JP6281658B2 - 青果物鮮度保持包装袋、これを用いた青果物入り包装体および青果物鮮度保持方法 - Google Patents
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Description
また、夏場の季節では、流通段階等において青果物が40℃程度の高温下に置かれる場合があり、そのような場合には、特許文献3に記載のフィルムを用いても、アルコール臭の発生等により、青果物の商品価値が低下する場合があった。
このため、前述した特許文献1〜3に記載の有孔フィルムを用いて青果物を保存した場合にも、青果物が置かれる環境により、青果物の鮮度の低下や腐敗の進行度合にばらつきが生じうる。しかしながら、こうした青果物の保存条件の変化を考慮した包装技術は、これまで報告されていなかった。
有孔合成樹脂フィルムから構成された青果物鮮度保持包装袋であって、
前記有孔合成樹脂フィルムに設けられた孔の平均径が、180μm以上600μm以下であり、
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における開孔面積比率R1(%)と、
前記有孔合成樹脂フィルムの5℃における開孔面積比率R2(%)と、
から下記式(1)で算出される開孔変化率の値が、5以上15以下であり、
開孔変化率= {(R1−R2)/R2}×100 (1)
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における前記開孔面積比率R1が、1.0×10−5%以上5.0×10−3%以下であり、
エダマメまたはブロッコリーが包装される、青果物鮮度保持包装袋
が提供される。
この有孔合成樹脂フィルムにおいては、5℃における開孔面積比率R2(%)よりも40℃における開孔面積比率R1(%)が大きく、上記R1とR2から以下の式(1)で算出される開孔変化率が特定の条件を満たす構成となっている。具体的には、開孔変化率が5以上50以下である。40℃および5℃における開孔面積比率R1およびR2から算出される開孔変化率が上記特定の範囲にあると、包装袋の使用環境により青果物の劣化または腐敗の進行度が変化することを抑制し、優れた鮮度保持効果を安定的に得ることができる。
また、有孔合成樹脂フィルム開孔変化率は、50以下であり、好ましくは30以下である。これにより、温度条件が変化する場合にも、青果物の鮮度保持効果を安定的に得ることができる。
本実施形態において、有孔合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける酸素透過量P1(mL/100g・m2・day・atm)と、有孔合成樹脂フィルムの5℃、90%RHにおける酸素透過量P2(mL/100g・m2・day・atm)との比P1/P2は、青果物の鮮度保持効果をさらに向上させる観点からは、たとえば(1+0.02)以上であり、好ましくは(1+0.05)以上である。
また、上記P1/P2は、青果物の鮮度保持効果をより一層安定的に得る観点からは、たとえば(1+0.15)以下であり、好ましくは(1+0.10)以下である。
当該青果物鮮度保持包装袋の外表面における貫通孔の平面形状、および当該青果物鮮度保持包装袋の内表面における貫通孔の平面形状は、特に限定されないが、例えば、円形、多角形およびスリットなどの形状がある。また、本実施形態に係る貫通孔は、フィルムに設けた切れ込みであってもよい。ここで、「円形」とは、真円形に限定されず、ほぼ円形であればよい。また、円形以外にも、楕円形、半円形や三日月形状であってもよい。「多角形」とは、三角形、四角形、および五角形等の三つ以上の線分によって囲まれた形状であればよい。
切れ込みの加工時期は、特に限定されない。フィルムの製作時に行っても良いし、製袋時、或は製袋後に行っても良い。ロールの状態で加工する場合は、印刷やスリットなどと同時並行して加工することもでき、横ピロー機や縦ピロー機などの自動包装機で青果物を包装する際に加工することもできる。また、切れ込みの加工は、手作業でも可能であり袋1枚でも容易に作製可能である。
有孔合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率は、高温下における青果物の鮮度保持効果をさらに向上させる観点からは、たとえば4g/m2・day以上であり、20g/m2・day以上であることが好ましい。また、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率の上限に特に制限はないが、萎れ防止の観点からは、たとえば400g/m2・day以下である。
有孔合成樹脂フィルムを構成する合成樹脂は、青果物の包装に用いることのできるものであれば特に限定されないが、たとえば、各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、6ナイロンなどのポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらはホモポリマーであってもかまわないし、2種類以上のコポリマーであってもよく、これらホモポリマーやコポリマーを2種類以上含むブレンド物であってもよい。
上記各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体として、さらに具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン−直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーやエチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−α−オレフィンコポリマーなどのコポリマーあるいはアイオノマーなどが挙げられ、これらあるいはこれらと他の樹脂との2種類以上のブレンド物でもよい。
本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋を得るためには、フィルムまたは袋状に加工されたフィルムの所定の位置に孔を設ける必要がある。しかしながら、本実施形態に係る40℃および5℃における開孔面積比率R1およびR2から算出される開孔変化率が、前述した特定の条件を満たす青果物鮮度保持包装袋を、背景技術の項で前述した従来の有孔フィルムを製造する方法により得ることは困難である。具体的に、本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋は、穿孔対象物であるフィルムを搭載させる支持台の形状や、レーザーのエネルギー、レーザーの照射距離等の各因子を高度に制御して組み合わせることで初めて製造することができる。このように、本実施形態に係る青果物の劣化または腐敗を安定的に抑制することができる青果物鮮度保持包装袋を得るためには、上記各因子を高度に制御することが特に重要となる。
この理由は、必ずしも明らかではないが、フィルムに孔を設ける際に上記各因子を高度に制御することによって、ひずみのない開孔部が得られるためだと考えられる。すなわち、フィルムに孔を設ける際に上記各因子を高度に制御することで、ひずみのない孔を設けることができる。これにより、開孔部の外周には、周縁補強効果を奏することができるため、温度変化による空気の膨張や収縮とともに、開孔面積は適切に変化するものと考えられる。
本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法によれば、図2に示すように、レーザー照射装置3のノズル先端9の下方に合成樹脂フィルム2を走行させることができる。
また、レーザーによって穿孔された部分の合成樹脂フィルムの材料は、大部分が分解、揮散し、圧縮気体により吹き飛ばされる。このため、レーザー照射装置の出射光学部(レンズ)が、分解物により汚染されることもない。
また、本実施形態における鮮度保持方法は、本実施形態における青果用鮮度保持包装袋を用いて青果物を包装する工程を含む。青果物鮮度保持包装袋に青果物を包装した後は、密封する必要がある。
密封方法としては、特に限定されないが、ヒートシール、粘着テープ、輪ゴム、ひも等を用いる方法、糊貼り、ジッパー等の方法が挙げられる。
また、青果物100gあたりの有孔合成樹脂フィルムの酸素透過量は、50mL/100g・m2・day・atm以上50000mL/100g・m2・day・atm以下であり、好ましくは60mL/100g・m2・day・atm以上10000mL/100g・m2・day・atm以下である。
参考形態を以下に付記する。
<1>
有孔合成樹脂フィルムから構成された青果物鮮度保持包装袋であって、
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における開孔面積比率R1(%)と、
前記有孔合成樹脂フィルムの5℃における開孔面積比率R2(%)と、
から下記式(1)で算出される開孔変化率の値が、5以上50以下である、青果物鮮度保持包装袋。
開孔変化率={(R1−R2)/R2}×100 (1)
<2>
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける酸素透過量P1(mL/100g・m2・day・atm)と、前記有孔合成樹脂フィルムの5℃、90%RHにおける酸素透過量P2(mL/100g・m2・day・atm)との比P1/P2が、1+0.002以上1+0.15以下である、<1>に記載の青果物鮮度保持包装袋。
<3>
前記有孔合成樹脂フィルムに設けられた孔の平均径が、20μm以上2000μm以下である、<1>または<2>に記載の青果物鮮度保持包装袋。
<4>
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が、4g/m2・day以上400g/m2・day以下である、<1>乃至<3>のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋。
<5>
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における前記開孔面積比率R1が、1.0×10−6%以上5.0×10−2%以下である、<1>乃至<4>のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋。
<6>
当該青果物鮮度保持包装袋に複数の孔が設けられている、<1>乃至<5>のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋。
<7>
前記有孔合成樹脂フィルムには貫通孔が設けられており、
当該青果物鮮度保持包装袋の外表面において、前記貫通孔の外周から10mm以内の領域における前記有孔合成樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとした時、前記最大厚みと前記最小厚みの比Tmax/Tminが、1.05以上8.00以下である<1>乃至<6>のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋。
<8>
収穫後から包装されるまでの過程において水洗された青果物が包装される、<1>乃至<7>のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋。
<9>
<1>乃至<8>のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋により青果物を密封してなる青果物入り包装体。
<10>
当該青果物入り包装体の、前記青果物100gあたりの前記青果物鮮度保持包装袋の包装体内面積が100cm2以上5000cm2以下である、<9>に記載の青果物入り包装体。
<11>
当該青果物入り包装体内の酸素濃度が、当該青果物入り包装体を開封する前の状態で、0.1%以上19%未満である、<9>または<10>に記載の青果物入り包装体。
<12>
当該青果物入り包装体全体の重量減少率が、1日あたり0.05重量%以上1重量%未満である、<9>乃至<11>のいずれか一に記載の青果物入り包装体。
<13>
<1>乃至<9>のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋を用いて青果物を包装する青果物鮮度保持方法。
更に別の参考形態を以下に付記する。
[1]
有孔合成樹脂フィルムから構成された青果物鮮度保持包装袋であって、
前記有孔合成樹脂フィルムに設けられた孔の平均径が、180μm以上600μm以下であり、
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における開孔面積比率R1(%)と、
前記有孔合成樹脂フィルムの5℃における開孔面積比率R2(%)と、
から下記式(1)で算出される開孔変化率の値が、5以上15以下であり、
開孔変化率= {(R1−R2)/R2}×100 (1)
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における前記開孔面積比率R1が、1.0×10 −5 %以上5.0×10 −3 %以下である、青果物鮮度保持包装袋。
[2]
当該青果物鮮度保持包装袋の外表面において、前記孔の外周から10mm以内の領域における前記有孔合成樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとした時、前記最大厚みと前記最小厚みの比Tmax/Tminが、2.07以上4.26以下である、[1]に記載の青果物鮮度保持包装袋。
[3]
当該青果物鮮度保持包装袋に複数の孔が設けられている、[1]または[2]に記載の青果物鮮度保持包装袋。
[4]
当該青果物鮮度保持包装袋に10個以下の孔が設けられている、[3]に記載の青果物鮮度保持包装袋。
[5]
エダマメまたはブロッコリーが包装される、[1]乃至[4]のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋。
[6]
[1]乃至[4]のいずれか一に記載の青果物鮮度保持包装袋により青果物を密封してなる包装体。
[7]
[5]に記載の青果物鮮度保持包装袋によりエダマメまたはブロッコリーを密封してなる包装体。
[8]
[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。
[9]
[5]に記載の青果物鮮度保持包装袋を用いてエダマメまたはブロッコリーを包装するエダマメまたはブロッコリーの鮮度保持方法。
防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、「防曇OPP」ともいう。)(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み40μm、袋サイズ140mm×180mm)の袋の底部に、25℃条件下で、直径180μm(平均孔径)であり、かつ40℃で開孔面積0.026mm2の孔を9個設けた。なお、40℃での総開孔面積は、0.24mm2であった。このようにして、青果物鮮度保持包装袋を得た。また、得られた青果物鮮度保持包装袋の外表面における貫通孔の平面形状、および青果物鮮度保持包装袋の内表面における貫通孔の平面形状は、ともに円形であり、略同一形状であった。
まず、直径318mm、幅800mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅5mm、深さ5mmの溝を図3に示す形状となるように5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が10〜15mmとなるように設置した。
防曇OPP(東洋紡社製、商品名:パイレンフィルム−FG:P5562、厚み25μm、袋サイズ160mm×190mm)の袋の底部に、10mm間隔で、25℃条件下で直径600μm(平均径)であり、かつ40℃で開孔面積0.287mm2の孔を4個設けた。なお、40℃での総開孔面積は、1.15mm2であった。このようにして、青果物鮮度保持包装袋を得た。なお、穿孔は、実施例1と同様の方法を用いて行った。
防曇OPP(東洋紡社製、商品名:パイレンフィルム−FG:P5562、厚み25μm、袋サイズ160mm×190mm)の袋の底部に、10mm間隔で、25℃条件下で直径520μm(平均径)であり、かつ40℃で開孔面積0.224mm2の孔を4個設けた。なお、40℃での総開孔面積は、0.90mm2であった。このようにして、青果物鮮度保持包装袋を得た。なお、穿孔は、実施例1と同様の方法を用いて行った。
防曇OPP(東洋紡社製、商品名:パイレンフィルム−FG:P5562、厚み25μm、袋サイズ160mm×190mm)の袋の底部に、10mm間隔で、25℃条件下で直径400μm(平均径)であり、かつ40℃で開孔面積0.129mm2の孔を5個設けた。なお、40℃での総開孔面積は、0.64mm2であった。このようにして、青果物鮮度保持包装袋を得た。なお、穿孔は、実施例1と同様の方法を用いて行った。
防曇OPP(東洋紡社製、商品名:パイレンフィルム−FG:P5562、厚み25μm、袋サイズ160mm×190mm)の袋の底部に、10mm間隔で、25℃条件下で直径250μm(平均径)であり、かつ40℃で開孔面積0.051mm2の孔を10個設けた。なお、40℃での総開孔面積は、0.51mm2であった。このようにして、青果物鮮度保持包装袋を得た。なお、穿孔は、実施例1と同様の方法を用いて行った。
防曇OPP(東洋紡社製、商品名:パイレンフィルム−FG:P5562、厚み25μm、袋サイズ160mm×190mm)の袋の底部に、10mm間隔で、25℃条件下で直径6000μm(平均径)であり、かつ40℃で開孔面積が27.792mm2の孔を4個設けた。なお、40℃での総開孔面積は111.17mm2であった。穿孔は、パンチ穴加工をおこなった。このようにして、青果物鮮度保持包装袋を得た。
レーザー照射装置として、回転支持ロールに溝が設けられていないレーザー照射装置を用いたという点以外は、実施例5と同様の方法で青果物鮮度保持包装袋を得た。
実施例1〜5、比較例1および2の青果物鮮度保持包装袋に、水洗したままの状態の枝豆を、平均180gずつ入れ、ヒートシーラで密封した包装体を20パック作製した。パックした包装体は、段ボール箱に袋底部が下に向くように詰めた。なお、当該エダマメ入り包装体の包装体内面積は、それぞれ、以下のとおりであった。実施例1の枝豆100gあたりの包装体内面積は、280cm2、実施例2〜5および比較例1および2の枝豆100gあたりの包装体内面積は、337cm2であった。
実施例1の青果物鮮度保持包装袋に、水洗したままの状態のブロッコリーを、平均180gずつ入れ、ヒートシーラで密封したブロッコリー入り包装体を20パック作製した。なお、当該ブロッコリー100gあたりの包装体内面積は、280cm2であった。上記ブロッコリー入り包装体についても、5℃にて5日間保存した後、40℃にて2日間保存し、ブロッコリーの外観、臭いなど品質変化を追跡した。
開孔面積比率:まず、マイクロスコープ(キーエンス社製、VH−6300)を用いて40℃および5℃の青果物鮮度保持包装袋における内表面の開孔面積を測定した。青果物鮮度保持包装袋の表面積は、袋サイズの2倍量として算出した。次に、得られた開孔面積および表面積の値から、以下の計算式(1)により算出される値を、開孔面積比率とした。なお、単位は、%とした。
開孔面積比率=(開孔面積/袋表面積)×100 (1)
開孔変化率:上記式(1)から算出された40℃における開孔面積比率R1(%)と、5℃における開孔面積比率R2(%)と、から下記式(A)で算出した。
開孔変化率={(R1−R2)/R2}×100 (A)
(1)袋の準備
酸素透過量を測定するフィルムで青果物鮮度保持包装袋を作製した。この際、フィルムの貫通孔以外から酸素が漏れ出さないように、ヒートシールで袋を密封した。測定する袋のサイズは、袋の内表面積を0.06m2以上とした。なお、以下の全ての作業は、大気中で行った。
(2)窒素ガスの封入
ヒートシール等で袋を密封した後、アスピレーター等を用いて袋を脱気した。脱気は、袋の両面が貼りつくまで行った。次に、この袋に白硬注射筒を用いて窒素ガス(純度99.9%以上)を充填した。ガスの注入量は、袋サイズによるが、フィルムにテンションがかからない範囲で極力多く入れ、注射筒の目盛りを用いて測定した。なお、脱気および窒素ガスの注入は、注射針を袋に突き刺して行った。針を刺す際、フィルムに両面テープを貼り、この上からポリプロピレンフィルム製の粘着テープ(以下「PPテープ」という)を貼り付けた。また、針を抜いた後は、速やかにPPテープで針孔を塞いだ。袋に貼るテープは、4.5cm2以下の面積に収まるようにした。また、微細孔フィルムの場合は、微細孔を塞がないように注意した。
(3)初期酸素濃度測定
窒素ガス充填直後(t=0)の袋内の初期酸素濃度(C0)を測定した。袋内のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(TCD)で袋内の初期酸素濃度(C0)を求めた。C0は0.2%以下であり、これを超える場合は、作業をやり直す。酸素濃度測定のためのサンプリングガスは、10cc以下とした。ガスクロマトグラフィーに注入する場合は、1cc程度のサンプリングガスを注入した。
(4)袋の保存
初期酸素濃度を測定した袋は、23℃、60%RH(恒温恒湿庫)で保存する。このとき、袋の上に物が載ったり、恒温恒湿庫のファンの風が直撃したりしないように静置した。
(5)保存中の袋内酸素濃度の測定及び酸素透過量の計算
袋内酸素濃度は、窒素ガス充填直後と、充填から3時間以上経過後の酸素濃度が1%以上7%以下の範囲内で2点以上の合計3点以上測定した。経過時間t(hr)と袋内酸素濃度(Ct)間に比例関係(相関係数が0.98以上)が成り立つ必要があるため、相関係数が成り立たない場合は再試験を行った。
フィルムの酸素透過量が大きすぎて袋内酸素濃度の上昇が速すぎ、この条件をクリアできない場合は、フィルムの一部を、酸素透過量が判明しているフィルムより小さく既知である同じ材質のフィルムと貼り合わせて袋を作成して同様に行った。この際、袋の表面積は既知である別のフィルムと貼り合わせた部分を除き、求められた酸素透過量から既知のフィルム部分の酸素透過量を差し引いたものを測定フィルムの酸素透過量とした。酸素透過量は、経過時間が長いほうの値を用い、以下の計算式(2)により算出した。
F=1.143×(Ct−C0)×V/t/s (2)
ただし、
F:酸素透過量(mL/100g・m2・day・atm)
Ct:窒素ガス充填からt時間後における袋内酸素濃度(%)
C0:窒素ガス充填直後の袋内酸素濃度(%)
V:充填した窒素ガスの量(cc)
t:ガス充填時からの経過時間(hr)
s:袋の表面積(m2)
重量減少率=(W0−W7)/W0×100 (3)
2 合成樹脂フィルム
3 レーザー照射装置
4 回転支持ロール
5 巻き取りロール
6 ガイドロール
7 浮きロール
8 圧縮気体導入路
9 ノズル先端
10 パルスレーザー
11 導光路
12 出射光学部(レンズ)
13 円錐形ビーム
14 孔
15 溝
Claims (6)
- 有孔合成樹脂フィルムから構成された青果物鮮度保持包装袋であって、
前記有孔合成樹脂フィルムに設けられた孔の平均径が、180μm以上600μm以下であり、
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における開孔面積比率R1(%)と、
前記有孔合成樹脂フィルムの5℃における開孔面積比率R2(%)と、
から下記式(1)で算出される開孔変化率の値が、5以上15以下であり、
開孔変化率= {(R1−R2)/R2}×100 (1)
前記有孔合成樹脂フィルムの40℃における前記開孔面積比率R1が、1.0×10−5%以上5.0×10−3%以下であり、
エダマメまたはブロッコリーが包装される、青果物鮮度保持包装袋。 - 当該青果物鮮度保持包装袋の外表面において、前記孔の外周から10mm以内の領域における前記有孔合成樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとした時、前記最大厚みと前記最小厚みの比Tmax/Tminが、2.07以上4.26以下である、請求項1に記載の青果物鮮度保持包装袋。
- 当該青果物鮮度保持包装袋に複数の孔が設けられている、請求項1または2に記載の青果物鮮度保持包装袋。
- 当該青果物鮮度保持包装袋に10個以下の孔が設けられている、請求項3に記載の青果物鮮度保持包装袋。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋によりエダマメまたはブロッコリーを密封してなる包装体。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋を用いてエダマメまたはブロッコリーを包装する青果物の鮮度保持方法。
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