JP2020055548A - ブロッコリーを含む青果物包装体及び当該青果物の鮮度保持方法 - Google Patents

ブロッコリーを含む青果物包装体及び当該青果物の鮮度保持方法 Download PDF

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永安 葉
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Koji Hirota
幸治 廣田
田原 修二
Shuji Tawara
田原  修二
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Abstract

【課題】包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる包装体であって、ブロッコリーの食味の低下を有効に抑制することができる包装体、を提供する。【解決手段】高分子フィルムを含んでなる包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる包装体であって、該包装体の封止後、5℃で72時間保持された後の、該ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が、800μg/100g以上である、上記包装体。【選択図】 なし

Description

本発明は、ブロッコリーを含む青果物の鮮度保持性能に優れた包装体に関し、より具体的には、高分子フィルムを有する包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなり、前記ブロッコリーのβカロテン含有量が特定値以下である、包装体に関する。
ブロッコリーは収穫後の鮮度低下が早く、常温では、収穫後の数日で急激に黄化が進行してその商品性を低下させる。このため、特に遠隔地に輸送する場合には、商品性を保つために黄化を抑える工夫が必要となり、従来より種々の鮮度保持方法が試みられている。
例えば、特許文献1には、ブロッコリーを、微孔を有し、適度の水蒸気透過度を有するフィルムで密封包装し、パウチ内の酸素濃度を3〜15%、炭酸ガス濃度を6〜18%に維持することで、ブロッコリーの鮮度低下、より具体的には、黄化、異臭、及び萎えを抑制することが提案されている。
しかしながら、この様な技術を用いた場合であっても、ブロッコリーの食味が低下する場合があり、黄化等を抑制しながら、食味の低下をも十分に抑制できる技術が求められていた。
特開平5−316942号公報
本発明は、上記の従来技術の限界に鑑み、包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる包装体であって、ブロッコリーの食味の低下を有効に抑制することができる包装体、を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ブロッコリーのβカロテン含有量とその食味との間に密接な関係があることを見い出し、更に包装体の封止後所定時間経過後のブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が特定値以上であるときに、ブロッコリーの食味を良好な状態に維持できることを見い出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる包装体であって、該包装体の封止後、5℃で72時間保持された後の、該ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が、800μg/100g以上である、上記包装体、である。
また、以下[2]から[6]は、それぞれ本発明の好ましい実施形態の一つである。
[2]
前記高分子フィルムの酸素透過度が、20000(cc/m・day・atm)以上、55000(cc/m・day・atm)以下である、[1]に記載の包装体。
[3]
二酸化炭素濃度が21体積%以下である、[1]又は[2]に記載の包装体。
[4]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納して包装体を形成して封止する工程、及び該包装体を保持する工程、を含む青果物の鮮度保持方法であって、
該包装体の封止後72時における、該ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が、800μg/100g以上である、上記青果物の鮮度保持方法。
[5]
前記包装体を保持する工程が、3〜5℃の範囲内の温度で実施される、[4]に記載の、青果物の鮮度保持方法。
本発明によれば、包装容器内に収納した青果物中のブロッコリーの食味の低下を長期間にわたって有効に抑制することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明は、高分子フィルムを含んでなる包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる包装体であって、該包装体の封止後、5℃で72時間保持された後の、該ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が、800μg/100g以上である、上記包装体である。すなわち、本発明の包装体は、少なくとも包装容器と、そこに収納された青果物とを有するものである。
<包装容器>
本発明の包装体を構成する包装容器は、高分子フィルムを含んでなるものである。ここで「高分子フィルムを含んでなる」とは、包装容器の全部が高分子フィルムで構成されている場合、及び蓋材等包装容器の一部が高分子フィルムで構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
従って、上記包装容器は、全部又は主要部が可撓性の高分子フィルムで構成された可撓性の包装容器、いわゆる包装袋であってもよく、可撓性の高分子フィルムとコーティング紙等のそれ以外の可撓性の部材を組み合わせた可撓性の包装容器であってもよく、あるいは可撓性の高分子フィルムと剛直な部材とを組み合わせた包装容器、例えば、蓋材としての高分子フィルムと、トレー、カップ等の剛直な部材とを組み合わせた形態のものであってもよい。
包装容器がいわゆる包装袋である実施形態においては、例えば、2枚の高分子フィルムを互いに重ね合わせた状態、または1枚の高分子フィルムを折り重ねた状態で、3辺または2辺を熱シールにより融着させる等して包装袋を形成することができる。残る1辺は、青果物等の内容物を包装袋内に配置した後、同様に熱シールにより融着させるなどして封止することができる。
なお、このような包装袋は、その平面視での形状は円形、三角形、四角形、四角形以上の多角形でもよいが、加工性や取扱いの容易さの観点から四角形特に長方形をなすことが好ましい。 また、袋内のブロッコリーの密度が高すぎると、ブロッコリー同士の接触により傷が付き、変色し易くなるため、最適な密度形態とするのが好ましい。
本発明で用いる包装容器は、以上説明した高分子フィルムを含んでなるものであり、その酸素透過度には特に限定は無いが、βカロテン含有量を保つ観点から例えば15000以上、60000(cc/m・day・atm)以下が適当であり、20000以上、55000(cc/m・day・atm)以下が好ましく、20000以上、50000(cc/m・day・atm)以下がさらに好ましい
その炭酸ガス(二酸化炭素)透過度にも、特に限定は無いが、βカロテン含有量を保つ観点から例えば15000以上、60000(cc/m・day・atm)以下が適当であり、20000以上、55000(cc/m・day・atm)以下が好ましく、20000以上、45000(cc/m・day・atm)以下がさらに好ましい
本発明で用いる包装容器を構成する高分子フィルムでは、収納される青果物の量、種類、並びに所望の内部酸素濃度や二酸化炭素濃度の各種ガス濃度等に合わせて適正な酸素透過度及び/又は炭酸ガス透過度を選択することができる。
<青果物>
本発明の包装体は、上記包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる。ここで、青果物がブロッコリーを「含む」とは、当該青果物の全部がブロッコリーで構成されている場合、及び当該青果物の一部がブロッコリーで構成されている場合、の双方を包含する趣旨である。従って、通常は、当該青果物の全部がブロッコリーで構成されているが、必要に応じて、ブロッコリー以外の野菜、果物等も包装容器内に収納される青果物として含めることも可能である。本発明において包装容器内に、「ブロッコリー」とともに収納することができる「ブロッコリー」以外の青果物には特に制限は無く、非加熱又は加熱の青果物を適宜収納することが可能である。
また、ブロッコリーを含んでいる限りにおいては、青果物以外の成分、例えば青果物以外の食品、調味料、食品添加物等を含んでいてもよい。
本発明の包装体を構成する(具体的には、包装容器に収納される)「ブロッコリー」とは、アブラナ科・アブラナ属に分類される緑黄色野菜であり、主にその花蕾及び茎を食用とする。本発明の包装体においては、花蕾を有するブロッコリーであればよく、1種あるいは2種以上の組み合わせを、包装容器内に収容することができる。
また、ここで言う「ブロッコリー」は、その起源、産地、種類及び品種は特に制限されない。ブロッコリーの代表的な品種として、「ピクセル」、「エンデバー」、「グリーンベール」、「シャスター」、「パラグリーン」、「マーシャル」、「チャレンジャー」、「海嶺」、「雷鳴」、「緑炎」、「緑帝」、「緑笛」、「緑嶺」などを挙げることができるが、これらには限定されない。また、その変種であるカリフラワーをも、ここで言う「ブロッコリー」に含まれる。さらに、「ロマネスク」「はなっこりー」「スティックセニョール」「アレッタ」「あすっこ」のような、近縁種や他の野菜と掛け合わせたものも、ここで言う「ブロッコリー」に含まれる。
これらのブロッコリーは、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ブロッコリーの熟度、食味、色調、見栄え等を総合して、商品として適切なものが好適に用いられる。
「ブロッコリー」は、収穫したものをそのまま用いてもよいし、衛生面、鮮度等の観点から食品としての商品価値を高めるために、適宜、水洗いによる洗浄処理や殺菌処理等がなされていてもよい。
本発明において包装体に収納され鮮度保持される「ブロッコリー」を含む青果物の形態にも特に制限は無い。また、青果物は、洗浄、冷却、脱水等の処理のいずれか又は全てを行ったものであってもよく、またこれらの処理のいずれも行わないものであってもよい。
<ブロッコリーに含まれるβカロテン量>
本発明において、包装体に収納され鮮度保持される「ブロッコリー」の花蕾のβカロテン含有量は、従来から当該技術分野に知られた方法で測定することができるが、例えば、包装体からブロッコリーを取り出し、エタノール抽出後に、高速液体クロマトグラフ法により測定することができ、より具体的には例えば本願実施例記載の方法により測定することができる。
本発明においては、包装体の封止後、5℃で72時間保持された後の、ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が、800μg/100g以上であるので、包装後長期間にわたってブロッコリーの食味を維持することができる。該条件におけるブロッコリーの花蕾のβカロテン量は、830μg/100g以上であることが好ましく、850μg/100g以上であることがより好ましい。
包装体の封止後、5℃で72時間保持された後の、ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量には特に上限は無いが、通常のブロッコリーを使用する限り、多くの場合790μg/100g以下となる。
更に、前記封止後、5℃で168時間、更には336時間保持された後の、前記ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が上記範囲内であることが特に好ましい。
ブロッコリーの花蕾のβカロテン含量を所定値以上に保つための手段としては、包装容器内に収容する前のブロッコリーを低温かつ正常な環境で保持すること、酸素濃度を過度に低くないレベルに保つこと、二酸化炭素濃度を過度に高くないレベルに保つこと、等を挙げることができるが、これらには限定されない。
<包装体>
本発明の包装体の内部酸素濃度には特に制限は無いが、例えば1.5体積%以上であることが好ましい。
内部酸素濃度は封止後の時間経過により変動しうるので、封止後の経過時間を特定するならば、例えば包装体の封止後5℃で72時間保持した後における内部酸素濃度が1.5体積%であることが特に好ましい。また、包装体の封止直後の酸素濃度は、6体積%以上であることが好ましい。
包装体の内部酸素濃度が上記範囲のいずれかの条件を満たすと、包装容器内に収容された青果物中のブロッコリーのβ−カロテン含有量を制御することが容易となり、ブロッコリーの食味を一層有効に保持できる。この好ましい実施形態においては、青果物中のブロッコリーの良好な食味を、包装体の封止後長期間、好ましくは5℃において72時間以上にわたって保持することができる。
包装体の内部酸素濃度は、包装直後の酸素濃度を調整することで、所望の範囲に調整することが可能である。より具体的には、包装体を作製する際に、包装容器内に充填するガス中の酸素を調整することで、適宜調整することが可能である。
また、包装体の内部酸素濃度は、包装体外に流出する酸素量、及び/又は包装体内のブロッコリーを含む青果物の呼吸により消費される酸素量を調整することでも、所定の濃度に調整することが可能である。より具体的には、包装容器のガス透過度を調整することで、包装体外に流出する酸素量を調整することが可能であり、包装容器に収納する青果物の量及び/または包装容器内に充填する酸素の量を調整することで、青果物の呼吸により消費された後の酸素量を調整することが可能である。
包装体の内部の酸素濃度は、例えば、包装体内部の気体を、サンプリング針チューブでサンプリングして、食品包装用ジルコニア酸素濃度計にて酸素濃度を測定することにより、特定することができる。
ここで、「包装体の封止後」とは、包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納した後、包装容器を封止してから所定温度で保持したときの経過時間をいい、「包装体の封止後5℃で72時間保持した後」とは、包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納した後、包装容器を封止してから5℃で72時間保持した直後の状態をいう。
本発明の包装体の内部二酸化炭素濃度には特に制限は無いが、例えば21体積%以下であることが好ましい。
内部二酸化炭素濃度は封止後の時間経過により変動しうるので、封止後の経過時間を特定するならば、例えば包装体の封止後5℃で72時間保持した後における内部二酸化炭素濃度が21.0体積%以下であることが好ましい。また、包装体の封止直後の二酸化炭素濃度は、8体積%以上であることが好ましい。
包装体の内部二酸化炭素濃度が上記範囲のいずれかの条件を満たすと、包装容器内に収容された青果物中のブロッコリーのβ−カロテン含有量を制御することが容易となり、ブロッコリーの食味を一層有効に保持できる。この好ましい実施形態においては、青果物中のブロッコリーの良好な食味を、包装体の封止後長期間、好ましくは5℃において72時間以上にわたって保持することができる。
包装体の内部二酸化炭素濃度は、包装直後の二酸化炭素濃度を調整することで、所望の範囲に調整することが可能である。より具体的には、包装体を作製する際に、包装容器内に充填するガス中の二酸化炭素濃度を調整することで、適宜調整することが可能である。 また、包装体の内部二酸化炭素濃度は、包装体外に流出する二酸化炭素量、及び/又は包装体内のブロッコリーを含む青果物の呼吸により発生する二酸化炭素量を調整することでも、所定の濃度に調整することが可能である。より具体的には、包装容器のガス透過度を調整することで、包装体外に流出する二酸化炭素量を調整することが可能であり、包装容器に収納する青果物の量及び/または包装容器内に充填する酸素の量を調整することで、青果物の呼吸により発生する二酸化炭素量を調整することが可能である。
本発明の包装体の内部の酸素濃度および二酸化炭素濃度は、例えば、包装体内部の気体を、食品ガス置換包装用O&O/CO計(CheckPoint II、CheckPoint3またはCheckMate3、MoconEurope社)やガスクロマトグラフ、ガス検知管(ガステック製)にて測定することにより、特定することができる。
ここで、「封止後」とは、包装体封止後からの経過時間、具体的には、包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納した後、その包装容器を封止してからの経過時間を言う。そのため、例えば、「封止後、5℃で72時間」とは、具体的には、包装容器内にブロッコリーを含む青果物を室温で収納した後、その包装容器を封止してから5℃で72時間経過した後の状態を言う。
<高分子フィルム>
また、上述したβカロテン含有量を実現するためには、酸素透過度が所定値の範囲内にある高分子フィルムを用いて包装容器を構成することが望ましい。
すなわち、本発明で用いる高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、40000(cc/m・day・atm)以下であることが好ましい。本発明における包装体では、包装容器を構成する高分子フィルムの酸素透過度が上記範囲内であることによって、上述の好ましい内部酸素濃度を実現することが一層容易になる。
また、本発明で用いる高分子フィルムの炭酸ガス(二酸化炭素)透過度は、20℃、90%RHにおいて、例えば40000(cc/m・day・atm)以下であることが好ましい。本発明における包装体では、包装容器を構成する高分子フィルムの炭酸ガス透過度が上記範囲内であることによって、上述の好ましい内部二酸化炭素濃度を実現することが一層容易になる。
本発明における包装体では、包装容器を構成する高分子フィルムが、20℃、90%RHにおける酸素透過度及び/又は炭酸ガス透過度が上記範囲内であることによって、包装容器内に収納した青果物中のブロッコリーの食味を、封止後5℃で例えば72時間の長期間にわたり、維持することが一層容易になる。
本発明において用いる高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、10000(cc/m・day・atm)以下であることがより好ましく、5000(cc/m・day・atm)以下であることが更に好ましく、1900(cc/m・day・atm)以下であることが特に好ましい。
また、本発明において用いる高分子フィルムの二酸化炭素透過度は、20℃、90%RHにおいて、20000(cc/m・day・atm)以下であることがより好ましく、10000(cc/m・day・atm)以下であることが更に好ましく、4000(cc/m・day・atm)以下であることが特に好ましい。
より高い酸素透過度、及び/又は二酸化炭素透過度が好適な場合には、後述のように、高分子フィルムに開口部を設けることで酸素透過度、及び/又は二酸化炭素透過度を適宜調整することができる。
本発明で用いる高分子フィルムの酸素透過度や炭酸ガス透過度は、例えば以下の方法によって測定することができる。
まず、次の方法で内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になれば袋内のガスを連通部からほぼすべて排出する。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールする。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.03%)の室内に6時間放置する。
次に食品ガス置換包装用O&O/CO計(CheckPoint II、MOCONEurope)を用いて袋中の酸素濃度を測定する。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度及び炭酸ガス透過度を算出する。
(式) 酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm)×24×60/時間(360分)×10000cm/面積(2×a×b cm)/酸素の分圧(0.21atm)
(式) 炭酸ガス透過度=内部二酸化炭素濃度変化(%)/100×体積(cm)×24×60/時間(360分)×10000cm/面積(2×a×b cm)/二酸化炭素の分圧(0.0003atm)
本発明で用いる高分子フィルムの水蒸気透過性(透湿度)は、例えば以下の方法によって測定することができる。
JIS Z0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に基づき透湿度を評価するために、透湿カップを用いて試験を行う。その際の温湿度条件は、40℃・90%RHMとする。
測定は、透湿カップに吸湿剤/塩化カルシウム(無水)を封入し、一定間隔(24時間毎、48時間毎、または96時間毎)の秤量操作を繰り返し、カップの質量増加を水蒸気の透過量として評価する。フィルムの封ろう剤には、吸水・透湿性がなく、試料およびカップの内縁から容易にはく離せず、封かん操作が容易なものを使用する。
高分子フィルムの材質、厚さ、加工方法等を適宜選択することで、高分子フィルムの酸素透過度を適宜調節することができる。例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムの場合には、厚みを100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは45μm以下、最も好ましくは40μm以下とすることで、20℃、90%RHにおける酸素透過度や炭酸ガス透過度を上記好ましい範囲にすることが一層容易になる。機械的強度、加工性等も併せて考慮すれば、高分子フィルムの厚みは、5〜60μmであることが好ましく、10〜55μmであることがより好ましく、12〜50μmであることがさらに好ましく、15〜45μmであることがより一層好ましく、18〜30μmであることが特に好ましい。
上述の様に、高分子フィルムの酸素透過度や炭酸ガス透過度は、高分子フィルムの材質、厚さ、加工方法等を適宜選択することで、調節することができるので、必ずしも、酸素透過度や炭酸ガス透過度の調節のために高分子フィルムに開口部を設けることを要しない。
高分子フィルムに開口部を設けない場合には、製造プロセスがより簡便、低コストなものとなり、また開口部の大きさ、形状等を精密に制御することも不要となる。
高分子フィルム中に開口部が存在しないこと(即ち、「孔無し」であること)は、例えば、包装容器を構成する高分子フィルムが、インク洩れチェッカーで確認できる貫通孔を有さないことにより、確認することができる。
一方で、本発明の一実施形態においては、厚い高分子フィルムや、酸素透過度の低い高分子素材を使用する必要がある場合等に、青果物の呼吸を維持するための所望の酸素透過度や炭酸ガス透過度を実現するために、高分子フィルムに設けた開口部を併用してもよい。ブロッコリーは、青果物の中では比較的呼吸量が大きいので、ブロッコリーの鮮度保持を目的の一つとする本発明においては、開口部を併用することが好適である場合が多い。
開口部の形状には特に限定は無く、円形、略円形であってもよく、スリット状であってもよい。円形、略円形の開口部は、加工が容易である点等において好ましく、スリット状での開口部は、異物の侵入を有効に防止できる点等において好ましい。個々の開口部の大きさと、開口部の個数は、高分子フィルムの酸素透過度や炭酸ガス透過度が適切な限りにおいて、適宜設定、変更可能である。例えば、開口部が円形の場合、これらの透過度を調節するうえで、直径20〜100μm程度、より好ましくは50μm程度の大きさが好ましい。
開口部の個数には特に制限は無いが、例えば包装容器1個あたり1から300個の開口部を有することで、酸素透過度、二酸化炭素透過度を調整することも可能である。
開口部の間隔は必要とされる開口部の数によるので特に制限は無いが、製造上の効率等、フィルムの強度等の観点からは、1〜100mm程度であることが好ましい。
なお、個々の開口部の大きさと、開口部の個数は、包装容器全体の酸素透過度や二酸化炭素透過度が適切な限りにおいて、適宜設定、変更可能であり、その際には、高分子フィルムの有効面積に占める開口部の数が指針となる。例えば直径50μm程度(開口面積2000μm程度)の開口部を設ける場合、200mm×200mmの包装容器に対して1つ存在するごとに約2000cc/m/day/atm酸素透過度を上げる効果があり、この様な知見に基づき必要とされる包装容器全体の酸素透過度からスリット開口部の数を決めることが好ましい。この場合における、包装容器1個あたりの開口部の数は、5から100個であることが好ましく、10から80個であることが特に好ましい。
高分子フィルムに開口部を設けた態様においては、ブロッコリーの鮮度保持ならびに風味保持の観点から、高分子フィルムの酸素透過度が、15000以上、60000(cc/m・day・atm)以下が適当であり、20000以上55000(cc/m・day・atm)以下であることが好ましく、20000以上50000(cc/m・day・atm)以下であることが特に好ましい。
同様にこの態様においては、高分子フィルムの二酸化炭素透過度が、15000以上、60000(cc/m・day・atm)以下が適当であり、20000以上55000(cc/m・day・atm)以下であることが好ましく、20000以上45000(cc/m・day・atm)以下であることが特に好ましい。
本発明で用いる包装容器を構成する高分子フィルムの水蒸気透過度には特に限定は無いが、良好な食味を保持する等の観点から、250(g/m・day)以下であることが好ましく、100(g/m・day)以下であることが好ましく、さらに好ましくは50(g/m・day)以下である。
包装しない、あるいは水蒸気透過度が高い場合、水分の蒸散が進み、黄化、食味の低下が起きやすくなる。
本発明で用いる高分子フィルムの厚みには特に制限は無く、好適な酸素透過度、炭酸ガス透過度、包装容器を形成した際の可撓性、強度、透明性、経済性等、開口部を設ける場合には開口部の形成の際の精度や容易性等の観点から、高分子フィルムを形成する材料との関係において適宜好適な厚みを選択すればよい。典型的には、開口部を設ける場合の高分子フィルムの厚みは、5〜60μmであることが好ましく、10〜55μmであることがより好ましく、12〜50μmであることがさらに好ましく、15〜45μmであることがより一層好ましく、18〜30μmであることが特に好ましい。
上記高分子フィルムの材質には、特に制限は無いが、従来の青果物包装用のフィルムに用いられる高分子を適宜使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ナイロン(ポリアミド)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリ乳酸等を挙げることができる。また、例えば、セロハン等の天然高分子を用いることもできる。更にこれらのうちのいずれかの材質を単独で用いてもよく、これらの複数をブレンドして、及び/又はラミネートして用いてもよい。
加工の容易さやコストの観点からは、上記高分子フィルムの材質は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。当該熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられる。具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレンなどのエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル・1−ペンテンなどのポリオレフィンが挙げられる。また、当該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、当該熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が剛性、透明性に優れるため好ましい。また、当該熱可塑性樹脂としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体が軽量でフィルム加工性に優れるためより好ましく、柔軟性、透明性の観点からプロピレン系重合体がさらに好ましい。
<プロピレン系重合体>
前記プロピレン系重合体としては、ポリプロピレンの名称で製造、販売されているプロピレン単独重合体(ホモPPとも呼ばれている)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(ランダムPPとも呼ばれている)、プロピレン単独重合体と、低結晶性または非晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体との混合物(ブロックPPとも呼ばれている)などのプロピレンを主成分とする結晶性の重合体が挙げられる。また、プロピレン系重合体は、分子量が異なるプロピレン単独重合体の混合物であってもよく、プロピレン単独重合体と、プロピレンとエチレン又は炭素数4から10のα−オレフィンとのランダム共重合体との混合物であってもよい。
前記プロピレン系重合体としては、具体的には、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体などのプロピレンを主要モノマーとし、これとエチレン及び炭素数4から10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類以上との共重合体が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記プロピレン系重合体の密度は、0.890〜0.930g/cmであることが好ましく、0.900〜0.920g/cmであることがより好ましい。また、前記プロピレン系重合体のMFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度230℃)は、0.5〜60g/10分が好ましく、0.5〜10g/10分がより好ましく、1〜5g/10分がさらに好ましい。
<エチレン系重合体>
前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、そのケン化物及びアイオノマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体が挙げられる。これらの共重合体中のα−オレフィンの割合は、1〜15モル%であることが好ましい。
また、前記エチレン系重合体としては、ポリエチレンの名称で製造・販売されているエチレンの重合体が挙げられる。具体的には、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、LLDPEがより好ましい。LLDPEは、エチレンと、少量のプロピレン、ブテン−1、ヘプテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1等との共重合体である。また、前記エチレン系重合体は、エチレンの単独重合体であってもよく、LLDPE等のエチレンを主体とする重合体であってもよい。
前記エチレン系重合体の密度は0.910〜0.940g/cmが好ましく、0.920〜0.930g/cmがより好ましい。当該密度が0.910g/cm以上であることにより、ヒートシール性が向上する。また、当該密度が0.940g/cm以下であることにより、加工性および透明性が向上する
なお、ブレンド、及び/又はラミネートは、上記の高分子のうちのいずれか同士のブレンド、及び/又はラミネートであってもよく、また上記の高分子のうちのいずれかと、高分子以外の材料とのブレンド、及び/又はラミネートであってもよい。すなわち、高分子フィルムは、高分子以外の素材、例えば耐熱安定剤(酸化防止剤)、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料等の他、タルク、シリカ、珪藻土などの各種フィラー類を含んでいてもよいし、高分子フィルムと金属箔、紙、不織布等とのラミネートであってもよい。
本発明において包装容器を構成する高分子フィルムは、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれであってもよい。
機械的強度等の観点からは、各種高分子の延伸フィルムを好適に用いることができる。
特に、プロピレン系重合体を用いた延伸フィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)は、機械的強度、透明性、耐熱性等に優れるため、本発明に用いる包装容器において、特に好ましく使用することができる。
また、エチレン系重合体を用いたフィルム(ポリエチレン系フィルム)も、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれであってもよいが、ヒートシール性等の観点から、無延伸のものを、特に好ましく使用することができる。
本発明において包装容器を構成する高分子フィルムとして特に好適なものの例として、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、及び延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を挙げることができる。
<延伸ポリプロピレンフィルム>
本発明において好ましく用いられる延伸ポリプロピレンフィルムは少なくとも一方向に延伸されたフィルムから構成されていてもよいし、延伸ポリプロピレンフィルム自体が少なくとも一方向に延伸されていてもよい。また、延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、例えば逐次、あるいは同時二軸延伸することにより容易に製造することも可能である。延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、通常、縦方向に5〜8倍延伸し、続いて横方向にテンター機構を用いて8〜10倍延伸し、フィルムの厚さを最終的に20〜40μmとする方法、あるいは、縦方向及び横方向にそれぞれ5〜10倍(面倍率で25〜100倍)延伸することにより製造することができる。
<ポリエチレン系フィルム>
本発明において好ましく用いられるポリエチレン系フィルムは、前記エチレン系重合体を含むフィルムである。ポリエチレン系フィルムは種々の公知の成型方法を用いることができるが、エクストルーダーによる押出によるキャスト成型が、生産効率の観点から好ましい。
<延伸フィルム>
ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びポリL乳酸、ポリD乳酸、またはポリL乳酸とポリD乳酸を精密に配位したステレオコンプレックス晶ポリ乳酸からなる一軸あるいは二軸延伸フィルムである。
<延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体>
本発明において好ましく用いられる延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体は上記ポリエチレン系フィルムの層と延伸フィルムの層を積層して得られる。ポリエチレン系フィルムは一方向または二方向に延伸されていてもよいが、包装袋の機械的強度の安定性の観点から、無延伸フィルムであることが好ましい。
予め作製された延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとを接着剤により貼着させるドライラミネーションを行うが、ここで接着剤を塗布する延伸フィルム表面にはコロナ処理をしておくことが接着安定性の観点から好ましい。具体的には、コロナ処理後のフィルム表面の表面張力が接着安定性の観点から、35mN/m以上が好ましく、40mN/m以上がより好ましい。
また、これらの高分子フィルムは、延伸加工、防曇加工や印刷が施されていてもよく、銀、銅のような無機系抗菌剤や、キチン、キトサン、アリルイソチオシアネートのような有機系抗菌剤が塗布されたものであってもよいし、これらがフィルム中に練り込まれているものであってもよい。
青果物等の内容物の鮮度保持の観点からは、上記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有することが好ましい。
また、上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、抗菌機能を有していてもよい。例えば、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、上記高分子フィルムの少なくとも一方の表面に存在することが好ましく、当該少なくとも1種の化合物が0.002〜0.5g/m存在することが特に好ましい。あるいは、上記高分子フィルムが、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびグリセリンモノカプレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有していることが好ましく、0.001〜3質量部含有していることが特に好ましい。
上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、当該高分子フィルムの表面での結露が抑制され、雑菌の繁殖が抑制されることにより、結露(ドリップ)中での雑菌の増殖が抑制され、抗菌機能が発揮される。
透明性、可撓性、コスト等の観点からは、従来当該技術分野において広く用いられていた延伸ポリプロピレンフィルム、又は延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を高分子フィルムとして用いることが特に好ましい。これらのフィルムは一般にヒートシール性に優れるので、包装容器の製造において生産性が良好である。
この場合、延伸プロピレンフィルム単体で用いる場合は、その厚さが10〜100μmであることが好ましく、延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を用いる場合には、前者の厚さが10〜50μm、後者の厚さが10〜120μmであることが好ましい。
なお、ヒートシールに必ずしも適さない高分子フィルムを用いる場合には、当該高分子フィルムの全部又は一部にシーラント層をラミネートあるいはコーティングすることで形成すればよい。例えば、アクリル樹脂をコーティングしたセロハンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)ポリスチレンとEVAをラミネートしたフィルムが挙げられ、これらを好適な高分子フィルムとして用いることができる。
<包装体の製造方法、及び鮮度保持方法>
ブロッコリーを含む青果物を本発明の包装容器に収納し、そのブロッコリーのβカロテン含有量を適切に維持することで、本発明の包装体を製造することができ、また本発明の一実施形態である当該青果物の食味維持を実施することができる。
以下、本発明の包装体の製造方法をブロッコリーの鮮度保持用包装体を例に説明する。
まず前処理工程において、収穫したブロッコリーを、必要に応じて適切な大きさに切り揃え、これを洗浄機等で水洗いして泥等の汚れや雑菌を取り除き、必要に応じ遠心脱水機等で脱水する。脱水後のブロッコリーは、計量され、本実施形態で用いる高分子フィルムを含んでなる包装容器(一辺が封止されていないもの)に室温で詰められ、その後に包装容器が封止され、ブロッコリーの鮮度保持用包装体が製造される。
包装容器に収納する上記ブロッコリーに当初から雑菌が多く付着していると、鮮度保持がより困難で、また不衛生であるため、よく洗浄するなどして、包装容器に詰める前に雑菌の付着をできるだけ低減することが好ましい。また、洗浄は、雑菌の付着を低減するばかりか、活性の高い酵素等を含み変色等の原因となりうる細胞液等を除去する効果もあるため、鮮度保持のために特に有効である。
加えて、洗浄後、包装容器に収納する前に上記ブロッコリーの表面に付着した水分を十分に除去することも、鮮度保持のために有効である。
なお、本実施形態の青果物鮮度保持用包装体は、上記ブロッコリーを含む青果物の収納及び包装容器の封止の際に、窒素封入及び/又は脱気を行ってもよい。また、流通の過程での効率向上やスペース節約、特定の気体の排除等の観点から、包装容器の封止後に脱気を行ってもよい。
上述の様な方法に従って高分子フィルムを含んでなる包装容器内に上記ブロッコリーを収納する工程を実施した後、当該包装容器内のブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量を、該包装体の封止後72時間において、800μg/100g以上となるよう維持することで、ブロッコリーの食味を有効に維持することができる。また、その際外観の劣化も、従来技術と比較して遜色ないレベルに維持される。その際の保持温度は、3〜5℃の範囲内であることが好ましい。
本発明の包装体は、包装容器中にブロッコリーを含む青果物のみが収納されていてもよいし、更にそれ以外の部材が収納されていてもよい。
例えば、青果物に加えて、吸湿剤及び/又は抗菌剤が包装容器中に収納されていてもよい。
吸湿剤には特に限定は無く、吸湿効果または調湿効果を有する公知又は市販の材料を使用することができる。吸湿剤として好適に用いられるものとしては、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、及び、焼ミョウバン、又はこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、青果物への影響や食品である青果物等の近くで使用することに関する懸念の比較的少ない活性炭を用いることが特に好ましい。活性炭は粉末状、粒状どちらでも何ら差し支えなく、原料はヤシ殻、おがくず、木炭、竹炭、褐炭、泥炭、ほね、石油ピッチなどどんなものでも差し支えない。また活性炭は不織布、セロファン、紙などなどで使用単位毎に包装してあることが望ましいが、活性炭自体が繊維状になったものでも差し支えない。活性炭の包材としては、合成樹脂からなる不織布のように、ヒートシール性を有するものが好ましいが、水蒸気透過性を有しかつ活性炭がこぼれないもので有れば、紙、天然繊維などでも何ら問題ない。
抗菌剤には特に限定は無く、抗菌作用を有する物質を適宜使用することができるが、千切りキャベツを含む青果物への影響や食品である青果物等の近くで使用することに関する懸念の比較的少ない天然性抗菌剤を好ましく使用することができる。より具体的には、天然性抗菌剤であるキトサン、アリルイソチオシアネート、ヒノキチオール、リモネン等を、包装容器内に収納することができる。
以下、実施例/比較例を参照しながら、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はいかなる意味においても、以下の実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例/比較例において、各特性の評価は以下の方法で行った。
(透湿度)
透湿度はJIS Z0208の「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に基づきカップ法で測定した。なお、水蒸気透過度は測定上袋としての測定が困難であるため、袋の材料である高分子フィルムそのものの水蒸気透過性により規定する。
(フィルムの開口部の有無)
赤色浸透液(三菱ガス化学株式会社製、商品名:エージレスシールチェックスプレー)を包装容器内に注入後、インパルスシーラーで加熱条件の目盛を3に設定し、約5mm幅でヒートシールして、紙(コクヨ PPC用紙 共用紙 A4)を押しあて、紙へのインクの転写の有無により、開口部の有無を確認した。
(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)
包装体内のガス(O、CO)濃度を、ガス検知管を用いて測定した。測定には各条件のサンプルを3個ずつ用意して用いた。
(酸素透過度及び炭酸ガス透過度)
まず、次の方法で内寸175mm×190mmの袋を形成した。
包装体を形成するものと同じフィルム1枚をほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸175mm×190mmの袋を形成した。その際、ヒートシール部に、ガス測定用のピンチコックを1個設けた。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になってから袋内のガスを連通部からほぼすべて排出した。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールした。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.03%)の室内に6時間放置した。
次に上記と同じ方法で袋中の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定した。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度及び炭酸ガス透過度を算出した。

(式) 酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm)×24×60/時間(360分)×10000cm/面積(665cm)/酸素の分圧(0.21atm)
(式) 炭酸ガス透過度=内部二酸化炭素濃度変化(%)/100×体積(cm)×24×60/時間(360分)×10000cm/面積(665cm)/二酸化炭素の分圧(0.0003atm)
(ブロッコリーの花蕾のβ−カロテン含有量)
花蕾に含まれるβ−カロテン含量を高速液体クロマトグラフ法により計測した。測定方法の詳細は、「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号)に基づくものとした。サンプルとして、ブロッコリー3株分の花蕾を縮分して用いた。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は送液ポンプにL−6200とL−6000L(日立)、カラムオーブンにL−5030(日立)、検出器にDAD L−4500(日立)及びUV8000(東ソー)、データ処理・記録装置にD−6100とD−2500を使用した。分析条件として、固定相に逆相系カラムのC18カラム(COSMOSIL C18−MS−II、ナカライテスク)、移動相にアセトニトリル/エタノール(70:30v/v)を使い、流速1ml/分、カラム温度30℃、検出波長450nmとした。
(食味)
甘味、旨味、香り、食感を指標にブロッコリーの花蕾の食味を次の5段階で評価した。
◎:良好(甘味、旨味があって、ブロッコリーらしい風味も感じられる)
○:やや良好(甘味、旨味、ブロッコリーらしい風味が程よく残っている。)
△:普通(甘味、旨味、香りは程よく残っているが、風味が控えめで僅かに苦味あり)
×:不良(甘味が弱い。ほんのりと旨味が感じられる。大根のような風味)
××:食味不可(匂いがきつく、食べるのが困難である。)
(外観(花蕾の色調))
花蕾の色調L、a、b(表色系CIE1976)を、色彩色差計により計測した。
計測にはブロッコリー3株を使用し、1株あたり3点(花蕾の頂点1点、外周2点)を評価した
得られたL、a、及びbから、下式にしたがい、黄化度を算出した。
(黄化度)=L×b/|a×100|
(実施例1)
厚さ30μmのポリエチレンフィルム(透湿度:10g/(m・day)に直径約50μmの孔(略円形の開口部)を袋全体で50個設けたもの(酸素透過度:22765cc/(m・day・atm)、二酸化炭素透過度:23110cc/(m・day・atm))を用いて内寸250mm×300mmの袋をヒートシールして作製した。
予め準備したブロッコリー(埼玉県産)約300gを室温、空気中で袋に詰めて収納後、上部1cm程度をヒートシールで封止して包装体とした。この包装体を計3袋作成した。
これら包装体を冷蔵(5℃、湿度78〜86%)で保管し、経日的(具体的には、封止後、0時間、72時間、及び168時間)に包装体内部の酸素濃度と二酸化炭素濃度、並びにブロッコリーの花蕾のβカロテン量と食味を測定し、色調を評価した。
甘味、旨味、ブロッコリーらしい風味が程よく残っていて、やや良好な食味であった。
結果を表1に示す。
(実施例2)
厚さ30μmのポリエチレンフィルム(透湿度:10g/(m・day)に直径約50μmの孔(略円形の開口部)を袋全体で120個設けたもの(酸素透過度:46866cc/(m・day・atm)、二酸化炭素透過度:42824cc/(m・day・atm))を用いて袋を作製した以外は、実施例1と同様にして、ブロッコリーを収納した包装体を作成し、冷蔵(5℃、湿度78〜86%)で保管し、経日的に評価した。
甘味、旨味、ブロッコリーらしい風味が程よく残っていて、やや良好な食味であった。 結果を表1に示す。
(比較例1)
厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(開口部無し、(透湿度:6g/(m・day)、酸素透過度:2000cc/(m・day・atm)、二酸化炭素透過度:5000cc/(m・day・atm))を用いて袋を作製した以外は、実施例1と同様にして、ブロッコリーを収納した包装体を作成し、冷蔵(5℃、湿度78〜86%)で保管し、経日的に評価した。
甘味、旨味、香りは程よく残っていたものの、風味が少し控えめで、僅かに苦味が感じられるなど、普通レベルの食味であった。
結果を表1に示す。

実施例1及び2に示す、本発明の包装体によれば、封止後5℃で72時間保持された後の、ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量は、980μg/100g及び1010μg/100gであり、800μg/100g以上であった。このとき、封止後72時間においても、良好な食味が維持された。また、黄化も抑制されており、少なくとも従来技術と遜色ないレベルであった。
一方、比較例1の包装体は、封止後5℃で72時間保持された後の、ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量は、760μg/100gであり、800μg/100gを下回った。このとき、封止後72時間における食味は普通レベルであり、良好な食味を維持することができなかった。
本発明の包装体は、包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる包装体において、当該包装体内のブロッコリーの食味を極めて高いレベルで維持できるなど、実用上高い価値を有する技術的効果を実現するものであり、食品加工、流通、外食などの産業の各分野において高い利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納してなる包装体であって、該包装体の封止後、5℃で72時間保持された後の、該ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が、800μg/100g以上である、上記包装体。
  2. 前記高分子フィルムの酸素透過度が、20000(cc/m・day・atm)以上、55000(cc/m・day・atm)以下である、請求項1に記載の包装体。
  3. 二酸化炭素濃度が21体積%以下である、請求項1又は2に記載の包装体。
  4. 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にブロッコリーを含む青果物を収納して包装体を形成して封止する工程、及び該包装体を保持する工程、を含む青果物の鮮度保持方法であって、
    該包装体の封止後72時における、該ブロッコリーの花蕾のβカロテン含有量が、800μg/100g以上である、上記青果物の鮮度保持方法。
  5. 前記包装体を保持する工程が、3〜5℃の範囲内の温度で実施される、請求項4に記載の、青果物の鮮度保持方法。
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