JPWO2008020610A1 - 光学積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学積層体、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

防眩性、ギラツキの防止、艶黒感等の黒色再現性等の性質を同時に得ることができる光学積層体を提供する。光透過性基材及び該光透過性基材上に設けられた防眩層を有する光学積層体であって、上記防眩層は、最表面が凹凸形状を有するもので、上記光学積層体は、表面の凹凸形状の粗さ曲線を測定し、該粗さ曲線に平均線を引き、該平均線から基準長さを取り、該基準長さ内における上記平均線の上部に存在する局部山頂の全個数mを計測し、m番の局部山頂とm−1番の局部山頂との頂点間の長さの値を表すSiと、Siの個数を表すnとを下記数式(I):[数1]に導入してS’を算出し、そして、次の同一の基準長さにおけるS’の値をN回繰り返して算出し、上記数式(I)で求めたS’の値を表すS’jと、S’jの個数を表すNとを下記数式(II):[数2]に導入し算出された局部山頂の平均間隔Sが、0.045mm以上0.10mm以下であり、光学積層体表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとした場合に、Smが50μm以上100μm未満であり、θaが0.1度以上1.0度以下であり、Rzが0.2μm超過1.0μm以下である光学積層体。

Description

本発明は、光学積層体、偏光板及び画像表示装置に関する。
陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置においては、一般に最表面には反射防止のための光学積層体が設けられている。このような反射防止用光学積層体は、光の散乱や干渉によって、像の写り込みを抑制したり反射率を低減したりするものである。
このような反射防止用光学積層体の一つとして、透明性基材の表面に凹凸形状を有する防眩層を形成した防眩性積層体が知られている。このような防眩性積層体は、表面の凹凸形状によって外光を散乱させて外光の反射や像の写り込みによる視認性の低下を防止することができる。防眩性積層体としては、粒子によって凹凸を形成したものや(特許文献1)、エンボス賦型処理を施すことにより凹凸形状としたものが知られている(特許文献2、3)。
近年、パネル解像度の高精細化に従って、このような光学積層体に要求される性能も高くなってきている。このような高精細化したパネルに使用する防眩性積層体は、微細な凹凸形状が必要であると考えられている。すなわち、凹凸を微細なものとすることによって、高精細なパネルに対応しようとするものである。このような微細な凹凸形状を有する防眩性積層体は、パネル解像度の高精細化の要求に対応することができるものの、画像表示面が白く見えたり(白化)、コントラストが低下したりする等の問題点が指摘されていた。
また、このような防眩性積層体をノートパソコン等の画像表示装置表面に使用した場合、防眩性積層体の凹凸形状が微細なレンズの役割を果たすため、ディスプレイ内部におけるバックライト背面からの透過光が、パネル最表面に形成された防眩性積層体の凹凸形状面を透過するとき、表示される画素等を乱してしまう状態「ギラツキ」が生じ易いという問題もある。
この「ギラツキ」を解消する方法としては、鮮明度を高める目的で表面凹凸を緻密にしたり、または、防眩層を形成する樹脂と屈折率差のある散乱粒子を添加することにより防眩性積層体に内部散乱効果を付与する等の手法が知られている。
しかしながら、このような「ギラツキ」解消の方法は、緻密な凹凸による表面の白化又は内部散乱効果による白濁等を生じる方法である。特に、表面凹凸を緻密にする方法では、外光反射による散乱が強まり、白化が増加する。このため、防眩性は良好であるが、コントラストを低下させる要因となってしまう。すなわち、従来の防眩性積層体では、「防眩性」と「コントラスト向上」と「ギラツキ防止」の全ての性質を満足させることは困難であった。このため、これらの防眩性積層体は、画面表示における艶黒感(濡れたように艶のある黒色)を含む黒色再現性、コントラスト等において劣ることがあった。つまり、明室における黒色の階調表現、特に低階調において、黒色のグラデーションの差が認識し難く、感度が低いことがあった。具体的には、黒と灰色の色認識に於いて、色ぼけ及び同一の色調の黒としか認識できないことがあった。特に、良好な防眩性=外光の散乱の性能を有する防眩性積層体ほど、これらの視認性は著しく低下していた。
一方、光干渉による反射防止方法においては、クリアで平滑な最表面を持つハードコート層を高屈折率化し、その上に低屈折率薄膜を設ける等、各層の屈折率や層厚を制御することで機能を付与される手法が知られている。この方法であれば、上記したコントラストは良好であり、反射率を限りなく低く(例えば反射Y値0.1〜0.8%など)することで、表示画面表面への外部の物の映りこみは防止することができる。しかしながら、この方法は、塗膜の層厚制御が難しいなど生産面での課題が多く、材料も高価なものが多い。また、光干渉で反射率を低くすると、干渉色を生じるため、反射率が低いにもかかわらず、その干渉色が画面の白や黒を、赤みや青みがかった色に変色させてしまう問題があった。また、反射率があまり低くない場合には、表面が平滑であるがため、映りこみを防止することが難しいこともあった。更に、たとえ反射率が極めて低いものであっても、ディスプレイを見る環境によって、映りこみは防止できないこともわかってきている。例えば、白い壁の室内の場合は、その白い壁は、表面が平滑である限り、白く映り込む。
従って、現在、画像表面のギラツキを有効に防止することができ、黒色再現性、とりわけ艶黒感を達成しうる光学積層体の開発が望まれており、特に、液晶ディスプレイ(LCD)のみならず、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイの他用途においても使用できる光学積層体が切望されている。
特開平6−18706号公報 特開平6−16851号公報 特開2004−341070号公報
本発明は、上記現状に鑑み、防眩性、ギラツキの防止、艶黒感等の黒色再現性等の性質を同時に得ることができる光学積層体を提供することを目的とするものである。
本発明は、光透過性基材及び該光透過性基材上に設けられた防眩層を有する光学積層体であって、上記防眩層は、最表面が凹凸形状を有するもので、上記光学積層体は、表面の凹凸形状の粗さ曲線を測定し、該粗さ曲線に平均線を引き、該平均線から基準長さを取り、該基準長さ内における上記平均線の上部に存在する局部山頂の全個数mを計測し、m番の局部山頂とm−1番の局部山頂との頂点間の長さの値を表すSiと、Siの個数を表すnとを下記数式(I):
Figure 2008020610
に導入してS’を算出し、
そして、次の同一の基準長さにおけるS’の値をN回繰り返して算出し、
上記数式(I)で求めたS’の値を表すS’jと、S’jの個数を表すNとを下記数式(II):
Figure 2008020610
に導入し算出された局部山頂の平均間隔Sが、0.045mm以上0.10mm以下であり、
光学積層体表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとした場合に、
Smが50μm以上100μm未満であり、
θaが0.1度以上1.0度以下であり、
Rzが0.2μm超過1.0μm以下である
ことを特徴とする光学積層体である。
上記防眩層は、凹凸層単層からなるものであってよい。
上記防眩層は、下地凹凸層及び該下地凹凸層上に設けられた表面調整層からなるものであってもよい。
上記防眩層は、更に低屈折率層を有し、上記低屈折率層は、上記下地凹凸層又は上記表面調整層の屈折率よりも低い屈折率を有するものであることが好ましい。
本発明の光学積層体は、反射防止積層体であってもよい。
本発明はまた、上述の光学積層体の製造方法であって、防眩層形成用組成物を光透過性基材上に塗布して防眩層を形成する工程を有することを特徴とする光学積層体の製造方法でもある。
本発明は、偏光素子を備えてなる偏光板であって、上記偏光素子の表面に、上記光学積層体を該光学積層体における防眩層が存在する面と反対の面に備えることを特徴とする偏光板でもある。
本発明は、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなる画像表示装置であって、上記透過性表示体の表面に、上述した光学積層体又は上述した偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、表面の凹凸形状を目的に応じた範囲のものとすることによって、光学的性質をコントロールし、これによって防眩性、ギラツキの防止、艶黒感等の黒色再現性等の性質を同時に得ることができるものである。
特に、以下、詳細に説明するSを所定の範囲内の値とし、かつ、Sm、θa及びRzを所定の範囲内の値とすることによって、上記目的を達成するものである。
画像表示装置の艶黒感は、明室環境下で画像表示装置を黒色表示した際の黒色の再現性であり、目視観測によって評価することができる。外部から光学積層体に入射した光が反射する際の光の反射角度が広範囲にわたる場合、光が光学積層体表面の凹凸角度に応じて、あらゆる方向に反射し(拡散反射し)観測者の目に届くため、本来の黒色が再現されない(つまり、拡散した光の一部しか観測者の目に届かない)。一方、入射した光が正反射角近傍に集中して反射される場合(なめらかな凹凸形状を有する防眩層の場合)は、光源からの光は、ほとんど拡散反射せず、正反射光となり、この正反射光以外は観測者の目に届かないので、本来の濡れたような黒色が再現される。本明細書においては、この、本来の黒色を、艶黒感と表記している。
この艶黒感を達成するには、上記の理由により、なめらかな凹凸形状が重要となる。しかしながら、ただなめらかであればよいのではなく、防眩性も兼ね備えなければならない。
そこで、艶黒感と防眩性の両方を達成できる範囲を検討した結果、このような目的に適した凹凸形状を持っている光学積層体は、ある特定範囲のS値を持っていることを確認した。このS値は、Sm、θa、Rzに拠ることなく独立して定まる数値である。本件では、これにより、数値化が難しいなめらかでゆるやかな凹凸形状を表すことができると判断している。
防眩層表面がこのようなSを持つ形状を得るには、単層防眩層の場合と下地凹凸層に表面調整層を積層して防眩層とする場合とでコントロールの方法が異なる。
単層で防眩層を製造するためには、従来AGの場合、用いる微粒子が膜内に密に存在するようにし、微粒子の形状そのものを防眩層の凹凸に直接利用できるようにしていた。つまり、3μmの平均粒径を持つ微粒子を使用した場合には、加工する膜厚を、3μm〜4μmとし、微粒子の外表面を、マトリックス膜(樹脂バインダー)で薄く覆ったような状態で、微粒子の持つ形状がそのまま防眩層の凸部になっていた。このような場合は、滑らかな凹凸にはならず、艶黒感にとっては、ノイズになるような小さな凹凸が出現する。本発明の場合は、このノイズのような凹凸を打ち消すことが重要であり、ノイズを打ち消せるように厚く塗工する方法をとるのがよい。なめらかな凹凸を得るため、微粒子が膜内に、前者と比べて疎に存在するようにし、膜内のどこかに凝集したり、膜の上の方に微粒子が存在することで、ようやく凹凸形状がつくられるように層厚を調整することが好ましい。つまり、上記の3μmの微粒子を使用するとすれば、膜厚を10μm以上にしたり、あるいは、マトリックスに対する微粒子の添加量をかなり少なくすることで形成することが可能となる。但し、層厚が厚くなりすぎると防眩性が失われ、光学積層体の物性に悪影響を与えるようになるため、防眩層の層厚は、5μm以上25μm以内にするのがよい。薄い層厚の防眩層を製造するときには、微粒子を使用しない方法で凹凸形状を設けるのが好ましい。微粒子を使う場合には、後述する様々な微粒子の中でも、球状で、ほぼ均一な粒径を持つ単分散タイプの有機樹脂微粒子を選択するのが好ましい。
防眩層が下地凹凸層と表面調整層とからなる複層である場合、下地凹凸層の形状よりもむしろ表面調整層の層厚の影響が大きい。本発明においては、以下に説明するように表面調整層の層厚は、0.6μm以上15μm以下が好ましい。下地凹凸層がどのような形状を持っていても下地凹凸層上に表面調整層を設けることによってSをコントロールすることができる。その場合、表面調整層を0.6μm以上積層しない限り好ましいSは得られない場合がある。また、15μm以上積層してしまうと、形状は非常になめらかでゆるやかだが、適正なSの範囲を超えてしまい、防眩性がなくなってしまうおそれがある。
本発明においては、以下、詳細に説明する方法によって得られたSを特定の数値範囲内のものとすることが重要である。平均間隔Sの算定方法について、図1を用いて説明する。図1は、光学積層体表面の凹凸形状の粗さ曲線を示す。図1による粗さ曲線は、具体的には、光学積層体表面の凹凸形状面に対して垂直方向に面切断し、現された凹凸形状の断面曲線を、所定の波長(凹凸形状の粗さ曲線を実現できる波長)よりも長い表面うねり成分(曲線)を位相補償型フィルムで除去した曲線である。図1中の「平均線」とは、現された凹凸形状の断面曲線から、所定の波長(凹凸形状の粗さ曲線を実現できる波長)よりも短い表面粗さ成分(曲線)を位相補償型低減フィルムで除去した曲線を直線に置き換えた線をいう。
この粗さ曲線において、平均線から基準長さ(例えば0.8mm)を取り、この基準長さ中における平均線上部に存在する凸部の個数mを計測し、m番の凸部とm−1番の凸部(合い隣り合う凸部)の頂点間の長さ(Si)を測定し、このSi値(長さ)と、Siの個数を表すnとを上記数式(I)に導入し、n個の長さ(Si)を合算し平均値化したS’を算出する。
また、次の同一の基準長さを取り、上記数式(I)で求めたS’を算出し、これを複数回(N)繰り返し、N回毎に上記数式(I)で求めたS’の値を表すS’jと、S’の個数を表すNとを上記数式(II)に導入し、N回の平均値S’を合算し平均化した平均間隔Sを算出する。
本発明にあっては、N回計測した場合の平均線の方向の長さを評価長さ(L)とする。例えば、Nが5(回)の場合には、評価長さ(L)は、L=N(5)×0.8mm=4.0mmとなる。
本発明における光学積層体にあって、平均間隔Sは、基準長さを0.8mmで測定した場合、0.045mm以上0.10mm以下である。平均間隔Sを上記範囲内のものとすることによって、艶黒感が良好であり、かつ、防眩性を有する形状とすることができる。
本発明における光学積層体は更に、光学積層体表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとした場合に、
Smが50μm以上100μm未満であり、
θaが0.1度以上1.0度以下であり、
Rzが0.2μm超過1.0μm以下である。
画像表示装置の艶黒感は、明室環境下で画像表示装置を黒色表示した際の黒色の再現性であり、目視観測によって評価されるものである。外部から光学積層体に入射した光が反射する際の光の反射角度が広範囲にわたる場合、光が光学積層体表面の凹凸角度に応じて、あらゆる方向に反射し(拡散反射し)観測者の目に届くため、本来の黒色が再現されない(つまり、拡散した光の一部しか観測者の目に届かない。)。従来の光学積層体において、凹凸形状を形成することによって艶黒感が低下するのはこのような原因によるものであった。本発明者らは、このような作用に着目した検討を行い、入射した光が正反射角近傍に集中して反射されるような形状にコントロールすることによって、光源からの光は、ほとんど拡散反射せず、正反射光に近くなるものとした。これによって、正反射光以外は観測者の目に届かないので、本来の濡れたような黒色が再現される。ここで入射した光が正反射角近傍に集中して反射されるような形状とは、本願発明において特定の範囲内のSm、θa、Rzによって規定されたゆるやかな凹凸形状である。上記ゆるやかな凹凸形状とは、凸部がなだらかな山状であるのに対し、凹部はなだらかな谷状というよりは、山と比較すると、極めて緩い谷であるため、ほぼ平坦に近い形状をいう。
一方、表面がこのような凹凸形状を有する画像表示装置は、光が反射しないわけではなく、平滑であるクリヤー層のような反射や映り込みを抑制することができるような散乱は生じるものであることから、防眩性においても充分な性能を得ることができる。
本発明は、これらのディスプレイにおいて、反射防止用光学積層体の表面の凹凸形状をコントロールし、反射散乱光が一定の散乱角の範囲内での散乱にとどまるよう制御することによって、防眩性と黒色再現性との両方を得ることができることを見出すことによって完成されたものである。
上述したような作用によって艶黒感と防眩性とを両立するためには、光学積層体表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の十点平均粗さをRzとした場合に、Smが50μm以上100μm以下、θaが0.1度以上1.0度以下、Rzが0.2μm超過1.0μm以下としたものであり、このような範囲内のものとすることによって、上述したような小さい反射角を得ることができる。
上記パラメーターを満たすような凹凸形状は従来の光学積層体における凹凸形状よりもゆるやかな凹凸形状であり、このために、従来の防眩層よりも、反射光拡散性を狭めることができる。また、このようなゆるやかな形状を有するために、防眩層のない、平滑な表面よりも、光の拡散反射が抑制され、制御された光の散乱が正反射角近傍の範囲内において生じるものと推測される。
従来の防眩層表面の断面の模式図を図3aに、本発明における防眩層表面の断面の模式図を図3bに示す。
図3aに示されるように従来の防眩層の表面は、平坦部がほとんど存在せず、凹凸形状が滑らかに連続している。このような形状では、防眩性は非常に優れるが、表面に平坦部がなく、全てカーブを描いているため、あらゆる部分で光が拡散して十分な艶黒感を得ることができない。それは、平均傾斜角θaが大きいためである。
一方、上記Sm、θa、Rzを満たす本発明の光学積層体における防眩層の表面は、図3bのように凸部が密になく、平坦部が存在するため、防眩性と共に、艶黒感も得ることができるものである。
なお、図4aに従来の防眩層の表面の光学顕微鏡写真(反射撮影 200倍)を示し、図4bに本発明における防眩層の表面の光学顕微鏡写真を示す。
すなわち、上記のすべてのパラメーターを満たすことにより、本発明の光学積層体の表面は、表面の凹凸形状として、従来の防眩層にはないゆるやかな平坦部分があり、かつ、存在する凹部の底部(平坦部)と凸部の山の接線がなす角度が非常に小さいものとなるのである。このため艶黒感と防眩性の双方を好適に維持する光学積層体を得ることができるものである。
本明細書におけるSm、θa及びRzは、以下の方法によって得られた値である。
本発明による光学積層体を構成する防眩層は凹凸形状を有する。Sm(μm)とは、この防眩層の凹凸の平均間隔を表し、θa(度)は凹凸部の平均傾斜角を表すものであり、(Rz)は、10点平均粗さを表すものであり、その定義は、JIS B 0601−1994に従い、表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)にも記載されている。
θaは角度単位であり、傾斜を縦横比率で表したものがΔaである場合、
Δa=tanθa=(各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和/基準長さ)
で求められる。基準長さは、測定条件に記載の通り。
本発明による光学積層体の表面粗さを表すパラメーター(Sm、θa、Rz)を測定する場合、例えば、表面粗さ測定器(型番:SE−3400/(株)小坂研究所製)を用いて、下記の測定条件により測定を行うことができ、この測定は本発明にあっては好ましいものである。
表面粗さ測定器の測定条件 JIS B0601 1994に準拠する。
1)表面粗さ検出部の触針:
型番/SE2555N(2μ標準)(株)小坂研究所製
(先端曲率半径2μm/頂角:90度/材質:ダイヤモンド)
2)表面粗さ測定器の測定条件:
基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):
1、0.25または2、0.8または3、1.25または4、2.5mm
評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):
1、1.25または2、4.0または3、6.25または4、12.5mm
触針の送り速さ:0.1〜0.5mm/s
(基準長さ1、2、3、4のとき、評価長さは対応して1、2、3、4となる)
Rz、Smの基準長さや評価長さの選択については、Rz及びSmの範囲毎に、JIS B0601 1994により定められた方法で決定した。Rzを求める場合の、Rz範囲に対応する基準長さ及び評価長さの標準値の区分を表1に、Smを求める場合の、Sm範囲に対応する基準長さ及び評価長さの標準値の区分を表2に示した。( )内は参考値である。
Figure 2008020610
Figure 2008020610
一方、従来技術において、Ra(算術平均粗さ)を用いて光学積層体の表面形状を表す方法がある。
上記Ra(算術平均粗さ)は、JIS B0601(1994)に準拠したものである。すなわち図5に示すように、Raとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸をとり、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、基準長さ範囲のf(x)を足しあわせ、基準長さで割った値である。
つまり、y=f(x)とは、粗さ曲線の面積に相当し、基準長さ範囲に存在する粗さ曲線の面積を足し、基準長さで割った値がRaとなる。
よって、このRaとは、凹凸形状の縦方向の高さを平均した値を表すものではない。また、実際の凹凸形状が図6に示すように異なるものであっても、Raは同じになる。このRaに、上述したSmやθaとともに凹凸形状を規定しても、結局は図6に示すように形状が不明であり、本発明において好ましい凹凸形状を表すことができない。このため、本発明ではRaをパラメータとして選択していないのである。
上述したように本発明の光学積層体は、表面の形状を特定の数値範囲を有する形状にコントロールすることによって、光学特性をコントロールするものである。ここで、上記「光学積層体の表面」は、防眩層が単層である場合、防眩層が下地凹凸層と表面調整層からなる場合、更に、上記低屈折率層及び/又は任意の層を有する場合のいずれにおいても、空気と接する最表面の意味するものであって、このような最表面の凹凸形状が、本発明における光学積層体の表面凹凸形状の光学特性値と一致するものである。
なお、これらの数値は、防眩層の形成に使用する樹脂種や凹凸形成に使用される粒子の粒子径や配合量、更に表面調整層の組成や膜厚等を調整することによって、適宜所望の範囲のものとすることができる。
上記防眩層の層厚Hは、インキ組成物内や防眩層内での微粒子の分散、生産安定性を考慮すると、5μm以上25μm以下であることが好ましく、より好ましくは6μm以上20μm以下である。一方、生産時に、比較的高レベルの膜厚コントロールが必要となるものの、防眩層としては1μm以上5μm未満であることも好ましく、より好ましくは1.5μm以上3.5μm以下である。
防眩層の層厚Hは、基材の表示面側界面から空気と接する防眩性凹凸最表面までをいう。基材界面から最表面までには、防眩層が凹凸層単層である場合と、下地凹凸層と表面調整層とからなる複層である場合、その他任意の層が積層され、多層になっている場合があるが、この場合は、すべての層の合計厚みである。すなわち、基材の表示面側界面から空気と接する防眩性凹凸最表面までの厚みを意味する。
層厚は、以下の方法によって測定することができる。共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS−NT:ライカ社製:倍率「300〜1000倍」)にて、光学積層体の断面を透過観察し、界面の有無を判断し下記の評価基準で判断した。具体的には、ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物レンズを使用し、かつ、光学積層体の上に屈折率1.518のオイルを約2ml乗せて観察し判断した。オイルの使用は、対物レンズと光学積層体との間の空気層を消失させるために用いた。
測定手順
1:レーザー顕微鏡観察により平均層厚を測定した。
2:測定条件は、上記の通りであった。
3:1画面につき 凹凸の最大凸部、最小凹部の基材からの層厚を1点ずつ計2点測定し、それを5画面分、計10点測定し、平均値を算出した。
上記レーザー顕微鏡は、各層に屈折率差があることによって非破壊断面観察できる。よって、もし、屈折率差が不明瞭であったり、差が0に近い場合には、この防眩層や表面調整層の厚みは、各層の組成の違いで観察できるSEM及びTEM断面写真観察によっても、同様に求めることができる。
本発明において、上記防眩層は、凹凸層単層であってもよいが複層であってもよい。上記防眩層が複層である場合、下地凹凸層及び上記下地凹凸層上に設けられた表面調整層からなることが好ましい。上記下地凹凸層は最表面が凹凸形状を有するものであって、凹凸層単層である場合の防眩層と実質的に同じ方法により得ることができる。
以下に、上記防眩層が凹凸層単層である場合(以下単層防眩層という)の形成方法について説明する。
上記単層防眩層の形成方法としては特に限定されず、例えば、樹脂及び微粒子を含有する防眩層形成用組成物を用いて凹凸形状を有した単層防眩層を形成する方法(方法1);微粒子を添加しないで、樹脂等のみを含んだ防眩層形成用組成物を用いて凹凸形状を有した単層防眩層を形成する方法(方法2);凹凸形状を付与する処理を用いて単層防眩層を形成する方法(方法3)等を挙げることができる。以下、これらの方法1〜3をそれぞれ具体的に説明する。
(方法1)樹脂及び微粒子を含有する防眩層形成用組成物を用いて凹凸形状を有した単層防眩層を形成する方法
上記方法1によって使用される微粒子は、種類、大きさの異なるものを何種類か適宜選択して用いることができる。これらの各微粒子は、球状、例えば真球状、楕円状等のものであってよく、真球状であることがより好ましい。上記各微粒子の平均粒子径R(μm)は、1.0μm以上20μm以下であることが好ましく、上限が15.0μmであり下限が、1.3μmであるものがより好ましい。なお、上記微粒子の平均粒子径(R)は、平均粒子径(μm)は、コールターカウンター法(電気抵抗法)等により計測することができる。また、レーザー回折法やSEM観察などによっても測定できる。また、上記微粒子は、凝集粒子であってもよく、凝集粒子である場合は、二次粒子径が上記範囲内であることが好ましい。平均粒子径R(μm)とは、単分散型の粒子(形状が単一な粒子)であれば、その平均粒子径を表し、ブロードな粒度分布を持つ不定形型の粒子であれば、粒度分布測定により、最も多く存在する粒子の粒径を平均粒子径として表している。
上記各微粒子は、微粒子全体の80%以上(好ましくは90%以上)が、R±1.0(好ましくは0.3)μmの範囲内にあることが好ましい。これによって、防眩性積層体の凹凸形状の均一性を良好なものとし、かつ、メンギラ等を有効に防止することができる。また、上記各微粒子は、平均粒子径Rが異なるもの、粒度分布が異なるもの、形状が異なるもの、素材が異なるものから適宜選択でき、例えば、微粒子の平均粒子径Rが3.5μm以下程度の小粒子径については、単分散微粒子ではなく、ブロードな粒子範囲を持ちながら、平均粒子径が3.5μmの粒度分布をもつ微粒子で効率良く凹凸層を形成させることもできる。
また、用いる微粒子として、多種類のものを用いる場合、粒子径や素材が異なる2種類または、3種類の粒子を混合して使用するものであってもよい。このように2、3種類の粒子を混合して使用する場合は、同種類の素材からなり、粒子径及び粒子分布のみが異なる2、3種類の粒子を混合するものであってもよいし、異なる素材からなる2、3種類の粒子を混合して使用するものであってもよい。
2種以上の微粒子を混合して使用する場合、微粒子は粒子全体としての分布において、2つ以上のピークを有する分布形状を有することが好ましい。すなわち、主として凹凸形状を形成する性質を有する大きな粒子径を有する粒子に加えて、小さな粒子径を有する粒子を併用することによって、大きな粒子径を有する粒子を全体に均一に分散させることができ、目的とする形状を得ることができる。
すなわち、平均粒子径が1.0μm以上20μm以下(好ましくは下限3.5μm、上限15.0μm)であり、微粒子全体の80%以上(質量比;好ましくは90%以上)が、平均粒子径±1.0(好ましくは0.3)μmの範囲内にある粒子を第一微粒子とし、これに、更に粒子径が小さい第二、第三微粒子を配合し、これらを混合した微粒子組成物を使用することが好ましい。なお、第二微粒子等を使用して、複数の微粒子を併用した場合、本発明における樹脂及び微粒子の屈折率の差nは、微粒子中で最も高い屈折率を持つものから、樹脂の屈折率を差し引いた値である。
本発明にあっては、第一微粒子の平均粒子径をR1(μm)とし、第二微粒子の平均粒子径をR2(μm)とした場合に、下記式(I):
0.25R1(好ましくは0.50)≦R2≦1.0R1(好ましくは0.75)(I)
を満たすものが好ましい。
また、更にその他の微粒子を複数含むものであってもよい。この関係は、第二微粒子に対する第三微粒子にも成り立つ。第三微粒子の粒子径をR3とすると、
0.25×R2(好ましくは0.50)≦R3≦1.0×R2 (好ましくは0.75)(II)を満たすものが好ましい。
互いに異なる素材からなる2種類以上の微粒子を混合して用いる場合には、当該2種類以上の微粒子は、上記のように平均粒子径が異なることも好ましいが、同じ平均粒子径であるものも好ましく用いられる。但し、第一、第二、第三微粒子とも、同じ成分からなる場合には、粒子径は必ず異なることが好ましい。
R2が0.25R1以上、R3が0.25R2以上であることにより、塗布液の分散が容易となり、粒子が凝集することがない。また、塗布後の乾燥工程においてフローティング時の風の影響を受けることなく、均一な凹凸形状を形成することができる。
また、本発明の別の態様によれば、樹脂と、第一微粒子と、第二微粒子との単位面積当りの総質量比が、第一微粒子の単位面積当りの総質量をM、第二微粒子の単位面積当りの総質量をM、樹脂の単位面積当りの総質量をMとした場合に、下記の式(III)及び(IV):
0.08≦(M+M)/M≦0.36 (III)
0≦M≦4.0M (IV)
を満たすものが好ましい。
上記第二微粒子の含有量は、上記第一微粒子の含有量に対して、5〜100質量%であることが好ましい。また、第三微粒子がある場合には、第二微粒子と同様な含有量でよい。
本発明においては、2種類の微粒子か、3種類の微粒子を用いて凹凸形状を形成するのが好ましい。
この場合には、各微粒子には、主に以下のような役割があり、その役割によって、微粒子の素材と粒径を適宜選択することができる。但し、この役割は、1例であり、第一微粒子、第二微粒子、第三微粒子それぞれの役割は、適宜選択できる。
まず、微粒子として2種類使用する場合、より大きな粒子径を有する微粒子(すなわち、上述した第一微粒子)が主に凹凸形状を形作る機能を有する。このような目的に使用する微粒子としては、後述する内部拡散性のない微粒子(すなわち、樹脂バインダーとの屈折率差が小さい微粒子)を主に選択する。上記単層防眩層を形成するとき、この第一微粒子の粒子径は、マトリックス樹脂の膜厚より大きい場合もある。この場合、第一微粒子は、防眩層の被膜から頭を出している状態であり、これによって凹凸形状が形成されている。
このような第一微粒子は、特に凝集しやすい素材からなる微粒子である場合に、層中で凝集してしまうことによって、好ましい凹凸形状が得られなくなる場合がある。このような場合には、上記第一微粒子の防眩層膜内での横方向での分散性を良好にするため、上記第一微粒子の粒子径の75%以下という小さな粒子径を有する微粒子(すなわち、上述した第二微粒子)を併用することが好ましい。これによって、凹凸形状が良好にコントロールされ、被膜全体で均一に形成することができる。上記第二微粒子は、内部拡散性を持つ微粒子でもよく、または、不定形の凝集性の微粒子でもよい。
上記第一微粒子、第二微粒子に加えて、更に小さな粒子径を有する第三微粒子を併用することもできる。この場合、第三微粒子としては内部拡散性を生じる微粒子(すなわち、樹脂バインダーとの屈折率差が大きい粒子)を選択することが好ましい。上記第二微粒子の粒径は、第一微粒子の粒子径の75%以下であるような小さなものが好ましい。第三微粒子は、第二微粒子よりも更に微細なものであり、上記第一微粒子、第二微粒子の、防眩層膜内での横方向の分散性を良好にし、好ましい凹凸を形成するためのスペーサーとなる。これによって凹凸形状が良好にコントロールされ、被膜全体で均一に凹凸形状を形成することができる。上記第三微粒子の粒径は、第二微粒子の75%以下の小さなものが好ましい。
上記各微粒子は、特に限定されず、無機系、有機系のものが使用することができ、好ましくは透明性のものがよい。また、透明性を有する有機系のものがより好ましい。有機系材料により形成されてなる微粒子の具体例としては、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、スチレンビーズ(屈折率1.59〜1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.53)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ、等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。無機系微粒子としては、不定形シリカ等を挙げることができる。
上記不定形シリカは、分散性が良好な粒径0.5〜5μmのシリカビーズを使用することが好ましい。上記不定形シリカの含有量は、バインダー樹脂に対して1〜30質量部であることが好ましい。以下で詳述する防眩層形成用組成物の粘度上昇を生じることなく上記不定形シリカの分散性を良好なものとするために、平均粒径や、添加量を変更させるとともに、粒子表面への有機物処理の有無も変更して使用することができる。粒子表面に有機物処理を施す場合には、疎水化処理が好ましい。
上記有機物処理には、ビーズ表面に化合物を化学的に結合させる方法や、ビーズ表面とは化学的な結合なしに、ビーズを形成する組成物にあるボイドなどに浸透させるような物理的な方法があり、どちらを使用してもよい。一般的には、水酸基またはシラノール基等のシリカ表面の活性基を利用する化学的処理法が、処理効率の観点で好ましく用いられる。処理に使用する化合物としては、上述活性基と反応性の高いシラン系、シロキサン系、シラザン系材料などが用いられる。例えば、メチルトリクロロシラン等の、直鎖アルキル単基置換シリコーン材料、分岐アルキル単置換シリコーン材料、或いはジ−n−ブチルジクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン等の多置換直鎖アルキルシリコーン化合物や、多置換分岐鎖アルキルシリコーン化合物が挙げられる。同様に、直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基の単置換、多置換シロキサン材料、シラザン材料も有効に使用することができる。
必要機能に応じ、アルキル鎖の末端から中間部位に、ヘテロ原子、不飽和結合基、環状結合基、芳香族官能基等を有するものを使用しても構わない。これらの化合物は、含まれるアルキル基が疎水性を示すため、被処理材料表面を、親水性から疎水性に容易に変換することが可能となり、未処理では親和性の乏しい高分子材料とも、高い親和性を得ることができる。
上記微粒子において、2種類以上の異なる屈折率を有する透光性微粒子を用い、それら微粒子の混合を行なう場合には、透光性微粒子の屈折率は、各々の微粒子の屈折率と使用比率とに応じた平均値として見なすことができ、微粒子の混合比率調整により細かい屈折率設定が可能となり、1種類の場合よりも制御が容易となり、様々な設計が可能となる。
従って、本発明においては、上記微粒子として2種類以上の異なる屈折率を有する微粒子を用いても良い。この場合には、第一微粒子と第二微粒子との屈折率の差を0.03以上、0.10以下とすることが好ましい。上記微粒子のうち、第一微粒子と第二微粒子との屈折率の差を0.03以上、0.10以下が好ましいとしたのは、屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、両者を混合しても屈折率の制御の自由度が小さく、又、屈折率差が0.10よりも大きい場合は、マトリクスとの屈折率差の大きい微粒子により光拡散性が決定してしまうからである。なお、上記屈折率差は、0.04以上、0.09以下がより好ましく、0.05以上、0.08以下が特に好ましい。
上記防眩層に含有させる第一微粒子としては、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。第一微粒子に用いられる有機微粒子としては、具体的には、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.533)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.55)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)等が挙げられる。無機微粒子としては、不定形シリカビーズ(屈折率1.45〜1.50)が挙げられる。
第二微粒子としては、有機微粒子が好適であり、特に透明度が高く、樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものを組み合わせて用いることが好ましい。
第二微粒子に用いられる有機微粒子としては、具体的にはスチレンビーズ(屈折率1.59〜1.60)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ(1.66)等が挙げられる。
また、上記微粒子として2種類の異なる屈折率を有する微粒子を用いる場合には、前述のように、第一微粒子の粒径>第二微粒子の粒径とすることも好ましいが、あえて2種類の微粒子の粒径を揃えることにより、第一微粒子と第二微粒子の比率を自由に選択し用いることもでき、このようにすることで、光拡散性の設計が容易になる。第一微粒子と第二微粒子との粒径を揃えるためには、単分散粒子が得やすい有機微粒子が、この点で好ましい。粒径にばらつきがないほど、防眩性や内部散乱特性にばらつきが少なくなり、防眩層の光学性能設計が容易になるので好ましい。単分散性を更に上げる手段として、風力分級、ろ過フィルターによる湿式ろ過分級が挙げられる。
上記単層防眩層は、上記微粒子及び硬化型樹脂を含有する防眩層形成用組成物により形成することができる。上記硬化型樹脂としては、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂など、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物又は熱硬化型樹脂を挙げることができる。より好ましくは電離放射線硬化型樹脂である。なお、本明細書において、「樹脂」は、モノマー、オリゴマー等の樹脂成分も包含する概念である。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物を挙げることができる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物と(メタ)アルリレート等の反応生成物(例えば多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)、等を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましい。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂と併用して使用することもできる。上記電影放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができ、これによってより優れた艶黒感を得ることができる。上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性のという観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記光透過性基材の材料がTAC等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂としては、セルロース系樹脂、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を併用して使用することもできる。
上記単層防眩層は、微粒子と樹脂とを適切な溶剤に混合して得た単層防眩層形成用組成物を上記光透過性基材に塗布することにより形成することができる。上記溶剤としては、樹脂の種類及び溶解性に応じて選択し使用することができ、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、重合開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶剤であればよい。そのような溶剤としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等が例示でき、これらの混合溶剤であってもよい。
上記単層防眩層形成用組成物としては、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を添加したものが好ましい。レベリング剤を添加した上記単層防眩層形成用組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して滑り性や防汚性を付与でき、かつ、耐擦傷性の効果を付与することを可能とする。上記レベリング剤は、光透過性基材が耐熱性が要求されるフィルム状のもの(例えばトリアセチルセルロース)の場合に好適に利用される。
上記単層防眩層形成用組成物を上記光透過性基材に塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。上記単層防眩層形成用組成物の塗布後に、必要に応じて乾燥や紫外線硬化、電子線硬化等を行うことにより、上記単層防眩層形成用組成物中の上記樹脂が硬化して上記単層防眩層が形成されるとともに、上記微粒子が固定されて、上記単層防眩層の表面に所望の凹凸形状が形成される。
上記紫外線硬化を行う際の紫外線の光源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。上記電子線硬化を行う際の電子線源としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
(方法2)微粒子を添加しないで、樹脂等のみを含んだ単層防眩層形成用組成物を用いて凹凸形状を有した単層防眩層を形成する方法
上記方法は、ポリマー及び硬化性樹脂前駆体とからなる群から少なくとも二種の成分を組み合わせ、適切な溶媒を用いて混合した防眩層形成用組成物を光透過性基材上に付与して形成する方法である。
方法2による凹凸形状は、例えば、ポリマー及び硬化性樹脂前駆体とからなる群から少なくとも二種の成分を含む単層防眩層形成用組成物(以下これを「相分離型防眩層用組成物」と記す)を用いて形成することができる。このような方法においては、ポリマー及び硬化性樹脂前駆体とからなる群から少なくとも二種の成分を、適切な溶媒と共に混合した相分離型防眩層用組成物を用いることにより、液相からのスピノーダル分解により、相分離構造を有する被膜を形成することができる。
上記相分離型防眩層用組成物は、光透過性基材上に塗布した後、溶媒を乾燥等により蒸発又は除去する過程で、ポリマー及び硬化性樹脂前駆体とからなる群から少なくとも二種の成分の間でスピノーダル分解による相分離が生じ、相間距離が比較的規則的な相分離構造を形成させることができる。
上記スピノーダル分解は、溶媒の除去に従って発生する相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、更に相分離が進行すると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状、円盤状や楕円体状等の独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造(上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造)も形成できる。上記方法2においては、このようなスピノーダル分解による、海島構造(液滴相構造又は一方の相が独立又は孤立した相構造)、共連続相構造(又は網目構造)、又は、共連続相構造と液滴相構造とが混在した中間的構造によって、溶媒乾燥後には単層防眩層の表面に微細な凹凸が形成されるものである。
このような溶媒の蒸発を伴うスピノーダル分解は、相分離構造のドメイン間の平均距離が規則性又は周期性を有するものとなるため、最終的に形成される凹凸形状も規則性又は周期性を有するものとすることができる点で好ましいものである。スピノーダル分解により形成された相分離構造は、ポリマー中の硬化性官能基又は硬化性樹脂前駆体を硬化させることにより固定化できる。硬化性官能基又は硬化性樹脂前駆体の硬化は、硬化性樹脂前駆体の種類に応じて、加熱、光照射等、あるいはこれらの方法の組合せにより行うことができる。加熱温度は、上記スピノーダル分解によって形成された相分離構造を維持できる条件である限り、特に限定されず、例えば、50〜150℃であることが好ましい。光照射による硬化は、紫外線硬化等の上述した方法で行うことができる。光硬化性を有する相分離型防眩層用組成物においては、光重合開始剤を含有することが好ましい。上記硬化性を有する成分は、硬化性官能基を有するポリマーであっても、硬化性樹脂前駆体であってもよい。
上記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体とからなる群から少なくとも二種の成分は、液相でのスピノーダル分解によって相分離する組合せを選択して使用することが好ましい。相分離する組み合わせとしては、例えば、(a)複数のポリマー同士が互いに非相溶で相分離する組合せ、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する組合せ、(c)複数の硬化性樹脂前駆体同士が互いに非相溶で相分離する組合せ等が挙げられる。これらの組合せのうち、(a)複数のポリマー同士の組合せや、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体との組合せが好ましく、特に(a)複数のポリマー同士の組合せが好ましい。
相分離構造において、単層防眩層の表面に凹凸形状が形成され、かつ表面硬度を高める点からは、少なくとも島状ドメインを有する液滴相構造であるのが有利である。なお、ポリマーと上記前駆体(又は硬化樹脂)とで構成された相分離構造が海島構造である場合、ポリマー成分が海相を形成してもよいが、表面硬度の観点から、ポリマー成分が島状ドメインを形成するのが好ましい。島状ドメインの形成により、乾燥後には単層防眩層の表面に所望の光学特性を発揮する凹凸形状が形成される。
上記相分離構造のドメイン間の平均距離は、通常、実質的に規則性又は周期性を有しており、表面粗さのSmに相当する。ドメインの平均相間距離は、例えば、50〜100μm、程度であってもよい。上記相分離構造のドメイン間の平均距離は、樹脂の組合せの選択(特に溶解性パラメーターに基づく樹脂の選択)等によって調整することができる。このようにドメイン間の平均距離を調整することによって、最終的に得られるフィルム表面の凹凸間の距離を所望の値とすることができる。
上記ポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類)、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、2,6−キシレノールの重合体)、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン)、ゴム又はエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム)等が挙げられ、これらの単独又は二種以上組み合わせて使用できる。複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーが、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基、例えば、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有していてもよい。ポリマー成分としては、熱硬化性であっても熱可塑性であってもよいが、熱可塑性樹脂であることがより好ましい。
上記ポリマーは、非結晶性で有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶なものであることが好ましい。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記セルロース誘導体のうちセルロースエステル類の具体例としては、例えば、脂肪族有機酸エステル、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロースアセテート類;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のC1−6有機酸エステル;セルロースフタレート、セルロースベンゾエート等のC7−12芳香族カルボン酸エステル等の芳香族有機酸エステル;リン酸セルロース、硫酸セルロース等の無機酸エステル;酢酸・硝酸セルロースエステル等の混合酸エステル;セルロースフェニルカーバメート等のセルロースカーバメート類;シアノエチルセルロース等のセルロースエーテル類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロース等のC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロース等が挙げられる。
上記スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の単独又は共重合体(例えば、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体)、スチレン系単量体と他の重合性単量体[例えば、(メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類]との共重合体等が含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体等]、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。好ましいスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[例えば、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体]、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等が含まれる。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体等が使用できる。(メタ)アクリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカン等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート等が例示できる。共重合性単量体の具体例としては、上記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等が例示でき、これらの単量体は、単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂等)等が挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
上記有機酸ビニルエステル系樹脂の具体例としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル等)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)又はそれらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体の具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂等が含まれる。
上記ビニルエーテル系樹脂の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルt−ブチルエーテル等のビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体;ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体等)等を挙げることができる。
上記ハロゲン含有樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンの単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂の具体例としては、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカン等の脂環式炭化水素基を有する重合体)、上記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(例えば、エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体)等が例示できる。脂環式オレフィン系樹脂の具体例としては、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」等として入手できる。
上記ポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレート等のホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50質量%以上)として含むコポリエステル等、を挙げることができる。コポリエステルの具体例としては、ポリC2−4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C6−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香環を有するジオール(フルオ
フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体等)等で置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸等の非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸等の脂肪族C6−12ジカルボン酸等で置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトン等のラクトンの単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等のように非結晶性である。
上記ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸等)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミド等が挙げられる。ポリアミド系樹脂の具体例としては、ε−カプロラクタム等のラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
上記ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が含まれる。
上記ポリマーとしては、硬化性官能基を有するポリマーを用いることもできる。上記硬化性官能基は、ポリマー主鎖中に存在するものであっても、側鎖に存在するものであってもよいが、側鎖に存在することがより好ましい。上記硬化性官能基としては、縮合性基や反応性基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基)、重合性基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル基、ブテニル、アリル等のC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニル等のC2−6アルキニル基、ビニリデン等のC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基(例えば、(メタ)アクリロイル基)等が挙げられる。これらの官能基のうち、重合性基が好ましい。
上記硬化性官能基を側鎖に導入する方法としては、例えば、反応性基や縮合性基等の官能基を有する熱可塑性樹脂と、上記官能基との反応性基を有する重合性化合物とを反応させる方法等を挙げることができる。
上記反応性基や縮合性基等の官能基を有する熱可塑性樹脂としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂)、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂(例えば、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース誘導体、ポリアミド系樹脂)、アミノ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド系樹脂)、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂)等が例示できる。また、スチレン系樹脂やオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂に、上記官能基を共重合やグラフト重合で導入した樹脂であってもよい。
上記重合性化合物は、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂と反応させる場合は、エポキシ基やヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基等を有する重合性化合物等を用いることができる。ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂と反応させる場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やイソシアネート基等を有する重合性化合物等が挙げられる。アミノ基を有する熱可塑性樹脂と反応させる場合は、カルボキシル又はその酸無水物基やエポキシ基、イソシアネート基等を有する重合性化合物等が挙げられる。エポキシ基を有する熱可塑性樹脂と反応させる場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やアミノ基等を有する重合性化合物等が挙げられる。
上記重合性化合物のうち、エポキシ基を有する重合性化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレート等のエポキシシクロC5−8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が例示できる。ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC1−4アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のC2−6アルキレングリコール(メタ)アクリレート等が例示できる。アミノ基を有する重合性化合物としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノC1−4アルキル(メタ)アクリレート、アリルアミン等のC3−6アルケニルアミン、4−アミノスチレン、ジアミノスチレン等のアミノスチレン類等が例示できる。イソシアネート基を有する重合性化合物としては、例えば、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートやビニルイソシアネート等が例示できる。カルボキシル基又はその酸無水物基を有する重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸や無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物等が例示できる。
代表的な例としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂とエポキシ基含有化合物、特に(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(エポキシシクロアルケニル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレート等)の組み合わせが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に光重合性不飽和基を導入した(メタ)アクリル系ポリマー(サイクロマーP、ダイセル化学工業(株)製)等が使用できる。
熱可塑性樹脂に対する硬化反応に関与する官能基(特に重合性基)の導入量は、熱可塑性樹脂1kgに対して、0.001〜10モルであることが好ましく、より好ましくは0.01〜5モル、更に好ましくは0.02〜3モル程度である。
上記硬化性樹脂前駆体は、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線等)等により反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線等により硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な化合物である。上記樹脂前駆体としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基等を有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂)]、活性光線(紫外線等)により硬化可能な光硬化性化合物(例えば、光硬化性モノマー、オリゴマーの紫外線硬化性化合物)等が例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物等であってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂等の光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
上記光硬化性化合物は、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)であってよく、単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドン等のビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート等]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート等の橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3〜6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体]が例示できる。
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレート等)、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレート)、シリコーン(メタ)アクリレート等が例示できる。これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
上記硬化性樹脂前駆体は、短時間で硬化できる光硬化性化合物が好ましく、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂等)、EB硬化性化合物である。特に、実用的に有利な樹脂前駆体は、紫外線硬化性樹脂である。さらに、耐擦傷性等の耐性を向上させるため、光硬化性樹脂は、分子中に2以上(好ましくは2〜6、更に好ましくは2〜4程度)の重合性不飽和結合を有する化合物であるのが好ましい。硬化性樹脂前駆体の分子量としては、ポリマーとの相溶性を考慮して5000以下、好ましくは2000以下、更に好ましくは1000以下程度である。
上記ポリマー及び上記硬化性樹脂前駆体は、ガラス転移温度が、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50℃〜230℃、更に好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)であることが好ましい。なお、表面硬度の観点から、ガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの質量平均分子量は、例えば、1,000,000以下、好ましくは1,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
上記硬化性樹脂前駆体は、必要に応じて、硬化剤と併用して使用してもよい。例えば、熱硬化性樹脂前駆体では、アミン類、多価カルボン酸類等の硬化剤を併用してもよい。硬化剤の含有量は、硬化性樹脂前駆体100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは1〜8質量部(特に1〜5質量部)程度であり、3〜8質量部程度であってもよい。上記光硬化性樹脂前駆体は、光重合開始剤を併用して使用してもよい。上記光重合開始剤としては、上述した化合物を使用することができる。
上記硬化性樹脂前駆体は、硬化促進剤と併用して使用してもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(例えば、ジアルキルアミノ安息香酸エステル)、ホスフィン系光重合促進剤等を含んでいてもよい。
上記方法2においては、上述したようなポリマー及び硬化性樹脂前駆体とからなる群から少なくとも二種の成分を選択して使用するものである。上記(a)複数のポリマー同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせの場合、上述したポリマーを適宜組み合わせて使用することができる。例えば、第1のポリマーがスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)である場合、第2のポリマーは、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル類)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(上記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等を使用することができる。また、例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等)、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(上記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステル等)等を使用することができる。複数の樹脂の組合せにおいて、少なくともセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースC2−4アルキルカルボン酸エステル類)を用いてもよい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合(質量比)は、例えば、第1のポリマー/第2のポリマーが、1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10の範囲から選択でき、通常、20/80〜80/20、特に30/70〜70/30である。
スピノーダル分解により生成された相分離構造は、活性光線(紫外線、電子線等)や熱等により最終的に硬化し、硬化樹脂を形成する。そのため、単層防眩層に耐擦傷性を付与でき、耐久性を向上できる。
硬化後の耐擦傷性の観点から、複数のポリマーのうち、少なくとも一つのポリマー、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマー(第1のポリマーと第2のポリマーとを組み合わせる場合、特に両方のポリマー)が硬化性樹脂前駆体と反応可能な官能基を側鎖に有するポリマーであるのが好ましい。
相分離構造を形成するためのポリマーとしては、上記非相溶な2つのポリマー以外にも、上記熱可塑性樹脂や他のポリマーが含まれていてもよい。
上記複数のポリマー同士の組合せに、更に、上記硬化性樹脂前駆体(特に複数の硬化性官能基を有するモノマー又はオリゴマー)を併用して使用することもできる。この場合、硬化後の耐擦傷性の観点から、上記複数のポリマーのうち一方のポリマー(特に両方のポリマー)が硬化反応に関与する官能基(上記硬化性樹脂前駆体の硬化に関与する官能基)を有する熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂と硬化性樹脂前駆体とは、互いに非相溶であることが好ましい。この場合、少なくとも1つのポリマーが樹脂前駆体に対して非相溶であればよく、他のポリマーは上記樹脂前駆体と相溶してもよい。
ポリマーと硬化性樹脂前駆体との割合(質量比)は、特に制限されず、例えば、ポリマー/硬化性樹脂前駆体が、5/95〜95/5程度の範囲から選択でき、表面硬度の観点から、好ましくは5/95〜60/40程度であり、より好ましくは10/90〜50/50、特に10/90〜40/60である。
ポリマーを互いに非相溶な複数のポリマーで構成して相分離する場合、硬化性樹脂前駆体は、非相溶な複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーと加工温度付近で互いに相溶する組合せで使用することが好ましい。すなわち、互いに非相溶な複数のポリマーを、例えば、第1のポリマーと第2のポリマーとで構成する場合、硬化性樹脂前駆体は少なくとも第1のポリマー又は第2のポリマーのどちらかと相溶すればよく、好ましくは両方のポリマー成分と相溶してもよい。両方のポリマー成分に相溶する場合、第1のポリマー及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物と、第2のポリマー及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物との少なくとも二相に相分離する。
選択した複数のポリマーの相溶性が低い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程でポリマー同士が有効に相分離し、単層防眩層としての機能が向上する。複数のポリマー相分離性は、双方の成分に対する良溶媒を用いて均一溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
通常、相分離した二相の成分は互いに屈折率が異なる。上記層分離した二相の成分の屈折率の差は、例えば、0.001〜0.2であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15である。
上記相分離型防眩層用組成物において、溶媒は上記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体の種類及び溶解性に応じて選択し使用することができ、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよく、湿式スピノーダル分解において使用することができる。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
上記相分離型防眩層用組成物中の溶質(ポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、相分離が生じる範囲及び流延性やコーティング性等を損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜80質量%、好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは15〜40質量%(特に20〜40質量%)程度である。
(方法3)凹凸形状を付与する処理を用いて単層防眩層を形成する方法
方法3は、樹脂からなる被膜層を形成し、被膜層表面に対して、凹凸形状を付与する賦型処理を行って凹凸形状を有する単層防眩層を形成する方法である。このような方法は、単層防眩層が有する凹凸形状と逆の凹凸形状を有する型を用いた賦型処理によって好適に行うことができる。逆の凹凸形状を有する型はエンボス板、エンボスロール等が挙げられる。
方法3においては、単層防眩層形成用組成物を付与してから凹凸型で賦型してもよいし、単層防眩層形成用組成物を光透過性基材と凹凸型の界面に供給し、単層防眩層形成用組成物を凹凸型と光透過性基材の間に介在させて、凹凸形状の形成と単層防眩層の形成とを同時に行ってもよい。本発明においては、エンボスローラーにかえて、平板状のエンボス板を用いることもできる。
エンボスローラー又は平板状のエンボス板等に形成されている凹凸型面は、サンドブラスト法又はビーズショット法等の公知の種々の方法により、形成することができる。サンドブラスト法によるエンボス版(エンボスローラー)を用いて形成された単層防眩層は、その凹凸形状を断面でみた場合、凹形状が多数分布した形状となる。ビーズショット法によるエンボス版(エンボスローラー)を用いて形成された単層防眩層は、凹凸形状を断面でみた場合、上側に凸形状が多数分布した形状となる。
単層防眩層の表面に形成された凹凸形状の平均粗さが同じ場合に、上側に凸部が多数分布した形状を有している単層防眩層は、上側に凹部が多数分布した形状を有しているものと比較して、室内の照明装置等の写り込みが少ないとされている。このことから、本発明の好ましい態様によれば、ビーズショット法により単層防眩層の凹凸形状と同一形状に形成された凹凸型を利用して単層防眩層の凹凸形状を形成することが好ましい。
凹凸型面を形成するための型材としては、プラスチック、金属、木等を使用することができ、これらの複合体であってもよい。上記凹凸型面を形成するための型材としては、強度、繰返使用による耐摩耗性の観点から、金属クロムが好ましく、経済性等の観点から、鉄製エンボス版(エンボスローラー)の表面にクロムをメッキしたものが好ましい。
サンドブラスト法又はビーズショット法により凹凸型を形成する際に、吹き付ける粒子(ビーズ)の具体例としては、金属粒子、シリカ、アルミナ、又はガラス等の無機質粒子が挙げられる。これらの粒子の粒子径(直径)としては、30μm〜200μm程度であることが好ましい。これらの粒子を型材に吹き付ける際には、これら粒子を高速の気体と共に吹き付ける方法が挙げられる。この際、適切な液体、例えば、水等を併用してよい。また、本発明にあっては、凹凸形状を形成した凹凸型には、使用時の耐久性を向上させる目的で、クロムメッキ等を施してから使用することが好ましく、硬膜化、及び腐食防止の上で好ましい。
方法3における単層防眩層形成用組成物は、樹脂からなるものであってよく、方法1と同様に、微粒子を含んだ樹脂からなるものであってもよい。上記樹脂や微粒子としては特に限定されず、例えば、方法1において例示したものを挙げることができる。
上述の単層防眩層形成用組成物は、更にその他の添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、後述の表面調整層形成用組成物において述べた添加剤を挙げることができる。
本発明の光学積層体において、上記防眩層は上述のように単層であってもよいが、複層であってもよい。複層である場合、下地凹凸層上に表面調整層を形成してなることが好ましい。本発明の光学積層体が上記表面調整層を有するものであると、光学積層体表面の凹凸形状は滑らかになり、更に、上記範囲の表面粗さパラメーターを持たせることで、充分な防眩性を付与しつつ、極めて艶黒感の高い防眩性積層体を作製することができる。従って、本発明の光学積層体が上記表面調整層を有する場合、該表面調整層表面に現れる凹凸形状についてのS、Sm、θa、Rz等の光学特性値は、本発明の光学積層体表面の各光学特性値と同じ範囲内にある。付言すれば、防眩層が下地凹凸層と表面調整層とからなる場合、表面調整層の表面凹凸形状が、本発明における光学積層体の表面凹凸形状の光学特性値と当然に一致する。 以上のことは、表面調整層の下記内容及び実施例からも理解される。
上記下地凹凸層は、最表面が凹凸形状を有するものである。このような下地凹凸層としては、上記単層防眩層と同一のものを挙げることができる。例えば、下地凹凸層形成用組成物を用いて、上述の単層防眩層の形成方法と同様の方法により形成することができる。上記下地凹凸層形成用組成物としては特に限定されないが、上記単層防眩層形成用組成物と同一のものを挙げることができる。
表面調整層は、下地凹凸層の凹凸形状を形成している表面粗さにおいて凹凸スケール(凹凸の山高さと山間隔)の1/10以下のスケールで凹凸形状に沿って存在している微細な凹凸を目止めして、スムージングを掛けて滑らかな凹凸を形成させること、又は、凹凸の山間隔や山高さ、山の頻度(個数)の調整をすることが可能となる。また、表面調整層は、帯電防止、屈折率調整、高硬度化、防汚染性等を付与することを目的として形成されるものであってもよい。
上記表面調整層は、樹脂バインダーを含有するものである。上記樹脂バインダーとしては特に限定されないが、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、熱硬化型樹脂等を硬化して得られるもの等を挙げることができる。より好ましくは電離放射線硬化型樹脂である。電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、熱硬化型樹脂としては特に限定されず、上記単層防眩層の形成に使用できるものとして例示した樹脂を使用することができる。
上記表面調整層は、流動性を調整する有機微粒子や無機微粒子を含有するものであってもよい。上記流動性調整剤として使用することができる有機微粒子又は無機微粒子の形状は特に制限されるものではなく、例えば、球状、板状、繊維状、不定形、中空等のいずれのものでも良い。特に、好ましい流動性調整剤は、コロイダルシリカである。従来、表面調整層の形成によって微細な凹凸を目止めして、スムージングをかけようとすると、過剰なスムージングがかかってしまうことによって、防眩性が著しく低下してしまった。しかし、上記コロイダルシリカを含有する組成物によって被膜の形成を行うと、防眩性と黒色再現性の両立を図ることができる。このような効果が得られる作用は、明確ではないが、コロイダルシリカを含有する組成物は、その流動性が制御されることによって表面の凹凸形状への追随性が良好であることから、スムージングにおいて、従来の表面調整層では完全につぶれてしまう下地凹凸層にある微細な凹凸形状に、適度な滑らかさを付与させながら完全につぶさず残すことができるものと推測される。
本発明において「コロイダルシリカ」とは、コロイド状態のシリカ粒子を水又は有機溶媒に分散させたコロイド溶液を意味する。上記コロイダルシリカの粒子径(直径)は、1〜50nm程度の超微粒子のものであることが好ましい。なお、本発明におけるコロイダルシリカの粒子径は、BET法による平均粒子径(BET法により表面積を測定し、粒子が真球であるとして換算して平均粒子径を算出する)である。
上記コロイダルシリカは、公知のものであり、市販のものとしては、例えば、「メタノールシリカゾル」、「MA−ST−M」、「IPA−ST」、「EG−ST」、「EG−ST−ZL」、「NPC−ST」、「DMAC−ST」、「MEK」、「XBA−ST」、「MIBK−ST」(以上、日産化学工業(株)製品、いずれも商品名)、「OSCAL1132」、「OSCAL1232」、「OSCAL1332」、「OSCAL1432」、「OSCAL1532」、「OSCAL1632」、「OSCAL1132」、(以上、触媒化成工業(株)製品、いずれも商品名)で市販されているものを挙げることができる。
上記有機微粒子又は無機微粒子は、表面調整層のバインダー樹脂質量100に対し、微粒子質量が5〜300で含まれていることが好ましい(微粒子質量/バインダー樹脂質量=P/V比=5〜300/100)。5未満であると、凹凸形状への追随性が不充分となるため、艶黒感等の黒色再現性と防眩性とを両立することが困難になる場合がある。300を超えると、密着性や耐擦傷性など物性面で不良が起こるため、この範囲以内がよい。添加量は、添加する微粒子によって変化するが、コロイダルシリカの場合には、添加量は5〜80が好ましい。80を超えると、それ以上添加しても防眩性が変化しない領域となるため、添加する意味がなくなることと、これを超えると下層との密着性不良が起こるため、この範囲以下にすることがよい。
また、表面調整層は、上述したような凹凸層の形状の調整のほかに、帯電防止、屈折率調整、高硬度化、防汚染性等を付与する機能を有するものであってもよい。この場合、上記表面調整層は、必要に応じて帯電防止剤、高屈折率剤、中屈折率剤、低屈折率剤等の屈折率調整剤、防汚染剤等のその他の添加剤を含有する表面調整層形成用組成物によって形成することができる。
上記表面調整層形成用組成物に帯電防止剤を添加することにより、本発明の光学積層体の表面における塵埃付着を有効に防止することができる。
上記帯電防止剤としては特に限定されず、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性化合物;スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性化合物;アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物;アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物;スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物;上記有機金属化合物のアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等を挙げることができる。上記に列記した化合物を高分子量化した化合物も使用することができる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基又は金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー又は官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
上記帯電防止剤としてはまた、導電性ポリマーを挙げることができる。上記導電性ポリマーを使用すると、優れた帯電防止性能を発揮すると同時に、光学積層体の全光線透過率を高め、ヘイズ値を下げることも可能になる。また、導電性向上や、帯電防止性能向上を目的とした有機スルホン酸や塩化鉄等の陰イオンを、ドーパント(電子供与剤)として添加することもできる。
上記導電性ポリマーとしては、例えば、脂肪族共役系のポリアセチレン、ポリアセン、ポリアズレン、芳香族共役系のポリフェニレン、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、これらの導電性ポリマーの誘導体、及び、これらの共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重した高分子である導電性複合体等を挙げることができる。
なかでも、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールを使用することが好ましい。
更に、透明性、帯電防止性が高く、上述のドーパント添加効果にも優れる点で、ポリチオフェンが特に好ましい。上記ポリチオフェンとして、オリゴチオフェンも好適に使用することができる。
また、上記誘導体としては、特に限定されず、例えば、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレンのアルキル基置換体等を挙げることができる。
上記帯電防止剤は、導電性金属酸化物微粒子であってもよい。上記導電性金属酸化物微粒子としては特に限定されず、例えば、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の値はすべて屈折率を表すものである。)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、CeO(1.95)、酸化インジウム錫(略称 ITO;1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称 ATO;2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称 AZO;2.0)等を挙げることができる。微粒子とは、平均粒子径が1ミクロン以下の、いわゆるサブミクロンの大きさのものをいい、平均粒子径が0.1nm〜0.1μmのものであることが超微粒子をバインダーに分散した折、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成できる組成物を作製できるという観点からみて好ましい。上記導電性金属酸化物微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法等によって測定することができる。
上記帯電防止剤は、バインダー樹脂量(溶剤を除く)に対する添加が5〜250質量%であることが好ましい。より好ましくは、上記添加量の上限が100質量%以下であり、下限が7質量%以上である。添加量を上記数値範囲に調整することにより、光学積層体としての透明性を保ち、また艶黒感や防眩性等の性質に悪影響を与えることなく、帯電防止性能を付与することができる点で好ましい。
上記表面調整層形成用組成物は、防汚染剤を含むものであってもよい。上記防汚染剤は、光学積層体の最表面の汚れ防止を主目的とし、更に光学積層体の耐擦傷性を付与することが可能となる。防汚染剤としては、撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を発現するような添加剤が有効であり、例えば、フッ素系化合物、ケイ素系化合物又はこれらの混合化合物が挙げられる。上記ケイ素系化合物としては、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましい。
高屈折率剤及び中屈折率剤は、反射防止性をさらに向上させるために表面調整層に添加されていてもよい。高屈折率剤、中屈折率剤の屈折率は1.46〜2.00の範囲内で設定されてよく、中屈折率剤は、その屈折率が1.46〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率剤は、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。
これら屈折率剤は、微粒子が挙げられ、その具体例(かっこ内は屈折率を示す)としては、酸化亜鉛(1.90)、チタニア(2.3〜2.7)、セリア(1.95)、アンチモンドープ酸化スズ(1.80)、スズドープ酸化インジウム(1.95)、ジルコニア(2.0)、イットリア(1.87)等を挙げることができる。
上記表面調整層形成用組成物は、更に、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を含有するものであってもよい。レベリング剤を添加した表面調整層形成用組成物は、塗工面を良好にし、かつ、耐擦傷性の効果を付与できる点で好ましい。
上記表面調整層の形成方法は特に限定されないが、例えば、上記したコロイダルシリカ、バインダー樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)、溶剤及び必要に応じて使用する任意成分を混合して得た表面調整層形成用組成物を下地凹凸層上に塗布することによって形成することができる。上記溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)又はこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、ケトン類、エステル類が挙げられる。
上記表面調整層形成用組成物は、ミヤバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、等の公知の塗布方法によって塗装することができる。表面調整層形成用組成物の塗布後に、必要に応じて乾燥と硬化を行う。上記表面調整層の形成においては、上記樹脂バインダーとして紫外線硬化型樹脂を使用し、紫外線によって硬化を行うことが好ましい。紫外線によって硬化を行う場合、190〜380nmの波長域の紫外線を使用することが好ましい。紫外線による硬化は、例えば、メタルハライドランプ灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯等によって行うことができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げることができる。
表面調整層の膜厚(硬化時)は0.6μm以上15μm以下(12μm以下が好ましい)であることが好ましく、より好ましくは下限が1.5μm以上であり、更に好ましくは3μm以上であり、上限はより好ましくは8μm以下であり、更に好ましくは5μm以下である。なお、上記表面調整層の厚みは、前述した層厚の測定方法で下地凹凸層の厚みAを測定したのち、表面調整層を積層した下地凹凸層+表面調整層の厚みBを測定し、このBからAの値を差し引いて算出した値である。(下地凹凸層と、表面調整層のバインダー樹脂に屈折率差がある場合には、完成した製品の、上記Bを測定した後に、Aを測定して算出も可能である。両者に屈折率差がない場合には、前述したSEMやTEMによる方法で算出できる。)上記膜厚が0.6μm未満であると、防眩性は良好であるが、艶黒感が改善しない場合がある。膜厚が15μmを超えた場合は、艶黒感は非常に優れるが、防眩性が改善しないという問題を生じる場合がある。
上記防眩層は、更に任意の層として帯電防止層、低屈折率層、防汚染層等を備えてなるものであってよく、低屈折率層を備えてなることが好ましい。低屈折率層は、上記単層防眩層又は上記表面調整層の屈折率よりも低い屈折率を有するものであることが好ましい。帯電防止層、低屈折率層、防汚染層は、例えば、上述の帯電防止剤、低屈折率剤、防汚染剤等に、樹脂等を添加した組成物を調整し、それぞれの層を形成するとよい。従って、帯電防止剤、低屈折率剤、防汚染剤、樹脂等も同様であってよい。
上記低屈折率層は、単層防眩層上又は表面調整層上に形成することができる。単層防眩層上に低屈折率層を有するものは、実質的には上記凹凸下地層上に低屈折率性を付与した上記表面調整層を形成したものと同様のものであってもよい。また、上記表面調整層とは別個に低屈折率層を設けるものであってもよい。上記低屈折率層は、屈折率調整剤として低屈折率剤等を含有するものである。
上記低屈折率剤は、その屈折率が防眩層より低いものである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率剤の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。低屈折率剤としては、後述する低屈折率層と同じ素材を用いることができる。
低屈折率層は、外部からの光(例えば蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。低屈折率層としては、好ましくは1)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有する樹脂、2)低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂、4)シリカ又はフッ化マグネシウムの薄膜等のいずれか構成される。フッ素樹脂以外の樹脂については、上記単層防眩層及び表面調整層を構成する樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
これらの低屈折率層は、その屈折率が1.45以下、特に1.42以下であることが好ましい。
また、低屈折率層の厚みは限定されないが、通常は30nm〜1μm程度の範囲内から適宜設定すれば良い。
上記フッ素系樹脂としては、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体を用いることができる。重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基、熱硬化する極性基等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。この重合性化合物に対し、重合体とは、上記のような反応性基などを一切もたないものである。
電離放射線硬化性基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソールなど)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物などもある。
熱硬化性極性基として好ましいのは、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基である。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカなどの無機超微粒子との親和性にも優れている。熱硬化性極性基を持つ重合成化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品などを挙げることができる。
電離放射線硬化性基と熱硬化性極性基とを併せ持つ重合性化合物としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全または部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
また、フッ素系樹脂としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;上記含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体など。これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も使うことができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が例示される。中でもジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
さらには、以下のような化合物からなる非重合体又は重合体も、フッ素系樹脂として用いることができる。すなわち、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のようなイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオールのようなフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
また、上記したフッ素原子を持つ重合成化合物や重合体とともに、上記単層防眩層に記載したような各樹脂成分を混合して使用することもできる。更に、反応性基等を硬化させるための硬化剤、塗工性を向上させたり、防汚性を付与させたりするために、各種添加剤、溶剤を適宜使用することができる。
上記低屈折率層においては、低屈折率剤として、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることができる。本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、被膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。この微粒子を使用した低屈折率層は、屈折率を1.30〜1.45に調節することが可能である。
空隙を有する無機系の微粒子としては、例えば、特開2001−233611号公報に記載された方法によって調製されたシリカ微粒子を挙げることができる。また、特開平7−133105、特開2002−79616号公報、特開2006−106714号公報等に記載された製法によって得られるシリカ微粒子であってもよい。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
被膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラム及び表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子、又は断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。なお、上記平均粒子径は、動的光散乱法等によって測定した値である。「空隙を有する微粒子」は、上記低屈折率層中にマトリックス樹脂100質量部に対して、通常0.1〜500質量部程度、好ましくは10〜200質量部程度とするのが好ましい。
上記低屈折率層の形成においては、上記低屈折率層形成用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、好ましくは0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止膜を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ基材に対する密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、単層防眩層の項で説明したのと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
低屈折率層の層厚(nm)dは、下記式(V):
=mλ/(4n) (V)
(上記式中、
は低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
また、本発明にあっては、低屈折率層は下記数式(VI):
120<n<145 (VI)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
本発明の別の態様によれば、上記防眩層は、任意の層として、帯電防止層(導電層)を備えていてもよい。
上記帯電防止層の形成方法としては、光学積層体の各層の上面に導電性金属もしくは導電性金属酸化物等を蒸着又はスパッタリングすることにより蒸着膜を形成する方法又は樹脂中に導電性微粒子を分散した樹脂組成物を塗布するにより塗膜を形成する方法が挙げられる。
上記帯電防止層の形成方法としては、また、導電性微粒子と硬化型樹脂とを含む塗液を、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法により塗布し、塗布後に、乾燥と紫外線硬化を行う方法が挙げられる。
上記帯電防止層を蒸着膜で形成する場合、導電性金属又は導電性金属酸化物を帯電防止剤として使用することが好ましく、例えば、アンチモンドープのインジウム・錫酸化物(以下、「ATO」という)、インジウム・錫酸化物(以下、「ITO」という)等が挙げられる。帯電防止層としての蒸着膜の厚さは、10nm以上200nm以下であることが好ましく、100nm以上50nm以下であることがより好ましい。
上記帯電防止層は上記帯電防止剤を含む塗液により形成されてもよい。帯電防止剤は先の表面調整層において説明したのと同様であってよい。
上記帯電防止層の形成において、導電性微粒子を用いて塗膜する場合、好ましくは硬化型樹脂を用いる。硬化型樹脂としては、上記単層防眩層を形成するものと同様であってよい。
電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電子線又は紫外線の照射によって硬化する。電子線硬化の場合には、100KeV〜300KeVのエネルギーを有する電子線等を使用する。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。
光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度とに優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
上記光透過性基材としては、また、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムも使用することができる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が用いられている基材であり、例えば、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS−1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の Topas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ(株)製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記光透過性基材は、上記熱可塑性樹脂柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板を使用することも可能であり、又は、ガラス板の板状体のものを使用してもよい。
光透過性基材の厚さは、20μm以上300μm以下であることが好ましく、より好ましくは上限が200μmであり、下限が30μmである。光透過性基材が板状体の場合にはこれらの厚さを超える厚さ(300μm以上10mm程度)であってもよい。基材は、その上に防眩層を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
このようにして得られた光学積層体の表面の凹凸形状は、凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとした場合に、
Smが50μm以上100μm未満であり、
θaが0.1度以上1.0度以下であり、
Rzが0.2μm超過1.0μm以下である
ものである。このような数値を満たすものとすることによって、特に好適に効果を得ることができる。
すなわち、本発明の光学積層体の表面の形状をコントロールすることによって、光学特性をコントロールするものである。ここで、上記「光学積層体の表面」は、防眩層が単層である場合、防眩層が下地凹凸層と表面調整層からなる場合、更に、上記低屈折率層及び/又は任意の層を有する場合のいずれにおいても、空気と接する最表面を意味するものであって、このような最表面の凹凸形状の光学特性値が、本発明における光学積層体の表面凹凸形状の光学特性値と一致するものである。
本発明において必要とされる各種パラメーターの定義及び測定方法を以下に説明する。
屈折率の測定
表面調整層など、硬化後の塗膜の屈折率は、アッベ式屈折計にて、JIS K7142に従って測定した。
屈折率・層厚の測定
屈折率および層厚は、上記記載方法以外にも、以下のように求めることができる。測定したい膜を積層したフィルムの分光反射率を島津製作所製 MPC3100分光光度計にて、5°正反射率スペクトルを380〜780nmまでの波長範囲で測定し、(なお、5°正反射率を測定する場合には、光学積層体であるフィルムの裏面反射を防止するため、測定膜面とは逆側に、黒テープ(寺岡製)を貼って測定)該スペクトルのλ/4値より光学層厚を算出し、それを基に屈折率を算出した。又、反射スペクトルの結果から層厚を算出した。ここでは550nmの屈折率を代表値として採用した。
本発明の光学積層体の製造方法は、防眩層形成用組成物を光透過性基材上に塗布して防眩層を形成する工程を有するものである。
上記防眩層形成用組成物としては、上述した樹脂及び微粒子を含有する防眩層形成用組成物や単層防眩層形成用組成物等の防眩層形成用組成物を挙げることができる。
上記塗布する方法、及び、上記防眩層を形成する方法としては、特に限定されず、上記単層防眩層の形成において記載した塗布方法及び形成方法と同様の方法を挙げることができる。このような光学積層体の製造方法も本発明の一つである。
偏光素子の表面に、本発明による光学積層体を、該光学積層体における防眩層が存在する面と反対の面に設けることによって、偏光板とすることができる。このような偏光板も、本発明の一つである。
上記偏光素子としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を使用することができる。上記偏光素子と本発明の光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材(好ましくは、トリアセチルセルロースフィルム)にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなる画像表示装置であって、上記透過性表示体の表面に、本発明の光学積層体又は本発明の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置も本発明の一つである。
本発明による画像表示装置は、基本的には光源装置と表示素子と本発明による光学積層体とにより構成されてよい。画像表示装置は、透過型表示装置に利用され、特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、PDP、液晶パネルなどの高精細画像用ディスプレイの表面に用いられる。
本発明による画像表示装置が液晶表示装置の場合、光源装置の光源は本発明による光学積層体の下側から照射される。なお、STN型の液晶表示装置には、液晶表示素子と偏光板との間に、位相差板が挿入されてよい。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられてよい。
本発明の光学積層体によって、防眩性、ギラツキの防止、艶黒感等の黒色再現性等の性質を同時に得ることができる。
Sの算定方法を示すための模式図である。 防眩性測定方法を示す模式図である。 従来の防眩層表面の断面の模式図である。 本発明の防眩層表面の断面の模式図である。 従来の防眩層表面の光学顕微鏡写真である。 本発明の防眩層表面の光学顕微鏡写真である。 Raの算定方法を示すための模式図である。 防眩層表面の凹凸形状の模式図である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
本発明の内容を下記の実施態様により説明するが、本発明の内容はこれらの実施態様に限定して解釈されるものではない。特別に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
単層防眩層用組成物
単層防眩層用組成物1
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(日本化薬製、屈折率1.51)
65質量部
イソシアヌル酸変性ジアクリレートM215(東亞合成(株)製) 35質量部
ポリメチルメタクリレート(分子量75,000) 10質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 6質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
(透光性第一微粒子)
単分散アクリルビーズ(粒径9.0μm、屈折率1.535) 10質量部
(透光性第二微粒子)
スチレンビーズ(綜研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.60) 14質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 大日精化(株)製 0.045質量部
(溶剤)
トルエン 64質量部
シクロヘキサノン 16質量部
上記材料を十分混合し、組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分60質量%の単層防眩層用組成物1を調製した。
単層防眩層用組成物2
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51) 20質量部
ポリメチルメタクリレート(分子量75,000) 1質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.2質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.2質量部
(微粒子)
単分散スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.60) 1.2質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 10−28(大日精化(株)製) 0.012質量部
(溶剤)
トルエン 37.2質量部
メチルイソブチルケトン 6.6質量部
上記材料を十分混合し、組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分35質量%の単層防眩層用組成物2を調製した。
単層防眩層用組成物3
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51) 12.0質量部
イソシアヌル酸変性ジアクリレートM215(東亞合成(株)製) 8.0質量部
ポリメチルメタクリレート(分子量75,000) 2質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.32質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.22質量部
(透光性第一微粒子)
単分散スチレン−アクリル共重合ビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.555)
4.84質量部
(透光性第二微粒子)
単分散スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.60) 0.55質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 大日精化(株)製 0.0077質量部
上記材料と、トルエン:シクロヘキサノンが6:4の溶剤を、全固形分が38質量%となるように添加して十分混合し、組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して単層防眩層用組成物3を調製した。
単層防眩層用組成物4
(紫外線硬化型樹脂)
多官能ウレタンアクリレートUV1700B(日本合成化学工業(株)製屈折率1.51)
16質量部
イソシアヌル酸変性ジアクリレートM215(東亞合成(株)製) 2質量部
ポリメチルメタクリレート(分子量75,000) 2質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.2質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.2質量部
(微粒子)
単分散スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.60) 0.6質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 10−28(大日精化(株)製) 0.0132質量部
上記材料と、トルエン:シクロヘキサノンが6:4の溶剤を、全固形分が40質量%となるように添加して十分混合し、組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して単層防眩層用組成物4を調製した。
単層防眩層用組成物5
(透光性第一微粒子)
単分散アクリルビーズ(粒径2.0μm、屈折率1.535) 10質量部
(透光性第二微粒子)
単分散スチレンビーズ(粒径2.0μm、屈折率1.60) 7質量部
(透光性第三微粒子)
不定形シリカ:平均粒子径1.0μm 2質量部
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51) 100質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 6質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
(ポリマー)
ポリメチルメタクリレート(分子量75000) 10質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 0.045質量部
(溶剤)
トルエン 164.8質量部
シクロヘキサノン 41.2質量部
上記材料を適宜添加して十分混合した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分40.5質量%の単層防眩層用組成物5とした。
下地凹凸層用組成物
下地凹凸層用組成物1
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51) 2.18質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(屈折率1.51)
0.98質量部
ポリメチルメタクリレート(分子量75,000) 0.31質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.20質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.03質量部
(透光性第一微粒子)
単分散アクリルビーズ(粒子径9.5μm、屈折率1.535) 0.74質量部
(透光性第二微粒子)
不定形シリカインキ(平均粒子径1.5μm、固形分60%、シリカ成分は全固形分の15%) 1.46質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 大日精化(株)製 0.02質量部
(溶剤)
トルエン 5.53質量部
アノン 1.55質量部
上記材料を十分混合し、固形分40.5質量%の組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して下地凹凸層用組成物1を調製した。
下地凹凸層用組成物2
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51) 2.20質量部
イソシアヌル酸変性ジアクリレート M215(日本化薬(株)製、屈折率1.51)
1.21質量部
ポチメチルメタクリレート(分子量75,000) 0.34質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.22質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.04質量部
(透光性第一微粒子)
単分散アクリルビーズ(粒子径9.5μm、屈折率1.535) 0.82質量部
(透光性第二微粒子)
不定形シリカインキ(平均粒子径1.5μm、固形分60%、シリカ成分は全固形分の15%) 1.73質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 大日精化(株)製 0.02質量部
(溶剤)
トルエン 5.88質量部
アノン 1.55質量部
上記材料を十分混合し、固形分40.5質量%の組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して下地凹凸層用組成物2を調製した。
下地凹凸層用組成物3
(透光性第一微粒子)
単分散アクリルビーズ(粒径7.0μm、屈折率1.535) 20質量部
(透光性第二微粒子)
単分散スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.60) 16.5質量部
(透光性第三微粒子)
不定形シリカ:平均粒子径2.5μm 2質量部
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51) 100質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 6質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
(ポリマー)
ポリメチルメタクリレート(分子量75000) 10質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 0.045質量部
(溶剤)
トルエン 174.4質量部
シクロヘキサノン 43.6質量部
上記材料を適宜添加して十分混合した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分40.5質量%の下地凹凸層用組成物3とした。
下地凹凸層用組成物4
(透光性第一微粒子)
単分散アクリルビーズ(粒径7.0μm、屈折率1.535) 20質量部
(透光性第二微粒子)
単分散スチレンビーズ(粒径3.5μm、屈折率1.60) 2.5質量部
(透光性第三微粒子)
不定形シリカ:平均粒子径2.5μm 2質量部
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(日本化薬(株)製、屈折率1.51)
100質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 6質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
(ポリマー)
ポリメチルメタクリレート(分子量75000) 10質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 0.045質量部
(溶剤)
トルエン 158質量部
シクロヘキサノン 39.5質量部
上記材料を適宜添加して十分混合した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分40.5質量%の下地凹凸層用組成物4とした。
光拡散層用組成物
光拡散層用組成物1
樹脂(東洋紡(株)製バイロン200ポリエステル) 100質量部
光拡散剤 (積水化成品工業(株)製MBX−8:平均粒子径10μm) 240質量部
希釈溶剤:トルエン 130質量部
:メチルエチルケトン 100質量部
(固形分50%)
上記材料を十分混合し、この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分50質量%の光拡散層用組成物1とした。
光拡散フィルム
光拡散フィルム1
光拡散層として、120μm厚の(株)ツジデン製光拡散フィルム「商品名:D122」を使用した。この光拡散フィルムの光透過性基材はポリエチレンテレフタレートフィルムであった。
表面調整層用組成物1
(紫外線硬化型樹脂)
UV1700B(日本合成化学工業(株)屈折率1.51) 31.1質量部
アロニックスM315(商品名、東亞合成(株)製イソシアヌール酸のエチレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート) 10.4質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.49質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.41質量部
(防汚染剤)
UT−3971(日本合成化学工業(株)製) 2.07質量部
(溶剤)
トルエン 48.76質量部
シクロヘキサノン 5.59質量部
上記成分を十分混合して組成物として調整した。
この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分45質量%の表面調整層用組成物1を調製した。
表面調整層用組成物2
(紫外線硬化型樹脂)
UV1700B(日本合成化学工業(株)製屈折率1.51) 31.1質量部
アロニックスM315(商品名、東亞合成(株)製イソシアヌール酸のエチレンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート) 10.4質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.49質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.41質量部
(防汚染剤)
UT−3971(日本合成化学工業(株)製) 2.07質量部
(溶剤)
トルエン 525.18質量部
シクロヘキサノン 60.28質量部
上記成分を十分混合して組成物として調整した。
この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分40.5質量%の表面調整層用組成物2を調製した。
表面調整層用組成物 3(P/V=30/100)
コロイダルシリカスラリー(MIBK分散);固形分40%、平均粒径20nm
2.91質量部
(紫外線硬化型樹脂)
UV−1700B(紫外線硬化型樹脂;日本合成化学工業製 固形分60%MIBK)
6.10質量部
アロニックスM215(紫外線硬化型樹脂;東亜合成製 イソシアヌール酸のエチレンオキサイド2モル付加物のジアクリレート固形分60%MIBK) 1.52質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(光硬化開始剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.018質量部
イルガキュア907(光硬化開始剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.003質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 10−28(大日精化製) 0.0085質量部
(溶剤)
MIBK:メチルイソブチルケトン 2.06質量部
シクロヘキサノン 0.41質量部
上記成分を十分混合して組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、固形分約45質量%の表面調整層用組成物3を調製した。
表面調整層用組成物4 (P/V=10/100)
コロイダルシリカスラリー(MIBK分散);固形分40%、平均粒径20nm
0.25質量部
(紫外線硬化型樹脂)
UV−1700B(紫外線硬化型樹脂;日本合成化学工業製 固形分60%MIBK)
1.58質量部
アロニックスM315(紫外線硬化型樹脂;東亜合成製 固形分60%MIBK)
0.40質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(光硬化開始剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.118質量部
イルガキュア907(光硬化開始剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.019質量部
(防汚染剤)
UT−3971(固形分30%MIBK溶液;日本合成化学工業製) 0.002質量部
(溶剤)
トルエン 8.89質量部
シクロヘキサノン 1.88質量部
上記成分を十分混合して組成物として調整した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分10質量%の表面調整層用組成物4を調製した。
実施例1
下地凹凸層の形成
厚さ80μmのトリアセテートセルロースフィルム(TD80U 富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、下地凹凸層用組成物1を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#14を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させ下地凹凸層を形成した。
表面調整層の形成
さらに下地凹凸層の上に、表面調整層用組成物1を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#12を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、表面調整層を積層し、防眩性光学積層体を得た。(基材上の防眩層の総厚:約16.5μm)
実施例2
下地凹凸層の形成
厚さ80μmのトリアセテートセルロースフィルム(TD80U 富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、下地凹凸層用組成物4を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#14を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させ下地凹凸層を形成した。下地凹凸層で、バインダー樹脂との屈折率差が最大0.09である微粒子を使用することで、内部拡散効果を出し、ギラツキをより効果的に防止できるようにした。
表面調整層の形成
さらに下地凹凸層の上に、表面調整層用組成物3を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#10を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、表面調整層を積層し、防眩性光学積層体を得た。(基材上の防眩層の総厚:約12.5μm)
実施例3
下地凹凸層の形成
厚さ80μmのトリアセテートセルロースフィルム(TD80U 富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、下地凹凸層用組成物3を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#14を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させ下地凹凸層を形成した。下地凹凸層で、バインダー樹脂との屈折率差が最大0.09である微粒子を使用することで、内部拡散効果を出し、ギラツキをより効果的に防止できるようにした。
表面調整層の形成
さらに下地凹凸層の上に、表面調整層用組成物3を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#8を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、表面調整層を積層し、防眩性光学積層体を得た。(基材上の防眩層の総厚:約10.5μm)
実施例4
下地凹凸層の形成
厚さ100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、商品名「A4300」)を透明基材として用い、下地凹凸層用組成物2を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#14を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させ下地凹凸層を形成した。
表面調整層の形成
さらに下地凹凸層の上に、表面調整層用組成物2を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#10を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、表面調整層を積層し、防眩性光学積層体を得た。(基材上の防眩層の総厚:約15.0μm)
実施例5
防眩層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、単層防眩層用組成物5を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#5を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩性光学積層体を形成した。下地防眩層で、バインダー樹脂との屈折率差が最大0.09である微粒子を使用することで、内部拡散効果を出し、メンギラをより効果的に防止できるようにした。(基材上の防眩層の総厚:約3.2μm)
実施例6
防眩層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、単層防眩層用組成物1を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#24を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩性光学積層体を形成した。下地防眩層で、バインダー樹脂との屈折率差が最大0.09である微粒子を使用することで、内部拡散効果を出し、メンギラをより効果的に防止できるようにした。(基材上の防眩層の総厚:約20μm)
比較例1
下地凹凸層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、単層防眩層用組成物2を下地凹凸層用組成物として、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#8を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させ下地凹凸層を形成した。下地凹凸層で、バインダー樹脂との屈折率差が最大0.09である微粒子を使用することで、内部拡散効果を出し、メンギラをより効果的に防止できるようにした。
表面調整層の形成
さらに下地凹凸層の上に、表面調整層用組成物2を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#2を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、表面調整層を積層し、防眩性光学積層体を得た。(基材上の防眩層の総厚:7.6μm)
比較例2
防眩層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、下地凹凸層用組成物3を防眩層用組成物として使用し、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#12を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して塗膜を硬化させ防眩性光学積層体を形成した。防眩層で、バインダー樹脂との屈折率差が最大0.09である微粒子を使用することで、内部拡散効果を出し、メンギラを防止できるようにした。この防眩層は、バインダーから微粒子が頭を出している外観をもつ。(基材上の防眩層の総厚:約4.5μm)
比較例3
防眩層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、単層防眩層用組成物3を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#8を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射をして塗膜を硬化させ、防眩性光学積層体を形成した。(基材上の防眩層の総厚:約4.0μm)
比較例4
防眩層の形成
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フィルム(株)製)を透明基材として用い、単層防眩層用組成物4を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#34を用いて塗布し、70℃のオーブン中で1分間加熱乾燥し、溶剤分を蒸発させた後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射をして塗膜を硬化させ、防眩性光学積層体を形成した。(基材上の防眩層の総厚:約23μm)
得られた実施例及び比較例の光学積層体を以下の評価方法に基づいて評価を行い、その結果を表4に記載した。
ヘイズ、層厚、局部山頂平均間隔、表面粗さ
ヘイズ値(%)、H層厚(μm)、局部山頂平均間隔S(mm)、表面粗さ(Sm、θa、Rz)を測定した。層厚、局部山頂平均間隔S、表面粗さ(Sm、θa、Rz)は、本明細書の定義にしたがって測定した。
上記ヘイズ値は、JIS K−7136に従って測定することができる。測定に使用する機器としては、反射・透過率計HR−150(村上色彩技術研究所)が挙げられる。ヘイズは、塗工面を光源に向けて測定する。
表面ヘイズは、以下のように求められる。光学積層体最表面の凹凸上にペンタエリスリトールトリアクリレートなどの樹脂(モノマー又はオリゴマー等の樹脂成分を包含する)をトルエンなどで希釈し、固形分60%としたものをワイヤーバーで乾燥層厚が8μmとなるように塗布する。これによって、防眩層の表面凹凸がつぶれ、平坦な層となる。ただし、光学積層体を形成する組成物中にレベリング剤などが入っていることで、リコート剤がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩フィルムをケン化処理(2mol/lのNaOH(又はKOH)溶液 55度 3分浸したのち、水洗し、キムワイプで水滴を完全に除去した後、50度オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸によるヘイズをもたない、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このヘイズを、内部ヘイズとして求めることができる。そして、内部ヘイズを、元のフィルムのヘイズ(全体ヘイズ)から差し引いた値が、表面凹凸だけに起因するヘイズ(表面ヘイズ)として求められる。
算術平均粗さ(Ra)の測定
表面粗さ測定器「SE−3400」(小坂研究所社製)を用いて、JIS B 0601−1994に準じた方法で算術平均粗さ(Ra)を測定した。なお、カットオフ値と測定長さは、表3に示す標準値表に従った。
Figure 2008020610
艶黒感試験
実施例と比較例の光学積層体のフィルム面と反対側にクロスニコルの偏光板に張り合わせた後、30Wの三波長蛍光下(サンプル面に、45度の角度で照射)で官能評価(サンプルから50cm程度上部、45度くらいの方向から目視観察)を行って、艶黒感を下記基準によって詳細に評価した。
評価基準
評価○:艶のある黒色を再現することができた。
評価×:艶のある黒色を再現することができなかった。
防眩性の官能試験方法
表面処理したフィルムの裏面を粘着処理し、黒アクリル板に貼付したものを評価用サンプルとする。幅20mmの白黒ストライプ板を用意し、上記サンプルにこのストライプを法線から20度の角度で写り込ませ、観察する。このときサンプル面の照度は250lxで、ストライプの輝度(白)は65cd/mとした。またストライプ板とサンプルの距離は1.5mで、サンプルと観察者の距離は1mとした。これを観察者が見たときのストライプの見え方により次のように定義する。(図2参照)
○:ストライプが認識できない
×:ストライプが認識できる
Figure 2008020610
表4に示した結果より、本発明の光学積層体は、優れた防眩性と艶黒感を同時に有するものであることが示された。また、Raが互いに近いものであっても、艶黒感と防眩性の双方が良好であるもの(例えば、実施例3)と、一方しか良好でないもの(比較例1、比較例4)があることから、本発明の効果は、Raより、Sm、θa及びRzで規定することにより得られることが示唆された。
本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の反射防止用フィルムとして使用することができる。

Claims (8)

  1. 光透過性基材及び該光透過性基材上に設けられた防眩層を有する光学積層体であって、
    前記防眩層は、最表面が凹凸形状を有するもので、
    前記光学積層体は、表面の凹凸形状の粗さ曲線を測定し、該粗さ曲線に平均線を引き、該平均線から基準長さを取り、
    該基準長さ内における前記平均線の上部に存在する局部山頂の全個数mを計測し、
    m番の局部山頂とm−1番の局部山頂との頂点間の長さの値を表すSiと、Siの個数を表すnとを下記数式(I):
    [数1]
    Figure 2008020610
    に導入してS’を算出し、
    そして、次の同一の基準長さにおけるS’の値をN回繰り返して算出し、
    上記数式(I)で求めたS’の値を表すS’jと、S’jの個数を表すNとを下記数式(II):
    Figure 2008020610
    に導入し算出された局部山頂の平均間隔Sが、0.045mm以上0.10mm以下であり、
    光学積層体表面の凹凸の平均間隔をSmとし、凹凸部の平均傾斜角をθaとし、凹凸の平均粗さをRzとした場合に、
    Smが50μm以上100μm未満であり、
    θaが0.1度以上1.0度以下であり、
    Rzが0.2μm超過1.0μm以下であることを特徴とする光学積層体。
  2. 前記防眩層は、凹凸層単層からなる請求項1記載の光学積層体。
  3. 前記防眩層は、下地凹凸層及び該下地凹凸層上に設けられた表面調整層からなる請求項1記載の光学積層体。
  4. 前記防眩層は、更に低屈折率層を有し、
    前記低屈折率層は、前記下地凹凸層又は前記表面調整層の屈折率よりも低い屈折率を有するものである請求項1、2又は3記載の光学積層体。
  5. 反射防止積層体である請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の光学積層体の製造方法であって、
    防眩層形成用組成物を光透過性基材上に塗布して防眩層を形成する工程を有することを特徴とする光学積層体の製造方法。
  7. 偏光素子を備えてなる偏光板であって、
    前記偏光素子の表面に、請求項1、2、3、4又は5記載の光学積層体を該光学積層体における防眩層が存在する面と反対の面に備えることを特徴とする偏光板。
  8. 透過性表示体と、前記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなる画像表示装置であって、
    前記透過性表示体の表面に、請求項1、2、3、4又は5記載の光学積層体又は請求項7に記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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