JPH06199385A

JPH06199385A - 青果物保存用袋

Info

Publication number: JPH06199385A
Application number: JP26390993A
Authority: JP
Inventors: Takahide Saito; 隆英斉藤
Original assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date: 1992-10-21
Filing date: 1993-10-21
Publication date: 1994-07-19

Abstract

(57)【要約】【目的】青果物を長期間にわたって安定保存するこ
と。【構成】袋の胴部を構成する片面又は両面が、平均孔
径が１０〜１５０μｍの孔を複数個有する有孔プラスチ
ックフイルム又はプラスチックと金属箔、紙、布等から
なる有孔複合フイルムよりなり、袋の全内表面積に対す
る有孔フイルム面の開孔面積比率が１×１０^-7〜２×１
０^-4％であり、袋上部開口部に再密封可能な口部開閉機
構を付してなる青果物保存用袋。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、青果物が有孔合成樹脂
フイルムの袋により包装された後も、青果物が適正な酸
素雰囲気下で呼吸作用を継続させることによって、鮮度
保持をさせるための再密封の可能な開閉機構を備えた青
果物保存用袋に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】青果物は収穫された後も呼吸作用を持続
する。このため収穫後の貯蔵・流通の間および食するま
で、青果物の品質劣化を防止する保存方法が望まれてい
た。従来、一般に提供されている青果物保存用袋は、種
々の形態のものがあり、特に青果物保存用袋として、鉱
物質のものを練り込んだフイルム、または酸素の透過、
水分の発散を目的とした孔を開けたフイルムからなる袋
が青果物保存用袋として上市されている。しかしながら
これらの鉱物質を練り込んだフイルムを用いたものは、
透明性が悪いものが多く、また青果物保存性についても
その効果の再現性が満足できるものはなかった。更に、
一般家庭用として前述のようなフイルムからなる袋が青
果物保存用袋として上市されており、青果物をこれらの
袋に入れて冷蔵庫等で保存をする場合、袋の開口部を輪
ゴムでとめたり、折り畳んでクリップ等で止めたり、あ
るいは縛って結ぶ方法がとられており、密封性が不安定
でありこのため保存の均一性、安定性に欠け、満足でき
るものではなかった。又、一般の青果物に関して、酸素
を供給し、普通の状態での呼吸をさせ、鮮度を保つ方法
として有孔フイルムを用いる方法が提案されている（特
開昭６２−１４８２４７号公報、特開昭６３−１１９６
４７号公報等）が、これらのフイルムは開孔面積比率が
２×１０^-2〜２×１０％と極めて大きく、これらのフイ
ルムで包装しても袋内の酸素は殆ど大気状態と変わら
ず、オープン状態と同じである。

【０００３】一方、特開昭５４ー４０７９３号公報に
は、直径０．５〜３．６ｍｍの小孔を表面積６０００ｃ
ｍ² に対し総孔面積１．０〜１０ｍｍ²ｋ割合で有する
のポリエチレンフィルムの袋を密封した追熟成果実の包
装方法が記載されているが、１つ１つの小孔発酵臭が火
なり大きなものであり、総孔面積の最小値を採ると、そ
の開口面積比率が１．６７×１０^-4％であるが、実施例
をみると、孔径１．５ｍｍの孔２個又は孔径１．０ｍｍ
の孔４個を表面積６０００ｃｍ² のポリエチレン袋に設
けたものであるから、この場合の開口面積比率か５．８
９×１０^-4％又は５．２３×１０^-4％であり、本発明の
最大値のほぼ２．８倍と大きいものであり、これでは孔
径も大きく酸素供給量が多すぎ、青果物のいたみが早く
なることが判っている。本発明者の研究によれば、青果
物は、酸素の供給量を少なくし嫌気呼吸とならない範囲
内の酸素量を保たせることが必要であり、これを守って
やれば、その呼吸量が低下し、長期間にわたってその鮮
度を保持することができることが判ってきたのである。
また、特開昭５３ー５１０９６号公報には、熱シール可
能なフィルムと熱シール可能なフィルムより融点の高い
フィルムとの積層フィルムに孔径０．１〜２ｍｍの孔を
１ｃｍ² あたり２５〜１００個設けた通気性包装材が記
載されているが、実際に包装されている品物はハイドロ
サルファイトを主材とする脱酸素剤であり、かつ前記特
開昭５４ー４０７９３号公報の開口面積比率より更に１
桁高いものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは、従来の青果物保存用袋の問題を解決するため種
々検討した結果なされたものであり、袋を構成する胴部
のフイルムを有孔フイルムで構成し、かつ開口部に再密
封が可能である口部開閉機構を付してなる袋を提供する
ことによって青果物の生存に必要な最低量の酸素を供給
し、青果物をいわば冬眠状態に保つことにより、高酸素
量の障害である褐変と成長を抑えて、青果物を長期間に
わたって安定保存することが可能である袋を提供するに
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、袋の胴部を構
成する片面又は両面が、平均孔径が１０〜１５０μｍの
孔を複数個有するプラスチックフイルム又はプラスチッ
クと金属箔、紙、布等からなる複合フイルムよりなり、
袋の全内表面積に対する有孔フイルム面の開孔面積比率
が１×１０^-7〜２×１０^-4％であり、袋上部開口部に再
密封可能な口部開閉機構を付してなることを特徴とする
青果物保存用袋であり、該袋の形状は平袋、ガゼット袋
あるいは自立性袋であり、又袋の胴部に袋の内側に向け
ての絞り形状を有し、かつリブ機構を付した形状の自立
性袋であり、開口部に嵌合係止するための凹凸形状のジ
ッパーを付した形状の青果物保存用袋である。本発明の
青果物保存用袋の袋内表面積は、充填される青果物１０
０ｇ当たり５０〜３５００ｃｍ² であることが好まし
い。

【０００６】本発明の青果物保存用袋を構成するプラス
チックフイルムは特に限定されるものではなく、どのよ
うなものであってもよく、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのポリオレフイン、ポリ塩化ビニル、ポリ
アミド、ポリエステルなどの単層のものでも良く、これ
らのプラスチックスを組み合わせた機能性多層フイルム
であっても良く、例えばナイロン／ポリエチレンの２層
フィルムのような材質が洗浄、再利用する面で優れてい
る。さらにはプラスチックと他のもの、たとえば金属
箔、紙、布等のものと組み合わせた複合フイルムからな
るものでも何等差し支えがない。また、青果物は収穫さ
れた後も呼吸作用を続けており、これらを保存するには
適正な酸素を補給してやらなければならず、このために
本発明の袋の胴部を形成するフイルムは微細な孔を開け
てなることが必須であり、この孔の袋全内表面積に対す
る開口面積比率は１×１０^-7×２×１０^-4％の範囲から
選ばれることが必要であり、開口面積比率が１×１０^-7
％以下であれば青果物を保存した時に青果物が嫌気呼吸
してしまう恐れがあり、また２×１０^-4％以上であれば
酸素が透過しすぎてしまい、呼吸作用が活発化して長期
の保存が困難となってしまう。

【０００７】更に、本発明の袋を構成する有孔フイルム
は袋の胴部の片面のみに開孔したものであってもまた両
面に開孔したものであっても差し支えなく、さらには胴
部を構成する表裏のフイルムの材質が異なるものであっ
ても何等差し支えがなく、孔の形状も円形、三角形、四
角形であってもよく、その平均径が１０〜１５０μｍ
ｍ、好ましくは４０〜１００μｍ、特に好ましくは５０
〜８０μｍのものが望ましい。孔径が１０μｍ以下であ
れば加工性が悪く、１５０μｍ以上であれば青果物から
の蒸散水分が袋外に出てしまい好ましくなく、また青果
物入り包装袋に用いる有孔高分子フイルムの袋当たりの
孔の個数は開孔面積比率と平均孔径より算出されるが、
できる限り複数個とすることが望ましい。内容物の付着
や外的条件たとえば値段表の添付等で孔がふさがれてし
まう場合があるので、鮮度を保証するには複数個の孔が
好ましく、さらに袋あたり５個以上の孔をもち、孔１個
あたりの影響度を２０％以下にすることが望ましい。孔
の数は複数個であることが外的要因によって孔がふさが
れてしまうといった危険性の回避の面から必要である。
孔によってのみ水蒸気を透過させようとすると、開孔面
積比率を０．１〜３．０％という大きい値にしなければ
ならない。しかしながら、このような開孔面積比率にし
たのでは、酸素ガスなどのガスコントロールは不可能で
あり、酸素ガスは実質上フリーパスになってしまう。そ
こで、本発明の場合は、フィルムそれ自体の水蒸気透過
率と開口部からの水蒸気透過率の合計値としての水蒸気
透過率が、８００ｇｍ^-2ｄ^-1ａｔｍ^-1以下（２５℃、相
対湿度７５％において測定）、好ましくは８０ｇｍ-²ｄ
^-1ａｔｍ^-1以下、特に好ましくは１０ｇｍ^-2ｄ^-1ａｔｍ
^-1以下であるように調整する。

【０００８】本発明の袋の形状については、平袋、ガゼ
ット袋または自立形状の袋であり、自立袋の形状として
はドイパック形状のものでも、角底のものであっても何
等差し支えなく、更には胴部が上方に向かって絞られ
た、いわゆる瓶形状をした形状のものや、胴部の一部を
絞った形状のものであっても何等差し支えなく、袋の胴
部に袋の内側に向けての絞り形状を有し、かつリブ機構
を付した形状の自立用袋で差し支えない。また本発明の
袋の開口部は再密閉が可能の口部開閉機構を付してなる
ことが必要であり、これらの機構が嵌合係止するための
凹凸形状を有するジッパー形状のものが、その取り扱い
上望ましく、当然ながら密封性に優れたものであること
が必要である。更に密封性をあげバージン性を有するた
めにジッパーの上部をヒートシールをしたものも使用す
ることができる。

【０００９】更に、本発明においては、当然ながら保存
の対象とする青果物の呼吸量により孔の開孔比率を変え
て用いることが望ましいが、一般家庭で使用するのに数
種類のものを準備することは困難であり、青果物を２〜
３種ほどに、例えば葉物野菜又はカット野菜用（袋全内
表面積に対する孔の開口面積比率は１×１０^-6〜２×１
０^-4％）、果実又は根菜用（袋全内表面積に対する孔の
開口面積比率は５×１０^-7〜５×１０^-5％）というよう
に２種に別けて用いることが望ましく、これらについて
は、袋に印刷等によって明示するといった方法も採りう
る。葉物野菜とはホーレン草、ブロッコリー、モロヘイ
ヤ、キャベツ、白菜、さや入りまめ類（枝豆、さやエン
ドウ）、ピーマン、ネギ等であり、果実とはリンゴ、ナ
シ、ブドウ、カボス、スダチ等であり、根菜とはタマネ
ギ、ニンジン、蕪、大根等である。バナナは本来果実で
あるが非常に呼吸作用が激しいので本発明においては例
外的に葉物野菜のほうに属する。カット野菜とはスライ
ス、千切り又は細かくカットした野菜である。なお、野
菜等の鮮度保持には、当然ながら、その流通過程及び保
存時における温度管理が重要なポイントであり、青果物
の呼吸量も当然これらの温度に依存し、これらの温度が
高くなるにつれてその呼吸量も増加するが、本発明はこ
れらの温度を５〜１５℃と想定したものである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の青果物保存用袋を用いた例に
ついて説明する。《実施例１》図１に示すようなジッパー付き袋で、内寸
が２０cm×３０cmで厚さ２５μmの延伸ポリプロピレン
の袋の胴部１に平均孔径８０μmの孔２を２８個（片面
に１４個ずつ）開け、開孔面積比率１．２×１０^-4％と
し、この袋にホーレン草を約１５０ｇ入れて開口部３の
ジッパー４を閉じて冷蔵庫（約１０℃）で７日間保存
し、その後取り出して臭気及び外観を観察した結果は保
存前の状態と殆ど変わらず、十分に食用に堪えるもので
あった。《比較例１》実施例１と同様のジッパー付きで大きさ、
厚さの袋であり、無孔のものに実施例１と同様にホーレ
ン草を１５０ｇ詰めて冷蔵庫に７日間保存し、その後開
封してみた。臭気があり、しかも葉先に軟腐が見られ、
食用としてはためらうような状態であった。《比較例２》ホーレン草を新聞紙に包んだまま冷蔵庫に
いれて７日間保存しとりだして見たら萎れが激しく、と
ても食用に堪えるものではなかった。

【００１１】《実施例２》実施例１で用いたジッパー付
きの袋に平均孔径４０μmの孔を１６個（片面に８個ず
つ）開け、開孔面積比率が１．７×１０^-5％となる袋を
用いてリンゴ（富士）を３個入れジッパーを閉じ密閉し
て冷蔵庫で３週間保存した後に取り出して食味を見た。
リンゴの味は保存前の状態とかわらず、切断面の密の状
態もはっきりした模様が見られ、リンゴの香りも十分に
あるものであった。《比較例３》実施例２で用いたものと同じサイズの袋に
直径５mmの孔を４個あけたものを用い、実施例２と同様
にリンゴを３個いれ開口部を折り曲げた状態でセロハン
テープでとめ、冷蔵庫に入れ３週間保存した後に取り出
した。外観は表皮が萎凋し、又色も黒ずんできており、
味は少しぼけてきており、切断面もぼけており、模様も
はっきりしない状態であった。《実施例３》袋表面内寸法が１５cm×２０cm、底面積６
０cm²（表面積６６０cm²）のナイロン（厚み１５μm）
／ポリエチレン（厚み３５μm）の２層フィルムからな
り、この袋の両表面に平均直径５０μｍの孔を１０個
（片面に５個）あけ、開孔面積比率が３．０×１０^-5％
となるジッパー付き自立袋にカットネギ５０ｇを充填
し、ジッパーを閉じ密封し、更に該ジッパーの上部をヒ
ートシールし、バージン性と密封を完全にした。このも
のを冷蔵庫で３週間保存した後に取り出した。カットネ
ギは保存前の状態とかわらず、袋を開けたときには腐っ
た臭いもなかった。《比較例４》実施例３で用いた袋と同じ大きさの厚み５
０μmのポリエチレンフィルムからなるジッパー付き自
立袋カットネギ５０ｇをいれジッパーを閉じ密閉し、冷
蔵庫に入れ３週間保存した後に取り出した。カットネギ
は葉先部分が軟腐を始めており、又袋を開けたときには
嫌気呼吸による発酵臭と共に、ネギ独特の臭気が強く使
用に耐えないものであった。

【００１２】

【発明の効果】本発明による青果物保存用袋は、有孔の
フイルムを用いて、しかも再密閉が可能の開閉機構を持
つ袋であり、この袋に青果物を入れて密閉し、冷蔵庫に
て保存すれば、従来の無孔のプラスチックフイルムから
なる袋に入れて保存した場合に比較して数段上の保存性
があり、また無包装のものに比べると数倍の保存性を有
するものである。即ち青果物の嫌気呼吸のため発生する
臭気を防ぎ、しかも嫌気呼吸による糖分の消化を防止
し、一方、過剰の酸素による褐変および成長、熟成を防
ぎ、青果物の鮮度を保った状態で永く保存することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかわる平袋を示す平面図である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】袋の胴部を構成する片面又は両面が、平
均孔径が１０〜１５０μの孔を複数個有するプラスチッ
クフイルム又はプラスチックと金属箔、紙、布等からな
る複合フイルムよりなり、袋の全内表面積に対する有孔
フイルム面の開孔面積比率が１×１０^-7〜２×１０^-4％
であり、袋上部開口部に再密封可能な口部開閉機構を付
してなることを特徴とする青果物保存用袋。
【請求項２】青果物が葉物野菜又はカット野菜であ
り、開口面積比率が１×１０^-6〜２×１０^-4％である請
求項１記載の青果物保存用袋。
【請求項３】青果物が果実又は根菜であり、開口面積
比率が５×１０^-7〜５×１０^-5％である請求項１記載の
青果物保存用袋。
【請求項４】袋が平袋、ガゼット袋又は自立形状の袋
である請求項１、２又は３記載の青果物保存用袋。
【請求項５】袋が袋の胴部に袋の内側に向けての絞り
形状を有し、かつリブ機構を付した形状の自立性袋であ
る請求項１、２又は３記載の青果物保存用袋。
【請求項６】袋上部開口部の再密封可能な口部開閉機
構が嵌合係止するための凹凸形状を有するジッパーから
なる請求項１、２、３、４又は５記載の青果物保存用
袋。
【請求項７】ジッパーの上部がヒートシールされてい
る請求項６記載の青果物保存用袋。