JP6301906B2 - 5’toputrを含む人工核酸分子 - Google Patents

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Description

本発明は、TOP遺伝子の5’UTRに由来する5’UTRエレメントと、オープンリーディングフレームと、任意で、3’UTRエレメント、ポリ(A)配列及び/又はポリアデニル化シグナルとを含む人工核酸分子に関する。本発明は、更に、好ましくは遺伝子治療及び/又は遺伝子ワクチン接種の分野で使用するための、TOP遺伝子の5’UTRに由来する5’UTRエレメントを含むベクター、前記人工核酸分子又は前記ベクターを含む医薬組成物、並びに前記人工核酸分子、前記ベクター、及び/又は前記医薬組成物を含むキットに関する。
遺伝子治療及び遺伝子ワクチン接種は、現代医学の最も有望且つ急速に発展している方法に属する。これらは、非常に広範囲に亘る疾患を治療するための非常に特異的且つ個人的な選択肢を提供することができる。具体的には、遺伝性の遺伝子疾患だけでなく、自己免疫疾患、癌性又は腫瘍関連疾患に加えて、炎症性疾患も、かかる治療アプローチの対象となり得る。また、これらアプローチによってかかる疾患の発症を(早期に)予防することも考えられる。
遺伝子治療の背後にある主な概念的理論は、特定の疾患の病態に関連している遺伝子発現の欠陥を適切に調節することである。遺伝子発現の病理学的変化は、重要な遺伝子産物、例えば、ホルモン等のシグナル伝達因子、ハウスキーピング因子、代謝酵素、構造タンパク質等の欠失又は過剰産生を引き起こす場合がある。遺伝子発現の変化は、転写及び/又は翻訳の誤制御によるだけではなく、特定のタンパク質をコードしているORF内部の突然変異による場合もある。病理学的突然変異は、例えば、染色体の異常によって、又は点突然変異若しくはフレームシフト突然変異等のより特異的な突然変異によって引き起こされる場合があり、これらは全て、遺伝子産物の機能を限定したり、場合によっては、機能全てを失わせたりする。しかし、細胞の転写又は翻訳機構に関与しているタンパク質をコードしている遺伝子が突然変異によって影響を受ける場合、転写又は翻訳の誤制御が生じる場合もある。かかる突然変異は、制御機能を有する遺伝子の病理学的なアップレギュレーション又はダウンレギュレーションを導く場合がある。かかる制御機能を発揮する遺伝子産物をコードしている遺伝子は、例えば、転写因子、シグナル受容体、メッセンジャータンパク質等であり得る。しかし、かかる制御タンパク質をコードしている遺伝子の機能が失われても、特定の状況下では、欠陥のある遺伝子産物の更に下流で作用する他の因子を人工的に導入することによって復帰させることができる。また、異常のある遺伝子自体を置換することを介して、遺伝子治療によってかかる遺伝子の欠陥を補償することもできる。
遺伝子ワクチン接種は、選択された抗原(例えば、細菌表面、ウイルス粒子、腫瘍抗原等の特徴的な成分)に対する所望の免疫応答を誘起する。一般的に、ワクチン接種は、現代医学の重要な偉業のうちの1つである。しかし、現在有効なワクチンを利用できる疾患は非常に少数でしかない。したがって、未だ毎年数百万の人々が、ワクチン接種によって予防することができない感染症に冒されている。
一般的に、ワクチンは、「第1」世代、「第2」世代、及び「第3」世代のワクチンに更に分類することができる。「第1世代」のワクチンは、典型的に、全生物ワクチンである。これは、ウイルス、細菌等の生病原体及び弱毒化病原体又は殺病原体に基づく。生病原体及び弱毒化病原体のワクチンの主な問題点は、生命に危険を及ぼすような変異体に戻ってしまうリスクがあることである。したがって、かかる病原体は、たとえ弱毒化されていても、本質的に予測不可能なリスクを有している場合がある。死病原体は、特異的免疫応答を発生させるのに望ましいほど有効ではない場合がある。これらリスクを最小限に抑えるために、「第2世代」のワクチンが開発された。これは、典型的に、病原体に由来する所定の抗原又は組み換えタンパク質成分からなるサブユニットワクチンである。
遺伝子ワクチン、即ち、遺伝子ワクチン接種用ワクチンは、通常、「第3世代」のワクチンとして理解される。これは、典型的に、インビボで病原体又は腫瘍抗原に特徴的なペプチド又はタンパク質(抗原)の断片を発現させる遺伝的に改変された核酸分子で構成される。遺伝子ワクチンは、患者に投与され、被感染能力を有する菌によって取り込まれたときに発現する。投与された核酸が発現することにより、コードされているタンパク質が産生される。これらタンパク質が患者の免疫系によって外来タンパク質であると認識された場合、免疫応答が誘発される。
上記から分かる通り、遺伝子治療及び遺伝子ワクチン接種の両方法は、本質的に、核酸分子を患者に投与し、次いで、コードされている遺伝情報を転写及び/又は翻訳させることに基づいている。或いは、遺伝子ワクチン接種又は遺伝子治療は、治療を受ける患者から特定の身体細胞を単離し、次いで、かかる細胞をインビトロでトランスフェクトし、処理された細胞を前記患者に再投与することを含む方法を含んでいてもよい。
DNA及びRNAは、遺伝子治療又は遺伝子ワクチン接種を行う際に、投与するための核酸分子として用いることができる。DNAは、比較的安定で取り扱いが容易であることが知られている。しかし、DNAの使用には、投与されたDNA断片が患者のゲノムに不所望に挿入されて、欠陥の生じた遺伝子の機能が失われてしまう可能性があるというリスクがある。更なるリスクとして、抗DNA抗体の不所望な産生が生じたことがある。別の問題点は、DNAを投与し、転写/翻訳させる際に得ることができる、コードされているペプチド又はタンパク質の発現レベルが限定的である点である。数ある理由の中でも、投与されるDNAの発現レベルは、DNA転写を制御する特定の転写因子の存在に依存する。かかる因子が存在しない場合、DNA転写によって満足のいく量のRNAが得られない。その結果、翻訳されるペプチド又はタンパク質のレベルが限定される。
遺伝子治療又は遺伝子ワクチン接種のためにDNAの代わりにRNAを用いることによって、不所望のゲノムへの組み込み及び抗DNA抗体の産生のリスクが最小限に抑えられるか又はなくなる。しかし、RNAは、遍在するRNAseによって容易に分解され得る比較的不安定な分子種であると考えられている。
インビボでは、RNAの分解は、RNAの半減期の制御に寄与している。この効果により真核生物の遺伝子発現の制御が微調整されていると考えられ、立証されている(非特許文献1)。したがって、各自然界に存在するmRNAは、前記mRNAが由来する遺伝子に依存する個々の半減期を有している。このことは、前記遺伝子の発現レベルの制御に寄与している。不安定なRNAは、異なる時点で一過的に遺伝子を発現させるために重要である。しかし、寿命の長いRNAは、別個のタンパク質の蓄積又は遺伝子の連続的発現に関連している場合がある。インビボでは、mRNAの半減期は、例えば、インスリン様成長因子I、アクチン、及びアルブミンのmRNAについて示されている通り、ホルモン処理等の環境要因にも依存している場合がある(非特許文献2)。
遺伝子治療及び遺伝子ワクチン接種の場合、通常、安定なRNAが望ましい。これは、RNA配列によってコードされている産物がインビボで蓄積されることになっているという事実によるものである。他方、RNAは、好適な剤形に調製されたとき、保存の過程で、及び投与したときに、構造的且つ機能的に一体性を維持しなければならない。したがって、早期に分解又は崩壊するのを防ぐために、遺伝子治療又は遺伝子ワクチン接種用の安定なRNA分子の提供がかなりの注目を集めた。
核酸分子のG/C含量がその安定性に影響を及ぼす場合があることが報告されている。したがって、多量のグアニン(G)及び/又はシトシン(C)残基を含む核酸は、多量のアデニン(A)及びチミン(T)又はウラシル(U)ヌクレオチドを含有する核酸よりも機能的に安定であり得る。これに関連して、特許文献1は、翻訳領域の配列を改変することによって安定化したmRNAを含有する医薬組成物を提供している。かかる配列改変は、遺伝子コードの縮重を利用する。したがって、あまり好ましくない(RNAの安定性の観点であまり好ましくない)組み合わせのヌクレオチドを含有するコドンを、コードされているアミノ酸配列を変化させることなしに別のコドンに置換してよい。このRNAの安定化方法は、所望のアミノ酸配列の余地を残してはならない各単一のRNA分子の特定のヌクレオチド配列の提供によって限定される。また、このアプローチは、RNAのコード領域に制限される。
mRNAを安定化するための別の選択肢として、自然界に存在する真核生物のmRNA分子は、特徴的な安定化エレメントを含有することが見出されている。例えば、真核生物のmRNA分子は、5’末端(5’UTR)及び/又は3’末端(3’UTR)に所謂非翻訳領域(UTR)を含み、更に5’−キャップ構造又は3’−ポリ(A)テール等の他の構造的特徴を含む。5’UTR及び3’UTRは、典型的に、ゲノムDNAから転写されるので、未成熟mRNAのエレメントである。5’−キャップ及び3’−ポリ(A)テール(ポリ(A)テール又はポリ(A)配列とも呼ばれる)等の成熟mRNAの特徴的な構造的特徴は、通常、mRNAのプロセシング中に転写(未成熟)mRNAに付加される。
3’−ポリ(A)テールは、典型的に、転写mRNAの3’末端に付加されるアデニンヌクレオチドの単調な一続きの配列である。これは、最高約400個のアデニンヌクレオチドを含み得る。かかる3’−ポリ(A)テールの長さは、個々のmRNAの安定性にとって重要な要素である可能性があることが見出されている。
また、α−グロビンmRNAの3’UTRは、α−グロビンmRNAの周知の安定性にとって重要な因子であり得ることが示されている(非特許文献3)。α−グロビンmRNAの3’UTRは、その存在がインビトロにおけるmRNAの安定性と相関している特定のリボ核タンパク質複合体(α−複合体)の形成に関与していることが明らかである(非特許文献4)。
mRNAの安定性に影響を及ぼす因子にかかわらず、投与された核酸分子が標的細胞又は組織によって有効に翻訳されることは、遺伝子治療又は遺伝子ワクチン接種用の核酸分子を用いる任意のアプローチにとって非常に重要である。安定性の制御とともに、大部分のmRNAの翻訳も、UTR、5’−キャップ、及び3’−ポリ(A)テール等の構造的特徴によって制御されている。これに関連して、ポリ(A)テールの長さも同様に翻訳効率にとって重要な役割を果たしている可能性があることが報告されている。しかし、3’−エレメントの安定化は、翻訳を減少させる効果を有している可能性もある。
発現レベルに影響を及ぼす可能性のある更なる制御エレメントは、5’UTRに見出すことができる。例えば、特定のタンパク質、例えば、翻訳装置に属するタンパク質の合成は、転写レベルだけではなく、翻訳レベルでも制御され得ることが報告されている。例えば、所謂「TOP遺伝子」によってコードされているタンパク質の翻訳は、翻訳抑制によってダウンレギュレートされ得る。本明細書では、用語「TOP遺伝子」は、5’末端におけるTOP配列の存在と、殆どの場合、成長に関連する翻訳制御とを特徴とするmRNAに相当する遺伝子に関する(非特許文献5)。これに関連して、「5’末端オリゴピリミジン領域」とも呼ばれるTOP配列は、典型的に、キャップ部位におけるC残基と、それに続く最高13個又は更により多くのピリミジンの不断配列とからなる(非特許文献6)。これらTOP配列は、翻訳機構の構成要素をコードしている多くのmRNA中に存在し、且つ成長停止によるこれらTOP含有mRNAの翻訳の選択的抑制の原因であることが報告されている(非特許文献7)。これらTOP配列は、翻訳制御タンパク質又は翻訳機構自体の結合を阻害するcis制御エレメントとして機能すると考えられる。その結果、これら遺伝子の翻訳は、細胞の成長停止時に阻害される。より具体的には、細胞が飢餓に直面したとき又は12−Oテトラデカノイル−1−ホルボール−13−アセテート(TPA)等の幾つかの化学物質によって処理されたとき、通常ポリソームと結合しているTOP遺伝子のmRNAは、翻訳的に不活性である「サブポリソーム」へとその状態を変化させるが、一方、大部分の非TOPmRNAは、「ポリソーム」状態のままである(非特許文献8)。これに関連して、5’UTRの5’末端におけるオリゴピリミジン領域(TOPモチーフ)は、TOP遺伝子の翻訳抑制に必要であることが示されている。哺乳類のリボソームタンパク質のmRNAの5’末端におけるオリゴピリミジン領域は、その翻訳調節に必要である(非特許文献9)。更に、miRNAであるmiR−10aは、TOP遺伝子の5’UTRに存在するTOPモチーフの下流に結合することによってリボソームタンパク質の翻訳を正に調節することが示されている。かかる翻訳の強化は、5’UTRにおけるTOPモチーフの存在に依存していた。更に、このリボソームTOP遺伝子の翻訳制御は、miR−10a又は幾つかの種類の腫瘍で高度に過剰発現し、癌の進行に関与していると報告されているそのヒトホモログであるmiR−10bの存在に依存していた(非特許文献10)。
国際公開第02/098443号パンフレット
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本発明の目的は、遺伝子治療及び/又は遺伝子ワクチン接種に応用するのに好適であり得る核酸分子を提供することにある。具体的には、本発明の目的は、mRNA種等の人工核酸分子であって、前記人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させ、好ましくは、翻訳効率の上昇を示す人工核酸分子を提供することにある。本発明の別の目的は、遺伝子治療及び/又は遺伝子ワクチン接種において使用することができる優れたmRNA種をコードする核酸分子を提供することにある。本発明の更なる目的は、遺伝子治療及び/又は遺伝子ワクチン接種において使用するための医薬組成物を提供することにある。要約すると、本発明の目的は、コスト効率が高く且つ簡単なアプローチによって関連技術の上記問題点を克服する改善された核酸種を提供することにある。
本発明の根底にある目的は、請求する発明主題によって解決される。
以下の図、配列、及び実施例は、本発明を更に説明することを意図する。これらは、本発明の発明主題を限定することを意図するものではない。
図1は、核酸分子PpLuc(GC)−A64N64をコードしているキタアメリカホタル(Photinus pyralis)ルシフェラーゼのヌクレオチド配列を示す。この人工コンストラクトは、本発明の意味における5’UTRエレメントも3’UTRエレメントも含まない。PpLuc(GC)のコード領域をイタリック体で示す。 図2は、PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。3つの一点突然変異によってT7終結シグナルに加えてHindIII及びXbaI制限酵素部位が除去されているヒトアルブミンの3’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFとポリ(A)との間に挿入した。PpLuc(GC)のコード領域をイタリック体で示す。アルブミンの3’UTRに下線を引く。 図3は、RPL32−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,368に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。pLuc(GC)のコード領域をイタリック体で示す。RPL32の5’UTRに下線を引く。 図4は、RPL32−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,368に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図5は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、配列番号1,368に係るTOP遺伝子RPL23の5’UTRに由来するTOP5’UTRエレメント、配列番号1,376に係るアルブミン3’UTRエレメント、及びTOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SD(相対光単位±標準偏差)としてデータをグラフ化する。RLUを実施例5.1に要約する。 図6は、RPL35−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,412に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図7は、RPL21−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,413に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図8は、atp5a1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,414に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1遺伝子(atp5a1)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図9は、HSD17B4−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,415に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図10は、AIG1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,416に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図11は、COX6C−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,417に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトシトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図12は、ASAH1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,418に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1(ASAH1)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図13は、mRPL21−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,419に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないマウスリボソームタンパク質ラージ21遺伝子(mRPL21)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図14は、mRPL35A−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,420に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないマウスリボソームタンパク質ラージ35a遺伝子(mRPL35A)の5’UTR及び配列番号1,376に係るアルブミン7の3’UTRエレメントを、それぞれ、図1に示すコンストラクトのORFの5’及び3’に挿入した。 図15は、RPL35−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,412に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。 図16は、RPL21−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,413に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。 図17は、atp5a1−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,414に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1遺伝子(atp5a1)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。 図18は、HSD17B4−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,415に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。 図19は、AIG1−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,416に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。 図20は、COX6C−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,417に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトシトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。 図21は、ASAH1−PpLuc(GC)−A64N64のヌクレオチド配列を示す。配列番号1,418に係る5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)の5’UTRを、図1に示すコンストラクトのORFの5’に挿入した。 図22は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する様々なTOP5’UTRエレメントの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを強く増加させる。TOP遺伝子であるASAH1、COX6C、AIG1、HSD17B4、atp5a1、RPL21、RPL35、及びRPL32の5’UTRに由来する5’UTRエレメントを含むmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。RLUを実施例5.2に要約する。 図23は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、RPL35 TOP5’UTRエレメント、アルブミン3’UTRエレメント、及びRPL35 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、RPL35 TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、RPL35 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。相乗作用を実施例5.3に要約する。 図24は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、RPL21 TOP5’UTRエレメント、アルブミン3’UTRエレメント、及びRPL21 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、RPL21 TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、RPL21 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。相乗作用を実施例5.3に要約する。 図25は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、atp5a1 TOP5’UTRエレメント、アルブミン3’UTRエレメント、及びatp5a1 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、atp5a1 TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、atp5a1 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。相乗作用を実施例5.3に要約する。 図26は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、HSD17B4 TOP5’UTRエレメント、アルブミン3’UTRエレメント、及びHSD17B4 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、HSD17B4 TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、HSD17B4 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。相乗作用を実施例5.3に要約する。 図27は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、AIG1 TOP5’UTRエレメント、アルブミン3’UTRエレメント、及びAIG1 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、AIG1 TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、AIG1 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。相乗作用を実施例5.3に要約する。 図28は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、COX6C TOP5’UTRエレメント、アルブミン3’UTRエレメント、及びCOX6C TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、COX6C TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、COX6C TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。相乗作用を実施例5.3に要約する。 図29は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対する、ASAH1 TOP5’UTRエレメント、アルブミン3’UTRエレメント、及びASAH1 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果をグラフで表す。様々なmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長し、一方、ASAH1 TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させる。驚くべきことに、ASAH1 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させるので、相乗的に作用している。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。相乗作用を実施例5.3に要約する。 図30は、mRNAからのルシフェラーゼ発現に対するマウス遺伝子由来のTOP5’UTRエレメントの効果をグラフで表す。マウス又はヒトのTOP5’UTRエレメントを含有するmRNAをリポフェクションによってヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。ヒトTOP5’UTRエレメントと同様に、5’エレメントを有しないmRNAに比べて、マウスTOP5’UTRエレメントはルシフェラーゼレベルを強く増加させる。トリプリケートのトランスフェクションについて、平均RLU±SEM(相対光単位±標準誤差)としてデータをグラフ化する。RLUを実施例5.4に要約する。
明確に且つ読みやすくするために、以下の定義を提供する。これら定義について言及される任意の技術的特徴は、本発明の各実施形態及び全実施形態において読み取ることができる。これら実施形態に関連して更なる定義及び説明を具体的に提供する場合がある。
適応免疫応答:適応免疫応答は、典型的に、免疫系の抗原特異的応答であると理解される。抗原特異性により、特定の病原体又は病原体に感染している細胞に合わせた応答を生じさせることができる。これら病原体又は細胞に合わせた応答を開始させる能力は、通常、「記憶細胞」によって体内に維持されている。身体がある病原体に1回超感染した場合、これら特異的記憶細胞を用いて、前記病原体を速やかに除去する。これに関連して、適応免疫応答の第1の工程は、抗原提示細胞による抗原特異的免疫応答を誘導することができる抗原特異的なナイーブT細胞又は様々な免疫細胞の活性化である。これは、ナイーブT細胞が常に通過しているリンパ組織及び器官で生じる。抗原提示細胞として機能し得る3種の細胞は、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞である。これら細胞は、それぞれ、免疫応答の誘発において異なる機能を有する。樹状細胞は、食作用及びマクロピノサイトーシスによって抗原を取り込むことができ、また、例えば外来抗原と接触することによって刺激されて、樹状細胞が成熟樹状細胞に分化する局所リンパ組織に遊走することができる。マクロファージは、細菌等の特定の抗原を摂取し、感染因子又は他の適切な刺激によって誘導されてMHC分子を発現させる。また、受容体を介して可溶性タンパク質抗原に結合し、内部に取り込むB細胞の独自の能力は、T細胞の誘導にとって重要であり得る。MHC分子は、典型的に、抗原のT細胞への提示を担当する。MHC分子における抗原の提示により、T細胞が活性化されて、前記T細胞の増殖及びアームドエフェクターT細胞への分化が誘導される。エフェクターT細胞の最も重要な機能は、CD8+細胞傷害性T細胞によって感染細胞を殺傷し、共に細胞媒介免疫を構成するTh1細胞によってマクロファージを活性化させ、Th2細胞及びTh1細胞の両方によってB細胞を活性化させて様々な分類の抗体を産生させ、それによって体液性免疫応答を駆動することである。T細胞は、抗原を直接認識したり結合したりはしないが、その代わり、例えば、他の細胞の表面上のMHC分子に結合している病原体由来のタンパク質抗原の短いペプチド断片(例えば、所謂エピトープ)を認識するT細胞受容体によって抗原を認識する。
適応免疫系:適応免疫系は、本質的に、病原体の成長を停止させる又は妨げることに専念している。適応免疫系は、典型的に、特定の病原体を認識及び記憶し(免疫を生じさせ)、前記病原体に遭遇したときにより強い攻撃を開始する能力を脊椎動物の免疫系に付与することによって適応免疫応答を制御する。前記系は、体細胞超変異(体細胞の突然変異が加速されるプロセス)及びV(D)J組み換え(抗原受容体遺伝子セグメントの不可逆的な遺伝子組み替え)により、高度に適応可能である。この機序により、少数の遺伝子が膨大な数の様々な抗原受容体を産生することができ、前記抗原受容体は、後に、個々のリンパ球で一意的に発現する。遺伝子の再配置により各細胞のDNAが不可逆的に変化するので、かかる細胞の後代(子孫)は全て、長命特異的免疫にとって重要であるメモリーB細胞及びメモリーT細胞を含む、同じ受容体特異性をコードしている遺伝子を受け継ぐ。
アジュバント/アジュバント成分:アジュバント又はアジュバント成分は、最も広い意味では、典型的に、薬物又はワクチン等の他の剤の効果を変化させ得る、例えば、強化し得る薬理学的及び/又は免疫学的剤である。アジュバント又はアジュバント成分は、広義で解釈すべきであり、広範囲に亘る物質を指す。典型的に、これら物質は、抗原の免疫原性を高めることができる。例えば、アジュバントは、自然免疫系によって認識され得、例えば、自然免疫応答を誘発することができる。「アジュバント」は、典型的に、適応免疫応答を誘発しない。したがって、「アジュバント」は、抗原として適切ではない。アジュバントの作用機序は、適応免疫応答を生じさせる抗原によって誘発される効果とは異なる。
抗原:本発明において、「抗原」は、典型的に、免疫系によって、好ましくは適応免疫系によって認識され得る物質を指し、例えば、適応免疫応答の一部として抗体及び/又は抗原特異的T細胞を形成することによって抗原特異的免疫応答を誘発することができる。典型的に、抗原は、MHCによってT細胞に提示され得るペプチド又はタンパク質であってもよく、前記ペプチド又はタンパク質を含んでいてもよい。
人工核酸分子:人工核酸分子は、典型的に、自然界には存在しない核酸分子(例えば、DNA又はRNA)であると理解してよい。言い換えれば、人工核酸分子は、非天然核酸分子として理解してよい。かかる核酸分子は、その個々の配列(自然界には存在しない)及び/又は他の修飾(例えば、自然界には存在しないヌクレオチドの構造的修飾)から非天然であり得る。人工核酸分子は、DNA分子であってもよく、RNA分子であってもよく、DNA部分とRNA部分とを含むハイブリッド分子であってもよい。典型的に、人工核酸分子は、所望の人工ヌクレオチド配列(異種配列)に相当するように遺伝子改変方法によって設計及び/又は作製することができる。これに関連して、人工配列は、通常、自然界には存在し得ない配列である、即ち、少なくとも1つのヌクレオチドが野生型配列とは異なる。用語「野生型」とは、自然界に存在する配列であると理解してよい。更に、用語「人工核酸分子」の意味は、「1つの単一分子」には限定されず、典型的に、同一分子の集合体を含むと理解される。したがって、アリコートに含有される複数の同一分子を指す場合がある。
2シストロン性RNA、多シストロン性RNA:2シストロン性又は多シストロン性のRNAは、典型的に2つ(2シストロン性)又はそれ以上(多シストロン性)のオープンリーディングフレーム(ORF)を有し得るRNA、好ましくはmRNAである。これに関連して、オープンリーディングフレームは、ペプチド又はタンパク質に翻訳可能なコドンの配列である。
担体/高分子担体:本発明における担体は、典型的に、別の化合物(カーゴ)の輸送及び/又は複合体化を促進する化合物であってよい。高分子担体は、典型的に、高分子で形成される担体である。担体は、共有相互作用又は非共有相互作用によってカーゴに結合し得る。担体は、核酸(例えば、RNA又はDNA)を標的細胞に輸送することができる。担体は、幾つかの実施形態では、カチオン性成分であってよい。
カチオン性成分:用語「カチオン性成分」は、典型的に、典型的に1〜9のpH値、好ましくは9以下(例えば、5〜9)、8以下(例えば、5〜8)、7以下(例えば、5〜7)のpH値、最も好ましくは生理学的pH(例えば、7.3〜7.4)を有する正に帯電している帯電分子(カチオン)を指す。したがって、カチオン性成分は、任意の正に帯電している化合物又はポリマーであってよく、好ましくは、生理学的条件下で、特にインビボにおける生理学的条件下で正に帯電しているカチオン性のペプチド又はタンパク質であってよい。「カチオン性のペプチド又はタンパク質」は、例えば、Arg、His、Lys、又はOrnから選択される、少なくとも1つの正に帯電しているアミノ酸、又は1超の正に帯電しているアミノ酸を含有していてよい。したがって、所与の条件下で1超の正電荷を呈する「ポリカチオン性」成分も、カチオン性成分の範囲内である。
5’−キャップ:5’−キャップは、一般的に成熟mRNAの5’末端を「キャップ」する実体、典型的に修飾ヌクレオチド実体である。5’−キャップは、典型的に、修飾ヌクレオチド、特に、グアニンヌクレオチドの誘導体によって形成され得る。好ましくは、5’−キャップは、5’−5’−三リン酸結合を介して5’末端に結合する。5’−キャップは、メチル化されていてもよく、例えば、m7GpppN(式中、Nは、5’−キャップを有する核酸の5’末端のヌクレオチド、典型的に、RNAの5’末端である)である。5’−キャップ構造の更なる例としては、グリセリル、逆転デオキシ非塩基残基(部分)、4’,5’メチレンヌクレオチド、1−(ベータ−D−エリトロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、アルファ−ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’,4’−セコヌクレオチド、非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環式3,5ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−逆転ヌクレオチド部分、3’−3’−逆転非塩基部分、3’−2’−逆転ヌクレオチド部分、3’−2’−逆転非塩基部分、1,4−ブタンジオールホスフェート、3’−ホスホロアミデート、ヘキシルホスフェート、アミノヘキシルホスフェート、3’−ホスフェート、3’ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、又は架橋若しくは非架橋メチルホスホネート部分が挙げられる。
細胞免疫/細胞免疫応答:細胞免疫は、典型的に、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞(NK)、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球の活性化、及び抗原に応答する様々なサイトカインの放出を指す。より一般的な用語では、細胞免疫は、抗体に基づくのではなく、免疫系の細胞の活性化に基づく。典型的に、細胞免疫応答は、細胞(例えば、樹状細胞又は他の細胞等の特定の免疫細胞)においてアポトーシスを誘導することができる抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球を活性化し、その表面上に外来抗原のエピトープを提示することを特徴とし得る。かかる細胞は、ウイルスに感染していてもよく、細胞内細菌に感染していてもよく、腫瘍抗原を提示する癌細胞であってもよい。更なる特徴は、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を活性化して病原体を破壊させたり、細胞を刺激して適応免疫応答及び自然免疫応答に関与している他の細胞の機能に影響を及ぼす様々なサイトカインを分泌させたりすることであり得る。
DNA:DNAは、デオキシリボ核酸の一般的な略称である。DNAは、核酸分子、即ち、ヌクレオチドからなるポリマーである。これらヌクレオチドは、通常、デオキシアデノシン一リン酸、デオキシチミジン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸、及びデオキシシチジン一リン酸のモノマーであり、これらは、単独で、糖部分(デオキシリボース)、塩基部分、及びリン酸部分で構成され、特徴的な骨格構造により重合する。前記骨格構造は、典型的に、第1のヌクレオチドの糖部分(即ち、デオキシリボース)と、隣接する第2のモノマーのリン酸部分との間のホスホジエステル結合によって形成される。モノマーの特定の順序、即ち、糖/リン酸骨格に結合している塩基の順序が、DNA配列と呼ばれる。DNAは、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖形態では、第1の鎖のヌクレオチドは、典型的に、例えばA/T塩基対合及びG/C塩基対合によって第2の鎖のヌクレオチドとハイブリダイズする。
エピトープ:エピトープ(「抗原決定基」とも呼ばれる)は、T細胞エピトープとB細胞エピトープとに分けることができる。本発明におけるT細胞エピトープ又はタンパク質の一部は、好ましくは約6アミノ酸長〜約20アミノ酸長又はそれ以上のアミノ酸長を有する断片、例えば、好ましくは約8アミノ酸長〜約10アミノ酸長、例えば、8アミノ酸長、9アミノ酸長、又は10アミノ酸長(又は更には11アミノ酸長又は12アミノ酸長)を有するMHCクラスI分子によって処理及び提示される断片、或いは、好ましくは約13アミノ酸長以上、例えば、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、又はそれ以上のアミノ酸長を有するMHCクラスII分子によって処理及び提示される断片を含んでよく、これら断片は、アミノ酸配列の任意の部分から選択してよい。これら断片は、典型的に、ペプチド断片及びMHC分子からなる複合体の形態でT細胞によって認識される。即ち、前記断片は、典型的に、そのネイティブな形態では認識されない。B細胞エピトープは、典型的に、好ましくは5アミノ酸〜15アミノ酸、より好ましくは5アミノ酸〜12アミノ酸、更により好ましくは6アミノ酸〜9アミノ酸を有する、本明細書に定義する(ネイティブな)タンパク質又はペプチド抗原の外表面上に位置する断片であり、これは、即ちそのネイティブな形態で抗体によって認識され得る。
更に、タンパク質又はペプチドのかかるエピトープは、かかるタンパク質又はペプチドの本明細書に記載する変異体のいずれかから選択してよい。これに関連して、抗原決定基は、本明細書に定義するタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列において不連続であるが、三次元構造では結合する本明細書に定義するタンパク質又はペプチドのセグメントで構成される高次構造エピトープ又は不連続エピトープであってもよく、単一ポリペプチド鎖で構成される連続エピトープ又は線状エピトープであってもよい。
配列の断片:配列の断片は、典型的に、例えば、核酸分子又はアミノ酸の配列の完全長配列のより短い部分であってよい。したがって、断片は、典型的に、完全長配列内の相当する一続きと同一である配列からなる。本発明における好ましい配列の断片は、前記断片が由来する分子における連続する一続きの実体に相当するヌクレオチド又はアミノ酸等の連続する一続きの実体からなり、前記断片が由来する分子全体(即ち、完全長分子)の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%を表す。
G/C改変:G/C改変核酸は、典型的に、好ましくは野生型配列よりも多数のグアノシン/シトシンヌクレオチドを含む改変野生型配列に基づく核酸、好ましくは本明細書に定義する人工核酸分子であってよい。グアノシン又はシトシンヌクレオチドを含有するコドンでアデノシン又はチミジンヌクレオチドを含有するコドンを置換することによって、このように数を増加させることができる。DNA又はRNAのコード領域におけるG/C含量を増加させる場合、遺伝コードの縮重を利用する。したがって、コドン置換は、コードされているアミノ酸残基は変化させず、核酸分子のG/C含量のみを増加させることが好ましい。
遺伝子治療:遺伝子治療は、典型的に、ペプチド又はタンパク質をコードしている核酸による患者の身体又は患者の身体の単離要素(例えば、単離組織/細胞)の治療を意味すると理解してよい。遺伝子治療は、典型的に、a)核酸、好ましくは本明細書に定義する人工核酸分子を任意の投与経路によって患者に直接投与するか、又はインビトロで前記患者の単離細胞/組織に投与して、インビボ/エキソビボ又はインビトロで前記患者の細胞をトランスフェクトする工程;b)導入された前記核酸分子を転写及び/又は翻訳させる工程;及び任意でc)前記核酸を前記患者に直接投与しなかった場合、トランスフェクトされた単離細胞を前記患者に再投与する工程のうちの少なくとも1つを含んでよい。
遺伝子ワクチン接種:遺伝子ワクチン接種は、典型的に、抗原若しくは免疫原をコードしている核酸分子又はその断片を投与することによるワクチン接種であると理解してよい。前記核酸分子は、被験体の身体又は被験体の単離細胞に投与してよい。身体の特定の細胞をトランスフェクトした際又は単離細胞をトランスフェクトした際、これら細胞は、前記抗原又は免疫原を発現し、次いで、免疫系に提示して、適応免疫応答、即ち、抗原特異的免疫応答を誘発し得る。したがって、遺伝子ワクチン接種は、典型的に、a)核酸、好ましくは本明細書に定義する人工核酸分子を被験体、好ましくは患者、又は被験体、好ましくは患者の単離細胞に投与して、通常、インビボ又はインビトロで前記被験体の細胞をトランスフェクトする工程;b)導入された前記核酸分子を転写及び/又は翻訳させる工程;及び任意で、c)前記核酸を前記患者に直接投与しなかった場合、トランスフェクトされた単離細胞を被験体、好ましくは患者に再投与する工程のうちの少なくとも1つを含む。
異種配列:2つの配列は、典型的に、同一の遺伝子に由来していない場合、「異種」であると理解される。即ち、異種配列は、同一の生物に由来し得たとしても、天然で(自然界で)同一の核酸分子(例えば、同一のmRNA等)中に存在することはない。
体液性免疫/体液性免疫応答:体液性免疫は、典型的に、抗体産生と、任意で抗体産生に付随する付属プロセスとを指す。体液性免疫応答は、典型的に、例えば、Th2活性化及びサイトカイン産生、胚中心の形成及びアイソタイプの切り換え、親和性成熟及び記憶細胞の産生を特徴とし得る。また、体液性免疫は、典型的に、病原体及び毒素の中和、古典的補体活性化、並びに食作用及び病原体排除のオプソニンによる促進を含む抗体のエフェクター機能を指す場合もある。
免疫原:本発明において、免疫原は、典型的に、免疫応答を刺激することができる化合物であると理解してよい。好ましくは、免疫原は、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質である。特に好ましい実施形態では、本発明の意味における免疫原は、提供される核酸分子、好ましくは本明細書に定義する人工核酸分子の翻訳産物である。典型的に、免疫原は、少なくとも適応免疫応答を誘発する。
免疫賦活組成物:本発明において、免疫賦活組成物は、典型的に、免疫応答を誘導することができるか、又は免疫応答を誘導することができる成分が由来する少なくとも1つの成分を含有する組成物であると理解してよい。かかる免疫応答は、好ましくは、自然免疫応答又は適応免疫応答と自然免疫応答との組み合わせであってよい。本発明における免疫賦活組成物は、好ましくは、少なくとも1つの人工核酸分子、より好ましくはRNA(例えば、mRNA分子)を含有する。mRNA等の免疫賦活成分は、好適な担体と複合体化し得る。したがって、免疫賦活組成物は、mRNA/担体複合体を含んでいてよい。更に、免疫賦活組成物は、mRNA等の免疫賦活成分のアジュバント及び/又は好適なビヒクルを含んでいてよい。
免疫応答:免疫応答は、典型的に、特定の抗原に対する適応免疫系の特異的反応(所謂、特異的又は適応免疫応答)、自然免疫系の非特異的反応(所謂、非特異的又は自然免疫応答)、又はこれらの組み合わせであってよい。
免疫系:免疫系は、生物を感染から保護することができる。病原体が、生物の物理的障壁の通過に成功し、この生物に侵入した場合、自然免疫系系が、即座にではあるが非特異的に応答する。病原体がこの自然応答から逃れた場合、脊椎動物は、第2の保護層である適応免疫系を有している。ここで、免疫系は、感染中の応答に適応してその病原体認識を向上させる。その後、この向上した応答は、病原体が排除された後も免疫記憶の形態で保持され、この病原体に遭遇したときにはいつも適応免疫系がより速やかに且つより強力な攻撃を行うことが可能になる。これによれば、免疫系は、自然免疫系及び適応免疫系を含む。これら2つの部分はそれぞれ、典型的に、所謂体液性成分及び細胞性成分を含有する。
免疫賦活RNA:本発明における免疫賦活RNA(isRNA)は、典型的に、自然免疫応答を誘導することができるRNAであってよい。これは、通常、オープンリーディングフレームを有しないので、ペプチド抗原又は免疫原を提供しないが、例えば、特定の種類のToll様受容体(TLR)又は他の好適な受容体に結合することによって免疫応答を誘発する。しかし、無論、オープンリーディングフレームを有し且つペプチド/タンパク質をコードしているmRNAも自然免疫応答を誘導し得るので、免疫賦活RNAであり得る。
自然免疫系:非特異的免疫系としても知られている自然免疫系は、典型的に、非特異的に他の生物による感染からホストを守る細胞及び機構を含む。これは、自然免疫系の細胞は、包括的に病原体を認識し、応答することができるが、適応免疫系とは異なり、ホストに対して長期間免疫を付与することも、防御免疫を付与することもないことを意味する。自然免疫系は、例えば、Toll様受容体(TLR)のリガンド、リポ多糖類等の他の補助物質、TNF−アルファ、CD40リガンド、サイトカイン、モノカイン、リンホカイン、インターロイキン、ケモカイン、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、IFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−ガンマ、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、LT−ベータ、TNF−アルファ、成長因子及びhGH、ヒトToll様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10のリガンド、マウスToll様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、又はTLR13のリガンド、NOD様受容体のリガンド、RIG−I様受容体のリガンド、免疫賦活核酸、免疫賦活RNA(isRNA)、CpG−DNA、抗菌剤、又は抗ウイルス剤によって活性化され得る。本発明に係る医薬組成物は、1以上のかかる物質を含んでいてよい。典型的に、自然免疫系の応答は、サイトカインと呼ばれる特殊な化学メディエーターを含む化学因子の産生を介して感染部位に免疫細胞を動員し、補体カスケードを活性化し、特殊な白血球によって器官、組織、血液、及びリンパ中に存在する外来物質を同定及び除去し、適応免疫系を活性化し、及び/又は感染因子に対する物理的及び化学的な障壁として作用することを含む。
クローニングサイト:クローニングサイトは、典型的に、核酸配列、例えば、オープンリーディングフレームを含む核酸配列の挿入に好適である核酸分子のセグメントであると理解される。挿入は、例えば、制限酵素処理及びライゲーションによって当業者に公知の任意の分子生物学的方法によって実施してよい。クローニングサイトは、典型的に、1以上の制限酵素認識部位(制限酵素部位)を含む。これら1以上の制限酵素部位は、これら部位においてDNAを切断する制限酵素によって認識され得る。1超の制限酵素部位を含むクローニングサイトは、マルチクローニングサイト(MCS)又はポリリンカーと呼ばれる場合もある。
核酸分子:核酸分子は、核酸成分を含む、好ましくは核酸成分からなる分子である。核酸分子という用語は、好ましくは、DNA又はRNAの分子を指す。好ましくは、用語「ポリヌクレオチド」と同義的に用いられる。好ましくは、核酸分子は、糖/リン酸骨格のホスホジエステル結合によって互いに共有結合しているヌクレオチドモノマーを含むか又はからなるポリマーである。また、用語「核酸分子」は、例えば、塩基が修飾されている、糖が修飾されている、又は骨格が修飾されているDNA又はRNAの分子等の修飾核酸分子も含む。
オープンリーディングフレーム:本発明におけるオープンリーディングフレーム(ORF)は、典型的に、ペプチド又はタンパク質に翻訳され得る幾つかのヌクレオチドトリプレットの配列であってよい。オープンリーディングフレームは、好ましくは、開始コドン、即ち、その5’末端における通常アミノ酸メチオニンをコードしている3つの連続するヌクレオチドの組み合わせ(ATG又はAUG)と、その後に、通常3の倍数である長さのヌクレオチドを有する領域とを含む。ORFは、好ましくは、終止コドン(例えば、TAA、TAG、TGA)によって終結する。典型的に、これは、オープンリーディングフレームの唯一の終止コドンである。したがって、本発明におけるオープンリーディングフレームは、好ましくは、開始コドン(例えば、ATG又はAUG)で始まり、好ましくは、終止コドン(例えば、それぞれTAA、TGA、若しくはTAG、又はUAA、UAG、UGA)で終結する、3で割り切れる多数のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列である。オープンリーディングフレームは、単離することができたり、例えば、ベクター又はmRNAにおけるより長い核酸配列に組み込むことができたりする。また、オープンリーディングフレームは、「タンパク質コード領域」と呼ばれる場合もある。
ペプチド:ペプチド又はポリペプチドは、典型的に、ペプチド結合によって連結されているアミノ酸モノマーのポリマーである。典型的に、50個未満のモノマーユニットを含む。しかし、ペプチドという用語は、50個超のモノマーユニットを有する分子を除外するものではない。また、典型的に50個〜600個のモノマーユニットを有する長いペプチドは、ポリペプチドとも呼ばれる。
薬学的に有効な量:本発明において薬学的に有効な量は、典型的に、免疫応答等の薬学的効果を誘導して、ペプチド又はタンパク質の病的レベルの発現を変化させるか又は例えば、病理学的状況の場合、欠損している遺伝子産物を置換するのに十分な量であると理解される。
タンパク質:タンパク質は、典型的に、1以上のペプチド又はタンパク質を含む。タンパク質は、典型的に、3次元形態に折り畳まれており、これは、タンパク質がその生物学的機能を発揮するのに必要である場合がある。
ポリ(A)配列:ポリ(A)テール又は3’−ポリ(A)テールとも呼ばれるポリ(A)配列は、典型的に、アデノシンヌクレオチドの配列、例えば、約400個以下のアデノシンヌクレオチドの配列、約20個〜約400個のアデノシンヌクレオチドの配列、好ましくは約50個〜約400個のアデノシンヌクレオチドの配列、より好ましくは約50個〜約300個のアデノシンヌクレオチドの配列、更により好ましくは約50個〜約250個のアデノシンヌクレオチドの配列、最も好ましくは約60個〜約250個のアデノシンヌクレオチドの配列であると理解される。ポリ(A)配列は、典型的に、mRNAの3’末端に位置する。本発明において、ポリ(A)配列は、mRNA内に位置してもよく、又は例えば、ベクターの転写によってRNA(好ましくはmRNA)を作製するためのテンプレートとして機能するベクター等のベクターにおける任意の他の核酸分子内に位置してもよい。
ポリアデニル化:ポリアデニル化は、典型的に、RNA分子等の核酸分子、例えば、未成熟mRNAにポリ(A)配列を付加することであると理解される。ポリアデニル化は、所謂ポリアデニル化シグナルによって誘導され得る。このシグナルは、好ましくは、ポリアデニル化される核酸分子(例えば、RNA分子)の3’末端における一続きのヌクレオチド内に位置している。ポリアデニル化シグナルは、典型的に、アデニン及びウラシル/チミンヌクレオチドからなるヘキサマー、好ましくは、ヘキサマー配列AAUAAAを含む。他の配列、好ましくはヘキサマー配列も考えられる。ポリアデニル化は、典型的に、プレmRNA(未成熟mRNAとも呼ばれる)のプロセシング中に生じる。典型的に、RNAの成熟(プレmRNAから成熟mRNAへ)は、ポリアデニル化工程を含む。
制限酵素部位:「制限酵素認識部位」とも呼ばれる制限酵素部位は、制限酵素によって認識されるヌクレオチド配列である。制限酵素部位は、典型的に短く、好ましくは、回文構造のヌクレオチド配列、例えば、4個〜8個のヌクレオチドを含む配列である。制限酵素部位は、好ましくは、制限酵素によって特異的に認識される。制限酵素は、典型的に、この部位において制限酵素部位を含むヌクレオチド配列を切断する。二本鎖DNA配列等の二本鎖ヌクレオチド配列では、制限酵素は、典型的に、ヌクレオチド配列の両方の鎖を切断する。
RNA、mRNA:RNAは、リボ核酸の一般的な略称である。RNAは、核酸分子、即ち、ヌクレオチドからなるポリマーである。これらヌクレオチドは、通常、所謂骨格に沿って互いに結合しているアデノシン一リン酸、ウリジン一リン酸、グアノシン一リン酸、及びシチジン一リン酸のモノマーである。骨格は、第1のモノマーの糖(即ち、リボース)と第2の隣接するモノマーのリン酸部分との間のホスホジエステル結合によって形成される。特定の連続するモノマーをRNA配列と呼ぶ。通常、RNAは、例えば、細胞内部のDNA配列の転写によって得ることができる。真核細胞では、転写は、通常、核又はミトコンドリア内部で実施される。インビボでは、DNAの転写により、通常、所謂未成熟RNAが得られ、これは、所謂メッセンジャーRNA(通常、mRNAと略される)にプロセシングされなければならない。例えば、真核生物における未成熟RNAのプロセシングは、スプライシング、5’−キャッピング、ポリアデニル化、核又はミトコンドリアからのエクスポート等の様々な異なる転写後修飾を含む。これらプロセス全体をRNAの成熟とも呼ぶ。成熟メッセンジャーRNAは、通常、特定のペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列に翻訳され得るヌクレオチド配列を提供する。典型的に、成熟mRNAは、5’−キャップ、5’UTR、オープンリーディングフレーム、3’UTR、及びポリ(A)配列を含む。メッセンジャーRNAは別として、転写及び/又は翻訳の制御に関与し得る幾つかの非コード型のRNAが存在する。
核酸分子の配列:核酸分子の配列は、典型的に、そのヌクレオチドの特定の及び個々の順序、即ち、連続物であると理解される。タンパク質又はペプチドの配列は、典型的に、そのアミノ酸の順序、即ち、連続物であると理解される。
配列同一性:同じ長さ及び順序のヌクレオチド又はアミノ酸を有する場合、2以上の配列は同一である。同一性の割合は、典型的に、2つの配列が同一である程度について説明する。即ち、典型的に、その配列位置においてレファレンス配列の同一ヌクレオチドと一致するヌクレオチドの割合について説明するものである。同一性の程度を決定する場合、比較する配列は、同じ長さ、即ち、比較する配列のうちの最長の配列の長さを有するとみなされる。これは、8ヌクレオチドからなる第1の配列が、前記第1の配列を含む10ヌクレオチドからなる第2の配列と80%同一であることを意味する。言い換えれば、本発明において、配列同一性は、好ましくは、同じ長さを有する2以上の配列において配列のうちの同一位置を有するヌクレオチドの割合に関する。ギャップは、アラインメントにおけるその実際の位置にかかわらず、通常、非同一位置であるとみなされる。
安定化核酸分子:安定化核酸分子は、例えば、環境因子又はエキソヌクレアーゼ若しくはエンドヌクレアーゼによる分解等の酵素分解によって、修飾されていない核酸分子よりも崩壊又は分解に対して安定であるように修飾されている核酸分子、好ましくはDNA又はRNAの分子である。好ましくは、本発明における安定化核酸分子は、細胞(例えば、原核細胞又は真核細胞)、好ましくは哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)において安定化される。また、安定化効果は、例えば、安定化核酸分子を含む医薬組成物の製造過程において、細胞外、例えば、バッファ溶液中でも発揮され得る。
トランスフェクション:用語「トランスフェクション」は、DNA又はRNA(例えば、mRNA)の分子等の核酸分子を細胞、好ましくは真核細胞に導入することを指す。本発明において、用語「トランスフェクション」は、核酸分子を細胞、好ましくは真核細胞、例えば哺乳類細胞に導入するための当業者に公知の任意の方法を含む。かかる方法は、例えば、エレクトロポレーション、(例えば、カチオン性脂質及び/又はリポソームに基づく)リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ナノ粒子に基づくトランスフェクション、ウイルスに基づくトランスフェクション、又はカチオン性ポリマー(例えば、DEAE−デキストラン又はポリエチレンイミン等)に基づくトランスフェクションを含む。好ましくは、導入は、非ウイルスである。
ワクチン:ワクチンは、典型的に、少なくとも1つの抗原、好ましくは免疫原を提供する予防的又は治療的材料であると理解される。抗原又は免疫原は、ワクチン接種に好適な任意の材料に由来してよい。例えば、抗原又は免疫原は、病原体(例えば、細菌若しくはウイルス粒子等)又は腫瘍若しくは癌性組織に由来してよい。抗原又は免疫原は、身体の適応免疫系を刺激して、適応免疫応答を提供する。
ベクター:用語「ベクター」は、核酸分子、好ましくは人工核酸分子を指す。本発明におけるベクターは、オープンリーディングフレームを含む核酸配列等の所望の核酸配列を組み込む又は有するのに好適である。かかるベクターは、ストレージベクター、発現ベクター、クローニングベクター、トランスファーベクター等であってよい。ストレージベクターは、核酸分子、例えば、mRNA分子を便利に保管することができるベクターである。したがって、このベクターは、例えば、所望のmRNA配列又はその一部に相当する配列(例えば、mRNAのオープンリーディングフレーム及び3’UTRに相当する配列)を含んでいてよい。発現ベクターは、RNA(例えば、mRNA)、又はペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質等の発現産物を産生するために用いることができる。例えば、発現ベクターは、プロモーター配列(例えば、RNAプロモーター配列)等のベクターの一続きの配列の転写に必要な配列を含んでいてよい。クローニングベクターは、典型的に、核酸配列をベクターに組み込むために用いることができるクローニングサイトを含むベクターである。クローニングベクターは、例えば、プラスミドベクター又はバクテリオファージベクターであってよい。トランスファーベクターは、細胞又は生物に核酸分子を移入するのに好適なベクター、例えば、ウイルスベクターであってよい。本発明におけるベクターは、例えば、RNAベクターであってもDNAベクターであってもよい。好ましくは、ベクターは、DNA分子である。好ましくは、本発明におけるベクターは、クローニングサイト、選択マーカー(例えば、抗生物質耐性因子)、及びベクターの増殖に好適な配列(例えば、複製起点)を含む。好ましくは、本願におけるベクターは、プラスミドベクターである。
ビヒクル:ビヒクルは、典型的に、化合物(例えば、薬学的に活性のある化合物)を保管、輸送、及び/又は投与するのに好適な材料であると理解される。例えば、薬学的に活性のある化合物を保管、輸送、及び/又は投与するのに好適な生理学的に許容可能な液体であってよい。
3’−非翻訳領域(3’UTR):3’UTRは、典型的に、mRNAのタンパク質コード領域(即ち、オープンリーディングフレーム)とポリ(A)配列との間に位置するmRNAの部分である。mRNAの3’UTRは、アミノ酸配列に翻訳されない。3’UTR配列は、一般的に、遺伝子発現プロセス中にそれぞれのmRNAに翻訳される遺伝子によってコードされている。ゲノム配列は、先ず、任意のイントロンを含む未成熟mRNAに転写される。次いで、前記未成熟mRNAは、成熟プロセスにおいて成熟mRNAに更にプロセシングされる。この成熟プロセスは、5’キャッピング工程、未成熟mRNAをスプライシングして、任意のイントロン及び3’末端の修飾(例えば、未成熟mRNAの3’末端のポリアデニル化)を除去する工程、及び任意のエンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼによる切断工程等を含む。本発明において、3’UTRは、タンパク質コード領域の終止コドンの3’側、好ましくはタンパク質コード領域の終止コドンの直ぐ3’側に位置し、且つポリ(A)配列の5’側、好ましくはポリ(A)配列の直ぐ5’側のヌクレオチドまで延在する成熟mRNAの配列に相当する。用語「相当する」とは、3’UTR配列が、3’UTR配列を定義するために用いられるmRNA配列等のRNA配列であってもよく、かかるRNA配列に相当するDNA配列であってもよいことを意味する。本発明において、用語「遺伝子の3’UTR」、例えば、「アルブミン遺伝子の3’UTR」は、この遺伝子に由来する成熟mRNAの3’UTRに相当する配列、即ち、遺伝子の転写及び未成熟mRNAの成熟によって得られるmRNAである。用語「遺伝子の3’UTR」は、3’UTRのDNA配列及びRNA配列を含む。
5’−非翻訳領域(5’UTR):5’UTRは、典型的に、メッセンジャーRNA(mRNA)の特定の部分であると理解される。これは、mRNAのオープンリーディングフレームの5’側に位置する。典型的に、5’UTRは、転写開始点から始まり、オープンリーディングフレームの開始コドンの1つ前のヌクレオチドで終わる。5’UTRは、制御エレメントとも呼ばれる遺伝子発現を調節するエレメントを含んでいてよい。かかる制御エレメントは、例えば、リボソーム結合部位又は5’末端オリゴピリミジン領域であってよい。5’UTRは、例えば、5’−キャップの付加によって転写後修飾されてよい。本発明において、5’UTRは、5’キャップと開始コドンとの間に位置する成熟mRNAの配列に相当する。好ましくは、5’UTRは、5’−キャップの3’側に位置するヌクレオチド、好ましくは5’キャップの直ぐ3’側に位置するヌクレオチドから、タンパク質コード領域の開始コドンの5’側に位置するヌクレオチド、好ましくはタンパク質コード領域の開始コドンの直ぐ5’側に位置するヌクレオチドまで延在する配列に相当する。成熟mRNAの5’キャップの直ぐ3’側に位置するヌクレオチドは、典型的に、転写開始点に相当する。用語「相当する」とは、5’UTR配列が、5’UTR配列を定義するために用いられるmRNA配列等のRNA配列であってもよく、かかるRNA配列に相当するDNA配列であってもよいことを意味する。本発明において、用語「遺伝子の5’UTR」、例えば、「TOP遺伝子の5’UTR」は、この遺伝子に由来する成熟mRNAの5’UTRに相当する配列、即ち、遺伝子の転写及び未成熟mRNAの成熟によって得られるmRNAである。用語「遺伝子の5’UTR」は、5’UTRのDNA配列及びRNA配列を含む。
5’末端オリゴピリミジン領域(TOP):5’末端オリゴピリミジン領域(TOP)は、典型的に、特定の遺伝子の核酸分子の5’末端領域(例えば、特定のmRNA分子の5’末端領域又は機能的実体、例えば、転写領域の5’末端領域)に位置する一続きのピリミジンヌクレオチドである。この配列は、シチジン(通常、転写開始点に相当する)で始まり、その後に、通常約3個〜約30個の一続きのピリミジンヌクレオチド、より多くの場合、3個〜15個の一続きのピリミジンヌクレオチドが続く。例えば、TOPは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、又は更により多くのヌクレオチドを含んでいてよい。一続きのピリミジン、延いては5’TOPは、TOPの下流に位置する最初のプリンヌクレオチドの1ヌクレオチド5’側で終わる。5’末端オリゴピリミジン領域を含有するメッセンジャーRNAは、多くの場合、TOPmRNAと呼ばれる。したがって、かかるメッセンジャーRNAを提供する遺伝子は、TOP遺伝子と呼ばれる。TOP配列は、例えば、ペプチド伸長因子及びリボソームタンパク質をコードしている遺伝子及びmRNAにおいて見出されている。
TOPモチーフ:本発明において、TOPモチーフは、上に定義した5’TOPに相当する核酸配列である。したがって、本発明におけるTOPモチーフは、好ましくは、3ヌクレオチド長〜30ヌクレオチド長を有する一続きのピリミジンヌクレオチドである。好ましくは、TOPモチーフは、少なくとも3個のピリミジンヌクレオチド、好ましくは少なくとも4個のピリミジンヌクレオチド、好ましくは少なくとも5個のピリミジンヌクレオチド、より好ましくは少なくとも6個のピリミジンヌクレオチド、より好ましくは少なくとも7個のピリミジンヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも8個のピリミジンヌクレオチドからなり、前記一続きのピリミジンヌクレオチドは、好ましくは、その5’末端におけるシトシンヌクレオチドで始まる。TOP遺伝子及びTOPmRNAでは、TOPモチーフは、好ましくは、その5’末端における転写開始点で始まり、前記遺伝子又はmRNAにおける最初のプリン残基の1ヌクレオチド5’側で終わる。本発明におけるTOPモチーフは、好ましくは、5’UTRを表す配列の5’末端、又は5’UTRをコードしている配列の5’末端に位置する。したがって、好ましくは、3個以上の一続きのピリミジンヌクレオチドは、この一続きのピリミジンヌクレオチドが、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係る人工核酸分子の5’UTRエレメント、又は本明細書に記載するTOP遺伝子の5’UTRに由来する核酸配列等のそれぞれの配列の5’末端に位置している場合、本発明の意味において「TOPモチーフ」と呼ばれる。言い換えれば、5’UTR又は5’UTRエレメントの5’末端以外の5’UTR又は5’UTRエレメント内のいずれかに位置する3個以上の一続きのピリミジンヌクレオチドは、好ましくは、「TOPモチーフ」とは呼ばない。
TOP遺伝子:TOP遺伝子は、典型的に、5’末端オリゴピリミジン領域の存在を特徴とする。更に、殆どのTOP遺伝子は、成長に関連する翻訳制御を特徴とする。しかし、組織特異的に翻訳制御するTOP遺伝子も知られている。上に定義した通り、TOP遺伝子の5’UTRは、TOP遺伝子に由来する成熟mRNAの5’UTRの配列に相当し、好ましくは、5’キャップの3’側に位置するヌクレオチドから開始コドンの5’側に位置するヌクレオチドまで延在する。TOP遺伝子の5’UTRは、典型的に、開始コドンを含まず、好ましくは上流AUG(uAUG)も上流オープンリーディングフレーム(uORF)も含まない。本明細書では、上流AUG及び上流オープンリーディングフレームは、典型的に、翻訳されるべきオープンリーディングフレームの開始コドン(AUG)の5’側に存在するAUG及びオープンリーディングフレームであると理解される。TOP遺伝子の5’UTRは、一般的に、やや短い。TOP遺伝子の5’UTRの長さは、20ヌクレオチド〜500ヌクレオチドで変動してよく、典型的に、約200ヌクレオチド未満、好ましくは約150ヌクレオチド未満、より好ましくは約100ヌクレオチド未満である。本発明の意味における例示的なTOP遺伝子の5’UTRは、配列番号1〜1,363、1,395、1,421、及び1,422に係る配列における5番目の位置のヌクレオチドから開始コドン(例えば、ATG)の直ぐ5’側に位置するヌクレオチドまで延在する核酸配列である。
第1の態様では、本発明は、
a. TOP遺伝子の5’UTRに由来するか又はTOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの5’−非翻訳領域エレメント(5’UTRエレメント)と、
b. 少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)と
とを含む人工核酸分子に関する。
かかる人工核酸分子は、DNAであってもRNAであってもよい。人工核酸分子がDNAである場合、それは、以下に更に記載する配列に相当する配列を有するRNA、好ましくはmRNAを提供するために用いてよい。本発明の人工核酸分子は、オープンリーディングフレームによってコードされているタンパク質のタンパク質産生を増加及び/又は延長させることができるので、遺伝子治療及び遺伝子ワクチン接種において特に有用である。本発明の核酸分子が自然界には存在せず、人工キメラ組み替え核酸分子になるように、要素(a)と(b)とが異種である場合が好ましい。
これに関連して、用語「5’UTRエレメント」は、好ましくは、人工mRNA等の人工核酸配列の5’UTRを表す核酸配列、又は人工核酸分子の5’UTRをコードしている核酸配列を指す。したがって、好ましくは、5’UTRエレメントは、mRNA、好ましくは人工mRNAの5’UTRであってもよく、mRNAの5’UTRの転写テンプレートであってもよい。したがって、5’UTRエレメントは、好ましくは、mRNAの5’UTR、好ましくは人工mRNA(例えば、遺伝子的に改変したベクターコンストラクトの転写によって得られるmRNA)の5’UTRに相当する核酸配列である。好ましくは、本発明の意味における5’UTRエレメントは、5’UTRとして機能するか、又は5’UTRの機能を発揮するヌクレオチド配列をコードしている。また、用語「5’UTRエレメント」は、人工核酸配列、例えば、人工mRNAの5’UTRの断片若しくは一部、又は人工核酸分子の5’UTRの一部若しくは断片をコードしているものを指す場合もある。これは、本発明の意味における5’UTRエレメントが、人工核酸配列(例えば、人工mRNA)の5’UTRに含まれていてもよく、人工核酸分子の5’UTRをコードしていてもよいことを意味する。
本発明によれば、5’UTRエレメントは、TOP遺伝子の5’UTR又はTOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる。
用語「TOP遺伝子の5’UTRに由来する核酸配列」は、好ましくは、TOP遺伝子の5’UTR配列又はその断片に基づく核酸配列を指す。この用語は、TOP遺伝子の5’UTR配列全体に相当する配列、即ち、完全長5’UTR配列と、TOP遺伝子の5’UTR配列の断片に相当する配列とを含む。好ましくは、TOP遺伝子の5’UTRの断片は、TOP遺伝子の完全長5’UTRにおける連続する一続きのヌクレオチドに相当する連続する一続きのヌクレオチドであって、TOP遺伝子の完全長5’UTRの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を表す連続する一続きのヌクレオチドからなる。本発明の意味におけるかかる断片は、好ましくは、本明細書に記載する機能的断片である。TOP遺伝子の5’UTRの特に好ましい断片は、5’TOPモチーフ(典型的に、TOP遺伝子の5’UTRの5’末端における3個〜30個のピリミジンヌクレオチドの一続きのピリミジンに相当する)を有しないTOP遺伝子の5’UTRである。TOP遺伝子の5’UTRを使用する本発明の上記好ましい実施形態については、(本発明の核酸分子に含まれる)5’UTRは、5’TOPモチーフの最も3’末端のヌクレオチド後の最初のヌクレオチドで始まる。5’TOPモチーフがTOP遺伝子の5’UTRの5’末端部分に対応していない場合、本発明の核酸で使用される(TOP遺伝子の)5’UTRは、5’TOPモチーフの5’末端の上流に位置するヌクレオチド配列及び/又は5’TOPモチーフの3’末端の下流に位置するヌクレオチド配列からなっていてよい。別の実施形態では、例えば、改変(遮断)された5’TOPモチーフの配列が、それ以上制御機能を発揮することができないように、特に、翻訳を調節するためのエレメントとしての機能を発揮することができないように、5’TOPモチーフの単調な一続きのピリミジンヌクレオチドを遮断する1以上のプリンヌクレオチドを導入することによって、TOP遺伝子の5’UTRの5’モチーフを機能不全にしてもよい。5’TOPモチーフを機能不全にする別の方法は、(5’TOPモチーフの末端及び/又は内部における)5’TOPモチーフ配列の1以上のピリミジンヌクレオチドを欠失させることである。
1つの実施形態では、TOP遺伝子の5’UTRは、リボソームタンパク質(rp)mRNAの5’UTRには由来しない。具体的には、哺乳類のrp mRNAの5’UTR、より具体的には、rpP2(例えば、ラットのrpP2)、rpL32、rpL30、rpL13a(例えば、マウス移植抗原P198)、rpS20、rpS6、rpL12、若しくはrpS16のmRNA、又は(例えば、アフリカツメガエル由来の)rpS19のmRNAには由来しない。別の実施形態では、TOP遺伝子の5’UTRは、EF1アルファ又は(ハムスター)EF2のmRNAの5’UTRには由来しない。これら上述のrp mRNAの5’UTRは、特に、本発明の核酸のORFにおけるレポーター遺伝子に連結されている場合、用いられない。例えば、rpS16のmRNAの5’UTRを本発明の核酸に用いる場合、前記5’UTRは、5’TOPモチーフ配列(オリゴヌクレオチド(CCTTTTCC又はCCUUUUCC)で構成される)を含有しないか、又は例えば、プリンヌクレオチドによりオリゴピリミジン配列が遮断されているか若しくは前記5’TOPモチーフの1以上のピリミジンヌクレオチドが欠失している機能不全変異体を含有する。したがって、機能不全変異体は、例えば、5’TOPモチーフ配列内に1以上のプリンヌクレオチドを含有していてよく、それによって、他の制御化合物(例えば、miRNA)との相互作用又は顆粒関連タンパク質TIA−1及びTIARとの相互作用が無効になり、5’TOPモチーフによって発揮される翻訳調節機能を有しなくなる。
用語「TOP遺伝子の5’UTR」は、好ましくは、自然界に存在するTOP遺伝子の5’UTRを指す。
TOP遺伝子の5’UTRに関連して、用語「TOP遺伝子の5’UTRの変異体」及び「その変異体」は、自然界に存在するTOP遺伝子の5’UTRの変異体、好ましくは、脊椎動物のTOP遺伝子の5’UTRの変異体、好ましくは、哺乳類のTOP遺伝子の5’UTRの変異体、より好ましくは、ヒトTOP遺伝子の5’UTRの変異体を指す。かかる変異体は、TOP遺伝子の修飾5’UTRであってもよい。例えば、変異体5’UTRは、その変異体が由来する自然界に存在する5’UTRに比べて1以上のヌクレオチドの欠失、挿入、付加、及び/又は置換を有してよい。好ましくは、TOP遺伝子の5’UTRの変異体は、その変異体が由来する自然界に存在する5’UTRと少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%同一である。好ましくは、前記変異体は、本明細書に記載する機能的変異体である。
用語「TOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列」は、好ましくは、TOP遺伝子の5’UTR配列の変異体又はその断片に基づく核酸配列を指す。この用語は、TOP遺伝子の変異体5’UTR配列全体に相当する配列(即ち、完全長変異体5’UTR配列)と、TOP遺伝子の変異体5’UTR配列の断片に相当する配列とを含む。好ましくは、TOP遺伝子の5’UTRの変異体の断片は、TOP遺伝子の完全長変異体5’UTRにおける連続する一続きのヌクレオチドに相当する連続する一続きのヌクレオチドであって、TOP遺伝子の完全長変異体5’UTRの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を表す連続する一続きのヌクレオチドからなる。本発明の意味におけるかかる変異体の断片は、好ましくは、本明細書に記載する機能的断片である。
したがって、人工核酸分子の5’UTRエレメントは、TOP遺伝子の5’UTRの断片若しくはTOP遺伝子の5’UTRの変異体の断片を含んでいてもよく、又はこれらからなっていてもよい。或いは、TOP遺伝子の5’UTR全体を含んでいてもよく、又はそれからなっていてもよい。或いは、TOP遺伝子の5’UTRの変異体を含んでいてもよく、又はそれからなっていてもよい。
5’UTRエレメントは、好ましくは、人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させるのに適している。
好ましくは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、ORFに機能的に連結している。これは、好ましくは、5’UTRエレメントが、ORFによってコードされているタンパク質についてのタンパク質産生増加機能又は人工核酸分子に対する安定化機能等の機能を発揮できるように、ORFと結合していることを意味する。好ましくは、5’UTRエレメントとORFとは、5’→3’方向に結合する。したがって、好ましくは、人工核酸分子は、以下の構造:5’−5’UTRエレメント−(任意の)リンカー−ORF−3’を含む(リンカーは、存在していても存在していなくてもよい)を含む。例えば、リンカーは、例えば、1以上の制限酵素認識部位(制限酵素部位)を含むか又はからなる1個〜50個又は1個〜20個の一続きのヌクレオチド等の1以上のヌクレオチドであってよい。
好ましくは、5’UTRエレメントと少なくとも1つのオープンリーディングフレームとは、異種である。これに関連して、用語「異種」は、自然界(天然)では、オープンリーディングフレームと5’UTRエレメントとがこの組み合わせで存在しないことを意味する。好ましくは、5’UTRエレメントは、オープンリーディングフレームとは異なる遺伝子に由来する。例えば、ORFは、例えば、5’UTRエレメントとは異なる遺伝子をコードしているか又は同じタンパク質であるが異なる種のタンパク質をコードしている、5’UTRエレメントとは異なる遺伝子に由来していてよい。例えば、ORFは、5’UTRエレメントが由来する遺伝子によってコードされているタンパク質をコードしない。
好ましい実施形態では、5’UTRエレメント、好ましくは人工核酸分子は、完全なTOPモチーフも5’TOP配列も含まない。したがって、好ましくは、5’UTRエレメント、好ましくは人工核酸分子は、5’UTRエレメントの核酸配列が由来するTOP遺伝子の完全なTOPモチーフを含まない。例えば、本発明に係る5’UTRエレメント又は人工核酸分子は、TOPモチーフ又は5’TOPのうちの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、又はそれ以上のピリミジン残基、好ましくは、TOPモチーフ又は5’TOPの3’側に位置するTOPモチーフのうちの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個又はそれ以上のピリミジン残基を含んでいてよい。例えば、5’UTRエレメントは、その5’末端において、5’UTRエレメントの核酸配列が由来するTOP遺伝子のTOPモチーフ又は5’TOPの残基2、3、4、5、6、7、8、9、10等に相当するピリミジン残基で始まる核酸配列を含んでいてもよく、又は前記配列からなっていてもよい。
本発明に係る5’UTRエレメント、好ましくは人工核酸分子は、TOPモチーフも5’TOPも含まないことが特に好ましい。例えば、TOP遺伝子の5’UTRに由来する5’UTRエレメントの核酸配列は、その5’末端において、TOP遺伝子の5’UTRの5’末端オリゴピリミジン領域(TOP)の下流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に位置するヌクレオチドで始まる。5’末端オリゴピリミジン領域(TOP)の下流の位置1は、TOPモチーフ又は5’TOPの3’側の最初のプリン系ヌクレオチドである。したがって、5’末端オリゴピリミジン領域の下流の位置1は、5’から3’方向において5’末端オリゴピリミジン領域の3’末端に続く最初のヌクレオチドである。同様に、5’TOPの下流の位置2は、5’末端オリゴピリミジン領域の末端に続く2番目のヌクレオチドであり、位置3は、3番目のヌクレオチドである。
したがって、5’UTRエレメントは、好ましくは、TOP遺伝子の5’UTRの転写開始点の5ヌクレオチド、10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、又は50ヌクレオチド下流で始まる。
幾つかの実施形態では、TOP遺伝子の5’UTRに由来する5’UTRエレメントの核酸配列は、その3’末端において、それが由来する遺伝子又はmRNAの開始コドン(例えば、A(U/T)G)の上流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に位置するヌクレオチドで終結する。したがって、5’UTRエレメントは、タンパク質コード領域を全く含まない。したがって、好ましくは、本発明の人工核酸分子の唯一のタンパク質コード領域が、オープンリーディングフレームによって提供される。しかし、オープンリーディングフレームは、好ましくは、上記の通り、5’UTRエレメントが由来する遺伝子とは異なる遺伝子に由来する。
5’UTRエレメントは、ヌクレオチド配列A(U/T)G等の開始コドンを含まないことが特に好ましい。したがって、好ましくは、人工核酸分子は、任意の上流AUG(又はDNA分子の場合、上流ATG)を含まない。言い換えれば、幾つかの実施形態では、オープンリーディングフレームのAUG又はATGは、人工核酸分子の唯一の開始コドンであることが好ましい場合がある。
したがって、5’UTRエレメントは、オープンリーディングフレームを含まないことが好ましい。したがって、好ましくは、人工核酸分子は、上流オープンリーディングフレームを全く含まない。
TOP遺伝子の5’UTRに由来する核酸配列は、真核生物のTOP遺伝子、好ましくは植物又は動物のTOP遺伝子、より好ましくは脊索動物のTOP遺伝子、更により好ましくは脊椎動物のTOP遺伝子、最も好ましくは哺乳類のTOP遺伝子、例えば、ヒト又はマウスのTOP遺伝子に由来する。
好ましくは、本発明に係る人工核酸分子は、TOP遺伝子の5’UTRに由来するか又はTOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなり(前記TOP遺伝子は、植物又は動物のTOP遺伝子、より好ましくは脊椎動物のTOP遺伝子、更により好ましくは脊椎動物のTOP遺伝子、最も好ましくは哺乳類のTOP遺伝子、例えば、ヒト又はマウスのTOP遺伝子である)、任意で、ヌクレオチド配列A(U/T)Gを含まず、且つ任意でオープンリーディングフレームを含まない5’UTRエレメントと;少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)とを含み、任意で、前記5’UTRエレメントは、TOPモチーフを含まず、任意で、前記5’UTRエレメントは、その5’末端において、TOP遺伝子の5’UTRの5’末端オリゴピリミジン領域(TOP)の下流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に位置するヌクレオチドで始まり、更に任意でTOP遺伝子の5’UTRに由来する前記5’UTRエレメントは、その3’末端において、前記遺伝子又はmRNAが由来する開始コドン(A(U/T)G)の上流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に位置するヌクレオチドで終結する。
例えば、5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421、及び配列番号1,422;配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421、及び配列番号1,422のホモログ;及びこれらの変異体からなる群より選択される核酸配列に由来する核酸配列、又は対応するRNA配列を含むか又はからなる。「配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421、及び配列番号1,422のホモログ」という用語は、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421、及び配列番号1,422に係る配列に対して相同性を有する他の種、例えば、Homo sapiens(ヒト)又はMus musculus(マウス)以外の種の配列を指す。例えば、配列番号1は、ヒトアルファ2マクログロブリン(A2M)の5’UTRを含む配列に関する。本発明における配列番号1のホモログは、ヒト以外の種のアルファ2マクログロブリン(A2M)遺伝子又はmRNA、例えば、ヒトアルファ2マクログロブリン(A2M)遺伝子以外の任意の脊椎動物、好ましくは任意の哺乳類のアルファ2マクログロブリン(A2M)遺伝子、例えば、マウス、ラット、ウサギ、サル等のアルファ2マクログロブリン(A2M)遺伝子に由来する任意のかかる配列である。
好ましい実施形態では、5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422;配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422のホモログ;及びこれらの変異体から選択される核酸配列、又は対応するRNA配列の、ヌクレオチド位置5(即ち、前記配列における位置5に位置するヌクレオチド)から(前記配列の3’末端に位置する)開始コドンの直ぐ5’側のヌクレオチド位置(例えば、ATG配列の直ぐ5’側のヌクレオチド位置)まで延在する核酸配列に由来する核酸配列を含むか又はからなる。5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422;配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422のホモログ;及びこれらの変異体から選択される核酸配列、或いは対応するRNA配列の、5’−TOPの直ぐ3’側のヌクレオチド位置から(前記配列の3’末端に位置する)開始コドンの直ぐ5’側のヌクレオチド位置(例えば、ATG配列の直ぐ5’側のヌクレオチド位置)まで延在する核酸配列に由来することが特に好ましい。
好ましい実施形態では、5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422から選択される核酸配列、或いは対応するRNA配列のヌクレオチド位置5から(前記配列の3’末端に位置する)開始コドンの直ぐ5’側のヌクレオチド位置(例えば、ATG配列の直ぐ5’側のヌクレオチド位置)まで延在する核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる。或いは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422から選択される核酸配列、或いは対応するRNA配列のヌクレオチド位置5から(前記配列の3’末端に位置する)開始コドンの直ぐ5’側のヌクレオチド位置(例えば、ATG配列の直ぐ5’側のヌクレオチド位置)まで延在する核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなる。好ましくは、前記断片は、上記の通りである、即ち、前記断片が由来する完全長5’UTRのうちの少なくとも20%等を表す連続する一続きのヌクレオチドである。
好ましくは、5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422から選択される核酸配列、或いは対応するRNA配列の、5’TOPの直ぐ3’側のヌクレオチド位置から(前記配列の3’末端に位置する)開始コドンの直ぐ5’側のヌクレオチド位置、(例えば、ATG配列の直ぐ5’側のヌクレオチド位置)まで延在する核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる。或いは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422から選択される核酸配列、或いは対応するRNA配列の、5’TOPの直ぐ3’側のヌクレオチド位置から(前記配列の3’末端に位置する)開始コドンの直ぐ5’側のヌクレオチド位置(例えば、ATG配列の直ぐ5’側のヌクレオチド位置)まで延在する核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなる。好ましくは、前記断片は、上記の通りである、即ち、前記断片が由来する完全長5’UTRのうちの少なくとも20%等を表す連続する一続きのヌクレオチドである。
好ましくは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421又は配列番号1,422に係る配列の上に定義した断片及び変異体(例えば、少なくとも40%の同一性を示す)は、本明細書に記載する機能的断片及び変異体である。
更に、本発明に係る人工核酸分子は、1超の上記5’UTRエレメントを含んでいてよい。例えば、本発明に係る人工核酸分子は、1個、2個、3個、4個、又はそれ以上の5’UTRエレメントを含んでいてよく、個々の前記5’UTRエレメントは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、本発明に係る人工核酸分子は、上記の通り2つの本質的に同一の5’UTRエレメントを含んでいてよく、例えば、2つの5’UTRエレメントは、配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421及び配列番号1,422;配列番号1〜1,363、配列番号1,395、配列番号1,421及び配列番号1,422のホモログ;及びこれらの変異体からなる群より選択される核酸配列に由来する核酸配列、或いは対応するRNA配列、或いは上記の通りのこれらの機能的変異体、これらの機能的断片、又はこれらの機能的変異体断片を含むか又はからなる。
特に好ましい実施形態では、5’UTRエレメントは、リボソームタンパク質をコードしているTOP遺伝子の5’UTR又はリボソームタンパク質をコードしているTOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる。特に好ましい5’UTRエレメントは、RPSA、RPS2、RPS3、RPS3A、RPS4、RPS5、RPS6、RPS7、RPS8、RPS9、RPS10、RPS11、RPS12、RPS13、RPS14、RPS15、RPS15A、RPS16、RPS17、RPS18、RPS19、RPS20、RPS21、RPS23、RPS24、RPS25、RPS26、RPS27、RPS27A、RPS28、RPS29、RPS30、RPL3、RPL4、RPL5、RPL6、RPL7、RPL7A、RPL8、RPL9、RPL10、RPL10A、RPL11、RPL12、RPL13、RPL13A、RPL14、RPL15、RPL17、RPL18、RPL18A、RPL19、RPL21、RPL22、RPL23、RPL23A、RPL24、RPL26、RPL27、RPL27A、RPL28、RPL29、RPL30、RPL31、RPL32、RPL34、RPL35、RPL35A、RPL36、RPL36A、RPL37、RPL37A、RPL38、RPL39、RPL40、RPL41、RPLP0、RPLP1、RPLP2、RPLP3、UBA52から選択されるリボソームタンパク質をコードしているTOP遺伝子の5’UTRに由来する核酸配列を含むか又はからなる。脊椎動物のリボソームタンパク質、例えば、哺乳類のリボソームタンパク質(例えば、ヒト又はマウスのリボソームタンパク質)をコードしているTOP遺伝子の5’UTRに由来する核酸配列が特に好ましい。
例えば、5’UTRエレメントは、配列番号170、232、244、259、1,284、1,285、1,286、1,287、1,288、1,289、1,290、1,291、1,292、1,293、1,294、1,295、1,296、1,297、1,298、1,299、1,300、1,301、1,302、1,303、1,304、1,305、1,306、1,307、1,308、1,309、1,310、1,311、1,312、1,313、1,314、1,315、1,316、1,317、1,318、1,319、1,320、1,321、1,322、1,323、1,324、1,325、1,326、1,327、1,328、1,329、1,330、1,331、1,332、1,333、1,334、1,335、1,336、1,337、1,338、1,339、1,340、1,341、1,342、1,343、1,344、1,346、1,347、1,348、1,349、1,350、1,351、1,352、1,353、1,354、1,355、1,356、1,357、1,358、1,359、若しくは1,360のいずれかに係る核酸配列;対応するRNA配列、これらのホモログ、又は本明細書に記載するこれらの変異体の5’UTRに由来する核酸配列(好ましくは、5’TOPモチーフを有しない)を含むか又はからなる。上記の通り、位置5から(前記配列の3’末端に位置する)ATGの直ぐ5’側のヌクレオチドまで延在する配列は、前記配列の5’UTRに相当する。
好ましくは、5’UTRエレメントは、配列番号170、232、244、259、1,284、1,285、1,286、1,287、1,288、1,289、1,290、1,291、1,292、1,293、1,294、1,295、1,296、1,297、1,298、1,299、1,300、1,301、1,302、1,303、1,304、1,305、1,306、1,307、1,308、1,309、1,310、1,311、1,312、1,313、1,314、1,315、1,316、1,317、1,318、1,319、1,320、1,321、1,322、1,323、1,324、1,325、1,326、1,327、1,328、1,329、1,330、1,331、1,332、1,333、1,334、1,335、1,336、1,337、1,338、1,339、1,340、1,341、1,342、1,343、1,344、1,346、1,347、1,348、1,349、1,350、1,351、1,352、1,353、1,354、1,355、1,356、1,357、1,358、1,359、若しくは1,360のいずれかに係る核酸配列の5’UTR、又は対応するRNA配列(好ましくは、5’TOPモチーフを有しない)に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる。或いは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、配列番号170、232、244、259、1,284、1,285、1,286、1,287、1,288、1,289、1,290、1,291、1,292、1,293、1,294、1,295、1,296、1,297、1,298、1,299、1,300、1,301、1,302、1,303、1,304、1,305、1,306、1,307、1,308、1,309、1,310、1,311、1,312、1,313、1,314、1,315、1,316、1,317、1,318、1,319、1,320、1,321、1,322、1,323、1,324、1,325、1,326、1,327、1,328、1,329、1,330、1,331、1,332、1,333、1,334、1,335、1,336、1,337、1,338、1,339、1,340、1,341、1,342、1,343、1,344、1,346、1,347、1,348、1,349、1,350、1,351、1,352、1,353、1,354、1,355、1,356、1,357、1,358、1,359、若しくは1,360のいずれかに係る核酸配列の5’UTR;又は対応するRNA配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなる。好ましくは、前記断片は、上記の通りである、即ち、(好ましくは5’TOPモチーフを有しない)完全長5’UTRのうちの少なくとも20%等を表す連続する一続きのヌクレオチドである。好ましくは、前記断片は、少なくとも約20ヌクレオチド以上、好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド以上、より好ましくは少なくとも約40ヌクレオチド以上の長さを有する。好ましくは、前記断片は、本明細書に記載する機能的断片である。
好ましくは、5’UTRエレメントは、リボソームラージタンパク質(RPL)をコードしているTOP遺伝子の5’UTR、又はリボソームラージタンパク質(RPL)をコードしているTOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる。例えば、5’UTRエレメントは、配列番号67、259、1,284〜1,318、1,344、1,346、1,348〜1,354、1,357、1,358、1,421、及び1,422のいずれかに係る核酸配列、対応するRNA配列、これらのホモログ、又は本明細書に記載するこれらの変異体の5’UTRに由来する核酸配列(好ましくは、5’TOPモチーフを有しない)を含むか又はからなる。
好ましくは、5’UTRエレメントは、配列番号67、259、1,284〜1,318、1,344、1,346、1,348〜1,354、1,357、1,358、1,421、及び1,422のいずれかに係る核酸配列の5’UTR、又は対応するRNA配列(好ましくは、5’TOPモチーフを有しない)に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる。或いは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、配列番号67、259、1,284〜1,318、1,344、1,346、1,348〜1,354、1,357、1,358、1,421、及び1,422のいずれかに係る核酸配列の5’UTR、又は対応するRNA配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなる。好ましくは、前記断片は、上記の通りである、即ち、好ましくは5’TOPモチーフを有しない完全長5’UTRのうちの少なくとも20%等を表す連続する一続きのヌクレオチドである。好ましくは、前記断片は、少なくとも約20ヌクレオチド以上、好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド以上、より好ましくは少なくとも約40ヌクレオチド以上の長さを有する。好ましくは、前記断片は、本明細書に記載する機能的断片である。
特に好ましい実施形態では、5’UTRエレメントは、リボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、リボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、リボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、ATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、ヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、アンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、シトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)、又はN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体;好ましくは、脊椎動物のリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、脊椎動物のリボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、脊椎動物のリボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、脊椎動物のATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、脊椎動物のヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、脊椎動物のアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、脊椎動物のシトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)、又は脊椎動物のN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体;より好ましくは、哺乳類のリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、リボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、リボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、哺乳類のATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、哺乳類のヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、哺乳類のアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、哺乳類のシトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)、又は哺乳類のN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体;最も好ましくは、ヒトのリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、ヒトのリボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、ヒトのリボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、ヒトのATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、ヒトのヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、ヒトのアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、ヒトのシトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)、又はヒトのN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体の5’UTRに由来する核酸配列を含むか又はからなり、好ましくは、前記5’UTRエレメントは、前記遺伝子の5’TOPを含まない。
したがって、特に好ましい実施形態では、5’UTRエレメントは、配列番号1,368又は配列番号1,412〜1,420に係る核酸配列、又は対応するRNA配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる。或いは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、配列番号1,368又は配列番号1,412〜1,420に係る核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなる。好ましくは、前記断片は、上記の通りである、即ち、完全長5’UTRのうちの少なくとも20%等を表す連続する一続きのヌクレオチドである。好ましくは、前記断片は、少なくとも約20ヌクレオチド以上、好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド以上、より好ましくは少なくとも約40ヌクレオチド以上の長さを有する。好ましくは、前記断片は、本明細書に記載する機能的断片である。
好ましくは、少なくとも1つの5’UTRエレメントは、少なくとも約20ヌクレオチド以上、好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド以上、より好ましくは少なくとも約40ヌクレオチド以上の長さを有する。しかし、人工核酸分子の5’UTRエレメントがやや短いことが好ましい場合がある。したがって、約200ヌクレオチド未満、好ましくは150ヌクレオチド未満、より好ましくは100ヌクレオチド未満の長さを有していてよい。例えば、5’UTRは、約25ヌクレオチド未満、約30ヌクレオチド未満、約35ヌクレオチド未満、約40ヌクレオチド未満、約45ヌクレオチド未満、約50ヌクレオチド未満、約55ヌクレオチド未満、約60ヌクレオチド未満、約65ヌクレオチド未満、約70ヌクレオチド未満、約80ヌクレオチド未満、約85ヌクレオチド未満、約90ヌクレオチド未満、約95ヌクレオチド未満、約100ヌクレオチド未満、約105ヌクレオチド未満、約110ヌクレオチド未満、約115ヌクレオチド未満、約120ヌクレオチド未満、約125ヌクレオチド未満、約130ヌクレオチド未満、約135ヌクレオチド未満、約140ヌクレオチド未満、約145ヌクレオチド未満、約150ヌクレオチド未満、約155ヌクレオチド未満、約160ヌクレオチド未満、約165ヌクレオチド未満、約170ヌクレオチド未満、約175ヌクレオチド未満、約180ヌクレオチド未満、約185ヌクレオチド未満、約190ヌクレオチド未満、約195ヌクレオチド未満、約200ヌクレオチド未満の長さを有していてよい。好ましくは、5’UTRエレメントは、約20ヌクレオチド〜約25ヌクレオチド、約26ヌクレオチド〜約30ヌクレオチド、約31ヌクレオチド〜約35ヌクレオチド、約36ヌクレオチド〜約40ヌクレオチド、約41ヌクレオチド〜約45ヌクレオチド、約46ヌクレオチド〜約50ヌクレオチド、約51ヌクレオチド〜約55ヌクレオチド、約56ヌクレオチド〜約60ヌクレオチド、約61ヌクレオチド〜約65ヌクレオチド、約66ヌクレオチド〜約70ヌクレオチド、約71ヌクレオチド〜約80ヌクレオチド、約81ヌクレオチド〜約85ヌクレオチド、約86ヌクレオチド〜約90ヌクレオチド、約91ヌクレオチド〜約95ヌクレオチド、約96ヌクレオチド〜約100ヌクレオチド、約101ヌクレオチド〜約105ヌクレオチド、約106ヌクレオチド〜約110ヌクレオチド、約111ヌクレオチド〜約115ヌクレオチド、約116ヌクレオチド〜約120ヌクレオチド、約121ヌクレオチド〜約125ヌクレオチド、約126ヌクレオチド〜約130ヌクレオチド、約131ヌクレオチド〜約135ヌクレオチド、約136ヌクレオチド〜約140ヌクレオチド、約141ヌクレオチド〜約145ヌクレオチド、約146ヌクレオチド〜約150ヌクレオチド、約151ヌクレオチド〜約155ヌクレオチド、約156ヌクレオチド〜約160ヌクレオチド、約161ヌクレオチド〜約165ヌクレオチド、約166ヌクレオチド〜約170ヌクレオチド、約171ヌクレオチド〜約175ヌクレオチド、約176ヌクレオチド〜約180ヌクレオチド、約181ヌクレオチド〜約185ヌクレオチド、約186ヌクレオチド〜約190ヌクレオチド、約191ヌクレオチド〜約195ヌクレオチド、約196ヌクレオチド〜約200ヌクレオチド、又はそれ以上のヌクレオチドの長さを有していてよい。例えば、5’UTRエレメントは、約20ヌクレオチド、約26ヌクレオチド、約31ヌクレオチド、約36ヌクレオチド、約41ヌクレオチド、約46ヌクレオチド、約51ヌクレオチド、約56ヌクレオチド、約61ヌクレオチド、約66ヌクレオチド、約71ヌクレオチド、約81ヌクレオチド、約86ヌクレオチド、約91ヌクレオチド、約96ヌクレオチド、約101ヌクレオチド、約106ヌクレオチド、約111ヌクレオチド、約116ヌクレオチド、約121ヌクレオチド、約126ヌクレオチド、約131ヌクレオチド、約136ヌクレオチド、約141ヌクレオチド、約146ヌクレオチド、約151ヌクレオチド、約156ヌクレオチド、約161ヌクレオチド、約166ヌクレオチド、約171ヌクレオチド、約176ヌクレオチド、約181ヌクレオチド、約186ヌクレオチド、約191ヌクレオチド、又は約196ヌクレオチドの長さを有していてよい。好ましくは、5’UTRエレメントは、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、又はそれ以上から約200ヌクレオチド未満の長さを有していてよく、より好ましくは、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、又はそれ以上から約150ヌクレオチド未満の長さを有していてよく、最も好ましくは、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、又はそれ以上から約100ヌクレオチド未満の長さを有していてよい。
好ましい5’UTRエレメントは、RPSA、RPS2、RPS3、RPS3A、RPS4、RPS5、RPS6、RPS7、RPS8、RPS9、RPS10、RPS11、RPS12、RPS13、RPS14、RPS15、RPS15A、RPS16、RPS17、RPS18、RPS19、RPS20、RPS21、RPS23、RPS24、RPS25、RPS26、RPS27、RPS27A、RPS28、RPS29、RPS30、RPL3、RPL4、RPL5、RPL6、RPL7、RPL7A、RPL8、RPL9、RPL10、RPL10A、RPL11、RPL12、RPL13、RPL13A、RPL14、RPL15、RPL17、RPL18、RPL18A、RPL19、RPL21、RPL22、RPL23、RPL23A、RPL24、RPL26、RPL27、RPL27A、RPL28、RPL29、RPL30、RPL31、RPL32、RPL34、RPL35、RPL35A、RPL36、RPL36A、RPL37、RPL37A、RPL38、RPL39、RPL40、RPL41、RPLP0、RPLP1、RPLP2、RPLP3、RPLP0、RPLP1、RPLP2、EEF1A1、EEF1B2、EEF1D、EEF1G、EEF2、EIF3E、EIF3F、EIF3H、EIF2S3、EIF3C、EIF3K、EIF3EIP、EIF4A2、PABPC1、HNRNPA1、TPT1、TUBB1、UBA52、NPM1、ATP5G2、GNB2L1、NME2、UQCRB、又はこれらの変異体から選択されるTOP遺伝子の5’UTRに由来する。
幾つかの実施形態では、人工核酸分子は、RPSA、RPS2、RPS3、RPS3A、RPS4、RPS5、RPS6、RPS7、RPS8、RPS9、RPS10、RPS11、RPS12、RPS13、RPS14、RPS15、RPS15A、RPS16、RPS17、RPS18、RPS19、RPS20、RPS21、RPS23、RPS24、RPS25、RPS26、RPS27、RPS27A、RPS28、RPS29、RPS30、RPL3、RPL4、RPL5、RPL6、RPL7、RPL7A、RPL8、RPL9、RPL10、RPL10A、RPL11、RPL12、RPL13、RPL13A、RPL14、RPL15、RPL17、RPL18、RPL18A、RPL19、RPL21、RPL22、RPL23、RPL23A、RPL24、RPL26、RPL27、RPL27A、RPL28、RPL29、RPL30、RPL31、RPL32、RPL34、RPL35、RPL35A、RPL36、RPL36A、RPL37、RPL37A、RPL38、RPL39、RPL40、RPL41、RPLP0、RPLP1、RPLP2、RPLP3、RPLP0、RPLP1、RPLP2、EEF1A1、EEF1B2、EEF1D、EEF1G、EEF2、EIF3E、EIF3F、EIF3H、EIF2S3、EIF3C、EIF3K、EIF3EIP、EIF4A2、PABPC1、HNRNPA1、TPT1、TUBB1、UBA52、NPM1、ATP5G2、GNB2L1、NME2、UQCRB又はこれらの変異体から選択される脊椎動物のTOP遺伝子(例えば、ヒト等の哺乳類のTOP遺伝子)の5’UTRに由来する核酸配列を含むか又はからなる5’UTRエレメントを含み、好ましくは、前記5’UTRエレメントは、前記遺伝子のTOPモチーフも5’TOPも含まず、任意で、前記5’UTRエレメントは、その5’末端において、5’末端オリゴピリミジン領域(TOP)の下流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10に位置するヌクレオチドで始まり、更に、任意で、TOP遺伝子の5’UTRに由来する前記5’UTRエレメントは、その3’末端において、それが由来する遺伝子の開始コドン(A(U/T)G)の上流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10に位置するヌクレオチドで終結する。
好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸分子は、
c. 脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTRに由来するか、又は脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの3’UTRエレメント
を更に含む。
用語「3’UTRエレメント」は、3’UTR又は3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる核酸配列を指す。本発明の意味における3’UTRエレメントは、例えば、人工核酸分子がmRNAである場合、mRNAの3’UTRを表してもよく、或いは、転写されたときに転写産物(例えば、mRNA)の3’UTRを表す核酸コンストラクト(例えば、ベクターコンストラクト)における配列を表してもよい。したがって、本発明の意味において、好ましくは、3’UTRエレメントは、mRNA(好ましくは、人工mRNA)の3’UTRであってもよく、mRNAの3’UTRの転写テンプレートであってもよい。したがって、3’UTRエレメントは、好ましくは、mRNAの3’UTR、好ましくは人工mRNA(例えば、遺伝的に改変されているベクターコンストラクトの転写によって得られるmRNA)の3’UTRに相当する核酸配列である。好ましくは、3’UTRエレメントは、3’UTRの機能を発揮するか、又は3’UTRの機能を発揮する配列をコードしている。用語「3’UTRエレメント」は、更に、人工核酸配列(例えば、人工mRNA)の3’UTRの断片若しくは一部を指すか、又は人工核酸分子の3’UTRの一部若しくは断片をコードしているものを指す。これは、本発明の意味における3’UTRエレメントが、人工核酸配列(例えば、人工mRNA)の3’UTR、又は人工核酸分子の3’UTRをコードしているものに含まれ得ることを意味する。
好ましくは、3’UTRエレメントと少なくとも1つのオープンリーディングフレームとは、異種である。例えば、人工核酸分子は、2つの異なる遺伝子に由来する少なくとも2つの配列部分:TOP遺伝子に由来する5’UTRエレメントと、所望のタンパク質産物をコードしている遺伝子に由来していてよいオープンリーディングフレーム及び3’UTRとからなっていてよい。より好ましくは、人工核酸分子は、3つの異なる遺伝子に由来する3つの配列部分:TOP遺伝子に由来する5’UTRエレメントと、所望の遺伝子産物をコードしている遺伝子に由来するオープンリーディングフレームと、半減期の延長されたmRNAに関する遺伝子に由来していてよい3’UTRエレメント(例えば、以下に定義及び説明する3’UTRエレメント)からなる。
好ましくは、少なくとも1つの3’UTRエレメントは、ORFに機能的に連結している。これは、好ましくは、例えば、ORFの発現に対する安定化機能又は人工核酸分子に対する安定化機能等の機能を発揮することができるように、3’UTRエレメントがORFに連結していることを意味する。好ましくは、ORFと3’UTRエレメントとは、5’→3’方向に連結する。したがって、好ましくは、人工核酸分子は、以下の構造:5’−ORF−(任意の)リンカー−3’UTRエレメント−3’(リンカーは、存在していても存在していなくてもよい)を含む。例えば、リンカーは、例えば、1以上の制限酵素認識部位(制限酵素部位)を含むか又はからなる一続きの1ヌクレオチド〜50ヌクレオチド又は1ヌクレオチド〜20ヌクレオチド等、1以上のヌクレオチドであってよい。
好ましくは、少なくとも1つの5’UTRエレメント及び少なくとも1つの3’UTRエレメントは、ORFに機能的に連結している。これは、好ましくは、ORFの発現に対する安定化機能、ORFによってコードされているタンパク質のタンパク質産生増加機能、又は人工核酸分子に対する安定化機能等の機能を好ましくは相加的に、より好ましくは相乗的に発揮することができるように、5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントがORFに連結していることを意味する。好ましくは、5’UTRエレメント、ORF、及び3’UTRエレメントは、5’→3’方向に連結する。したがって、好ましくは、人工核酸分子は、以下の構造:5’−5’UTRエレメント−(任意の)リンカー−ORF−(任意の)リンカー−3’UTRエレメント−3’(リンカーは、存在していても存在していなくてもよい)を含む。例えば、リンカーは、例えば、1以上の制限酵素認識部位(制限酵素部位)を含むか又はからなる一続きの1ヌクレオチド〜50ヌクレオチド又は1ヌクレオチド〜20ヌクレオチド等、1以上のヌクレオチドであってよい。
特に好ましい実施形態では、5’UTRエレメントと3’UTRエレメントとは、異種であり、例えば、好ましくは、5’UTR及び3’UTRは、同じ種の異なる遺伝子又は異なる種の異なる遺伝子に由来する。好ましくは、3’UTRは、5’UTRが由来するTOP遺伝子には由来しない。
好ましい実施形態では、3’UTRエレメントは、人工核酸分子のORFからのタンパク質産生に対して5’UTRエレメントと少なくとも相加的、好ましくは相乗的に機能を発揮することができるように選択される。好ましくは、前記タンパク質産生は、3’UTRエレメント及び5’UTRエレメントによって少なくとも相加的、好ましくは相乗的に増加する。したがって、ORFによってコードされているタンパク質(例えば、ルシフェラーゼ等のレポータータンパク質)のタンパク質量は、ORFの発現開始後、例えば、試験細胞又は試験細胞株のトランスフェクション後の特定の時点において、3’UTRエレメント及び5’UTRエレメントのタンパク質産生増加効果が純粋に相加的である場合に予測される量と少なくとも同じであり、好ましくはそれよりも多い。相加効果、好ましくは相乗効果は、例えば、以下のアッセイによって求めることができる。例えば、ルシフェラーゼ等のレポーター遺伝子をコードしているORFを含む4つの人工核酸分子(例えば、mRNA)、即ち、(i)UTRエレメントを有しない(E0)、(ii)TOP遺伝子又はその変異体の5’UTRに由来する5’UTRエレメントを含有する(E1)、(iii)試験3’UTRエレメントを含有する(E2)、及び(iv)5’UTRエレメント及び試験3’UTRエレメントの両方を含有する(E1E2)人工核酸分子を作製する。人工核酸分子に含有されるORFの発現は、例えば、試験細胞株、例えば、哺乳類細胞株(例えば、HELA細胞)又は一次細胞(例えば、HDF細胞)をトランスフェクトすることによって開始される。発現開始後の特定の時点、例えば、6時間後、24時間後、48時間後、及び72時間後にサンプルを採取し、ORFによってコードされているタンパク質の種類に応じて、例えば、ELISAアッセイ又はルシフェラーゼ試験によって、人工核酸分子に含有されているORFの発現によって産生されるタンパク質の量を測定する。3’UTRエレメント及び5’UTRエレメントの効果が純粋に相加的である場合にコンストラクトE1E2によって得られる発現開始後の特定の時点におけるタンパク質の予測量(PPA)は、以下の通り計算することができる:
PPA=(E1−E0)+(E2−E0)+E0
E0は、コンストラクトE0(UTRを有しない)について得られるタンパク質の量であり、E1は、コンストラクトE1について得られるタンパク質の量であり、E2は、コンストラクトE2について得られるタンパク質の量であり、xは、発現開始後の時点である。E1E2=PPAである場合、タンパク質産生増加効果は、相加的であり、E1E2>PPAである場合、本発明における意味で相乗的である。ここで、E1E2は、時点xにおいてコンストラクトE1E2から得られるタンパク質の量である。好ましくは、E1E2は、発現開始の24時間後、48時間後、又は72時間後等の発現開始後の所与の時点において、PPAの少なくとも1.0倍、より好ましくは少なくとも1.1倍、より好ましくは少なくとも1.3倍、より好ましくは少なくとも1.5倍、更により好ましくは少なくとも1.75倍である。
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、(a.)TOP遺伝子の5’UTRに由来するか又はTOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる、少なくとも1つの5’UTRエレメントと;(b.)少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)と;(c.)少なくとも1つの3’UTRエレメントとを含み、前記3’UTRエレメント及び前記5’UTRエレメントが、少なくとも相加的に、好ましくは相乗的に作用して、ORFからのタンパク質産生を増加させ、好ましくは、ORFの発現開始後の所与の時点、例えば、(トランスフェクション後等)発現開始の24時間後、好ましくは48時間後にE1E2≧PPAであり、好ましくは、E1E2が、PPAの少なくとも1.0倍であり、より好ましくは、E1E2が、PPAの少なくとも1.1倍であり、より好ましくは、E1E2が、PPAの少なくとも1.3倍であり、更により好ましくは、E1E2が、PPAの少なくとも1.5倍である(E1E2及びPPAは、上記の通りである)人工核酸分子を提供する。
更に、3’UTRエレメント及び5’UTRエレメントは、特定の期間内、例えば、発現開始後24時間以内、48時間以内、又は72時間以内の人工核酸分子からの全タンパク質産生に対して少なくとも相加効果、好ましくは相乗効果を有することが好ましい。相加効果又は相乗効果は、効果が相加的である場合にE1E2について予測される経時的なタンパク質量の曲線下面積(AUC)をE1E2について測定された実際のAUCと比較することを除いて、上記の通り決定することができる。
好ましい実施形態では、3’UTRエレメントは、安定なmRNAの3’UTR、又は安定なmRNAの3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる。したがって、好ましい実施形態では、3’UTRエレメントは、安定なmRNAを提供する遺伝子又は安定なmRNAを提供する遺伝子の3’UTRの変異体に由来する配列を含むか又はからなる。用語「安定なmRNA」は、好ましくは、哺乳類細胞において、哺乳類細胞におけるmRNA分子の平均半減期よりも長い半減期を示すmRNAを指す。好ましくは、本願の意味における安定なmRNAは、好ましくはアクチノマイシンD等の転写阻害剤を用いて測定したとき、哺乳類細胞(例えば、HeLa細胞等の哺乳類細胞株)又は一次細胞(例えば、HDF細胞)において、5時間超、好ましくは8時間超の半減期を示すmRNAを指す。
例えば、哺乳類細胞(例えば、HELA細胞又はHDF細胞)におけるmRNAの半減期は、例えば、アクチノマイシンD、5,6−ジクロロ−1−β−D−リボフラノシルベンズイミダゾール(DRB)又はα−アマニチン等の転写阻害剤の存在下で細胞を培養し、転写阻害後の様々な時点において前記細胞を回収し、例えば、定量RT−PCR等の当業者に周知の方法によって前記細胞サンプル中に存在するmRNAの量を測定することによって求めることができる。特定のmRNAの半減期は、転写阻害後の様々な時点で測定した前記特定のmRNAの量に基づいて計算することができる。或いは、哺乳類細胞におけるmRNAの半減期を求めるために、例えば、放射活性標識されたヌクレオチドを用いるパルスチェイス法又は誘導可能なプロモーターを含むコンストラクトを用いてもよい。
本発明の意味における安定なmRNAの安定性強化は、その3’UTRによって影響を受けることが特に好ましい。したがって、好ましくは、3’UTRエレメントは、好ましくはアクチノマイシンD等の転写阻害剤を用いて測定したとき、哺乳類細胞(例えば、HeLa細胞等の哺乳類細胞株)又は哺乳類一次細胞(例えば、HDF細胞)において、5時間超、好ましくは8時間超の半減期を示す安定なmRNAの3’UTRに由来する核酸配列を含むか又はからなり、前記安定なmRNAの安定性強化は、その3’UTRによって影響を受ける。安定性を強化する3’UTRの能力は、例えば、レポーターオープンリーディングフレーム(例えば、ルシフェラーゼをコードしているオープンリーディングフレーム)を用いることによって、本明細書に記載する通り試験することができる。或いは、試験用の安定なmRNAをコードしている人工コンストラクトであって、前記安定なmRNAの3’UTRが、短命mRNAの3’UTR(例えば、Mycの3’UTR)等のレファレンス3’UTRで置換されているコンストラクトを作製してよい。野生型の安定なmRNA及び3’UTRが改変されているmRNAの安定性は、上記の通り決定することができる。3’UTRが改変されているmRNAが、野生型の安定なmRNAよりも短い半減期を示す場合、安定なmRNAの3’UTRによって安定性強化効果が発揮されたと結論付けてよい。
特に好ましい実施形態では、3’UTRエレメントは、アルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、及びコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)からなる群より選択される遺伝子の3’UTR、又はアルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、及びコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)からなる群より選択される遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる。特に好ましい実施形態では、3’UTRエレメントは、アルブミン遺伝子、好ましくは脊椎動物のアルブミン遺伝子、より好ましくは哺乳類のアルブミン遺伝子、最も好ましくはヒトのアルブミン遺伝子の3’UTRに由来する核酸配列を含むか又はからなる。別の特に好ましい実施形態では、3’UTRエレメントは、α−グロビン遺伝子、好ましくは脊椎動物のα−グロビン遺伝子、より好ましくは哺乳類のα−グロビン遺伝子、最も好ましくはヒトのα−グロビン遺伝子の3’UTRに由来する核酸配列を含むか又はからなる。例えば、3’UTRエレメントは、α−グロビン遺伝子、例えば、ヒトのα−グロビン遺伝子の3’UTRの中央のα複合体結合部分を含んでいてもよく又はからなっていてもよい。
好ましくは、少なくとも1つの3’UTRエレメントは、脊椎動物のアルブミン遺伝子、脊椎動物のα−グロビン遺伝子、脊椎動物のβ−グロビン遺伝子、脊椎動物のチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、脊椎動物のリポキシゲナーゼ遺伝子、及び脊椎動物のコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、脊椎動物のコラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTR、又はこれらの変異体、好ましくは、哺乳類のアルブミン遺伝子、哺乳類のα−グロビン遺伝子、哺乳類のβ−グロビン遺伝子、哺乳類のチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、哺乳類のリポキシゲナーゼ遺伝子、及び哺乳類のコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、哺乳類のコラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTR、又はこれらの変異体、より好ましくは、ヒトのアルブミン遺伝子、ヒトのα−グロビン遺伝子、ヒトのβ−グロビン遺伝子、ヒトのチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、ヒトのリポキシゲナーゼ遺伝子、及びヒトのコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、ヒトのコラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTR、又はこれらの変異体、更により好ましくは、GenBankアクセッション番号NM_000477.5に係るヒトのアルブミン遺伝子の3’UTR、又はその変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる。好ましい実施形態では、3’UTRエレメントは、アフリカツメガエルのアルブミン遺伝子の3’UTRには由来しない。好ましくは、3’UTRエレメントは、アフリカツメガエルのアルブミン遺伝子由来の3’UTRのポリ(A)制限要素B(PLEB)を含まない。好ましくは、3’UTRエレメントは、アフリカツメガエルのアルブミン遺伝子由来の3’UTRのPLEBからなるものではない。
好ましくは、3’UTRエレメント及び少なくとも1つのオープンリーディングフレームは、異種であり、例えば、好ましくは、3’UTRエレメント及びORFは、同じ種の異なる遺伝子又は異なる種の異なる遺伝子に由来する。好ましくは、3’UTRエレメントがα−グロビン遺伝子に由来する場合、ORFは、α−グロビンタンパク質をコードしない。好ましくは、3’UTRエレメントがβ−グロビン遺伝子に由来する場合、ORFは、β−グロビンタンパク質をコードしない。好ましくは、3’UTRエレメントがアルブミン遺伝子に由来する場合、ORFは、アルブミンタンパク質をコードしない。好ましくは、3’UTRエレメントがチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子に由来する場合、ORFは、チロシンヒドロキシラーゼタンパク質をコードしない。好ましくは、3’UTRエレメントがリポキシゲナーゼ遺伝子に由来する場合、ORFは、リポキシゲナーゼタンパク質をコードしない。好ましくは、3’UTRエレメントがコラーゲンアルファ遺伝子に由来する場合、ORFは、コラーゲンアルファタンパク質をコードしない。好ましくは、ORFは、アルブミンタンパク質、成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン(hGH))、α−グロビンタンパク質、β−グロビンタンパク質、チロシンヒドロキシラーゼタンパク質、リポキシゲナーゼタンパク質、及びコラーゲンアルファタンパク質からなる群より選択されるタンパク質をコードしない。更に、オープンリーディングフレームは、例えば、グロビンタンパク質(特に、β−グロビン)、ルシフェラーゼタンパク質、GFPタンパク質(例えば、EGFP)、又はこれらの変異体(例えば、グロビンタンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、又はGFPタンパク質に対して少なくとも70%の配列同一性を有する変異体)からなる群より選択されるレポータータンパク質をコードしない。
用語「[...]遺伝子の3’UTRに由来する核酸配列」とは、好ましくは、[...]遺伝子の3’UTR配列、又はその一部、例えば、アルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、又はコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTR、好ましくは、アルブミン遺伝子の3’UTR又はその一部に基づく核酸配列を指す。この用語は、例えば、アルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、又はコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)等の遺伝子、好ましくはアルブミン遺伝子の全3’UTR配列に対応する配列(即ち、完全長3’UTR配列)、及び3’UTR配列の断片に対応する配列を含む。これに関連して、断片は、好ましくは、完全長3’UTRの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を表す、完全長3’UTRにおける連続する一続きのヌクレオチドに対応する連続する一続きのヌクレオチドからなる。かかる断片は、本発明の意味において、好ましくは本明細書に記載する機能的断片である。用語「[...]遺伝子の3’UTR」は、好ましくは、自然界に存在する遺伝子、例えば、自然界に存在するアルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、又はコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)、好ましくは自然界に存在するアルブミン遺伝子の3’UTRを指す。
3’UTRに関連する用語「[...]遺伝子の3’UTRの変異体」及び「その変異体」は、自然界に存在する遺伝子、例えば、自然界に存在するアルブミン遺伝子、自然界に存在するα−グロビン遺伝子、自然界に存在するβ−グロビン遺伝子、自然界に存在するチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、自然界に存在するリポキシゲナーゼ遺伝子、又は自然界に存在するコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、自然界に存在するコラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTRの変異体、好ましくは脊椎動物のアルブミン遺伝子、脊椎動物のα−グロビン遺伝子、脊椎動物のβ−グロビン遺伝子、脊椎動物のチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、脊椎動物のリポキシゲナーゼ遺伝子、及び脊椎動物のコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、脊椎動物のコラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTRの変異体、好ましくは、哺乳類のアルブミン遺伝子、哺乳類のα−グロビン遺伝子、哺乳類のβ−グロビン遺伝子、哺乳類のチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、哺乳類のリポキシゲナーゼ遺伝子、及び哺乳類のコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、哺乳類のコラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTRの変異体、より好ましくは、ヒトのアルブミン遺伝子、ヒトのα−グロビン遺伝子、ヒトのβ−グロビン遺伝子、ヒトのチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、ヒトのリポキシゲナーゼ遺伝子、及びヒトのコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、ヒトのコラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTRの変異体を指す。かかる変異体は、遺伝子の改変3’UTRであってよい。例えば、変異体3’UTRは、その変異体が由来する自然界に存在する3’UTRに比べて、1以上のヌクレオチドの欠失、挿入、付加、及び/又は置換を示してよい。好ましくは、3’UTRの変異体は、その変異体が由来する自然界に存在する3’UTRと少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である。好ましくは、変異体は、本明細書に記載する機能的変異体である。
用語「[...]遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列」は、好ましくは、遺伝子の3’UTR配列の変異体、例えば、アルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、又はコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTRの変異体、或いは上記これらの一部に基づく核酸配列を指す。この用語は、遺伝子の3’UTRの変異体の全配列(即ち、遺伝子の完全長変異体3’UTR配列)に対応する配列、及び遺伝子の変異体3’UTR配列の断片に対応する配列を含む。これに関連して、断片は、好ましくは、完全長変異体3’UTRの少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、更により好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を表す、完全長変異体3’UTRにおける連続する一続きのヌクレオチドに対応する連続する一続きのヌクレオチドからなる。かかる変異体の断片は、本発明の意味において、好ましくは、本明細書に記載する変異体の機能的断片である。
本発明において、用語「機能的変異体」、「機能的断片」、及び「変異体の機能的断片」(「機能的変異体断片」とも呼ばれる)は、遺伝子の5’UTR若しくは3’UTRの断片、5’UTR若しくは3’UTRの変異体、又は5’UTR若しくは3’UTRの変異体の断片が、前記変異体、前記断片、又は前記変異体の断片が由来する遺伝子の自然界に存在する5’UTR又は3’UTRの少なくとも1つの機能、好ましくは1超の機能を発揮することを意味する。かかる機能は、例えば、好ましくは哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)における、mRNAの安定化、及び/又はmRNAからのタンパク質産生の安定化、及び/又はmRNAからのタンパク質産生の延長、及び/又はmRNAからのタンパク質産生の増加であってよい。本発明における変異体、断片、及び変異体の断片は、以下のうちの少なくともいずれかの機能を発揮することが特に好ましい:好ましくは哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)において、レファレンス5’UTR及び/若しくはレファレンス3’UTRを含むか又は5’UTR及び/若しくは3’UTRを有しないmRNAに比べてmRNAを安定化させる機能;好ましくは哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)において、レファレンス5’UTR及び/若しくはレファレンス3’UTRを含むか又は5’UTR及び/若しくは3’UTRを有しないmRNAに比べてmRNAからのタンパク質産生を安定化及び/又は延長する機能;並びに好ましくは哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)において、レファレンス5’UTR及び/若しくはレファレンス3’UTRを含むか又は5’UTR及び/若しくは3’UTRを有しないmRNAに比べてmRNAからのタンパク質産生を増加させる機能。レファレンス3’UTRは、例えば、自然界においてORFと併存する3’UTRであってよい。更に、遺伝子の5’UTR又は3’UTRの機能的変異体、機能的断片、又は機能的変異体断片は、その変異体が由来する野生型の5’UTR及び/又は3’UTRに比べて、かかる5’UTRの変異体及び/又はかかる3’UTRの変異体を含むmRNAの翻訳効率を実質的に減じる効果を有しないことが好ましい。本発明において、遺伝子、例えば、アルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、又はコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)の3’UTRの「機能的断片」、「機能的変異体」又は「変異体の機能的断片」の特に好ましい機能は、上記機能的断片、機能的変異体、又は変異体の機能的断片を有するmRNAの発現によるタンパク質産生の安定化及び/又は延長である。本発明における5’UTRの「機能的断片」、「機能的変異体」、又は「変異体の機能的断片」の特に好ましい機能は、タンパク質産生を増加させる機能である。
好ましくは、機能的変異体、機能的断片、又は機能的変異体断片によって発揮される1以上の機能の効率、例えば、mRNA及び/又はタンパク質の産生安定化効率及び/又はタンパク質の産生増加効率は、前記変異体、前記断片、又は前記変異体断片が由来する自然界に存在する5’UTR及び/又は3’UTRによって発揮されるmRNA及び/又はタンパク質の産生安定化効率及び/又はタンパク質の産生増加効率の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。
本発明に関連して、遺伝子、例えば、アルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、又はコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)又はその変異体の3’UTRの断片又は一部は、好ましくは、少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約100ヌクレオチド、更により好ましくは少なくとも約125ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約150ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、かかる遺伝子の3’UTRの断片又は遺伝子の3’UTRの変異体の断片は、上記機能的断片である。
本発明に関連して、TOP遺伝子の5’UTR又はその変異体の断片又は一部は、好ましくは、少なくとも約20ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約50ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、TOP遺伝子の5’UTR又はTOP遺伝子の5’UTRの変異体の断片は、上記機能的断片である。
幾つかの実施形態では、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、遺伝子、例えば、アルブミン遺伝子、α−グロビン遺伝子、β−グロビン遺伝子、チロシンヒドロキシラーゼ遺伝子、リポキシゲナーゼ遺伝子、若しくはコラーゲンアルファ遺伝子(例えば、コラーゲンアルファ1(I)遺伝子)、又はこれらの変異体の3’UTRの「機能的断片」、「機能的変異体」、又は「変異体の機能的断片」を含むか又はからなる。
幾つかの実施形態では、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの5’UTRエレメントは、TOP遺伝子の5’UTRの「機能的断片」、「機能的変異体」、又は「変異体の機能的断片」を含むか又はからなる。
好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、3’UTRエレメントを有しないか又はレファレンス3’UTRエレメント(例えば、自然界においてORFと併存する3’UTR)を含むそれぞれのmRNA(レファレンスmRNA)と比べて人工核酸分子の安定性を上昇させる、例えば、本発明に係るmRNAの安定性を上昇させる。好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、3’UTRエレメントを有しないか又はレファレンス3’UTRエレメント(例えば、自然界においてORFと併存する3’UTR)を含むそれぞれのmRNAと比べて、本発明に係る人工核酸分子、例えば、本発明に係るmRNAからのタンパク質産生の安定性を上昇させる。好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、3’UTRエレメントを有しないか又はレファレンス3’UTRエレメント(例えば、自然界においてORFと併存する3’UTR)を含むそれぞれのmRNAと比べて、本発明に係る人工核酸分子、例えば、本発明に係るmRNAからのタンパク質産生を延長する。好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、3’UTRエレメントを有しないか又はレファレンス3’UTRエレメント(例えば、自然界においてORFと併存する3’UTR)を含むそれぞれのmRNAと比べて、本発明に係る人工核酸分子、例えば、本発明に係るmRNAからのタンパク質産生を増加させる。好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、3’UTRエレメントを有しないか又はレファレンス3’UTRエレメント(例えば、自然界においてORFと併存する3’UTR)を含むそれぞれのmRNAの翻訳効率と比べて、mRNAの翻訳効率に悪影響を与えない。これに関連して、用語「それぞれのmRNA」は、異なる3’UTRは別にして、レファレンスmRNAが、3’UTRエレメントを含むmRNAと類似している、好ましくは同一であることを意味する。
好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの5’UTRエレメントは、5’UTRエレメントを有しないか又はレファレンス5’UTRエレメント(例えば、自然界においてORFと併存する5’UTR)を含むそれぞれのmRNA(レファレンスmRNA)と比べて、人工核酸分子の安定性を上昇させる、例えば、本発明に係るmRNAの安定性を上昇させる。好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの5’UTRエレメントは、5’UTRエレメントを有しないか又はレファレンス5’UTRエレメント(例えば、自然界においてORFと併存する5’UTR)を含むそれぞれのmRNA(レファレンスmRNA)と比べて、本発明に係る人工核酸分子、例えば、本発明に係るmRNAからのタンパク質産生を増加させる。これに関連して、用語「それぞれのmRNA」は、異なる5’UTRは別にして、レファレンスmRNAが、本発明の5’UTRエレメントを含むmRNAと類似している、好ましくは同一であることを意味する。
好ましくは、少なくとも1つの5’UTRエレメント及び少なくとも1つの3’UTRエレメントは、相乗的に作用して、上記の通り、本発明に係る人工核酸分子、例えば、本発明に係るmRNAからのタンパク質産生を増加させる。
用語「mRNAからのタンパク質産生を安定化及び/又は延長する」とは、好ましくは、(例えば、レファレンス3’UTRエレメントを含むか又は3’UTRエレメントを有しない)レファレンスmRNAからのタンパク質産生と比べて、mRNAからのタンパク質産生が安定化及び/又は延長されることを意味する。
これに関連して、「安定したタンパク質発現」とは、好ましくは、レファレンス核酸分子(例えば、レファレンス3’UTRエレメントを含むか又は3’UTRエレメントを有しないmRNA)と比べたとき、所定の期間、例えば、24時間、より好ましくは48時間、更により好ましくは72時間に亘って本発明に係る人工核酸分子からより均一にタンパク質が産生されることを意味する。したがって、本発明に係る3’UTRエレメントを含む人工核酸分子、例えば、本発明に係るmRNAからの(例えば、哺乳類系における)タンパク質産生のレベルは、好ましくは、レファレンス核酸分子(例えば、上記レファレンスmRNA)について観察される程度まで低下することはない。例えば、発現開始の6時間後、例えば、本発明に係る人工核酸分子を細胞(例えば、哺乳類細胞)にトランスフェクトした6時間後に観察される(ORFによってコードされている)タンパク質の量は、発現開始の48時間後、例えば、トランスフェクションの48時間後に観察されるタンパク質の量と同等であってよい。したがって、発現開始の48時間後、例えば、トランスフェクションの48時間後に観察される、例えば、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)等のORFによってコードされているタンパク質の量の、発現開始の6時間後、例えば、トランスフェクションの6時間後に観察されるタンパク質の量に対する比は、本発明に係る核酸分子の場合、好ましくは0.4超、好ましくは0.5超、より好ましくは0.6超、更により好ましくは0.7超、例えば、約0.4〜約4、好ましくは約0.65〜約3、より好ましくは約0.7〜約2である。それぞれのレファレンス核酸分子(例えば、レファレンス3’UTRエレメントを含むか又は3’UTRエレメントを有しないmRNA)の場合、前記比は、例えば、約0.05〜約0.3であってよい。したがって、本発明は、発現開始の48時間後に観察される(レポーター)タンパク質の量の、発現開始の6時間後に観察される(レポーター)タンパク質の量に対する比が、好ましくは哺乳類の発現系(例えば、哺乳類細胞)において、好ましくは0.4超、好ましくは0.5超、好ましくは0.6超、更により好ましくは0.7超(例えば、約0.4〜約4、好ましくは約0.65〜約3、より好ましくは約0.7〜約2)である、上記の通りORFと3’UTRエレメントとを含む人工核酸分子を提供する。
本発明において、「タンパク質発現の増加」とは、レファレンス分子と比べて発現開始後のある時点におけるタンパク質発現が増加すること又は発現開始後特定の期間内における全タンパク質産生が増加することを指してよい。したがって、本発明に係る人工核酸分子の発現開始後(例えば、トランスフェクション後)、例えば、本発明に係るmRNAのトランスフェクション後の特定の時点、例えば、トランスフェクションの24時間後、48時間後、又は72時間後において観察されるタンパク質レベル、或いはある期間、例えば、24時間、48時間、又は72時間の間に産生される全タンパク質は、好ましくは、レファレンス5’及び/若しくはレファレンス3’UTRを含むか又は5’UTRエレメント及び/若しくは3’UTRエレメントを有しないレファレンスmRNA等のレファレンス核酸分子について、発現開始後(例えば、トランスフェクション後)の同時点で観察されるタンパク質レベルよりも高い、又は同期間内に産生される全タンパク質よりも多い。上記の通り、5’UTRエレメントの特に好ましい機能は、人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させることである。好ましくは、発現開始後の所与の時点における、かかる5’UTRエレメントを有しないレファレンス核酸分子と比べた5’UTRエレメントによるタンパク質産生増加は、5’UTRエレメントを有しないレファレンス核酸分子について観察されるタンパク質産生の少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、更により好ましくは少なくとも4倍、最も好ましくは少なくとも5倍である。所与の期間、例えば、発現開始後24時間、48時間、又は72時間の期間内に産生される全タンパク質についても同じことが当てはまることが好ましい。
人工核酸分子の安定性上昇、タンパク質産生の安定性上昇、タンパク質産生の延長、及び/又はタンパク質産生の増加は、好ましくは、5’UTRエレメント及び/又は3’UTRエレメントを有しないそれぞれのレファレンス核酸分子(例えば、5’UTRエレメント及び/又は3’UTRエレメントを有しないmRNA)、又はレファレンス5’UTRエレメント及び/又はレファレンス3’UTRエレメントを含むレファレンス核酸分子(例えば、自然界においてORFと併存する3’UTR及び/又は5’UTR、或いはレファレンス遺伝子の5’UTR及び/又は3’UTR)と比較することによって求められる。
アルブミン遺伝子の3’UTRの変異体、断片、及び/又は変異体断片のmRNA及びタンパク質の少なくともいずれかの産生安定化効果及び効率、並びに/又はタンパク質産生増加効果及び効率に加えて、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメント、少なくとも1つの5’UTRエレメント、又は少なくとも1つの3’UTRエレメント及び少なくとも1つの5’UTRエレメントのmRNA及びタンパク質の少なくともいずれかの産生安定化効果及び効率、並びに/又はタンパク質産生増加効果及び効率は、当業者に公知であるこの目的に適した任意の方法によって求めることができる。例えば、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ)のコード配列を含み、3’UTR及び/又は5’UTRを含まない人工mRNA分子;TOP遺伝子由来の5’UTRエレメント及び/又は上記遺伝子由来の3’UTRエレメントを含む人工mRNA分子;レファレンス遺伝子由来の5’UTRエレメント及び/又はレファレンス遺伝子由来の3’UTR(即ち、レファレンス3’UTRエレメント又はレファレンス5’UTRエレメント、例えば、自然界においてORFと併存する5’UTR又は3’UTR)を含む人工mRNA分子;3’UTRとして、上記遺伝子の3’UTRの変異体を含む人工mRNA分子;3’UTRとして、上記遺伝子の3’UTRの断片を含む人工mRNA分子;又は3’UTRとして、上記遺伝子の3’UTRの変異体の断片を含む人工mRNA分子;5’UTRとして、TOP遺伝子の5’UTRの変異体を含む人工mRNA分子;5’UTRとして、TOP遺伝子の5’UTRの断片を含む人工mRNA分子;又は5’UTRとして、TOP遺伝子の5’UTRの変異体の断片を含む人工mRNA分子を作製してよい。かかるmRNAは、例えば、T7プロモーターとそれぞれのmRNA配列をコードしている配列とを含むプラスミドベクター等、それぞれのベクターのインビトロ転写によって作製することができる。作製されるmRNA分子は、mRNAをトランスフェクトするのに適した任意のトランスフェクション法によって細胞にトランスフェクトしてよい。例えば、HELA細胞又はHDF細胞等の哺乳類細胞にエレクトロポレーションし、トランスフェクション後の特定の時点、例えば、トランスフェクションの6時間後、24時間後、48時間後、及び72時間後にサンプルを分析してよい。前記サンプルは、当業者に周知の方法によってmRNA量及び/又はタンパク質量について分析してよい。例えば、サンプリング時点で細胞中に存在するレポーターmRNAの量は、定量PCR法によって求めることができる。それぞれのmRNAによってコードされているレポータータンパク質の量は、例えば、用いられるレポータータンパク質に依存して、ELISAアッセイ又はレポーターアッセイ(例えば、ルシフェラーゼアッセイ)によって求めることができる。タンパク質発現の安定化及び/又はタンパク質発現の延長の効果は、例えば、トランスフェクションの48時間後に観察されるタンパク質レベルのトランスフェクションの6時間後に観察されるタンパク質レベルに対する比を求めることによって分析することができる。前記値が1に近付くにつれて、この期間内のタンパク質発現がより安定である。また、タンパク質レベルがより後の時点においてより高い場合、前記値が1を超える場合もある。かかる測定は、無論、72時間以上の時点で実施してもよく、タンパク質発現の安定性を求めるために、トランスフェクションの72時間後に観察されるタンパク質レベルとトランスフェクションの6時間後に観察されるタンパク質レベルとの比を求めてもよい。
好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、配列番号1,369〜1,377、1,391、1,392、及び1,393から選択される核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%、最も好ましくは100%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなり、配列番号1,369〜1,377、1,391、1,392、及び1,393に係る配列の変異体は、好ましくは、上記機能的変異体である。
また、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、配列番号1,369〜1,377、1,391、1,392、又は1,393に係る核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%、最も好ましくは100%の同一性を有する核酸配列の断片を含んでいてもよく又はからなっていてもよく、前記断片は、好ましくは、上記の機能的断片又は機能的変異体断片である。好ましくは、前記断片は、上記の通りである。即ち、前記断片が由来する完全長3’UTRの少なくとも20%等を表す連続する一続きのヌクレオチドである。かかる断片は、好ましくは、少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約100ヌクレオチド、更により好ましくは少なくとも約125ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約150ヌクレオチドの長さを有する。
例えば、かかる断片は、配列番号1,378〜1,390に係る核酸配列、例えば、
又は対応するRNA配列、又は前記核酸配列若しくは対応するRNA配列と少なくとも40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%同一である核酸配列を有し得る。したがって、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、上記核酸断片を含んでいてもよく又はからなっていてもよい。明らかなことであるが、配列番号1,378〜1,390に係る断片に含まれるチミジンヌクレオチドは、ウリジンヌクレオチドによって置換されてもよい。
好ましくは、前記変異体、断片、又は変異体断片は、配列番号1,369〜1,377、1,391、1,392、又は1,393に係る核酸配列の少なくとも1つの機能(例えば、本発明に係る人工核酸分子の安定化、本発明に係る人工核酸分子からのタンパク質発現の安定化及び/又は延長、タンパク質産生の増加の少なくともいずれか)を、配列番号1,369〜1,377、1,391、1,392、又は1,393に係る核酸配列によって示される安定化効率及び/又はタンパク質産生増加効率の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、更により好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の効率で示す上記機能的変異体、機能的断片、又は機能的変異体断片である。好ましくは、変異体、断片、又は変異体断片は、5’UTRエレメントと相乗的に作用して人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させる機能を示す機能的変異体、機能的断片、又は機能的変異体断片である。
好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の少なくとも1つの3’UTRエレメントは、少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約100ヌクレオチド、更により好ましくは少なくとも約125ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約150ヌクレオチドの長さを有する。例えば、3’UTRは、約50ヌクレオチド〜約300ヌクレオチド、好ましくは約100ヌクレオチド〜約250ヌクレオチド、より好ましくは約150ヌクレオチド〜約200ヌクレオチドの長さを有し得る。
更に、本発明に係る人工核酸分子は、1超の上記3’UTRエレメントを含んでいてよい。例えば、本発明に係る人工核酸分子は、1、2、3、4、又はそれ以上の3’UTRエレメントを含んでいてよく、個々の3’UTRエレメントは、同一であっても異なっていてもよい。例えば、本発明に係る人工核酸分子は、2つの本質的に同一の上記3’UTRエレメント(例えば、配列番号1,369又は1,376に係る核酸配列等、アルブミン遺伝子の3’UTR、又はアルブミン遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる2つの3’UTRエレメント)、その機能的変異体、その機能的断片、又はその機能的変異体断片を含んでいてよい。
驚くべきことに、本発明者らは、上記TOP遺伝子に由来する核酸配列を含むか又はからなる5’UTRエレメントを含む人工核酸分子が、前記人工核酸分子からのタンパク質産生を強く強化するmRNA分子を表し得るか又は提供し得ることを見出した。
本発明に係る人工核酸分子は、RNA(例えば、mRNA)、DNA(例えば、DNAベクター)であってよく、改変RNA分子又は改変DNA分子であってもよい。それは、例えば、センス鎖及びアンチセンス鎖を有する二本鎖分子として、例えば、センス鎖及びアンチセンス鎖を有するDNA分子として提供され得る。
本発明に係る人工核酸分子は、更に、5’−キャップを含んでいてよい。任意の5’−キャップは、好ましくは、5’UTRエレメントの5’側に付加される。
好ましい実施形態では、人工核酸配列は、上記リボソームタンパク質をコードしている(例えば、リボソームラージタンパク質をコードしている)TOP遺伝子の5’UTR又はその変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる5’UTRエレメントと、上記アルブミン遺伝子の3’UTR又はその変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる3’UTRエレメントとを含む。
特に好ましい実施形態では、人工核酸配列は、リボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、リボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、リボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、ATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、ヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、アンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、シトクロムcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)、若しくはN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体、好ましくは、脊椎動物のリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、脊椎動物のリボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、脊椎動物のリボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、脊椎動物のATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、脊椎動物のヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、脊椎動物のアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、脊椎動物のシトクロムcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)、若しくは脊椎動物のN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体、より好ましくは、哺乳類のリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、リボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、リボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、哺乳類のATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、哺乳類のヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、哺乳類のアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、哺乳類のシトクロムcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)、若しくは哺乳類のN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体、最も好ましくは、ヒトのリボソームタンパク質ラージ32遺伝子(RPL32)、ヒトのリボソームタンパク質ラージ35遺伝子(RPL35)、ヒトのリボソームタンパク質ラージ21遺伝子(RPL21)、ヒトのATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)遺伝子、ヒトのヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)、ヒトのアンドロゲン誘導1遺伝子(AIG1)、ヒトのシトクロムcオキシダーゼサブユニットVIc遺伝子(COX6C)若しくはヒトのN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1遺伝子(ASAH1)、又はこれらの変異体の5’UTRに由来する核酸配列を含むか又はからなる5’UTRエレメントであって、好ましくは、前記遺伝子の5’TOPを含まない5’UTRエレメントと、上記アルブミン遺伝子に由来する核酸配列を含むか又はからなる3’UTRエレメントとを含む。
特に好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸分子は、配列番号1,368若しくは配列番号1,412〜1,420に係る核酸配列、又は対応するRNA配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる5’UTRエレメントと、配列番号1,369、1,376、1,377、1,391、又は1,392に係る核酸配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%、最も好ましくは100%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる3’UTRエレメント、例えば、配列番号1,368に係る核酸配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも約90%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる5’UTRエレメントと、配列番号1,369、1,376、1,377、1,391、又は1,392に係る核酸配列に対して少なくとも約90%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる3’UTRエレメントとを含む。
好ましくは、本発明に係る人工核酸分子は、ポリ(A)配列及び/又はポリアデニル化シグナルを更に含む。好ましくは、任意のポリ(A)配列は、ORF又は少なくとも1つの3’UTRエレメントの3’側に位置し、好ましくは、ORF又は3’UTRエレメントの3’末端に連結されている。直接連結されていてもよく、又は(例えば、1以上の制限酵素部位を含むか又はからなる1ヌクレオチド〜50ヌクレオチド、好ましくは1ヌクレオチド〜20ヌクレオチドのリンカーを介する等、2ヌクレオチド、4ヌクレオチド、6ヌクレオチド、8ヌクレオチド、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド等の一続きのヌクレオチドを介して)間接的に連結されていてもよい。
1つの実施形態では、任意のポリアデニル化シグナルは、3’UTRエレメント内に位置する。好ましくは、ポリアデニル化シグナルは、コンセンサス配列NN(U/T)ANA(Nは、A又はUである)、好ましくはAA(U/T)AAA又はA(U/T)(U/T)AAAを含む。かかるコンセンサス配列は、大部分の動物及び細菌の細胞系によって、例えば、CstF、PAP、PAB2、CFI及び/又はCFIIと協働する切断/ポリアデニル化特異性因子(CPSF)等のポリアデニル化因子によって認識され得る。ポリアデニル化シグナルは、好ましくは、3’UTRエレメントの3’末端の約50ヌクレオチド未満上流、より好ましくは約30ヌクレオチド未満上流、最も好ましくは約25ヌクレオチド未満上流、例えば、21ヌクレオチド上流に位置することが好ましい。
次いで、適切な転写系を用いることにより、ポリ(A)配列を未成熟RNAに結合させる。例えば、本発明の人工核酸分子は、上記3’UTRエレメントとポリアデニル化シグナルとを含むDNA分子であってよく、このことにより、前記DNA分子の転写時にRNAがポリアデニル化され得る。したがって、得られるRNAは、3’UTRエレメントとそれに続くポリ(A)配列との組み合わせを含んでいてよい。
潜在的な転写系は、インビトロ転写系又は細胞転写系等である。したがって、本発明に係る人工核酸分子の転写、例えば、5’UTRエレメントと、オープンリーディングフレームと、3’UTRエレメントと、ポリアデニル化シグナルとを含む人工核酸分子の転写により、5’UTRエレメントと、オープンリーディングフレームと、3’UTRエレメントと、ポリ(A)配列とを含むmRNA分子を得ることができる。
また、本発明は、5’UTRエレメントと、オープンリーディングフレームと、任意の上記3’UTRエレメントと、ポリ(A)配列とを含むmRNA分子である人工核酸分子を提供する。
1つの実施形態では、本発明は、上記5’UTRエレメントと、オープンリーディングフレームと、任意で配列番号1,369〜1,377、1,391、及び1,392のうちの任意の1つに係る核酸配列、又は配列番号1,369〜1,377、1,391、及び1,392のうちの任意の1つに係る核酸配列に対して少なくとも約40%以上の同一性を有する配列、又はこれらの断片とを含む人工DNA分子である人工核酸分子を提供する。更に、本発明は、上記5’UTRエレメントと、オープンリーディングフレームと、任意で配列番号1,369〜1,377、1,391、及び1,392のうちの任意の1つに係る配列、又は配列番号1,369〜1,377、1,391、及び1,392のうちの任意の1つに対して少なくとも約40%以上の同一性を有する配列、又はこれらの断片に対応するRNA配列とを含む人工RNA分子である人工核酸分子を提供する。
したがって、本発明は、翻訳効率に関して安定化及び最適化されているRNA分子、好ましくはmRNA分子のテンプレートとなり得る人工核酸分子を提供する。言い換えれば、人工核酸分子は、mRNAの産生に用いることができるDNA又はRNAであってよい。得ることができるmRNAは、次いで、オープンリーディングフレームによってコードされている所望のペプチド又はタンパク質を産生するために翻訳され得る。人工核酸分子がDNAである場合、例えば、インビトロ又はインビボでmRNAを継続して繰り返し産生するための二本鎖保管形態として用いてよい。
1つの実施形態では、本発明に係る人工核酸分子は、ポリ(A)配列を更に含む。ポリ(A)配列の長さは、変動してよい。例えば、ポリ(A)配列は、約20アデニンヌクレオチド〜約300アデニンヌクレオチド、好ましくは約40アデニンヌクレオチド〜約200アデニンヌクレオチド、より好ましくは約50アデニンヌクレオチド〜約100アデニンヌクレオチド、例えば、約60アデニンヌクレオチド、約70アデニンヌクレオチド、約80アデニンヌクレオチド、約90アデニンヌクレオチド、又は約100アデニンヌクレオチドの長さを有していてよい。
例えば、本発明に係る人工核酸分子は、以下のDNA配列に対応する核酸配列を含んでいてよい。
かかる配列の転写により、対応するRNA配列を含む人工核酸分子を得ることができる。
また、かかる人工RNA分子は、必ずしもDNA親から転写されることなしに一般的な化学合成法によってインビトロで得ることもできる。
特に好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸分子は、5’から3’方向に、上記5’UTRエレメントと、オープンリーディングフレームと、上記3’UTRエレメントと、ポリ(A)配列とを含むRNA分子、好ましくはmRNA分子である。
好ましい実施形態では、オープンリーディングフレームは、ヒトアルブミンをコードしないが、但し、3’UTRエレメントは、ヒトアルブミンの3’UTRと同一である。幾つかの更なる実施形態では、オープンリーディングフレームは、GenBankアクセッション番号NM_000477.5に係るヒトアルブミンをコードしないが、但し、3’UTRエレメントは、ヒトアルブミンの3’UTRと同一であることが好ましい。幾つかの更なる実施形態では、オープンリーディングフレームは、ヒトアルブミン又はその変異体をコードしないが、但し、3’UTRエレメントは、配列番号1,369と同一の配列であることが好ましい。更に、幾つかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、グロビンタンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、GFPタンパク質、又はこれらの変異体(例えば、グロビンタンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、又はGFPタンパク質に対して少なくとも70%の配列同一性を有する変異体)からなる群より選択されるレポータータンパク質をコードしないことが好ましい。
幾つかの実施形態では、3’UTRエレメントは、ヒストンステムループからなるものではないことが好ましく、好ましくは、ヒストンステムループを含まない。1つの実施形態では、本発明に係る人工核酸分子は、ヒストンステムループを含まない。しかし、幾つかの実施形態では、人工核酸分子又は本発明に係る人工核酸分子の3’UTRエレメントは、アルブミン遺伝子の3’UTRに由来する核酸配列に加えて、ヒストンステムループを含んでいてよい。本発明に係る人工核酸分子は、例えば、5’から3’方向に、5’UTRエレメントと、ORFと、3’UTRエレメントとを含んでいてよく、好ましくは、ポリアデニル化シグナル、任意のヒストンステムループ、及び任意のポリ(A)配列を含む。また、前記人工核酸分子は、5’から3’方向に、上記5’UTRエレメントと、ORFと、3’UTRエレメントとを含んでいてよく、例えば、ポリアデニル化シグナル、ポリ(A)配列、及び任意のヒストンステムループを含む。
本発明において、かかるヒストンステムループは、典型的に、ヒストン遺伝子に由来し、2つの隣接する全体的に又は部分的に逆相補的な配列の分子内塩基対合を含み、それによってステムループを形成する。ステムループは、一本鎖DNA、又はより一般的にはRNAにおいて形成され得る。また、その構造は、ヘアピン又はヘアピンループとして知られており、通常、連続配列内のステム及び(末端)ループからなり、前記ステムは、ステムループ構造のループを構築する一種のスペーサーとしての短い配列によって分断されている2つの隣接する全体的に又は部分的に逆相補的な配列によって形成される。前記2つの隣接する全体的に又は部分的に逆相補的な配列は、例えば、ステムループエレメント、ステム1及びステム2として定義することができる。ステムループは、これら2つの隣接する全体的に又は部分的に逆相補的な配列(例えば、ステムループエレメント、ステム1及びステム2)が互いに塩基対を形成するときに形成されて、連続配列におけるステムループエレメント、ステム1とステム2との間に位置する短い配列によって形成される不対ループを末端に含む二本鎖核酸配列を生じさせる。したがって、不対ループは、典型的に、これらステムループエレメントのいずれとも塩基対合することができない核酸の領域を表す。得られるロリポップ形構造は、多くのRNA二次構造の重要な構成要素である。したがって、ステムループ構造の形成は、得られるステム及びループ領域の安定性に依存し、第1の必要条件は、典型的に、折り重ねられて対合二本鎖を形成することができる配列の存在である。対合ステムループエレメントの安定性は、対合領域の長さ、含まれているミスマッチ又はバルジの数(特に、長い二本鎖では、少数のミスマッチは典型的に許容可能である)、及び塩基組成によって決定される。本発明では、最適なループ長は、3塩基〜10塩基、より好ましくは3塩基〜8塩基、3塩基〜7塩基、3塩基〜6塩基、又は更により好ましくは4塩基〜5塩基、最も好ましくは4塩基である。
ヒストンステムループ配列の一例は、配列番号1,394に係る配列(CAAAGGCTCTTTTCAGAGCCACCA)又は対応するRNA配列である。
したがって、幾つかの実施形態では、本発明に係る人工核酸分子は、(a.)本明細書に記載する少なくとも1つの5’UTRエレメントと;(b.)少なくとも1つのオープンリーディングフレームと;例えば、配列番号1,394に係る配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%の配列同一性を有する配列を含んでいてもよく又はからなっていてもよい少なくとも1つのヒストンステムループであって、好ましくは、配列番号1,394に係る配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%の配列同一性を有する配列の位置6、13、及び20が、保存されている、即ち、配列番号1,394の位置6、13、及び20におけるヌクレオチドと同一である少なくとも1つのヒストンステムループとを含む。
幾つかの実施形態では、人工核酸分子は、更なるエレメント(例えば、5’−キャップ、ポリ(C)配列、及び/又はIRESモチーフ)を含む。5’−キャップは、転写後にRNAの5’末端に付加してよい。更に、本発明の人工核酸分子は、特に核酸がmRNAの形態であるか又はmRNAをコードしている場合、少なくとも10個のシチジン、好ましくは少なくとも20個のシチジン、より好ましくは少なくとも30個のシチジンの配列(所謂「ポリ(C)配列」)によって修飾されてよい。具体的には、本発明の核酸分子は、特に核酸が(m)RNAの形態であるか又はmRNAをコードしている場合、典型的に約10シチジンヌクレオチド〜約200シチジンヌクレオチド、好ましくは約10シチジンヌクレオチド〜約100シチジンヌクレオチド、より好ましくは約10シチジンヌクレオチド〜約70シチジンヌクレオチド、又は更により好ましくは約20シチジンヌクレオチド〜約50シチジンヌクレオチド、又は更には20シチジンヌクレオチド〜30シチジンヌクレオチドのポリ(C)配列を含有していてよい。
配列内リボソーム進入部位(IRES)配列又はIRESモチーフは、例えば、人工核酸分子が2以上のペプチド又はタンパク質をコードしている場合、幾つかのオープンリーディングフレームを分離することができる。IRES配列は、mRNAが2シストロン性又は多シストロン性のRNAである場合、特に有用であり得る。
更に、人工核酸分子は、プロモーター含有配列等の更なる5’エレメントを含んでいてよい。プロモーターは、本発明に係る人工核酸分子、例えば、本発明に係る人工DNA分子の転写を駆動及び/又は制御することができる。
好ましい実施形態では、本発明は、5’から3’方向に、以下の構造のうちの少なくとも1つを含む人工核酸分子、好ましくはmRNA分子を提供する:
5’−キャップ−5’UTRエレメント−ORF−3’UTRエレメント−ヒストンステムループ−ポリ(A)配列
5’−キャップ−5’UTRエレメント−ORF−3’UTRエレメント−ポリ(A)配列−ヒストンステムループ
5’−キャップ−5’UTRエレメント−ORF−IRES−ORF−3’UTRエレメント−ヒストンステムループ−ポリ(A)配列
5’−キャップ−5’UTRエレメント−ORF−IRES−ORF−3’UTRエレメント−ポリ(A)配列−ヒストンステムループ
5’−キャップ−5’UTRエレメント−ORF−3’UTRエレメント−ポリ(A)配列−ポリ(C)配列
5’−キャップ−5’UTRエレメント−ORF−3’UTRエレメント−ポリ(A)配列−ポリ(C)配列−ヒストンステムループ
5’−キャップ−5’UTRエレメント−ORF−IRES−ORF−3’UTRエレメント−ヒストンステムループ−ポリ(A)配列−ポリ(C)配列。
好ましくは、人工核酸分子、好ましくはオープンリーディングフレームは、少なくとも部分的にG/C改変されている。したがって、本発明の人工核酸分子は、前記分子のG(グアノシン)/C(シトシン)含量を改変することによって熱力学的に安定化させることができる。好ましくは遺伝コードの縮重を用いることによって、相当する野生型配列のオープンリーディングフレームのG/C含量と比べて本発明に係る人工核酸分子のオープンリーディングフレームのG/C含量を増加させてよい。したがって、核酸分子のコードされているアミノ酸配列は、好ましくは、特定の野生型配列のコードされているアミノ酸配列と比べて、G/C改変によって改変されないことが好ましい。したがって、翻訳されるアミノ酸配列を維持しながら含まれるG/Cヌクレオチドの量が増えるように、野生型コード配列と比べてコード配列又は核酸分子全体(例えば、mRNA)のコドンを変化させてよい。幾つかのコドンが1つの同じアミノ酸をコードしている(所謂、遺伝コードの縮重)という事実に関連して、安定性のために最も好ましいコドンを決定することができる(所謂、代替コドンの利用)。
本明細書に定義する本発明の核酸分子のコード領域によってコードされているアミノ酸によっては、その野生型コード領域に対して、核酸配列、例えばコード領域を様々に改変できる可能性がある。G又はCヌクレオチドのみを含有するコドンによってコードされているアミノ酸の場合、コドンを改変する必要はない。したがって、Pro(CCC又はCCG)、Arg(CGC又はCGG)、Ala(GCC又はGCG)、及びGly(GGC又はGGG)のコドンは、AもU/Tも存在しないので、改変する必要がない。
対照的に、A及び/又はU/Tヌクレオチドを含有するコドンは、同じアミノ酸をコードしているがA及び/又はU/Tを含有していない他のコドンで置換することによって改変してよい。その例は、以下の通りである:
Proのコドンは、CC(U/T)又はCCAからCCC又はCCGに改変してよい;
Argのコドンは、CG(U/T)又はCGA又はAGA又はAGGからCGC又はCGGに改変してよい;
Alaのコドンは、GC(U/T)又はGCAからGCC又はGCGに改変してよい;
Glyのコドンは、GG(U/T)又はGGAからGGC又はGGGに改変してよい。
他の場合、A又は(U/T)ヌクレオチドをコドンからなくすことはできないが、A及び/又は(U/T)ヌクレオチドの含量が低いコドンを使用することによってA及び(U/T)含量を減少させることができる。その例は、以下の通りである:
Pheのコドンは、(U/T)(U/T)(U/T)から(U/T)(U/T)Cに改変してよい;
Leuのコドンは、(U/T)(U/T)A、(U/T)(U/T)G、C(U/T)(U/T)又はC(U/T)AからC(U/T)C又はC(U/T)Gに改変してよい;
Serのコドンは、(U/T)C(U/T)又は(U/T)CA又はAG(U/T)から(U/T)CC、(U/T)CG又はAGCに改変してよい;
Tyrのコドンは、(U/T)A(U/T)から(U/T)ACに改変してよい;
Cysのコドンは、(U/T)G(U/T)から(U/T)GCに改変してよい;
Hisのコドンは、CA(U/T)からCACに改変してよい;
Glnのコドンは、CAAからCAGに改変してよい;
Ileのコドンは、A(U/T)(U/T)又はA(U/T)AからA(U/T)Cに改変してよい;
Thrのコドンは、AC(U/T)又はACAからACC又はACGに改変してよい;
Asnのコドンは、AA(U/T)からAACに改変してよい;
Lysのコドンは、AAAからAAGに改変してよい;
Valのコドンは、G(U/T)(U/T)又はG(U/T)AからG(U/T)C又はG(U/T)Gに改変してよい;
Aspのコドンは、GA(U/T)からGACに改変してよい;
Gluのコドンは、GAAからGAGに改変してよい;
終止コドン(U/T)AAは、(U/T)AG又は(U/T)GAに改変してよい。
他方、Met(A(U/T)G)及びTrp((U/T)GG)のコドンの場合、コードされているアミノ酸配列を変化させることなしに配列を改変することはできない。
上記置換は、その特定の野生型オープンリーディングフレーム(即ち、オリジナル配列)と比べて、本明細書に定義する本発明の核酸配列のオープンリーディングフレームのG/C含量を増加させるために個々に又は全ての可能な組み合わせで用いることができる。したがって、例えば、野生型配列に存在するThrの全てのコドンをACC(又はACG)に改変してもよい。
本明細書に定義する本発明の人工核酸分子のオープンリーディングフレームのG/C含量は、野生型コード領域のG/C含量と比べて、少なくとも7%、好ましくは少なくとも15%、特に好ましくは少なくとも20%増加させる。特定の実施形態によれば、本発明の人工核酸分子、又はその断片、変異体、若しくは誘導体のオープンリーディングフレームにおける置換可能なコドンのうちの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、又は更には100%を置換して、前記オープンリーディングフレームのG/C含量を増加させる。
これに関連して、本明細書に定義する本発明の核酸配列のオープンリーディングフレームのG/C含量を、野生型オープンリーディングフレームと比べて最大限(即ち、置換可能なコドンの100%)増加させることが特に好ましい。
更に、オープンリーディングフレームは、好ましくは、少なくとも部分的にコドンが最適化されている。コドンの最適化は、細胞内のトランスファーRNA(tRNA)の発生頻度が異なることによって翻訳効率が決定され得るという知見に基づいている。したがって、本明細書に定義する本発明の人工核酸分子のコード領域に所謂「レアコドン」が存在している場合、前記レアコドンに相当する改変核酸配列は、比較的「高頻度の」tRNAをコードしているコドンが存在する場合よりも翻訳効率が低くなる確率が高い。
したがって、本発明の核酸配列のオープンリーディングフレームは、好ましくは、細胞内で比較的レアなtRNAをコードしている野生型配列のうちの少なくとも1つのコドンが、細胞内で比較的高頻度で存在するtRNAをコードしており且つ前記比較的レアなtRNAと同じアミノ酸を運搬するコドンと交換されるように、相当する野生型コード領域に対して改変される。この改変により、本明細書に定義する本発明の人工核酸分子のオープンリーディングフレームは、高頻度で存在するtRNAを利用可能なコドンが、レアなtRNAに対応するコドンに置き換わることができるように改変される。言い換えれば、本発明によれば、この改変により、レアなtRNAをコードしている野生型オープンリーディングフレームの全てのコドンを、細胞内においてより高頻度で存在し且つ前記レアなtRNAと同じアミノ酸を運搬するコドンと交換してよい。どのtRNAが細胞内で比較的高頻度で存在するか、及び対照的にどのtRNAが比較的低頻度で存在するかは、当業者に公知である。例えば、Akashi,Curr.Opin.Genet.Dev.2001,11(6):660−666を参照されたい。したがって、好ましくは、オープンリーディングフレームは、好ましくは本発明に係る核酸分子が発現する系に関して、好ましくは本発明に係る核酸分子が翻訳される系に関して、コドンが最適化されている。好ましくは、オープンリーディングフレームのコドン使用頻度は、哺乳類のコドン使用頻度、より好ましくはヒトのコドン使用頻度に従ってコドンが最適化されている。好ましくは、オープンリーディングフレームは、コドンが最適化されており且つG/C含量が改変されている。
分解耐性、例えば、エキソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼによるインビボ分解に対する耐性を更に改善するために、及び/又は本発明に係る人工核酸分子からのタンパク質産生を更に改善するために、人工核酸分子は、骨格修飾、糖修飾、及び/又は塩基修飾、例えば、脂質修飾等の修飾を更に含んでいてよい。好ましくは、本発明に係る人工核酸分子の転写及び/又は翻訳は、前記修飾によって殆ど損なわれない。
本発明において用いることができるヌクレオチドアナログ/修飾は、例えば、2−アミノ−6−クロロプリンリボサイド−5’−トリホスフェート、2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2−チオシチジン−5’−トリホスフェート、2−チオウリジン−5’−トリホスフェート、4−チオウリジン−5’−トリホスフェート、5−アミノアリルシチジン−5’−トリホスフェート、5−アミノアリルウリジン−5’−トリホスフェート、5−ブロモシチジン−5’−トリホスフェート、5−ブロモウリジン−5’−トリホスフェート、5−ヨードシチジン−5’−トリホスフェート、5−ヨードウリジン−5’−トリホスフェート、5−メチルシチジン−5’−トリホスフェート、5−メチルウリジン−5’−トリホスフェート、6−アザシチジン−5’−トリホスフェート、6−アザウリジン−5’−トリホスフェート、6−クロロプリンリボサイド−5’−トリホスフェート、7−デアザアデノシン−5’−トリホスフェート、7−デアザグアノシン−5’−トリホスフェート、8−アザアデノシン−5’−トリホスフェート、8−アジドアデノシン−5’−トリホスフェート、ベンズイミダゾール−リボサイド−5’−トリホスフェート、N1−メチルアデノシン−5’−トリホスフェート、N1−メチルグアノシン−5’−トリホスフェート、N6−メチルアデノシン−5’−トリホスフェート、O6−メチルグアノシン−5’−トリホスフェート、プソイドウリジン−5’−トリホスフェート、又はピューロマイシン−5’−トリホスフェート、キサントシン−5’−トリホスフェートから選択してよい。特に好ましくは、5−メチルシチジン−5’−トリホスフェート、7−デアザグアノシン−5’−トリホスフェート、5−ブロモシチジン−5’−トリホスフェート、及びプソイドウリジン−5’−トリホスフェートからなる塩基修飾ヌクレオチドの群から選択される塩基修飾のためのヌクレオチドである。
更に、脂質修飾人工核酸分子は、典型的に、人工核酸分子と共有結合している少なくとも1つのリンカーと、このリンカーと共有結合している少なくとも1つの脂質とを含んでいてよい。或いは、脂質修飾人工核酸分子は、本明細書に定義する少なくとも1つの人工核酸分子と、好ましくはリンカーを介さずに前記人工核酸分子と共有結合している少なくとも1つの好ましくは二官能性の脂質とを含んでいてよい。第3の選択肢によれば、脂質修飾人工核酸分子は、本明細書に定義する人工核酸分子と、前記人工核酸分子と共有結合している少なくとも1つのリンカーと、このリンカーと共有結合している少なくとも1つの脂質と、更に、好ましくはリンカーを介さずに前記人工核酸分子と共有結合している少なくとも1つの好ましくは二官能性の脂質とを含んでいてよい。
更なる態様では、本発明は、
a. TOP遺伝子の5’UTRに由来するか又はTOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの5’非翻訳領域エレメント(5’UTRエレメント)と、
b. 少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)及び/又はクローニングサイトと、
c. 任意で、脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTR、又は脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの3’UTRエレメントと
を含むベクターを提供する。
少なくとも1つの5’UTRエレメント、任意の少なくとも1つの3’UTRエレメント、及び少なくとも1つのORFは、本発明に係る人工核酸分子について本明細書に記載する通りである。クローニングサイトは、オープンリーディングフレームを導入するのに好適な任意の配列又はオープンリーディングフレームを含む配列、例えば、1以上の制限酵素部位等であってよい。クローニングサイトを含むベクターは、好ましくは、5’UTRエレメントの3’側、好ましくは5’UTRエレメントの直ぐ3’側にオープンリーディングフレームを挿入するのに好適である。したがって、クローニングサイトを含むベクターは、好ましくは、オープンリーディングフレームをベクターに挿入するのに好適である。好ましくは、5’UTRエレメントと任意の3’UTRエレメントとの間、好ましくは、任意の3’UTRエレメントの5’側且つ5’UTRエレメントの3’側に挿入するのに好適である。好ましくは、クローニングサイト又はORFは、好ましくは3’UTRエレメントの5’末端に近接して、3’UTRエレメントの5’側に位置する。例えば、クローニングサイト又はORFは、3’UTRエレメントの5’末端に直接連結していてもよく、本発明に係る人工核酸分子について上記した通り一続きのヌクレオチド(例えば、一続きの2ヌクレオチド、4ヌクレオチド、6ヌクレオチド、8ヌクレオチド、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド等)を介して連結していてもよい。好ましくは、クローニングサイト又はORFは、好ましくは5’UTRエレメントの3’末端に近接して、5’UTRエレメントの3’側に位置する。例えば、クローニングサイト又はORFは、5’UTRエレメントの3’末端に直接連結していてもよく、本発明に係る人工核酸分子について上記した通り一続きのヌクレオチド(例えば、一続きの2ヌクレオチド、4ヌクレオチド、6ヌクレオチド、8ヌクレオチド、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド等)を介して連結していてもよい。
好ましくは、本発明に係るベクターは、例えば、任意でオープンリーディングフレーム又はオープンリーディングフレームを含む配列をベクターに挿入し、前記ベクターを転写することによって、本発明に係る人工核酸分子を作製するのに、好ましくは、本発明に係る人工mRNAを作製するのに好適である。したがって、好ましくは、ベクターは、プロモーター(例えば、RNAポリメラーゼプロモーター)等の転写に必要なエレメントを含む。好ましくは、ベクターは、真核生物、原核生物、ウイルス若しくはファージの転写系(例えば、真核細胞、原核細胞等)、又は真核生物、原核生物、ウイルス、若しくはファージのインビトロ転写系を用いる転写に好適である。したがって、例えば、ベクターは、RNAポリメラーゼ等のポリメラーゼ(例えば、真核生物、原核生物、ウイルス、又はファージのRNAポリメラーゼ)によって認識されるプロモーター配列を含んでいてよい。好ましい実施形態では、ベクターは、SP6又はT7等のファージRNAポリメラーゼプロモーター、好ましくはT7プロモーターを含む。好ましくは、ベクターは、ファージに基づくインビトロ転写系(例えば、T7RNAポリメラーゼに基づくインビトロ転写系等)を用いるインビトロ転写に好適である。
ベクターは、本発明に係る人工核酸分子について上記した通りポリ(A)配列及び/又はポリアデニル化シグナルを更に含んでいてよい。
ベクターは、RNAベクターであってもよく、DNAベクターであってもよい。好ましくは、ベクターは、DNAベクターである。ベクターは、ウイルスベクター又はプラスミドベクター等の当業者に公知の任意のベクターであってよい。好ましくは、ベクターは、プラスミドベクター、好ましくはDNAプラスミドベクターである。
好ましい実施形態では、本発明に係るベクターは、本発明に係る人工核酸分子を含む。
好ましくは、本発明に係るベクターは、配列番号1〜1,363、1,395、1,421、1,422、1,368、又は1,412〜1,420に係る配列、或いは配列番号1〜1,363、1,395、1,421、1,422、1,368、又は1,412〜1,420のいずれか1つに係る配列、又はこれらの断片、好ましくはこれらの機能的断片、又は対応するRNA配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%;更により好ましくは100%の配列同一性を有する配列を含む。
好ましくは、本発明に係るベクター(例えば、DNAベクター)は、配列番号1,368〜1,392又は1,412〜1,420に係る配列、或いは配列番号1,368〜1,392又は1,412〜1,420のいずれか1つに係る配列、又はこれらの断片、好ましくはこれらの機能的断片、又は対応するRNA配列に対して少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは少なくとも約95%、更により好ましくは少なくとも約99%;更により好ましくは100%の配列同一性を有する配列を含む。
好ましくは、ベクターは、環状分子である。好ましくは、ベクターは、二本鎖DNA分子等の二本鎖分子である。かかる環状の、好ましくは二本鎖のDNA分子は、本発明の人工核酸分子の保管形態として便利に用いることができる。更に、細胞、例えば培養細胞のトランスフェクションに用いることができる。また、本発明に係る人工RNA分子を得るためのインビトロ転写に用いることができる。
好ましくは、ベクター、好ましくは環状ベクターは、例えば、制限酵素で切断することによって線形にすることができる。好ましい実施形態では、ベクターは、ORFの直ぐ3’側、又は(存在する場合)3’UTRエレメントの直ぐ3’側、又は(存在する場合)ポリ(A)配列若しくはポリアデニル化シグナルの直ぐ3’側、又は(存在する場合)ポリ(C)配列の3’側、又は(存在する場合)ヒストンステムループの3’側に位置する制限酵素部位等の切断部位、好ましくは唯一の切断部位を含む。したがって、好ましくは、ベクターの線形化によって得られる生成物は、3’末端において、終止コドン、又は(存在する場合)3’UTRエレメントの3’末端、又は(存在する場合)ポリ(A)配列の3’末端、又はポリアデニル化シグナルの3’末端、又は(存在する場合)ポリ(C)配列の3’末端、又は(存在する場合)ヒストンステムループの3’末端に加えて、任意で切断後の制限酵素部位の残りの幾つかの任意のヌクレオチドで終結する。
更なる態様では、本発明は、本発明に係る人工核酸分子又は本発明に係るベクターを含む細胞に関する。前記細胞は、細菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、脊椎動物細胞、例えば哺乳類細胞等の任意の細胞であってよい。前記細胞は、例えば、細菌細胞において本発明のベクターを複製するために用いることができる。更に、前記細胞は、本発明に係る人工核酸分子若しくはベクターを転写するため、及び/又は本発明に係る人工核酸分子若しくはベクターのオープンリーディングフレームを翻訳するために用いることができる。例えば、前記細胞は、組み換えタンパク質を産生するために用いることができる。
本発明に係る細胞は、例えば、標準的なトランスフェクション法等の標準的な核酸移入法によって得ることができる。例えば、本発明に係る人工核酸分子又はベクターは、エレクトロポレーション、(例えば、カチオン性脂質及び/又はリポソームに基づく)リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ナノ粒子に基づくトランスフェクション、ウイルスに基づくトランスフェクション、又はカチオン性ポリマー(例えば、DEAE−デキストラン又はポリエチレンイミン等)に基づくトランスフェクション等によって細胞に移入してよい。
好ましくは、前記細胞は、哺乳類細胞、例えば、ヒト被験体、家畜、実験動物(例えば、マウス又はラット)の細胞等である。好ましくは、前記細胞は、ヒトの細胞である。前記細胞は、確立されている細胞株の細胞、例えば、CHO、BHK、293T、COS−7、HELA、HEK等の細胞であってもよく、一次細胞、例えば、HDF細胞であってもよい。好ましくは、生物から単離された細胞である。好ましい実施形態では、前記細胞は、哺乳類の被験体、好ましくはヒトの被験体の単離細胞である。例えば、前記細胞は、好ましくは哺乳類の被験体、好ましくはヒトの被験体の免疫細胞(例えば、樹状細胞)、癌細胞若しくは腫瘍細胞、又は任意の体細胞等であってよい。
更なる態様では、本発明は、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、又は本発明に係る細胞を含む医薬組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物は、例えば、遺伝子ワクチン接種用のワクチンとして用いてよい。したがって、ORFは、ワクチン接種のために患者に投与される抗原をコードしていてよい。したがって、好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、ワクチンである。更に、本発明に係る医薬組成物は、例えば、遺伝子治療に用いることができる。
好ましくは、医薬組成物は、更に、1以上の薬学的に許容できる賦形剤、ビヒクル、充填剤、及び/又は希釈剤を含んでいてよい。本発明では、薬学的に許容できるビヒクルは、典型的に、本発明の医薬組成物用の液体又は非液体の基剤を含む。1つの実施形態では、医薬組成物は、液体形態で提供される。これに関連して、前記ビヒクルは、好ましくは、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水又は緩衝(水)溶液、例えば、リン酸、クエン酸等のバッファ溶液等の水に基づく。バッファは、特定のレファレンス媒体に対して高張、等張、又は低張であってよい。即ち、前記バッファは、特定のレファレンス媒体に対してより高い、同一の、又はより低い塩含量を有してよく、好ましくは、浸透圧又は他の濃度効果により哺乳類細胞を損傷させない濃度の前述の塩を用いてよい。レファレンス媒体は、例えば、血液、リンパ液、サイトゾル液、又は他の体液等の「インビボ」法で用いられる液体であるか、或いは一般的なバッファ若しくは液体等の「インビトロ」法でレファレンス媒体として用いることができる液体である。かかる一般的なバッファ又は液体は、当業者に公知である。乳酸リンゲル液が、液体基剤として特に好ましい。
本発明の医薬組成物のために、患者に投与するのに適している1以上の相溶性の固体又は液体の充填剤又は希釈剤、或いは封入化合物を同様に用いてもよい。用語「相溶性」とは、本明細書で使用するとき、好ましくは、典型的な使用条件下で本発明の医薬組成物の薬学的有効性を実質的に低減させる相互作用が生じないように、本発明の医薬組成物のこれら成分と本明細書に定義する本発明の核酸、ベクター、又は細胞とを混合できることを意味する。
本発明に係る医薬組成物は、任意で、1以上の更なる医薬活性成分を更に含んでいてよい。これに関連して医薬活性成分とは、特定の適応症又は疾患を治癒させる、寛解させる、又は予防する治療効果を示す化合物である。前記化合物としては、限定するものではないが、ペプチド又はタンパク質、核酸、(治療的に活性のある)低分子量の有機化合物又は無機化合物(分子量:5,000未満、好ましくは1,000未満)、糖類、抗原又は抗体、関連技術において既に知られている治療剤、抗原細胞、抗原細胞断片、細胞画分、細胞壁成分(例えば、多糖類)、(例えば、化学的に又は放射線照射により)改変、弱毒化、又は不活化された病原体(ウイルス、細菌等)等が挙げられる。
更に、本発明の医薬組成物は、人工核酸分子又はベクター用の担体を含んでいてよい。かかる担体は、医薬的に活性のある人工核酸分子又はベクターの生理学的に許容できる液体への溶解、輸送及び細胞内取り込みを媒介するのに好適であり得る。したがって、かかる担体は、本発明に係る人工核酸分子又はベクターのデポー製剤及び送達に好適であり得る成分であってよい。かかる成分は、例えば、トランスフェクション剤又は複合体化剤として機能し得るカチオン性又はポリカチオン性の担体又は化合物であってよい。
これに関連して、特に好ましいトランスフェクション剤又は複合体化剤は、カチオン性又はポリカチオン性の化合物であり、例えば、プロタミン、ヌクレオリン、スペルミン若しくはスペルミジン、又は他のカチオン性のペプチド又はタンパク質(例えば、ポリ−L−リシン(PLL)、ポリアルギニン、塩基性ポリペプチド、細胞透過性ペプチド(CPP)(HIV結合ペプチド、HIV−1 Tat(HIV)、Tat由来ペプチド、ペネトラチン、VP22由来ペプチド又はアナログペプチドを含む)、HSV VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALA、又はタンパク質形質導入ドメイン(PTD)、PpT620、プロリンリッチペプチド、アルギニンリッチペプチド、リシンリッチペプチド、MPG−ペプチド、Pep−1、L−オリゴマー、カルシトニンペプチド、アンテナペディア由来ペプチド(特にショウジョウバエのアンテナペディア由来)、pAntp、pIsl、FGF、ラクトフェリン、トランスポータン、ブフォリン−2、Bac715−24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT由来ペプチド、SAP、又はヒストン)が挙げられる。
更に、かかるカチオン性又はポリカチオン性の化合物又は担体は、好ましくは少なくとも1つの−SH部分を含むか又は含むように更に改変されているカチオン性又はポリカチオン性のペプチド又はタンパク質であってよい。好ましくは、カチオン性又はポリカチオン性の担体は、以下の合計式(I)を有するカチオン性ペプチドから選択される:
{(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa)};式(I)
(式中、l+m+n+o+xは、3〜100であり、l、m、n、又はoは、互いに独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21〜30、31〜40、41〜50、51〜60、61〜70、71〜80、81〜90、及び91〜100から選択される任意の数であるが、但し、Arg(アルギニン)、Lys(リジン)、His(ヒスチジン)及びOrn(オルニチン)の総含量は、オリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも10%であり;Xaaは、Arg、Lys、His又はOrnを除くネイティブ(即ち、自然界に存在する)又は非ネイティブなアミノ酸から選択される任意のアミノ酸であり;xは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21〜30、31〜40、41〜50、51〜60、61〜70、71〜80、81〜90から選択される任意の数であるが、但し、Xaaの総含量は、オリゴペプチドの全アミノ酸の90%を超えない)。アミノ酸Arg、Lys、His、Orn、及びXaaはいずれも、ペプチドの任意の位置に位置してよい。これに関連して、7アミノ酸〜30アミノ酸のカチオン性ペプチド又はタンパク質が特に好ましい。
更に、カチオン性又はポリカチオン性のペプチド又はタンパク質は、上に示す通り、式{(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa)}(式(I))に従って定義され、少なくとも1つの−SH部分を含むか又は含むように更に改変されているとき、限定されるものではないが、部分式(Ia)から選択してよい:
{(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa’)(Cys)} 部分式(Ia)
(式中、(Arg);(Lys);(His);(Orn);及びxは、本明細書に定義する通りであり、Xaa’は、Arg、Lys、His、Orn、又はCysを除くネイティブ(即ち、自然界に存在する)又は非ネイティブなアミノ酸から選択される任意のアミノ酸であり、yは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21〜30、31〜40、41〜50、51〜60、61〜70、71〜80、81〜90から選択される任意の数であるが、但し、Arg(アルギニン)、Lys(リジン)、His(ヒスチジン)及びOrn(オルニチン)の総含量は、オリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも10%である)。更に、カチオン性又はポリカチオン性のペプチドは、部分式(Ib)から選択してよい:
Cys{(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa)}Cys 部分式(Ib)
(式中、経験式{(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa)}(式(III))は、本明細書に定義する通りであり、(半経験)式(III)に係るアミノ酸配列のコアを形成し、Cys及びCysは、(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa)に近接するか又は末端に存在するシステインである)。
トランスフェクション剤又は複合体化剤として用いることができる更に好ましいカチオン性又はポリカチオン性の化合物は、カチオン性多糖類(例えば、キトサン)、ポリブレン、カチオン性ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン(PEI))、カチオン性脂質(例えば、DOTMA:[1−(2,3−シオレイルオキシ)プロピル)]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、DMRIE、ジ−C14−アミジン、DOTIM、SAINT、DC−Chol、BGTC、CTAP、DOPC、DODAP、DOPE:ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、DOSPA、DODAB、DOIC、DMEPC、DOGS:ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン、DIMRI:ジミリスト−オキシプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、DOTAP:ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン、DC−6−14:O,O−ジテトラデカノイル−N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ジエタノールアミンクロリド、CLIP1:rac−[(2,3−ジオクタデシルオキシプロピル)(2−ヒドロキシエチル)]−ジメチルアンモニウムクロリド、CLIP6:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシメチルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、CLIP9:rac−[2(2,3−ジヘキサデシルオキシプロピル−オキシスクシニルオキシ)エチル]−トリメチルアンモニウム、オリゴフェクタミン、又はカチオン性若しくはポリカチオン性のポリマー(例えば、β−アミノ酸ポリマー又は逆ポリアミド等の修飾ポリアミノ酸;PVP(ポリ(N−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド))等の修飾ポリエチレン;pDMAEMA(ポリ(ジメチルアミノエチルメチルメタクリレート))等の修飾アクリレート;pAMAM(ポリ(アミドアミン))等の修飾アミドアミン;ジアミン末端修飾1,4ブタンジオールジアクリレート−co−5−アミノ−1−ペンタノールポリマー等の修飾ポリベータアミノエステル(PBAE);ポリプロピルアミンデンドリマー又はpAMAM系デンドリマー等のデンドリマー;PEI:ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)等のポリイミン;ポリアリルアミン;シクロデキストリン系ポリマー、デキストラン系ポリマー、キトサン等の糖骨格系ポリマー;PMOXA−PDMSコポリマー等のシラン骨格系ポリマー)、1以上のカチオン性ブロック(例えば、上述のカチオン性ポリマーから選択される)と1以上の親水性又は疎水性のブロックとの組み合わせからなるブロックポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)等を含んでいてよい。
これに関連して、本発明の人工核酸分子又は本発明のベクターは、カチオン性又はポリカチオン性の化合物、好ましくはカチオン性のタンパク質又はペプチドと少なくとも部分的に複合体化することが特に好ましい。部分的にとは、本発明の人工核酸分子又は本発明のベクターの一部のみがカチオン性又はポリカチオン性の化合物と複合体化し、本発明の人工核酸分子又は本発明のベクターの残りは、複合体化していない(「遊離」)形態であることを意味する。好ましくは、複合体化核酸の遊離核酸に対する比は、約5:1(w/w)〜約1:10(w/w)、より好ましくは約4:1(w/w)〜約1:8(w/w)、更により好ましくは約3:1(w/w)〜約1:5(w/w)又は1:3(w/w)の範囲から選択され、最も好ましくは、複合体化核酸の遊離核酸に対する比は、約1:1(w/w)の比から選択される。
本発明に係る医薬組成物は、任意で、1以上のアジュバント、例えば、自然免疫系を刺激するため又は人工核酸分子若しくはベクターの細胞内取り込みを強化するためのアジュバントを更に含んでいてよい。これに関連して、アジュバントは、自然免疫系の免疫応答、即ち、非特異的免疫応答を開始させたり増加させたりするのに好適な任意の化合物として理解してよい。言い換えれば、投与したとき、本発明の医薬組成物は、好ましくは、任意で前記医薬組成物に含有されるアジュバントにより、自然免疫応答を誘発する。好ましくは、かかるアジュバントは、哺乳類において自然免疫応答の誘導を補助するアジュバントであってよい。かかるアジュバントは、免疫賦活性核酸(即ち、例えば、Toll様受容体等に結合し得る核酸)、好ましくは、免疫賦活性RNAであってよい。
かかるアジュバント、好ましくはかかる免疫賦活性核酸は、医薬組成物の人工核酸分子、好ましくはワクチンによってコードされているペプチド又はタンパク質(即ち、抗原)に対する特異的免疫応答(即ち、適応免疫応答)を補助することができる自然免疫応答(即ち、非特異的免疫応答)を誘導することができる。
また、本発明の医薬組成物は、ヒトToll様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10に対する(リガンドとしての)結合親和性に起因して、又はマウスToll様受容体TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12若しくはTLR13に対する(リガンドとしての)結合親和性に起因して免疫賦活性であることが知られている任意の更なる化合物を更に含有していてもよい。
本発明の医薬組成物に含まれ得る更なる添加剤は、例えば、Tween(登録商標)等の乳化剤;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤;着色剤;風味付与剤;医薬担体;打錠剤;安定剤;酸化防止剤;保存剤である。
本発明に係る医薬組成物は、好ましくは、「安全且つ有効な量」の医薬組成物の成分、特に、本明細書に定義する本発明の核酸配列、ベクター、及び/又は細胞を含む。本明細書で使用するとき、「安全且つ有効な量」とは、本明細書に定義する疾患又は疾病の好ましい変化を著しく誘導するのに十分である量を意味する。しかし、同時に、「安全且つ有効な量」は、好ましくは、重篤な副作用を避け、且つ利益とリスクとの間の道理に適った関係を可能にする。これらの限度は、典型的に、道理に適った医学的判断の範囲内で決定される。
更なる態様では、本発明は、医薬として、例えば(遺伝子ワクチン接種における)ワクチンとして、又は遺伝子治療において用いるための本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物を提供する。
本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物は、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の治療作用又は効果を利用するか或いは特定のペプチド又はタンパク質の追加が必要である任意の医学的用途に特に好適である。したがって、本発明は、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の治療作用又は効果によって治療することができるか、或いは特定のペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の追加によって治療することができる疾患又は疾病の治療又は予防において用いるための本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物を提供する。例えば、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物は、例えば遺伝子ワクチン接種又は遺伝子治療によって、遺伝性疾患、自己免疫疾患、癌性又は腫瘍関連疾患、感染性疾患、慢性疾患等を治療又は予防するために用いることができる。
特に、5’UTRエレメントを任意で3’UTRエレメントと組み合わせるとORFからのタンパク質発現を増加させ、また、3’UTRエレメントが、本発明の核酸分子のORFを安定的に長期に亘って発現させるので、治療を受ける被験体において治療用のペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質が安定的に、長期に亘り及び/又は多量に存在することから利益を得るかかる治療的処置は、本発明に関連する医学的用途に特に好適である。したがって、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物に特に好適な医学的用途は、例えば、感染症又は腫瘍に対するワクチン接種である。したがって、本発明は、被験体、好ましくは哺乳類の被験体、より好ましくはヒトの被験体のワクチン接種のための本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物を提供する。好ましいワクチン接種処理は、細菌、原生動物、又はウイルスによる感染症等の感染性疾患に対するワクチン接種、及び抗腫瘍ワクチン接種である。かかるワクチン接種処理は、予防的であってもよく、治療的であってもよい。
治療又は予防される疾患に応じてORFを選択してよい。例えば、オープンリーディングフレームは、遺伝性疾患に罹患している患者等、タンパク質が完全に欠失しているか又は機能が少なくとも部分的に喪失している患者に供給すべきタンパク質をコードしていてよい。更に、オープンリーディングフレームは、被験体の疾患又は症状に有益な影響を与えるペプチド又はタンパク質をコードしているORFから選択してよい。更に、オープンリーディングフレームは、天然のペプチド若しくはタンパク質の病的過剰産生をダウンレギュレートするか又は病的にタンパク質若しくはペプチドを発現する細胞を除去するペプチド又はタンパク質をコードしていてもよい。かかる欠失、機能喪失、又は過剰産生は、例えば、腫瘍及び新生物、自己免疫疾患、アレルギー、感染症、慢性疾患等に関連して生じる場合がある。更に、オープンリーディングフレームは、抗原又は免疫原(例えば、病原体又は腫瘍抗原のエピトープ)をコードしていてよい。したがって、好ましい実施形態では、本発明に係る人工核酸分子又はベクターは、抗原又は免疫原(例えば、病原体又は腫瘍関連抗原のエピトープ)と、上記5’UTRエレメントと、任意で上記3’UTRエレメント及び/又はポリ(A)配列等の更なる成分とを含むか又はからなるアミノ酸配列をコードしているORFを含む。
医学的用途に関連して、特に、ワクチン接種に関連して、DNAは、抗DNA免疫応答を誘発するリスクを有し且つゲノムDNAに挿入される傾向を有するので、本発明に係る人工核酸分子は、RNA、好ましくはmRNAであることが好ましい。しかし、幾つかの実施形態では、例えば、アデノウイルス送達ビヒクル等のウイルス送達ビヒクルを、例えば、遺伝子治療的処置において本発明に係る人工核酸分子又はベクターを送達するために用いる場合、人工核酸分子又はベクターがDNA分子であることが望ましい場合もある。
本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸内に、経鼻的に、口腔内に、膣内に、又は埋め込まれたレザーバを介して投与してよい。本明細書で使用するとき、非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、基質内、鞘内、肝臓内、病変内、頭蓋内、経皮、皮内、肺内、腹腔内、手根内、動脈内、及び舌下への注射又は注入技術を含む。
好ましくは、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物は、非経口的に、例えば非経口注射によって投与され、より好ましくは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、基質内、鞘内、肝臓内、病変内、頭蓋内、経皮、皮内、肺内、腹腔内、手根内、動脈内、及び舌下への注射又は注入技術を介して投与される。皮内及び筋肉内への注射が特に好ましい。本発明の医薬組成物の滅菌注射用形態は、水性又は油性の懸濁液であってよい。これら懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤と懸濁化剤とを用いて当技術分野において公知の技術に従って製剤され得る。
また、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤、又は液剤が挙げられるがこれらに限定されない任意の経口的に許容できる剤形で経口投与してよい。
また、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物は、例えば、皮膚又は任意の他のアクセス可能な上皮組織の疾患を含む、局所塗布によって容易にアクセス可能な領域又は器官が治療標的に含まれる場合は特に、局所投与してもよい。これら領域又は器官のそれぞれについて、好適な局所製剤は容易に調製される。局所塗布については、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物を、1以上の担体に懸濁又は溶解している好適な軟膏に製剤してよい。
1つの実施形態では、医薬としての使用は、哺乳類細胞のトランスフェクション、好ましくは哺乳類細胞のインビトロトランスフェクション、より好ましくは前記医薬により治療される被験体の単離細胞のインビトロトランスフェクションの工程を含む。前記使用が単離細胞のインビトロトランスフェクションを含む場合、医薬としての使用は、トランスフェクトされた細胞を患者に(再)投与することを更に含んでいてよい。医薬としての本発明の人工核酸分子又はベクターの使用は、トランスフェクションに成功した単離細胞を選択する工程を更に含んでいてよい。したがって、ベクターが選択マーカーを更に含むことが有益である場合がある。また、前記医薬としての使用は、単離細胞のインビトロトランスフェクションと、前記細胞からの発現産物(即ち、コードされているペプチド又はタンパク質)の精製とを含んでいてよい。この精製ペプチド又はタンパク質は、後に、それを必要としている被験体に投与してよい。
また、本発明は、上記疾患又は疾病を治療又は予防する方法であって、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、又は本発明に係る医薬組成物をそれを必要としている被験体に投与することを含む方法を提供する。
更に、本発明は、疾患又は疾病を治療又は予防する方法であって、本発明に係る人工核酸分子又は本発明に係るベクターで細胞をトランスフェクトすることを含む方法を提供する。トランスフェクションは、インビトロで実施してもよく、インビボで実施してもよい。好ましい実施形態では、細胞のトランスフェクションは、インビボで実施され、トランスフェクトされた細胞は、それを必要としている被験体、好ましくはヒト被験体に投与される。好ましくは、インビトロでトランスフェクトされる細胞は、被験体、好ましくはヒト患者の単離細胞である。したがって、本発明は、被験体、好ましくはヒト患者から細胞を単離する工程と、本発明に係る人工核酸分子又は本発明に係るベクターで前記単離細胞をトランスフェクトする工程と、前記トランスフェクトされた細胞を前記被験体、好ましくは前記ヒト患者に投与する工程とを含む治療方法を提供する。
本発明に係る疾患を治療又は予防する方法は、好ましくは、上記ワクチン接種方法及び/又は遺伝子治療方法である。
上記の通り、5’UTRエレメント及び任意の3’UTRエレメントは、5’UTRエレメント及びORFを含む人工核酸分子(例えば、mRNA又はベクター等)からのタンパク質産生を増加させることができる。したがって、更なる態様では、本発明は、人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させる方法であって、前記人工核酸分子(好ましくは、前記人工核酸分子内に含まれるORF)と、(i)TOP遺伝子の5’UTRに由来するか又は上記TOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの5’−非翻訳領域(5’UTRエレメント)、及び(ii)任意で、例えば、脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTRに由来するか、又は上記脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの3’UTRエレメントとを結合させる工程を含む方法に関する。
用語「人工核酸分子又はベクターと5’UTRエレメント、及び任意の3’UTRエレメントとを結合させる」とは、人工核酸分子(例えば、mRNA又はベクター)と、5’UTRエレメント及び任意の3’UTRエレメントとを機能的に結合させるか又は機能的に組み合わせることを意味する。これは、人工核酸分子、好ましくは前記人工核酸分子内に含まれるORFと、5’UTRエレメントと、任意の3’UTRエレメントとを、5’UTRエレメント及び任意の3’UTRエレメントの機能(例えば、タンパク質産生を増加させる機能)が発揮されるように結合又はカップリングすることを意味する。典型的に、これは、オープンリーディングフレームが、5’UTRエレメントの3’側、好ましくは5’UTRエレメントと任意の3’UTRエレメントとの間に位置するように、5’UTRエレメント及び任意の3’UTRエレメントが人工核酸分子(好ましくは、mRNA分子)又はベクターに組み込まれることを意味する。
更なる態様では、本発明は、人工核酸分子(例えば、mRNA)又はベクターからのタンパク質産生を増加させるための、TOP遺伝子の5’UTRに由来するか又は上記TOP遺伝子の5’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの5’−非翻訳領域(5’UTRエレメント)、及び任意で、脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTRに由来するか、上記脊索動物の遺伝子、好ましくは脊椎動物の遺伝子、より好ましくは哺乳類の遺伝子、最も好ましくはヒトの遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる少なくとも1つの3’UTRエレメントの使用を提供する。
本発明に係る使用は、好ましくは、上記の通り、人工核酸分子と、5’UTRエレメント及び任意の3’UTRエレメントとを結合させることを含む。
また、人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させる方法及び上記使用は、人工核酸分子を1以上の更なるエレメント(例えば、上記ポリアデニル化シグナル、ポリ(A)配列、ポリ(C)配列、及び/又はヒストンステムループ)と結合させることを含んでいてよい。
また、本発明の医薬組成物の化合物及び成分は、互いに別々に製造及び取引してもよい。したがって、本発明は、更に、本発明に係る人工核酸分子、本発明に係るベクター、本発明に係る細胞、及び/又は本発明に係る医薬組成物を含むキット又はキットオブパーツに関する。好ましくは、かかるキット又はキットオブパーツは、更に、使用説明書;トランスフェクション用の細胞;アジュバント;医薬組成物の投与手段;人工核酸分子、ベクター、細胞、又は医薬組成物を溶解又は希釈するための薬学的に許容できる担体及び/又は薬学的に許容できる溶液を含んでいてよい。
配列番号1〜1,363、1,395、1,421、及び1,422 TOP遺伝子の5’UTRを含む配列
配列番号1,364 PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,365 PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,366 RPL32−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,367 RPL32−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,368 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ32の5’UTR
配列番号1,369 ヒトアルブミン3’UTR
配列番号1,370 ヒトヘモグロビン、アルファ1(HBA1)の3’UTR
配列番号1,371 ヒトヘモグロビン、アルファ2(HBA2)の3’UTR
配列番号1,372 ヒトヘモグロビン、ベータ(HBB)の3’UTR
配列番号1,373 ヒトチロシンヒドロキシラーゼ(TH)の3’UTR
配列番号1,374 ヒトアラキドン酸15−リポキシゲナーゼ(ALOX15)の3’UTR
配列番号1,375 ヒトコラーゲンI型アルファ1(COL1A1)の3’UTR
配列番号1,376 アルブミン7の3’UTR
配列番号1,377 ヒトアルブミンの3’UTR+ポリ(A)配列
配列番号1,378 ヒトアルブミンの3’UTR断片1
配列番号1,379 ヒトアルブミンの3’UTR断片2
配列番号1,380 ヒトアルブミンの3’UTR断片3
配列番号1,381 ヒトアルブミンの3’UTR断片4
配列番号1,382 ヒトアルブミンの3’UTR断片5
配列番号1,383 ヒトアルブミンの3’UTR断片6
配列番号1,384 ヒトアルブミンの3’UTR断片7
配列番号1,385 ヒトアルブミンの3’UTR断片8
配列番号1,386 ヒトアルブミンの3’UTR断片9
配列番号1,387 ヒトアルブミンの3’UTR断片10
配列番号1,388 ヒトアルブミンの3’UTR断片11
配列番号1,389 ヒトアルブミンの3’UTR断片12
配列番号1,390 ヒトアルブミンの3’UTR断片13
配列番号1,391 アルブミン7の3’UTR−ポリ(A)配列−ポリ(C)配列−HL
配列番号1,392 アルブミン7の3’UTR−ポリ(A)配列−ポリ(C)配列
配列番号1,393 α−グロビン遺伝子の3’UTRの中央のα複合体結合部分
配列番号1,394 ヒストンステムループ
配列番号1,396 RPL35−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,397 RPL21−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,398 ATP5A1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,399 HSD17B4−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,400 AIG1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,401 COX6C−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,402 ASAH1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,403 mRPL21−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,404 mRPL35A−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,405 RPL35−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,406 RPL21−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,407 ATP5A1−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,408 HSD17B4−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,409 AIG1−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,410 COX6C−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,411 ASAH1−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,412 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ35(RPL35)の5’UTR
配列番号1,413 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトリボソームタンパク質ラージ21(RPL21)の5’UTR
配列番号1,414 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトATPシンターゼ、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体アルファサブユニット1、心筋(ATP5A1)の5’UTR
配列番号1,415 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ4(HSD17B4)の5’UTR
配列番号1,416 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトアンドロゲン誘導1(AIG1)の5’UTR
配列番号1,417 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトシトクロームcオキシダーゼサブユニットVIc(COX6C)の5’UTR
配列番号1,418 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないヒトN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ(酸性セラミダーゼ)1(ASAH1)の5’UTR
配列番号1,419 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないマウスリボソームタンパク質ラージ21(mRPL21)の5’UTR
配列番号1,420 5’末端オリゴピリミジン領域を有しないマウスリボソームタンパク質ラージ35A(mRPL35A)の5’UTR
1. DNAテンプレートの調製
T7プロモーターに続いて、キタアメリカホタルルシフェラーゼをコードしているGCリッチ配列(ppLuc(GC))及びA64ポリ(A)配列を含むインビトロ転写用ベクターを構築した。インビトロ転写前にベクターを線形化するために用いられる制限酵素部位をポリ(A)配列に続いて配置した。インビトロ転写によってこのベクターから得られたmRNAを「ppLuc(GC)−A64N64」と命名する。
このベクターを、オープンリーディングフレームの5’側又は3’側に非翻訳領域(それぞれ、5’UTR又は3’UTR)を含むように改変した。要約すると、以下のmRNAコード配列を含むベクターを作製した(mRNAコード配列は、図1〜4及び6〜21に示す):
配列番号1,364(図1):PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,365(図2):PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,366(図3):RPL32−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,367(図4):RPL32−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,396(図6):RPL35−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,397(図7):RPL21−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,398(図8):ATP5A1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,399(図9):HSD17B4−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,400(図10):AIG1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,401(図11):COX6C−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,402(図12):ASAH1−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,403(図13):mRPL21−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,404(図14):mRPL35A−PpLuc(GC)−アルブミン7−A64N64
配列番号1,405(図15):RPL35−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,406(図16):RPL21−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,407(図17):ATP5A1−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,408(図18):HSD17B4−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,409(図19):AIG1−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,410(図20):COX6C−PpLuc(GC)−A64N64
配列番号1,411(図21):ASAH1−PpLuc(GC)−A64N64
2. インビトロ転写
実施例1に係るDNAテンプレートを線形化し、T7−ポリメラーゼを用いてインビトロで転写させた。次いで、DNAテンプレートをDNase処理によって分解した。過剰のN7−メチル−グアノシン−5’−トリホスフェートー5’−グアノシンを転写反応物に添加することによって、5’−キャップ構造を含むmRNA転写産物を得た。このようにして得られたmRNAを精製し、水に再懸濁させた。
3. mRNAリポフェクションによるルシフェラーゼ発現
1ウェル当たり5×10個の細胞という密度になるようにヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を24ウェルプレートに播種した。次の日、細胞をopti−MEMで洗浄し、次いで、opti−MEM中リポフェクタミン2000複合体化ppLucコードmRNA(1ウェル当たり50ng)でトランスフェクトした。コントロールとして、ppLucをコードしていないmRNAを別個にリポフェクトした。トランスフェクション効率を制御するために、ウミシイタケ(Renilla reniformis)ルシフェラーゼ(RrLuc)をコードしているmRNAをPpLuc mRNAと共にトランスフェクトした(1ウェル当たりRrLuc mRNA20ng)。トランスフェクション開始の90分間後、opti−MEMを培地に交換した。トランスフェクションの24時間後、48時間後、72時間後、培地を吸引し、リシスバッファ200μL(25mM Tris、pH7.5(HCl)、2mM EDTA、10% グリセロール、1% Triton X−100、2mM DTT、1mM PMSF)に細胞を溶解させた。ルシフェラーゼ活性を測定するまで溶解物を−20℃で保存した。
或いは、HDFを96ウェルプレートに播種し、3日間後に1ウェル当たり10個の細胞の密度でトランスフェクトした。リポフェクション直前に、opti−MEMで細胞を洗浄した。リポフェクタミン2000と複合体化している1ウェル当たり25ngのPpLucコードmRNAで細胞をリポフェクトした。トランスフェクション効率を制御するためにウミシイタケルシフェラーゼ(RrLuc)をコードしているmRNAをPpLuc mRNAと共にトランスフェクトした(1ウェル当たりRrLuc mRNA2.5ng)。トランスフェクション開始の90分間後、opti−MEMを培地に交換した。トランスフェクションの24時間後、48時間後、72時間後に培地を吸引し、リシスバッファ100μL(Passive Lysis Buffer,Promega)に細胞を溶解させた。ルシフェラーゼ活性を測定するまで溶解物を−80℃で保存した。
4. ルシフェラーゼ測定
BioTek Synergy HTプレートリーダーによって相対光単位(RLU)としてルシフェラーゼ活性を測定した。PpLuc活性は、溶解物50μL及びルシフェリンバッファ200μL(75μM ルシフェリン、25mM グリシルグリシン、pH7.8(NaOH)、15mM MgSO4、2mM ATP)を用いて、15秒間の測定時間で測定した。RrLuc活性は、溶解物50μL及びセレンテラジンバッファ200μL(500mM NaClに調整したリン酸緩衝生理食塩水中40μMセレンテラジン)を用いて、15秒間の測定時間で測定した。
或いは、Hidex Chameleonプレートリーダーによって相対光単位(RLU)としてルシフェラーゼ活性を測定した。PpLuc活性は、溶解物20μL及びルシフェリンバッファ50μL(Beetle−Juice,PJK GmbH)を用いて、2秒間の測定時間で測定した。RrLuc活性は、溶解物20μL及びセレンテラジンバッファ50μL(Renilla−Juice,PJK GmbH)を用いて、2秒間の測定時間で測定した。
結果
5.1 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、mRNAからのタンパク質発現を相乗的に増加させる
mRNAからのタンパク質発現に対するTOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果について調べるために、様々なUTRを有するmRNAを合成した:TOP5’UTRエレメント及びアルブミン3’UTRエレメントのいずれも有しないmRNA、又はTOP5’UTRエレメント(RPL32)若しくはアルブミン3’UTRエレメント(アルブミン7)のいずれかを含むmRNA、又はTOP5’UTRエレメント及びアルブミン3’UTRエレメントの両方を含むmRNA。ルシフェラーゼをコードしているmRNA又はコントロールmRNAをヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した。コトランスフェクトしたRrLucのシグナルによるトランスフェクション効率に対して、PpLucシグナルを補正した(以下の表1及び図5を参照)。
ルシフェラーゼは、TOP 5’UTRもアルブミン3’UTRも有しないmRNA(PpLuc(GC)−A64N64)から明らかに発現していた。5’UTRエレメント及び3’UTRエレメントを有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼ発現を延長させ、一方、TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させた。しかし、驚くべきことに、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させた。同一のmRNAにおいてTOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとを組み合わせたことによるルシフェラーゼレベルの増加の程度は、これらが相乗的に作用することを示す。
両エレメントを組み合わせたmRNAから得られたシグナルを、両エレメントを有しないmRNAから得られたシグナルとTOP5’UTRエレメントによるシグナル増加とアルブミン3’UTRエレメントによるシグナル増加との合計で除することによって、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの相乗作用を定量した。この計算は、3つの時点で個別に実施し、また曲線下面積(AUC)から計算した0時間〜72時間に発現した全タンパク質についても実施した(以下の表2を参照)。
このようにして計算した相乗作用は、TOP5’UTRエレメント及びアルブミン3’UTRエレメントの効果が純粋に相加的である場合に予測されるよりも、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとを組み合わせたmRNAから得られるルシフェラーゼレベルの方がどれだけ高いかを示す。TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとを組み合わせたmRNAから得られるルシフェラーゼレベルは、これらの効果が純粋に相加的である場合よりも最大2倍高かった。この結果は、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせが、タンパク質発現を著しく相乗的に増加させることを確認するものである。
5.2 TOP5’UTRエレメントは、mRNAからのタンパク質発現を増加させる
mRNAからのタンパク質発現に対するTOP5’UTRエレメントの効果について調べるために、様々なTOP5’UTRエレメントを含むmRNAを合成した。更に、mRNAは、アルブミン7の3’UTRエレメントを含んでいた。ルシフェラーゼをコードしているmRNAをヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した(以下の表3及び図22を参照)。
ルシフェラーゼは、5’UTRエレメントを有しないmRNAから明らかに発現していた。しかし、驚くべきことに、全てのTOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを強く増加させた。
5.3 TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、mRNAからのタンパク質発現を相乗的に増加させる
mRNAからのタンパク質発現に対するTOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせの効果について調べるために、様々なUTRエレメントを有するmRNAを合成した:TOP5’UTRエレメント及びアルブミン3’UTRエレメントのいずれも有しないmRNA、アルブミン3’UTRエレメントを含むmRNA、様々なTOP5’UTRエレメントのうちの1つを含むmRNA、又は様々なTOP5’UTRエレメントのうちの1つとアルブミン3’UTRエレメントとの両方を含むmRNA。ルシフェラーゼをコードしているmRNAをヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した(図23〜30を参照)。ルシフェラーゼは、TOP5’UTRエレメントもアルブミン3’UTRエレメントも有しないmRNAから明らかに発現していた。5’UTRも3’UTRも有しないmRNAに比べて、アルブミン3’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを延長させ、一方、TOP5’UTRエレメントは、ルシフェラーゼレベルを増加させた。しかし、驚くべきことに、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせは、個々のエレメントのいずれかでみられたレベルを遥かに超えてルシフェラーゼレベルを更に強く増加させた。同一のmRNAにおいてTOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとを組み合わせたことによるルシフェラーゼレベルの増加の程度は、これらが相乗的に作用することを示す。
両エレメントを組み合わせたmRNAから得られたシグナルを、両エレメントを有しないmRNAから得られたシグナルとTOP5’UTRエレメントによるシグナル増加とアルブミン3’UTRエレメントによるシグナル増加との合計で除することによって、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの相乗作用を定量した。この計算は、曲線下面積(AUC)から計算した0時間〜72時間に発現した全タンパク質について実施した(以下の表4を参照)。
このようにして計算した相乗作用は、TOP5’UTRエレメント及びアルブミン3’UTRエレメントの効果が純粋に相加的である場合に予測されるよりも、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとを組み合わせたmRNAから得られるルシフェラーゼレベルの方がどれだけ高いかを示す。TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとを組み合わせたmRNAから得られるルシフェラーゼレベルは、これらの効果が純粋に相加的である場合よりも最大3倍高かった。この結果は、TOP5’UTRエレメントとアルブミン3’UTRエレメントとの組み合わせが、タンパク質発現を著しく相乗的に増加させることを確認するものである。
5.4 マウス遺伝子由来のTOP5’UTRエレメントは、mRNAからのタンパク質発現を増加させる
mRNAからのタンパク質発現に対するマウス遺伝子由来のTOP5’UTRエレメントの効果について調べるために、2つの異なるマウスTOP5’UTRエレメントを有するmRNAを合成した。更に、mRNAは、アルブミン7の3’UTRエレメントを含んでいた。ルシフェラーゼをコードしているmRNAをヒト皮膚線維芽細胞(HDF)にトランスフェクトした。比較のために、ヒトRPL32のTOP5’UTRエレメントを含有するmRNAをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、48時間後、及び72時間後にルシフェラーゼレベルを測定した(以下の表5及び図30を参照)。
ルシフェラーゼは、5’UTRエレメントを有しないmRNAから明らかに発現していた。マウスTOP5’UTRエレメントは、両方とも、ヒトTOP5’UTRエレメントと同様にルシフェラーゼレベルを強く増加させた。
配列

Claims (38)

  1. a. 少なくとも1つの5’−非翻訳領域エレメント(5’UTRエレメント)と、
    b. 少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)と、
    c.なくとも1つの3’UTRエレメントと、
    を含み、
    前記5’UTRエレメントが、配列番号1,368若しくは1,412〜1,420に係る核酸配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる、或いは、前記5’UTRエレメントが、配列番号1,368若しくは1,412〜1,420に係る核酸配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなり、かつ、前記配列番号1,368若しくは1,412〜1,420に比べて、mRNAの翻訳効率を実質的に減じるものではなく、
    前記5’UTRエレメントが、機能的5’TOPモチーフを含有せず、
    前記3’UTRエレメントが、アルブミン遺伝子の3’UTRに由来するか又はアルブミン遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなり、
    前記3’UTRの変異体が、前記アルブミン遺伝子の3’UTRと少なくとも95%同一であり、
    前記3’UTRエレメントが、前記アルブミン遺伝子の3’UTRに比べて、mRNAの翻訳効率を実質的に減じるものではないことを特徴とする人工核酸分子。
  2. 前記3’UTRエレメントが、脊椎動物のアルブミン遺伝子の3’UTR又はその変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなる請求項1に記載の人工核酸分子。
  3. 前記3’UTRエレメントが、少なくとも75ヌクレオチドの長さを有する請求項1から2のいずれかに記載の人工核酸分子。
  4. 5’UTRエレメントとオープンリーディングフレームとが、異種である請求項1から3のいずれかに記載の人工核酸分子。
  5. 5’UTRエレメントが、人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させるのに好適である請求項1から4のいずれかに記載の人工核酸分子。
  6. 5’UTRエレメントが、その5’末端において、TOP遺伝子の5’UTRのTOPモチーフの下流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に位置するヌクレオチドで始まる請求項1から5のいずれかに記載の人工核酸分子。
  7. 5’UTRエレメントが、その3’末端において、前記5’UTRが由来する遺伝子又はmRNAのオープンリーディングフレームの開始コドンの上流の位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に位置するヌクレオチドで終わる請求項1から6のいずれかに記載の人工核酸分子。
  8. 前記3’UTRエレメントと前記5’UTRエレメントとが、少なくとも相加的に作用して、人工核酸分子からのタンパク質産生を増加させる請求項1から7のいずれかに記載の人工核酸分子。
  9. d. ポリ(A)配列及びポリアデニル化シグナルの少なくともいずれか
    を更に含む請求項1から8のいずれかに記載の人工核酸分子。
  10. ポリアデニル化シグナルが、3’UTRエレメント内に位置する請求項9に記載の人工核酸分子。
  11. ポリアデニル化シグナルが、コンセンサス配列NN(U/T)ANA(Nは、A又はUである)を含む請求項9から10のいずれかに記載の人工核酸分子。
  12. ポリアデニル化シグナルが、3’UTRの3’末端の50ヌクレオチド未満上流に位置する請求項9から11のいずれかに記載の人工核酸分子。
  13. ポリ(A)配列が、20アデニンヌクレオチド〜300アデニンヌクレオチドの長さを有する請求項9から12のいずれかに記載の人工核酸分子。
  14. 断片が、前記断片が由来する完全長配列の少なくとも90%を表す、前記完全長配列における連続する一続きのヌクレオチドに対応する連続する一続きのヌクレオチドからなる請求項1から13のいずれかに記載の人工核酸分子。
  15. 前記3’UTRエレメントが、配列番号1,369及び1,376から選択される核酸配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる、或いは、前記3’UTRエレメントが、配列番号1,369及び1,376から選択される核酸配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなり、かつ、前記配列番号1,369及び1,376に比べて、mRNAの翻訳効率を実質的に減じるものではない請求項1から14のいずれかに記載の人工核酸分子。
  16. 断片が、前記断片が由来する完全長配列の少なくとも90%を表す、前記完全長配列における連続する一続きのヌクレオチドに対応する連続する一続きのヌクレオチドからなる請求項15に記載の人工核酸分子。
  17. オープンリーディングフレームが、レポータータンパク質コードしていない請求項1から16のいずれかに記載の人工核酸分子。
  18. 前記レポータータンパク質が、GFPタンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、グロビンタンパク質、ヒト成長ホルモン、又はヒトのアルブミンのいずれかである請求項17に記載の人工核酸分子。
  19. 5’−キャップ構造、ポリ(C)配列、及び/又はIRESモチーフを更に含む請求項1から18のいずれかに記載の人工核酸分子。
  20. プロモーター含有配列を更に含む請求項1から19のいずれかに記載の人工核酸分子。
  21. 人工核酸分子が、少なくとも部分的にG/C改変されている請求項1から20のいずれかに記載の人工核酸分子。
  22. オープンリーディングフレームのG/C含量が、野生型オープンリーディングフレームに比べて増加している請求項1から21のいずれかに記載の人工核酸分子。
  23. オープンリーディングフレームが、コドンが最適化されている領域を含む請求項1から22のいずれかに記載の人工核酸分子。
  24. RNAの分子である請求項1から23のいずれかに記載の人工核酸分子。
  25. mRNAの分子である請求項1から24のいずれかに記載の人工核酸分子。
  26. a. 少なくとも1つの5’−非翻訳領域エレメント(5’UTRエレメント)と、
    b. 少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)及び少なくとも1つのクローニングサイトの少なくともいずれかと、
    c.なくとも1つの3’UTRエレメントと、
    を含み、
    前記5’UTRエレメントが、配列番号1,368若しくは1,412〜1,420に係る核酸配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列を含むか又はからなる、或いは、前記5’UTRエレメントが、配列番号1,368若しくは1,412〜1,420に係る核酸配列又は対応するRNA配列に対して少なくとも95%の同一性を有する核酸配列の断片を含むか又はからなり、かつ、前記配列番号1,368若しくは1,412〜1,420に比べて、mRNAの翻訳効率を実質的に減じるものではなく、
    前記5’UTRエレメントが、機能的5’TOPモチーフを含有せず、
    前記3’UTRエレメントが、アルブミン遺伝子の3’UTRに由来するか又はアルブミン遺伝子の3’UTRの変異体に由来する核酸配列を含むか又はからなり、
    前記3’UTRの変異体が、前記アルブミン遺伝子の3’UTRと少なくとも95%同一であり、
    前記3’UTRエレメントが、前記アルブミン遺伝子の3’UTRに比べて、mRNAの翻訳効率を実質的に減じるものではないことを特徴とするベクター。
  27. 5’UTRエレメントとオープンリーディングフレームとが、異種である請求項26に記載のベクター。
  28. RNAベクター又はDNAベクターである請求項26から27のいずれかに記載のベクター。
  29. プラスミドベクター又はウイルスベクターである請求項26から28のいずれかに記載のベクター。
  30. 請求項1から25のいずれかに記載の人工核酸分子を含むか又はコードしている請求項26から29のいずれかに記載のベクター。
  31. 環状分子である請求項26から30のいずれかに記載のベクター。
  32. 5’→3’方向において、コード鎖のORF、ポリ(A)配列、又は3’UTRエレメントに続いて環状ベクター分子を線形化するための制限酵素部位が配置されている請求項31に記載のベクター。
  33. 請求項1から25のいずれかに記載の人工核酸分子又は請求項26から32のいずれかに記載のベクターを含むことを特徴とする細胞。
  34. 哺乳類細胞である請求項33に記載の細胞。
  35. 請求項1から25のいずれかに記載の人工核酸分子、請求項26から32のいずれかに記載のベクター、又は請求項33から34のいずれかに記載の細胞を含むことを特徴とする医薬組成物。
  36. 1以上の薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤、及び1以上のアジュバントの少なくともいずれかを更に含む請求項35に記載の医薬組成物。
  37. 医薬として使用するための請求項1から25のいずれかに記載の人工核酸分子、請求項26から32のいずれかに記載のベクター、請求項33から34のいずれかに記載の細胞、又は請求項35から36のいずれかに記載の医薬組成物。
  38. ワクチンとして又は遺伝子治療において使用するための請求項1から25のいずれかに記載の人工核酸分子、請求項26から32のいずれかに記載のベクター、請求項33から34のいずれかに記載の細胞、又は請求項35から36のいずれかに記載の医薬組成物。
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