JP2019135164A - 枝豆を含む青果物用包装体及び当該青果物の鮮度保持方法 - Google Patents
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Abstract
Description
包装に開口部を設けるなどして、枝豆の呼吸をある程度許容することで、異臭を低減することはできるが、この場合枝豆の呼吸作用が活発となってしまい、枝豆がさらに生育して糖分が消費されるなどして、食味が低下する場合がある。
そこで、枝豆の包装体において、枝豆の異臭が発生せず、萎れもなく、外観の悪化が抑制され、枝豆の食味を長期間保つことができる枝豆の包装体を提供するため、有孔合成樹脂フィルムを用いて枝豆を包装した枝豆入り包装体において、有孔合成樹脂フィルムの開孔面積比率、及び枝豆100gあたりの袋内面積を、それぞれ特定の数値範囲内に限定した枝豆入り包装体が提案されている(特許文献1参照。)。
すなわち本発明は、
[1]高分子フィルムを含んでなる包装容器内に枝豆を含む青果物を収納してなり、該枝豆の遊離アラニン含有量が、40mg/100g以下である、上記包装体、である。
また、以下[2]から[5]は、は、それぞれ本発明の好ましい実施形態の一つである。
[2]前記包装体の封止後、温度3〜5℃の条件で72時間保持された後の、前記枝豆の遊離アラニン含有量が、40mg/100g以下である、[1]に記載の包装体。
[3]
前記高分子フィルムの酸素透過度が、35000〜150000(cc/m2・day・atm)である、[1]又は[2]に記載の包装体。
[4]
前記枝豆の食味を、温度3から5℃において、包装体の封止後168時間以上経過後においても維持する、[1]から[3]のいずれか一項に記載の包装体。
[5]
内部二酸化炭素濃度が1体積%以下である、[1]から[4]のいずれか一項に記載の包装体。
本発明は、高分子フィルムを含んでなる包装容器内に枝豆を含む青果物を収納してなり、前記枝豆に含まれる遊離アラニン量が40mg/100g以下である包装体である。すなわち、本発明の包装体は、少なくとも包装容器と、そこに収納された青果物とを有するものである。
本発明の包装体を構成する包装容器は、高分子フィルムを含んでなるものである。ここで「高分子フィルムを含んでなる」とは、包装容器の全部が高分子フィルムで構成されている場合、及び蓋材等包装容器の一部が高分子フィルムで構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
従って、上記包装容器は、全部又は主要部が可撓性の高分子フィルムで構成された可撓性の包装容器、いわゆる包装袋であってもよく、可撓性の高分子フィルムとコーティング紙等のそれ以外の可撓性の部材を組み合わせた可撓性の包装容器であってもよく、あるいは可撓性の高分子フィルムと剛直な部材とを組み合わせた包装容器、例えば、蓋材としての高分子フィルムと、トレー、カップ等の剛直な部材とを組み合わせた形態のものであってもよい。
なお、このような包装袋は、その平面視での形状は円形、三角形、四角形、四角形以上の多角形でもよいが、加工性や取扱いの容易さの観点から長方形をなすことが好ましい。 また、袋内の枝豆の密度が高すぎると、枝豆同士の接触により傷が付き、変色し易くなるため、最適な密度形態とするのが好ましい。
本発明で用いる包装容器を構成する高分子フィルムでは、収納される青果物の量、種類、並びに所望の内部酸素濃度や二酸化炭素濃度の各種ガス濃度等に合わせて適正な酸素透過度及び/又は炭酸ガス透過度を選択することができる。
本発明の包装体は、上記包装容器内に枝豆を含む青果物を収納してなる。ここで、青果物が枝豆を「含む」とは、当該青果物の全部が枝豆で構成されている場合、及び当該青果物の一部が枝豆で構成されている場合、の双方を包含する趣旨である。従って、通常は、当該青果物の全部が枝豆で構成されているが、必要に応じて、枝豆以外の野菜、果物等も包装容器内に収納される青果物として含めることも可能である。本発明において包装容器内に、「枝豆」とともに収納することができる「枝豆」以外の青果物には特に制限は無く、非加熱又は加熱の青果物を適宜収納することが可能である。
また、枝豆を含んでいる限りにおいては、青果物以外の成分、例えば青果物以外の食品、調味料、食品添加物等を含んでいてもよい。
また、ここで言う「枝豆」は、その起源、産地、種類及び品種は特に制限されない。枝豆の種類は、種皮の違いから普通種、茶豆、黒豆に大別されるが、いずれも用いることができる。普通種の枝豆としては、例えば大袖の舞、サッポロミドリ、味緑、湯あがり娘、サヤムスメ等が挙げられる。茶豆の枝豆としては、例えば、白山、福成、越乃茶太郎等が挙げられる。黒豆の枝豆としては、例えば、丹波黒、紫ずきん、黒頭巾等が挙げられる。これらの枝豆は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。枝豆の熟度、色調、豆の硬さ、莢の強さ、見栄え、加熱適性等を総合して、商品として適切なものが好適に用いられる。
本発明において、包装体に収納され鮮度保持される「枝豆」の遊離アラニン含有量は、莢から外した子実に含まれる遊離アラニン量をアミノ酸自動分析法で測定することにより決定される。実際の測定にあたっては、例えば本願実施例に記載の測定方法、条件を採用することができる。
本発明においては該遊離アラニン量が40mg/100g以下であるので、包装後長期間にわたって枝豆の食味を維持することができる。遊離アラニン量は、38mg/100g以下であることが好ましく、35mg/100g以下であることがより好ましい。
枝豆の食味を維持する観点からは、包装体の封止後所定時間経過後の遊離アラニン量を管理することが好ましく、より具体的には、枝豆を収納してなる包装体の封止後、冷蔵で72時間保持した時の前記枝豆の遊離アラニン含有量が40mg/100g以下(即ち、枝豆100gあたり40mg以下)の値であることが好ましい。更に、前記封止後、冷蔵で168時間、更には336時間保持された後の、前記枝豆の遊離アラニン含有量が上記範囲内であることが特に好ましい。ここで「冷蔵」とは3℃以上5℃以下の保持条件を言う。
本発明の包装体の内部二酸化炭素濃度には特に限定は無いが、枝豆の食味を維持するという観点から、1体積%以下であることが好ましい。また、枝豆を冷蔵で包装体に収納して包装体を封止後、冷蔵で168時間経過後の前記包装体の内部二酸化炭素濃度が、1体積%以下であることがより好ましい。また、本発明の包装体の内部酸素濃度にも特に限定は無いが、同様の観点から、枝豆を室温で包装体に収納して包装体を封止後、冷蔵で168時間経過後の当該包装体の内部酸素濃度が17体積%以上21体積%以下であることが好ましい。
ここで、「封止後」とは、包装体封止後からの経過時間、具体的には、包装容器内に枝豆を含む青果物を収納した後、その包装容器を封止してからの経過時間を言う。そのため、例えば、「封止後、冷蔵で24時間」とは、具体的には、包装容器内に枝豆を含む青果物を室温で収納した後、その包装容器を封止してから冷蔵で24時間経過した後の状態を言う。
また、上述した遊離アラニン含有量を実現するためには、酸素透過度が所定値の範囲内にある高分子フィルムを用いて包装容器を構成することが望ましい。
すなわち、本発明で用いる高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、35000〜150000(cc/m2・day・atm)であることが好ましい。本発明における包装体では、包装容器を構成する高分子フィルムの酸素透過度が上記範囲内であることによって、上述の好ましい内部酸素濃度を実現することが一層容易になる。
また、本発明で用いる高分子フィルムの炭酸ガス(二酸化炭素)透過度は、20℃、90%RHにおいて、例えば45000〜130000(cc/m2・day・atm)の範囲内であることが好ましい。本発明における包装体では、包装容器を構成する高分子フィルムの炭酸ガス透過度が上記範囲内であることによって、上述の好ましい内部二酸化炭素濃度を実現することが一層容易になる。
本発明における包装体では、包装容器を構成する高分子フィルムが、20℃、90%RHにおける酸素透過度及び/又は炭酸ガス透過度が上記範囲内であることによって、包装容器内に収納した青果物中の枝豆の食味を、封止後冷蔵で例えば168時間の長期間にわたり、維持することが一層容易になる。
本発明において用いる高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、40000〜140000(cc/m2・day・atm)であることがより好ましい。
また、本発明において用いる高分子フィルムの炭酸ガス透過度は、20℃、90%RHにおいて、5000〜125000(cc/m2・day・atm)であることがより好ましい。
まず、次の方法で内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になれば袋内のガスを連通部からほぼすべて排出する。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールする。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.03%)の室内に6時間放置する。
次に食品ガス置換包装用O2&O2/CO2計 (CheckPoint II、MOCONEurope)を用いて袋中の酸素濃度を測定する。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度及び炭酸ガス透過度を算出する。
(式) 酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(2×a×b cm2)/酸素の分圧(0.21atm)
(式) 炭酸ガス透過度=内部二酸化炭素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(2×a×b cm2)/二酸化炭素の分圧(0.0003atm)
高分子フィルムに開口部を設けない場合には、製造プロセスがより簡便、低コストなものとなり、また開口部の大きさ、形状等を精密に制御することも不要となる。
高分子フィルム中に開口部が存在しないこと(即ち、「孔無し」であること)は、例えば、包装容器を構成する高分子フィルムが、インク洩れチェッカーで確認できる貫通孔を有さないことにより、確認することができる。
開口部の形状には特に限定は無く、円形、略円形であってもよく、スリット状であってもよい。円形、略円形の開口部は、加工が容易である点等において好ましく、スリット状での開口部は、異物の侵入を有効に防止できる点等において好ましい。個々の開口部の大きさと、開口部の個数は、高分子フィルムの酸素透過度や炭酸ガス透過度が適切な限りにおいて、適宜設定、変更可能である。例えば、開口部が円形の場合、これらの透過度を調節するうえで、直径20〜100μm程度、より好ましくは50μm程度の大きさが好ましい。
開口部の個数には特に制限は無いが、例えば包装容器1個あたり1から300個の開口部を有することが、酸素透過度、二酸化炭素透過度を調整する観点から好ましい。
開口部の間隔は必要とされる開口部の数によるので特に制限は無いが、製造上の効率等、フィルムの強度等の観点からは、1〜100mm程度であることが好ましい。
なお、個々の開口部の大きさと、開口部の個数は、包装容器全体の酸素透過度や二酸化炭素透過度が適切な限りにおいて、適宜設定、変更可能であり、その際には、高分子フィルムの有効面積に占める開口部の数が指針となる。例えば直径50μm程度(開口面積2000μm2程度)の開口部を設ける場合、200mm×200mmの包装容器に対して1つ存在するごとに約2000cc/m2/day/atm酸素透過度を上げる効果があり、この様な知見に基づき必要とされる包装容器全体の酸素透過度からスリット開口部の数を決めることが好ましい。この場合における、包装容器1個あたりの開口部の数は、5から100個であることが好ましく、10から80個であることが特に好ましい。
前記プロピレン系重合体としては、ポリプロピレンの名称で製造、販売されているプロピレン単独重合体(ホモPPとも呼ばれている)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(ランダムPPとも呼ばれている)、プロピレン単独重合体と、低結晶性または非晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体との混合物(ブロックPPとも呼ばれている)などのプロピレンを主成分とする結晶性の重合体が挙げられる。また、プロピレン系重合体は、分子量が異なるプロピレン単独重合体の混合物であってもよく、プロピレン単独重合体と、プロピレンとエチレン又は炭素数4から10のα−オレフィンとのランダム共重合体との混合物であってもよい。
前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、そのケン化物及びアイオノマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体が挙げられる。これらの共重合体中のα−オレフィンの割合は、1〜15モル%であることが好ましい。
機械的強度等の観点からは、各種高分子の延伸フィルムを好適に用いることができる。
特に、プロピレン系重合体を用いた延伸フィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)は、機械的強度、透明性、耐熱性等に優れるため、本発明に用いる包装容器において、特に好ましく使用することができる。
また、エチレン系重合体を用いたフィルム(ポリエチレン系フィルム)も、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれであってもよいが、ヒートシール性等の観点から、無延伸のものを、特に好ましく使用することができる。
本発明において包装容器を構成する高分子フィルムとして特に好適なものの例として、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、及び延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を挙げることができる。
本発明において好ましく用いられる延伸ポリプロピレンフィルムは少なくとも一方向に延伸されたフィルムから構成されていてもよいし、延伸ポリプロピレンフィルム自体が少なくとも一方向に延伸されていてもよい。また、延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、例えば逐次、あるいは同時二軸延伸することにより容易に製造することも可能である。延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、通常、縦方向に5〜8倍延伸し、続いて横方向にテンター機構を用いて8〜10倍延伸し、フィルムの厚さを最終的に20〜40μmとする方法、あるいは、縦方向及び横方向にそれぞれ5〜10倍(面倍率で25〜100倍)延伸することにより製造することができる。
<ポリエチレン系フィルム>
本発明において好ましく用いられるポリエチレン系フィルムは、前記エチレン系重合体を含むフィルムである。ポリエチレン系フィルムは種々の公知の成型方法を用いることができるが、エクストルーダーによる押出によるキャスト成型が、生産効率の観点から好ましい。
ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びポリL乳酸、ポリD乳酸、またはポリL乳酸とポリD乳酸を精密に配位したステレオコンプレックス晶ポリ乳酸からなる一軸あるいは二軸延伸フィルムである。
本発明において好ましく用いられる延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体は上記ポリエチレン系フィルムの層と延伸フィルムの層を積層して得られる。ポリエチレン系フィルムは一方向または二方向に延伸されていてもよいが、包装袋の機械的強度の安定性の観点から、無延伸フィルムであることが好ましい。
予め作製された延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとを接着剤により貼着させるドライラミネーションを行うが、ここで接着剤を塗布する延伸フィルム表面にはコロナ処理をしておくことが接着安定性の観点から好ましい。具体的には、コロナ処理後のフィルム表面の表面張力が接着安定性の観点から、35mN/m以上が好ましく、40mN/m以上がより好ましい。
青果物等の内容物の鮮度保持の観点からは、上記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有することが好ましい。
また、上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、抗菌機能を有していてもよい。例えば、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、上記高分子フィルムの少なくとも一方の表面に存在することが好ましく、当該少なくとも1種の化合物が0.002〜0.5g/m2存在することが特に好ましい。あるいは、上記高分子フィルムが、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびグリセリンモノカプレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有していることが好ましく、0.001〜3質量部含有していることが特に好ましい。
上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、当該高分子フィルムの表面での結露が抑制され、雑菌の繁殖が抑制されることにより、結露(ドリップ)中での雑菌の増殖が抑制され、抗菌機能が発揮される。
この場合、延伸プロピレンフィルム単体で用いる場合は、その厚さが10〜100μmであることが好ましく、延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を用いる場合には、前者の厚さが10〜50μm、後者の厚さが10〜120μmであることが好ましい。
枝豆を含む青果物を本発明の包装容器に収納し、その枝豆の遊離アラニン含有量を最適に調整することで、本発明の包装体を製造することができ、また本発明の一実施形態である当該青果物の食味維持を実施することができる。
以下、本発明の包装体の製造方法を枝豆の鮮度保持用包装体を例に説明する。
加えて、洗浄後、包装容器に詰める前に上記枝豆の莢の表面に付着した水分を十分に除去することも、鮮度保持のために有効である。
例えば、青果物に加えて、吸湿剤及び/又は抗菌剤が包装容器中に収納されていてもよい。
吸湿剤には特に限定は無く、吸湿効果または調湿効果を有する公知又は市販の材料を使用することができる。吸湿剤として好適に用いられるものとしては、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、及び、焼ミョウバン、又はこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、青果物への影響や食品である青果物等の近くで使用することに関する懸念の比較的少ない活性炭を用いることが特に好ましい。活性炭は粉末状、粒状どちらでも何ら差し支えなく、原料はヤシ殻、おがくず、木炭、竹炭、褐炭、泥炭、ほね、石油ピッチなどどんなものでも差し支えない。また活性炭は不織布、セロファン、紙などなどで使用単位毎に包装してあることが望ましいが、活性炭自体が繊維状になったものでも差し支えない。活性炭の包材としては、合成樹脂からなる不織布のように、ヒートシール性を有するものが好ましいが、水蒸気透過性を有しかつ活性炭がこぼれないもので有れば、紙、天然繊維などでも何ら問題ない。
(酸素透過度及び炭酸ガス透過度)
まず、次の方法で内寸175mm×190mmの袋を形成した。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸175mm×190mmの袋を形成した。その際、ヒートシール部に、ガス測定用のピンチコックを1個設けた。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になってから袋内のガスを連通部からほぼすべて排出した。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールした。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.03%)の室内に6時間放置した。
次に食品ガス置換包装用O2&O2/CO2計 (CheckPoint II、MOCONEurope)を用いて袋中の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定した。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度及び炭酸ガス透過度を算出した。
(式) 酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(665cm2)/酸素の分圧(0.21atm)
(式) 炭酸ガス透過度=内部二酸化炭素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(665cm2)/二酸化炭素の分圧(0.0003atm)
(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)
ChecPoint IIを用いて袋中の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定した。
(枝豆の重量)
枝豆の重量は、莢ごとパッキングされた枝豆の重量を、上皿天秤を用いて継続的に計測することによって決定した。
(枝豆の遊離アラニン含有量)
遊離アミノ酸自動分析法:遊離アラニンはイオン交換クロマトグラフィーで分離した後に、ニンヒドリン試薬で反応させて可視吸光検出器で検出することにより測定する。測定対象の枝豆の莢から外した子実を一旦冷凍、摩砕し、80%エタノールを加え得られた残さを3回抽出した。抽出液をメンブランフィルター(0.45μm)に通してサンプル液とした。スルホサリチル酸溶液を加えpH2.2に調製し、メンブランフィルター(0.2μm)により不純物を取り除き、適宜希釈した試験溶液を用い、アミノ酸自動分析により枝豆の遊離アラニン含有量を決定した。遊離アミノ酸自動分析には、全自動アミノ酸分析装置(日本電子製JLC−500/V2)を使用した。
(食味)
甘味、旨み、香り、食感を指標に、枝豆の子実の食味を次の5段階で評価した。
◎(良好)
○(やや良好)
△(普通)
×(不良)
××(食味不可)
厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに対し、レーザー加工で直径50μmほどの開口部を設けたフィルムを用意した。
上記のフィルムを用いて内寸175mm×190mmサイズの袋をヒートシールして作製した。前記開口部数は28個とした。なお、袋にはピンチコックを取り付けた。
この袋の酸素透過度と炭酸ガス透過度を測定したところ、各々48344(cc/m2・day・atm)と51051(cc/m2・day・atm)であった。
予め準備した莢付き枝豆(品種:サヤムスメ(埼玉県産))200gを室温、空気中で袋に詰めて収納後、上部1cm程度をヒートシールで封止して包装体とした。この包装体を計3袋作成した。
これら包装体を冷蔵で保管し、経日的(具体的には、上記封止後、0時間、72時間、168時間、及び336時間後)に包装体内部の酸素濃度と二酸化炭素濃度、並びに枝豆の莢から外した子実に含まれる遊離アラニン量と食味を測定し、莢付き枝豆の食味を評価した。
ここで、封止後、72時間の前記遊離アラニン量と食味は、上記包装体の一袋を、封止後、72時間後に開封して枝豆を9つ取り出し、その莢から外した子実に含まれる遊離アラニン量と食味を上述のとおりに測定することにより評価し、封止後、168時間後及び336時間後の前記遊離アラニン量と食味は、上記包装体のそれぞれ別の一袋を、封止後、168時間後及び336時間後に開封して枝豆を9つ取り出し、その莢から外した子実に含まれる遊離アラニン量と食味を上述のとおりに測定することにより評価した。
また、封止後、0時間の酸素濃度と二酸化炭素濃度とは、封止直後の包装体内部の酸素濃度と二酸化炭素濃度のことであり、封止後、0時間の前記遊離アラニン量と食味は、封入する直前の枝豆を9つ取り出し、その莢から外した子実に含まれる遊離アラニン量と食味を上述のとおりに測定することにより評価した。
結果を表1に示す。
本実施例の包装体によれば、封止後、0時間後の枝豆の遊離アラニン含有量は、43mg/100gであり、封止後、72時間後、168時間後、及び336時間後の枝豆の遊離アラニン含有量は、それぞれ31mg/100g、14mg/100g、及び11mg/100gと、時間の経過に伴い顕著に減少していた。このことから、遊離アラニンを生ずるタンパク質の分解が、封止後早い時期に抑制されたものと推定された。
そして、この包装体によれば、枝豆の食味は、封止後、0時間で◎(良好)であり、封止後、72時間後でも◎(良好)、封止後、168時間後で△(普通))、封止後、336時間後で△(普通)といずれの時点でも、食味可能な状態であることから、長期にわたり、枝豆の食味を維持できることが確認された。
開口部を設けていない厚さ45μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いたことを除き、実施例1と同様にして、莢付き枝豆を収納してなる包装体を作製し、評価を行った。なお、開口部(貫通孔)が無いことは、インク洩れチェッカーで確認した。
包装体の酸素透過度は、1430(cc/m2・day・atm)で、炭酸ガス透過度は、6550(cc/m2・day・atm)であった。
結果を表1に示す。
本比較例の包装体によれば、封止後、0時間後の枝豆の遊離アラニン含有量は、43mg/100gであり、また、封止後、72時間後、168時間後、336時間後の枝豆の遊離アラニン含有量は、それぞれ、48mg/100g、48mg/100g、及び88mg/100gと、時間の経過に伴い大幅に増加していた。このことから、遊離アラニンを生ずるタンパク質の分解が抑制できず、むしろ時間の経過に伴い分解が促進されたものと推定された。
そして、この包装体によれば、枝豆の食味は、封止直後は◎(良好)、72時間後の食味は○(やや良好)であったが、168時間後には××(食味不可)となり、実施例1の168時間後の食味△(普通)と比較して著しく低下するため、本実施例と異なり、長期にわたって枝豆の食味を維持することはできないことが確認された。
開口部数を66個設けた包装体としたことを除き、実施例1と同様にして、莢付き枝豆を収納してなる包装体を作製し、評価を行った。
包装体の酸素透過度は、121895(cc/m2・day・atm)で、炭酸ガス透過度は、124413(cc/m2・day・atm)であった。
評価結果を表1に示す。
本実施例の包装体によれば、封止後、0時間後の枝豆の遊離アラニン含有量は、43mg/100gであり、また、封止後、72時間後、168時間後、及び336時間後の枝豆の遊離アラニン含有量は、それぞれ19mg/100g、15mg/100g、及び19mg/100gと、時間の経過に伴い顕著に減少していた。このことから、遊離アラニンを生ずるタンパク質の分解が、封止後早い時期に抑制されたものと推定された。
そして、この包装体によれば、枝豆の食味は、封止後、0時間で◎(良好)であり、封止後、72時間後でも○(やや良好)、封止後、168時間後で△(普通))、封止後、336時間後で△(普通)といずれの時点でも、食味可能な状態であることから、長期にわたり、枝豆の食味を維持できることが確認された。
Claims (5)
- 高分子フィルムを含んでなる包装容器内に枝豆を含む青果物を収納してなり、該枝豆の遊離アラニン含有量が、40mg/100g以下である、上記包装体。
- 前記包装体の封止後、温度3〜5℃の条件で72時間保持された後の、前記枝豆の遊離アラニン含有量が、40mg/100g以下である、請求項1に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムの酸素透過度が、35000〜150000(cc/m2・day・atm)である、請求項1又は2に記載の包装体。
- 前記枝豆の食味を、温度3から5℃において、包装体の封止後168時間以上経過後においても維持する、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体。
- 内部二酸化炭素濃度が1体積%以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装体。
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