JPWO2008105117A1 - 防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、これらを用いた偏光板、及び表示装置 - Google Patents

防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、これらを用いた偏光板、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、液晶ディスプレイの広視野角化、高精細化などの表示デバイスとしての見やすさを追求するために、液晶ディスプレイ表面すなわち偏光板表面の表面反射によるコントラストの低下を防ぎ、防眩性と視認性をバランス良く満たす光学特性、耐久保存後の膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)に優れた防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、これらを用いた偏光板、及び表示装置を提供する。本発明の透明フィルム基材上に防眩層を有する防眩性フィルムは、防眩層が少なくとも1種の硬化性樹脂、及び少なくとも1種のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有することを特徴とする。また、硬化性樹脂は紫外線硬化型アクリレート系樹脂であることが好ましく、フッ素含有アクリル樹脂微粒子はフッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子であることが好ましい。

Description

本発明は、防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、これらを用いた偏光板、及び表示装置に関するものである。
各種のディスプレイのひとつに液晶ディスプレイがある。液晶ディスプレイの広視野角化、高精細化などの表示デバイスとしての見やすさを追求していくと、液晶ディスプレイ表面、すなわち偏光板表面の表面反射によるコントラストの低下が無視できなくなっている。とりわけ、屋外での使用頻度の高いカーナビゲーション用モニターやビデオカメラ用モニターは、表面反射による視認性の低下が顕著である。
このため、これらの機器に装着されている偏光板には、反射防止膜が必要不可欠になりつつあり、屋外使用頻度の高い液晶ディスプレイにあっては、ほとんど防眩処理が施された偏光板が使用されているのが実情である。
防眩処理は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことにより、反射像の視認性を低下して表示装置使用時の反射像の映り込みを低減するものである。一般に、サンドブラスト、エンボスロール、化学エッチングなどの適宜の方式で粗面化処理して表面に微細凹凸構造を付与したもの、金型による転写方式などにて表面に微細凹凸構造を付与したもの、樹脂層中に微粒子を分散含有させて表面に微細凹凸構造を付与したものがあり、表面の凹凸構造にて可視光領域の反射光を散乱させるような設計が行なわれている。
これらの防眩処理の中でも、樹脂層中に微粒子を分散含有させる方法は、微細凹凸構造を簡単に付与できるので、望ましい。
特許文献1には、透明フィルム基材上に、放射性硬化型樹脂、平均粒径10μm以下の微粒子およびチクソトロピー化剤を分散させた分散液を塗布し、乾燥硬化させることにより、表面に微細凹凸構造を持つ防眩層を形成した例が報告されている。
特許文献2と特許文献3には、樹脂層中に微粒子を分散含有させて防眩層を形成した例は、数多く報告されている。しかし、これらの防眩処理では、いずれも反射像の映り込み低減効果の点で十分に満足できなかった。
特許文献4には、紫外線硬化樹脂と架橋アクリルビーズからなる防眩性フィルムが記載されている。これは0.5乃至6.0μmの比較的小さい粒子を用いてなおかつ粒子の分散性を良化することによりなされている。これは一つ一つの凹凸を小さくして、曲率は大きくすることにより、焦点の位置を全体として平均的に手前に設計していると推測される。
また、特許文献5には、防眩層が樹脂と屈折率差のある粒子を含み表面の凹凸形状の中心線平均粗さ(Ra)、及び十点平均粗さ(Rz)を規定し、明室での反射像の映り込み低減効果と面ギラツキの防止の両立を図ったものが開示されている。
特開平10−219136号公報 特開2002−202402号公報 特開2002−60735号公報 特開平10−264284号公報 特開2000-338310号公報
しかしながら、従来の方法では、ある程度までは反射像の映り込み低減が低減できるものの、明室でフィルム基材表面が白くなる白ボケの問題は解消されなかった。また、耐久保存後の膜強度が劣化するという問題があった。
このように、従来技術では反射像の映り込みの低減や白ボケの抑制といった視認性と耐久保存後の膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)、及び防眩層に積層した際の上層との密着性を満足できるものは、見出されておらず、液晶ディスプレイなどにおいて、このような特性を具備する防眩性フィルムの出現が強く望まれていた。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、防眩性と視認性をバランス良く満たす光学特性、耐久保存後の膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)に優れた防眩性フィルム、防眩性反射防止フィルム、これらを用いた偏光板、及び表示装置を提供することにある。
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、防眩性フィルムの防眩層が、少なくとも1種の硬化性樹脂、及び少なくとも1種のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有することにより、上記の従来技術の問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
上記の目的を達成するために、請求の範囲第1項の発明は、透明フィルム基材上に防眩層を有する防眩性フィルムであって、防眩層が少なくとも1種の硬化性樹脂、及び少なくとも1種のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有することを特徴としている。
請求の範囲第2項の発明は、請求の範囲第1項に記載の防眩性フィルムであって、硬化性樹脂が、紫外線硬化樹脂であることを特徴としている。
請求の範囲第3項の発明は、請求の範囲第1項または第2項に記載の防眩性フィルムであって、硬化性樹脂が、紫外線硬化型アクリレート系樹脂であることを特徴としている。
請求の範囲第4項の発明は、請求の範囲第1項〜第3項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、フッ素含有アクリル樹脂微粒子が、フッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子であることを特徴としている。
請求の範囲第5項の発明は、請求の範囲第1項〜第4項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、フッ素含有アクリル樹脂微粒子の平均粒子径が、5nm〜30μmの範囲であることを特徴としている。
請求の範囲第6項の発明は、請求の範囲第1項〜第5項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、フッ素含有アクリル樹脂微粒子の含有量が、前記硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜500質量部の範囲であることを特徴としている。
請求の範囲第7項の発明は、請求の範囲第1項〜第6項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、透明フィルム基材が、セルロースエステルフィルムを主材とすることを特徴としている。
請求の範囲第8項の発明は、請求の範囲第1項〜第7項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、透明フィルム基材が、セルロースエステル、糖エステル化合物、及びアクリル系ポリマーとからなるものであることを特徴としている。
この場合、透明フィルム基材が、セルロースエステルと、フラノース構造およびピラノース構造から選ばれる少なくとも一種の構造が1〜12個結合した糖化合物をエステル化した糖エステル化合物と、重量平均分子量が500以上、30000以下であるアクリル系ポリマーとからなるものであることが好ましい。
請求の範囲第9項の発明は、請求の範囲第1項〜第8項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、防眩層の厚さが、0.5〜50μmの範囲であることを特徴としている。
請求の範囲第10項の防眩性反射防止フィルムの発明は、請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムの防眩層上に、内部が多孔質または空洞である少なくとも1種の中空シリカ微粒子を含有する低屈折率層が積層されていることを特徴としている。
請求の範囲第11項の発明は、請求の範囲第10項に記載の防眩性反射防止フィルムであって、防眩層と低屈折率層との間に、高屈折率層が介在させられていることを特徴としている。
請求の範囲第12項の発明は、請求の範囲第10項または第11項に記載の防眩性反射防止フィルムであって、中空シリカ微粒子の表面に、炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合していることを特徴としている。
請求の範囲第13項の偏光板の発明は、請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムを一方の面に用いることを特徴としている。
請求の範囲第14項の偏光板の発明は、請求の範囲第10項〜第12項のうちのいずれか一項に記載の防眩性反射防止フィルムを一方の面に用いることを特徴としている。
請求の範囲第15項の表示装置の発明は、請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムを用いることを特徴としている。
請求の範囲第16項の表示装置の発明は、請求の範囲第10項〜第12項のうちのいずれか一項に記載の防眩性反射防止フィルムを用いることを特徴としている。
請求の範囲第17項の表示装置の発明は、請求の範囲第13項または第14項に記載の偏光板を用いることを特徴としている。
請求の範囲第1項の発明は、透明フィルム基材上に防眩層を有する防眩性フィルムであって、防眩層が少なくとも1種の硬化性樹脂、及び少なくとも1種のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有するもので、請求の範囲第1項の防眩性フィルムの発明によれば、防眩性と視認性をバランス良く満たす光学特性、耐久保存後の膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)に優れているという効果を奏する。
請求の範囲第2項の発明は、請求の範囲第1項に記載の防眩性フィルムであって、硬化性樹脂が、紫外線硬化樹脂であるもので、請求の範囲第2項の防眩性フィルムの発明によれば、特に上記した効果を奏する。
請求の範囲第3項の発明は、請求の範囲第1項または第2項に記載の防眩性フィルムであって、硬化性樹脂が、紫外線硬化型アクリレート系樹脂であるもので、請求の範囲第3項の防眩性フィルムの発明によれば、特に上記した効果を奏する。
請求の範囲第4項の発明は、請求の範囲第1項〜第3項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、フッ素含有アクリル樹脂微粒子が、フッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子であるもので、請求の範囲第4項の防眩性フィルムの発明によれば、特に上記した効果を奏する。
請求の範囲第5項の発明は、請求の範囲第1項〜第4項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、フッ素含有アクリル樹脂微粒子の平均粒子径が、5nm〜30μmの範囲であるもので、請求の範囲第5項の防眩性フィルムの発明によれば、特に上記した効果を奏する。
請求の範囲第6項の発明は、請求の範囲第1項〜第5項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、フッ素含有アクリル樹脂微粒子の含有量が、前記硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜500質量部の範囲であるもので、請求の範囲第6項の防眩性フィルムの発明によれば、特に上記した効果を奏する。
請求の範囲第7項の発明は、請求の範囲第1項〜第6項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、透明フィルム基材が、セルロースエステルフィルムを主材とするもので、請求の範囲第7項の防眩性フィルムの発明によれば、特に上記した効果を奏する。
請求の範囲第8項の発明は、請求の範囲第1項〜第7項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、透明フィルム基材が、セルロースエステル、糖エステル化合物、及びアクリル系ポリマーとからなるもので、請求の範囲第8項の防眩性フィルムの発明によれば、より過酷な耐久性試験においても、優れた膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)、及び優れた視認性を有するものであるという効果を奏する。
請求の範囲第9項の発明は、請求の範囲第1項〜第8項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムであって、防眩層の厚さが、0.5〜50μmの範囲であるもので、請求の範囲第9項の防眩性フィルムの発明によれば、特に上記した効果を奏する。
請求の範囲第10項の防眩性反射防止フィルムの発明は、請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムの防眩層上に、内部が多孔質または空洞である中空シリカ微粒子を含有する低屈折率層が積層されているもので、このような中空シリカ微粒子を含有した低屈折率層が積層された請求の範囲第10項の防眩性反射防止フィルムの発明によれば、優れた反射防止性を有するとともに、耐久性試験後の優れた密着性を有するという効果を奏する。
請求の範囲第11項の発明は、請求の範囲第10項に記載の防眩性反射防止フィルムであって、防眩層と低屈折率層との間に、高屈折率層が介在させられているもので、請求の範囲第11項の発明によれば、優れた反射防止性を有するとともに、耐久性試験後の優れた密着性を有するという効果を奏する。
請求の範囲第12項の発明は、請求の範囲第10項または第11項に記載の防眩性反射防止フィルムであって、中空シリカ微粒子の表面に、炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合しているもので、請求の範囲第12項の防眩性反射防止フィルムの発明によれば、より過酷な耐久性試験においても、優れた膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)、及び優れた視認性を有するものであるという効果を奏する。
請求の範囲第13項の偏光板の発明は、請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性と視認性をバランス良く満たす防眩性フィルムを一方の面に用いるものであるから、請求の範囲第13項の偏光板の発明によれば、光の写り込みが気にならず、視認性に優れるという効果を奏する。
請求の範囲第14項の偏光板の発明は、請求の範囲第10項〜第12項のうちのいずれか一項に記載の防眩性と視認性、及び反射防止性をバランス良く満たす防眩性反射防止フィルムを一方の面に用いるものであるから、請求の範囲第14項の偏光板の発明によれば、優れた反射防止性と、光の写り込みが気にならず、視認性に優れるという効果を奏する。
請求の範囲第15項の表示装置の発明は、請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性と視認性をバランス良く満たす防眩性フィルムを用いるものであるから、請求の範囲第15項の表示装置の発明によれば、光の写り込みが気にならず、視認性に優れているという効果を奏する。
請求の範囲第16項の表示装置の発明は、請求の範囲第10項〜第12項のうちのいずれか一項に記載の防眩性反射防止フィルムを用いるものであるから、請求の範囲第16項の表示装置の発明によれば、優れた反射防止性と、光の写り込みが気にならず、視認性に優れるという効果を奏する。
請求の範囲第17項の表示装置の発明は、請求の範囲第13項または第14項に記載の偏光板を用いるもので、請求の範囲第17項の表示装置の発明によれば、光の写り込みが気にならず、視認性に優れており、また、優れた反射防止性を有するという効果を奏する。
本発明に係る偏光板保護フィルムの製造方法を実施する装置の1つの実施形態を示す概略フローシートである。 図の製造装置の要部拡大フローシートである。 図3(a)は流延ダイの要部の外観図、図3(b)は流延ダイの要部の断面図である。 挟圧回転体の具体例を示す断面図である。 挟圧回転体の具体例のいま1つを示す回転軸に垂直な平面での断面図である。 図5の挟圧回転体の回転軸を含む平面での断面図である。 1周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。 2周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。 ロール電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
符号の説明
4 流延ダイ
5 第1冷却ロール
6 タッチロール
7 第2冷却ロール
8 第3冷却ロール
10 フィルム
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明による防眩性フィルムは、透明フィルム基材上に防眩層を有する防眩性フィルムであって、防眩層が少なくとも1種の硬化性樹脂、及び少なくとも1種のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有することを特徴としている。
ここで、防眩性とは、フィルム基材表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置等の使用時に、反射像の映り込みが気にならないようにするものである。フィルム基材表面に適切な凹凸を設けることによって、このような性質を持たせることができる。
また、本発明の防眩性フィルムは反射像の映り込みを効率的に行うため、画像表示装置等の最表層に設置される。このため、照明カバーや液晶ディスプレイのバックライト等の光源の光拡散性シートとは用途が異なる。
フィルム基材表面に、このような凹凸を形成する方法としては、透明フィルム基材への加工、防眩層の塗設等がある。
本発明で言うフィルム基材表面の凹凸形状としては、直円錐、斜円錐、角錐、斜角錐、楔型、凸多角体、半球状等から選ばれる構造、並びにそれらの部分形状を有する構造が挙げられる。なお、半球状は、必ずしもその表面形状は真球形状である必要はなく、楕円体形状や、より変形した凸曲面形状であってもよい。また、凹凸形状の稜線が線状に伸びた、プリズム形状、レンチキュラーレンズ形状、フレネルレンズ形状も挙げられる。その稜線から谷線にかけての斜面は平面状、曲面状、もしくは両者の複合的形状であってもよい。
本発明による防眩性フィルムの防眩層は、JIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さ(Ra)が15nm以上のことであり、好ましくは15nm〜3000nmのことであり、光学特性が良好な防眩性を示す凹凸形状から更に好ましくは80〜2000nmである。Raが15nm未満では防眩性の効果が弱く、3000nmを超えると目視で粗すぎる印象を受けやすい。算術平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えば光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を用いて測定することができる。また、平均頂部間隔Smは20〜150μm程度が好ましい。JIS B 0601に準拠した十点平均粗さRzは、0.1〜3、好ましくは0.15〜2、さらに好ましくは0.2〜1(特に0.3〜0.9)である。平均頂部間隔Smと十点平均粗さRzとの比(Rz/Sm)は、0.005〜0.02、好ましくは0.006〜0.018、さらに好ましくは0.006〜0.015である。
なお、Rz及びSmの値は、三次元的に凹凸構造を測定可能な装置システム(原子間力顕微鏡システム、触針段差測定システム、共焦点レーザー顕微鏡解析システムなど)による解析結果から算出できる。
本発明による防眩性フィルムの防眩層は、防眩層用塗布組成物を基材上に塗布することにより得られる塗膜を乾燥させることによって、フィルム基材表面に凹凸形状を形成するものである。
さらに、防眩性を付与するために、以下の防眩層形成方法、及び後述する透明フィルム基材の表面に凹凸形状を形成する方法を併用してもよい。
(1)ロールや原盤に目的とする形状のネガ型を形成しておき、エンボスにて形状を付与する方法。
(2)ロールや原盤に目的とする形状のネガ型を形成しておき、熱硬化性樹脂をネガ型に充填し、加熱硬化後ネガ型から剥離する方法。
(3)ロールや原盤に目的とする形状のネガ型を形成しておき、紫外線または電子線硬化樹脂を塗布し凹部に充填後、樹脂液を介して凹版上に透明フィルム基材を被覆したまま紫外線または電子線を照射し、硬化させた樹脂とそれが接着した透明フィルム基材とをネガ型から剥離する方法。
(4)目的とする形状のネガ型を流延ベルトに形成しておき、キャスティング時に目的とする形状を付与する溶剤キャスト法。
(5)光または加熱により硬化する樹脂を透明基板に凸版印刷し、光または加熱により硬化して凹凸を形成する方法。
(6)透明フィルム基材表面に光または加熱して硬化する樹脂をインクジェット法により印刷し、光または加熱により硬化して透明フィルム基材表面を凹凸形状にする方法。
(7)透明フィルム基材表面に光または加熱して硬化する樹脂をインクジェット法により印刷し、光または加熱により硬化して凹凸形状を形成し、さらに透明樹脂層にて被覆する方法。
(8)表面を工作機械等で切削加工する方法。
(9)球、多角体等各種形状の粒子を、透明フィルム基材表面に半ば埋没する程度に押し込んで一体化し、透明フィルム基材表面を凹凸形状にする方法。
(10)球、多角体等各種形状の粒子を少量のバインダーに分散したものを透明フィルム基材表面に塗布し、透明フィルム基材表面を凹凸形状にする方法。
(11)透明フィルム基材表面に、バインダーを塗布し、その上に球、多角体等各種形状の粒子を散布し、透明フィルム基材表面を凹凸形状にする方法。
(12)透明フィルム基材表面に鋳型を押し当てて凹凸を形成する方法。具体的には特開2005−156615号公報記載の方法。
上記のフィルム基材表面に凹凸形状を形成する方法の中でも、ネガ型を形成する方法やインクジェット法との併用が効果的である。
本発明による防眩性フィルムの防眩層には、少なくとも1種の硬化性樹脂、及び少なくとも1種のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有するもので、これら両者を含むことで、防眩性フィルムの耐久保存後の膜強度、積層時の上層との密着性、及び反射像の映り込みの低減や白ボケの抑制といった視認性の効果が発現される。
また、本発明における防眩性フィルムは、画像表示装置等の最表面に設けられる事から、ハードコート性が求められる。また、ハードコート性としては鉛筆硬度が3H〜8Hであることが好ましく、特に好ましくは4H〜6Hである。鉛筆硬度は、作製した防眩性フィルム試料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
本発明による防眩性フィルムの防眩層を形成するための防眩層用塗布組成物について、説明する。
防眩層用塗布組成物には、硬化性樹脂とフッ素含有アクリル樹脂微粒子が含まれる。
硬化性樹脂とは、好ましくは活性エネルギー線硬化樹脂であり、活性エネルギー線硬化樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、特に、紫外線硬化樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂等の紫外線硬化型アクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が耐久保存後の膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)に優れる効果を奏する点から好ましい。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば特開昭59−151110号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂としては、ユニディック17−806(大日本インキ化学工業株式会社製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン株式会社製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これら紫外線硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等、及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光重合開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系樹脂の光重合開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化性樹脂に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であり、好ましくは1〜15質量部である。
また、その他アクリレート系モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、イソボルニルアクリレート等を挙げることができる。また、特開2006−3647号公報記載のモノマーも好ましく用いることができる。
本発明において使用し得る紫外線硬化樹脂の市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化株式会社製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学株式会社製);セイカビームPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業株式会社製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー株式会社製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業株式会社製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料株式会社製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業株式会社製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子株式会社製);RCC−15C(グレース・ジャパン株式会社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成株式会社製);NKハードB−420、NK エステル A−IB、B−500(新中村化学工業株式会社製)等を適宜選択して利用できる。
また、硬化性樹脂には熱硬化性樹脂も含まれる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリアミドイミドなどを挙げることができる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えばオルソフタル酸系樹脂、イソフタル酸系樹脂、テレフタル酸系樹脂、ビスフェノール系樹脂、プロピレングリコール−マレイン酸系樹脂、ジシクロペンタジエンないしその誘導体を不飽和ポリエステル組成に導入して低分子量化した、あるいは被膜形成性のワックスコンパウンドを添加した低スチレン揮発性樹脂、熱可塑性樹脂(ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリスチレン、飽和ポリエステルなど)を添加した低収縮性樹脂、不飽和ポリエステルを直接Brでブロム化する、あるいはヘット酸、ジブロムネオペンチルグリコールを共重合するなどした反応性タイプ、塩素化パラフィン、テトラブロムビスフェノール等のハロゲン化物と三酸化アンチモン、燐化合物の組み合わせや水酸化アルミニウムなどを添加剤として用いる添加タイプの難燃性樹脂、ポリウレタンやシリコーンとハイブリッド化、またはIPN化した強靭性(高強度、高弾性率、高伸び率)の強靭性樹脂等がある。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型、ノボラックフェノール型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型を含むグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系、グリシジルエステル系、環式脂肪系、複素環式エポキシ系を含む特殊エポキシ樹脂等を挙げることができる。
ビニルエステル樹脂としては、例えば普通エポキシ樹脂とメタクリル酸等の不飽和一塩基酸とを開環付加反応して得られるオリゴマーを、スチレン等のモノマーに溶解した物がある。また分子末端や側鎖にビニル基を持ちビニルモノマーを含有する等の特殊タイプもある。
グリシジルエーテル系エポキシ樹脂のビニルエステル樹脂としては、例えばビスフェノール系、ノボラック系、臭素化ビスフェノール系等があり、特殊ビニルエステル樹脂としては、ビニルエステルウレタン系、イソシアヌル酸ビニル系、側鎖ビニルエステル系等がある。
フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒド類を原料として重縮合して得られ、レゾール型とノボラック型がある。
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えばマレイン酸系ポリイミド、例えばポリマレイミドアミン、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミド・O,O′−ジアリルビスフェノール−A樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂等、またナジック酸変性ポリイミド、及びアセチレン末端ポリイミド等がある。
つぎに、フッ素含有アクリル樹脂微粒子について説明する。
フッ素含有アクリル樹脂微粒子としては、例えばフッ素含有のアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルのモノマーまたはポリマーから形成された微粒子である。フッ素含有のアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの具体例としては、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル)(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートが挙げられる。
また、フッ素含有アクリル樹脂微粒子の中でも、2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートからなる微粒子、フッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子、フッ素含有メタアクリル酸を架橋剤の存在下にビニル単量体と共重合させた微粒子が好ましく、さらに好ましくはフッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子である。
フッ素含有(メタ)アクリル酸と共重合可能なビニル単量体としては、ビニル基を有するものであればよく、具体的にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル、及びスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類等が挙げられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。重合反応の際に用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、2個以上の不飽和基を有するものを用いることが好ましく、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の2官能性ジメタクリレートや、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
なお、本発明において、フッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子を製造するための重合反応は、ランダム共重合およびブロック共重合のいずれでもよい。具体的には、例えば特開2000−169658号公報に記載の方法なども挙げることができ、市販品としては、例えば日本ペイント製:FS−701、根上工業製:MF−0043等の市販品が挙げられる。なお、これらのフッ素含有アクリル樹脂微粒子は、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのフッ素含有アクリル樹脂微粒子の状態は、粉体あるいはエマルジョン等、どのような状態で加えられても良い。
なお、上記フッ素含有アクリル樹脂微粒子は、例えば特開2003−335956号公報、特開2006−348208号公報に記載されている。これら文献は照明カバーや液晶ディスプレイのバックライト等の光源の光拡散性シートに関した用途であり、本発明の防眩性フィルムにおける使用による効果は従来では知りえない。
高速塗布時のレベリング性や取り扱い性から塗工液の液粘度を下げるため、固形濃度を低くした方が良いが、このような状態での塗工液の安定性、また良好な分散性が得られることから、フッ素含有アクリル樹脂微粒子の平均粒子径としては、5nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。さらに好ましくは、10nm〜15μmである。平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
また、塗工液の安定性及び分散液の分散性から、防眩層に含まれるフッ素含有アクリル樹脂微粒子の含有量としては、上記活性エネルギー線硬化樹脂100質量部に対して、0.01〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜100質量部であり、特に好ましくは1〜30質量部である。
また、防眩層には、その他の有機微粒子や無機微粒子を含有しても良い。その他の有機微粒子の具体例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、メラミンポリマー、ベンゾグアナミン、またはポリウレタン系微粒子等が挙げられる。
ポリスチレン系微粒子としては、例えば綜研化学製;SX−130H、SX−200H、SX−350H)、積水化成品工業製、SBXシリーズ(SBX−6、SBX−8)等の市販品を挙げられる。
メラミンポリマー系微粒子としては、例えば、日本触媒製:ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;M30、商品名:エポスターGP、グレード;H40〜H110)、日本触媒製:メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;S12、S6、S、SC4)等の市販品を挙げられる。
また、コアがメラミン系樹脂からなり、シェルがシリカで充填されたコア−シェル型の球状複合硬化メラミン樹脂粒子等も挙げられる。特に可視光に対する粒子の光散乱特性や光反射特性等の点からシェルを構成するシリカはコロイダルシリカが好ましく、平均粒子径は5〜70nmが好ましい。該シェルの層厚みは80〜400nmであることが好ましい。また、具体的には特開2006−171033号公報に記載の方法で作製することができ、日産化学工業製:メラミン樹脂・シリカ複合粒子(商品名;オプトビーズ)等の市販品を挙げられる。
ポリメチルメタクリレート系微粒子としては、例えば、綜研化学製;MX150、MX300、日本触媒製;エポスターMA、グレード;MA1002、MA1004、MA1006、MA1010、エポスターMX(エマルジョン)、グレード;MX020W、MX030W、MX050W、MX100W)、積水化成品工業製:MBXシリーズ(MBX−8、MBX12)等の市販品を挙げられる。
また、アクリルとスチレンが架橋した有機微粒子も挙げられ、具体例としては、例えば日本ペイント製:FS―102、FS−401、FS−201、MG−351等の市販品が挙げられる。
ベンゾグアナミン系微粒子としては、例えば日本触媒製:ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物(商品名:エポスター、グレード;L15、M05、MS、SC25)等が挙げられる。
ポリウレタン系微粒子としては、例えば大日精化製ダイミックビーズ、またエチレン・メチルメタクリラート共重合物等が挙げられる。
無機微粒子としては、シリカ微粒子が挙げられ、例えば日本アエロジル製、アエロジル200、200V、300、デグサ製、アエロジルOX50、TT600、富士シリシア化学製、サイリシア350等の商品名が挙げられる。
なお、その他の微粒子は、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これら微粒子の状態は粉体あるいはエマルジョン等どのような状態で加えられても良い。
その他、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物も加えることができる。また、必要に応じてさらに特開2000−241807号公報に記載の微粒子を含んでも良い。
なお、上記微粒子は、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これら微粒子の状態は粉体あるいはエマルジョン等、どのような状態で加えられても良い。
必要に応じて、その他種々の添加剤を添加することができる。具体的には、シリコーン界面活性剤、フッ素界面活性剤、ポリオキシエーテル化合物、アクリル系共重合物、アセチレングリコール系化合物またはラジカル重合性の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。なお、これらは併用しても良い。
シリコーン界面活性剤またはフッ素界面活性剤としては、後述の低屈折率層に記載のフッ素系またはシリコーン界面活性剤等が挙げられる。
ポリオキシエーテル化合物としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシアルキルフェニルエーテル化合物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等が挙げられる。これら非イオン性のポリオキシエーテル化合物の中ではポリオキシエチレンオレイルエーテル化合物が好ましい。
ポリオキシエチレンオレイルエーテル化合物としては、一般的に下記の一般式(1)で表わされる化合物である。
1835−O(C40)nH …(1)
式中、nは2〜40を表わす。
オレイル部分に対するエチレンオキシドの平均付加個数(n)は、2〜40であり、好ましくは2〜10である。また一般式(1)の化合物はエチレンオキシドとオレイルアルコールとを反応させて得られる。
具体的商品としては、エマルゲン404〔ポリオキシエチレン(4)オレイルエーテル〕、エマルゲン408〔ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル〕、エマルゲン409P〔ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル〕、エマルゲン420〔ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル〕、エマルゲン430〔ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル〕;以上は花王社製、日本油脂製NOFABLEEAO−9905〔ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル〕等が挙げられる。なお、( )内が、nの数字を表す。
アクリル系共重合物としては、具体的には、BYK−361N、BYK−357,BYK−354(以上、ビックケミージャパン株式会社社製)などが挙げられる。
アセチレングリコール系化合物としては、具体的には、サーフィノール104E、サーフィノール104PA、サーフィノール420、サーフィノール440、ダイノール604(以上、日信化学工業株式会社社製)などが挙げられる。
ラジカル重合性の非イオン性界面活性剤としては、例えば、「RMA−564」、「RMA−568」、「RMA−1114」[以上、商品名、日本乳化剤株式会社製]等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系重合性界面活性剤などを挙げることができる。
上記した界面活性剤の添加剤の添加量としては、硬化性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜8質量部である。
また、本発明の防眩性フィルムの防眩層に添加できるその他種々の添加剤としては、カップリング剤、可塑剤、分散剤等も挙げられる。
また、防眩層には、金属酸化物を含んでも良い。具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウム−スズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
本発明の防眩性フィルムの防眩層の厚さは、膜強度性や良好な光拡散性の観点から、特に制限されないが、通常、0.5〜50μm、とくに1〜30μmが好ましい。また、防眩層は単層、または複数の層から構成できる。
本発明の防眩層は、透明フィルム基材に防眩層を形成するための塗布組成物を塗布する塗布工程、得られた塗膜を乾燥させる乾燥工程、および乾燥させた塗膜を硬化させる硬化工程、を包含する方法によって形成される。
防眩層を形成する塗布組成物を基材に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、使用する塗布組成物や塗布工程の状況に応じて適宜選択される。例えばスピンコーティング、ロールコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、グラビアコーティング、後述のインクジェット法等の種々の塗布方法を採用することができる。また、上記塗布を行なう際に、後述する透明フィルム基材の幅が1.4〜4mでロール状に巻き取られた状態から繰り出して、乾燥・硬化処理した後、ロール状に巻き取られることが好ましい。得られた塗膜を乾燥させる乾燥工程は、減圧乾燥によって行なわれるのが好ましい。
硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは80〜150℃である。加熱時間は加熱温度により変化するが、3〜300分の範囲が適当である。あるいは一度巻き取った後、50〜100℃程度の温度で1〜20日間程度エージング処理することもできる。
また光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。ここで照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行なうことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行なうことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによってさらに平面性優れたフィルムを得ることができる。
防眩層を形成する塗布組成物には溶媒が含まれている。ここで、溶媒としては、例えば炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類等の有機溶媒が挙げられ、これらを適宜選択し、混合等して使用できる。とくに、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する有機溶媒を用いるのが好ましい。
本発明の防眩性フィルムにおいて、防眩層は、インクジェット方法より凹凸形成することもできる。
すなわち、防眩層形成用の塗布組成物をインキ液として、インクジェット方法により塗布することで、凸構造部を形成してもよく、もしくは活性線硬化樹脂を有する塗布液で形成された凸構造部の上にオーバーコート層として用いることもでき、またはインクジェット方法により凸構造部を形成し、さらにその上にオーバーコートする際の両者の塗布液として用いることもできる。
防眩性フィルムの防眩層の上に、少なくとも低屈折率層を設けて、防眩性反射防止フィルムを形成することができ、特に内部が多孔質または空洞である少なくとも1種の中空シリカ微粒子を含有する低屈折率層を積層することで、耐久試験後の密着に優れた防眩性反射防止フィルムを形成することができる。また、このような防眩性反射防止フィルムの防眩層と、低屈折率層との間に、高屈折率層が介在させられていることが好ましい。
つぎに、低屈折率層について説明する。
低屈折率層の屈折率は、支持体である透明フィルム基材の屈折率より低く、23℃、波長550nmで1.30〜1.45の範囲が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmが好ましく、10nm〜0.3μmがより好ましく、30nm〜0.2μmであることがさらに好ましい。
低屈折率層は、内部が多孔質または空洞である少なくとも1種の中空シリカ微粒子を含有することが、防眩層との密着性から好ましく、さらに好ましくは中空シリカ微粒子と、他の1種類のシリカ微粒子を含有することが好ましい。
ここで、他の1種類のシリカ微粒子としては、特に限定されるものではないが、コロイダルシリカであることが好ましい。ここで、コロイダルシリカの平均粒径は、中空シリカ微粒子の平均粒径の1.1〜20倍未満であることが好ましい。
また低屈折率層には、平均粒径の異なる2種以上の中空シリカ微粒子を含有していてもよい。
つぎに、内部が多孔質または空洞である中空シリカ微粒子(以下、単に中空微粒子ともいう)について説明する。
中空微粒子は、(1)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(2)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。
なお、空洞粒子は、内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは10〜70nmが望ましい。中空微粒子の粒径は変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。
中空シリカ微粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
使用する中空微粒子の平均粒径は、形成される低屈折率層の透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、透明被膜の膜厚の3/2〜1/10、好ましくは2/3〜1/10が望ましい。これらの中空微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)、及びケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)、プロピレンモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜40nm、好ましくは1〜20nm、さらに好ましくは2〜15nmが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、塗布液成分が容易に複合粒子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率化の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、塗布液成分が内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率化の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率化の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等との1種または2種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表したときのモル比MOX/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。
多孔質粒子のモル比MO/SiOが0.0001未満のものは、得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また多孔質粒子のモル比MO/SiOが1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、さらに屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、多孔質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1工程〜第3工程を実施するこれによって中空微粒子を製造することができる。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類、及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。
当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO、Al、TiOまたはZrO等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。さらに上記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。
シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に上記化合物の水溶液を、アルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行なう必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
上記したシリカ原料、及び無機化合物原料は、アルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン、及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、またはシード粒子上に析出して粒子成長が起こる。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行なう必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MO)に換算し、MO/SiOのモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MO/SiOのモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、または、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
なお、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することができる。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液または加水分解性の有機珪素化合物を添加して、シリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜40nm、好ましくは0.5〜15nmの厚さであればよい。なお、シリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり、厚さが薄いので、上記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、上記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することができる。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく、後述するシリカ被覆層を形成することができる。なお、除去する無機化合物の量が少ない場合は、粒子が壊れることがないので、必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また、空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多すぎると、シリカ保護膜が厚くなりすぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。
シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、下記の一般式(2)
Si(OR′)4−n …(2)
(式中、RとR′は、アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、nは0、1、2または3を表わす。)
で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。
このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
なお、ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
被覆層形成用に使用される有機珪素化合物またはケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜40nm、好ましくは1〜20nmとなるように量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。またシリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜40nm、好ましくは1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物またはケイ酸液は添加される。
ついで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体または多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率化の効果が得られないことがある。
このようにして得られた無機微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。
また、中空微粒子としては、より過酷な耐久性試験後の密着性、耐擦性、及び視認性が優れることから、表面に炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合している中空微粒子が好ましい。
つぎに、炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合している中空微粒子について説明する。炭化水素主鎖を有するポリマーとは、直接共有結合、または中空シリカ微粒子の表面のシリカと炭化水素主鎖を有するポリマーとの間に結合剤を介在させ、シリカと結合剤とを共有結合し、結合剤とポリマーとが共有結合しているものも言う。結合剤としては、カップリング剤が好ましく用いられる。
炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合している中空微粒子は、(1)中空シリカ粒子表面を未処理、もしくはカップリング剤などで処理した状態で、中空シリカ微粒子表面と共有結合を形成可能な官能基を有するポリマーを反応させ、中空シリカ粒子表面にポリマーをグラフトさせる方法、あるいは(2)中空シリカ粒子表面を未処理、もしくはカップリング剤などで処理した状態で、中空シリカ微粒子表面から単量体を重合することでポリマー鎖を生長させ、表面グラフトさせる方法等により製造することができる。具体的な製造方法としては、特開2006−257308号公報に記載の方法を用いることができる。
上記の製造方法では、表面修飾率向上の観点から、中空シリカ微粒子表面から単量体を重合することでポリマー鎖を生長させ、表面グラフトさせる方法が好ましい。重合開始能、もしくは連鎖移動能を有する官能基を含むカップリング剤で中空シリカ微粒子を表面処理し、そこから単量体を重合し、ポリマー鎖を生長させて表面グラフトさせる方法がさらに好ましい。
重合開始能もしくは連鎖移動能を有する官能基を、中空シリカ微粒子に導入するための表面処理剤(カップリング剤)としては、アルコキシメタル化合物(例えばチタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。
アルコキシメタル化合物としては、下記の一般式(3)で表わされるシランカップリング剤が好ましい。
(Z−L−Si−(R4−m+n) …(3)
式中、Zは重合開始能、もしくは連鎖移動能を有する官能基である。Lは炭素原子数10以下の2価の連結基である。
ここで、Lは、好ましくは炭素原子数1〜10のアルキレン基、または複数のアルキレン基を連結基(例、エーテル、エステル、アミド)を介して結合した基である。アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、エポキシ基、アルキル基、アリール基を含む。
また、上記の一般式(3)において、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基である。Rはヒドロキシルまたは加水分解可能な基である。Rは、炭素原子数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましく、メトキシ、エトキシまたは塩素原子がさらに好ましい。さらに、1≦m≦3、0≦n≦2であり、かつ1≦m+n≦3である。
上記の一般式(3)で表わされるシランカップリング剤が有することができる置換基の例は、ヒドロキシル、ハロゲン原子(例、Cl,Br,F、I)、シアノ、ニトロ、カルボキシル、スルホ、炭素原子数1〜8のアルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素原子数2〜8のアルケニル基(例、ビニル、アリル、2−ヘキセニル)、炭素原子数2〜8のアルキニル基(例、エチニル、1−ブチニル、3−ヘキシニル)、炭素原子数7〜12のアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル)、炭素原子数6〜10のアリール基(例、フェニル、ナフチル、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−ブタンスルホンアミドフェニル)、炭素原子数1〜10のアシル基(例、アセチル、ベンゾイル、プロパノイル、ブタノイル)、炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、炭素原子数7〜12のアリーロキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル)、炭素原子数1〜10のカルバモイル基(例、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、炭素原子数1〜8のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メトキシエトキシ)、炭素原子数6〜12のアリーロキシ基(例、フェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素原子数2〜12のアシルオキシ基(例、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素原子数1〜12のスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、フェニルスルホニルオキシ)、アミノ、炭素原子数1〜10の置換ア
ミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ)、炭素原子数1〜10のアミド基(例、アセトアミド、ベンズアミド)、炭素原子数1〜8のスルホンアミド基(例、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、オクタンスルホンアミド)、炭素原子数1〜10のウレイド基(例、ウレイド、メチルウレイド)、炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニルアミノ基(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ)、炭素原子数1〜12のアルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ)、炭素原子数6〜12のアリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素原子数1〜8のアルキルスルホニル基(例、メチルスルフォニル、ブチルスルホニル)、炭素原子数7〜12のアリールスルホニル基(例、フェニルスルホニル、2−ナフチルスルホニル)、スルファモイル、炭素原子数1〜8の置換スルファモイル基(例、メチルスルファモイル)、複素環基(例、4−ピリジル、ピペリジノ、2−フリル、フルフリル、2−チエニル、2−ピロリル、2−キノリルモルホリノ)が含まれる。
また、下記の一般式(4)で表わされるシランカップリング剤も好ましい。
Z−(CH)n−Si−R …(4)
式中、Zは上記一般式(3)の場合と同じであり、nは1〜10の整数を表す。Rは炭素原子数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、メトキシ、エトキシ、及び塩素原子が好ましい。
上記の一般式(3)および一般式(4)中のZは、重合開始能、もしくは連鎖移動能を有する官能基であり、通常の重合反応で用いられる重合開始剤、あるいは連鎖移動剤の部分構造を有するものであることが好ましい。
用いる重合方法に対応した開始能を発現する必要があり、例えばフリーラジカル重合法ならば、Z中にアゾ基や過酸部位を含有することが好ましい。重合開始能を有する官能基を中空シリカ表面に導入したとき、適用可能な重合法としてはラジカル重合法、イオン重合法等限定はされないが、ラジカル重合法が好ましく、リビングラジカル重合法がより好ましい。中でも原子移動ラジカル重合法により表面グラフト重合を行なうことがさらに好ましい。
ここで、上記の好ましい重合方法である原子移動ラジカル重合法の場合において、Zは、ハロメチル基、ハロアルキルフェニル基、α−ハロエステル基、α−ハロカルボニル基、α−ハロニトリル基、ハロスルホニル基が好ましい。また、α−ハロエステル基、ハロスルホニル基がより好ましく、α―ハロエステル基が特に好ましい。Matyjaszewski、Xia、「Chemical Review」(2001年、101巻、第9号、P2921)において、開始剤のセクションに様々な開始剤が示されているが、原子移動ラジカル重合法を用いる場合には、Zがここに示された開始剤の部分構造を有する場合は、いずれも好ましい。
つぎに、上記一般式(3)で表わされる重合開始能を有する官能基を含むシランカップリング剤の好ましい例を挙げる。
XCHC(O)O(CHSi(OCH
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSi(OCH
XCHC(O)O(CHSi(OCH
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OCH
(CHC(X)C(O)O(CHSi(OCH
XCHC(O)O(CHSi(OC
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OC
(CHC(X)C(O)O(CHSi(OC
XCHC(O)O(CHSi(OC
CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OC
(CHC(X)C(O)O(CHSi(OC
XCHC(O)O(CHSiCl
CHC(H)(X)C(O)O(CHSiCl
(CHC(X)C(O)O(CHSiCl
各式において、Xは、塩素、臭素またはヨウ素原子であり、特に臭素原子が好ましい。
上記の一般式(3)で表わされるシランカップリング剤は、中空シリカ微粒子に対して1質量%〜100質量%使用することが好ましく、より好ましくは2質量%〜80質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜50質量%である。
また、アルコキシメタル化合物は、2種類以上併用してもよい。ここで、2種類以上のアルコキシメタル化合物を用いる場合には、すべてを同時に添加してもよい。または反応の進行に併せて適宜添加してもよい。また、予めアルコキシメタル化合物を加水分解または/及び縮合反応しておき、中空シリカ微粒子に加えても良い。
連鎖移動能を有する官能基としては、限定はされないが、ハロメチル基、メルカプト基が好ましく、メルカプト基がより好ましい。
上記中空微粒子の低屈折率層中の含有量は、低屈折率化と膜強度の観点から、10〜50質量%、特に10〜40質量%であることが好ましい。
つぎに、中空シリカ微粒子と併用して用いることが好ましいコロイダルシリカについて、説明する。
コロイダルシリカは、二酸化ケイ素をコロイド状に水または有機溶媒に分散させたものであり、特に限定はされないが球状、針状または数珠状である。
コロイダルシリカの平均粒径は50〜300nmの範囲が好ましく用いられる。また、コロイダルシリカは変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。しかし、中空シリカ微粒子とコロイダルシリカを併用した場合に、コロイダルシリカの平均粒径と中空微粒子の平均粒径の比を求める場合は、同じ計測方法によらねばならない。
コロイダルシリカは、市販されており、例えば日産化学工業社のスノーテックスシリーズ、触媒化成工業社のカタロイド−Sシリーズ、バイエル社のレバシルシリーズ等が挙げられる。また、アルミナゾルや水酸化アルミニウムでカチオン変性したコロイダルシリカやシリカの一次粒子を2価以上の金属イオンで粒子間を結合し、数珠状に連結した数珠状コロイダルシリカも好ましく用いられる。数珠状コロイダルシリカは日産化学工業社のスノーテックス−AKシリーズ、スノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UPシリーズ等がある。
コロイダルシリカを含有させる場合、低屈折率層中の含有量は、低屈折率層中の固形分に対し10〜60質量%、さらには30〜60質量%であることが膜強度の点から、好ましい。
また、低屈折率層は、全体で5〜80質量%のバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、中空シリカ微粒子やコロイダルシリカを接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。バインダーの使用量は、空隙を充填することなく、低屈折率層の強度を維持できるように調整する。
バインダーとしては、下記の一般式(2)で表わされるアルコキシシラン化合物、もしくはその加水分解物あるいはその重縮合物が挙げられる。
また、具体的化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びβ−シアノエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、及びメチルビニルジエトキシシラン等が挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが、特に好ましい。
その他のバインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂、フルオロアクリレートが挙げられる。
低屈折率層を形成する塗布組成物には、有機溶媒を含有することが好ましい。具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、及びブタノールが特に好ましい。
低屈折率層を形成する塗布組成物中の固形分濃度は1〜4質量%であることが好ましく、固形分濃度を4質量%以下とすることによって、塗布ムラが生じにくくなり、1質量%以上とすることによって、乾燥負荷が軽減される。
低屈折率層には、フッ素系またはシリコーン系の界面活性剤を含有することが好ましい。上記界面活性剤を含有させることで、塗布ムラを低減したり膜表面の防汚性を向上させるのに有効である。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を含有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを母核としたもので、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン等の誘導体等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は市販品を用いることもでき、例えばサーフロン「S−381」、「S−382」、「SC−101」、「SC−102」、「SC−103」、「SC−104」(何れも旭硝子株式会社製)、フロラード「FC−430」、「FC−431」、「FC−173」(何れもフロロケミカル−住友スリーエム製)、エフトップ「EF352」、「EF301」、「EF303」(何れも新秋田化成株式会社製)、シュベゴーフルアー「8035」、「8036」(何れもシュベグマン社製)、「BM1000」、「BM1100」(いずれもビーエム・ヒミー社製)、メガファック「F−171」、「F−470」(いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)、等を挙げることができる。
本発明において、フッ素系界面活性剤のフッ素含有割合は、0.05〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。上記のフッ素系界面活性剤は、1種または2種以上を併用することができる。
つぎに、シリコーン界面活性剤について説明する。
本発明に用いられるシリコーン界面活性剤は、ケイ素原子に結合した有機基の種類により、ストレートシリコーンオイルと変性シリコーンオイルに大別できる。
ここで、ストレートシリコーンオイルとは、メチル基、フェニル基、水素原子を置換基として結合したものをいう。変性シリコーンオイルとは、ストレートシリコーンオイルから二次的に誘導された構成部分をもつものである。一方、シリコーンオイルの反応性からも分類することができる。これらをまとめると、以下のようになる。
シリコーンオイル
1.ストレートシリコーンオイル
1−1.非反応性シリコーンオイル:ジメチル、メチルフェニル置換等
1−2.反応性シリコーンオイル:メチル水素置換等
2.変性シリコーンオイル
ジメチルシリコーンオイルに、さまざまな有機基を導入することで生まれたものが変性シリコーンオイルである。
2−1.非反応性シリコーンオイル:アルキル、アルキル/アラルキル、アルキル/ポリエーテル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル置換等
アルキル/アラルキル変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を長鎖アルキル基あるいはフェニルアルキル基に置換えたシリコーンオイルである。
ポリエーテル変性シリコーンオイルは、親水性のポリオキシアルキレンを疎水性のジメチルシリコーンに導入したシリコーン系高分子界面活性剤である。
高級脂肪酸変性シリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部を高級脂肪酸エステルに置換えたシリコーンオイルである。
アミノ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をアミノアルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイルである。
エポキシ変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をエポキシ基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイルである。
カルボキシル変性あるいはアルコール変性シリコーンオイルは、シリコーンオイルのメチル基の一部をカルボキシル基あるいは水酸基含有アルキル基に置換えた構造をもつシリコーンオイルである。
2−2.反応性シリコーンオイル:アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコール置換等
これらのうち、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく添加される。ポリエーテル変性シリコーンオイルの数平均分子量は、例えば1,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000が適当であり、数平均分子量が1,000未満では、塗膜の乾燥性が低下し、逆に、数平均分子量が100,000を越えると、塗膜表面にブリードアウトしにくくなる傾向にある。
具体的な商品としては、日本ユニカー株式会社のL−45、L−9300、FZ−3704、FZ−3703、FZ−3720、FZ−3786、FZ−3501、FZ−3504、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3707、FZ−3710、FZ−3750、FZ−3760、FZ−3785、FZ−3785、Y−7499、信越化学社のKF96L、KF96、KF96H、KF99、KF54、KF965、KF968、KF56、KF995、KF351、KF351A、KF352、KF353、KF354、KF355、KF615、KF618、KF945、KF6004、FL100等がある。
シリコーン界面活性剤は、シリコーンオイルのメチル基の一部を親水性基に置換した界面活性剤である。置換の位置は、シリコーンオイルの側鎖、両末端、片末端、両末端側鎖等がある。親水性基としては、ポリエーテル、ポリグリセリン、ピロリドン、ベタイン、硫酸塩、リン酸塩、4級塩等がある。
シリコーン界面活性剤としては、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤が好ましい。
非イオン界面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない界面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。親水性はアルコール性水酸基の数が多くなるに従って、またポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖)が長くなるに従って強くなる。
疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤を用いると、上記の低屈折率層のムラや膜表面の防汚性が向上する。ポリメチルシロキサンからなる疎水基が表面に配向し汚れにくい膜表面を形成するものと考えられる。他の界面活性剤を用いることでは得られない効果である。
これらの非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば日本ユニカー株式会社製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191等が挙げられる。
また、SUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましい。主鎖骨格の鎖長が長く、直鎖状の構造であることから、優れている。親水基と疎水基が交互に繰り返したブロックコポリマーであることにより、シリカ微粒子の表面を1つの活性剤分子が、複数の箇所で、これを覆うように吸着することができるためと考えられる。
これらの具体例としては、例えば日本ユニカー株式会社製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208、FZ−2222等が挙げられる。
これらのシリコーンオイルまたはシリコーン界面活性剤の中では、ポリエーテル基を有するものが好ましい。
またビックケミージャパン社製の界面活性剤BYKシリーズ、BYK−300/302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−340、BYK−344、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−352、BYK−354、BYK−355/356、BYK−358N/361N、BYK−357、BYK−390、BYK−392、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570、BYK−Silclean3700、GE東芝シリコーン社製のジメチルシリコーンシリーズ、XC96−723、YF3800、XF3905、YF3057、YF3807、YF3802、YF3897を好ましく用いることができる。
フッ素系またはシリコーン系の界面活性剤は他の界面活性剤と併用して用いてもよく、適宜、例えばスルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、リン酸エステル塩系等のアニオン界面活性剤、また、ポリオキシエチレン鎖親水基として有するエーテル型、エーテルエステル型等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
上記界面活性剤の添加量は、低屈折率層塗布組成物中、0.05〜2.0質量%であることが、塗膜の撥水、撥油性、防汚性を高めるばかりでなく、表面の耐擦り傷性にも効果を発揮点から好ましい。
また、低屈折率層塗布組成物に酸を添加しても良い。酸を添加することで、中空微粒子の内部からアンモニア等のアルカリ成分が溶出して、塗布液調製後塗布までの間に低屈折率層塗布組成物の粘度が増加することを防止することもできる。
添加する酸は公知の無機酸や有機酸が挙げられるが、有機酸が好ましい。有機酸としては、酢酸、蟻酸、プロピオン酸等が挙げられる。これらのうちでは、酢酸が好ましい。
有機酸の添加量は、中空微粒子の内部からアンモニア等のアルカリ成分に対応する量であり、中空微粒子分散液中の固形分に対し、酸、例えば酢酸を5〜100質量%添加する。中空微粒子分散液の濃度によるが、通常、中空微粒子分散液の0.5〜30.0質量%の範囲で酸を添加することが好ましい。
つぎに、防眩性反射防止フィルムについて説明する。
防眩性反射防止フィルムは、最表面の算術平均粗さ(Ra)が、40〜500nm未満、好ましくは60〜300nmである。
防眩性反射防止フィルムの最表面の算術平均粗さ(Ra)は、防眩層と同様に、例えば光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を用いて測定することができる。
防眩性反射防止フィルムは、防眩層上に、上記低屈折率層を形成するための塗布組成物を塗布する塗布工程、得られた塗膜を乾燥させる乾燥工程、を包含する方法によって形成される。また、防眩層上と低屈折率層の間に介在される好ましい高屈折率層も塗布されることによって形成される。
塗布方法は、特に限定されるものではなく、使用する塗布組成物や塗布工程の状況に応じて適宜選択される。例えばスピンコーティング、ロールコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、グラビアコーティング、後述のインクジェット法等の種々の塗布方法を採用することができる。
防眩性反射防止フィルムの形成には、乾燥工程後に、必要に応じて硬化工程を設けることができる。また、防眩性反射防止フィルムは作製後、温度50〜160℃で加熱処理を行なう工程を含んでも良い。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、加熱処理の温度が、例えば50℃であれば、好ましくは3日間以上、30日以下の期間、加熱処理の温度が、例えば160℃であれば、10分以上、1日以下の範囲が好ましい。
硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。ここで照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。
防眩性反射防止フィルムは、防眩層表面を表面処理し、該表面処理を行なった防眩層表面に、低屈折率層を形成することが好ましい。
防眩性反射防止フィルムは、上記の防眩層を形成した後、防眩層の表面を表面処理し、該表面処理を行なった防眩層表面に、低屈折率層を形成することが好ましい。
防眩性反射防止フィルムの反射率は、分光光度計により測定を行なうことができる。その際、サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行なってから、可視光領域(400〜700nm)の反射光を測定する。反射率は低いほど好ましいが、可視光領域の波長における平均値が2.5%以下であることが好ましく、反射率が2.5%以下であれば、本発明の防眩性反射防止フィルムと見なすことができる。
最低反射率は、2.5%以下が好ましく、さらに好ましくは1.5%以下であることが好ましい。また可視光の波長領域において平坦な形状の反射スペクトルを有することが好ましい。
また、反射防止処理を施した偏光板表面の反射色相は、反射防止膜の設計上可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることから、赤や青に色づくことが多いが、反射光の色味は用途によって要望が異なり、FPDテレビ等の最表面に使用する場合には、ニュートラルな色調が要望される。
この場合、一般に好まれる反射色相範囲は、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で、0.17≦x≦0.27、0.07≦y≦0.17である。
低屈折率層の膜厚は、層の屈折率より反射率、反射光の色味を考慮して、常法に従って計算で求められる。
つぎに、防眩層と低屈折率層の間に、介在させられていることが好ましい高屈折率層について説明する。
高屈折率層には、金属酸化物微粒子を含有することが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は、特に限定されるものではなく、例えばTi、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、及びSから選択される
少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることができ、これらの金属酸化物微粒子は、Al、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Ta等の微量の原子をドープしてあってもよい。また、これらの混合物でもよい。本発明においては、中でも、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが好ましく、特に好ましくはアンチモン酸亜鉛である。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒径は、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球状、立方体状、紡錘形状、針状あるいは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、支持体である透明フィルム基材の屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.50〜1.90の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的であるため、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑えることもできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤、及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でも後述するシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることがさらに好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。
使用する金属酸化物微粒子と、活性エネルギー線硬化樹脂等のバインダーとの比は、金属酸化物微粒子の種類、粒子サイズ等により異なるが、体積比で前者1に対して後者2から前者2に対して後者1程度が好ましい。
本発明において用いられる金属酸化物微粒子の使用量は、高屈折率層中に5〜85質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、20〜75質量%がさらに好ましい。使用量が少ないと、所望の屈折率や本発明の効果が得られず、多すぎると膜強度の劣化等が発生する。
金属酸化物微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター、及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル、及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー、及びエクストルーダーが挙げられる。さらに、コア/シェル構造を有する金属酸化物微粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性をさらに向上させるために、複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。
コアとしては、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、アモルファス型等)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ等を用いることができる。
シェルとしては、酸化チタン以外の無機化合物を主成分とし、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。例えば二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、硫化亜鉛等を主成分とした無機化合物が用いられる。これらのうち、アルミナ、シリカ、ジルコニア(酸化ジルコニウム)であることが好ましい。また、これらの混合物でもよい。
コアに対するシェルの被覆量は、平均の被覆量で2〜50質量%である。好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは4〜25質量%である。シェルの被覆量が多いと、微粒子の屈折率が低下し、被覆量が少な過ぎると、耐光性が劣化する。二種以上の無機微粒子を併用してもよい。
コアとなる酸化チタンは、液相法または気相法で作製されたものを使用することができる。また、シェルをコアの周りに形成させる手法としては、例えば米国特許第3,410,708号明細書、特公昭58−47061号公報、米国特許第2,885,366号明細書、同第3,437,502号明細書、英国特許第1,134,249号明細書、米国特許第3,383,231号明細書、英国特許第2,629,953号明細書、および同第1,365,999号明細書に記載されている方法等を用いることができる。
つぎに、金属酸化物微粒子のバインダーとして塗膜の成膜性や物理的特性の向上のために添加される硬化性樹脂について説明する。
硬化性樹脂は、防眩層で記載した上記硬化性樹脂を用いることができる。硬化性樹脂としては、活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。
活性エネルギー線硬化樹脂としては、紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接、または光重合開始剤の作用を受けて間接的に重合反応を生じる官能基を2個以上有するモノマーまたはオリゴマーを用いることができる。
ここで、官能基としては(メタ)アクリロイルオキシ基等のような不飽和二重結合を有する基、エポキシ基、シラノール基等が挙げられる。中でも、不飽和二重結合を2個以上有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを好ましく用いることができる。必要に応じて光重合開始剤を組み合わせてもよい。
このような活性エネルギー線硬化樹脂としては、例えば多官能アクリレート化合物等が挙げられ、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれる化合物であることが好ましい。
ここで、多官能アクリレート化合物とは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基、及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレート化合物のモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソボルニルアクリレート等が好ましく挙げられる。
これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
硬化性樹脂の添加量は、高屈折率組成物を形成する塗布組成物の固形分中に、15質量%以上、50質量%以下であることが好ましい。
また、硬化性樹脂の硬化促進のために、光重合開始剤と、分子中に重合可能な不飽和結合を2個以上有するアクリル系化合物とを、質量比で3:7〜1:9含有させることが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等、及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
高屈折率層をコーティングする際に用いられる有機溶媒としては、例えばアルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えばジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えばスルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特にアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。
本発明の防眩性フィルムには、セルロースエステルフィルムなどの透明フィルム基材の防眩層を設けた側と反対側の面には、バックコート層を設けることが好ましい。
バックコート層は、防眩層や、その他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。またバックコート層は、ブロッキング防止層も兼ねて塗設されることがある。その場合は、バックコート層塗布組成物に、ブロッキング防止機能を持たせるため、微粒子を添加することが好ましい。
添加される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。これら微粒子の中では、ヘイズが低くなる点で、二酸化珪素が好ましい。
微粒子の具体的化合物としては、例えばアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)、KE−10、KE−30,KE−100(以上、株式会社日本触媒)等の市販品を挙げることができる。
また、アエロジル200V、アエロジルR972V、KE−30がヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため、特に好ましく用いられる。
バックコート層に含まれる微粒子は、下記バインダーに対して0.1〜50質量%好ましくは0.1〜10質量%であることが好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく0.5%以下であることが好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層を塗布する際に用いられる有機溶媒には、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム等の溶媒が挙げられる。
塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて、透明フィルム基材の表面に、ウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。
バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.2〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸、及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
例えばアクリル樹脂としては、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン株式会社製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン株式会社製)のアクリル、及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマー等が市販されており、この中から好ましいものを適宜選択することもできる。
特に好ましくは、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートのようなセルロース系樹脂層である。
つぎに、透明フィルム基材について説明する。
透明フィルム基材としては、製造が容易であること、防眩層との接着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
また、本発明において、透明フィルム基材の幅は、平面性の点から特に1.4〜4mのものが好ましい。
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることを指し、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えばセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン社製)、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロン(登録商標)フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。中でも、セルローストリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)が好ましく、本発明においては、特にセルロースエステルフィルム(例えばコニカミノルタタック、製品名KC8UX2MW、KC4UX2MW、KC8UY、KC4UY、KC5UN、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4UEW、KC4FR−1、KC4FR−2(コニカミノルタオプト株式会社製)が、製造上、コスト面、透明性、等方性、接着性、及び本発明の効果から好ましく用いられる。これらのフィルムは、溶融流延製膜法で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜法で製造されたフィルムであってもよい。
つぎに、透明フィルム基材として好ましく用いられるセルロースエステルフィルムについて説明する。
セルロースエステルフィルムの原料であるセルロースは、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。またセルロースエステルは、各置換度に合わせてアシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステルは、これらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。アシル化剤は酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)や酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)等が挙げられ、酸無水物の場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることができる。
アシル化剤が、酸クロライドの場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行なわれる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法等を参考にして合成することができる。
また、セルロースエステルは、グルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)という。例えばセルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
本発明に用いられるセルロースエステルの置換度として、2位、3位、6位が平均的にアシル基で置換されていてもよく、もしくは6位に多くもしくは少なく置換されているセルロースエステルも好ましく用いられる。好ましい6位の置換度は0.7〜0.97、さらに好ましくは0.8〜0.97である。
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。なお、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースエステルの数平均分子量は、70000〜250000が、成型した場合の機械的強度が強く、かつ適度なドープ粘度となり好ましく、さらに好ましくは、80000〜150000である。
また、セルロースエステルフィルムの中でも防眩性フィルムの耐久性試験後の膜強度や視認性の点から糖エステル化合物、及びアクリル系ポリマーとからなるセルロースエステルフィルムが好ましい。
つぎに、糖エステル化合物とアクリル系ポリマーについて説明する。
糖エステル化合物としては、フラノース構造およびピラノース構造から選ばれる少なくとも一種の構造が1〜12個結合した糖化合物の水酸基をエステル化した糖エステル化合物が好ましい。具体的な糖化合物としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースなどが挙げられるが、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有するものが好ましい。例としてはスクロースが挙げられる。
糖エステル化合物は、糖化合物の有する水酸基の一部または全部がエステル化されているもの、またはその混合物である。
糖エステル化合物を合成する際に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いてエステル化し、本発明に用いられる糖エステル化合物を合成することができ、用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環に1〜5個のアルキル基もしくはアルコキシ基等の置換基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
これらの化合物の製造方法は、特開昭62−42996号公報、及び特開平10−237084号公報を参考にすることができる。
本発明の糖エステル化合物は、セルロースエステルに対して0.5〜35質量%を使用することができ、好ましくは1〜30質量%である。
本発明の糖エステル化合物の具体例を挙げる。
アクリル系ポリマーとしては、分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを、共重合して得られる重量平均分子量5,000以上、30,000以下のアクリル系ポリマーが好ましく、より好ましくは、下記の一般式(5)で表わされるアクリル系ポリマーXである。
−(Xa)m−(Xb)n−(Xc)p− …(5)
さらに好ましくは、下記の一般式(6)で表わされるポリマーである。
−[CH−C(−R)(−CO)]m−[CH−C(−R
(−CO−OH)−]n−[Xc]p− …(6)
(式中、R、Rは、HまたはCHを表わす。Rは炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基を表わす。Rは−CH−、−C−または−C−を表わす。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー単位を表わす。m、nおよびpは、モル組成比を表わす。ただし、m≠0、n≠0、k≠0、m+n+p=100である。)
本発明において、アクリル系ポリマーXを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
アクリル系ポリマーXにおいて、親水性基とは、水酸基、エチレンオキシド連鎖を有する基をいう。
分子内に芳香環と親水性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaは、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。
中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(i−、n−)であることが好ましい。
分子内に芳香環を有せず、親水性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を有するモノマー単位として、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えばアクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることができ、好ましくは、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、及びメタクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)である。
Xcとしては、Xa、Xb以外のものでかつ共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば、特に制限はないが、芳香環を有していないものが好ましい。
Xa、XbおよびXcのモル組成比m:nは99:1〜65:35の範囲が好ましく、さらに好ましくは95:5〜75:25の範囲である。Xcのpは0〜10である。Xcは複数のモノマー単位であってもよい。
Xa、Xbのモル組成比は、セルロースエステルとの相溶性、光学特性等の最適化を図りながら適宜決めることが好ましい。
また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することができる。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。
また、アクリル系ポリマーとしては、下記の一般式(7)で表わされる。
−(Ya)k−(Yb)q− …(7)
さらに好ましくは、下記の一般式(8)で表わされるポリマーである。
−[CH−C(−R)(−CO)]k−[Yb]q− …(8)
(式中、Rは、HまたはCHを表わす。Rは、炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基を表わす。Ybは、Yaと共重合可能なモノマー単位を表わす。kおよびqは、モル組成比を表わす。ただし、k≠0、k+q=100である。)
Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はない。Ybは複数であってもよい。k+q=100、qは好ましくは0〜30である。
芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマーYを構成するエチレン性不飽和モノマーYaは、アクリル酸エステルとして、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば、特に制限はないが、ビニルエステルとして、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル等が好ましい。Ybは複数であってもよい。
ポリマーX、及びポリマーYを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法で、できるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
ポリマーX、及びポリマーYの重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号公報または同2000−344823号公報に記載された一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができる。
ポリマーYは、分子中にチオール基と2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用する重合方法が好ましい。この場合、ポリマーYの末端には、重合触媒および連鎖移動剤に起因する水酸基、チオエーテルを有することとなる。この末端残基により、ポリマーYとセルロースエステルとの相溶性を調整することができる。
ポリマーXおよびポリマーYの水酸基価は30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
ここで、水酸基価の測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる。この水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。具体的には試料xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピリジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行ない、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。さらに空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価は、つぎの式によって算出する。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/x}+D
(式中、Bは、空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、Cは、滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは、0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは、酸価、また28.05は、水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表わす)
ポリマーXとポリマーYのセルロースエステルフィルム中での含有量は、下記式(i)、式(ii)を満足する範囲であることが好ましい。ポリマーXの含有量をxg(質量%=ポリマーXの質量/セルロースエステルの質量×100)、ポリマーYの含有量をyg(質量%)とすると、
式(i) 5≦xg+yg≦35(質量%)
式(ii) 0.05≦yg/(xg+yg)≦0.4
式(i)の好ましい範囲は、10〜25質量%である。
ポリマーの重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
測定条件は、以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G
(昭和電工株式会社製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所株式会社製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK
standard ポリスチレン(東ソー株式会社製)Mw=1,000,
000〜500までの13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
また、セルロースエステルには酸化防止剤、熱劣化防止剤を添加することができる。具体的には、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物を好ましく用いることができる。
ラクトン系としては、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から、”IrgafosXP40”、”IrgafosXP60”という商品名で市販されているものを含むものが好ましい。
フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社、”Irganox1076”、”Irganox1010”という商品名で市販されているものが好ましい。
リン系化合物は、例えば住友化学工業株式会社から、”SumilizerGP”、旭電化工業株式会社からADK STAB PEP−24G”、”ADK STAB PEP−36”及び”ADK STAB 3010”、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から”IRGAFOS P−EPQ”、エーピーアイコーポレーション株式会社から”GSY−P101”という商品名で市販されているものが好ましい。
ヒンダードアミン系化合物は、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社から、”Tinuvin144”及び”Tinuvin770”、旭電化工業株式会社から”ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
イオウ系化合物は、例えば住友化学工業株式会社から、”Sumilizer TPL−R”及び”Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
二重結合系化合物は、住友化学工業株式会社から、”Sumilizer GM”及び”Sumilizer GS”という商品名で市販されているものが好ましい。
さらに、酸捕捉剤として、米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤、熱劣化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えばラクトン系、リン系、フェノール系および二重結合系化合物の併用は好ましい。
セルロースエステルフィルムは、一般的に溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法や、溶融流延製膜法によって形成することができる。
溶液流延製膜法において、ドープの調製に用いられる有機溶媒としては、セルロースエステルを溶解でき、かつ、適度な沸点であることが好ましく、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセト酢酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、アセト酢酸メチル等が好ましい有機溶媒(すなわち、良溶媒)として挙げられる。
また、下記の製膜工程に示すように、溶媒蒸発工程において流延用支持体上に形成されたウェブ(ドープ膜)から溶媒を乾燥させる時に、ウェブ中の発泡を防止する観点から、用いられる有機溶媒の沸点としては、30〜80℃が好ましく、例えば上記記載の良溶媒の沸点は、メチレンクロライド(沸点40.4℃)、酢酸メチル(沸点56.32℃)、アセトン(沸点56.3℃)、酢酸エチル(沸点76.82℃)等である。
上記の良溶媒の中でも、溶解性に優れるメチレンクロライドあるいは酢酸メチルが好ましく用いられる。
上記の有機溶媒の他に、0.1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で上記アルコールが含まれることが好ましい。これらは、ドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にする、ゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができる。
これらの溶媒のうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。好ましくは、メチレンクロライド70〜95質量%に対してエタノール5〜30質量%を含む溶媒を用いることが好ましい。メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
もしくはメチレンクロライドと酢酸メチルを併用することもでき、例えば10.1〜3の質量比で併用することができる。ここに、さらに前述のアルコールを含有させることが好ましい。
また、セルロースエステルには、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。
可塑剤としては、例えばリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤等を好ましく用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることができる。その他のカルボン酸エステルの例には、トリメチロールプロパントリベンゾエート、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることができる。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることができる。これらの二塩基酸、及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3〜13質量%である。
また、セルロースエステル、紫外線吸収剤を添加することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、Ciba製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、Ciba製)
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、下記の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、特開平6−148430号公報に記載の一般式(1)または一般式(2)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学株式会社製)等が市販されている。
また、セルロースエステルには、滑り性を付与するため、以下の微粒子を用いるのが、好ましい。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、濁度が低くなる点で、二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均径は、5〜50nmが好ましく、さらに好ましくは、7〜20nmである。これらは主に、粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は、0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えばアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されているものを使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えばアエロジルR976、及びR811(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されているものを使用することができる。
また、ポリマー微粒子も用いることができ、その例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、及びアクリル樹脂を挙げることができる。これらの中ではシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えばトスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120、及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されているものを使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため、特に好ましく用いられる。本発明で用いられるセルロースエステルフィルムにおいては活性エネルギー線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が1.0以下であることが好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムは、溶液流延製膜法により製造されたものであっても、溶融流延製膜法によって製造されたものであっても、好ましく用いることができる。
以下、溶液流延製膜法でのセルロースエステルフィルムの製造方法について、詳しく説明する。
セルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル、及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、さらに乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行なわれる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
良溶剤は、特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また貧溶剤は、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
上記のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤または膨潤させた後、さらに良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行なってもよい。加熱は外部から行なうことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃がさらに好ましい。また圧力は、設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
また、冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチル等の溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
つぎに、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材がさらに好ましい。
濾材の材質は、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
ドープの濾過は、通常の方法で行なうことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが、さらに好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
つぎに、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎると、ウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい金属支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃がさらに好ましい。また、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態で金属支持体から剥離することも、好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行なわれるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は、溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら、目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で、金属支持体の温度、及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行なうことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では、一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明による防眩性フィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し、さらにウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行なうことが特に好ましい。
縦方向、横方向ともに好ましい延伸倍率は、1.05〜1.5倍であり、さらに好ましくは1.05〜1.3倍であり、1.05〜1.15倍がさらに好ましい。縦方向及び横方向延伸により、面積が1.1〜2倍となっていることが好ましい。これは、縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることができる。
剥離直後に縦方向に延伸するために、剥離張力、及びその後の搬送張力によって延伸することが好ましい。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なうことができるが、簡便さの点で、熱風で行なうことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜150℃で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性をよくするためさらに好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜200μmが好ましく用いられる。平面性と生産性に優れているため、セルロースエステルフィルムの膜厚は10〜70μmであることが特に好ましい。
さらに好ましくは20〜60μmである。最も好ましくは30〜60μmである。また、共流延法によって多層構成としたセルロースエステルフィルムも好ましく用いることができる。セルロースエステルが多層構成の場合でも紫外線吸収剤と可塑剤を含有する層を有しており、それがコア層、スキン層、もしくはその両方であってもよい。
また、透明フィルム基材の表面に、算術平均粗さ(Ra)が、50〜1000nm未満の凹凸形状を形成する方法として、例えば透明フィルム基材上に型押しによって形成することが好ましい。
つぎに、溶融流延製膜法について説明する。溶融流延製膜法では、溶媒(例えば塩化メチレン等)を用いず、加熱溶融する溶融流延による成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類できる。これらの中で、機械的強度、及び表面精度等に優れるセルロースエステルフィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。
つぎに、溶融押し出し法を例にとり、溶融流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
図1は、本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する溶融流延製膜装置の全体構成を示す概略フローシートであり、図2は、流延ダイから冷却ロール部分の拡大図である。
図1と図2において、本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、セルロース樹脂等のフィルム材料を混合した後、押出し機1を用いて、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に溶融押し出し、第1冷却ロール5に外接させるとともに、さらに、第2冷却ロール7、第3冷却ロール8の合計3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固化してフィルム10とする。
ついで、剥離ロール9によって剥離したフィルム10を、ついで延伸装置12によりフィルムの両端部を把持して幅方向に延伸した後、巻き取り装置16により巻き取る。また、平面性を矯正するために溶融フィルムを第1冷却ロール5表面に挟圧するタッチロール6が設けられている。
このタッチロール6は表面が弾性を有し、第1冷却ロール5との間でニップを形成している。タッチロール6についての詳細は後述する。
本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法において、溶融押し出しの条件は、他のポリエステル等の熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして行なうことができる。材料は予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機等で、水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させることが望ましい。
熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系樹脂を、押出し機1を用いて、例えば押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルター2等で濾過し、異物を除去する。
供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸素や水分の影響を防止して酸化分解等を防止することが好ましい。
可塑剤等の添加剤を予め混合しない場合は、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー3等の混合装置を用いることが好ましい。
本発明において、セルロース樹脂と、その他必要により添加される安定化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましい。セルロース樹脂と安定化剤を最初に混合することがさらに好ましい。混合は、混合機等により行なってもよく、また上記したように、セルロース樹脂調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等の一般的な混合機を用いることができる。
上記のようにフィルム構成材料を混合した後に、その混合物を、押出し機1を用いて直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、フィルム構成材料をペレット化した後、該ペレットを押出し機1で溶融して製膜するようにしてもよい。また、フィルム構成材料が、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機1に投入して製膜することも可能である。
フィルム構成材料に熱分解しやすい材料が含まれる場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
押出し機1は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し機でもよい。フィルム構成材料からペレットを作製せずに、直接製膜を行なう場合、適当な混練度が必要であるため2軸押出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練が得られるので、使用可能である。
フィルム構成材料として、一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも使用可能である。
押出し機1内、及び押出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機1内のフィルム構成材料の溶融温度は、フィルム構成材料の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、フィルムのガラス転移温度(Tg)に対して、Tg以上、Tg+100℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+90℃以下である。押出し時の溶融粘度は、10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。
また、押出し機1内でのフィルム構成材料の滞留時間は短い方が好ましく、5分以内、好ましくは3分以内、より好ましくは2分以内である。滞留時間は、押出し機1の種類、押出す条件にも左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出し機1のスクリューの形状や回転数等は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等により適宜選択される。本発明において押出し機1でのせん断速度は、1/秒〜10000/秒、好ましくは5/秒〜1000/秒、より好ましくは10/秒〜100/秒である。
本発明に使用できる押出し機1としては、一般的にプラスチック成形機として入手可能である。
押出し機1から押し出されたフィルム構成材料は、流延ダイ4に送られ、流延ダイ4のスリットからフィルム状に押し出される。流延ダイ4はシートやフィルムを製造するために用いられるものであれば特に限定はされない。
流延ダイ4の材質としては、ハードクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)等を溶射もしくはメッキし、表面加工としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨等の加工を施したもの等が挙げられる。流延ダイ4のリップ部の好ましい材質は、流延ダイ4と同様である。またリップ部の表面精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
この流延ダイ4のスリットは、そのギャップが調整可能なように構成されている。これを図3に示す。流延ダイ4のスリット32を形成する一対のリップのうち、一方は剛性の低い変形しやすいフレキシブルリップ33であり、他方は固定リップ34である。そして、多数のヒートボルト35が流延ダイ4の幅方向すなわちスリット32の長さ方向に一定ピッチで配列されている。
各ヒートボルト35には、埋め込み電気ヒータ37と冷却媒体通路とを具えたブロック36が設けられ、各ヒートボルト35が各ブロック36を縦に貫通している。ヒートボルト35の基部はダイ本体31に固定され、先端はフレキシブルリップ33の外面に当接している。
そしてブロック36を常時空冷しながら、埋め込み電気ヒータ37の入力を増減してブロック36の温度を上下させ、これによりヒートボルト35を熱伸縮させて、フレキシブルリップ33を変位させてフィルムの厚さを調整する。ダイ後流の所要箇所に厚さ計を設け、これによって検出されたウェブ厚さ情報を制御装置にフィードバックし、この厚さ情報を制御装置で設定厚み情報と比較し、同装置から来る補正制御量の信号によってヒートボルトの発熱体の電力またはオン率を制御するようにすることもできる。
ヒートボルトは、好ましくは、長さ20〜40cm、直径7〜14mmを有し、複数、例えば数十本のヒートボルトが、好ましくはピッチ20〜40mmで配列されている。ヒートボルトの代わりに、手動で軸方向に前後動させることによりスリットギャップを調節するボルトを主体とするギャップ調節部材を設けてもよい。ギャップ調節部材によって調節されたスリットギャップは、通常200〜1000μm、好ましくは300〜800μm、より好ましくは400〜600μmである。
第1冷却ロール5〜第3冷却ロール8は、肉厚が20〜30mm程度のシームレスな鋼管製で、表面が鏡面に仕上げられている。その内部には、冷却液を流す配管が配置されており、配管を流れる冷却液によってロール上のフィルムから熱を吸収できるように構成されている。
一方、第1冷却ロール5に当接するタッチロール6は、表面が弾性を有し、第1冷却ロール5への押圧力によって第1冷却ロール5の表面に沿って変形し、第1ロール5との間にニップを形成する。
図4に、タッチロール6の一実施形態(以下、タッチロールA)の概略断面を示す。図に示すように、タッチロールAは、可撓性の金属スリーブ41の内部に弾性ローラ42を配したものである。
金属スリーブ41は厚さ0.3mmのステンレス製であり、可撓性を有する。金属スリーブ41が薄すぎると強度が不足し、逆に厚すぎると弾性が不足する。これらのことから、金属スリーブ41の厚さとしては、0.1〜1.5mmが好ましい。弾性ローラ42は、軸受を介して回転自在な金属製の内筒43の表面にゴム44を設けてロール状としたものである。
そして、タッチロールAが第1冷却ロール5に向けて押圧されると、弾性ローラ42が金属スリーブ41を第1冷却ロール5に押しつけ、金属スリープ41及び弾性ローラ42は、第1冷却ロール5の形状になじんだ形状に対応しつつ変形し、第1冷却ロールとの間にニップを形成する。金属スリーブ41の内部で弾性ローラ42との間に形成される空間には、冷却水45が流される。
図5、図6は、挟圧回転体の別の実施形態であるタッチロールBを示している。タッチロールBは、可撓性を有する、シームレスなステンレス鋼管製(厚さ4mm)の外筒51と、この外筒51の内側に同一軸心状に配置された高剛性の金属内筒52とから概略構成されている。外筒51と内筒52との間の空間53には、冷却液54が流される。
詳しくは、タッチロールBは、両端の回転軸55a、55bに外筒支持フランジ56a、56bが取付けられ、これら両外筒支持フランジ56a、56bの外周部間に薄肉金属外筒51が取付けられている。
また、一方の回転軸55aの軸心部に形成されて流体戻り通路57を形成する流体排出孔58内に、流体供給管59が同一軸心状に配設され、この流体供給管59が薄肉金属外筒51内の軸心部に配置された流体軸筒60に接続固定されている。
この流体軸筒60の両端部に内筒支持フランジ61a、61bがそれぞれ取り付けられ、これら内筒支持フランジ61a、61bの外周部間から他端側外筒支持フランジ56bにわたって約15〜20mm程度の肉厚を有する金属内筒52が取り付けられている。
そしてこの金属内筒52と薄肉金属外筒51との間に、例えば10mm程度の冷却液の流送空間53が形成され、また金属内筒52に両端部近傍には、流送空間53と内筒支持フランジ61a、61b外側の中間通路62a、62bとを連通する流出口52a、及び流入口52bがそれぞれ形成されている。
また、外筒51は、ゴム弾性に近い柔軟性と可撓性、復元性をもたせるために、弾性力学の薄肉円筒理論が適用できる範囲内で薄肉化が図られている。この薄肉円筒理論で評価される可撓性は、肉厚t/ロール半径rの比で表わされており、t/rの比が小さいほど、可撓性が高まる。このタッチロールBでは、t/r≦0.03の場合に、可撓性が最適の条件となる。
一般的に使用されているタッチロールは、ロール径:R=200〜500mm(ロール半径:r=R/2)、ロール有効幅:L=500〜1600mmであり、ロール半径r/ロール有効幅Lの比:r/L<1で、横長の形状である。
そして図6に示すように、例えばロール径:R=300mm、ロール有効幅:L=1200mmの場合、肉厚:tの適正範囲は150×0.03=4.5mm以下であるが、溶融シート幅を1300mmに対して平均線圧を98N/cmで挟圧する場合、同一形状のゴムロールと比較して、外筒51の肉厚を3mmとすることで相当ばね定数も等しく、外筒51と冷却ロールとのニップのロール回転方向のニップ幅kも約9mmで、このゴムロールのニップ幅約12mmとほぼ近い値を示し、同じような条件下で挟圧できることが分かる。なお、このニップ幅kにおけるたわみ量は0.05〜0.1mm程度である。
ここで、t/r≦0.03としたが、一般的なロール径:R=200〜500mmの場合では、特に2mm≦t≦5mmの範囲とすると、可撓性も十分に得られ、また機械加工による薄肉化も容易に実施でき、極めて実用的な範囲となる。肉厚が2mm以下では加工時の弾性変形で高精度な加工ができない。
この2mm≦t≦5mmの換算値は、一般的なロール径に対して、0.008≦t/r≦0.05となるが、実用にあたってはt/r=0.03の条件下で、ロール径に比例して肉厚も大きくするとよい。例えばロール径:R=200では、t=2〜3mm、ロール径:R=500では、t=4〜5mmの範囲で選択する。
このタッチロールA、Bは、図示しない付勢手段により、第1冷却ロールに向けて付勢されている。その付勢手段の付勢力をF、ニップにおけるフィルムの、第1冷却ロール5の回転軸に沿った方向の幅家Wを除した値=F/W(線圧)は、9.8〜147N/cmに設定される。
本発明においては、タッチロールA、Bと第1冷却ロール5との間にニップが形成され、当該ニップをフィルムが通過する間に平面性を矯正すればよい。従って、タッチロールが剛体で構成され、第1冷却ロールとの間にニップが形成されない場合と比べて、小さい線圧で長時間かけてフィルムを挟圧するので、平面性をより確実に矯正することができる。すなわち、線圧が9.8N/cmよりも小さいと、ダイラインを十分に解消することができなくなる。
逆に、線圧が147N/cmよりも大きいと、フィルムがニップを通過しにくくなり、フィルムの厚さにかえってムラができてしまう。
また、タッチロールA、Bの表面を金属で構成することにより、タッチロールの表面がゴムである場合よりもタッチロールA、Bの表面を平滑にすることができるので、平滑性の高いフィルムを得ることができる。なお、弾性ローラ42の弾性体44の材質としては、エチレンプロピレンゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム等を用いることができる。
さて、タッチロール6によってダイラインを良好に解消するためには、タッチロール6がフィルムを挟圧するときのフィルムの粘度が適切な範囲であることが重要となる。また、セルロースエステルは温度による粘度の変化が比較的大きいことが知られている。
従って、タッチロール6がセルロースエステルフィルムを挟圧するときの粘度を適切な範囲に設定するためには、タッチロール6がセルロースエステルフィルムを挟圧するときのフィルムの温度を適切な範囲に設定することが重要となる。
セルロースエステルフィルムのガラス転移温度を(Tg)としたとき、フィルムがタッチロール6に挟圧される直前のフィルムの温度Tが、Tg<T<Tg+110℃の条件を満たすことが好ましい。フィルム温度Tが、Tgよりも低いと、フィルムの粘度が高すぎて、ダイラインを矯正できなくなる。
逆に、フィルムの温度Tが、Tg+110℃よりも高い場合は、フィルム表面とロールとが均一に接着せず、やはりダイラインを矯正することができない。好ましくは、Tg+10℃<T<Tg+90℃、さらに好ましくは、Tg+20℃<T<Tg+70℃である。
タッチロール6がセルロースエステルフィルムを挟圧するときのフィルムの温度を適切な範囲に設定するには、流延ダイ4から押し出された溶融物が第1冷却ロール5に接触する位置P1から第1冷却ロール5とタッチロール6とのニップの、第1冷却ロール5の回転方向に沿った長さ:Lを調整すればよい。
第1ロール5、第2ロール6に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス鋼、樹脂、等が挙げられる。また、表面精度は高くすることが好ましく、表面粗さとしては、0.3S以下、より好ましくは0.01S以下とする。
流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分を70kPa以下に減圧させることにより、上記のダイラインの矯正効果が大きく好ましい。好ましい減圧は、50〜70kPaである。流延ダイ4の開口部(リップ)から第1ロール5までの部分の圧力を70kPa以下に保つ方法としては、特に制限はないが、流延ダイ4からロール周辺を耐圧部材で覆い、減圧する等の方法がある。
このとき、吸引装置は、装置自体が昇華物の付着場所にならないようヒーターで加熱する等の処置を施すことが好ましい。吸引圧は小さすぎると昇華物を効果的に吸引できないため、適当な吸引圧とする必要がある。
Tダイ4から溶融状態のフィルム状のセルロースエステル系樹脂を、第1ロール(第1冷却ロール)5、第2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8に順次密着させて搬送しながら冷却固化させ、未延伸のセルロースエステル系樹脂フィルム10を得る。
図1に示す本発明の実施形態では、第3冷却ロール8から剥離ロール9によって剥離した冷却固化された未延伸のフィルム10は、ダンサーロール(フィルム張力調整ロール)11を経て延伸機12に導き、そこでフィルム10を横方向(幅方向)に延伸する。この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
フィルムを幅方向に延伸する方法は、公知のテンター等を好ましく用いることができる。
一方、偏光フィルムの透過軸も、通常、幅方向である。偏光フィルムの透過軸と光学フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込むことで、液晶表示装置の表示コントラストを高くすることができるとともに、良好な視野角が得られるのである。
フィルム構成材料のガラス転移温度(Tg)は、フィルムを構成する材料種、及び構成する材料の比率を異ならしめることにより制御できる。セルロースエステルフィルムとして位相差フィルムを作製する場合、Tgは120℃以上、好ましくは135℃以上とすることが好ましい。液晶表示装置においては、画像の表示状態において、装置自身の温度上昇、例えば光源由来の温度上昇によってフィルムの温度環境が変化する。
このときフィルムの使用環境温度よりもフィルムのTgが低いと、延伸によってフィルム内部に固定された分子の配向状態に由来するリターデーション値及びフィルムとしての寸法形状に大きな変化を与えることとなる。フィルムのTgが高過ぎると、フィルム構成材料をフィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなり、またフィルム化するときの材料自身の分解、それによる着色が生じることがあり、従って、Tgは250℃以下が好ましい。
また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行なってもよく、目的とする光学フィルムに要求される特性を有するように適宜調整すればよい。
位相差フィルムの物性と液晶表示装置の視野角拡大のための位相差フィルムの機能付与するために、上記延伸工程、熱固定処理は適宜選択して行なわれている。このような延伸工程、熱固定処理を含む場合、加熱加圧工程は、それらの延伸工程、熱固定処理の前に行なうようにする。
セルロースエステルフィルムとして位相差フィルムを製造し、さらにセルロースエステルフィルムの機能を複合させる場合、屈折率制御を行う必要が生じるが、その屈折率制御は延伸操作により行なうことが可能であり、また延伸操作が好ましい方法である。以下、その延伸方法について説明する。
位相差フィルムの延伸工程において、セルロース樹脂の1方向に1.0〜2.0倍、及びフィルム面内にそれと直交する方向に1.01〜2.5倍延伸することで、必要とされるリタデーションRo及びRtを制御したり、平面性を改善することができる。
ここで、Roとは、面内リタデーションを示し、面内の長手方向MDの屈折率と幅方向TDの屈折率との差に厚みを乗じたもの、Rtとは、厚み方向リタデーションを示し、面内の屈折率(長手方向MDと幅方向TDの平均)と厚み方向の屈折率との差に厚みを乗じたものである。
延伸は、例えばフィルムの長手方向及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅方向に対して、逐次または同時に行なうことができる。このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となりフィルム破断が発生してしまう場合がある。
互いに直交する2軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率nx、ny、nzを所定の範囲に入れるために有効な方法である。ここで、nxとは、長手MD方向の屈折率、nyとは、幅手TD方向の屈折率、nzとは、厚み方向の屈折率である。
例えば溶融流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、nzの値が大きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制、あるいは幅方向にも延伸することで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅方向で屈折率に分布が生じることがある。
この分布は、テンター法を用いた場合に現れることがあり、フィルムを幅方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅方向の位相差の分布を少なくできる。
互いに直行する2軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。位相差フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
セルロースエステルフィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。以上のような目的において、互いに直交する2軸方向に延伸する方法は有効であり、互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に1.0〜2.0倍、幅方向に1.01〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に1.01〜1.5倍、幅方向に1.05〜2.0倍に範囲で行なうことが必要とされるリタデーション値を得るためにより好ましい。
長手方向に偏光子の吸収軸が存在する場合、幅方向に偏光子の透過軸が一致することになる。長尺状の偏光板を得るためには、位相差フィルムは、幅方向に遅相軸を得るように延伸することが好ましい。
応力に対して、正の複屈折を得るセルロースエステルを用いる場合、上述の構成から、幅方向に延伸することで、位相差フィルムの遅相軸が幅方向に付与することができる。この場合、表示品質の向上のためには、位相差フィルムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好ましく、目的とするリタデーション値を得るためには、 式、(幅方向の延伸倍率)>(流延方向の延伸倍率)
の条件を満たすことが必要である。
延伸後、フィルムの端部をスリッター13により製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング14及びバックロール15よりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻き取り機16によって巻き取ることにより、セルロースエステルフィルム(元巻き)F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。
ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、変形しており、フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用される。
つぎに、フィルムの巻き取り工程は、円筒形巻きフィルムの外周面とこれの直前の移動式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながらフィルムを巻き取りロールに巻き取るものである。かつ巻き取りロールの手前には、フィルムの表面電位を除去または低減する除電ブロア等の手段が設けられている。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に係わる巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。なお、セルロースエステルフィルムの巻き取り時の初期巻き取り張力が90.2〜300.8N/mであるのが好ましい。
フィルムの巻き取り工程では、温度20〜30℃、湿度20〜60%RHの環境条件にて、フィルムを巻き取ることが好ましい。このように、フィルムの巻き取り工程での温度及び湿度を規定することにより、厚み方向リタデーション(Rt)の湿度変化の耐性が向上する。
巻き取り工程における温度が20℃未満であれば、シワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの巻き取り工程における温度が30℃を超えると、やはりシワが発生し、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。
また、フィルムの巻き取り工程における湿度が20%RH未満であれば、帯電しやすく、フィルム巻品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの巻き取り工程における湿度が60%RHを超えると、巻品質、貼り付き故障、搬送性が劣化するので、好ましくない。
セルロースエステルフィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、中空プラスチックコア:FRP製の外径6インチ(以下、インチは2.54cmを表す。)、内径5インチの巻きコアが用いられる。
これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることがさらに好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましく、長さでは500〜10000mであり、フィルムの幅は1〜5mであることが好ましく、特に好ましくは1.5〜4mである。
広幅のフィルムを製膜して、巻き取りの前にフィルムにスリット加工して2〜3本のロールフィルムを得ることも好ましく行われる。
製膜工程において、カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、あるいは必要に応じて造粒処理を行なった後、同じ品種のフィルム用原料としてまたは異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
防眩層の表面処理には、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧プラズマ法等を用いることができる。
ここで、コロナ処理とは、大気圧下、電極間に1kV以上の高電圧を印加し、放電することで行なう処理のことであり、春日電機株式会社や株式会社トーヨー電機等で市販されている装置を用いて行なうことができる。コロナ放電処理の強度は、電極間距離、単位面積当たりの出力、ジェネレーターの周波数に依存する。コロナ処理装置の一方の電極(A電極)は、市販のものを用いることができるが、材質はアルミニウム、ステンレス等から選択ができる。もう一方はプラスチックフィルムを抱かせるための電極(B電極)であり、コロナ処理が、安定かつ均一に実施されるように、A電極に対して一定の距離に設置されるロール電極である。これも通常市販されているものを用いることができ、材質は、アルミニウム、ステンレス、及びそれらの金属で作製されたロールに、セラミック、シリコーン、EPTゴム、ハイパロンゴム等がライニングされているロールが好ましく用いられる。
コロナ処理に用いる周波数は、20〜100kHzの周波数であり、30〜60kHzの周波数が好ましい。周波数が低下するとコロナ処理の均一性が劣化し、コロナ処理のムラが発生する。また周波数が大きくなると、高出力のコロナ処理を行なう場合には、特に問題ないが、低出力のコロナ処理を実施する場合には、安定した処理を行なうことが難しくなり、結果として、処理ムラが発生する。
コロナ処理の出力は、1〜5w・min./mであるが、2〜4w・min./mの出力が好ましい。電極とフィルムとの距離は、5〜50mmであるが、好ましくは、10〜35mmである。間隙が開いてくると、一定の出力を維持するためにより高電圧が必要になり、ムラが発生し易くなる。また、間隙が狭くなりすぎると、印加する電圧が低くなりすぎ、ムラが発生し易くなる。さらにまた、フィルムを搬送して連続処理する際に電極にフィルムが接触し傷が発生する。
また、アルカリ処理法としては、防眩層を塗設したフィルムをアルカリ水溶液に浸す方法であれば、特に限定されない。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等が使用可能であり、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度、例えば水酸化ナトリウム濃度は0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
アルカリ処理温度は通常10〜80℃、好ましく20〜60℃である。
アルカリ処理時間は5秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。アルカリ処理後のフィルムは酸性水で中和した後、十分に水洗いを行なうことが好ましい。
本発明においては、大気圧またはその近傍の圧力下で、対向する電極の間に周波数が50kHz〜150MHzの高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスを、透明フィルム基材または透明フィルム基材上に防眩層を有するフィルムの表面に接触させた後に、反射防止層を塗布により形成することが好ましい。なお、周波数は50kHz〜27MHzであることが好ましい。
対向する電極は、第1電極と第2電極とで構成され、何れか一方の電極に印加する高周波電圧の周波数が50kHz〜150MHzであることが好ましい。また、第1電極に印加する高周波電圧の周波数が1〜200kHzであり、かつ第2電極に印加する高周波電圧の周波数が800kHz〜150MHzであることが好ましい。
大気圧またはその近傍の圧力下で行なうプラズマ放電処理を以下、単に大気圧プラズマ法ともいう。
透明フィルム基材上に防眩層を有するフィルムを、大気圧またはその近傍の圧力下、第1電極と第2電極とで構成する対向電極間に、第1電極には第1の周波数ω1の電圧成分の高周波電圧を印加し、第2電極には第2の周波数ω2の電圧成分の高周波電圧を印加して放電を形成し、該放電により形成された励起ガスに該透明フィルム基材の表面を接触させた後、その上に反射防止層を形成する。
大気圧プラズマ法としては、特開平11−133205号公報、特開2000−185362号公報、特開平11−61406号公報、特開2000−147209号公報、特開2000−121804号公報等に開示されている技術を参考にすることができる。
つぎに、大気圧プラズマ方法について説明する。
大気圧またはその近傍の圧力下で、放電空間(対向電極間)にガスを供給し、該放電空間に高周波電圧を印加し、ガスを励起してプラズマ状態とし、この励起したプラズマ状態のガスに、透明フィルム基材上に防眩層を有するフィルムの表面を晒すものである。対向電極間で形成する放電空間に印加する高周波電圧は、1つの周波数の高周波であってもよいし、2つあるいはそれ以上の周波数の高周波であってもよい。
大気圧プラズマ処理は、大気圧またはその近傍の圧力下で行なわれるが、大気圧またはその近傍の圧力とは、20〜110kPa程度であり、93〜104kPaが好ましい。
対向電極間(放電空間)に供給するガスは、少なくとも、高周波電圧により励起する励起ガス、または、高周波電圧により励起する励起ガスとそのエネルギーを受け取ってプラズマ状態あるいは励起状態になるガスとを含んでいる。ここで、高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものをいう。
1つの周波数の高周波電圧でプラズマ放電処理する場合(1周波数高周波電圧印加方式という場合がある)、または2つの周波数の高周波電圧でプラズマ放電処理する場合(2周波数高周波電圧印加方式という場合がある)の電極は全く同じものが使用でき、装置自体は大きな違いはない。異なる点は、高周波電源が2つ、それに付随するフィルターがあること、さらに対向電極の両方の電極から高周波電圧を印加することである。
1周波数高周波電圧印加方式の場合には、対向電極の一方はアース電極、もう片方は印加電極であり、印加電極に高周波電源が接続されており、アース電極にはアースが接地されている。
図7を参照して、1周波数高周波電圧印加方式、及び2周波数高周波電圧印加方式のそれぞれの方式の薄膜形成装置(大気圧プラズマ処理装置)について、説明する。
図7は、1周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。同図において、プラズマ放電容器130の内部にある高周波電圧を印加する印加電極(角筒型電極)136とその下側にある透明フィルム基材Fを巻き回すロール型アース電極135とで対向電極を形成している。印加電極136は何個並べてもよい。ガスGは、プラズマ放電容器10のガス供給口152から供給され、ガスGを均一化するメッシュを通り、印加電極136の間、及び印加電極とプラズマ放電容器131の内壁に沿って通り、対向電極の間の放電空間13をガスGで満たす。高周波電源21により印加電極136に高周波電圧を印加し、放電空間132で励起したガスGに透明フィルム基材Fが晒される。印加する高周波電圧の周波数が50kHz以上であることが好ましい。より好ましくは50kHz〜150MHzの範囲であることが、均一処理や大面積化処理の点から好ましい。
励起したガスGに透明フィルム基材Fが晒される間、電極温度調節手段160から配管を経て電極を加熱または冷却する。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラができるだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
図8は、2周波数高周波電圧印加方式の薄膜形成装置の別の一例を示す概略図である。これは図7の場合と同様に、ロール電極(第1電極)135と角筒型電極群(第2電極)136との対向電極間(放電空間)132で、透明フィルム基材Fをプラズマ放電処理するものである。
ロール電極(第1電極)135と角筒型電極群(第2電極)136との間の放電空間(対向電極間)132に、ロール電極(第1電極)135には第1電極141から周波数ω1であって高周波電圧V1を、また角筒型電極群(第2電極)136には第2電源142から周波数ω2であって高周波電圧V2をかけるようになっている。
ロール電極(第1電極)135と第1電源141との間には、第1電源141からの電流がロール電極(第1電極)135に向かって流れるように第1フィルター143が設置されており、該第1フィルター143は、第1電源141からの電流を通過しにくくし、第2電源142からの電流を通過し易くするように設計されている。また、角筒型電極群(第2電極)136と第2電源142との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように、第2フィルター144が設置されており、第2フィルター144は、第2電源142からの電流を通過しにくくし、第1電源141からの電流を通過しやすくするように、設計されている。ここで、電流を通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過しやすいとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
例えば第2電源142の周波数に応じて、数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることができる。第2フィルター144としては、第1電源141の周波数に応じて、10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することで、フィルターとして使用できる。
また、ロール電極135を第2電極、また角筒型電極群136を第1電極としてもよい。何れにしろ、第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。さらに、第1電源は第2電源より大きな高周波電圧(V1>V2)を印加できる能力を有していればよい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有していればよい。
図8において、ガス供給手段150のガス供給装置151で発生させたガスGは、流量を制御して給気口152よりプラズマ放電処理容器131内に導入する。放電空間132、及びプラズマ放電処理容器131内をガスGで満たす。
透明フィルム基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール164を経てニップロール165で透明フィルム基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール電極135に接触したまま巻き回しながら角筒型電極群136との間に移送し、ロール電極(第1電極)135と角筒型電極群(第2電極)136との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)132で放電プラズマを発生させる。透明フィルム基材Fはロール電極135に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスに晒される。透明フィルム基材Fは、ニップロール166、ガイドロール167を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口153より排出する。
プラズマ状態のガスに晒す間は、ロール電極(第1電極)135、及び角筒型電極群(第2電極)136を加熱または冷却するために、電極温度調節手段160で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管161を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、165及び166は、プラズマ放電処理容器131と外界とを仕切る仕切板である。
印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であってもよいし、連続したサイン波であってもよく、印加電圧波形に限定されないが、ハイパワーの高周波電圧を印加、強固な薄膜を形成させるのにサイン波が好ましい。
第1電極に印加する高周波電圧の周波数が1〜200kHzであり、かつ第2電極に印加する高周波電圧の周波数が800kHz以上であることが好ましい。
その時の電力密度は、1〜50W/cm(ここで、分母のcm2は放電が起こっている面積である。)が好ましく、より好ましくは1.2〜30W/cmである。
高周波電源としては、100kHz*(ハイデン研究所製)、200kHz、800kHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、及び150MHz(何れもパール工業製)等を挙げることができる。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
図9は、ロール電極の導電性の金属質母材と、その上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
同図において、ロール電極135aは、導電性の金属質母材135Aと、その上に誘電体135Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて、温度調節が行なわれるようになっている。
図10は、図7と図8に示されている角筒型電極の導電性の金属質母材と、その上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図10において、角筒型電極136aは、導電性の金属質母材136Aに対し、図9の場合と同様の誘電体136Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行なえるようになっている。
なお、角筒型電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積はロール電極135に対向している全角筒型電極面の面積の和で表わされる。
図10に示した角筒型電極136aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図9と図10において、ロール電極135a、及び角筒型電極136aは、それぞれ導電性の金属質母材135A、及び136Aの上に、誘電体135B、及び136Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工しやすいので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材135A、及び136Aとしては、チタンまたはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることができるが、後述の理由からはチタンまたはチタン合金が特に好ましい。
2個の電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行なう観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
プラズマ放電処理容器はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えばアルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けてもよく、該金属フレームにセラミックス溶射を行ない、絶縁性をとってもよい。
つぎに、導電性の金属質母材、及び誘電体について、詳しく説明する。
大気圧プラズマ法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
誘電体被覆電極においては、さまざまな金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、さらに好ましくは5×10−6/℃以下、さらに好ましくは2×10−6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性金属質母材と、誘電体との組み合わせ例としては、下記のようなものがある。
組み合わせ例
導電性金属母材 誘電体
(1)純チタンまたはチタン合金 セラミックス溶射被膜
(2)純チタンまたはチタン合金 ガラスライニング
(3)ステンレススティール セラミックス溶射被膜
(4)ステンレススティール ガラスライニング
(5)セラミックス及び鉄の複合材料 セラミックス溶射被膜
(6)セラミックス及び鉄の複合材料 ガラスライニング
(7)セラミックス及びアルミの複合材料 セラミックス溶射皮膜
(8)セラミックス及びアルミの複合材料 ガラスライニング
線熱膨張係数の差という観点では、上記の例(1)または例(2)、及び例(5)〜例(8)の組み合わせが好ましく、特に例(1)の組み合わせが好ましい。
金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることができる。
電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタンである。
誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、またこのような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいはケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
または、上述のような大電力に耐える仕様の1つとして、誘電体の空隙率が、10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。
なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することができる。例えば島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。
このような空隙を有しつつも、空隙率が低い誘電体としては、大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることができる。さらに空隙率を下げるためには、封孔処理を行なうことが好ましい。
ここで、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。
プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、さらにエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることができる。詳しくは、特開2000−301655号公報に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することができる。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることができる。
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが、0.5〜3mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようなセラミックス等の溶射膜に、さらに無機化合物で封孔処理を行なうことが好ましい。ここで、無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が、金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液としてセラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
ここで、ゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射等がある。さらに封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化のない緻密な電極ができる。
誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行なう場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPSにより誘電体層の断層を分析することにより測定する。
本発明においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601:2001で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が、10μm以下になるように調整することが、本発明に記載の効果を得る観点から好ましいが、さらに好ましくは、表面粗さの最大値が8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。
このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み、及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、さらに熱収縮差や残留応力による歪やひび割れをなくし、かつ高精度で、耐久性を大きく向上させることができる。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行なわれることが好ましい。さらにJIS B 0601:2001で規定される算術平均粗さ(Ra)は、0.5μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上である。また上限は500℃である。
なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電できる状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
本発明においては、このような電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極をプラズマ放電処理装置に採用する必要がある。
本発明においては、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1〜50W/cm、好ましくは1.2〜30W/cmの電力密度を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成性ガスに与え薄膜を形成させる。
ここで、高周波電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行なう断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
放電条件は、対向する第1電極と第2電極との放電空間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有することが好ましい。
高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波の波形となる。サイン波の重畳した波形に限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、さらに第3の電圧成分を有していてもよい。しかし、本発明においては、1周波数高周波電圧印加方式と同様に、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方が、より緻密で良質な膜が得られる。
放電開始電圧とは、実際に使用される放電空間(電極の構成等)、及び反応条件(ガス条件等)において放電を起こすことのできる最低電圧のことを指す。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種などによって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
上記で述べたような高周波電圧を対向電極間(放電空間)に印加することによって、放電を起こし、高密度プラズマを発生することができると推定される。
高周波電圧を、放電空間に印加する具体的な方法は、対向電極を構成する第1電極に、周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する第1電源を接続し、第2電極に、周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧を印加する第2電源を接続した薄膜形成装置(大気圧プラズマ処理装置)を用いる。
このような2つの高周波電源から高周波電圧を印加することは、第1の周波数ω1側によって高い放電開始電圧を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の周波数ω2側はプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成するのに必要であるということが重要な点である。
第1電源を用いて第1電極からは1〜200kHz程度の高周波電圧を、また第2電源を用いて第2電極からは800kHz〜15MHzの程度の高周波電圧を印加するのが好ましい。この場合、印加する1〜200kHzの高周波電圧により、放電開始電圧の高い放電ガスが励起しプラズマを発生する。
さらに、第1電源は、第2電源より大きな高周波電圧を印加できる能力を有していることが好ましい。
また、放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の高周波電圧:V1、及び第2の高周波電圧:V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、 V1≧IV>V2 または V1>IV≧V2 を満たす。
さらに好ましくは、 V1>IV>V2 を満たすことである。
高周波、及び放電開始電圧の定義、また、上記高周波電圧を、対向電極間(放電空間)に印加する具体的な方法としては、上述したものと同様である。
ここで、高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧は、下記の方法で測定されたものをいう。
高周波電圧:V1、及びV2(単位:kV/mm)の測定方法
各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、該高周波プローブをオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電圧を測定する。
放電開始電圧:IV(単位:kV/mm)の測定方法
電極間に放電ガスを供給し、該電極間の電圧を増大させていき、放電が始まる電圧を放電開始電圧:IVと定義する。測定器は上記高周波電圧測定と同じである。
高い電圧をかけるような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電圧が高い放電ガスでも、放電ガスを開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持できるのである。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電圧:IVは、3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V1≧3.
7kV/mmとして、印加することによって、窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
放電ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の希ガス、空気、水素、酸素等があり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわないが、窒素ガスを用いることが、ヘリウムまたはアルゴン等の希ガスを用いる場合に比較し、放電ガスの高い経済性を得ることができるため、特に好ましい。
大気圧プラズマ処理装置に設置する高周波電源は、前述のものと同じであるが、第1電源(高周波電源)と第2電源(高周波電源)とに周波数により下記のように分けられる。
第1電源としては、下記の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
高周波電源記号 メーカー 周波数
A1 神鋼電機 3kHz
A2 神鋼電機 5kHz
A3 春日電機 15kHz
A4 神鋼電機 50kHz
A5 ハイデン研究所 100kHz*
A6 パール工業 200kHz
なお、*印は、ハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
また、第2電源(高周波電源)としては、下記の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
高周波電源記号 メーカー 周波数
B1 パール工業 800kHz
B2 パール工業 2MHz
B3 パール工業 13.56MHz
B4 パール工業 27MHz
B5 パール工業 150MHz
上記の対向電極の少なくとも一方の電極が、対向電極間に放電ガスを供給するガス供給手段を備えることが好ましい。さらに、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、図7と図8の電極には、金属母材、及び誘電体が示されていないが、図9と図10の場合と同様に、電極の金属母材に同様な誘電体が被覆されていることはいうまでもない。
対向電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、連続したサイン波であることが好ましい。
電極間の距離は、電極の金属母材に設置した誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ等を考慮して決定される。上記電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行なう観点から0.5〜20mmが好ましく、より好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mm、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
本発明の防眩性フィルム、及び防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板について述べる。
本発明による偏光板は、例えば本発明の防眩性反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した反射防止フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも該反射防止フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の防眩性反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは、面内方向リタデーション(Ro)が、波長が590nmにおいて、20〜70nm、厚み方向リタデーション(Rt)が、100〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)であることが好ましい。これらは例えば特開2002−71957号公報、特開2003−170492号公報等に記載の方法で、作製することができる。または、さらにディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば特開2003−98348号公報記載の方法で光学異方性層を形成することができる。あるいは面内方向リタデーション(Ro)が、波長が590nmにおいて、0〜5nm、厚み方向リタデーション(Rt)が、−20〜+20nmの無配向フィルムも好ましく用いられる。
本発明の防眩性フィルムまたは防眩性反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができる。
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2(コニカミノルタオプト株式会社製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行なったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本発明の防眩性反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板の防眩性反射防止フィルム面を、画像表示装置の鑑賞面側(表示側)に組み込むことによって、種々の視認性に優れた画像表示装置を作製することができる。
本発明による防眩性反射防止フィルムは、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。
また、本発明による防眩性反射防止フィルムは、反射防止層の反射光の色ムラが著しく少なく、また、反射率が低く、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上の大画面の画像表示装置では、色ムラや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<透明フィルム基材1の作製>
(ドープ組成物)
セルローストリアセテート(平均酢化度61.0%) 100質量部
トリフェニルフォスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1質量部
チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1質量部
メチレンクロライド 430質量部
メタノール 90質量部
上記の組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹伴しながら完全に溶解してドープ組成物を得た。
つぎに、このドープ組成物を濾過し、冷却して33℃に保ち、流延ダイからステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に均一に流延し、剥離が可能になるまで溶媒を蒸発させたところで、ウェブを剥離ロールによって支持体から剥離した。ついで、ウェブ(フィルム)をテンターで幅方向に1.1倍に延伸した後、多数のロールで搬送させながら乾燥させ、両端部に高さ10μmのナーリング部を設けて、巻き取り装置によって巻き取り、膜厚80μm、幅1.5m、長さ3000mのセルローストリアセテートフィルムよりなる透明フィルム基材1を得た。
(フッ素含有アクリル樹脂微粒子の合成)
<2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートの合成>
500mlのフラスコに、2−(パーフルオロブチル)エチルアルコール(ダイキンフロロケミカル株式会社製)1.1mol、トリエチルアミン1.0mol、ヒドロキノン0.01molを加えて、氷水で冷却しつつ、滴下ロ−トによりα−フルオロアクリル酸クロリドを徐々に滴下し、α−フルオロアクリル酸クロリドと2−(パーフルオロブチル)エチルアルコールとを反応させることにより、2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートを合成した。全量を滴下した後、氷水で洗浄し、ついでNaHCOの5%氷水液で反応物を洗浄し、再び氷水で洗浄した。これにヒドロキノンを加え、減圧蒸留によりモノマ−を得た。収率は65%であった。
<ポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子の合成>
上記ようにして得られた2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート10gに、アゾイソブチロニトリル(和光純薬株式会社製)0.01gを添加し、加熱溶解させた。この後、フロラードFC−430(商品名、スリーエム社製のフルオロアリファティックポリメリックエステルズ、ノニオン性)を0.1g添加し攪拌した。
このモノマー混合物3.0gに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:スミエポキシELA128、住友化学工業株式会社製)10.0質量部、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(脂環式酸無水物系硬化剤)(商品名:HN5500、日立化成工業株式会社製)8.5質量部、2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)フェノール(第三アミン系硬化剤)(商品名:スミキュアーD、住友化学工業株式会社製)0.1質量部の割合で混合したエポキシ樹脂組成物を10.0g加え、2000rpmで攪拌した後に、温度50℃で脱泡し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を熱風オーブン中、温度120℃で2時間放置して加熱し、硬化させることにより、ポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子を合成した。粒子径は5μmであった。
<防眩性フィルムの作製>
(防眩層用塗布組成物1)
アセトン 35質量部
酢酸エチル 35質量部
シクロヘキサノン 15質量部
トルエン 15質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 30質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 45質量部
ウレタンアクリレート 25質量部
(商品名U−4HA 新中村化学工業社製)
1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン 8質量部
(イルガキュア184 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノ
ホリノプロパン−1−オン 8質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
ポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロ
アクリレート微粒子(平均粒径5μm) 5.0質量部
<防眩層の形成>
上記作製した透明フィルム基材1に、上記防眩層用塗布組成物1をダイコートし、80℃で乾燥した後、0.15J/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して、硬化後の膜厚が8μmになるように防眩層1を塗設した。
<バックコート層の形成>
(バックコート層用塗布組成物)
アセトン 30質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
ジアセチルセルロース 0.6質量部
超微粒子シリカ2%アセトン分散液 0.2質量部
(日本アエロジル株式会社製アエロジル200V)
防眩層1を塗設した面と反対側の面に、上記のバックコート層用塗布組成物の液をウェット膜厚14μmとなるようにダイコートして、バックコート層を設け、本発明による防眩性フィルムを作製した。
実施例2〜4
実施例1の場合と同様にして、本発明による防眩性フィルムを作製するが、実施例1で使用した防眩層用塗布組成物1のポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子の固形分中の量を、実施例2では10.0質量部、実施例3では15.0質量部、実施例4では20.0質量部に、それぞれ変更して実施し、本発明による防眩性フィルムを作製した。
実施例5と6
実施例1の場合と同様にして、本発明による防眩性フィルムを作製するが、実施例1で使用した防眩層用塗布組成物1のポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子の合成において、撹拌時間や脱泡温度を適宜調整することで、平均粒径2μmのポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子を合成した。この平均粒径2μmのポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子を使用し、固形分中の量を、実施例5では5.0質量部、実施例6では15.0質量部とし、本発明による防眩性フィルムを作製した。
実施例7と8
実施例1の場合と同様にして、本発明による防眩性フィルムを作製するが、実施例1で使用した防眩層用塗布組成物1のポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子の合成において、撹拌時間や脱泡温度を適宜調整することで、平均粒径3.5μmのポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子を合成した。この平均粒径2μmのポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子を使用し、固形分中の量を、実施例7では5.0質量部、実施例8では15.0質量部とし、本発明による防眩性フィルムを作製した。
実施例9と10
実施例1の場合と同様にして、本発明による防眩性フィルムを作製するが、実施例1で使用した防眩層用塗布組成物1のポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子を、市販品のフッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子(根上工業製)に変更し、固形分中の量を、実施例9では5.0質量部、実施例10では15.0質量部とし、本発明による防眩性フィルムを作製した。
実施例11と12
実施例1の場合と同様にして、本発明による防眩性フィルムを作製するが、実施例1で使用した防眩層用塗布組成物1のポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子の代わりに、下記のようにして合成した微粒子を使用した。
<フッ素含有(メタ)アクリル酸アルキルと架橋ビニル共重合体
からなる微粒子の合成>
(単量体溶液の調製)
メタクリル酸メチル 260質量部
エチレングリコールジメタクリレート 20質量部
トリフルオロエチルメタクリレート 120質量部
クメンパーオキサイド 2質量部
及びノルマルドデシルメルカプタン2質量部
1リットル容器に、上記材料を入れて攪拌し、単量体溶液を調製した。
これとは別に、2リットル容器に、水に難溶性の第三リン酸カルシウム20質量部、水1200質量部、及びラウリル硫酸ナトリウム1質量部を入れた。
そして、上記の単量体溶液を、2リットル容器に入れて混合し、ホモミキサーにより高速撹拌し、分散させた。粒子径が3.5μmくらいになったところで、攪拌機を備えたジャケット式の2リットルオートクレーブに入れて撹拌しながら、温度70℃で5時間、100℃で5時間、重合を行なった。得られた分散液を濾過し、洗浄、脱水、乾燥して、フッ素含有(メタ)アクリル酸アルキルと架橋ビニル共重合体からなる微粒子を得た。この微粒子の平均粒子径が3.5μmであった。
ついで、実施例1で使用した防眩層用塗布組成物1のポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子の代わりに、フッ素含有(メタ)アクリル酸アルキルと架橋ビニル共重合体からなる微粒子を使用して、本発明による防眩性フィルムを作製した。なお、該微粒子の固形分中の量を、実施例11では5.0質量部、実施例12では15.0質量部とした。
比較例1〜10
比較のために、実施例1の場合とその一部を変更して、比較例の防眩性フィルムを作製するが、実施例1で使用した防眩層用塗布組成物1のポリ−2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレート微粒子の代わりに、比較例1と2では、市販品の平均粒径3.5μmのポリスチレン微粒子を使用し、固形分中の量を、比較例1では5.0質量部、比較例2では15.0質量部とした。
比較例3と4では、市販品の平均粒径3.5μmのポリメチルメタクリレート微粒子を使用し、固形分中の量を、比較例3では5.0質量部、比較例4では15.0質量部とした。
比較例5と6では、市販品の平均粒径2.0μmのポリスチレン微粒子を使用し、固形分中の量を、比較例5では5.0質量部、比較例6では15.0質量部とした。
比較例7と8では、市販品の平均粒径2.0μmのポリメチルメタクリレート微粒子を使用し、固形分中の量を、比較例7では5.0質量部、比較例8では15.0質量部とした。
比較例9と10では、市販品の平均粒径2.0μmのシリカ微粒子を使用し、固形分中の量を、比較例9では5.0質量部、比較例10では15.0質量部とした。
(比較例11)
特開2006−160980号公報の実施例1及び実施例2を参考にして以下の方法で、ポリカーボネート樹脂とフッ素含有アルキル(メタ)アクリレートとビニル共重合体微粒子を含有した膜厚0.1mmの拡散シートを作製した。
<フッ素含有アルキル(メタ)アクリレート・ビニル共重合体微粒子の合成>
分散容器に、脱イオン水300部、第三リン酸カルシウム10部及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル0.2部を入れた。これとは別に、メチルメタクリレート55部、トリフルオロエチルメタクリレート40部、エチレングリコールジメタクリレート5部及びラウリルパーオキサイド1部から単量体溶液を調製し、上記の分散容器に加えた。得られた混合液をホモミキサーを用いて分散処理し、液滴径を調整した分散液を得た。この分散液を撹拌機、温度計、環流冷却器及び窒素導入口を備えた重合反応機に注入し、窒素気流下70℃で撹拌、次いで80〜90℃で3時間の重合反応を行った。得られたポリマー粒子の分散液を濾過、洗浄、乾燥することにより平均粒子径8.2μmのフッ素含有アルキル(メタ)アクリレート・ビニル共重合体微粒子を得た。
<光拡散シートの作製>
界面重合法によって作製したポリカーボネート樹脂(ポリジオキシジフェニルメタンカーボネート)99部と上記合成したフッ素含有アルキル(メタ)アクリレート・ビニル共重合体微粒子1部とを二軸押し出し機(池貝鉄鋼(株)製:PCM−30)を用いて約300℃で混練、押し出しを行い、ペレットを得た。このペレットを射出成型機により射出成形して、0.1mm厚の光拡散シートを得た。
なお、実施例1〜12、及び比較例1〜11の防眩性フィルムの作製に用いた防眩層用塗布組成物中の微粒子の種類を、下記の表1にまとめて示した。
<防眩性フィルムの評価>
(耐久性試験サンプルの作製)
上記実施例1〜12、及び比較例1〜11で作製した防眩性フィルムの試料を、それぞれの防眩層を表面側にして、耐候性試験機(アイ スーパーUV テスター、岩崎電気株式会社社製)により200時間光照射した。つぎに、これらの試料を、温度60℃、湿度90%RHの恒温恒湿サーモ装置に7日間保存し、耐久性試験サンプルを作製した。
(擦傷性)
上記の耐久性試験サンプルを、温度25℃、相対湿度60%の条件で、2時間調湿した後、新東科学株式会社製の摩擦摩耗試験機(トライボステーションTYPE:32、移動速度4000mm/min)により、品番#0000のスチールウール(SW)の上に、800g/cmの荷重をかけて、20往復させたときの防眩性フィルム1cm幅当たりに生じた傷の本数を測定した。なお、傷の本数は、荷重をかけた部分の中で、最も傷の本数の多い所で測定した。この擦傷性試験では、防眩性フィルムの傷の本数が、5本/cm幅以下が、好ましく、1本/cm幅以下が、さらに好ましい。得られた結果を、下記の表2に示した。
(鉛筆硬度)
上記の耐久性試験サンプルを、温度25℃、相対湿度60%の条件で、2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400に規定する鉛筆硬度評価法に従い、1Kgのおもりを用いて、各硬度の鉛筆で、防眩性フィルムの引っ掻き試験を5回繰り返し、傷が1本以下の表面硬度を測定した。数字か高いほど、高硬度を示す。得られた結果を下記の表2にあわせて示した。
(視認性評価)
上記実施例1〜12、及び比較例1〜11で作製した防眩性フィルムの耐久性試験サンプルについて、視認性評価の指標として、写り込み(防眩性)、鮮鋭性、及び白ボケを評価した。
(写り込み・防眩性、鮮鋭性)
上記の耐久性試験サンプルを、液晶表示装置のモニター上に、基材レス両面テープで貼り付け、観察員30人で画像の写り込み、及び鮮鋭性の官能評価を行ない、その平均点を求めた。10点が最も良好で、写り込みが少ない、あるいは鮮鋭性が高い。1点が最も劣るものとして、評価した。得られた結果を下記の表2にあわせて示した。
(白ボケ)
上記の耐久性試験サンプルを貼り付けた液晶表示装置のモニターを、1000luxの明室にて、液晶表示装置を黒表示にして、種々の視角から目視により白ボケの有無を観察し、下記の基準で評価した。得られた結果を下記の表2にあわせて示した。
評価基準
4:白ボケが全くない
3:白ボケがほとんどない
2:弱い白ボケがある
1:強い白ボケがある
上記表2の結果から明らかなように、本発明による実施例1〜12のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有した防眩性フィルムは、耐久保存後の膜強度、及び視認性のすべてにおいて優れていることが分かる。その中でも、フッ素含有ポリメチルメタアクリレート微粒子を含有した防眩性フィルムは、耐久保存後の膜強度、及び視認性のすべてにおいて特に優れていることが分かる。
これに対し、比較例1〜10の従来の微粒子を含有した防眩性フィルムは、耐久保存後の膜強度、及び視認性において劣るものであった。また、フッ素含有ポリメチルメタアクリレート微粒子と界面重合法によって作製したポリカーボネート樹脂からなる光拡散シートにおいても、耐久保存後の膜強度、及び視認性について劣るものであった。
実施例13と14
実施例13と14の防眩性フィルムでは、実施例9と10における透明フィルム基材1を、透明フィルム基材2に変更した以外は、実施例9と10の場合と同様にして、本発明による防眩性フィルムを作製した。
ここで、透明フィルム基材2は、セルロースエステルC1、アクリル系ポリマーAP1、トリメチロールプロパントリベンゾエート:TMPTB、及び糖エステル化合物、からなるもので、以下の方法により作製した。
(セルロースエステルC1の合成)
プロピオン酸、酢酸の添加量を調整して、アセチル基置換度、プロピオニル基置換度が下記のセルロースエステルC1を合成した。
まず、プロピオン酸150ml中に濃硫酸90mlを溶解させることによって溶液Aを調製した。プロピオン酸290ml中に濃硫酸175mlを溶解させることによって溶液Bを調製した。酢酸54.43kg中に脱イオン水18.14kgを溶解させることによって溶液Cを調製した。酢酸22.68kgを水22.68kgで希釈することによって、溶液Dを調製した。溶液Eは酢酸5kgおよび水4.53kgの溶液中の炭酸マグネシウム410gからなるものである。水14.6kg中に炭酸カリウム69g及びクエン酸192gを溶解させることによって、溶液Fを調製した。
製造を開始するために、機械的攪拌機を装着し、かつ加熱及び冷却用のジャケットが取り付けられた反応器に、酢酸43.1kg及びプロピオン酸9.1kgを充填した。
ついで、コットンリントから誘導されたセルロースを添加し、装填材料を55℃(130゜F)に上昇させ、撹拌しながら30分間同温度に保持した。
温度を32.2℃(90゜F)に低下させ、溶液Aを添加した。液をさらに−17.78℃(0゜F)に冷却し、無水酢酸13.6kg及び無水プロピオン酸34kgを添加した。45分後、反応温度を10℃(50゜F)に上昇させ、溶液Bを添加した。つぎの3時間で、温度を55℃(130゜F)にして、溶液Cを投入した。この反応水溶液を17時間、温度60℃(140゜F)に保持し、その後、溶液Dを添加し、撹拌し、ついで、溶液Eを15分で添加した。エステルのこの酸性溶液を濾過した。最後に、溶液を激しく撹拌しながら、ポリマー沈殿が観察されるまで水を添加した。沈殿物を採取し、酢酸が0.05%になるまで洗浄した。この湿潤生成物に溶液F240mlを添加し、ついで、真空乾燥し、以下の置換度を有するセルロースエステルC1を得た。
セルロースエステルC1:
アセチル基置換度1.30、プロピオニル基置換度1.30、総アシル基置換度2.60
なお、セルロースエステルの置換度は、ASTM−D817−96に基づいて算出した。
(アクリルポリマーAP1合成)
下記の一般式(9)で表わされるアクリルポリマーAP1を合成した。
−(Xa)m−(Xb)n−(Xc)p− …(9)
式中、Xaは、MMA(メチルメタアクリレート)、Xbは、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、Xcは、MA(メタアクリレート)、m=80、n=10、p=10を表わす。
で表わされるアクリルポリマーAP1を合成するために、攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管、及び温度計の付いたガラスフラスコに、Xa:MMA、Xb:HEMA、Xc:MAの各モノマーを、m:n:p=80:10:10の比率で混合したモノマーの混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸3.0g、及びトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、モノマー混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを3時間かけて滴下した。その後さらに、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、さらに2時間反応を継続させ、アクリルポリマーAP1を得た。アクリルポリマーAP1の重量平均分子量は、下記の測定法により測定したところ、8000であった。
(分子量の測定)
重量平均分子量の測定は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工株式
会社製)を3本接続して使用した
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所株式会社製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン
(東ソー株式会社製)Mw=1000000〜500までの
13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、
ほぼ等間隔に用いた。
(トリメチロールプロパントリベンゾエート:TMPTBの合成)
100℃に保持した45質量部のトリメチロールプロパン、101質量部のトリエチルアミンの混合溶液を攪拌しながら、71質量部の塩化ベンゾイルを30分間かけて滴下し、さらに30分間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸エチル・純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸エチルを減圧留去し、126質量部(収率85%)の白色の結晶を得た。なお、この化合物の分子量は446である。
(糖エステル化合物)
下記の化学式を有する糖エステル化合物を使用した。
(透明フィルム基材2の作製)
合成したセルロースエステルC1を130℃で1時間乾燥空気中で熱処理し、乾燥空気中で室温まで放冷し、乾燥セルロース樹脂C11を得た。
つぎに、乾燥セルロース樹脂C11:88質量部に対して、アクリル系ポリマー(AP1)4質量部、トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)4質量部、上記化学式を有する糖エステル化合物3.8質量部、及び酸化防止剤(商品名:GSY−P101、エーピーアイコーポレーション株社製)0.5質量部を添加混合し、混合物を、押出し機を用いて、温度230℃に加熱して、ペレットを作製し、放冷した。
得られたペレットは空気を流通させた熱風乾燥器を用いて、温度80℃で、5時間乾燥させて水分を除去した。ついで、乾燥ペレットを、リップ幅1.5mのコートハンガータイプのTダイを有する単軸押出し機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)に投入し、溶融押出しにより押出し成形し、フィルムを作製した。ここで、押出し成形は、クラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融温度250℃、Tダイ温度245℃の成形条件にて行なった。つぎに、得られたフィルムを長手方向に1.10倍に延伸し、ついでテンター装置を用いてフィルムを幅手方向に1.20倍に延伸し、最終的に、膜厚80μm、長さ3000m、幅1.5mの透明フィルム基材2を得た。
実施例15と16
実施例15と16の防眩性フィルムでは、実施例9と10における透明フィルム基材1を、透明フィルム基材3に変更した以外は、実施例9と10の場合と同様にして、本発明による防眩性フィルムを作製した。
ここで、透明フィルム基材3は、セルロースエステルC1、アクリル系ポリマーAP2、トリメチロールプロパントリベンゾエート:TMPTB、及び糖エステル化合物、からなるもので、以下の方法により作製した
(アクリルポリマーAP2合成)
下記の一般式(10)で表わされるアクリルポリマーAP2を合成した。
−(Xa)m−(Xb)n−(Xc)p− …(10)
式中、Xaは、MMA(メチルメタアクリレート)、Xbは、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、m=90、n=10、p=0を表わす。
で表わされるアクリルポリマーAP2を合成するために、攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管、及び温度計の付いたガラスフラスコに、Xa:MMA、Xb:HEMAの各モノマーを、m:n=90:10の比率で混合したモノマーの混合液40g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸3.0g、及びトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、モノマー混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを3時間かけて滴下した。その後さらに、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、さらに2時間反応を継続させ、アクリルポリマーAP2を得た。アクリルポリマーAP2の重量平均分子量は、下記の測定法により測定したところ、8000であった。
(透明フィルム基材3フィルムの作製)
つぎに、上記の乾燥セルロース樹脂C11:88質量部に対して、アクリル系ポリマー(AP2)4質量部、トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)4質量部、上記化学式を有する糖エステル化合物3.8質量部、及び酸化防止剤(商品名:GSY−P101、エーピーアイコーポレーション株社製)0.5質量部を添加混合し、混合物を押出し機を用いて、温度230℃に加熱して、ペレットを作製し、放冷した。
得られたペレットは空気を流通させた熱風乾燥器を用いて、温度80℃で、5時間乾燥させて水分を除去した。ついで、乾燥ペレットを、リップ幅1.5mのコートハンガータイプのTダイを有する単軸押出し機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)に投入し、溶融押出しにより押出し成形し、フィルムを作製した。ここで、押出し成形は、クラス10000以下のクリーンルーム内で、溶融温度250℃、Tダイ温度245℃の成形条件にて行なった。つぎに、得られたフィルムを長手方向に1.10倍に延伸し、ついでテンター装置を用いてフィルムを幅手方向に1.20倍に延伸し、最終的に、膜厚80μm、長さ3000m、幅1.5mの透明フィルム基材3を得た。
<防眩性フィルムの評価>
(耐久性試験サンプルの作製)
実施例9、実施例10、及び実施例13〜実施例16で作製した防眩性フィルムの試料を、各フィルムの防眩層を表面にして、耐候性試験機(アイ スーパーUV テスター、岩崎電気株式会社製)により300時間光照射した。つぎに、これらの試料を、温度60℃、湿度90%RHの恒温恒湿サーモ装置に500時間保存し、耐久性試験サンプルを作製した。
上記実施例9、実施例10、及び実施例13〜実施例16で作製した防眩性フィルムの耐久性試験サンプル試料について、上記実施例1の場合と同様にして、擦傷性、表面硬度(鉛筆硬度)、並びに視認性評価の指標として、写り込み(防眩性)、鮮鋭性、及び白ボケを評価した。得られた結果を下記の表3に示した。
上記表3の結果から明らかなように、より過酷な耐久性試験後のサンプルでは、透明フィルム基材として、セルロースエステル、糖エステル化合物、及びアクリル系ポリマーからなる透明フィルム基材2、及び透明フィルム基材3を用いた実施例13〜実施例16の防眩性フィルムの方が、膜強度、及び視認性においていずれも優れていることが分かる。
実施例17〜24、及び比較例12〜17
上記の実施例1、実施例3、及び実施例7〜実施例12、並びに比較例1〜4、比較例9、及び比較例10で作製した防眩性フィルムを用いて、防眩性反射防止フィルムを作製した。
<大気圧プラズマ処理>
まず、実施例1、実施例3、及び実施例7〜実施例12、並びに比較例1〜4、比較例9、及び比較例10で作製した防眩性フィルムの防眩層表面に、大気圧プラズマ処理装置(図示略)を用い、電極間隙を0.5mmとして、下記の放電ガスを放電空間に供給し、100kHzで放電させて、大気圧プラズマ処理による表面処理を行なった。
(放電ガス)
窒素ガス 80.0体積%
酸素ガス 20.0体積%
<高屈折率層の形成>
大気圧プラズマ処理された各防眩性フィルムの防眩層の表面に、高屈折率層を塗設するにあたり、粒子分散液Aの調製し、ついで高屈折率層用塗布組成物を調製した。
(粒子分散液Aの調製)
メタノール分散アンチモン複酸化物コロイド(アンチモン酸亜鉛ゾル、固形分60%、商品名:セルナックスCX−Z610M−F2、日産化学工業株式会社製)6.0kgにイソプロピルアルコール12.0kgを攪拌しながら徐々に添加し、微粒子分散液Aを調製した。
(高屈折率層用塗布組成物)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 40質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
メチルエチルケトン 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 0.9質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.0質量部
ウレタンアクリレート 0.6質量部
(商品名:U−4HA、新中村化学工業社製)
微粒子分散液A 20質量部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン 0.4質量部
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2
−モノフォリノプロパン−1−オン 0.2質量部
(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
FZ−2207 0.4質量部
(10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、日本ユニカー社製)
大気圧プラズマ処理された各防眩性フィルムの防眩層の表面に、下記の高屈折率層用塗布組成物をダイコートし、温度70℃で乾燥した後、0.15J/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して、硬化後の膜厚が120nmとなるように高屈折率層を設けた。高屈折率層の屈折率は1.60であった。
<低屈折率層の形成>
上記の高屈折率層を塗設した各防眩性フィルム表面上に、低屈折率層を形成するにあたり、まず中空シリカ微粒子1のイソプロピルアルコール分散液、及びテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した後、低屈折率層用塗布組成物1を調製した。
(中空シリカ微粒子1のイソプロピルアルコール分散液の調製)
工程(a):平均粒径5nm、SiO濃度20質量%のシリカゾル100gと、純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiOとして0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gと、Alとして1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを、同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO・Al核粒子分散液を調製した。
工程(b):この核粒子分散液500gに、純水1700gを加えて温度98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。
工程(c):ついで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、さらに濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行なった。ついで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO・Al多孔質粒子の分散液を調製した。
工程(d):そして、上記の多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g、及び28%アンモニア水626gとの混合液を、温度35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO28質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面を、エチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して、第2シリカ被覆層を形成した。ついで、限外濾過膜を用いて溶媒をイソプロピルアルコールに置換した固形分濃度20質量%の中空シリカ微粒子1の分散液を調製した。
この中空シリカ微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは、3nm、平均粒径は45nm、MOx/SiO(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径、及び粒径の変動係数は動的光散乱法により測定した。
(テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製)
テトラエトキシシラン230g(商品名:KBE04、信越化学工業社製)とエタノール440gを混合し、これに2%酢酸水溶液120gを添加した後に、室温(25℃)にて28時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
(低屈折率層用塗布組成物1)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 430質量部
イソプロピルアルコール 430質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A(固形分21%換算) 120質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 3.0質量部
(商品名:KBM503、信越化学工業社製)
中空シリカ微粒子1のイソプロピルアルコール分散液 40質量部
(平均粒径45nm、粒径変動係数30%)
イソプロピルアルコール分散球状コロイダルシリカ 20質量部
(固形分20%、平均粒径45nm、粒径の変動係数30%、市販品)
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート 3.0質量部
(川研ファインケミカル社製)
FZ−2207 3.0質量部
(10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、日本ユニカー社製)
(防眩性反射防止フィルムの作製)
前述の高屈折率層を塗布した各防眩性フィルム表面上に、上記低屈折率層用塗布組成物1をダイコートし、温度80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、0.15J/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して、膜厚が86nmになるように低屈折率層を設け、実施例17〜24、及び比較例12〜17の防眩性反射防止フィルムを作製した。低屈折率層の屈折率は、1.38であった。
<防眩性反射防止フィルムの評価>
(耐久性試験サンプルの作製)
実施例17〜24、及び比較例12〜17の防眩性反射防止フィルムについて、実施例1の場合と同様にして、耐久性試験サンプルを作製した。
ついで、これらの実施例17〜24、及び比較例12〜17の防眩性反射防止フィルムの耐久性試験サンプル試料について、以下の密着性評価と、上記実施例1の場合と同様にして、擦傷性、表面硬度(鉛筆硬度)、並びに視認性評価の指標として、写り込み(防眩性)、鮮鋭性、及び白ボケを評価した。得られた結果を下記の表4に示した。
(密着性評価)
上記実施例17〜24、及び比較例12〜17の防眩性反射防止フィルムの耐久試験サンプルを、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した。つぎに、各サンプルの防眩性反射防止層を有する側の表面において、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを入れて、合計100個の正方形の升目を刻み、ポリエステル粘着テープ(品番31B、日東電工株式会社製)における密着試験を、同じ場所で繰り返し3回行なった。剥がれの有無を目視で観察し、下記の4段階評価を行なった。
◎:100升目において剥がれが、全く認められなかったもの
○:100升目において剥がれが、2升目以内のもの
△:100升目において剥がれが、3升目〜10升目のもの
×:100升目において剥がれが、11升目を越えたもの
上記表4の結果から明らかなように、本発明の実施例17〜24の防眩性反射防止フィルムは、比較例12〜17の防眩性反射防止フィルムに比べて、密着性、耐擦性、及び視認性のいずれおいても、優れていることが分かる。中でも、フッ素含有ポリメチルメタアクリレート微粒子を含有した防眩性フィルムを下地に用いた防眩性反射防止フィルムは、耐擦性、及び防眩性に、特に優れていることが分かる。
実施例25〜32、及び比較例18〜23
上記の実施例1、実施例3、及び実施例7〜実施例12、並びに比較例1〜4、比較例9、及び比較例10で作製した防眩性フィルムを用いて、防眩性反射防止フィルムを作製するが、上記実施例17〜24、及び比較例12〜17の場合と異なる点は、防眩性フィルムの表面に、高屈折率層を設けることなく、下記の低屈折率層用塗布組成物2を用いて、低屈折率層を直接設けた点にある。
<大気圧プラズマ処理>
まず、実施例1、実施例3、及び実施例7〜実施例12、並びに比較例1〜4、比較例9、及び比較例10で作製した防眩性フィルムの防眩層表面に、大気圧プラズマ処理装置(図示略)を用い、上記実施例17〜24、及び比較例12〜17の場合と同様にして、大気圧プラズマ処理による表面処理を行なった。
大気圧プラズマ処理された各防眩性フィルムの防眩層表面に、低屈折率層を形成するにあたり、まず含フッ素ポリマー1、及びゾル液Iを調製した後、低屈折率層用塗布組成物1を調製した。
(含フッ素ポリマー1の調製)
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g、および過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、反応系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して、温度65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は、5.4kg/cmであった。該温度を保持し、8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cmに達した時点で加熱をやめ、放冷した。室温まで内温が下がった時点で、未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して、反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより、沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解して、ヘキサンから2回再沈殿を行なうことによって、残存モノマーを完全に除去し、乾燥した。乾燥後ポリマー28gを得た。つぎに、該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより、含フッ素ポリマー1を19g得た。
(ゾル液Iの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、メチルエチルケトン120質量部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業株式会社製)100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3質量部を入れて混合したのち、イオン交換水30質量部を加え、温度60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液Iを得た。
ゾル液I中の反応生成物の質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100質量%であった。またガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは、全く残存していなかった。
(低屈折率層用塗布組成物2の調製)
メチルエチルケトン 200質量部
シクロヘキサノン 150質量部
含フッ素ポリマー1 30質量部
メタクリレート基含有シリコーン樹脂 3質量部
(商品名、RMS−033、Gelest株式会社製)
光ラジカル発生剤(商品名、イルガキュア907) 3質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製) 7質量部
ゾル液I(溶媒揮発後の固形分として27質量部) 45質量部
中空シリカ微粒子1イソプロピルアルコール分散液 100質量部
上記低屈折率層用塗布組成物2のうち、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンに対して、上記で調製した含フッ素ポリマー1、メタクリレート基含有シリコーン樹脂、光ラジカル発生剤、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物を上記の割合で加えて溶解した後に、上記ゾル液Iと、上記低屈折率層用塗布組成物1で調製した中空シリカ微粒子1イソプロピルアルコール分散液を上記の割合で添加した。
つぎに、塗布組成物全体の固形分濃度が7質量%となるようにメチルエチルケトンで希釈して、低屈折率層用塗布組成物2を調製した。
(防眩性反射防止フィルムの作製)
大気圧プラズマ処理された各防眩性フィルムの防眩層表面に、上記の低屈折率層用塗布組成物2をダイコートにより、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、0.15J/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して膜厚が86nmになるように塗布して、低屈折率層を設け、実施例25〜32、及び比較例18〜23の防眩性反射防止フィルムを作製した。低屈折率層の屈折率は1.44であった。
<防眩性反射防止フィルムの評価>
(耐久性試験サンプルの作製)
実施例25〜32、及び比較例18〜23の防眩性反射防止フィルムについて、実施例1の場合と同様にして、耐久性試験サンプルを作製した。
ついで、これらの実施例25〜32、及び比較例18〜23の防眩性反射防止フィルムの耐久性試験サンプル試料について、上記実施例17の場合と同様にして密着性の評価を行なうとともに、上記実施例1の場合と同様にして、擦傷性、表面硬度(鉛筆硬度)、並びに視認性評価の指標として、写り込み(防眩性)、鮮鋭性、及び白ボケを評価した。得られた結果を下記の表5に示した。
上記表5の結果から明らかなように、本発明の実施例25〜32の防眩性反射防止フィルムは、比較例18〜23の防眩性反射防止フィルムに比べて、密着性、耐擦性、及び視認性のいずれおいても、優れていることが分かる。中でも、フッ素含有ポリメチルメタアクリレート微粒子を含有した防眩性フィルムを下地に用いた防眩性反射防止フィルムは、耐擦性、及び防眩性に、特に優れていることが分かる。
実施例33と34
上記実施例29の場合と同様にして、防眩性反射防止フィルムを作製するが、異なる点は、実施例29で使用した低屈折率層用塗布組成物2の代わりに、下記の低屈折率層用塗布組成物3または低屈折率層用塗布組成物4を使用して、実施例33と34の防眩性反射防止フィルムを作製した。
低屈折率層用塗布組成物3を調製するにあたり、まず、中空シリカ微粒子1含有分散液(A1)を調製し、つぎにこの分散液(A1)を用いて、表面修飾シリカ粒子分散液(A1−1)を調製し、さらにこの表面修飾シリカ粒子分散液(A1−1)を用いて、側鎖に架橋性基を有する表面グラフトポリマー中空シリカ粒子分散液(A1−1G)を調製した。
[中空シリカ微粒子1含有分散液(A1)の調製]
上記の実施例17〜24で調製した中空シリカ微粒子1イソプロピルアルコール分散液500質量部に、[3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル]トリエトキシシラン30質量部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部を加え混合した後に、イオン交換水9質量部を加えた。温度60℃で、8時間反応させた後に、室温まで冷却した。ついで、この反応分散液を超遠心分離機で濃縮し、上澄みを捨てた後、イソプロピルアルコールを加えて、表面処理中空シリカの精製を行ない、この操作を3回繰り返した。核磁気共鳴(NMR)、及びガスクロマトグフ(GC)で、残存シランカップリング剤が1質量%未満であることを確認し、イソプロピルアルコールを加えて、固形分濃度30質量%の中空シリカ微粒子1含有分散液(A1)を得た。
[表面修飾シリカ粒子分散液(A1−1)の調製]
図示しない重合容器中で、上記の中空シリカ微粒子1含有分散液(A1)30質量部、臭化銅(I)1質量部、4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン6質量部、メチルエチルケトン50質量部を混合した後、この重合容器を密閉し、冷却して脱気し、その後、窒素置換するという操作を、3回繰り返し、重合容器内を窒素雰囲気にした。
ついで、重合容器内に、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル300質量部を加え、温度70℃に加熱して、8時間、重合反応を行なった。重合反応終了後、得られた重合反応溶液をヘキサン中に投入し、再沈操作を3回繰り返して、重合反応物を精製した。得られた重合反応物の固形分を、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、固形分濃度10質量%の表面修飾シリカ粒子分散液(A1−1)を調製した。
[表面グラフトポリマー中空シリカ粒子分散液(A1−1G)の調製]
反応容器に、上記の表面修飾シリカ粒子分散液(A1−1)500質量部、重合禁止剤(商品名:イルガノックス1010、チバスペシャリティケミカル製)10,000分の1質量部を入れて混合し、さらに、反応容器にアクリル酸クロリド70質量部を、氷浴中で滴下した。滴下終了後、反応容器の内容物を、室温で8時間、反応させた。反応後、得られた反応溶液を、酢酸エチル/水系で抽出し、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥した。さらに酢酸エチル層の内容物をヘキサン中に投入し、再沈操作を3回繰り返して、反応物を精製した。得られた反応物固形分をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度20質量%でかつ側鎖に架橋性基を有する表面グラフトポリマー中空シリカ粒子分散液(A1−1G)を調製した。
(低屈折率層用塗布組成物3の調製)
メチルエチルケトン 200質量部
シクロヘキサノン 150質量部
含フッ素ポリマー1 30質量部
メタクリレート基含有シリコーン樹脂 3質量部
(商品名、RMS−033、Gelest株式会社製)
光ラジカル発生剤(商品名、イルガキュア907) 3質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製) 7質量部
ゾル液I(溶媒揮発後の固形分として27質量部) 45質量部
表面グラフトポリマー中空シリカ粒子分散液(A1−1G) 100質量部
上記低屈折率層用塗布組成物3のうち、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンに対して、含フッ素ポリマー1、メタクリレート基含有シリコーン樹脂、光ラジカル発生剤、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物を上記の割合で加えて溶解した後に、上記ゾル液Iと、上記で調製した表面グラフトポリマー中空シリカ粒子分散液(A1−1G)を、上記の割合で添加した。
つぎに、塗布組成物全体の固形分濃度が7質量%となるようにメチルエチルケトンで希釈して、低屈折率層用塗布組成物3を調製した。
(低屈折率層用塗布組成物4の調製)
低屈折率層用塗布組成物4を調製するにあたり、まず、中空シリカ微粒子1含有分散液(B1)を調製し、つぎにこの分散液(B1)を用いて、表面修飾シリカ粒子分散液(B1−1)を調製し、さらにこの表面修飾シリカ粒子分散液(B1−1)を用いて、側鎖に架橋性基を有する表面グラフトポリマー中空シリカ粒子分散液(B1−1G)を調製した。
[中空シリカ微粒子1含有分散液(B1)の調製]
上記低屈折率層用塗布組成物3の中空シリカ微粒子1含有分散液(A1)の調製において、[3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル]トリエトキシシランを、[3−(2−ブロモイソブチロイルオキシ)プロピル]トリエトキシシランに変更した以外は、上記分散液(A1)の調製の場合と同様にして、固形分濃度30質量%の中空シリカ微粒子1含有分散液(B1)を得た。
[表面修飾シリカ粒子分散液(B1−1)の調製]
上記低屈折率層用塗布組成物3の表面修飾シリカ粒子分散液(A1−1)の調製において、使用する中空シリカ微粒子1含有分散液(A1)を、上記で作製した中空シリカ微粒子1含有分散液(B1)に変更した以外は、上記分散液(A1−1)の調製の場合と同様にして、固形分濃度10質量%の表面修飾シリカ粒子分散液(B1−1)を得た。
[表面グラフトポリマー中空シリカ粒子分散液(B1−1G)の調製]
上記低屈折率層用塗布組成物3の表面グラフトポリマー中空シリカ微粒子分散液(A1−1G)の調製において、表面修飾シリカ分散液(A1−1)を、上記で調製した表面修飾シリカ分散液(B1−1)500質量部に変更した以外は、上記分散液(A1−1G)の調製の場合と同様にして、固形分濃度20質量%の表面グラフトポリマー中空シリカ微粒子分散液(B1−1G)を調製した。
つぎに、低屈折率層用塗布組成物4の調製にあたり、上記低屈折率層用塗布組成物3の調製において、表面グラフトポリマー中空シリカ微粒子分散液(A1−1G)を、上記で作製した表面グラフトポリマー中空シリカ微粒子分散液(B1−1G)に変更した以外は、上記低屈折率層用塗布組成物3の調製の場合と同様にして、固形分濃度7質量%の低屈折率層用塗布組成物4を調製した。
(防眩性反射防止フィルムの作製)
ついで、上記実施例29の場合と同様に、大気圧プラズマ処理された防眩性フィルムの防眩層表面に、上記の低屈折率層用塗布組成物3または低屈折率層用塗布組成物4を塗布して、低屈折率層を設け、実施例33と34の防眩性反射防止フィルムを作製した。得られた実施例33と34の防眩性反射防止フィルムの低屈折率層の屈折率は、ともに1.44であった。
なお、実施例33と34の防眩性反射防止フィルムの作製に用いた低屈折率層用塗布組成物中の微粒子の種類を、下記の表6に示した。
<防眩性反射防止フィルムの評価>
(耐久性試験サンプルの作製)
実施例29、実施例33と34の防眩性反射防止フィルムについて、実施例13の場合と同様にして、過酷条件下での耐久性試験サンプルを作製した。
ついで、これらの実施例29、実施例33と34の防眩性反射防止フィルムの耐久性試験サンプル試料について、上記実施例17の場合と同様にして密着性の評価を行なうとともに、上記実施例1の場合と同様にして、擦傷性、表面硬度(鉛筆硬度)、並びに視認性評価の指標として、写り込み(防眩性)、鮮鋭性、及び白ボケを評価した。得られた結果を下記の表7に示した。
上記表7の結果から明らかなように、より過酷な耐久性試験後のサンプルにおいて、表面グラフトポリマー中空シリカ微粒子を用いた本発明の実施例33と34の防眩性反射防止フィルムは、通常の中空シリカ微粒子を用いた実施例29よりも、優れた密着性、膜強度、及び視認性が得られることが分かる。
(偏光膜の作製)
液晶表示パネルの作製のために、まず、偏光膜を作製した。すなわち、厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、ついでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し、偏光膜を得た。
(偏光板の作製)
ついで、偏光膜の一方の面に、下記工程1〜5に従って、実施例1〜12及び比較例1〜10で作製した防眩性フィルムを、防眩層が外側になるように貼り合わせ、偏光膜の他方の裏面に、市販の位相差を有するセルロースエステルフィルム・コニカミノルタタック(コニカミノルタオプト株式会社製)を貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、ついで水洗し乾燥して、偏光膜と貼合する側を鹸化した防眩性フィルム、セルロースエステルフィルムを得た。
工程2:偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、この偏光膜を、工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせ、さらに偏光膜の上に、工程1で処理した防眩性フィルムを防眩層が外側になるように、この順で積層して、配置した。
工程4:工程3で積層した防眩性フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルムとを、圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した防眩性フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルムとを2分間乾燥し、偏光板を作製した。
(液晶表示パネルの作製)
ついで、市販の液晶表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプレイ、MultiSync、LCD1525J:型名、LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに上記作製した偏光板を貼合して、実施例35〜46、及び比較例24〜33の液晶表示パネルを作製し、得られた液晶表示パネルについて、写り込み(防眩性)、鮮明性、及びぎらつきを評価した。
<評価>
〔写り込み(防眩性)〕
上記のようにして得られた実施例35〜46及び比較例24〜33の液晶パネルを、床から80cmの高さの机上に配置し、床から3mの高さの天井部に昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X、松下電器産業株式会社製)40W×2本を1セットとして1.5m間隔で10セット配置した。このとき評価者が液晶パネル表示面正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に蛍光灯がくるように配置した。液晶パネルは机に対する垂直方向から25°傾けて蛍光灯が写り込むようにして画面の見易さを下記のようにランク評価した。得られた結果を、下記の表8に示した。
写り込み(防眩性)評価ランク
4:最も近い蛍光灯の写り込みが気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める。
3:近くの蛍光灯の写り込みはやや気になるが、遠くは気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もなんとかと読める。
2:遠くの蛍光灯の写り込みも気になり、フォントの大きさ8以下の文字を読むのは困難である。
1:蛍光灯の写り込みがかなり気になり、写り込みの部分はフォントの大きさ8以下の文字を読むことはできない。
(鮮明性)
実施例35〜46及び比較例24〜33の各液晶パネルに、動画表示をした時の像の鮮明性を目視にて下記基準で評価した。得られた結果を、下記の表8に示した。
鮮明性評価ランク
4:速く動いている像も鮮明に見える。
3:速く動いている像がやや不鮮明に見える時がある。
2:動かない像は鮮明だが動く像は不鮮明である。
1:動く像、動かない像は共に不鮮明である。
(ぎらつき)
上記作製した実施例35〜46及び比較例24〜33の各液晶パネルに、ルーバーを有する蛍光灯の拡散光を映し、表面のぎらつき感を、以下に示す基準に則り、目視評価した。得られた結果を、下記の表8に示した。
ぎらつき評価ランク
4:ぎらつきが全く認められない。
3:ほとんどぎらつきが認められない。
2:わずかにぎらつきが認められる。
1:明らかに、ぎらつきが認められる。
上記表8の結果から明らかなように、本発明の実施例35〜46の液晶パネルによれば、比較例24〜33の液晶パネルに比べて、優れた視認性(防眩性、鮮明性、ぎらつき)を有していることが分かる。
実施例47〜54、及び比較例34〜39
(偏光板及び液晶表示パネルの作製)
つぎに、上記実施例25〜32、及び比較例18〜23で作製した防眩性反射防止フィルムを用いて、上記実施例35〜46、及び比較例24〜33の場合と同様にして、偏光板を作製した後、実施例47〜54、及び比較例34〜39の液晶表示パネルを作製し、得られた液晶表示パネルについて、写り込み(防眩性)、鮮明性、及びぎらつきを、上記実施例35〜46、及び比較例24〜33の場合と同様に評価した。得られた結果を表9に示す。
上記表9の結果から明らかなように、本発明の実施例35〜〜46の液晶パネルは、比較例24〜33の液晶パネルに比べて、優れた視認性(防眩性、鮮明性、ぎらつき)を有していることが分かる。

Claims (17)

  1. 透明フィルム基材上に防眩層を有する防眩性フィルムであって、防眩層が少なくとも1種の硬化性樹脂、及び少なくとも1種のフッ素含有アクリル樹脂微粒子を含有することを特徴とする、防眩性フィルム。
  2. 硬化性樹脂が、紫外線硬化樹脂であることを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の防眩性フィルム。
  3. 硬化性樹脂が、紫外線硬化型アクリレート系樹脂であることを特徴とする、請求の範囲第1項または第2項に記載の防眩性フィルム。
  4. フッ素含有アクリル樹脂微粒子が、フッ素含有ポリメチルメタクリレート微粒子であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第3項のいずれか一項に記載の防眩性フィルム。
  5. フッ素含有アクリル樹脂微粒子の平均粒子径が、5nm〜30μmの範囲であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に記載の防眩性フィルム。
  6. フッ素含有アクリル樹脂微粒子の含有量が、前記硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜500質量部の範囲であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第5項のいずれか一項に記載の防眩性フィルム。
  7. 透明フィルム基材が、セルロースエステルフィルムを主材とすることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第6項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルム。
  8. 透明フィルム基材が、セルロースエステル、糖エステル化合物、及びアクリル系ポリマーとからなるものであることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第7項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルム。
  9. 防眩層の厚さが、0.5〜50μmの範囲であることを特徴とする、請求の範囲第1項〜第8項のいずれか一項に記載の防眩性フィルム。
  10. 請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムの防眩層上に、内部が多孔質または空洞である少なくとも1種の中空シリカ微粒子を含有する低屈折率層が積層されていることを特徴とする、防眩性反射防止フィルム。
  11. 請求の範囲第10項に記載の防眩性反射防止フィルムであって、防眩層と低屈折率層との間に、高屈折率層が介在させられていることを特徴とする、防眩性反射防止フィルム。
  12. 中空シリカ微粒子の表面に、炭化水素主鎖を有するポリマーが共有結合していることを特徴とする、請求の範囲第10項または第11項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  13. 請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムを一方の面に用いることを特徴とする、偏光板。
  14. 請求の範囲第10項〜第12項のうちのいずれか一項に記載の防眩性反射防止フィルムを一方の面に用いることを特徴とする、偏光板。
  15. 請求の範囲第1項〜第9項のうちのいずれか一項に記載の防眩性フィルムを用いることを特徴とする、表示装置。
  16. 請求の範囲第10項〜第12項のうちのいずれか一項に記載の防眩性反射防止フィルムを用いることを特徴とする、表示装置。
  17. 請求の範囲第13項または第14項に記載の偏光板を用いることを特徴とする、表示装置。
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