JP2004083707A - 既架橋微粒子 - Google Patents

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JP2004083707A
JP2004083707A JP2002245094A JP2002245094A JP2004083707A JP 2004083707 A JP2004083707 A JP 2004083707A JP 2002245094 A JP2002245094 A JP 2002245094A JP 2002245094 A JP2002245094 A JP 2002245094A JP 2004083707 A JP2004083707 A JP 2004083707A
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岡崎 佳奈
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Abstract

【課題】本発明の目的は、界面活性剤、分散安定剤等の安定剤を含まなくとも、例えば、基材樹脂と十分な屈折率差を有する、光散乱剤として優れた物性を有する単分散既架橋微粒子を提供することにある。
【解決手段】非架橋性モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを溶剤中で、特定重合開始剤を用いて重合させてなる微粒子を含む既架橋微粒子であって、非架橋性モノマー(A)が、10〜95重量%のフッ素基含有単量体を含むものである既架橋微粒子。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素原子を含有する既架橋微粒子に関する。当該、既架橋微粒子は、フッ素原子に由来する、低屈折率、低表面張力などの特徴を有することが期待される。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置の普及、大型化や野外使用化に伴い、その使用条件下での耐候性、視認性、防汚性、耐熱性等が求められている。中でも、表示装置の視認性向上は表示装置の主機能に関わる重要な課題であり、視認性向上のための様々な技術が検討されている。
【0003】
そのような技術として、反射防止膜、光拡散膜、光散乱膜等の基材樹脂中に基材樹脂とは異なる屈折率の微粒子を分散させ、光の反射、拡散性、散乱性を制御する方法がある。
【0004】
例えば、従来より、反射型液晶表示装置においては、装置に入射した室内光や外光等の光を反射する反射板が必要であり、この反射板には光の反射機能及び散乱機能の2つの機能が要求される。光散乱機能を持たせる部材としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等の透明樹脂中に異屈折率の微粒子を混ぜて散乱性を出す光散乱膜が用いられている。この光散乱膜には優れた光の散乱性と光透過性が要求され、光散乱性は、基材樹脂と微粒子の屈折率差が大きいほど優れた散乱特性を示し、更に粒子径、及び粒度分布にも大きく影響を受ける。
【0005】
光散乱剤として、ガラス、石英、酸化珪素、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機粉末を使用した場合、通常、粒子形状がまちまちで粒径のばらつきが大きいため、光の均一散乱に乏しかったり、光透過性が低かったり、更に膜表面が粗面化されるなどの問題があった。そのため、光散乱剤として内部架橋したアクリル系樹脂のような有機系の樹脂微粒子を用いる事により、無機粉末を用いるよりも光透過性が向上したが、微粒子と基材樹脂の屈折率差が小さいこと、樹脂微粒子合成時に使用する界面活性剤、分散安定剤等の安定剤が悪影響を及ぼすため洗浄工程が必要となるなどの問題があった。
【0006】
そこで、本発明者らは、特開2001−278907号公報に特定の開始剤を使用する事により、分散安定剤非存在下での既架橋微粒子合成法を開示した。しかし、基材樹脂と十分な屈折率差を付与する事が出来ず、物性を満足できない点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明の目的は、界面活性剤、分散安定剤等の安定剤を含まなくとも、例えば、基材樹脂と十分な屈折率差を有する、光散乱剤として優れた物性を有する単分散既架橋微粒子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明のフッ素基含有微粒子が前記目的を達成するに相応しい事を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、非架橋性モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを溶剤中で、下記式(1)もしくは下記式(2)で表される重合開始剤を用いて重合させてなる微粒子を含む既架橋微粒子であって、非架橋性モノマー(A)が、10〜95重量%のフッ素基含有単量体を含むものである既架橋微粒子に関する。
【0009】
式(1)
【0010】
【化7】
Figure 2004083707
【0011】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基または芳香族基を示す 。]
式(2)
【0012】
【化8】
Figure 2004083707
【0013】
[式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキレン基または2価の芳香族基を示す。]
また、本発明は、架橋性モノマー(B)が、重合性不飽和カルボン酸残基と前記重合性不飽和カルボン酸残基以外の反応性官能基とを有する多官能性モノマーであることを特徴とする上記既架橋微粒子に関する。
【0014】
また、本発明は、既架橋微粒子が、実質的に均一な粒子径を有し、かつ、既架橋微粒子の平均粒子径が0.1〜8.0μmであることを特徴とする上記既架橋微粒子に関する。
【0015】
また、本発明は、既架橋微粒子の分解温度が240℃以上、ゲル分率が95%以上であることを特徴とする上記既架橋微粒子に関する。
【0016】
また、本発明は、溶剤が、水とアルコールとの混合溶剤であることを特徴とする上記既架橋微粒子に関する。
また、本発明は、モノマー全量に対して0.1〜15重量%のフッ素基含有単量体を含む非架橋性モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを溶剤中で、下記式(1)もしくは下記式(2)で表される重合開始剤を用いて重合する既架橋微粒子の製造法に関する。
【0017】
式(1)
【0018】
【化9】
Figure 2004083707
【0019】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基または芳香族基を示す 。]
式(2)
【0020】
【化10】
Figure 2004083707
【0021】
[式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキレン基または2価の芳香族基を示す。]
また、本発明は、第1の非架橋性モノマー(A)と第1の架橋性モノマー(B)とを溶剤中で、下記式(1)もしくは下記式(2)で表される重合開始剤を用いて重合し得られた既架橋微粒子分散液中で、
第2のモノマー全量に対して0.1〜90重量%のフッ素基含有単量体を含む第2の非架橋性モノマー(A)と第2の架橋性モノマー(B)と重合する既架橋微粒子の製造法に関する。
【0022】
式(1)
式(1)
【0023】
【化11】
Figure 2004083707
【0024】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基または芳香族基を示す 。]
式(2)
【0025】
【化12】
Figure 2004083707
【0026】
[式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキレン基または2価の芳香族基を示す。]
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明でいう既架橋微粒子とは、重合終了時に粒子内部が架橋された微粒子のことを言い、粒子内部の架橋により耐溶剤性、耐熱性に優れた微粒子となりうる。
【0028】
本発明の架橋性モノマー(B)は、架橋性を与えるための官能基を有している二官能性あるいは三官能性以上の多官能性モノマーであり、架橋剤として機能する。架橋性モノマー(B)の有する官能基のうち少なくとも1つは、非架橋性モノマー(A)と共重合を起こすために必要であり、残りの官能基は、架橋性を与えるための官能基として機能する。
【0029】
架橋性モノマー(B)の架橋性を与えるための官能基としては、ビニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、ビニル基同士のラジカル重合による架橋、エポキシ基とカルボキシ基あるいはヒドロキシル基との付加反応による架橋、アルコキシシリル基の加水分解と縮合反応による架橋等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0030】
中でも、ポリマーの生長時に起こるビニル基同士のラジカル重合による架橋が好ましく、さらに好ましくは、重合時の粒子の凝集及び多分散化が起こりにくく、生成粒子の耐熱性も良いと言う点から各官能基の反応性が異なるモノマーが良い。具体的には、(メタ)アクリル酸残基、クロトン酸残基、マレイン酸残基、イタコン酸残基等の重合性不飽和カルボン酸残基と、前記重合性不飽和カルボン酸残基以外の反応性官能基とを有する化合物が好ましい。前記重合性不飽和カルボン酸残基以外の反応性官能基としては、ビニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アルコキシシリル基等の反応性官能基がある。
【0031】
例えば、ビニル基としては、エテニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基等の炭素数1〜11の不飽和基含有アルキル基;スチリル基、シンナミル基等の不飽和基含有芳香族基;テトラヒドロフルフリル基等の複素環基含有アクリル基;
ヒドロキシ基としては、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基等のヒドロキシアルキレン基;
エポキシ基としては、グリシジル基;
アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のアルコキシシリル基等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
【0032】
上記架橋性モノマー(B)としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル等の不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等のヒドロキシ(アルコキシ)含有(メタ)アクリル酸エステル類;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリル酸等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のアルコキシシリル基含有モノマー類;ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル等のジビニル類;イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等のジアリル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;無水イタコン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0033】
また、これらを2種以上を併用して用いることも出来る。また、全モノマー中のモノマー(B)の量が5−20重量%であることが好ましい。
【0034】
非架橋性モノマー(A)は、上記架橋性を与えるための官能基を有さないモノマーであり、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。また、これらは2種以上を併用して用いることも出来る。
【0035】
中でも、単分散性の良い微粒子が得られるという点で、疎水性の非架橋性モノマー(A)の併用が望ましい。疎水性の非架橋性モノマー(A)とは、20℃における水への溶解度が、2.0×10−3 g/cm以下のモノマーを表し、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。疎水性の非架橋性モノマー(A)は、非架橋性モノマー(A)全体の0〜50重量%であることが好ましい。
【0036】
更には、基材樹脂との屈折率差を十分に大きくする上で、芳香族基を含まない比較的屈折率の低いモノマーを使用することが好ましい。
【0037】
また、表面電荷の調整、貯蔵安定性等の物性を出すため、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基含有エステル類を非架橋性モノマー(A)全体の0 ̄15重量%併用しても良い。
【0038】
非架橋性モノマー(A)に含まれるフッ素基含有単量体は、重合溶剤に溶解し、上記非架橋性モノマー(A)と共重合を起こす化合物であれば良い。例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素基含有(メタ)アクリレートが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0039】
非架橋性モノマー(A)に含まれるフッ素基含有単量体は、非架橋性モノマー(A)および架橋性モノマー(B)全量に対して10〜95重量%含まれることが好ましい。10重量%未満であると、十分な光散乱性を示さない。
【0040】
本発明においては、分散安定剤及び界面活性剤は特に使用しない。しかし、分散安定剤及び界面活性剤が機能を付与するために必要な場合、これらを添加しても良い。また、この際、分散安定剤及び界面活性剤の添加が単分散な既架橋粒子の合成機構に影響を及ぼさないため、任意に種類・量を変えることが出来る。
【0041】
上記分散安定剤及び界面活性剤としては、ポリビニルクロライドやスチレンアクリルコポリマー等への相溶性を向上するポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の分散安定剤、ポリプロピレンへの相溶性を向上するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(エパン、第一工業製薬製)、ポリエーテル変性シリコーン(シルウェット、日本ユニカー製)等のノニオン性界面活性剤、帯電防止効果にとして利用される第四級アンモニウム塩(コータミン、花王製)等のカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン(アモーゲン、第一工業製薬製)等の両性界面活性剤等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、分散安定剤及び界面活性剤の添加は、重合中でも重合後でも良い。
【0042】
本発明に用いられる溶剤は、前記モノマーが均質に溶解し、かつ前記モノマーを重合して得られるポリマーである既架橋微粒子が不溶になるものより選ばれる。このような溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、メチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、等のケトン類;前記溶剤と水との混合溶剤等が挙げられるが、特にメタノール、エタノール、またはこれらと水の混合溶剤が望ましい。さらにこれらの溶剤は2種以上を混合して用いることが可能である。全溶剤は、前記モノマー全量が全溶剤に対して、10〜30重量%である事が好ましい。また、全溶剤中の水の量は0〜70重量%が好ましい。
【0043】
開始剤としては、カチオン性の水溶性アゾ重合開始剤が用いられる。基本的には開始剤により、高分子鎖の末端をカチオン性にできる化合物であれば良い。例えば式(1)で表される化合物、あるいは式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0044】
式(1)のRおよびRは、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の水酸化アルキル基;フェニル基、ベンジル基等の芳香族基;クロロフェニル基、クロロベンジル基等のハロゲン化芳香族基;ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシベンジル基等の水酸化芳香族基等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。式(1)の例としては、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(V−50、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬製)等が挙げられる。
【0045】
また式(2)のRおよびRは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基などの水酸化アルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基等の2価の芳香族基が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
【0046】
式(2)の例としては、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬製)、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン] (VA−061、和光純薬製)等が挙げられる。また、前記モノマー全量に対しカチオン性の水溶性アゾ開始剤が0.01〜0.30重量%である事が好ましい。
【0047】
さらに、粒子径を制御する上で、上記カチオン性の水溶性アゾ重合開始剤とともに非イオン性重合開始剤を併用しても良い。非イオン性重合開始剤を使用する事により、上記カチオン性水溶性アゾ重合開始剤のみでは0.1〜3.0μmの範囲であった粒子径を8.0μmまで広げることができる。
【0048】
非イオン性重合開始剤としては、基本的には、重合溶剤に溶解し、熱によりラジカルを発生するもので、開始剤により高分子末端がイオン性にならない化合物であれば良い。例えば、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬製)2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬製)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬製)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(V−30、和光純薬製)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル(V−19、和光純薬製)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド](VA−080、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド](VA−082、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド](VA−085、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(VA−088、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド](VF−096、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(Vam−111、和光純薬製)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(VR−110、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)(VR−160、和光純薬製)等のアルキルアゾ化合物等の非イオン性アゾ重合開始剤、
【0049】
メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックH、日本油脂製)、シクロヘキサノンパーオキシド(パーヘキサH、日本油脂製)、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド(パーヘキサQ、日本油脂製)、メチルアセトアセテートパーオキサイド(パーキュアーSA、日本油脂製)、アセチルアセトンパーオキサイド(パーキュアーA、日本油脂製)等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3M、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(パーヘキサCD、日本油脂製)、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(パーヘキサ22、日本油脂製)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート(パーヘキサV、日本油脂製)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(パーテトラA、日本油脂製)等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日本油脂製)、p−メンタンヒドロパーオキサイド(パーメンタH、日本油脂製)、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(パークミルP、日本油脂製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日本油脂製)、クメンヒドロパーオキサイド(パークミルH−80、日本油脂製)、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド(パーヘキシルH、日本油脂製)等のヒドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(パーヘキシン25B、日本油脂製)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD、日本油脂製)、t−ブチルクミルパーオキシド(パーブチルC、日本油脂製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日本油脂製)、ジクミルパーオキシド(パークミルD、日本油脂製)、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂製)等のジアルキルパーオキサイド類、
【0050】
オクタノイルパーオキシド(パーロイルO、日本油脂製)、ラウロイルパーオキシド(パーロイルL、日本油脂製)、ステアロイルパーオキシド(パーロイルS、日本油脂製)、スクシニックアシッドパーオキシド(パーロイルSA、日本油脂製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日本油脂製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド(ナイパーCS、日本油脂製)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド(パーロイル355、日本油脂製)等のジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日本油脂製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日本油脂製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日本油脂製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日本油脂製)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日本油脂製)等のパーオキシジカーボネート類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ダイパーND、日本油脂製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND、日本油脂製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日本油脂製)、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日本油脂製)2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(パーブチル355、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシラウレート(パーブチルL、日本油脂製)、2,5−ジメチル2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25MT、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーブチルI、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(パーヘキシルZ、日本油脂製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Z、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシアセテート(パーブチルA、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート(パーブチルZT、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZ、日本油脂製)、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート(パーブチルIF、日本油脂製)等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート(ペロマーAC、日本油脂製)、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド(パーブチルSM、日本油脂製)、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB−50、日本油脂製)、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(ノフマーBC、日本油脂製)等の有機過酸化物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0051】
中でも、10時間半減期温度の低い非イオン性ラジカル重合開始剤を使用することにより、少量で効果的に粒子径を大きくすることができる。また、前記モノマー全量に対し非イオン性重合開始剤が0〜10.0重量%であり、前記カチオン性水溶性アゾ重合開始剤と同時に添加する事が好ましい。
【0052】
本発明の既架橋微粒子の合成は、例えば、前記溶剤中に前記フッ素基含有単量体を10〜95重量%含む前記非架橋性モノマー(A)と前記架橋性モノマー (B)とを均一に溶解し、溶存酸素を除去、60℃に加熱後、前記カチオン性水溶性アゾ重合開始剤をイオン交換水に溶解したもの、あるいは、前記カチオン性水溶性アゾ重合開始剤をイオン交換水に溶解したものと同時に前記非イオン性重合開始剤を添加し、3〜10時間加熱攪拌する方法で合成される。
【0053】
あるいは、前記溶剤中に前記非架橋性モノマー(A)と前記架橋性モノマー(B)とを均一に溶解し、溶存酸素を除去、60℃に加熱後、前記カチオン性水溶性アゾ重合開始剤をイオン交換水に溶解したもの、あるいは、前記カチオン性水溶性アゾ重合開始剤をイオン交換水に溶解したものと同時に前記非イオン性重合開始剤を添加し、3〜10時間加熱攪拌し、得られた既架橋微粒子分散液中に前記フッ素基含有単量体を10〜95重量%含む前記非架橋性モノマー(A)と前記架橋性モノマー (B)を溶解し、前記非イオン性重合開始剤を添加し、3〜10時間加熱攪拌する方法で合成される。
【0054】
重合後の転化率が充分でない時は、開始剤をモノマー全量に対し0.1〜2重量%重合終了後添加する。添加する開始剤としては、通常の油溶性ラジカル重合開始剤であれば問題なく使用できる。例えば、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬製)2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬製)等のアゾニトリル化合物、オクタノイルパーオキシド(パーロイルO、日本油脂製)、ラウロイルパーオキシド(パーロイルL、日本油脂製)、ステアロイルパーオキシド(パーロイルS、日本油脂製)、スクシニックアシッドパーオキシド(パーロイルSA、日本油脂製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日本油脂製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド(ナイパーCS、日本油脂製)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド(パーロイル355、日本油脂製)等のジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日本油脂製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日本油脂製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日本油脂製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日本油脂製)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日本油脂製)等のパーオキシジカーボネート類、
【0055】
t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日本油脂製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日本油脂製)、等のヒドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD、日本油脂製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日本油脂製)等のジアルキルパーオキサイド類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ダイパーND、日本油脂製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND、日本油脂製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日本油脂製)、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日本油脂製)2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日本油脂製)等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0056】
本発明の既架橋微粒子は、耐熱性、耐溶剤性に優れた単分散微粒子として得られる。また、モノマー(A)の組成、及び水の量の選定、非イオン性重合開始剤の量により、0.1〜8.0μmの範囲で所望する粒径の粒子が得られる。本発明でいう耐熱性とは既架橋微粒子の分解温度240℃以上のことを言い、耐溶剤性とはメチルエチルケトン中でのゲル分率が95%以上のことを言う。分解温度及びゲル分率は、重合後の既架橋微粒子分散液を遠心分離により溶剤を除去後、80℃で12時間真空乾燥し、得られた既架橋微粒子を用いて測定する。分解温度は、市販の熱重量測定(TG)装置を使用し、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で測定する。本発明では、昇温時の重量減少は一段階で起こり、微分熱重量(DTG)曲線のピークが最大となる温度を分解温度と言う。また、本発明でいうゲル分率とは、既架橋微粒子をメチルエチルケトン中に分散し、23℃、65%で24時間放置後、遠心分離により溶剤を除去し、80℃で6時間真空乾燥した際の重量変化率を言う。
【0057】
本発明の既架橋微粒子の分解温度は240℃以上であり、メチルエチルケトン中でのゲル分率は95%以上である。本発明では、変動係数が10%以下の粒度分布を有する微粒子分散体を単分散微粒子分散液という。変動係数は、例えば、微粒子を光学顕微鏡で観察し、その直径を実測することにより求めことができる。変動係数は、標準偏差を平均値で除した値の百分率で表される。本発明の既架橋微粒子分散液の変動係数は、0.1〜10%と均質なものが得られる。
【0058】
本発明の既架橋微粒子は耐熱性、耐溶剤性に優れている事から、既架橋微粒子を溶解しない任意の溶剤中に、ストリッピング等の工程を用いて、分散する事ができる。この方法を用いると、乾燥工程を経ないため、粒子同士が凝集することなく、一次粒子で分散した状態のまま、既架橋微粒子分散液が得られる。また、この工程で、既架橋微粒子分散液の濃度を1〜50重量%まで任意に変えることも出来る。50重量%より高くなると粒子間の距離が小さくなり安定な分散状態を保つ事が出来ず、粒子同士の凝集が起こる。
【0059】
さらに本発明の特徴としては、当該既架橋微粒子が、カチオン性水溶性アゾ重合開始剤の使用により、分散安定剤及び界面活性剤を用いずとも粒度分布の狭い0.1〜8.0μmの微粒子となることである。
【0060】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に説明する。実施例において部及び%とあるのは、特に指定のない限り、すべて重量基準であるものとする。
【0061】
実施例1
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管のついた反応器にメタノール68.5部、水16.32部、メチルメタクリレート(和光純薬製)12.75部、トリフルオロエチルメタクリレート(和光純薬製)1.5部、アリルメタクリレート(和光純薬製)0.75部を仕込み、窒素ガスを流し溶存酸素を除去した。反応器を60℃に加熱後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(V−50、和光純薬製)0.025部をイオン交換水0.5部に溶解したものと2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬製)0.003部を同時に添加し6時間加熱攪拌した後、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)を0.015部添加し、さらに2時間加熱攪拌を行い、固形分15%、粒径2.10μm、変動係数3.60%の単分散既架橋微粒子分散液を得た。
【0062】
実施例2〜9
予め反応容器に仕込むメタノール、水、モノマー組成比、非イオン性開始剤の種類、仕込み量を表1に示す量で仕込む以外は実施例1と同様に重合し、単分散既架橋微粒子分散液を得た。
【0063】
比較例1
実施例1と同様の反応器にメタノール59.0部、水25.8部、メチルメタクリレート(和光純薬製)14.25部、アリルメタクリレート(和光純薬製)0.75部を仕込み、窒素ガスを流し溶存酸素を除去した。反応器を60℃に加熱後、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬製)0.005部を同時に添加し6時間加熱攪拌した後、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)を0.015部添加し、さらに2時間加熱攪拌を行い、固形分15%、粒径2.11μm、変動係数3.30%の単分散既架橋微粒子分散液を得た。
【0064】
比較例2〜4
予め反応容器に仕込むメタノール、水を表1に示す量で仕込む以外は実施例1と同様に重合し、単分散既架橋微粒子分散液を得た。
【0065】
実施例及び比較例における既架橋微粒子、既架橋微粒子分散液の物性及び特性の測定法は下記に示すとおりである。
【0066】
既架橋微粒子の粒子径及び変動係数は、粒子を光学顕微鏡(OLYMPUS製 BX60)にて観察し、画像解析・計測ソフトウェア(三谷商事製Mac Scope)を用い、粒子100個の直径を実測し、算出した。
【0067】
既架橋微粒子の耐熱性、耐溶剤性及び光散乱特性は、前記実施例及び比較例で得られた既架橋微粒子分散液を遠心分離し、沈降物を80℃、一晩真空乾燥した粉体を使用する。
【0068】
既架橋微粒子の耐熱性は、TG/DTA(セイコーインスツルメンツ製 TG/DTA200)による分解温度と加圧プレスで200℃、100kg/cmで3分間加圧後の微粒子形状の光学顕微鏡(OLYMPUS製 BX60)観察により評価を行なった。
【0069】
既架橋微粒子の耐溶剤性は、既架橋微粒子2.0gをメチルエチルケトン98gに分散した際の既架橋微粒子のゲル分率より評価した。
【0070】
既架橋微粒子の光散乱特性には、基材樹脂として下記アクリル樹脂溶液を使用する。
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
【0071】
スチレン            60.0部
メタクリル酸          60.0部
メチルメタクリレート      65.0部
ブチルメタクリレート      65.0部
アゾビスイソブチロニトリル   10.0部
滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
【0072】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0073】
得られたアクリル樹脂溶液25gにトリメチロールプロパントリアクリレート(NKエステルATMPT、新中村化学社製)7g、既架橋微粒子10g、光開始剤(イルガキュア907、チバガイギー製)1.0g、シクロヘキサノン57gを混合し、得られた樹脂塗液を100mm×100mm×1.1mmのガラス板にスピンコーターで塗工し、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外線露光後、230℃で1時間加熱し、約3μmの塗膜を調整した。得られた塗工基板を濁色計NDH−300A(日本電色工業製)より評価した。
【0074】
実施例及び比較例で得られた結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 2004083707
【0076】
実施例、比較例ともに得られた既架橋微粒子は、分解温度240℃以上、加圧プレス後の粒子溶融が無い、ゲル分率95%以上の耐熱性、耐溶剤性の良い微粒子であった。
【0077】
比較例1〜3はフッ素基含有単量体を共重合しておらず、光散乱特性であるヘイズが低い。
一方、実施例ではフッ素含有単量体を共重合したため、ヘイズが高く光散乱特性が向上した。比較例4では、フッ素含有単量体を共重合しているが、含有量が低いため、大きな効果が得られなかった。
【0078】
【発明の効果】
本発明により、界面活性剤、分散安定剤等の安定剤を含まなくとも、例えば、基材樹脂と充分な屈折率差を有する、光散乱剤として優れた物性を有する単分散既架橋微粒子が得られた。

Claims (7)

  1. 非架橋性モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを溶剤中で、下記式(1)もしくは下記式(2)で表される重合開始剤を用いて重合させてなる微粒子を含む既架橋微粒子であって、非架橋性モノマー(A)が、10〜95重量%のフッ素基含有単量体を含むものである既架橋微粒子。
    式(1)
    Figure 2004083707
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基または芳香族基を示す 。]
    式(2)
    Figure 2004083707
    [式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキレン基または2価の芳香族基を示す。]
  2. 架橋性モノマー(B)が、重合性不飽和カルボン酸残基と前記重合性不飽和カルボン酸残基以外の反応性官能基とを有する多官能性モノマーであることを特徴とする請求項1記載の既架橋微粒子。
  3. 既架橋微粒子が、実質的に均一な粒子径を有し、かつ、既架橋微粒子の平均粒子径が0.1〜8.0μmであることを特徴とする請求項1または2記載の既架橋微粒子。
  4. 既架橋微粒子の分解温度が240℃以上、ゲル分率が95%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の既架橋微粒子。
  5. 溶剤が、水とアルコールとの混合溶剤であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の既架橋微粒子。
  6. モノマー全量に対して10〜95重量%のフッ素基含有単量体を含む非架橋性モノマー(A)と架橋性モノマー(B)とを溶剤中で、下記式(1)もしくは下記式(2)で表される重合開始剤を用いて重合する既架橋微粒子の製造法。
    式(1)
    Figure 2004083707
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基または芳香族基を示す 。]
    式(2)
    Figure 2004083707
    [式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキレン基または2価の芳香族基を示す。]
  7. 第1の非架橋性モノマー(A)と第1の架橋性モノマー(B)とを溶剤中で、下記式(1)もしくは下記式(2)で表される重合開始剤を用いて重合し得られた既架橋微粒子分散液中で、
    第2のモノマー全量に対して10〜95重量%のフッ素基含有単量体を含む第2の非架橋性モノマー(A)と第2の架橋性モノマー(B)と重合する既架橋微粒子の製造法。
    式(1)
    Figure 2004083707
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基または芳香族基を示す 。]
    式(2)
    Figure 2004083707
    [式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキレン基または2価の芳香族基を示す。]
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