JP7259233B2 - 青果物鮮度保持袋、青果物入り包装体、青果物鮮度保持方法、及び青果物鮮度保持袋の製造方法 - Google Patents

青果物鮮度保持袋、青果物入り包装体、青果物鮮度保持方法、及び青果物鮮度保持袋の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、青果物鮮度保持袋、青果物入り包装体、青果物鮮度保持方法、及び青果物鮮度保持袋の製造方法に関する。
従来、収穫された青果物の鮮度保持方法としては、青果物の呼吸を適度に抑制して鮮度を保持する方法が知られている。このような青果物の鮮度保持に使用される包装袋は、MA(Modified Atmosphere)包装として知られている。MA包装を用いた鮮度保持方法として、袋の酸素透過量や水蒸気透過量を特定の範囲に設定することが行われている。
例えば、特許文献1には、平均径が100~300μの微孔を有し、微孔面積と微孔数によりフィルムの酸素、炭酸ガス透過度を規定する青果物鮮度保持包装用フィルムが開示されている。
また、特許文献2には、一方の外層を成す、多数の貫通孔を有する基材と少なくとも1層のオレフィン系重合体からなる層を有し、そのうちの1層が他方の外層を成し、前記貫通孔を有する基材の開口面積占有率が0.1%~55%であるフィルムを利用した青果物の鮮度保持方法が開示されている。
特開平5-329947号公報 特開平5-254570号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載されたような従来技術では、いずれも貫通孔を形成することにより、包装袋のガス透過性を制御するものであり、貫通孔の大きさや貫通孔の位置等によっては、包装袋内のガス濃度にムラが生じたり、適切なガス透過性が得られず、適切な青果物の鮮度保持作用が得られない場合があった。そのため、安定的かつより高度に青果物の鮮度を保持する点において、改善の余地があった。
本発明者は、かかる従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、青果物鮮度保持袋を構成する合成樹脂フィルムに溝を形成することが有効であるという新たな知見を得た。かかるメカニズムの詳細は明らかではないが、溝を形成することにより合成樹脂フィルムの表面積が増加することとなるため、貫通孔と比べ、合成樹脂フィルムが備えるガス透過性および水蒸気透過性を制御しやすくなることが考えられる。そして、青果物鮮度保持袋全体に亘りより均等なガス透過性および水蒸気透過性が得られ易くなる結果、青果物の鮮度を安定的かつ高度に保持することができるようになると推測される。
本発明は、合成樹脂フィルムから構成された青果物鮮度保持袋であって、
前記青果物鮮度保持袋の外表面または内表面の少なくともいずれか一方の面に溝を備える、青果物鮮度保持袋を提供する。
また、本発明は、上記青果物鮮度保持袋により青果物を密封してなる、青果物入り包装体を提供する。
また、本発明は、上記青果物鮮度保持袋を用いて青果物を包装する、青果物鮮度保持方法を提供する。
また、本発明は、上記青果物鮮度保持袋の製造方法であって、
前記合成樹脂フィルムを用意し、裁断する工程と、
前記合成樹脂フィルムを重ね合わせ、開口部を除く周縁部をヒートシールして袋状にすることで前記青果物鮮度保持袋を形成する工程と、
を有する、青果物鮮度保持袋の製造方法を提供する。
本発明によれば、青果物の鮮度を安定的かつより高度に保持できる青果物鮮度保持袋が提供できる。
本実施形態に係る青果物鮮度保持袋10を模式的に示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<青果物鮮度保持袋>
図1は、本実施形態における青果物鮮度保持袋10を模式的に示す平面図である。青果物鮮度保持袋10は、上方が開口し、青果物を収容できるようになっている。
まず、青果物鮮度保持袋10に形成される溝20について、説明する。
図1に示すように、本実施形態において、青果物鮮度保持袋10は、外表面および内表面の両面に溝20を備える。より具体的には、外表面に第1溝21、内表面に第2溝22が形成されている。
外表面に第1溝21が形成されることにより、青果物が収納され青果物鮮度保持袋10が膨らむことで第1溝21が広がり、第1溝21を通じてガス透過性および水蒸気透過性が向上する。一方、内表面に第2溝22が形成されることにより、青果物と青果物鮮度保持袋10の内表面とが密着することを抑制し、青果物鮮度保持袋10内でのガスの通りを良好にし、青果物鮮度保持袋10内のガス濃度を均等にできる。
また、本実施形態において、第1溝21、および第2溝22は、いずれも、互いに平行な複数の直線であり、等間隔に形成されている。これにより、均一なガス透過性、安定的な鮮度保持効果が得られる。また青果物鮮度保持袋10の外観が良好になる。
当該間隔は、より均一なガス透過性を得る観点から、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、一方、袋の強度を得る観点から、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
本実施形態において、第1溝21、および第2溝22の平均幅は、それぞれ、0.005mm~0.5mmであることが好ましく、0.01mm~0.1mmであることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、ガス透過性および水蒸気透過性が向上し、青果物の鮮度をより保持しやすくなる。一方、上記上限値以下とすることにより、袋の視認性を良好にしつつ強度を得ることができる。また、第1溝21、および第2溝22の平均幅は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、図1に示すように、第1溝21は第1方向に対し平行であり、第2溝22は第1方向に平行でない第2方向に対し平行となっている。本実施形態において、第1溝21と第2溝22とは直交している。
第1方向とは、青果物鮮度保持袋10の縦方向に対する角度を示す。図1に示すように、本実施形態において第1方向は、45°となっている。
なお、第1方向は、青果物鮮度保持袋10の縦方向に対し、10°より大きく90°より小さいことが好ましい。
第2方向は、青果物鮮度保持袋10の縦方向に対する角度であり、第1方向と線対称な方向を示す。図1に示すように、本実施形態において、第2方向は、45°となっている。
なお、第2方向は、青果物鮮度保持袋10の縦方向に対し、10°より大きく90°より小さいことが好ましい。
なお、青果物鮮度保持袋10の縦方向とは、図1に示すように、青果物鮮度保持袋10の青果物を出し入れするための開口部を上側としたときの、青果物鮮度保持袋10の側面方向である。
本実施形態において、溝20とは、青果物鮮度保持袋10を構成する合成樹脂フィルムの表面から内部に向かう凹部が連続したものであって、合成樹脂フィルムを貫通していないものを意図する。
青果物鮮度保持袋10は、外表面の第1溝21と内表面の第2溝22との交点に、第1貫通孔30が形成されている。これにより、ガス透過性および水蒸気透過性が向上し、青果物の鮮度をより保持しやすくなる。
第1貫通孔30は、外表面の第1溝21と内表面の第2溝22との交点の少なくとも一つに形成されていればよく、複数であってもよい。また、第1貫通孔30は、すべての交点に形成されていてもよい。
第1貫通孔30の平面形状としては、たとえば、円形、多角形であってもよい。円形とは、真円形に限定されず、略円形を含むものである。また、円形以外にも、半円形や三日月形状であってもよい。多角形とは、三角形、四角形、および五角形等の三つ以上の線分によって囲まれた形状であればよい。
第1貫通孔30の平均直径は3μm~200μmであることが好ましく、8μm~100μmであることがより好ましい。上記下限値以上とすることにより、ガス透過性および水蒸気透過性が向上し、青果物の鮮度をより保持しやすくなる。一方、上記上限値以下とすることにより、異物の侵入を防ぎ、かつ、青果物の萎れを抑制できる。
なお、第1貫通孔30の平均直径は、第1貫通孔30の最大径を直径として、算出される。
青果物鮮度保持袋10は、溝20が形成されている領域以外に、第1貫通孔30とは異なる第2貫通孔またはスリットを少なくとも有していてもよい(図示なし)。これにより、鮮度保持効果を高めることができる。第2貫通孔は、溝20が形成されている領域以外であれば、青果物鮮度保持袋10上のいずれであってもよい。
第2貫通孔の平均直径は3μm~200μmであることが好ましく、8μm~100μmであることがより好ましい。また、第2貫通孔の平均直径は、第2貫通孔の最大径を直径として、算出される。
さらに、溝20が形成されている領域であって、第1貫通孔30以外の第3貫通孔が形成されていてもよい。すなわち、溝20は、第1貫通孔30以外の第3貫通孔を有していてもよい。
なお、スリットとは、合成樹脂フィルムを貫通しているものであって、その形状、長さなどは特に限定されない。
上記の溝20、第1貫通孔30、第2貫通孔、第3貫通孔およびスリットの形成方法はそれぞれ、特に限定されず、公知の手法を採用することができる。かかる公知の手法としては、たとえば、レーザー加工法、熱針を含む針加工法、ロールカッターなどの金型を利用した方法等が挙げられる。
上記の溝20、第1貫通孔30、第2貫通孔、第3貫通孔およびスリットは、それぞれが、青果物鮮度保持袋10を製造する際、予め合成樹脂フィルムに形成されていてもよく、合成樹脂フィルムを袋状に形成したあとに形成されてもよく、合成樹脂フィルムを袋状に形成した前後において形成されてもよい。
なお、本実施形態は、本発明の一形態を示すものであり、以下に例示するように、本発明はこれに限られない。
本実施形態では、溝20が外表面および内表面の両面に形成されている例について説明したが、溝は、外表面または内表面の少なくともいずれか一方の面に形成されていればよい。より詳細には、第1溝21および第2溝22がそれぞれ、青果物鮮度保持袋10の外表面、内表面に形成されている例について説明したが、第1溝21および第2溝22がいずれも、外表面または内表面の少なくともいずれか一方の面に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、第1溝21と第2溝22とは直交している例について説明したが、第1溝21と第2溝22とがたとえば、30~60°の角度で交差していてもよい。
また、本実施形態では、第1溝21と第2溝22とがいずれも互いに平行な直線である例について説明したが、第1溝と第2溝とは互いに異なる形状、または異なる模様を形成していてもよい。
また、本実施形態では、第1方向と第2方向は、青果物鮮度保持袋10の縦方向に対し45°となっている例について説明したが、例えば、第1方向が青果物鮮度保持袋10の縦方向に対し90°となっており、第2方向が青果物鮮度保持袋10の縦方向に対し30°~90°のいずれかの角度となっていてもよい。
また、本実施形態では、溝20の平面形状が直線である例について説明したが、溝の平面形状は、直線、曲線、多角形および円状などであってもよく、文字、記号、幾何学模様、模式的な図などを形成していてもよい。
また、溝は、青果物鮮度保持袋10全面において、連続していてもよいし、不連続であってもよく、これらが混在したものであってもよい。
本実施形態における青果物鮮度保持袋10は、内部に青果物を包装するものである。当該青果物としては、特に限定されないが、例えば、オオバ、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、ミブナ、アスパラガス、クウシンサイ、レタス、タイム、セージ、パセリ、イタリアンパセリ、ローズマリー、オレガノ、レモンバーム、チャイブ、ラベンダー、サラダバーネット、ラムズイヤー、ロケット、ダンディライオン、ナスタチューム、バジル、ルッコラ、クレソン、モロヘイヤ、セロリ、ケール、ネギ、キャベツ、ハクサイ、シュンギク、サラダナ、サンチュ、フキ、ナバナ、チンゲンサイ、ミツバ、セリ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ラディッシュ、カブ、サツマイモ、ジャガイモ、ナガイモ、ヤマイモ、サトイモ、ジネンジョ、ヤマトイモ、ピーマン、パプリカ、シシトウ、キュウリ、ナス、トマト、ミニトマト、カボチャ、ゴーヤ、オクラ、スィートコーン、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、菌茸類などが挙げられる。また、柑橘、りんご、ナシ、ブドウ、ブルーベリー、柿、イチゴなどの果実類や切花なども有効である。また、これらをカットした状態、いわゆるカット野菜、カットフルーツにも有効である。
つぎに、本実施形態における青果物鮮度保持袋10による効果について説明する。
青果物鮮度保持袋10は、外表面または内表面の少なくともいずれか一方の面に溝20が形成されている。青果物鮮度保持袋10は、溝20を有することにより合成樹脂フィルムの表面積が増加することとなるため、合成樹脂フィルムが備えるガス透過性および水蒸気透過性を制御することが可能となる。また、溝20中をガスまたは水蒸気が移動することで、青果物鮮度保持袋10全体に亘りより均等なガス透過性および水蒸気透過性が得られるようになるため、青果物の鮮度を安定的かつ高度に保持することができる。
本実施形態の青果物鮮度保持袋10は、さらに以下の要件を満たすことで、鮮度保持効果をより一層高めることができる。
本実施形態における青果物鮮度保持袋10が開口部を除く周縁部にヒートシール部を有してもよい。これにより、青果物鮮度保持袋10の強度を高め、青果物を適切に保護できる。当該開口部とは、青果物鮮度保持袋10内に青果物を収容したり、青果物鮮度保持袋10内から青果物を取り出すためのものであり、後述する青果物包装体の作成時に密封されるものである。
次に、青果物鮮度保持袋10を構成する合成樹脂フィルムについて説明する。
合成樹脂フィルムは、青果物を外部から視認できる観点から、透明または半透明であることが好ましく、透明であることがより好ましい。
合成樹脂フィルムを構成する合成樹脂は、青果物の包装に用いることができるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル樹脂、6ナイロンなどのポリアミド樹脂などが挙げられる。これらはホモポリマーであってもよく、2種類以上のコポリマーであってもよく、これらホモポリマーやコポリマーを2種類以上含むブレンド物であってもよい。
また、上記各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体の具体例としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン-直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマーやエチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-α-オレフィンコポリマーなどのコポリマーあるいはアイオノマーなどが挙げられ、これら、あるいはこれらと他の樹脂との2種類以上をブレンドしたものであってもよい。
また、本実施形態においては、合成樹脂フィルムとして、上記の合成樹脂から得られるフィルムを単層フィルムとして用いてもよいし、厚み方向に2以上の層が積層された多層構造を有するフィルムであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、低密度ポリエチレンとを積層したものであってもよい。
合成樹脂フィルムの平均厚みは、6μm以上、200μm以下が好ましく、5μm以上、100μm以下がより好ましく、10μm以上、45μm以下がさらに好ましい。上記下限値以上とすることにより、溝20を形成し易くし、ガス透過性および水蒸気透過性をより高度に制御できる。また、青果物鮮度保持袋10の強度を高めることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、青果物鮮度保持袋10にガス透過性および水蒸気透過性を付与すると共に、取扱性を良好にし、生産コストも低くできる。
合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける透湿度は、青果物の乾燥を抑制する観点から、好ましくは30g/m・day・atm以上であり、より好ましくは40g/m・day・atm以上であり、さらに好ましくは50g/m・day・atm以上である。
一方、合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける透湿度は、結露やこれに伴う腐敗を抑制する観点から、好ましくは350g/m・day・atm以下であり、より好ましくは300g/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは250g/m・day・atm以下である。
透湿度は、たとえば、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(パーマトラン(登録商標)PERMATRAN-W 3/61)を使用して、JIS K7129Bに準拠した方法で測定することができる。また、透湿度は、JIS Z0208(カップ法)に準拠した方法によっても測定することができる。
合成樹脂フィルムの25℃における透気度は、青果物の呼吸を保持する観点から、好ましくは2cc/m・day・atm以上であり、より好ましくは5cc/m・day・atm以上である。
一方、合成樹脂フィルムの25℃における透気度は、呼吸により青果物の養分が消費されることを抑制する観点から、好ましくは10000cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは5000cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは3000cc/m・day・atm以下である。
透気度は、たとえば、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX-TRAN 1/50)を使用して、JIS K7126-2における付属書Bに準拠した方法で測定することができる。また、透気度は、たとえば、窒素を充填させた直後の包装袋と、窒素を充填させてから一定時間放置した後の包装袋のそれぞれに関し、包装袋内の酸素濃度を測定し、その酸素濃度勾配から算出することもできる。
<青果物鮮度保持袋の製造方法>
青果物鮮度保持袋10の製造方法は、例えば、以下の工程を含むものがあげられる。
上記合成樹脂フィルムを用意し、裁断する工程と、
上記合成樹脂フィルムを重ね合わせ、開口部を除く周縁部をヒートシールして袋状にすることで上記青果物鮮度保持袋10を形成する工程と、
を有する。
本実施形態の青果物鮮度保持袋10は、予め合成樹脂フィルムに溝20が形成されている。これにより、生産性を高めることができる。
なお、溝20は、上述したように、合成樹脂フィルムを袋状にした後、または合成樹脂フィルムを袋状にする前後において形成されてもよい。
<青果物入り包装体>
本実施形態における青果物入り包装体は、本実施形態における青果物鮮度保持袋10により青果物を密封してなる。
青果物を青果物鮮度保持袋10の内部に収容し、包装体を密封するために、開口部にヒートシール処理を施してもよいし、バックシーリングテープ、結束帯、輪ゴム、かしめ等の部材を用いてもよい。中でも、青果物の鮮度保持効果を高める観点から、開口部にヒートシール処理を施すことが好ましい。
青果物は、収穫後水洗したもの、雨または露に濡れたものを水切りすることなく包装してもよい。これにより、作業性を向上できる。一方、青果物の鮮度保持のため早期に低温下で保管する、または青果物への水分による影響をできるだけ早期に取り除く観点から、青果物に付着している水分を真空予冷等により除去してもよい。
青果物1kgあたりの青果物鮮度保持袋10の総開孔面積は、0.05mm/kg以上、500mm/kg以下であることが好ましく、0.1mm/kg以上、200mm/kg以下がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、結露の発生を抑制でき、一方、上記上限値以下とすることにより、青果物の鮮度を良好に保持できる。
なお、上記総開孔面積は、青果物鮮度保持袋10の開口部の面積を含まない。
また、本実施形態における青果物鮮度保持袋10の内表面積は、包装される青果物の形状、大きさ、取扱性、流通性等に応じて、適宜、設定することができる。青果物100gあたりの青果物鮮度保持袋10の内表面積は、100mm以上8000mm以下が好ましく、200mm以上5000mm以下がより好ましい。
<青果物の鮮度保持方法>
本実施形態における青果物の鮮度保持方法は、上述した青果物鮮度保持袋10を用いて青果物を包装する工程を含む。青果物鮮度保持袋10に青果物を包装した後は、密封することが好ましい。これにより、青果物の鮮度を安定的かつ高度に保持することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 合成樹脂フィルムから構成された青果物鮮度保持袋であって、
前記青果物鮮度保持袋の外表面または内表面の少なくともいずれか一方の面に溝を備える、青果物鮮度保持袋。
2. 前記溝は、直線である、1.に記載の青果物鮮度保持袋。
3. 前記溝は、互いに平行な複数の直線である、1.または2.に記載の青果物鮮度保持袋。
4. 前記溝は、0.3mm~6mmの等間隔である、3.に記載の青果物鮮度保持袋。
5. 前記溝は、第1方向に対し平行な第1溝と、第1方向に平行でない第2方向に対し平行な第2溝とを含む、3.または4.に記載の青果物鮮度保持袋。
6. 前記第1溝と、前記第2溝とが交差している、5.に記載の青果物鮮度保持袋。
7. 前記第1溝を、外表面または内表面のうちいずれか一方の面に備え、前記第2溝を、他方の面に備える、5.または6.に記載の青果物鮮度保持袋。
8. 前記第1溝と、前記第2溝との交点に第1貫通孔を有する、7.に記載の青果物鮮度保持袋。
9. 前記第1貫通孔の平均直径が3μm~200μmである、8.に記載の青果物鮮度保持袋。
10. 前記第1溝と、前記第2溝とが直交する、5.乃至9.いずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋。
11. 前記溝が形成されている領域以外に、第2貫通孔またはスリットを少なくとも有する、1.乃至10.いずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋。
12. 前記第1方向は、前記青果物鮮度保持袋の縦方向に対し、10°より大きく90°より小さい、5.乃至11.いずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋。
13. 前記第2方向は、前記青果物鮮度保持袋の縦方向に対し、10°より大きく90°より小さい、5.乃至11.いずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋。
14. 前記青果物鮮度保持袋は、当該青果物鮮度保持袋の開口部を除く周縁部にヒートシール部を有する、1.乃至13.いずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋。
15. 前記合成樹脂フィルムが多層構造である、1.乃至14.いずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋。
16. 1.乃至15.いずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋により青果物を密封してなる、青果物入り包装体。
17. 前記青果物1kgあたりの前記青果物鮮度保持袋の総開孔面積が0.05mm /kg以上、500mm /kg以下である、16.に記載の青果物入り包装体。
18. 前記青果物100gあたりの前記青果物鮮度保持袋の内面積が100mm 以上8000mm 以下である、16.または17.に記載の青果物入り包装体。
19. 1.乃至15.のいずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋を用いて青果物を包装する、青果物鮮度保持方法。
20. 1.乃至15.のいずれか一つに記載の青果物鮮度保持袋の製造方法であって、
前記合成樹脂フィルムを用意する工程と、
前記合成樹脂フィルムを裁断し、開口部を除く外周をヒートシールして袋状にすることで前記青果物鮮度保持袋を形成する工程と、
を有する、青果物鮮度保持袋の製造方法。
次に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
<実施例1>
図1に示すように、青果物鮮度保持袋の縦方向に対して傾斜する方向を、第1方向、第2方向とした。なお、青果物鮮度保持袋の縦方向とは、青果物を出し入れする際に開口部を上側としたときの縦方向である。
防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、「防曇OPP」ともいう。)(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み40μm)を用い、一方の面に第1方向に平行となる第1溝、他方の面に第2方向に平行となる第2溝をそれぞれ形成した。第1溝および第2溝は、いずれも、互いに平行な複数の直線であって、等間隔な溝とした。また、溝の形状は、表1に示すものとなるようにし、第1溝と第2溝とは、互いに直交するものとした。溝の形成には、1対のロールカッターを用いた。
つづけて、当該防曇フィルムの防曇面が内側になるように2枚重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI-400Y-10PK)を用いて、開口部を除く3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を140℃、シール時間1秒で形成し、青果物鮮度保持袋を作製した。
得られた青果物鮮度保持袋の袋サイズ(内寸)は、140mm×180mmであった。
<実施例2~4>
防曇OPP(東洋紡社製、商品名:パイレンフィルム-FG:P5562、厚み20μm)を用いた以外は、実施例1と同様の手順で青果物鮮度保持袋を作成した。
得られた青果物鮮度保持袋の袋サイズ(内寸)は、160mm×190mmであった。
<実施例5>
第1方向、第2方向を、表1に示すものに変更した以外は、実施例4と同様の手順で青果物鮮度保持袋を作成した。第1溝と第2溝とは、60°で交わるものとした。
<比較例1>
実施例1と同じ防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、溝を形成せずに、レーザー照射装置を用いて、第2貫通孔の穿孔を行った以外は、実施例1と同様にして、青果物鮮度保持袋を作製した。第2貫通孔は、青果物鮮度保持袋全体にわたり、複数形成した。
得られた青果物鮮度保持袋の袋サイズ(内寸)は、140mm×180mmであった。
上記で得られた青果物鮮度保持袋について、以下の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
<測定>
・溝の間隔
第1溝、および第2溝の間隔を目視で観察し、間隔(mm)を測定した。
・溝の幅
マイクロスコープで、第1溝と第2溝の幅(mm)を測定した。
・貫通孔の平均直径の測定
マイクロスコープで、第1溝と、第2溝との交点が貫通し、貫通孔が形成された部分の、孔の最大長を直径(μm)として測定した。
・第2貫通孔の平均直径の測定
マイクロスコープで、第2貫通孔が形成された部分の孔の最大長を直径(μm)として測定した。
・青果物鮮度保持袋の総開孔面積の測定
マイクロスコープを用いて観察し、総開孔面積(mm)を算出した。
<評価>
得られた青果物鮮度保持袋の内部に、温州ミカン1kgを密閉し収容した青果物入り包装体を作製し、以下の評価を行った。
・鮮度保持性:18℃にて7日間保存した青果物入り包装体内に収容した温州ミカンについて、複数の専門パネラーらにより浮き皮(果皮と果肉の間に隙間が生じる)、カビ、腐敗、臭いについてそれぞれ5段階(5が最も良好)で評価し、合計値の平均値を算出し、小数点以下を四捨五入し、以下の基準に従い結果とした。
◎:評価点が13~15
○:評価点が10~12
△:評価点が7~9
×:評価点が3~6
Figure 0007259233000001
10 青果物鮮度保持袋
20 溝
21 第1溝
22 第2溝
30 第1貫通孔

Claims (15)

  1. 合成樹脂フィルムから構成された青果物鮮度保持袋であって、
    前記青果物鮮度保持袋は、外表面または内表面のうちいずれか一方の面に第1方向に対し平行な第1溝を備え、他方の面に前記第1方向に平行でない第2方向に対し平行な第2溝を備え、
    前記第1溝と、前記第2溝とが交差した交点に第1貫通孔を有する、青果物鮮度保持袋。
  2. 前記第1溝および前記第2溝は、複数の直線である、請求項1に記載の青果物鮮度保持袋。
  3. 前記第1溝および前記第2溝は、0.3mm~6mmの等間隔である、請求項1または2に記載の青果物鮮度保持袋。
  4. 前記第1貫通孔の最大長が3μm~200μmである、請求項1乃至3いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋。
  5. 前記第1溝と、前記第2溝とが直交する、請求項1乃至4いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋。
  6. 前記第1溝および前記第2溝が形成されている領域以外に、第2貫通孔またはスリットを少なくとも有する、請求項1乃至5いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋。
  7. 前記第1方向は、前記青果物鮮度保持袋の縦方向に対し、10°より大きく90°より小さい、請求項1乃至6いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋。
  8. 前記第2方向は、前記青果物鮮度保持袋の縦方向に対し、10°より大きく90°より小さい、請求項1乃至いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋。
  9. 前記青果物鮮度保持袋は、当該青果物鮮度保持袋の開口部を除く周縁部にヒートシール部を有する、請求項1乃至8いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋。
  10. 前記合成樹脂フィルムが多層構造である、請求項1乃至9いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋。
  11. 請求項1乃至10いずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋により青果物を密封してなる、青果物入り包装体。
  12. 前記青果物1kgあたりの前記青果物鮮度保持袋の総開孔面積が0.05mm/kg以上、500mm/kg以下である、請求項11に記載の青果物入り包装体。
  13. 前記青果物100gあたりの前記青果物鮮度保持袋の内面積が100mm以上8000mm以下である、請求項11または12に記載の青果物入り包装体。
  14. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋を用いて青果物を包装する、青果物鮮度保持方法。
  15. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持袋の製造方法であって、
    前記合成樹脂フィルムを用意する工程と、
    前記合成樹脂フィルムを裁断し、開口部を除く外周をヒートシールして袋状にすることで前記青果物鮮度保持袋を形成する工程と、
    を有する、青果物鮮度保持袋の製造方法。
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