JP2007045436A - ルッコラ入り包装体 - Google Patents

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孝陽 溝添
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Abstract


【課題】 ルッコラの包装体において、ルッコラの鮮度を長期間保つための望ましい、異臭が発生せず、黄化も見られない、ルッコラの鮮度を長期間保つことができるルッコラの包装体を提供する。
【解決手段】 有孔合成樹脂フィルムを用いてルッコラを包装したルッコラ入り包装体を平均温度10〜30℃の範囲で保存するに当たり、有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率が1×10−6〜4×10−5%であり、ルッコラ100gあたりの袋内面積が600〜1500cmであるルッコラ入り包装体である。

Description

本発明はルッコラ入りの包装体に関するものである。
ルッコラは収穫された後も呼吸作用を持続する。このため収穫後の貯蔵・流通および食するまでの間は、ルッコラの品質劣化を防止することが必要である。ルッコラはその性質上、品質の劣化が早く、鮮度保持の為にポリプロピレンフィルムなどによる密封包装が使用されている。しかし、密封包装されたルッコラは、無酸素状態の雰囲気中にさらされ、嫌気呼吸せざるをえない状態に置かれてしまい、袋を開けたときにはほとんどの包装体で異臭がする。また、ルッコラに含まれるビタミンCが早く壊れるという問題も指摘されている。
一般の野菜等の青果物に関して、酸素を供給し、鮮度を保つ方法として有孔フィルムを用いる方法が提案されている(特開昭62−148247号公報、特開昭63−119647号公報等)。これらのフィルムは、開孔面積比率が2×10−2〜2×10%であり、これらのフィルムでルッコラを包装しても、ルッコラの品質が低下してしまい、さらには水分の蒸散により萎れやすいといった問題がある。
特開昭62−148247号公報 特開昭63−119647号公報
本発明の目的は、ルッコラの包装体において、ルッコラの異臭が発生せず、食味の低下、萎れもなく、ルッコラの鮮度、栄養価を長期間保つことができ、市場に陳列された時に見栄えのよいルッコラの包装体を提供する。
有孔合成樹脂フィルムを用いてルッコラを包装したルッコラ入り包装体において、有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率が1×10−6〜4×10−5%であり、ルッコラ100gあたりの袋内面積が600〜1500cmであるルッコラ入り包装体である。
更に好ましい形態としては、ルッコラ100g当たりのフィルムの酸素透過量が200〜2500cc/atm・dayであり、包装体の保存される温度との比、酸素透過量/温度が10〜250、パック後24時間以降の比が40〜180であり、合成樹脂フィルムが有する孔、キズの平均孔径が20〜150μmであり、1つの包装体に有する孔、キズの数が複数個であるルッコラ入り包装体である。
本発明に従うと、ルッコラの鮮度を長期間保つことができ、異臭もなく、従って、変色も防止でき、食味の劣化もなく、見栄えの良い商品を最良の状態で提供することができる。また、ビタミンCの保存についても壊れることなく消費者に提供することができる。
本発明に用いる有孔合成樹脂フィルムとしては、ルッコラの包装に用いることのできるものであればどのようなものであっても差し支えはないが、例えば、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、生分解性フィルム等が用いられる。これ等以外のフィルムとして、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等のフィルムがある。さらには前述のフィルムの中から選ばれた複合フィルムであっても良く、さらには、これらのフィルム表面にシーラント層を設けたものでも、防曇処理したフィルムであっても何等差し支えはない。
有孔合成樹脂フィルムの厚さは、20〜60μmのものが好ましい。この範囲のフィルムを用いることは、包装体を作成するために要する費用、フィルム強度等の点より好ましい。さらに、これらのフィルムは透明であっても、不透明であっても良く、また表面に印刷を付したものであっても何等差し支えはない。
ルッコラ100gあたりの袋内表面積は、600〜1500cmが好ましい。ルッコラ100gあたりの袋内表面積が600cm未満であると、袋内のルッコラの密度が高くなり、ルッコラ同士での接触により傷が付き、軟腐しやすくなる恐れがある。また、ルッコラ100gあたり袋内表面積が1500cmを越えると、袋内のルッコラの密度が低くなり、袋内の初期の酸素量も多く、ルッコラの呼吸作用が活発になり黄化しやすくなり、消耗してしまうことになる。またフィルムの使用量が多いため袋のコストも高くなってしまう。
有孔合成樹脂フィルムよりなるルッコラ入り包装体において、有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率は、1×10−6〜4×10−5%である。更に好ましくは、7×10−6〜3×10−5%の範囲である。有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率が、1×10−6%未満であれば、常温にてルッコラを保存した場合、異臭が発生する可能性があり、4×10−5%を越えると、ルッコラの呼吸作用が活発化し、ルッコラの黄化現象、ビタミンCの低下を引き起こす可能性がある。
ルッコラ100g当たりの有孔合成樹脂フィルムの酸素透過量が200〜2500cc/atm・dayであることが好ましい。有孔合成樹脂フィルムの酸素透過量がこの範囲にあると、 異臭発生防止、黄化発生防止、ビタミンCの低下防止の点でより優れている。
本発明のルッコラ入りの包装体を保存する場合、その保存温度は特に限定されないが、平均気温10〜30℃の温度範囲で保存されることがより好ましい。ルッコラ入りの包装体を低温の倉庫で保存、又は上記の温度範囲の恒温倉庫で保存しても良いが、平均気温がこの範囲であれば恒温設備を有しない場所で保存しても何ら差し支えがない。ルッコラを上記の温度範囲で保存することにより、例えば、5℃という低温倉庫での保存よりも安く保存することができ、低温設備が必要とならないので保存場所を選ばない。
有孔合成樹脂フィルムの酸素透過量とルッコラ入り包装体が保存される際の温度(この場合の温度とは包装体が保存されている状況での平均気温をいい、複数の保存温度条件で保存された場合は、各保存温度と保存時間の積算値の合計より平均気温を求める。)との比(酸素透過量/温度)は、10〜250が好ましい。10未満では、保存温度に対して酸素透過量が不足し、異臭を発生させてしまう可能性があり、250を越えると黄化現象、ビタミンCの低下などの消耗を止められず、何れも品質が低下する可能性がある。
ルッコラの包装後24時間を越えた場合の酸素透過量/温度の比は40〜180が好ましい。24時間という短時間でこの状態に達する条件に設定することにより、その後のルッコラの鮮度保持期間を延長することができる。
有孔合成樹脂フィルムにおける孔部の平均径は出来るだけ小さいことが望ましく、平均孔径として20〜150μm、好ましくは30〜100μmである。平均孔径が20μm未満では有孔合成樹脂フィルムの生産性が低下する恐れがある。平均孔径が150μmを超えると、適正な開孔面積比率を得るに必要な孔数が減少して、鮮度保持の品質精度に問題が生じる恐れがある。
また、孔の形状は、円形や四角または三角形など、どのような形状であってもよく、貫通されたキズなどでも長径方向の径が150μm以下であれば何等差し支えはないが、円形が開孔作業等の面より望ましい。なお、いびつな形状の孔の開孔面積は、例えば、形状を計算し易い幾つかの形状に分けて面積を算出し、その後各面積の合計を求めて算出する方法でも良い。
ルッコラ用包装袋1袋当たりの孔の個数は、開孔面積比率と平均孔径より算出されるが、できる限り複数個とすることが望ましい。内容物の付着や外的条件、例えば値段表の添付等で孔がふさがれてしまう場合があるので、鮮度を保証するには複数個の孔が好ましく、さらに袋あたり5個以上の孔をもち、孔1個あたりの影響度を20%以下にすることが望ましい。
ルッコラの包装袋としては、三方シール袋、四方シール袋、チャック付きの袋またはガゼット袋などの形態の袋であっても差し支えなく、さらには、トレー、カップ等にルッコラを充填し、これを包装袋で包装する形態のものであってもよい。
上記の包装袋にルッコラを入れ、包装袋の口を閉じてルッコラ入りの包装体とする。包装袋の口を閉じる方法は特に規定されず、公知の方法を用いることができる。
平均気温は、産地からトラックにて市場に輸送し、市場にて常温で保管し、その後販売店で売られる流通経路を想定して条件を決定した。流通条件Aは、トラックの温度が13℃で10時間輸送し、市場にて30℃で10時間保管し、その後販売店にて7℃で4時間経過を想定した。このときの平均気温は19.1℃である。流通条件Bは、トラックの温度が5℃で10時間輸送し、市場にて20℃で10時間保管し、その後販売店にて10℃で4時間経過を想定した。このときの平均気温は12.1℃である。流通条件Cは、トラックの温度が15℃で8時間輸送し、市場にて30℃で10時間保管し、その後販売店にて20℃で6時間経過を想定した。このときの平均気温は22.5℃である。
《実施例1》
内寸が200mm×300mmであり、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンからなる包装袋に、開孔面積比率が2.1×10−5%となるように平均孔径80μmの孔を5個あけた三方シール袋に、ルッコラを100g充填した(袋内表面積は200×300×2=120000mmであるから、ルッコラ100gあたりの袋内表面積は120000mmすなわち1200cmである。酸素透過量は1100cc)。流通条件Aを経て、7℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《実施例2》
内寸が140mm×250mmであり、厚さ25μmの延伸ポリプロピレンからなる包装袋に、開孔面積比率が5.9×10−6%となるように平均孔径42μmの孔を3個あけた包装袋を用いた(袋内表面積は700cm、酸素透過量は260cc)。ルッコラを100g充填した。流通条件Bを経て、10℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《実施例3》
実施例1と同様の大きさの包装袋とし、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が3.8×10−5%となるように平均孔径85μmの孔を8個開けた包装袋を用いた。(酸素透過量は1860cc)。ルッコラを100g充填した。流通条件Cを経て、20℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《実施例4》
実施例1と同様の包装袋にルッコラ100gを充填した。流通条件Cを経て、20℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《実施例5》
実施例3と同様の包装袋にルッコラ100gを充填した。流通条件Bを経て、10℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《実施例6》
実施例1と同様の大きさの包装袋とし、厚さ25μmの延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が3.9×10−5%となるような平均孔径100μmの孔を6個開けた包装袋を用いた(酸素透過量2300cc)。ルッコラを100g充填した。 流通条件Bを経て、10℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《比較例1》
実施例1と同様の大きさの包装袋とし、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が8.0×10−7%となるように平均孔径35μmの孔を1個開けた包装袋を用いた(酸素透過量130cc)。ルッコラを100g充填した。流通条件Cを経て、20℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《比較例2》
実施例1と同様の大きさの包装袋とし、厚さ25μmの延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が5.0×10−5%となるような平均孔径160μmの孔を3個開けた包装袋を用いた(酸素透過量2900cc)。ルッコラを100g充填した。 流通条件Bを経て、10℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
《比較例3》
内寸が250mm×400mmであり、厚さ30μmの延伸ポリプロピレンを用い、開孔面積比率が3.7×10−5%となるような平均孔径85μmの孔を13個開けた包装袋を用いた(表面積2000cm、酸素透過量3000cc)。ルッコラを100g充填した。流通条件Cを経て、20℃で保存し、24時間後、3日および5日後の鮮度を臭気発生状況、黄化発生状況、ビタミンC含量などを評価した。
実施例及び比較例の鮮度などの結果を表1に示す。
Figure 2007045436

Claims (5)

  1. 有孔合成樹脂フィルムを用いてルッコラを包装したルッコラ入り包装体において、ルッコラ100gあたりの袋内面積が600〜1500cmであり、前記有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率が1×10−6〜4×10−5%であることを特徴とするルッコラ入り包装体。
  2. ルッコラ100g当たりの有孔合成樹脂フィルムの酸素透過量が200〜2500cc/atm・dayである請求項1に記載のルッコラ入り包装体。
  3. 有孔合成樹脂フィルムの酸素透過量とルッコラ入り包装体が保存される際の温度との比、酸素透過量/温度が10〜250である請求項1又は2に記載のルッコラ入り包装体。
  4. 有孔合成樹脂フィルムの酸素透過量とルッコラ入り包装体が保存される際の温度との比が、ルッコラを包装後24時間以降の比が40〜180である請求項1、2又は3に記載のルッコラ入り包装体。
  5. 有孔合成樹脂フィルムが有する孔、キズの平均孔径が20〜150μmである請求項1、2、3又は4に記載のルッコラ入り包装体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06199385A (ja) * 1992-10-21 1994-07-19 Sumitomo Bakelite Co Ltd 青果物保存用袋

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