μmのクリアハードコート層、または粒子等を添加しRaが0.1〜1μmに調整された防眩性ハードコート層であることが好ましい。中心線平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えばWYKO社製の非接触表面微細形状計測装置「WYKO NT−2000」を用いて測定することができる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法において、ハードコート層形成用塗布組成物中のレベリング剤としては、アクリル系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エーテル型非イオン性界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。
ここで、これらのハードコート層形成用塗布組成物中のレベリング剤の特徴は、下記の通りである。
1.アクリル系界面活性剤
アクリル系界面活性剤は、各種アクリル系共重合物である。
2.ポリエーテル変性シリコーン
ポリエーテル変性シリコーンは、親水性のポリオキシアルキレンを疎水性のジメチルシリコーンを導入した界面活性剤である。
具体的な商品としては、東レダウコーニング社のL−45、L−9300、FZ−3704、FZ−3703、FZ−3720、FZ−3786、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3785、Y−7499、信越化学社のKF96L、KF96、KF96H、KF99、KF54、KF965、KF968、KF56、KF995、KF351、KF351A、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、FL100、ビックケミージャパン社製の界面活性剤BYKシリーズ、BYK−300/302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−340、BYK−344、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−352、BYK−354、BYK−355/356、BYK−358N/361N、BYK−357、BYK−390、BYK−392、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570、BYK−Silclean3700、GE東芝シリコーン社製のジメチルシリコーンシリーズ、XC96−723、YF3800、XF3905、YF3057、YF3807、YF3802、YF3897等が挙げられる。
3.長鎖アルキル変性シリコーン
長鎖アルキル変性シリコーンは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を長鎖アルキル基が置換したシリコーンオイルである。
具体的な商品としては、信越化学社のKF−412、KF−413、KF−414、KF−415、KF−4003、KF−4701、KF−4917、KF−7135B、X−22−7322、X−22−1877、X−22−2516等があげられる。
4.カルビノール変性シリコーン
カルビノール変性シリコーンは、ポリシロキサンの側鎖、片末端または両末端に水酸基で置換された反応性タイプの変性シリコーン樹脂である。
具体的な商品としては、信越化学社のKF−6001、KF6002、KF−6003、X−22−4039、X−22−4015、X−22−160AS、X−22−170BX、X−22−170DX等があげられる。
5.エーテル型非イオン性界面活性剤
エーテル型非イオン界面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない界面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。
エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキルフェニルエーテル化合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品としては、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70(以上、花王社製)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの市販品としては、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン130K(以上、花王社製)、ポリオキシエチレンセチルエーテルの市販品としては、エマルゲン210P、エマルゲン220(以上、花王社製)、ポリオキシエチレンステアリルエーテルの市販品としては、エマルゲン220、エマルゲン306P(以上、花王社製)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの市販品としては、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS−114、エマルゲンMS−110(以上、花王社製)ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルの市販品としては、エマルゲン705,エマルゲン707、エマルゲン709等が挙げられる。
これら非イオン性のポリオキシエーテル化合物の中でも好ましくは、ポリオキシエチレンオレイルエーテル化合物であり、この化合物はエチレンオキシドとオレイルアルコールとを反応させて得られるものである。
オレイル部分に対するエチレンオキシドの平均付加個数(n)は、2〜40であり、好ましくは2〜10である。
具体的商品としては、エマルゲン404〔ポリオキシエチレン(4)オレイルエーテル〕、エマルゲン408〔ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル〕、エマルゲン409P〔ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル〕、エマルゲン420〔ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル〕、エマルゲン430〔ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル〕(以上、花王社製)、日本油脂製NOFABLEEAO−9905(ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル)等が挙げられる。
6.フッ素系界面活性剤
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を含有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを母核としたもので、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン等の誘導体等が挙げられる。
具体的商品としては、例えばサーフロン「S−381」、「S−382」、「SC−101」、「SC−102」、「SC−103」、「SC−104」(何れも旭硝子株式会社製)、フロラード「FC−430」、「FC−431」、「FC−173」(何れもフロロケミカル−住友スリーエム製)、エフトップ「EF352」、「EF301」、「EF303」(何れも新秋田化成株式会社製)、シュベゴーフルアー「8035」、「8036」(何れもシュベグマン社製)、「BM1000」、「BM1100」(いずれもビーエム・ヒミー社製)、メガファック「F−171」、「F−470」(いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)、BYK340(ビックケミー・ジャパン社製)等を挙げることができる。
また、本発明の反射防止フィルムの製造方法においては、ハードコート層形成用塗布組成物中のレベリング剤の添加量は、ハードコート層形成用塗布組成物中に0.2〜2.0質量%である。
ここで、ハードコート層形成用塗布組成物中のレベリング剤の添加量が、該塗布組成物中に0.2質量%未満であれば、ハードコート塗布液の基材への塗布性が悪く、塗膜表面にハジキが発生したり、ベナードセルの発生等の塗布欠陥が生じるため、好ましくない。
また、ハードコート層形成用塗布組成物中のレベリング剤の添加量が、該塗布組成物中に2.0質量%を超えると、ハードコート層上に積層された層の塗布性不良や、ハードコート層上の層との接着力不足、ハードコート層の鉛筆硬度が低下するので、好ましくない。
ここで、紫外線硬化型樹脂とリンドープ酸化スズの比率は、5:95重量%〜50:50重量%が好ましい。リンドープ酸化スズが5重量%より少ないと、帯電防止性能が無く表示パネルの表面が静電気等により帯電し、パネル表面にほこり等が付着して視認性が悪くなる。また、50質量%を超えると、ハードコート層の屈折率が高くなり、透明基材フィルムとの屈折率差が大きくなり、画像の黒表示の時の反射光で干渉縞が見られ画像の視認性が失われる。
(低屈折率層)
つぎに、本発明による反射防止フィルムの低屈折率層について説明する。
本発明による反射防止フィルムの低屈折率層は、透明フィルム基材の屈折率より低い層を低屈折率層という。具体的な屈折率としては、23℃、波長550nmで1.30〜1.45の範囲のものが好ましい。また、低屈折率層の膜厚は、カチオン重合性バインダーを含む光学干渉層としての特性から、膜厚70〜120nmを有している。
ここで、反射防止フィルムの低屈折率層の膜厚が、70nm未満であれば、光学干渉層としての機能を十分に果たすことができず、反射防止フィルムの反射防止性能が低下するので、好ましくない。また低屈折率層の膜厚が、120nmを超えると、反射色に色味が付き黒表示の時の色再現性が無くなるため、表示パネルの視認性を向上するという要望に応えることができなくなり、好ましくない。
また、本発明による反射防止フィルムに含まれるカチオン重合性バインダーは、紫外線および/または熱によりカチオン重合可能な化合物であって、フィルムの低屈折率層の分野で従来から使用されているものが使用可能である。そのようなカチオン重合性化合物として、例えば、オキセタン化合物、エポキシ化合物、フッ素含有カチオン重合性化合物が挙げられる。
ここで、オキセタン化合物は、分子中に少なくとも1個のオキセタン環を有する化合物である。
このようなオキセタン化合物としては、種々のものが使用できるが、好ましい化合物として、下記の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)の化合物を挙げることができる。
Figure 2010097005
(式中、R は、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフリル基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは酸素又は硫黄を表し、R はmの値に応じて1〜4価の有機基を表す。)
Figure 2010097005
(式中、R 及びR は、各々独立して、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフリル基を表す。)
Figure 2010097005
(式中、R は、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基又はフリル基を表し、R は水素又は不活性な1価の有機基を表し、R は加水分解可能な官能基を表し、nは1〜5の整数を表し、pは0〜2の整数を表す。)
上記一般式(1)〜(3)において、R、R、R、Rがアルキル基の場合、その炭素数は1〜6程度であることができ、具体的には、メチル、エチル、プロキル、ブチルなどが挙げられる。またフルオロアルキル基も、炭素数1〜6程度であることができる。さらにアリール基は、典型的にはフェニル又はナフチルであり、これらは他の基で置換されていてもよい。
上記一般式(1)においてR で表される有機基は、特に限定されないが、例えば、mが1の場合は、アルキル基、フェニル基などが、mが2の場合は、炭素数1〜12の直鎖又は分枝状アルキレン基、直鎖又は分枝状のポリ(アルキレンオキシ)基などが、mが3又は4の場合は、類似の多価官能基が挙げられる。
上記一般式(3)においてR で表される不活性な1価の有機基として、典型的には炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、またR で表される加水分解可能な官能基としては、例えば、メトキシやエトキシなどを包含する炭素数1〜5のアルコキシ基、塩素原子や臭素原子のようなハロゲン原子などが挙げられる。
これらに加え、OH残基を有するエポキシアクリレート樹脂(共栄社化学製「エポキシエステル」(商品名)や昭和高分子製「リポキシ」(商品名)等)にイソシアナート基を介してオキセタニル基を導入したものや、各種イソシアナートと水酸基等を有するオキセタニル基含有モノマーとがウレタン結合を介して重付加によって得られるウレタンアクリレート樹脂で数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算数平均分子量)が2万以下のオリゴマー類も好ましく使用できる。
さらに、必要に応じて水素結合形成基を有するモノマーを含む(共)重合体で、主鎖や側鎖にオキセタニル基を有する数平均分子量が2万以上の反応性ポリマーなども好ましく使用することができる。これらの反応性ポリマーは、例えば特開平07−309856号公報に開示されている手法で合成することができる。
エポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を少なくとも1個有する単量体であって、該化合物として高分子化合物と低分子化合物の両者を包含し、カチオン重合を起こして硬化するものであれば、いずれも使用することができる。例えば、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、1,2,8,9−ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物等や、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤を使用することができる。
本発明に用いられるエポキシ化合物も、オキセタン化合物と同様に分子量2万以下のオリゴマーや分子量2万以上のポリマーを使用することができる。該ポリマーは、例えば、特開平07−247313号公報に開示されている手法で合成することができる。
オキセタン化合物やエポキシ化合物は、フッ素原子を含有させることでそれ自身の屈折率を低下させたものを用いても良い。例えば、フッ素原子を有するメチレン(CFを化合物中に導入してもよい。
フッ素含有カチオン重合性化合物は、下記一般式(4)で表される。
−R11−(CF−R12−R10 …(4)
(式中、R及びR10は、熱、及び/または光反応により互いに結合可能/または結合できない反応性基であり、R11及びR12は、単結合又は炭素原子数1〜5の2価の炭化水素、酸素、又は硫黄であり、nは1〜30の整数を示す。)
上記一般式(4)においてR及びR10は、紫外線照射によって互いに結合可能な光反応性基であれば、同一であっても異なっていても良い。光反応性基としては、例えば、光カチオン重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。
光カチオン重合反応性基としては、例えば、上記一般式(4)におけるR 及びR10が、何れも次の一般式(5);
Figure 2010097005
(式中、R13は水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基である。)で表されるエポキシ基、あるいは何れも次の一般式(6);
Figure 2010097005
(式中、R14は水素、フッ素、炭素数1〜10のアルキル基、フルオロアルキル基である。)
で示されるオキセタニル基等の環状エーテル、チオエーテル、ビニルエーテル基が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基、チオエーテル基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さく、多様な構造の化合物が入手しやすく、重合度が高く、低毒性である等の利点がある。
これらの光カチオン重合性反応基を有するフッ素含有カチオン重合性化合物は、上記したエポキシ化合物および/またはオキセタン化合物と組み合わせて使用されることにより、低屈折率層中に均一に組みこまれ、硬化促進、塗膜への柔軟性や弾性付与と低屈折率化を実現する。
上記一般式(4)において、互いに結合可能な異なるRとR10の組合せとしては、具体的には、エポキシ基とオキセタニル基の組合せがある。
上記式(4)で表されるフッ素含有カチオン重合性化合物を合成する方法としては、例えばフッ素化ジヨードアルカンから誘導する方法がある。例えばR及びR10がともにエポキシ基であり、nが4の場合、オクタフルオロ−1,4−ジヨードブタンを出発物質とし、公知の方法、例えば特公昭54−11284号公報、及び特公昭59−22712号公報、特公平6−60116号公報、及びJ.Fluorine Chem., 73, 151(1995) 等に記載された方法に従い、ジオール誘導体を経て合成することができる。
また、R及びR10がともにオキセタニル基である場合には、公知の方法、例えば特開2000−336082号公報に記載された方法を参考に、上記のジオール誘導体をアルカリ金属アルコラート化し、さらに3−ヒドロキシメチルオキセタン類のスルホン酸エステル化反応させることにより合成することができる。
また、低屈折率層を構成するバインダー中には、乾燥させるだけで、低屈折率層を構成し得る化合物である非硬化性化合物が使用可能である。非硬化性化合物の具体例として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂等が挙げられる。
また、熱および/または光硬化性カチオン重合型バインダーを使用する低屈折率層では、熱カチオン重合開始剤および/または紫外線カチオン重合開始剤が含有される。
熱カチオン重合開始剤として、例えば、SbF −系スルホニウム塩等が使用可能である。
紫外線カチオン重合開始剤として、例えば、ジアゾニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホン酸エステル、鉄アレーン錯体、ミラノール/アルミニウム錯体等が使用可能である。
紫外線ラジカル重合開始剤として、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれら誘導体等が使用可能である。
重合開始剤の含有量は硬化性化合物100質量部に対して0.01〜30質量部、特に0.1〜20質量部が好ましい。
低屈折率組成物には、有機溶媒、屈折率調整剤、フッ素系化合物、シリコーン系界面活性剤、導電剤、レベリング剤等の添加剤を含有させてもよい。
低屈折率層を形成する具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール、イソプロパノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
低屈折率層を形成する塗布組成物中の固形分濃度は、1〜4質量%であることが好ましく、固形分濃度を4質量%以下とすることによって、塗布ムラが生じにくくなり、1質量%以上とすることによって、乾燥負荷が軽減される。
低屈折率層を形成する塗布組成物には、フッ素系またはシリコーン系の界面活性剤を含有することが好ましい。上記界面活性剤を含有させることで、塗布ムラを低減したり膜表面の防汚性を向上させるのに有効である。
低屈折率層の屈折率調整剤としては、無機微粒子および有機微粒子の他、中空シリカ系粒子が使用可能である。中でも中空シリカ系粒子が好ましく使用される。
中空シリカ系粒子は外殻層を有しかつ内部が多孔質または空洞である粒子である。中空シリカ系粒子の具体例としては、(1)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層からなる複合粒子、または(2)内部に空洞を有し、且つ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。空洞粒子は、内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。
中空シリカ系粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは10〜70nmが望ましい。中空シリカ系粒子の粒径は変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。中空シリカ系粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
中空シリカ系粒子の平均粒径は、形成される低屈折率層の透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、透明被膜の膜厚の3/2〜1/10、好ましくは2/3〜1/10が望ましい。これらの中空シリカ系粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)、及びケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)、プロピレンモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜40nm、好ましくは1〜20nm、更に好ましくは2〜15nmが望ましい。例えば、複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、塗布液成分が容易に複合粒子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率化の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、塗布液成分が内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率化の効果が十分得られなくなることがある。また例えば空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率化の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。
また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的にはAl、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、Sb、SbO、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。
複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、Sb、SbO、MoO、ZnO、WOとの1種または2種以上を挙げることができる。
このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOx)で表したときのモル比:MOx/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。
多孔質粒子のモル比:MOx/SiOが、0.0001未満のものは、得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また多孔質粒子のモル比:MOx/SiOが1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、さらに屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
多孔質粒子の細孔容積は、水銀圧入法によって求めることができる。
空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。多孔質物質としては、多孔質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
中空シリカ系粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような中空シリカ系粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。
中空シリカ系粒子は、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法によって好適に製造することができるし、または市販品として入手することもできる。
中空粒子の市販品として、例えば、ELCOM V−8209(触媒化成工業社製)等が使用可能である。
屈折率調整剤、特に中空シリカ系粒子の含有量は硬化性化合物または非硬化性化合物100質量部に対して1〜400質量部、特に25〜120質量部が好ましい。
本発明の反射防止フィルムの製造工程において、低屈折率層の塗膜を形成した後は、通常、温度40〜150℃で、10秒〜5分間の乾燥を行う。
低屈折率層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、低屈折率層を形成する上記塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化処理することで形成される。
塗布量は、ウェット膜厚として0.05〜100μmが適当で、好ましくは、0.1〜50μmである。また、ドライ膜厚が上記膜厚となるように塗布組成物の固形分濃度は調整される。
硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。
ここで、照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。
また、低屈折率層を形成後、温度50〜160℃で加熱処理を行なう工程を含んでも良い。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、160℃であれば10分以上1日以下の範囲が好ましい。
上記記載の本発明の反射防止フィルムの製造方法によって製造されたハードコートフィルムは、下記式で表わされる低屈折率層の面内膜厚差が、10nm以下、好ましくは2〜5nmであることを特徴としている。本発明の反射防止フィルムによれば、十分に大きな帯電防止性能を有する厚膜のハードコート層と、透明フィルム基材との密着性、並びにハードコート層とその上の低屈折率層との密着性がいずれも非常に良く、反射防止フィルムは、環境変化に対する耐久性、とりわけ耐擦傷性に優れているものである。
低屈折率層の面内膜厚差=低屈折率層の膜厚の最大値−同最小値
(バックコート層)
本発明の反射防止フィルムは、ハードコート層を設けた側と反対側の面にバックコート層を設けてもよい。バックコート層は、反射防止層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。すなわち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
これらの粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)、シーホスターKE−P10、同KE−P30、同KE−P50、同KE−P100、同KE−P150、同KE−P250(以上、日本触媒株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上、東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972V、シーホスターKE−P30、同KE−P50、及び同KE−P100がヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる反射防止フィルムは、活性エネルギー線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層の塗布に用いられる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、または炭化水素類(トルエン、キシレン)等があげられ、適宜組み合わされて用いられる。
バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
例えば、アクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン株式会社製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン株式会社製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいモノを適宜選択することもできる。
例えば、バインダーとして用いられる樹脂としてはセルロースジアセテート、セルロースアセテートプロヒオネートなどのセルロースエステルとアクリル樹脂のブレンド物を用いることが好ましく、アクリル樹脂からなる粒子を用いて、粒子とバインダーとの屈折率差を0〜0.02未満とすることで透明性の高いバックコート層とすることができる。
これらの塗布組成物をグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明樹脂フィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。
また、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化処理することで、バックコート層は形成される。硬化処理は低屈折率層で記載した内容を用いることができる。
バックコート層は2回以上に分けて塗布することもできる。また、バックコート層は偏光子との接着性を改善するための易接着層を兼ねても良い。
上記のように各層を塗布により形成するに際して、透明樹脂フィルムの幅が1.4〜4mでロール状に巻き取られた状態から繰り出して、上記塗布を行い、乾燥・硬化処理した後、ロール状に巻き取られることが好ましい。また、反射防止層を積層した後、ロール状に巻き取った状態で50〜160℃で加熱処理を行う製造方法によって製造されることが、反射防止フィルムを長尺塗布した際の効率性や安定性から好ましい。加熱処理期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば、50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、160℃であれば10分以上1日以下の範囲が好ましい。通常は、巻外部、巻中央部、巻き芯部の加熱処理効果が偏らないように、比較的低温に設定することが好ましく、50〜60℃付近で7日間程度行うことが好ましい。
加熱処理を安定して行うためには、温湿度が調整可能な場所で行うことが必要であり、塵のないクリーンルーム等の加熱処理室で行うことが好ましい。
反射防止フィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、特に限定されないが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックが好ましく、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられる。またガラス繊維などの充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることがさらに好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。
(反射防止フィルムの反射率)
本発明の反射防止フィルムの反射率は、分光光度計により測定を行うことができる。その際、サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行ってから、可視光領域(400〜700nm)の反射光を測定する。反射率は低いほど好ましいが、可視光領域の波長における平均値が2.5%以下であることが好ましく、最低反射率は1.5%以下であることが好ましい。また、反射率が2.5%以下であれば、本発明の反射防止フィルムと見なすことができる。
可視光の波長領域において、平坦な形状の反射スペクトルを有することが好ましい。
また、反射防止処理を施した表示装置表面の反射色相は、反射防止膜の設計上可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることから赤や青に色づくことが多いが、反射光の色味は用途によって要望が異なり、薄型テレビ等の最表面に使用する場合にはニュートラルな色調が好まれる。
この場合、一般に好まれる反射色相範囲は、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で、
0.17≦x≦0.33、
0.10≦y≦0.33 である。
なお、反射防止フィルムの各層を塗布する前に、表面処理する場合がある。ここで、表面処理方法としては、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられる。
コロナ処理とは、大気圧下、電極間に1kV以上の高電圧を印加し、放電することで行う処理のことであり、春日電機株式会社や株式会社トーヨー電機などで市販されている装置を用いて行うことができる。コロナ放電処理の強度は、電極間距離、単位面積当たりの出力、ジェネレーターの周波数に依存する。
コロナ処理装置の一方の電極(A電極)は、市販のものを用いることができるが、材質はアルミニウム、ステンレスなどから選択ができる。もう一方はプラスチックフィルムを抱かせるための電極(B電極)であり、コロナ処理が、安定かつ均一に実施されるように、前記A電極に対して一定の距離に設置されるロール電極である。これも通常市販されているものを用いることができ、材質は、アルミニウム、ステンレス、及びそれらの金属でできたロールに、セラミック、シリコン、EPTゴム、ハイパロンゴムなどがライニングされているロールが好ましく用いられる。
本発明に用いられるコロナ処理に用いる周波数は、20kHz以上100kHz以下の周波数であり、30kHz〜60kHzの周波数が好ましい。周波数が低下するとコロナ処理の均一性が劣化し、コロナ処理のムラが発生する。また、周波数が大きくなると、高出力のコロナ処理を行う場合には、特に問題ないが、低出力のコロナ処理を実施する場合には、安定した処理を行うことが難しくなり、結果として、処理ムラが発生する。
コロナ処理の出力は、1〜5W・min./mであるが、2〜4W・min./mの出力が好ましい。電極とフィルムとの距離は、5mm以上50mm以下であるが、好ましくは、10mm以上35mm以下である。間隙が開いてくると、一定の出力を維持するためにより高電圧が必要になり、ムラが発生し易くなる。また、間隙が狭くなりすぎると、印加する電圧が低くなりすぎ、ムラが発生し易くなる。さらにまた、フィルムを搬送して連続処理する際に電極にフィルムが接触し傷が発生する。
アルカリ処理方法としては、ハードコート層を塗設したフィルムをアルカリ水溶液に浸す方法であれば特に限定されない。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等が使用可能であり、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度、例えば水酸化ナトリウム濃度は0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。アルカリ処理温度は、通常10〜80℃、好ましく20〜60℃である。 アルカリ処理時間は5秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。アルカリ処理後のフィルムは酸性水で中和した後、十分に水洗いを行うことが好ましい。
(透明樹脂フィルム)
本発明に用いられる透明樹脂フィルムよりなる透明フィルム基材について、説明する。
透明フィルム基材としては、製造が容易であること、活性線硬化型樹脂層との接着性が良好であること、光学的に等方性であること、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
ここでいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
透明フィルム基材としては、ポリエチレンフタレート(PET)樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、セルロースエステル樹脂フィルム、またはアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の混合樹脂フィルムよりなるものであるのが、好ましい。
また、透明フィルム基材は、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法によって作製されたものである。
透明フィルム基材としては、上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム〔アートン(JSR社製)〕、ゼオネックス、ゼオノア〔以上、日本ゼオン社製)〕、ポリビニルアセタール、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。
中でも、セルロースエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムが好ましく、本発明においては、特にセルロースエステル系フィルム(例えば、コニカミノルタタック、製品名KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC4UE、KC12UR(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)が、製造上、コスト面、透明性、接着性等の観点から好ましく用いられる。
セルロースエステルフィルムを形成するセルロースエステルの原料としては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることができる。
アシル化剤が、酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法等を参考にして合成することができる。
また、本発明に用いられるセルロースエステルは各置換度に合わせて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステルはこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースエステルの数平均分子量は、50000〜250000が、成型した場合の機械的強度が強く、かつ、適度なドープ粘度となり好ましく、さらに好ましくは、80000〜150000である。
セルロースエステルフィルムは、一般的に溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、例えば、無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造される。
これらドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えば、メチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセト酢酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、アセト酢酸メチル等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させる時に、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば、上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.82℃)等である。
上記の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライド、あるいは酢酸メチルが好ましく用いられる。
上記有機溶媒の他に、0.1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で前記アルコールが含まれることが好ましい。
これらは上記のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。好ましくは、メチレンクロライド70〜95質量%に対してエタノール5〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
セルロースエステルフィルムには、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
中でも、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等が好ましい。特に多価アルコールエステル系可塑剤を用いることが好ましく、ハードコート層の鉛筆硬度が4H以上を安定に得ることができるため好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエ0ルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることができる。具体的には特開2002−265639号公報の段落番号[0015]〜[0020]記載の多価カルボン酸エステルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
また、他の可塑剤としてリン酸エステル系可塑剤を用いることもでき、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
このほか、特開2003−12859号記載のアクリルポリマーなどを含有させることも好ましい。
〈アクリルポリマー〉
セルロースエステルフィルムは、延伸方向に対して負の配向複屈折性を示す重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリルポリマーを含有することが好ましい。
該ポリマーの重量平均分子量が500以上30000以下のもので該ポリマーの組成を制御することで、セルロースエステルと該ポリマーとの相溶性を良好にすることができる。
特に、アクリルポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリルポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリルポリマーについて、好ましくは重量平均分子量が500以上10000以下のものであれば、上記に加え、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、反射防止フィルムとして優れた性能を示す。
該ポリマーは重量平均分子量が500以上30000以下であるから、オリゴマーから低分子量ポリマーの間にあると考えられるものである。このようなポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、何れも好ましく用いられるが、特に、該公報に記載の方法が好ましい。
なお、本発明のアクリルポリマーとは、芳香環あるいはシクロヘキシル基を有するモノマー単位を有しないアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーを指す。芳香環を側鎖に有するアクリルポリマーというのは、必ず芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリルポリマーである。
また、シクロヘキシル基を側鎖に有するアクリルポリマーというのは、シクロヘキシル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリルポリマーである。
芳香環及びシクロヘキシル基を有さないアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。
アクリルポリマーは上記モノマーのホモポリマーまたはコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30質量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40質量%以上有することが好ましい。特にアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)等を挙げることができるが、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニチル、メタクリル酸フェネチルを好ましく用いることができる。
芳香環を側鎖に有するアクリルポリマーの中で、芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位が20〜40質量%を有し、且つアクリル酸またはメタクリル酸メチルエステルモノマー単位を50〜80質量%有することが好ましい。該ポリマー中、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を2〜20質量%有することが好ましい。
シクロヘキシル基を有するアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等を挙げることができるが、アクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸シクロヘキシルを好ましく用いることができる。
シクロヘキシル基を側鎖に有するアクリルポリマー中、シクロヘキシル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を20〜40質量%を有しかつ50〜80質量%有することが好ましい。また、該ポリマー中、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を2〜20質量%有することが好ましい。
上述のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリルポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリルポリマー及びシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリルポリマーは何れもセルロース樹脂との相溶性に優れる。
これらの水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーの場合はホモポリマーではなく、コポリマーの構成単位である。この場合、好ましくは、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位がアクリルポリマー中2〜20質量%含有することが好ましい。
また、側鎖に水酸基を有するポリマーも好ましく用いることができる。水酸基を有するモノマー単位としては、前記したモノマーと同様であるが、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることができ、好ましくは、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。ポリマー中に水酸基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルモノマー単位はポリマー中2〜20質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
前記のようなポリマーが上記の水酸基を有するモノマー単位を2〜20質量%含有したものは、勿論セルロースエステルとの相溶性、保留性、寸法安定性が優れ、透湿度が小さいばかりでなく、偏光板保護フィルムとしての偏光子との接着性に特に優れ、偏光板の耐久性が向上する効果を有している。
アクリルポリマーの主鎖の少なくとも一方の末端に水酸基を有するようにする方法は、特に主鎖の末端に水酸基を有するようにする方法であれば限定ないが、アゾビス(2−ヒドロキシエチルブチレート)のような水酸基を有するラジカル重合開始剤を使用する方法、2−メルカプトエタノールのような水酸基を有する連鎖移動剤を使用する方法、水酸基を有する重合停止剤を使用する方法、リビングイオン重合により水酸基を末端に有するようにする方法、特開2000−128911号公報は2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等により得ることができ、特に該公報に記載の方法が好ましい。
この公報記載に関連する方法で作られたポリマーは、綜研化学社製のアクトフロー・シリーズとして市販されており、好ましく用いることができる。上記の末端に水酸基を有するポリマー及び/または側鎖に水酸基を有するポリマーは、本発明において、ポリマーの相溶性、透明性を著しく向上する効果を有する。
セルロースエステルフィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。また、2種の可塑剤の含有量は各々少なくとも1質量%以上であり、好ましくは各々2質量%以上含有することである。
多価アルコールエステル系可塑剤は、1〜15質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。多価アルコールエステル系可塑剤の含有量が、少ないと平面性の劣化が認められ、また多すぎると、ブリードアウトがしやすい。多価アルコールエステル系可塑剤とその他の可塑剤との質量比率は、1:4〜4:1の範囲であることが好ましく、1:3〜3:1であることがさらに好ましい。可塑剤の添加量が多すぎても、また少なすぎてもフィルムが変形しやすく好ましくない。
(溶液流延製膜法)
セルロースエステルフィルムの溶液流延製膜法による製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、さらに乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
まず、ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は、特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤または膨潤させた後、さらに良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃がさらに好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
または冷却溶解法も、好ましく用いられ、これによって酢酸メチル等の溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
つぎに、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため、絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材がさらに好ましい。
濾材の材質は、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
この明細書において、輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、さらに好ましくは50個/m以下であり、さらに好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は、通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることがさらに好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
つぎに、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃がさらに好ましい。または、冷却することによって、ウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら、目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mは、ウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、Nは、Mを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明の反射防止フィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し、さらにウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが特に好ましい。縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は1.01〜1.3倍であり、1.05〜1.15倍がさらに好ましい。縦方向及び横方向延伸により面積が1.12〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15〜1.32倍となっていることが好ましい。これは縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることができる。縦方向と横方向の延伸倍率のいずれかが1.01倍未満ではハードコート層を形成する際の紫外線照射による平面性の劣化が生じやすくなる。
剥離直後に縦方向に延伸するために、剥離張力及びその後の搬送張力によって延伸することが好ましい。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜180℃の範囲で段階的に高くすることが寸法安定性をよくするためさらに好ましい。
セルロースエステルフィルムよりなる透明フィルム基材の膜厚は、12〜80μmである。セルロースエステルフィルムの膜厚は、20〜60μmであることが、さらに好ましく、最も好ましくは35〜60μmである。
ここで、セルロースエステルフィルムよりなる透明フィルム基材の膜厚が、12μm未満であれば、薄すぎて、これを基材とする反射防止フィルム製品が破れやすくなるため、好ましくない。また、セルロースエステルフィルムよりなる透明フィルム基材の膜厚が、80μmを超えると、これを基材とする反射防止フィルム製品の膜厚が大きくなり、近年の薄膜の反射防止フィルムについて、大きな帯電防止性能を付与して、表示パネルの視認性を向上するという要望に応えることができないため、好ましくない。
本発明の反射防止フィルムは、幅1m以上であり、幅1.4〜4mのものが好ましく用いられる。特に好ましくは1.4〜3mである。4mを超えると搬送が困難となる。また、セルロースエステルフィルムのハードコート層を設ける面の中心線平均粗さ(Ra)は0.001〜1μmのものを用いることができる。
(溶融流延製膜法)
セルロースエステルフィルムは、溶融流延製膜法によっても作製することができる。
溶液流延製膜法において用いられる溶媒(例えば塩化メチレン等)を用いずに、加熱溶融する溶融流延による成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れるセルロースエステルフィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。
セルロースエステル及び添加剤の混合物を熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、T型ダイよりフィルム状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得る。冷却ドラムの温度は90〜150℃に維持されていることが好ましい。
セルロースエステルと、その他、必要により添加される安定化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましく、セルロースエステルと添加剤を加熱前に混合することが、さらに好ましい。混合は、混合機等により行ってもよく、また、セルロースエステル調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、ヘンシェルミキサー、リボンミキサーなどの一般的な混合機を用いることができる。
上記のようにフィルム構成材料を混合した後に、その混合物を押出し機を用いて直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、フィルム構成材料をペレット化した後、該ペレットを押出し機で溶融して製膜するようにしてもよい。また、フィルム構成材料が、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機に投入して製膜することも可能である。フィルム構成材料に熱分解しやすい材料が含まれる場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
押出し機は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し機でもよい。フィルム構成材料からペレットを作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な混練度が必要であるため2軸押出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練が得られるので、使用可能である。フィルム構成材料として、一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも使用可能である。
押出し機内及び押出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機内のフィルム構成材料の溶融温度は、フィルム構成材料の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、Tg以上、Tg+100℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+90℃以下である。具体的には、溶融押出し時の温度は、150〜300℃であることが好ましく、特に180〜270℃の範囲であることが好ましい。さらに200〜250℃の範囲であることが好ましい。
押出し時の溶融粘度は、10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。
また、押出し機内でのフィルム構成材料の滞留時間は、短い方が好ましく、5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内である。滞留時間は、押出し機1の種類、押出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
上記押出し機でフィルム状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得る。冷却ドラムの温度は90〜150℃に維持されていることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルフィルムは、幅手方向もしくは製膜方向に延伸製膜されたフィルムであることが特に好ましい。
前述の冷却ドラムから剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介して、セルロースエステルのガラス転移温度(Tg)から、Tg+100℃の範囲内に加熱し、一段または多段縦延伸することが好ましい。
つぎに、上記のようにして得られた縦方向に延伸されたセルロースエステルフィルムを横延伸し、ついで熱処理することが好ましい。
熱処理は、ガラス転移温度(Tg)−20℃〜延伸温度の範囲内で、通常0.5〜300秒間搬送しながら行うことが好ましい。
熱処理されたフィルムは、通常、ガラス転移温度(Tg)以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。また冷却は、最終熱処理温度からガラス転移温度(Tg)までを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。
冷却する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。なお、冷却速度は、最終熱処理温度をT1、フィルムが最終熱処理温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
セルロースエステルフィルムには、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば下記の紫外線吸収剤を具体例として挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)326、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)900、チヌビン(TINUVIN)928、チヌビン(TINUVIN)360(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)、LA31(旭電化社製)、Sumisorb250(住友化学社製)、RUVA−100(大塚化学製)が挙げられる。
また、特開2001−187825号公報に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、長尺フィルムの面品質を向上させ、塗布性にも優れている。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、セルロースエステルフィルムには滑り性を付与するため、前述の活性線硬化型樹脂を含む塗布層で記載するものと同様の微粒子を用いることができる。
微粒子としては、無機化合物の例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒子径は5〜50nmが好ましく、さらに好ましいのは7〜20nmである。これらは、主に粒子径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。含有量は0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、これらの微粒子を使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
微粒子としてポリマー粒子を用いることもでき、ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため、特に好ましく用いられる。
また、セルロースエステルフィルムには、以下に説明する劣化防止剤を含有することが好ましい。つぎに劣化防止剤について説明する。
(劣化防止剤)
劣化防止剤とは、高分子が熱や酸素、水分、酸などによって分解されることを化学的な作用によって抑制する材料のことである。本発明に用いられる透明基材フィルムは、溶融流延法の場合、特に200℃以上の高温下で成形されるため、高分子の分解・劣化が起きやすい系であり、劣化防止剤をフィルム形成材料中に含有させることが好ましい。
フィルム形成材料の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光または熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制または禁止する等、解明できていない分解反応を含めて、着色や分子量低下に代表される変質や材料の分解による揮発成分の生成を抑制するために劣化防止剤を用いる。
劣化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸捕捉剤、金属不活性化剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載がある。これらの中でも、本発明の目的のためには、フィルム形成材料中に劣化防止剤として酸化防止剤を含むことが好ましい。
フィルム形成材料中の劣化防止剤は、少なくとも1種以上選択でき、フィルムの透明性から添加する量は、透明基材フィルムを形成する透明基材樹脂100質量%に対して、劣化防止剤の添加量は0.01質量%以上、10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、5.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上、2.0質量%以下である。
フィルム形成材料は、材料の変質や吸湿性を回避する目的で、構成する材料が1種または複数種のペレットに分割して保存することができる。ペレット化は、加熱時の溶融物の混合性または相溶性が向上でき、または得られたフィルムの光学的な均一性が確保できることもある。
(酸化防止剤)
また、セルロースエステルフィルムには以下に説明する酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤としては、酸素によるフィルム形成材料の劣化を抑制する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でもフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アルキルラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤、酸素スカベンジャー等が挙げられる。これらの中でもフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アルキルラジカル捕捉剤が好ましいが、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤の2者の組み合わせを用いることがより好ましく、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とアルキルラジカル捕捉剤の3者の組み合わせを用いることが最も好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、溶融成型時の熱や熱酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に用いられるセルロースエステルの質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上2.0質量%以下である。
(フェノール系酸化防止剤)
フェノール系酸化防止剤は既知の化合物であり、パラ−t−ブチルフェノール、パラ−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等のアルキル基置換フェノールの他、例えば、米国特許第4,839,405号明細書の第12〜14欄に記載の、2,6−ジアルキルフェノール誘導体化合物、いわゆるヒンダードフェノール系化合物が挙げられるが、これらの中で、ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。
ヒンダードフェノールフェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−アセテート、n−オクタデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオ−ドデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシルβ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシルα−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミドN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノN,N−ビス−[エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−l−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトール−テトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタン−トリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル7−(3−メチル−5−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオール−ビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのフェノール化合物は、例えば、チバスペシャルティケミカルズから、「IRGANOX1076」及び「IRGANOX1010」という商品名で市販されている。
(リン系酸化防止剤)
リン系酸化防止剤として、ホスファイト系化合物、及びホスホナイト系化合物が挙げられる。ホスファイト系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;等が挙げられる。上記タイプのホスファイト系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、「SumilizerGP」、旭電化工業株式会社から「ADK STAB PEP−24G」、「ADK STAB PEP−36」、「ADK STAB 3010」、「ADK STAB HP−10」及び「ADK STAB 2112」という商品名で市販されている。
ホスホナイト系化合物の具体例としては、ジメチル−フェニルホスホナイト、ジ−t−ブチル−フェニルホスホナイト、ジフェニル−フェニルホスホナイト、ジ−(4−ペンチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2−t−ブチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2−メチル−3−ペンチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2−メチル−4−オクチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(3−ブチル−4−メチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(3−ヘキシル−4−エチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,4,6−トリメチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,3−ジメチル−4−エチル−フェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,6−ジエチル−3−ブチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,3−ジプロピル−5−ブチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ジ−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ビフェニル−4−イル−ホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4′−(ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノキシ)ホスフィノ)ビフェニル−4−イル−ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−4−プロピルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジエチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジエチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,5−トリエチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジエチル−4−プロピルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジエチル−6−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジエチル−5−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジエチル−6−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジプロピル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジプロピル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジプロピル−5−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジプロピル−6−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジプロピル−5−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−6−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチル−6−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−3−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。上記タイプのリン系化合物は、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から「IRGAFOSP−EPQ」、堺化学工業株式会社から「GSY−P101」という商品名で市販されている。
リン系酸化防止剤として、ホスホナイト系化合物が好ましく、中でも、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイト等の4,4′−ビフェニレンジホスホナイト化合物が好ましく、特に好ましいものはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホナイトである。
(アルキルラジカル捕捉剤)
セルロースエステルフィルムには以下に説明するアルキルラジカル捕捉剤を含有することが好ましい。ここでいうアルキルラジカル捕捉剤とは、アルキルラジカルが速やかに反応しうる基を有し、かつアルキルラジカルと反応後に後続反応が起こらない安定な生成物を与える化合物を意味する。
アルキルラジカル捕捉剤として、住友化学株式会社から、「SumilizerGM」、「SumilizerGS」という商品名で市販されている。
(ヒンダードアミン光安定剤)
セルロースエステルフィルムには、フィルム形成材料の熱溶融時の劣化防止剤、また製造後に偏光子保護フィルムとして晒される外光や液晶ディスプレイのバックライトからの光に対する劣化防止剤として、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物を添加することが好ましい。ヒンダードアミン光安定剤としては、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。
ヒンダードアミン光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)デカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
また、高分子タイプの化合物でもよく、具体例としては、N,N′,N″,N″′−テトラキス−[4,6−ビス−〔ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルホリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等で、数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000のものが好ましい。
上記タイプのヒンダードアミン化合物は、例えばチバスペシャルティケミカルズから、「TINUVIN144」及び「TINUVIN770」、旭電化工業株式会社から「ADK STAB LA−52」という商品名で市販されている。
ヒンダードアミン光安定剤は、本発明に用いられるセルロースエステルの質量に対して、
0.1〜10質量%添加することが好ましく、さらに0.2〜5質量%添加することが好ましく、さらに0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
(酸捕捉剤)
セルロースエステルフィルムには、酸捕捉剤が、高温環境下では酸による分解を抑制することから、含有されることが好ましい。酸捕捉剤としては、酸と反応して酸を不活性化する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物が好ましい。
このような酸捕捉剤としてのエポキシ化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテル、特にポリグリコール1モル当たりに約8〜40モルのエチレンオキシド等の縮合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテル等、金属エポキシ化合物(例えば、塩化ビニルポリマー組成物において、及び塩化ビニルポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生成物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(すなわち、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、2〜22個の炭素原子の脂肪酸の4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)等)、及び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリド等(例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)の組成物によって代表され例示され得るエポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(これらはときとしてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は一般に12〜22個の炭素原子を含有している)が含まれる。また、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物として、EPON 815Cやその他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物も好ましく用いることができる。
さらに上記以外に用いることが可能な酸捕捉剤としては、オキセタン化合物やオキサゾリン化合物、あるいはアルカリ土類金属の有機酸塩やアセチルアセトナート錯体、特開平5−194788号公報の段落番号[0068]〜[0105]に記載されているものが含まれる。
本発明においては、酸捕捉剤は、本発明に用いられるセルロースエステルの質量に対して、0.1〜10質量%添加することが好ましく、さらに0.2〜5質量%添加することが好ましく、さらに0.5〜2質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
なお酸捕捉剤は、酸掃去剤、酸捕獲剤、酸キャッチャー等と称されることもあるが、本発明においてはこれらの呼称による差異なく用いることができる。
(金属不活性剤)
セルロースエステルフィルムには、金属不活性剤も含まれることも好ましい。金属不活性剤とは、酸化反応において開始剤あるいは触媒として作用する金属イオン不活性化する化合物を意味し、ヒドラジド系化合物、シュウ酸ジアミド系化合物、トリアゾール系化合物等が挙げられ、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2−ヒドロキシエチルシュウ酸ジアミド、2−ヒドロキシ−N−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ベンズアミド、N−(5−tert−ブチル−2−エトキシフェニル)−N′−(2−エチルフェニル)シュウ酸アミド等が挙げられる。
金属不活性剤は、透明基材フィルムの樹脂100質量%に対して、0.0002〜2質量%添加することが好ましく、さらに0.0005〜2質量%添加することが好ましく、さらに0.001〜1質量%添加することが好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。
(その他の添加剤)
セルロースエステルフィルムには、その他の添加剤として、例えば、染料、顔料、蛍光体、二色性色素、リタデーション制御剤、屈折率調整剤、ガス透過抑制剤、抗菌剤、生分解性付与剤などを添加しても良い。そして、これらの添加剤をセルロースエステルフィルムに含有させる方法としては、各々の材料を固体あるいは液体のまま混合し、加熱溶融し、混練して、均一な溶融物とした後、流延して、セルロースエステルフィルムを形成する方法であっても、予め全ての材料を溶媒等を用いて溶解して、均一溶液とした後、溶媒を除去して、添加剤とセルロースエステルフィルムの混合物で含有させても良い。
本発明による反射防止フィルムは、透明フィルム基材上に、2層以上の光学干渉層を設けた反射防止フィルムにおいて、高屈折率層に、導電性粒子と、導電性粒子とは組成の異なる無機粒子とを含有し、低屈折率層には、外殻層を有しかつ内部が多孔質または空洞である中空シリカ系粒子を含有することにより、耐擦傷性や密着性、および硬度が改善され、さらに高温高湿下での耐薬品性に優れた反射防止フィルムが得られるものである。
(偏光板)
本発明による反射防止フィルムを用いた偏光板について述べる。
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。本発明の反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した反射防止フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面に該反射防止フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。
本発明の反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは、面内リタデーション(Ro)が、20〜70nm、厚み方向リタデーション(Rt)が100〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)であることが好ましい。
なお、リタデーション値Ro、Rtは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
これらは例えば、特開2002−71957号、特願2002−155395号記載の方法で作製することができる。または、さらにディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号記載の方法で光学異方性層を形成することができる。あるいは面内リタデーション(Ro)が、0〜5nm、厚み方向リタデーション(Rt)が−20〜+20nmの無配向フィルムも好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2(コニカミノルタオプト株式会社製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本発明の反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
(表示装置)
本発明の反射防止フィルム面を表示装置の鑑賞面側に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することができる。
本発明の反射防止フィルムは、偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の反射防止フィルムは反射防止層の反射光の色ムラが著しく少なく、また、反射率が低く、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。
特に、本発明の反射防止フィルムを、プラズマディスプレイの前面板フイルターとして加工し、装着したプラズマディスプレイは、光干渉ムラもなく優れた視認性を有する表示装置である。また、30型以上の大画面のプラズマディスプレイ表示装置でも、色ムラや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果がある。また本発明の反射防止フィルムは、良好な帯電防止性も有しているものである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
本発明による反射防止フィルムを作製にあたり、まず、透明フィルム基材1を作製した。
(ドープ組成物1)
セルローストリアセテート(TAC) 100質量部
(平均酢化度61.0%)
トリフェニルフォスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製) 1質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製) 1質量部
メチレンクロライド 430質量部
メタノール 90質量部
上記の材料を密閉容器に投入し、加圧下で温度80℃に保温し、攪拌しながら完全に溶解して、ドープ組成物を得た。
つぎに、このドープ組成物を濾過し、冷却して温度33℃に保ち、ステンレスバンド上に均一に流延し、剥離が可能になるまで溶媒を蒸発させたところでステンレスバンドから剥離し、テンターで幅方向に1.1倍に延伸した後、多数のロールで搬送させながら乾燥させ、両端部に高さ10μmのナーリングを設けて巻き取り、透明なセルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材1を作製した。ここで、透明フィルム基材1は、膜厚40μm、幅1.5m、及び長さ3000mを有するものであった。
本透明フィルム基材1は、実施例1〜7、実施例10 、および比較例1〜4において使用した。
(ハードコート層)
上記透明フィルム基材に、下記のハードコート層用塗布組成物をダイコートし、80℃で乾燥の後、0.2J/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して硬化させ、膜厚12μmのハードコート層を形成しハードコートフィルムを作製した。
(ハードコート層用塗布組成物)
多官能アクリレート樹脂
A.ペンタエリスリトールトリアクリレート 30質量部
B.ペンタエリスリトールテトラアクリレート 45質量部
C.ウレタンアクリレート 10質量部
(U−4HA、新中村化学工業株式会社製)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 5質量部
(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)
ポリエーテル変成シリコーン(レベリング剤) 1.2質量部
(KF352A、信越化学工業社製)
リンドープ酸化スズ(PTO)の50%メタノール分散液 30質量部
(商品名セルナックスS501M、日産化学工業株式会社製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 5質量部
アセトン 80質量部
さらに、下記バックコート層用塗布組成物をウェット膜厚14μmとなるようにダイコートし、80℃にて乾燥し、巻き取り、バックコート層を設けた。
(バックコート層用塗布組成物)
ジアセチルセルロース 0.6質量部
アセトン 35質量部
メチルエチルケトン 35質量部
メタノール 35質量部
シリカ微粒子の2%メタノール分散液 16質量部
(KE−P30、日本触媒株式会社製)
(反射防止フィルムの作製)
上記作製したハードコートフィルム上に、下記のように低屈折率層よりなる反射防止層を塗設し、反射防止フィルムを作製した。
(低屈折率層の作製)
上記のハードコート層の表面上に、下記低屈折率層用塗布組成物をダイコートし、50℃で1分間乾燥させ、ついで紫外線を0.1J/cm照射して硬化させ、さらに120℃で1分間熱硬化させて、膜厚が85nmとなるように低屈折率層を設け、反射防止フィルムを作製した。
(低屈折率層用塗布組成物)
カチオン重合性化合物
A.エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物 6.5質量部
B.〔1−(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル 0.5質量部
C.含フッ素エポキシ化合物 2質量部
トリアリルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフィン塩 0.2質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子ゾル 6.9質量部
(固形分20%、触媒化成工業社製シリカゾル、商品名:
ELCOM V−8209)
シリコーン化合物の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液
0.9質量部
(商品名:FZ−2207、日本ユニカー株式会社製)
メチルイソブチルケトン 90質量部
メチルエチルケトン 30質量部
(エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の製造)
ここで、上記エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物は、つぎのようにして製造した。
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 94.5質量部
メチルイソブチルケトン 89.1質量部
0.1重量%水酸化カリウム水溶液 10.8質量部
上記の材料を反応容器に仕込み、80℃に昇温し、5時間反応させた。反応終了後、洗浄液が中性になるまで、0.5質量%酢酸水溶液を用いて水洗を繰り返した、ついで減圧下で溶媒を除去することにより、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物67質量部を得た。得られたアルコキシシラン化合物のエポキシ当量は164g/eq、屈折率1.472であった。
(含フッ素エポキシ化合物の製造)
また、上記含フッ素エポキシ化合物は、つぎのようにして製造した。
1,3−ジヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルベンゼン81.03gと、エピクロロヒドリン185gとを混合し、混合物に水酸化ナトリウム16.27gと水40mlを加え、撹拌下で加熱還流させた。温度130℃で3時間反応後、自然冷却し、生成した塩化ナトリウムを吸引濾過により除去した。得られた濾液をクロロホルム−水の溶液により抽出し、有機層を乾燥、濾過、濃縮することにより、含フッ素エポキシ化合物95.7gを得た。
実施例2〜6
上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、レベリング剤の種類とレベリング剤の添加量を、種々変化させて実施した。
ここで、用いたレベリング剤は、実施例2では、アクリル系界面活性剤(商品名BYK381、ビックケミー・ジャパン社製)、実施例3では、長鎖アルキル変成シリコーン(商品名KF413、信越化学工業社製)、実施例4では、カルビノール変成シリコーン(商品名KF6003、信越化学工業社製)、実施例5では、エーテル型非イオン性界面活性剤(商品名EM404、花王社製)、実施例6では、フッ素系界面活性剤(商品名BYK340、ビックケミー・ジャパン社製)である。
実施例7
上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、フィルム基材の膜厚、ハードコート層の膜厚、導電性微粒子量、レベリング剤の添加量を、実施例1の場合とは変化させて実施した。
実施例8
上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、ハードコート層の膜厚を、実施例1の場合とは変化させて実施した。
実施例9
上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、フィルム基材の種類と膜厚を、実施例1の場合とは変化させて実施した。
ここで、透明フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)(商品名ルミラーU34、東レ社製)を用いた。
実施例10と11
上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、実施例9ではフィルム基材の膜厚を、実施例10ではハードコート層の膜厚を、それぞれ実施例1の場合とは変化させて実施した。
実施例12
上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、透明フィルム基材として、アクリル樹脂+セルロースアセテートプロピオネート(CAP)を用いた。この透明フィルム基材の製造は下記の通りである。
(ドープ組成物2)
アクリル樹脂 70質量部
(ダイヤナールBR85、三菱レイヨン株式会社製)
セルロースアセテートプロピオネート(CAP) 30質量部
(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、
プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000)
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記ドープ組成物2を、加熱しながら十分に溶解し、ドープ液を作製した。ついで、作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃および2m幅のステンレスバンド製支持体上に均一に流延した。支持体上で、ウェブの残留溶剤量が100質量%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上からウェブを剥離した。
剥離したウェブを、温度35℃で、残りの溶媒を蒸発させ、ついで1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、温度135℃の乾燥装置で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10質量%であった。
テンターで延伸後、温度130℃で5分間緩和を行った後、温度120℃、ついで温度140℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら、乾燥を終了させ、得られたフィルムを1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、透明フィルム基材を得た。
ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。得られた透明フィルム基材の残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は60μm、巻長は4000mであった。
実施例13
上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、フィルム基材の種類と膜厚を、実施例1の場合とは変化させて実施した。
ここで、透明フィルム基材としては、アクリル樹脂(商品名テクノロイS001、住友化学社製)を用いた。
比較例1
比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、比較例1では、レベリング剤を使用しなかった。
比較例2と3
比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、比較例2と3では、それぞれレベリング剤の使用量を本発明の範囲外のものとした。
比較例4
比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、比較例4では、ハードコート層の膜厚を、本発明の範囲外とした。
比較例5と6
比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、反射防止フィルムを作製するが、下記の表1に示すように、比較例5と6では、透明フィルム基材の膜厚を、それぞれ本発明の範囲外とした。
Figure 2010097005
(反射防止フィルムの評価)
上記のようにして作製した本発明の実施例1〜13および比較例1〜6の各種反射防止フィルムについて、ハードコート層の塗布外観、ハードコート層に対する低屈折率層形成用塗布組成物の塗布性、反射防止フィルムのヘイズ、鉛筆硬度、アッシュテスト、および耐擦傷性を、下記のようにしてり評価し、得られた結果を下記の表2に示した。
(ハードコート層の塗布外観)
透明フィルム基材表面に、上記のハードコート層形成用塗布組成物を塗布後、所定の大きさのフィルム試料を裁断し、該試料について、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X 松下電器産業株式会社製)40W×2本を1セットとして、30cm間隔で10セット配置した天井下で、ハードコート塗布面を上側にし、ハードコート表面の蛍光灯の反射光を目視観察して、下記基準で、ハードコート層の塗布外観を評価した。得られた結果を下記の表2に示した。
◎:フィルム試料1m あたり100〜200μmの大きさのハジキが無く、
ベナードセルが無い
○:フィルム試料1m あたり100〜200μmの大きさのハジキがあり、
微小なベナードセルがある
×:フィルム試料1m あたり200μmを超える大きさのハジキがあり、
ベナードセルがある
ここで、ハジキとは、ハードコート層形成用塗布組成物の塗布直後〜乾燥過程で発生しかつクレーター状にハジいた点在する欠陥を示す。また、ベナードセルとは、塗膜の乾燥、硬化過程で生じる塗膜表面の特殊なセル構造の欠陥を示す。
(低屈折率層形成用塗布組成物の塗布性)
つぎに、ハードコート層に対する低屈折率層形成用塗布組成物の塗布性を、下記方法により評価した。
上記ハードコート層の表面に低屈折率層形成用塗布組成物を塗布して、反射防止フィルムを作製し、得られた反射防止フィルムを所定の大きさに裁断し、該フィルム試料の低屈折率層形成側と反対の面を、黒色のスプレーで蛍光灯の明かりが透過しない程度までで塗装した。ついで、光干渉式膜厚計(FE−3000、大塚電子社製)を用い、該反射防止フィルム試料の膜厚を幅手方向に20点測定し、下記式による低屈折率層の膜厚の面内膜厚差を算出して、塗布性の判定を、以下の基準で行った。
低屈折率層の面内膜厚差=低屈折率層の膜厚の最大値−同最小値
◎:面内膜厚差が、5nm以下
○:面内膜厚差が、5nmを超えて大きく、かつ10nm以下
×:面内膜厚差が、10nmを超えて大きい
得られた低屈折率層の膜厚の面内膜厚差、および低屈折率層の塗布性の判定結果を、下記の表2にあわせて示した。
(反射防止フィルムのヘイズ)
本発明の実施例1〜13および比較例1〜6の各種反射防止フィルムの試料をサンプリングし、その中から無作為に10箇所選んで、JIS K 6714に規定される方法に従って、ヘイズ メーター(1001DP型、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。
(鉛筆硬度)
本発明の実施例1〜13および比較例1〜6の各種反射防止フィルムの試料をサンプリングし、試料を温度25℃、湿度60%RHの環境下で2時間調湿した後、JIS K 5600−5−4に準拠して、引っ掻き試験を行った。1kgのおもりを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻きを5回場所を変えながら行ない、傷が1本になるまでの硬度を測定した。なおここでいう「傷」とは、塗膜の破れ、擦り傷、及び凹みを対象とした。数値が高いほど高硬度を示す。
(アッシュテスト)
本発明の実施例1〜13および比較例1〜6の各種反射防止フィルム試料の表面を粘着ハンドクリーンローラー(オサダコーポレーション社製、ソフトタイプ)で3回転がした後に、該表面をたばこの灰(アッシュ)に1cmまで近づけ、たばこの灰の付着の有無を確認した。なお、反射防止フィルム試料の導電性が良好で、反射防止フィルム試料が帯電しない状態では、灰(アッシュ)の付着は見られない。
○:灰の付着は見られない
×:灰が塗布表面に付着
(耐擦傷性)
本発明の実施例1〜13および比較例1〜6において、低屈折率層まで形成した反射防止フィルムサンプルを、温度85℃、湿度95%RHの条件下で、500時間処理を行ったサンプルについて、耐擦傷性評価を実施した。サンプルは塗布幅全長に渡り10cm間隔で、5cm(MD方向)×10cm(TD方向)の大きさに切り出し、日本スチールウール株式会社製ボンスター#0000のスチールウール(SW)に500g/cmの荷重をかけ、10往復したときの1cm幅当たりの傷の本数を測定した。フィルム幅手方向での傷の本数バラツキにより、以下の基準で評価した。なお、傷の本数は荷重をかけた部分の中で最も傷の本数の多い所で測定した。
◎:フィルム幅手方向で傷の本数が5本/cm幅以下
○:フィルム幅手方向で傷の本数が6〜10本/cm幅
△:フィルム幅手方向で傷の本数が11〜15本/cm幅
×:フィルム幅手方向で傷の本数が16本/cm幅以上
Figure 2010097005
上記表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜12で得られた反射防止フィルムでは、低屈折率層の面内膜厚差が小さく、反射防止性能の均一性が高い。さらに、フィルム幅手方向での耐久試験後の耐擦傷性の傷本数のバラツキが小さく、耐久試験後の耐擦傷性もフィルム全面において良好であることが分かる。
これに対し、比較例1〜6で得られた反射防止フィルムでは、低屈折率層の面内膜厚差が大きく、反射防止性能が不均一となり画像の視認性が劣る。また、耐久試験後の耐擦傷性が、フィルム幅手方向で大きく、フィルム面内の耐久性能が不均一であり、劣る。
(偏光板の作製)
つぎに、本発明の実施例1〜13および比較例1〜6で作製した各種反射防止フィルムと、セルロースエステル系光学補償フィルムであるKC4FR−1(コニカミノルタオプト株式会社製)の各々1枚を、偏光板用保護フィルムとして用いて、下記のようにして、偏光板を作製した。
(偏光フィルムの作製)
けん化度99.95モル%、重合度2400のポリビニルアルコール(以下PVAと略す)100質量部に、グリセリン10質量部及び水170質量部を含浸させたものを溶融混錬し、脱泡後、Tダイから金属ロール上に溶融押し出しし、製膜した。その後、乾燥、熱処理してPVAフィルムを得た。得られたPVAフィルムは平均厚みが40μm、水分率が4.4%、フィルム幅が3mであった。
このPVAフィルムを予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光フィルムを作製した。
すなわち、上記のPVAフィルムを、30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.4g/L、ヨウ化カリウム濃度40g/Lの35℃の水溶液中に3分間浸した。ついで、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中でフィルムにかかる張力が700N/mの条件下で6倍に一軸延伸を行ない、ヨウ化カリウム濃度40g/L、ホウ酸濃度40g/L、塩化亜鉛濃度10g/Lの30℃の水溶液中に5分間浸して固定処理を行なった。その後、PVAフィルムを取り出し、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行なった。得られた偏光フィルムは平均厚みは、15μmであった。
ついで、下記の工程1〜工程5に従って、偏光フィルムと偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて、偏光板を作製した。
工程1:光学補償フィルムと反射防止フィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に、温度60℃で、90秒間浸漬し、ついで水洗、乾燥させた。反射防止フィルムの反射防止層を設けた面には、予め剥離性の保護フィルム(PET製)を張り付けて保護した。
工程2:ついで、偏光フィルムを、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光フィルムに付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理した光学補償フィルムと反射防止フィルムで挟み込んで、積層配置した。
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cmの圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。
工程5:80℃の乾燥機中にて、工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、偏光板を作製した。
(試験用液晶表示パネルの作製)
ついで、市販の液晶表示パネル(VA型)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに上記作製した本発明の実施例1〜13および比較例1〜6の各種反射防止フィルムを用いた偏光板を張り付けた。
(液晶表示パネルの視認性の評価)
上記のようにして得られた液晶パネルを床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X 松下電器産業株式会社製)40W×2本を1セットとして1.5m間隔で10セット配置した。
ここで、評価者が液晶パネル表示面正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に前記蛍光灯がくるように配置した。液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が写り込むようにして画面の見易さ(視認性)を下記のようにランク評価した。得られた結果を上記の表2にあわせて示した。
A:最も近い蛍光灯の写り込みから気にならず、フォントの大きさ8以下の
文字もはっきりと読める
B:近くの蛍光灯の写り込みはやや気になるが、遠くは気にならず、フォント の大きさ8以下の文字もなんとかと読める
C:遠くの蛍光灯の写り込みも気になり、フォントの大きさ8以下の文字を
読むのは困難である
D:蛍光灯の写り込みがかなり気になり、写り込みの部分はフォントの大きさ 8以下の文字を読むことはできない
上記表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜13の反射防止フィルム、及び偏光板を用いた液晶パネルは、いずれもB以上の評価結果であり、視認性が良好であった。これに対し、比較例1〜6の反射防止フィルム、および偏光板を用いた比較用の液晶パネルは、いずれもC以下の評価結果であり、視認性が劣るものであった。

Claims (8)

  1. 膜厚12〜80μmを有する透明フィルム基材の表面上に、膜厚8〜30μmを有しかつリンドープ酸化スズよりなる導電性微粒子を含むハードコート層と、膜厚70〜120nmを有しかつカチオン重合性バインダーを含む低屈折率層とをこの順で積層する反射防止フィルムの製造方法であって、
    ハードコート層形成用塗布組成物中に0.2〜2.0質量%のレベリング剤が添加されていることを特徴とする、反射防止フィルムの製造方法。
  2. レベリング剤が、アクリル系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エーテル型非イオン性界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤よりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  3. 透明フィルム基材が、ポリエチレンフタレート(PET)樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、セルロースエステル樹脂フィルム、またはアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の混合樹脂フィルムよりなるものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  4. 透明フィルム基材が、溶液流延製膜法または溶融流延製膜法によって作製されたものであることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  5. ハードコート層が、少なくとも1種の多官能アクリレート樹脂を含有する紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の反射防止フィルムの製造方法によって製造され、かつ下記式で表わされる低屈折率層の面内膜厚差が、10nm以下であることを特徴とする、反射防止フィルム。
    低屈折率層の面内膜厚差=低屈折率層の膜厚の最大値−同最小値
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射防止フィルムを一方の面に用いることを特徴とする、偏光板。
  8. 請求項7に記載の偏光板を用いることを特徴とする、表示装置。
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