JP3117555B2

JP3117555B2 - スイートコーン入り包装体

Info

Publication number: JP3117555B2
Application number: JP28164292A
Authority: JP
Inventors: 隆英斉藤
Original assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date: 1992-10-20
Filing date: 1992-10-20
Publication date: 2000-12-18
Anticipated expiration: 2015-12-18
Also published as: JPH06125695A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スイートコーンが合成
樹脂フイルムの包装袋により包装された後も、スイート
コーンが適正な酸素雰囲気下で呼吸作用を継続させるこ
とによって、鮮度保持をさせるための包装体に関するも
のである。さらに詳しくはスイートコーンの呼吸作用に
起因する低酸素状態での嫌気呼吸をさせないような酸素
雰囲気を保持しつつ、しかも酸素による酸化に起因する
品質の劣化を抑えるような条件を保持する包装体に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】スイートコーンは収穫された後も呼吸作
用を持続する。このため収穫後の貯蔵・流通の間および
食するまでは、スイートコーンの品質劣化を防止するこ
とが必要である。また、スイートコーンの生産形態は夏
場には従来通りの栽培、冬場には温室による栽培が行わ
れている。スイートコーンはその性質上、品質の低下が
早く、鮮度保持の為にポリ塩化ビニル性フィルムによる
密封包装が使用されている。密封されているものは、ス
イートコーンは包装された後、無酸素状態の雰囲気中に
さらされ、嫌気呼吸せざるをえない状態に置かれてしま
っており、この嫌気呼吸によってスイートコーン中の糖
分が消化され、アルコールやアルデヒド等の発生のた
め、袋を開けた時には異臭がするものが殆どである。

【０００３】また、一般の野菜等の植物資材に関して、
酸素を供給し、鮮度を保つ方法として有孔フィルムを用
いる方法が提案されている（特開昭62ー148247号公報、
特開昭63ー119647号公報等）が、これらのフイルムは開
孔面積比率が２×１０^-2〜２×１０％と極めて大きく、
これらのフイルムで包装しても袋内の酸素は殆ど大気状
態と変わらず、オープン状態と同じである。スイートコ
ーンについても、このようなフィルムを用いて包装する
ことが考えられてきたが、これらのオープンに近い包装
では、空気中の酸素量と同等となってしまい、スイート
コーンが、酸素量が多いためスイートコーンの呼吸作用
が活発となってしまい、スイートコーンがさらに生育し
て糖分が消費され、味が低下してしまうという問題、さ
らには水分の蒸散により萎れやすいといった問題があ
る。したがって、スイートコーン本来の味を残し、新鮮
な状態を保ったままで食卓に供せるような包装材料や包
装方法は、いまだ発見されていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スイ
ートコーンの鮮度を長時間保つための望ましい酸素濃度
雰囲気を形成し、異臭が発生せず、糖度の低下、萎れも
ない商品を供給するため、鋭意研究した結果なされたも
のであり、スイートコーンの生存に必要な最低量の酸素
を供給し、スイートコーンをいわば冬眠状態に保つこと
により、高酸素量の障害である糖度の低下と褐変を抑え
て、鮮度の高いスイートコーンを供給するためのスイー
トコーン用包装袋およびスイートコーン入り包装体を提
供する点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、スイートコー
ンを密封した有孔合成樹脂フィルムよりなるスイートコ
ーン入り包装体において、有孔合成樹脂フィルムの開孔
面積比率が１×１０^-4〜８×１０^-4％であり、スイート
コーン１００ｇあたりの袋内表面積が８０〜６００ｃｍ
²であり、その孔の平均孔径が２０μ〜１５０μである
ことを特徴とするスイートコーン入り包装体であり、と
くに、その孔の個数が１包装袋あたり複数個であること
が好ましい。

【０００６】本発明に用いる有孔フィルムとしては、ス
イートコーンの包装に用いることのできるものであれば
どのようなものであっても差し支えはないが、一般には
無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチ
レン、ポリ塩化ビニール、等が用いられるが、これ等以
外のポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等の
フイルム、さらにはこれらの複合フイルムであっても良
く、さらには、これらのフイルム表面にシーラント層を
設けたものでも、防曇処理したフイルムであっても何等
差し支えはない。また、これらのフイルムの厚さは通常
２０〜４０μのものが用いられる。さらに、これらのフ
イルムは透明であっても、不透明であっても良く、また
表面に印刷を付したものであっても何等差し支えはな
い。

【０００７】本発明の有孔フイルムを用いた包装袋は、
包装するスイートコーンの量によってその開孔面積比率
が決められ、その開孔面積比率は１×１０^-4〜８×１０
^-4％であることが必要である。この理由は包装袋中の酸
素量および炭酸ガス量をスイートコーンの鮮度保持に適
した条件に保持するためのものであり、本発明者等の実
験結果からは酸素濃度が３％以上１５％以下が望まし
く、これらの条件を満たすための開孔面積比率は１×１
０^-4〜８×１０^-4％となる。開孔面積比率が１×１０^-4
％以下となればスイートコーンは包装後の呼吸作用によ
り、流通過程中で無酸素状態となり嫌気呼吸を始めてし
まい、異臭を発生する。また、開孔面積比率が８×１０
^-4％以上となれば包装袋中の酸素量が多くなりすぎ、こ
の酸素の影響を受けて、スイートコーンの褐変現象を引
き起こし、さらには酸素量が多いため、スイートコーン
の呼吸作用が活発化し、スイートコーンが必要以上に生
育して糖分が消耗してしまうという問題が発生する。従
ってスイートコーンの包装袋として用いられる有孔フイ
ルムの開孔面積比率としては１×１０^-4〜８×１０^-4％
であることが必要であり、望ましくは４×１０^-4〜８×
１０^-4％、とくに望ましくは５×１０^-4〜７×１０^-4の
範囲にあることがさらに有効である。

【０００８】また、有孔フイルムにおける孔部の平均径
は出来るだけ小さいことが望ましく、一般的には２０〜
１５０μ程度、好ましくは３０〜１００μである。孔径
は出来るだけ小さいことが望ましいが、２０μ以下では
有孔フイルムの生産性が低下する。また、平均孔径が１
５０μ以上であれば、適正な開孔面積比率を得るに必要
な孔数が減少して、鮮度保持の品質精度に不安が生じ
る。また、孔の形状は、円形や四角または三角形など、
どのような形状であってもよく、長径方向の平均径が１
５０μ以下であれば何等差し支えはないが、円形が開孔
作業性等の面より望ましい。

【０００９】また、スイートコーン包装袋に用いる有孔
フイルムの袋当たりの孔の個数は開孔面積比率と平均孔
径より算出されるが、できる限り複数個とすることが望
ましい。内容物の付着や外的条件たとえば値段表の添付
等で孔がふさがれてしまう場合があるので、鮮度を保証
するには複数個の孔が好ましく、さらに袋あたり５個以
上の孔をもち、孔１個あたりの影響度を２０％以下にす
ることが望ましい。また、スイートコーンの包装袋とし
ては、三方シール袋、四方シール袋またはガゼット袋な
どの形態の袋であっても何等差し支えなく、さらには、
トレー、カップ等にスイートコーンを充填し、これを包
装袋で包装する形態のものであってもよい。

【００１０】スイートコーン用包装袋の大きさはスイー
トコーン１００ｇあたり袋内表面積が８０〜６００ｃｍ
² である必要があり、好ましくは１００〜４００ｃｍ²
である。袋の内表面積で規定しているのは、シール部分
すなわちとじ代が計算に含まれないようにするためであ
る。スイートコーン１００ｇあたり袋内表面積が８０ｃ
ｍ² 以下であると、袋内のスイートコーンの密度が高く
なり、スイートコーン同士での接触により傷が付き、褐
変しやすくなり、前記の開孔面積比率では酸素不足にな
り嫌気呼吸に陥り好ましくない。更に、スイートコーン
１００ｇあたり袋内表面積が６００ｃｍ² 以上になる
と、袋内のスイートコーンの密度が低くなり、袋内の初
期の酸素量も多く、前記の開孔面積比率では酸素供給量
も多く、スイートコーンの呼吸作用が活発になり褐変し
やすくなり、コーンの糖分が消耗していまうことにな
る。またフィルムの使用量が多いため袋のコストも高く
なってしまう。

【００１１】なお、スイートコーンの包装に限るもので
はないが、野菜等の鮮度保持には、当然ながら、その流
通過程、および店頭における温度管理が重要なポイント
であり、スイートコーンの呼吸量も当然これらの温度に
依存し、これらの温度が高くなるにつれてその呼吸量も
増加するが、本発明はこれらの温度を３〜１５℃を想定
したものである。

【００１２】

【実施例】

《実施例１》内寸が３５０ｍｍ×３５０ｍｍの、厚さ３
２μの延伸ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）とポ
リエチレン（ＰＥ）のラミネートフィルムからなる包装
袋に、開孔面積比率が７．８×１０^-4％となるように平
均孔径８０μの孔を３８０個あけた三方シール袋に、ス
イートコーンを２ｋｇ充填し（袋内表面積は３５０×３
５０×２＝２４５０００ｍｍ² であるから、スイートコ
ーン１００ｇあたりの袋内表面積は１２２５０ｍｍ² す
なわち１２３ｃｍ² である）、５℃で保存し、その２日
および５日後の鮮度を臭気発生状況、糖度の変化を観察
した結果を表１に示す。

【００１３】《実施例２》実施例１と同様の大きさの包
装袋であり、厚さ３２μの延伸ポリエチレンテレフタレ
ート（ＰＥＴ）とポリエチレン（ＰＥ）のラミネートフ
ィルムを用い、開孔面積比率が１．４×１０^-4％となる
よう平均孔径が６０μの孔を１２５個開けた包装袋を用
い、実施例１で用いたと同様のスイートコーンを２ｋｇ
充填し、実施例１と同様に２日および５日後の鮮度を調
べた結果を表１に示す。

【００１４】《実施例３》実施例１と同様の大きさの包
装袋であり、厚さ３２μの延伸ポリエチレンテレフタレ
ート（ＰＥＴ）とポリエチレン（ＰＥ）のラミネートフ
ィルムを用い、開孔面積比率が５．３×１０^-4％となる
よう平均孔径が８０μの孔を２６０個開けた包装袋を用
い、実施例１で用いたと同様のスイートコーンを２ｋｇ
充填し、実施例１と同様に２日および５日後の鮮度を調
べた結果を表１に示す。

【００１５】《比較例１》内寸が３５０ｍｍ×３５０ｍ
ｍの、厚さ３２μの延伸ポリエチレンテレフタレート
（ＰＥＴ）とポリエチレン（ＰＥ）のラミネートフィル
ムからなる包装袋からなる無孔の包装袋に、実施例１で
用いたと同様のスイートコーンを２ｋｇ充填し、実施例
１と同様に２日および５日後の鮮度を調べた結果を表１
に示す。

【００１６】《比較例２》実施例１と同様の大きさの包
装袋であり、厚さ３２μの延伸ポリエチレンテレフタレ
ート（ＰＥＴ）とポリエチレン（ＰＥ）のラミネートフ
ィルムを用い、開孔面積比率が８．１×１０^-5％となる
よう平均孔径が６０μの孔を７０個開けた包装袋を用
い、実施例１で用いたと同様のスイートコーンを２ｋｇ
充填し、実施例１と同様に２日および５日後の鮮度を調
べた結果を表１に示す。

【００１７】《比較例３》実施例１と同様の大きさの包
装袋であり、厚さ３２μの延伸ポリエチレンテレフタレ
ート（ＰＥＴ）とポリエチレン（ＰＥ）のラミネートフ
ィルムを用い、開孔面積比率が１．０×１０^-3％となる
よう平均孔径が１００μの孔を３２０個開けた包装袋を
用い、実施例１で用いたと同様のスイートコーンを２ｋ
ｇ充填し、実施例１と同様に２日および５日後の鮮度を
調べた結果を表１に示す。

【００１８】《比較例４》実施例１で用いたと同様のス
イートコーンを２ｋｇを包装せずに、実施例１と同様の
環境に保存し、２日および５日後の鮮度を調べた結果を
表１に示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】

【発明の効果】本発明の包装袋を使用することによっ
て、スイートコーンの嫌気呼吸のため発生する臭気を防
ぎ、しかも嫌気呼吸による糖分の消化を防止し、一方、
過剰の酸素による糖分の低下を防ぎ、スイートコーンの
鮮度を保った状態で永く保存することができる。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】スイートコーンを密封した有孔合成樹脂
フィルムよりなるスイートコーン入り包装体において、
有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率が１×１０^-4〜８
×１０^-4％であり、スイートコーン１００ｇあたりの袋
内表面積が８０〜６００ｃｍ² であり、有孔合成樹脂フ
イルムの有する孔の平均孔径が２０〜１５０μであるこ
とを特徴とするスイートコーン入り包装体。
【請求項２】１つの包装体に有する前記孔の数が複数
個である請求項１記載のスイートコーン入り包装体。
【請求項３】前記開孔面積比率が４×１０^-4〜６×１
０^-4％である請求項１または２記載のスイートコーン入
り包装体。
【請求項４】スイートコーン１００ｇあたりの袋内表
面積が１００〜５００ｃｍ² である請求項１、２または
３記載のスイートコーン入り包装体。