JP6372510B2 - 青果物カビ増殖抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 - Google Patents

青果物カビ増殖抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6372510B2
JP6372510B2 JP2016072045A JP2016072045A JP6372510B2 JP 6372510 B2 JP6372510 B2 JP 6372510B2 JP 2016072045 A JP2016072045 A JP 2016072045A JP 2016072045 A JP2016072045 A JP 2016072045A JP 6372510 B2 JP6372510 B2 JP 6372510B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vegetables
fruits
packaging bag
fruit
mold growth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016072045A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016193759A (ja
JP2016193759A5 (ja
Inventor
田中 敦
田中  敦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=57323443&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6372510(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Publication of JP2016193759A publication Critical patent/JP2016193759A/ja
Publication of JP2016193759A5 publication Critical patent/JP2016193759A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6372510B2 publication Critical patent/JP6372510B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、青果物カビ増殖抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法に関する。
青果物は、収穫後も呼吸をし続けている。このため、収穫した青果物の劣化は、呼吸が活発であるほど進みやすい。くわえて、収穫後の青果物は、収穫前の状態と異なり外部から水分を吸収することができないため、呼吸が活発であるほど萎れやすい傾向にある。
青果物の呼吸は、大気よりも適度な低酸素、高二酸化炭素環境下である場合に抑制される。このような条件下で、収穫後の青果物を保存した際には、青果物の劣化や萎れが抑制されることになる。
近年、青果物の包装方法として、青果物の鮮度を保持する方法が用いられている。これは、MA(Modified Atmosphere)包装と呼ばれる技術であって、包装材料によって包装した青果物の呼吸速度と、包装材料のガス透過速度とのバランスを調節することにより、大気よりも青果物の保存に適した適度な低酸素、高二酸化炭素条件を実現するものである。しかしながら、上述したMA包装において、通常青果物の包装用に使用されているポリプロピレンやポリエチレンといった材料で構成されたフィルムにより青果物を包装した場合、フィルムのガス透過速度不足によって包装体内の酸素が不足して青果物が異常呼吸を行い、結果として、青果物の劣化や萎れが促進される問題が生じることがあった。
こうした問題を解決するため、青果物による呼吸速度を制御し、鮮度を保つ方法について、これまでに種々の包装材料に関する提案がなされている(特許文献1−3等)。
特開2013−227075号公報 特開平07−047559号公報 特開平06−022686号公報
ところが、特許文献1−3等に記載されている従来の包装材料を用いて、青果物の呼吸速度と、包装材料のガス透過速度とのバランスを制御したとしてもなお、包装した青果物にカビが発生してしまう場合があった。
本発明者は、従来の包装材料を用いた場合に包装した青果物にカビが発生した要因について鋭意検討した。その結果、本発明者は、従来の包装材料を用いて形成された包装体の内部に、青果物から放出された微量の水蒸気が滞留して蓄積されることより発生する結露が、その要因の1つとなっていることを見出した。具体的には、本発明者は、青果物を収容した包装体の内表面に対して上述した水蒸気が付着することにより発生する結露が、当該包装体内の環境条件をカビの生育に適した条件に変動させてしまっている要因の一つとなっていることを見出した。
ここで、青果物の保存に用いる技術として、青果物による呼吸速度を制御できる包装材料や、結露を防止できる包装材料に係る技術については、これまでに種々の報告がなされている。しかし、青果物による呼吸速度を制御しつつ、青果物にカビが発生することを抑制できる程度に結露の発生を抑制することが可能な包装材料に係る技術については未だ報告されていない。
くわえて、本発明者は、上述した青果物による呼吸速度を制御しつつ、青果物にカビが発生することを抑制できる程度に結露の発生を抑制することが可能な包装材料に係る技術を実現するための設計指針について鋭意検討していた中で、従来の包装部材が、以下のような課題を有していることも見出した。
通常、収穫後の青果物が収容された包装体を市場に流通させる際には、当該包装体の外表面に対して、インク等の親油性成分を用いて、青果物の収穫日、青果物の商品名、製造業者等の情報が印刷される。しかし、青果物が収容された従来の包装体においては、その外表面に印刷した情報が、当該青果物を包装してからの時間経過に伴って、極わずかではあるものの剥離してしまうという不都合が生じがちであった。
以上を踏まえ、本発明者は、従来の包装材料には、一方の面における結露防止性と、他方の面におけるインキ印刷適性という観点において、改善の余地があることを見出した。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、包装袋の外表面に対するインキ印刷適性と、包装袋の内表面における結露防止性とを両立し、かつ保存した青果物にカビが発生することを抑制できる青果物カビ増殖抑制包装袋を提供する。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、包装袋の内表面と外表面における水の接触角の比という尺度が、設計指針として有効であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、青果物を内容物として収容するための青果物カビ増殖抑制包装袋であって、
当該青果物カビ増殖抑制包装袋は合成樹脂フィルムにより構成されており、
当該青果物カビ増殖抑制包装袋の外表面における水の接触角をθ1とし、当該青果物カビ増殖抑制包装袋の内表面における水の接触角をθ2とした時、θ1/θ2の値が1以上9以下であり、
θ1の値は30°以上100°以下であり、θ2の値は3°以上60°以下である、青果物カビ増殖抑制包装袋が提供される。
さらに、本発明によれば、上記青果物カビ増殖抑制包装袋により青果物を密封してなる青果物入り包装体が提供される。
さらに、本発明によれば、上記青果物カビ増殖抑制包装袋を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法が提供される。
本発明によれば、包装袋の外表面に対するインキ印刷適性と、包装袋の内表面における結露防止性とを両立し、かつ保存した青果物にカビが発生することを抑制できる青果物カビ増殖抑制包装袋を提供することができる。
<青果物カビ増殖抑制包装袋>
本実施形態に係る青果物カビ増殖抑制包装袋(以下、本包装袋ともいう。)は、青果物を内容物として収容するための包装袋であって、合成樹脂フィルムにより構成されたものである。さらに、上記包装袋は、当該包装袋の外表面における水の接触角をθ1とし、当該包装袋の内表面における水の接触角をθ2とした時、θ1/θ2の値が1以上9以下となるものである。本包装袋は、該包装袋の外表面に対するインキ印刷適性と、該包装袋の内表面における結露防止性とを両立し、かつ保存した青果物にカビが発生することを抑制できるものである。また、本包装袋によれば、青果物の鮮度を良好な状態に保持することもできる。
まず、青果物にカビが発生する原理について説明する。
青果物に発生するカビは、次に説明する原理で増殖することが知られている。まず、青果物の表面にカビの胞子が付着する。その後、青果物の表面に付着したカビの胞子が、発芽・生育することによって、コロニーを形成する。形成したコロニーは、時間の経過に伴って大きくなり、肉眼で確認できる程度の大きさになる。このようにして、青果物表面にカビは発生する。
次に、カビが生育しやすい条件について説明する。
青果物に生えるカビは、好気性生物であるため、有酸素条件下でのみ生育する。ただし、カビは、他の細菌と比べて低酸素濃度条件下においても生育することができる。また、カビの至適温度および至適湿度は、一般に、25〜30℃、80%RH以上であるとされている。ただし、カビは、他の細菌と異なり、生育環境に存在する水分量が微量であったとしても生育できる微生物としても知られている。しかし、カビが生育するためには、温度、湿度、酸素量およびpH等の生育環境の条件が整う必要がある。なお、一般的にカビの生育は、低温や低湿度であるほど遅く、高温や高湿度であるほど速いとされている。また、青果物の表面にカビの胞子が付着したとしても、上述した生育条件が整わなかった場合には、カビが発生しないこともある。
本発明者は、発明が解決しようとする課題の項において前述したとおり、従来の包装部材について、以下の点で改善の余地があることを見出した。
第一の改善点は、従来の包装材料を用いて、青果物の呼吸速度と、包装材料のガス透過速度とのバランスを制御した場合の結露発生を抑制することである。結露の発生は、包装した青果物にカビが発生してしまうという不都合が生じる要因の1つと考えられる。言い換えれば、従来の包装材料には、青果物を収容した包装体の内表面の結露防止性という点において、改善の余地を有していた。
第二の改善点は、従来の包装材料に青果物を収容してなる包装体の外表面に印刷した情報が、青果物を包装してからの時間経過に伴って、極わずかではあるものの剥離してしまうという、包装体の外表面を形成する材料のインキ印刷適性に関する不都合である。言い換えれば、従来の包装材料は、青果物を収容した包装体の外表面を形成する材料のインキ印刷適性という点において、改善の余地を有していた。
本包装袋は、上述したように、該包装袋の内表面と外表面における水の接触角の比が特定の条件を満たすよう制御したものである。本包装袋によれば、青果物から放出された微量の水蒸気が滞留して蓄積されることにより該包装袋の内表面に結露が発生することを抑制できる。そのため、本包装袋によれば、結果として、保存した青果物にカビが発生することを抑制できる。また、本包装袋によれば、該包装袋の外表面にインク等の親油性成分を用いて印刷した情報が剥離してしまうことを抑制することもできる。この理由は明らかではないが、上述した特定の条件を満たすように包装袋を構成したことで、当該包装袋の内表面に対して親水性成分が付着しにくくなった半面、当該包装袋の外表面には親油性成分が付着しやすくなったためと考えられる。
本実施形態において、当該包装袋の外表面における水の接触角をθ1とし、当該包装袋の内表面における水の接触角をθ2とした時、θ1/θ2の値は、1以上9以下であるが、好ましくは、1以上8以下であり、より好ましくは、1.3以上7以下である。本包装袋について上述したθ1/θ2の値が上記数値範囲内となるように制御することで、包装袋の外表面に対するインキ印刷適性と、包装袋の内表面における結露防止性とのバランスを向上させることができる。なお、水の接触角の値は、小さいほど対象物の表面が水に濡れやすいことを示し、高いほど対象物の表面が水をはじきやすいことを示すものである。また、かかる水の接触角の測定方法としては、たとえば、協和界面科学社製、DROPMASTER−501等の市販の接触角計を使用し、測定対象表面に精製水2μLを着滴して7秒後の水接触角を液滴法にて測定する手法がある。
本包装袋の外表面における水の接触角θ1の値は、包装袋の外表面に対するインキ印刷適性を良好なものとする観点から、好ましくは、30°以上100°以下であり、さらに好ましくは、40°以上90°以下であり、最も好ましくは、50°以上90°以下である。
本包装袋の内表面における水の接触角θ2の値は、保存した青果物にカビが発生することを高度に抑制する観点から、好ましくは、3°以上60°以下であり、さらに好ましくは、5°以上55°以下であり、最も好ましくは、10°以上50°以下である。
また、本実施形態においては、合成樹脂フィルムの20℃、80%RHにおける酸素透過率をTとし、合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率をTとした時、T/Tの値が、好ましくは、0.001cc/g・atm以上17000cc/g・atm以下であり、より好ましくは、0.1cc/g・atm以上15000cc/g・atm以下であり、さらに好ましくは、1cc/g・atm以上5000cc/g・atm以下であり、最も好ましくは、15cc/g・atm以上1000cc/g・atm以下である。本包装袋に関し、上述したT/Tの値が上記数値範囲内となるように制御することで、該包装袋内に青果物を収容して保存した場合に、包装袋内の条件を青果物の保存に適した低酸素、高二酸化炭素条件とすることができる。また、上述したT/Tの値が上記数値範囲内となるように制御することで、青果物を包装してからの時間経過に伴って、当該包装袋内の条件がカビの生育に適した条件に変動してしまうことを抑制することもできる。
また、合成樹脂フィルムの20℃、80%RHにおける酸素透過率Tは、好ましくは、2cc/m・day・atm以上500000cc/m・day・atm以下であり、より好ましくは、10cc/m・day・atm以上100000cc/m・day・atm以下であり、さらに好ましくは、500cc/m・day・atm以上50000cc/m・day・atm以下であり、最も好ましくは、5000cc/m・day・atm以上50000cc/m・day・atm以下である。本実施形態において、上述した酸素透過率Tの値が上記数値範囲内となるように制御することで、より長い期間青果物の鮮度を安定的に保持することが可能な包装袋とすることができる。
なお、20℃、80%RHにおける酸素透過率Tの値は、たとえば、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX−TRAN 2/21)を使用して、JIS K7126−2における付属書Bに準拠した方法で測定することができる。また、合成樹脂フィルムの酸素透過率Tの値は、たとえば、窒素を充填させた直後の包装袋と、窒素を充填させてから一定時間放置した後の包装袋のそれぞれに関し、包装袋内の酸素濃度を測定し、その酸素濃度勾配から算出することもできる。
合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率Tは、好ましくは、30g/m・day以上180g/m・day以下であり、さらに好ましくは、40g/m・day以上120g/m・day以下であり、最も好ましくは、50g/m・day以上110g/m・day以下である。こうすることで、より一層内表面の結露防止性を向上させることが可能であるとともに、長い期間青果物の鮮度を安定的に保持することが可能な、青果物カビ増殖抑制包装袋とすることができる。
なお、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率Tの値は、たとえば、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(パーマトラン(登録商標)PERMATRAN−W 3/61)を使用して、JIS K7129Bに準拠した方法で測定することができる。また、合成樹脂フィルムの水蒸気透過率Tの値は、JIS Z0208(カップ法)に準拠した方法によっても測定することができる。
次に、合成樹脂フィルムの材料について説明する。
合成樹脂フィルムを構成する合成樹脂は、青果物の包装に用いることのできるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。上記合成樹脂の具体例としては、各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル樹脂、6ナイロンなどのポリアミド樹脂などが挙げられる。これらはホモポリマーであってもかまわないし、2種類以上のコポリマーであってもよく、これらホモポリマーやコポリマーを2種類以上含むブレンド物であってもよい。
また、上記各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体の具体例としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン−直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーやエチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−α−オレフィンコポリマーなどのコポリマーあるいはアイオノマーなどが挙げられ、これらあるいはこれらと他の樹脂との2種類以上のブレンド物であってもよい。
また、本実施形態においては、合成樹脂フィルムとして、前述で例示した合成樹脂を成型して得られるフィルムを単層フィルムとして用いてもよいし、厚み方向に2以上の層が積層された多層構造を有するフィルム、すなわち2層以上の積層構造を有する多層フィルムの形で用いてもよい。本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、上述したインキ印刷適性と、上述した結露防止性とをバランスよく両立する観点から、厚み方向に2以上の層が積層された多層構造を有するものが好ましい。
以下、合成樹脂フィルムが上述した多層フィルムである場合を例に挙げて説明する。
本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、当該包装袋の内表面がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂内層から形成されるよう、かかるフィルムの一方の表面がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂材料により形成されたものであることが好ましい。こうすることで、包装袋の内表面における結露防止性を向上させることができる。また、包装袋の内表面を形成する樹脂内層を形成する材料中には、公知の防曇剤を含有させてもよい。上記防曇剤の具体例としては、グリセリンラウレート、ジグリセリンラウレート、デカグリセリンラウレートおよびグリセリンモノステアレート及びソルビタンステアレート等が挙げられる。
また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、当該包装袋の外表面がポリアミド樹脂材料を含む樹脂外層から形成されるよう、かかるフィルムの一方の表面がポリアミド樹脂を含む樹脂材料により形成されたものであることが好ましい。こうすることで、包装袋の外表面におけるインキ印刷適性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、一方の表面がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂材料により形成され、かつ他方の表面がポリアミド樹脂を含む樹脂材料により形成されたものであることが好ましい。こうすることで、包装袋の外表面に対するインキ印刷適性と、包装袋の内表面における結露防止性とを両立し、かつ該包装袋の内部空間に青果物の保存に適した条件を安定的に構築することができる。
また、本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、厚み方向に積層された3層以上の多層構造を有しており、かつ上記多層構造における2の最外層間に配された中間層を有するものであってもよい。いわば、本実施形態に係る合成樹脂フィルムは、中間層を有した3層以上の多層フィルムであってもよい。そして、かかる中間層の厚みは、好ましくは、0.001μm以上0.5μm以下であり、より好ましくは、0.01μm以上0.45μm以下である。なお、中間層を形成する材料としては、公知のアンカーコート剤を使用することができる。上記アンカーコート剤の具体例としては、有機チタン系アンカーコート剤、ウレタン系アンカーコート剤、イミン系アンカーコート剤およびブタジエン系アンカーコート剤等が挙げられる。
フィルムの成型方法は、特に限定されないが、押出、インフレーション、カレンダーリング等の方法が用いられる。フィルムを成型する際、必要に応じて防曇剤等の添加物を混練してもよいし、2種類以上の樹脂をブレンドしてもよい。また、フィルムに対して、延伸処理やアニーリング処理などを施してもよい。これらのフィルム表面にシーラント層を設けたものであってもよいし、何らかの機能を付与するためにコーティングしたフィルムであってもよい。さらに、これらのフィルムは透明であっても、不透明であってもよく、フィルムの製品情報が印刷されたものであってもよい。
本包装袋に用いられる合成樹脂フィルムの厚さは、たとえば20μm以上40μm以下とすればよい。フィルムが薄すぎると、強度が不足する懸念がある。一方、フィルムが厚すぎると、製造コストが高くなるため実用性が低下する。さらに、これらのフィルムは透明であっても、不透明であってもよい。
また、本包装袋に用いられる合成樹脂フィルムは、微細な貫通孔(以下、微細孔ともいう。)が設けられたものであってもよい。ただし、本包装袋を微細孔が設けられた合成樹脂フィルムにより構成する場合、かかる合成樹脂フィルムとしては、青果物の呼吸速度と、かかる該包装袋自体のガス透過性能(酸素透過性や水蒸気透過性等)とのバランスを調節できるものを用いる必要がある。
合成樹脂フィルムの表面に設ける微細孔の平面形状は、たとえば、円形、多角形およびスリットなどの形状がある。また、本実施形態に係る微細孔は、フィルムに設けた切れ込みであってもよい。ここで、「円形」とは、真円形に限定されず、ほぼ円形であればよい。また、円形以外にも、半円形や三日月形状であってもよい。「多角形」とは、三角形、四角形、および五角形等の三つ以上の線分によって囲まれた形状であればよい。また、当該包装袋において、外表面における微細孔の平面形状と、内表面における貫通孔の平面形状とが、略同一形状であることが好ましい。なお、円形の微細孔が開孔作業等の面でより望ましい。
そして、上記微細孔の穿孔方法は、特に限定されず、公知の手法を採用することができる。かかる公知の手法としては、たとえば、レーザー加工法や、熱針を含む針加工法等が挙げられる。
上述した微細孔の孔径(直径)は、出来るだけ小さいことが望ましく、それぞれ20μm以上2000μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以上800μm以下であり、さらに好ましくは、50μm以上600μm以下である。微細孔の孔径が、上記範囲にあることによって、当該包装袋を使用する環境の条件が変化した場合においても、青果物の鮮度を保持しつつ、青果物にカビが発生することをより一層安定的に抑制することができる。なお、貫通孔の孔径が20μm以上である場合、合成樹脂フィルムの生産性という観点において優れた包装袋を得ることができる。貫通孔の孔径が2000μm以下である場合、鮮度保持の品質精度という観点において優れた包装袋を得ることができる。なお、微細孔の形状が円形ではない場合には、真円相当径の値を上記孔径(直径)の値として採用することとする。
本実施形態において、合成樹脂フィルムに設ける微細孔の平均開口面積は、該合成フィルムを用いて作製した本包装袋のガス透過性能(酸素透過性や水蒸気透過性等)を高度に制御する観点から、上記微細孔1個あたり、3.1×10−4mm以上7.9×10−1mm以下であることが好ましく、1.2×10−3mm以上1.3×10−1mm以下であるとさらに好ましい。
本実施形態において、合成樹脂フィルムに設ける微細孔の数は、該合成フィルムを用いて作製した本包装袋のガス透過性能(酸素透過性や水蒸気透過性等)を高度に制御する観点から、好ましくは、フィルム1mあたり2個以上1000個以下であり、より好ましくは、フィルム1mあたり2個以上300個以下であり、さらに好ましくは、フィルム1mあたり2個以上280個以下である。
また、本実施形態において、微細孔の数は、本包装袋のガス透過性能(酸素透過性や水蒸気透過性等)を高度に制御する観点から、たとえば、1包装体あたり、1個以上としてもよいし、2個以上としてもよい。一方、微細孔の数の上限値は、たとえば、1包装体あたり、100個以下としてもよいし、50個以下としてもよいし、30個以下としてもよい。
また、微細孔の形状をスリット形状とする場合、長径方向の径が、たとえば2000μm以下であれば何等差し支えはない。なお、微細孔の形状がいびつな形状である場合、微細孔の開孔面積は、例えば、形状を計算し易い幾つかの形状に分けて面積を算出し、その後各面積の合計を算出することにより求めることができる。
また、合成樹脂フィルムに設けられた微細孔は、液体を滲みだせる構成としてもよい。このとき、見かけ上、孔がふさがっているものであっても、水等の液体が滲みだしてくるようであればよい。また、たとえば、孔径をコントロールして、常圧では水がほとんど滲み出さず、真空予冷中にのみ水が滲み出し放出されるように設計してもかまわない。
合成樹脂フィルムに設けられた微細孔が切れ込みである場合、フィルムに設けられる切れ込みの形状は、特に限定されない。切れ込みは一本の直線でもかまわないし、複数の直線が連結したものであってもよく、楕円形や円形等の孔の端部から直線状の亀裂が進展した形状であってもよいし、S字型、U字型、半円形、波型のような曲線部を有する形状、V字型、L字型、H字型、T字型、W字型、コ字型、×印のように角を有する形状でもよい。切れ込みの形状は、ここに示したものに限らない。切れ込みの形状は、複数種組み合わせて使用してもよい。
フィルムへの切れ込みの加工は、カッターのような鋭利な刃物で切っても良いし、所望の形状の切れ込みができるようにした型で打ち抜いても良い。また、レーザーによる加工も可能である。
切れ込みの加工時期は、特に限定されない。フィルムの製作時に行っても良いし、製袋時、或は製袋後に行っても良い。ロールの状態で加工する場合は、印刷やスリットなどと同時並行して加工することもでき、横ピロー機や縦ピロー機などの自動包装機で青果物を包装する際に加工することもできる。また、切れ込みの加工は、手作業でも可能であり袋1枚でも容易に作製可能である。
本包装袋の製造方法は、従来の製造方法とは異なるものであって、以下の2つの条件に係る各種因子を高度に制御することが特に重要である。すなわち、以下の2つの条件に係る各種因子を高度に制御する製造方法によって初めて、包装袋の内表面と外表面における水の接触角の比が特定の条件を満たすよう制御された青果物カビ増殖抑制包装袋を得ることができる。そのため、上述した包装袋の内表面と外表面における水の接触角の比が特定の条件を満たす包装袋を、従来の製造方法により得られた合成樹脂フィルムを用いて作製することは困難である。
(1)合成樹脂フィルムを形成する樹脂材料の選択に伴うヒートシール条件の最適化
(2)包装袋の外表面を形成する合成樹脂フィルム表面処理の有無
本包装袋には、青果物が包装される。
青果物は全般的に水分が多く含まれており、それらが蒸散することで包装内に結露することが多く、本包装袋を用いて該青果物を保存することが好適である。青果物の具体例としては、オオバ、ホウレンソウ、コマツナ、ミズナ、ミブナ、アスパラガス、クウシンサイ、レタス、タイム、セージ、パセリ、イタリアンパセリ、ローズマリー、オレガノ、レモンバーム、チャイブ、ラベンダー、サラダバーネット、ラムズイヤー、ロケット、ダンディライオン、ナスタチューム、バジル、ルッコラ、クレソン、モロヘイヤ、セロリ、ケール、ネギ、キャベツ、ハクサイ、シュンギク、サラダナ、サンチュ、フキ、ナバナ、チンゲンサイ、ミツバ、セリ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ、タマネギ、ショウガ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ラディッシュ、カブ、サツマイモ、ジャガイモ、ナガイモ、ヤマイモ、サトイモ、ジネンジョ、ヤマトイモ、ピーマン、パプリカ、シシトウ、キュウリ、ナス、トマト、ミニトマト、カボチャ、ゴーヤ、オクラ、スィートコーン、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、ソラマメ、シイタケ、エリンギ、シメジなどがあげられる。また、柑橘、りんご、ナシ、ブドウ、ブルーベリー、柿、イチゴ、メロン、マンゴーなどの果実類やキク、カーネーション、シンビジウム、チューリップ、サカキなどの切花などでも有効である。これらは、カットした状態、いわゆるカット野菜、カットフルーツでも有効である。中でも、本包装袋に収容する青果物は、リンゴやレモンなどの果実類、ナス、トマト、キュウリ、エダマメなどの果菜類、サツマイモ、サトイモ、ショウガ、ゴボウ、ジャガイモなどの根菜類、本シメジ、エリンギ、シイタケ、マイタケ、ハタケシメジなどの菌茸類およびブロッコリー、アスパラガスなどの花卉類からなる群のいずれかに分類される1種以上を含むことが好ましい。
また、本包装袋に収容する青果物は、10℃、75%RHにおける青果物の蒸気圧をPgとし、10℃、75%RHにおける純水の蒸気圧をPwとしたとき、Pg/Pwで表される青果物の水分活性値が、0.800以上0.999以下という条件を満たすものであることが好ましく、0.850以上0.990以下であるとさらに好ましい。こうすることで、青果物を当該包装袋内に収容してからの時間経過に伴って、上記青果物が呼吸することにより放出された微量の水蒸気による影響を受けることなく、収容した青果物の鮮度を長期間保持することができる。この理由としては、上述した水分活性値は、青果物が呼吸することにより放出された微量の水蒸気量と比例するため、収容する青果物の水分活性値が上述した条件を満たす場合には、当該包装袋の水蒸気透過性と青果物が呼吸することにより放出された微量の水蒸気量とのバランスを制御することができる点が挙げられる。なお、上述した水分活性値は、包装袋内の平衡相対湿度を100で除した値と一致する。
本実施形態においては、水洗した青果物や、雨あるいは露に濡れた青果物などを水切りすることなく包装することができるため、作業性が向上する。また、青果物の鮮度保持のため青果物を低温にしたい、または青果物への水分による影響をできるだけ早く取り除くため水分を少なくしたいという理由などで、青果物の水分のすべて、または一部を素早く蒸散させることもできる。このような場合、当該青果物を本実施形態における青果物カビ増殖抑制包装袋に入れて密封し、真空予冷してもよい。
本実施形態に係る包装体は、上述した青果物カビ増殖抑制包装袋により青果物を密閉してなる。
また、本実施形態における青果物の鮮度保持方法は、上述した青果物カビ増殖抑制包装袋を用いて青果物を包装する工程を含む。青果物カビ増殖抑制包装袋に青果物を包装した後は、密封することが好ましい。
本実施形態に係る包装体の内表面積(包装袋の袋サイズ(内寸))は、包装される青果物の形状、大きさ、体積、密度等に応じて設定することができる。そして、青果物100gあたりの包装体の内表面積は、たとえば100cm以上1000cm以下としてもよいし、300cm以上700cm以下としてもよい。
また、青果物の劣化の進行を安定的に抑制する観点から、本実施形態に係る包装体内の酸素濃度は、当該包装体を開封する前の状態で、たとえば0.1%以上19%未満であり、好ましくは1%以上17%以下である。
また、青果物の鮮度を安定的に維持する観点から、本実施形態に係る包装体を10℃、75%RHの条件下にて保存した際における、青果物の1日当たりの重量減少率は、好ましくは、0.03%以上3.0%以下であり、さらに好ましくは、0.05%以上2.0%以下であり、より好ましくは0.05%以上1.5%以下である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
本発明の参考形態を以下に付記する。
1.
青果物を内容物として収容するための青果物カビ増殖抑制包装袋であって、
当該青果物カビ増殖抑制包装袋は合成樹脂フィルムにより構成されており、
当該青果物カビ増殖抑制包装袋の外表面における水の接触角をθ1とし、当該青果物カビ増殖抑制包装袋の内表面における水の接触角をθ2とした時、θ1/θ2の値が1以上9以下である、青果物カビ増殖抑制包装袋。
2.
前記合成樹脂フィルムの20℃、80%RHにおける酸素透過率をT とし、前記合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率をT とした時、T /T の値が、0.001cc/g・atm以上17000cc/g・atm以下である、1.に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
3.
前記合成樹脂フィルムが、厚み方向に2以上の層が積層された多層構造を有する1.または2.に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
4.
当該青果物カビ増殖抑制包装袋の内表面がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂内層から形成される、1.乃至3.のいずれか一つに記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
5.
当該青果物カビ増殖抑制包装袋の外表面がポリアミド樹脂材料を含む樹脂外層から形成される、1.乃至4.のいずれか一つに記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
6.
前記合成樹脂フィルムの厚みが20μm以上40μm以下である、1.乃至5.のいずれか一つに記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
7.
前記合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が、30g/m ・day以上180g/m ・day以下である、1.乃至6.のいずれか一つに記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
8.
前記青果物が、果実類、果菜類、根菜類、菌茸類および花卉類からなる群のいずれかに分類される1種以上である、1.乃至7.のいずれか一つに記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
9.
1.乃至8.のいずれか一つに記載の青果物カビ増殖抑制包装袋により青果物を密封してなる青果物入り包装体。
10.
当該青果物入り包装体に密封されている前記青果物が、
10℃、75%RHにおける前記青果物の蒸気圧をPgとし、10℃、75%RHにおける純水の蒸気圧をPwとしたとき、Pg/Pwで表される前記青果物の水分活性値が、0.800以上0.999以下という条件を満たす青果物である、9.に記載の青果物入り包装体。
11.
1.乃至8.のいずれか一つに記載の青果物カビ増殖抑制包装袋を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。
12.
前記青果物が、10℃、75%RHにおける前記青果物の蒸気圧をPgとし、10℃、75%RHにおける純水の蒸気圧をPwとしたとき、Pg/Pwで表される前記青果物の水分活性値が、0.800以上0.999以下という条件を満たす青果物である、11.に記載の青果物の鮮度保持方法。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
まず、両面に対して予めコロナ放電処理を施した厚さ25μmの二軸延伸ナイロン(ユニチカ社製、エンブレムONBC)を準備した。次いで、かかる二軸延伸ナイロンフィルムの両面に、アンカーコート剤(大日精化工業社製のセイカボンドE−263と、大日精化工業社製のセイカボンドC−75N−1.5とを15:1.5の比率で配合した。)を用いて形成した厚さ0.014μmのアンカーコート層を介して、厚さ1.5μmのエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層(エチレン含有量;29mol%)を積層して合成樹脂フィルムを作製した。なお、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層としては、グリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートとを97重量部:3重量部の割合で配合した防曇剤を、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂全量に対して2.5重量%となるように添加したものを使用した。
次に、得られた合成樹脂フィルムに対して、1mあたり260個の微細孔を穿孔した。次いで、合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例1の包装袋を作製した。なお、ヒートシール条件は、シールの設定目盛を5.5とし、加圧・加熱時間2秒とした。また、穿孔した微細孔の平均開口面積は、上記微細個1個あたり、3.8×10−3mmであった。
<実施例2>
二軸延伸ナイロンフィルムの片面に厚さ0.014μmのアンカーコート層を形成し、かかるアンカーコート層を介して、厚さ1.5μmのエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層を積層して合成樹脂フィルムを作製した点、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層が袋の外表面を形成するように包装袋を作製した点以外は、実施例1と同様の方法で包装袋を作製した。
<実施例3>
グリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートとを97重量部:3重量部の割合で配合した防曇剤を、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂全量に対して4.0重量%となるように添加したものをエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として使用した点以外は、実施例2と同様の方法で包装袋を作製した。
<実施例4>
グリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートとを97重量部:3重量部の割合で配合した防曇剤を、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂全量に対して3.2重量%となるように添加したものをエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として使用した点、二軸延伸ナイロンフィルムにおける上記エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層を積層する側の面に対してのみ予めコロナ放電処理を施した点以外は、実施例2と同様の方法で包装袋を作製した。
<実施例5>
グリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートとを97重量部:3重量部の割合で配合した防曇剤を、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂全量に対して4.5重量%となるように添加したものをエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として使用した点以外は、実施例4と同様の方法で包装袋を作製した。
<実施例6>
二軸延伸ナイロンフィルムにおける包装袋の外表面を形成する側の面に積層するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として、防曇剤を添加していないものを使用した点以外は、実施例1と同様の方法で包装袋を作製した。
<実施例7>
二軸延伸ナイロンフィルムにおける包装袋の内表面を形成する側の面に積層するエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として、グリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートとを97重量部:3重量部の割合で配合した防曇剤を、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂全量に対して4.9重量%となるように添加したものを使用した点以外は、実施例6と同様の方法で包装袋を作製した。
<比較例1>
二軸延伸ナイロンフィルムの両面に厚さ0.014μmのアンカーコート層を形成し、片方の面には厚さ1.5μmのエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として実施例1と同様に防曇剤を添加したものを使用し、他方の面にはエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として防曇剤を添加していないものを使用した点、上述した防曇剤が添加されていないエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層が袋の内表面を形成するように包装袋を作製した点以外は、実施例1と同様の方法で包装袋を作製した。
<比較例2>
二軸延伸ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サン・トックス社製、サントックス−OP PA20)を使用した点、グリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートとを97重量部:3重量部の割合で配合した防曇剤を、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂全量に対して4.9重量%となるように添加したものを使用した点以外は、実施例4と同様の方法で包装袋を作製した。
<比較例3>
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの両面に予めコロナ放電処理を施し、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層として、防曇剤を添加していないものを使用した点以外は、比較例2と同様の方法で包装袋を作製した。
<実施例8>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例8の包装袋を作製した。
<実施例9>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、実施例2と同様の方法で実施例9の包装袋を作製した。
<実施例10>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、実施例3と同様の方法で実施例10の包装袋を作製した。
<実施例11>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、実施例4と同様の方法で実施例11の包装袋を作製した。
<実施例12>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、実施例5と同様の方法で実施例12の包装袋を作製した。
<実施例13>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、実施例6と同様の方法で実施例13の包装袋を作製した。
<実施例14>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点、および2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成した点以外は、実施例7と同様の方法で実施例14の包装袋を作製した。
<比較例4>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、比較例1と同様の方法で比較例4の包装袋を作製した。
<比較例5>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、比較例2と同様の方法で比較例5の包装袋を作製した。
<比較例6>
合成樹脂フィルムに対して微細孔を穿孔することなく、かかる合成樹脂フィルムを切り出した点以外は、比較例3と同様の方法で比較例6の包装袋を作製した。
得られた青果物カビ増殖抑制包装袋について、下記に示す測定及び評価を行った。
(評価項目)
・水の接触角:得られた各包装袋の内表面および外表面の両面について、接触角計(協和界面科学社製、DROPMASTER−501)を用い、測定面に精製水2μLを着滴してから7秒後の接触角を液滴法にて測定した。なお、単位は、°である。また、包装袋の外表面における水の接触角をθ1とし、包装袋の内表面における水の接触角をθ2とした。
・酸素透過率1:実施例1〜7および比較例1〜3の合成樹脂フィルムの酸素透過率Tは、以下の方法で測定した。なお、単位は、cc/m・day・atmである。
(1)袋の準備
実施例1〜7および比較例1〜3の合成樹脂フィルムを用いて包装袋を作製した。この際、上記合成樹脂フィルムの表面以外の箇所から酸素が漏れ出さないように、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて作製した包装袋の4方全てにヒートシール加工を施して該包装袋を密封した。なお、上述した方法で作製した包装袋は、その内表面積が、いずれも0.06m以上となるようにした。
なお、以下の全ての作業は、大気中で行った。
(2)窒素ガスの封入
上述した方法で包装袋を密封した後、アスピレーターを用いて包装袋の両面が貼りつくまで脱気処理を施した。次に、包装袋に白硬注射筒を用いて窒素ガス(純度99.9%以上)を充填した。窒素ガスの充填量は、合成樹脂フィルムにテンションがかからない範囲で極力多く入れ、注射筒の目盛りを用いて測定した。なお、ガスの脱気、注入は、注射針を袋に突き刺して行った。針を刺す際は、フィルムに両面テープを貼り、この上からポリプロピレンフィルム製の粘着テープ(以下「PPテープ」という)を貼り付けた。また、針を抜いた後は、速やかにPPテープで針孔を塞いだ。袋に貼るテープは、4.5cm以下の面積に収まるようにした。ただし、PPテープにより包装袋に穿孔した微細孔を塞がないようにした。
(3)初期酸素濃度測定
窒素ガス充填直後(t=0)の包装袋内の初期酸素濃度(C)を測定した。包装袋内のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(TCD)で袋内の初期酸素濃度(C)を求めた。Cは0.2%以下であり、これを超える場合は、作業をやり直した。酸素濃度測定のためのサンプリングガスは、10cc以下とした。ガスクロマトグラフィーに注入する場合は、1cc程度のサンプリングガスを注入した。
(4)袋の保存
次に、初期酸素濃度を測定した袋を、庫内の条件が20℃、80%RHに制御された恒温恒湿庫で保存した。このとき、包装袋の上に物が載ったり、恒温恒湿庫のファンの風が直撃したりしないように静置した。
(5)保存中の袋内酸素濃度の測定及び酸素透過率の計算
袋内酸素濃度は、以下の方法で合計3点以上測定した。まず、窒素ガスを充填した直後に袋内酸素濃度を測定した。次に、窒素ガスを充填してから3時間以上経過した後、所定のタイミングで合計2点以上の袋内酸素濃度を測定した。なお、窒素ガスを充填してから3時間以上経過した後に測定した袋内酸素濃度は、1体積%以上7体積%以下の値を示すもののみを2点以上採用した。また、窒素ガスを充填してからの経過時間t(day)と袋内酸素濃度(Ct)間には比例関係(相関係数が0.98以上)が成り立つ必要があるため、相関係数が成り立たない場合は再試験を行った。
また、包装袋を形成する合成樹脂フィルムの酸素透過率が大きすぎることにより袋内酸素濃度の上昇が速すぎて、上述した条件をクリアできない場合には、包装袋を形成する合成樹脂フィルムの一部を酸素透過率の値が公知となっており、かかるフィルムより小さく、かつ同じ材質のフィルムと貼り合わせて包装袋を作成しなおし、上述した方法で再度、袋内酸素濃度の値を測定した。この際、求められた酸素透過率の値から、上述した方法で包装袋を作成しなおした際に貼り合わせたフィルム部分の酸素透過率を差し引いたものを測定に用いた合成樹脂フィルムの酸素透過率とした。酸素透過率は、経過時間が長いほうの値を用い、以下の計算式により算出した。なお、下記式において、kの値は大気中の酸素濃度を考慮し、21と設定した。
式:F={(C−C)/k}×V÷t÷s
但し、
F:合成樹脂フィルムの酸素透過率(cc/m・day・atm)
:窒素ガス充填後t時間後における袋内酸素濃度(体積%)
:窒素ガス充填直後の袋内酸素濃度(体積%)
k:濃度補正係数
V:充填した窒素ガスの量(cc)
t:ガス充填時からの経過時間(day)
s:袋の表面積(m
・酸素透過率2:実施例8〜14および比較例4〜6の合成樹脂フィルムの酸素透過率Tは、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(オキシトラン(登録商標)OX−TRAN 2/21)を使用して、JIS K7126−2における付属書Bに準拠した方法で測定した。測定条件は、20℃、80%RHに設定した。なお、単位は、cc/m・day・atmである。
・水蒸気透過率:合成樹脂フィルムの水蒸気透過率Tは、JIS Z0208(カップ法)に準拠した方法で測定した。測定条件は、40℃、90%RHに設定した。また、秤量は、23℃、50%RHの条件下実施した。なお、単位は、g/m・dayである。
また、合成樹脂フィルムの水蒸気透過率が大きすぎることによりJIS Z0208(カップ法)に準拠した方法を使用できない場合には、カップの代わりに50mm×100mmの袋に塩化カルシウムをヒートシールで密封包装して、この袋の重さの経時変化より水蒸気透過率を算出した。この場合、袋の保管期間は、塩化カルシウムが吸湿仕切らない範囲内とした。
上記評価項目に関する評価結果を以下の表1および表2に示す。なお、下記表1および表2においては、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂層をEVOHと示し、二軸延伸ナイロンフィルムによって形成された層をNyと示し、二軸延伸ポリプロピレンフィルムによって形成された層をPPと示し、アンカーコート層をACと示す。
Figure 0006372510
Figure 0006372510
次に、実施例1〜7および比較例1〜3の包装袋を用いて、当該包装袋に青果物としてリンゴ、トマト、サツマイモおよびレモンを個々に密封してなる青果物入り包装体を作製した。同様に、実施例8〜14および比較例4〜6の包装袋を用いて、当該包装袋に青果物としてサツマイモを密封してなる青果物入り包装体を作製した。また、かかる青果物の内、リンゴ、トマト、サツマイモおよびレモンについて、10℃、75%RHの条件下測定した水分活性値(Pg/Pw)は、以下の表3に示すとおりであった。なお、水分活性値は、包装袋の内部に湿度計(日置電機社製、データミニLR5001)を青果物と同封するという手法で包装袋内の平衡相対湿度を測定し、得られた上記平衡相対湿度の値を100で除すことにより算出した。
作製した包装体の外表面には、当該包装体を作製した直後に水性マジックを用いて青果物の情報を記載した。くわえて、実施例4については、リンゴ、トマト、サツマイモおよびレモンの他に、サトイモ、ナス、キュウリ、エダマメ、ショウガ、ブロッコリー、アスパラガス、ゴボウ、本シメジ、エリンギ、シイタケ、マイタケを個々に密封してなる青果物入り包装体も作製した。
具体的には、以下の方法で、各青果物入り包装体を作製した。
袋サイズ(内寸)が200×200mmとなるように作製した実施例1〜7および比較例1〜3の包装袋の内部空間に、リンゴ341gをそれぞれ密封包装することにより、実施例1〜7および比較例1〜3に係るリンゴ入り包装体を作製した。得られたリンゴ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、それぞれ1包装体あたり21個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が200×250mmとなるように作製した実施例1〜7および比較例1〜3の包装袋の内部空間に、トマト244gをそれぞれ密封包装することにより、実施例1〜7および比較例1〜3に係るトマト入り包装体を作製した。得られたトマト入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、それぞれ1包装体あたり26個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が200×280mmとなるように作製した実施例1〜14および比較例1〜6の包装袋の内部空間に、サツマイモ475gをそれぞれ密封包装することにより、実施例1〜14および比較例1〜6に係るサツマイモ入り包装体を作製した。得られたサツマイモ入り包装体の内、実施例1〜7および比較例1〜3に係るサツマイモ入り包装体には熱シール部分以外の領域に、それぞれ1包装体あたり29個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が150×150mmとなるように作製した実施例1〜7および比較例1〜3の包装袋の内部空間に、レモン95gをそれぞれ密封包装することにより、実施例1〜7および比較例1〜3に係るレモン入り包装体を作製した。得られたレモン入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、それぞれ1包装体あたり12個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が150×150mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、サトイモ297gを密封包装することにより、実施例4に係るサトイモ入り包装体を作製した。得られたサトイモ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり12個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が180×200mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、ナス291gを密封包装することにより、実施例4に係るナス入り包装体を作製した。得られたナス入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり19個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が185×250mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、キュウリ317gを密封包装することにより、実施例4に係るキュウリ入り包装体を作製した。得られたキュウリ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり24個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が180×150mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、エダマメ163gを密封包装することにより、実施例4に係るエダマメ入り包装体を作製した。得られたエダマメ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり14個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が150×120mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、ショウガ103gを密封包装することにより、実施例4に係るショウガ入り包装体を作製した。得られたショウガ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり9個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が190×250mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、ブロッコリー188gを密封包装することにより、実施例4に係るブロッコリー入り包装体を作製した。得られたブロッコリー入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり25個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が80×280mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、アスパラガス102gを密封包装することにより、実施例4に係るアスパラガス入り包装体を作製した。得られたアスパラガス入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり12個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が90×480mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、ゴボウ217gを密封包装することにより、実施例4に係るゴボウ入り包装体を作製した。得られたゴボウ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり22個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が180×130mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、本シメジ112gを密封包装することにより、実施例4に係る本シメジ入り包装体を作製した。得られた本シメジ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり12個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が150×200mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、エリンギ120gを密封包装することにより、実施例4に係るエリンギ入り包装体を作製した。得られたエリンギ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり16個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が140×180mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、シイタケ118gを密封包装することにより、実施例4に係るシイタケ入り包装体を作製した。得られたシイタケ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり13個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
袋サイズ(内寸)が210×160mmとなるように作製した実施例4の包装袋の内部空間に、マイタケ115gを密封包装することにより、実施例4に係るマイタケ入り包装体を作製した。得られたマイタケ入り包装体には、熱シール部分以外の領域に、1包装体あたり17個の微細孔が穿孔されていることが確認された。
Figure 0006372510
また、上記包装体は、18℃にて10日間保存し、青果物の外観、臭い、食味など品質変化を追跡した。
得られた実施例1〜7および比較例1〜3に係る各包装体について、下記に示す測定及び評価を行った。実施例8〜14および比較例4〜6に係る各包装体については、下記に示す重量減少率以外の評価を行った。
(評価項目)
・重量減少率:10℃、75%RHにおける重量減少率は、以下の手順で測定した。まず、青果物を包装した袋の重量について、試験初日の重量(W0)と試験開始後4日目の重量(W4)を電子天秤で測定した。次に、得られた袋の重量から、以下の計算式により算出される値を、重量減少率とした。なお、単位は、重量%とした。
計算式:重量減少率=(W0−W4)/W0×100
・インキ印刷適性:18℃にて10日間保存した包装体の外表面を目視にて観察し、包装袋を作製した直後に水性マジックを用いて記載した青果物の情報について、以下の基準で評価した。
◎:保存前と同じであった。
○:保存前と比べてやや薄かった(実用上問題ないレベルである。)。
×:記載した情報が薄れていた。
・結露防止性:18℃にて10日間保存した包装体を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:結露は生じていなかった。
○:結露はほぼ生じていなかった(一部のみあり、実用上問題ないレベルである。)。
×:結露が生じていた。
・カビの有無:18℃にて10日間保存した包装体内に収容した青果物の表面に生育したカビを目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:カビが青果物に生えていることを目視にて確認できなかった。
×:カビが青果物に生えていることを目視にて確認できた。
・青果物の保存性:18℃にて10日間保存した包装体内に収容した青果物の劣化具合について、熟練した4名のパネラーが以下の基準で評価した。なお、青果物の保存性に係る評価結果は、各パネラーの評価点の平均点とした。
4点:良好な保存状態であった。
3点:やや劣化しているが、購入しても問題ない程度の状態であった。
2点:明らかに劣化しており購入することには問題があるものの、食べることはできる程度の状態であった。
1点:著しく劣化しており、食すこともできない程度の状態であった。
上記評価項目に関する評価結果を、以下の表4および表5に示す。
また、実施例4の包装袋を用いて、リンゴ、トマト、サツマイモおよびレモン以外の青果物を包装してなる各種青果物入り包装体の保存評価結果については、以下の表6に示す。
Figure 0006372510
Figure 0006372510
Figure 0006372510
実施例の包装袋は、いずれも、当該包装袋の外表面に対するインキ印刷適性と、当該包装袋の内表面における結露防止性とを両立し、かつ保存した青果物にカビが発生することを抑制できるものであった。一方、比較例1および4の包装袋は、インキ印刷適性等の観点において要求水準を満たすものではなかった。比較例2、3、5および6の包装袋は、防カビ性等の観点において要求水準を満たすものではなかった。

Claims (14)

  1. 青果物を内容物として収容するための青果物カビ増殖抑制包装袋であって、
    当該青果物カビ増殖抑制包装袋は合成樹脂フィルムにより構成されており、
    当該青果物カビ増殖抑制包装袋の外表面における水の接触角をθ1とし、当該青果物カビ増殖抑制包装袋の内表面における水の接触角をθ2とした時、θ1/θ2の値が1以上9以下であり、
    θ1の値は30°以上100°以下であり、θ2の値は3°以上60°以下である、青果物カビ増殖抑制包装袋。
  2. θ1/θ2の値が1.3以上7以下である、請求項1に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  3. 前記合成樹脂フィルムが、厚み方向に2以上の層が積層された多層構造を有する請求項1または2に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  4. 当該青果物カビ増殖抑制包装袋の内表面がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂内層から形成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  5. 当該青果物カビ増殖抑制包装袋の外表面がポリアミド樹脂材料を含む樹脂外層から形成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  6. 当該青果物カビ増殖抑制包装袋の外表面がエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂外層から形成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  7. 前記合成樹脂フィルムの厚みが20μm以上40μm以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  8. 前記合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が、30g/m・day以上180g/m・day以下である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  9. 前記青果物が、果実類、果菜類、根菜類、菌茸類および花卉類からなる群のいずれかに分類される1種以上である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  10. 前記合成樹脂フィルムに微細孔が穿孔されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋により青果物を密封してなる青果物入り包装体。
  12. 当該青果物入り包装体に密封されている前記青果物が、
    10℃、75%RHにおける前記青果物の蒸気圧をPgとし、10℃、75%RHにおける純水の蒸気圧をPwとしたとき、Pg/Pwで表される前記青果物の水分活性値が、0.800以上0.999以下という条件を満たす青果物である、請求項1に記載の青果物入り包装体。
  13. 請求項1乃至1のいずれか一項に記載の青果物カビ増殖抑制包装袋を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。
  14. 前記青果物が、10℃、75%RHにおける前記青果物の蒸気圧をPgとし、10℃、75%RHにおける純水の蒸気圧をPwとしたとき、Pg/Pwで表される前記青果物の水分活性値が、0.800以上0.999以下という条件を満たす青果物である、請求項1に記載の青果物の鮮度保持方法。
JP2016072045A 2015-04-01 2016-03-31 青果物カビ増殖抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 Active JP6372510B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015074963 2015-04-01
JP2015074963 2015-04-01

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018089012A Division JP6747470B2 (ja) 2015-04-01 2018-05-07 青果物結露抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016193759A JP2016193759A (ja) 2016-11-17
JP2016193759A5 JP2016193759A5 (ja) 2018-03-15
JP6372510B2 true JP6372510B2 (ja) 2018-08-15

Family

ID=57323443

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016072045A Active JP6372510B2 (ja) 2015-04-01 2016-03-31 青果物カビ増殖抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法
JP2018089012A Active JP6747470B2 (ja) 2015-04-01 2018-05-07 青果物結露抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018089012A Active JP6747470B2 (ja) 2015-04-01 2018-05-07 青果物結露抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6372510B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6859801B2 (ja) * 2017-03-29 2021-04-14 住友ベークライト株式会社 防カビ樹脂フィルム、防カビ積層フィルム及び防カビ包装体
JP7266360B2 (ja) * 2017-03-31 2023-04-28 住友ベークライト株式会社 根菜類用鮮度保持包装袋、根菜類入り包装体、根菜類の発芽防止方法および根菜類の緑化防止方法
JP6689800B2 (ja) * 2017-09-01 2020-04-28 北海道電力株式会社 腐敗抑制方法
JP2020128237A (ja) * 2019-02-08 2020-08-27 住友ベークライト株式会社 青果物鮮度保持包装容器の製造方法、および、青果物鮮度保持包装容器
JP7257245B2 (ja) * 2019-05-13 2023-04-13 旭化成株式会社 フィルム
JP6888657B2 (ja) * 2019-09-25 2021-06-16 住友ベークライト株式会社 青果物鮮度保持包装容器、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法
JP6977788B2 (ja) * 2020-01-08 2021-12-08 宇部興産株式会社 セメント組成物の製造方法、及びセメント組成物の製造システム
JP6888712B1 (ja) * 2020-04-22 2021-06-16 住友ベークライト株式会社 青果物鮮度保持包装容器、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5434796B2 (ja) * 1972-09-16 1979-10-29
WO1997030911A1 (en) * 1996-02-20 1997-08-28 Ben-Tzur, Israel Plastic packaging material
JP2005186484A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Toyobo Co Ltd 印刷用透明ポリエステルフィルム
JP2006334966A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Toray Ind Inc 空洞含有白色積層ポリエステルフィルム
JP2013112385A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Sumitomo Bakelite Co Ltd 青果物用包装袋及び青果物包装体
JP5934554B2 (ja) * 2012-03-30 2016-06-15 大王製紙株式会社 感圧複写用顕色シート及び感圧複写紙
JP2013231901A (ja) * 2012-05-01 2013-11-14 Dic Corp 保護フィルム及び加飾保護フィルム
JP2013249068A (ja) * 2012-05-30 2013-12-12 Sumitomo Bakelite Co Ltd 青果物用包装袋及び青果物包装体
JP6102113B2 (ja) * 2012-07-30 2017-03-29 住友ベークライト株式会社 青果物用包装袋および青果物包装体
JP6146061B2 (ja) * 2013-03-08 2017-06-14 住友ベークライト株式会社 青果物用包装袋および青果物包装体
JP6111789B2 (ja) * 2013-03-28 2017-04-12 Dic株式会社 両面粘着テープ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016193759A (ja) 2016-11-17
JP6747470B2 (ja) 2020-08-26
JP2018122942A (ja) 2018-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6372510B2 (ja) 青果物カビ増殖抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法
JP6786843B2 (ja) 根菜用鮮度保持包装袋、根菜入り包装体、根菜の発芽防止方法および根菜の変色防止方法
JP2014208544A (ja) 青果物鮮度保持包装袋の製造方法
JP6361795B2 (ja) 青果物鮮度保持包装袋、これを用いた青果物入り包装体および青果物鮮度保持方法
JP7308590B2 (ja) 包装フィルムの製造方法、包装袋の製造方法、包装容器の製造方法、蓋材の製造方法、包装体の製造方法
JP2015037972A (ja) 青果物鮮度保持包装袋、これを用いた青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法
JP2015212161A (ja) 青果物鮮度保持容器およびその製造方法、青果物入り包装体、青果物の保存方法ならびに青果物の運搬方法
JP2010228806A (ja) 青果物鮮度保持包装袋およびそれを用いた青果物鮮度保持方法
JP6168228B1 (ja) 青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法
JP6439275B2 (ja) 青果物鮮度保持包装袋、これを用いた青果物入り包装体および青果物鮮度保持方法
JP6146061B2 (ja) 青果物用包装袋および青果物包装体
JP6826681B1 (ja) カット野菜の鮮度保持方法
WO2014103920A1 (ja) 青果物鮮度保持包装袋、これを用いた青果物入り包装体および青果物鮮度保持方法
JP2013035603A (ja) エダマメ鮮度保持包装袋およびそれを用いたエダマメ鮮度保持方法
JP2018172176A (ja) 青果物鮮度保持容器、青果物入り包装体、及び青果物の貯蔵方法
JP2012144278A (ja) 青果物用包装袋及び青果物包装体
JP7266360B2 (ja) 根菜類用鮮度保持包装袋、根菜類入り包装体、根菜類の発芽防止方法および根菜類の緑化防止方法
JP2018076121A (ja) 青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法
JP7251108B2 (ja) 青果物入り包装体、及び青果物の鮮度保持方法
JP7259233B2 (ja) 青果物鮮度保持袋、青果物入り包装体、青果物鮮度保持方法、及び青果物鮮度保持袋の製造方法
JP7010346B1 (ja) 青果物鮮度保持袋、青果物包装体および青果物の鮮度保持方法
JP7024182B2 (ja) 青果物鮮度保持包装袋、青果物入り包装体、青果物鮮度保持方法、及び青果物鮮度保持包装袋の製造方法
JP2013081485A (ja) 青果物鮮度保持包装袋およびそれを用いた青果物鮮度保持方法
JP2020079091A (ja) 青果物入り包装体、及び青果物の包装方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180130

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180130

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180410

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180507

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6372510

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150