JP6090525B1 - ウレタン粘着剤、粘着シート、およびディスプレイ - Google Patents

ウレタン粘着剤、粘着シート、およびディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好な粘着層を形成することが可能なウレタン粘着剤を提供する。【解決手段】1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のEO基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)を含む。一実施形態において、本発明のウレタン粘着剤は、ウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)を含むことができるウレタン粘着剤。【選択図】図1

Description

本発明は、ウレタン粘着剤、並びに、それを用いた粘着シートおよびディスプレイに関する。
液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(OELD)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末等の電子機器に広く使用されている。
近年、上記各種ディスプレイは薄型軽量化が進んでいる。上記の中でも、薄型軽量化が期待できるOELDは、低電力で高輝度が得られることから注目されている。OELDは、基板上に有機発光層および有機電荷輸送層等の1層以上の複数の有機層を積層させた積層構造を有する。OELDは、基板としてプラスチックフィルムを用いることでフレキシブル化も可能である。
一般的に、有機EL素子は長時間使用した後、発光輝度、発光効率、および発光均一性等の特性が低下する傾向がある。有機EL素子は全体的に薄く、酸素および水分等による電極の酸化および有機物の変性、並びに駆動時の発熱による有機材料の酸化分解等によって、特性が低下すると考えられている。また、各構成要素の熱膨張率の差に起因して構成要素間に発生する界面応力等により、構成要素間に界面剥離が生じる恐れがある。このような問題を解決するため、封止剤およびバリア層等の改良が検討されている。例えば、封止剤およびバリア層等を塗膜により構成することが検討されている。
製造工程中に生じる衝撃および振動等により、塗膜からなる封止剤およびバリア層等に亀裂および破損等が発生し、これらが有機EL素子の劣化を招く可能性がある。したがって、薄膜・脆弱部材は衝撃および振動等から保護されることが好ましい。従来より、各種光学部材を傷付きおよび埃付着等から保護する表面保護シートとして、基材シート上に粘着層が形成された粘着シートが広く用いられているが、各種光学部材を衝撃および振動等から保護する性能についてはほとんど検討されていない。
本明細書において、「粘着シート」は、再剥離性を有する粘着シート(再剥離粘着シート)である。
特許文献1には、アクリル酸系誘導体、アクリル酸系誘導体ポリマー、および高分子量架橋剤を含有するアクリル粘着剤が開示されている(請求項1)。
耐衝撃性を高める手段としては、粘着剤の組成の工夫の他に、粘着層の厚膜化が考えられる。
特許文献2には、厚膜塗工が可能な粘着剤として、特定の重量平均分子量(Mw)を有する単官能ウレタンアクリレート系オリゴマー、アクリレート系モノマー、およびフリーラジカル光開始剤を含むアクリル粘着剤が開示されている(請求項1)。
特許文献3には、厚膜塗工が可能な粘着剤として、
変性ポリイソシアネートとポリオールとからなり、
前記変性ポリイソシアネートが、NCO官能基を有するポリイソシアネートと、1分子あたり1個以上の末端活性水素官能基および平均で6個以上のエチレンオキシ(EO)ユニットを含むポリエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートであり、
前記ポリオールが液状ポリカーボネートジオールを含む、ウレタン粘着剤が開示されている(請求項1)。
特許文献4には、ポリオールと多官能イソシアネート化合物とを含むウレタン粘着剤をいわゆるワンショット法で硬化した粘着層を含む脆弱部材仮固定用粘着シートが開示されている(請求項1)。
特開2015−17278号公報 特開2012−144726号公報 特開2013−136731号公報 特開2014−172989号公報
特許文献1には、上記アクリル粘着剤は高分子量のポリマーを比較的高濃度で含有しているので、薄膜でも衝撃吸収性に優れることが記載されている(段落0027)。一般的に、光学部材等の被着体に粘着シートを貼着する際には、粘着層が被着体との界面に空気を巻き込まずに良好に濡れて広がることが好ましい。この性質は、「濡れ性」とも呼ばれる。例えば、光学部材は、粘着シート付きの状態で検査にかけられる場合がある。このような場合、光学部材/粘着シート間に巻き込まれた空気は、検査の支障となる。一般的に、アクリル粘着剤はウレタン粘着剤と比較すると濡れ性に劣り、空気の巻き込みを嫌う光学用途等には適していない。
特許文献2には、上記アクリル粘着剤は、光重合時の硬化収縮が少ないことで厚みを均一化でき、表面外観が良好な粘着シートが得られることが記載されている(段落0012)。しかしながら、アクリル粘着剤は、上記と同様の課題を有する。加えて、特許文献2に記載のアクリル粘着剤は、塗工層の光硬化時には、塗工層の表面から内部にかけて、到達する紫外線等の光の量が徐々に低下するため、特に厚膜の塗工層において、厚み方向の硬化ムラが生じやすい。また、硬化収縮の抑制も充分とは言えない。したがって、厚膜塗工は容易ではない。
特許文献3に記載のウレタン粘着剤は、粘着力が高く再剥離用途には適していない。
特許文献4には、衝撃および振動等から光学部材等の被着体を保護する性能については何ら言及されていないが、一般的に、ワンショット法は、硬化収縮により粘着層の表面平滑性が悪化しやすく、厚膜化には適していない。
また、一般的に粘着層は高温高湿環境に曝されたときに、外部環境の水分の影響を受けて白濁(白化とも言う)して、外観が悪化する場合がある。そのため、粘着層は、耐湿熱白化性が良好であることが好ましい。
また、一般的に粘着シートは光学部材等の被着体を埃付着から保護することができるが、各種ディスプレイ等に用いられる粘着シートはそれ自身が帯電防止性を有し、埃付着性が低いことが好ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好な粘着層を形成することが可能なウレタン粘着剤、およびそれを用いた粘着シートを提供することを目的とするものである。
本発明はまた、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好で、帯電防止性を有し、埃付着性が低い粘着層を形成することが可能なウレタン粘着剤、およびそれを用いた粘着シートを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成した。
本発明に係る第1実施形態のウレタン粘着剤は、
1分子中に1つ以上のエチレンオキシド(EO)基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシ(EO)基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)と、
β−ジケトン化合物(X)とを含む。
本発明に係る第2実施形態のウレタン粘着剤は、
1分子中に1つ以上のエチレンオキシ(EO)基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシ(EO)基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)と、
脂肪酸エステル(B)とを含む。
上記第1実施形態のウレタン粘着剤は、好ましくは、
1分子中に1つ以上のエチレンオキシ(EO)基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシ(EO)基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)とを反応させて得られたウレタンプレポリマー(A)と、
β−ジケトン化合物(X)とを配合する製造方法によって、製造することができる。
本発明の粘着シートは、上記の本発明に係る第1実施形態または第2実施形態の粘着剤の硬化物からなる粘着層を含む。
本発明のディスプレイは、上記の本発明に係る第1実施形態または第2実施形態の粘着剤の硬化物からなる粘着層を含む。
本明細書において、「エチレンオキシド基」は化学式「−CHCHO−」で表される基であり、「EO基」と略記する場合がある。同様に、開環反応によりEO基を形成するエチレンオキシドは「EO」と略記する場合がある。
一般的に、シート状物は、厚みおよび幅に応じて、「テープ」、「フィルム」、または「シート」と称される。本明細書では、これらを特に区別せず、これらを包括する概念を表す用語として「シート」の用語を使用するものとする。
本明細書において、特に明記しない限り、各種物性は[実施例]の項に記載の方法にて測定されるものとする。
本発明によれば、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好な粘着層を形成することが可能なウレタン粘着剤、およびそれを用いた粘着シートを提供することができる。
ウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)とを含む本発明に係る第1実施形態の粘着剤は、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好で、帯電防止性を有し、埃付着性が低い粘着層を形成することができる。
図1は、本発明に係る第1実施形態の粘着シートの模式断面図である。 図2は、本発明に係る第2実施形態の粘着シートの模式断面図である。
「ウレタン粘着剤」
本発明のウレタン粘着剤は、1種以上の特定のウレタンプレポリマー(A)を含む。
本発明に係る第1実施形態のウレタン粘着剤は、1種以上の特定のウレタンプレポリマー(A)と1種以上のβ−ジケトン化合物(X)とを含む。
本発明に係る第2実施形態のウレタン粘着剤は、1種以上の特定のウレタンプレポリマー(A)と1種以上の脂肪酸エステル(B)とを含む。
(ウレタンプレポリマー(A))
ウレタンプレポリマー(A)は、複数種のポリオール(a)と1種以上のポリイソシアネート(b)とを共重合反応させて得られる反応生成物である。ウレタンプレポリマー(A)は、複数種のポリオール(a)および1種以上のポリイソシアネート(b)に由来する複数種の単量体単位を含む共重合体である。
本発明において、複数種のポリオール(a)は、1分子中に1つ以上のエチレンオキシ(EO)基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシ(EO)基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)との組合せである。
<ポリオール(a−1)>
ポリオール(a−1)は、1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオールを除く、任意のポリオールである。ポリオール(a−1)としては、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、EO基を有しないポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびひまし油系ポリオール等が挙げられる。中でも、ポリエステルポリオール、EO基を有しないポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールおよびEO基を有しないポリエーテルポリオールがより好ましい。
ポリエステルポリオールは、ポリエステル構造を有するポリオールである。このポリオールは1種以上の酸成分と1種以上のポリオール成分との重縮合体であり、1種以上の酸成分と1種以上のポリオール成分とのエステル化反応によって得ることができる。
原料の酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、およびトリメリット酸等のポリカルボン酸が挙げられる。
原料のポリオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ブチルエチルペンタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、およびポリオキシプロピレングリコール等の水酸基を2つ有する2官能ポリオール(グリコールまたはジオールとも言う);グリセリン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール等の水酸基を3つ以上有する3官能以上のポリオール等が挙げられる。
一般的に、ポリエーテルポリオールは、ポリエーテル構造を有するポリオールであり、活性水素を2つ以上有する1種以上の活性水素含有化合物と1種以上の環状エーテルとの開環重合体である。
ポリオール(a−1)として用いられるポリエーテルポリオールは、EO基を有しない。EO基を有しないポリエーテルポリオールでは、原料の環状エーテルとしてEO基を形成しない環状エーテルが用いられる。
活性水素含有化合物としては、水酸基を有する化合物、アミン、並びに、水酸基およびNH基を有する化合物等が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、水、および、グリコール(ジオールとも言う)(具体的には、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、およびブチルエチルペンタンジオール等)等の水酸基を2つ有する2官能ポリオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の水酸基を3つ以上有する3官能以上のポリオール等が挙げられる。
アミンとしては、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、およびキシリレンジアミン等のポリアミン等が挙げられる。
水酸基およびNH基を有する化合物としては、N−アミノエチルエタノールアミン等が挙げられる。
EO基を形成しない環状エーテルとしては、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド等のエチレンオキシド(EO)を除くアルキレンオキシド(AO);テトラヒドロフラン等が挙げられる。
EO基を有しないポリエーテルポリオールとしては、活性水素含有化合物のアルキレンオキシド付加物(ただし、EO付加物は除く)(ポリオキシアルキレンポリオールとも言う)が好ましい。具体的には、ポリプロピレングリコール(PPG)およびポリテトラメチレングリコール等の2官能ポリアルキレングリコール;グリセリンのアルキレンオキシド付加物等の3官能以上のポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリカプロラクトンポリオールは、ポリエステル構造を有するポリオールであり、ε−カプロラクトンおよびσ−バレロラクトン等の1種以上の環状エステルの開環重合体である。このポリオールは、1種以上の環状エステルの開環重合によって得ることができる。
ポリカーボネートポリオールは、カーボネート構造を有するポリオールである。このポリオールは、ポリオールとホスゲンとの重縮合、ポリオールとジオキシ化合物のビスクロロホルメートとの重縮合、ポリオールと炭酸ジエステルとの重縮合、およびポリオールとジオキシ化合物のビスカーボネートとの重縮合等によって得ることができる。
ポリエーテルポリオール以外のポリオール(a−1)はEO基を有していてもよいが、ポリオール(a−1)の種類によらず、ポリオール(a−1)は、EO基を有しないポリオールであることが好ましい。すなわち、ポリオール(a−1)は、EO基を有しないポリエステルポリオール、EO基を有しないポリエーテルポリオール、EO基を有しないポリカプロラクトンポリオール、およびEO基を有しないポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれた少なくとも1種のポリオールであることが好ましい。中でも、EO基を有しないポリエステルポリオールおよびEO基を有しないポリエーテルポリオールがより好ましい。
ポリオール(a−1)の数平均分子量(Mn)は特に制限されず、好ましい範囲は以下の通りである。
ポリエステルポリオールのMnは、好ましくは500〜5,000、より好ましくは1,000〜4,000、特に好ましくは1,000〜3,000である。
EO基を有しないポリエーテルポリオールのMnは、好ましくは500〜5,000、より好ましくは1,000〜4,000である。
ポリカプロラクトンポリオールのMnは、好ましくは500〜5,000、より好ましくは1,000〜4,000、特に好ましくは1,000〜3,000である。
ポリカーボネートポリオールのMnは、好ましくは500〜5,000、より好ましくは1,000〜4,000、特に好ましくは1,000〜3,000である。
上記各ポリオールについて、Mnが下限以上であることでウレタンプレポリマー(A)のゲル化が効果的に抑制され、上限以下であることでウレタンプレポリマー(A)の凝集力が好適となる。
<ポリエーテルポリオール(a−2)>
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオール(a−2)としては、活性水素含有化合物に対してエチレンオキシド(EO)を含む1種以上の環状エーテルを付加重合させて得られる化合物(付加重合物)が挙げられる。活性水素含有化合物およびエチレンオキシド(EO)以外の環状エーテルの例示は、ポリオール(a−1)と同様である。
1分子中に1つ以上のEO基を有する2官能ポリエーテルポリオールとしては、活性水素基を2つ有する活性水素含有化合物にエチレンオキシド(EO)を含む1種以上のアルキレンオキシド(AO)を付加重合させて得られるポリアルキレングリコールが挙げられる。かかるポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。
1分子中に1つ以上のEO基を有する3官能以上のポリエーテルポリオールとしては、活性水素基を3つ以上有する活性水素含有化合物にエチレンオキシド(EO)を含む1種以上のアルキレンオキシド(AO)を付加重合させて得られる化合物(付加重合物)が挙げられる。1分子中に1つ以上のEO基を有する3官能以上のポリエーテルポリオールとしては、グリセリンに1つ以上のエチレンオキシド(EO)を付加重合させて得られるグリセリンEO付加物、グリセリンに1つ以上のプロピレンオキシド(PO)と1つ以上のエチレンオキシド(EO)とをこの順で付加重合させて得られるグリセリンPO・EO付加物(「グリセリンポリプロピレングリコール末端エチレングリコール変性」ともいう。)等が挙げられる。
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオール(a−2)の数平均分子量(Mn)は特に制限されず、好ましくは500〜5,000、より好ましくは1,000〜5,000、特に好ましくは1,500〜5,000である。Mnが500以上であることで、ウレタンプレポリマー(A)のゲル化が効果的に抑制される。Mnが5,000以下であることで、ウレタンプレポリマー(A)の凝集力が好適となる。
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオール(a−2)を用いて得られるウレタンプレポリマー(A)は比較的硬化しやすい。そのため、基材シート上に本発明の粘着剤を塗工した後、塗工層が比較的速く硬化するため、厚膜塗工が容易である。また、厚膜塗工しても、塗工層が比較的速く硬化するため、塗工層の加熱乾燥時の熱風あるいは加熱乾燥後に得られる粘着シートの巻取り時に受ける機械的応力等に対して、塗工層および粘着層が影響を受けにくい。そのため、ロール筋および歪み等の不良が抑制され、表面平滑性が良好な粘着層を形成することができる。粘着層を厚膜化できることで、耐衝撃性に優れ、衝撃および振動等から各種光学部材等の被着体を保護する機能に優れた粘着層を形成することができる。
また、一般的に粘着層は高温高湿環境に曝されたときに白濁(白化)する場合がある。EO基は親水性基である。1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオール(a−2)を用いて得られるウレタンプレポリマー(A)を用いることで、粘着層の親水性が向上し、湿熱白化を抑制することができる。粘着層の親水性向上によって粘着層と外部環境との間の水分の移行が起こりやすくなり、外部から粘着層に水分が侵入したとしても、粘着層から外部環境への水分の排出も起こりやすく、粘着層内の水分量を相対的に低く維持できると考えられる。
また、1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオール(a−2)を用いて得られるウレタンプレポリマー(A)は導電性を少し有するため、これを用いた粘着層は表面抵抗値が比較的低く、帯電防止性を少し有することができる。ただし、本発明者らの知見では、ウレタンプレポリマー(A)単独では、粘着層の埃付着を効果的に抑制できる程の帯電防止性は発現できない。ウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)とを併用する場合、粘着層の表面抵抗値が効果的に低下して帯電防止性が効果的に発現し、粘着層を剥離した後の被着体の表面への埃付着を効果的に抑制することができる。
ポリオール(a−1)としては、水酸基を2つ有する2官能ポリオールと、水酸基を3つ以上有する3官能以上のポリオールのいずれを用いてもよい。これらを併用してもよい。
同様に、ポリオール(a−2)としては、水酸基を2つ有する2官能ポリオールと、水酸基を3つ以上有する3官能以上のポリオールのいずれを用いてもよい。これらを併用してもよい。
一般的に、2官能ポリオールは2次元架橋性を有し、粘着層に適度な柔軟性を付与することができる。3官能以上のポリオールは3次元架橋性を有し、粘着層に適度な硬さを付与することができる。
1種以上のポリオール(a−1)の水酸基数と1種以上のポリオール(a−2)の水酸基数との選択により、本発明のウレタン粘着剤の粘着力、凝集力、および再剥離性等の特性を調整することができる。粘着力と再剥離性とを両立させやすいことから、複数種のポリオール(a)のうちの少なくとも1つは、3官能以上のポリオールであることが好ましい。
1種以上のポリオール(a−1)と1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)との質量比は、特に制限されない。1種以上のポリオール(a−1)と1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)との合計量を100質量部とする。1種以上のポリエーテルポリオール(a−1)の量は、好ましくは0質量部超50質量部以下、より好ましくは20〜50質量部である。1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)の量は、好ましくは50質量部以上100質量部未満、より好ましくは50〜80質量部である。1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)の量が50質量部以上であることで、耐湿熱白化性および帯電防止性が効果的に発現することができる。1種以上のポリオール(a−1)の量が0質量部超であることで、厚膜塗工性の作用効果が効果的に発現することができる。
<ポリイソシアネート(b)>
ポリイソシアネート(b)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネート、ω,ω'−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、および1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
その他、ポリイソシアネート(b)としては、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビュウレット体、および3量体(この3量体はイソシアヌレート環を含む。)等が挙げられる。
ポリイソシアネート(b)としては、脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートがより好ましい。
ウレタンプレポリマー(A)の重合において、複数種のポリオール(a)(具体的には、1種以上のポリオール(a−1)と1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)との組合わせ)と、1種以上のポリイソシアネート(b)とは、複数種のポリオール(a)中の水酸基(OH)のモル数と、1種以上のポリイソシアネート(b)中のイソシアネート(NCO)基のモル数との官能基比(NCO/OH比)が0.5〜0.9となる比率で反応させることが好ましい。
<触媒>
ウレタンプレポリマー(A)の重合には必要に応じて、1種以上の触媒を使用することができる。触媒としては公知のものを使用でき、3級アミン系化合物および有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、および1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物および非錫系化合物等が挙げられる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、および2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系化合物;オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系化合物;2−エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系化合物;安息香酸コバルトおよび2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系化合物;ナフテン酸亜鉛および2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系化合物;ナフテン酸ジルコニウムおよびカルボン酸ビスマス等の他の金属系化合物等が挙げられる。
複数種のポリオール(a)の反応性がそれぞれ異なる場合、反応性の相違により、単一触媒系ではゲル化または反応溶液の白濁が生じやすくなる恐れがある。この場合、2種以上の触媒を用いることにより、反応(例えば反応速度等)を制御しやすく、上記問題を解決することができ、ポリオール(a)の選択自由度も増す。つまり本発明では2種以上の触媒を用いることが好ましい。
2種以上の触媒の組合せとしては特に制限されず、3級アミン/有機金属系、錫系/非錫系、および錫系/錫系等が挙げられる。好ましくは錫系/錫系、より好ましくはジブチル錫ジラウレート/2−エチルヘキサン酸錫である。
2−エチルヘキサン酸錫/ジブチル錫ジラウレート質量比は特に制限されず、好ましくは0超1未満、より好ましくは0.2〜0.6である。当該質量比が1未満であれば、触媒活性のバランスが良く、ゲル化を効果的に抑制することができる。
1種以上の触媒の使用量は特に制限されず、複数種のポリオール(a)と1種以上のポリイソシアネート(b)との総量に対して、好ましくは0.01〜1質量%である。
<溶剤>
ウレタンプレポリマー(A)の重合には必要に応じて、1種以上の溶剤を使用することができる。溶剤としては公知のものを使用でき、アセトンおよびメチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。ウレタンプレポリマー(A)の溶解性および溶剤の沸点等の点から、酢酸エチルおよびトルエン等が好ましい。
<重合方法>
ウレタンプレポリマー(A)の重合方法としては特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知重合方法を適用することができる。
重合手順は特に制限されず、
手順1)複数種のポリオール(a)、1種以上のポリイソシアネート(b)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶媒を一括混合した後に反応させる手順;
手順2)複数種のポリオール(a)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶媒を混合し、これに1種以上のポリイソシアネート(b)を添加しながら反応させる手順が挙げられる。
反応を制御しやすいことから、手順2)が好ましい。
触媒を使用する場合の反応温度は、好ましくは100℃未満、より好ましくは85〜95℃である。反応温度が100℃未満であれば、反応速度および架橋構造等の制御がしやすく、所望の分子量を有するウレタンプレポリマー(A)を生成しやすい。
触媒を使用しない場合、反応温度は好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であり、反応時間は好ましくは3時間以上である。
粘着剤の塗工性が良好となることから、ウレタンプレポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は好ましくは3万〜50万、より好ましくは5万〜40万であり、分子量分布(Mw/Mn)は好ましくは4〜12、より好ましくは6〜10である。
(β−ジケトン化合物(X))
本発明の粘着剤は、第1実施形態において、1種以上のβ−ジケトン化合物(X)を含むことができる。
β−ジケトン化合物(X)としては特に制限されず、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,3−シクロヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、2,2,7−トリメチル−3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3−メチル−2,4−ノナンジオン、2−メチル−4,6−ノナンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、およびスピロデカンジオン等が挙げられる。中でも、2,4−ペンタンジオンおよび2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン等が好ましい。
β−ジケトン化合物(X)は、ケト−エノール互変異性体の中でもエノール形を形成しやすいため、誘電分極性を有し、それによって導電性を少し有する。そのため、この化合物を含む粘着層は表面抵抗値が比較的低く、帯電防止性を少し有することができる。ただし、本発明者らの知見では、β−ジケトン化合物(X)単独では、粘着層の埃付着を効果的に抑制できる程の帯電防止性は発現できない。1つ以上のEO基を有するウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)とを併用することで、粘着層の表面抵抗値が効果的に低下して帯電防止性が効果的に発現し、粘着層の埃付着を効果的に抑制することができる。
1種以上のβ−ジケトン化合物(X)の添加量は、1種以上のウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜10質量部、特に好ましくは0.1〜5質量部、最も好ましくは0.5〜5質量部である。添加量が0.01質量部以上であれば、粘着層の埃付着の抑制効果が効果的に発現することができる。添加量が10質量部以下であれば、本来必要な粘着剤の主有効成分であるウレタンプレポリマー(A)の量が充分に確保され、粘着剤として必要な性能が確保される。
(脂肪酸エステル(B))
本発明の粘着剤は、第2実施形態において、1種以上の脂肪酸エステル(B)を含むことができる。脂肪酸エステル(B)は可塑剤として作用し、粘着層の濡れ性を向上させることができる。脂肪酸エステル(B)はまた、粘着層、特に、粘着層の光学部材等の被着体側の表層部の疎水性を高め、粘着シートが高温高湿環境に曝されたときに、外部環境から粘着層への水分の侵入を抑制し、粘着層の白濁(白化)を抑制することができる。
脂肪酸エステル(B)としては特に制限されず、炭素数8〜18の一塩基酸または多塩基酸と炭素数18以下の分岐アルコールとの反応により得られるエステル;炭素数14〜18の不飽和脂肪酸と水酸基数が4つ以下のアルコールとの反応により得られるエステル等が好ましい。
炭素数8〜18の一塩基酸または多塩基酸と炭素数18以下の分岐アルコールとの反応により得られるエステルとしては、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソセチル、トリメリト酸トリオレイル、およびトリメリト酸トリイソセチル等が挙げられる。中でも、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、およびミリスチン酸オクチルドデシルが好ましく、ミリスチン酸イソプロピルが特に好ましい。
炭素数14〜18の不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸、およびイソステアリン酸等が挙げられる。水酸基数が4つ以下のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビタン等が挙げられる。
脂肪酸エステル(B)の数平均分子量(Mn)は特に制限されず、濡れ速度向上等の観点から、好ましくは200以上、好ましくは600以下である。
1種以上の脂肪酸エステル(B)の添加量は特に制限されず、1種以上のウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは20〜40質量部である。添加量が5質量部以上であれば、脂肪酸エステル(B)の添加効果(濡れ性向上効果)が効果的に発現することができる。添加量が50質量部以下であれば、本来必要な粘着剤の主有効成分であるウレタンプレポリマー(A)の量が充分に確保され、粘着剤として必要な性能が確保される。
本発明のウレタン粘着剤は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた第3実施形態であってもよい。すなわち、本発明のウレタン粘着剤は、ウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)と脂肪酸エステル(B)とを含む第3実施形態であってもよい。
(イソシアネート硬化剤(I))
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上のイソシアネート硬化剤(I)を含むことができる。本発明の粘着剤からなら塗工層は、ウレタンプレポリマー(A)がイソシアネート硬化剤(I)によって硬化され、最終的に硬化膜となる。
イソシアネート硬化剤(I)としては公知のものを使用でき、ウレタンプレポリマー(A)の原料であるポリイソシアネート(b)で例示した化合物(具体的には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、および、これらのトリメチロールプロパンアダクト体/ビュウレット体/3量体)を用いることができる。
本発明のウレタン粘着剤中の1種以上のイソシアネート硬化剤(I)の含有量は特に制限されず、1種以上のウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは3〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部である。含有量が3質量部以上であれば粘着層の凝集力が良好となり、含有量が30質量部以下であれば粘着層の粘着力が良好となる。
(硬化促進剤)
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の硬化促進剤を含むことができる。硬化促進剤としては公知のものを使用でき、ウレタンプレポリマー(A)の合成で挙げた触媒等が挙げられる。
1種以上の硬化促進剤の添加量は特に制限されず、効果的な硬化性促進の観点から、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、好ましくは0.0005〜0.5質量部、より好ましくは0.001〜0.1質量部、特に好ましくは0.003〜0.05質量部、最も好ましくは0.005〜0.03質量部である。
(溶剤)
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の溶剤を含むことができる。溶剤としては公知のものを使用でき、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、およびキシレン等が挙げられる。ウレタンプレポリマー(A)の溶解性および溶剤の沸点等の観点から、酢酸エチルおよびトルエン等が特に好ましい。
(他の任意成分)
本発明の粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、1種以上の他の任意成分を含むことができる。他の任意成分としては、ウレタンプレポリマー(A)以外の任意の樹脂、硬化遅延剤、充填剤、金属粉、着色剤、箔状物、軟化剤、導電剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、消泡剤、および滑剤等が挙げられる。
<充填材>
充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、および酸化チタン等が挙げられる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、ラジカル連鎖禁止剤(1次酸化防止剤)および過酸化物分解剤(2次酸化防止剤)等が挙げられる。ラジカル連鎖禁止剤(1次酸化防止剤)としては、フェノール系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤等が挙げられる。過酸化物分解剤(2次酸化防止剤)としては、硫黄系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、および高分子型フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。モノフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、およびステアリン−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、および3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
高分子型フェノール系酸化防止剤としては、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、および1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)トリオン、トコフェノール等が挙げられる。例えば、IRGANOX L 135(BASF社製)は、ウレタンプレポリマー(A)との相溶性が良好な点で好ましい。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、およびジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、およびフェニルジイソデシルホスファイト等が挙げられる。
「ウレタン粘着剤の製造方法」
本発明のウレタン粘着剤は、公知方法を適用して、製造することができる。
上記第1実施形態のウレタン粘着剤は、好ましくは、
1分子中に1つ以上のエチレンオキシド基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシド基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)とを反応させて得られたウレタンプレポリマー(A)と、
β−ジケトン化合物(X)とを配合する製造方法によって、製造することができる。
上記第2実施形態のウレタン粘着剤は、好ましくは、
1分子中に1つ以上のエチレンオキシド基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシド基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)とを反応させて得られたウレタンプレポリマー(A)と、
脂肪酸エステル(B)とを配合する製造方法によって、製造することができる。
「粘着シート」
本発明の粘着シートは、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を含む。本発明の粘着シートは好ましくは、基材シートと、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む。粘着層は、基材シートの片面または両面に形成することができる。必要に応じて、粘着層の露出面は、剥離シート(剥離ライナーとも言う)で被覆することができる。なお、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。
図1に、本発明に係る第1実施形態の粘着シートの模式断面図を示す。図1中、符号10は粘着シート、符号11は基材シート、符号12は粘着層、符号13は剥離シートである。粘着シート10は、基材シートの片面に粘着層が形成された片面粘着シートである。
図2に、本発明に係る第2実施形態の粘着シートの模式断面図を示す。図2中、符号20は粘着シート、符号21は基材シート、符号22A、22Bは粘着層、符号23A、23Bは剥離シートである。
基材シートとしては特に制限されず、樹脂シート、紙、および金属箔等が挙げられる。基材シートは、これら基材シートの少なくとも一方の面に任意の1つ以上の層が積層された積層シートであってもよい。基材シートの粘着層を形成する側の面には、必要に応じて、コロナ放電処理およびアンカーコート剤塗布等の易接着処理が施されていてもよい。
樹脂シートの構成樹脂としては特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)等エステル系樹脂;ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ナイロン66等のアミド系樹脂;ウレタン系樹脂(発泡体を含む);これらの組合せ等が挙げられる。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15〜300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20〜50,000μmである。
紙としては特に制限されず、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。
金属箔の構成金属としては特に制限されず、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
剥離シートとしては特に制限されず、樹脂シートまたは紙等の表面に剥離剤塗布等の公知の剥離処理が施された公知の剥離シートを用いることができる。
粘着シートは、公知方法にて製造することができる。
はじめに、基材シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明のウレタン粘着剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に、塗工層を乾燥および硬化して、本発明のウレタン粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成する。加熱乾燥温度は特に制限されず、60〜150℃程度が好ましい。
次に必要に応じて、公知方法により粘着層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
上記方法とは逆に、剥離シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して本発明の粘着剤からなる塗工層を形成し、次いで塗工層を乾燥および硬化して本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成し、最後に粘着層の露出面に基材シートを積層してもよい。
本発明のウレタン粘着剤は、薄膜塗工にも厚膜塗工にも好適に用いることができ、従来よりも粘着層の厚みの設計自由度が高い。粘着層の厚みは粘着シートの用途によって適宜設計でき、従来レベル(5〜30μm)でもよいし、従来は難しかった30μm以上の厚膜レベルでもよい。粘着層を厚膜化することで、耐衝撃性に優れ、衝撃および振動等から被着体を保護する機能に優れた粘着層を形成することができる。粘着層の厚みの上限は特に制限されず、表面平滑性が良好な粘着層を形成できることから、200μm程度である。耐衝撃性向上と表面平滑性の観点から、粘着層の厚みは、好ましくは30〜200μm、より好ましくは40〜150μm、特に好ましくは50〜150μmである。なお、本明細書において、「粘着層の厚み」は特に明記しない限り、乾燥後の厚みである。
上記したように、ウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)とを含む本発明に係る第1実施形態の粘着剤を用いることで、粘着層の表面抵抗値を低減させて帯電防止性を向上させ、粘着シートの埃付着を効果的に抑制することができる。帯電防止性は表面抵抗値により評価することができる。
本発明のウレタン粘着剤を用いて得られる粘着層の表面抵抗値は、好ましくは1.0×1011(Ω/□)未満である。このレベルの表面抵抗値であれば、埃付着が効果的に抑制される。なお、「表面抵抗値」は、[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
本発明の粘着シートは、テープ、ラベル、シール、および両面テープ等の形態で、使用することができる。本発明の粘着シートは、表面保護シート、化粧用シート、および滑り止めシート等として好適に使用される。
本発明の粘着シートは、各種ディスプレイ(フラットパネルディスプレイおよびタッチパネルディスプレイ等)、並びに、これらの製造工程で製造または使用される基板および光学部材等の表面保護シートとして好適に用いられる。
以上説明したように、本発明によれば、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好な粘着層を形成することが可能なウレタン粘着剤、およびそれを用いた粘着シートを提供することができる。
ウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)とを含む本発明に係る第1実施形態の粘着剤は、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好で、帯電防止性を有し、埃付着性が低い粘着層を形成することができる。
ウレタンプレポリマー(A)と脂肪酸エステル(B)とを含む本発明に係る第2実施形態の粘着剤は、濡れ性が良好で、厚膜塗工が可能で、耐湿熱白化性が良好な粘着層を形成することができる。
「ディスプレイ」
本発明のディスプレイは、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を含む。本発明のディスプレイは好ましくは、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を含む粘着シートを含むことができる。
ディスプレイとしては、液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(ELD)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイ等が挙げられる。
以下、合成例、本発明に係る実施例、および比較例について説明する。なお、以下の記載において、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味するものとする。
[Mw、Mn、Mw/Mnの測定]
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りとした。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
<測定条件>
装置:SHIMADZU Prominence(株式会社島津製作所製)、
カラム:SHODEX LF−804(昭和電工株式会社製)を3本直列に接続、
検出器:示差屈折率検出器、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:0.5mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.1%、
試料注入量:100μL。
[材料]
使用した材料は、以下の通りである。
<ポリオール(a−1)>
(a−1−1):Kuraray Polyol P−1010(クラレ社製)、EO基を有しない2官能ポリエステルポリオール、Mn1000、水酸基数2、
(a−1−2):Kuraray Polyol P−2010(クラレ社製)、EO基を有しない2官能ポリエステルポリオール、Mn2000、水酸基数2、
(a−1−3):Kuraray Polyol P−3010(クラレ社製)、EO基を有しない2官能ポリエステルポリオール、Mn3000、水酸基数2、
(a−1−4):サンニックス GP−1500(三洋化成工業社製)、EO基を有しない3官能ポリエーテルポリオール、Mn1500、水酸基数3、
(a−1−5):サンニックス PP−2000(三洋化成工業社製)、EO基を有しない2官能ポリエーテルポリオール、Mn2000、水酸基数2、
(a−1−6):サンニックス GP−3000(三洋化成工業社製)、EO基を有しない3官能ポリエーテルポリオール、Mn3000、水酸基数3、
(a−1−7):プラクセル 220N(ダイセル社製)、EO基を有しない2官能ポリカプロラクトンポリオール、Mn2000、水酸基数2、
(a−1−8):デスモフェン 2020E(住化バイエルウレタン社製)、EO基を有しない2官能ポリカーボネートポリオール、Mn2000、水酸基数2、
(a−1−9):プレミノールS4006(旭硝子社製)、EO基を有しない2官能ポリエーテルポリオール、Mn5500、水酸基数2、
(a−1−10):EDP−1100(ADEKA社製)、EO基を有しない4官能ポリエーテルポリオール、Mn1100、水酸基数4。
<EO基を有するポリエーテルポリオール(a−2)>
(a−2−1):アデカポリエーテル AM−302(ADEKA社製)、3官能ポリエーテルポリオール、グリセリンPO・EO付加物、Mn3000、水酸基数3、
(a−2−2):アデカポリエーテル GR−3308(ADEKA社製)、3官能ポリエーテルポリオール、グリセリンPO・EO付加物、Mn3400、水酸基数3。
<ポリイソシアネート(b)>
(b−1):ヘキサメチレンジイソシアネート(東ソー社製)、
(b−2):タケネート(登録商標)500(三井化学社製)、1,3−キシリレンジイソシアネート。
<脂肪酸エステル(B)>
(B−1):NIKKOL IPP(日光ケミカルズ社製)、パルミチン酸イソプロピル、
(B−2):NIKKOL IPM−100(日光ケミカルズ社製)、ミリスチン酸イソプロピル。
<β−ジケトン化合物(X)>
(X−1):2,4−ペンタンジオン、
(X−2):2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン。
<イソシアネート硬化剤(I)>
(I−1):コロネート HL(東ソー社製)、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールプロパンアダクト、
(I−2)スミジュール N−3300(住化バイエルウレタン社製)、ヘキサメチレンジイソシアネート/イソシアヌレート、
(I−3):コロネート L(東ソー社製)、トリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン。
[ウレタンプレポリマー(A)の合成]
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下漏斗を備えた4口フラスコに、ポリエステルポリオール(a−1−1)を50部、1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオール(a−2−1)850部を仕込んだ。これに、トルエン650部を加えた。さらに、触媒として、ジブチル錫ジラウレートを0.25部、2−エチルヘキサン酸錫0.1部を加えた。窒素雰囲気下で90℃まで徐々に昇温し、ポリイソシアネート(b−1)をNCO/OH比(官能基比)が0.6になる量(48部)を滴下し、その後2時間反応を行った。赤外吸収(IR)スペクトルで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で、反応液を冷却し反応を終了することで、ウレタンプレポリマー(A−1)溶液(不揮発分:60%)を得た。得られたウレタンプレポリマー(A−1)の重量平均分子量(Mw)は78,000であった。
用いたポリオール(a)とポリイソシアネート(b)の種類とこれらの配合比、および得られたウレタンプレポリマーのMwを表1−1に示す。なお、表1−1中、ポリオール(a)の配合量の単位は[部]であり、ポリイソシアネート(b)の配合量は、NCO/OH比(官能基比)で示してある(表1−2〜表1−5においても同様)。
ポリイソシアネート(b−1)の部量は、下記計算式に従って算出した(他の合成例においても同様)。
((b−1)の部量)[部]=
(NCO/OH比)×((b−1)の分子量)/((b−1)のNCO基数)
×[((x1−1)の部量)/((x1−1)の分子量)×((x1−1)の水酸基数)
+((x2−1)の部量)/((x2−1)の分子量)×((x2−1)の水酸基数)]
=0.6×168.2/2×(50/1000×2+850/3000×3)
=48
(合成例2〜22)
合成例2〜22においては、用いたポリオール(a)とポリイソシアネート(b)の種類とこれらの配合比を表1−1〜表1−5に示すように変更した以外は合成例1と同様にして、ウレタンプレポリマー(A−1)〜(A−19)および比較用のウレタンプレポリマー(D−1)〜(D−3)を得た。各合成例において、得られたウレタンプレポリマーのMwおよびウレタンプレポリマー溶液の不揮発分濃度を表1−1〜表1−5に示す。
[実施例1]
合成例1で得られたウレタンプレポリマー(A−1)を100部、脂肪酸エステル(B−1)を30部、酸化防止剤「IRGANOX L 135」(BASF社製)を0.3部、紫外線吸収剤「TINUVIN 571」(BASF社製)を0.3部、光安定剤「TINUVIN 765」(BASF社製)を0.3部、イソシアネート硬化剤(I−1)を15部、および溶剤として酢酸エチルを100部配合し、ディスパーで攪拌することでウレタン粘着剤を得た。なお、溶剤を除く各材料の使用量は、不揮発分換算値を示す(他の実施例および比較例においても、同様)。用いた材料の種類と配合比を表2−1に示す。
[実施例2〜26]
実施例2〜26においては、用いた材料の種類と配合比を表2−1〜2−4、表3−1〜3−2に示すように変更した以外は実施例1−1と同様にして、ウレタン粘着剤を得た。
[比較例1〜3]
比較例1〜3においては、用いた材料の種類と配合比を表2−5、表3−3に示すように変更した以外は実施例1−1と同様にして、ウレタン粘着剤を得た。
[比較例4]
合成例2で得られたウレタンプレポリマー(A−2)を100部、親水性の添加剤として「モノサイザー W−260」(DIC社製、ポリアルキレングリコール化合物)を20部、酸化防止剤「IRGANOX L 135」(BASF社製)を0.3部、紫外線吸収剤「TINUVIN 571」(BASF社製)を0.3部、光安定剤「TINUVIN 765」(BASF社製)を0.3部、イソシアネート硬化剤(I−1)を15部、および溶剤として酢酸エチルを100部配合し、ディスパーで攪拌することでウレタン粘着剤を得た。用いた材料の種類と配合比を表2−5に示す。
[比較例5]
ポリエーテルポリオール(a−1−9)を70部、ポリエーテルポリオール(a−1−4)を18部、ポリエーテルポリオール(a−1−10)を12部、β−ジケトン化合物(X−1)を0.006部、触媒として「ナーセム第2鉄」(日本化学産業社製、トリス(アセチルアセトナート)鉄)を0.04部、イソシアネート硬化剤(I−3)を40部、溶剤として酢酸エチルを150部配合し、ディスパーで攪拌することでウレタン粘着剤を得た。
比較例5では、ウレタンプレポリマーの代わりに3種のポリオールをそのまま用いた。用いた材料の種類と配合比を表3−3に示す。
[第1の評価用粘着シート(剥離シート/粘着層/基材シート)の製造と評価]
実施例1〜26および比較例1〜5の各例において、以下のようにして、第1の評価用粘着シート(剥離シート/粘着層/基材シート)を得た。
基材シートとして、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(ルミラーT−60、東レ社製)を用意した。コンマコーター(登録商標)を用いて、基材シートの片面に、得られたウレタン粘着剤を、塗工速度30m/分の条件で、乾燥後の厚みが80μmになるように、塗工した。形成された塗工層を100℃で2分間乾燥して、粘着層を形成した。形成された粘着層について、厚膜塗工適性の評価を実施した。
次に、形成された粘着層の上に、厚さ38μmの剥離シート(スーパーステックSP−PET38、リンテック社製)を貼着し、23℃・50%RH雰囲気下で1週間養生して、第1の評価用粘着シート(剥離シート/粘着層/基材シート)を得た。この第1の評価用粘着シートに対して、粘着力、耐湿熱白化性、濡れ性、および表面抵抗値の評価を実施した。なお、本明細書において、「RH」は相対湿度を示す。
[第2の評価用粘着シート(第2の剥離シート/粘着層/第1の剥離シート)の製造と評価]
実施例1〜26および比較例1〜5の各例において、以下のようにして、第2の評価用粘着シート(剥離シート/粘着層/剥離シート)を得た。
コンマコーター(登録商標)を用いて、厚さ50μmの第1の剥離シート(フィルムバイナ50E0010−DG3、藤森工業社製)上に得られたウレタン粘着剤を、塗工速度3m/分の条件で、乾燥後の厚みが80μmになるように、塗工した。形成された塗工層を100℃で2分間乾燥して、粘着層を形成した。この粘着層の上に、厚さ38μmの第2の剥離シート(スーパーステックSP−PET38、リンテック社製)を貼着し、23℃・50%RHの雰囲気下で30分間養生して、第2の評価用粘着シート(第2の剥離シート/粘着層/第1の剥離シート)を得た。この第2の評価用粘着シートに対して、ゲル分率の評価を実施した。
[評価項目および評価方法]
(粘着力)
第1の評価用粘着シートから幅25mm・長さ100mmの測定試料を切り出した。23℃・50%RHの雰囲気下で、測定試料から剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面をステンレス板(SUS304)に貼着し、基材シート側から2kgロールで圧着した後、24時間放置した。その後、JISZ0237に準拠し、引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着層の粘着力を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:20mN/25mm未満、良好。
△:20〜100mN/25mm、実用可。
×:100mN/25mm超、実用不可。
(耐湿熱白化性)
第1の評価用粘着シートから幅25mm・長さ100mmの測定試料を切り出した。23℃・50%RHの雰囲気下で、測定試料から剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面をガラス板に貼着し、1時間放置した。これを60℃・90%RHの雰囲気下に72時間放置し、23℃・50%RHの雰囲気下に1時間放置した後、曇度計NDH5000W(日本電色工業工業社製)を用いて、JIS K7136に準拠して、ヘーズ(曇度)を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:ヘーズ2%未満、良好。
△:ヘーズ5%未満、実用可。
×:ヘーズ5%以上、実用不可。
(濡れ性)
第1の評価用粘着シートから幅100mm・長さ200mmの測定試料を切り出した。この測定試料を23℃・50%RHの雰囲気下に30分間放置した後、測定試料から剥離シートを剥離した。次いで、この粘着シートの長手方向の両端部を両手で把持しながら粘着層の露出した表面の中心部をガラス板に接触させた後、両手を離した。粘着シートの自重で粘着層全体がガラス板に密着するまでの時間を測定することで、ガラスに対する濡れ性を評価した。ガラス板と密着するまでの時間が短いほどガラスに対する親和性が良好であるため、ガラス部材を使用した各種光学部材等の製造工程でガラス部材を保護し易くなる。評価基準は以下の通りである。
○:3秒未満、良好。
△:3秒以上5秒未満、実用可。
×:5秒以上、実用不可。
(厚膜塗工適性)
第1の評価用粘着シートの製造工程において、剥離シートを貼着する前の段階で、形成された粘着層の表面を下記基準で目視観察した。評価基準は以下の通りである。
○:表面が平滑であった、良好。
△:表面にムラが観察された、実用可。
×:表面にロール筋または歪みが観察された、実用不可。
(ゲル分率(厚膜塗工適性))
厚膜塗工適性の指標としてゲル分率を測定した。粘着層は、養生中に完全硬化前の流動性の高い状態が長い時間続くと、表面平滑性が低下する恐れがある。加熱乾燥処理後に得られた粘着層が比較的短い時間でゲル分率の高い場合、硬化が早く厚膜塗工に適している。
第2の評価用粘着シートから幅30mm・長さ100mmの測定試料を切り出した。次いで、測定試料から第1の剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面を200メッシュの金網に貼着した。さらに、第2の剥離シートを剥離した後、粘着層全体を上記金網で包んだ。この構造体の質量を測定し、金網の質量を引いて、粘着層の初期質量を求めた。次いで、この構造体を、酢酸エチル250gの入った密閉容器に50℃で24時間浸漬させた後、取り出した。この構造体を100℃で30分間乾燥した後、再度質量を測定し、金網の質量を引いて、粘着層の質量を求めた。ゲル分率は以下の計算で求めた。
(ゲル分率)(%)=(浸漬乾燥後の粘着層の質量)/(浸漬前の粘着層の質量)×100
評価基準は以下の通りである。
○:60質量%以上、良好。
△:40質量%以上60重量%未満、実用可。
×:40質量%未満、実用不可。
(表面抵抗値)
埃付着性の指標として表面抵抗値を測定した。第1の評価用粘着シートから幅100mm・長さ100mmの測定試料を切り出した。次いで、この測定試料を23℃・50%RHの雰囲気下に30分間放置した後、測定試料から剥離シートを剥離した。抵抗率計ハイレスターUX MCP−HT800(三菱アナリテック製)を用い、その測定端子を粘着層の露出した表面に当接させて、表面抵抗値(Ω/□)を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:1.0×1011Ω/□未満、良好(埃付着が効果的に抑制されるレベル)。
△:1×1011Ω/□以上1.0×1012Ω/□未満、実用可。
×:1×1012Ω/□未満、実用不可。
[評価結果]
実施例1〜26および比較例1〜5の各例の評価結果を表2−1〜2−5、表3−1〜3−3に示す。
実施例1〜19では、
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のEO基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)と、
脂肪酸エステル(B)とを含むウレタン粘着剤を製造した。
実施例20〜22では、
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のEO基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)と、
β−ジケトン化合物(X)とを含むウレタン粘着剤を製造した。
実施例23〜26では、
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のEO基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)と、
β−ジケトン化合物(X)と、
脂肪酸エステル(B)とを含むウレタン粘着剤を製造した。
実施例1〜26で得られた粘着シートはいずれも、粘着力、耐湿熱白化性、濡れ性、厚膜塗工適性、ゲル分率、および表面抵抗値のすべての評価項目において、結果が良好または比較的良好であった。
ウレタンプレポリマー(A)とβ−ジケトン化合物(X)とを含むウレタン粘着剤を製造した実施例20〜26で得られた粘着シートは、他の実施例に対して、粘着層の表面抵抗値が顕著に低減され、表面抵抗値は埃付着が効果的に抑制されるレベルであった。
なお、実施例1〜26の各例において、粘着層の膜厚を80μmから10μmおよび30μmに変更して粘着シートの製造と評価を同様に実施したところ、粘着層の膜厚が80μmの場合と同様な評価結果が得られた。
比較例1〜3では、
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物である比較用のウレタンプレポリマー(D)(1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオール(a−2)は不使用)と、
脂肪酸エステル(B)とを含むウレタン粘着剤を製造した。
比較例1〜3で得られた粘着シートはいずれも、粘着層の親水性および硬化性が低く、耐湿熱白化性、厚膜塗工適性、ゲル分率、および表面抵抗値の評価項目において、結果が不良であった。
比較例4では、
1分子中に1つ以上のEO基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のEO基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)を含むが、β−ジケトン化合物(X)および脂肪酸エステル(B)のいずれも含まないウレタン粘着剤を製造した。
比較例4では、ウレタン粘着剤に、親水性の添加剤であるポリアルキレングリコール化合物を添加したが、親水性の向上効果が不充分であった。この理由は必ずしも明らかではないが、添加剤の疎水性部位が表面配向した可能性がある。そのため、得られた粘着シートは、耐湿熱白化性の評価項目において、結果が不良であった。
また、親水性の添加剤の添加量が多いため、実施例1〜26と同様のウレタンプレポリマー(A)を用いても硬化性が良くなく、得られた粘着シートは、厚膜塗工適性およびゲル分率の評価項目において、結果が不良であった。
比較例5では、ウレタンプレポリマーを含まず、EO基を有しない3種のポリエーテルポリオールとβ−ジケトン化合物(X)とを含むウレタン粘着剤を製造した。
比較例5で得られた粘着シートは、粘着層の親水性および硬化性が低く、粘着力、耐湿熱白化性、厚膜塗工適性、およびゲル分率の評価項目において、結果が不良であった。また、β−ジケトン化合物(X)を用いても、EO基を有するウレタンプレポリマー(A)を用いなかった比較例5で得られた粘着シートは、表面抵抗値の評価項目において、結果が不良であった。




























本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。
この出願は、2015年9月17日に出願された日本出願特願2015−183508号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
10、20 粘着シート
11、21 基材シート
12、22A、22B 粘着層
13、23A、23B 剥離シート

Claims (10)

  1. 1分子中に1つ以上のエチレンオキシド基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシ基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)との反応生成物であるウレタンプレポリマー(A)と、
    β−ジケトン化合物(X)とを含むウレタン粘着剤。
  2. 1種以上のポリオール(a−1)および1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)の合計100質量部に対して、1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)の量が50質量部以上100質量部未満である請求項1に記載のウレタン粘着剤。
  3. 1種以上のポリオール(a−1)は、エチレンオキシ基を有しないポリエステルポリオール、エチレンオキシ基を有しないポリエーテルポリオール、エチレンオキシ基を有しないポリカプロラクトンポリオール、およびエチレンオキシ基を有しないポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれた1種以上のポリオールである請求項1または2に記載のウレタン粘着剤。
  4. さらに脂肪酸エステル(B)を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレタン粘着剤。
  5. ウレタンプレポリマー(A)の重量平均分子量が3万〜50万である請求項1〜4のいずれか1項に記載のウレタン粘着剤。
  6. ポリイソシアネート(b)が脂肪族ポリイソシアネートである請求項1〜5いずれか1項に記載のウレタン粘着剤。
  7. さらに酸化防止剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のウレタン粘着剤。
  8. 1分子中に1つ以上のエチレンオキシ基を有するポリエーテルポリオールを除く1種以上のポリオール(a−1)と、1分子中に1つ以上のエチレンオキシ基を有する1種以上のポリエーテルポリオール(a−2)と、1種以上のポリイソシアネート(b)とを反応させて得られたウレタンプレポリマー(A)と、
    β−ジケトン化合物(X)および脂肪酸エステル(B)からなる群より選択される1種以上とを配合するウレタン粘着剤の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のウレタン粘着剤の硬化物からなる粘着層を含む粘着シート。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のウレタン粘着剤の硬化物からなる粘着層を含むディスプレイ。
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