JP6852301B2 - 生麺または生皮用鮮度保持包装袋、生麺または生皮入り包装体、および生麺または生皮の鮮度保持方法 - Google Patents
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Description
そこで、近年においては、市場に流通させることを目的とした生麺や生皮の品質を長期間安定的に保持すべく、種々の検討がなされている。
前記鮮度保持包装袋は、無孔の合成樹脂フィルムからなり、
前記鮮度保持包装袋の内部空間に前記生麺または前記生皮が前記内容物として収容されている包装体において、前記包装体の40℃、90%RHにおける前記内容物100gあたりの水蒸気透過量Aが、2.5[g/100g・day]以上12[g/100g・day]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける厚み10μmあたりの水蒸気透過量Bが、150[g/m2・day]以上300[g/m2・day]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける厚み10μmあたりの酸素透過量が、1[cc/m 2 ・day・atm]以上300[cc/m 2 ・day・atm]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける酸素透過量が、1[cc/m2・day・atm]以上70[cc/m2・day・atm]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの厚みが、20μm以上50μm以下である、
生麺または生皮用鮮度保持包装袋が提供される。
本実施形態に係る生麺または生皮用鮮度保持包装袋(以下、本包装袋ともいう。)は、合成樹脂フィルムからなるものであって、生麺または生皮を内容物として収容するために用いるものである。そして、本包装袋は、以下の2つの条件を満たす構成を採用したものである。これにより、生麺または生皮の外観を保持しつつ、生麺または生皮の鮮度を長期間維持することが可能となる。
また、本包装袋に内容物として収容する生皮の具体例としては、餃子の皮、焼売の皮、春巻の皮、雲呑の皮、ピザ生地等が挙げられる。
第1に、本包装袋によれば、かかる包装袋に内容物として収容する生麺または生皮の外観を長時間保持することができる。
第2に、本包装袋によれば、かかる包装袋に内容物として収容する生麺または生皮の鮮度を長時間保持することができる。
まず、合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過量X[g/m2・day]は、たとえば、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(パーマトラン(登録商標)PERMATRAN−W 3/61)を使用して、JIS K7129Bに準拠した方法で測定することができる。また、合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける水蒸気透過率Xの値は、JIS Z0208(カップ法)に準拠した方法によっても測定することができる。
次に、上述した本包装袋を構成する合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける内容物100gあたりの水蒸気透過量I[g/100g・m2・day]の値に、包装体の内表面積[m2]を乗ずることにより、本包装袋の内部空間に生麺または生皮が内容物として収容されている包装体の40℃、90%RHにおける上記内容物100gあたりの水蒸気透過量A[g/100g・day]を算出することができる。
また、上記各種ポリエチレンおよびエチレン共重合体の具体例としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン−直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーやエチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−α−オレフィンコポリマーなどのコポリマーあるいはアイオノマーなどが挙げられ、これらあるいはこれらと他の樹脂との2種類以上のブレンド物であってもよい。
以下、合成樹脂フィルムが上述した多層フィルムである場合を例に挙げて説明する。
(1)合成樹脂フィルムを形成するために用いる樹脂材料の組み合わせ
(2)合成樹脂フィルムの層構成と製膜方法の組み合わせ
(3)合成樹脂フィルムのヒートシール加工条件
具体的には、実施例にて後述する。
まず、上述した方法で作製した合成樹脂フィルムを準備する。次に、合成樹脂フィルムを所望のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、シーラーを用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、包装袋を作製する。次いで、包装袋の内部空間に所定量の内容物を収容する。その後、包装袋において未だ熱シール部分が形成されていない1方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成し、本包装体を得る。
なお、本実施形態に係る生麺または生皮入り包装体の製造方法は、上述した方法に限られず、たとえば、縦ピロー包装や横ピロー包装のように自動包装機で製造してもよい。また、本包装袋は、底折り返し溶断製袋や背張り袋の形態であってもよい。
以下、実施形態の例を付記する。
1. 生麺または生皮を内容物として収容するための鮮度保持包装袋であって、
前記鮮度保持包装袋は、合成樹脂フィルムからなり、
前記鮮度保持包装袋の内部空間に前記生麺または前記生皮が前記内容物として収容されている包装体において、前記包装体の40℃、90%RHにおける前記内容物100gあたりの水蒸気透過量Aが、1[g/100g・day]以上20[g/100g・day]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける厚み10μmあたりの水蒸気透過量Bが、100[g/m 2 ・day]以上1000[g/m 2 ・day]以下である、生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
2. 前記包装袋の内表面に対する水の接触角が5°以上80°以下である、1.に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
3. 前記合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける厚み10μmあたりの酸素透過量O1が、0.1[cc/m 2 ・day・atm]以上6000[cc/m 2 ・day・atm]以下である、1.または2.に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
4. 前記鮮度保持包装袋の内表面にエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂内層を有する、1.乃至3.のいずれかに記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
5. 前記鮮度保持包装袋の外表面にポリアミド樹脂材料を含む樹脂外層を有する、1.乃至4.のいずれかに記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
6. 前記合成樹脂フィルムの厚みが20μm以上50μm以下である、1.乃至5.のいずれかに記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
7. 前記内容物の含水率が、前記内容物全量に対して25質量%以上70質量%以下である、1.乃至6.のいずれかに記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
8. 1.乃至7.のいずれかに記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋の内部空間に、生麺または生皮が内容物として密封されてなる、生麺または生皮入り包装体。
9. 前記内容物の含水率が、前記内容物全量に対して25質量%以上70質量%以下である、8.に記載の生麺または生皮入り包装体。
10. 1.乃至7.のいずれかに記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋の内部空間に、生麺または生皮を内容物として収容した後、前記鮮度保持包装袋を密封する工程を有する、生麺または生皮の鮮度保持方法。
包装袋の外表面を構成する樹脂外層を形成する材料として、厚み15μmの二軸延伸ナイロン(O−Ny)フィルム(ユニチカ社製、エンブレム(登録商標)ONBC−15)を、包装袋の内表面を構成する樹脂内層を形成する材料として、エチレン含有量が29mol%であるエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)100重量部に対して、グリセリンラウレートとデカグリセリンラウレートとを97:3の割合で配合した防曇剤を7.0重量部、変性ポリブタジエン(日本曹達社製、チタボンドT−180E)を1.5重量部添加したものを準備した。
次に、上記O−Nyフィルムの一方の表面に対し、上記樹脂内層を形成する材料をバーコーターでコートすることにより、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を含む層を形成した。これにより、二軸延伸ナイロン(O−Ny)からなる層と、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を含む層とが、厚み方向にこの順で積層された2層構造を有する厚さ16μmの合成樹脂フィルムを作製した。なお、得られた合成樹脂フィルムの各層の厚さは、二軸延伸ナイロン(O−Ny)からなる層が15μmであり、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を含む層が1μmであった。
次に、得られた合成樹脂フィルムを所定のサイズに切り出した後、2枚のフィルムを重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製、FI−400Y−10PK)を用いて3方にヒートシール加工を施して10mm幅の熱シール部分を形成することにより、実施例1の包装袋を作製した。
二軸延伸ナイロン(O−Ny)からなる層の厚さが25μmとなり、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を含む層の厚さが1μmとなるように合成樹脂フィルムを作製した点以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の包装袋を作製した。
包装袋の外表面を構成する樹脂外層を形成する材料として、ナイロン6(Ny)(宇部興産社製、UBEナイロン(登録商標)1022B)を、包装袋の内表面を構成する樹脂内層を形成する材料として、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)(クラレ社製、エバールE173B)100重量部に対して、防曇剤マスターバッチ(防曇剤MB)20重量部(理研ビタミン社製、リケマールEAR−5)を添加したものを準備した。
次に、上述した各種材料を、Tダイ押出機に投入し、共押出Tダイ法にて、ナイロン6からなる層と、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を含む層とが、厚み方向にこの順で積層された2層構造を有する厚さ30μmの合成樹脂フィルムを作製した。なお、得られた合成樹脂フィルムの各層の厚さは、ナイロン6からなる層が12μmであり、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を含む層が18μmであった。
厚さ25μmの防曇2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)(東洋紡社製、パイレンフィルム−FG:P5562)を合成樹脂フィルムとして準備した点以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の包装袋を作製した。
包装袋の内表面を構成する樹脂内層を形成する材料として、線状低密度ポリエチレン樹脂(住友化学社製、スミカセンF−218−0、以下、LLDPEとも示す。)を、中間層を形成する材料としてポリオレフィン系接着性樹脂(三菱化学製、モディック F515A)を、包装袋の外表面を構成する材料として、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(SKケミカル社製、SKYGREEN S2088、以下、PETGとも示す。)を準備した。
次に、上述した各種材料を、Tダイ押出機に投入し、共押出Tダイ法にて、LLDPEからなる層と、中間層と、PETGからなる層とが、厚み方向にこの順で積層された3層構造を有する厚さ45μmの合成樹脂フィルムを作製した。なお、得られた合成樹脂フィルムの各層の厚さは、LLDPEからなる層が15μmであり、中間層が15μmであり、PETGからなる層が15μmであった。
また、以下の評価に用いる各生麺入り包装体は、10℃で8日間保存したものを使用した。後述においては、上述した条件で保存した後の状態にある生麺入り包装体を、保存後の生麺入り包装体と称して説明する。
・合成樹脂フィルムの水蒸気透過量:合成樹脂フィルムの水蒸気透過率は、JIS Z0208(カップ法)に準拠した方法で測定した。測定条件は、40℃、90%RHに設定した。また、秤量は、23℃、50%RHの条件下実施した。なお、単位は、g/m2・dayである。
また、合成樹脂フィルムの水蒸気透過率が大きすぎることによりJIS Z0208(カップ法)に準拠した方法を使用できない場合には、カップの代わりに50mm×100mmの袋に塩化カルシウムをヒートシールで密封包装して、この袋の重さの経時変化より水蒸気透過率を算出した。この場合、袋の保管期間は、塩化カルシウムが吸湿しきらない範囲内とした。
◎:保存前の状態と比べて、生麺の外観に大幅な変化はなかった。
○:保存前の状態と比べて、若干乾燥していることが確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
△:水分が染み出して湿った状態にあり、実用上問題のあるレベルであった。
×:表面が溶けた状態にあり、実用上問題のあるレベルであった。
◎:異臭はなかった。
○:極わずかに異臭が発生していたが、実用上問題の無いレベルであった。
△:やや酸っぱい臭いが発生しており、実用上問題のあるレベルであった。
×:異臭が発生していた。
◎:良好な風味を維持できていることが確認された。
○:極わずかに風味が弱まっていたが、実用上問題の無いレベルであった。
△:明らかに風味が弱まっており、実用上問題のあるレベルであった。
×:ほぼ風味がない状態であった。
Claims (8)
- 生麺または生皮を内容物として収容するための鮮度保持包装袋であって、
前記鮮度保持包装袋は、無孔の合成樹脂フィルムからなり、
前記鮮度保持包装袋の内部空間に前記生麺または前記生皮が前記内容物として収容されている包装体において、前記包装体の40℃、90%RHにおける前記内容物100gあたりの水蒸気透過量Aが、2.5[g/100g・day]以上12[g/100g・day]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの40℃、90%RHにおける厚み10μmあたりの水蒸気透過量Bが、150[g/m2・day]以上300[g/m2・day]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける厚み10μmあたりの酸素透過量が、1[cc/m 2 ・day・atm]以上300[cc/m 2 ・day・atm]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの23℃、60%RHにおける酸素透過量が、1[cc/m2・day・atm]以上70[cc/m2・day・atm]以下であり、
前記合成樹脂フィルムの厚みが、20μm以上50μm以下である、
生麺または生皮用鮮度保持包装袋。 - 前記包装袋の内表面に対する水の接触角が5°以上80°以下である、請求項1に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
- 前記鮮度保持包装袋の内表面にエチレン・ビニルアルコール共重合体を含む樹脂内層を有する、請求項1または2に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
- 前記鮮度保持包装袋の外表面にポリアミド樹脂材料を含む樹脂外層を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
- 前記内容物の含水率が、前記内容物全量に対して25質量%以上70質量%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋の内部空間に、生麺または生皮が内容物として密封されてなる、生麺または生皮入り包装体。
- 前記内容物の含水率が、前記内容物全量に対して25質量%以上70質量%以下である、請求項6に記載の生麺または生皮入り包装体。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の生麺または生皮用鮮度保持包装袋の内部空間に、生麺または生皮を内容物として収容した後、前記鮮度保持包装袋を密封する工程を有する、生麺または生皮の鮮度保持方法。
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