JP7087619B2 - 酸素吸収性フィルムおよび包装材 - Google Patents
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Description
特に、水溶性の樹脂をバインダーとして用いた場合は、没食子酸も水溶性のため溶解し表面積が大きい状態でアルカリ物質と接触するため、反応速度が速くなり、よりこの傾向が大きくなる。
少なくとも基材と酸素吸収性コート層とアルカリシーラント層を順次積層してなる酸素吸収性フィルムにおいて、前記アルカリシーラント層がアルカリ物質を含有することを特徴とする酸素吸収性フィルムである。
少なくとも基材と酸素吸収性コート層と中間層とアルカリシーラント層を順次積層してなる酸素吸収性フィルムにおいて、前記アルカリシーラント層がアルカリ物質を含有することを特徴とする酸素吸収性フィルムである。
少なくとも基材と酸素吸収性コート層と中間層とアルカリ物質を含有するアルカリコート層と、アルカリ物質を含有しないシーラント層とを順次積層してなることを特徴とする酸素吸収性フィルムである。
前記酸素吸収性コート層が、酸素吸収性物質としてフェノール化合物を少なくとも含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムである。
前記酸素吸収性コート層が、酸素吸収性物質としてピロガロール基を有するフェノール化合物を少なくとも含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムである。
前記酸素吸収性コート層が、酸素吸収性物質として没食子酸、もしくは没食子酸プロピル、またはその両方を少なくとも含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムである。
前記酸素吸収性コート層に含まれる酸素吸収性物質の添加量は、酸素吸収性コート層全体に対して20wt%以上60wt%以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムである。
前記アルカリシーラント層または前記アルカリコート層が、アルカリ物質として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、炭酸水素カリウム、ピロリン酸カリウム、焼成カルシウム、リン酸カリウム、酒石酸ナトリウムから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムである。
前記アルカリシーラント層または前記アルカリコート層に含まれるアルカリ物質の添加量は、アルカリシーラント層全体又はアルカリコート層全体に対して10wt%以上50wt%以下であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムである。
請求項1~9のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムを含むことを特徴とする包装材である。
本発明に用いる基材10としては、機械的、物理的および化学的等において優れた性質を有し、強度に優れるとともに、耐熱性や防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(登録商標)などのポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、からなる群から選択される合成樹脂を含む。
酸素吸収性コート層20は、酸素吸収性物質とコート剤とを含む。コート剤が接着剤の場合、接着剤は、酸素吸収性物質の担持の機能と、酸素吸収性コート層20に対して基材10およびアルカリシーラント層30を接着させる、または基材10および中間層40を接着させる機能とを有する。
用いることができる接着剤としては、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、
およびポリエーテル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、エチレン-酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。接着剤は、特に酸素透過性と水蒸気透過性があるものの方が、酸素吸収性コート層で吸収する酸素量が多くなる点で好ましい。これらの接着剤は、1種類でもいいし、2種類以上を混合させて用いることができる。
アルカリ物質を含有するアルカリシーラント層30は、加熱時に被着材に対する優れた接着性を示す熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。
具体的には、ポリエチレン(PE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、未延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリオレフィン、ヒートシール性ポリエステル等のフィルムが使用できる。さらには、酸素透過率が1000cc/m・day・atm以上あると、吸収される酸素量が多くなる点で好ましい。
特に、単体でpH8以上を示す炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、炭酸水素カリウム、ピロリン酸カリウム、焼成カルシウム、リン酸カリウム、酒石酸ナトリウムを用いると、含有させるアルカリ物質を少なくしてコストを下げられる点で、より好ましい。
中間層40は、酸素吸収性物質とアルカリ物質が中間層に移動し徐々に酸素吸収反応させるための層として設けられている。
アルカリコート層50は、アルカリ物質とコート剤を含む。コート剤が接着剤の場合、接着剤としては、酸素吸収性コート層20やアルカリシーラント層30に使用される熱可塑樹脂と同様の材料を使用することができる。アルカリ物質としては、アルカリシーラント層30に含まれるアルカリ物質と同様のものを使用することができる。
が好ましい。10wt%未満では、没食子酸の酸素吸収反応を進行させるには不十分であり、一方で、50wt%より多いと、中間層40とシーラント層60の接着強度が低くなる。アルカリコート層50は、必要に応じて接着促進剤、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤などの当該技術において知られている任意の添加剤を含有してもよい。
本発明の第一の実施形態である酸素吸収性フィルム100は、図1に示すように、基材10に酸素吸収性コート層20、アルカリシーラント層30を積層した構成である。酸素吸収性コート層20およびアルカリシーラント層30に非水溶性樹脂を用いる事で、水溶性の酸素吸収性物質およびアルカリ物質は、層内において粉体の状態で分散される。その結果、酸素吸収性物質およびアルカリ物質の周囲が樹脂に覆われる事により、酸素吸収性物質とアルカリ物質の接触する面積が小さくなり、加工直後には反応しにくくなる。
また、本発明の第二の実施形態である酸素吸収性フィルム200は、図2に示すように、基材10に酸素吸収性コート層20、中間層40、アルカリシーラント層30を順次積層した構成である。
この構成では、酸素吸収性コート層20とアルカリ物質を含有するアルカリシーラント層30とを、その間に設けられた中間層40で隔てることにより、加工直後の反応が起こり難くなり、酸素吸収機能の失活を抑制する事ができる。一方で、酸素吸収性物質とアルカリ物質が中間層40に移行し接触する事で、酸素吸収反応は徐々に発現する。
本発明の第三の実施形態である酸素吸収性フィルム300は、図3に示すように、基材10に酸素吸収性コート層20、中間層40、アルカリコート層50もしくはアルカリシーラント層30、シーラント層60を順次積層した構成である。シーラント層60は、アルカリ物質を含有しないシーラントである。
この構成では、酸素吸収性コート層20と中間層40、アルカリ物質を含むアルカリコート層50もしくはアルカリシーラント層30の3層で酸素吸収性フィルムが構成されている。酸素吸収性コート層20とアルカリコート層50を中間層40で隔てる事で、酸素吸収機能の劣化をより一層抑制する事ができる。一方で、第二の実施形態と同様、酸素吸収性材料とアルカリ物質が中間層40に移行し接触する事で、酸素吸収反応は発現する。
袋形状の包装材は、矩形、円形、三角形を含む任意の形状を有してもよい。またチャック付き袋として、機械加工によって、袋形状の包装材の開口部に開閉自在の嵌合部を設けたものでもよい。
厚さ12μmの透明蒸着ポリエステルフィルム(凸版印刷製GLフィルム)を基材10として、ウレタン系コート剤に没食子酸を酸素吸収性物質として30wt%添加した酸素吸収性コート層20を6μm設けた。さらに、酸素吸収性コート層20上に、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製「LC600A」)に炭酸ナトリウムを30wt%添加したアルカリシーラント層30を厚さ30μmで押出コートラミネートにて形成して、酸素吸収性フィルムを作製した。
上記で作製した酸素吸収性フィルムを用いて、全体寸法が横10cm×縦10cmの包装袋を作成し、袋内に100ccの空気を注入した。50℃の恒温槽で一定期間保管後の酸素濃度を測定し、初期酸素濃度との差から、それぞれの酸素吸収量を確認した。残存酸素量が10%以下の場合に「○」、10%以上の場合に「×」と評価した。
得られた酸素吸収性フィルムの評価結果を表1に示す。
酸素吸収性物質を没食子酸プロピルに変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、酸素吸収性フィルムを作製した。
得られた酸素吸収性フィルムの評価結果を表1に示す。
厚さ12μmの透明蒸着ポリエステルフィルム(凸版印刷製GLフィルム)を基材10として、上記基材上に、ウレタン系コート剤に没食子酸を酸素吸収性物質として30wt%添加した酸素吸収性コート層20を6μm設けた。さらに、酸素吸収性コート層20上に、中間層40として低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製「LC600A」)を5μmと、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製「LC600A」)に炭酸ナトリウムを30w%添加したアルカリシーラント層30を30μm、押出コートラミネートで形成し、酸素吸収性フィルムを作製した。
得られた酸素吸収性フィルムの評価結果を表1に示す。
厚さ12μmの透明蒸着ポリエステルフィルム(凸版印刷製GLフィルム)を基材10とし、上記基材上に、ウレタン系コート剤に没食子酸を酸素吸収性物質として30wt%添加した酸素吸収性コート層20を6μm設けた。さらに、酸素吸収性コート層20上に、中間層40として低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製「LC600A」)を5μmと、低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン製「LC600A」)に炭酸ナトリウムをアルカリ物質30wt%添加したアルカリシーラント層30を30μmと、アルカリ物質を含有しないシーラント層60として低密度ポリエチレンフィルム10μmを、押出コートラミネートにて形成し、酸素吸収性フィルムを作製した。
得られた酸素吸収性フィルムの評価結果を表1に示す。
厚さ12μmの透明蒸着ポリエステルフィルム(凸版印刷製GLフィルム)を基材として、上記基材上に、ウレタン系コート剤に酸素吸収性物質として没食子酸30wt%とアルカリ物質として炭酸ナトリウム30wt%を添加した酸素吸収性コート層を6μm設けた。シーラント層として低密度ポリエチレンフィルム30μmを、酸素吸収性コート層20にドライラミネートで貼り合せて、酸素吸収性フィルムを作製した。
得られた酸素吸収性フィルムの評価結果を表1に示す。
厚さ12μmの透明蒸着ポリエステルフィルム(凸版印刷製GLフィルム)を基材として、上記基材上に、ウレタン系コート剤に酸素吸収性物質として没食子酸を30wt%添加した酸素吸収性コート層6μmを設けた。更に、ウレタン系コート剤にアルカリ物質として炭酸ナトリウムを30wt%添加したアルカリコート層6μmを設けた。シーラント層として、低密度ポリエチレンフィルム30μmとドライラミネートで貼り合せて、酸素吸収性フィルムを作製した。
得られた酸素吸収性フィルムの評価結果を表1に示す。
一方で、比較例1~2においては、加工直後に反応を起こし、フィルムを使用するタイミング(内容物充填時など)には酸素吸収能力は失われ、殆ど酸素吸収を示さなかった。これは、比較例1~2はいずれも酸素吸収性物質とアルカリ物質が直接接触しているため、加工直後から酸素吸収反応が進行したと考えられる。
以上の結果から、本発明の酸素吸収性フィルムは、加工直後の反応を抑制する事によってフィルムを使用するタイミングで十分な酸素吸収機能を安定して発現する事がわかった。
20 酸素吸収性コート層
30 アルカリシーラント層
40 中間層
50 アルカリコート層
60 シーラント層
100、200、300 酸素吸収性フィルム
Claims (7)
- 少なくとも基材と酸素吸収性コート層とアルカリシーラント層を順次積層してなる酸素吸収性フィルムにおいて、前記酸素吸収性コート層上に前記アルカリシーラント層を積層し、前記酸素吸収性コート層および前記アルカリシーラント層が非水溶性樹脂を含有し、前記酸素吸収性コート層の塗布量が2g/m 2 以上~8g/m 2 以下であることを特徴とする酸素吸収性フィルム。
- 前記酸素吸収性コート層が、酸素吸収性物質としてフェロール化合物を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収性フィルム。
- 前記酸素吸収性コート層が、酸素吸収性物質としてピロガロール基を有するフェロール化合物を少なくとも含むことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルム。
- 前記酸素吸収性コート層が、酸素吸収性物質として没食子酸、もしくは没食子酸プロピル、またはその両方を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルム。
- 前記酸素吸収性コート層に含まれる酸素吸収性物質の添加量は、酸素吸収性コート層全体に対して20wt%以上60wt%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルム。
- 前記アルカリシーラント層が、アルカリ物質として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、炭酸水素カリウム、ピロリン酸カリウム、焼成カルシウム、リン酸カリウム、酒石酸ナトリウムから選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルム。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の酸素吸収性フィルムを含むことを特徴とする包装材。
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