JP2004341070A - 防眩性フィルム及びその製造方法、反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置 - Google Patents

防眩性フィルム及びその製造方法、反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置 Download PDF

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直之 川西
Tei Hayashi
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Shinya Kato
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Abstract

【課題】透明ポリマーフィルムに反射防止性と防眩性とを両立して発現させる。
【解決手段】セルローストリアセテートを支持体とする反射防止フィルム11aの反射防止層32側にエンボス加工を施し、防眩性を付与する。エンボス加工に先立ち反射防止層32側に水を塗布する。25℃における含浸前の反射防止フィルム11aの圧縮弾性率EL1は5GPa以上であって、エンボス加工時の圧縮弾性率EL2を1〜5GPaとし、EL1とEL2との差を1〜5GPa以下とする。また、エンボス加工時の含水率は1〜8質量%とする。反射防止フィルム11aは、エンボス加工前に加熱され、エンボス加工後には冷却される。得られた防眩性反射防止フィルム11bは良好な防眩性と反射防止性を有し、これを使用した偏光板、画像表示装置はいずれも高品質なものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学用途等に用いられる防眩性フィルム及びその製造方法と、反射防止フィルム、偏光板及び画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けられている他に、眼鏡やカメラのレンズにも使用されている。反射防止フィルムとしては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層フィルムが従来より用いられている。複数の透明薄膜を用いるのは、可視域でなるべく広い波長領域での光の反射を防止するためである。
【0003】
金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により形成されている。金属酸化物の透明薄膜は、反射防止フィルムとして優れた光学的性質を有しているが、蒸着法やスパッタ法は生産性が低く大量生産に適していない。
【0004】
また、PVD法による反射防止フィルムとしては、用途に応じて、表面凹凸の形成により防眩性を付与された支持体上に金属薄膜を形成されてつくられるものがある。このようなフィルムは、平滑な支持体上に形成されたものよりも、平行光線の透過率は減少するが、表面凹凸による光散乱のために背景の映り込みが低下して防眩性を発現し、反射防止効果とあいまって、画像表示装置に適用した場合には、その表示品位が著しく改善されるという利点がある。
【0005】
一方、上記の蒸着法に代えて、無機微粒子の塗布による反射防止フィルムやその製造方法が種々提案されている。例えば、塗布により形成されて、微細空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止層であって、この微細空孔を、反射防止層の塗布後に活性化ガス処理を行なってガスが層から離脱することによって形成するという提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。また、低屈折率層がポリマーまたは無機微粒子の塗布により形成され、支持体と、高屈折率層と、低屈折率層とを順に積層した反射防止フィルムや、支持体と高屈折率層の間に中屈折率層を設けたものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、例えばMgFとSiO等の、2種類以上の超微粒子を混在させて、フィルムの厚み方向にその混合比を変化させた反射防止フィルムも提案されている(例えば、特許文献3参照)。前記特許文献3によると、混在された2種類以上の超微粒子の混合比を変化させることによりフィルムの屈折率を変化させ、上記特許文献2に記載される高屈折率層と低屈折率層とが設けられた反射防止フィルムと同様の光学的性質を得ている。なお、これらの超微粒子は、エチルシリケートの熱分解で生じたSiOにより基板上に固着されている。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼によって二酸化炭素と水蒸気も発生し、この二酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒子の間に間隙が生じている。
【0007】
さらに、特許文献3記載の反射防止フィルムに存在する超微粒子間隙をバインダーで充填したもの(例えば、特許文献4参照。)や、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有するものが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。その他には、低屈折率層に無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねてミクロボイドを含有させ、ウエット塗布によって3層構成とされた反射防止層を有するフィルムであって、オールウェット塗布による安価な製造コストにて、膜強度と低反射率とを両立させる提案がなされている(例えば、特許文献6参照。)。
【0008】
上述のような、塗布による反射防止フィルムへの防眩性付与手段としては、表面凹凸を有する支持体上に反射防止層を塗布する方法や、表面凹凸を形成するためのマット粒子を、反射防止層形成用の塗布液に添加する方法の他に、平滑な反射防止フィルムの作成後に、エンボス法等によって表面凹凸構造を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献7,8参照。)。
【0009】
一方、画像表示装置用の防眩性フィルム、あるいは反射防止フィルムは、その機能により、装置の最外面に装着されることが多い。テレビやコンピューター用モニター、携帯用デジタル機器に用いられる場合には、特に、使用中に様々な外力を受けることがあるため、スクラッチや押し込みに対しての耐性が要求される。外力に対する耐性を向上させるためには、表面における摩擦係数や表面エネルギーを下げて表面の滑りを良くしたり、積層された層と層との間の結合力を上げて剥離抵抗を持たせたりするが、基本的には、外力に勝る硬さを有する層、つまりハードコート層を少なくとも一つ設ける必要がある。このハードコート層は、透明ポリマーフィルムに隣接して数μmから数十μmの厚みで設けられ、鉛筆硬度として少なくともH、好ましくは2H以上の硬さに設計される。
【0010】
【特許文献1】
特公昭60−59250号公報
【特許文献2】
特開昭59−50401号公報
【特許文献3】
特開平2−245702号公報
【特許文献4】
特開平5−13021号公報
【特許文献5】
特開平7−48527号公報
【特許文献6】
特開平11−6902号公報
【特許文献7】
特開2000−275401号公報
【特許文献8】
特開2000−275404号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献等で提案されている反射防止フィルムでは、積み重なった超微粒子の間に空隙が生じているが、その層構造が図に示されているだけであって、空隙の光学的機能については全く記載されていない。また、微粒子間の空隙をバインダで充填すると強度は付与されるが、空隙の光学的機能は失われてしまうという問題がある。
【0012】
また、反射防止フィルムに、凹凸を形成して防眩性を付与する、上記のような方法は、画像表示セルよりも大きな凹凸が反射防止フィルムの表面に存在することにより、単一セルからの透過光がレンズ効果により集光したり、隣接する幾つかのセルからのRGB透過光が混色を起こしたりすることによって、描画故障が発生する。この描画故障は、一般にはギラツキと呼ばれるものであって、特に、近年における液晶ディスプレイの高視野角化、高速応答化とならび、高精細化、つまり高画質に対する要求が高まる中で、表示品質を劣化させるという問題につながる。すなわち、高精細化の実現には液晶セルサイズの微細化が重要であって、セルサイズが小さくなるにつれて、例えば133ppi(133pixels/inch)以上の領域になると、場合によっては防眩性を有する反射防止フィルムを透過した後の像に輝度バラツキを生じさせ、これがギラツキとして認識されるというものである。
【0013】
さらに、ハードコート層が付与されている場合には、防眩性をフィルムに付与するためのエンボス加工の際に、この硬い層の存在のために、エンボス版の凹凸(パターン)が、層の深さ方向にも面内方向にも十分に付与されないため、防眩性の発現効果が十分でなかったり、上記ギラツキの欠陥が発生していた。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、透明ポリマーフィルムに対して、反射防止フィルム等の用途に十分な性能を有する防眩性フィルム及びその製造方法を提供することを目的とし、さらに蒸着層からなる反射防止フィルムに匹敵する反射防止機能と防眩機能とを有する反射防止フィルムを提供する。また、この防眩性を従来の反射防止フィルムの塗布層に付与ことによって、反射防止機能を低下させることなく、蒸着層と同様の表面凹凸を形成し、光学機能と強度を満足する偏光板及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、透明ポリマーフィルムの表面に表面加工手段により凹凸形成加工を施す防眩性フィルムの製造方法において、液体を前記透明ポリマーフィルムに含浸させる液体含浸手段により、前記透明ポリマーフィルム内に液体を含ませて、前記凹凸形成加工時の前記樹脂フィルムの圧縮弾性率を低下させた後に、前記凹凸加工を行うことを特徴として構成されている。
【0016】
前記透明ポリマーフィルムに関しては、前記凹凸形成加工の温度をT℃とするとき、25℃における圧縮弾性率EL1が5GPa以上であり、前記凹凸形成加工時のT℃における圧縮弾性率EL2が1GPa以上5GPa以下であることが好ましく、前記EL1と前記EL2との差が1GPa以上5GPa以下であることがさらに好ましい。
【0017】
前記液体は、水、または炭素数2以上6未満のアルコールを含むことが好ましく、前記凹凸形成加工時における前記透明ポリマーフィルムの前記液体含有率が1質量%以上8質量%以下であることがさらに好ましい。
【0018】
また、前記含浸と前記凹凸形成加工とは、連続して行われることが好ましく、前記含浸後、かつ前記凹凸形成加工前に、前記透明ポリマーフィルムを加熱することがさらに好ましい。
【0019】
さらに、前記表面加工手段が、エンボス版を有するエンボス加工手段であって、前記エンボス版は放電加工によって形成されたものとすることが望ましい。そして、前記透明ポリマーフィルムを長尺物とし、これを連続搬送しながら前記凹凸形成加工することが好ましく、前記透明ポリマーフィルムがセルロースアシレートを含むことがさらに好ましい。
【0020】
また、本発明は、前記透明ポリマーフィルムが、透明樹脂支持体と複層部とを有しており、この複層部が、前記透明樹脂支持体側から順にハードコート層と反射防止層とを有することが好ましい。あるいは、前記透明ポリマーフィルムが、透明樹脂支持体と複層部とを有しており、前記複層部が、前記透明樹脂支持体側から順にプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有することが好ましい。
【0021】
さらに、本発明は、上記の製造方法において製造された防眩性フィルムと、反射防止フィルムとを含んでおり、偏光子の両側に保護膜を有する偏光板においてはその保護膜の少なくとも一方が前記防眩性フィルムである偏光板と、さらに、前記防眩性フィルム画像表示装置とを含んで構成されている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について図を引用しながら説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
[防眩性の付与]
図1は、本発明の実施形態である透明ポリマーフィルムにおける防眩性付与工程を示す概略図である。本実施形態における透明ポリマーフィルムは反射防止フィルム11aであって、以下の説明においては、防眩性を付与される前のフィルムを反射防止フィルム11aと称し、この反射防止フィルムに防眩性を付与したものを防眩性反射防止フィルム11bと称するものとする。防眩性付与工程は、液体含浸装置としてのコータ13と、液きり手段としてのエアナイフ14と、加熱装置としてのジャケットローラ15と、エンボス加工装置としての片面エンボシングカレンダ装置17とを有している。反射防止フィルム11aは、エアナイフ14とは反対側の面が搬送ローラ18に指示されている。エアナイフ14には風量制御手段14aが備えられている。片面エンボシングカレンダ装置17の下流には送風機21が設置されている。片面エンボシングカレンダ装置17はエンボスローラ22とバックアップローラ23とを備えており、これらのローラ22,23は、駆動制御手段26,27と温度制御手段28,29を有している。また、本実施形態の防眩性付与工程には、必要に応じて適宜、フィルム搬送用のローラを設置しているが、図1においては図示を省略する。
【0023】
反射防止フィルム11aは、透明支持体を含む積層部31に無機微粒子層を塗布により付設したものとなっており、この塗布層が反射防止層32となっている。
【0024】
コータ13は、これに供給される塗布液としての水を反射防止フィルム11aに塗布する。塗布対象面は、反射防止フィルムの反射防止層32側としている。エアナイフ14は、塗布した水の少なくとも一部を風力により反射防止フィルム11aから除去する。エアナイフ14は、反射防止フィルム11aの幅方向全体に送風することができるスリットを塗布面に対向した位置に有している。ただし、本発明においては、エアナイフ14に代えて、他の送風機を反射防止フィルム11aの幅方向に複数台設置してもよい。搬送ローラ18は、反射防止フィルム11aとエアナイフ14との距離を適宜調製することを一目的として設けられている。ジャケットローラ15は、塗布液を塗布された反射防止フィルム11aをエンボス加工前に加熱する(以降、プレ加熱処理と称することがある。)。ジャケットローラ15は温度制御手段15aを備えた二重ジャケットローラであって、温度制御手段15aによりジャケット内部の熱媒温度が調節され、この熱が反射防止フィルム11aに伝達されて、反射防止フィルム11aは所定の温度に加熱される。
【0025】
エンボスローラ22は、その表面が金属製のエンボス版とされており、バックアップローラ23は、その表面が金属製の平滑面とされている。エンボスローラ22は反射防止フィルム11aの反射防止層32側に位置し、また、バックアップローラ23は積層部31側に位置している。エンボスローラ22とバックアップローラ23は反射防止フィルム11aに対して押しつけ圧力をかけて挟み込みながらこれを搬送するように回転する。これらのローラ22,23による挟み込み圧力及びそれぞれの回転速度は、駆動制御手段26,27により制御される。この両ローラ22,23により反射防止フィルム11aにはエンボス加工が施され、防眩性反射防止フィルム11bとして搬送される。また、エンボスローラ22とバックアップローラ23は、温度制御手段28,29によりそれぞれの外周面温度を制御され、エンボス加工に好適な所定の温度とされる。さらに、送風機21は、エンボス加工直後の防眩性フィルムbのエンボス加工面である反射防止層32側に対して風を送り、防眩性反射防止フィルム11bの温度を低下させる。
【0026】
以上の方法により、反射防止フィルム11aは、その反射防止層32側の表面にエンボス形状が付与された防眩性反射防止フィルム11bとされ、反射防止性を失うことなく、実質的に膜厚が均一で防眩性を発現する。反射防止性を損なわないために必要な防眩性反射防止フィルム11bの均一性は、光干渉層である反射防止層32の層数や光学設計によって異なる。例えば、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層が空気相側より、この順序に各層ともnλ/4(nは屈折率を表す)の厚みで積層された3層型設計の反射防止層32の場合には、その各層の厚みの変動は平均厚み±3%が最大であって、それ以上になると反射防止性能が著しく低下するので好ましくない。
【0027】
[フィルム表面形状]
ところで、画像表示装置に組み込むための防眩性反射防止フィルムには、近年の高精細化により、微細な周期の凹凸が要求されるので、本発明の防眩性反射防止フィルム11bにおいては、50ppi以上の画素密度に好ましく利用できるように、表面の凹凸に関し、平均凹凸周期(RSm)が5μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましく、5μm以上30μm以下が最も好ましい。
【0028】
この表面凹凸(以降、パターンと称することもある。)の大きさは、求められる防眩性の程度によって決まる。表面の凹凸が小さいと防眩性フィルムとして必要な外光を散乱する効果が低下し、凹凸が大きすぎると著しい散乱によって解像度が低下したり、画像が白味をおびてしまう。本発明において、防眩性反射防止フィルム11bの算術平均粗さ(Ra)は、0.01μm以上2μm以下が好ましく、0.05μm以上2μm以下がさらに好ましく、0.05μm以上1μm以下が最も好ましい。
【0029】
また、本発明において、凹凸プロファイルの傾斜角は小さい方が好ましい。不規則な凹凸プロファイルの傾斜角は一義でなく分布をもって存在するが、大きい傾斜角の存在頻度が高くなると防眩性反射防止フィルム11bが白味をおびてくることがあるので、傾斜角は0.5度以上10度以下に分布していることが好ましく、0.5度以上5度以下に分布していることがさらに好ましい。
【0030】
本実施形態においては、平均凹凸周期(RSm)と、算術平均粗さ(Ra)と、平均傾斜角とは、(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型もしくは、(株)RYOKA SYSTEM社製のマイクロマップ機を用いて測定しているが、その他の市販の二次元表面粗さ計測器を用いて計測することができる。
【0031】
[エンボス版]
本発明に用いるエンボスローラ22におけるエンボス版は、金属表面に凹凸を形成する種々の方法で作成することができる。金属表面に凹凸形成する方法としては、放電加工、ショット加工、エッチング加工、レーザー加工等が利用できる。施される凹凸配列の規則性が高い場合には、光干渉が発生するため、得られるものは光学フィルム製造用のエンボス版としては好ましくないので、この点から放電加工及びショット加工が、自動的に不規則な凹凸パターンを形成できる点で好ましい。しかし、エッチングやレーザー加工においても、レジストパターンの作成方法やレーザービームの操作方法によって不規則なパターニングが可能である。
【0032】
エンボス版として好ましく用いられる金属は、ビッカーズ硬度が500Hv以上の、炭素とクロムを含む鉄合金であればいずれでも良く、これらには高炭素鋼、クロム−モリブデン鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。ここで、ビッカーズ硬度は、対面角136度の正四角錐ダイアモンド圧子を用いて、材料に荷重を加え、その際の荷重量と材料面上のピラミッド形圧痕の対角線長さから評価される物性値である。ただし好ましい硬さは、ビッカーズ硬度による上記値に限定されず、他の硬さ測定法においても、上記好ましい値と一般的に対応されるべく同等なレベルであればよい。
【0033】
また、表面を硬化する目的で、焼き入れ処理を施したり、ハードクロムなどのメッキ処理の他、カナック処理などの窒化表面処理等を行ってもよいし、例えば、日本カニゼン(株)のカニフロンやカニボロンなどの特殊表面処理も好ましい。なお、ここで、カナック処理とは、高真空の炉内にアンモニア(NH)を主成分とした窒化促進ガスを送り、例えば温度を500℃前後としてこれを数時間以上加熱状態を保持させ、持続剤や窒素発生剤や粘着防止剤等を含む活性物質の働きにより、窒素を母材に拡散させて、合金元素と化合物とを生成させる反応を利用した処理方法である。
【0034】
放電加工は、加工油等の液中で、マイクロ秒オーダーのパルス放電を発生させて、主として導電性材料を被加工物とする加工法であって、本発明においては、汎用の形彫放電加工機(例えば、三菱電機(株)製、Sodick社製等)が利用できる。微細な凹凸形状を得るためには、ミクロン単位の位置制御が可能なCAD/CAM機能を搭載している機種が好ましい。凹凸形状を得る加工条件は、パルス電圧を100V以下、パルス電流を1A以下、パルスオン時間を20μs以下、パルスオフ時間を20μs以下とすることが好ましい。加工液は通常の各種ケロシンが利用できる。また、ケロシンに、グラファイト、シリコン、アルミナ、シリコンカーバイド、モリブデンサルファイドなどの10μm未満の粒子を1ないし20g/リットルの濃度になるように添加することによって、より微細なパターニングを達成することができる。
【0035】
ショット加工は、ガラス、ジルコニア、タングステンなど、直径が50μm以下で嵩比重が1.5kg/ リットル以上の粒子を、1kg/ cm以上の圧力で被加工物に吹き付けることによって実施される。この場合の平均凹凸周期(RSm)は上記粒子の粒子経によって、また、エンボス版の表面平均粗さ(Ra)は粒子の嵩密度と吹き付け圧力とショット時間とによって制御することができる。
【0036】
本発明において、エンボス版の形状は、防眩性反射防止フィルム11bの表面凹凸と同様に、3つのパラメータで決定することができる。平均凹凸周期(RSm)は5ミクロン以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましく、5μm以上30μm以下が最も好ましい。算術平均粗さ(Ra)は、0.05μm以上20μm以下が好ましく、0.1以上10μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上5μm以下が最も好ましい。凹凸の傾斜角は0.5度以上10度以下に分布していることが好ましく、0.5度以上5度以下に分布していることがさらに好ましい。
【0037】
[エンボス加工]
本実施形態におけるエンボス加工の方式は、ロール版プレスであるが、これに限定されない。例えば、平板版プレスや、連続ベルト版プレスも採用することができる。このうち、長尺物の連続加工としては連続ベルト版プレスとロール版プレスが好ましく、さらにプレス圧やプレス温度の自由度の点でロール版プレスが最も好ましい。
【0038】
本発明において、エンボス加工は、ホットエンボスと通常呼ばれる方法であり、加熱した版を被加工物に押し当てながらパターンを形成させる方法である。これは、加熱溶融製膜や、加熱溶融ラミネート、あるいは、予め加熱したフィルムの温度以下の版を押し当ててパターンを形成させるコールドエンボスとは異なる。エンボス版を加熱する手段としては、80℃以上に加熱することができ、版表面の温度分布が小さければ限定されないが、電熱線ヒーター、電磁誘導加熱、赤外線ヒーター、版内部を中空構造にして温水、オイル、スチームなどの温度制御熱媒を循環させるジャケット式ヒーターなどを好ましく利用することができる。このうち、ロール版プレスに利用できる方法としては、電熱線ヒーターや、電磁誘導加熱機(例えば、トクデン社製ヒートロール)や、ジャケット式ヒーター等が好ましく、版表面の温度分布が小さい点では、電磁誘導加熱ならびにジャケット式ヒーターがさらに好ましい。
【0039】
ロール版プレスに用いるエンボスローラ22の材質は、プレス圧に耐えられる剛性を有するものであれば金属、セラミックス、合成樹脂、合成樹脂と金属やガラスのコンポジットなど、限定されず使用できるが、版の耐久性の観点より、版表面は、ビッカーズ硬度が500Hv以上の、炭素とクロムを含む鉄合金で被覆されていることが好ましい。この被覆厚みは10μm以上50mm以下が好ましく、50μm以上50mm以下がさらに好ましい。ただし、フィルムに含浸させる液体によって変性しないものが好ましく、含浸させる液体の種類とエンボスローラ22の種類を相互に考慮して選定することが好ましい。
【0040】
前記ロール版プレスに用いるエンボスローラ22の外径には特に限定はない。ロールとして製作できる50mm以上3000mm以下の外径を適用することができるが、反射防止フィルム11aの幅方向における真直度を数μm/mとして精度良く加工できる点、ならびに重量の肥大化を避ける点により、実質的には50mm以上2000mm以下の外径である。
【0041】
エンボスローラ22に対向して設置するバックアップローラ23の材質もプレス圧に耐えられる剛性を有するものであればよく、金属や、セラミックス、合成樹脂、合成樹脂と金属、ガラスのコンポジットなど、限定されず使用できる。耐久性の観点より、ビッカーズ硬度が500Hv以上の炭素とクロムを含む鉄合金で被覆されていることが好ましい。この被覆厚は、10μm以上50mm以下であり、好ましくは50μm以上50mm以下である。また、ビッカーズ硬度が高く、耐食性に優れ、表面研摩しやすいハードクロムメッキも好ましく利用することができる。バックアップローラ23の表面粗さは、反射防止フィルム11aの積層部31側の表面の平滑さを維持した防眩性フィルムを得るために、可能な限り小さいことが好ましい。具体的には金属表面の鏡面仕上げとして得られる算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以下であることが好ましい。
【0042】
本発明において、ロール版プレスに用いるバックアップローラ23の外径に特に限定はない。ロールとして製作できる50mm以上3000mm以下の外径が適用できるが、反射防止フィルム11aの幅方向における真直度を数μm/mとして精度良く加工できる点、ならびに重量の肥大化を避ける点において、実質的には50mm以上2000mm以下の外径である。
【0043】
バックアップローラ23は冷却されてもよい。この場合には、バックアップローラ23の内部を中空構造にして冷水などの冷媒を循環させるジャケット構造、またはこれに対する冷風吹き付けを好ましく利用することができる。バックアップローラ23を冷却することにより、防眩性反射防止フィルム11bに可塑剤等の添加剤が含まれる場合には、これらの添加剤のフィルム内部からの揮散や蒸発を軽減できたり、プレス部を通過した直後の防眩性反射防止フィルム11bがバックアップローラ23と接触することにより即時に冷却されてエンボスパターンを固定できる等の利点がある。
【0044】
プレス条件としては、反射防止フィルム11aにかける圧力と、エンボス版の表面温度と、プレス時間とがある。プレス圧力は1×10Pa以上が好ましく、1×10Pa以上1×10Pa以下がさらに好ましく、5×10Pa以上5×10Pa以下が最も好ましい。本発明に用いられるエンボスローラ22ならびにバックアップローラ23の直径の範囲では、これら圧力範囲に対応する線圧として、1000N/cm以上が好ましく、1000N/cm以上し50000N/cm以下がさらに好ましく、5000N/cm以上30000N/cm以下が最も好ましい。
【0045】
本発明において、エンボス加工における版の表面温度は、80℃以上であることが好ましい。80℃以上220℃以下であることがさらに好ましく、100℃以上200℃以下であることが最も好ましい。
【0046】
また、プレス時間が厳密に定義できるのは平板版プレスと連続ベルト版プレスである。プレス時間は1秒以上600秒以下が好ましく、10秒以上600秒以下がさらに好ましく、10秒以上300秒以下が最も好ましい。本実施形態のように、ロール版プレスの場合には、プレス圧によるエンボスローラ22とバックアップローラ23とに挟まれた部分(ニップ部分)の接触長と反射防止フィルム11aの搬送速度とにより、実効プレス時間が決まる。ニップ部分の搬送方向における接触長は、エンボスローラ22とバックアップローラ23の各外径や弾性率等の物理性や、圧力、温度等のプレス条件等によって変化する。搬送速度は、1m/分以上50m/分以下が好ましく、1m/分以上30m/分以下がさらに好ましく、5m/分以上30m/分以下が最も好ましい。
【0047】
本実施形態のように、ロール版プレスの場合には、回転軸を介してプレス圧を掛けるとローラがたわんで幅方向に均一な圧力が作用しなくなる。これを軽減するためには、プレス圧に対応したたわみ量を予め予測してローラの径を補正するクラウンロール方式や、プレス方向に対向して回転軸に圧力を掛けるベンド補正方式を適用することができる。エンボスローラ22またはバックアップローラ23のいずれか一方の幅方向における外径がローラ幅1m当り5μm以上50μm以下となるように、テーパー状にすることが好ましく、このテーパー形状は、外径差が5μm以上30μm以下とすることがさらに好ましく、10μm以上30μm以下とすることが最も好ましい。ベンド補正圧は、エンボスローラ22とバックアップローラ23の径や弾性率などの物理性や、圧力や温度等のプレス条件等によって変化するが、プレス圧の3%以上20%以下で反作用する圧力とすることが好ましく、プレス圧の3%以上15%以下で反作用する圧力とすることがさらに好ましく、プレス圧の5%以上10%以下で反作用する圧力とすることが最も好ましい。
【0048】
本発明において、画像表示装置に組み込む光学フィルムとしてのエンボス加工では、塵埃の制御を厳密に行う必要がある。具体的には、エンボス加工し、再び巻き取るまでの工程は、クラス100以上、好ましくはクラス10以上のクリーンルーム環境で実施する。また、エンボス加工工程前に除塵機を使用することも好ましい。
【0049】
周知の乾式の除塵方法としては、特開昭59−150571号公報に記載のように、フィルム表面に不織布やブレード等を押し付ける方法や、特開平10−309553号公報に記載されているように、清浄度の高い空気を高速で吹き付け、付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口に導入して除去する方法等を適用することができる。特に、超音波振動する圧縮空気を吹き付けると共に付着物を吸引する機能を有するものは、例えば、ニューウルトラクリーナーの商品名で( 株) 伸興から市販されている。これらの装置の特徴は、空気流による剪断力と超音波を組み合わせて、厚み数十〜百μmの、空気流の境界層の中で、付着物が受ける剪断力によって剥離させる作用と超音波による振動作用を組み合わせて、高い除塵作用を実現していることである。また、静電力で付着した異物を除去する方法としては、特開平10−290964号公報に記載されているように、正、負の空気イオンを注入しながら電荷を中和させ、剥離した異物を別の空気流によって除去する手段がある。一般的な除電方法としては特開昭62−131500号公報に記載の方法、除塵方法としては特開平2−43157号公報に記載の方法も利用することができる。
【0050】
一方、これら乾式の方法に対して湿式の除塵方法も考案されている。例えば、洗浄槽内にフィルムを導入し、ここで超音波振動子により付着物を剥離させる方法や、特公昭49−13020号公報に開示のフィルムに洗浄液を供給した後に高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法や、特開2001−038306号公報、特開2002−079200号公報、特開2002−040245号公報等に記載されているように、液体で濡らした弾性体でフィルム面を連続的に擦る方法が知られている。
【0051】
以上の方法によりクリーンルーム内で除塵処理した後の反射防止フィルム11aまたは防眩性反射防止フィルム11bの表面における10μm径以上の異物は、10コ/m未満であることが好ましく、1コ/m未満であることがさらに好ましく、0.1コ/m未満であることが最も好ましい。
【0052】
本発明においては、エンボス加工を施す前に、液体を反射防止フィルム11aに含浸させる。これにより反射防止フィルム11aの圧縮弾性率を低下させ、エンボスパターンを良好に形成させることができる。液体を含浸させる方法としては、本実施形態においては、エンボスパターンを形成すべく反射防止層32側の表面に対し、塗布による層を設けた。塗布液は含浸させるべく液体とし、本実施形態においては水を用いている。ただし、本発明は、上記の含浸方法並びに液体の種類に依存するものではない。
【0053】
反射防止フィルム11aに対する液体の含浸方法としては、本実施形態のように液体を反射防止フィルム11aに塗布する方法の他、反射防止フィルム11aフィルムに液体を吹き付ける方法、液体の入った容器に反射防止フィルム11aを浸漬する方法、反射防止フィルム11aを液体蒸気濃度の高い雰囲にと接触させる方法等を例示することができる。このうち、液体を塗布する方法、吹き付ける方法、ならびに蒸気雰囲気と接触させる方法が、反射防止フィルム11aを連続搬送しながら実施する点で好ましい方法である。更に、塗布する方法は、必要最小限の液体を用いて実施することができるために最も好ましい。
【0054】
また、塗布による含浸の場合には、透明ポリマーフィルム上に液体を適用できる連続塗布可能な方式であれば如何なる方式を用いてもよく、コータ13として、ナプキンコータや堰型コータの他に、エクストルージョン、スライドなどのダイコーター、順転ロール、逆転ロール、グラビアなどのロールコーター、細い金属線を巻いたロッドコーター等を好ましく利用することができる。これらの塗布方式に関しては、Modern Coating and Drying Technology,Edward Cohen and Edgar B.Gutoff,Edits.,VCH Publishers,Inc,1992にまとめられている。なかでも、ナプキンコーター、堰型コーターが特に好ましい。
【0055】
本実施形態のように、水などの引火性のない液体を含浸させる場合には、反射防止フィルム11aに対して液を吹き付ける方法や、蒸気雰囲気と接触させる方法も適用することができる。液体を吹き付ける方法には、空気の加湿や塗装、タンクの自動洗浄などに利用されるスプレーノズルを用いる方法が挙げられる。スプレーノズルについては、円錐状、扇状などのスプレーノズル(例えば(株)いけうち製、スプレーイングシステムズ社製等)を、所定の透明ポリマーフィルムの幅方向に配列して、全幅に液適が衝突する様に設置して実施することができる。
【0056】
本発明においては、エンボス加工前に反射防止フィルム11aに含浸させる液体は、反射防止フィルム11aの圧縮弾性率を低下させ、フィルムの所定用途における要求性能を損なわないものであれば限定はなく、1種であってもあるいは複数を組み合わせて用いてもよい。しかし、フィルムを溶解したり極度に軟化させる液体は好ましくない。例えば、水や、各種アルコール、あるいはこれらの混合物等を最も好ましく用いることができる。特に、光学用途で広く使われるセルロールエステルフィルムにおいては、含水率が数%増加するとガラス転移温度が大きく低下する効果が得られるので好ましい。
【0057】
有機溶剤を含浸させる場合には、新版溶剤ポケットブック(オーム社、1994年刊)などに挙げられる各種有機溶媒が使用可能であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フッ素化アルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコール類の他に、N,N−ジメチルホルムアミド、パーフルオロトリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等を挙げることができる。中でも、炭素数2以上6未満の各種アルコールの単体、またはこれらの各種アルコールのうち2種以上の混合物、またはこれらの少なくとも1種類のアルコールと水との混合物が、特に好ましい。
【0058】
液体をフィルムに塗布、あるいは吹き付けた後、含浸適用量が小さく液体の全量がフィルムに含浸される場合、あるいは周囲雰囲気中に蒸発する場合があるが、エンボス加工の工程に到達するまでにフィルム表面が実質的に乾膜とならない場合には、過剰の液体をフィルムから除去する工程を設けてもよい。ここで、実質的に乾膜であるとは、過剰液体の内部含有等によりフィルム11aがゲル様状態となったりあるいはフィルム上に存在する液膜中にフィルム11aの成分が溶け出してしまう状態となったりすることがなく、フィルム表面が上記所定の圧縮弾性率を保つ固体として存在する状態を意味する。
【0059】
過剰の液体を除去する手段後の液膜厚みは、薄い方が好ましいが、用いる液切り手段の種類によって含浸液膜の最低厚みが制限される。ブレード、ロッド、ロールなど、物理的に固体を透明ポリマーフィルムに接触させる方法においては、その固体がゴム等の低硬度の弾性体であったとしても、フィルム表面にキズを付けたり、弾性体が磨り減ったりするので、有限の液膜を潤滑流体として残す必要がある。通常は、数μm以上、好ましくは10μm以上の水膜を潤滑流体として残存させる。
【0060】
極限まで含浸液体の層の厚みを減少させることができる液切り手段としては、エアナイフ14が好ましく、この場合には、風量と風圧を適宜設定することにより、含浸液の層の厚みをゼロに近付けることが出来る。ただし、エアの吹出し量が大きすぎると、ばたつきや寄りなど、反射防止フィルム11aの搬送安定性に影響を及ぼすことがあるので、好ましい範囲が存在する。反射防止フィルム11a上に形成された元の含浸液体層の厚みや、反射防止フィルム11aの搬送速度にもよるが、通常は、10m/秒以上500m/秒以下、好ましくは20m/秒以上300m/秒以下、より好ましくは30m/秒以上200m/秒以下の風速を使用する。また、均一に液層除去を行うためには、反射防止フィルム11aの幅方向の風速分布を、通常は10%以内、好ましくは5%以内になるように、エアナイフ14の吹出し口であるスリットの開口の大きさや形状、エアナイフ14への給気方法を調整するとよい。
【0061】
搬送する反射防止フィルム11aの表面とエアナイフ14のスリットとの間隙は、狭い方が液切り能が高いが、反射防止フィルム11aにエアナイフが接触して傷付ける可能性が高くなるため、適当な範囲がある。通常は、10μm以上10cm以下、好ましくは100μm以上5cm以下、さらに好ましくは500μm以上1cm以下の間隙をもって、エアナイフ14を設置する。さらに、図1に示すように、反射防止フィルム11aをエアナイフ14と反対面側に設置された搬送ローラ18により支持することにより、反射防止フィルム11aとエアナイフ14との間隙の設定が安定されるとともに、反射防止フィルム11aのバタツキやシワ、変形などを緩和することができ、好ましい。
【0062】
反射防止フィルム11aを液体蒸気濃度の高い雰囲気に接触させる方法は、霧化器によって含浸に供する液体の蒸発を促進する方法や、前記液体を加熱して蒸発を促進する方法が挙げられる。この方法におけるガス濃度の測定は、用いる液体の種類によって、例えば、ガス検知管、接触燃焼方式、電気化学方式、赤外線方式などの検知器を利用することができる。なお、可燃性の液体を用いる場合には、空気を窒素置換することが好ましい。
【0063】
液体蒸気をフィルム中に含浸させる場合には、飽和蒸気濃度の60%以上95%以下の液体含有率を有する雰囲気を使用することが好ましく、飽和蒸気濃度の60%ないし90%とすることがさらに好ましく、飽和蒸気濃度の70%ないし90%とすることが最も好ましい。反射防止フィルム11aを上記雰囲気と接触させる時間は、含浸平衡に到達するまでとすることが理想であるが、反射防止フィルム11aを連続搬送しながら実施する上では10秒以上300秒以下が好ましく、10秒以上180秒以下がさらに好ましく、30秒以上300秒以下が最も好ましい。ここで、含浸平衡とは、反射防止フィルム11aに液体が含浸されて、含浸進捗速度が見かけ上ゼロとなって、フィルム11a内部における液体含有率が概ね一定となった状態を意味する。
【0064】
上記の方法により液体を含浸させた後の反射防止フィルム11aの圧縮弾性率には、エンボス加工にとって適正な範囲がある。エンボス加工温度をT℃とするとき、T℃における圧縮弾性率が高すぎると十分な転写率が得られないし、低すぎると反射防止フィルム11aの体積変化が大きすぎるため、膜厚変化やシワの原因となる。ここで、エンボス加工温度T(℃)とは、エンボス加工時におけるエンボスローラ22の設定温度を意味している。反射防止フィルム11aのエンボス加工時における圧縮弾性率EL2は、T℃において1GPa以上10GPa以下であることが好ましく、1GPa以上7GPa以下であることがさらに好ましく、1GPa以上5GPa以下であることが最も好ましい。本発明においては、エンボス加工温度T℃における圧縮弾性率の値が、エンボス加工時において上記の値となるように、フィルム種に応じた含浸液体の種類ならびに含浸量等の含浸条件を決定することが好ましい。
【0065】
また、含浸前の反射防止フィルム11aの25℃における圧縮弾性率EL1は5GPa以上であり、本発明において特に好ましい値となっている。さらに、本発明においては、25℃における圧縮弾性率EL1と,エンボス加工温度T℃におけるEL2とに関して、その差EL1−EL2を1GPaないし5GPaとすることが好ましい。
【0066】
エンボス加工時においては、反射防止フィルム11a内部の液体含有率が1質量%ないし8質量%であることが好ましい。これにより、含浸前及び含浸後における、上記圧縮含有率及びその差を達成することができ、好適なエンボスパターンを形成することができる。ただし、エンボス加工時においては、圧縮弾性率EL2及び液体含有率について、厳密な意味での測定が困難である。したがって、フィルムの含浸工程とエンボス加工までの雰囲気条件における反射防止フィルム11aの乾燥曲線、及び液体含有率と圧縮弾性率との関係のデータを予め求めておいて、含浸工程後かつエンボス加工前のフィルム11aから一部をサンプリングして、それぞれの値を測定し、前記乾燥曲線または前記データから、エンボス加工時における圧縮弾性率EL2または液体含有率を予測して求めることが好ましい。
【0067】
なお、上記圧縮弾性率は、市販の表面硬度計測器を用いて測定することができる。本実施形態においては、微小表面硬度計(型式;フィッシャースコープH100VPーHCU、(株)フィッシャー・インスツルメンツ社製)を用いて測定している。測定方法は、ガラス基板上に試料を貼り付け、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度:136°)を使用して、押し込み深さが膜厚の1/10を超えない範囲で荷重を掛けながら押し込み深さを測定し、荷重に対する変位の大きさから求めるものとしている。
【0068】
液体含浸後であって、エンボス加工前に、反射防止フィルム11aを予熱するプレ加熱工程を設けることが好ましい。このプレ加熱工程を設ける場合には、反射防止フィルム11aが、常温からエンボス加工温度へと徐々に昇温されることが好ましい。この工程を設けることにより、常温付近となっている反射防止フィルム11aを80℃以上のエンボスローラ22に導入したときに起こる反射防止フィルム11aの急激な軟化と体積変化、さらには反射防止フィルム11aとエンボスローラ22との摩擦等による、シワ等の発生を防止することができる。
【0069】
このプレ加熱方法としては、反射防止フィルム11aに対して、熱風を衝突させたり、加熱ローラによる接触伝熱を行ったり、マイクロ波による誘導加熱を行ったり、あるいは、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等を好ましく利用することができる。特に、加熱ローラによる接触伝熱は、反射防止フィルム11aに対する熱伝達効率が高く、小さな設置面積で行え、また、搬送開始時のフィルム温度の立上りが速い点で好ましい。加熱ローラとしては、例えば、本実施形態にて用いたような、一般の2重ジャケットローラ15や電磁誘導ロール(トクデン社製)等を利用することができる。プレ加熱後のフィルム温度は、25℃以上220℃以下であることが好ましく、25℃以上150℃以下がさらに好ましく、40℃以上100℃以下が最も好ましい。また、上記温度範囲に制御するために、上記の各加熱手段に対してコントローラ(図示なし)によるフィードバック制御を行ってもよい。
【0070】
ホットエンボス後の反射防止フィルム11aは高温状態にあり、温度低下して十分に圧縮弾性率が下がらないまま、搬送に伴うテンションや各種ローラーとの接触を受けると、パターニングが変形したり緩和したりすることがしばしば発生する。そこで、本実施形態のように、ホットエンボス加工直後に強制冷却工程を設けることによってこの現象を回避することができる。ただし、本発明はエンボス加工直後のフィルム冷却工程の有無、ならびに、冷却方法に依存するものではない。
【0071】
冷却方法としては、図1に示すように、防眩性反射防止フィルム11bに対して送風機21により冷風を衝突させたり、あるいは、冷却ローラ等により接触伝熱を行う等の方法を好ましく採用することができる。冷却後の防眩性反射防止フィルム11bの温度は、80℃以下であることが好ましく、10℃以上80℃以下であることがさらに好ましく、15℃以上70℃以下であることが最も好ましい。フィルム温度は、非接触式の赤外線温度計で測定することが好ましい。また、上記の各冷却手段に対して、別途設けるコントローラによるフィードバック制御を行い、冷却温度を調節することもできる。
【0072】
本実施形態のように長尺物をロールエンボス加工する場合には、巻取り工程の前に調湿処理を施すこともできる。これは、長尺物内部に含まれている水分の量を調節する処理である。ただし、本発明は、この調湿処理工程の有無ならびに調湿処理方法に依存するものではない。調湿処理装置には、温湿度制御手段や、送風手段等を設けることが好ましい。この工程の付設により、防眩性反射防止フィルム11bをロール状に巻き取る前に、好ましい含水率となるように調整するための加熱乾燥処理や、あるいは、設定された湿度を有する風を送ることによってフィルム中における含水率の調整処理を行うことができ、好ましいエンボスパターンを形成された良好な光学フィルムとして得ることができる。ただし、樹脂は、過度な昇温及び昇湿により変形や変性を起こすので、調湿処理においては、付与したエンボスパターン及び光学特性をはじめとする所定用途の要求スペックを損なわない範囲で、処理条件を適宜設定することが好ましい。例えば、処理対象の透明ポリマーフィルムのガラス転移点(Tg)あるいは熱変形温度、あるいは流動開始点等における樹脂変性を考慮して、加熱温度等を設定することが好ましい。
【0073】
さらに、エンボスローラ22とバックアップローラ23に対する反射防止フィルム11aの搬送路に関して、図2〜図6を用いて詳細に説明する。図2〜図6は、本発明において適用することができる、エンボス加工処理での反射防止フィルム11aの搬送路を示す概略図である。なお、図2〜図6において、図1と同様の部材、装置については図1と同じ符号を付し、説明を略する。また、符号35は、搬送用のローラを示しているが、これは、必要性に鑑みて適宜設置すればよいものである。
【0074】
最も一般的な経路は、図2に示すように、エンボスローラ22とバックアップローラ23とのプレス部に対し入出角度をつけずに反射防止フィルム11aを誘導する経路である。また、プレスに先立って反射防止フィルム11aを予熱したい場合には、図3に示すように、エンボスローラ22にラップさせてからプレス部に誘導する経路を採用するとよい。一方、反射防止フィルム11aをプレスに先立って冷却したい場合には、図4に示すように、冷却したバックアップローラ23にラップさせてからプレス部に誘導する経路を採用するとよい。
【0075】
プレス部の出口側についても同様の経路が考えられ、加熱時間を長く取りたい場合には、図5に示すように、プレス部出口よりエンボスローラ22にラップさせる経路を採用することができ、また、プレス直後に冷却したい場合には、図6に示すように、バックアップローラ23にラップさせる経路がそれぞれ採用できる。
【0076】
以上のように、エンボスローラ22とバックアップローラ23に対する反射防止フィルム11aの基本搬送パスは5通りあるが、図2に示すように、入口、出口ともにラップさせない方法が好ましく、図3に示すように入口でエンボスローラ22にラップさせ、出口はいずれのローラにもラップさせない方法がさらに好ましく、図3と図6の組み合わせである先の図1に示したような、入口でエンボスローラ22にラップさせ、出口で、冷却したバックアップローラ23にラップさせる方法が最も好ましい。それぞれのローラ22,23にラップさせる角度は、反射防止フィルム11aの例えば厚みや、弾性率、伝熱係数、表面粗さ等のフィルム特性と、例えばローラ径や、温度、伝熱係数、表面粗さ等のローラ特性、ならびに、搬送速度やテンション等の搬送条件等によって適宜決定する。
【0077】
[反射防止フィルムの形成]
図7〜9は、本発明におけるエンボス加工を施した後の防眩性反射防止フィルム11bを示す断面図である。防眩性反射防止フィルム11bは、その使用目的によって、様々な層構造とされる。図7に示す態様は、最下層から順に、透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43、そして低屈折率層44の順序の層構成を有する。図8に示す態様は、最下層から順に、透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43、高屈折率層50、そして低屈折率層44の順序の層構成を有する。図9に示す態様は、最下層から順に、透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43、中屈折率層55、高屈折率層50、そして低屈折率層44の順序の層構成を有する。図7〜9の透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43からなる積層部は、図1における積層部31に対応し、また、それ以外の低屈折率層44、高屈折率層50、中屈折率層55の少なくとも1層から構成される単一層または複層が反射防止層32に対応している。図7〜9に示すように、いずれの層構造の防眩性反射防止フィルム11bにおいても、エンボス加工による変形がそれぞれのプライマー層42に集中しており、ハードコート層43や反射防止層32は、厚みがほぼ均一である。支持体は若干変形する。
【0078】
図7〜9に示すように、本発明において、防眩性反射防止フィルム11bは、特許文献2に記載されているように、中屈折率層55、高屈折率層50、低屈折率層44のそれぞれの層の光学厚み、すなわち屈折率nと膜厚dの積(n・d)が、設計波長λに対してnλ/4前後、またはその倍数であることが好ましい。
【0079】
しかしながら、低反射率且つ反射光の色味が低減された反射率特性を実現するためには、特に設計波長λ(=500nm)に対して中屈折率層55が下式(I)を、高屈折率層50が下式(II)を、低屈折率層44が下式(III)をそれぞれ満足する必要がある。なお、下記の式中において、n1、n2、n3はそれぞれ中屈折率層55、高屈折率層50、低屈折率層44の屈折率を表し、d1、d2、d3はそれぞれ中屈折率層55、高屈折率層50、低屈折率層44の層厚み(nm)を表す。
100.00<(n1・d1)<125.00 (I)
187.50<(n2・d2)<237.50 (II)
118.75<(n3・d3)<131.25 (III)
【0080】
さらに、例えばセルローストリアセテート(TAC)(屈折率:1.49)からなるような屈折率が1.45〜1.55の透明支持体41に対しては、n1は1.60〜1.65、n2は1.85〜1.95、n3は1.35〜1.45の屈折率である必要がある。また、ポリエチレンテレフタレート(屈折率:1.66)からなるような屈折率が1.55〜1.65の透明支持体41に対しては、n1は1.65〜1.75、n2は1.85〜2.05、n3は1.35〜1.45の屈折率である必要がある。
【0081】
上記のような屈折率を有する中屈折率層55や高屈折率層50の素材が選択できない場合には、等価膜の原理を用いて、所定屈折率よりも高い屈折率を有する層と低い屈折率を有する層とを複数層組み合わせ、実質的に所定屈折率の中屈折率層55あるいは高屈折率層50と光学的に等価な層を形成できることは公知であり、本発明の反射率特性を実現するためにも適用することができる。また、本発明では、このように等価膜を用いた3層以上の任意の積層構造を有する反射防止層32を含む。
【0082】
本発明において、透明支持体41としては、ポリマーフィルムを用いることが好ましい。ポリマーフィルムの例としては、セルロースエステル(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリー1,4ーシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンー1,2ージフェノキシエタンー4,4’ージカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリスチレン等)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。
【0083】
特に、液晶表示装置や有機EL表示装置等に用いるために、本発明の防眩性反射防止フィルム11bを反射防止フィルムとして偏光板の表面保護フィルムの片側に用いる場合には、セルローストリアセテートが好ましく用いられる。セルローストリアセテートフィルムの作成法は、公開技報番号2001−1745にて公開されたものが好ましく用いられる。また、平面CRTやPDP等に用いるためにガラス基板等に張り合わせて用いる場合には、ポリエチレンテレフタレート、あるいはポリエチレンナフタレートを用いることが好ましい。
【0084】
透明支持体41の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体41のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体41の屈折率は、1.4以上1.7以下であることが好ましい。
【0085】
中屈折率層55および高屈折率層50は、屈折率の高い微粒子、熱または電離放射線硬化性のモノマ−、開始剤および溶媒を含有する塗布組成物の塗布、溶媒の乾燥、熱および/または電離放射線による硬化によって形成される。前記微粒子としては、高屈折率の無機微粒子がより好ましく、例えば、Ti、Zr、In、Zn、Sn、Sbの酸化物から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物からなるものが好ましい。このようにして形成された中屈折率層および高屈折率層は、高屈折率を有するポリマー溶液を塗布、乾燥したものと比較して、耐傷性や密着性に優れる。分散液安定性や、硬化後の膜強度等を確保するために、特開平11−153703号公報や特許番号US6210858 B1等に記載されているような、多官能(メタ)アクリレートモノマーとアニオン性基含有(メタ)アクリレート分散剤とが塗布組成物中に含まれることが好ましい。
【0086】
上記微粒子の平均粒径は、コールターカウンター法で測定したときの平均粒径で1nmより大きく100nm未満であることが好ましい。1nm以下では、比表面積が大きすぎるために、分散液中での安定性に乏しく、好ましくない。100nm以上では、バインダとの屈折率差に起因する可視光の散乱が発生し、好ましくない。高屈折率層50および中屈折率層55のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
【0087】
本発明の低屈折率層44を形成する素材について以下に説明する。本発明の低屈折率層44としては、例えば、低屈折率材料、中でもLiF(屈折率n=1.4)、MgF(n=1.4)、3NaF・AlF(n=1.4)、AlF(n=1.4)、NaAlF(n=1.33)、SiO(n=1.45)等の低屈折率の無機材料が好ましく、あるいはこれらを微粒子化し、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた材料、フッ素系、シリコーン系の有機材料等を用いることができる。これらの中でも本発明では特に熱または電離放射線により硬化する含フッ素化合物を用いることが好ましい。該硬化物の動摩擦係数は好ましくは0.02〜0.18、より好ましくは0.03〜0.15、純水に対する接触角は好ましくは90〜130度、より好ましくは100〜120度である。動摩擦係数が高いと、表面を擦った時に傷つきやすくなり、好ましくない。また、純水に対する接触角が小さいと指紋や油汚れ等が付着しやすくなるため、防汚性の観点で好ましくない。また本発明において、低屈折率層44には膜強度向上を目的として適宜シリカ粒子等のフィラーを添加しても良い。
【0088】
低屈折率層44に用いられる硬化性の含フッ素化合物としてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロー1,1,2,2ーテトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
【0089】
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロー2,2ージメチルー1,3ージオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
【0090】
硬化反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己硬化性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の硬化反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
【0091】
また、上記含フッ素モノマー単位、硬化反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
【0092】
上記のポリマーに対しては特開平8−92323号公報、同10−25388号公報、同10−147739号公報、同12−17028号公報に記載されているように、適宜、硬化剤を併用しても良い。特に、ポリマーの硬化反応性基が水酸基、カルボキシル基のような単独で硬化反応性を持たない基の場合には、硬化剤を併用することが必要である。硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物などを挙げることができる。一方、硬化反応性基が自己硬化反応性の基である場合には、特に硬化剤を添加しなくても良いが、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物等種々の硬化剤を適宜併用することもできる。
【0093】
本発明において、低屈折率層44に特に有用な含フッ素共重合体は、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5モル%以上70モル%以下を占めていることが好ましく、特に好ましくは30モル%以上60モル%以下の場合である。
【0094】
また、本発明において、含フッ素ポリマーには、防汚性を付与する目的でポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが、例えば特開平11−189621号公報、同11−228631号公報、特開2000−313709号公報に記載されるように、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法や、特開平2−251555号公報、同2−308806号公報に記載されているようにシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。これらの場合、ポリシロキサン成分はポリマー中の0. 5質量%ないし10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1質量%ないし5質量%の場合である。
【0095】
防汚性の付与に対しては、上記以外にも反応性基含有ポリシロキサン(例えば、商品名;KF−100T,X−22−169AS,KF−102,X−22−3701IE,X−22−164B,X−22−5002,X−22−173B,X−22−174D,X−22−167B,X−22−161AS、以上信越化学工業(株)製、商品名;AK−5,AK−30,AK−32、以上東亜合成(株)製、商品名;サイラプレーンFM0275,サイラプレーンFM0721、以上チッソ(株)製等)を添加する手段も好ましい。この際、これらのポリシロキサンは、低屈折率層44の全固形分の0. 5質量%以上10質量%以下の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1質量%以上5質量%以下の場合である。
【0096】
本発明において、低屈折率層44では、市販の含フッ素化合物として、例えば、TEFRON(登録商標) AF1600(デュポン社製 屈折率n=1.30)、CYTOP(旭硝子(株)社製 n=1.34)、17FM(三菱レーヨン(株)社製 n=1.35)、オプスターJN−7212(JSR(株)社製n=1.40)、オプスターJN−7228(JSR(株)社製 n=1.42)、LR201(日産化学工業(株)社製 n=1.38)(いずれも商品名)等を利用することもできる。
【0097】
プライマー層42には、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリエステルが好ましく用いられる。使用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーでは、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアクリレート、(メタ)ウレタンアクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルを挙げることができる。また、スチレン系ポリマ−では、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンを例示することができ、ポリエステルでは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールと無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、無水マレイン酸、マレイン酸等との縮合物等が挙げられる。
【0098】
ポリマーの分子量(または重合度)は、ポリマーのガラス転移温度を考慮して決定する。プライマー層42に含まれるポリマーのガラス転移温度や、透明支持体41のガラス転移温度は、エンボス加工の処理温度より低いことが好ましく、60℃ないし130℃であることがさらに好ましい。また、プライマー層42の厚さとしては0.1μm以上50μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以上20μm以下の範囲である。
【0099】
常温においては、プライマー層42は透明支持体41より高い圧縮弾性率を有する。プライマー層42の常温における圧縮弾性率としては、好ましくは3GPa以上8GPa以下の範囲であり、さらに好ましくは4GPa以上7GPa以下の範囲である。透明支持体41の常温における圧縮弾性率との差は0.1GPa以上5GPa以下の範囲が好ましく、0.2GPa以上4GPa以下がより好ましい。
【0100】
エンボス加工温度T℃における圧縮弾性率については、プライマー層42はハードコート層43より低いことが好ましい。プライマー層42とハードコート層43とのT℃における圧縮弾性率の差は、0.1GPa以上8GPa以下が好ましく、0.5以上7.5GPa以下がより好ましい。本発明においては、プライマー層42を設けることで高精細モードの液晶表示装置においても輝度バラツキ、即ちギラツキを低減させることができるほか、表面硬度を向上させることができる。
【0101】
プライマー層42には、上記の各種ポリマーと他のポリマーや粒子を併用してもよい。また、架橋構造を有していても良い。ほかのポリマーと粒子の例には、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアルギン酸およびその塩、セルロースエステル(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリエーテルケトン、多価アルコール、シリカ粒子およびアルミナ粒子が含まれる。
【0102】
架橋構造を得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3ーシクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン等)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
【0103】
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わり、またはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造を導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基を挙げることができ、ヒドラジンアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン等も、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。ここでの架橋基とは、上記化合物に限らず、上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
【0104】
プライマー層42は、溶剤中にポリマーおよびまたはモノマー、重合開始剤を溶解し、塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。重合開始剤については、ベンゾフェノン系等の水素引き抜き型、アセトフェノン系、トリアジン系等のラジカル開列型を単独あるいは併用してモノマーと共に塗布液に添加するのが好ましい。
【0105】
プライマー層42は、透明支持体41とその上の層との接着を強化する機能を有する。接着強化については、モノマーを用いることがより好ましい。ポリマーとモノマーの含有量比は重量比でポリマー:モノマー=(75〜25):(25〜75)であることが好ましく、より好ましくはポリマー:モノマー=(65〜35):(35〜65)である。
【0106】
本発明の反射防止フィルムの製造方法において、ハードコート層43は、透明支持体41に耐傷性を付与するために設けられている。ハードコート層43は、透明支持体41とその上の層との接着を強化する機能も有する。ハードコート層43は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマーやシリカ系化合物を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してもよい。
【0107】
ハードコート層43に用いる材料としては、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましく、架橋構造を有していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているポリマーを得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0108】
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
【0109】
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造を導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジンアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン等も、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用することができる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、ここでの架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
【0110】
ハードコート層43は、溶剤中にモノマーおよび重合開始剤を溶解し、塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。重合開始剤については、ベンゾフェノン系等の水素引き抜き型、アセトフェノン系、トリアジン系等のラジカル開列型を単独であるいは複数を併用してモノマーと共に塗布液に添加するのが好ましい。ハードコート層の塗布液に、少量のポリマー(例:ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
【0111】
ハードコート層43の厚みとしては0.5μm以上5μm以下であり、好ましくは0.5μm以上3μm以下の範囲である。このようなハードコート層43の厚さは、エンボス処理の適性に大きく影響する。即ち、ハードコート層43が厚すぎるとエンボス適性を低下し、同じエンボス処理を行っても必要とする粗さを得ることができない。本発明に用いる反射防止フィルム11では、薄くしたハードコート層43の硬さを、高い表面弾性率のプライマー層42でカバーしている。さらに、本発明におけては、防眩性反射防止フィルム11bには、さらに、防湿層、帯電防止層や保護層を設けてもよい。
【0112】
防眩性が付与される前の反射防止フィルム11aの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等の塗布により形成することができる。ウェット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくすという観点では、マイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性の観点では、特にグラビア法が好ましい。また、2層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0113】
また、本発明の製造方法における防眩性反射防止フィルム11bを偏光子の表面保護フィルムの片側として用いる場合には、透明支持体41の反射防止層32が形成される面とは反対側の面をアルカリによって鹸化処理することが必要である。アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の2つから選択することができる。
【0114】
ひとつの方法は、透明支持体41の上に反射防止層32を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、フィルムの裏面を鹸化処理する方法であり、2つめの方法は、透明支持体41の上に反射防止層32を形成する前または後に、アルカリ液を反射防止層32を形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、フィルムの裏面だけを鹸化処理するというものである。
【0115】
汎用のセルローストリアセテートフィルムと同一の工程で処理できる点では前者の方法が優れているが、反射防止フィルム面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、後者の方法が優れる。
【0116】
本発明の製造方法における反射防止フィルム11は、これを偏光子の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。また、液晶表示装置の視野角を改良する視野角拡大フィルムなどの光学補償フィルム、位相差板等を組み合わせて使用することもできる。また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
【0117】
また、λ/4板と組み合わせることで、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面および内部からの反射光を低減する目的で用いることができる。さらに、PET、PEN等の透明支持体上に本発明の反射防止層を形成して、プラズマディスプレイパネル(PDP)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。
【0118】
【実施例】
以下に、実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(プライマー層用塗布液Aの調整)
重量平均分子量250,000のメタクリル酸メチル樹脂200質量部を480質量部のメチルエチルケトンと320質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液を、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してプライマー層42用塗布液Aを調製した。
【0119】
(プライマー層用塗布液Bの調整)
重量平均分子量440,000のアリルメタクリレート−メタクリル酸共重合体樹脂100質量部を900質量部のメチルイソブチルケトンに溶解した。得られた溶液を、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してプライマー層42用塗布液Bを調製した。
【0120】
(ハードコート層用塗布液の調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiOゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層43用塗布液を調製した。
【0121】
(二酸化チタン分散物Cの調製)
二酸化チタン超微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)300質量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、(株)興人製)10質量部、リン酸基含有アニオン性分散剤(商品名;KAYARAD PM−21、日本化薬(株)製)60質量部およびシクロヘキサノン630質量部を、サンドグラインダによって、コールター法で測定した平均粒径が42nmになるまで分散し、二酸化チタン分散物Cを調製した。
【0122】
(二酸化チタン分散物Dの調製)
二酸化チタン超微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)250g、化1で示される架橋反応性基含有アニオン性ポリマーを37.5g、カチオン性モノマー(DMAEA、(株)興人製)を2.5g、およびシクロヘキサノンを710g混合して、ダイノミルにより分散し、重量平均径65nmの二酸化チタン分散液Dを調整した。
【0123】
【化1】
Figure 2004341070
【0124】
(中屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン750質量部およびメチルエチルケトン190質量部に、光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、チバガイギー社製)1.1質量部および光増感剤(商品名;カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4質量部を溶解した。さらに、31質量部の二酸化チタン分散物Cと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)21質量部とを加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、中屈折率層55用塗布液を調製した。
【0125】
(高屈折率層用塗布液の調製)
シクロヘキサノン540質量部およびメチルエチルケトン180質量部に、光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、チバガイギー社製)1.3質量部および光増感剤(商品名;カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物Dの264質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)16質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、高屈折率層50用塗布液を調製した。
【0126】
(低屈折率層用塗布液Eの調製)
化2で示される含フッ素共重合体PF1を下記の方法で合成した後、シクロヘキサノン193重量部およびメチルエチルケトン623重量部に、光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、チバガイギー社製)1.7重量部および反応性シリコーン(商品名;X−22−164B、信越化学工業(株)製)1.7重量部を溶解した。さらに、化2で示される含フッ素共重合体の18.4重量パーセントのメチルイソブチルケトン溶液182重量部を添加、撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、低屈折率層44用塗布液Eを調製した
【0127】
【化2】
Figure 2004341070
【0128】
化2で示される含フッ素共重合体PF1の合成を以下に説明する。内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらに、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gを、オートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4×10Paであった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2×10Paに達した時点で加熱をやめて放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。
【0129】
得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらに、このポリマーを少量の酢酸エチルに溶解して、ヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥した後、ポリマー28gを得た。次に、このポリマーの20gをN, N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解し、氷冷下でアクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗し、有機層を抽出した後に濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより化2の含フッ素共重合体PF1を19g得た。得られた含フッ素共重合体PF1の数平均分子量は3.1万であり、屈折率は1.421であった。
【0130】
(低屈折率層用塗布液Fの調製)
化3で示される含フッ素共重合体PF2を下記の方法で合成した後、シクロヘキサノン193重量部およびメチルエチルケトン623重量部に、光重合開始剤(商品名;UVI16990、ユニオンカーバイト社製)3.4重量部および反応性シリコーン(商品名;X−22−169AS、信越化学工業(株)製)3.4重量部を溶解した。さらに、含フッ素共重合体PF2の18.4重量パーセントのメチルイソブチルケトン溶液182重量部を添加、撹拌の後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、低屈折率層44用塗布液Fを調製した
【0131】
【化3】
Figure 2004341070
【0132】
化3に示される含フッ素共重合体PF2の合成方法を以下に説明する。内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル30ml、グリシジルビニルエーテル11.5gおよび過酸化ジラウロイル0.42gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらに、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)21gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は6.2×10Paであった。この温度を保持して8時間反応を続け、圧力が3.6×10Paに達した時点で加熱をやめて放冷した。
【0133】
室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらに、このポリマーを少量の酢酸エチルに溶解して、ヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥した後、含フッ素共重合体PF2を21g得た。得られた含フッ素共重合体PF2の数平均分子量は2.8万であり、屈折率は1. 424であった。
【0134】
(エンボスローラ22の製作)
熱硬化処理した直径20cm、幅12cmのS45C材芯金ロールの表面をメッキ処理して50μm厚のハードクロム層を得た。このロールを三菱電機社製型彫放電加工機EA8型を用いて表面加工し、算術平均粗さ(Ra)0.5μm、平均凹凸周期(RSm)15μmのエンボス版パターンを得た。
【0135】
〔実施例1−1〕
厚さ80μmのセルローストリアセテートフイルム(商品名;TAC− TD80U、富士写真フイルム(株)製)の片面に、エンボシングカレンダー機(由利ロール(株)製)を用いて、線圧5.00×10N/cm、プレ加熱温度を常温、エンボスローラ22の温度を120℃、バックアップローラ23を常温、搬送速度1m/分の条件で、上記エンボスローラ22と版加工していない同一構造のバックアップローラ23とでプレス操作を行い、防眩性フィルム試料1を作製した。
【0136】
〔実施例1−2〕
厚さ100μmのポリカーボネートフイルム(商品名;ピュアエース、帝人(株)製)の片面に、上記実施例1−1と同様にエンボス加工し、防眩性フィルム試料2を作製した。
【0137】
〔実施例1−3〕
フイルムのプレス操作に先立って、ロッドコーター(#3)を用いてトルエンを5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に、風速50m/秒のエアナイフを用いてトルエンを除去した以外は、実施例1−2と同様にポリカーボネートフイルムをエンボス加工して、防眩性フィルム試料3を作製した。
【0138】
〔実施例1−4〕
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフイルム(商品名;TAC− TD80U、富士写真フイルム(株)製)に、上記のハードコート層43用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗膜を硬化させ、ハードコート層43(屈折率:1.51、膜厚:7μm)を設けた。
【0139】
続いて、上記の中屈折率層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、中屈折率層55(屈折率:1.63、膜厚:67nm)を設けた。
【0140】
中屈折率層55の上に、高屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、高屈折率層50(屈折率:1.90、膜厚:107nm)を設けた。
【0141】
さらに高屈折率層50の上に、上記の低屈折率層用塗布液Eをグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で8分間、塗膜を硬化させ、低屈折率層44(屈折率:1.43、膜厚:86nm)を設けた。このようにして反射防止フィルム11aを作製した。
【0142】
得られた反射防止フィルム11aの片面に、エンボシングカレンダ装置17(由利ロール(株)製)を用いて、線圧5.00×10N/cm、プレ加熱温度90℃、エンボスローラ22の温度を160℃、バックアップローラ23を常温、搬送速度1m/分の条件で、上記エンボスローラ22と版加工していない同一構造のバックアップローラ23とでプレス操作を行い、防眩性反射防止フィルム11bの試料4を作製した。
【0143】
〔実施例1−5〕
エンボス加工に先立ち、反射防止フィルム11aを60℃の温水槽に1分間浸漬した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてフイルム表裏の水膜を除去した。その他の条件については、実施例1−4と同様に反射防止フィルム11aをエンボス加工して、防眩性反射防止フィルム11bの試料5を作製した。
【0144】
〔実施例1−6〕
エンボス加工に先立ち、反射防止フィルム11aをロッドコーター(#3)を用いてメタノールを5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてメタノールを除去した以外は、実施例1−4と同様に反射防止フイルム11aをエンボス加工して、防眩性反射防止フィルム11bの試料6を得た。
【0145】
〔実施例1−7〕
エンボス加工に先立ち、反射防止フィルム11aをロッドコーター(#3)を用いてエタノールを5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてエタノールを除去した以外は、実施例1−4と同様に反射防止フィルム11aをエンボス加工して、防眩性反射防止フィルム11bの試料7を得た。
【0146】
〔実施例1−8〕
エンボス加工に先立ち、反射防止フィルム11aをロッドコーター(#3)を用いてエタノール/水の50/50質量%混合液を5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いて混合液を除去した以外は、実施例1−4と同様に反射防止フィルム11aをエンボス加工して、防眩性反射防止フィルム11bの試料8を得た。
【0147】
〔実施例1−9〕
エンボス加工に先立ち、反射防止フィルム11aをロッドコーター(#3)を用いてイソプロパノールを5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてイソプロパノールを除去した以外は、実施例1−4と同様に反射防止フィルム11aをエンボス加工して、防眩性反射防止フィルム11bの試料9を得た。
【0148】
エンボス加工に先立ち、反射防止フィルム11aをロッドコーター(#3)を用いてイソプロパノール/水の50/50質量%混合液を5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いて混合液を除去した以外は、実施例1−4と同様に反射防止フィルム11aをエンボス加工して、防眩性反射防止フィルム11bの試料10を得た。
【0149】
エンボス加工に先立ち、反射防止フィルム11aをロッドコーター(#3)を用いてエタノール/n‐ヘクサノールの50/50質量%混合液を5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いて混合液を除去した以外は、実施例1−4と同様に反射防止フィルム11aをエンボス加工して、防眩性反射防止フィルム11bの試料11を得た。
【0150】
以上の実施例1−1〜11の各試料1〜11について、液体の含浸後であってエンボス加工前のフィルムにおけるエンボス加工温度T(℃)での圧縮弾性率をEL1(GPa)として、液体の含浸させたものに関しては前記T℃における圧縮弾性率をEL2(GPa)として、また、EL1とEL2との差をΔEL(GPa)として表1に示している。さらに、表1には、液体含有率(単位;%)と、エンボス加工前における加熱温度としてのプレ加熱温度と、エンボス加工温度T(℃)とを示している。なお、表1における液体含有率(質量%)とは、エンボス加工前に液体を含浸させたもののみを表内記載対象とし、フィルムの全質量における溶媒質量を百分率で示している。
【0151】
ここで、圧縮弾性率については、微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ社製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いることにより表面弾性率をもって求めている。具体的には、ガラス基板上に10μm以上の膜厚を設たサンプルを作成し、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが膜厚の1/10を超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の差から求めた。
【0152】
【表1】
Figure 2004341070
【0153】
実施例1−1〜11にて得られた各試料に関し、以下の項目及び方法で評価を実施した。各評価結果については表2に示しており、表2の該当枠内に横線表示としたものは測定不能であったことを示す。
(1)平均反射率
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定して、このデータから450〜650nmにおける平均反射率を算出し、この値をもって反射防止性の評価とした。
【0154】
(2)算術平均粗さ(Ra)
エンボス加工したフイルム面をマイクロマップ機((株)RYOKA SYSTEM社製)を用いて測定した。
【0155】
(3)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400による鉛筆硬度評価を行った。各試料1〜11を、温度25℃、相対湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定するH〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて、以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
5回の試験において傷なし〜傷1つ :OK
5回の試験において傷が3つ以上 :NG
【0156】
(4)スチールウール擦り耐性の評価
♯0000のスチールウールを各試料1〜11に載せて、スチールウールに1.96N/cmの荷重をかけ、10往復した後の傷の状態を観察して、以下の4段階で評価した。
◎:傷が全く付かなかったもの
○:殆ど見えない傷が少しついたもの
△:明確に見える傷が付いたもの
×:明確に見える傷が顕著に付いたもの
【0157】
(5)ギラツキ評価
得られた試料1〜11を、それぞれ、133ppi(133pixels/inch)に模したセル上、距離1mmの位置に乗せ、ギラツキ(防眩性フイルムの表面凸部が起因の輝度バラツキ)の程度を、以下の基準で目視評価した。
全くギラツキが見られない :◎
ほとんどギラツキが見られない :○
わずかにギラツキがある :△
不快なギラツキがある :×
【0158】
(6)防眩性評価
得られた各試料1〜11に、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m)を映し、各試料上に映った蛍光灯の反射像のボケの程度を以下の基準で目視評価した。
蛍光灯がぼけている(防眩性あり) :○
蛍光灯がほとんどぼけない(防眩性不足) :×
【0159】
(7)エンボスパターン戻り
得られた試料1〜11を、それぞれ、60℃、相対湿度90%RHに設定した恒温恒湿室内に貯蔵し、500時間経過した後に取り出して25℃、相対湿度60%RHに戻してから、上記(2)算術平均粗さ測定と同様に(株)RYOKASYSTEM社製のマイクロマップ機を用いて経時後算術平均粗さを測定した。なお、パターン戻り率を以下に定義する。
パターン戻り率(単位:%)=(初期算術平均粗さ−経時後算術平均粗さ)÷初期算術平均粗さ×100
【0160】
【表2】
Figure 2004341070
【0161】
透明樹脂フイルム、ならびにその上に塗設されたハードコート層、反射防止層に対して、液体を選択して含浸させることによって、エンボス加工時の温度での表面弾性率を1ないし5GPaに下げることが出来、エンボス版によりパターニングしたフィルム表面の算術平均粗さが増加することによって、優れた防眩性が得られることがわかる。また、含浸させる液体としては、本発明においては、水、または炭素数2以上6未満のアルコールの純物質、炭素数2以上6未満の互いに異なる複数のアルコールの混合物、もしくは水と炭素数2以上6未満のアルコールとの混合物が好ましいことがわかる。
【0162】
特に、鉛筆硬度やスチールウール擦り等にて評価される耐傷性を上げるための圧縮弾性率の高いハードコート層を付与したフィルムにおいて、この効果は顕著である。これは、液体を含浸させない試料4の防眩性が不十分なのに対して、試料5、7〜11において、フィルムの算術平均粗さが増加し、防眩性が改良されたことによりわかる。一方、炭素数2未満のアルコールであるメタノールを含浸させて作成した試料6においては、フィルムの圧縮弾性率が1GPa以下と軟化が著しく、エンボス加工によってフィルム全体が変形してしまい、防眩性フィルムとしての価値が損なわれてしまった。
【0163】
また、500時間の強制加湿熱経時を評価したエンボスパターン戻り率評価においては、液体を含浸させない試料のパターン戻り率が30%以上であったのに対して、本発明によるエンボス加工品においては4%〜19%に改善され、長期間にわたって防眩性が維持されることも明らかとなった。
【0164】
〔実施例2−1〕
80μmの厚さのセルローストリアセテートフィルム(商品名;TAC−TD80U、富士写真フィルム(株)製、)に、上記のプライマー層用塗布液Aを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。その後、この塗膜に紫外線を照射して硬化させ、プライマー層42を設けた。このプライマー層42の厚みは7μmであり、屈折率は1.51であった。
【0165】
プライマー層42の上に、上記のハードコート層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、この塗布層を硬化させ、ハードコート層43を設けた。ハードコート層43の厚みは7μmであり、屈折率は1.51であった。
【0166】
続いて、上記の中屈折率層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射してこの塗布層を硬化させ、中屈折率層55を設けた。中屈折率層55の厚みは67nmであり、屈折率は1.63であった。
【0167】
中屈折率層55の上に、上記の高屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射してこの塗布層を硬化させ、高屈折率層50を設けた。高屈折率層50の厚みは107nmであり、屈折率は1.90である。
【0168】
さらに、高屈折率層50の上に、上記の低屈折率層用塗布液Fをグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で8分間乾燥した後、紫外線を照射してこの塗布層を硬化させ、低屈折率層44を形成した。このようにして反射防止フィルム11aを作製した。なお、低屈折率層44の膜厚は86nmであり、屈折率は1.43である。
【0169】
上記の反射防止フィルムの片面に、エンボシングカレンダ装置15(由利ロール(株)製)を用いて、線圧5.00×10N/cm、プレ加熱温度70℃、エンボスローラ22の温度を140℃、バックアップローラ23を常温、搬送速度を5m/分として、上記エンボスローラ22と版加工していない同一構造のバックアップローラ23とでプレスを行い、防眩性反射防止フィルム11bの試料12を作製した。
【0170】
〔実施例2−2〕
エンボス加工に先立って、反射防止フィルム11aを60℃の温水槽に1分間浸漬した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてフィルム表裏の水膜を除去した以外は、実施例2−1と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料13を得た。
【0171】
〔実施例2−3〕
エンボス加工に先立って、ロッドコーター(#3)を用いてエタノールを5cc/mで塗布し、この塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてエタノールを除去した。そのほかの条件は実施例2−1と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料14を得た。
【0172】
〔実施例2−4〕
エンボス加工に先立って、ロッドコーター(#3)を用いてエタノール/水の50/50質量%混合液を5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いて混合液を除去した。その他の条件は実施例2−1と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料15を得た。
【0173】
〔実施例2−5〕
エンボス加工に先立って、ロッドコーター(#3)を用いてエタノール/n‐ペンタノールの50/50質量%混合液を5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いて混合液を除去した。その他の条件は実施例2−1と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料16を得た。
【0174】
〔実施例2−6〕
80μmの厚さのセルローストリアセテートフィルム(商品名;TAC−TD80U、富士写真フィルム(株)製、)に、上記のプライマー層用塗布液Bを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。その後、この塗膜に紫外線を照射して硬化させ、プライマー層42を設けた。このプライマー層42の厚みは7μmであり、屈折率は1.51であった。
【0175】
プライマー層42の上に、上記のハードコート層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、この塗布層を硬化させ、ハードコート層43を設けた。ハードコート層43の厚みは7μmであり、屈折率は1.51であった。
【0176】
続いて、上記の中屈折率層用塗布液を、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射してこの塗布層を硬化させ、中屈折率層55を設けた。中屈折率層55の膜厚は67nmであり、屈折率は1.63であった。
【0177】
中屈折率層55の上に、上記の高屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射してこの塗布層を硬化させ、高屈折率層50を設けた。高屈折率層50の厚みは107nmであり、屈折率は1.90であった。
【0178】
さらに、高屈折率層50の上に、上記の低屈折率層用塗布液Fをグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で8分間乾燥した後、紫外線を照射してこの塗布層を硬化させ、低屈折率層44を形成した。このようにして反射防止フィルム11aを作製した。なお、低屈折率層44の膜厚は86nmであり、屈折率は1.43である。
【0179】
上記の反射防止フィルムの片面に、エンボシングカレンダ装置15(由利ロール(株)製)を用いて、線圧5.00×10N/cm、プレ加熱温度60℃、エンボスローラ22の温度を140℃、バックアップローラ23を常温、搬送速度を3m/分として、上記エンボスローラ22と版加工していない同一構造のバックアップローラ23とでプレスを行いエンボスパターンを形成し、防眩性反射防止フィルム11bの試料17を作製した。
【0180】
〔実施例2−7〕
エンボス加工に先立って、反射防止フィルム11aを60℃の温水槽に1分間浸漬した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてフィルム表裏の水膜を除去した以外は、実施例2−6と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料18を得た。
【0181】
〔実施例2−8〕
エンボス加工に先立って、ロッドコーター(#3)を用いてエタノールを5cc/mで塗布し、この塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いてエタノールを除去した。そのほかの条件は実施例2−6と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料19を得た。
【0182】
〔実施例2−9〕
エンボス加工に先立って、ロッドコーター(#3)を用いてエタノール/水の50/50質量%混合液を5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いて混合液を除去した。その他の条件は実施例2−6と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料20を得た。
【0183】
〔実施例2−10〕
エンボス加工に先立って、ロッドコーター(#3)を用いてエタノール/n‐ペンタノールの50/50質量%混合液を5cc/mで塗布し、塗膜を常温で1分間維持した後に風速50m/秒のエアナイフを用いて混合液を除去した。その他の条件は実施例2−6と同様に実施し、防眩性反射防止フィルム11bの試料21を得た。
【0184】
以上の実施例2−1〜10において、液体の含浸ならびにエンボス加工前のフィルムにおけるエンボス加工温度T(℃)での圧縮弾性率EL1と,液体の含浸させたものに関してはエンボス加工時におけるエンボス加工温度T(℃)での圧縮弾性率EL2とを、表3に示している。さらに、表3には、液体含有率(質量%)と、EL1とEL2との差と、プレ加熱温度と、エンボス加工温度T(℃)とを示している。なお、表3における溶媒含有率は、表1と同様の記載方法としている。
【0185】
また、実施例2−1〜10にて得られた各試料に関し、実施例1−1〜11と同様のの項目及び方法で評価を実施した。各評価結果については表4に示しており、表4中の各評価項目番号及び記載方法は、表2におけるそれと同様である。
【0186】
【表3】
Figure 2004341070
【0187】
【表4】
Figure 2004341070
【0188】
透明樹脂フイルム、ならびにその上に塗設されたハードコート層、反射防止層に対して、液体を選択して含浸させることによって、エンボス加工時の温度での表面弾性率を1ないし5GPaに下げることが出来、エンボス版によりパターニングしたフィルム表面の算術平均粗さが増加することによって、優れた防眩性が得られることがわかる。また、含浸させる液体としては、本発明においては、水、または炭素数2以上6未満のアルコールの純物質、炭素数2以上6未満の互いに異なる複数のアルコールの混合物、もしくは水と炭素数2以上6未満のアルコールとの混合物が好ましいことがわかる。これは、液体を含浸させない試料12ならびに17の防眩性が不十分なのに対して、試料13〜16、18〜21において、フィルムの算術平均粗さが増加し、防眩性が改良されたことでわかる。
【0189】
また、500時間の強制加湿熱経時を評価したエンボスパターン戻り率に関しては、液体を含浸させない試料12ならびに17の戻り率が30%以上であったのに対して、本発明によるエンボス加工品においては3%〜19%に改善され、長期間にわたって防眩性が維持されることも明白である。
【0190】
〔実施例3〕
実施例1−7で作成した試料7の防眩性反射防止フィルム11bを、2.0規定、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬することにより、防眩性反射防止フィルム11bの裏面のトリアセチルセルロース面をけん化処理した。また、同条件により、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)をけん化処理した。これら2つのフィルムを保護フィルムとして、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させてこれをすることにより作成された偏光子の両面の、互いに異なる面に接着し、偏光板を作成した。この偏光板を、透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のDーBEFを、バックライトと液晶セルとの間に有するもの)の視認側の偏光板と貼り代えた。このとき、反射板は、その反射防止膜側が最表面となるようにした。得られた液晶表示装置は、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位が非常に高いものであった。
【0191】
〔実施例4〕
けん化処理に関して、1.0規定のKOHの水/イソプロパノール溶液を#3バーにて防眩性反射防止フィルム11bの裏面に塗布し、塗布層表面温度を40℃として10秒間維持した後に水洗、乾燥して行った。この他の条件は、実施例3と同様にして偏光板を作成した。なお、ここで、水/イソプロパノール溶液は、水:イソプロパノール=75:25(質量%)とした。このた偏光板を用いることにより、実施例3と同様にして液晶表示装置を得たところ、実施例3と同様、表示品位の高い表示装置が得られた。
【0192】
〔実施例5〕
実施例3における透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムを視野角拡大フィルム(ワイドビュ−フイルムSA−12B、富士写真フイルム(株)製)に代えた。また、そのバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムを視野角拡大フィルム(ワイドビュ−フイルムSA−12B、富士写真フイルム(株)製)に代えた。この視野角拡大フィルムは、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つそのディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有するものである。明室でのコントラストに優れ、且つ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
【0193】
〔実施例6〕
実施例1−7で作成した試料7の防眩性反射防止フィルム11bを、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせた。得られた表示装置は、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高いものであった。
【0194】
〔実施例7〕
実施例3で作成した片面反射防止フイルム付き偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けた。得られた表示装置は、表面反射、および表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示を示した。
【0195】
〔実施例8〕
実施例2−4で作成した試料15を、2.0規定、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬してフィルム裏面のセルローストリアセテート面をけん化処理した。また、厚さ80μmのセルローストリアセテートフィルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)を、同条件でけん化処理した。これら2つのフィルムを保護フィルムとして、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ延伸して作成した偏光子の両面に接着し、偏光板を作成した。得られた偏光板を、透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フイルムである住友3M(株)製のDーBEFをバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えた。このとき、反射防止層側が最表面となるようにした。得られた表示装置は、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高いものであった。
【0196】
〔実施例9〕
けん化処理を、1.0規定のKOHの水/イソプロパノール溶液を#3バーにて防眩性フィルムの裏面に塗布し、膜面温度40℃にて10秒間維持した後に水洗、乾燥して行い、このほかの条件は、実施例3と同様に実施して偏光板を作成した。なお、ここで水/イソプロパノール溶液は、水:イソプロパノール=75:25(質量%)とした。この偏光板を用いることにより、実施例3と同様にして液晶表示装置を得たところ、実施例3と同様、表示品位の高い表示装置が得られた。
【0197】
〔実施例10〕
実施例8における透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フイルムを、視野角拡大フィルムに代えた。また、そのバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムを、視野角拡大フィルムに代えた。いずれの視野角拡大フィルムも、富士写真フイルム(株)製ワイドビュ−フイルムSA−12Bであり、これは、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つ、該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有するものである。得られた表示装置は、明室でのコントラストに優れ、且つ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高いものであった。
【0198】
〔実施例11〕
実施例2−4による試料15を、有機EL表示装置の表面のガラス板に、粘着剤を介して貼り合わせた。得られた表示装置は、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高いものであった。
【0199】
〔実施例12〕
実施例3で作成した片面反射防止フィルム付き偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けた。得られた表示装置は、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性のものであった。
【0200】
【発明の効果】
以上のように、本発明により、エンボス加工効率が向上し、優れた防眩フイルムを得ることができる。つまり、透明ポリマーフィルムの表面のホットエンボス加工においては、樹脂フィルムに予め液体を含浸させることで圧縮弾性率を低下させ、これにより、エンボスパターンの付与効率が向上する。また、本発明にて付与されたエンボスパターンは、高温・高湿下の過酷試験を経た後においても維持され、長期にわたって防眩性を維持することが可能となる。
【0201】
本発明は、特に、高い耐傷性が求められる反射防止フィルムにおいて、圧縮弾性率が高いハードコート層を組み込む場合に有効である。さらに、本発明の防眩性反射防止フィルムは、低屈折率層が塗布層であるにもかかわらず、蒸着層からなる反射防止フィルムに匹敵する反射防止性能、防眩性能及び高精細適性を有しており、塗布とエンボス加工との簡単な工程によりこれを製造することができる。したがって、蒸着層からなる反射防止フィルムに比べて、大量生産に適している。以上のような反射防止フィルムを用いることで、画像表示装置の画像表示面における外光の反射を有効に防止すると同時に、背景の映り込みを有効に減少することができる。また、本発明で得られた防眩性フィルムは、偏光板や反射防止フィルム、表示装置の構成材料として適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態としての防眩性フィルムの製造工程を示す概略図である。
【図2】本発明におけるエンボシングカレンダ装置におけるフィルム搬送路を示す概略図である。
【図3】エンボシングカレンダ装置における別のフィルム搬送路を示す概略図である。
【図4】エンボシングカレンダ装置におけるさらに別のフィルム搬送路を示す概略図である。
【図5】エンボシングカレンダ装置におけるさらに別のフィルム搬送路を示す概略図である。
【図6】エンボシングカレンダ装置におけるさらに別のフィルム搬送路を示す概略図である。
【図7】エンボス加工後の防眩性反射防止フィルムを示す断面図である。
【図8】エンボス加工後の別の防眩性反射防止フィルムである。
【図9】エンボス加工後の別の防眩性反射防止フィルムである。
【符号の説明】
11a 反射防止フィルム
11b 防眩性反射防止フィルム
13 コータ
15 ジャケットローラ
15a 温度制御手段
17 片面エンボシングカレンダ装置
22 エンボスローラ
23 バックアップローラ
31 積層部
32 反射防止層
41 透明支持体
42 プライマー層
43 ハードコート層

Claims (17)

  1. 透明ポリマーフィルムの表面に表面加工手段により凹凸形成加工を施す防眩性フィルムの製造方法において、
    液体を前記透明ポリマーフィルムに含浸させる液体含浸手段により、前記透明ポリマーフィルム内に液体を含ませて、前記凹凸形成加工時の前記樹脂フィルムの圧縮弾性率を低下させた後に、前記凹凸加工を行うことを特徴とする防眩性フィルムの製造方法。
  2. 前記凹凸形成加工の温度をT℃とするとき、
    前記透明ポリマーフィルムに関して、
    25℃における圧縮弾性率EL1が5GPa以上であり、
    前記凹凸形成加工時のT℃における圧縮弾性率EL2が1GPa以上5GPa以下であることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
  3. 前記EL1と前記EL2との差が1GPa以上5GPa以下であることを特徴とする請求項2記載の防眩性フィルムの製造方法。
  4. 前記液体が、水、または炭素数2以上6未満のアルコールを含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  5. 前記凹凸形成加工時における前記透明ポリマーフィルムの前記液体含有率が1質量%以上8質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  6. 前記含浸と前記凹凸形成加工とを連続して行うことを特徴とする請求項1ないし5いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  7. 前記含浸後、かつ前記凹凸形成加工前に、前記透明ポリマーフィルムを加熱することを特徴とする請求項1ないし6いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  8. 前記表面加工手段が、エンボス版を有するエンボス加工手段であることを特徴とする請求項1ないし7いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  9. 前記エンボス版が放電加工によって形成されたことを特徴とする請求項1ないし8に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  10. 前記透明ポリマーフィルムが長尺物であり、これを連続搬送しながら前記凹凸形成加工することを特徴とする請求項1ないし9いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  11. 前記透明ポリマーフィルムがセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項1ないし10いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  12. 前記透明ポリマーフィルムが、
    透明樹脂支持体と複層部とを有し、
    前記複層部は、前記透明樹脂支持体側から順にハードコート層と反射防止層とを有することを特徴とする請求項1ないし11いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  13. 前記透明ポリマーフィルムが、
    透明樹脂支持体と複層部とを有し、
    前記複層部は、前記透明樹脂支持体側から順にプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有することを特徴とする請求項1ないし11いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  14. 請求項1ないし13いずれかひとつ記載の製造方法において製造されたことを特徴とする防眩性フィルム。
  15. 請求項14記載の防眩性フィルムを有することを特徴とする反射防止フィルム。
  16. 偏光子の両側に保護膜を有する偏光板において、
    前記保護膜の少なくとも一方が、請求項14記載の防眩性フィルムであることを特徴とする偏光板。
  17. 請求項14記載の防眩性フィルムを有することを特徴とする画像表示装置。
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