JP4622472B2 - 防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置 - Google Patents

防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置 Download PDF

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本発明は防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置に関し、より詳しくは反射防止層の膜厚を均一化し、量産時の反射率の部分的なバラツキ、即ち色ムラが防止された防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置に関する。
透明フィルム支持体上に微細凹凸形状を有する防眩性ハードコート層を形成し、該防眩性ハードコート層の凹凸形状表面上に、光干渉による反射防止層を塗布コーティングする防眩性反射防止フィルムは、下記の公知例の様に多数の技術提案がなされている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
平滑面のクリアハードコート層上に光干渉による反射防止層を塗布コーティングした場合には、該反射防止層の膜厚と屈折率よりシュミレーションによって求められる反射率は、反射防止フィルムの反射率実測値と合致する。しかし、防眩性ハードコート層の場合には合致性が劣り、反射率はむしろ平均としてシミュレーション値まで低下しない。本発明者らの検討によれば、その原因として、反射防止層の膜厚が不均一となっていることが起因していることが分かった。そして、色ムラ等を中心とした目視上のムラに関しても、本発明者等による検討の結果、反射防止層の膜厚が不均一となっていることが起因していることが分かった。反射率が予定より高いことは調整可能なので大きな問題とならないが、色ムラを中心とした目視上のムラは視認性に多大な影響を与える為致命的な欠陥となる。
特開2002−98804号公報 特開2002−267804号公報 特開2003−75604号公報 特開2004−4175号公報 特開2004−8840号公報
本発明の目的は、反射防止層の膜厚を均一化し、量産時の反射率の部分的なバラツキ、即ち色ムラが防止された防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
(請求項1)
透明フィルム支持体上に微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする微細凹凸形状を有した防眩性ハードコート層を形成し、かつ該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状表面上に光干渉による反射防止層を形成した防眩性反射防止フィルムにおいて、
該防眩性ハードコート層と光干渉による反射防止層の間に中間層を有し、該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚が3倍以上10倍以下の膜厚であり、更に、隣接する該凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm 当たり5〜20個有し、該凹凸の平均山谷間隔が1μm〜80μmであり、かつ該光干渉による反射防止層を形成した最表面は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.08μm〜0.5μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
(請求項2)
前記微粒子はシリカ微粒子またはポリスチレン微粒子であり、かつ前記活性エネルギー線硬化型樹脂はアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項3)
前記防眩性ハードコート層、中間層、及び光干渉による反射防止層が、フッ素系またはシリコン系の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項4)
前記中間層の上に光干渉による反射防止層として、低屈折率層、または高屈折率層及び低屈折率層、または中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の順に積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項5)
前記中間層が金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項6)
前記透明フィルム支持体がセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
(請求項7)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを一方の面または両面に有することを特徴とする偏光板。
(請求項8)
請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
(請求項9)
請求項1に記載の防眩性反射防止フィルムを製造する方法であって、
防眩性ハードコート層の上に中間層を塗布方式により設け、該中間層の乾燥において、静置状態で乾燥する方法、または乾燥風量を制御し乾燥する方法により、該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚を3倍以上10倍以下とし、更に、隣接する該凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm 当たり5〜20個有し、該凹凸の平均山谷間隔が1μm〜80μmとし、
次いで、該中間層の上に、最表面のJIS B 0601で規定される中心線粗さ(Ra)が、0.8〜0.5μmとなるように、反射防止層を塗布し形成することを特徴とする防眩性反射防止フィルムの製造方法。
(請求項10)
前記中間層の塗布に先立ち、前記防眩性ハードコート層表面に表面処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
本発明により、反射防止層の膜厚を均一化し、量産時の反射率の部分的なバラツキ、即ち色ムラが防止された防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板及び表示装置を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、上記問題点を種々検討した結果、透明フィルム支持体上に微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする微細凹凸形状を有した防眩性ハードコート層を形成し、かつ該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状表面上に光干渉による反射防止層を形成した防眩性反射防止フィルムにおいて、
該防眩性ハードコート層と光干渉による反射防止層の間に中間層を有し、該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚が3倍以上10倍以下の膜厚であり、かつ該光干渉による反射防止層を形成した最表面は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.08μm〜0.5μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルムにより、本発明の目的とする効果が得られることを見出した。
即ち、微細凹凸形状を有した防眩性ハードコート層上に、光干渉による反射防止層を塗布方式により設けようとすると、反射防止層中のバインダー成分の流動により凸部にバインダー成分が残らない状態になったり、凸部表面に直径数μmの大きさで厚みが薄くなり、凹凸面上にハジキが発生し、反射防止層の厚み差による干渉ムラが見られた。
本発明は、微細凹凸形状を有した防眩性ハードコート層と光干渉による反射防止層との間に、中間層を設け、該中間層の膜厚を防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚が3倍以上10倍以下の膜厚であるように調整することで、反射防止層の膜厚を均一化し、量産時の反射率の部分的なバラツキ、即ち色ムラが防止された防眩性反射防止フィルムを得ることが出来ることを見出したものである。
以下、本発明を各要素毎に詳細に説明する。
《中間層》
本発明に係る中間層は防眩性ハードコート層と反射防止層の間に塗布方法により設けられるものであり、その膜厚が防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚が3倍以上10倍以下の膜厚であるように調整されていることが特徴である。
本発明に係る中間層に用いられるバインダー成分としては制限されるものではないが、アクリル系樹脂を含有することが、防眩性ハードコート層と反射防止層との易接着性の観点から好ましい。
アクリル系樹脂としては、例えば、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レーヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レーヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが好ましく用いられる。
また、後述する防眩性ハードコート層に用いられる紫外線硬化性樹脂を用いることも出来る。
ここで使用する樹脂は、中間層で使用している樹脂全体の60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であることが好ましく、必要に応じて活性線硬化性樹脂或いは熱硬化樹脂を添加することも出来る。これらの樹脂はバインダーとして下記のような溶剤に溶解した状態で塗設される。
中間層を塗設するための塗布組成物には、次の溶剤が好ましく用いられる。溶剤としては、炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒(メチレンクロライド)を適宜混合して使用することが出来るが特にこれらに限定されるものではない。
上記炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられ、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、エステル類としては、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、乳酸エチル、乳酸メチル等が挙げられ、グリコールエーテル(C1〜C4)類としては、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、その他の溶媒としてメチレンクロライド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。特にこれらに限定されるものではないが、これらを適宜混合した溶媒も好ましく用いられる。
また、塗布助剤である界面活性剤は、中間層のみならず後述する防眩性ハードコート層及び反射防止層にも好ましく含有されるものであるが、シリコン系またはフッ素系界面活性剤が好ましい。
シリコン系界面活性剤としては、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤が好ましい。
非イオン面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない系面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。親水性はアルコール性水酸基の数が多くなるに従って、またポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖)が長くなるに従って強くなる。本発明に係わる非イオン界面活性剤は疎水基としてジメチルポリシロキサンを有することに特徴がある。
疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤を用いると、防眩性ハードコート層や低屈折率層のムラや膜表面の防汚性が向上する。ポリメチルシロキサンからなる疎水基が表面に配向し汚れにくい膜表面を形成するものと考えられる。他の界面活性剤を用いることでは得られない効果である。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191等が挙げられる。
また、SUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましい。主鎖骨格の鎖長が長く、直鎖状の構造であることから、優れている。親水基と疎水基が交互に繰り返したブロックコポリマーであることにより、シリカ微粒子の表面を1つの活性剤分子が、複数の箇所で、これを覆うように吸着することが出来るためと考えられる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、疎水基がパーフルオロカーボンチェインをもつ界面活性剤を用いることが出来る。種類としては、フルオロアルキルカルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−(フルオロアルキルオキシ)−1−アルキルスルホン酸ナトリウム、3−(ω−フルオロアルカノイル−N−エチルアミノ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−(3−パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)等が挙げられる。本発明では非イオン界面活性剤が好ましい。
これらのフッ素系界面活性剤はメガファック、エフトップ、サーフロン、フタージェント、ユニダイン、フローラード、ゾニール等の商品名で市販されている。
好ましい添加量は中間層、防眩性ハードコート層及び反射防止層の塗布液に含まれる固形分当たり0.01〜3.0%であり、より好ましくは0.02〜1.0%である。
これらの界面活性剤を用いることは、塗布性を向上し本発明の目的である反射色ムラの改善に貢献する。
しかしながら、他の界面活性剤も併用して用いてもよく、適宜、例えばスルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、リン酸エステル塩系等のアニオン界面活性剤、また、ポリオキシエチレン鎖親水基として有するエーテル型、エーテルエステル型等の非イオン界面活性剤等を併用してもよい。
また、後述する防眩性ハードコート層に用いることの出来る微粒子を含有させることも好ましい。特に金属酸化物粒子を含有させることは、中間層の屈折率を制御したり、帯電防止性能を付与する上で特に好ましい。金属酸化物微粒子の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、或いはこれらの複合酸化物が好ましく、特にSiO2、ZnO、In23、TiO2及びSnO2が好ましい。また、異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、またSnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加物が好ましい。微粒子はバインダー100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、更に好ましくは、0.1質量部〜20質量部である。
本発明では、前記防眩性ハードコート層を形成した後防眩性ハードコート層微細凹凸形状表面に表面処理を行い、該表面処理を行った防眩性ハードコート層表面に本発明に係る中間層を形成することが本発明の効果を高める上で好ましい。
表面処理は、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられ、特に好ましくはアルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、コロナ処理法である。
中間層塗布組成物の塗布方法としては、グラビアコーター、ディップコーター、ワイヤーバーコーター、リバースコーター、押出しコーター等を用いて、防眩性ハードコート層の凸部上の膜厚が乾燥膜厚として0.05μm〜0.5μm、好ましくは0.08μm〜0.3μm、更に好ましくは0.1μm〜0.2μmである。0.05μm以下では薄膜過ぎて反射防止層を塗布する際に、ハジキや無塗布部分が出来やすく色ムラを誘発し易い。0.5μm以上では、凹部上の中間層の膜厚が厚くなり表面粗さが小さくなる為防眩効果が低下する。
本発明に係る中間層の屈折率は、干渉縞の発生防止の為に隣接する層との屈折率差を0.05以内にすることが好ましく、具体的な屈折率として1.5〜2.0、特に1.5〜1.7であることが好ましい。中間層の屈折率は上記添加する微粒子または無機マトリックスの屈折率や含有量によって調製することが出来る。
本発明の特徴は防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚が3倍以上10倍以下に調整する点である。好ましく4倍〜9倍、特に好ましくは5倍〜8倍である。3倍未満では、本発明の色ムラ改良の効果は小さく、10倍を超えると中間層の表面粗さが小さくなり防眩効果が低下する。
微細凹凸形状の凸部上、凹部上における中間層の膜厚を調整する方法として、乾燥時に一定時間の静置状態の乾燥を行う方法、乾燥風量を制御する方法、バインダー樹脂の紫外線硬化を行う際に塗布から紫外線硬化を行う迄の時間を制御する方法等が挙げられる。
図1に本発明に係る微細凹凸形状を有する防眩性ハードコート層上に設けられた中間層の模式図を示す。凸部上の中間層の膜厚h1に対し、凹部上の中間層の膜厚h2が3倍以上の膜厚であれば本発明の効果を得ることが出来る。中間層の膜厚はフィルム面に対し垂直方向の断面を顕微鏡等により観察し測定することで求められる。
《防眩性ハードコート層》
本発明に係る防眩性ハードコート層について説明する。
本発明に係る防眩性ハードコート層は、少なくとも透明フィルム支持体の一方の面に設けられる。本発明においては、前記防眩性ハードコート層上に、中間層、反射防止層(高屈折率層、低屈折率層等)が設けられ本発明の防眩性反射防止フィルムを構成する。
本発明に係る防眩性ハードコート層は表面に微細な凹凸形状を有するが、該微細凹凸形状は、ハードコート層に微粒子を含有させることで形成し、該微細凹凸は隣接する凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm 当たり5〜20個有し、該凹凸の平均山谷間隔が1μm〜80μmであり、下記のような平均粒径0.01μm〜4μmの微粒子をハードコート層中に含有させることで形成出来る。また、後述するように、該防眩性ハードコート層上に設けられた反射防止層の最表面の表面粗さとして、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.08μm〜0.5μmの範囲に調整される。
(防眩性ハードコート層に含有される粒子)
本発明に係る防眩性ハードコート層中に含有される粒子としては、例えば、無機または有機の微粒子が用いられる。
無機微粒子としては酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることが出来る。
また、有機微粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることが出来る。
本発明では特に、酸化ケイ素微粒子またはポリスチレン系樹脂微粒子であることが好ましい。
上記記載の無機または有機の微粒子は、防眩性ハードコート層の作製に用いられる樹脂等を含む塗布組成物に加えて用いることが好ましい。また、これらの微粒子の平均粒径としては、0.01μm〜4μmであることが好ましく、より好ましくは、0.01μm〜3μmである。
本発明に係る防眩性ハードコート層に防眩性を付与するためには、無機または有機微粒子の含有量は、防眩性ハードコート層作製用の樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、更に好ましくは、0.1質量部〜20質量部となるように配合することである。より好ましい防眩効果を付与するには、平均粒径0.1μm〜1μmの微粒子を防眩性ハードコート層作製用の樹脂100質量部に対して1質量部〜15質量部を用いるのが好ましい。又、異なる平均粒径の微粒子を2種以上用いることも好ましい。
また、本発明に係る防眩性ハードコート層には帯電防止剤を含有させることも好ましく、帯電防止剤としては、Sn、Ti、In、Al、Zn、Si、Mg、Ba、Mo、W及びVからなる群から選択される少なくとも一つの元素を主成分として含有し、かつ、体積抵抗率が107Ω・cm以下であるような導電性材料が好ましい。
前記帯電防止剤としては、上記の元素を有する金属酸化物、複合酸化物等が挙げられる。
金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、或いはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、In23、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、またSnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
また、これらの導電性を有するこれら金属酸化物粉体の体積抵抗率は107Ω・cm以下、特に105Ω・cm以下である。
(防眩性ハードコート層の中心線平均粗さ(Ra))
本発明に係る防眩性ハードコート層はその表面が微細凹凸形状を有するものであるが、前記のように該防眩性ハードコート層上に設けられる反射防止層の最表面の凹凸が、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さRaを0.08μm〜0.5μmの範囲に入るように上記記載のような微粒子を添加し、調整することが好ましく、更に好ましい凹凸は0.1μm〜0.3μmの範囲である。
(防眩性ハードコート層の微細な凹凸)
本発明に係る防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸は、上記記載の微粒子の添加量、粒径、膜厚等を調整することにより、より好ましい凹凸を有する防眩性ハードコート層を得ることが出来る。また、本発明に係る防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸は、隣接する凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm2当たり5〜20個有する微細構造として形成されていることが好ましい。
防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸は市販の触針式表面粗さ測定機或いは市販の光学干渉式表面粗さ測定機等によって測定することが出来る。例えば、光学干渉式表面粗さ測定機によって、約4000μm2の範囲(55μm×75μm)について凹凸を2次元的に測定し、凹凸を底部側より等高線のごとく色分けして表示する。
ここで隣接する底部を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部の数をカウントし、100μm2の面積当たりの数で示した。測定は防眩性反射防止フィルム1m2当たり任意の10点を測定してその平均値として求めた。
また、本発明に係る防眩性ハードコート層の表面は、表面の平均水準を基準とした高さが0.2μm以上の凸部を100μm2当たり80個以上有する微細構造を有することが好ましいが、この微細構造についても、上記と同様に光学干渉式表面粗さ測定機によって、約4000μm2の範囲(55μm×75μm)について凹凸を2次元的に測定し、平均水準未満の部分、平均水準以上〜高さが0.2μm未満の部分、高さが0.2μm以上の部分の少なくとも3つ以上の領域に色分けして表示し、高さが0.2μm以上の部分で凸となっている部分の数をカウントし、100μm2の面積当たりの数で示すことが出来る。
(防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸の平均山谷間隔)
本発明に係る防眩性ハードコート層は、表面の微細な凹凸の平均山谷間隔が1μm〜80μmであることが好ましく、更に好ましくは、10μm〜40μmである。
ここで、微細凹凸構造の形状は、触針式表面粗さ測定機などにより測定出来、例えばダイヤモンドからなる先端部を頂角55度の円錐形とした直径1mmの測定針を介して微細凹凸構造面上を一定方向に3mmの長さで走査し、その場合の測定針の上下方向の移動変化を測定してそれを記録した表面粗さ曲線として知見を得ることが出きる。或いは前述のごとく光学干渉式表面粗さ測定機によっても測定することが出来る。
ここで、平均山谷間隔とは、前記の表面粗さ曲線における凹凸変化が微小な部分(平坦に近い部分)に基づいて表面粗さ曲線の凹凸変化が凸部として評価出来る基準線を想定し、その基準線からの当該凸部の高さの平均を中心線として、表面粗さ曲線がその中心線を下から上(又は上から下)に通過する際の交点に基づきその交点間の距離の平均として定義することが出来る。
(防眩性ハードコート層の屈折率)
本発明に係る防眩性ハードコート層の屈折率は、低反射性フィルムを得るための光学設計上から屈折率が1.5〜2.0、特に1.6〜1.7であることが好ましい。防眩性ハードコート層の屈折率は添加する微粒子または無機マトリックスの屈折率や含有量によって調製することが出来る。
(防眩性ハードコート層の膜厚)
十分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、防眩性ハードコート層の膜厚は0.5μm〜15μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、1.0μm〜7μmである。
(防眩性ハードコート層のヘイズ)
本発明に記載の効果(視認性向上)を得る為に、防眩性ハードコート層のヘイズは、5%〜40%であることが好ましく、更に好ましくは、6%〜30%である。
ここで、ヘイズの測定は、ASTM−D1003−52に準じて測定出来る。
本発明に係る防眩性ハードコート層のヘイズ値を好ましい範囲に調整する為の手段としては、上記記載の有機微粒子及び/または、無機微粒子を防眩性ハードコート層中に含有させることが好ましいが、中でも、二酸化ケイ素が均一に分散しやすい為好ましく用いられる。また、二酸化ケイ素のような微粒子を有機物により表面処理したものも好ましく用いられる。
(活性エネルギー線硬化樹脂)
本発明に係る防眩性ハードコート層は、紫外線等活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化樹脂を含有する。
活性エネルギー線硬化樹脂とは紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性エネルギー線照射によって硬化する樹脂でもよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る。例えば、特開昭59−151110号に記載の、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端の水酸基やカルボキシル基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなのモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端の水酸基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂の例として、有用に用いられるエポキシ系活性エネルギー線反応性化合物を示す。
(a)ビスフェノールAのグリシジルエーテル(この化合物はエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの反応により、重合度の異なる混合物として得られる)
(b)ビスフェノールA等のフェノール性OHを2個有する化合物に、エピクロルヒドリン、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドを反応させ末端にグリシジルエーテル基を有する化合物
(c)4,4′−メチレンビスフェノールのグリシジルエーテル
(d)ノボラック樹脂またはレゾール樹脂のフェノールフォルムアルデヒド樹脂のエポキシ化合物
(e)脂環式エポキシドを有する化合物、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキザレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルピメレート)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−1′−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシ−6′−メチル−1′−シクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5′,5′−スピロ−3″,4″−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン
(f)2塩基酸のジグリシジルエーテル、例えば、ジグリシジルオキザレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルフタレート
(g)グリコールのジグリシジルエーテル、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
(h)ポリマー酸のグリシジルエステル、例えば、ポリアクリル酸ポリグリシジルエステル、ポリエステルジグリシジルエステル
(i)多価アルコールのグリシジルエーテル、例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グルコーストリグリシジルエーテル
(j)2−フルオロアルキル−1,2−ジオールのジグリシジルエーテルとしては、前記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物に挙げた化合物例と同様のもの
(k)含フッ素アルカン末端ジオールグリシジルエーテルとしては、上記低屈折率物質のフッ素含有樹脂のフッ素含有エポキシ化合物等を挙げることが出来る。
上記エポキシ化合物の分子量は、平均分子量として2000以下で、好ましくは1000以下である。
上記のエポキシ化合物を活性エネルギー線により硬化する場合、より硬度を上げるためには、(h)または(i)の多官能のエポキシ基を有する化合物を混合して用いると効果的である。
エポキシ系活性エネルギー線反応性化合物をカチオン重合させる光重合開始剤または光増感剤は、活性エネルギー線照射によりカチオン重合開始物質を放出することが可能な化合物であり、特に好ましくは、照射によりカチオン重合開始能のあるルイス酸を放出するオニウム塩の一群の複塩である。
活性エネルギー線反応性化合物エポキシ樹脂は、ラジカル重合によるのではなく、カチオン重合により重合、架橋構造または網目構造を形成する。ラジカル重合と異なり反応系中の酸素に影響を受けないため好ましい活性エネルギー線反応性樹脂である。
本発明に有用な活性エネルギー線反応性エポキシ樹脂は、活性エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する光重合開始剤または光増感剤により重合する。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出するオニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
かかる代表的なものは下記一般式(a)で表される化合物である。
一般式(a)
〔(R1a(R2b(R3c(R4dZ〕w+〔MeXvw-
式中、カチオンはオニウムであり、ZはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、ハロゲン(例えばI、Br、Cl)、またはN=N(ジアゾ)であり、R1、R2、R3、R4は同一であっても異なっていてもよい有機の基である。a、b、c、dはそれぞれ0〜3の整数であって、a+b+c+dはZの価数に等しい。Meはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲンであり、wはハロゲン化錯体イオンの正味の電荷であり、vはハロゲン化錯体イオン中のハロゲン原子の数である。
上記一般式(a)の陰イオン〔MeXvw-の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 -)、テトラフルオロホスフェート(PF4 -)、テトラフルオロアンチモネート(SbF4 -)、テトラフルオロアルセネート(AsF4 -)、テトラクロロアンチモネート(SbCl4 -)等を挙げることが出来る。
また、その他の陰イオンとしては過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 -)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼン酸陰イオン等を挙げることが出来る。
このようなオニウム塩の中でも特に芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤として使用するのが有効であり、中でも特開昭50−151996号、同50−158680号等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号、同52−30899号、同59−55420号、同55−125105号等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号、同56−149402号、同57−192429号等に記載のオキソスルホキソニウム塩、特公昭49−17040号等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号等に記載のチオピリリュム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性けい素化合物系重合開始剤等を挙げることが出来る。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することが出来る。
また、エポキシアクリレート基を有する活性エネルギー線反応性化合物の場合は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の光増感剤を用いることが出来る。この活性エネルギー線反応性化合物に用いられる光増感剤や光開始剤は、紫外線反応性化合物100質量部に対して0.1質量部〜15質量部で光反応を開始するには十分であり、好ましくは1質量部〜10質量部である。この増感剤は近紫外線領域から可視光線領域に吸収極大のあるものが好ましい。
本発明に有用な活性エネルギー線硬化樹脂組成物において、重合開始剤は、一般的には、活性エネルギー線硬化性エポキシ樹脂(プレポリマー)100質量部に対して0.1質量部〜15質量部の使用が好ましく、更に好ましくは、1質量部〜10質量部の範囲の添加が好ましい。
また、エポキシ樹脂を上記ウレタンアクリレート型樹脂、ポリエーテルアクリレート型樹脂等と併用することも出来、この場合、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤と活性エネルギー線カチオン重合開始剤を併用することが好ましい。
また、本発明に係る防眩性ハードコート層には、オキセタン化合物を用いることも出来る。用いられるオキセタン化合物は、酸素または硫黄を含む3員環のオキセタン環を有する化合物である。中でも酸素を含むオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環は、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリールアルキル基、アルコキシル基、アリルオキシ基、アセトキシ基で置換されていてもよい。具体的には、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−メチル−3クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン等が挙げられる。尚、本発明ではモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。
本発明に係る防眩性ハードコート層には、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゼラチン等の親水性樹脂等のバインダを上記記載の活性エネルギー線硬化樹脂に混合して使用することが出来る。これらの樹脂は、その分子中に極性基を持っていることが好ましい。極性基としては、−COOM、−OH、−NR2、−NR3X、−SO3M、−OSO3M、−PO32、−OPO3M(ここで、Mは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を、Xはアミン塩を形成する酸を、Rは水素原子、アルキル基を表す)等を挙げることが出来る。
(活性エネルギー線の種類、照射方法について)
本発明に係る防眩性ハードコート層が活性エネルギー線硬化型樹脂を含む場合、活性エネルギー線の照射方法としては、支持体上に、防眩性ハードコート層、反射防止層(中〜高屈折率層及び低屈折率層)等の塗設後に活性エネルギー線を照射してもよいが、防眩性ハードコート層塗設時に活性エネルギー線を照射することが好ましい。
本発明に使用する活性エネルギー線は、紫外線、電子線、γ線等で、化合物を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cm2以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm2〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。
紫外線照射は、反射防止層を構成する複数の層(中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層)それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。或いはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
また、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
本発明に使用する上記活性エネルギー線反応性化合物を光重合または光架橋反応を開始させるには、上記活性エネルギー線反応性化合物のみでも開始するが、重合の誘導期が長かったり、重合開始が遅かったりするため、光増感剤や光開始剤を用いることが好ましく、それにより重合を早めることが出来る。
(光反応開始剤、光増感剤)
本発明に係る防眩性ハードコート層が活性エネルギー線硬化樹脂を含有する場合、活性エネルギー線の照射時においては、光反応開始剤、光増感剤を用いることが出来る。
具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることが出来る。また、エポキシアクリレート系樹脂の合成に光反応剤を使用する際に、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることが出来る。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤及び/または光増感剤の使用量は、組成物の1質量%〜10質量%が好ましく、特に好ましくは2.5質量%〜6質量%である。
また、活性エネルギー線硬化樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合、前記紫外線硬化性樹脂の光硬化を妨げない程度に、後述する紫外線吸収剤を紫外線硬化性樹脂組成物に含ませてもよい。
(酸化防止剤)
防眩性ハードコート層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることが出来る。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることが出来る。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることが出来る。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アデカオプトマーKR、BYシリーズのKR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、旭電化工業(株)製)、コーエイハードのA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学工業(株)製)、セイカビームのPHC2210(S)、PHCX−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業(株)製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー(株))、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製)、サンラッド H−601(三洋化成工業(株)製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子(株)製)、RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成(株)製)、またはその他の市販のものから適宜選択して利用することが出来る。
活性エネルギー線硬化樹脂を含む塗布組成物は、固形分濃度は10質量%〜95質量%であることが好ましく、塗布方法により適当な濃度が選ばれる。
(界面活性剤)
次に、本発明に係る防眩性ハードコート層、中間層及び反射防止層に含有される界面活性剤について説明する。界面活性剤としては、シリコン系またはフッ素系界面活性剤が好ましい。
シリコン系界面活性剤としては、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤が好ましい。
非イオン面活性剤は、水溶液中でイオンに解離する基を有しない系面活性剤を総称していうが、疎水基のほか親水性基として多価アルコール類の水酸基、また、ポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン)等を親水基として有するものである。親水性はアルコール性水酸基の数が多くなるに従って、またポリオキシアルキレン鎖(ポリオキシエチレン鎖)が長くなるに従って強くなる。本発明に係わる非イオン界面活性剤は疎水基としてジメチルポリシロキサンを有することに特徴がある。
疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤を用いると、防眩性ハードコート層や低屈折率層のムラや膜表面の防汚性が向上する。ポリメチルシロキサンからなる疎水基が表面に配向し汚れにくい膜表面を形成するものと考えられる。他の界面活性剤を用いることでは得られない効果である。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191等が挙げられる。
また、SUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましい。主鎖骨格の鎖長が長く、直鎖状の構造であることから、優れている。親水基と疎水基が交互に繰り返したブロックコポリマーであることにより、シリカ微粒子の表面を1つの活性剤分子が、複数の箇所で、これを覆うように吸着することが出来るためと考えられる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、疎水基がパーフルオロカーボンチェインをもつ界面活性剤を用いることが出来る。種類としては、フルオロアルキルカルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−(フルオロアルキルオキシ)−1−アルキルスルホン酸ナトリウム、3−(ω−フルオロアルカノイル−N−エチルアミノ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−(3−パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)等が挙げられる。本発明では非イオン界面活性剤が好ましい。
これらのフッ素系界面活性剤はメガファック、エフトップ、サーフロン、フタージェント、ユニダイン、フローラード、ゾニール等の商品名で市販されている。
好ましい添加量は防眩性ハードコート層、中間層及び反射防止層の塗布液に含まれる固形分当たり0.01〜3.0%であり、より好ましくは0.02〜1.0%である。
他の界面活性剤を併用して用いることも出来、適宜、例えばスルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、リン酸エステル塩系等のアニオン界面活性剤、また、ポリオキシエチレン鎖親水基として有するエーテル型、エーテルエステル型等の非イオン界面活性剤等を併用してもよい。
(防眩性ハードコート層の作製方法)
本発明に係る防眩性ハードコート層を塗設する際の溶媒は、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、または混合して使用出来る。好ましくは、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、更に好ましくは5質量%〜80質量%以上含有する溶媒が用いられる。
防眩性ハードコート層組成物塗布液の塗布方法としては、グラビアコーター、スピナーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、リバースコーター、押出コーター、エアードクターコーター等公知の方法を用いることが出来る。塗布量はウェット膜厚で5μm〜30μmが適当で、好ましくは10μm〜20μmである。塗布速度は10m/分〜60m/分が好ましい。
防眩性ハードコート層組成物は塗布乾燥された後、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射され硬化処理されることが好ましいが、前記活性エネルギー線の照射時間は0.5秒〜5分が好ましく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から更に好ましくは、3秒〜2分である。
《反射防止層》
本発明に係る光干渉による反射防止層について説明する。
(反射色味)
本発明に係る防眩性反射防止フィルムの反射色相範囲が、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で0.17≦x≦0.27、0.07≦y≦0.17の範囲にあることが好ましい。
具体的には、透明支持体上に中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の3層、または高屈折率層及び低屈折率層の2層、若しくは低屈折率層の1層を塗設した反射防止フィルムにおいて、少なくとも80%以上の面積についてXYZ表色系(CIE1931表色系)上で反射色相x、yが下記条件を満たすことが、色再現性、視認性において好ましい。
0.22≦x≦0.30
0.17≦y≦0.25
更に、本発明の目的である反射色ムラの低減は、反射色相x、yにおいてバラツキが0.04以内で以上ある場合に視認されるため、本発明の構成により反射色相x、yのバラツキを0.04以内にすることが好ましい。
〔XYZ表色系(CIE1931表色系)の反射色相〕
本発明で反射色相はJIS−Z8701の規定により測定できる。測定は、例えば、分光光度計V−550(日本分光(株)製)を用い、標準C光源にて2度視野で測定し、反射色相x、y値を算出する。
(反射防止層の構成)
本発明に係る反射防止層は、前記中間層表面上に形成されている。
本発明の防眩性反射防止フィルムは低屈折率層のみの単層構成でも、また多層の屈折率層を設けることも好ましい。透明なフィルム支持体上に、防眩性ハードコート層、中間層を有し、その微細凹凸形状表面上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層出来る。反射防止層は、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成したり、特に好ましくは、3層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体または防眩性ハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましい。
または、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。
本発明の防眩性反射防止フィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。ここで/は積層配置されていることを示している。
バックコート層/支持体/防眩性ハードコート層/中間層/低屈折率層
バックコート層/支持体/防眩性ハードコート層/中間層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/支持体/防眩性ハードコート層/中間層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/支持体/帯電防止層/防眩性ハードコート層/中間層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/支持体/防眩性ハードコート層/中間層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
バックコート層/支持体/防眩性ハードコート層/中間層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
汚れや指紋のふき取りが容易となるように、最表面の低屈折率層の上に、更に防汚層を設けることも出来る。防汚層としては、含フッ素有機化合物が好ましく用いられる。
光学干渉により反射率を低減出来るものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。また、帯電防止層は導電性ポリマー微粒子(例えば架橋カチオン微粒子)または金属酸化物微粒子(例えば、SnO2、ITO等)を含む層であることが好ましく、塗布によって設けることが出来る。または大気圧プラズマ処理、プラズマCVD等によって金属酸化物層(ZnO2、SnO2、ITOなど)を設けることが出来る。
〈低屈折率層〉
本発明に係る低屈折率層では以下の中空球状シリカ系微粒子が好適に用いられる。
(中空球状シリカ系微粒子)
中空球状微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。尚、低屈折率層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
尚、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空球状微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空球状微粒子は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層等の透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空球状微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することが出来ないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF2、NaF、NaAlF6、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al23、B23、TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2、P23、Sb23、MoO3、ZnO2、WO3等との1種または2種以上を挙げることが出来る。このような多孔質粒子では、シリカをSiO2で表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MOX)で表したときのモル比MOX/SiO2が、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MOX/SiO2が、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、更に屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
尚、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることが出来る。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例表した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空球状微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1〜第3工程から中空球状微粒子は製造される。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることが出来る。尚、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることが出来る。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO2、Al23、TiO2またはZrO2等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることが出来る。更に前記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることが出来る。
上記したシリカ原料及び無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、または、シード粒子上に析出して粒子成長が起る。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MOX)に換算し、MOX/SiO2のモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MOX/SiO2のモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、または、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
尚、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することが出来る。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液または加水分解性の有機珪素化合物を添加してシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。尚シリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することが出来る。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ被覆層を形成することが出来る。尚、除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、該空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持出来る範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多過ぎると、シリカ保護膜が厚くなり過ぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、一般式RnSi(OR′)4-n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることが出来る。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることが出来る。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることが出来る。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。尚、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
シリカ被覆層形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、前記したような一般式RnSi(OR′)4-n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることが出来る。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いらる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることが出来る。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることが出来る。
多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の分散媒が水単独、または有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて被覆層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
ケイ酸液は、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中に添加され、同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)表面に沈着させる。尚、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して被覆層形成用に使用してもよい。被覆層形成用に使用される有機珪素化合物またはケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆出来る程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜20nmとなるように量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物またはケイ酸液は添加される。
次いで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体または多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞出来る程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化出来ないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
このようにして得られた無機微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。本発明に係る低屈折率層の屈折率は、1.30〜1.50であることが好ましく、1.35〜1.44であることが更に好ましい。
本発明では市販の上記SiO2微粒子を用いることが出来る。市販の粒子の具体例としては、触媒化成工業社製P−4等が挙げられる。
外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空球状シリカ系微粒子Aの低屈折率層塗布液中の含量(質量)は、10〜80質量%が好ましく、更に好ましくは20〜60質量%である。
(テトラアルコキシシラン化合物またはその加水分解物)
本発明の低屈折率層には、ゾルゲル素材としてテトラアルコキシシラン化合物またはその加水分解物が含有されることが好ましい。
本発明に係る低屈折率層用の素材として、前記無機珪素酸化物以外に有機基を有する珪素酸化物を用いることも好ましい。これらは一般にゾルゲル素材と呼ばれるが、金属アルコレート、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることが出来る。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。特にテトラアルコキシシラン及びその加水分解物が本発明において必須成分として用いられる。
また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましい。
上記テトラアルコキシシランを加水分解する際には、前記無機微粒子を混合することが膜強度を高める上で好ましい。
本発明に係る低屈折率層は前記珪素酸化物と下記シランカップリング剤を含むことが好ましい。
具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製KBM−303、KBM−403、KBM−402、KBM−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−802、KBM−803等が挙げられる。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
カップリング剤による表面処理の具体的方法は、下記に示す。
これらシランカップリング剤は予め必要量の水で加水分解されていることが好ましい。シランカップリング剤が加水分解されていると、前述の珪素酸化物粒子及び有機基を有する珪素酸化物の表面が反応し易く、より強固な膜が形成される。また、加水分解されたシランカップリング剤を予め塗布液中に加えてもよい。
また、低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むことも出来る。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持出来るように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)のうちの二つまたは全てを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、または(1)〜(3)全ての組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル及び(3)バインダーについて順次説明する。
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類出来る。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子がSiO2からなる場合は、前述のシランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施出来る。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施出来る。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーが更に好ましい。ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80質量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75質量%のフッ素原子を含むことが更に好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレン及びその誘導体(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例えば、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド及びアクリロニトリルが挙げられる。
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。但し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることが更に好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用出来る。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、架橋基は、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応及び架橋反応に使用する重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならば更に架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
また、本発明の低屈折率層が、熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層であってもよい。
架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることが出来る。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内に予め架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入出来ることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、若しくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の相み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
また上記モノマーに加えて、含フッ素ビニルモノマー及び架橋性基付与のためのモノマー以外のモノマーを併用して形成された含フッ素共重合体を架橋前の含フッ素樹脂として用いてもよい。併用可能なモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることが出来る。また、含フッ素共重合体中に、滑り性、防汚性付与のため、ポリオルガノシロキサン骨格や、パーフルオロポリエーテル骨格を導入することも好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと上記のモノマーとの重合、末端にラジカル発生基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルによる上記モノマーの重合、官能基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと、含フッ素共重合体との反応等によって得られる。
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
含フッ素共重合体は、これらモノマーをラジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合法等の手段により重合することにより得ることが出来る。
架橋前の含フッ素樹脂は、市販されており使用することが出来る。市販されている架橋前の含フッ素樹脂の例としては、サイトップ(旭硝子製)、テフロン(登録商標)AF(デュポン製)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭硝子製)、オプスター(JSR製)等が挙げられる。
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層は、動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲、水に対する接触角が90〜120度の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る低屈折率層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号)により、塗布により形成することが出来る。また、2以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2,761,791号、同2,941,898号、同3,508,947号、同3,526,528号及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
本発明の低屈折率層の膜厚は50〜200nmであることが好ましく、60〜150nmであることがより好ましい。
〈高屈折率層及び中屈折率層〉
本発明においては、反射率の低減のために、防眩性ハードコート層、中間層を付与した透明支持体と低屈折率層との間に、高屈折率層を設けることが好ましい。また、該透明支持体と高屈折率層との間に中屈折率層を設けることは、反射率の低減のために更に好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55〜2.30であることが好ましく、1.57〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、透明支持体の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
本発明に用いられる中、高屈折率層は下記一般式(1)で表される有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物を含有する塗布液を塗布し乾燥させて形成させた屈折率1.55〜2.5の層であることが好ましい。
一般式(1) Ti(OR14
式中、R1としては炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基がよいが、好ましくは炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基である。また、有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、アルコキシド基が加水分解を受けて−Ti−O−Ti−のように反応して架橋構造を作り、硬化した層を形成する。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーとしては、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−i−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体等が好ましい例として挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることが出来る。中でもTi(O−n−C374、Ti(O−i−C374、Ti(O−n−C494、Ti(O−n−C374の2〜10量体、Ti(O−n−C494の2〜10量体が特に好ましい。
本発明に用いられる中、高屈折率層用塗布液は、水と後述する有機溶媒が順次添加された溶液中に上記有機チタン化合物を添加することが好ましい。水を後から添加した場合は、加水分解/重合が均一に進行せず、白濁が発生したり、膜強度が低下する。水と有機溶媒は添加された後、良く混合させるために攪拌し混合溶解されていることが好ましい。
また、別法として有機チタン化合物と有機溶媒を混合させておき、この混合溶液を、上記水と有機溶媒の混合攪拌された溶液中に添加することも好ましい態様である。
また、水の量は有機チタン化合物1モルに対して、0.25〜3モルの範囲であることが好ましい。0.25モル未満であると、加水分解、重合の進行が不十分で膜強度が低下する。3モルを超えると加水分解、重合が進行し過ぎて、TiO2の粗大粒子が発生し白濁するため好ましくない。従って水の量は上記範囲で調整する必要がある。
また、水の含有率は塗布液総量に対して10質量%未満であることが好ましい。水の含有率を塗布液総量に対して10質量%以上にすると、塗布液の経時安定が劣り白濁を生じたりするため好ましくない。
本発明に用いられる有機溶媒としては、水混和性の有機溶媒であることが好ましい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。これらの有機溶媒の使用量は、前述したように、水の含有率が塗布液総量に対して10質量%未満であるように、水と有機溶媒のトータルの使用量を調整すればよい。
本発明に用いられる有機チタン化合物のモノマー、オリゴマーまたはそれらの加水分解物は、塗布液に含まれる固形分中の50.0質量%〜98.0質量%を占めていることが望ましい。固形分比率は50質量%〜90質量%がより好ましく、55質量%〜90質量%が更に好ましい。この他、塗布組成物には有機チタン化合物のポリマー(予め有機チタン化合物の加水分解を行って架橋したもの)或いは酸化チタン微粒子を添加することも好ましい。
本発明に用いられる高屈折率層及び中屈折率層は、微粒子として金属酸化物粒子を含み、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。
上記塗布液調製法で加水分解/重合した有機チタン化合物と金属酸化物粒子を組み合わせると、金属酸化物粒子と加水分解/重合した有機チタン化合物とが強固に接着し、粒子のもつ硬さと均一膜の柔軟性を兼ね備えた強い塗膜を得ることが出来る。
高屈折率層及び中屈折率層に用いる金属酸化物粒子は、屈折率が1.80〜2.80であることが好ましく、1.90〜2.80であることが更に好ましい。金属酸化物粒子の1次粒子の重量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることが更に好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。層中での金属酸化物粒子の重量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、5〜150nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが更に好ましく、10〜80nmであることが最も好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径は、20〜30nm以上であれば光散乱法により、20〜30nm以下であれば電子顕微鏡写真により測定される。金属酸化物粒子の比表面積は、BET法で測定された値として、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることが更に好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
金属酸化物粒子の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物であり、具体的には二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、及び酸化ジルコニウムが挙げられる。中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。金属酸化物粒子は、これらの金属の酸化物を主成分とし、更に他の元素を含むことが出来る。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素の例としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びS等が挙げられる。
金属酸化物粒子は表面処理されていることが好ましい。表面処理は、無機化合物または有機化合物を用いて実施することが出来る。表面処理に用いる無機化合物の例としては、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム及び酸化鉄が挙げられる。中でもアルミナ及びシリカが好ましい。表面処理に用いる有機化合物の例としては、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が挙げられる。中でも、前記シランカップリング剤が最も好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよく、前記シランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施出来る。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
これらシランカップリング剤は予め必要量の水で加水分解されていることが好ましい。シランカップリング剤が加水分解されていると、前述の有機チタン化合物及び金属酸化物粒子の表面が反応し易く、より強固な膜が形成される。また、加水分解されたシランカップリング剤を予め塗布液中に加えることも好ましい。この加水分解に用いた水も有機チタン化合物の加水分解/重合に用いることが出来る。
本発明では2種類以上の表面処理を組み合わせて処理されていても構わない。金属酸化物粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状或いは不定形状であることが好ましい。2種類以上の金属酸化物粒子を高屈折率層及び中屈折率層に併用してもよい。
高屈折率層及び中屈折率層中の金属酸化物粒子の割合は、5〜65体積%であることが好ましく、より好ましくは10〜60体積%であり、更に好ましくは20〜55体積%である。
上記金属酸化物粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層及び中屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することが出来る。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
本発明に用いられる高屈折率層及び中屈折率層は、架橋構造を有するポリマー(以下、架橋ポリマーともいう)をバインダーポリマーとして用いることが好ましい。架橋ポリマーの例として、ポリオレフィン等の飽和炭化水素鎖を有するポリマー(以下、ポリオレフィンと総称する)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド及びメラミン樹脂等の架橋物が挙げられる。中でも、ポリオレフィン、ポリエーテル及びポリウレタンの架橋物が好ましく、ポリオレフィン及びポリエーテルの架橋物が更に好ましく、ポリオレフィンの架橋物が最も好ましい。また、架橋ポリマーがアニオン性基を有することは更に好ましい。アニオン性基は無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋構造はポリマーに皮膜形成能を付与して皮膜を強化する機能を有する。上記アニオン性基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、連結基を介してポリマー鎖に結合していてもよいが、連結基を介して側鎖として主鎖に結合していることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)及びリン酸基(ホスホノ)が挙げられる。中でも、スルホン酸基及びリン酸基が好ましい。ここで、アニオン性基は、塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは、解離していてもよい。アニオン性基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。好ましいバインダーポリマーである架橋ポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。この場合、コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることが更に好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、2以上のアニオン性基を有していてもよい。
アニオン性基を有する架橋ポリマーには、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造も有しない繰り返し単位)が含まれていてもよい。その他の繰り返し単位としては、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位及びベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に、無機微粒子の分散状態を維持する機能を有する。ベンゼン環は、高屈折率層の屈折率を高くする機能を有する。尚、アミノ基、4級アンモニウム基及びベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位或いは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても、同様の効果が得られる。
上記アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を構成単位として含有する架橋ポリマーにおいて、アミノ基または4級アンモニウム基は、ポリマー鎖に直接結合していてもよいし、或いは連結基を介し側鎖としてポリマー鎖に結合していてもよいが、後者がより好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基は、2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることが好ましく、3級アミノ基または4級アンモニウム基であることが更に好ましい。2級アミノ基、3級アミノ基または4級アンモニウム基の窒素原子に結合している基としては、アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。4級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または4級アンモニウム基とポリマー鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせから選ばれる2価の基であることが好ましい。架橋ポリマーが、アミノ基または4級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は、0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることが更に好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
架橋ポリマーは、架橋ポリマーを生成するためのモノマーを配合して高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布液を調製し、塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって生成させることが好ましい。架橋ポリマーの生成と共に、各層が形成される。アニオン性基を有するモノマーは、塗布液中で無機微粒子の分散剤として機能する。アニオン性基を有するモノマーは、無機微粒子に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%使用される。また、アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、塗布液中で分散助剤として機能する。アミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは、アニオン性基を有するモノマーに対して、好ましくは3〜33質量%使用される。塗布液の塗布と同時または塗布後に、重合反応によって架橋ポリマーを生成する方法により、塗布液の塗布前にこれらのモノマーを有効に機能させることが出来る。
本発明に用いられるモノマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが最も好ましいが、その例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。アニオン性基を有するモノマー、及びアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーは市販のモノマーを用いてもよい。好ましく用いられる市販のアニオン性基を有するモノマーとしては、KAYAMARPM−21、PM−2(日本化薬(株)製)、AntoxMS−60、MS−2N、MS−NH4(日本乳化剤(株)製)、アロニックスM−5000、M−6000、M−8000シリーズ(東亞合成化学工業(株)製)、ビスコート#2000シリーズ(大阪有機化学工業(株)製)、ニューフロンティアGX−8289(第一工業製薬(株)製)、NKエステルCB−1、A−SA(新中村化学工業(株)製)、AR−100、MR−100、MR−200(第八化学工業(株)製)等が挙げられる。また、好ましく用いられる市販のアミノ基または4級アンモニウム基を有するモノマーとしてはDMAA(大阪有機化学工業(株)製)、DMAEA,DMAPAA(興人(株)製)、ブレンマーQA(日本油脂(株)製)、ニューフロンティアC−1615(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
ポリマーの重合反応は、光重合反応または熱重合反応を用いることが出来る。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、防眩性ハードコート層のバインダーポリマーを形成するために用いられる後述する熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(またはオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
中屈折率層及び高屈折率層には、比較的屈折率が高いポリマーを用いることが好ましい。屈折率が高いポリマーの例としては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高く用いることが出来る。
反射防止層の各層またはその塗布液には、前述した成分(金属酸化物粒子、ポリマー、分散媒体、重合開始剤、重合促進剤)以外に、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、帯電防止剤や接着付与剤を添加してもよい。
本発明の中〜高屈折率層及び低屈折率層の塗設後、金属アルコキシドを含む組成物の加水分解または硬化を促進するため、活性エネルギー線を照射することが好ましい。より好ましくは、各層を塗設するごとに活性エネルギー線を照射することである。
本発明に使用する活性エネルギー線は、紫外線、電子線、γ線等で、化合物を活性させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20mJ/cm2〜10,000mJ/cm2が好ましく、更に好ましくは、100mJ/cm2〜2,000mJ/cm2であり、特に好ましくは、400mJ/cm2〜2,000mJ/cm2である。
紫外線を用いる場合、多層の反射防止層を1層ずつ照射してもよいし、積層後照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
また、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
(反射防止層の膜厚)
反射防止層を構成する各屈折率層の膜厚としては、各々1nm〜200nmの範囲が好ましく、更に好ましくは、5nm〜150nmであるが、各層の屈折率に応じて、各々適切な膜厚を選択することが好ましい。
(反射防止層の反射率)
本発明に係る反射防止層は、450nm〜650nmにおける平均反射率が1%以下であることが好ましく、特に好ましくは0.5%以下である。また、この範囲における最低反射率は0.00〜0.3%にあることが特に好ましい。
反射防止層の屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算出することが出来る。また、作製した低反射フィルムの反射光学特性は、分光光度計を用い、5度正反射の条件にて反射率を測定することが出来る。この測定法において、反射防止層が塗布されていない側の基板面を粗面化した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、フィルム裏面での光の反射を防止して、反射率が測定される。
測定に際しては、透過率550nmにおける透過率を分光光度計を用いて空気を参照として測定を行う。
(反射防止層の中心線平均粗さ(Ra))
本発明に記載の効果である色ムラの改善並びに視認性を向上させる観点から、本発明に係る反射防止層の最表面は微細な凹凸を有することが必要である。防眩性ハードコート層表面に微細凹凸形状を形成することと併せて、上記記載の微粒子を添加し、最表面が低屈折率層の場合は、JIS B 0601で規定される中心線平均表面粗さRaを0.08μm〜0.5μmの範囲に調整する。より好ましくは、0.1μm〜0.3μmの範囲に調整することである。また、二酸化珪素のような凝集性の微粒子を用いる場合は、分散条件等によっても凹凸の微調整が可能である。
(反射防止層の微細な凹凸の測定)
また、本発明に係る反射防止層の微細な凹凸は、隣接する凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm2当たり5〜20個有する微細構造として形成されることが好ましい。
反射防止層の微細な凹凸については、上記記載の防眩性ハードコート層の微細な凹凸と同様な方法を用いて測定することが出来る。
また、本発明に係る反射防止層の表面は、表面の平均水準を基準とした高さが0.2μm以上の凸部を100μm2当たり80個以上有する微細構造を有することが好ましいが、この微細構造についても、上記の防眩性ハードコート層の微細構造の測定と同様に光学干渉式表面粗さ測定機等を用いた方法により測定出来る。
(反射防止層表面の微細な凹凸の平均山谷間隔)
本発明に係る反射防止層表面の微細な凹凸の平均山谷間隔も、上記記載の防眩性ハードコート層表面の微細な凹凸の平均山谷間隔の場合と同様に定義され、且つ、市販の触針式表面粗さ測定機または光学干渉式表面粗さ測定機等により測定することが出来る。
反射防止層が形成されている面の微細凹凸構造が、前記のような範囲に調整されることにより、画素サイズの小型化、画面の大型化によるギラツキ現象の発生を防止し、かつ外光の表面反射による視認妨害の発生を防止する効果がある。
《支持体》
本発明の防眩性反射防止フィルムに用いられる基材フィルムとしては、製造が容易であること、防眩性ハードコート層または反射防止層等が接着しやすいこと、光学的に等方性であること、光学的に透明性であることが好ましい。これらの性質を有していれば何れでもよく、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等を挙げることが出来るが、これらに限定されるわけではない。これらの内セルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX2M、KC4UX2M、KC4UY、KC8UT、KC5UN、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4(以上、コニカミノルタオプト(株)製))、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)、シクロオレフィンポリマーフィルムが好ましく、本発明においては、特にセルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルムが、製造上、コスト面、透明性、等方性、接着性等の面から好ましい。
(セルロースエステルフィルム)
本発明に用いられるセルロースエステルは、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同08−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルはセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることが出来る。
セルロースエステルの分子量が小さ過ぎると引裂強度が低下するが、分子量を上げ過ぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなり過ぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で70000〜200000のものが好ましく、100000〜200000のものが更に好ましい。
セルローストリアセテートの場合には、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは、平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。平均酢化度が小さいと寸法変化が大きく、また偏光板の偏光度が低下する。平均酢化度が大きいと溶剤に対する溶解度が低下し生産性が下がる。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているのものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが出来る。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)から合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルフィルムは、溶液流延法で製造されたものでも、溶融流延法で製造されたものでもよいが、少なくとも幅手方向に延伸されたものが好ましく、特に溶液流延工程で剥離残溶量が3〜40質量%である時に幅手方向に1.01〜1.5倍に延伸されたものであることが好ましい。より好ましくは幅手方向と長手方向に2軸延伸することであり、剥離残溶量が3〜40質量%である時に幅手方向及び長手方向に、各々1.01〜1.5倍に延伸されることが望ましい。こうすることによって、視認性に優れた防眩性反射防止フィルムを得ることが出来る。更に、2軸延伸し、ナーリング加工をすることによって、長尺状低反射フィルムのロール状での保管中の巻き形状の劣化を著しく改善することが出来る。
このときの延伸倍率としては1.01〜1.5倍が好ましく、特に好ましくは、1.03〜1.45倍である。
本発明においては、長尺フィルムを用いることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示る。また、基材フィルムの幅は1.4m以上が好ましく、1.4〜4mであることがより好ましい。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、光透過率が90%以上、より好ましくは93%以上の透明支持体であることが好ましい。
本発明に係るセルロースエステルフィルム支持体は、その厚さが10〜100μmのものが好ましく、透湿性は、25℃、90±2%RHにおいて、200g/m2・24時間以下であることが好ましく、更に好ましくは、10〜180g/m2・24時間以下であり、特に好ましくは、160g/m2・24時間以下である。
特には、膜厚10〜60μmで透湿性が上記範囲内であることが好ましい。
ここで、支持体の透湿性は、JIS Z 0208に記載の方法に従い、各試料の透湿性を測定した。
(可塑剤)
本発明に用いられる支持体にセルロースエステルフィルムを用いる場合、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤等を好ましく用いることが出来る。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることが出来る。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることが出来る。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等を用いることが出来る。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等を用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる。好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2ープロパンジオール、1,3ープロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2ーブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ーブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5ーペンタンジオール、1,6ーヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、等を上げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトール、であることが好ましい。多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸などを用いることが出来る。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを上げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを上げることが出来る。好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を上げることが出来る。好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を上げることが出来る。特に安息香酸であることが好ましい。多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。また、多価アルコール中のOH基はカルボン酸で全てエステル化しても良いし、一部をOH基のままで残しても良い。
これらの可塑剤は単独または併用するのが好ましい。
これらの可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜20質量%が好ましく、特に好ましくは、3〜13質量%である。
(紫外線吸収剤)
本発明に用いる支持体に係る紫外線吸収剤について説明する。低反射積層体の支持体には、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式(A)で示される化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004622472
式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
また、上記記載のこれらの基は、任意の置換基を有していてよい。
以下に本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、チバスペシャルティケミカルズ製)
UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、チバスペシャルティケミカルズ製)
また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては下記一般式(B)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004622472
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、及びフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基または−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1または2を表す。
上記において、アルキル基としては、例えば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表し、アルコキシル基としては例えば、炭素数18までのアルコキシル基を表し、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基でアリル基、2−ブテニル基等を表す。また、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換基としてはハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)等が挙げられる。
以下に一般式(B)で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤としては、透明性が高く、偏光板や液晶の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、特願平11−295209号に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤は、支持体に用いた時、支持体の面品質に優れ、塗布性にも優れ好ましい。特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、特開平6−148430号の一般式(1)または一般式(2)、特願2000−156039の一般式(3)、(6)、(7)記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)も好ましく用いられる。高分子紫外線吸収剤としては、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等が市販されている。
(微粒子)
本発明において、セルロースエステルフィルム中に微粒子を含有しているのが好ましく、微粒子としては、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好ましい。微粒子の2次粒子の平均粒径は0.01〜1.0μmの範囲で、その含有量はセルロースエステルに対して0.005〜0.3質量%が好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子には有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類(特にメチル基を有するアルコキシシラン類)、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方がマット効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜50nmで、より好ましくは7〜16nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、通常、凝集体として存在しセルロースエステルフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好ましい。二酸化ケイ素の微粒子としてはアエロジル社製のAEROSIL(アエロジル)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはAEROSIL(アエロジル)200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばAEROSIL(アエロジル)200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9〜0.1の範囲で使用出来る。本発明において、微粒子はドープ調製時、セルロースエステル、他の添加剤及び有機溶媒とともに含有させて分散してもよいが、セルロースエステル溶液とは、別に微粒子分散液のような十分に分散させた状態でドープを調製するのが好ましい。微粒子を分散させるために、前もって有機溶媒にひたしてから高剪断力を有する分散機(高圧分散装置)で細分散させておくのが好ましい。その後により多量の有機溶媒に分散して、セルロースエステル溶液と合流させ、インラインミキサーで混合してドープとすることが好ましい。この場合、微粒子分散液に紫外線吸収剤を加え紫外線吸収剤液としてもよい。
上記の劣化防止剤、紫外線吸収剤及び/または微粒子は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
(有機溶媒)
本発明に係わるドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースエステル、芳香族環を少なくとも二つ有し、かつ少なくとも二つの芳香族環が平面構造を有する化合物、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることが出来る。例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。特に酢酸メチルが好ましい。
本発明に係わるドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来る。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、かつ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は15〜40質量%、ドープ粘度は100〜500ポアズ(P)の範囲に調整されることが良好なフィルム面品質を得る上で好ましい。
(偏光板)
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の防眩性反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には該フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UY、KC4UY、KC12UR、以上コニカミノルタオプト(株)製)が好ましく用いられる。本発明の防眩性反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが100〜400nmの位相差を有していることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957、特願2002−155395記載の方法で作製することが出来る。或いは更にディスコチック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明の防眩性反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の光学フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
従来の防眩性反射防止フィルムを使用した偏光板は平面性に劣り、反射像を見ると細かい波打ち状のムラが認められ、60℃、90%RHの条件での耐久性試験により、波打ち状のムラが増大したが、これに対して本発明の防眩性反射防止フィルムを用いた偏光板は、平面性に優れていた。また、60℃、90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のムラが増加することはなかった。
(表示装置)
本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することが出来る。本発明の防眩性反射防止フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。また、本発明の防眩性反射防止フィルムは平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。特に画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が長期間維持され、特にMVA型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。また、色むら、ぎらつきや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔セルロースエステルフィルムの作製〕
以下のセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子及び溶媒を用いてセルロースエステル溶液(ドープ)を調製し、溶液流延製膜法にてセルロースエステルフィルムを作製した。
セルロースエステル(セルローストリアセテート、アセチル基置換度2.9、Mn=160000、Mw/Mn=1.8) 100kg
可塑剤(トリメチロールプロパントリベンゾエート) 5kg
可塑剤(エチルフタリルエチルグリコレート) 5kg
紫外線吸収剤(チヌビン109、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)
1.0kg
紫外線吸収剤(チヌビン171、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)
1.0kg
微粒子(アエロジルR972V、日本アエロジル(株)製) 0.3kg
溶媒(酢酸メチル) 440kg
溶媒(エタノール) 110kg
上記のセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子及び溶媒を用いてセルロースエステル溶液(ドープ)を調製した。
即ち、溶媒を密閉容器に投入し、攪拌しながら残りの素材を順に投入し、加熱、撹拌しながら完全に溶解し、混合した。微粒子は溶媒の一部で分散して添加した。溶液を流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、セルロースエステル溶液を得た。
次に、33℃に温度調整したセルロースエステル溶液を、ダイに送液して、ダイスリットからステンレスベルト上に均一に流延した。ステンレスベルトの流延部は裏面から37℃の温水で加熱した。流延後、金属支持体上のドープ膜(ステンレスベルトに流延以降はウェブという)に44℃の温風をあてて乾燥させ、剥離の残留溶媒量が120質量%で剥離し、剥離の際の張力をかけて1.1倍の縦延伸倍率となるように延伸し、次いで、残留溶媒量が35質量%から10質量%となる間にテンターでウェブ端部を把持し、幅手方向に1.1倍の延伸倍率となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持した後、幅方向の張力を緩和させた後、幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで20分間搬送させて、乾燥を行い、幅1.5m、膜厚50μmのセルロースエステルフィルムを作製した。
〔防眩性ハードコート層の作製〕
上記セルロースエステルフィルムの表面(B面側;流延製膜法において用いられるステンレスバンド等の支持体鏡面に接した面;支持体側)上に、下記のハードコート層用塗布液を孔径20μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩性ハードコート層塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cm2で、照射量を80mJ/cm2として塗布層を硬化させ、厚さ5μmの防眩性ハードコート層を形成し防眩性ハードコートフィルムを作製し、その後で、下記表面処理を行った。
(防眩性ハードコート層塗布液)
下記材料を攪拌、混合しハードコート層液とした。
KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬製) 226質量部
イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ製) 25質量部
合成シリカ微粒子(平均粒子径4.5μm) 40質量部
FZ2222(日本ユニカー製、10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液) 1質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 101質量部
酢酸エチル 101質量部
〈表面処理〉
アルカリ処理:防眩性ハードコートフィルムを、50℃に加熱した1.5mol/l−NaOH水溶液に2分間浸漬しアルカリ処理を行い、水洗後、0.5質量%−H2SO4水溶液に室温で30秒間浸漬し中和させ、水洗、乾燥を行った。
〔中間層の作製〕
下記中間層塗布液を上記表面処理した防眩性ハードコート層上に塗布、乾燥、紫外線照射し、表1に記載の中間層1〜6を作製した。その際、乾燥状態を、送風なしによる静置乾燥から風量を0.2m/sec単位で5m/secまで26段階増加し、中間層の膜厚を前記方法により測定し、中間層2〜6の乾燥条件(風量)を選択した。
中間層の屈折率は1.55であった。
(中間層塗布液)
アクリルモノマー;KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)(日本化薬(株)製) 142質量部
開始剤;イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
15質量部
FZ2222(日本ユニカー製、10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液) 1質量部
酸化アンチモン微粒子分散物(固形分20質量%) 100質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 600質量部
酢酸エチル 600質量部
〔防眩性反射防止フィルムの作製〕
次いで、作製した中間層上に下記反射防止層を設け、防眩性反射防止フィルムを作製した。
(低屈折率層の作製)
Si(OC254を50質量%、(CH3O)3SiC2461224Si(OCH33を50質量%で混合したマトリックス中に、順に下記シリカ系微粒子P−2(中空球状微粒子)20質量%と界面活性剤FZ2222(日本ユニカー製、10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)を0.3質量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル270質量%、イソプロピルアルコール270質量%を添加して低屈折率層塗布液を調製し、この塗布液を押出しコーターで前記表面処理したハードコート層の上に塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、更に120℃で5分間熱硬化させ、更に紫外線を照射して硬化させ、厚さ95nmとなるように低屈折率層を設け、防眩性反射防止フィルムを得た。
低屈折率層の屈折率は1.37であった。
また、低屈折率層を塗布した防眩性反射防止フィルム表面のJIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった。
〈シリカ系微粒子P−2の調製〉
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO2濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、更に濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO2・Al23多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO228質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ系微粒子(P−2)の分散液を調製した。
この中空シリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは3nm、平均粒径は47nm、MOx/SiO2(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定した。
〔評価〕
作製した防眩性反射防止フィルムについて、下記のようにして反射色相の測定による色ムラ及び目視ムラの評価を行った。その結果を表1に示す。
(反射色相の測定及び色ムラの評価)
A4サイズの試料5枚を左、中、右、上、中、下に9分割し、その45箇所について分光光度計V−550(日本分光(株)製)を用い、標準C光源にて2度視野で測定し、反射色相x、y値を算出した。表には45個のデータの内、中心に近い36個のデータの差(Δ)を示す。差が0.04以内であれば色ムラは殆どなく良好である。
(目視ムラの評価)
幅手方向全幅×長手方向50cmの試料を裏面に黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、表面から蛍光灯の反射を観察して反射光のムラについて目視評価した。
◎:ムラが全く認められない
○:わずかにムラが認められる
△:ムラが認められる
×:明らかにムラが認められる。
Figure 0004622472
表1より本発明の試料は比較例に比べ色ムラ、目視ムラが著しく優れていることが分かる。
実施例2
実施例1の防眩性反射防止フィルム6の条件を以下のように変更した以外は防眩性反射防止フィルム6の作製と同様にして、本発明の防眩性反射防止フィルム7〜16を作製し、実施例1と同様な評価を行った。
結果を表2に示す。
〈防眩性反射防止フィルム7〉
防眩性ハードコート層の合成シリカ微粒子(平均粒子径4.5μm)を、ポリスチレン微粒子(平均粒子径3.5μm)に変更した。最表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.4μmであった。
〈防眩性反射防止フィルム8〉
防眩性ハードコート層の合成シリカ微粒子(平均粒子径4.5μm)を、合成シリカ微粒子(平均粒子径1.8μm)に変更した。最表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.25μmであった。
〈防眩性反射防止フィルム9〉
表面処理を以下のフレームプラズマ処理に変更した。
フレームプラズマ処理:作製した防眩性ハードコートフィルムのハードコート層面を、図2に記載のフレームプラズマ処理装置を用いてフレームプラズマ(FP)処理を行った。処理条件は、火炎とフィルムとの接触時間は約0.01秒、内炎最大面積に対し外炎の接触面積の比は5、及び内炎先端からの距離は5mmであった。尚、内炎最大面積とは、図3における内炎Iの中心の幅にフィルムの処理幅を乗じた値であり、外炎の接触面積とは、有効炎G(ここも外炎)の処理するフィルムに接触している幅とやはりフィルムの処理幅とを乗じた値である。
〈防眩性反射防止フィルム10〉
表面処理を以下のコロナ処理に変更した。
コロナ処理:ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、ハードコートフィルムのハードコート層面を室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされていることがわかった。この時の処理周波数は9.6kHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは1.6mmであった。
〈防眩性反射防止フィルム11〉
防眩性ハードコート層及び中間層より界面活性剤FZ2222(日本ユニカー製、10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)を除いた。
〈防眩性反射防止フィルム12〉
防眩性ハードコート層、中間層、低屈折率層の界面活性剤FZ2222(日本ユニカー製、10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)を、フッ素系界面活性剤:大日本インキ化学工業社製メガファック(Megafac)に変更し同量添加した。
〈防眩性反射防止フィルム13〉
中間層の酸化アンチモン微粒子(固形分20質量%)をITO微粒子分散物(固形分20質量%)に変更した。
〈防眩性反射防止フィルム14〉
中間層の酸化アンチモン微粒子(固形分20質量%)をシリカ微粒子分散物(固形分20質量%)に変更した。
〈防眩性反射防止フィルム15〉
中間層塗布液処方を以下の処方に変更し、同様に塗布、乾燥、硬化した。
イソプロピルアルコール 445質量部
水 1.5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 223質量部
メチルエチルケトン 73質量部
テトラエトキシチタン 100質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM503)
5.0質量部
10%シリコーンオイル(信越化学工業(株)社製KF−96−1,000CS、溶媒:メチルエチルケトン) 1.4質量部
〈防眩性反射防止フィルム16〉
下記の高屈折率層塗布液をバーコーターを用いて中間層と低屈折率層の間に塗布し、60℃で乾燥の後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ高屈折率層を形成した。
(高屈折率層塗布液)
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン(一次粒子質量平均粒径:50nm、屈折率:2.70)30質量部、アニオン性ジアクリレートモノマー(PM21、日本化薬(株)製)4.5質量部、カチオン性メタクリレートモノマー(DMAEA、興人(株)製)0.3質量部及びメチルエチルケトン65.2質量部を、サンドグラインダーにより分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
上記二酸化チタン分散液 70質量部
テトラ(n)ブトキシキチタン 1.5質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM503)
3質量部
シリコーン界面活性剤;FZ2222(日本ユニカー製)10質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液 2質量部
イソプロピルアルコール 555質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 278質量部
メチルエチルケトン(MEK) 93質量部
Figure 0004622472
上表より、防眩性ハードコート層の凸部上の中間層膜厚に対して、凹部上の中間層膜厚
が7.5倍である中間層を塗布した水準では、防眩性ハードコート層に含有される微粒子の種類、表面処理法、界面活性剤種類、中間層に含有される微粒子の種類、高屈折率層の付加等、変更を加えても、実施例1を再現し、良好な色ムラ、目視ムラを示すことが分かる。但し、本発明に好ましい界面活性剤を除去した水準(11)、中間層にシリカ微粒子を添加した水準(14)、バインダーとしてアクリル系樹脂を用いなかった水準(15)は効果がやや劣った。
実施例3
上記作製した本発明の防眩性反射防止フィルム4〜16を用いて下記のようにして偏光板を作製し、それらの偏光板を液晶表示パネル(画像表示装置)に組み込み、視認性を評価した。
下記の方法に従って、防眩性反射防止フィルムと該フィルムに支持体として用いられているセルローストリアセテートフィルム各々1枚を偏光板保護フィルムとして用いて本発明の偏光板を作製した。
(a)偏光膜の作製
厚さ120μmの長尺のポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し長尺の偏光膜を得た。
(b)偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:防眩性反射防止フィルムの反射防止層を設けた面には予め剥離性の保護フィルム(PET製)を張り付けて保護した。
防眩性反射防止フィルム9、10及びセルローストリアセテートフィルムを2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
工程2:前述の偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理したセルローストリアセテートフィルムと防眩性反射防止フィルムで挟み込んで、積層配置した。
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cm2の圧力で約2m/minの速度で張り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、本発明の偏光板を作製した。
市販の液晶表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプレイ MultiSync LCD1525J:型名 LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた本発明の偏光板を張り付け液晶表示装置を作製した。
作製した液晶表示装置について視認性を評価したところ、反射色むら、写り込み、鮮明性等の防眩性能、視認性が優れていることが分かった。更に、中間層/高屈折率層/低屈折率層の構成である防眩性反射防止フィルム16を用いた液晶表示装置は反射率が更に低く優れた防眩性、反射防止性を有することが分かった。
本発明に係る微細凹凸形状を有する防眩性ハードコート層上に設けられた中間層の模式図を示す。 フレームプラズマ処理装置の概略図である。 プラズマ処理手段の詳細図である。
符号の説明
a 透明フィルム支持体
b ハードコート層
c 中間層
d 反射防止層
e 微粒子
1 表面処理装置
2 支持体
3 搬送手段
4 塗布手段
11 回転冷却ドラム
12 プラズマ処理手段
13 電界生成手段
14 導入手段
15 前除電手段
16 後除電手段
B バーナー
C 遮蔽板
E、E′ 外炎
I 内炎
G 有効炎
R ローラー
S 有効処理孔(スリット)

Claims (10)

  1. 透明フィルム支持体上に微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂を主成分とする微細凹凸形状を有した防眩性ハードコート層を形成し、かつ該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状表面上に光干渉による反射防止層を形成した防眩性反射防止フィルムにおいて、
    該防眩性ハードコート層と光干渉による反射防止層の間に中間層を有し、該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚が3倍以上10倍以下の膜厚であり、更に、隣接する該凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm 当たり5〜20個有し、該凹凸の平均山谷間隔が1μm〜80μmであり、かつ該光干渉による反射防止層を形成した最表面は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.08μm〜0.5μmであることを特徴とする防眩性反射防止フィルム。
  2. 前記微粒子はシリカ微粒子またはポリスチレン微粒子であり、かつ前記活性エネルギー線硬化型樹脂はアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
  3. 前記防眩性ハードコート層、中間層、及び光干渉による反射防止層が、フッ素系またはシリコン系の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性反射防止フィルム。
  4. 前記中間層の上に光干渉による反射防止層として、低屈折率層、または高屈折率層及び低屈折率層、または中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の順に積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  5. 前記中間層が金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  6. 前記透明フィルム支持体がセルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを一方の面または両面に有することを特徴とする偏光板。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを有することを特徴とする表示装置。
  9. 請求項1に記載の防眩性反射防止フィルムを製造する方法であって、
    防眩性ハードコート層の上に中間層を塗布方式により設け、該中間層の乾燥において、静置状態で乾燥する方法、または乾燥風量を制御し乾燥する方法により、該防眩性ハードコート層の微細凹凸形状における凸部上の中間層の膜厚に対して、凹部上の中間層の膜厚を3倍以上10倍以下とし、更に、隣接する該凹部底を基準とした高さが0.5μm〜2μmである凸部を100μm 当たり5〜20個有し、該凹凸の平均山谷間隔が1μm〜80μmとし、
    次いで、該中間層の上に、最表面のJIS B 0601で規定される中心線粗さ(Ra)が、0.8〜0.5μmとなるように、反射防止層を塗布し形成することを特徴とする防眩性反射防止フィルムの製造方法。
  10. 前記中間層の塗布に先立ち、前記防眩性ハードコート層表面に表面処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
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