JP6168228B1 - 青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 - Google Patents

青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 Download PDF

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Abstract

【課題】青果物の保存安定性と、使用時の耐久安定性とのバランスに優れた包装袋を作製する技術を提供する。【解決手段】青果物を収容するための口部を一辺に有し、かつ有孔樹脂フィルムからなる青果物鮮度保持包装袋であって、前記有孔樹脂フィルムには貫通孔が設けられており、当該青果物鮮度保持包装袋の表面を上面視した時に、前記貫通孔を構成する開口部の開口形状が、オーバル形状であり、当該青果物鮮度保持包装袋における前記口部を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となるように延びる長径を有したオーバル形状である。【選択図】図1

Description

本発明は、青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法に関する。
青果物は、収穫後も呼吸し続けており、呼吸が活発なほど劣化が進みやすい。青果物の呼吸は、大気よりも適度な低酸素、高二酸化炭素環境下では抑制される。このような条件下で、青果物を保存した際、青果物の劣化や追熟は抑制される。
近年、MA(Modified Atmosphere)包装と呼ばれる技術を用いることにより、収穫後の青果物の鮮度を保持する手法について、種々の報告がなされている。具体的には、かかるMA包装と呼ばれる技術は、包装材料によって包装した青果物の呼吸速度と、包装材料のガス透過速度のバランスを調節することで、大気よりも青果物の保存に適した適度な低酸素、高二酸化炭素条件を実現するものである(特許文献1−3)。
しかしながら、上述したMA包装において、青果物の包装用に使用されているポリプロピレンやポリエチレンといった汎用的な材料で構成されたフィルムにより青果物を包装した場合、フィルムのガス透過速度不足によって包装体内の酸素が不足して青果物が異常呼吸を行い、結果として、青果物の劣化や萎れが促進される問題が生じることがあった。こうした問題を解決するための手法として、フィルム表面に微細な貫通孔を複数設けた有孔フィルムを用いて青果物を包装する方法が提案されている(特許文献1−2)。
特開平2−85181号公報 特開平9−252718号公報 特開2007−186248号公報
しかしながら、本発明者は、特許文献4−5に記載された従来の有孔フィルムからなる包装袋を用いて青果物の鮮度を保持する方法について、以下のような課題があることを見出した。
具体的には、本発明者は、従来の有孔フィルムからなる包装袋を用いて青果物の鮮度を保持した場合、保存した青果物の劣化度合いにバラつきが生じることがあることを知見した。そこで、本発明者は、従来の有孔フィルムからなる包装袋を用いた際に青果物の劣化度合いにバラつきが生じる要因について鋭意検討した結果、青果物の保存に用いた包装袋に設けた貫通孔の形状が、保存前と比べて変動している可能性があることを見出した。
そこで、本発明は、青果物の保存安定性と、使用時の耐久安定性とのバランスに優れた包装袋を作製する技術を提供する。
本発明によれば、青果物を収容するための口部を一辺に有し、かつ有孔樹脂フィルムからなる青果物鮮度保持包装袋であって、
前記有孔樹脂フィルムには貫通孔が設けられており、
当該青果物鮮度保持包装袋の表面を上面視した時に、前記貫通孔を構成する開口部の開口形状がオーバル形状であり、
当該青果物鮮度保持包装袋における前記口部を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下であ
前記貫通孔の周縁部全域に亘って樹脂瘤が前記有孔樹脂フィルムと一体的に形成されており、
当該青果物鮮度保持包装袋における前記口部を有する辺と、前記オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下であり、
前記オーバル形状の短径方向をX軸方向とし、前記長径方向をY軸方向とするXY座標平面において、
前記Y軸方向における前記貫通孔の最大開口幅をLとし、
前記開口部を介して前記Lの延長線上に形成されている2点の前記樹脂瘤の外縁端部間の幅をL'とし、
前記X軸上における前記貫通孔の最大開口幅をDとし、
前記開口部を介して前記Dの延長線上に形成されている2点の前記樹脂瘤の外縁端部間の幅をD'としたとき、
下記式(1)により算出されるΔLの値と、下記式(2)により算出されるΔDの値との間に、ΔL>ΔDの関係が成り立つことを特徴とする、青果物鮮度保持包装袋が提供される。
式(1):ΔL=L'−L
式(2):ΔD=D'−D
さらに、本発明によれば、上記青果物鮮度保持包装袋により青果物を密封してなる青果物入り包装体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記青果物鮮度保持包装袋の内部空間に青果物を収容した後、前記青果物鮮度保持包装袋を密封する工程を有する、青果物の鮮度保持方法が提供される。
本発明によれば、青果物の保存安定性と、使用時の耐久安定性とのバランスに優れた包装袋を作製する技術を提供することができる。
本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋を上面視した模式図である。 本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋に設けられた貫通孔を上面視した模式図である。 本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法を説明するための、製造装置の断面図である。 本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法を説明するための、製造装置の要部拡大断面図である。 本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法を説明するための図である。 実施例1の包装袋に設けられた貫通孔の拡大上面図である。 比較例1の包装袋に設けられた貫通孔の拡大上面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<青果物鮮度保持包装袋>
図1は、本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋を上面視した模式図である。なお、図1に示す青果物鮮度保持包装袋には3つの貫通孔が設けられているが、1包装体あたりの貫通孔数は、これに限定されるものではない。また、図1は模式図であるが故に、実際よりも大きな寸法の貫通孔を図示しているが、該貫通孔の大きさについても、これに限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋100(以下、本包装袋100とも示す。)は、青果物を収容するための口部110を一辺に有し、かつ有孔樹脂フィルムからなるものである。そして、かかる有孔樹脂フィルムには貫通孔120が設けられている。また、本包装袋100において、上記貫通孔120を構成する開口部の開口形状はオーバル形状であり、該包装袋100を上面視した時に、該包装袋100における上記口部110を有する辺と、上記開口部のオーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となるように形状制御されている。こうすることで、青果物の保存安定性と、使用時の耐久安定性とのバランスに優れた包装袋100とすることができる。なお、上記なす角とは、該包装袋100における上記口部110を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の長径方向とによって形成される鋭角または直角のことである。
なお、MA包装が可能な従来の青果物鮮度保持包装袋に関して、該包装袋に設ける貫通孔の形状を最適化しつつ、異方性形状の貫通孔を設ける向きについても制御することに着目した技術は、これまでに報告されていなかった。
以下、本包装袋100の構成について詳細に説明する。
本包装袋100に設けられた貫通孔120は、上述したように、該包装袋100の表面を上面視した時に、該包装袋100における上記口部110を有する辺と、オーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となるように延びる長径を有したオーバル形状となるように形状制御されている。こうすることで、本包装袋100が、その内部空間に青果物を収容して使用された場合に、かかる青果物の自重による影響で貫通孔120の形状が継時的に変化することを抑制することが可能となる。そのため、本包装袋100によれば、結果として、従来の包装袋を使用する場合と比べて、青果物の保存安定性を向上させることができる。また、本包装袋100は、上述した理由により、結果として、従来の包装袋と比べて、使用時の耐久安定性についても向上させたものとすることができる。
なお、本明細書において、オーバル形状とは、対称軸を最低でも一つ以上持ち、交差しておらず、外側に凸状であり、閉じた、平面上の曲線で構成された形状のことを示す。
また、本包装袋100を構成する有孔樹脂フィルムは、貫通孔120の周縁部全域に亘って樹脂瘤が一体的に形成されたものであることが好ましい。こうすることで、貫通孔120の外周に対して周縁補強効果を付与することができる。そのため、本包装袋100を上述した有孔樹脂フィルムにより構成した場合、結果として、青果物の保存安定性と使用時の耐久安定性とのバランスという点において、より一層優れたものとすることができる。
また、本包装袋100に設けられた貫通孔120の真円相当径は、好ましくは、150μm以上450μm以下であり、さらに好ましくは、170μm以上420μm以下である。こうすることで、本包装袋100を構成する有孔樹脂フィルム材料のガス透過性能を高度に制御することができる。そのため、結果として、本包装袋100を用いて青果物を保存した場合に、かかる青果物の鮮度を従来の包装袋を用いる場合と比べて長期間安定的に保持することが可能となる。なお、本実施形態に係る真円相当径とは、貫通孔について、貫通孔の開口面積と同じ面積を有する真円の直径のことを指す。また、本実施形態において、樹脂フィルムに設けられている貫通孔の数が2つ以上である場合、上述した真円相当径の値は、全貫通孔について算出した真円相当径の値の平均値を指す。
本包装袋に設けられた貫通孔の開口形状は、オーバル形状であるが故に、上述した長径に加えて、短径をも有する。そして、かかる短径は、本包装袋100の表面を上面視した時に、該包装袋100における口部110を有する辺と、オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下となるように延びている。
なお、上記なす角とは、該包装袋100における上記口部110を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の短径方向とによって形成される鋭角または直角のことである。
図2は、本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋に設けられた貫通孔を上面視した模式図である。
図2に示すように、本包装袋100に設けた貫通孔120の周縁部140は、上記短経方向をX軸方向とし、上記長径方向をY軸方向とするXY座標平面において、Y軸方向における貫通孔の最大開口幅をLとし、該貫通孔120を構成する開口部130を介してLの延長線上に形成されている2点の上記樹脂瘤の外縁端部間の幅をL'とし、X軸方向における貫通孔20の開口幅をDとし、該貫通孔を構成する開口部を介してDの延長線上に形成されている2点の樹脂瘤の外縁端部間の幅をD'としたとき、下記式(1)により算出されるΔLの値と、下記式(2)により算出されるΔDの値との間に、ΔL>ΔDの関係が成り立つ形状となっていることが好ましい。こうすることで、本包装袋100の内部空間に収容する青果物の自重による影響で、かかる包装袋100の使用時に貫通孔120の形状が変化することを最小限に抑えることが可能となる。これにより、結果として、従来の包装袋と比べて、青果物の保存安定性と使用時の耐久安定性とのバランスを向上させることができる。
式(1):ΔL=L'−L
式(2):ΔD=D'−D
また、本実施形態において、上記式(1)により算出されるΔLの値を、上記式(2)により算出されるΔDの値で除した値、すなわち、ΔL/ΔDの値は、青果物の保存安定性と使用時の耐久安定性とのバランスをより一層優れたものとする観点から、好ましくは、1.1以上3.3以下であり、より好ましくは、1.2以上3以下であり、さらに好ましくは、1.25以上2.8以下である。
また、本実施形態において、上記式(1)により算出されるΔLの値は、本包装袋100の製造安定性を向上させつつ、得られた包装袋100による青果物の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは、30μm以上180μm以下であり、より好ましくは、35μm以上160μm以下であり、さらに好ましくは、40μm以上145μm以下である。
また、本実施形態において、上記式(2)により算出されるΔDの値は、本包装袋100の使用時における貫通孔20の形状安定性を向上させる観点から、好ましくは、25μm以上80μm以下であり、より好ましくは、30μm以上60μm以下であり、さらに好ましくは、33μm以上60μm以下である。
また、本包装袋100の表面を上面視した時に、貫通孔120の周縁部140から10mm以内の領域における有孔樹脂フィルムの最大厚みをTmaxとし、有孔樹脂フィルムの最小厚みをTminとした時、上記最大厚みと上記最小厚みの比Tmax/Tminは、好ましくは、1以上3以下であり、より好ましくは、1.1以上2.5以下であり、さらに好ましくは、1.1以上2.1以下である。Tmax/Tminの値を上記数値範囲内となるように制御することにより、本包装袋100の使用条件が変化した場合においても、長期間青果物の鮮度を安定的に保持することができる。ここで、本包装袋100の表面を上面視した時における貫通孔120の周縁部140から10mm以内の領域(孔周辺領域)とは、貫通孔120の中心点から貫通孔120の周縁部(外周)140を通るように直線を引いたとき、直線上において、当該直線と貫通孔120の周縁部140との交点から貫通孔120の中心点とは逆方向に10mm離れた箇所までの範囲を指す。
また、本実施形態において、上述した孔周辺領域における有孔樹脂フィルムの最大厚みTmaxは、包装される青果物の形状、大きさ等に応じて、適宜、設定することができるが、本包装袋の加工性を向上させる観点から、たとえば、16μm以上400μm以下としてもよいし、20μm以上150μm以下としてもよいし、30μm以上100μm以下としてもよい。
また、本実施形態において、上述した孔周辺領域における有孔樹脂フィルムの最小厚みTminは、包装される青果物の形状、大きさ等に応じて、適宜、設定することができるが、本包装袋の使用時の耐久安定性を向上させる観点から、たとえば、15μm以上60μm以下としてもよいし、20μm以上50μm以下としてもよいし、24μm以上45μm以下としてもよい。
また、本実施形態に係る有孔樹脂フィルムの25℃における開孔面積比率は、好ましくは、1.0×10−6%以上5.0×10−2%以下であり、さらに好ましくは、5.0×10−6%以上2.5×10−3%以下であり、最も好ましくは、5.0×10−5%以上8.0×10−3%以下である。有孔樹脂フィルムの25℃における開孔面積比率が、上記範囲にあることによって、青果物の種類や自重の違いに関係なく、包装体内の各環境条件因子を収容した青果物が環境休眠に誘導されやすい条件となるように制御することができる。そのため、本包装袋によれば、より一層長期間安定的に青果物の鮮度を保持することができる。
また、本包装袋100に設けられている貫通孔120の数の下限値は、本包装袋のガス透過性能(酸素透過性や水蒸気透過性等)を高度に制御する観点から、1包装袋あたり、1個以上としてもよいし、2個以上としてもよい。一方、貫通孔の数の上限値は、たとえば、1包装袋あたり、30個以下としてもよいし、25個以下としてもよいし、20個以下としてもよい。
また、本実施形態において、包装袋100に設けられる貫通孔120の平均開口面積は、後述する青果物入り包装体が備えるガス透過性能(酸素透過性や水蒸気透過性等)を高度に制御する観点から、1個の上記貫通孔20あたり、3.1×10−4mm以上7.9×10−1mm以下であることが好ましく、1.2×10−3mm以上1.3×10−1mm以下であるとさらに好ましい。
次に、本包装袋を構成する有孔樹脂フィルムについて、符号を省略して説明する。
本実施形態において、有孔樹脂フィルムを構成する樹脂材料は、青果物の包装に用いることのできるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。上記樹脂材料中に含まれる合成樹脂の具体例としては、各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル樹脂、6ナイロンなどのポリアミド樹脂などが挙げられる。これらはホモポリマーであってもかまわないし、2種類以上のコポリマーであってもよく、これらホモポリマーやコポリマーを2種類以上含むブレンド物であってもよい。
また、上記各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体の具体例としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン−直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーやエチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−α−オレフィンコポリマーなどのコポリマーあるいはアイオノマーなどが挙げられ、これらあるいはこれらと他の樹脂との2種類以上のブレンド物であってもよい。
また、本実施形態において、有孔樹脂フィルムを構成する樹脂材料は、包装袋の結露防止特性を向上させつつ、該包装袋内に収容する青果物にカビが発生することを抑制する観点から、防曇剤を含むものであってもよい。上記防曇剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物など公知の防曇剤であれば使用することができる。その具体例としては、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンラウレート、デカグリセリンラウレート及びソルビタンステアレート等が挙げられる。
また、本実施形態においては、有孔樹脂フィルムは、上述した材料により形成された単層フィルムであってもよいし、厚み方向に複数の層が積層された多層フィルムであってもよい。ここで、本実施形態に係る有孔樹脂フィルムが上記多層フィルムである場合、かかるフィルムは、包装体内の青果物から放出される微量の水蒸気により、該包装体の内表面に結露が発生することを抑制する観点から、防曇剤を含む上記樹脂層を有していることが好ましい。
ここで、本実施形態に係る有孔樹脂フィルムとしては、ヒートシール可能な防曇延伸ポリプロピレンフィルムや低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、メタロセン触媒ポリエチレンを用いることが、価格、物性の観点から好ましい。これらの樹脂フィルムは、内容物の重量に対する耐久性を向上させる観点から、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、無延伸ナイロン、延伸ナイロン、延伸ポリエステルなどの樹脂フィルムの表面上に、ポリエチレンからなる樹脂層をドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、共押出法等の手法により積層した多層フィルムであってもよい。
また、本包装袋の内表面における結露防止特性を向上させる観点からは、上記有孔樹脂フィルムとして、一方の表面がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂材料により形成され、かつ他方の表面がポリアミド樹脂を含む樹脂材料により形成された多層フィルム、またはポリアミド樹脂を含む樹脂材料により形成された単層フィルムを使用することが好ましい。
フィルムの成型方法は、特に限定されないが、押出、インフレーション、カレンダーリング等の方法が用いられる。ここで、フィルムはロール形状に巻き取られた形状、すなわち、巻き取り形状としてもよい。上記巻き取り形状において、ロール形状(円柱形上)の底面は、フィルムの送り方向(長手方向)の一辺の集合によって形成される。なお、上記底面とは略円形状の面を表す。
フィルムを成型する際、必要に応じて防曇剤等の添加物を混練してもよいし、2種類以上の樹脂をブレンドしてもよい。また、フィルムに対して、延伸処理やアニーリング処理などを施してもよい。これらのフィルム表面にシーラント層を設けたものであってもよいし、何らかの機能を付与するためにコーティングしたフィルムであってもよい。さらに、これらのフィルムは透明であっても、不透明であってもよく、フィルムの製品情報が印刷されたものであってもよい
また、本実施形態に係る有孔樹脂フィルムの平均厚みは、たとえば20μm以上40μm以下とすればよい。フィルムが薄すぎると、強度が不足する懸念がある。一方、フィルムが厚すぎると、製造コストが高くなるため実用性が低下する場合がある。
また、本実施形態において、有孔樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率の下限値は、後述する青果物入り包装体の外観を保持しつつ、青果物の鮮度を長期間安定的に保持できる包装袋を作製する観点から、好ましくは、2g/m・day以上であり、さらに好ましくは、3g/m・day以上である。一方、樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける上記水蒸気透過率の上限値は、萎れ等の観点において青果物の外観が劣化することを抑制する観点から、好ましくは、400g/m・day以下であり、さらに好ましくは、350g/m・day以下である。なお、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率の値は、たとえば、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(パーマトラン(登録商標)PERMATRAN−W 3/61)を使用して、JIS K7129Bに準拠した方法で測定することができる。また、樹脂フィルムの水蒸気透過率の値は、JIS Z0208(カップ法)に準拠した方法によっても測定することができる。
また、本実施形態において、有孔樹脂フィルムの23℃、50%RHにおける酸素透過量の下限値は、後述する青果物入り包装体の外観を保持しつつ、青果物の鮮度を長期間安定的に保持できる包装袋を作製する観点から、好ましくは、500cc/m・day・atm以上であり、さらに好ましくは、1000cc/m・day・atm以上である。一方、有孔樹脂フィルムの23℃、50%RHにおける酸素透過量の上限値は、萎れ等の観点において青果物の外観が劣化することを抑制する観点から、好ましくは、200000cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、150000cc/m・day・atm以下である。なお、測定条件に関係なく、樹脂フィルムの酸素透過率の値は、たとえば、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX−TRAN 1/50)を使用して、JIS K7126−2における付属書Bに準拠した方法で測定することができる。また、樹脂フィルムの酸素透過率の値は、たとえば、窒素を充填させた直後の包装袋と、窒素を充填させてから一定時間放置した後の包装袋のそれぞれに関し、包装袋内の酸素濃度を測定し、その酸素濃度勾配から算出することもできる。
また、本包装袋の内部空間に収容する青果物を内容物とした時、有孔樹脂フィルムの23℃、50%RHにおける内容物100gあたりの酸素透過量は、上記青果物が保存時に酸素欠乏症(酸欠状態)となることを効果的に抑制し、結果として、青果物の鮮度を長期間安定的に維持する観点から、好ましくは、11600cc/100g・m・day・atm以上100000cc/100g・m・day・atm以下であり、より好ましくは、11800cc/100g・m・day・atm以上100000cc/100g・m・day・atm以下である。なお、有孔樹脂フィルムの23℃、50%RHにおける内容物100gあたりの酸素透過量の値は、上述した有孔樹脂フィルムの23℃、50%RHにおける酸素透過量に関する測定値を、包装袋内に収容する内容物の重量で除し、算出された値に、100を乗ずることで、算出することができる。
次に、本実施形態における青果物鮮度保持包装袋の製造方法を説明する。
本包装袋の製造方法は、従来の製造方法とは異なるものであって、以下の2つの条件に係る各種因子の組み合わせを高度に制御することが特に重要である。すなわち、以下の2つの条件に係る各種因子の組み合わせを高度に制御する製造方法によって初めて、本包装袋を得ることができる。ただし、本包装袋は、以下の2つの条件に係る各種因子の組み合わせを高度に制御しさえすれば、その他の公知の製造条件を組み合わせることにより、作製することができる。
(1)有孔樹脂フィルムに設ける貫通孔の穿孔手法
(2)有孔樹脂フィルムを形成する樹脂材料
具体的には、実施例にて後述する。
以下、本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法(以下、本製造方法とも示す。)の一例を示す。ただし、本実施形態の青果物鮮度保持包装袋の製造方法は、以下の例に限定されない。
本製造方法においては、準備した樹脂フィルムに対して、レーザー照射装置を用いてレーザー照射することにより貫通孔を穿孔する。このとき、本製造方法においては、樹脂フィルムの表面に対するレーザー光の入射角が変動するように、樹脂フィルムの送り方向(長手方向)に対して垂直な方向である樹脂フィルムの幅方向(短手方向)にレーザー照射装置を首振り回転させながら貫通孔を穿孔する。これにより、本製造方法によれば、樹脂フィルムの送り方向と垂直な方向である該樹脂フィルムの幅方向(短手方向)と、オーバル形状の長径とのなす角の大きさが0度以上45度以下となるオーバル形状の貫通孔を、再現性良く安定的に穿孔することができる。また、本製造方法によれば、レーザー照射装置を首振り回転させながらレーザー光を照射する。樹脂フィルムに対して局所的に加わるレーザーの照射熱によって部分的に溶融し、次いで、溶融した樹脂フィルムが固化する。すなわち、レーザー装置を首振り回転させることで、貫通孔の外縁部に形成される樹脂瘤の形状を制御することができる。そして、本製造方法によれば、上述した樹脂瘤による影響を受け、結果として、従来の包装袋と比べて使用時の耐久安定性に優れた包装袋を作製できるものと推察される。
また、本製造方法において、上述した樹脂瘤の形状は、たとえば、樹脂フィルムを構成する樹脂材料の配合組成、照射するレーザーのエネルギー、レーザーの照射距離、レーザーの照射方向、フィルムの送り速度等の貫通孔の穿孔に係る各種条件因子を適切に組み合わせることにより高度に制御することができる。
以下、図3〜図5を参照して、本製造方法に用いる製造装置の構成について、説明する。なお、図3は、本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法を説明するための、製造装置の断面図である。図4は、図3に示す製造装置におけるレーザー照射装置3の要部拡大断面図である。図5は、本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法を説明するための図である。
図3の製造装置によれば、巻き出しロール1より巻き出された樹脂フィルム2がレーザー照射装置3と回転支持ロール4の間を通過する際、レーザー照射装置3によりパルスレーザーのビームを樹脂フィルム2に対して照射することができる。こうすることにより、樹脂フィルム2に、照射したビームの形状に等しい孔を設けることができる。上記方法により孔が設けられた樹脂フィルム2は、巻き取りロール5により巻き取られる。なお、回転支持ロール4の前後には、2本のガイドロール6が設けられている。また、回転支持ロール4の上端は、2本のガイドロール6の上端を結ぶ線よりも上側に位置する。このため、樹脂フィルム2を回転支持ロール4に密着するように押し付けることができ、レーザー照射位置の位置決めを行うことができるとともに縦ジワの発生を防ぐことができる。また、図3の製造装置には、回転支持ロール4を介して、巻き出しロール1と巻き取りロール5とが設けられている。この製造装置において、ガイドロール6は、回転支持ロール4と巻き出しロール1の間、及び回転支持ロール4と巻き取りロール5の間に、それぞれ設けられている。また、浮きロール7は、巻き出しロール1とガイドロール6の間、及びガイドロール6と巻き取りロール5の間に、それぞれ設けられている。こうすることで、浮きロール7により樹脂フィルム2に対して適当な張力を与えることができる。また、レーザー照射装置3には、圧縮気体導入路8が設けられており、レーザーの照射中に、樹脂フィルム2に対して圧縮気体をノズル先端9(図4参照)よりレーザービームに沿って吹き付けることができる。
本製造方法によれば、図4に示すように、レーザー照射装置3のノズル先端9の下方に樹脂フィルム2を走行させることができる。
また、パルスレーザー10は、導光路11を通り、出射光学部(レンズ)12によって集束されるため、円錐形ビーム13となってノズル先端9より樹脂フィルム2に照射することができる。このときノズル先端9の内径は、通過するパルスレーザー10のビーム径より大きくする。また、出射光学部(レンズ)12によって集束されたパルスレーザー10の焦点位置は、樹脂フィルム2のレーザー入射面の反対側の面よりわずかにフィルム外に出た位置としたほうがよい。
上記で説明したように、円錐形ビーム13を照射することによって、樹脂フィルム2における当該ビーム照射箇所が溶融、分解、揮散することにより、孔14が形成される。
また、樹脂フィルム2に穿孔される孔14のピッチは、樹脂フィルム2の走行速度とパルスレーザー10のパルス周波数を同期させることにより、調整することができる。1基のレーザー照射装置により、1秒間に通常は20〜1,000個の孔14を開けることができるので、樹脂フィルム2の走行速度を速め、高い生産性を達成することもできる。
樹脂フィルム2に穿孔される孔14の形状は、樹脂フィルム2を通過する円錐形ビーム13とほぼ同じ形状となり、常に一定した形状の孔を開けることができる。なお、円錐形台状の孔は、出射光学部(レンズ)12の焦点距離を長くすることにより、円筒形に近づけることができる。
また、レーザー照射装置3における導光路11のノズル先端9の近傍には、上記で述べたように圧縮気体導入路8が設けられている。こうすることで、レーザーの照射中に、樹脂フィルム2に対して圧縮気体をレーザービームに沿って吹き付けることができる。
また、圧縮気体の流量は、穿孔により発生する分解物が、ノズル先端9より侵入して出射光学部(レンズ)12を汚染しないよう、ノズル先端9の風速を2〜10m/sに設定することが好ましく、3〜6m/sに設定することがより好ましい。
また、圧縮気体は、特に制限されないが、例えば、圧縮空気のほか、窒素ガス、二酸化炭素ガスなどの不活性ガスを使用することができる。圧縮空気は、取り扱い上の危険がなく、コスト面でも有利である。不活性ガスは、プラスチックフィルムの分解物の酸化を抑え、煤、焦げ、黒化物などを減少することができる。
本実施形態に係る青果物鮮度保持包装袋の製造方法では、レーザー入射面の反対側の面を回転支持ロール4に接触させ、回転支持ロール4により樹脂フィルム2を支持している。
また、樹脂フィルム2の分解物をレーザー入射面と反対側からも揮散させることができるように、回転支持ロール4には、例えば、レーザー照射位置に対応する溝が設けられていることが好ましい。こうすることで、レーザーの照射熱による影響を受けて溶融した樹脂フィルムを構成する樹脂材料が、レーザー照射装置に付着することを防ぐことができる。そのため、結果として、樹脂フィルムに穿孔した貫通孔の形状安定性が低下することを抑制することができる。これにより、青果物の鮮度を長期間安定的に保持することが可能であり、かつ使用時の耐久安定性に優れた包装袋を作製することが可能となる。
また、樹脂フィルム2に対して複数個の貫通孔を穿孔する場合には、レーザー照射位置に対応する溝が設けられている回転支持ロール4を使用することにより、レーザーの輻射熱による影響を受けて個々の貫通孔の大きさや形状にズレが生じることを効果的に抑制することができる。そのため、本製造方法において上述した溝が設けられている回転支持ロール4を使用した場合、個々の大きさや形状という観点にくわえて、周縁部の強度という観点においても、同一の条件を満たす貫通孔を歩留りよく設けることができるといえる。
本製造方法においては、上述したように、樹脂フィルム2の表面に対するレーザー光の入射角が変動するように、樹脂フィルム2の送り方向(長手方向)に対して垂直な方向である、樹脂フィルム2の幅方向(短手方向)にレーザー照射装置3を首振り回転させながら貫通孔を穿孔することを特徴としている。具体的には、図5に示すように、v1の送り速度で動かしている穿孔対象である樹脂フィルム2の送り方向(長手方向)に対して垂直な方向である、樹脂フィルム2の幅方向(短手方向)にレーザー照射装置3を、v2の速度で首振り回転させながらレーザー照射することにより、所望の貫通孔を穿孔している。このとき、樹脂フィルム表面に対するレーザー光の入射角θが、30°以上90°以下の範囲で変動するようにレーザー照射装置3を首振り回転させることが好ましく、45°以上90°以下の範囲で変動するようにレーザー照射装置3を首振り回転させることがより好ましく、55°以上90°以下の範囲で変動するようにレーザー照射装置3を首振り回転させるとさらに好ましい。こうすることで、貫通孔の形状を高度に制御することができるようになり、結果として、本製造方法により得られる包装袋の使用時の耐久安定性を向上させることができる。すなわち、本製造方法において、樹脂フィルム表面に対するレーザー光の最小入射角θは、30°以上90°未満であることが好ましく、45°以上90°未満であるとより好ましく、55°以上90°未満であるとさらに好ましい。
また、本製造方法における貫通孔を穿孔する際の、樹脂フィルム2の送り速度v1と、レーザー照射装置3の首振り速度v2とから算出されるv2/v1の値は、好ましくは、1.5以上20以下であり、より好ましくは、1.5以上15以下であり、さらに好ましくは、1.5以上13以下である。こうすることで、樹脂フィルム2に設ける貫通孔の強度を向上させることが可能となり、結果として、本製造方法により得られる包装袋の使用時の耐久安定性を向上させることができる。また、v2/v1の値が上記数値範囲内となるように貫通孔の穿孔条件を制御することにより、本製造方法により得られる包装袋のガス透過性能を長期間安定的に保持することが可能となる。そのため、本製造方法によれば、結果として、従来の包装袋を用いる場合と比べて、青果物の鮮度を長期間安定的に保持することが可能な包装袋を得ることができる。なお、後述においては、本製造方法について符号を省略して説明する。
次に、本製造方法に用いるレーザー照射装置の種類について説明する。
本製造方法に用いるレーザー照射装置としては、青果物を包装するために用いる樹脂フィルムに貫通孔を穿孔する際に用いることのできるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。そのため、本製造方法に用いるレーザー照射装置は、炭酸ガスレーザー照射型であってもよいし、ルビーレーザー照射型であってもよいし、窒素レーザー照射型であってもよいし、アルゴンガス照射型であってもよいし、ネオジミウムYAG照射型であってもよいし、ネオジミウムガラスレーザー照射型であってもよい。中でも、エネルギー効率が高く、高出力であり、レーザー照射熱が照射対象に滞留しにくいため、所望の形状の貫通孔を再現性良く穿孔できる観点から、炭酸ガスレーザー照射型のレーザー照射装置が好ましい。
また、本製造方法において照射するレーザーのエネルギーは、貫通孔の形状安定性を向上させる観点から、好ましくは、50W以上200W以下であり、さらに好ましくは、60W以上150W以下である。
また、本製造方法においてレーザー照射装置と穿孔対象である樹脂フィルムとの距離、すなわち、貫通孔の形状安定性を向上させる観点から、レーザー照射距離は、好ましくは、4mm以上25mm以下であり、より好ましくは、4mm以上20mm以下であり、さらに好ましくは、7mm以上15mm以下である。
本製造方法において貫通孔を穿孔する位置は、得られる包装袋に青果物を収容して輸送する際、かかる青果物を店頭で陳列する際に、水がたまりやすい箇所に設けることが好ましい。こうすることで、青果物から水が徐々に染み出すことにより該青果物の品質の劣化や、包装袋の内部が結露すること、内部に水がたまること等の不都合が生じることを防ぐことができる。これにより、消費者からみて市場に陳列されたときの見栄えがよい青果物を提供することができる。
また、本製造方法において使用可能な有孔樹脂フィルムを形成する樹脂材料については、上述した通りである。
次に、本包装袋の使用方法について説明する。
本包装袋は、上述したように、青果物の鮮度を保持するために用いる。具体的には、本包装袋は、収穫後から包装されるまでの過程において水洗された青果物を収容するために用いる。
特に、本包装袋は、その内部空間に青果物を収容した後、該包装袋の口部を密封して使用する。つまり、本実施形態における青果物鮮度保持包装袋によれば、その内部空間に青果物を密封した青果物入り包装体を作製することができる。言い換えれば、本実施形態に係る青果物入り包装体は、上述した本包装袋により青果物を密閉されてなるものである。
なお、製袋の際には、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしない。これにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得ることができる。
なお、青果物を入れる前において、包装袋の形状は、上面視で略長方形形状である。
本実施形態においては、上述した青果物入り包装体を作製する際に、本包装袋を密封するために、口部にヒートシール処理を施してもよいし、バックシーリングテープ、結束帯、輪ゴム、かしめ等の部材を用いてもよい。中でも、包装袋内に収容した青果物の呼吸量を適切に制御する観点から、包装袋の密封するために、口部にヒートシール処理を施すことが好ましい。
青果物は全般的に水分が多く含まれており、それらが蒸散することで包装内に結露することが多く、本包装袋を用いて該青果物を保存することが好適である。青果物の具体例としては、オオバ、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、ミブナ、アスパラガス、クウシンサイ、レタス、タイム、セージ、パセリ、イタリアンパセリ、ローズマリー、オレガノ、レモンバーム、チャイブ、ラベンダー、サラダバーネット、ラムズイヤー、ロケット、ダンディライオン、ナスタチューム、バジル、ルッコラ、クレソン、モロヘイヤ、セロリ、ケール、ネギ、キャベツ、ハクサイ、シュンギク、サラダナ、サンチュ、フキ、ナバナ、チンゲンサイ、ミツバ、セリ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ、タマネギ、ショウガ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ラディッシュ、カブ、サツマイモ、ジャガイモ、ナガイモ、ヤマイモ、サトイモ、ジネンジョ、ヤマトイモ、ピーマン、パプリカ、シシトウ、キュウリ、ナス、トマト、ミニトマト、カボチャ、ゴーヤ、オクラ、スィートコーン、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、シイタケ、エリンギ、シメジなどがあげられる。また、柑橘、りんご、ナシ、ブドウ、ブルーベリー、柿、イチゴ、メロン、マンゴー、ウメ、青梅などの果実類やキク、カーネーション、シンビジウム、チューリップ、サカキなどの切花などでも有効である。これらは、カットした状態、いわゆるカット野菜、カットフルーツでも有効である。中でも、本包装袋に収容する青果物は、リンゴ、レモン、ウメ、青梅などの果実類、ナス、トマト、キュウリ、エダマメなどの果菜類、サツマイモ、サトイモ、ショウガ、ゴボウ、ジャガイモなどの根菜類、本シメジ、エリンギ、シイタケ、マイタケ、ハタケシメジなどの菌茸類およびブロッコリー、アスパラガスなどの花卉類からなる群のいずれかに分類される1種以上を含むことが好ましい。
本実施形態においては、水洗した青果物や、雨あるいは露に濡れた青果物などを水切りすることなく包装することができるため、作業性が向上する。また、青果物の鮮度保持のため青果物を低温にしたい、または青果物への水分による影響をできるだけ早く取り除くため水分を少なくしたいという理由などで、青果物の水分のすべて、または一部を素早く蒸散させることもできる。このような場合、当該青果物を本包装袋に入れて密封し、真空予冷してもよい。
また、本包装袋内に収容する内容物(青果物)の量は、消費者の需要や、製造コストのバランスを向上させる観点から、包装体の内表面積(包装袋の袋サイズ(内寸))を考慮して、たとえば、内容量の下限を、1包装袋あたり10g以上としてもよく、1包装袋あたり50g以上としてもよく、1包装袋あたり100g以上とすることができる。また、内容量の上限を、1包装袋あたり1500g以下としてもよく、1250g以下としてもよく、1000g以下とすることができる。
ここで、本実施形態に係る青果物入り包装体の内表面積(包装袋の袋サイズ(内寸))は、包装される青果物の形状、大きさ、体積、密度等に応じて設定することができる。そして、青果物100gあたりの包装体の内表面積は、たとえば100cm以上1000cm以下としてもよいし、300cm以上700cm以下としてもよい。
また、本実施形態に係る青果物入り包装体は、かかる包装体自体のガス透過性能(酸素透過性や水蒸気透過性等)を高度に制御する観点から、たとえば、1包装体あたりの貫通孔の個数の下限値は、1個以上としてもよいし、2個以上としてもよい。一方、貫通孔の個数の上限値は、たとえば、1包装体あたり、100個以下としてもよいし、50個以下としてもよいし、30個以下としてもよい。
<青果物の鮮度保持方法>
本実施形態における青果物の鮮度保持方法は、上述した本包装袋の内部空間に青果物を収容した後、本包装袋を密封する工程を有するものである。こうすることで、本包装袋に収用した青果物の鮮度を長期間安定的に保持することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 青果物を収容するための口部を一辺に有し、かつ有孔樹脂フィルムからなる青果物鮮度保持包装袋であって、
前記有孔樹脂フィルムには貫通孔が設けられており、
当該青果物鮮度保持包装袋の表面を上面視した時に、前記貫通孔を構成する開口部の開口形状がオーバル形状であり、
当該青果物鮮度保持包装袋における前記口部を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下である、青果物鮮度保持包装袋。
2. 前記貫通孔の周縁部全域に亘って樹脂瘤が前記有孔樹脂フィルムと一体的に形成されている、1.に記載の青果物鮮度保持包装袋。
3. 当該青果物鮮度保持包装袋における前記口部を有する辺と、前記オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下であり、
前記オーバル形状の短径方向をX軸方向とし、前記長径方向をY軸方向とするXY座標平面において、
前記Y軸方向における前記貫通孔の最大開口幅をLとし、
前記開口部を介して前記Lの延長線上に形成されている2点の前記樹脂瘤の外縁端部間の幅をL'とし、
前記X軸上における前記貫通孔の最大開口幅をDとし、
前記開口部を介して前記Dの延長線上に形成されている2点の前記樹脂瘤の外縁端部間の幅をD'としたとき、
下記式(1)により算出されるΔLの値と、下記式(2)により算出されるΔDの値との間に、ΔL>ΔDの関係が成り立つことを特徴とする、2.に記載の青果物鮮度保持包装袋。
式(1):ΔL=L'−L
式(2):ΔD=D'−D
4. 前記式(1)により算出されるΔLの値を、前記式(2)により算出されるΔDの値で除した値(ΔL/ΔD)が、1.1以上3.3以下である3.に記載の青果物鮮度保持包装袋。
5. 前記式(1)により算出されるΔLの値が30μm以上180μm以下である、3.または4.に記載の青果物鮮度保持包装袋。
6. 前記式(2)により算出されるΔDの値が25μm以上80μm以下である、3.乃至5.のいずれか一つに記載の青果物鮮度保持包装袋。
7. 当該青果物鮮度保持包装袋の表面を上面視した時に、前記貫通孔の周縁部から10mm以内の領域における前記有孔樹脂フィルムの最大厚みをTmaxとし、前記有孔樹脂フィルムの最小厚みをTminとした時、前記最大厚みと前記最小厚みの比Tmax/Tminが、1以上3以下である、1.乃至6.のいずれか一つに記載の青果物鮮度保持包装袋。
8. 前記貫通孔の真円相当径が150μm以上450μm以下である、1.乃至7.のいずれか一つに記載の青果物鮮度保持包装袋。
9. 1.乃至8.のいずれか一つに記載の青果物鮮度保持包装袋により青果物を密封してなる青果物入り包装体。
10. 1.乃至8.のいずれか一つに記載の青果物鮮度保持包装袋の内部空間に青果物を収容した後、前記青果物鮮度保持包装袋を密封する工程を有する、青果物の鮮度保持方法。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み40μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり75個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例1の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、200×200mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り6個の貫通孔が設けられていることが確認された。くわえて、得られた包装袋に設けられた貫通孔の形状は、いずれも、該包装袋の表面を上面視した時に、貫通孔を構成する開口部の開口形状を有する辺と、貫通孔の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となる方向に向かって延びる長径を有したオーバル形状であることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(6個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
実施例1において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3−5に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、走行中のフィルムに対して、各レーザー照射装置を表1に示す条件で首振り回転させながら毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<実施例2>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり35個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例2の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、180×160mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り2個の貫通孔が設けられていることが確認された。くわえて、得られた包装袋に設けられた貫通孔の形状は、いずれも、該包装袋の表面を上面視した時に、貫通孔を構成する開口部の開口形状を有する辺と、貫通孔の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となる方向に向かって延びる長径を有したオーバル形状であることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(2個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
実施例2において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3−5に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、走行中のフィルムに対して、各レーザー照射装置を表1に示す条件で首振り回転させながら毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<実施例3>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み30μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり114個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例3の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、200×350mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り16個の貫通孔が設けられていることが確認された。くわえて、得られた包装袋に設けられた貫通孔の形状は、いずれも、該包装袋の表面を上面視した時に、貫通孔を構成する開口部の開口形状を有する辺と、貫通孔の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となる方向に向かって延びる長径を有したオーバル形状であることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(16個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
実施例3において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3−5に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、走行中のフィルムに対して、各レーザー照射装置を表1に示す条件で首振り回転させながら毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<実施例4>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり148個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例4の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、160×210mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り10個の貫通孔が設けられていることが確認された。くわえて、得られた包装袋に設けられた貫通孔の形状は、いずれも、該包装袋の表面を上面視した時に、貫通孔を構成する開口部の開口形状を有する辺と、貫通孔の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となる方向に向かって延びる長径を有したオーバル形状であることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(10個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
実施例4において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3−5に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、走行中のフィルムに対して、各レーザー照射装置を表1に示す条件で首振り回転させながら毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<実施例5>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり121個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例5の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、180×160mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り7個の貫通孔が設けられていることが確認された。くわえて、得られた包装袋に設けられた貫通孔の形状は、いずれも、該包装袋の表面を上面視した時に、貫通孔を構成する開口部の開口形状を有する辺と、貫通孔の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となる方向に向かって延びる長径を有したオーバル形状であることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(7個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
実施例5において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3−5に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、走行中のフィルムに対して、各レーザー照射装置を表1に示す条件で首振り回転させながら毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<実施例6>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり144個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例6の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、240×290mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り20個の貫通孔が設けられていることが確認された。くわえて、得られた包装袋に設けられた貫通孔の形状は、いずれも、該包装袋の表面を上面視した時に、貫通孔を構成する開口部の開口形状を有する辺と、貫通孔の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となる方向に向かって延びる長径を有したオーバル形状であることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(20個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
実施例6において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3−5に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、走行中のフィルムに対して、各レーザー照射装置を表1に示す条件で首振り回転させながら毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<比較例1>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み40μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり75個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例1の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、200×200mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り6個の貫通孔が設けられていることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(6個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
本比較例において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3および4に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、各レーザー照射装置を首振り回転させることなく、走行中のフィルムに対して垂直な方向から毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた
<比較例2>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり35個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例2の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、180×160mmmmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り2個の貫通孔が設けられていることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(2個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
本比較例において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3および4に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、各レーザー照射装置を首振り回転させることなく、走行中のフィルムに対して垂直な方向から毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<比較例3>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み30μmm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり114個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例3の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、200×350mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り16個の貫通孔が設けられていることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(16個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
本比較例において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3および4に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、各レーザー照射装置を首振り回転させることなく、走行中のフィルムに対して垂直な方向から毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<比較例4>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり148個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例4の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、160×210mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り10個の貫通孔が設けられていることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(10個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
本比較例において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3および4に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、各レーザー照射装置を首振り回転させることなく、走行中のフィルムに対して垂直な方向から毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<比較例5>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり121個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例5の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、180×160mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り7個の貫通孔が設けられていることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(7個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
本比較例において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3および4に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、各レーザー照射装置を首振り回転させることなく、走行中のフィルムに対して垂直な方向から毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
<比較例6>
まず、防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ社製、商品名:シルファンMV2、厚み25μm)を樹脂フィルムとして準備した。この樹脂フィルムに対して、後述する方法で、1mあたり144個の貫通孔を穿孔することにより、所望の有孔樹脂フィルムを得た。次いで、有孔樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、比較例6の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。ここで、フィルムの送り方向の一辺をヒートシールしないことにより、送り方向の一辺を開口部として有する包装袋を得た。
また、得られた包装袋の袋サイズ(内寸)は、240×290mmであり、該包装袋の内表面(熱シール部分を除く)には1包装袋当り20個の貫通孔が設けられていることが確認された。なお、得られた包装袋に設けられた貫通孔の真円相当径(20個の平均値)は、下記表1に示す通りであった。
本比較例において穿孔は、以下の方法で行った。なお、フィルムの送り速度、フィルムに対するレーザー光の入射角、レーザー照射装置の首振り速度等の穿孔条件は、下記表1に示す条件を採用した。
まず、直径318mm、幅850mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅30mm、深さ5mmの溝を5条有する回転支持ロールを準備した。一方、レーザー照射装置としては、出力150ワットの炭酸ガスレーザーを準備した。このレーザー照射装置5基をそれぞれ、レーザー照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザー照射装置は、フィルムとの距離が12mmとなるように設置した。
次に、図3および4に示す装置を用い、回転支持ロールを周速100m/分で回転させることで、回転支持ロールの上に、フィルムを走行させた。次に、各レーザー照射装置を首振り回転させることなく、走行中のフィルムに対して垂直な方向から毎秒10回パルスレーザーを照射した。このとき、圧縮気体導入路に、圧力1.0kg/cm(ゲージ圧)の窒素ガス圧をかけ、レーザーの照射中に、窒素ガスをノズル先端からレーザービームに沿って吹き付けた。
得られた各実施例および比較例の有孔樹脂フィルムと包装袋について、下記に示す測定及び評価を行った。
(評価項目)
・有孔樹脂フィルムの23℃、50%RHにおける酸素透過率:実施例1〜6および比較例1〜6の有孔樹脂フィルムの酸素透過率は、以下の方法で測定した。なお、単位は、cc/m・day・atmである。
(1)袋の準備
実施例1〜6および比較例1〜6の有孔樹脂フィルムを用いて包装袋を作製した。この際、上記有孔樹脂フィルムの内表面以外の箇所から酸素が漏れ出さないように、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて作製した包装袋の4方全てにヒートシール加工を施して該包装袋を密封した。なお、上述した方法で作製した包装袋は、その内表面積が、いずれも0.06m以上となるようにした。
なお、以下の全ての作業は、大気中で行った。
(2)窒素ガスの封入
上述した方法で包装袋を密封した後、アスピレーターを用いて包装袋の両面が貼りつくまで脱気処理を施した。次に、包装袋に白硬注射筒を用いて窒素ガス(純度99.9%以上)を充填した。窒素ガスの充填量は、樹脂フィルムにテンションがかからない範囲で極力多く入れ、注射筒の目盛りを用いて測定した。なお、ガスの脱気、注入は、注射針を袋に突き刺して行った。針を刺す際は、フィルムに両面テープを貼り、この上からポリプロピレンフィルム製の粘着テープ(以下「PPテープ」という)を貼り付けた。また、針を抜いた後は、速やかにPPテープで針孔を塞いだ。袋に貼るテープは、4.5cm以下の面積に収まるようにした。ただし、PPテープにより包装袋に穿孔した微細孔を塞がないようにした。
(3)初期酸素濃度測定
窒素ガス充填直後(t=0)の包装袋内の初期酸素濃度(C)を測定した。包装袋内のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(TCD)で袋内の初期酸素濃度(C)を求めた。Cは0.2%以下であり、これを超える場合は、作業をやり直した。酸素濃度測定のためのサンプリングガスは、10cc以下とした。ガスクロマトグラフィーに注入する場合は、1cc程度のサンプリングガスを注入した。
(4)袋の保存
次に、初期酸素濃度を測定した袋を、庫内の条件が23℃、50%RHに制御された恒温恒湿庫で保存した。このとき、包装袋の上に物が載ったり、恒温恒湿庫のファンの風が直撃したりしないように静置した。
(5)保存中の袋内酸素濃度の測定及び酸素透過率の計算
袋内酸素濃度は、窒素ガス充填直後と、充填から3時間以上経過後の酸素濃度が1%以上7%以下の範囲内で2点以上の合計3点以上測定した。具体的には、以下の方法で測定した。まず、窒素ガスを充填した直後に袋内酸素濃度を測定した。次に、窒素ガスを充填してから3時間以上経過した後、所定のタイミングで合計2点以上の袋内酸素濃度を測定した。なお、窒素ガスを充填してから3時間以上経過した後に測定した袋内酸素濃度は、1体積%以上7体積%以下の値を示すもののみを2点以上採用した。また、窒素ガスを充填してからの経過時間t(day)と袋内酸素濃度(Ct)間には比例関係(相関係数が0.98以上)が成り立つ必要があるため、相関係数が成り立たない場合は再試験を行った。
また、包装袋を形成する樹脂フィルムの酸素透過率が大きすぎることにより袋内酸素濃度の上昇が速すぎて、上述した条件をクリアできない場合には、包装袋を形成する樹脂フィルムの一部を酸素透過率の値が公知となっており、かかるフィルムより小さく、かつ同じ材質のフィルムと貼り合わせて包装袋を作成しなおし、上述した方法で再度、袋内酸素濃度の値を測定した。この際、求められた酸素透過率の値から、上述した方法で包装袋を作成しなおした際に貼り合わせたフィルム部分の酸素透過率を差し引いたものを測定に用いた樹脂フィルムの酸素透過率とした。酸素透過率は、経過時間が長いほうの値を用い、以下の計算式により算出した。なお、下記式において、kの値は大気中の酸素濃度を考慮し、21と設定した。
式:F={(C−C)/k}×V÷t÷s
但し、
F:樹脂フィルムの酸素透過率(cc/m・day・atm)
:窒素ガス充填後t時間後における袋内酸素濃度(体積%)
:窒素ガス充填直後の袋内酸素濃度(体積%)
k:濃度補正係数
V:充填した窒素ガスの量(cc)
t:ガス充填時からの経過時間(day)
s:袋の表面積(m
・有孔樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率:有孔樹脂フィルムの水蒸気透過率は、JIS Z0208(カップ法)に準拠した方法で測定した。測定条件は、40℃、90%RHに設定した。また、秤量は、23℃、50%RHの条件下実施した。なお、単位は、g/m・dayである。
・孔周辺領域におけるフィルムの最大厚みTmaxと最小厚みTmin:孔周辺領域におけるフィルムの厚みは、JIS K7130に準じて測定を行った。具体的には、孔周辺領域において任意に選択した複数点のフィルムの厚みを、JIS K7130に準じて測定を行った。そして、得られたフィルムの厚みに関する複数の測定結果の内、最大値をTmax、最小値をTminとした。なお、単位は、μmとした。ここで、青果物鮮度保持包装袋の外表面における貫通孔の外周から10mm以内の領域とは(孔周辺領域)、貫通孔の中心点から貫通孔の周縁部(外周)を直線を通るように引いたとき、直線上において、当該直線と貫通孔の周縁部との交点から貫通孔の中心点とは逆方向に10mm離れた箇所までの範囲を指す。
・包装袋に設けられている貫通孔の外観形状1:まず、得られた各実施例および比較例の包装袋に設けられた任意の貫通孔1個について、該貫通孔を上面視し、かかる貫通孔の外観形状を確認した。
その結果、実施例1〜6の包装袋に設けられた貫通孔の外観形状は、その大きさこそ表1に記載されている通り相違しているものの、いずれも、該貫通孔を構成する開口部の開口形状は、包装袋における前記口部を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下であることが確認された。また、包装袋における前記口部を有する辺と、前記オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下という点で共通した外観形状を有していることが確認された。
一方、比較例1〜6の包装袋に設けられた貫通孔の外観形状は、その大きさこそ表1に記載されている通り相違しているものの、いずれも、該貫通孔を構成する開口部の開口形状が、包装袋における前記口部を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下であることが確認された。また、包装袋における前記口部を有する辺と、前記オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下という点で共通した外観形状を有しているという点で共通した外観形状を有していることが確認された。
そして、実施例1および比較例1の包装袋に設けられた貫通孔の外観形状を上面視した図を、図6および図7にそれぞれ示す。
次に、以下の基準に従って、オーバル形状の方向、樹脂瘤の形状の観点について、貫通孔の外観形状を評価した。
[オーバル形状の方向]
○:貫通孔の外観形状が、包装袋における口部を有する辺と、開口部のオーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となるように延びる長径を有し、包装袋における口部を有する辺と、オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下となる長径と短径を有したオーバル形状であった。
×:貫通孔の外観形状が、包装袋における口部を有する辺と、開口部のオーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下となるように延びる長径を有し、包装袋における口部を有する辺と、オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下となる長径と短径を有したオーバル形状ではなかった。
[樹脂瘤の有無]
○:貫通孔の周縁部全域に亘って樹脂瘤が形成されていた。
×:貫通孔の周縁部全域に亘って樹脂瘤が形成されていなかった。
・包装袋に設けられている貫通孔の外観形状2:得られた各実施例および比較例の包装袋に設けられた任意の貫通孔1個について、該貫通孔を上面視し、かかる貫通孔の外観形状を確認した。かかる貫通孔の短径方向をX軸方向とし、貫通孔の長径方向をY軸方向とするXY座標平面において、Y軸方向における貫通孔の最大開口幅Lの値、貫通孔を構成する開口部を介してLの延長線上に形成されている2点の樹脂瘤の外縁端部間の幅L'の値、X軸方向における貫通孔20の最大開口幅Dの値、該貫通孔を構成する開口部を介してDの延長線上に形成されている2点の樹脂瘤の外縁端部間の幅D'の値にくわえ、下記式(1)により算出されるΔLの値と、下記式(2)により算出されるΔDの値とを測定した。なお、単位は、いずれも、μmである。
なお、貫通孔がオーバル形状を有さない場合、貫通孔の外周の2点を結んでなる最大長さを長径とした。また、長径の垂線のうち、該垂線と貫通孔の外周との交点が最大となる長さを短径とした。
次に、実施例1〜6および比較例1〜6の包装袋を用いて、当該包装袋に青果物として枝豆、椎茸、青梅およびブロッコリーのいずれかを個々に密封してなる青果物入り包装体を作製した。具体的には、以下の青果物入り包装体をそれぞれ作製した。なお、枝豆は、各種青果物の中でも、単位重量当たりの呼吸量および蒸散量が平均的な量を示す青果物の代表例である。椎茸は、各種青果物の中でも、単位重量当たりの蒸散量が多い青果物の代表例である。青梅は、各種青果物の中でも、包装体単位での呼吸量が多い青果物の代表例である。ブロッコリーは、各種青果物の中でも、単位重量当たりの呼吸量が多い青果物の代表例である。
実施例1、4、比較例1および4の包装袋の内部空間に、枝豆250gをそれぞれ密封包装することにより、実施例1、4、比較例1および4に係る枝豆入り包装体を作製した。
実施例2、5、比較例2および5の包装袋の内部空間に、椎茸120gをそれぞれ密封包装することにより、実施例2、5、比較例2および5に係る椎茸入り包装体を作製した。また、実施例1の包装袋の内部空間に、椎茸280gを密封包装することで、実施例1に係る椎茸入り包装体も作製した。
実施例3、比較例3の包装袋の内部空間に、青梅1000gをそれぞれ密封包装することにより、実施例3、比較例3に係る青梅入り包装体を作製した。また、実施例1の包装袋の内部空間に、青梅260gを密封包装することで、実施例1に係る青梅入り包装体も作製した。
実施例6および比較例6の包装袋の内部空間に、ブロッコリー400gをそれぞれ密封包装することにより、実施例6および比較例6に係るブロッコリー入り包装体を作製した。
実施例1の包装袋の内部空間に、ブロッコリー375gを密封包装することで、実施例1に係るブロッコリー入り包装体も作製した。
また、上記包装体は、20℃にて3日間保存し、内部空間に収容してある青果物について、その外観、臭い、萎れ、食味の観点において品質変化を追跡した。評価基準は、以下の通りである。
○:良好な品質であった。
△:実用上、品質に問題はないが、わずかな劣化が確認された。
×:実用上問題がある程度に劣化が確認された。
また、上述した青果物の品質変化の追跡に使用した各包装体に設けられた貫通孔の外観形状について、青果物の品質変化の追跡前の各包装体に設けられた貫通孔の外観形状と比較し、以下の基準で貫通孔の形状安定性を評価した。
○:貫通孔の外観形状が、青果物の品質変化の追跡前と同じであることが確認された。
△:貫通孔の外観形状が、実用上問題はないものの、青果物の品質変化の追跡前と比べて極僅かに変化していることが確認された。
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1に示す。
上記表1に示した通り、各実施例の方法により作製された包装袋は、いずれも、青果物の鮮度を長期間安定的に保持することが可能であり、かつ使用時の耐久安定性に優れたものであることが確認された。
1 巻き出しロール
2 樹脂フィルム
3 レーザー照射装置
4 回転支持ロール
5 巻き取りロール
6 ガイドロール
7 浮きロール
8 圧縮気体導入路
9 ノズル先端
10 パルスレーザー
11 導光路
12 出射光学部(レンズ)
13 円錐形ビーム
14 孔
15 溝
100 包装袋
110 口部
120 貫通孔
130 開口部
140 周縁部

Claims (8)

  1. 青果物を収容するための口部を一辺に有し、かつ有孔樹脂フィルムからなる青果物鮮度保持包装袋であって、
    前記有孔樹脂フィルムには貫通孔が設けられており、
    当該青果物鮮度保持包装袋の表面を上面視した時に、前記貫通孔を構成する開口部の開口形状がオーバル形状であり、
    当該青果物鮮度保持包装袋における前記口部を有する辺と、前記開口部の前記オーバル形状の長径方向とのなす角の大きさが45度以上90度以下であ
    前記貫通孔の周縁部全域に亘って樹脂瘤が前記有孔樹脂フィルムと一体的に形成されており、
    当該青果物鮮度保持包装袋における前記口部を有する辺と、前記オーバル形状の短径方向とのなす角の大きさが0度以上45度以下であり、
    前記オーバル形状の短径方向をX軸方向とし、前記長径方向をY軸方向とするXY座標平面において、
    前記Y軸方向における前記貫通孔の最大開口幅をLとし、
    前記開口部を介して前記Lの延長線上に形成されている2点の前記樹脂瘤の外縁端部間の幅をL'とし、
    前記X軸上における前記貫通孔の最大開口幅をDとし、
    前記開口部を介して前記Dの延長線上に形成されている2点の前記樹脂瘤の外縁端部間の幅をD'としたとき、
    下記式(1)により算出されるΔLの値と、下記式(2)により算出されるΔDの値との間に、ΔL>ΔDの関係が成り立つことを特徴とする、青果物鮮度保持包装袋。
    式(1):ΔL=L'−L
    式(2):ΔD=D'−D
  2. 前記式(1)により算出されるΔLの値を、前記式(2)により算出されるΔDの値で除した値(ΔL/ΔD)が、1.1以上3.3以下である請求項に記載の青果物鮮度保持包装袋。
  3. 前記式(1)により算出されるΔLの値が30μm以上180μm以下である、請求項またはに記載の青果物鮮度保持包装袋。
  4. 前記式(2)により算出されるΔDの値が25μm以上80μm以下である、請求項乃至のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋。
  5. 当該青果物鮮度保持包装袋の表面を上面視した時に、前記貫通孔の周縁部から10mm以内の領域における前記有孔樹脂フィルムの最大厚みをTmaxとし、前記有孔樹脂フィルムの最小厚みをTminとした時、前記最大厚みと前記最小厚みの比Tmax/Tminが、1以上3以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋。
  6. 前記貫通孔の真円相当径が150μm以上450μm以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋により青果物を密封してなる青果物入り包装体。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物鮮度保持包装袋の内部空間に青果物を収容した後、前記青果物鮮度保持包装袋を密封する工程を有する、青果物の鮮度保持方法。
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