JP6146061B2 - 青果物用包装袋および青果物包装体 - Google Patents
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Description
また、ポリスチレン、ポリアミドなどの水蒸気透過率の高いフィルムで青果物を包装することで結露をなくすことも検討されているが、青果物がしおれやすいので鮮度保持が難しい、フィルムの強度が低くかったり、或いは吸湿してフィルムの腰が無くなったりするので見栄えが悪くなる、ヒートシール性が悪いので製袋し難いなどの問題点があるためほとんど実用化にいたっていない。
しかし、当該公報の内容では、保管中にフィルムが吸湿してシワになり、包装体の見栄えが悪かったり、水蒸気透過率が高すぎて青果物がしおれやすかったり、フィルムの粘性が高いため青果物に貼りつきやすいといった欠点があった。
また、フィルムの透明性が悪い、ヒートシール性が悪くて加工し難いといった面でも問題があった
(1)青果物を包装するために用いられ、合成樹脂フィルムで構成される青果物用包装袋であって、前記合成樹脂フィルムは、前記青果物を包装した際に前記青果物側となる面に、厚さ0.5μm以上、10μm以下のヒートシール層を有し、水蒸気透過度が35g/m2・day(40℃・90%RH)以上、120g/m2・day(40℃・90%RH)以下であり、かつ、前記青果物を包装した際に前記青果物側となる面における水の接触角が0°超、60°以下であることを特徴とする青果物用包装袋。
(2)前記ヒートシール層は防曇剤を含むものである上記(1)に記載の青果物用包装袋。
(3)前記防曇剤の含有量はヒートシール層全体に対して、1.5重量%以上、30重量%以下である上記(2)に記載の青果物用包装袋。
(4)前記合成樹脂フィルムは、その酸素透過速度が80cc/m2・day・atm以上、500,000cc/m2・day・atm以下である上記(1)ないし(3)に記載の青果物用包装袋。
(5)前記青果物100gあたりの袋内表面積が100cm2以上、600cm2以下である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の青果物用包装袋。
(6)前記合成樹脂フィルムは、その厚さが10μm以上、50μm以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の青果物用包装袋。
(7)前記合成樹脂フィルムは、延伸ナイロン、延伸ポリ乳酸、または延伸ポリスチレンのいずれか1つ以上を含むものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の青果物用包装袋。
(8)オクラ、エダマメ、ブロッコリー、ナス、ピーマン、パプリカ、シイタケ、エリンギ、マイタケ、シメジ、マツタケ、栗、イチゴ、ライチ、バナナ、マンゴー、メロン、ブドウ、ブルーベリー、リンゴ、柿、ビワ、イチジク、西洋梨、温州ミカン、中晩柑、レモン、カボス、タマネギ、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモのうちのいずれかを前記青果物として包装する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の青果物用包装袋。
(9)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の青果物用包装袋と、該青果物用包装袋で包装された青果物とを有することを特徴とする青果物包装体。
これによって、青果物を包装した際にフィルムのコシが保たれるとともにシワになりにくく青果物包装体としての見栄えが良好に保たれるとともに、フィルムの透明性が損なわれにくくなる。また、ヒートシール性も得られるため、青果物を横ピロー機や縦ピロー機といった包装機での自動包装や製袋が可能となる。
尚、前記合成樹脂フィルムは、前記青果物を包装した際に前記青果物側となる面の全面に、前記ヒートシール層を有することが好ましい。
中でもスチレン・アクリル系樹脂、変性スチレン・アクリル系樹脂の塩、アクリル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系樹脂であることが好ましい。
前記ヒートシール層の厚さが前記範囲内であることにより、より結露しにくく、生産しやすく、青果物が劣化しにくいフィルムを得ることができる。
また、前記ヒートシール層の厚さが、前記上限値より大きい場合には、結露防止効果が得にくくなったり、ウェッティングコート時の溶剤が乾燥しにくくなって生産し難くなったりする場合がある。
逆に、前記ヒートシール層の厚さが、前記下限値未満では、層厚のコントロールが難しくなったり、ヒートシールし難くなったり、青果物がしおれやすくなったり、青果物を包装して吸湿した際にフィルムのコシが維持できずに見栄えが悪くなったりする場合がある。
これにより、包装直後や青果物包装体が輸送中や店頭販売中等に遭遇する変温時等に発生しやすい青果物包装体内の結露を防止することができる。
前記合成樹脂フィルムの、前記青果物を包装した際に前記青果物側となる面における水の接触角は、0°超、60°以下であれば特に限定されないが、5°以上、50°以下であるのが好ましく、5°以上、40°以下であるのがより好ましい。水の接触角を前記範囲内のものとすることにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。なお、水の接触角は、接触角計で測定し得る(協和界面科学株式会社製 DM−SAを使用、水1.5μLをフィルムに着滴して6秒後の値)。
前記ヒートシール層に含まれる防曇剤の前記下限値未満では、変温時等に生じる短期的な結露が目立ちやすくなる場合があり、前記上限値より大きい場合には、十分なヒートシール強度が得られなくなる場合がある。
これにより、青果物包装体内の結露が防止できるので、青果物が見えにくくなったり、青果物が水に接触し続けることで傷みやすくなったりすることが無く、かつ青果物がしおれにくくなる。
前記合成樹脂フィルムの水蒸気透過度は、35g/m2・day(40℃・90%RH)以上、120g/m2・day(40℃・90%RH)以下であれば特に限定されないが、40g/m2・day(40℃・90%RH)以上、110g/m2・day(40℃・90%RH)以下であるのが好ましく、45g/m2・day(40℃・90%RH)以上、100g/m2・day(40℃・90%RH)以下であるのがより好ましい。合成樹脂フィルムの水蒸気透過度が前記範囲内であることにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、水蒸気透過度は、JIS Z 0208に則って測定することができる。
前記合成樹脂フィルムの酸素透過速度を前記範囲内のものとすることにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、酸素透過速度の測定方法は、密閉可能な容器に穴をあけて、この部分にフィルムを張り付け、容器内を窒素置換して23℃で保管して、この容器内の酸素濃度変化をガスクロマトグラフィーで測定し、時間あたりの酸素容器への流入量(cc)を求め、これをフィルム1m2、1日あたりの値に換算した。なお、酸素濃度は経過時間と反比例の関係を有する範囲の数値を使用する。
これにより、青果物用包装袋は、上述したような効果をより顕著に発揮することとなる。
例えば、ベースとなる基材フィルムにヒートシール層を構成する樹脂および防曇剤等を溶液に溶解又は分散させたもの(コート剤)をコートするウェットコーティング法、基材フィルムに溶融した樹脂を積層する押出ラミネート法或いはフィルム同士を接着剤で張り付けるドライラミネート法等が挙げられる。これらのうち、水蒸気透過度や水接触角の調節しやすさ、製造しやすさに優れるウェットコーティング法が最も好ましい。ウェットコーティングの方式としては、正回転ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ブレードコート、ロッドコート、エアドクターコート、カーテンコート、キスコート等を用いることができる。
また、基材フィルムを構成する樹脂は、上記の樹脂の単独重合体や共重合体、または官能基を導入して変性したものでも良い。
さらに、前記基材フィルムは、一軸又は二軸延伸してあることが好ましく、単層であっても多層であってもよい。また、コロナ処理、プラズマ処理或いは火炎処理等を施してあっても構わない。
表1に示す構成の基材フィルム(実施例7および比較例1は、表1に示す樹脂をグラビアコートで積層し、厚さ25μmの第1樹脂層、厚さ0.5μmの第2樹脂層からなる2層構成の基材フィルムとした。)にヒートシール層を所定の厚みとなるようにコートして110℃で1分間乾燥してフィルムを得た。
作成したフィルムの水蒸気透過度、酸素透過度およびヒートシール面の水接触角を上述した測定方法にて測定した。
作成したフィルムで内寸110mm×190mmの袋を作成して生シイタケ(約100g)を入れてヒートシールで密封して生シイタケ包装体を作成した。なお、袋には、表1に記載した大きさの孔を開けた。
この生シイタケ包装体を10℃の冷蔵庫に入れて保管後、3時間、1日及び4日の袋内面の結露、シイタケの品質、及びシイタケ包装体の見栄えを、下記の評価基準にしたがって評価し、その結果を表2に記載した。
◎ :結露なし
○ :ほぼ結露なし
※全体の10%以下の面積に水滴付着
□ :若干の結露あり
※膜状に水が付着又は全体の30%以下の面積に水滴が付着
△ :結露あり
※全体の30%を超える面積に水滴が付着(霧状に曇った状態も含む)
× :著しい結露あり
※全面に水滴が付着し且つ袋を持ち上げると袋の底に水が溜まる。
◎ :非常に良好
○ :良好
△ :若干の異臭、褐変あり
× :異臭、褐変あり
◎ :非常に良好
○ :良好
△ :やや不良(若干の曇り、よれあり)
× :不良(曇り、よれあり)
Claims (9)
- 青果物を包装するために用いられ、合成樹脂フィルムで構成される青果物用包装袋であって、
前記合成樹脂フィルムは、前記青果物を包装した際に前記青果物側となる面に、厚さ0.5μm以上、10μm以下のヒートシール層を有し、
前記ヒートシール層を構成する樹脂は、変性スチレン・アクリル系樹脂の塩であり、
水蒸気透過度が35g/m2・day(40℃・90%RH)以上、120g/m2・day(40℃・90%RH)以下であり、かつ、前記青果物を包装した際に前記青果物側となる面における水の接触角が0°超、60°以下であることを特徴とする青果物用包装袋。 - 前記ヒートシール層は防曇剤を含むものである請求項1に記載の青果物用包装袋。
- 前記防曇剤の含有量はヒートシール層全体に対して、1.5重量%以上、30重量%以下である請求項2に記載の青果物用包装袋。
- 前記合成樹脂フィルムは、その酸素透過速度が80cc/m2・day・atm以上、500,000cc/m2・day・atm以下である請求項1ないし3に記載の青果物用包装袋。
- 前記青果物100gあたりの袋内表面積が100cm2以上、600cm2以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の青果物用包装袋。
- 前記合成樹脂フィルムは、その厚さが10μm以上、50μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の青果物用包装袋。
- 前記合成樹脂フィルムは、延伸ナイロン、延伸ポリ乳酸、または延伸ポリスチレンのいずれか1つ以上を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の青果物用包装袋。
- オクラ、エダマメ、ブロッコリー、ナス、ピーマン、パプリカ、シイタケ、エリンギ、マイタケ、シメジ、マツタケ、栗、イチゴ、ライチ、バナナ、マンゴー、メロン、ブドウ、ブルーベリー、リンゴ、柿、ビワ、イチジク、西洋梨、温州ミカン、中晩柑、レモン、カボス、タマネギ、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモのうちのいずれかを前記青果物として包装する請求項1ないし7のいずれかに記載の青果物用包装袋。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の青果物用包装袋と、該青果物用包装袋で包装された青果物とを有することを特徴とする青果物包装体。
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