JP7276315B2 - 重合体微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は重合体微粒子の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、粒子径分布が狭く単分散性に優れる重合体微粒子を効率的に製造するための方法に関する。
重合体微粒子は、例えば、液晶表示用途におけるスペーサ、光拡散フィルム及び拡散板等の光拡散剤、AGフィルム等のAG剤として有効に利用されている。その他にも、各種フィルム用のアンチブロッキング剤、導電性微粒子、カラム用充填剤、診断薬用の担体、写真用トナー、化粧品、パップ剤、艶消し剤及び塗料基材等の各種分野において広く使用されている。また、多くの用途では、その性能向上を目的として粒子径分布の狭い重合体微粒子を要求される場合がある。
重合体微粒子の製造方法としては、懸濁重合法、シード重合法、沈殿重合法等がよく知られている。これらの中でも沈殿重合法は、粒子サイズをある程度任意に設定することができるとともに、シャープな粒子径分布を有する重合体微粒子を得ることができる。また、複雑な工程を必要としないため、単分散性の重合体微粒子を得るためには工業的にも有利な重合方法である。
沈殿重合法は、原料である不飽和単量体を溶解するが、生成する重合体を実質溶解しない溶媒中で重合反応を行うことにより重合体を製造する方法である。
特許文献1には、分散安定剤存在下、沈殿重合法により加水分解性シリル基を有するビニル単量体を含むビニル単量体を重合した後、当該加水分解性シリル基による架橋を施す架橋重合体微粒子の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、2個以上の不飽和二重結合を有する単量体を含む原料モノマーを沈殿重合法により重合して架橋球状ポリマー微粒子を製造する方法が開示されている。特許文献3には、架橋性エチレン性不飽和単量体及びエチレン性不飽和カルボン酸等を含む単量体からなる架橋重合体粒子である、親水性ゲル微粒子の製造方法が記載されている。
特開2011-168632号公報 特開2006-282772号公報 特開平1-315408号公報
沈殿重合法を利用して重合体微粒子を製造する場合、生産性の観点からは、より高い単量体濃度条件下で重合を実施する方が有利である。また、一般に、重合反応を高い単量体濃度条件下で行った場合、高分子量の重合体微粒子が得られ、その機械的強度にも優れるという利点がある。一方、重合時の単量体濃度を高めた場合には、重合安定性及び重合体の分散安定性が十分ではなく、得られた重合体の合一又はゲル化等が生じ易い。そのため、結果として満足な単分散性を備えた重合体微粒子が得られないことがある。特許文献1~3に記載された方法も、例えば15重量%を超えるような高い単量体濃度で重合を行った場合には単分散性の低下が懸念される。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、高い単量体濃度条件であっても重合安定性を確保され、粒子径分布の狭い重合体微粒子を製造することができる方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、沈殿重合法によるビニル単量体の重合反応を有機塩基化合物存在下に行うことにより、高い単量体濃度条件下であっても単分散性に優れる重合体微粒子を得ることができることを知得した。本発明は係る知見に基づいて完成されたものである。
本明細書は、以下の手段を提供する。
〔1〕重合体微粒子の製造方法であって、
有機塩基化合物存在下、沈殿重合法によりビニル系単量体の重合を行う重合工程を有することを特徴とする、重合体微粒子の製造方法。
〔2〕前記ビニル系単量体は、当該ビニル系単量体の総量に対し、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を10質量%以上、100質量%以下含む〔1〕に記載の重合体微粒子の製造方法。
〔3〕前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体に対する前記有機塩基化合物の使用量は、0.001モル%以上、4.0モル%以下である〔2〕に記載の重合体微粒子の製造方法。
〔4〕前記有機塩基化合物は有機アミン化合物であり、当該有機アミン化合物に存在する窒素原子数に対する炭素原子数の比で表される値(C/N)が3以上である〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の重合体微粒子の製造方法。
〔5〕前記重合工程における反応液中の水分量は、30,000ppm以下である〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の重合体微粒子の製造方法。
〔6〕前記重合工程において使用する重合溶媒のSP値は、8.0以上、13.0以下の範囲である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の重合体微粒子の製造方法。
〔7〕前記重合工程において使用する重合溶媒の比誘電率は、25.0以上である請求項〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の重合体微粒子の製造方法。
本発明の重合体微粒子の製造方法によれば、粒子径分布が狭く、且つ粒子サイズの均一性に優れる重合体微粒子を簡便な方法により製造することができる。また、高い単量体濃度条件であっても重合安定性を確保することができるため、生産性の点でも有利である。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
また、本明細書において、重合体微粒子は、その少なくとも一部が塩の状態であってもよい。塩の種類は特に限定されるものではない。例えば重合体微粒子が酸性基を有する場合、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩、アルミニウム塩等のその他の金属塩;アンモニウム塩及び有機アミン塩等が挙げられる。
本発明は、沈殿重合法を利用した重合工程を備える重合体微粒子の製造方法に関するものである。前記重合工程では、ビニル系単量体を、当該ビニル系単量体を溶解するが、生成する重合体を溶解しない溶媒中で重合する工程(重合工程)を備える。上記重合工程の後、必要に応じて、加水分解工程、分離工程、洗浄工程(精製工程)、乾燥工程、他の重合工程等を行ってもよい。
沈殿重合では、析出した重合体は重合の進行とともに凝集及び成長により大きくなり、数十nm~数百nmの一次粒子が数μm~数十μmに二次凝集したポリマー粒子の分散液が得られる。
尚、分散安定剤や重合溶剤等を選定することにより上記二次凝集を抑制することもできる。一般に、二次凝集を抑制した沈殿重合は、分散重合とも呼ばれる。
重合溶媒は、使用する単量体の種類等を考慮して各種有機溶剤等から選択される溶媒を使用することができる。
具体的な重合溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール、アセトン、アセトニトリル及びテトラヒドロフラン等の水溶性溶剤の他、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジクロロエタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン及びn-ヘプタン等が挙げられ、これらの1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において水溶性溶剤とは、20℃における水への溶解度が10g/100mlより大きいものを指す。
上記の重合溶媒の中でも、単量体および生成する重合体の溶解性の観点から、溶解パラメータ(SP値)が8.0以上13.0以下の範囲にあるものが好ましい。上記範囲のSP値を有する重合溶媒を用いた場合、良好な重合安定性を示し、単分散性に優れる重合体微粒子を得やすい傾向がある。
本明細書では、重合溶媒のSP値として、「化学便覧 基礎編」改訂5版、日本化学会編(丸善)に記載された値を用いることができる。具体的な重合溶媒の例としては、シクロヘキサン(SP値:8.2)、トルエン(SP値:8.9)、酢酸エチル(SP値:9.1)、テトラヒドロフラン(SP値:9.9)、ベンゼン(SP値:9.2)、メチルエチルケトン(SP値:9.3)、アセトン(SP値:10.0)、イソプロピルアルコール(SP値:11.5)、アセトニトリル(SP値:12.1)、エタノール(SP値:12.8)等が挙げられる。
重合溶媒としては、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の混合溶媒を使用してもよい。混合溶媒を使用する場合、当該混合溶媒のSP値は、各々の溶媒の体積分率による加重平均により算出することができる。
カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の極性基を有する単量体を主体とする単量体成分の重合を行う場合、上記重合溶媒のSP値の範囲は9.0以上13.0以下が好ましく、より好ましくは9.0以上12.5以下であり、さらに好ましくは10.0以上12.0以下である。尚、上記極性基を有する単量体を主体とするとは、極性基を有する単量体の割合が50質量%以上であることを示し、当該割合は60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
さらに、粗大粒子の生成や反応器への付着が小さく重合安定性が良好であること、析出した重合体微粒子が二次凝集しにくいこと、及び連鎖移動定数が小さく重合度(一次鎖長)の大きい重合体が得られること等の点で、アセトニトリルが好ましい。
極性基を主体とする単量体以外の単量体成分についての重合を行う場合、上記重合溶媒のSP値の範囲は8.0以上12.0以下が好ましく、より好ましくは8.5以上12.0以下である。
また、重合溶媒の比誘電率(ε)は、15.0以上であることが好ましい。比誘電率が15.0以上の重合溶媒を用いた場合、良好な重合安定性を示す傾向にあり、単分散性に優れる重合体微粒子を得やすい。比誘電率は、20.0以上であってもよい。比誘電率が25.0以上であると、より一層優れた重合安定性が得られる点で好ましく、さらに好ましくは30.0以上であり、なお好ましくは35.0以上である。比誘電率の上限は特段制限されるものではないが、入手可能な重合溶媒(化合物)の観点から200程度である。
本明細書では、重合溶媒の比誘電率(ε)として、「化学便覧 基礎編」改訂5版、日本化学会編(丸善)に記載された値を用いることができる。具体的な重合溶媒の例としては、メタノール(ε:32.66)、エタノール(ε:24.55)、1-プロパノール(ε:20.45)、2-プロパノール(ε:19.92)、1-ブタノール(ε:17.51)、2-ブタノール(ε:16.56)、イソブチルアルコール(ε:17.93)、イソペンチルアルコール(ε:15.19)、シクロヘキサノール(ε:15.0)、エチレングリコール(ε:37.7)、プロピレングリコール(ε:32.0)、2-メトキシエタノール(ε:16.93)、2-メトキシエタノール(ε:29.6)、ジエチレングリコール(ε:31.69)、トリエチレングリコール(ε:23.69)及びグリセリン(ε:42.5)等のアルコール化合物;アセトン(ε:20.56)、メチルエチルケトン(ε:18.51)及びシクロヘキサノン(ε:16.10)等のケトン化合物;炭酸エチレン(エチレンカーボネート)(ε:89.78)、炭酸プロピレン(ε:64.92)、ホルムアミド(ε:111.0)、N-メチルホルムアミド(ε:182.4)、N,N-ジメチルホルムアミド(ε:36.71)、N-メチルアセトアミド(ε:191.3)、N,N-ジメチルアセトアミド(ε:37.78)、N-メチル-2-ピロリドン(ε:32.2)及びヘキサメチルリン酸トリアミド(ε:29.30)等の酸誘導体;アセトニトリル(ε:35.94)、プロピオニトリル(ε:28.86)、スクシノニトリル(ε:56.5)及びベンゾニトリル(ε:25.5)等のニトリル化合物等が挙げられる。
重合溶媒としては、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の混合溶媒を使用してもよい。混合溶媒を使用する場合、当該混合溶媒の比誘電率(εrmix)は、式(2)に示すWienerの限界式により算出することができる。
εrmix=εr2+(εr1-εr2)Φ (2)
式(2)において、
εrmix:混合溶媒の比誘電率
εr1:溶媒1の比誘電率
εr2:溶媒2の比誘電率
Φ:溶媒1の体積率
本発明の製造方法では、重合工程に用いるビニル系単量体の種類に特段の制約はなく、用途等に応じて適宜使用するビニル系単量体の種類を選択することができる。具体的には、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、並びに、スチレン及びα-メチルスチレン等のスチレン系単量体等を例示することができる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸;(メタ)アクリルアミドヘキサン酸及び(メタ)アクリルアミドドデカン酸等の(メタ)アクリルアミドアルキルカルボン酸;コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体またはそれらの(部分)アルカリ中和物が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記の中でも、アクリロイル基を有する化合物は重合速度が大きいために高分子量の重合体が得られる傾向にあり、アクリル酸は特にその傾向が強い。
また、塩の種類としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;マグネシウム塩、アルミニウム塩等のその他の金属塩;アンモニウム塩及び有機アミン塩等が挙げられる。
本発明の製造方法では、良好な重合性を示し、種々の用途に適用できることから、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を含む単量体成分を用いてもよい。この場合、得られる重合体微粒子には、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に由来する構造単位が導入される。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量は、重合体微粒子を構成する単量体単位の総量に基づいて10質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。使用量の上限値は100質量%であり、99質量%以下であってもよく、98質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよい。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用範囲は、上記の上限値及び下限値を適宜組合せることができ、例えば、10質量%以上100質量%以下であり、50質量%以上100質量%以下であってもよく、50質量%以上99質量%以下であってもよく、80質量%以上99質量%以下であってもよい。
上記エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、未中和の状態であってもよいし、中和された塩の状態であってもよい。また、使用するエチレン性不飽和カルボン酸単量体の一部を中和した部分中和塩の状態であってもよい。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の中和度が10モル%以下の場合は重合速度が大きく、分子量の高い重合体が得られる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸の脂環基含有エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の(メタ)アクリル酸の複素環基含有エステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル等が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド化合物;ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド化合物が挙げられ、これらの内の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記のビニル系単量体以外にも、2個以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性単量体、及び加水分解性シリル基等の自己架橋可能な架橋性官能基を有する単量体等の架橋性単量体を使用してもよい。
上記多官能重合性単量体は、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基等の重合性官能基を分子内に2つ以上有する化合物であり、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能アルケニル化合物、(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの内でも、均一な架橋構造を得やすい点で多官能アルケニル化合物を用いた場合には均一な架橋構造を得やすい傾向があり、中でも、分子内に複数のアリルエーテル基を有する多官能アリルエーテル化合物はその傾向が強い。
多官能(メタ)アクリレート化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性体のトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのトリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート;メチレンビスアクリルアミド、ヒドロキシエチレンビスアクリルアミド等のビスアミド類等を挙げることができる。
多官能アルケニル化合物としては、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、ポリアリルサッカロース等の多官能アリルエーテル化合物;ジアリルフタレート等の多官能アリル化合物;ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物等を挙げることができる。
(メタ)アクリロイル基及びアルケニル基の両方を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸イソプロペニル、(メタ)アクリル酸ブテニル、(メタ)アクリル酸ペンテニル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル等を挙げることができる。
上記自己架橋可能な架橋性官能基を有する単量体の具体的な例としては、加水分解性シリル基含有ビニル単量体、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
加水分解性シリル基含有ビニル単量体としては、加水分解性シリル基を少なくとも1個有するビニル単量体であれば、特に限定されない。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン類;アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有アクリル酸エステル類;メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリエトキシシリルプロピル、メタクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル、メタクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル等のシリル基含有メタクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等を挙げることができる。
また、上記架橋性単量体の使用量は、特に制限されるものではない。重合体微粒子の全構成単量体中、0.05質量%以上であってもよく、0.1質量%以上であってもよく、0.3質量%以上であってもよく、0.5質量%以上であってもよい。また、1.0質量%以上であってもよく、3.0質量%以上であってもよく、5.0質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよい。上限は100質量%であってもよく、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよい。
重合開始剤は、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等の公知の重合開始剤を用いることができるが、特に限定されるものではない。熱開始、還元剤を併用したレドックス開始、UV開始等、公知の方法で適切なラジカル発生量となるように使用条件を調整することができる。
上記アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2-(tert-ブチルアゾ)-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
上記有機過酸化物としては、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日油社製、商品名「パーテトラA」)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(同「パーヘキサHC」)、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(同「パーヘキサC」)、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート(同「パーヘキサV」)、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン(同「パーヘキサ22」)、t-ブチルハイドロパーオキサイド(同「パーブチルH」)、クメンハイドロパーオキサイド(日油社製、商品名「パークミルH」)、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(同「パーオクタH」)、t-ブチルクミルパーオキサイド(同「パーブチルC」)、ジ-t-ブチルパーオキサイド(同「パーブチルD」)、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド(同「パーヘキシルD」)、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(同「パーロイル355」)、ジラウロイルパーオキサイド(同「パーロイルL」)、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(同「パーロイルTCP」)、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(同「パーロイルOPP」)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(同「パーロイルSBP」)、クミルパーオキシネオデカノエート(同「パークミルND」)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(同「パーオクタND」)、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート(同「パーヘキシルND」)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(同「パーブチルND」)、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート(同「パーブチルNHP」)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(同「パーヘキシルPV」)、t-ブチルパーオキシピバレート(同「パーブチルPV」)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイル)ヘキサン(同「パーヘキサ250」)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(同「パーオクタO」)、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(同「パーヘキシルO」)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(同「パーブチルO」)、t-ブチルパーオキシラウレート(同「パーブチルL」)、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(同「パーブチル355」)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(同「パーヘキシルI」)、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(同「パーブチルI」)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(同「パーブチルE」)、t-ブチルパーオキシアセテート(同「パーブチルA」)、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート(同「パーヘキシルZ」)及びt-ブチルパーオキシベンゾエート(同「パーブチルZ」)等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
上記無機過酸化物としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
また、レドックス開始の場合、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、亜硫酸ガス(SO)、硫酸第一鉄等を還元剤として用いることができる。
重合開始剤の好ましい使用量は、用いる単量体成分の総量を100質量部としたときに、0.001~2質量部であり、より好ましくは0.005~1質量部であり、さらに好ましくは0.01~0.1質量部である。重合開始剤の使用量が0.001質量部以上であれば重合反応を安定的に行うことができ、2質量部以下であれば一次鎖長の長い重合体を得やすい。
重合時の単量体成分の濃度については、生産性の観点から高い方が好ましく、分子量の高い重合体を得易くなる。ただし、単量体成分の濃度が高すぎると、重合体粒子の凝集が進行し易い他、重合熱の制御が困難となり重合反応が暴走する虞がある。このため、重合開始時の単量体濃度は、2~40質量%程度の範囲が一般的であり、好ましくは5~40質量%の範囲である。単量体濃度は、10~40質量%の範囲であってもよく、15~40質量%の範囲であってもよい。一般に、重合時の単量体濃度を高くするほど高分子量化が可能であり、一次鎖長の長い重合体を製造することができる。
なお、本明細書において「単量体濃度」とは、重合を開始する時点における反応液中の単量体濃度を示す。
重合温度は、使用する単量体の種類及び濃度等の条件にもよるが、0~100℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。重合温度は一定であってもよいし、重合反応の期間において変化するものであってもよい。また、重合時間は1分間~20時間が好ましく、1時間~10時間がより好ましい。
本発明の製造方法では、上記重合工程は、有機塩基化合物の存在下に行われる。塩基化合物存在下において重合反応を行うことにより、例えば15質量%を超えるような高い単量体濃度条件下であっても、重合反応を安定に実施することができる。また、このような高い単量体濃度で重合して得られた重合体は、分子量が高いため(一次鎖長が長いため)機械的物性にも優れる。
有機塩基化合物としては、例えば、以下の一般式(3)に表される有機アミン化合物を使用することができる。
NR (3)
〔式中、R、R及びRは、各々独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基である。ただし、R~Rの内、少なくとも1つは水素原子以外の基である。R~Rの内、2以上の基により環状構造を形成していてもよい。〕
有機アミン化合物の具体的例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、モノヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン及びトリドデシルアミン等のN-アルキル置換アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びN,N-ジメチルエタノールアミン等の(アルキル)アルカノールアミン;ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、モルホリン及びジアザビシクロウンデセン(DBU)等の環状アミン;ジエチレントリアミン、N、N-ジメチルベンジルアミンが挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
これらの内でも、長鎖アルキル基を有する疎水性アミンを用いた場合、より大きな静電反発及び立体反発が得られることから、単量体濃度の高い場合であっても重合安定性を確保しやすい点で好ましい。具体的には、有機アミン化合物に存在する窒素原子数に対する炭素原子数の比で表される値(C/N)が高い程、立体反発効果による重合安定化効果が高い。上記C/Nの値は、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは10以上であり、一層好ましくは20以上である。
C/N値の高い有機アミン化合物は、一般的には疎水性が高く、アミン価の低い化合物である。上記の通り、C/N値が高いアミン化合物は高い重合安定化効果を示す傾向があり、重合時の単量体濃度を高くすることが可能となるため、重合体が高分子量化(一次鎖長の増大)される傾向がある。また、C/N値の高いアミン化合物の存在下において重合を行った場合、粒子径の小さい重合体微粒子が得られる傾向がある。
重合工程における有機塩基化合物の使用量には特段の制限はないが、ビニル系単量体がエチレン性不飽和カルボン酸単量体を含む場合、当該エチレン性不飽和カルボン酸単量体に対し、0.001モル%以上の塩基化合物を用いることが好ましい。0.001モル%以上の塩基化合物存在下で重合反応を行うことにより、重合安定性を向上することができ、高い単量体濃度条件でも円滑に重合反応が進行する。エチレン性不飽和カルボン酸単量体に対する塩基化合物の使用量は、好ましくは0.01モル%以上であり、より好ましくは0.03モル%以上であり、さらに好ましくは0.05モル%以上である。塩基化合物の使用量は、0.3モル%以上であってもよく、0.5モル%以上であってもよい。
また、塩基化合物の使用量の上限は、4.0モル%以下であることが好ましい。4.0モル%以下の塩基化合物存在下で重合反応を行うことにより、重合安定性を向上することができ、高い単量体濃度条件でも円滑に重合反応が進行する。エチレン性不飽和カルボン酸単量体に対する塩基化合物の使用量は、好ましくは3.0モル%以下であり、より好ましくは2.0モル%以下であり、さらに好ましくは1.0モル%以下である。
尚、本明細書では、塩基化合物の使用量は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体に対して用いた塩基化合物のモル濃度を表したものであり、中和度を意味するものではない。すなわち、用いる塩基化合物の価数は考慮しない。
本発明の製造方法では、重合工程における重合溶媒及び原料等を含む反応液中の水分量を質量基準で30,000ppm以下とすることが好ましい。より好ましい水分量は20,000ppm以下であり、さらに好ましくは15,000ppmであり、一層好ましくは10,000ppmであり、より一層この好ましくは6,000ppmである。水分量が30,000ppm以下であれば、粒子径分布の狭い重合体微粒子を製造することができる。反応液中の水分量は0ppmでもよい。尚、水分量はカールフィッシャー水分計を用いて測定することができる。
上記重合工程は撹拌槽型反応器を用いて行われる。本発明において使用する反応装置は、一つの反応器からなるバッチ式反応器、又は一つ若しくは複数個の反応器よりなる連続反応装置の何れも使用することができる。連続反応装置の場合は、少なくとも重合工程が行われる反応器に撹拌槽型反応器を用いる。
上記撹拌槽型反応器の撹拌回転軸には、いわゆる大型翼に分類される撹拌翼が装着される。大型翼としては、大型広幅翼(ワイドパネル型撹拌翼)及び大型格子翼から選ばれる1種の撹拌翼を用いることができる。大型翼を備えた撹拌槽型反応器を用いて分散重合を行うことにより、通常のパドル翼や後退翼等の撹拌翼の場合と比較して粒子径分布の狭い均一サイズの重合体微粒子を製造することが可能となる。
重合工程における撹拌回転数は反応液のスケールに応じて適宜調整すればよいが、析出した重合体の合一を抑制し粒子径分布の狭い重合体粒子を得る観点から、撹拌翼の先端速度(周速度)が1.0m/秒以下であることが好ましい。先端速度はより好ましくは0.8m/秒以下であり、さらに好ましくは0.6m/秒以下である。先端速度の下限値は反応液の撹拌状態に応じて適宜設定すれば良いが、通常は0.01m/秒以上である。
重合工程を経て得られた重合体微粒子分散液の粘度は、1~100,000mPa・sの範囲であってもよく、10~50,000mPa・sの範囲であってもよく、50~20,000mPa・sの範囲であってもよく、100~10,000mPa・sの範囲であってもよい。重合体微粒子分散液の粘度は、25℃の条件下、B型粘度計を用いて60rpmにおける粘度を測定することにより得られる。
本発明の製造方法によれば、生成する重合体微粒子の二次凝集が低減若しくは抑制されるために粒子径分布の狭い重合体微粒子が得られる。重合体微粒子の粒子径は体積基準メジアン径で例えば0.01~10.0μmの範囲であり、0.05~7.0μmの範囲であってもよく、0.1~5.0μmの範囲であってもよく、0.2~3.0μmの範囲であってもよく、0.3~2.0μmの範囲であってもよい。
粒子径分布は好ましくは10未満であり、より好ましくは5.0未満であり、さらに好ましくは2.0未満である。粒子径分布は、一層好ましくは1.8未満であり、より一層好ましくは1.5未満であり、なお一層好ましくは1.3未満であり、最も好ましくは1.2未満である。粒子径分布の下限値は通常1.0である。尚、粒子径及び粒子径分布は実施例に記載の方法により測定することができる。
重合工程を経て得られた重合体スラリーは、乾燥工程において減圧及び/又は加熱処理等を行い溶媒留去することにより、目的とする重合体微粒子又はその塩を粉末状態で得ることができる。この際、上記乾燥工程の前に、未反応単量体(及びその塩)、開始剤由来の不純物等を除去する目的で、重合工程に引き続き、遠心分離及び濾過等の固液分離工程、水、メタノール又は重合溶媒と同一の溶媒等を用いた洗浄工程を備えることが好ましい。上記洗浄工程を備えた場合、重合体微粒子又はその塩が二次凝集した場合であっても使用時に解れやすく、さらに残存する未反応単量体が除去される点で好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り質量部及び質量%を意味する。
≪架橋重合体微粒子の製造≫
(製造例1:重合体微粒子R-1の製造)
重合には、攪拌翼、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応器を用いた。
反応器内にアセトニトリル(SP値:12.1、比誘電率:35.94)567部、イオン交換水1.88部、アクリル酸(以下、「AA」という)100部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー社製、商品名「ネオアリルP-30」)0.60部及び上記AAに対して1.0モル%に相当するトリオクチルアミンを仕込んだ。その際、反応液の水分量をカールフィッシャー水分計(平沼産業社製、「AQ-2200A」)を用いて測定したところ、3,300ppmであった。
反応器内を十分に窒素置換した後、加温して内温を55℃まで昇温した。内温が55℃で安定したことを確認した後、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、商品名「V-65」)0.040部を添加したところ、反応液に白濁が認められたため、この点を重合開始点とした。単量体濃度は15.0%と算出された。外温(水バス温度)を調整して内温を55℃に維持しながら重合反応を継続し、重合開始点から6時間経過した時点で内温を65℃まで昇温した。内温を65℃で維持し、反応開始点から12時間経過した時点で反応液の冷却を開始し、内温を30℃以下に冷却することにより重合体微粒子R-1の粒子が媒体に分散したスラリー状の重合反応液R-1を得た。
(単分散性の評価:粒子径分布測定)
上記で得られた重合反応液R-1を、アセトニトリルを分散媒とするレーザー回折/散乱式粒度分布計(マイクロトラックベル社製、マイクロトラックMT-3300EXII)にて粒子径及び粒子径分布測定を行った。体積基準メジアン径は0.35μmであった。また、以下の基準に従い単分散性を評価した結果、(体積基準メジアン径/個数基準メジアン径)で表される粒子径分布は1.13であり、単分散性は「◎」と判断された。
評価基準;
◎:体積基準メジアン径/個数基準メジアン径が1.20未満
○:体積基準メジアン径/個数基準メジアン径が1.20以上、2.0未満
△:体積基準メジアン径/個数基準メジアン径が2.0以上、10未満
×:体積基準メジアン径/個数基準メジアン径が10以上
(実施例2~21、比較例1~2:重合体微粒子R-2~R-23の製造)
表1及び表2に示す仕込み組成に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、重合反応液R-2~R-23を得た。実施例1と同様の操作により単分散性の評価を行い、結果を表1及び表2に示した。尚、実施例20では、重合溶媒としてメチルエチルケトン(SP値:9.3、比誘電率:18.51)を使用した。また、実施例21では、重合溶媒としてエチレンカーボネート(SP値:14.7、比誘電率:89.78)及び酢酸エチル(SP値:9.1、比誘電率:6.02)の混合溶媒を使用した。上記混合溶媒のSP値は、各々の溶媒の体積分率による加重平均により10.9と算出され、上記混合溶媒の比誘電率は、Wienerの限界式により31.84と算出される。
Figure 0007276315000001
Figure 0007276315000002
表1及び表2において用いた化合物の詳細を以下に示す。
AA:アクリル酸
IBXA:アクリル酸イソボルニル
DMAA:N,N-ジメチルアクリルアミド
P-30:ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー社製、商品名「ネオアリルP-30」)
T-20:トリメチロールプロパンジアリルエーテル(ダイソー社製、商品名「ネオアリルT-20」)
DMA:ジメチルアミン(C/N値:2)
TMA:トリメチルアミン(C/N値:3)
TEA:トリエチルアミン(C/N値:6)
TOA:トリオクチルアミン(C/N値:24)
TDA:トリドデシルアミン(C/N値:36)
ピリジン:(C/N値:5)
ジブチルアミン:(C/N値:8)
ヘキシルアミン:(C/N値:6)
AcN:アセトニトリル
MEK:メチルエチルケトン
EC:エチレンカーボネート
EAc:酢酸エチル
V-65:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製)
実施例1~21は、本発明の製造方法により重合体微粒子を製造したものである。高い単量体濃度条件(15%~25%)であっても、得られた重合体微粒子の粒子径分布はいずれも狭く、単分散性に優れるものであった。有機アミン化合物のC/N値に着目すると、DMA(C/N:2)を用いた実施例7(R-7)に比較して、C/N値が3以上である有機アミン化合物を用いた実施例1~6及び実施例8では、より単分散性に優れる重合体微粒子が得られた。また、水分量に関しては、実施例19(R-19)に比較して、水分量が30,000ppm以下である実施例1~18では、より粒子径分布の狭い重合体微粒子が得られた(R-1~R-18)。重合溶媒の比誘電率(ε)についてみると、εが18.51であるメチルエチルケトンを用いた実施例20(R-20)の粒子径分布は2.52であった。これに対し、εが25.0以上である重合溶媒を用いた実施例1(R-1)及び実施例21(R-21)の粒子径分布は、各々1.13及び1.19であり、単分散性に優れた重合体微粒子が得られる結果となった。
一方、有機塩基化合物を使用していない比較例1~2では、重合安定性が十分でなく、得られた重合体微粒子は、粒子径分布が広く、単分散性に劣るものであった。
本発明の重合体微粒子の製造方法によれば、粒子径分布が狭く均一性の高い粒子サイズを有する重合体微粒子を簡便な方法により製造することができる。また、高い単量体濃度条件であっても重合安定性を確保することができるため、生産性の点でも優れる。
本発明の製造方法により得られた重合体微粒子は、例えば、液晶表示用途におけるスペーサ、光拡散フィルム及び拡散板等の光拡散剤、AGフィルム等のAG剤、各種フィルム用のアンチブロッキング剤、導電性微粒子、カラム用充填剤、診断薬用の担体、写真用トナー、非水電解質二次電池電極用組成物の結着剤及び分散剤、化粧品、パップ剤、艶消し剤及び塗料基材等の各種分野において広く使用することができる。

Claims (3)

  1. 重合体微粒子の製造方法であって、
    有機塩基化合物存在下、沈殿重合法によりビニル系単量体の重合を行う重合工程を有することを特徴とし、
    前記ビニル系単量体は、当該ビニル系単量体の総量に対し、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を50質量%以上、100質量%以下含み、
    前記重合工程において使用する重合溶媒の比誘電率は、25.0以上であり、
    重合を開始する時点における反応液中の単量体濃度が、15~40質量%の範囲であり、
    前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体に対する前記有機塩基化合物の使用量は、0.001モル%以上、4.0モル%以下であり、
    前記有機塩基化合物は有機アミン化合物であり、当該有機アミン化合物に存在する窒素原子数に対する炭素原子数の比で表される値(C/N)が3以上であり、
    前記重合工程における反応液中の水分量は、30,000ppm以下である、
    重合体微粒子の製造方法。
  2. 前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体に対する前記有機塩基化合物の使用量は、0.001モル%以上、3.0モル%以下である請求項に記載の重合体微粒子の製造方法。
  3. 前記重合工程において使用する重合溶媒のSP値は、8.0以上、13.0以下の範囲である請求項1又は2に記載の重合体微粒子の製造方法。
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