JP6150817B2 - 画像形成装置、電子写真感光体、及び電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

画像形成装置、電子写真感光体、及び電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像形成装置電子写真感光体、及び電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体の表面には、帯電やクリーニングなどの電気的外力や機械的外力が加えられるため、これらの外力に対する耐久性(耐摩耗性など)が要求される。
この要求に対して、従来から、電子写真感光体の表面層に耐摩耗性の高い樹脂を用いるなどの改良技術が用いられている。
一方、電子写真感光体の表面の耐摩耗性を高めることによって生じる課題として、画像流れが挙げられる。画像流れは、電子写真感光体の表面の帯電によって生じるオゾンや窒素酸化物などの酸化性ガスにより、電子写真感光体の表面層に用いられている材料が劣化したり、水分の吸着によって電子写真感光体の表面が低抵抗化したりすることが原因と考えられている。そして、電子写真感光体の表面の耐摩耗性が高くなるほど、電子写真感光体の表面のリフレッシュ(劣化した材料や吸着した水分などの画像流れ原因物質の除去)がなされにくくなり、画像流れが発生しやすくなる。
画像流れを改善する技術として、特許文献1には、乾式ブラスト処理または湿式ホーニング処理によって電子写真感光体の表面にディンプル形状の凹部を付与する技術が開示されている。特許文献1によれば、電子写真感光体の表面に複数のディンプル形状の凹部を設けることによって、初期から5000枚程度までの画像流れを抑制することができる。
また、特許文献2には、電子写真感光体の表面に複数の凹部を高い面積率で設けることによって、高温高湿環境下でも初期から50000枚程度までのドット再現性を良好に維持する、すなわち画像流れを抑制する技術が開示されている。
また、特許文献3には、電子写真感光体の表面に凹部を低い面積率で設ける技術が開示されている。
上記のように、画像流れを抑制する技術として、電子写真感光体の表面に複数の凹部を設ける技術が検討されている。複数の凹部を設計するにあたっては、主に、表面粗さ、各凹部の大きさ、あるいは、一定面積における凹部の個数といった項目が注目されている。
一方で、複数の凹部の設計項目として、「凹部の配置」という項目がある。従来、凹部の密度については検討されているものの、各凹部をどのように並べるかについては注目されていない。
凹部の配置に注目した技術として、特許文献2に、電子写真感光体の回転方向50μm以内に凹部を配置することで、傷の成長を抑制する技術が開示さている。
WO05/093518号(国際公開番号)公報 特開2007−233355号公報 特開2011−22578号公報
本発明は上記従来技術を更に発展させたものである。即ち、本発明の目的は、画像流れがより生じにくく、かつ電子写真感光体の表面の凹部による画質低下を抑制することができる画像形成装置電子写真感光体、及び電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明によれば、少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を備えた電子写真感光体と、
階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体の表面には深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が形成されており、
前記電子写真感光体の表面において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm2以上90000μm2以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm2以上240000μm2以下であり、
前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出された画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする画像形成装置。
<演算処理>
(1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)と該凹部とが重複する部分を前記スクリーンパターン(B)から削除し、画像(C)とする
(2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
(3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
式(1):f=σ/SM
が提供される。
また、本発明によれば、少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を備えた電子写真感光体と、
階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像を形成する画像形成部と、前記電子写真感光体に接触してクリーニングするブレードと、を有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体の表面の少なくとも前記ブレードとの接触領域には、深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が形成されており、
前記接触領域において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm2以上90000μm2以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm2以上240000μm2以下であり、
前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする画像形成装置。
<演算処理>
(1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)と該凹部とが重複する部分を前記スクリーンパターン(B)から削除し、画像(C)とする
(2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
(3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
式(1):f=σ/SM
が提供される。
また、本発明によれば、少なくとも支持体と前記支持体の上に形成された感光層とを備 えた電子写真感光体と、ドットで形成される疑似中間調処理で生成されスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像形成する画像形成部と、を有 する画像形成装置に用いられる前記電子写真感光体であって、
記電子写真感光体の表面には、深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が所定の配置で形成されており、
前記電子写真感光体の表面において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm以上90000μm以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm以上240000μm以下であり、
前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体。
<演算処理>
(1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)と該凹部とが重複する部分を前記スクリーンパターン(B)から削除し、画像(C)とする
(2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
(3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
式(1):f=σ/SM
が提供される。
さらに、本発明によれば、少なくとも支持体と前記支持体の上に形成された感光層とを 備えた電子写真感光体と、ドットで形成される疑似中間調処理で生成されスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像形成する画像形成部と、前 記電子写真感光体の表面をクリーニングするブレードと、を有する画像形成装置に用いら れる前記電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体の表面の前記ブレードとの接触領域には、深さ0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が形成されており、
前記接触領域において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm以上90000μm以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm以上240000μm以下であり、
前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体。
<演算処理>
(1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、該複数の凹部と重複する部分を削除し、画像(C)とする
(2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
(3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
式(1):f=σ/SM
が提供される。
さらに、本発明によれば、少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を 備え、階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリ ーンパターンを少なくとも利用して静電潜像が形成される電子写真感光体の製造方法であ って、
前記電子写真感光体の表面に、深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が 20μm以上80μm以下の複数の凹部を形成するステップを有し、
前記電子写真感光体の表面において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したと き、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm 以上90000μm 以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm 以上2400 00μm 以下であり、前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出し た画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体の 製造方法。
<演算処理>
(1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、該複数の凹部と重複 する部分を削除し、画像(C)とする
(2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標 準偏差(σ)を算出する
(3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
式(1):f=σ/SM
が提供される。
さらに、本発明によれば、少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を 備え、階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリ ーンパターンを少なくとも利用して静電潜像が形成されるともにブレードによりその表面 がクリーニングされる電子写真感光体の製造方法であって、
前記電子写真感光体の表面の前記ブレードとの接触領域に、深さ0.5μm以上5μm 以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部を形成するステップを 有し、
前記接触領域において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方 形領域において、前記凹部の総面積が10000μm 以上90000μm 以下、前記 凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm 以上240000μm 下であり、前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指 数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
<演算処理>
(1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、該複数の凹部と重複 する部分を削除し、画像(C)とする
(2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標 準偏差(σ)を算出する
(3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
式(1):f=σ/SM
が提供される。
本発明によれば、画像流れがより生じにくく、かつ電子写真感光体の表面の凹部による画質低下を抑制することができる画像形成装置電子写真感光体、及び電子写真感光体の 製造方法を提供することができる。
(A)および(B)は、基準面、平坦部、凹部などの関係を模式的に示す図である。 (A)〜(G)は、電子写真感光体の表面の凹部の開口部の形状の例を示す図である。 (A)〜(G)は、電子写真感光体の表面の凹部の断面形状の例を示す図である。 電子写真感光体の表面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す図である。 電子写真装置の例を示す図である。 (A)〜(D)は、電子写真感光体の製造例で用いたモールドを示す図である。 フィッティングの例を示す図である。 電子写真感光体の表面層付近の断面観察を行った結果を示す図である。 乾式ブラスト装置の例を示す図である。 狭小部分を説明するための図である。 (a)は疑似中間調処理で用いられるスクリーンの一例を拡大した図、(b)は開口径が(a)のスクリーンパターンのドットサイズに近い凹部を不規則に配置した凹部配置の一例を示した図、(c)は開口径が(a)のスクリーンパターンのドットサイズより極小さい凹部を不規則に配置した凹部配置の一例を示した図、(d)は(b)の凹部配置がなされた電子写真感光体を用いて(a)のスクリーン画像を出力した場合の出力画像を想定した図、(e)は(c)の凹部配置がなされた電子写真感光体を用いて(a)のスクリーン画像を出力した場合の出力画像を想定した図、(f)は(d)を縮小表示した図、(g)は(e)を縮小表示した図である。 (a)は正方配置、露光光の主走査方向を0°としたときの角度45°のスクリーンを拡大した図、(b)は正方配置、露光光の主走査方向を0°としたときの角度41.2°の凹部配置の一例を示した図、(c)は正方配置、露光光の主走査方向を0°としたときの角度26.6°の凹部配置の一例を示した図、(d)は(b)の凹部配置がなされた電子写真感光体を用いて(a)のスクリーン画像を出力した場合の出力画像を想定した図、(e)は(c)の凹部配置がなされた電子写真感光体を用いて(a)のスクリーン画像を出力した場合の出力画像を想定した図である。 VTF関数(視覚の空間周波数特性)の一例を示すグラフである。 (a)はFloyd−Steinberg法のアルゴリズムを示す図、(b)はFloyd−Steinberg法で生成した不規則パターンの一例を示す図である。 (a)はレーザー光照射による凹部の形成方法に用いるマスクの一例を示す図、(b)はレーザー光照射による凹部形成装置の一例を示す図である。 1200dpi、106lpi、45度のドット集中型ディザマトリクスを表す図である。 GX−700にて取得した、凹部を有する電子写真感光体表面の写真の一例を示す図である。
本例の特徴は、下記4つの項目を兼ねそろえている点である。
特徴1:凹部の開口部の最長径(長軸径)が大きい
特徴2:凹部の面積の割合が少ない
特徴3:平坦部の面積の割合が多い
特徴4:凹部が特定の基準を満たすように配置されている
特徴1〜3は画像流れを抑制する項目であり、特徴4は画質低下を抑制する項目である。以下、詳述する。
<画像流れの抑制>
まず、画像流れを抑制する項目である、特徴1〜3について説明する。本例の特徴1〜3における、上述したWO05/093518号(国際公開番号)公報記載の技術に対する特徴は、電子写真感光体の表面における平坦部の面積の割合が多い点である。乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理を用いて電子写真感光体の表面にディンプル形状の凹部を設ける場合、電子写真感光体の表面に対してランダムに粒子を衝突させることになるため、凹部以外の部分(凹部を除く部分)のうち、平坦部の面積の割合はきわめて少なくなる。
また、本例の特徴1〜3における、特開2011−22578号公報記載の技術に対する特徴についても、WO05/093518号(国際公開番号)公報に対する特徴と同様に、電子写真感光体の表面における平坦部の面積の割合が多い点である。
また、本例の特徴1〜3における、上述した特開2007−233355号公報や特開2007−233359号公報記載の技術に対する特徴は、開口部の最長径(長軸径)が大きい凹部が電子写真感光体の表面に設けられている点と、この凹部の面積率が少ない点である。
なお、本例では、凹部の面積とは、電子写真感光体の表面を、感光体の表面に直交する法線方向(円筒状の感光体の場合は径方向)と実質平行に、上から見たときの凹部の面積であり、凹部の開口部の面積を意味する。平坦部や凸部に関しても同様である。
本発明者らの検討の結果は次のとおりであった。開口部の最長径が大きな凹部(好ましくは、開口部の最短径も大きな凹部)を電子写真感光体の表面に疎に配置し、かつ、当該凹部以外の部分の中でも特に平坦部の面積を多くとる。これによって、画像流れの抑制効果が飛躍的に向上することがわかった。即ち、帯電装置近傍で顕著に発生する画像流れ、あるいは、高温高湿環境下で電子写真装置を数日間放置した場合に生じやすい起動直後の画像流れに対して、十分な効果が得られることがわかった。
開口部の最長径の大きな凹部を疎に配置することによって、クリーニングブレードのビビリが適度に抑制され、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードの安定的な摺擦状態が作り出される。それとともに、凹部に対するクリーニングブレードの圧力は相対的に低くなるため、凹部以外の部分に対する圧力が相対的に高くなる。そして、圧力が高くなる凹部以外の中でも、電子写真感光体の表面の効率的なリフレッシュが行われやすい平坦部が多くなるようにすることによって、電子写真感光体の表面に付着した画像流れ原因物質の除去が行われやすくなる。
本発明者らは、このようなメカニズムによって、画像流れの抑制効果が飛躍的に向上していると考えている。
具体的には、電子写真感光体の表面には、深さ0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が設けられる。深さ0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部を、以下「特定凹部」ともいう。
特定凹部は、電子写真感光体の表面の任意の位置において、一辺が500μmの正方形領域(面積が250000μm2)を配置(抽出)したとき、電子写真感光体の表面に次のように設けられる。即ち、その一辺が500μmの正方形領域における特定凹部の面積(総面積)が10000μm2以上90000μm2以下になるように設けられる。
なお、電子写真感光体の表面が曲面である場合は次のとおりである。例えば、電子写真感光体が円筒状である場合、電子写真感光体の表面(周面)は周方向に曲がった曲面となっている。この場合において「電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺500μmの正方形領域を配置」するとは、その曲面を平面に補正した場合に、その平面において正方形になるような領域を電子写真感光体の表面の任意の位置に配置するということを意味する。
また、電子写真感光体の表面には、特定凹部に加えて平坦部が設けられる。そして、平坦部は、電子写真感光体の表面に次のように設けられる。即ち、電子写真感光体の表面の任意の位置に一辺500μmの正方形領域を配置したとき、その一辺500μmの正方形領域における平坦部の面積(総面積)が80000μm2以上240000μm2以下になるように設けられる。
電子写真感光体の表面の特定凹部や平坦部などは、例えば、レーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子力間顕微鏡などの顕微鏡を用いて観察することができる。
レーザー顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、超深度形状測定顕微鏡VK−9000、超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−X200。(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機。オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000。レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130。
光学顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX−500、デジタルマイクロスコープVHX−200。オムロン(株)製の3DデジタルマイクロスコープVC−7700。
電子顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製の3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800。エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型電子顕微鏡コンベンショナル/Variable Pressure SEM。(株)島津製作所製の走査型電子顕微鏡SUPERSCAN SS−550。
原子力間顕微鏡としては、例えば、以下の機器が利用可能である。(株)キーエンス製のナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000。エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の走査型プローブ顕微鏡NanoNaviステーション。(株)島津製作所製の走査型プローブ顕微鏡SPM−9600。
上記一辺500μmの正方形領域の観察や、後述の画像(C)を得るための観察は、特定凹部が判別できる限り、低倍率で行ってもよいし、高倍率で部分的な観察を行った後、ソフトを用いるなどして複数の部分画像を連結するようにしてもよい。
一辺500μmの正方形領域における特定凹部および平坦部の判定(定義)などについて説明する。
まず、電子写真感光体の表面を顕微鏡で拡大観察する。例えば、電子写真感光体が円筒状である場合のように電子写真感光体の表面(周面)が周方向に曲がった曲面となっている場合は、その曲面の断面プロファイルを抽出し、曲線(電子写真感光体が円筒状であれば円弧)をフィッティングする。
図7に、フィッティングの例を示す。図7に示す例は、電子写真感光体が円筒状である場合の例である。図7中、実線の701は電子写真感光体の表面(曲面)の断面プロファイルであり、破線の702は断面プロファイル701にフィッティングした曲線である。その曲線702が直線になるように断面プロファイル701の補正を行い、得られた直線を電子写真感光体の長手方向(周方向に直交する方向)に拡張した面を基準面とする。電子写真感光体が円筒状でない場合も、円筒状である場合と同様にして基準面を得る。
得られた基準面の0.2μm下方に位置し、基準面に平行な面を第二基準面とし、基準面の0.2μm上方に位置し、基準面に平行な面を第三基準面とする。上記一辺500μmの正方形領域のうち、第二基準面と第三基準面に挟まれる部分を当該正方形領域における平坦部とする。第三基準面よりも上に位置する部分を当該正方形領域における凸部とする。第二基準面よりも下に位置する部分を当該正方形領域における凹部とする。
第二基準面から凹部の最低点までの距離を凹部の深さとする。第二基準面による凹部の断面を凹部の開口部とし、開口部を横切る線分のうち、最も長い線分の長さを凹部の開口部の最長径とする。
このようにして求めた深さが0.5μm以上5μm以下の範囲にあり、開口部の最長径が20μm以上80μm以下の範囲にあるものが、凹部の中でも上記特定凹部に該当する。本例における特定凹部の深さは、1μm以上5μm以下の範囲にあることが好ましい。また、凹部の開口部を挟む2本の平行線の距離が最も短くなるときの距離を凹部の開口部の最短径とする。本例における特定凹部の開口部の最短径は、20μm以上80μm以下の範囲にあることが好ましい。
図1の(A)および(B)に、基準面101、平坦部(第二基準面102と第三基準面103に挟まれる部分)、凹部104(特定凹部)、凸部105などの関係を模式的に示す。図1の(A)および(B)は、上記補正後の断面プロファイルである。
図2(A)〜(G)に、特定凹部の開口部の形状(特定凹部を上から見たときの形状)の例を示す。また、図3(A)〜(G)に、特定凹部の断面形状の例を示す。
特定凹部の開口部の形状としては、例えば、図2(A)〜(G)に示すような、円、楕円、正方形、長方形、三角形、四角形、六角形などが挙げられる。また、特定凹部の断面形状としては、例えば、図3(A)〜(G)に示すような、三角形、四角形、多角形などのエッジを有するものや、連続した曲線からなる波型や、三角形、四角形、多角形のエッジの一部または全部を曲線に変形したものなどが挙げられる。
電子写真感光体の表面に設けられる複数の特定凹部は、すべてが同一の形状、開口部の最長径、深さであってもよいし、異なる形状、開口部の最長径、深さのものが混在していてもよい。
上記特定凹部は、電子写真感光体の表面の全域に形成されていてもよいし、電子写真感光体の表面の一部分に形成されていてもよい。特定凹部が電子写真感光体の表面の一部分に形成されている場合は、少なくともクリーニング部材との接触領域の全域には特定凹部が形成されていることが好ましい。
また、電子写真感光体の表面に設けられる平坦部は、画像流れ原因物質の除去性を高める観点から、ある程度の大きさを持っていることが好ましく、狭小な平坦部(狭小部分)は少ないことが好ましい。具体的には、電子写真感光体の表面の任意の位置に配置される一辺500μmの正方形領域における平坦部のうち、一辺10μmの正方形領域を配置することができない狭小部分の面積の割合が次のようであることが好ましい。即ち、当該一辺500μmの正方形領域における平坦部の全面積に対して30%以下であることが好ましい。ただし、狭小部分の面積が30%以上であっても、本例での効果は得られる。
図10は、狭小部分を説明するための図である。図10は、電子写真感光体の表面の一部を上から見たときの形状の例を示している。図10では、説明のしやすさのため、特定凹部でない部分がすべて平坦部である場合を例として挙げている。
図10中、1001は電子写真感光体の表面の特定凹部であり、1002は電子写真感光体の表面の平坦部に配置された一辺10μmの正方形領域であり、1003は狭小部分(図中の黒く塗り潰している部分)である。正方形領域1002は、図中の破線の正方形で示すように、平坦部においてどのような向きに配置してもよい。平坦部において正方形領域1002をどのような向きにしても配置することができない部分が、平坦部における狭小部分1003となる。
<画質低下の抑制>
次に、画質低下を抑制する項目である特徴4について説明する。本発明者らが検討した結果、電子写真感光体の表面に複数の凹部を設けることで画質が低下してしまう場合があった。この理由は、凹部が、凹部でない部分と比べて、電子写真特性が劣る傾向にあるためである。電子写真特性とは、帯電能、潜像再現性、現像効率あるいは転写効率である。凹部の電子写真特性が劣ると、画像データのうち電子写真感光体の凹部に作像される部分が忠実に再現できない。その結果、凹部の配置に応じて出力画像に濃淡が生じ、画像の粒状性(がさつき)が低下してしまう。
さらに、階調を表現する方法としてドットで形成される擬似中間調処理を用いる場合には、粒状性(がさつき)の低下に加えて、モアレも発生してしまう。粒状性(がさつき)の低下とモアレは以下のメカニズムによって発生する。
まず、中間調は、疑似中間調処理によってスクリーンと呼ばれる小さなドットの集合で構成される画像データに変換される。スクリーンを作像する際、凹部と重なっている部分は忠実に再現されないため、ドットが欠けてしまう。ドットが欠ける度合いは、凹部とドットの重なり度合いによるため、ドット欠けは一様ではなく、ばらつく。このとき、ドット欠けのばらつきが大きいと粒状性が低下してしまう。さらに、スクリーンパターンと凹部配置の関係によっては、ドット欠けのばらつきが周期的に現れる。その結果、出力画像に周期的な濃淡変化、すなわちモアレが生じてしまう。
本発明者らの検討の結果、階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理を利用する場合、凹部を特定の基準を満たすように配置することで、画質低下を抑制できることが分かった。画質低下とは粒状性(がさつき)とモアレである。これらの概略について説明する。
まず、粒状性(がさつき)の低下について説明する。電子写真装置では一般的に、階調を表現する手法として疑似中間調処理が用いられる。疑似中間調処理とは、グレースケールを白と黒の2色だけを用いて画素の数や画素の集まり具合を制御して表現する方法である。当然、カラーにも利用できる。
疑似中間調処理のパターン(スクリーン)は、平行線や波線、砂目など各種存在するが、中でも小さなドットの集合で表わす方法が主流である。ドットで形成される疑似中間調処理には、規則的なドット配置で、ドットのサイズや密度を変えて濃淡を表現するAMスクリーニングと、ドット径を固定して不規則なドット配置を行い、ドット密度を変えて濃淡を表現するFMスクリーニングがある。以下の説明はAMスクリーニングについて行うが、本例での疑似中間調処理は、AMスクリーニング、FMスクリーニングのいずれであってもよい。
図11の(a)はAMスクリーニングによるスクリーンを拡大したものの一例である。一方で、電子写真感光体の表面は、凹部のサイズや配置に関してさまざまに設計できる。凹部の開口部を黒色で、凹部以外の部分を白色で表現した図の例を、図11の(b)、(c)に示す。(b)は開口部が正方形で、凹部開口サイズがドットサイズに近い凹部を不規則に配置したものである。(c)は開口部が正方形で、凹部開口サイズがドットサイズに対して小さい凹部を不規則に配置したものである。(b)、(c)は説明のための例であり、これに限定されるものではない。
凹部は電子写真特性が低下する傾向にあり、場合によっては、凹部は画像形成されない。つまり、上述のスクリーンのドットが凹部上に形成される場合、ドットが欠けてしまう。(b)、(c)の凹部配置がなされた電子写真感光体を用いて(a)のスクリーン画像を出力した場合、出力画像は(d)、(e)となると想定される。各ドットは凹部との重なりの度合いに応じて欠けており、(e)よりも(d)の方がドット欠けのばらつきが大きいことが分かる。
ここではスクリーンを拡大して示しているが、実際には疑似中間調処理は目の錯覚を利用するものであり、人間の目では認識できないドットサイズで用いられる。(f)、(g)に、(d)、(e)をある程度縮小した画像を示す。ドット欠けのばらつきが大きい(f)の方が、濃淡のばらつきが大きく、粒状性(がさつき)が低下していることが分かる。
次に、モアレについて説明する。上述の粒状性(がさつき)の低下の例では、規則的なスクリーンと不規則な凹部配置の組み合わせで粒状性(がさつき)が低下している。一方、規則的なスクリーンと規則的な凹部配置の組み合わせの場合、パターン間で干渉が起こり、ドット欠けのばらつき(濃淡)が周期的に現れるため、いわゆるモアレ(干渉縞)が発生する。
規則的なスクリーンの例として、図12の(a)に、正方配置で、露光光の主走査方向(この図では水平方向)を0°としたときの正方配置の角度が45°のスクリーンを示す。規則的な凹部配置の例として、開口部形状が円形で、配列が正方配置である(b)、(c)を示す。(b)は正方配置の角度が41.2°、(c)は26.6°である。(b)、(c)の凹部配置がなされた電子写真感光体を用いて(a)のスクリーン画像を出力した場合、出力画像は(d)、(e)となる。微視的にみると、(d)、(e)ともに干渉が起きており、ドット欠けのばらつきが周期的に現れている。
ところが、(d)、(e)を巨視的に見ると、(d)の方が周期的な濃淡が目立つ。これは、濃淡の周期が長いほど、視覚の解像力が高いためである。逆に、(e)のように濃淡の周期がごく短くなると、人間の目にはモアレとして視認されなくなる。
また、干渉は、凹部配置がスクリーンの線数や角度に近い方が、周期が長く、つまり低波数となる特性がある。(b)、(c)の凹部配置においては、(c)の角度26.6°よりも、(b)の角度41.2°の方が、(a)のスクリーン角度45°に近い。
結果、(e)よりも(d)の方が干渉の周期が長く、つまり低波数であるため、視認されやすいのである。よって、画質の課題となるのは、低波数モアレである。
以上のように、電子写真感光体の表面に複数の凹部を設ける技術には、画質の低下、すなわち粒状性低下とモアレの課題がある。
<画質低下指数>
画質低下指数(f)の算出方法である演算処理(1)〜(3)について詳細に説明する。
(1)ドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターン(B)から、該複数の凹部と重複する部分を削除し、画像(C)とする
この処理は、想定される出力画像を、画処理によって疑似的に作成する処理である。ドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターン(B)とは、例えば図11の(a)、図12の(a)である。スクリーンから該複数の凹部と重複する部分を削除した画像(C)とは、例えば図11の(d)、(e)、図12の(d)、(e)である。
上述のとおり、凹部は非凹部と比べて電子写真特性が劣る傾向にあり、画像が欠けてしまう。電子写真特性とは帯電能、潜像再現性、現像効率あるいは転写効率である。凹部は、非凹部に比べて感光層の膜厚が薄く静電容量が大きい、あるいは帯電部材との接触が不十分となるため、帯電能が低下する場合がある。また、凹部は、非凹部に比べて感光層の膜厚が薄く感度が低下する、あるいは凹部形状によって露光光が屈折してしまうことで潜像再現性が低下する場合がある。
また、凹部は、転写部材や、現像部材に担持されたトナーとの接触が不十分となるため、転写効率や現像効率が低下する場合がある。凹部の電子写真特性は、感光層、凹部のサイズ、トナー、電子写真プロセス、あるいは周囲の環境に依存するため、必ず低下するものではない。
しなしながら、本例での目的は、いかなる条件下であっても凹部による画質低下が抑制された電子写真装置を提供することであるため、画質低下指数(f)の算出においては、画像データのうち凹部に作像される部分は、印字されないものとして扱う。
スクリーンパターン(B)は、電子写真装置でグレースケールを出力する際に、電子写真装置に設定されている疑似中間調処理アルゴリズムによって生成される。よって、グレースケールの濃度と疑似中間調処理アルゴリズムから、スクリーンパターン(B)を得ることができる。あるいは、Adobe社Photoshop(登録商標)などを利用して、濃度、解像度、ドット形状、線数を設定することでスクリーンパターン(B)を得ることができる。
なお、PWM(パルス幅変調)等を用いた多値疑似中間調処理を使用する電子写真装置であれば、多値情報のうちの半値(50%)の閾値で2値化して、スクリーンパターン(B)とすることができる。
また、スクリーンパターン(B)は、感光体上に形成されたトナー像を観察して得ることもできる。具体的には、表面に凹形状を有さない感光体を用いて画像出力を行い、出力中に電子写真装置の電源を切るなどして、感光体上にトナー像がある状態で止める。これにより、感光体上に画質低下の無いトナー像が得られる。この感光体上のトナー像を上述のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡などの顕微鏡で観察することでスクリーンパターン(B)の顕微鏡写真が得られる。
引き続き、得られた顕微鏡写真に対して画処理を行い、2値化された画像データを生成する。2値化された画像データを生成する方法はいかなる方法を用いてもよい。例えば、得られた顕微鏡写真について、以下の2値化処理を行うことで得られる。
・感光体が円筒体の場合は曲率成分を補正(上述の図7によるフィッティングと同様)
・メディアンフィルタでエッジは残しつつノイズ成分を除去
・最小輝度(トナー像)、最大輝度(感光体)の差分の50%閾値で2値化
・微小面積部を除去(微小トナー等の微粒子除去)
・トナー像で囲まれた部分を塗りつぶし(穴埋め)
このような画像処理演算は、キーエンス社製粒子解析ソフト(GRADING ANALYSIS)などを用いて行うことができる。
感光体上の複数の凹部の配置(A)も、上述のレーザー顕微鏡、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子力間顕微鏡などの顕微鏡による観察および2値化処理によって得られる。2値化処理は、スクリーンパターン(B)で用いた画処理と同様の方法で行うことができる。ただし、特定凹部は第二基準面以下の部分であるため、立体情報を得られる顕微鏡にて決定した特定凹部の開口形状を反映する必要がある。あるいは、立体情報を得られる顕微鏡に付属の解析ソフトを利用することで、得られた顕微鏡写真を直接、第二基準面の上下で2値化することもできる。
また、感光体の表面に凹部を形成する方法が、後述する凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接する方法である場合、モールドの凸部の外周形状と感光体表面の凹部の開口形状が同一形状となるように凹部を形成することができる。そのため、モールドの観察、あるいはモールドを設計した際の電子データをもって、凹部の配置としてもよい。
また、凹部を形成する方法が、後述するレーザー光照射である場合も、凹部の開口形状はマスクの開口形状と同一形状となるように凹部を形成することができる。そのため、レーザーマスクの観察、あるいはマスクを設計した際の電子データをもって、凹部の配置としてもよい。
画像(C)の形状、すなわち感光体上の複数の凹部の配置(A)およびスクリーンパターン(B)の取得形状は、特定の方向に発生するモアレを正しく評価するために、なるべく全方位の寄与が等しい形状が好ましく、正方形や円が好ましい。
画像(C)の面積、すなわち(A)および(B)の取得面積は、後述するドット面積の標準偏差(σ)の信頼性の観点から、スクリーンパターン(B)のドットが400個以上となる面積が好ましい。また、画質の評価を正しく行うために、人間の視覚特性から適切な面積を選択する。例えば、図13に示す、波数(線数)に対する視覚の解像力を表すVTF関数(視覚の空間周波数特性)から決定できる。図13は観察距離300mmのVTF関数であり、縦軸が視覚感度、横軸が波数(線数)を示している。
図13では、波数(横軸)が1(lpi)程度のときの視覚感度(縦軸)が十分に低く、つまり、濃淡変化が1(lpi)よりも長い周期で発生していても、人間の目には見えないことを示している。よって、取得面積を、25.4mmを一辺とする正方形領域とすることができる。
または、ISO13660に示された画質属性とその測定方法に従い、21.2mmを一辺とする正方形領域とすることができる。あるいは、後述するドット面積の標準偏差(σ)が取得面積に依存しなくなる面積以上とすることができる。例えば、(A)および(B)のパターンが均質であれば、取得面積が小さくとも、ドット面積の標準偏差(σ)は取得面積に依存しない。よって、取得面積は、(A)および(B)のパターンに応じて適切に設定できる。
実施形態においては、(σ)が取得面積に依存しなくなる面積を検証する。そして、感光体上の複数の凹部の配置(A)およびスクリーンパターン(B)の取得範囲を10.84mmの正方形領域とした(10.84mm=2400dpiで1024ドット相当)。ただし、言うまでもなく、本例での(A)および(B)の範囲は上述の観点で適切に設定されていれば良く、10.84mmの正方形領域でなくともよい。
感光体上の複数の凹部の配置(A)およびスクリーンパターン(B)の取得範囲が広範囲である場合、上述の顕微鏡群の画像連結機能が有効である。あるいはCCDカメラで広域の撮影が可能なレボックス(株)社製 GX−700を利用して取得してもよい。図17にGX−700にて取得した、凹部を有する電子写真感光体表面の写真を示す。このCCD写真を2値化処理して複数の凹部の配置(A)およびスクリーンパターン(B)とすることができる。複数の凹部の配置(A)の場合は、上述の顕微鏡群で特定凹部の形状を把握し、2値化画像に反映するのが好ましい。
また、ドットで形成される疑似中間調処理によって生成されるスクリーンパターン(B)を顕微鏡観察にて取得する場合、AMスクリーニングであれば、次のようにすることもできる。即ち、一部分の顕微鏡観察の結果をもとに、市販のソフトを用いて、大面積の2値化された画像データを生成することもできる。一部分の顕微鏡写真取得および2値化処理後、ドット径から解像度を決定できる。さらに、像露光の主走査方向と副走査方向について、隣り合う最短ドット間隔を測定し、計算によって角度と線数を決定できる。一例として表1に、解像度2400dpiの正方配置の場合について示す。
例えば、2値化画像から測定される隣り合う最短ドット間隔が、主走査2ドット分、副走査9ドット分であるとき、ドット周期は主走査3周期、副走査10周期であると言える。表1にて主走査3周期、副走査10周期の交点を見ると、スクリーン角度73.3°、線数230(lpi)と分かる。このようにして解像度、角度、線数が把握できれば、Adobe社Photoshopのグレースケール→モノクロ2階調(ハーフトーンスクリーン)への変換手法を用いて、大面積の2値化された画像データを生成することができる。
感光体上の複数の凹部の配置(A)についても、AMスクリーニングのごとく配列している場合には、同様の手法を用いることができる。以上のようにして生成した2値化された画像データを用いて、画質低下指数(f)を算出してもかまわない。
なお、上記いずれの手段においても、感光体の複数の凹部の配置(A)を把握する場合は、特定凹部の開口形状について図1で説明した基準に従って決定する。

(2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する。
2値画像である画像(C)について粒子解析を行い、画像(C)の全ドットについて個々の面積を把握する。粒子解析は、キーエンス社製粒子解析ソフト(GRADING ANALYSIS)など市販のソフト行うことができる。このデータを元に、ドット面積の平均値SM、およびドット面積の標準偏差(σ)を算出する。ドット面積の平均値SMは、ドット面積Siの総和を全ドットの個数nで割った算術平均(値)であり、式(2)で求められる。
ドット面積の標準偏差(σ)は、あるドットの面積をSi、全ドットの個数をnとしたとき、下記式(3)で導かれる分散(σ2)の平方根であり、ドット面積のばらつき度合いを表す値である。ドット面積の標準偏差(σ)は、値が小さいほどドット面積のばらつきが少なく、画質低下、すなわち粒状性(がさつき)低下およびモアレが抑制されていることを意味する
(3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
f=σ/SM・・・式(1)
ドット面積の標準偏差(σ)は、ドット面積の平均値SMの値に依存するため、ドット径が大きいスクリーンパターン(B)とドット径が小さいスクリーンパターン(B)の画質低下は単純に比較することができない。そこで、規格化のために、ドット面積の標準偏差(σ)をドット面積の平均値SMで除する。
本発明者らが検討した結果、上述のドット欠けのばらつきの低下度合いを数値化した画質低下指数(f)が14%以下となるように凹部の配置を行うことで、画質の低下を抑制できることが分かった。画質低下指数(f)が14%以下であることは、ドット欠けのばらつきが小さく、粒状性低下やモアレが抑制されていることを意味する。
<電子写真感光体の表面の凹部の配置>
画質低下指数(f)が14%以下となる凹部配置は、画像流れを抑制する項目である特徴1〜3を満たす限り、制限されない。別途、凹部配置ではなく、疑似中間調処理をFMスクリーニングとすることで画質低下を抑制する方法もあるが、FMスクリーニング自体、がさつきが低下する傾向にある。そのため、電子写真装置では一般的に、要求画質に応じてAMスクリーニングとFMスクリーニングを使い分けて利用される。
AMスクリーニングに対して画質低下指数を低減する凹部配置を行うには、例えば、凹部の開口径を複数種混在させる方法が挙げられる。また、凹部の開口径、あるいは凹部の密度を、スクリーンパターン(B)のドット径に比べてはるかに大きく、あるいは小さくする方法が挙げられる。ただし、凹部の開口径や凹部の密度は、もうひとつの効果である画像流れ抑制のために適切な範囲があり、またAMスクリーニングのパターンも、濃度や解像度によってドット径や密度が変わるため、設計の自由度が狭くなりがちである。凹部配置の設計には、下記に挙げる2つ方法が効率的である。
ひとつは、凹部を規則的に配置し、出力しようとするドットで形成された疑似中間調処理によるAMスクリーニングパターンに対して、凹部配置の配列の向きを最適化する方法である。凹部を規則的に配置する場合は、粒状性(がさつき)は低下しにくいものの、低波数モアレが発生しやすい。低波数モアレは、凹部配置が、擬似中間調処理のパターンの線数や角度に近いと発生しやすいため、凹部配置の配列の角度とスクリーンパターンの角度が、できるだけ直交に近づくように配置することで、画質低下指数(f)を低くすることができる。
もうひとつは、凹部を不規則に配置する方法である。凹部を規則的に配置する場合、例えばタンデム機においては、色ごとにAMスクリーニングパターンの角度が異なるため、各色に応じて凹部配置設計を行う必要があり、設計の自由度が狭まってしまう。一方で、凹部配置を不規則に配置すれば、どのようなAMスクリーニングパターンの角度であっても、画質低下指数(f)を低くすることができる。ただし、凹部を規則的に配置する場合と比べて、粒状性(がさつき)が低下する傾向にあるため、凹部の開口径や密度と合わせて設計することが好ましい。
感光体表面の凹部を不規則に配置する手段としては、画質低下指数(f)を低くできる設計できればいかなる方法を用いてもよい。特に、感光体の表面に凹部を形成する方法が、凹部配置を意図的に制御できる方法である場合は、その設計に、疑似中間調処理の一つであるFMスクリーニングの手法を適用することができる。凹部配置を意図的に制御できる方法とは、後述する凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接する方法やレーザー光照射による凹部の形成方法である。
FMスクリーニングは、ドット径を固定して、不規則なドット配置を行い、ドット密度を変化させることで階調を表現する疑似中間調処理であり、オフセット印刷機や電子写真方式のプリンター、インクジェット方式等々多くの画像形成装置に採用されている。このFMスクリーニングの不規則なドット配置を生成するランダム化アルゴリズムを用いて、不規則な凹部配置を設計することができる。ランダム化アルゴリズムは各種開発されており、画質低下指数(f)が低くなるものであれば、いずれの手法を用いてもよい。
実施形態では、もっとも一般的なFMスクリーニングである誤差拡散のうち、Floyd−Steinberg法を用いた。Floyd−Steinberg法は、画像データの注目画素の信号値と、注目画素を2値化した際の信号値との差分(誤差)を近隣画素に配分する方法である。
図14の(a)にその一例を示す。この図では、注目画素の右隣の画素の信号値に、注目画素の誤差のうち7/16を足す。右下、下、左下の画素にも図に記載の割合で注目画素の誤差を分配していく。その他の画素は、この分配結果を反映し、順次2値化を行う。その結果、(b)のような非周期特性のパターンを発生することができる。このとき、画素のサイズ、分配の割合、分配する画素の数を変えることで、任意の凹部開口サイズ、凹部密度、凹部配置を設計することが可能である。
<電子写真感光体の表面に凹部を形成する方法>
凹部の形成方法としては、上記の凹部に係る要件を満たしうる方法であれば、特に制限されない。例えば、パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー光照射による電子写真感光体の表面の形成方法、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し形状転写を行なう方法が挙げられる。
パルス幅が100ns(ナノ秒)以下である出力特性を有するレーザー光照射による凹部の形成方法について説明する。
この方法で用いるレーザーの具体的な例としては、ArF、KrF、XeFまたはXeClのようなガスをレーザー媒質とするエキシマレーザーあるいはチタンサファイアを媒質とするフェムト秒レーザーが挙げられる。さらに、上記、レーザー照射における、レーザー光の波長は、1,000nm以下であることが好ましい。
上記エキシマレーザーは、以下の工程で放出されるレーザー光である。まず、Ar、KrまたはXeのような希ガスと、FあるいはClのようなハロゲンガスとの混合気体に、放電、電子ビームまたはX線のような高エネルギーを与えて、上記の元素を励起して結合させる。その後、基底状態に落ちることで解離する際、エキシマレーザー光が放出される。上記、エキシマレーザーにおいて用いるガスとしては、ArF、KrF、XeClまたはXeFが挙げられるが、いずれを用いてもよい。特には、KrFあるいはArFが好ましい。
凹部の形成方法としては、図15の(a)に示すような、レーザー光遮断部2601とレーザー光透過部2602とを適宣配列したマスクを使用する。マスクを透過したレーザー光のみがレンズで集光され、被加工物に照射されることにより、所望の形状と配列を有する凹部の形成が可能となる。一定面積内の多数の凹部を、その形状、面積に関わらず瞬時に同時に加工できるため、工程は短時間で行うことが出来る。マスクを用いたレーザー照射により、1回照射当たり数mm2から数cm2が加工される。
レーザー加工においては、図15の(b)に示すように、まず、ワーク回転用モーター2702によりワークである電子写真感光体2704を自転させる。自転させながら、ワーク移動装置2703によりレーザー発振部2701のレーザー照射位置を電子写真感光体2704の軸方向上にずらしていくことにより、電子写真感光体2704の表面全域に効率良く凹部を形成することができる。凹部の深さは、レーザー光の照射時間や照射回数などによって、所望の範囲内に調整が可能である。このような構成によれば、凹部の大きさ、形状、配列の制御性が高く、高精度且つ自由度の高い粗面加工が実現できる。
次に、形成するべき凹部に対応した凸部を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接し、形状転写を行なう凹部の形成方法について説明する。図4に、電子写真感光体の表面に凹部を形成するための圧接形状転写加工装置の例を示す。
図4に示す圧接形状転写加工装置によれば、被加工物である電子写真感光体401を回転させながら、その表面(周面)に連続的にモールド402を接触させ、加圧することにより、電子写真感光体401の表面に凹部や平坦部を形成することができる。
加圧部材403の材質としては、例えば、金属、金属酸化物、プラスチック、ガラスが挙げられる。これらの中でも、機械的強度、寸法精度、耐久性の観点から、ステンレス鋼(SUS)が好ましい。加圧部材403は、その上面にモールドが設置される。また、下面側の支持部材(不図示)および加圧システム(不図示)により、支持部材404に支持された電子写真感光体401の表面に、モールド402を所定の圧力で接触させることができる。また、支持部材404を加圧部材403に対して所定の圧力で押し付けてもよいし、支持部材404および加圧部材403を互いに押し付けてもよい。
図4に示す例は、加圧部材403を移動させることにより、電子写真感光体401が従動または駆動回転しながら、その表面を連続的に加工する例である。さらに、加圧部材403を固定し、支持部材404を移動させることにより、または、支持部材404および加圧部材403の両者を移動させることにより、電子写真感光体401の表面を連続的に加工することもできる。なお、形状転写を効率的に行う観点から、モールド402や電子写真感光体401を加熱することが好ましい。
モールドとしては、例えば、微細な表面加工された金属や樹脂フィルムや、シリコンウエハーの表面にレジストによりパターニングをしたものが挙げられる。また、微粒子が分散された樹脂フィルムや、微細な表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングを施したものが挙げられる。また、電子写真感光体に押し付けられる圧力を均一にする観点から、モールドと加圧部材との間に弾性体を設置することが好ましい。
<電子写真感光体の構成>
本例の電子写真感光体は、支持体および支持体上に形成された感光層を有する。電子写真感光体の形状としては、例えば、円筒状、ベルト(エンドレスベルト)状、シート状が挙げられる。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であってもよいし、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構成としてもよいし、電荷輸送層を積層構成としてもよい。
支持体としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であることが好ましい。支持体の材質としては、例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属(合金)が挙げられる。また、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金を用いて真空蒸着によって形成した被膜を有する金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子をプラスチックや紙に含浸してなる支持体や、導電性結着樹脂製の支持体を用いることもできる。
支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制を目的として、例えば、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理を施してもよい。
支持体と、後述の下引き層または感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、例えば、レーザー光の散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆を目的として、導電層を設けてもよい。導電層は、例えば、カーボンブラック、導電性顔料、抵抗調節顔料を結着樹脂とともに溶剤に分散処理することによって得られる導電層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、導電層用塗布液には、例えば、加熱、紫外線照射、放射線照射により硬化重合する化合物を添加してもよい。例えば、導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させてなる導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
導電層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。また、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂が挙げられる。
また、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリフェニレンオキサイドが挙げられる。ポリフッ化ビニル、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アガロース樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。
導電性顔料および抵抗調節顔料としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスなどの金属(合金)の粒子や、これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズがドープされている酸化インジウム、アンチモンやタンタルがドープされている酸化スズなどの金属酸化物の粒子を用いることもできる。
これらは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。さらに、導電性顔料および抵抗調節顔料には、表面処理を施すことができる。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤が用いられる。
さらに、光散乱を目的として、シリコーン樹脂微粒子やアクリル樹脂微粒子などの粒子を添加してもよい。また、レベリング剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、整流性材料等の添加剤を含有させても良い。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などを目的として、下引き層(中間層)を設けてもよい。下引き層の構成材料は、機能を満たす限り特に制限されない。例えば、樹脂単体で構成されてもよいし、樹脂と金属酸化物の混合物で構成されてもよい。
樹脂単体で構成される下引き層は、樹脂(結着樹脂)を溶剤に溶解させることによって得られる下引き層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
樹脂単体で構成される下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体が挙げられる。また、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわ、ゼラチンが挙げられる。
樹脂単体で構成される下引き層の膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
樹脂と金属酸化物の混合物で構成される下引き層は、金属酸化物粒子を結着樹脂とともに溶剤に分散処理することによって得られる下引き層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
樹脂と金属酸化物の混合物で構成される下引き層に含有される金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する粒子であることが好ましい。上記の金属酸化物を含有する粒子の中でも、酸化亜鉛を含有する粒子がより好ましい。
金属酸化物粒子は、支持体から感光層側への電荷注入による黒点状の画像不良を抑制するため、金属酸化物粒子の表面がシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されている粒子であってもよい。
シランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシランが挙げられる。N−2−(アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
また、ビニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
樹脂と金属酸化物の混合物で構成される下引き層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。ゼラチン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂が挙げられる。
また、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。
これらの中でも、高温高湿環境下での電位変動を抑制する観点から、吸湿性が低い、ウレタン樹脂を用いることが好ましい。
樹脂と金属酸化物の混合物で構成される下引き層に好適に用いられるウレタン樹脂は、イソシアネート化合物またはブロック化イソシアネート化合物と、ポリオール樹脂との組成物の重合物からなる。
ブロック化イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートをブロック剤でブロックしたものが挙げられる。1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソフォロンジイソシアネート、IPDI)をブロック剤でブロックしたものが挙げられる。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDI−トリメチロールプロパンアダクト体、HDI−イソシアヌレート体、HDI−ビウレット体をブロック剤でブロックしたものが挙げられる。
ブロック化イソシアネート化合物のブロック剤としては、ホルムアルデヒドオキシム、アセトアルドオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトンオキシム、メチルイソブチルケトオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられる。メルドラム酸、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−ブチル、酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物が挙げられる。
また、ジイソプロピルアミン、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾールなどのアミン系化合物、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン系化合物が挙げられる。コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどの酸イミド系化合物、マロネート、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物が挙げられる。1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール系化合物が挙げられる。
また、アセトアニリド、N−メチルアセトアミド、酢酸アミドなどの酸アミド系化合物、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物、尿素、チオ尿素、エチレン尿素などの尿素系化合物が挙げられる。重亜硫酸ソーダなどの亜硫酸塩、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、フェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物が挙げられる。
また、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾールなどのピラゾール系化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系化合物が挙げられる。
また、これらのブロック剤を1種または2種以上を組合せたブロック化イソシアネート化合物であってもよい。ポリオール樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリフェノール樹脂が挙げられる。
金属酸化物粒子と樹脂との含有比率は、電子写真特性やクラック抑制の観点から、金属酸化物粒子:樹脂が2:1〜4:1(質量比)であることが好ましい。
分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
樹脂と金属酸化物の混合物で構成される下引き層には、例えば、下引き層の表面粗さの調整、または下引き層のひび割れ軽減を目的として、有機樹脂粒子や、レベリング剤をさらに含有させてもよい。有機樹脂粒子としては、シリコーン粒子等の疎水性有機樹脂粒子や、架橋型ポリメタクリレート樹脂(PMMA)粒子等の親水性有機樹脂粒子を用いることができる。
樹脂と金属酸化物の混合物で構成される下引き層には、各種添加物を含有させることができる。添加物としては、例えば、アルミニウム粉末及び銅粉末等の金属、カーボンブラック等の導電性物質が挙げられる。キノン化合物、フルオレノン化合物、オキサジアゾール系化合物、ジフェノキノン化合物、アリザリン化合物、ベンゾフェノン化合物等の電子輸送性物質が挙げられる。多環縮合化合物、アゾ化合物等の電子輸送物質が挙げられる。金属キレート化合物、シランカップリング剤等の有機金属化合物が挙げられる。
樹脂と金属酸化物の混合物で構成される下引き層の膜厚は、上記導電層を設ける場合には、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、2μm以上8μm以下であることがより好ましい。上記導電層を設けない場合には、10μm以上40μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤とともに分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷発生層用塗布液は、電荷発生物質だけを溶剤に加えて分散処理した後に樹脂を加えて調製してもよいし、電荷発生物質と樹脂をともに溶剤に加えて分散処理して調製してもよい。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
感光層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、スクワリリウム色素、チアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素、キナクリドン顔料が挙げられる。アズレニウム塩顔料、シアニン染料、アントアントロン顔料、ピラントロン顔料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素が挙げられる。
これら電荷発生物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、感度の観点から、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。さらに、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および28.2°±0.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、ブチラール樹脂が好ましい。これらは、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上用いることができる。
分散方法としては、例えば、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、アトライターを用いた方法が挙げられる。
電荷発生層における電荷発生物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷発生物質が0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。電荷発生層には、必要に応じて、例えば、増感剤、レベリング剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、整流性材料を添加することもできる。電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層上には、電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させて得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
感光層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物が挙げられる。トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これら電荷輸送物質の中でも、電荷の移動度の観点から、トリフェニルアミン化合物が好ましい。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が挙げられる。ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂が挙げられる。
これらの中でも、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピリジン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アガロース樹脂、セルロース樹脂、カゼインなどの絶縁性樹脂が挙げられる。
これらは、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上用いることができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルポレンなどの有機光導電性ポリマーを用いることもできる。また、これらの樹脂の主鎖や側鎖に、電荷輸送機能を有する骨格を導入し、高分子電荷輸送物質とした化合物を用いることもできる。
電荷輸送層には、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、結着樹脂1質量部に対して電荷輸送物質が0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
電荷輸送層が1層である場合、その電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましく、8μm以上30μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層を積層構成とした場合、支持体側の電荷輸送層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましく、表面側の電荷輸送層の膜厚は、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
本例においては、電荷輸送層が電子写真感光体の表面層となる場合、電子写真感光体の耐久性の向上の観点から、電荷輸送層を耐摩耗性に優れた樹脂で構成することが好ましい。
電子写真感光体の耐摩耗性やクリーニング性の向上を目的として、感光層上あるいは電荷輸送層上に保護層を形成し、表面層としてもよい。保護層は、耐摩耗性に優れた樹脂(結着樹脂)を溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液の塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
保護層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマーが挙げられる。
また、保護層は、重合性のモノマーあるいはオリゴマーを溶剤に溶解させて得られる保護層用塗布液の塗膜を形成し、該塗布膜を架橋または重合反応を用いて硬化(重合)させて保護層を形成してもよい。重合性のモノマーあるいはオリゴマーとしては、例えば、アクリロイルオキシ基やスチリル基などの連鎖重合性官能基を有する化合物や、水酸基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、エポキシ基などの逐次重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
硬化させる反応としては、例えば、ラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合(電子線重合)、プラズマCVD法、光CVD法が挙げられる。
また、保護層に要求される特性は膜の強度と電荷輸送能力の両立であるため、保護層用塗布液に導電性粒子や電荷輸送物質を添加してもよい。導電性粒子としては、上記導電層に用いられる導電性顔料を用いることができる。電荷輸送物質としては、上述の電荷輸送物質を用いることができる。
さらに、膜の強度と電荷輸送能力の両立の観点から、同一分子内に電荷輸送性構造(好ましくは正孔輸送性構造)および重合性官能基の両方を有する化合物を用いることがより好ましい。電子写真特性維持の観点から、重合性官能基としてはアクリロイルオキシ基が好ましい。また、耐摩耗性向上の観点から、同一分子内に重合性官能基を2つ以上有する化合物が好ましい。また、同一分子内に電荷輸送性構造および重合性官能基の両方を有する化合物と、上述の電荷輸送物質、結着樹脂、重合性のモノマーあるいはオリゴマーを混合して用いてもよい。
また、電子写真感光体の表面層(電荷輸送層または保護層)には、耐久性改善のためにフィラーを添加することができる。フィラーとしては、フッ素原子含有樹脂粒子、アクリル樹脂粒子などの有機樹脂粒子や、アルミナ、シリカ、チタニアなどの無機粒子が挙げられる。
また、各種機能改善を目的として添加剤を添加することもできる。添加剤としては、例えば、導電性粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤が挙げられる。
保護層が電荷輸送能力を有する場合、電荷発生層上に1層の電荷輸送層を兼ねた保護層を設けて表面層としてもよい。
保護層の膜厚は、0.1〜30μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
感光層が単層型感光層である場合、感光層は上記の電荷発生物質、電荷輸送物質と、電荷発生層、電荷輸送層および保護層に用いられる結着樹脂の群のうち1種または2種以上の結着樹脂を、溶剤に溶解させて得られる単層型感光層用塗布液を塗布する。そして、これを乾燥させることによって形成することができる。
結着樹脂として重合性のモノマーあるいはオリゴマーを用い、溶剤に溶解させて塗布した後に、架橋あるいは重合させてもよい。必要に応じて、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、電子搬送性物質、フィラーを添加してもよい。
上記の単層型感光層、あるいは積層型感光層の各層の塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤が挙げられる。
具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチラール、テトラヒドロフランが挙げられる。
また、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリンが挙げられる。これらの溶剤は、1種類あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
上記各層の塗布液を塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法を用いることができる。また、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法の塗布方法を用いることができる。
<電子写真装置の構成>
図5に本発明に係る電子写真式の画像形成装置の例を示す。図5において、円筒状の電子写真感光体501は、軸502を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体501の周囲には、電子写真感光体501の表面に静電潜像を形成するための画像形成部が配置されている。
具体的には、感光体501の回転方向に沿って、帯電手段(一次帯電手段)503、露光手段(画像露光手段)が配置されている。詳述すると、感光体501は、帯電手段として機能する帯電ローラにより、所定電位(本例では負極性)に均一に帯電され、その後、原稿の画像情報に基づいて露光手段として機能するレーザー光学系から照射されるレーザー(画像露光光)504を受ける。このようにして、電子写真感光体501の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。
本例では、放電を利用した帯電手段を用いた場合において、効果が特に大きい。電子写真感光体501の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段505内の負帯電特性のトナー(不定形トナーまたは球形トナー)で現像(本例では反転現像)されてトナー像が形成される。このとき、トナーの粒径は3〜10μmが好ましい。
電子写真感光体501の表面に形成されたトナー像が、転写手段(本例では転写ローラ)506からの転写バイアスによって、転写材上に転写されていく。このとき、転写材(シート、記録材)509は、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体501と転写手段506との間(当接部)に電子写真感光体501の回転と同期して取り出されて給送される。このとき、転写性向上の観点から、電子写真感光体501の回転と転写手段の移動速度に速度差を持たせてもよい。
また、転写手段には、トナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧がバイアス電源(不図示)から印加される。また、転写手段506は、2次色以上の画像形成のために、トナー像を電子写真感光体501から中間転写体(不図示)に転写する一次転写と、中間転写体(不図示)から転写材509に転写する二次転写からなる2段構成であってもよい。
トナー像が転写された転写材509は、電子写真感光体の表面から分離されて定着手段508へ搬送されてトナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体501の表面は、電子写真感光体501の表面に接触配置(当接)されたクリーニング部材(本例では感光体にカウンター当接されたブレード)を有するクリーニング手段507によって転写残トナーなどの付着物の除去を受けて清浄面化される。さらに、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、前露光は必ずしも必要ではない。
電子写真感光体501、帯電手段503、現像手段505およびクリーニング手段507などの作像プロセス機器から選択される構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプ
ロセスカートリッジ(カートリッジ)PCとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジPCを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置の装置本体に対して着脱自在に構成することができる。
即ち、少なくとも、電子写真感光体501と、該電子写真感光体に接触配置されたクリーニング部材を有するクリーニング手段と507を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジPCとして構成する。そして、このプロセスカートリッジPCを有し、階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理を少なくとも利用する電子写真装置として構成することができる。
露光光504は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合、原稿からの反射光や透過光である。または、センサーで原稿を読み取り、あるいはパソコン等の情報機器で生成された電子データを信号化し、この信号に従って行われる、例えば、レーザービームの走査、LEDアレイや液晶シャッターアレイの駆動により照射される光である。本例の画像形成装置(電子写真装置)は、信号化の際に、階調を表現する手法として少なくともドットで形成される疑似中間調処理を利用する。
本発明に係る電子写真式の画像形成装置は、信号化の際にディザマトリクスを利用して、ドットで形成される擬似中間調処理を生成することができる。図16は、ドット集中型ディザマトリクスの一例である。このディザマトリクスを用いれば、1200dpi、106lpi、45度のドットパターンで256階調を表現できる。具体的には、入力された0〜255で表現された多値画像データと、図16のディザマトリクス内の数値(閾値)とを比較し、閾値よりも大きければ黒を(印字する)、小さければ白(印字しない)と置き換えて2値画像に変換する。
近年の電子写真装置で使われている解像度は600dpi〜2400dpiが主流である。なお、線数は106〜212lpiのものが多い。また、ブラックは視感度が高いため、角度的に視感度が低下する45度にスクリーン角を設定することが多い。実施形態においては、擬似中間調処理としてAMスクリーニングパターンを用い、600dpiでも形成可能な線数106lpiの45度、および212lpiの45度の正方パターン(隣り合うドットの角度が90度)を用いた。
なお、画像形成装置がトナーの色毎に感光体及び画像形成部を備えた画像形成ステーションが設けられる、所謂、タンデム方式の場合、本例の構成が少なくとも1つの画像形成ステーションに採用されていれば良い。例えば、タンデム方式の画像形成装置において、ブラック画像を形成する画像形成ステーションではその感光体内にヒーターを設置し、この画像形成ステーションには本例の構成を採用せず、他の色のトナー画像を形成する画像形成ステーションには本例の構成を採用する画像形成装置であっても構わない。
<実施例>
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。また、電子写真感光体を、以下単に「感光体」ともいう。また、以下のすべての例において、電子写真感光体の表面に形成された凹部の開口部の形状は、開口部の最長径と開口部の最短径が実質等しい円状である。
(凹部形成前の感光体Aの製造例)
直径30.52mm、長さ370mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m2/g、粉体抵抗:4.7×106Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合した。これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15部を混合溶液に溶解させた。混合溶液はメチルエチルケトン73.5部と1−ブタノール73.5部の混合である。
この溶液に前記表面処理された酸化亜鉛粒子80.8部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン0.8部(東京化成工業(株)社製)を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、下記の2つ物質を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニングシリコーン社製)
・・・0.01部
・架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMERSSX−102、積水化成品工業(株)社製、平均一次粒径2.5μm)
・・・5.6部
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥させて、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
次に、下記の4つの物質を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
・CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質) ・・・20部
・下記構造式(A)で示されるカリックスアレーン化合物 ・・・0.2部
・ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・・・10部
・シクロヘキサノン ・・・600部
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記の5つの物質を、混合キシレン600部およびジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
・下記構造式(B)で示される化合物(電荷輸送物質) ・・・30部
・下記構造式(C)で示される化合物(電荷輸送物質) ・・・60部
・下記構造式(D)で示される化合物 ・・・10部
・ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート) ・・・100部
・下記構造式(E)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)
・・・0.02部
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間115℃
で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷発生層を形成した。
次に、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)20部/1−プロパノール20部の混合溶剤を、ポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過した。この混合溶剤に下記の3つの物質を加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。
・下記構造式(F)で示される正孔輸送性化合物 ・・・90部
・1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン ・・・70部
・1−プロパノール ・・・70部
この第二電荷輸送層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を大気中において6分間50℃で乾燥させた。その後、窒素中において、支持体(被照射体)を200rpmで回転させながら、加速電圧70kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間、電子線を塗膜に照射した。
引き続いて、窒素中において25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、塗膜の加熱を行った。電子線照射およびその後の加熱時の雰囲気の酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において30分間100℃で加熱処理を行うことによって、膜厚5μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
以上のようにして、表面に凹部を形成する前の電子写真感光体である感光体Aを作製した。感光体Aの表面の観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求めた。引き続き、後述するSCR1、SCR2について画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表2に示す。
(凹部形成前の感光体Bの製造例)
感光体Aの製造例において、支持体(円筒状支持体)として直径84mm、長さ370mmのアルミニウムシリンダーを用いた以外は、感光体Aの製造例と同様にして、表面に凹部を形成する前の電子写真感光体である感光体Bを作製した。
感光体Bの表面の観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求めた。引き続き、後述するSCR1、SCR2について画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表2に示す。
(凹部形成前の感光体Cの製造例)
感光体Aの製造例と同様にして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成した。次に、下記の手順で潤滑剤分散液を得た。
分散剤としてのフッ素原子含有樹脂(商品名:GF−300、東亞合成(株)社製)0.5部を下記に混合溶剤に溶解させた
・1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製) ・・・30部
・1−プロパノール ・・・30部
これに、潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレン(商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)10部を加えた。これを高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)に入れ、600kgf/cm2の圧力で、4回の分散処理を施した。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、潤滑剤分散液を得た。
その後、前記構造式(F)で示される正孔輸送性化合物90部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部、および、1−プロパノール70部を上記潤滑剤分散液に加えた。これをポリフロンフィルター(商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製)で濾過することによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。
この第二電荷輸送層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を大気中において6分間50℃で乾燥させた。その後、窒素中において、支持体(被照射体)を200rpmで回転させながら、加速電圧70kV、吸収線量8000Gyの条件で1.6秒間、電子線を塗膜に照射した。引き続いて、窒素中において25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、塗膜の加熱を行った。電子線照射およびその後の加熱時の雰囲気の酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において30分間100℃で加熱処理を行うことによって、膜厚5μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
以上のようにして、表面に凹部を形成する前の電子写真感光体である感光体Cを作製した。感光体Cの表面の観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求めた。引き続き、後述するSCR1、SCR2について画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表2に示す。
(凹部形成前の感光体Dの製造例)
感光体Aの製造例と同様にして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成した。次に、下記の手順で第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。
下記の混合液を、高圧分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、Microfluidics社製)に入れ、600kgf/cm2の圧力で3回の分散処理を施した。
・アルミナ粒子(平均粒径:0.1μm、商品名:LS−231、日本軽金属(株)製) ・・・10部
・クロロベンゼン ・・・90部
さらに、この分散処理を行った混合液をポリフロンフィルター(商品名:PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、分散液を調製した。そして、
・前記構造式(C)で示される構造を有する化合物 ・・・70部
・ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチッ
クス(株)製) ・・・100部
・上記分散液 ・・・200部
・モノクロロベンゼン ・・・400部
・ジメトキシメタン ・・・200部
を混合することによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。
この第二電荷輸送層用塗布液を電荷輸送層上にスプレー塗布し、得られた塗膜を20分間130℃で乾燥させることによって、膜厚5μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
以上のようにして、表面に凹部を形成する前の電子写真感光体である感光体Dを作製した。感光体Dの表面の観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求めた。引き続き、後述するSCR1、SCR2について画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表2に示す。
(感光体Eの製造例)
凹部形成前の感光体Aの製造例と同様にして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成した。次に、下記の物質を1−メトキシ−2−プロパノール20.9部に溶解させることによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。
・アクリルポリオール(商品名:JONCRYL−587、Johonson Polymers製) ・・・1.5部
・メラミン樹脂(商品名:CYMEL−303、CytecIndustries製)
・・・2.1部
・電荷輸送成分としてのN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(THM−TBD)
・・・1.16部
・電荷輸送成分としてのN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−ヒドロキシフェニル)−テルフェニル−ジアミン(DHTER) ・・・1.93部
・酸触媒(商品名:Nacure5225、King Chemical Industries製) ・・・0.05部
この第二電荷輸送層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、40分間140℃で熱硬化させることによって、膜厚6μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
以上のようにして、感光体Eを作製した。感光体Eについて、上述の手法で表面の観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求めた。引き続き、後述するSCR1、SCR2について画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表2に示す。
(モールド圧接形状転写による凹部の形成)
概ね図4に示す構成の圧接形状転写加工装置にて、凸形状を有するモールドを設置し、凹部形成前の電子写真感光体に対して表面加工を行った。
凸形状を有するモールドについて、図6に示す。実施形態においては、図6の(A)に示す規則配置のモールド、および、(B)に示す不規則配置のモールドを利用した。図6中、Xmは凸部の最長径(モールド上の凸部を上から見たときの最長径のこと。以下同じ)、θは正方配置の露光光の主走査方向(図6の水平方向)に対する傾き、Hは部の高さを示す。モールドの作成は次のようにして行った。
まず、凸部の配置を設計した。以下の配置の設計の説明において、面積、面積率とは、モールド上の凸部を上から見たときの面積、面積率を示す。
図6の(A)は、Y1とY2が等間隔である正方配置である。正方配置の設計には、Adobe社Photoshopのグレースケール→モノクロ2階調(ハーフトーンスクリーン)への変換手法を用いた。
まず、設計したい凸部の面積率に対応する濃度のグレースケールを作成する。例えば、凸部の面積率を20%としたい場合、濃度20%のグレースケールを作成する。次に、モノクロ2階調変換にて、ドット形状を円形とし、設計したい最長径Xmと面積率から算出される線数(Y1、Y2の距離)と角度θを設定してハーフトーンスクリーンに変換した。解像度が不足する場合は、得られたハーフトーンスクリーンから配置の座標を抽出し、最長径Xmの凸部を再配置した。以上のようにして正方配置を作成した。
図6の(B)は、上述のFloyd−Steinberg法による不規則配置である。まず、設計したい凸部の面積率に対応する濃度のグレースケールを作成する。次に、最長径Xmの凸部ひとつの面積と同面積となる正方形を単位画素に設定し、域値をグレースケールの濃度として、図14の(a)に示す分散ルールを用いて2値化された不規則パターンを生成した。このとき、最初の画素のみ255階調目の濃度に設定して演算を開始した。次に、2値化された不規則パターンにおいて、パターンに対応する画素に、最長径Xmの凸部を配置することで、不規則配置を作成した。
図6の(C)は、Y1とY2が等間隔である正方配置領域Aと、Y3とY4が等間隔である正方配置領域Bを、500μm四方ごとに互い違いに配置した、チェッカーマーク様の正方配置である。領域AのXmと領域BのXn、領域AのY1(Y2)と領域BのY3(Y4)は、各々異なるサイズで設計した。
図6の(D)は、図6の(A)の正方配置を行った後、Xmを交互にXnに置き換えた、最長径が互い違いの正方配置である。
以上のようにして設計した凸部配置に、凸部の高さHを加えた電子データを作成した。凸部の立体形状は任意に選択できるが、実施形態では円形ドーム型を採用した。レジストに、作成した電子データに基づいて光照射することで凸形状を作成し、これを反転させた型を作成、引き続きニッケルを電鋳することで、凸形状を有するニッケル製のモールドを作成した。
以上の方法で、Xm、Xn、Y1(Y2)、Y3(Y4)、H、θを変えて、各種モールドを作成した。
表面加工時には、電子写真感光体の表面の温度が所定の温度になるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御し、所望の圧力で電子写真感光体と加圧部材を押し付けながら、電子写真感光体を周方向に回転させる。これにより、電子写真感光体の表面(周面)の全面に凹部を形成した。以上のようにして、表面に凹部を有する電子写真感光体を作成した。
(電子写真感光体の表面の観察)
表面に凹部を有する電子写真感光体の表面を、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:VK−9500)で10倍乃至50倍レンズにより拡大観察し、上述のようにして電子写真感光体の表面に設けられた特定凹部および平坦部の判定を行った。
観察時には、電子写真感光体の長手方向に傾きが無いように、また、周方向については、電子写真感光体の円弧の頂点にピントが合うように、調整を行った。一辺500μmの正方形領域は、拡大観察を行った画像を画像連結アプリケーションによって連結して得た。また、得られた結果については、付属の画像解析ソフトにより、画像処理高さデータを選択し、フィルタタイプメディアンでフィルタ処理を行った。上記観察によって特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、および凹部の配置を求めた。
なお、表面に凹部を有する電子写真感光体の表面を、他のレーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:X−200)を用い、上記と同様の方法で観察を行った。この場合も、上記のレーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:VK−9500)を用いた場合と同様の結果が得られた。以下の例では、表面に凹部を有する電子写真感光体の観察に、レーザー顕微鏡((株)キーエンス製、商品名:VK−9500)および50倍レンズを用いた。
(画質低下指数の算出)
表面に凹部を有する電子写真感光体について、レボックス(株)社製GX−700にて、CCDカメラによる観察を行い、一辺10.84mmの正方形領域における写真データを取得した。取得した画像に対して2値化処理を行い凹部配置の座標を取得した。次に、レーザー顕微鏡観察にて取得した特定凹部の開口形状を、凹部配置の座標に反映して、複数の凹部の配置(A)とした。
なお、前記のレーザー顕微鏡を用いてモールドの観察を行い、モールドの凸部の外周形状と、先に観察した特定凹部の開口形状が一致する場合は、モールドを作成する際に利用した凸部配置の電子データを複数の凹部の配置(A)とした。
スクリーンパターン(B)として、下記の2つをAdobe社Photoshopのグレースケール→モノクロ2階調(ハーフトーンスクリーン)への変換手法を用いて作成した。
・ドット形状が円形で、線数106lpi、角度45°、印字率40%の正方配置スクリーンパターン1(SCR1)
・ドット形状が円形で、線数212lpi、角度45°、印字率40%の正方配置スクリーンパターン2(SCR2)
上記で得られた複数の凹部の配置(A)、スクリーンパターン(B)を用い、上述した算出方法に従って画質低下指数の算出を行った。画像(C)の作成には、Adobe社Photoshopを用いた。粒子解析には、キーエンス社製粒子解析ソフト(GRADING ANALYSIS)VH−H1G1を用いた。
(画質評価1)
表面に凹部を有する電子写真感光体を、キヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C7065)の改造機のシアンステーションに装着し、以下のように評価を行った。
まず、23℃/50%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200V、現像電位が−540Vとなるように帯電装置、画像露光装置および現像装置の条件を設定した。
電子写真装置のシアンに設定されているディザマトリクスを、線数106lpi、角度45°、解像度1200dpiのディザマトリクスに変更した。
Adobe社Photoshopにて、濃度40%のグレースケールをA4サイズで作成した。プリンタードライバーを介して出力することで、線数106lpi、角度45°、印字率40%のスクリーンパターン1(SCR1)で構成されたハーフトーン1(HT1)を得た。得られたハーフトーン1(HT1)について、画質評価1と同様の目視評価によるランク付けを行った。
ハーフトーン1(HT1)について、限度見本と比較して目視評価によるランク付けを行った。限度見本は、電子写真装置の開発者20人を被験者とし、画質低下のないハーフトーンと、表面に凹部を有する電子写真感光体を用いて出力した、画質低下の程度の異なる複数のハーフトーン画像を比較させて設定した。限度見本の内容を下記に示す。
A:被験者全員が、画質低下していないと判断した画像
B:被験者によって、がさつきが低下しているか否か、判断が分かれた画像
C:被験者によって、モアレが低下化しているか否か、判断が分かれた画像
D:被験者全員が、がさつきが低下化していると判断した画像のうち最も程度の良い画像
E:被験者全員が、モアレが低下していると判断した画像のうち最も程度の良い画像
本例では、A〜Cを許容できる画質低下とした。
(画質評価2)
画質評価1の画像出力において、電子写真装置のシアンに設定されているディザマトリクスを、線数212lpi、角度45°、解像度1200dpiのディザマトリクスに変更した。Adobe社Photoshopにて、濃度40%のグレースケールをA4サイズで作成した。プリンタードライバーを介して出力することで、線数212lpi、角度45°、印字率40%のスクリーンパターン2(SCR2)で構成されたハーフトーン2(HT2)を得た。得られたハーフトーン2(HT2)について、画質評価1と同様の目視評価によるランク付けを行った。
(画質評価3)
表面に凹部を有する電子写真感光体を、キヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C7065)の改造機のブラックステーションに装着し、以下のように評価を行った。
まず、23℃/50%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200V、現像電位が−540Vとなるように帯電装置、画像露光装置および現像装置の条件を設定した。
電子写真装置のブラックに設定されているディザマトリクスを、線数106lpi、角度45°、解像度1200dpiのディザマトリクスに変更した。Adobe社Photoshopにて、濃度40%のグレースケールをA4サイズで作成した。プリンタードライバーを介して出力することで、線数106lpi、角度45°、印字率40%のスクリーンパターン1(SCR1)で構成されたハーフトーン3(HT3)を得た。得られたハーフトーン3(HT3)について、画質評価1と同様の目視評価によるランク付けを行った。
(画質評価4)
表面に凹部を有する電子写真感光体を、キヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C7065)の改造機のブラックステーションに装着し、以下のように評価を行った。
まず、23℃/50%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200V、現像電位が−540Vとなるように帯電装置、画像露光装置および現像装置の条件を設定した。
Adobe社Photoshopにて、濃度40%のグレースケールをA4サイズで作成し、プリンタードライバーを介して出力した。プリンタードライバーの設定で、中間調:解像度、解像度:1200dpiと選択して出力を行うことで、線数212lpi、角度45°、印字率40%のスクリーンパターン2(SCR2)で構成されたハーフトーン4(HT4)を得た。得られたハーフトーン4(HT4)について、画質評価1と同様の目視評価によるランク付けを行った。
(画像流れ評価1)
表面に凹部を有する感光体を、キヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C7055)の改造機のシアンステーション(接触帯電方式)に装着した。
まず、30℃/80%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200V、現像電位が−540Vになるように帯電装置、画像露光装置および現像装置の条件を設定した。また、ディザマトリクスは、画質評価に用いたものに変更した。
次に、表2に示すように、硬度77°のポリウレタンゴム製クリーニングブレードを、電子写真感光体の表面に対して当接角28°、当接圧15g/cmとなるように設定した。電子写真感光体用のヒーター(ドラムヒーター)をOFFにした状態で、30℃/80%RH環境下で、A4横の印字率5%画像の評価用チャートを連続で50000枚出力した。
引き続き、電子写真感光体用のヒーター(ドラムヒーター)をOFFにした状態で、30℃/80%RH環境下で、A4横の印字率5%画像の評価用チャートを連続で5000枚出力を行い、電源を切った状態で30℃/80%RH環境下で3日間放置した。
3日間放置後、電子写真装置を起動し、A4横の出力解像度600dpiの1ドット−1スペースの画像形成を行い、帯電装置近傍の画像濃度とA4全面の画像再現性を以下のように評価した。
A:帯電装置近傍において、ドットの乱れや飛び散りが無く(すなわち画像流れが無く)、画像再現性が良好である。
B:帯電装置近傍において、拡大観察した際にわずかにドットの乱れが見られるが、飛び散りは無く、その他の部分については画像再現性が良好である。
C:帯電装置近傍において、拡大観察した際にややドットの乱れや飛び散りを生じているが、その他の部分については画像再現性が良好である。
D:帯電装置近傍において、拡大観察した際にドットの乱れや飛び散りを生じているが、その他の部分については画像再現性が良好である。
E:帯電装置近傍については画像上白ぬけが発生しており、その他の部分についてもやや画像再現性が低い。
(画像流れ評価2〜10)
クリーニングブレードの硬度および設定(当接角および当接圧)を表3に示すようにした以外は、表面に凹部を有する感光体の画像流れ評価1と同様にして電子写真感光体の実機評価を行った。
(画像流れ評価11〜20)
表面に凹部を有する感光体を、キヤノン(株)製の電子写真装置(複写機)(商品名:iR−ADV C7055)の改造機のブラックステーション(コロナ帯電方式)に装着した。クリーニングブレードの硬度および設定(当接角および当接圧)を表4に示すようにした以外は、表面に凹部を有する感光体の画像流れ評価1と同様にして電子写真感光体の実機評価を行った。
(表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例1)
凹部形成前の電子写真感光体A、B、C、Dを用い、図6の(A)の正方配置モールドを用いて、モールド圧接形状転写による凹部の形成を行い、表面に凹部を有する電子写真感光体AA−1〜40、BA−1〜3、CA−1、DA−1を作成した。圧接形状転写に用いたモールド、表面加工時の電子写真感光体の表面の温度を表5に示す。
これらの電子写真感光体について、上述の手法で表面の観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求めた。引き続き、画質低下指数(f)の算出を行った。スクリーンパターン(B)としては、上述のスクリーンパターン1(SCR1)、およびスクリーンパターン2(SCR2)を用いた。結果を表5に示す。
また、電子写真感光体CA−1の表面層である第二電荷輸送層の近傍の断面観察を行ったところ、図8の(A)に示すように、第二電荷輸送層の表面だけでなく、電荷輸送層の表面(電荷輸送層と第二電荷輸送層との界面)にも対応する凹部が形成されていた。なお、電子写真感光体CA−1の表面には、図8の(B)に示すような凹部が形成されていた。図8の(B)中の白線の四角形は、一辺500μmの正方形領域である。
(表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例2)
凹部形成前の電子写真感光体A、B、C、Dを用い、図6の(B)の不規則配置モールドを用いて、モールド圧接形状転写による凹部の形成を行い、表面に凹部を有する電子写真感光体AB−1〜40、BB−1、CB−1、DB−1を作成した。圧接形状転写に用いたモールド、表面加工時の電子写真感光体の表面の温度を表6に示す。
これらの電子写真感光体について、表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例1と同様に観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求め、画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表6に示す。
(表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例3)
凹部形成前の電子写真感光体Aを用い、図6の(C)、(D)の配置のモールドを用いて、モールド圧接形状転写による凹部の形成を行い、表面に凹部を有する電子写真感光体AC−1、AD−1を作成した。圧接形状転写に用いたモールド、表面加工時の電子写真感光体の表面の温度を表7に示す。
これらの電子写真感光体について、表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例1と同様に観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求め、画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表7に示す。
(表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例4)
凹部形成前の感光体Aの製造例と同様にして、支持体上に導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成した。次に下記の物質を1−メトキシ−2−プロパノール20.9部に溶解させることによって、第二電荷輸送層(保護層)用塗布液を調製した。
・アクリルポリオール(商品名:JONCRYL−587、Johonson Polymers製) ・・・1.5部
・メラミン樹脂(商品名:CYMEL−303、CytecIndustries製)
・・・2.1部
・電荷輸送成分としてのN,N,N’,N’−テトラキス−[(4−ヒドロキシメチル)フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン(THM−TBD)
・・・1.16部
・電荷輸送成分としてのN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−ヒドロキシフェニル)−テルフェニル−ジアミン(DHTER) ・・・1.93部
・酸触媒(商品名:Nacure5225、King Chemical Industries製) ・・・0.05部
この第二電荷輸送層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を硬化させる前に、表8および表9に示すモールドを用い、塗膜の表面温度を常温(25℃)に保った状態で、塗膜の表面にモールドの形状を転写した。次に、40分間140℃で熱硬化させることによって、膜厚6μmの第二電荷輸送層(保護層)を形成した。
以上のようにして、表面に凹部を有する電子写真感光体EA−1、EB−1を作製した。圧接形状転写に用いたモールド、表面加工時の電子写真感光体の表面の温度を表8、表9に示す。
これらの電子写真感光体について、表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例1と同様に観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求め、画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表8、表9に示す。
なお、表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例1〜4では、感光体の表面に形成された凹部の形状(大きさ/深さ)はいずれもほぼ一様である場合を例に説明したが、以下のような例でも構わない。即ち、モアレが視認されない限りにおいて、上述した凹部の大きさ/深さの範囲から外れてしまう、例えば、過大な凹部が製造時のフレ等により僅かに形成されていても構わない。
(表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例5)
凹部形成前の感光体Aに対して、概ね図9に示す構成の乾式ブラスト装置を用いて乾式ブラスト処理を行い、電子写真感光体の表面(周面)の全面に複数のディンプル形状の凹部を形成した。
図9中、901は粒子(研磨粒子)905の噴射ノズルである。902は噴射ノズル901を固定するためのノズル固定治具である。903はエア(圧縮空気)の導入経路である。904は容器に貯留されている粒子(研磨粒子)905を噴射ノズル901に導くための経路である。905は粒子(研磨粒子)である。906はワーク907を支持するためのワーク支持部材である。907はワーク(表面に凹部を形成する対象の電子写真感光体)である。908は噴射ノズル901を支持するための噴射ノズル支持部材である。909は噴射ノズル901を固定するための噴射ノズル固定治具である。
以上のようにして、表面に凹部を有する電子写真感光体Pを作製した。乾式ブラスト処理の条件は下記のとおりである。なお、乾式ブラスト処理後、ワークの周面に残存付着し
た粒子(研磨粒子)を、圧縮エアの吹き付けにより除去した。
・粒子(研磨粒子):平均粒径が30μmの球状ガラスビーズ(商品名:UB−01L(株)、ユニオン製)
・エア(圧縮空気)吹き付け圧力:0.343MPa(3.5kgf/cm2)噴射ノズル移動速度:430mm/s(図9中の上下矢印方向)
・ワークの自転速度:288rpm(図9中の回転矢印方向)
・噴射ノズルの吐出口とワークとの距離:100mm
・粒子(研磨粒子)の吐出角度:90°
・粒子(研磨粒子)の供給量:200g/min
・ブラストの回数:片道×2回
電子写真感光体Pについて、表面に凹部を有する電子写真感光体の製造例1と同様に観察を行い、特定凹部の深さ、開口部の最長径および面積ならびに平坦部の面積、凹部の配置を求め、画質低下指数(f)の算出を行った。結果を表10に示す。
(実施例1〜42)
表面に凹部を有する感光体AA−8〜15、18〜20、22〜24、28、29、31、32、35について、上述の画質評価1を行った。また、感光体AB−8、9、12〜15、18〜20、22〜24、28、29、31、32、35および感光体AC−1、感光体AD−1、感光体CA−1、感光体DA−1、感光体CB−1、感光体DB−1について、上述の画質評価1を行った。さらに、画像流れ評価1〜10のうち表11に示す評価を行った。結果を表11に示す。
以上の結果から、以上の要件を満たす電子写真式の画像形成装置は、画像流れが生じにくく、かつ画質低下が抑制された電子写真装置であるといえる。
(実施例43、44)
表面に凹部を有する感光体BA−1、BB−1について、上述の画質評価3を行った。さらに、画像流れ評価11〜20を行った。結果を表12に示す。
以上の結果から、電子写真式の画像形成装置は、コロナ帯電方式であっても、画像流れが生じにくく、かつ画質低下が抑制された装置であるといえる。
(実施例45〜75)
表面に凹部を有する感光体AA−8、9、12〜15、18〜20、22〜24について、上述の画質評価2を行った。また、感光体AB−8、9、12〜15、18〜20、22〜24、31、32および感光体AD−1、感光体CA−1,感光体DA−1、感光体CB−1、感光体DB−1について、上述の画質評価2を行った。さらに、画像流れ評価1〜10のうち表13に示す評価を行った。結果を表13に示す。

以上の結果から、以上の要件を満たす電子写真式の画像形成装置は、画像流れが生じにくく、かつ画質低下が抑制された装置であるといえる。
(実施例76、77)
表面に凹部を有する感光体BA−1、BB−1について、上述の画質評価4を行った。さらに、画像流れ評価11〜20を行った。結果を表14に示す。
以上の結果から、本例の電子写真式の画像形成装置は、接触帯電方式だけでなく、コロナ帯電方式であっても、画像流れが生じにくく、かつ画質低下が抑制された装置であるといえる。
(比較例1〜5)
表面に凹部を有さない電子写真感光体A〜Eについて、上述の画質評価1を行った。さらに、画像流れ評価2、6、9を行った。結果を表15に示す。
以上の結果から、表面に凹部を有さない感光体を用いた電子写真装置は、画質低下はしないものの、画像流れの抑制が不十分な電子写真装置であるといえる。
(比較例6〜52)
表面に凹部を有する感光体AA−1〜7、16、17、21、25〜27、30、33、34、36〜40について、上述の画質評価1を行った。また、感光体AB−1〜7、10、11、16,17、21、25〜27、30、33、34、36〜40および感光体EA−1、感光体EB−1、感光体Pについて、上述の画質評価1を行った。さらに、画像流れ評価1〜10のうち表16に示す評価を行った。結果を表16に示す。
以上の結果から、以上の要件を満さない電子写真式の画像形成装置は、画像流れおよび/または画質低下の抑制が不十分な装置であるといえる。
特に、比較例50、51については、感光体EA−1、EB−1の特定凹部の開口部の最長径、深さ、面積および配置については実施例と同様の要件を満たす。しかし、塗膜を硬化させる前にモールドによる形状転写を行うため、平坦部の面積が少なく、画像流れ抑制効果が不十分であった。
また比較例52については、感光体Pの特定凹部の面積が大きく、かつ平坦部の面積が少ないため、画像流れの抑制が不十分であり、また凹部の配置が実施例の要件を満たさないためにがさつきが低下した。
(比較例53、54)
表面に凹部を有する感光体BA−2、3について、上述の画質評価3を行った。さらに、画像流れ評価13、16、19を行った。結果を表17に示す。
以上の結果から、実施例と同様の要件を満さない電子写真式の画像形成装置は、画像流れおよび/または画質低下の抑制が不十分な装置であるといえる。
(比較例55〜112)
表面に凹部を有する感光体AA−1〜11、16、17、21、25〜40および、感光体AB−1〜11、16、17、21、25〜30、33〜40および感光体AC−1、感光体EA−1、感光体EB−1、感光体Pについて、上述の画質評価2を行った。さらに、画像流れ評価1〜10のうち表18に示す評価を行った。結果を表18に示す。

以上の結果から、実施例と同様の要件を満さない電子写真式の画像形成装置は、画像流れおよび/または画質低下の抑制が不十分な装置であるといえる。
(比較例113,114)
表面に凹部を有する感光体BA−2、3について、上述の画質評価4を行った。さらに、画像流れ評価13、16、19を行った。結果を表19に示す。
以上の結果から、実施例と同様の要件を満さない電子写真式の画像形成装置は、画像流れおよび/または画質低下の抑制が不十分な装置であるといえる。
かくして、実施例の構成を採用すれば、従来技術を更に発展させて、画像流れがより生じにくく、かつ電子写真感光体の表面の凹部による画質低下がより抑制された電子写真装置及び電子写真感光体を提供することができる。
本発明によれば、画像流れがより生じにくく、かつ電子写真感光体の表面の凹部による画質低下を抑制することができる画像形成装置及び電子写真感光体が提供される。
501・・電子写真感光体、101・・基準面、102・・第二基準面、103・・第三基準面、104・・凹部(特定凹部)、105・・凸部

Claims (12)

  1. 少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を備えた電子写真感光体と、
    階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体の表面には深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が形成されており、
    前記電子写真感光体の表面において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm以上90000μm以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm以上240000μm以下であり、
    前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出された画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする画像形成装置。
    <演算処理>
    (1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、前記複数の凹部と重複する部分を削除し、画像(C)とする
    (2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
    (3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
    式(1):f=σ/SM
  2. 前記電子写真感光体は前記感光層の上に保護層を有し、前記保護層に前記複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
  3. 少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を備えた電子写真感光体と、
    階調を表現する手法としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像を形成する画像形成部と、前記電子写真感光体に接触してクリーニングするブレードと、を有する画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体の表面の少なくとも前記ブレードとの接触領域には、深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が形成されており、
    前記接触領域において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm以上90000μm以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm以上240000μm以下であり、
    前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする画像形成装置。
    <演算処理>
    (1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、前記複数の凹部と重複する部分を削除し、画像(C)とする
    (2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
    (3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
    式(1):f=σ/SM
  4. 前記電子写真感光体は前記感光層の上に保護層を有し、前記保護層に前記複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項3の画像形成装置。
  5. 少なくとも支持体と前記支持体の上に形成された感光層とを備えた電子写真感光体と、ドットで形成される疑似中間調処理で生成されスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像形成する画像形成部と、を有する画像形成装置に用い れる前記電子写真感光体であって、
    記電子写真感光体の表面には、深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が所定の配置で形成されており、
    前記電子写真感光体の表面において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm以上90000μm以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm以上240000μm以下であり、
    前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体。
    <演算処理>
    (1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)と該凹部とが重複する部分を前記スクリーンパターン(B)から削除し、画像(C)とする
    (2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
    (3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
    式(1):f=σ/SM
  6. 前記感光層の上に保護層を有し、前記保護層に前記複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項5の電子写真感光体。
  7. 少なくとも支持体と前記支持体の上に形成された感光層とを備えた電子写真感光体と、ドットで形成される疑似中間調処理で生成されスクリーンパターンを少なくとも利用して前記電子写真感光体に静電潜像形成する画像形成部と、前記電子写真感光体の表面を クリーニングするブレードと、を有する画像形成装置に用いられる前記電子写真感光体であって、
    前記電子写真感光体の表面の前記ブレードとの接触領域には、深さ0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部が形成されており、
    前記接触領域において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm以上90000μm以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm以上240000μm以下であり、
    前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体。
    <演算処理>
    (1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、該複数の凹部と重複する部分を削除し、画像(C)とする
    (2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標準偏差(σ)を算出する
    (3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
    式(1):f=σ/SM
  8. 前記感光層の上に保護層を有し、前記保護層に前記複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項7の電子写真感光体。
  9. 少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を備え、階調を表現する手法 としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターンを少なくとも 利用して静電潜像が形成される電子写真感光体の製造方法であって、
    前記電子写真感光体の表面に、深さが0.5μm以上5μm以下かつ開口部の最長径が 20μm以上80μm以下の複数の凹部を形成するステップを有し、
    前記電子写真感光体の表面において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したと き、前記正方形領域において、前記凹部の総面積が10000μm 以上90000μm 以下、前記凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm 以上2400 00μm 以下であり、前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出し た画質低下指数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体の 製造方法。
    <演算処理>
    (1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、該複数の凹部と重複 する部分を削除し、画像(C)とする
    (2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標 準偏差(σ)を算出する
    (3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
    式(1):f=σ/SM
  10. 前記感光層の上に保護層を形成するステップと、前記保護層に前記複数の凹部を形成す るステップを有することを特徴とする請求項9の電子写真感光体の製造方法。
  11. 少なくとも支持体および該支持体の上に形成された感光層を備え、階調を表現する手法 としてドットで形成される疑似中間調処理で生成されたスクリーンパターンを少なくとも 利用して静電潜像が形成されるともにブレードによりその表面がクリーニングされる電子 写真感光体の製造方法であって、
    前記電子写真感光体の表面の前記ブレードとの接触領域に、深さ0.5μm以上5μm 以下かつ開口部の最長径が20μm以上80μm以下の複数の凹部を形成するステップを 有し、
    前記接触領域において一辺が500μmの正方形領域を任意に抽出したとき、前記正方 形領域において、前記凹部の総面積が10000μm 以上90000μm 以下、前記 凹部を除く部分に含まれる平坦部の総面積が80000μm 以上240000μm 下であり、前記複数の凹部の配置(A)が、下記の演算処理を行って算出した画質低下指 数(f)が14%以下となる配置であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
    <演算処理>
    (1)前記複数の凹部の配置(A)がなされた電子写真感光体を用いて前記スクリーン パターン(B)を形成した場合として、前記複数の凹部の配置(A)と前記スクリーンパ ターン(B)とを重ね合わせ、前記スクリーンパターン(B)から、該複数の凹部と重複 する部分を削除し、画像(C)とする
    (2)画像(C)について粒子解析を行い、ドット面積の平均値SM、ドット面積の標 準偏差(σ)を算出する
    (3)下記式(1)にて画質低下指数(f)を得る
    式(1):f=σ/SM
  12. 前記感光層の上に保護層を形成するステップと、前記保護層に前記複数の凹部を形成す るステップを有することを特徴とする請求項11の電子写真感光体の製造方法。
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