JP6086283B2 - 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、また、その電子写真感光体を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真方式において使用される感光体の光導電体としては大きく分けて種々の無機及び有機光導電体が知られている。ここにいう「電子写真方式」とは一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得、この潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成するようにした、いわゆるカールソンプロセスとよばれる画像形成プロセスである。有機の光導電体を用いた感光体は無機光導電体のものに比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面等において利点を持つため、現在ではほとんどの感光体には有機光導電体が用いられている。またこの電子写真方式および類似プロセスにおいてくり返し使用される感光体には、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光感度特性に代表される静電特性が優れていることが要求される。
近年ではこの電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うデジタル記録方式を用いたプリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。またこのデジタル記録方式はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。さらに、このデジタル複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため今後その需要性が益々高まっていくと予想される。
このようなデジタル記録方式に対応させる感光体には従来からあるアナログ方式とは異なった特性が要求されている。例えば光源としては現在のところ小型かつ安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく使われているLDの発光波長域は近赤外光領域にあり、LEDの発光波長は650nmより長波長である。このため前記電子写真用感光体への要求事項に加え、可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有することが望まれる。
この観点から、スクエアリリウム染料(特許文献1(特開昭49−105536号公報)、及び特許文献2(特開昭58−21416号公報))、トリフェニルアミン系トリスアゾ顔料(特許文献3(特開昭61−151659号公報))、フタロシアニン顔料(特許文献4(特開昭48−34189号公報)、及び特許文献5(特開昭57−14874号公報))等が、デジタル記録用の光導電体として提案されている。特にテトラアザポルフィリン誘導体であるフタロシアニン顔料は、長波長域まで感光波長域を持つと共に高い光感度を有し、また中心金属や結晶形の種類によって様々な特性のバリエーションが得られることからデジタル記録用の光導電体として盛んに研究が行われている。これまで知られている良好な感度を示すフタロシアニン顔料としては、ε型銅フタロシアニン、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等が挙げられる。
中でも特許文献6(特開昭64−17066号公報)、特許文献7(特開平3−128973号公報)、特許文献8(特開平5−98182号公報)によって高感度のチタニルフタロシアニン顔料が提案されている。これらのチタニルフタロシアニン顔料の分光波長域は700〜860nmに最大吸収を示しており、半導体レーザー光に対して極めて高感度を示すものである。しかしながら、上述の特許公報に示されるチタニルフタロシアニン顔料を電子写真感光体に用いた場合、感度的には充分であるものの、繰り返し疲労による帯電性の低下や、温湿度による感度変動が大きいなどの実用上の多くの問題を残している[非特許文献1(Y.Fujimaki,Proc. IS&T’s 7th International Congress on Advances in Non-Impact Printing Technologies,1,269(1991))]。
また、特許文献9(特開2008−174753号公報)には原料として塩化チタンを用いた、一部のフタロシアニンが塩素化されたチタニルフタロシアニン混合顔料が提案されている。これらのチタニルフタロシアニンも初期的には近赤外域まで実用的な感度を示し、帯電特性もよいが、繰り返し使用による感度低下、帯電性の悪化という問題がある。
また、特許文献10(特公平3−27111号公報)、特許文献11(特許第4293694号公報)、特許文献12(特許第4419873号公報)にはフタロシアニンと他のポルフィラジン系顔料の混合物が光導電体として有用であることが開示されているが、これらを用いた電子写真感光体も同様に可視域および近赤外域における感度、繰り返し疲労による帯電性の低下や残留電位上昇、温湿度による感度変動が大きい等の点で前記電子写真感光体の要求事項を充分満足するものではなかった。
本発明は、上記従来の電子写真感光体における欠点を除去した、更に詳しくは可視域および近赤外域における感度が高く、繰り返し疲労による帯電性の低下や残留電位上昇(感度低下)、および温湿度によるそれらの変動が小さな電子写真用感光体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、個々が下記一般式(14)で表される種々のチタニルフタロシアニン誘導体の混合物を感光層に含有させた電子写真感光体を見出すに至り、本発明を完成させた。
Figure 0006086283
(式中、k,l,m,nは0〜4の整数を表し、k,l,m,nは同一でも異なっていても良い。Xはハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ベンゾを表す。)
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)導電性支持体上に、少なくとも感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層は、下記式(1)〜(6)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つ、下記式(7)〜(12)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つ、及び下記式(13)で表されるチタン化合物の反応物である複数の下記一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有するものであることを特徴とする電子写真感光体。
Figure 0006086283
Figure 0006086283
(式中、Xはヒドロキシ基を表す。jは1〜4の整数を表し、jが2以上の場合、Xは同一でも異なっていても良い。)
Figure 0006086283
(式中、R1はハロゲン原子もしくはアルコキシ基を表す。)
Figure 0006086283
(式中、k,l,m,nは0〜4の整数を表し、k,l,m,nは同一でも異なっていても良い。但し、k,l,m,nの全てが同時に0である場合を除く。Xはヒドロキシ基を表す。)
(2)前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物が、CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする前記(1)記載の電子写真感光体。
(3)前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物が、CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする前記(1)記載の電子写真感光体。
(4)前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物が、CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする前記(1)記載の電子写真感光体。
(5)前記感光層は、前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物とアゾ系顔料を含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記感光層は、前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物とフタロシアニン系顔料を含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7)前記感光層は、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものであり、電荷発生層が前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)前記感光層は、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層を順次積層したものであり、電荷発生層が前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(9)前記感光層は、単層型の感光層であることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(10)電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行われる電子写真方法であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
(11)電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真方法であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
(12)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
(13)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
(14)少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
感光層中に特定のチタニルフタロシアニン誘導体混合物が含有された本発明の電子写真感光体は、可視域および近赤外域における感度が高く、繰り返し疲労による帯電性の低下や残留電位上昇(感度低下)が小さく、有用なものである。
製造例1で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例2で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.2)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例3で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.3)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例4で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.4)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例5で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.5)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例6で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.6)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例7で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例8で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.8)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例9で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.9)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例10で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.10)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例11で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.11)の粉末X線回折スペクトル図である。 製造例12で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.12)の粉末X線回折スペクトル図である。 実施例16に用いたY型チタニルフタロシアニンの粉末X線回折スペクトル図である。 比較例1に用いたテトラヒドロキシチタニルフタロシアニン(比較化合物No.1)の粉末X線回折スペクトル図である。 比較例2に用いたチタニルピリドポルフィラジン誘導体混合物(比較化合物No.2)の粉末X線回折スペクトル図である。 本発明の電子写真装置の概略図である。 本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置の概略図である。 本発明の電子写真装置用プロセスカートリッジの概略図である。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を有し、前記感光層は、複数の下記一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有する。
個々が一般式(14)で表される種々のチタニルフタロシアニン誘導体の混合物は、例えば下記式(1)〜(6)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つと、下記式(7)〜(12)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つおよび下記式(13)で表されるチタン化合物と共に、無溶媒か、α−クロロナフタレン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ペンタノ−ル、オクタノ−ル、ベンジルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、キノリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、ジオキサン等の存在下で反応させる事により得ることができる。また該反応は必要に応じて尿素、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、アンモニア等の存在下反応を行っても良い。反応温度は通常、室温〜300℃で行い、好ましくは140℃〜260℃である。
得られた反応物が、一般式(14)で表される種々のチタニルフタロシアニン誘導体の混合物であることは、質量分析により確認することができる。
Figure 0006086283
Figure 0006086283
(式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ベンゾを表す。jは1〜4の整数を表し、jが2以上の場合、Xは同一でも異なっていても良い。)
Figure 0006086283
(式中、R1はハロゲン原子もしくはアルコキシ基を表す。)
ここでのハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、i−オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、セチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数5〜7のシクロアルキルオキシ基、ヘキサヒドロベンジルオキシ基、ベンジルオキシ基等、シクロアルコキシ基またはフェニル基等の芳香族基が置換したアルコキシ基が挙げられる。
また、ベンゾは、例えば上記式(12)において、Xがベンゾである場合は下記構造を表すことを意味する。
Figure 0006086283
また、式(1)〜(6)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つと式(7)〜(12)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つの混合割合(モル比)は、1:99999〜99999:1、好適には1:1〜399:1(モル比)である。式(1)〜(6)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つが前述の混合割合の範囲内である場合、電子写真特性においては帯電性や感度が特に高くなる。式(7)〜(12)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つの混合割合が上記の範囲内である場合、静電、光疲労等による帯電低下の変化率がさらに小さくなる。
式(1)〜(6)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つと式(7)〜(12)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つの組み合わせは、同じ骨格を有し、置換基を有さないものと有するものの組み合わせが好ましい。
式(13)で表されるチタン化合物の仕込みモル量としてはベンゼン誘導体の合計に対して2〜2.5倍量が好ましい。
また、感光体の要求特性に応じて、混合比率の異なる2種以上のチタニルフタロシアニン誘導体混合物、あるいはアゾ系顔料やフタロシアニン系顔料とチタニルフタロシアニン誘導体混合物を混合しても本発明の電子写真感光体を得ることができる。
例えば、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI 21180)、シーアイピグメントレッド41(CI 21200)、シーアイアシッドレッド52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド3(CI 45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などのアゾ系顔料があげられる。また、フタロシアニン系顔料としては銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン等が挙げられる。
電子写真感光体用の光導電体として、本発明のチタニルフタロシアニン誘導体混合物は、Cu−Kα特性X線(λ=1.54Å)を用いたX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2゜)において、少なくとも7.5゜、26.7゜、若しくは27.2゜に最も強い回折ピークを有する結晶型にあることが好ましい。これらの結晶型は前記の製造法によって得ることができるが、感光体の要求特性に応じて、結晶変換処理をおこない目的の結晶型を得ることもできる。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物の結晶変換処理方法としては、例えば酸処理、溶媒処理、機械的処理、加熱処理等がある。酸処理とは、濃硫酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸などの酸中に0℃〜室温で顔料を溶解させた後、これを氷、水、若しくはチタニルフタロシアニン誘導体混合物が難溶な有機溶媒に滴下して顔料の結晶を析出させ、濾過等の手段により結晶を得る処理である。溶媒処理とは、室温下あるいは加熱下での、溶媒中における顔料の懸濁撹拌処理であり、機械的処理とは、例えば、自動乳鉢、遊星式ミル、ボールミル、振動式ボールミル、ニーダー、アトライター、サンドミル等の粉砕(ミリング)処理を示す。これらミリング処理においては、例えばガラスビーズ、スチールビーズ、アルミナボール、PSZボール、YTZボール若しくは食塩、ぼう硝等のミリングメデイアを用いて常温若しくは加熱下におこなう。ミリング処理においては、上記ミリングメディアとともに、溶媒を添加した系でおこなっても良い。加熱処理は上記処理法と組み合わせておこなわれることはもちろんのこと、ホットプレート、電気加熱炉等を用い、空気中若しくは不活性ガスの存在下、結晶転移温度以上に結晶を直接加熱しおこなうことも示す。
また、これらの処理に使用する溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、n−ブチルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミン系溶剤、キノリン、ピリジン等の塩基性溶剤、ジメチルスルホキシド、水等がある。
本発明において前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物を、単独もしくは電荷輸送物質と組み合わせて単層型あるいは積層型(機能分離型)の電子写真用感光体が作製できる。層構成としては単層型の場合、導電性基体の上に、結着剤中にチタニルフタロシアニン誘導体混合物単独、もしくは電荷輸送物質を組み合わせ分散させた感光層を設ける。機能分離型の場合は、基体上にチタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有する電荷発生層、その上に電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を形成するものであるが、電荷発生層、電荷輸送層を逆に積層しても良い。
また、接着性、電荷ブロッキング性を向上させるために、感光層と基体との間に下引き層を設けても良い。さらに、耐摩擦性など、機械的耐久性を向上させるために、感光層上に保護層を設けても良い。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物分散感光層は、適当な溶媒に、必要に応じて結着剤を加え溶解もしくは分散せしめ、塗布し乾燥させることにより設けることができる。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物の分散方法としては、例えば、ボールミル、超音波、ホモミキサー等が挙げられ、また塗布手段としては、ディッピング塗工法、ブレード塗工法、スプレー塗工法等が挙げられる。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物を分散せしめて感光層を形成する場合、層中への分散性を良くするために、そのチタニルフタロシアニン誘導体混合物は2μm以下、好ましくは1μm以下の平均粒径のものが好ましい。ただし、上記の粒径があまりに小さいとかえって凝集しやすく、層の抵抗が上昇したり、結晶欠陥が増えて感度及び繰り返し特性が低下したり、或いは微細化する上で限界があるから、平均粒径の下限を0.01μmとするのが好ましい。
感光層の分散液或いは溶液を調整する際に使用する溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、1、2ージクロルエタン、1、1、1ートリクロルエタン、ジクロルメタン、1、1、2ートリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオキサン等を挙げることができる。
感光層形成時に用いる結着剤としては、絶縁性がよい従来から知られている電子写真感光体用結着剤であれば何でも使用でき、特に限定はない。例えば、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重付加型樹脂、重縮合型樹脂、ならびにこれらの樹脂の繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂等の絶縁性樹脂のほか、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらのバインダーは単独または2種類以上の混合物として用いることが出来る。
以上のような層構成、物質を用いて感光体を作成する場合には、膜厚、物質の割合に好ましい範囲がある。機能分離型(基体/電荷発生層/電荷輸送層)の場合、電荷発生層において、必要に応じて結着剤が使用され、その場合結着剤に対するチタニルフタロシアニン誘導体混合物の割合は20重量%以上、膜厚は0.01〜5μmが好ましい。電荷輸送層においては、結着剤に対する電荷輸送物質の割合は20〜200重量%、膜厚は5〜100μmとするのが好ましい。また高分子型電荷輸送物質を用いる場合はそれ単独で電荷輸送層を形成しても良い。
さらに、電荷発生層中には電荷輸送物質を含有することが好ましく、含有させることにより残留電位の抑制、感度の向上に対し効果を持つ。この場合の電荷輸送物質は、結着剤に対し20〜200重量%含有させることが好ましい。
また、単層型の感光体の場合は、その感光層中に結着剤に対するチタニルフタロシアニン誘導体混合物の割合は5〜95重量%、膜厚は10〜100μmとするのが好ましい。また電荷輸送物質と組み合わせる場合、電荷輸送物質の結着剤に対する割合は30〜200重量%が好ましい。また高分子型電荷輸送物質とチタニルフタロシアニン誘導体混合物で感光層を形成しても良く、高分子型電荷輸送物質に対するチタニルフタロシアニン誘導体混合物の割合は5〜95重量%、膜厚は10〜100μmとするのが好ましい。
さらに上記感光層中には、帯電性の向上等を目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールが、同一分子中に存在する化合物などを添加することが出来る。
本発明において、導電性基体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、チタン、金、ステンレス等の金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、ニッケル、銅、チタン、金酸化錫、酸化インジウムなどを蒸着したプラスチックフィルム或いは導電性物質を塗布した紙、プラスチックなどのフィルムまたはドラム等が挙げられる。
また、必要に応じて導電性基体上に下引き層が使用され、下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0.01〜5μmが適当である。
更に、保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコン樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性向上やトナー、コンタミ等との離系性を向上する目的で、これらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、アルミナ、シリカ等の無機材料粒子やポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂微粒子、シリコン微粒子等を添加することができる。保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
電荷輸送物質について、正孔輸送物質と電子輸送物質、及び高分子電荷輸送物質に分け、以下に説明する。
正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ-γ-カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及び以下の一般式(21)乃至(44)で示される化合物がある。
Figure 0006086283
(式中、R1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基または2−クロルエチル基を表し、R2はメチル基、エチル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、R3は水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基またはニトロ基を表す。)
一般式(21)で表される化合物には、例えば、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、Arはナフタレン環、アントラセン環、ピレン環及びそれらの置換体あるいはピリジン環、フラン環、チオフェン環を表し、Rはアルキル基、フェニル基またはベンジル基を表す。)
一般式(22)で表される化合物には、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−カルボアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−カルボアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1はアルキル基、ベンジル基、フェニル基またはナフチル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を表し、nは1〜4の整数を表し、nが2以上のときはR2は同じでも異なっていても良い。R3は水素原子またはメトキシ基を表す。)
一般式(23)で表される化合物には、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド 1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1は炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基または複素環基を表し、R2、R3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基または置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合し窒素を含む複素環を形成していても良い。R4は同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。)
一般式(24)で表される化合物には、例えば、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、Rは水素原子またはハロゲン原子を表し、Arは置換もしくは無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基またはカルバゾリル基を表す。)
一般式(25)で表される化合物には、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Arは下記一般式(27)、一般式(28)を表す。
Figure 0006086283
2は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはジアルキルアミノ基を表し、nは1または2であって、nが2のとき、R3は同一でも異なっていてもよく、R4、R5は水素原子、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。)
一般式(26)で表される化合物には、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾールなどがある。
Figure 0006086283
(式中、Rはカルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基あるいはそれぞれ置換もしくは非置換のフェニル基、スチリル基、ナフチル基、またはアントリル基であって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基またはそのエステル、ハロゲン原子、シアノ基、アラルキルアミノ基、N−アルキル−N−アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基及びアセチルアミノ基からなる群から選ばれた基を表す。)
一般式(29)で表される化合物には、例えば、1,2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1,2−ビス(2,4−ジメトキシスチリル)ベンゼンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1は低級アルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、またはベンジル基を表し、R2、R3は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基あるいは低級アルキル基またはベンジル基で置換されたアミノ基を表し、nは1または2の整数を表す。)
一般式(30)で表される化合物には、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾールなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、R2およびR3は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R4は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を表し、また、Arは置換もしくは無置換のフェニル基またはナフチル基を表す。)
一般式(31)で表される化合物には、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、nは0または1の整数、R1は水素原子、アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を表し、Ar1は置換もしくは未置換のアリール基を表し、R5は置換アルキル基を含むアルキル基、あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表し、Aは下記一般式(33)、一般式(34)、9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
Figure 0006086283
ここでR2は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または一般式(35)を表す。
Figure 0006086283
(ただし、R3およびR4は置換もしくは無置換のアリール基を示し、R3およびR4は同じでも異なっていてもよく、R4は環を形成しても良い)を表し、mが2以上の時R2は同一でも異なっても良い。また、nが0の時、AとR1は共同で環を形成しても良い。)
一般式(32)で表される化合物には、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1、R2およびR3は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子またはジアルキルアミノ基を表し、nは0または1を表す。)
一般式(36)で表される化合物には、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1およびR2は置換アルキル基を含むアルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を表し、Aは置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基またはアリル基を表す。)
一般式(37)で表される化合物には、例えば、2、5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
Figure 0006086283
(式中、Xは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子を表し、Rは置換アルキル基を含むアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Aは置換アミノ基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
一般式(38)で表される化合物には、例えば、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1は低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、R2、R3は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、l、m、nは0〜4の整数を表す。)
一般式(39)で表されるベンジジン化合物には、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、R1、R3およびR4は水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を、R2は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基またはハロゲン原子を表す。ただし、R1、R2、R3およびR4はすべて水素原子である場合は除く。また、k,l,mおよびnは1、2、3または4の整数であり、それぞれが2、3または4の整数の時は、前記R1、R2、R3およびR4は同じでも異なっていても良い。)
一般式(40)で表されるビフェニリルアミン化合物には、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、Arは置換基を有してもよい炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表し、また、R1およびR2は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。nは1もしくは2の整数を表す。)
一般式(41)で表されるトリアリールアミン化合物には、例えば、N,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Aは一般式(43)を表す。
Figure 0006086283
(ただし、Ar’は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R1およびR2は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。)
を表す。)
一般式(42)で表されるジオレフィン芳香族化合物には、例えば、1,4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1,4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼンなどがある。
Figure 0006086283
(式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。nは0または1、mは1または2であって、n=0、m=1の場合、ArとRは共同で環を形成しても良い。)
一般式(44)で表されるスチリルピレン化合物には、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレンなどがある。
なお、電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどを挙げることができ、さらに下記一般式に挙げる電子輸送物質を好適に使用することができる。
Figure 0006086283
(式中R1、R2およびR3は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
Figure 0006086283
(式中R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
Figure 0006086283
(式中R1、R2およびR3は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
Figure 0006086283
〔式中、R1は置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示し、R2は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または下記式一般式(49)で表される基を示す。
Figure 0006086283
(式中R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
Figure 0006086283
(式中R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、構造式(I)〜(XIII)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。これらを以下に例示し、具体例を示す。
Figure 0006086283
式中R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R6は置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記構造式(II)で表される2価基を表す。
Figure 0006086283
式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、下記構造式(III)を表す。
Figure 0006086283
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、)R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)を表す。ここで、R101とR102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
Figure 0006086283
式中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1,Ar2,Ar3は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4,Ar5,Ar6は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7,Ar8,Ar9は同一あるいは異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一あるいは異なるアリレン基、X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一あるいは異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一あるいは又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
Figure 0006086283
式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は置換もしくは無置換の芳香環基、Zは芳香環基または―Ar6―Za―Ar6―を表し、Ar6は置換もしくは無置換の芳香環基、ZaはO、Sまたはアルキレン基、RおよびR’は直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0または1を表す。k、j、n及びXは上記構造式(I)式の場合と同じである。
これらの電荷輸送物質は単独または2種類以上混合して用いられる。
また、本発明の一般式(14)で示されるチタニルフタロシアニン誘導体の混合物は、電子写真感光体の光導電体として有用であるばかりでなく、太陽電池、光ディスク等のエレクトロニクス分野で電子デバイスとして好適に使用することが可能である。
次に、図面を用いて本発明の電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジを詳しく説明する。
図16は、本発明の電子写真プロセス、及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
感光体(10)は図16中の矢印の方向に回転し、感光体(10)の周りには、帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、除電部材(18)等が配置される。クリーニング部材(17)や除電部材(18)が省略されることもある。
画像形成装置の動作は基本的に以下のようになる。帯電部材(11)により、感光体(10)表面に対してほぼ均一に帯電が施される。続いて、画像露光部材(12)により、入力信号に対応した画像光書き込みが行われ、静電潜像が形成される。次に、現像部材(13)により、この静電潜像に現像が行われ、感光体表面にトナー像が形成される。形成されたトナー像は、搬送ローラ(14)により転写部位に送られた転写紙(15)に、転写部材により、トナー像が転写される。このトナー像は、図示しない定着装置により転写紙上に定着される。転写紙に転写されなかった一部のトナーは、クリーニング部材(17)によりクリーニングされる。ついで、感光体上に残存する電荷は、除電部材(18)により除電が行われ、次のサイクルに移行する。
図16に示すように、感光体(10)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電部材(11)、転写部材(16)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)のほか、ローラ状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
一方、画像露光部材(12)、除電部材(18)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。
所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体(10)に光が照射される。但し、除電工程における感光体(10)への露光は、感光体(10)に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。
したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
電子写真感光体(10)に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
感光体表面に付着する汚染物質の中でも帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、このような異常画像の原因物質には、紙粉もその一つであり、それらが感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。したがって、上記の理由により感光体と紙とが直接接触しない構成であることが高画質化の点からより好ましい。
現像部材(13)により、感光体(10)上に現像されたトナーは、転写紙(15)に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、感光体(10)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング部材(17)により、感光体(10)から除去される。
このクリーニング部材は、クリーニングブレードあるいはクリーニングブラシ等公知のものが用いられる。また、両者が併用されることもある。
本発明による感光体は、高光感度ならびに高安定化を実現したことから小径感光体に適用できる。したがって、上記の感光体がより有効に用いられる画像形成装置あるいはその方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行なう、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に極めて有効に使用される。上記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、更にそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図17は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図17において、感光体(10C(シアン)),(10M(マゼンタ)),(10Y(イエロー)),(10K(ブラック))は、ドラム状の感光体(10)であり、これらの感光体(10C,10M,10Y,10K)は、図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(11C,11M,11Y,11K)、現像部材(13C,13M,13Y,13K)、クリーニング部材(17C,17M,17Y,17K)が配置されている。
この帯電部材(11C,11M,11Y,11K)と、現像部材(13C,13M,13Y,13K)との間の感光体(10)の表面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(12C,12M,12Y,12K)が照射され、感光体(10C,10M,10Y,10K)に静電潜像が形成されるようになっている。
そして、このような感光体(10C,10M,10Y,10K)を中心とした4つの画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(19)に沿って並置されている。
転写搬送ベルト(19)は、各画像形成ユニット(20C、20M、20Y、20K)の現像部材(13C,13M,13Y,13K)と、クリーニング部材(17C,17M,17Y,17K)との間で感光体(10C,10M,10Y,10K)に当接しており、転写搬送ベルト(19)の感光体(10)側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写部材(16C,16M,16Y,16K)が配置されている。各画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図17に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)において、感光体(10C,10M,10Y,10K)が、感光体10と連れ周り方向に回転する帯電部材(11C,11M,11Y,11K)により帯電され、次に、感光体(10)の外側に配置された露光部(図示せず)でレーザー光(12C,12M,12Y,12K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に現像部材(13C,13M,13Y,13K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(13C,13M,13Y,13K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(10C,10M,10Y,10K)上で作られた各色のトナー像は転写ベルト(19)上で重ねられる。
転写紙(15)は給紙コロ(21)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(22)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写部材(23)に送られる。転写ベルト(19)上に保持されたトナー像は転写部材(23)に印加された転写バイアスと転写ベルト(19)との電位差から形成される電界により、転写紙(15)上に転写される。転写紙上に転写されたトナー像は、搬送されて、定着部材(24)により転写紙上にトナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(10C,10M,10Y,10K)上に残った残留トナーは、それぞれのユニットに設けられたクリーニング部材(17C,17M,17Y,17K)で回収される。
図17に示したような、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。
中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
なお、図17の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(20C,20M,20Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。
前記プロセスカートリッジとは、図18に示すように、感光体(10)を内蔵し、他に帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、及び除電部材を含んだ1つの装置(部品)である。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。
しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。
それに対し、本発明による感光体は、高光感度ならびに高安定化が実現されたことにより小径感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇や感度劣化等の影響が低減されたことから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
以下、本発明を実施例により説明するが、これにより本発明の実施例の態様が限定されるものではない。尚、実施例中の部は質量部を表わす。
(製造例1)
フタロニトリル10.19g(78mmol)、3,4−ジシアノ−1−ヒドロキシベンゼン0.29g(2mmol)及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.50g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160−180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のヒドロキシ基で置換された、一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)を9.62g(収率82.7%)得た。得られた結晶のX線回折図を図1に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(製造例2)
フタロニトリルと3,4−ジシアノ−1−ヒドロキシベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は製造例1と同様に操作してヒドロキシ基で置換された、一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.2)9.74g(収率84.5%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図2に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(製造例3)
フタロニトリル19.99g(156mmol)、4,5−ジシアノ−1,2−ジクロロベンゼン0.79g(4mmol)及び1−オクタノール24.48gにテトラブトキシチタン14.97g(44mmol),尿素4.8g(80mmol)を加え、アルゴン気流下160−180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末の塩素原子で置換された、一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.3)を19.92g(収率85.4%)得た。得られた結晶のX線回折図を図3に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(製造例4)
フタロニトリルと4,5−ジシアノ−1,2−ジクロロベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は製造例3と同様に操作して塩素原子で置換された、一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.4)を19.22g(収率83.0%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図4に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(製造例5)
フタロニトリル10.19g(78mmol)、テトラフルオロ−1,2−ジシアノベンゼン0.40g(2mmol)及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.5g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160−180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のフッ素原子で置換された、一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.5)を8.9g(収率80.9%)得た。得られた結晶のX線回折図を図5に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(製造例6)
フタロニトリルとテトラフルオロ−1,2−ジシアノベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は製造例3と同様に操作してフッ素原子で置換された、一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.6)を9.54g(収率82.7%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図6に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(製造例7)
濃硫酸80gを氷水浴で撹拌冷却し、これに製造例1で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)5.00gを少量ずつ30分かけ添加し溶解させた。1時間撹拌の後内容物を500gの氷水に滴下し、30分間撹拌の後濾過をおこなった。得られた結晶を3回水洗し、濾過をおこない湿ケーキ48.9gを得た(固形分濃度10.2%)。この湿ケーキ29.27gにイオン交換水0.73g、テトラヒドロフラン120gを加え、室温にて6時間撹拌をおこなった。これを濾過し、減圧乾燥をおこない青色結晶のチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)2.9gを得た。このチタニルフタロシアニン誘導体混合物の粉末X線回折スペクトル図を図7に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(製造例8〜12)
製造例7において仕込んだ化合物No.1を化合物No.2〜6にかえた以外は同様に操作してチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.8〜12)を得た。このチタニルフタロシアニン誘導体混合物の粉末X線回折スペクトル図をそれぞれ図8〜12に示す。粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
Figure 0006086283
実施例1
チタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)3部、ポリビニルブチラール樹脂2部(BM−S:積水化学工業製)、テトラヒドロフラン495部からなる分散液をボールミルポットに取り、φ2mmのPSZボールを使用し、3時間ボールミリングし電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液をアルミニウム蒸着ポリエステルフイルム上に塗布後100℃で20分間乾燥し、厚さ約0.3μmの電荷発生層を形成した。
続いて下記構造式(51)で示される電荷輸送物質7部、ポリカーボネート樹脂(PCX−5;帝人化成社製)10部、テトラヒドロフラン83部、シリコーンオイル(KF−50;信越化学社製)0.0002部の電荷輸送層塗布液を調製し、前記電荷発生層上に塗布後110℃で20分間乾燥し、厚さ約25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真用感光体を作製した。
Figure 0006086283
以上のようにして得られた電子写真用感光体の静電特性をEPA−8100(川口電気製作所製)を用い、ダイナミック方式(回転速度1000rpm)にて測定した。まず、印加電圧−6KVで20秒間帯電した後、20秒間減衰させた時の表面電位Vo(V)を測定し、ついでハロゲンランプによる白色光を表面照度5.3luxになるようにして露光を行った。感度は、露光時の表面電位が−800(V)から−400(V)までに要する時間を求め、半減露光量Ew1/2(lux・sec)を算出した。また同じ装置にて780nmの単色光を感光体表面での照度が1μW/cm2になるように照射して、感光体の表面電位が−800Vから−400Vまでに要する半減露光量Em1/2(μJ/cm2)をLD光源域(近赤外域)の感度として測定した。Vo、Ew1/2、Em1/2を表2に示す。
実施例2〜4、参考例1〜8
チタニルフタロシアニン誘導体混合物を化合物No.2〜12にかえた以外は実施例1と同様に操作して電子写真感光体としての特性を評価した。結果を表2に示す。
実施例
アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム上に実施例で用いた電荷輸送層塗布液をブレード塗工し120℃で10分間乾燥して、厚さ約20μmの電荷輸送層を形成した。製造例8で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.8)13.5部、ポリビニルブチラール樹脂(ユニオンカーバイドプラスチック社製:XYHL)5.4部、テトラヒドロフラン680部及びエチルセロソルブ1020部をボールミル中で粉砕混合した後、エチルセロソルブ1700部を加え混合して、電荷発生層塗工液を作成した。この塗工液を上記の電荷輸送層の上にスプレー塗工し、100℃で10分間乾燥して厚さ約0.2μmの電荷発生層を形成した。さらにこの電荷発生層上にポリアミド樹脂(東レ社製:CM−8000)のメタノール/n−ブタノール溶液をスプレー塗工し120℃で30分間乾燥して厚さ約0.5μmの保護層を形成し感光体を作成した。この感光体を実施例における印加電圧を+6KVに代えた以外は同様に操作して感光体特性評価を行った。結果を表2に示す。
参考例9
製造例10で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.10)1部にメチルエチルケトン158部を加え、φ5mmのアルミナボールを使用して3時間ボールミリングした。これに下記構造式(52)で示される電子輸送物質7部、下記構造式(53)で示される正孔輸送物質5部、ポリエステル樹脂(デュポン社製:ポリエステルアドヒーシブ49000)18部を加えて、更に混合して得た分散液をアルミニウム蒸着ポリエステルフィルム上にドクターブレードを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥して、厚さ約25μmの感光層を形成し感光体を作成した。この感光体を実施例1における印加電圧を+6KVに代えた以外は同様に操作して感光体特性評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006086283
実施例
実施例における電荷発生層塗布液に下記式で表されるアゾ顔料1部を追加し、混合ボールミリングした以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体としての特性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006086283
実施例
実施例における電荷発生層塗布液においてアゾ顔料のかわりに図13に示す粉末X線回折スペクトルを示す下記構造式で表されるY型チタニルフタロシアニン1部を追加し、混合ボールミリングした以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体としての特性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006086283
比較例1
製造例1におけるフタロニトリルを同じモル数の3,4−ジシアノ−1−ヒドロキシベンゼンに代えた以外は製造例1と同様な製造条件にてテトラヒドロキシチタニルフタロシアニンを5.90g(収率66.8%)得た。さらに製造例7と同様の操作をおこなって以下の構造式で示されるテトラヒドロキシチタニルフタロシアニン(比較化合物No.1)を0.17g得た。このものの粉末X線回折スペクトル図を図14に示す。
さらに実施例で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)の代わりにこの比較化合物No.1を用いたこと以外は実施例1と同様に操作して感光体を作成し評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006086283
Figure 0006086283
表2から本発明のチタニルフタロシアニン誘導体混合物を用いた感光体は比較例1の感光体と比較して、帯電電位Voや感度Ew1/2、Em1/2が優れていることがわかる。
実施例
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末(石原産業製、タイベークCR−EL): 400部
メラミン樹脂(大日本インキ製、スーパーベッカミンG821-60): 65部
アルキッド樹脂(大日本インキ製、ベッコライトM6401-50): 120部
2−ブタノン: 400部
◎電荷発生層塗工液
チタニルフタロシアニン誘導体混合物(No.7): 18部
ポリビニルブチラール樹脂(BX−1:積水化学工業製): 12部
2−ブタノン: 970部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
下記構造式の正孔輸送材料: 7部
テトラヒドロフラン: 100部
Figure 0006086283
以上のように作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式をローラー帯電方式、画像露光光源780nmの半導体レーザー(LD)のリコー製imagio MF2200改造機にて帯電後電位−800(V)、露光後電位−100(V)になるよう設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験をおこない、繰り返し試験後の帯電後電位(V)と露光後電位(V)について評価を行った。結果を表3に示す。
実施例9、参考例10〜13
チタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)を化合物No.8〜12にかえた以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体としての特性を評価した。結果を表3に示す。
実施例10〜11
電荷発生層塗布液を実施例6,7のものにかえた以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体としての特性を評価した。結果を表3に示す。
比較例2
特許第4293694号公報記載の実施例1の方法に従って以下のチタニルピリドポルフィラジン誘導体混合物(比較化合物No.2)を製造し、評価を行った。
ピリジン−2,3−ジカルボニトリル0.10g(0.8mmol)、1,2−ジシアノベンゼン20.40g(159.2mmol)、尿素48.00g(79.9mmol)、テトラブトキシチタン14.97g(44mmol)、1−オクタノール24.48gを窒素気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。放冷後、メタノール80ml加え、30分間還流撹拌をおこない室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水、にて順次洗浄後、100℃にて2日間減圧加熱乾燥をおこない、青色粉末を19.48g得た。次いで濃硫酸80gを氷水浴で撹拌冷却し、これに得られたチタニルピリドポルフィラジン誘導体混合物5.00gを少量ずつ30分かけ添加し溶解させた。1時間撹拌の後内容物を500gの氷水に滴下し、30分間撹拌の後濾過をおこなった。得られた結晶を3回水洗し、濾過をおこない湿ケーキ29.98gを得た(固形分濃度10.2%)。この湿ケーキ18gにイオン交換水0.73g、テトラヒドロフラン120gを加え、室温にて6時間撹拌をおこなった。これを濾過し、減圧加熱乾燥をおこない青色結晶のチタニルピリドポルフィラジン誘導体混合物(比較化合物No.2)2.9gを得た。このチタニルピリドポルフィラジン誘導体混合物の粉末X線回折スペクトル図を図15に示すが、ブラッグ角(2θ)27.4゜に最も強い回折ピークを示した。
さらに実施例で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)の代わりにチタニルピリドポルフィラジン誘導体混合物(比較化合物No.2)を用いたこと以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体としての特性を評価した。結果を表3に示す。
比較例3
特開2008−174753号公報に記載の実施例1の方法に従って以下のチタニルフタロシアニン(比較化合物No.3)を製造し、評価を行った。
窒素雰囲気下、フタロニトリル3.3gをジフェニルメタン21ml中に分散し、40℃で四塩化チタン1.3gを添加した。その後、反応液を210℃にし、その温度で5時間反応させた。
得られた化合物を130℃で熱ろ過し、ジフェニルメタン、メタノールの順で洗浄した。次いで、N−メチルピロリドン40ml中で140℃加熱撹拌を2回繰り返し、熱水、メタノールの順で洗浄後、乾燥してチタニルフタロシアニン2.4gを得た。特開2008−174753号公報に記載の実施例1の方法に従い、塩素含有量を測定したところ、塩素含有量は0.51%であった。
さらに実施例で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)の代わりにこの比較化合物No.3を用いたこと以外は実施例と同様に操作して感光体を作製し評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006086283
表3より本発明の電子写真感光体はいずれも比較例2及び比較例3の感光体に比べ、繰り返し疲労特性における帯電電位、感度の安定性が優れていることがわかる。
実施例12
実施例で作製した電子写真感光体を同様にしてリコー製imagio MF2200改造機に装着し、常温常湿下(23℃、55%)で帯電後電位−800(V)、露光後電位−100(V)になるよう設定した後、この電子写真装置を低温低湿(10℃、15%)の環境試験室の中に4時間放置し、低温低湿環境下での帯電後電位(V)と露光後電位(V)変動について評価を行った。
結果を表4に示す。
参考例14
実施例で用いた電荷発生層塗布液の代わりに参考例11で用いた電荷発生層塗布液を用いたこと以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体を作製し、実施例12と同様に、低温低湿環境下での帯電後電位(V)と露光後電位(V)変動について評価を行った。
結果を表4に示す。
比較例5
実施例で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)の代わりに図13の粉末X線回折スペクトルをしめす上記構造式のY型チタニルフタロシアニン顔料を用いたこと以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体を作製し、実施例12と同様に、低温低湿環境下での帯電後電位(V)と露光後電位(V)変動について評価を行った。
結果を表4に示す。
比較例6
実施例で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)の代わりに比較例2で用いたチタニルピリドポルフィランジン誘導体混合物を用いたこと以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体を作製し、実施例12と同様に、低温低湿環境下での帯電後電位(V)と露光後電位(V)変動について評価を行った。
結果を表4に示す。
比較例7
実施例で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)の代わりに比較例3で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物を用いたこと以外は実施例と同様に操作して電子写真感光体を作製し、実施例12と同様に、低温低湿環境下での帯電後電位(V)と露光後電位(V)変動について評価を行った。
結果を表4に示す。
Figure 0006086283
表4から明らかなように感光層にチタニルフタロシアニン誘導体混合物が含有された本発明の電子写真感光体は、低温低湿下の環境においても帯電性、感度特性の変動が、比較例5および比較例6、比較例7の感光体に比べ小さいことがわかる。
10、10Y、10M、10C、10K 感光体
11、11Y、11M、11C、11K 帯電部材
12、12Y、12M、12C、13K 画像露光部材
13、13Y、13M、13C、13K 現像部材
14 搬送ローラ
15 転写紙
16、16Y、16M、16C、16K 転写部材
17、17Y、17M、17C、17K クリーニング部材
18 除電部材
19 転写搬送ベルト
20Y、20M、20C、20K 画像形成要素
21 給紙コロ
22 レジストローラ
23 転写部材(二次転写部材)
24 定着部材
特開昭49−105536号公報 特開昭58−21416号公報公報 特開昭61−151659号公報 特開昭48−34189号公報 特開昭57−14874号公報 特開昭64−17066号公報 特開平3−128973号公報 特開平5−98182号公報 特開2008−174753号公報 特公平3−27111号公報 特許第4293694号公報 特許第4419873号公報
Y.Fujimaki,Proc. IS&T’s 7th International Congress on Advances in Non-Impact Printing Technologies,1,269(1991)

Claims (14)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層は、下記式(1)〜(6)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つ、下記式(7)〜(12)で表されるベンゼン誘導体群中の少なくとも1つ、及び下記式(13)で表されるチタン化合物の反応物である複数の下記一般式(14)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体からなるチタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有するものであることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006086283
    Figure 0006086283
    (式中、Xはヒドロキシ基を表す。jは1〜4の整数を表し、jが2以上の場合、Xは同一でも異なっていても良い。)
    Figure 0006086283
    (式中、R1はハロゲン原子もしくはアルコキシ基を表す。)
    Figure 0006086283
    (式中、k,l,m,nは0〜4の整数を表し、k,l,m,nは同一でも異なっていても良い。但し、k,l,m,nの全てが同時に0である場合を除く。Xはヒドロキシ基を表す。)
  2. 前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物が、CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物が、CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物が、CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 前記感光層は、前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物とアゾ系顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記感光層は、前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物とフタロシアニン系顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記感光層は、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものであり、電荷発生層が前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記感光層は、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層を順次積層したものであり、電荷発生層が前記チタニルフタロシアニン誘導体混合物を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記感光層は、単層型の感光層であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行われる電子写真方法であって、該電子写真感光体は請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
  11. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真方法であって、該電子写真感光体は請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
  12. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体は請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  13. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体は請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  14. 少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体は請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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