JP3154447B2 - 千切りニンジン入り包装体 - Google Patents

千切りニンジン入り包装体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、千切りニンジンが合成
樹脂フイルムの包装袋により包装された後も、千切りニ
ンジンが適正な酸素雰囲気下で呼吸作用を継続させるこ
とによって、鮮度保持をさせるための包装体に関するも
のである。さらに詳しくは千切りニンジンの呼吸作用に
起因する低酸素状態での嫌気呼吸をさせないような酸素
雰囲気を保持しつつ、しかも酸素による酸化に起因する
品質の劣化を抑えるような条件を保持する包装体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】千切りニンジンは加工後も呼吸作用を持
続する。しかもカットする前よりも呼吸は高くなる。こ
のため加工後の貯蔵・流通の間および食するまでは、千
切りニンジンの品質劣化を防止することが必要である。
また、千切りニンジンの生産形態は衛生管理が行き届い
たカットヤサイ工場で生産されている。千切りニンジン
はその性質上、品質の低下が早く、鮮度保持の為にポリ
エチレン性の密封包装が使用されている。密封された千
切りニンジンは包装された後、袋内の空気をすぐに消費
し、無酸素状態になり、嫌気呼吸を行う為に、養分の消
費、水分の蒸散が早く、保存期間が非常に短くなってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、千切
りニンジンの鮮度を長時間保つための望ましい酸素濃度
雰囲気を形成し、異臭が発生せず、養分の低下、変色も
ない商品を供給するため、鋭意研究した結果なされたも
のであり、千切りニンジンの生存に必要な最低量の酸素
を供給し、千切りニンジンをいわば冬眠状態に保つこと
により、高酸素量の障害である養分の低下と変色を抑え
て、鮮度の高い千切りニンジンを供給するための千切り
ニンジン用包装袋および千切りニンジン入り包装体を提
供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、千切りニンジ
ンを密封した有孔合成樹脂フィルムよりなる千切りニン
ジン入り包装体において、有孔合成樹脂フィルムの開孔
面積比率が1×10-5〜5×10-4%であり、千切りニ
ンジン100gあたりの袋内表面積が100〜600c
2あり、その孔の平均孔径が20μ〜150μで
ることを特徴とする千切りニンジン入り包装体であり、
とくに、その孔の個数が1包装袋あたり複数個であるこ
とが好ましい。
【0005】本発明に用いる有孔フィルムとしては、千
切りニンジンの包装に用いることのできるものであれば
どのようなものであっても差し支えはないが、一般には
無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチ
レン、ポリ塩化ビニール、等が用いられるが、これ等以
外のポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等の
フイルム、さらにはこれらの複合フイルムであっても良
く、さらには、これらのフイルム表面にシーラント層を
設けたものでも、防曇処理したフイルムであっても何等
差し支えはない。また、これらのフイルムの厚さは通常
20〜40μのものが用いられる。さらに、これらのフ
イルムは透明であっても、不透明であっても良く、また
表面に印刷を付したものであっても何等差し支えはな
い。
【0006】本発明の有孔フイルムを用いた包装袋は、
包装する千切りニンジンの量によってその開孔面積比率
が決められ、その開孔面積比率は1×10-5〜5×10
-4%であることが必要である。この理由は包装袋中の酸
素量および炭酸ガス量を千切りニンジンの鮮度保持に適
した条件に保持するためのものであり、本発明者等の実
験結果からは酸素濃度が2%以上15%以下が望まし
く、これらの条件を満たすための開孔面積比率は1×1
-5〜5×10-4%となる。開孔面積比率が1×10-5
%以下となれば千切りニンジンは包装後の呼吸作用によ
り、流通過程中で無酸素状態となり嫌気呼吸を始めてし
まい、異臭を発生する。また、開孔面積比率が5×10
-4%以上となれば包装袋中の酸素量が多くなりすぎ、こ
の酸素の影響を受けて、千切りニンジンの変色現象を引
き起こし、さらには酸素量が多いため、千切りニンジン
の呼吸作用が活発化し、千切りニンジンが必要以上に生
育して養分が消耗してしまうという問題が発生する。従
って千切りニンジンの包装袋として用いられる有孔フイ
ルムの開孔面積比率としては1×10-5〜5×10-4
であることが必要であり、望ましくは3×10-5〜1×
10-4%の範囲にあることがさらに有効である。
【0007】また、有孔フイルムにおける孔部の平均径
は出来るだけ小さいことが望ましく、一般的には20〜
150μ程度、好ましくは30〜100μである。孔径
は出来るだけ小さいことが望ましいが、20μ以下では
有孔フイルムの生産性が低下する。また、平均孔径が1
50μ以上であれば、適正な開孔面積比率を得るに必要
な孔数が減少して、鮮度保持の品質精度に不安が生じ
る。また、孔の形状は、円形や四角または三角形など、
どのような形状であってもよく、長径方向の平均径が1
50μ以下であれば何等差し支えはないが、円形が開孔
作業性等の面より望ましい。
【0008】また、千切りニンジン包装袋に用いる有孔
フイルムの袋当たりの孔の個数は開孔面積比率と平均孔
径より算出されるが、できる限り複数個とすることが望
ましい。内容物の付着や外的条件たとえば値段表の添付
等で孔がふさがれてしまう場合があるので、鮮度を保証
するには複数個の孔が好ましく、さらに袋あたり5個以
上の孔をもち、孔1個あたりの影響度を20%以下にす
ることが望ましい。また、千切りニンジンの包装袋とし
ては、三方シール袋、四方シール袋またはガゼット袋な
どの形態の袋であっても何等差し支えなく、さらには、
トレー、カップ等に千切りニンジンを充填し、これを包
装袋で包装する形態のものであってもよい。
【0009】千切りニンジン用包装袋の大きさは千切り
ニンジン100gあたり袋内表面積が100〜600c
2 である必要があり、好ましくは200〜500cm
2 である。袋の内表面積で規定しているのは、シール部
分すなわちとじ代が計算に含まれないようにするためで
ある。千切りニンジン100gあたり袋内表面積が10
0cm2 以下であると、袋内の千切りニンジンの密度が
高くなり、千切りニンジン同士での接触により傷が付
き、変色しやすくなり、前記の開孔面積比率では酸素不
足になり嫌気呼吸に陥り好ましくない。更に、千切りニ
ンジン100gあたり袋内表面積が600cm2 以上に
なると、袋内の千切りニンジンの密度が低くなり、袋内
の初期の酸素量も多く、前記の開孔面積比率では酸素供
給量も多く、千切りニンジンの呼吸作用が活発になり変
色しやすくなり、千切りニンジンの養分が消耗していま
うことになる。またフィルムの使用量が多いため袋のコ
ストも高くなってしまう。
【0010】なお、千切りニンジンの包装に限るもので
はないが、野菜等の鮮度保持には、当然ながら、その流
通過程、および店頭における温度管理が重要なポイント
であり、千切りニンジンの呼吸量も当然これらの温度に
依存し、これらの温度が高くなるにつれてその呼吸量も
増加するが、本発明はこれらの温度を3〜15℃を想定
したものである。
【0011】
【実施例】
《実施例1》内寸が320mm×350mmの、厚さ5
0μのナイロン/ポリエチレンからなる包装袋に、開孔
面積比率が4.9×10-4%となるように平均孔径10
0μの孔を140個あけた三方シール袋に、千切りニン
ジンを1kg充填し(袋内表面積は320×350×2
=224000mm2 であるから、千切りニンジン10
0gあたりの袋内表面積は22400mm2 すなわち2
24cm2 である)、5℃で保存し、その3日および7
日後の鮮度を臭気発生状況、変色状況を観察した結果を
表1に示す。
【0012】《実施例2》実施例1と同様な厚さ50μ
のナイロン/ポリエチレンからなる包装袋を用い、開孔
面積比率が1.1×10-5%となるよう平均孔径が40
μの孔を20個開けた包装袋を用い、実施例1で用いた
と同様の千切りニンジンを1kg充填し、実施例1と同
様に3日および7日後の鮮度を調べた結果を表1に示
す。
【0013】《実施例3》実施例1と同様な厚さ50μ
のナイロン/ポリエチレンからなる包装袋を用い、開孔
面積比率が8.1×10-5%となるよう平均孔径が80
μの孔を36個開けた包装袋を用い、実施例1で用いた
と同様の千切りニンジンを1kg充填し、実施例1と同
様に3日および7日後の鮮度を調べた結果を表1に示
す。
【0014】《比較例1》内寸が320mm×350m
mの厚さ60μのポリエチレンからなる無孔の包装袋
に、実施例1で用いたと同様の千切りニンジンを1kg
充填し、実施例1と同様に3日および7日後の鮮度を調
べた結果を表1に示す。
【0015】《比較例2》実施例1と同様な厚さ50μ
のナイロン/ポリエチレンからなる包装袋を用い、開孔
面積比率が7.6×10-6%となるよう平均孔径が60
μの孔を6個開けた包装袋を用い、実施例1で用いたと
同様の千切りニンジンを1kg充填し、実施例1と同様
に3日および7日後の鮮度を調べた結果を表1に示す。
【0016】《比較例3》実施例1と同様な厚さ50μ
のナイロン/ポリエチレンからなる包装袋を用い、開孔
面積比率が7.0×10-4%となるよう平均孔径が10
0μの孔を200個開けた包装袋を用い、実施例1で用
いたと同様の千切りニンジンを1kg充填し、実施例1
と同様に3日および7日後の鮮度を調べた結果を表1に
示す。
【0017】 臭気 :○ なし、 × あり 変色 :○ なし、 × あり
【0018】
【発明の効果】本発明の包装袋を使用することによっ
て、千切りニンジンの嫌気呼吸のため発生する臭気を防
ぎ、しかも嫌気呼吸による養分の消化を防止し、一方、
過剰の酸素による褐変を防ぎ、千切りニンジンの鮮度を
保った状態で永く保存することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 千切りニンジンを密封した有孔合成樹脂
    フィルムよりなる千切りニンジン入り包装体において、
    有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率が1×10-5〜5
    ×10-4%であり、千切りニンジン100gあたりの袋
    内表面積が100〜600cm2あり、有孔合成樹脂
    フイルムの有する孔の平均孔径が20〜150μである
    ことを特徴とする千切りニンジン入り包装体。
  2. 【請求項2】 1つの包装体に有する前記孔の数が複数
    個である請求項1記載の千切りニンジン入り包装体。
  3. 【請求項3】 前記開孔面積比率が3×10-5〜1×1
    -4%である請求項1または2記載の千切りニンジン入
    り包装体。
  4. 【請求項4】 千切りニンジン100gあたりの袋内表
    面積が200〜600cm2 である請求項1、2または
    記載の千切りニンジン入り包装体。
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