JP2018135481A - 硬化性組成物及び膜 - Google Patents

硬化性組成物及び膜 Download PDF

Info

Publication number
JP2018135481A
JP2018135481A JP2017032162A JP2017032162A JP2018135481A JP 2018135481 A JP2018135481 A JP 2018135481A JP 2017032162 A JP2017032162 A JP 2017032162A JP 2017032162 A JP2017032162 A JP 2017032162A JP 2018135481 A JP2018135481 A JP 2018135481A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
acrylate
component
group
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017032162A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7005907B2 (ja
Inventor
知一 岩崎
Tomokazu Iwasaki
知一 岩崎
嘉秀 佐藤
Yoshihide Sato
嘉秀 佐藤
健雄 須賀
Takeo Suga
健雄 須賀
宏之 西出
Hiroyuki Nishide
宏之 西出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Waseda University
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Waseda University
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Waseda University, Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Waseda University
Priority to JP2017032162A priority Critical patent/JP7005907B2/ja
Publication of JP2018135481A publication Critical patent/JP2018135481A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7005907B2 publication Critical patent/JP7005907B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】反射防止フィルム等の光学フィルムへの使用が期待される硬化膜を形成できる、RAFT剤を導入したポリマーのリビングラジカル重合を利用した新規な硬化性組成物を提供する。【解決手段】下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(B)100重量部に対し、成分(A)を1〜99重量部含む硬化性組成物。成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物成分(C):中空シリカ微粒子【選択図】なし

Description

本発明は、透明性に優れ、反射防止フィルム等の光学フィルムへの使用が期待される硬化膜を形成することができる硬化性組成物、該硬化性組成物から形成される硬化物を使用する光学フィルム、積層体、及び相分離構造を有する膜に関する。
リビングラジカル重合は、得られるポリマーの分子量や構造を精密に制御することが可能であることから、近年盛んに研究がなされている。
リビングラジカル重合により得られたポリマーを使用した一例として、次のようなものが報告されている。
ナノポーラス構造を形成させるため、ポリ乳酸(PLA)の末端に特定の連鎖移動剤(RAFT剤)を導入した高分子ドーマント種の存在下にスチレン/ジビニルベンゼンを加熱共重合させることにより熱硬化させ、共連続なミクロ相分離構造を形成させた後、PLAを加水分解除去してナノポーラス構造を持つモノリス型ポリマーを得ることが報告されている(非特許文献1)。また、非特許文献1には、PLA末端にRAFT部位を持たない場合はポリマーブレンドとなり、マクロ相分離構造となることが報告されている。
更に、上記非特許文献1の技術は、加熱によりリビングラジカル重合を行うものであるが、光照射によりリビングラジカル重合を行うものも提案されている(非特許文献2)。
M. Seo, M. A. Hillmyer, Science 2012, 336, 1422. J. Xu, K. Jung, A. Atme, S. Shanmugam, C. Boyer, J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 5508.
上記非特許文献1、2では、種々のリビングラジカル重合法によるポリマーの製造方法が開示されているが、これらのポリマー及びその重合法そのものを光学フィルム向けの硬化性組成物に適用することについては具体的に検討されていない。
本発明は、ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーのリビングラジカル重合を利用した硬化性組成物であって、低反射率で透明性に優れ、反射防止フィルム等の光学フィルムへの使用が期待される硬化膜を形成することができる硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、この硬化性組成物からなる硬化物及び光学フィルムと、この硬化性組成物を用いた積層体を提供することを課題とする。
更に、本発明は特定の相分離構造を有する膜を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーと、成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、成分(C):中空シリカ微粒子とを所定の割合で含む硬化性組成物が上記課題を解決することができ、この硬化性組成物により、透明性に優れ、スピノーダル分解によるミクロ相分離構造を有し、かつこの相分離構造のドメインに中空シリカ微粒子が選択的に配置した構造であることにより、より低反射率となり、反射防止フィルム等の光学フィルムへの使用が期待される硬化膜を、活性エネルギー線の照射といった簡易な操作で形成することができることを見出し、本発明に到達した。

即ち、本発明の態様は、以下の[1]〜[23]の通りである。
[1] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(B)100重量部に対し、成分(A)を1〜99重量部含む硬化性組成物。
成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー
成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
成分(C):中空シリカ微粒子
[2] 成分(C)を成分(B)100重量部に対し、0.5〜30重量部含有する、[1]に記載の硬化性組成物
[3] 成分(A)が、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを重合してなるポリマーである、[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 成分(A)が活性エネルギー線照射することでラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーである、[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5] 成分(A)の末端重合活性基を保護する基が、ヨウ素原子、臭素原子、アルキルジチオエステル基、フェニルジチオエステル基、アルキルトリチオカルボネート基、フェニルトリチオカルボネート基、アルキルジチオカルバメート基、フェニルジチオカルバメート基、アルキルザンテート基、フェニルザンテート基、及びテルル原子からなる群のうちの少なくとも1つである、[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6] 成分(A)の末端重合活性基を保護する基がヨウ素原子である、[5]に記載の硬化性組成物。
[7] 成分(A)がリビングラジカル重合により得られるポリマーである、[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8] 成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9] 成分(A)が少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10] 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、[9]に記載の硬化性組成物。
[11] 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端に、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、[10]に記載の硬化性組成物。
[12] 前記(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーが、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位をポリマー中に1〜100重量%含む、[10]又は[11]に記載の硬化性組成物。
CH=C(R)−C(O)O−R …(1)
(上記式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2〜18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルキルスルファニル基、トリアルコシキシリル基、又はポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。)
[13] 成分(A)の数平均分子量が800〜150,000である、[1]〜[12]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[14] 成分(B)が、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ有する化合物を少なくとも含み、かつその含有量が成分(B)の合計重量に対して1〜99重量%である、[1]〜[13]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[15] [1]〜[14]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
[16] 基材と硬化膜とを有する積層体であり、該硬化膜が[1]〜[14]のいずれかに記載の硬化性組成物を該基材上で硬化してなるものである積層体。
[17] 前記硬化膜が、基材上にある前記硬化性組成物に対して活性エネルギー線を照射して硬化させてなるものである、[16]に記載の積層体。
[18] 前記硬化膜の内部において、スピノーダル分解により形成されるドメインの大きさが、前記基材側より前記活性エネルギー線を照射した側に向けて徐々に小さくなっている、[16]又は[17]に記載の積層体。
[19] [15]に記載の硬化物よりなる層を有する光学フィルム。
[20] 基材表面に形成された膜であって、下記式(2)を満足する膜。
0.1%≦[シリカの体積分率]<[シリカの体積分率] …(2)
(上記式(2)中、[シリカの体積分率]及び[シリカの体積分率]は三次元Tomographyにより測定され、[シリカの体積分率]は膜の表面から深さ0μm以上3μm以下の少なくとも一つの領域のシリカ微粒子が占める体積の比率であり、[シリカの体積分率]は膜の基材界面から深さ0μm以上3μm以下の少なくとも一つの領域のシリカ微粒子が占める体積の比率である。)
[21] 少なくともエチレン性不飽和二重結合を有する化合物およびシリカ粒子を含有する硬化性組成物の硬化物から形成されている、[20]に記載の膜。
[22] 前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する、[21]に記載の膜。
[23] 膜の厚みが2〜1,000μmである、[20]〜[22]のいずれかに記載の膜。
本発明の硬化性組成物によれば、低反射率で、透明性に優れ、反射防止フィルム等の光学フィルムへの使用が期待される硬化膜を簡易な操作で形成することができる。また、この硬化性組成物を用いた積層体及び光学フィルム、更に、特殊な相分離構造を有する膜が提供される。
実施例1で得られた硬化膜の三次元Tomography解析画像である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「………に由来する構造単位」とは、ポリマーの製造原料として用いられたモノマーが、その単独重合又は共重合により得られたポリマー中で、ポリマーを構成する繰り返し単位として存在する一単位を表す。また、本明細書において、各種の官能基の炭素数は、当該官能基が置換基を有する場合、その置換基も含めた全体の炭素数を示す。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」の一方又は双方を意味するものとする。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」についても同様の意味をもつこととする。
〔本発明の硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(B)100重量部に対し、成分(A)を1〜99重量部含むものである。
成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー
成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
成分(C):中空シリカ微粒子
[成分(A)]
成分(A)は、ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーであり、好ましくは、ポリジアルキルシロキサン、ポリエチレンオキシド、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを重合してなるポリマーのうち少なくとも一つの末端重合活性基が活性エネルギー線照射及び/又は加熱することでラジカル開裂可能な共有結合により保護されてなるポリマーであり、より好ましくは、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを重合してなるポリマーの末端重合活性基が活性エネルギー線照射及び/又は加熱することでラジカル開裂可能な共有結合により保護されてなるポリマーであり、特に好ましくはラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを重合してなる末端重合活性基が活性エネルギー線を照射することでラジカル開裂可能な共有結合により保護されてなるポリマーである。即ち、本発明に用いる成分(A)のポリマーは、末端重合活性基(通常は炭素ラジカル)に、この末端重合活性基を保護する基が共有結合したものであり、このポリマーに活性エネルギー線照射及び/又は加熱することでラジカル開裂することが可能である。
成分(A)の末端重合活性基を保護する基としては、成分(A)の末端重合活性基がラジカル開裂可能な共有結合で結合し得るものであればよい。例えば、ヨウ素原子、臭素原子、アルキルジチオエステル基、フェニルジチオエステル基、アルキルトリチオカルボネート基、フェニルトリチオカルボネート基、アルキルジチオカルバメート基、フェニルジチオカルバメート基、アルキルザンテート基、フェニルザンテート基、テルル原子などが挙げられる。
成分(A)は、これらの末端重合活性基を保護する基の1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
上記した以上に挙げたような末端重合活性基を保護する基を有するポリマーの製造方法は特に制限されない。例えば、前記非特許文献1、2や以下の文献1〜7に記載の方法により製造することができる。
文献1:Chiefari, J.; Chong, Y. K.; Ercole, Fo; Krstina, J.; Jeffery, J.; Le, T. P. T.; Mayadunne, R. T. A.; Meijs, G. F.; Moad, C. L.;
Load, G.; Rizzardo, E.; Thang, S. H. Macromolecules 1998, 31, 5559.
文献2:Moad, G.; Rizzardo, E.; Thang, S. H. Aust. J. Chem. 2005, 58,379.
文献3:McCormick, C. L.; Lowe, A. B. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 312.
文献4:Mayadunne, R. T. A.; Rizzardo, E.; Chiefari, J.; Chong, Y. K.;
Moad, G. Thang, S. H.; Macromolecules 1999, 32, 6977.
文献5:Destarac. M.; Charmot, D.; Franck, X.; Zard, S. Z. Macromol. Rapid.
文献6:Mayadunne, R. T. A.; Rizzardo, E; Chiefari, J.; Kristina, J.; Moad, G.; Pastma, A.; Thang, S. H. Macromolecules 2000, 33, 243.
文献7:Francis, R.; Ajayaghosh, A. Macromolecules 2000, 33, 4699.
成分(A)の末端重合活性基を保護する基としては、これらの成分(A)の末端重合活性基への結合安定性に優れ、しかも、活性エネルギー線照射及び/又は加熱、特に活性エネルギー線照射により容易にラジカル開裂可能であることから、ヨウ素原子が特に好ましい。
また、成分(A)は、分子量やポリマー構造を容易に目的のものに制御可能であることから、リビングラジカル重合により得られるポリマーであることが好ましく、リビングラジカル重合によれば、分子量分布(Mw/Mn)の狭い成分(A)を容易に製造することができる。
成分(A)は前述の通り、好ましくはラジカル重合性二重結合を有するモノマーを重合して得られる物であり、その原料として用いるラジカル重合性二重結合を有するモノマーとしてはラジカル重合性の炭素間二重結合を有するモノマーであれば特に制限されない。より具体的には後述するような(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、特に下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
成分(A)としては、少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーであることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーであることがより好ましく、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーであることが更に好ましい。
このヨウ素末端ポリマーを構成する(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーは、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」と称す場合がある。)に由来する構造単位を、10〜100重量%含むものが好ましい。化合物(1)に由来する構造単位のポリマー中の含有量はより好ましくは50〜100重量%、特に好ましくは80〜100重量%である。なお、ここでいう化合物(1)に由来する構造単位の含有量とは原料の仕込重量から求められるものである。
CH=C(R)−C(O)O−R (1)
(Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2〜18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルキルスルファニル基、トリアルコシキシリル基、又はポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。)
なお、「(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー」は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーに由来する構成単位からなるポリマーであり、「メタクリル酸エステル系モノマー」とは、メタクリロイル基を有するモノマーの総称である。また、「アクリル酸エステル系モノマー」とは、アクリロイル基を有するモノマー(メタクリロイル基を有するモノマー等、アクリロイル基のC=Cの炭素原子に炭素原子が結合したものを除く。)の総称である。
上記式(1)式におけるRとしては、特に炭素数1〜18の、置換基としてエポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよいアルキル基が好ましい。とりわけ炭素数1〜6の、置換基としてエポキシ基、水酸基、炭素数1〜2のアルコキシ基を有していてもよいアルキル基が好ましく、炭素数1〜6の、置換基としてエポキシ基を有していてもよいアルキル基が更に好ましい。
化合物(1)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリレート、2−イソシアノエチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、炭素数1〜18のパーフルオロアルキルを有するパーフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−(リン酸)エチル(メタ)アクリレート(2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフォスフェート)、トリアルコキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ジアルコキシメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、工業的に入手が容易である点と重合後に他の化合物との反応性を有する点において、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等がより好ましく、メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
ヨウ素末端ポリマーを構成する(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーには、1種類の化合物(1)に由来する構造単位が含まれていてもよく、2種以上の化合物(1)に由来する構造単位が含まれていてもよい。2種以上の化合物(1)に由来する構造単位が含まれている場合、通常、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーはランダムコポリマーとなる。
成分(A)の分子量は特に制限はないが、形成される硬化膜内で後述の良好なミクロ相分離構造を形成し得る観点から、数平均分子量(Mn)が800以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、2500以上が最も好ましい。また、150,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましく、10,000以下が最も好ましい。
成分(A)の分子量は、例えば、後述のリビングラジカル重合の条件により制御することができる。具体的には、モノマー、重合開始剤、触媒の濃度、反応温度、反応時間等により制御することができ、モノマー濃度を高く、開始剤濃度を低く、触媒濃度を高く、反応温度を高く、反応時間を長くすると高分子量となる傾向にある。
特に、後述のリビングラジカル重合によれば、このような分子量の制御が容易であり、また、成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)の狭いポリマーを製造することができる。成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)は2.0以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.4以下がさらに好ましく、1.2以下が特に好ましく、とりわけ1.1以下が好ましい。一方、成分(A)の分子量分布は通常、1.0より大である。
なお、ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、後述の実施例に記載される方法で測定される。
以下に、かかる成分(A)として好適な上記のヨウ素末端ポリマーのうち、少なくとも一つの末端に、ヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマー(以下、「ヨウ素末端ポリマー(A)」と称す場合がある。)について説明するが、成分(A)は、何ら以下のヨウ素末端ポリマー(A)に限定されるものではない。
[ヨウ素末端ポリマー(A)]
本発明に用いるヨウ素末端ポリマー(A)は、通常、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー(以下、「ヨウ素末端ポリマー(A)における主幹ポリマー」と称す場合がある。)の少なくとも一方の末端に、ヨウ素原子が結合した構造を有する。ヨウ素末端ポリマー(A)は本成分(A)の好ましい態様の一例である。
ヨウ素末端ポリマー(A)の製造方法は特に制限されないが、通常、ヨウ素末端ポリマー(A)は、好ましくは後述の製造方法に従って、リビングラジカル重合により製造され、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合時に一括で仕込んでから重合することにより製造される。重合に用いる(メタ)アクリル酸エステル系モノマーはメタクリル酸エステル系モノマー単独でもアクリル酸エステル系モノマー単独でも、これらの両方を併用してもよい。
アクリル酸エステル系モノマー又はメタクリル酸エステル系モノマーを単独で使用した場合、末端は当該モノマーに由来する構造単位にヨウ素原子が結合した構造をとる。
アクリル酸エステル系モノマーとメタクリル酸エステル系モノマーを併用した場合、重合温度により末端構造は異なるものとなり、通常、重合温度を50℃以上90℃未満で制御すればメタクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子の間の結合は開裂するが、アクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子の間の結合は開裂しないため、アクリル酸エステルモノマーを重合時に一括で仕込んでも、重合中もしくは重合停止時に仕込んでもポリマーの末端構造は、アクリル酸エステルモノマー由来の構造単位を介してヨウ素原子が結合している構造をとる。一方、通常、重合温度が90℃以上であるとメタクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子の間の結合も、アクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子の間の結合も両方開裂するため、ポリマーの末端構造はメタクリル酸エステル系モノマー由来の構造単位を介してヨウ素原子が結合しているものと、アクリル酸エステル系モノマー由来の構造単位を介してヨウ素原子が結合しているものとがランダムに混合した状態のものとなる。ヨウ素末端ポリマー(A)としては、前者の末端構造がアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位−ヨウ素原子である方が、光や熱に対する安定性により優れる点で好ましい。なお、ここでいう「開裂」とはラジカル開裂を意味する。
ヨウ素末端ポリマー(A)は通常のラジカル重合反応と同様、加熱により製造することができるが、所定のエネルギーに対応する波長の光を照射して重合反応を生起させることも可能である。光を照射して重合を進める場合には、後述の反応温度よりも低い温度で重合することが可能である。
本発明に用いるヨウ素末端ポリマー(A)における主幹ポリマーとなる(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーは、前記式(1)で表される化合物(1)(以下「(メタ)アクリル酸エステル(1)と称す場合がある。)に由来する構造単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル(1)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリレート、2−イソシアノエチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、炭素数1〜18のパーフルオロアルキルを有するパーフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−(リン酸)エチル(メタ)アクリレート(2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフォスフェート)、トリアルコキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ジアルコキシメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、工業的に入手が容易である点と重合後に他の化合物との反応性を有する点において、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等がより好ましく、メチル(メタ)アクリレート、又はグリシジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
ヨウ素末端ポリマー(A)における主幹ポリマーの(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーには、1種類の(メタ)アクリル酸エステル(1)に由来する構造単位が含まれていてもよく、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル(1)に由来する構造単位が含まれていてもよい。2種以上の(メタ)アクリル酸エステル(1)に由来する構造単位が含まれている場合、通常、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーはランダムコポリマーとなる。
[ヨウ素末端ポリマー(A)の製造方法]
本発明に用いるヨウ素末端ポリマー(A)は、好ましくは、リビングラジカル重合のポリマー末端の成長ラジカルの保護基となるヨウ素の存在下、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合することにより製造される。ただし、ヨウ素末端ポリマー(A)は、前述したヨウ素末端ポリマー(A)の特徴的な末端構造が得られる方法であれば、その製造方法は特に限定されない。
ヨウ素末端ポリマー(A)は、好ましくは、ヨウ素と、ラジカル重合開始剤(以下、単に「開始剤」と称す場合がある。)と、触媒の存在下に、溶媒中でメタクリル酸エステル系モノマーを重合させた後、反応系にアクリル酸エステル系モノマーを混合して反応させることにより製造される。なお、この場合、ヨウ素末端ポリマー(A)として、後述するヨウ素末端ポリマー(A1)が製造される。
<ヨウ素>
ヨウ素は、重合開始剤に対して0.05〜5モル当量、特に0.3〜1モル当量用いることが好ましい。ヨウ素の使用量が上記下限より多いと、未反応の重合開始剤や重合開始剤が解離して再結合した副反応物が多量に生成せず、またヨウ素の使用量が上記上限より少ないと重合速度が遅くならないため、所望の分子量の重合体を得るために重合時間が過度に長くならず好ましい。
<触媒>
触媒は、ヨウ素又はポリマー末端のヨウ素を引き抜いてリビングラジカル重合を進行させる機能を奏するものであり、通常、テトラブチルアンモニウムヨージド、エチルメチルイミダゾリウムヨージド等の第四級アンモニウムヨージド、トリブチルスルホニウムヨージド等のスルホニウムヨージド、ジフェニルヨードニウムヨージド等のヨードニウムヨージド、トリブチルメチルホスホニウムヨージド等のホスホニウムヨージド、テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン等のアミン類、トリフェニルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン等のホスフィン類を用いることができる。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒は、所望の重合度や重合時間に合わせて使用すればその割合は特に限定されないが、通常、重合開始剤に対して0.05モル当量以上で使用され、好ましくは0.3モル当量以上、より好ましくは0.5モル当量以上で使用される。また通常、重合開始剤に対して5モル当量以下で使用され、好ましくは3モル当量以下、より好ましくは2モル当量以下で使用される。触媒の使用量が上記下限より多いと重合速度が低くなりすぎないため、重合時間が長くならず、所定の重合時間で所望の分子量の重合体を得ることが容易となり、また上記上限より少ないと重合速度が速くなりすぎず、分子量分布を狭くでき、さらに末端にヨウ素が結合していない重合体の生成を抑えることができることから好ましい。
<重合開始剤>
ヨウ素末端ポリマー(A)の重合に用いる重合開始剤としては、公知のものが使用され、特に限定されず、通常用いられている有機過酸化物やアゾ化合物を使用することができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシル−3,3−イソプロピルヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジクミルヒドロパーオキシド、アセチルパーオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(イソブチレート)などが挙げられる。重合開始剤としては、ヨウ素と結合した後の安定性の点からアゾ化合物が好ましく、入手のし易さや解離温度の点から、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(イソブチレート)が好ましく使用される。これらの中でも、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)又は2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)がさらに好ましく使用される。
これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤は、所望の分子量に合わせて使用すればその割合は特に限定されないが、通常(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(後述するヨウ素末端ポリマー(A1)の場合はメタクリル酸エステル系モノマー)100モルに対して0.01モル以上で使用され、好ましくは0.05モル以上、より好ましくは0.1モル以上、最も好ましくは0.2モル以上で使用される。また通常5モル以下で使用され、好ましくは3モル以下、より好ましくは2モル以下、最も好ましくは1モル以下で使用される。
重合開始剤の量が上記下限値以上であると分子量が大きくなりすぎず、さらに重合後の未反応モノマーを少なくし易く、上記上限値以下であると分子量が小さくなりすぎず、ヨウ素が比較的少ない場合に未反応の重合開始剤や重合開始剤が解離して再結合した副反応物が多量に生成し難いことから好ましい。
<溶媒>
重合反応に用いられるモノマーなどを含む反応混合物が反応温度において液体であれば、必ずしも溶媒を用いる必要はないが、この場合も必要に応じて溶媒を用いてもよい。溶媒としては、一般的なリビングラジカル重合に用いられる溶媒を使用することが可能である。例えば水、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級あるいは多価のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルシクロプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;スワジールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶媒;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロゾルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類;ジアルキルグリコールエーテル類等を用いることができる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒は、通常(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(後述するヨウ素末端ポリマー(A1)の場合はメタクリル酸エステル系モノマーである。)1重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜2重量部程度の割合で使用されるが、また特に溶媒を使用しなくてもよい場合もある。
<リビングラジカル重合反応>
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、ヨウ素、開始剤、触媒及び溶媒を含む反応系内において、好ましくは50℃以上で行われ、より好ましくは60℃以上で行われる。また、好ましくは150℃以下で行われ、より好ましくは130℃以下で行われ、更に好ましくは110℃以下で行われ、特に好ましくは90℃以下で行われ、最も好ましくは80℃以下で行われる。
ここで、反応温度が上記下限以上であるとリビングラジカル重合反応が十分に進行し、上記上限以下であると所望のリビングラジカル重合ではない、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの熱による重合を抑制することができる。
反応時間は、反応温度や目的とする(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー、更にはヨウ素末端ポリマーの分子量によっても異なるが、通常10分〜150時間程度であり、好ましくは1〜24時間程度である。
反応後は後述のヨウ素末端ポリマー(A1)の製造方法における場合と同様にして精製、固液分離することによりヨウ素末端ポリマー(A)を回収することができる。
なお、ヨウ素末端ポリマー(A)の末端構造が、ヨウ素原子が結合したものであることは、例えば、後述の実施例の項に示されるように、MALDI−TOF法による分子量の測定結果から、末端構造の解析を行って同定することにより確認することができる。
[ヨウ素末端ポリマー(A1)]
ヨウ素末端ポリマー(A)は、特に、メタクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一方の末端に、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造を有するもの(以下、「ヨウ素末端ポリマー(A1)」と称することがある。また、ヨウ素末端ポリマー(A1)におけるメタクリル酸エステル系ポリマーを「ヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマー」と称することがある。)が光安定性に優れるものであるために好ましい。これは、末端の構造が、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位−ヨウ素原子であると、該構造単位のアクリル酸エステルのα位炭素原子はメタクリル酸エステルのα位炭素原子よりも立体障害が小さいためにアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位−ヨウ素原子の末端構造の安定性が高いためであると推定される。
ヨウ素末端ポリマー(A1)は、好ましくは、前述のヨウ素末端ポリマー(A)の製造方法に従って、リビングラジカル重合により製造され、その製造方法としてはヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマーを形成するメタクリル酸エステル系モノマーと、末端構造を形成する少量のアクリル酸エステル系モノマーを重合時に一括で仕込んでから重合してもよく、予めヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマーを形成するメタクリル酸エステル系モノマーを重合した後に、得られたヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマーであるメタクリル酸エステル系ポリマーに対して、更にアクリル酸エステル系モノマーを反応させてもよいが、分子量制御の点から好ましくは後者の方法で製造される。
ヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマーとなるメタクリル酸エステル系ポリマーは、前記式(1)で表される化合物(1)のうち、式(1)中のRがメチル基であるもの(以下「メタクリル酸エステル(1’)」と称す場合がある。)に由来する構造単位を含むことが好ましい。
メタクリル酸エステル(1’)の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)ブチルメタクリレート、2−イソシアノエチルメタクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、炭素数1〜18のパーフルオロアルキルを有するパーフルオロエチルメタクリレート、2−(リン酸)エチルメタクリレート(2−(メタクリロイルオキシ)エチルフォスフェート)、トリアルコキシシリルプロピルメタクリレート、ジアルコキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
これらのうち、工業的に入手が容易である点と重合後に他の化合物との反応性を有する点において、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等が好ましい。メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等がより好ましく、メチルメタクリレート、又はグリシジルメタクリレートが更に好ましい。
ヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマーのメタクリル酸エステル系ポリマーには、1種類のメタクリル酸エステル(1’)に由来する構造単位が含まれていてもよく、2種以上のメタクリル酸エステル(1’)に由来する構造単位が含まれていてもよい。2種以上のメタクリル酸エステル(1’)に由来する構造単位が含まれている場合、通常、メタクリル酸エステル系ポリマーはランダムコポリマーとなる。
また、ヨウ素末端ポリマー(A1)は通常のラジカル重合反応と同様、加熱により製造することができるが、所定のエネルギーに対応する波長の光を照射して重合反応を生起させることも可能である。光を照射して重合を進める場合には、後述の反応温度よりも低い温度で重合することが可能である。
このようにして製造されるヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマーであるメタクリル酸エステル系ポリマーは、通常、その両端のうちの一方の末端にのみ、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合したものとなるが、両末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造のものであってもよい。また、メタクリル酸エステル系ポリマーの末端において、ヨウ素原子とメタクリル酸エステル系ポリマーとの連結部となるアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位の数は、通常1単位であるが、2単位以上のアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介するものであってもよい。
<アクリル酸エステル系モノマーの反応>
上記のリビングラジカル重合に引き続いて、反応系にアクリル酸エステル系モノマーを混合して反応させることにより、メタクリル酸エステル系ポリマーの片末端又は両末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合したヨウ素末端ポリマー(A1)を得ることができる。
また、本発明において、ヨウ素末端ポリマー(A1)における主幹ポリマーのメタクリル酸エステル系ポリマーとヨウ素原子とを連結するアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位は、前記式(1)で表される化合物(1)のうち、式(1)中のRが水素原子であるもの(以下「アクリル酸エステル(1’)」と称す場合がある。)に由来する構造単位を含むことが好ましい。
アクリル酸エステル(1’)の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)ブチルアクリレート、2−イソシアノエチルアクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチルアクリレート、炭素数1〜18のパーフルオロアルキルを有するパーフルオロエチルアクリレート、2−(リン酸)エチルアクリレート(2−(アクリロイルオキシ)エチルフォスフェート)、トリアルコキシシリルプロピルアクリレート、ジアルコキシメチルシリルプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリテトラメチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
これらのうち、工業的に入手が容易であり、製造時に取扱いが容易で安全である点において、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等が好ましく、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等がより好ましく、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、又はn−オクタデシルアクリレートが更に好ましい。
なお、ヨウ素末端ポリマー(A1)は、通常、1つのアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を含むが、2以上のアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を含む場合、これらは同種のアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位であっても異なるアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位であってもよい。
ここで、アクリル酸エステル系モノマーは、ポリマー末端の理論量となるヨウ素の仕込み1モルに対して、通常0.1モル以上用いられるが、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは10モル以上、さらに好ましくは20モル以上である。また、通常400モル当量以下の割合で用いられ、好ましくは300モル以下、より好ましくは200モル以下、さらに好ましくは100モル以下である。
メタクリル酸エステル系ポリマーとアクリル酸エステルモノマーの反応時の反応温度は、好ましくは50℃以上で行われ、より好ましくは60℃以上で行われる。また、好ましくは90℃以下で行われ、より好ましくは80℃以下で行われる。
ここで、反応温度が上記下限以上であるとアクリル酸エステル系モノマーを十分に反応させることができ、上記上限以下であるとアクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合反応を制御することができ、メタクリル酸エステル系ポリマーの片末端又は両末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合したヨウ素末端ポリマー(A1)を得ることが可能となる。
本発明者らは、ポリマー末端のメタクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子間およびアクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子間の結合が解離する温度が異なり、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃程度の比較的低い温度ではメタクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子の結合は解離するが、アクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子間の結合はこのような温度では解離しにくいため、メタクリル酸エステル系モノマーの重合が進行しメタクリル酸エステル系ポリマーが生成した際に、系中にアクリル酸エステル系モノマーが存在すると、このような温度領域では通常、一つのアクリル酸エステル系モノマーが反応によりポリマー末端に取り込まれ、その後アクリル酸エステル系モノマーとヨウ素原子間の結合の解離は生起せず、最末端にヨウ素原子が結合した状態で反応が停止することを見出した。
従って、上記のような、アクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合反応は進行し得ない温度を選択して反応を行うことによりヨウ素末端ポリマー(A1)を製造することができる。
アクリル酸エステル系モノマーの反応時間は、反応温度や目的とする反応率によっても異なるが、通常10分〜24時間程度であり、好ましくは1〜12時間程度である。
本発明に用いるヨウ素末端ポリマー(A1)は、上記のようなアクリル酸エステル系モノマーの反応終了後、反応液の温度を0〜40℃程度に下げた後、必要に応じて、水、メタノール、ジエチルエーテル、ヘプタン等、ヨウ素末端ポリマー(A1)の溶解性が低い溶媒で沈殿精製するなどして不純物を除去した後、固液分離して回収される。その際、反応から精製、固液分離に至る操作は遮光下で行うことが好ましい。即ち、ヨウ素末端ポリマー(A1)は、末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合していることにより、従来のポリマーに比べて優れた光安定性を有するものであるが、光照射下で全く変色しないものではなく、長時間光に晒されると着色することがあるため、ヨウ素末端ポリマー(A1)の製造、回収、その後の保管は、遮光下で行うことが好ましい。
このようにして得られるヨウ素末端ポリマー(A1)の末端構造が、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合したものであることは、例えば、後述の実施例の項に示されるように、MALDI−TOF法による分子量の測定結果から、末端構造の解析を行って同定することにより確認することができる。
[成分(B)]
成分(B)は、分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ただし、成分(A)に該当するものを除く。)である。
分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、モノマーとオリゴマーの混合物であってもよい。分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物のうち、モノマーとしては、単官能モノマー、多官能性モノマー、例えば多価アルコールと(メタ)アクリレートとの脱アルコール反応物などを用いることができる。オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
本発明で用いる成分(B)は、活性エネルギー線照射及び/又は加熱による成分(A)の末端重合活性基へのリビングラジカル重合で、得られる硬化膜中に、後述のスピノーダル分解による良好なミクロ相分離構造を形成することができるという観点から、(メタ)アクリロイル基を1つのみ有する化合物(単官能(メタ)アクリレート)と、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物(2官能以上の多官能(メタ)アクリレート)とを含むものであることが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチル(メタ)アクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、分子量が小さすぎないため揮発しにくく、分子量が大きすぎないため、分子の運動性が高く重合が進行し易い点から、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの中でもジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(=1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ブタン)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレートや、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートや、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
これらの2官能以上の多官能(メタ)アクリレートについても、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうち、工業的に原料の入手が容易であり、分子量が大きすぎないため分子の運動性が高く重合が進行し易い点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ブタン、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの中でも1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)ブタン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
成分(B)は、通常、単官能(メタ)アクリレートを1〜99重量%、2官能以上の多官能(メタ)アクリレートを99〜1重量%(ただし、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの合計で100重量%)含有する。
このうち単官能(メタ)アクリレートは5〜95重量%含有されることが好ましく、20〜92重量%含有されることがさらに好ましく、50〜90重量%含有されることがより好ましく、60〜85重量%含有することが最も好ましい。この範囲内において単官能(メタ)アクリレートが多いほど、2官能以上の多官能(メタ)アクリレートが少なくなり、成分(A)の末端からのポリマーが十分に伸長することができるために共連続相を有する相分離構造が形成し、所望の硬化膜を得ることが可能となる。逆に、この範囲内において単官能(メタ)アクリレートが少ないほど、2官能以上の多官能(メタ)アクリレートが多くなり、架橋構造が多くなるために硬化膜として脆弱となりにくい。
[成分(C)]
成分(C)としては、シリカ微粒子の内部が空洞となっている中空シリカ微粒子が用いられる。
成分(C)として用いる中空シリカ微粒子の平均一次粒子径は、0.1nm以上50nm以下であることが好ましく、1nm以上40nm以下であることがより好ましく、2nm以上30nm以下であることがさらに好ましく、3nm以上20nm以下であることが特に好ましく、5nm以上15nm以下であることが最も好ましい。
中空シリカ微粒子の平均一次粒径が上記の下限値未満であると、低反射率化を実現した場合に、良好な耐スチールウール性および防汚性が得られないおそれがある。一方、中空シリカ微粒子の平均一次粒径が上記の上限値を超えると、中空シリカ微粒子の空隙比率が大きくなるので、所望の硬度が得られないおそれがあり、また形成される硬化膜の膜厚が100nm程度の場合には、中空シリカ微粒子の一部が膜表面から突き出てしまい、硬化膜が白濁するおそれがあり、また耐スチールウール試験時に、スチールウールが硬化膜から突き出た中空シリカ微粒子に引っ掛かり、傷が生じてしまうおそれがある。
なお、中空シリカ微粒子の平均一次粒径は、例えば、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡で倍率が5万倍以上のものが好ましい)の画像から、画像処理ソフトウェアを用いて求めることができる。また、断面電子顕微鏡(TEM、STEM等の透過型電子顕微鏡で倍率が5万倍以上のものが好ましい)の画像を用い、縮尺を考慮し、手動にて平均値を算出することによって中空シリカ微粒子の平均一次粒径を求めてもよい。この場合、1画像の中で中空シリカ微粒子のうち大きさが大きい方から10個の中空シリカ微粒子を選び、これを5画像分行い、合計50個の中空シリカ微粒子から平均値を算出する。また、中空シリカ微粒子が単体で存在する場合、すなわち中空シリカ微粒子が硬化膜や硬化性組成物に組み込まれる前の段階であれば、中空シリカ微粒子の平均一次粒径はレーザー散乱法によって測定することができる。レーザー散乱法による測定結果と断面電子顕微鏡の画像からの算出結果はほぼ等しくなる。
中空シリカ微粒子としては、表面に光重合性官能基を有していることが好ましい。このような表面に光重合性官能基を有するシリカ微粒子は、シランカップリング剤等によってシリカ微粒子を表面処理することによって作成することができる。シリカ微粒子の表面をシランカップリング剤で処理する方法としては、シリカ微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、シリカ微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
中空シリカ微粒子は、該当する市販品を用いてもよく、例えば日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子「スルーリア4320」等を用いることができる。
[成分(A)、成分(B)および成分(C)の含有割合]
本発明の硬化性組成物は、前記の成分(B)100重量部に対して、成分(A)を1〜99重量部含有する。硬化性組成物中の成分(A)の含有量が多いと所望の相分離を生起させることが可能であり、少ないと粘度が高くなり過ぎず、成膜・成形時の取り扱いが容易である。このため、本発明の硬化性組成物は、成分(B)100重量部に対して、成分(A)を5重量部以上含むことが好ましく、10重量部以上含むことがより好ましく、20重量部以上含むことがさらに好ましく、30重量部以上含むことが特に好ましく、40重量部以上含むことが最も好ましい。また、成分(B)100重量部に対して、成分(A)を90重量部以下含むことが好ましく、80重量部以下含むことがより好ましく、70重量部以下含むことがさらに好ましく、60重量部以下含むことが特に好ましく、50重量部以下含むことが最も好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、成分(C)を成分(B)100重量部に対し、0.5〜30重量部含有していることが、成分(C)が成分(A)と成分(B)の混合物に均一に分散し、透明性が確保しやすい点から好ましい。成分(B)に対する成分(C)の含有量が上記下限以上であると成分(C)を含有することによる反射率の低減効果をより確実に得ることができる。一方、成分(B)に対する成分(C)の含有量が上記上限以下であると反射率が低減し、透明性を十分に確保することが可能である。このため、本発明の硬化性組成物は、成分(C)を成分(B)100重量部に対して1重量部以上含むことがより好ましく、1.5重量部以上含むことが更に好ましく、2重量部以上含むことが特に好ましく、3重量部以上含むことが最も好ましい。また、25重量部以下含むことがより好ましく、20重量部以下含むことが更に好ましく、15重量部以下含むことが特に好ましく、10重量部以上含むことが最も好ましい。
[触媒]
本発明の硬化性組成物は、リビングラジカル重合の反応性を向上させるために、触媒を含有することが好ましい。
触媒としては、リビングラジカル重合の反応に使用できる公知のものを用いることができ、前述のヨウ素末端ポリマー(A)の製造に用いる触媒として例示したものの1種又は2種以上を用いることができる。
触媒の含有量は、反応性を高める観点から、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対し、好ましくは0.01重量部以上であり、より好ましくは0.05重量部以上であり、更に好ましくは0.1重量部以上である。また、触媒の含有量は、塗膜の着色を抑制する観点から、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下であり、更に好ましくは5重量部以下である。
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前述の成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び触媒以外の他の成分を含有していてもよい。硬化性組成物が含有し得る他の成分としては、各成分を均一に混合するための溶媒や、帯電防止剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの各種の常用の添加剤などが挙げられる。
溶媒としては、特に限定されるものではなく、成分(A)、成分(B)、成分(C)や下地となる基材の材質、組成物の塗布方法などを考慮して適宜選択される。溶媒の具体例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;などが挙げられる。
これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく使用される。
溶媒の使用量には特に制限はなく、調製される硬化性組成物の塗布性、液の粘度・表面張力、固形分の相溶性等を考慮して適宜決定される。通常、本発明の硬化性組成物は、上述の溶媒を用いて固形分濃度が20〜100重量%、好ましくは30〜100重量%の塗液として調製される。なお、ここで、硬化性組成物中の固形分とは、硬化性組成物に含まれる溶媒以外の成分の合計を意味する。なお、本発明の硬化性組成物は溶媒を含まず、固形分100重量%のものであってもよい。
[硬化性組成物の調製方法]
本発明の硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、例えば、前述の成分(A)、成分(B)及び成分(C)と、必要に応じて更に前述の触媒などと併せて混合することにより調製することができる。
[用途]
本発明の硬化性組成物の用途は特に限定されるものではないが、特に、以下に記載する硬化膜に形成のために工業的に有用である。
〔硬化物・積層体〕
本発明の硬化性組成物に、活性エネルギー線照射及び/又は加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。特に、硬化性組成物を基材の上で硬化させることにより、硬化性組成物の硬化膜を基材上に形成してなる積層体(以下、「積層体」と称することがある。)とすることができる。また、硬化性組成物を基材の上でフィルム状に硬化させることで、硬化フィルムを得ることができる。また、基材として他の樹脂フィルム上に硬化性組成物を塗布し、硬化させて硬化膜を形成することで、他の樹脂フィルム上に硬化膜を積層してなるフィルム積層体が得られる。
硬化膜を得る際に使用される上記基材としては、各種樹脂フィルム及び樹脂板などを使用することができる。樹脂フィルムとして、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ジアセチレンセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム等が使用できる。また、樹脂板として、例えばアクリル板、トリアセチルセルロース板、ポリエチレンテレフタレート板、ジアセチレンセルロース板、アセテートブチレートセルロース板、ポリエーテルスルホン板、ポリウレタン板、ポリエステル板、ポリカーボネート板、ポリスルホン板、ポリエーテル板、ポリメチルペンテン板、ポリエーテルケトン板、(メタ)アクリルニトリル板などが挙げられる。また、必要に応じてガラスなどを使用することもできる。これらの基材はいずれも透明性に優れ、後述の光学フィルムへの適用にも好ましい。なお、基材の厚さは、用途に応じて適時選択することができるが、一般に25〜1000μm程度のものが用いられる。
硬化性組成物を基材上で硬化させる際、基材への硬化性組成物の塗布方法は特段限定されない。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書)などの方法により塗布することができる。
硬化性組成物の塗布により得られた塗膜、又は塗布後、必要に応じて乾燥させた塗膜を硬化させることによって、硬化物として硬化膜を形成することができる。硬化は、必要に応じた波長の活性エネルギー線を発する光源を用いて塗膜に光を照射することによって行うことができる。なお、硬化のための光照射は、積算光量が100mJ/cm〜20,000mJ/cmとなるよう照射することが好ましい。光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド、キセノンフラッシュ、紫外線LED、電子線などを用いることができる。
なお、後掲の実施例に示すように、硬化性組成物を上記のような基材に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成すると、成分(A)の末端から成分(B)が重合することで、相分離後のドメインの界面が共連続構造を取り、結果、ドメインのサイズが小さくなり、一方で、低屈折率の成分(C)の表面シラノール残基が高極性であることにより、主としてこの相分離構造のドメイン内に存在するため、塗膜が透明になるものと考えられる。一方、成分(A)の代わりに末端に重合を開始する起点を持たないポリマーを用いた場合、成分(B)のみが重合すると成分(A)のみが排除体積効果により凝集し、結果、ドメインのサイズが大きくなるために塗膜が透明にはならないものと考えられる。
さらに、本発明の硬化性組成物を上記のような基材に塗布し、これに活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成する際に、活性エネルギー線を基材と反対側、即ち、塗膜側から、塗膜の表面近傍で酸素の存在下で照射することにより、硬化膜の内部において、スピノーダル分解により形成されるドメインの大きさが、基材側より活性エネルギー線を照射した側に向けて徐々に小さくなって硬化膜表面側に傾斜するミクロ相分離構造の硬化膜を形成することができる。
これは、膜表面の空気界面では、空気中の酸素により重合阻害が起こるのに対して、膜の深部にゆくに従って、重合阻害がなくなるため、重合が進行し易くなり、重合の進行に伴って、スピノーダル分解による相分離で比較的大きなドメインが形成され、膜の深部から、膜表面側に向けて、酸素による重合阻害で比較的小さなドメインが形成されるようになることによるものと考えられる。
なお、ここで、「相分離構造」とは、原子間力顕微鏡による解析において位相像として、区別される構造を有していることを意味する。
〔本発明の膜〕
本発明のその他の態様として、本発明の膜は、基材表面に形成された膜であって、下記式(2)を満足することを特徴としている。
0.1%≦[シリカの体積分率]<[シリカの体積分率] …(2)
(上記式(2)中、[シリカの体積分率]及び[シリカの体積分率]は三次元Tomographyにより測定され、[シリカの体積分率]は膜の表面から深さ0μm以上3μm以下の少なくとも一つの領域の単位体積当たりにシリカ微粒子が占める体積の比率であり、[シリカの体積分率]は膜の基材界面から深さ0μm以上3μm以下の少なくとも一つの領域の単位体積当たりにシリカ微粒子が占める体積の比率である。)
この膜の製造方法は特に制限されないが、好ましくは、前述の本発明の硬化性組成物を使用することにより得ることができる。
ここで、三次元Tomographyは以下の通り実施される。
<三次元Tomography>
透過型電子顕微鏡(日本電子製:JEM−2100、搭載電子銃:LaB6)を用いて、100nmに切り出した薄膜切片を−50°から+50°まで1°ごとに傾けながら撮影した。得られた二次元データを再構築・解析ソフト(システムインフロンティア製:Composer Ver3.0, VISUALIZER−KAI)により結像させ、硬化膜中のシリカ含有率を算出する。
本発明のその他の態様の膜の形成に用いるシリカは、上記の成分(C)の中空シリカ微粒子の他、以下のアクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子(以下、「別態様のシリカ粒子」と称す場合がある。)を用いることもできる。
アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子は、例えば、溶媒に分散させたシリカ粒子と、アクリロイル基を有するシラン化合物とを加水分解縮合反応させることにより製造することができる。アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子は例えば、特開2006−249322号公報に記載されている方法により製造することが可能であり、より具体的には、表面をアクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子は、まず、有機溶媒を分散媒とするシリカ粒子に、アクリロイル基を有するシラン化合物を加え、さらに水、アセチルアセトンアルミニウムを加水分解触媒として加えて、加熱下で攪拌しながら加水分解反応を進行させることで得ることができる。
溶媒に分散させたシリカ粒子としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、キシレン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、シクロヘキサノン等の1種又は2種以上の溶媒に分散させたシリカ粒子が挙げられる。これらは市販品として入手することが可能であり、その例としては例えば、日産化学工業(株)製メタノールシリカゾルMA−ST−M、イソプロピルアルコールシリカゾルIPA−ST、エチレングリコールシリカゾルEG−ST、キシレン/ブタノールシリカゾルXBA−ST、ジメチルアセトアミドシリカゾルDMAC−ST、メチルエチルケトンシリカゾルMEK−ST、メチルイソブチルケトンシリカゾルMIBK−ST、エチレングリコールモノn−プロピルエーテルシリカゾルNPC−ST−30、プロピレングリコールモノメチルエーテルシリカゾルPGM−ST、酢酸エチルシリカゾルEAC−ST、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートPMA−ST、トルエンシリカゾルTOL−ST、シクロヘキサノンシリカゾルCHO−ST−M等を用いることができる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記溶媒に分散させたシリカ粒子は、平均一次粒子径が、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが更に好ましく、一方、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、30nm以下であることが特に好ましい。前記シリカ粒子の平均一次粒子径が上記下限値以上であると耐傷付性、表面硬度が向上する傾向にあり、また、上記上限値以下であると硬化物の透明性が良好となる傾向にある。なお、本発明における溶媒に分散させたシリカ粒子の平均一次粒子径は、BET吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準拠)を求め、以下の式から換算値として求められる値であるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
[平均一次粒子径(nm)]=
6,000/〔[比表面積(m/g)]×[密度(g/cm)]〕
また、アクリロイル基を有するシラン化合物としては、例えば、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジエトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルエトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリロイル基を有する化合物で表面を修飾したシリカ粒子のシリカ粒子表面に修飾されるアクリロイル基の量(表面を(メタ)アクリロイル基を有する化合物により修飾されてなるシリカ粒子1g当りの二重結合量(mol))、仕込み値からの計算値で0.1〜2.0mmol/gであることが好ましく、0.2〜1.5mmol/gがより好ましく、0.3〜1.0mmol/gが更に好ましい。
なお、本発明の別の態様においては、未だ推察の域を出ず、下記の推察に限定されるものではないが、本発明の別の態様は、傾斜がより表面の薄い領域で見られることを規定し、さらに、成分(A)を成分(B)よりも高極性とし、シリカとの親和性が良いエポキシ基が導入されたことにより、シリカがより表面に配置される。そのため、中空シリカのみならず、上記のようなコロイダルシリカでも、本発明の効果を得ることができるようになったものと推察される。
本発明の硬化膜の[シリカの体積分率]が0.1%以上であることにより、シリカが表面のみに存在することなく膜全体に分布することで、屈折率が傾斜し低反射になる。[シリカの体積分率]は好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、最も好ましくは5%以上である。
また、[シリカの体積分率]よりも[シリカの体積分率]が大きいことは、屈折率の低いシリカ粒子が基材側より表面側に多く分布していることを示し、反射率の低減に寄与するものである。
また、[シリカの体積分率]は、反射率低減の観点から7%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。一方、表面近傍のシリカの凝集を抑制し、透明性を確保する観点から、[シリカの体積分率]は70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
また、[シリカの体積分率]と[シリカの体積分率]の差は2〜30%程度であることが好ましい。
以下、上記式(2)を満足する本発明の硬化膜の構造を「本発明のシリカ分布構造」と称す場合がある。
本発明の膜の厚みは、特に限定されないが、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、更に好ましくは10μm以上であり、特に好ましくは15μm以上であり、最も好ましくは20μm以上である。また、膜の厚みは、好ましくは1,000μm以下であり、より好ましくは700μm以下であり、更に好ましくは400μm以下であり、特に好ましくは150μm以下であり、最も好ましいのは50μm以下である。膜の厚みが上記範囲内であることが、光学フィルム等の用途において、本発明の膜が有する相分離の傾斜した構造による物性を十分に利用する観点から好ましい。
〔膜の製造方法〕
本発明の膜の製造方法は特に制限されないが、少なくともエチレン性不飽和結合を有する化合物と、前述の成分(C)の中空シリカ微粒子及び/又は別態様のシリカ粒子等のシリカ粒子を含有する硬化性組成物の硬化物から形成されていることが好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する化合物におけるエチレン性不飽和結合としては、その種類は特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。本発明の膜の原料として用いることができるエチレン性不飽和結合を有する化合物の一分子中でのエチレン性不飽和結合の数は特に制限されないが、通常、1〜15である。また、エチレン性不飽和結合の数が異なる原料を2種以上混合して用いてもよい。
エチレン性不飽和結合を有する化合物の中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種のみでも2種以上を組み合わせて用いることもできるが、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを含むことが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種をのみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;これらの(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物の変性物;イソシアヌレート構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の窒素原子含有複素環構造を有する多官能(メタ)アクリレート;デンドリマー構造を有する多官能(メタ)アクリレート、ハイパーブランチポリマー構造を有する多官能(メタ)アクリレート等の多分岐樹枝状構造を有する多官能(メタ)アクリレート;ジイソシアネート又はトリイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリレートが付加したウレタン(メタ)アクリレート、イソシアネート化合物とジオール化合物を反応させて得られた末端にイソシアネート基を有する反応生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートが付加したウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
以上に挙げたエチレン性不飽和化合物の中でも、本発明の膜は少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する化合物から形成されていることが好ましく、少なくとも多官能(メタ)アクリレートから形成されていることがより好ましく、多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとから形成されていることが更に好ましい。
また、エチレン性不飽和結合を有する化合物におけるエチレン性不飽和結合の数は特に限定されるものではないが、通常、15個以下であり、好ましくは10個以下、より好ましくは6個以下、更に好ましくは4個以下、最も好ましくは2個以下である。エチレン性不飽和結合の数が少ないほど、ドメインサイズが小さくなるため透明性が確保し易いために好ましい。また、エチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和結合の数が2個以上であると重合体同士が架橋されるために膜が強靭になるため好ましい。
本発明の膜を得る際には、通常、エチレン性不飽和結合を有する化合物、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、前述の成分(C)の中空シリカ微粒子及び/又は別態様のシリカ粒子を有機溶媒と混合した硬化性組成物とする。次いで、これを基材上に塗工して塗工膜とし、これに活性エネルギー線を照射して硬化膜とすることが好ましい。上記の製造方法において用いることのできる有機溶媒、及び基材は、上記した成分(A)、成分(B)及び成分(C)(成分(C)の代りに別態様のシリカ粒子を用いてもよい。)を含有する本発明の硬化性組成物に使用される有機溶媒、及び積層体に使用される基材がそれぞれが挙げられる。また、本発明の膜を得る際に用いられる硬化性組成物は、上記した成分(A)、成分(B)及び成分(C)(成分(C)の代りに別態様のシリカ粒子を用いてもよい。)を含有する硬化性組成物が好ましい。
上記塗工膜を硬化する際の活性エネルギー線の照度は特に限定されるものではないが、好ましくは1,000mW/cm以下であり、より好ましくは600mW/cm以下であり、より好ましくは300mW/cm以下であり、更に好ましくは200mW/cm以下であり、特に好ましいのは150mW/cm以下である。また、塗工膜を硬化する際の活性エネルギー線の照度は好ましくは1mW/cm以上であり、より好ましくは5mW/cm以上であり、更に好ましくは10mW/cm以上であり、特に好ましいのは20mW/cm以上であり、最も好ましいのは50mW/cm以上である。照度が上記上限以下であると相分離構造を形成するのに十分な重合時間が確保されるために好ましい。また、照度が上記下限以上であると活性エネルギー線照射により成分(A)の末端活性ラジカルが重合に必要な量発生するため所望の相分離構造を形成し易くなるために好ましい。
塗工膜を硬化する際の活性エネルギー線の照射時間は特に限定されるものではないが、好ましくは0.01秒以上であり、より好ましくは0.1秒以上であり、更に好ましくは0.3秒以上であり、特に好ましくは0.5秒以上であり、最も好ましいのは1秒以上である。また、塗工膜を硬化する際の活性エネルギー線の照射時間は好ましくは10時間以内であり、より好ましくは1時間以内であり、更に好ましくは10分以内であり、特に好ましいのは1分以内であり、最も好ましいのは10秒以内である。活性エネルギー線の照射時間が上記下限以上であると成分(B)に含有される多官能アクリレートによって架橋が進むために膜の強度が高くなり易いために好ましい。また、活性エネルギー線の照射時間が上記上限以内であると相分離が形成するまでに必要な時間が十分に確保されるために好ましい。
本発明の膜は、特に好ましくは、前述の本発明の硬化性組成物を用い、これに活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成する際に、活性エネルギー線を基材と反対側、即ち、塗膜側から、塗膜の表面近傍で酸素の存在下で照射することが好ましい。このようにして活性エネルギー線を照射することにより、硬化膜の内部において、ドメインの大きさが、基材側より活性エネルギー線を照射した側に向けて徐々に小さくなって硬化膜表面側に傾斜し、それに伴い中空シリカ粒子がより極性の高いドメインに選択的に配置することにより中空シリカ微粒子の体積分率が硬化膜表面側に大きくなるミクロ相分離構造の膜、即ち本発明のシリカ分布構造を有する膜を形成することができる。これは、膜表面の空気界面では、空気中の酸素により重合阻害が起こるのに対して、膜の深部にゆくに従って、重合阻害がなくなるため、重合が進行し易くなり、重合の進行に伴って、スピノーダル分解による相分離で比較的大きなドメインが形成され、膜の深部から、膜表面側に向けて、酸素による重合阻害で比較的小さなドメインが形成されるようになり、その結果、前述と同じく中空シリカが片方のドメインに選択的に配置することにより、膜表面側の方が硬化膜の深部よりも中空シリカ微粒子の体積分率が大きくなることによるものと考えられる。なお、本発明の膜を得る場合において、上記した条件以外は本発明の硬化物を得る場合と同様にして実施することができる。
なお、本発明のシリカ分布構造を有する膜を製造する際に、本発明の硬化性組成物において、成分(A)として前述のヨウ素末端ポリマーを用い、成分(B)として多官能(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートを用いる場合、それぞれの成分は次のようにして膜を形成する反応に寄与するものと考えられる。
すなわち、本発明の硬化性組成物を酸素存在下で光重合架橋をすると、成分(A)のヨウ素末端が光重合開始点となり、その開始点から成分(B)のリビングラジカル重合が進行する。この際成分(A)の末端から成分(B)の重合が進行するにつれて、成分(A)と成分(B)の重合部分が相分離するが、通常の2種類のポリマーを混合した場合のスピノーダル分解と異なり、共連続相分離状態となるためにドメインサイズが小さくなるものと考えられる。更に膜表面近傍には酸素が存在するため、その重合禁止効果によって膜表面は内部に比べて重合の進行が遅くなり、成分(A)と成分(B)の重合体がなす相分離構造は表面付近ではより均一に近くなるものと考えられる。
本発明の硬化性組成物を使用して基材フィルム上に硬化膜を形成してなる積層体及び本発明のシリカ分布構造を有する膜は、各種の用途に適用される。本発明の硬化性組成物の硬化物及び本発明のシリカ分布構造を有する膜は、ドメインサイズが小さく、透明性に優れ、かつ中空シリカ微粒子により低反射率のものを得ることが可能であるため、特に各種の光学用途に用いられる光学フィルムとして好適に使用され得る。特に、ドメインの大きさが硬化膜の基材側から表面側へ向けて徐々に小さくなる傾斜構造を有することで、中空シリカ微粒子の体積分率が硬化膜の基材側から表面側へ向けて徐々に大きくなる本発明のシリカ分布構造を有する膜は、原料を選択して、更に屈折率の高い成分及び/又は低い成分の相分離により形成されたドメインに局在化させることにより硬化膜内部に屈折率の傾斜がつき、空気と膜の界面における光の反射がこの屈折率の傾斜のため抑制され低反射率になり、ディスプレイ等において好適な反射防止フィルムへの使用が期待される。また、本発明のシリカ分布構造を有する膜は、原料を選択して、更に粘弾性の高い成分及び/又は低い成分の相分離により形成されたドメインに局在化させることにより硬化膜内部に粘弾性の傾斜がつき、フレキシブルディスプレイ等において好適な保護フィルムへの使用が期待される。
反射防止フィルム等の光学フィルムとしての使用において、本発明の硬化性組成物を使用する積層体には必要に応じて特殊な処理を施して光学的機能(光透過、光拡散、集光、屈折、散乱、ヘーズ(HAZE)等の諸機能)を付与してもよい。光学フィルムとしての用途において、本発明の積層体は単独で、又は数種の光学フィルムをコーティング剤、又は接着剤で多層に積層して光学素子用積層体として使用してもよい。本発明の積層体が適用される光学フィルムとしては、例えば、ハードコートフィルム、帯電防止コートフィルム、防眩コートフィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム(プリズムシートともいう)、導光フィルム(導光板ともいう)等が挙げられる。かかる光学フィルムは、液晶表示装置、PDPモジュール、タッチパネルモジュール、有機ELモジュール等に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。また、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
なお、以下の合成例で得られたポリマーの構造及び物性は、下記の方法により評価した。
(1)ポリマーの末端構造の同定
MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization:マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)−TOF(Time Of Flight:飛行時間型)法(Bruker社製「Autoflex III」を使用)、励起レーザー強度:出力60%)でポリマーの分子量を測定し、下記式に適合する分子量が確認されるか否かで末端構造を同定した。
IN+(MM1×N+MM2×N+・・・)+M+M+M 又は
IN+(MM1×N+MM2×N+・・・)+M+M+MNa
上記式中、各記号は、それぞれ、以下の意味を表す。
IN:開始剤解離後の分子量(=開始剤の分子量の1/2)
M1、MM2・・・:主幹ポリマーを構成するモノマーの分子量(M、M
・・は異なるモノマーを表す。)
N:自然数
:末端側のアクリル酸エステルの分子量
:ヨウ素原子の原子量(=126.90)
:水素原子の原子量(=1.01)
Na:ナトリウム原子の原子量(=22.99)
例えば、合成例1のように、開始剤が2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−70」)(解離後の分子量=154.21)、主幹ポリマーを構成するモノマーがメチルメタクリレート(分子量=100.12)、末端のアクリル酸エステルがブチルアクリレート(分子量=142.20)である場合、下記式で表される分子量となる。
154.21+100.12×N+142.20+126.90+1.01 又は
154.21+100.12×N+142.20+126.90+22.99
上記の分子量の測定結果をもとに同定を行い、下記基準で評価した。なお、ここで所望の末端構造とは、(ポリメチルメタクリレート)−(各種アクリレートに由来する構造単位)−Iの構造となっていることを意味する。
○:上記式に適合する分子量が確認され、所望の末端構造が存在する。
×:上記式に適合する分子量が確認されず、所望の末端構造は存在しない。
(2)分子量
GPC測定法により以下の条件にて、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
機器:島津製作所製「RID−10A/CBM−20A/DGU−20A3,
LC−20AD/DPD−M20A/CTO−20A」
カラム:東ソー社製「TSKgel superHM−N」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒:クロロホルム、 温度:40℃、 流速:0.3mL/分、
注入量:20μL
濃度:0.1重量%、 較正試料:単分散ポリスチレン、 較正法:ポリスチレン
[合成例1:ヨウ素末端ポリマー(PMMA−BA−I)の合成]
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−70」):2.8重量部、ヨウ素:1.5重量部、及びアニソール:120重量部を仕込み、溶液が均一になるまで撹拌した。系内を遮光し窒素置換後、65℃まで昇温し、0.5時間撹拌した。続いてメチルメタクリレート(MMA):120重量部、及びテトラブチルアンモニウムヨージド(BuNI):4.4重量部を添加し、70℃で2時間撹拌した。さらにn−ブチルアクリレート(BA):120重量部を添加し、70℃で3時間撹拌した。その後、室温まで冷却後、遮光下において、メタノールへの沈殿精製により白色粉末としてヨウ素末端ポリマー(PMMA−BA−I)を得た。
得られたポリマーの末端構造と分子量を上記(1)、(2)の通り評価した。その結果を表−1に示す。
Figure 2018135481
表−1より、メタクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合で得られた主幹ポリマーに更にアクリル酸エステル系モノマーを反応させることにより、末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造のヨウ素末端ポリマーが製造されたことが分かる。
[合成例2:中空シリカナノ粒子(中空Si−A)の合成]
塩酸水溶液(2.0mol/L):60mLに、非イオン性界面活性剤(AnaSpec社製「Pluronic F−127」):250mgを溶解し、更に1,3,5−トリメチルベンゼン(東京化成工業社製):250mg、塩化カリウム(関東化学社製):875mgを添加して、40℃にて2時間撹拌した。その後、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(SIGMA−ALDRICH社製):1.0gを添加し、さらに40℃にて1時間撹拌後、100℃まで昇温し、24時間反応させた。冷却後、水酸化カリウム水溶液(2.0mol/L)を徐々に加えpHを9にした後、この溶液に同量のエタノールを加えて撹拌し、界面活性剤を溶解させた。遠心分離(SIGMA社製「テーブルトップ冷却遠心分離機4−16K」、SPEED:10000、温度:5℃、15分間)により上澄みを除去後、また同量のエタノールを加え、遠心分離、上澄み除去という工程を3回繰り返し、中空シリカエタノール湿潤物を得た。
別途、酢酸と水を混合しpHを4に調整した水溶液:10.8gに、へキシルトリメトキシシラン(東京化成工業社製):1.2g、メタノール:8.0gを加え、室温にて1時間撹拌した後、さらにメタノール:30.0gを配合した溶液をシランカップリング剤溶液として用意した。
このシランカップリング剤溶液に前述の中空シリカエタノール湿潤物:1.50gを加え、超音波ホモジナイザー(EMERSON社製「BRANSON SONIFIER 250」、DutyCycle:30% Output Control:3)を用いて超音波を照射し、得られた溶液を遠心分離にかけ、上澄みを除去後、メチルイソブチルケトン(MIBK):600gに分散し、中空シリカナノ粒子(中空Si−A)のMIBK分散液(中空シリカナノ粒子/MIBK=5/1000 重量比)を得た。TEM観察像から求めたこの中空シリカナノ粒子の平均一次粒子径は約10nmであった。
[実施例1]
表面修飾した中空シリカナノ粒子(中空Si−A)分散液:5.60gを遠心分離(SIGMA社製「テーブルトップ冷却遠心分離機4−16K」、SPEED:10000、温度:5℃、15分間)し、上澄み液を除去した後、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)(東京化成工業社製):373mgを添加して、超音波ホモジナイザー(EMERSON社製「BRANSON SONIFIER 250」、DutyCycle:20% Output Control:2)を用いて、15分間超音波を照射し分散液とした。この分散液に、ヨウ素末端ポリマー(PMMA−BA−I):200mg、トリフェニルホスフィン(TPP)(関東科学社製):7.5mg、1,4−ビス(アクリロイルオキシ)ブタン(DA)(東京化成工業社製):93.3mgを溶解させ、硬化性組成物塗工液を得た。
前記硬化性組成物塗工液をトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み:40μm)上にバーコート成膜後、大気下で、Hgランプ(ウシオ電機社製「SP−9」、365nm,50mW/cm、iバンドパスフィルター(ウシオ電機社製「SP−9用365nmバンドパスフィルタ」)、熱線カットフィルター(ウシオ電機社製「SP−9用熱線カットフィルタ3」))によりUV光を30分間照射することで透明な光硬化膜(膜厚10μm)を形成させた。
得られた硬化膜付TACフィルムについて、以下の方法で反射率の評価を行い、結果を表−2に示した。表−2には、硬化性組成物中のPMMA−BA−I、中空Si−A、DMAEA、DA、TPPの配合割合も示す。
<反射率の評価法>
硬化膜付きTACフィルムの裏面を紙やすり(三共理化学社製#2000)を用いて縦横に傷をつけ、その上を黒色油性マジックで塗りつぶす。分光光度計(日本分光社製、「V−670」)を用いて絶対反射率を測定した。
なお、反射率の評価は次の通り行った。
◎: 反射率が3.0%未満
○: 反射率が3.0%以上、3.5%未満
△: 反射率が3.5%以上、4.0%未満
×: 反射率が4.0%より大きい
また、得られた硬化膜付TACフィルムについて、以下の方法でシリカの体積分率の評価を行った。
<シリカの体積分率の評価法>
硬化膜付きTACフィルムを1mm×1cmのサイズに切り出し、電子顕微鏡用平板包埋板(堂阪イーエム株式会社)に入れた。更に包埋樹脂(東亜合成社製 可視光硬化性包埋樹脂「アロニックスLCR D−800」)を入れ、切り出した硬化膜付きTACフィルムを包埋樹脂のほぼ中央に配置し、包埋樹脂が完全に硬化するまで紫外線照射(ランプ:USHIO社製、「SP−9 SPOT CURE」)した。サンプルを含有する包埋樹脂を常温切削ウルトラミクロトーム(ライカ社製、「EM UC7」)にてスライスし、約100nmのサンプル片を作成しグリッド(イーエムジャパン社「カーボン20支持膜」)を用いてすくいあげた。透過型電子顕微鏡(日本電子製:JEM−2100、搭載電子銃:LaB6)を用いて、100nmに切り出した薄膜切片を−50°から+50°まで1°ごとに傾けながら撮影した。以下に撮影手順を記載する。
1. 加速電圧を160kV、180kV、200kVと段階的に立ち上げる。
2. 試料グリットを高傾斜用試料棒(日本電子製)にセットし、試料棒を導入する。
3. 真空引き後、「BEAM」ボタンを押し電子線を出す。「STANDART FO
COUS」を押した後、蛍光板上にて試料を中心に移動させる。操作盤上のZ軸調
整ボタンにより試料のZ軸を合わせる。「HT WOBBRE」、「BRITE
TILT」を押し、左右の「TILT」つまみを調節し電圧軸を観察場所に合わせ
る。
4. 倍率「15K」にて試料を蛍光板上で観察し、試料の輪郭が際立つように「FOC
OUS」つまみを調整する。
5. SightX Viewer(日本電子製)を立ち上げ、CCDカメラにて試料を
観察する。
6. X軸を5°ずつ傾けながら操作盤上のZ軸調整ボタンを調節することにより、試料
棒の回転軸中心を観察位置と一致させる。
7. Recoder(システムインフロンティア製)を開く。タブの「Camera
Window」を開き、「Live Start」をクリック、「Exposur
e」にて光量の調節をする。「Live Stop」をクリックし、「Camer
a Window」を閉じる。
8. 角度0°において「Calibration」をクリック。確認画面上の「OK」
をクリックする。
9. Calibrationが終わったら、傾斜角度を−50°まで動かす。
10. 終了傾斜角度に50°を入力し、「Start」をクリックし、各角度における
自動傾斜撮影を行う。
3次元Tomography解析では、得られた二次元画像を再構築・解析ソフト(システムインフロンティア製:Composer Ver3.0,VISUALIZER−KAI)を用いて以下の手順にて結像させ、硬化膜中のシリカ含有率を算出した。
解析した画像を図1に示す。なお、解析条件は次の通りである。
1. 測定したtmgファイルをComposer Ver 3.0で開く。
2. アライメント領域を16箇所選択し、「START」をクリックする。
3. アライメント終了後すべての傾斜像がスムーズに連続傾斜していることを確認し、
「Reconstruction」タブを開き再構成領域を選択する。
4. 始めに「Bing 2」を選択し、「START」をクリックし再構築をスタート
する。
5. 「Result」のタブを開き「XZ Plane」、「YZ plane」をそ
れぞれ選択し、各軸の再構成範囲と角度を指定する。
6. 再度「Reconstruction」のタブを開き、「Bing 1」を選択、
「START」をクリックし再構成を実行する。
7. 「Result」タブにて「VISUALIZER−KAI」をクリックし、ソフ
トウェアを立ち上げる。以下に「VISUALIZER−KAI」における操作を
記載する。
8. 「Control」の「Volume Data」をクリックし、「Crop」の
タブでX,Y,Z軸のサイズを指定し切り抜く三次元データを決定する。
9. 「Control」の「Color」をクリックし、「Opaque Map」の
タブで「Constant」を選択する。同じくタブにて「Auto」をクリック
し「Min」の値を調節しノイズを消去後、二値化した。
10. メイン画面の「Decoration」の「Vol. Fraction」をクリックし、選択した三次元データにおける電子密度の濃い体積分率を算出した。
図1において色がついていない部分はシリカが占有する部分であり、表面側(T)の部分のシリカの体積分率([シリカの体積分率])と基材側(B)の部分のシリカの体積分率([シリカの体積分率])は次の通りであった。
[シリカの体積分率]:11.5v/v%
[シリカの体積分率]:8.0v/v%
[比較例1]
実施例1において、硬化性組成物塗工液をDMAEA:373mg、PMMA−BA−I:200mg、TPP:7.49mg、DA:93.3mgを溶解させたものにしたこと以外は、同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、同様に反射率の評価を行って、結果を表−2に示した。
[比較例2]
実施例1において、中空Si−A分散液をコロイダルシリカ(日産化学社製「MEK−ST」、固形分=30重量%)に代え、重量を93mgにしたこと以外は、同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、同様に反射率の評価を行って、結果を表−2に示した。
[比較例3]
実施例1において、中空Si−A分散液をコロイダルシリカ(日産化学社製「MEK−ST」、固形分=30重量%)に代え、重量を186mgにしたこと以外は、同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、同様に反射率の評価を行って、結果を表−2に示した。
[比較例4]
実施例1において、硬化性組成物塗工液を、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(DPHA):466.3mgに、低分子の重合開始剤(BASF社製「Irgacure(登録商標) 184」(Irg 184)):4.7mgを溶解させたものにしたこと以外は、同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、同様に反射率の評価を行って、結果を表−2に示した。
[比較例5]
実施例1において、TACフィルムのみ(光硬化膜を形成せず)について同様に反射率の評価を行って、結果を表−2に示した。
Figure 2018135481
表−2に示すように、比較例1のように、成分(A)と成分(B)を含む硬化性組成物を用いることで、基材フィルムである比較例5よりも低反射率の硬化膜を形成できるが、実施例1では、比較例1に比べて成分(C)を含有することで、更に低反射率の硬化膜とすることができている。この低反射率の効果は、中空シリカ微粒子を用いることにより得られるのであり、中空ではないシリカを用いた比較例2,3ではこのような効果を得ることはできない。
比較例4の多官能アクリレートの硬化膜でも十分な低反射性を得ることはできない。
なお、実施例1及び比較例1〜4のいずれの硬化膜も透明性に優れるものであった。
[合成例3:ヨウ素末端ポリマー(PGMA−BA−I)の合成]
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−70」):1.8重量部、ヨウ素:1.5重量部、及びアニソール:100重量部を仕込み、溶液が均一になるまで攪拌した。系内を遮光し窒素置換後、65℃まで昇温し、0.5時間攪拌した。続いてグリシジルメタクリレート(GMA):110重量部、及びテトラブチルアンモニウムヨージド(BuNI):2.9重量部を添加し、65℃で2時間攪拌した。さらにn−ブチルアクリレート(BA):300重量部を添加し、65℃で3時間攪拌した。その後、室温まで冷却後、遮光下において、メタノールへの沈殿精製により白色粉末としてヨウ素末端ポリマー(PGMA−BA−I)を得た。
前記(1)より、得られたポリマーの末端構造を同定したところ、メタクリル酸エステル系モノマーのリビングラジカル重合で得られた主幹ポリマーに更にアクリル酸エステル系モノマーを反応させることにより、末端にアクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造のヨウ素末端ポリマーが製造されたことが確認された。
また、前記(2)より、得られたポリマーの分子量を測定したところ、Mn=3,000、Mw=3,240(Mw/Mn=1.08)であった。
[実施例2]
実施例1において、PMMA−BA−Iの代りにPGMA−BA−Iを用い、また、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)の代りにメチルアクリレート(MA)を用い、中空Si−A分散液の重量を2.00gにしたこと以外は、実施例1と同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、実施例1と同様に反射率の評価とシリカの体積分率の評価を行って、結果を表−3に示した。
[実施例3]
実施例2において、中空Si−A分散液をコロイダルシリカ(日産化学社製「MEK−ST」、固形分=30重量%)に変え、重量を200mgにしたこと以外は、実施例1と同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、実施例1と同様に反射率の評価とシリカの体積分率の評価を行って、結果を表−3に示した。
[比較例6]
実施例3において、硬化時に表面をスライドグラスで被覆したこと以外は、同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、実施例3と同様に反射率の評価とシリカの体積分率の評価を行って、結果を表−3に示した。なお、本例では、表面をスライドグラスで被覆したことにより、十分な酸素が表面に供給されず、表面での酸素阻害が起きず、傾斜構造を形成し難くした例である。
[比較例7]
実施例2において、中空Si−A分散液を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして硬化膜付TACフィルムを製造し、実施例1と同様に反射率の評価とシリカの体積分率の評価を行って、結果を表−3に示した。
なお、表−3において、反射率の評価は次の通り行った。
○:反射率が3.7%未満
△:反射率が3.7%以上、4.2%以下
×:反射率が4.2%より大きい
Figure 2018135481
表−3より、次のことが分かる。
実施例2および3では、実施例1に対して、成分(A)が替わることで、疎水性のメタクリル酸エステル系モノマーからなるポリマー−高極性のヨウ素末端ポリマー(PGMA−BA−I)と実施例1とは逆の関係になっている。
また、シリカとより親和性の高いエポキシ基が導入され、シリカの傾斜具合が顕著になり、本発明の効果を奏するものとなったと推察されます。
本発明の硬化性組成物を使用して基材フィルム上に硬化膜を形成してなる積層体及び本発明のシリカ分布構造を有する膜は、各種の用途に適用される。本発明の硬化性組成物の硬化物及び本発明のシリカ分布構造を有する膜は、ドメインサイズが小さく、透明性に優れたものを得ることが可能であるため、特に各種の光学用途に用いられる光学フィルムとして好適に使用され得る。特に、シリカの体積分率が硬化膜の基材側から表面側へ向けて徐々に大きくなる傾斜構造を有する本発明のシリカ分布構造を有する膜は、原料を選択して、更に屈折率の高い成分及び/又は低い成分の相分離により形成されたドメインに局在化させることにより硬化膜内部に屈折率の傾斜がつき、ディスプレイ等において好適な反射防止フィルムへの使用が期待される。また、本発明のシリカ分布構造を有する膜は、原料を選択して、更に粘弾性の高い成分及び/又は低い成分の相分離により形成されたドメインに局在化させることにより硬化膜内部に粘弾性の傾斜がつき、フレキシブルディスプレイ等において好適な保護フィルムへの使用が期待される。
反射防止フィルム等の光学フィルムとしての使用において、本発明の硬化性組成物を使用する積層体には必要に応じて特殊な処理を施して光学的機能(光透過、光拡散、集光、屈折、散乱、ヘーズ(HAZE)等の諸機能)を付与してもよい。光学フィルムとしての用途において、本発明の積層体は単独で、又は数種の光学フィルムをコーティング剤、又は接着剤で多層に積層して光学素子用積層体として使用してもよい。本発明の積層体が適用される光学フィルムとしては、例えば、ハードコートフィルム、帯電防止コートフィルム、防眩コートフィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、輝度向上フィルム、プリズムフィルム(プリズムシートともいう)、導光フィルム(導光板ともいう)等が挙げられる。かかる光学フィルムは、液晶表示装置、PDPモジュール、タッチパネルモジュール、有機ELモジュール等に用いられる。

Claims (23)

  1. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、かつ成分(B)100重量部に対し、成分(A)を1〜99重量部含む硬化性組成物。
    成分(A):ラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマー
    成分(B):分子内に少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
    成分(C):中空シリカ微粒子
  2. 成分(C)を成分(B)100重量部に対し、0.5〜30重量部含有する、請求項1に記載の硬化性組成物
  3. 成分(A)が、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーを重合してなるポリマーである、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 成分(A)が活性エネルギー線照射することでラジカル開裂可能な共有結合により末端重合活性基が保護されてなるポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 成分(A)の末端重合活性基を保護する基が、ヨウ素原子、臭素原子、アルキルジチオエステル基、フェニルジチオエステル基、アルキルトリチオカルボネート基、フェニルトリチオカルボネート基、アルキルジチオカルバメート基、フェニルジチオカルバメート基、アルキルザンテート基、フェニルザンテート基、及びテルル原子からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 成分(A)の末端重合活性基を保護する基がヨウ素原子である、請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 成分(A)がリビングラジカル重合により得られるポリマーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 成分(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 成分(A)が少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端にヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、請求項9に記載の硬化性組成物。
  11. 成分(A)が(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーの少なくとも一つの末端に、アクリル酸エステル系モノマーに由来する構造単位を介してヨウ素原子が結合した構造を有するヨウ素末端ポリマーである、請求項10に記載の硬化性組成物。
  12. 前記(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーが、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位をポリマー中に1〜100重量%含む、請求項10又は11に記載の硬化性組成物。
    CH=C(R)−C(O)O−R …(1)
    (上記式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2〜18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜18のアルキルスルファニル基、トリアルコシキシリル基、又はポリシロキサン構造を有する基を有していてもよい。)
  13. 成分(A)の数平均分子量が800〜150,000である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  14. 成分(B)が、分子内に(メタ)アクリロイル基を1つ有する化合物を少なくとも含み、かつその含有量が成分(B)の合計重量に対して1〜99重量%である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
  16. 基材と硬化膜とを有する積層体であり、該硬化膜が請求項1〜14のいずれか1項に記載の硬化性組成物を該基材上で硬化してなるものである積層体。
  17. 前記硬化膜が、基材上にある前記硬化性組成物に対して活性エネルギー線を照射して硬化させてなるものである、請求項16に記載の積層体。
  18. 前記硬化膜の内部において、スピノーダル分解により形成されるドメインの大きさが、前記基材側より前記活性エネルギー線を照射した側に向けて徐々に小さくなっている、請求項16又は17に記載の積層体。
  19. 請求項15に記載の硬化物よりなる層を有する光学フィルム。
  20. 基材表面に形成された膜であって、下記式(2)を満足する膜。
    0.1%≦[シリカの体積分率]<[シリカの体積分率] …(2)
    (上記式(2)中、[シリカの体積分率]及び[シリカの体積分率]は三次元Tomographyにより測定され、[シリカの体積分率]は膜の表面から深さ0μm以上3μm以下の少なくとも一つの領域のシリカ微粒子が占める体積の比率であり、[シリカの体積分率]は膜の基材界面から深さ0μm以上3μm以下の少なくとも一つの領域のシリカ微粒子が占める体積の比率である。)
  21. 少なくともエチレン性不飽和二重結合を有する化合物およびシリカ粒子を含有する硬化性組成物の硬化物から形成されている、請求項20に記載の膜。
  22. 前記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する、請求項21に記載の膜。
  23. 膜の厚みが2〜1,000μmである、請求項20〜22のいずれか1項に記載の膜。
JP2017032162A 2017-02-23 2017-02-23 硬化性組成物及び膜 Active JP7005907B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017032162A JP7005907B2 (ja) 2017-02-23 2017-02-23 硬化性組成物及び膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017032162A JP7005907B2 (ja) 2017-02-23 2017-02-23 硬化性組成物及び膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018135481A true JP2018135481A (ja) 2018-08-30
JP7005907B2 JP7005907B2 (ja) 2022-02-10

Family

ID=63364807

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017032162A Active JP7005907B2 (ja) 2017-02-23 2017-02-23 硬化性組成物及び膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7005907B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111040097A (zh) * 2019-12-24 2020-04-21 上海奥塞尔材料科技有限公司 一种表面联结聚甲基丙烯酸甲酯的多孔二氧化硅光扩散剂及其制备方法
JP2020521037A (ja) * 2017-05-26 2020-07-16 ルオヤン インスティテュート オブ カッティング−エッジ テクノロジーLuoyang Institute Of Cutting−Edge Technology エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料及びその作製方法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08283425A (ja) * 1995-02-14 1996-10-29 Dainippon Ink & Chem Inc 有機高分子と金属酸化物との成分傾斜複合体及びその製造法
JP2004300345A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Toto Ltd 水性塗料組成物、防汚性部材及び塗膜形成方法
JP2006257308A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Fuji Photo Film Co Ltd 中空シリカ粒子分散物
JP2010195901A (ja) * 2009-02-24 2010-09-09 Panasonic Electric Works Co Ltd ハードコート用樹脂組成物、ハードコート用樹脂組成物の製造方法、及び反射防止コーティング基材
JP2012017446A (ja) * 2010-06-10 2012-01-26 Kansai Paint Co Ltd 有機無機複合微粒子、その分散体、及び上記分散体の製造方法、並びに塗料組成物
JP2012111814A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Kansai Paint Co Ltd 活性エネルギー線硬化性組成物、上記組成物の製造方法
JP2012131928A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Asahi Kasei Chemicals Corp 成膜性を有する有機−無機複合体及びその製造方法
JP2012189802A (ja) * 2011-03-10 2012-10-04 Asahi Kasei Chemicals Corp 反射防止フィルム、偏光板及び表示装置
JP2014164240A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Toppan Printing Co Ltd 反射防止フィルム及びその製造方法
JP2016108559A (ja) * 2014-12-02 2016-06-20 三菱化学株式会社 硬化性組成物及び膜

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08283425A (ja) * 1995-02-14 1996-10-29 Dainippon Ink & Chem Inc 有機高分子と金属酸化物との成分傾斜複合体及びその製造法
JP2004300345A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Toto Ltd 水性塗料組成物、防汚性部材及び塗膜形成方法
JP2006257308A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Fuji Photo Film Co Ltd 中空シリカ粒子分散物
JP2010195901A (ja) * 2009-02-24 2010-09-09 Panasonic Electric Works Co Ltd ハードコート用樹脂組成物、ハードコート用樹脂組成物の製造方法、及び反射防止コーティング基材
JP2012017446A (ja) * 2010-06-10 2012-01-26 Kansai Paint Co Ltd 有機無機複合微粒子、その分散体、及び上記分散体の製造方法、並びに塗料組成物
JP2012111814A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Kansai Paint Co Ltd 活性エネルギー線硬化性組成物、上記組成物の製造方法
JP2012131928A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Asahi Kasei Chemicals Corp 成膜性を有する有機−無機複合体及びその製造方法
JP2012189802A (ja) * 2011-03-10 2012-10-04 Asahi Kasei Chemicals Corp 反射防止フィルム、偏光板及び表示装置
JP2014164240A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Toppan Printing Co Ltd 反射防止フィルム及びその製造方法
JP2016108559A (ja) * 2014-12-02 2016-06-20 三菱化学株式会社 硬化性組成物及び膜

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020521037A (ja) * 2017-05-26 2020-07-16 ルオヤン インスティテュート オブ カッティング−エッジ テクノロジーLuoyang Institute Of Cutting−Edge Technology エポキシ樹脂電磁波吸収複合材料及びその作製方法
CN111040097A (zh) * 2019-12-24 2020-04-21 上海奥塞尔材料科技有限公司 一种表面联结聚甲基丙烯酸甲酯的多孔二氧化硅光扩散剂及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7005907B2 (ja) 2022-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI572684B (zh) 硬塗膜之製備方法
JP6300838B2 (ja) プラスチックフィルム
TWI473714B (zh) 硬塗膜
TW201035128A (en) Radical-containing polymerization copolymer, activation energy curable resins composition using it and process for preparing radical-containing polymerization copolymer
JP5555089B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレートおよびそれを含有する光硬化性樹脂組成物
TW200846380A (en) (Meth)acrylate copolymer for syrup and resin composition thereof
WO2016088777A1 (ja) 硬化性組成物及び膜
JP2023014098A (ja) 硬化性重合体組成物及び積層体
TW201623485A (zh) 紫外線硬化性塗佈組成物、硬塗薄膜及該硬塗薄膜之製造方法
JP7005907B2 (ja) 硬化性組成物及び膜
JP6575047B2 (ja) ヨウ素末端ポリマー及びその製造方法、並びにブロックコポリマー及びその製造方法
WO2008072578A1 (ja) コート材用組成物
JP2015140407A (ja) 架橋重合体、その製造方法及びこれを含有する塗料組成物
TWI830749B (zh) 活性能量線硬化性組成物、其硬化膜及抗反射薄膜
KR101403067B1 (ko) 자외선 경화성 코팅조성물 및 이를 이용한 고 경도 코팅막
TW201829697A (zh) 黏著劑用樹脂組成物及黏著片
JP5819481B2 (ja) ウレタン(メタ)アクリレートおよびそれを含有する光硬化性樹脂組成物
JP6609895B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP7119773B2 (ja) 硬化型組成物
JP6002965B2 (ja) 反射防止塗料組成物及び反射防止フィルム
JP7356674B2 (ja) 硬化性組成物及び硬化膜
JP5448333B2 (ja) ハードコート材用樹脂組成物および積層体
JP6898881B2 (ja) 複合体、ハードコート層形成用組成物、硬化物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを備えた物品、画像表示装置、複合体の製造方法、及びハードコートフィルムの製造方法
JP2023060446A (ja) 光重合性組成物、重合体、及び重合体の製造方法
JP2023139385A (ja) 硬化性重合体

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20170323

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170515

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190905

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210406

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210907

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211207

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7005907

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150