JP6335580B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような定着装置では、構成部材であるヒータ及びフィルムが低熱容量であるため、ヒータを通電加熱した後、定着可能温度まで昇温する時間が短いというメリットがある。その効果によって、プリント指令入力後1枚目のプリントが完了するまでの時間(FPOT:First Print Out Time)を短くできる。また、プリント指令を待つスタンバイ状態での加熱が不要であるため、消費電力を少なくすることができる。
非通紙部昇温対策としては、非通紙部の定着フィルム及び加圧ローラにファンの風を吹きつける構成が提案されている(特許文献1)。
これに対して、非通紙部のヒータ発熱量を低減するという対策が考えられる。しかし、非通紙部のヒータ発熱量を抑えると、必然的に記録材端部の発熱量が不足する傾向になってしまう。一方、記録材中央部は常に記録材に熱を与え続けることができるため、発熱量を抑える必要が無く、発熱量が不足する傾向はない。
そしてこの傾向は、記録材端部により多くのトナーが存在する(高印字パターン)ほど顕著になり、場合によっては定着部材の温度が不十分であることに伴う画像不良が発生してしまうことが懸念される。
記録材に未定着トナー像を形成する画像形成部と、
ヒータと、前記ヒータにより加熱される加熱回転部材と、前記加熱回転部材との間でニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で、トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱することで、記録材に未定着トナー像を定着する定着部と、
前記ヒータの温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段の検知温度が温調温度を維持するように前記ヒータへ供給する電力を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置において、
記録材の幅方向の端部の所定領域の印字率を取得する印字率取得手段と、を有し、
前記画像形成装置は、画像形成開始時の前記ニップ部における記録材搬送方向に直交する記録材の幅方向の端部に相当する領域の温度が中央部よりも低く、かつ、
前記印字率取得手段により取得された印字率が閾値より高い場合、
前記温調温度を基準温度よりも高く設定して定着処理する制御、及び、単位時間当たりに前記ニップ部で挟持搬送される記録材の枚数を少なくする制御、のうち少なくともいずれかの制御を行い、
画像形成開始時の前記温度検知手段の検知温度が閾値温度より高い場合、前記閾値温度より低い場合よりも前記印字率の閾値を高く設定することを特徴とする。
ヒータと、前記ヒータにより加熱される加熱回転部材と、前記加熱回転部材との間でニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で、トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱することで、記録材に未定着トナー像を定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記ヒータに接触しており、記録材搬送方向に直交する記録材の幅方向における前記ヒータの温度を均すための熱伝導性部材と、
前記定着部の温度を検知する温度検知手段と、
記録材の前記幅方向の端部の所定領域の印字率を取得する印字率取得手段と、
記録材が前記ニップ部で挟持搬送され加熱される際、
前記印字率取得手段により取得された印字率が閾値以上の場合に、
前記定着部の温度が基準温度よりも高くなるように前記ヒータを制御する制御、及び、単位時間当たりに前記ニップ部で挟持搬送される記録材の枚数を少なくする制御のうち少なくともいずれかの制御を行う制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、印字開始から所定枚数の記録材に印字が行われる間、前記温度検知手段により検知された温度が閾値未満の場合、前記温度が前記閾値以上の場合よりも、前記印字率の閾値を小さく設定することを特徴とする。
[実施例1]
以下に、実施例1について説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
本実施例の画像形成装置は、記録材P上にトナー画像(トナー像、現像剤像)を形成する画像形成部Aと、画像形成部Aに記録材Pを送り出す記録材送り部Bと、記録材P上のトナー画像を記録材Pに加熱定着する定着部(以下、定着装置)Cを有している。ここで、定着装置Cは像加熱ユニットに相当する。
記録材送り部Bは、送り出しローラ11を有している。この送り出しローラ11は、不図示の搬送駆動モータによって矢印方向に所定のタイミングで回転され、カセット7に積載収納されている記録材Pを記録材の搬送経路に送り出す。装置本体Mには、記録材の搬送経路に沿って順に、搬送ローラ8、トップセンサ9、画像形成部A、搬送ガイド10、定着装置C、搬送ローラ12、排出ローラ13、及び排出トレイ14が配設されている。
ナス極性に帯電されたトナーを用いている。この現像装置4は、現像ローラ41に現像バイアス電源(不図示)によりマイナスバイアスが印加されることによって、感光ドラム1表面の潜像に、電位差を利用してトナーを付着させ、潜像をトナー画像として現像する。感光ドラム1表面に形成されたトナー画像は、トナーと逆極性であるプラスバイアスが転写ローラ5に印加されることによって、転写バイアスによる電位差を利用して記録材Pに転写される。
図2は、本実施例の定着装置Cの概略構成を示す断面図である。
本実施例の定着装置Cは、セラミックヒータ(以下、ヒータ)20と、エンドレスベルト状(無端状)の耐熱性フィルム(以下、定着フィルム)25と、加圧ローラ26とを基本構成とする。ここで、ヒータ20はヒータ(加熱体)に相当する。また、定着フィルム25は、加熱回転部材(可撓性スリーブ)に相当する。また、加圧ローラ26は加圧部材に相当する。
そして、定着フィルム25を介してヒータ20と加圧ローラ26との間に形成された定着ニップ部Nのうち、定着フィルム25と加圧ローラ26との間で、トナー画像が形成された記録材Pを挟持搬送して加熱することで、記録材P上にトナー画像が定着される。
加圧ローラ26は、芯軸部261の外周に弾性層262を有し、弾性層262の外周に表層263を有している。加圧ローラ26の外径は約30mmである。芯軸部261には、アルミニウム、鉄などの金属材料が中実もしくは中空で用いられる。本実施例では、中実のアルミニウムを芯金材料として用いている。弾性層262は、断熱性のシリコーンゴムから成り、カーボン等の電気伝導材を添加することで導電性としている。本実施例では弾性層262はカーボンを適量添加し、体積抵抗率を1×105(Ω・cm)程度に調整したシリコーンゴムからなり、その厚みは3mmとしている。
表層263は、PFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂からなる厚さ10〜80μmの離型性チューブである。ここで、PFAはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、PTFEはポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)、FEPはテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4,6フッ化)の略称である。本実施例では、加圧ローラ26の表層263の材料はピュアのPFAチュー
ブであり、その厚さは50μmとした。
図3は、本実施例の定着フィルム25の概略構成を示す断面図である。
定着フィルム25は、直径30mmの円筒形状で構成されている。定着フィルム25は可撓性を有し、半円弧状のヒータホルダ(フィルムガイド部材)29に対してルーズに外嵌されている。定着フィルム25の層構造は、図3の円内に示すように、内側から基層251、弾性層252、プライマ層254、表層253が設けられた複層からなる。
表層253は離型層として、高い耐摩耗性及びトナーに対する高い離型性が要求される。材料としては先述のPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂が用いられる。そして、そのフッ素樹脂に有機リン化合物、リチウム塩等のイオン導電剤や五酸化アンチモン、酸化チタン、カーボンブラック、カーボンナノファイバー等の電子導電材を添加して抵抗値を調整する。また、厚さは10μmから50μm程度であることが好ましく、チューブを被覆させたものであっても、表面を塗料でコートしたものであっても良い。本実施例の表層253は、ピュアPFAのコーティング層で厚さを15μmとした。プライマ層254は表層253と弾性層252を接着させるための接着層であり、低融点のフッ素樹脂やフッ素化シリコーン等のフッ素樹脂プライマからなる。このプライマ層には、接着性能を上げるために、シランカップリング剤などの接着成分を含有することもできる。実施例1では絶縁のフッ素樹脂層とし、その厚みを3μmとした。
本実施例のヒータ20は、窒化アルミニウムからなる細長い耐熱性のヒータ基板201を有している。そしてヒータ基板201の裏面(定着ニップ部Nに対向する面と反対側の面(裏面))に、通電により発熱する通電発熱抵抗層(抵抗発熱体)としての発熱体パターン202を、例えば印刷によってヒータ基板201の長手方向に沿って形成している(裏面発熱)。ここで、ヒータ基板201の長手方向は、記録材Pの搬送方向と直交する記録材Pの幅方向(感光ドラム1の回転軸方向)と平行(同じ方向)であり、以下、この方向を単に長手方向という。
このヒータホルダ29は、ヒータ20を支持する支持部材として機能するとともに、定着フィルム25の回転をガイドするガイド部材としても機能する。ヒータホルダ29の材料として、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂が用いられている。
図4を用いて、本実施例のヒータ20の発熱体パターン202について説明する。図4は、ヒータ20の、記録材Pの搬送方向と直交する方向(以下、長手方向)の発熱体パターン202の構成について示す概略図である。ヒータ20の発熱体パターン202(図中の網掛け部)は、ヒータ基板201上に配設され、導電材料によって形成された電極206を介して、電力投入(通電制御)される。発熱体パターン202の形状は、長手方向に関しては、長手方向中心に対して対称形状であり、発熱体パターン202の長手方向中心は記録材Pの長手方向中心と同じ位置である。また、記録材搬送方向の上下流方向にも対称形状である。
次に、本実施例の定着フィルム25の表面温度の長手方向の温度分布について説明する。図5に、本実施例の定着フィルム25表面温度の長手方向の温度分布を示す。横軸は発熱体パターン202の長手方向中心をゼロとした場合の、発熱体中心(発熱体パターン202の長手方向中心)からの長手方向距離(mm)を示し、縦軸は定着フィルム25の表面温度を表している。
そして本実施例のデフォルト温調温度(基準温度)である230℃にヒータ20を温調(温度調節)制御し、A4サイズの記録材Pを連続で10枚通紙した際の温度プロファイルを実線で、連続で500枚通紙した際の温度プロファイルを点線で示している。なお、連続で500枚プリントした際の定着フィルム25表面温度は飽和しており、これ以上プリント枚数(印字枚数、通紙枚数)を増やしてもフィルム表面温度に変化は見られなかった。
実施例1では、定着フィルム25の温度を点線プロファイル(500枚連続プリント後)においても、250℃以下に抑えることが重要である。その理由は、定着フィルム25の温度が250℃を超えると、定着フィルム25の弾性層252が熱により劣化してしまうためである。従って、本実施例では500枚連続プリント後においても非通紙部昇温が250℃を超えないように、発熱体余り幅を3mm以下に設定する必要がある。
面温度が低くなってしまう。図6は、図5に示した定着フィルム25表面温度の記録材端部領域を拡大した図である。なお、本実施例において、記録材P、ヒータ20や定着フィルム25の長手方向の端部、中央部(中央部分、長手方向中心)を示す場合、単に端部、中央部という場合もある。
図6中には、A4サイズの記録材Pを通紙した場合の右端の位置を明記しており、A4サイズの右端から約2mmの位置をA、約6mmの位置をBと表記している。また、図5と同様に、連続プリント10枚後のプロファイルを実線で、連続プリント500枚後のプロファイルを点線で示している。
このように、連続プリント初期において、記録材Pの端部で定着フィルム25の表面温度が低くなってしまう理由は、端部領域では、ヒータ20や定着フィルム25、加圧ローラ26を伝わって、これら部材の端部から熱が逃げやすいためである。また、端部での発熱量を抑えた定着装置においては、その傾向がより顕著になる。
上記のように、非通紙部昇温を低減するという目的を達成するために、必然的に連続プリント初期における記録材P端部(本実施例では例えば記録材端部から2〜6mmの領域)に相当(対向)する定着フィルム25表面温度は、中央部に比べて低くなってしまう。このような記録材P端部に対向する(定着ニップ部Nにおける)定着フィルム25表面温度が、中央部分に比べて低くなってしまう状態を、以下、端部温度ダレと表現する。定着フィルム25表面温度が低くなると、トナーに対して十分な熱を与えることができなくなるため、定着性(定着性能)が低下してしまうことが懸念される。
長手方向の局所的な領域で印字率が高い場合、トナーによって長手方向の局所的な領域で定着フィルム25から熱が奪われ、表面温度が低下する。定着フィルム25の表面温度が下がると、ヒータ20から定着フィルム25の基層251、弾性層252を介して、もしくは表層253の近傍領域から熱の回り込みにより熱が供給されようとする。
しかし、上記縦帯画像のように、長手方向の局所的な領域での印字率が記録材搬送方向全域で高い場合、トナーに熱が奪われる量に対し、ヒータ20や周囲からの熱供給が追い付かず、フィルム表面温度がさらに低下してしまう。その結果、熱不足に伴う定着不良が発生する。高速プリント可能な画像形成装置においては、この傾向がより顕著となってしまうことが懸念される。
の表面温度が低いため、縦帯画像では定着不良が発生してしまう可能性がある。上記構成においては、印字率が15%を上回る画像で、定着不良が発生する可能性がある。一方、この端部から2〜6mmの領域においても、印字率が低い画像パターン(例えば文字パターン)においては、熱が不足しないため定着性能を満足させることができる。上記構成においては、印字率が15%を下回る画像であれば、定着不良は発生しない。
そこで、本実施例では、「端部に高印字率画像を印字した場合の定着性」を良好にしたうえで、さらに「耐久性」の実現を図った。
以下、「端部に高印字率画像を印字した場合の定着性」と「耐久性」を両立させた本実施例の特徴的な制御について説明する。
本実施例では、定着フィルム25(定着ニップ部N)端部の昇温状態を推測(推定、予測)して、端部温度ダレが大きいと推測される場合には、端部の印字率情報に応じて、定着温度を変更するという制御を採用している。ここで、端部の印字率を、以下の説明では端部印字率という場合もある。
図7は、本実施例において、記録材Pの端部のうち、印字率情報を取得(検知)する所定領域(検知領域)について説明するための図である。図8は、本実施例における定着温度決定のためのシーケンスを説明するための図(定着制御を示すシーケンス図)である。
また、定着ニップ部Nにおける定着フィルム25の温度に関する情報としては、上記印字枚数に限るものではない。その情報は、温度検知手段により検知されたヒータ20の温度や、定着装置Cの温度であってもよく、定着フィルム25端部の昇温状態を推測できるものであればよい。
図8に示すように、まずプリント枚数をカウントとするカウンタKを1にセットし(S100)、その後、画像の情報の検知を行う(S101)。次に、定着装置Cの端部昇温状態を推測するために、プリント枚数であるカウンタKの値を読む(S102)。ここで、カウンタKは、1つの通紙ジョブ中に連続通紙を行った枚数をカウントアップしており、カウンタKの値が多いほど端部が昇温していることが推測できる。もし、カウンタKの値が50以上であれば、端部温度ダレが小さいことが推測できるため、温調温度を230℃に設定し、定着動作を行う(S120)。
そして、プリントジョブが残っている限り、上記S101からS130の動作を繰り返す(S131)。
上述したように、本実施例においては、端部印字率が15%未満であれば、ヒータ20温調温度が230℃でも定着不良が発生することはない。一方、端部印字率が15%以上の場合でも、温調温度を240℃に設定することで定着不良が発生することはない。
本実施例の画像形成装置の作用効果を説明するために、比較例の画像形成装置を用いて、比較実験を行った。表1に、実施例1及び比較例1,2の通紙中のヒータ20の温調温度を示す。
本実施例の画像形成装置は、図8に示すシーケンスに従い、端部印字率情報に応じてヒータ20の温調温度を変更する制御を実行可能に構成されている。具体的には、端部印字率が15%未満の場合はヒータの温調温度を230℃、15%以上の場合は240℃に設定している。それに対し、比較例1,2の画像形成装置は、端部印字率情報によらず一律のヒータの温調温度、すなわち比較例1は230℃、比較例2は240℃としている。その他の条件は、本実施例と同一であるため再度の説明を省略する。
本検証を行った結果を、表2に示す。ここで、表2における定着性を表す記号について説明する。表中の○は定着不良が発生せず良好であることを表している。また、表中の×は定着不良が発生し、実用上問題があるレベルであることを表している。
まず、比較例1のように端部印字率が95%の画像に対して定着不良が発生しなかった理由は、上述のように端部印字率が15%以上の場合は温調温度を240℃に上げるためである。また、比較例2のような耐久による摩耗劣化が発生しなかった理由は、温調温度を240℃と高く設定するプリントの割合を最低限に限定している(今回の検証では10%)ためである。
また、本発明は、定着フィルム25等、ヒータ20とは別の、定着装置Cを構成する構成部材で温調制御を行う場合にも適用可能である。
また、端部の印字率に応じて、定着制御にフィードバックする制御に加えて、さらに、単位時間当たりのプリント枚数を制御するものであってもよい。これらの制御は、可能な限り組み合わせて実施することができる。
また、本実施例の印字率検知方法として、領域R,Lの全てのピクセルのON/OFFを検知する例を示したが、ビデオコントローラ32の処理能力に応じて検知ポイント数を最適化することができる。例えば、処理能力の低いビデオコントローラ32の場合は、領域R,L内で無作為に選んだ一部の検知ポイントにおいて印字率を計算することも可能である。
また、本実施例では、像加熱ユニットとして、フィルム加熱方式の定着装置Cについて説明したが、これに限るものではない。すなわち、非通紙部昇温という課題がある装置において、非通紙部昇温を抑制しつつ、端部印字率が高い画像を印字する場合であれば、本発明を好適に適用することができる。また、像加熱ユニットとしては、上述した定着装置として機能する場合の例に限るものではなく、シート上に定着されたトナー像に光沢を出すための装置として適用することも可能である。また、本実施例では、画像形成装置として、モノクロタイプのプリンタを例に挙げて説明したが、これに限るものではない。すな
わち、像加熱ユニットを備えた画像形成装置であれば、本発明を好適に適用することができる。
以下に、実施例2について説明する。実施例2と実施例1の違いは、定着装置の構成及び、端部印字率情報を用いて定着制御を行うシーケンスのみである。このため、本実施例においては、実施例1に対して異なる構成部分について述べることとし、実施例1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
図9は、本実施例の定着装置Cの概略構成を示す断面図である。本実施例では、ヒータ基板201の長手方向の熱伝導率が低く、非通紙部昇温が顕著な画像形成装置に対して好適な構成を示すものである。
本実施例の定着装置Cのうち、実施例1と異なる構成部材は、ヒータ20及び、定着フィルム25である。図9を用いて、本実施例の定着装置Cの構成について説明する。
本実施例のヒータ20は、アルミナからなる耐熱性のヒータ基板201を有している。ヒータ基板201上には発熱体パターン202が形成され、その上にガラス層203が形成されている。そして、ガラス層203は定着ニップ部Nと摺動する面に配置されている。本実施例では、ヒータ基板201の材料としてアルミナを用いているが、これは実施例1のチッ化アルミに比べ熱伝導率が低いことが知られている。この特性を補うため、本実施例では、ヒータ基板201のうち定着ニップ部N側(摺動面側、定着ニップ部Nに対向する側)の面に発熱体パターン202を配置するという構成(表面発熱)にしている。更に、本実施例では、ヒータ20の温度を検知するために、2つの温度検知手段、すなわち、サーミスタ204及び端部サーミスタ208をヒータ基板201に接触させている。この内、サーミスタ204はヒータ20の長手方向のほぼ中心に設置しているのに対し、端部サーミスタ208は長手方向端部、具体的には発熱体中心から103mm(記録材端部からおよそ2mm)の位置に設置している。
本実施例の定着フィルム25が実施例1と異なる点は、弾性層の有無である。本実施例の定着フィルム25には弾性層が無いため、その分、熱容量が小さくなっている。
しかし、その一方で記録材Pの端部領域における端部温度ダレはより顕著なものとなることが懸念される。図10は、本実施例の定着フィルム25の表面温度の長手方向の温度分布のうち、記録材端部領域を拡大した図である。実施例1と同様に、図10にはA4サイズの記録材Pの右端の位置と、そこから2mm内側(図中A)と6mm内側(図中B)を明記している。そして、それらの位置の定着フィルム25表面温度は、Aの位置で約179℃、Bの位置で約192℃となり、それぞれ実施例1に比べて低くなっている。このため、上記構成の画像形成装置においては、実施例1よりもさらに端部定着不良が発生しやすくなってしまうことが懸念される。
したがって、本実施例では、端部印字率情報をより細分化して、定着制御にフィードバックすることを特徴とするものである。
次に、本実施例の定着制御について説明する。図11は、本実施例の端部印字率情報の検知領域を示す図である。図12は、本実施例の定着制御を示すシーケンス図である。
本実施例と実施例1の検知領域の違いは、実施例1における検知領域である領域R,Lをさらに、それぞれ幅2mmの縦帯状の領域に分割している点である。具体的に説明すると、本実施例の印字率検知領域は、A4サイズの右端2mmから4mmの縦帯状の領域(R1)と右端4mmから6mmの領域(R2)、そして、左端2mmから4mmの領域(L1)と左端4mmから6mmの領域(L2)の4ヶ所である。
このように、印字率検知領域をより細分化することで、端部温度ダレがより顕著な場合であっても、定着不良の発生を抑制することができる。
図12に示すように、1枚目のプリント動作を開始した後、定着動作を行う前に画像情報の検知を行う(S201)。その後、まず定着フィルム25表面の端部の温度を推測するために、端部サーミスタ208でヒータ20端部の温度を検知する(S202)。
端部サーミスタ208の検知温度が228℃以上であれば、端部温度ダレが小さいと推測し、温調温度を230℃に設定し(S231)、定着動作を行う(S240)。一方、端部サーミスタ208の検知温度が228℃未満であれば、端部温度ダレが大きいと推測し、端部印字率情報に応じて定着温度を変更する制御に入る。
、端部温度ダレがより顕著な場合であっても定着不良の発生を抑制できるという効果が得られるもので、各検知領域に対する印字率の閾値は、適宜設定されるものであるとよい。また、細分化した各検知領域に対してそれぞれ検知された印字率が、設定された閾値以上となる領域が少なくとも1つある場合に、上記定着制御が行われるものであればよい。また、本実施例では、実施例1における領域R,Lをさらに2つに分けるものであったが、これに限るものではない。すなわち、領域R,Lが長手方向で複数の領域に分けられ、各領域に対してそれぞれ印字率の閾値が設定されるものであればよい。
以下に、実施例3について説明する。実施例3と実施例1の違いは、定着装置の構成及び、端部印字率情報を用いて定着制御を行うシーケンスのみである。このため、本実施例においては、実施例1に対して異なる構成部分について述べることとし、実施例1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
図13は、本実施例のヒータ20について説明するための概略断面図である。本実施例は、ヒータ20の長手方向の熱伝導率(熱伝導性)を高め、非通紙部昇温を低減した画像形成装置に対して好適な構成を示すものである。
図13を用いて、本実施例の定着装置Cの構成について説明する。本実施例のヒータ20には、長手方向の熱伝導率(熱伝導性)を向上させるため、熱伝導性部材としての高熱伝導板209を接触させている。この高熱伝導板209によってヒータ20の長手方向の熱伝導率が高まり、非通紙部昇温に対しては有利になっている。本実施例では、高熱伝導板209として、厚さ2mmの板状のアルミニウムを用い、長手方向の幅は発熱体と同じ216mmとしている。なお、高熱伝導板209の材料としては、シート状のグラファイト等も例示できる。
このように、上記構成の定着装置においては、Coldスタート時はHot状態に比べ、特に端部温度ダレが顕著であり、端部定着不良が発生しやくなることが懸念される。そこで、本実施例では、以下に示す定着制御を実行することとした。
図14は、本実施例の定着制御を示すシーケンス図である。
本実施例のシーケンスの特徴は、プリント開始時(印字開始時)にColdスタートかHotスタートかを判別し、その結果に応じて定着温調をアップする端部印字率の閾値を変更している点である。これにより、端部温度ダレの顕著なColdスタートにおいても、定着不良の発生を防止することができる。なお、端部印字率情報の検知を行う検知領域は実施例1と同一であり、再度の説明を省略する。
ば温調温度を240℃に設定し(S330)、小さければ定着温度を230℃に設定する(S331)。
また、本実施例では、プリント開始時の1枚目の記録材Pに対して、S302でヒータ20の温度が50℃未満のときに、50℃以上の場合よりも印字率の閾値を小さく設定するものであったが、これに限るものではない。すなわち、プリント開始から、端部温度ダレの発生が懸念される所定枚数の記録材Pに対して、S302を実行し、ヒータ20の温度が50℃未満のときに、50℃以上の場合よりも印字率の閾値を小さく設定するものであってもよい。この所定枚数は、定着装置の仕様、画像形成装置が設置される環境等に応じて適宜設定されるものであるとよい。
以下に、実施例4について説明する。本実施例の画像形成装置では、通紙可能な記録材Pの最大サイズ幅がLTR/LGLサイズ(幅8.5インチ≒215.9mm)であることを特徴としている。その結果、本実施例と実施例1の相違点は、端部印字率を検知する検知領域及び定着温調を高める条件を記録材のサイズ毎に変更している点のみである。このため、本実施例においては、実施例1に対して異なる構成部分について述べることとし、実施例1と同様の構成部分については、その説明を省略する。
本実施例の画像形成装置では、端部印字率検知領域を図15に示す「領域R’」と「領域L’」としている。この領域R’,L’は記録材のサイズによって異なることが特徴である。図15に示すように、記録材Pの幅を210+2Dmmとすると、領域R’は記録材右端2mmから6+Dmmの縦帯状の領域(幅4+Dmm)、領域L’は記録材左端2mmから6+Dmmの縦帯状の領域(幅4+Dmm)となる。例えば、A4サイズの場合はD=0となり、領域R’は右端2〜6mm、領域L’は左端2〜6mmになり、実施例1の領域R,Lと一致する。LTR/LGLサイズの場合はD≒2.95mmとなり、領域R’は右端2〜8.95mm、領域L’は左端2〜8.95mmになる。
施例では長手方向において次のように設定している。すなわち、記録材Pのサイズが大きい場合の方が小さい場合よりも、端部印字率検知領域の幅が大きくなるように設定している。さらには、記録材Pのサイズが大きい場合の方が小さい場合よりも、温調温度を高めるための印字率の閾値が小さくなるように設定している。ここで、長手方向において、記録材Pのサイズが大きいほど、端部印字率検知領域の幅が大きくなるように設定してもよく、また、記録材Pのサイズが大きいほど、温調温度を高めるための印字率の閾値が小さくなるように設定してもよい。
以上説明した各実施例は可能な限り、組み合わせて実施することができる。
Claims (9)
- 記録材に未定着トナー像を形成する画像形成部と、
ヒータと、前記ヒータにより加熱される加熱回転部材と、前記加熱回転部材との間でニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で、トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱することで、記録材に未定着トナー像を定着する定着部と、
前記ヒータの温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段の検知温度が温調温度を維持するように前記ヒータへ供給する電力を制御する制御手段と、
を有する画像形成装置において、
記録材の幅方向の端部の所定領域の印字率を取得する印字率取得手段を有し、
前記画像形成装置は、画像形成開始時の前記ニップ部における記録材搬送方向に直交する記録材の幅方向の端部に相当する領域の温度が中央部よりも低く、かつ、前記印字率取得手段により取得された印字率が閾値より高い場合、
前記温調温度を基準温度よりも高く設定して定着処理する制御、及び、単位時間当たりに前記ニップ部で挟持搬送される記録材の枚数を少なくする制御、のうち少なくともいずれかの制御を行い、
画像形成開始時の前記温度検知手段の検知温度が閾値温度より高い場合、前記閾値温度より低い場合よりも前記印字率の閾値を高く設定する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 複数枚の記録材に連続して印字が行われるときの印字枚数をカウントするカウント手段を備え、
前記画像形成装置は、前記印字枚数が閾値より少ない場合、前記端部の温度が前記中央部よりも低いと推測することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記画像形成装置は、前記検知温度が前記閾値温度より低い場合、前記端部の温度が前記中央部よりも低いと推測することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記加熱回転部材は、前記ヒータに摺動する可撓性スリーブであり、
前記可撓性スリーブを介して前記ヒータと前記加圧部材との間で前記ニップ部が形成さ
れていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。 - 前記所定領域は前記幅方向で複数の領域に分けられ、各領域に対してそれぞれ印字率の閾値が設定されており、
前記印字率取得手段により各領域に対してそれぞれ印字率が取得され、取得された印字率が、設定された閾値以上となる領域が少なくとも1つある場合に、前記温調温度を前記基準温度よりも高く設定して定着処理する制御、及び、単位時間当たりに前記ニップ部で挟持搬送される記録材の枚数を少なくする制御、のうち少なくともいずれかの制御が行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 記録材に未定着トナー像を形成する画像形成部と、
ヒータと、前記ヒータにより加熱される加熱回転部材と、前記加熱回転部材との間でニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で、トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱することで、記録材に未定着トナー像を定着する定着部と、
を有する画像形成装置において、
前記ヒータに接触しており、記録材搬送方向に直交する記録材の幅方向における前記ヒータの温度を均すための熱伝導性部材と、
前記定着部の温度を検知する温度検知手段と、
記録材の前記幅方向の端部の所定領域の印字率を取得する印字率取得手段と、
記録材が前記ニップ部で挟持搬送され加熱される際、
前記印字率取得手段により取得された印字率が閾値以上の場合に、
前記定着部の温度が基準温度よりも高くなるように前記ヒータを制御する制御、及び、単位時間当たりに前記ニップ部で挟持搬送される記録材の枚数を少なくする制御のうち少なくともいずれかの制御を行う制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、印字開始から所定枚数の記録材に印字が行われる間、前記温度検知手段により検知された温度が閾値未満の場合、前記温度が前記閾値以上の場合よりも、前記印字率の閾値を小さく設定することを特徴とする画像形成装置。 - 前記印字率取得手段は、記録材の前記幅方向の両端部それぞれの前記所定領域の印字率のうち大きい方の印字率を、前記端部の印字率として取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 記録材の前記幅方向のサイズに対応して、前記所定領域の前記幅方向の幅が設定されており、
記録材の前記サイズが大きい場合の方が小さい場合よりも、前記所定領域の前記幅が大きいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 記録材の前記幅方向のサイズに対応して、前記印字率の閾値が設定されており、
記録材の前記サイズが大きい場合の方が小さい場合よりも、前記印字率の閾値が小さいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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