JP6320621B2 - プシコースエピマー化酵素及びこれを利用したプシコースの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、果糖をD−プシコースに変換できる新規のプシコースエピマー化酵素、組み換え菌株からこれを製造する方法、及びこれを利用して果糖からD−プシコースを製造する方法などに関する。
D−プシコース(D-psicose)は、果糖(fructose)の3番炭素のエピマー(epimer)として砂糖に比べて70%の甘味度を有するが(Oshima 2006)、エネルギーは、0.3%しかないため、ダイエット食品の低カロリーの甘味料として適用可能な機能性単糖類である(Matsuo et al.2002)。また、ブドウ糖の吸収を抑制して血糖の抑制作用をする機能があり、糖尿病患者用の飲食品、健康用飲食品などに応用することができ、肝における脂質合成に関与する酵素の活性を抑制する機能があり、腹部脂肪の蓄積を抑制することができるため、健康食品などの様々な機能性食品などに使用することができる(Matsuo et al. 2001; Iida et al. 2008; Hayashi et al. 2010; Hossain et al. 2011)。
上記のような特徴により、プシコースは、砂糖に代替できる良いソースではあるが、自然界にごく稀に存在する単糖類である稀少糖に属するため、食品産業に適用するためには、プシコースを効率的に生産する方法が必要である。既存のプシコースの生産方法としては、主に化学的過程を経て生産された。ビリック(Bilik)らは、モリブデン酸イオンの触媒作用を利用して、果糖からプコースに変換する方法を提案した。マクドナルド(McDonald)は、1,2:4,5−ジ−δ−イソプロピリデン−ベータ−D−フルクトピラノース(1,2:4,5-di-δ-isopropylidenebeta-D-fructopyranose)から3段階の化学的処理過程でプシコースを生産した。また、ドナー(Doner)は、エタノールとトリメチルアミンと共に果糖を加熱してプシコースを生産した。しかし、これらの化学的な生産方法は、多くの費用がかかる一方、その効率は低く、かつ副産物が多く発生するという短所がある。
生物学的なプシコースの生産方法としては、微生物の細胞反応を利用してガラクチトール(galactitol)、D−タガトースまたはD−タリトールなどからプシコースを生産する方法が提案された(Ken Izumori)。しかし、この方法は、基質が稀少糖に属するため、産業的生産に応用し難い。産業化に最も効率的な方法は、D−ケトース3−エピマー化酵素群中で果糖からプシコースに変換する酵素を探す方法である。既存に発表された内容によると、クロストリジウム・セルロリチクムH(10)(Mu et al. 2011)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Kim et al. 2006)、シュードモナス・チコリ(Itoh at al. 1994)、リゾビウム・スペロイデス(Zhang et al.2009)由来のD−タガトース3−エピマー化酵素を大膓菌に挿入して形質転換させた後、形質転換された大膓菌で発現されたD−タガトース3−エピマー化酵素を用いて果糖からプシコースを生産した。酵素を用いて果糖からプシコースを生産する技術と関連して、特許文献1には、アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のプシコースエピマー化酵素によるプシコースの生産方法が開示され、特許文献2には、果糖をプシコースに変換する活性を有するシノリゾビウム属(Sinorhizobium)YB-58 KCTC 10983BPと、これを利用して果糖をプシコースに変換する方法が開示され、特許文献3には、果糖のプシコースへの変換を触媒する活性を有するアグロバクテリウム・ツメファシエンスC58のプシコース3−エピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む大膓菌及びこれを利用して果糖からプシコースを生産する方法が開示され、特許文献4には、リゾビウム属(genus Rhizobium)に属する微生物由来するケトース3−エピメラーゼ(ketose3-epimerase)及びこれを利用して果糖をプシコースに変換する方法が開示され、特許文献5には、クロストリジウム・シンデンス(Clostridiuim scindens)由来するD−プシコース3−エピマー化酵素及びこれを利用して果糖からプシコースを生産する方法が開示されている。
しかし、既存の機能が明かされた酵素的方法によると、プシコースを生産する方法は、中温及びアルカリの条件のpH下で最適を表す。アルカリ条件下における反応は、非特異的反応と糖の褐変化を誘導するため、産業化に適当でない。また、既存の酵素は、高い温度で安定性に劣り、または遅い反応速度の側面から、産業化に適用するプシコース生産の製造原価を上昇させる要因を有するという問題があった。従って、プシコースの生産収率、温度、pH及び反応速度の全てが産業化に適合した新規のD−プシコース3−エピマー化酵素の開発が必要である。これと関連して、特許文献6には、遺伝子水準で突然変異を誘導して、高温度における速いプシコース変換速度と安定性を示すトレポネーマ・プリミティアZAS−1由来のD−プシコース3−エピマー化酵素が開示され、特許文献7には、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来の野生型プシコースエピマー化酵素の変異を通じて得た熱安定性が向上したプシコースエピマー化酵素変異体が開示されている。
大韓民国登録特許公報第10−0744479号 大韓民国登録特許公報第10−0832339号 大韓民国登録特許公報第10−1106253号 大韓民国登録特許公報第10−1339443号(公開特許公報第10−2008−0071176号) 大韓民国登録特許公報第10−1318422号 大韓民国公開特許公報第10−2014−0021974号 大韓民国登録特許公報第10−1203856号
本発明は、従来の背景下で導出されたもので、本発明の第一の目的は、果糖をプシコースに変換する活性を有し、相対的に高い温度または中性以下のpHで最大活性を有し、熱安定性に優れた新規のD−プシコース3−エピマー化酵素を提供することにある。
本発明の第二の目的は、新規のD−プシコース3−エピマー化酵素を製造する方法、または新規のD−プシコース3−エピマー化酵素を製造するために必要な多様な要素を提供することにある。
本発明の第三の目的は、果糖からプシコースを製造する方法、または果糖からプシコースを製造するために必要な多様な要素を提供することにある。
本発明の発明者らは、フラボニフラクター・プラウティ(Flavonifractor plautii)由来する酵素が果糖をプシコースに変換する際に高い活性を表し、熱安定性に優れ、高温の温度範囲及び中性または弱酸性にあたるpH範囲で最適活性を示すという点を発見し、本発明を完成した。
上記の第一の目的を解決するために、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素を提供する。
上記の第二の目的を解決するために、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを提供する。また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを合成するためのプライマー対を提供する。また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターを提供する。また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドまたは配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換された組み換え菌株を提供する。また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドまたは配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換された組み換え菌株を培養してプシコースエピマー化酵素を発現させる段階と、前記プシコースエピマー化酵素が発現された組み換え菌株の破砕物からプシコースエピマー化酵素を分離する段階とを含むプシコースエピマー化酵素の製造方法を提供する。
上記の第三の目的を解決するために、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素を含むプシコース生産用組成物を提供する。また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドまたは配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換された組み換え菌株、前記組み換え菌株の培養物または前記組み換え菌株の破砕物を含むプシコース生産用組成物を提供する。また、本発明は、果糖を配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素または前記プシコースエピマー化酵素を含む組成物と反応させる段階を含むプシコースの製造方法を提供する。また、本発明は、果糖を配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドまたは配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換された組み換え菌株、前記組み換え菌株の培養物、前記組み換え菌株の破砕物、またはこれらのいずれか一つ以上を含む組成物と反応させる段階を含むプシコースの製造方法を提供する。
本発明による新規のプシコースエピマー化酵素は、果糖の3番目の炭素位置をエピマー化してプシコースを生産する活性を保有した酵素であり、相対的に高い温度と中性以下のpHで果糖のプシコースへの変換に対する最大活性を有し、熱安定性に優れ、短時間で高い収率で果糖からプシコースの大量生産が可能である。従って、本発明によるプシコースエピマー化酵素は、プシコースを産業的に製造することに有利であり、このように生産されたプシコースは、機能性糖の産業だけでなく、これを利用した健康食品素材、医薬用、化粧品用素材などで有用に使用されることが期待される。
組み換え発現ベクターであるpET−FDPEの制限酵素地図である。 本発明の実施例2において、Hisタグアフィニティークロマトグラフィーを通じて精製されたD−プシコース3−エピマー化酵素に対してSDS−PAGEを実施した結果である。 本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、添加した金属イオンの種類によって表したグラフである。図3において、各金属イオンを処理した場合の酵素活性は、対照群における酵素活性を100として相対的に表した。 本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、添加した金属イオンの種類及び処理濃度別に表したグラフである。 本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、反応pH別に表したグラフである。図5において、酵素活性は、最大活性を100として相対的に表した。 本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、反応温度別に表したグラフである。図6において、酵素活性は、最大活性を100として相対的に表した。 本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の基質別活性を表したグラフである。図7において、酵素活性は、プシコースを基質とする反応の酵素活性を100として相対的に表した。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の一側面は、果糖をプシコースに変換できる新規のD−プシコース3−エピマー化酵素(以下、プシコースエピマー化酵素という)に関する。前記プシコースエピマー化酵素は、フラボニフラクター・プラウティ(Flavonifractor plautii)由来したもので、相対的に高い温度と中性以下のpHで果糖のプシコースへの変換に対する最大活性を有し、熱安定性に優れ、短時間で高い収率で果糖からプシコースの大量生産が可能である。前記プシコースエピマー化酵素は、フラボニフラクター・プラウティ誘電体DNAに存在する無数のDNAのうち、特定DNAを重合酵素反応によって増幅させ、増幅した特定DNAを発現ベクターに挿入して、組み換え発現ベクターを製造した後、前記組み換え発現ベクターで宿主菌株を形質転換させて組み換え菌株を製造した後、前記組み換え菌株を培養して発現させる方法で得られる。本発明によるプシコースエピマー化酵素は、好ましくは、分子量が30〜34kDaであり、最適活性温度が55〜67℃の範囲であり、最適活性pHが6.5〜8の範囲である。本発明によるプシコースエピマー化酵素は、配列番号1のアミノ酸配列からなるが、本発明によるプシコースエピマー化酵素の均等範囲は、これに限定されない。例えば、本発明によるプシコースエピマー化酵素の均等範囲は、果糖をプシコースに変換する活性が維持される限り、配列番号1のアミノ酸の一部が置換、挿入及び/または欠失されることができる。前記アミノ酸の置換は、好ましくは、タンパク質の特性が変わらない保存的アミノ酸置換(conservative amino acid replacement)によってなされることが好ましい。また、前記アミノ酸の変形は、グリコシル化、アセチル化、ホスホリル化などによってなされることができる。また、本発明によるプシコースエピマー化酵素の均等範囲は、アミノ酸配列上の変異または修飾によって、熱、pHなどに対する構造的安定性が増加するか、果糖のプシコースへの変換に対する活性が増加したタンパク質を含むことができる。また、本発明によるプシコースエピマー化酵素の均等範囲は、配列番号1のアミノ酸配列と、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むことができる。下記の表1は、保存的アミノ酸置換によってタンパク質内のアミノ酸に代替できるアミノ酸を示す。
本発明の他の側面は、新規のプシコースエピマー化酵素を製造する方法、または新規のプシコースエピマー化酵素を製造するために必要な多様な要素に関する。前記新規のプシコースエピマー化酵素を製造するために必要な多様な要素としては、ポリヌクレオチド、プライマー対、組み換えベクター、組み換え菌株などがある。
前記ポリヌクレオチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなるエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドであり、好ましくは、配列番号2の塩基配列からなる。本発明において、用語「ポリヌクレオチド」は、非変形(non-modified)または変形された(modified)全てのポリリボヌクレオチド(RNA)またはポリデオキシリボヌクレオチド(DNA)を意味する。前記ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、一本鎖及び二本鎖領域の混合物であるRNA、またはこれらのハイブリッド分子を含むが、これに制限されるものではない。また、前記エピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドの均等範囲は、配列番号2の塩基配列に対して実質的な同一性を有する配列を含む。前記実質的な同一性は、配列番号2の塩基配列と任意の他の配列とを最大限対応するように整列し、その配列を分析して、前記任意の他の配列が配列番号2の塩基配列と70%以上、90%以上、または98%以上の配列相同性を有することを意味する。当該分野の通常の知識を有する技術者は、当該分野で知られる遺伝子組み換え技術などを利用して、前記ポリヌクレオチドの塩基配列のいずれか一つまたはそれ以上の塩基を置換、付加または欠失させることで、前記実質的な相同性を有する範囲で同一の活性を有する酵素をコードするポリヌクレオチドが製造可能なことを容易に理解することができるであろう。このような相同性の比較は、市販のコンピュータープログラムを利用して2個以上の配列間の相同性を百分率(%)で計算して行われることができる。
また、前記プライマー対は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを合成するためのもので、好ましくは、配列番号3の塩基配列を有する順方向プライマーと配列番号4の塩基配列を有する逆方向プライマーとで構成される。
また、前記組み換えベクターは、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む。前記組み換えベクターは、プシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを公知の標準方法を使用して、クローニングベクターや発現ベクター内に挿入した形態で提供することができる。本発明において、用語「クローニングベクター」は、宿主細胞内にDNA断片を運び、これを再生産することができる物質として定義される。本発明において、クローニングベクターは、ポリアデニレーションシグナル(polyadenylation signal)、転写終結配列(transcription termination sequence)及び多重クローニング位置(multiple cloning site)をさらに含むことができる。この時、前記多重クローニング位置は、少なくとも一つのエンドヌクレアーゼ(endonuclease)の制限酵素切断位置(restriction site)を含む。また、クローニングベクターは、プロモーターをさらに含むことができる。一例として、本発明で、プシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドは、ポリアデニレーションシグナル及び転写終結配列の上流(upstream)に位置することができ、少なくとも一つのエンドヌクレアーゼの制限酵素切断位置がポリアデニレーションシグナル及び転写終結配列の上流に位置することができる。また、本発明において、用語「発現ベクター」は、適切な宿主内でクローニングされたDNAの転写と翻訳のために必要なDNA配列として定義される。また、本発明において、用語「発現ベクター」は、個体の細胞内に存在する場合、挿入物が発現するように挿入物に作動可能に連結された必須的な調節要素を含む遺伝子作製物を意味する。前記発現ベクターは、標準的な組み換えDNA技術を利用して製造及び精製することができる。前記発現ベクターの種類は、原核細胞及び真核細胞の各種の宿主細胞で所望の遺伝子を発現し、所望のタンパク質を生産する機能をする限り、特に限定されないが、強力な活性を表すプロモーターと、強い発現力を保有しながら自然状態と類似した形態の外来タンパク質を大量で生産することができるベクターが好ましい。発現ベクターは、少なくとも、プロモーター、開始コドン、所望のタンパク質をコードする遺伝子及び終結コドンターミネーターを含んでいることが好ましい。その他に、シグナルペプチドをコーディングするDNA、追加的な発現調節配列、所望の遺伝子の5’側及び3’側の非翻訳領域、選択マーカー領域、または複製可能単位などを適切に含んでもよい。「プロモーター」は、転写を指示するのに十分な最小配列を意味する。また、細胞類型特異的または外部の信号または製剤によって誘導される調節可能なプロモーター依存的遺伝子を発現させるのに十分なプロモーター構成が含まれることができ、このような構成は、遺伝子の5’または3’部分に位置することができる。保存的プロモーター及び誘導的プロモーターの両方とも含まれる。プロモーター配列は、原核生物、真核生物またはウイルス由来することができる。用語「作動可能に連結された」は、単一ポリヌクレオチド上のポリヌクレオチド配列の連関性で一つの機能が他のものによって調節されることを意味する。例えば、プロモーターがコーディング配列の発現を制御することができる場合(即ち、コーディング配列がプロモーターの転写調節下にある場合)、プロモーターは、コーディング配列と連結して作動するか、リボソーム結合部が翻訳を促進させるように位置していれば、リボソーム結合部は、コーディング配列に連結して作動する。コーディング配列は、センス方向またはアンチセンス方向に調節配列に連結して作動することができる。本発明による発現ベクターは、組み換えベクターは好ましくは発現ベクターであり、前記発現ベクターは、好ましくは、図1の制限酵素地図を有する。
また、前記組み換え菌株は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドによって形質転換されるか、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換されたものである。本発明において、用語「組み換え菌株」は、一つ以上の目的タンパク質をコーディングするポリヌクレオチドまたはこれを有する発現ベクターが宿主細胞に導入されて形質転換された細胞を意味する。前記発現ベクターを宿主細胞に導入して形質転換体を製造するための方法としては、一時的な形質注入(transient transfection)、微細注射、形質導入(transduction)、細胞融合、カルシウムフォスフェート沈殿法、リポソーム媒介形質注入(liposem mediated transfection)、DEAEデキストラン媒介形質注入(DEAE Dextran-mediated transfection)、ポリブレン媒介形質注入(polybrene-mediated transfection)、電気穿孔法(electroporation)、電気注入法(electroinjection)、PEGなどの化学的処理方法、遺伝子銃(gene gun)などを利用する方法などがあるが、これに限定されない。本発明において、発現ベクターに形質転換されることができる宿主細胞としては、原核細胞、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞など、当業界で知られるものであればその種類が大きく制限されず、好ましくは、DNAの導入効率が高く、導入されたDNAの発現効率が高い宿主が通常使用される。例えば、前記宿主細胞は、大膓菌であってよい。前記大膓菌として、BL21、JM109、K−12、LE392、RR1、DH5αまたはW3110などがあるが、これに制限されない。その他にも、前記宿主細胞として、バチルス・サブチリス、バチルス・チューリンゲンシスのようなバチルス属菌株、コリネバクテリウム・グルタミクムのようなコリネバクテリア属菌株、サルモネラ・ティフィムリウムなどのサルモネラ属菌株、その他のセラチア・マルセッセンス及び多様なシュードモナス属のような腸内菌と菌株などからなる群から選択された菌株を使用しても構わない。
また、前記プシコースエピマー化酵素の製造方法は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドによって形質転換されるか、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換された組み換え菌株を培養して、プシコースエピマー化酵素を発現させる段階と、前記プシコースエピマー化酵素が発現された組み換え菌株の破砕物からプシコースエピマー化酵素を分離する段階とを含む。宿主細胞によるタンパク質の発現は、誘導因子であるIPTG(isopropyl-1-thio-β-D-galactopyranoside)を使用して発現を誘導することができ、誘導時間は、タンパク質の量が最大化するように調節することができる。本発明において、プシコースエピマー化酵素は、組み換え菌株の破砕物から回収することができる。タンパク質の発現に使用された細胞は、凍結・解凍の繰り返し、超音波処理、機械的破壊または細胞分解剤のような多様な物質的または化学的手段によって破壊することができ、通常の生化学分離技術によって分離または精製が可能である(Sambrook et al., Molecular Cloning: A laborarory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989; Deuscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, Vol.182. Academic Press. Inc., San Diego, CA, 1990)。例えば、宿主細胞によって発現されたタンパク質の分離または精製方法としては、電気泳動、遠心分離、ゲルろ過、沈殿、透析、クロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、免疫吸着親和力クロマトグラフィー、逆相HPLC、ゲル浸透HPLC)、等電性フォーカス及びこれの多様な変化または複合方法を含むが、これに限らない。一方、本発明において、組み換え菌株の破砕物からプシコースエピマー化酵素を分離する段階は、好ましくは、ペプチドタグを利用したアフィニティークロマトグラフィー(affinity chromatography)によって行われることができる。前記ペプチドタグとしては、HAタグ、FLAGタグ、Hisタグ、BCCP(biotin carboxyl carrier protein)、c−mycタグ、V5タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはMBP(maltosebinding protein)などのように、公知の多様なタグを使用することができ、この中でHisタグであることが好ましい。His−タグされたタンパク質は、Ni−NTA(ニッケル−ニトリロ三酢酸)樹脂のカラム上に特異的にトラッピングされ、EDTAまたはイミダゾールによって溶出されることができる。
本発明のまた他の側面は、果糖からプシコースを製造する方法または果糖からプシコースを製造するために必要な多様な要素に関する。前記果糖からプシコースを製造するために必要な多様な要素としては、プシコース生産用組成物がある。
前記プシコース生産用組成物の一例は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素を含む。また、前記プシコース生産用組成物の他の例は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドに形質転換されるか、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換された組み換え菌株、前記組み換え菌株の培養物または前記組み換え菌株の破砕物を含む。この時、前記プシコース生産用組成物は、好ましくは、マンガンイオン、ニッケルイオン及びコバルトイオンからなる群から選択される1種以上をさらに含むことができ、さらに好ましくは、ニッケルイオンまたはコバルトイオンをさらに含むことができる。本発明による新規のプシコースエピマー化酵素は、金属イオンによって活性化が調節される金属酵素(metalloenzyme)特性を表し、前記酵素による反応をニッケルイオンまたはコバルトイオンのような特定金属イオンの存在下で行うことで、プシコースの生産収率を増加させることができる。
また、前記果糖からプシコースを製造する方法の一例は、果糖を配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素または前記プシコースエピマー化酵素を含む組成物と反応させる段階を含む。また、前記果糖からプシコースを製造する方法の他の例は、果糖を配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドによって形質転換されるか、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換された組み換え菌株、前記組み換え菌株の培養物、前記組換え菌株の破砕物、またはこれらのいずれか一つ以上を含む組成物と反応させる段階を含む。また、前記果糖からプシコースを製造する方法は、金属イオンを添加する段階をさらに含むことができ、金属イオンの種類は前述した通りである。一例として、前記金属イオンは、基質である果糖に添加されるか、酵素と果糖の混合物に添加されることができる。また、他の例として、前記金属イオンは、酵素が固定化した担体に添加されるか(果糖添加前)、前記酵素が固定化した担体と果糖の混合物に添加されるか(果糖添加後)、または果糖添加時に果糖と混合物の形態で添加されることができる。組み換え菌株を使用する場合、前記金属イオンが培養物に添加されるか、金属イオンが添加された培養培地で培養が行われることもできる。また、前記果糖からプシコースを製造する方法において、前記プシコースエピマー化酵素または前記組み換え菌株は、好ましくは、担体に固定化される。前記担体は、固定された酵素の活性が長期間維持可能な環境を造成することができ、酵素固定化の用途として使用可能な公知された全ての担体から選択されることができる。例えば、前記担体として、アルギン酸ナトリウム(soduim alginate)を使用することができる。アルギン酸ナトリウムは、海藻類の細胞壁に豊富に存在する天然コロイド性多糖類であり、マンヌロン酸(β-D-mannuronic acid)とグルクロン酸(α-L-gluronic acid)が組成され、含量の面では、無作為にベータ−1,4結合をなして形成され、菌株または酵素が安定して固定されて、優れたプシコース収率を表すのに有利であることができる。一例として、プシコースの収率をより増進させるために、1.5〜4.0%(w/v)濃度のアルギン酸ナトリウム溶液(例えば、アルギン酸ナトリウム水溶液)、好ましくは、約2.5%の(w/v)濃度のアルギン酸ナトリウム溶液を組み換え菌株の固定化に使用することができる。また、前記果糖からプシコースを製造する方法において、反応温度は、55〜67℃、好ましくは55〜65℃、酵素の安定性を考慮すると、さらに好ましくは55〜60℃の範囲であり、反応pHは6.5〜8、好ましくは6.5〜7.5、さらに好ましくは6.5〜7の範囲である。また、前記果糖からプシコースを製造する方法において、果糖の濃度は特に制限されないが、生産性または経済性を考慮すると、全体反応物を基準として35〜75%(w/w)であることが好ましく、40〜70%(w/w)であることがさらに好ましい。また、前記果糖からプシコースを製造する方法において、使用される酵素の量は、全体反応物を基準として0.001〜0.1mg/ml、好ましくは0.01〜0.1mg/ml、さらに好ましくは0.02〜0.05mg/mlであることができる。また、組み換え菌株を利用して果糖からプシコースを製造する場合、前記組み換え菌株の宿主菌株は、食品学的に安全な菌株であることが好ましい。前記食品学的に安全な菌株は、一般的に安全であると認められるGRAS(generally accepted as safe)菌株を意味し、例えば、コリネバクテリア属菌株であることができる。前記コリネバクテリア属菌株は、L−リジン、L−トレオニン及び各種核酸を含む飼料、医薬品及び食品などの分野で多様な用途を有する化学物質を生産する産業用微生物である。このようなコリネバクテリア属菌株は、GRAS(Generally Recognized As Safe)菌株であり、遺伝子組換え及び大量培養に容易な菌株特性を保有している。また、コリネバクテリア属菌株は、多様な工程条件で高い安定性を有する菌株であり、他の細菌に比べて相対的に固い細胞膜構造を有するため、高い糖濃度などによる高い滲透圧下でも菌体が安定した状態で存在する生物学的特性を表す。前記コリネバクテリア属菌株の具体的な例としては、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)などがある。
以下では、本発明を実施例を通じてより具体的に説明する。但し、下記の実施例は、本発明の技術的特徴を明確に例示するためのものであるだけで、本発明の保護範囲を制限するものではない。
実施例1:D−プシコース3−エピマー化酵素を生産する組み換え菌株の製造
韓国微生物資源センターで分譲を受けたフラボニフラクター・プラウティKCTC5970から誘電体DNA(genomic DNA)を抽出した後、これを鋳型として利用し、D−プシコース3−エピマー化酵素をコーディングする遺伝子(配列番号2のポリヌクレオチド)をクローニングするためのプライマー及びEx−Taq(TAKARA)重合酵素を利用して重合連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)を行った。下記の表2は、フラボニフラクター・プラウティの遺伝体DNAからD−プシコース3−エピマー化酵素をコーディングする遺伝子をクローニングするために使用されたプライマーを表したものである。下記の表2に示すプライマーは、Bioneer co., KRに依頼して製作した。
以後、gel extraction kit(Qiagen)を利用してPCR産物から所望の目的DNAのみを分離した後、Easy T−ベクター(promega)に結合し、分離した目的DNAの塩基配列分析をBioneer co., KRに委託して測定した。その結果、PCRを通じて増幅した目的DNAが配列番号2のポリヌクレオチドに該当することを確認した。以後、PCR反応によって増幅した目的DNAを制限酵素であるNde IとXho Iを利用して、発現ベクターであるpET15bベクター(Novagen)の同一の制限酵素認識部位に挿入して、組み換え発現ベクターであるpET−FDPEを製作した。図1は、組み換え発現ベクターであるpET−FDPEの制限酵素地図である。以後、コンピテント細胞であるBL21(製造社:RBC、Taipei、Taiwan)大膓菌を電気穿孔を利用して組み換え発現ベクターであるpET−FDPEに形質転換させて組み換え菌株を製造した。
実施例2:D−プシコース3−エピマー化酵素の発現及び精製
形質転換された組み換え菌株の単一コロニーを15mlのLB−ampicilline培地(Difco)に接種した後、37℃及び200rpmの条件で約6時間の間、前培養(pre culture)した。以後、前培養液を500mlのLB−ampicilline培地に接種し、37℃及び200rpmの条件で振盪培養した。以後、培養液の吸光度(at 600nm)が0.5である時、IPTGを0.1mMの濃度となるように添加して、目的酵素の過発現を誘導した。この時、過発現の誘導時点から培養は16℃及び150rpmの条件に転換して約16時間維持した。以後、組み換え菌株の培養液を13000rpmで2分間遠心分離して上澄液を除去し、組み換え菌株の菌体を回収した。
回収された組み換え菌株の菌体をlysis buffer(50mMのTris_HCl、300mMのNaCl pH8.0、10mMのimidazol)に懸濁させた後、超音波で処理して細胞を破砕した。細胞破砕液を13000rpmで10分間遠心分離して上澄液のみを集めた後、予めlysis bufferで平衡させたNi−NTAカラム(Bio-Rad、Profinia)に適用させた上で、50mMのTris_HCl、300mMのNaCl pH8.0に20mMのimidazolと200mMのimidazolが含有された緩衝溶液を順次に流した。最後に、50mMのTris_HCl、300mMのNaCl pH8.0、200mMのimidazolを流して目的のタンパク質を溶出した。溶出されたタンパク質は、後述する実験結果からD−プシコース3−エピマー化酵素であることが確認された。以後、溶出されたタンパク質を酵素活性測定用のバッファー溶液(PIPES、pH7.5)に保管して、次の実験に使用した。また、溶出されたタンパク質に対してSDS−PAGEを実施し、溶出されたタンパク質の大きさが32kDaであることを確認した。図2は、本発明の実施例2において、Hisタグアフィニティークロマトグラフィーを通じて精製されたD−プシコース3−エピマー化酵素に対して、SDS−PAGEを実施した結果である。
実施例3:D−プシコース3−エピマー化酵素の特性の確認
(1)D−プシコース3−エピマー化酵素の金属イオン要求性の分析
前記実施例2で得たD−プシコース3−エピマー化酵素に対して、金属イオンが影響を及ぼすかについて調べた。
精製された酵素バッファー溶液(PIPES、pH7.5)にZnSO、CaCl、MnSO、NiSO、CoCl、MgSO、CuSO、CaCO、FeSOをそれぞれ1mMとなるように入れた後、約1時間金属イオンを酵素に結合させた。以後、金属イオンが結合された酵素を基質である100mMの果糖水溶液と1:1の重量比で混合して、酵素濃度が0.025ml/mgであり、果糖濃度が50mMである混合物を作り、60℃で10分間反応させた後、塩酸水溶液を添加して反応を中止した。また、対照群として金属イオンを処理しない酵素(None)を利用して同一の実験を進行した。以後、生産されたプシコース量(mM)を測定し、これを酵素量と反応時間で分けて酵素活性を計算した。プシコース量は、HPLCで分析した。前記HPLC分析は、87C(BIO−RAD)カラムを使用して80℃で、移動相として水100%(v/v)を0.6ml/minの流速で流しながら行い、Refractive Index Detector(Agilent 1260 TID)でプシコースを検出し、生産されたプシコース量を分析した。図3は、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、添加した金属イオン種類によって表したグラフである。図3において、各金属イオンを処理した場合の酵素活性は、対照群における酵素活性を100として相対的に表した。図3に示すように、前記実施例2で得られたD−プシコース3−エピマー化酵素は、マンガンイオン、ニッケルイオン、コバルトイオンの添加により、果糖をプシコースに変換する活性が増加することが表れ、特に、ニッケルイオン及びコバルトイオンで活性増加の効果が大きかった。
以後、精製されたD−プシコース3−エピマー化酵素溶液にMnSO、NiSO、CoClを多様な濃度別に処理し、同一の実験を進行した。図4は、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、添加した金属イオンの種類及び処理濃度別に表したグラフである。図4に示すように、マンガンイオン、ニッケルイオン、コバルトイオンは、多様な濃度範囲でD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を増加させることが表れた。
(2)D−プシコース3−エピマー化酵素のpHまたは温度変化による活性分析
前記実施例2で得たD−プシコース3−エピマー化酵素の最適pHを調べるために、MESバッファー、PIPESバッファー、EPPSバッファー、CHESバッファーを利用して多様なpHの試験溶液を作った。具体的に精製された酵素のバッファー溶液にNiSOを1mMの濃度で処理した後、これを100mMの果糖水溶液と1:1の重量比で混合して、バッファー濃度が50mMであり、酵素濃度が0.025ml/mgであり、果糖濃度が50mMである多様なpHの試験溶液を作った。以後、試験溶液を60℃で10分間反応させた後、塩酸水溶液を添加して反応を中止した。以後、生産されたプシコース量(mM)をHPLCで分析して測定し、これを酵素量と反応時間で分けて酵素活性を計算した。図5は、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、反応pH別に表したグラフである。図5において、酵素活性は、最大活性を100として相対的に表した。図5に示すように、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素は、6.5〜8pH、好ましくは6.5〜7.5pHで高い活性を表し、pH7で最大活性を表した。
また、精製された酵素のバッファー溶液(PIPES、pH7.5)にNiSOを1mMの濃度で処理した後、これを100mMの果糖水溶液と1:1の重量比で混合して、pHが7.0であり、酵素濃度が0.025ml/mgであり、果糖濃度が50mMである試験溶液を作った。以後、試験溶液を多様な温度で10分間反応させた後、塩酸水溶液を添加して反応を中止した。以後、生産されたプシコース量(mM)をHPLCで分析して測定し、これを酵素量と反応時間で分けて酵素活性を計算した。図6は、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の活性を、反応温度別に表したグラフである。図6において、酵素活性は、最大活性を100として相対的に表した。図6に示すように、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素は、55〜67℃の温度で高い活性を表し、65℃で最大活性を表した。
(3)D−プシコース3−エピマー化酵素の基質特異性の分析
前記実施例2で得たD−プシコース3−エピマー化酵素のプシコース、果糖、タガトースなどのような多様な基質に対する反応活性を分析した。
精製された酵素のバッファー溶液(PIPES、pH7.5)にNiSOを1mMの濃度で処理した後、これを100mMの基質水溶液と1:1の重量比で混合して、pHが7.0であり、酵素濃度が0.025ml/mgであり、基質濃度が50mMである試験溶液を作った。以後、試験溶液を65℃で10分間反応させた後、塩酸水溶液を添加して反応を中止した。以後、基質の対応するエピマー量(mM)をHPLCで分析して測定し、これを酵素量と反応時間で分けて酵素活性を計算した。図7は、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素の基質別活性を表したグラフである。図7において、酵素活性は、プシコースを基質とする反応の酵素活性を100として相対的に表した。図7に示すように、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素は、プシコースと果糖に対して高い活性を表し、特に、果糖をD−プシコースに変換する活性が従来のD−プシコース3−エピマー化酵素に比べて非常に高いと判断される。従って、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素を使用して果糖からD−プシコースを高い収率で製造することができる。
(4)D−プシコース3−エピマー化酵素の熱安定性の分析
前記実施例2で得たD−プシコース3−エピマー化酵素を50mMのPIPESバッファー溶液に0.05mg/mlの濃度となるように準備した後、これを55℃、60℃、65℃及び70℃の温度でそれぞれ設定された水浴(water bath)に浸して保管し、熱処理をした。保管時間別に精製された酵素のバッファー溶液を取り出し、これにNiSOを1mMの濃度で処理した後、酵素のバッファー溶液を100mMの基質水溶液と1:1の重量比で混合して、pHが7.0であり、酵素濃度が0.025ml/mgであり、基質濃度が50mMである試験溶液を作った。以後、試験溶液を65℃で10分間反応させた後、塩酸水溶液を添加して反応を中止した。以後、生産されたプシコース量(mM)をHPLCで分析して測定し、これを酵素量と反応時間で分けて酵素活性を計算した。その結果、55℃で精製された酵素のバッファー溶液を250分間熱処理しても酵素活性はそのまま維持された。また、60℃で精製された酵素のバッファー溶液を約200分間熱処理する場合、酵素活性は、熱処理する前に比べて約80%の水準に減少した。一般的に、大部分のD−プシコース3−エピマー化酵素は、50℃で半減期(熱処理前に比べて酵素の活性が50%となる熱処理時間)が約一時間程度であることを勘案すると、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素は、熱安定性に非常に優れることが表れた。
(5)高濃度果糖でD−プシコース3−エピマー化酵素の活性分析
70重量%濃度の果糖700μlを60℃で予熱した後、これに前記実施例2で得たD−プシコース3−エピマー化酵素の濃度が0.1mg/mlであるPIPESバッファー溶液を280μl入れて、60℃で反応させた。反応時間別に反応生成物を10μlずつ取り、25倍に希釈し、塩酸水溶液を添加して反応を中止した。以後、生産されたプシコース量(mM)をHPLCで分析して測定し、これを基質として使用した果糖の量で分けて変換率を計算した。下記の表3に反応時間別の果糖のプシコースへの変換率を表した。下記の表3に示すように、本発明のD−プシコース3−エピマー化酵素は、高濃度果糖と反応した時、約18時間後に33%を超える最大変換率に到逹した。
以上のように、本発明を上記の実施例を通じて説明したが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の範疇と思想を逸脱しない範囲内で多様な変形実施が可能であることは言うまでもない。従って、本発明の保護範囲は、本発明に添付された特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むと解釈されるべきである。

Claims (8)

  1. 果糖を配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素、組み換え菌株、前記組み換え菌株の培養物、前記組み換え菌株の破砕物、またはこれらのいずれか一つ以上を含む組成物と反応させる段階を含み、前記反応におけるpHが6.5〜7.5であり、
    前記組み換え菌株は、配列番号1のアミノ酸配列からなるプシコースエピマー化酵素をコーディングするポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドを含む組み換えベクターによって形質転換されたことを特徴とするプシコースの製造方法。
  2. 前記プシコースエピマー化酵素は、フラボニフラクター・プラウティに由来することを特徴とする、請求項1に記載のプシコースの製造方法。
  3. 前記ポリヌクレオチドは、配列番号2の塩基配列からなることを特徴とする、請求項1に記載のプシコースの製造方法。
  4. 前記組成物は、マンガンイオン、ニッケルイオン及びコバルトイオンからなる群から選択される1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のプシコースの製造方法。
  5. 前記反応温度は55〜67℃であることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のプシコースの製造方法。
  6. 前記果糖の濃度は、35〜75%(w/w)であることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のプシコースの製造方法。
  7. 前記プシコースエピマー化酵素または組み換え菌株担体に固定化したことを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のプシコースの製造方法。
  8. 前記組み換え菌株の宿主菌株は、食品学的に安全な菌株であることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のプシコースの製造方法。
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