JP2002265810A - チタニウムフタロシアニン化合物及びその製造方法 - Google Patents

チタニウムフタロシアニン化合物及びその製造方法

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JP2002265810A JP2001071973A JP2001071973A JP2002265810A JP 2002265810 A JP2002265810 A JP 2002265810A JP 2001071973 A JP2001071973 A JP 2001071973A JP 2001071973 A JP2001071973 A JP 2001071973A JP 2002265810 A JP2002265810 A JP 2002265810A
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Hiroshi Harada
寛 原田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 再結晶、再沈殿、昇華精製等の煩
雑操作を必要とせずに、エレクトロニクス関連材料とし
て好適に使用できるチタニウムフタロシアニン化合物を
提供する。 【解決手段】 フタロジニトリル誘導体とハロゲ
ン化チタン化合物とを、芳香族ハロゲン化炭化水素と、
フタロジニトリル誘導体に対し等モル以下、好ましくは
0.01〜0.1モルの塩基性化合物の存在下に加熱す
ることにより、CuKα線のX線回折において、ブラッ
グ角2θ(±0.2°)の7.4°にメインピークを有
するチタニウムフタロシアニン化合物を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレクトロニクス関連
材料として利用可能なオキソチタニウムフタロシアニン
化合物及び中間体となるチタニウムフタロシアニン化合
物、更にそれらの新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、近赤外領域の半導体レーザーの発
振波長領域に感度を有する有機感光体の開発が盛んに行
われている。そのような有機感光体に用いる有機光導電
性材料としては、フタロシアニン系化合物、ビスアゾ及
びトリスアゾ系化合物、チアピリリウム系化合物、スク
アリリウム系化合物、アズレニウム系化合物、チオピロ
ロピロール系化合物等が挙げられ、これらの有機光導電
性材料の中でも、フタロシアニン系化合物は、耐候性、
耐光性に優れているため幅広く検討されている。また、
フタロシアニン系化合物はその特異な電気的特性を利用
し、光電変換素子、スイッチング素子等の各種エレクト
ロニクス素子への応用が盛んに研究されている。
【0003】半導体レーザー感受性のあるフタロシアニ
ン系化合物としては、銅フタロシアニン化合物、無金属
フタロシアニン化合物、オキソチタニウムフタロシアニ
ン化合物、ヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物等
が研究されている。従来技術として例えば、特開平8−
134372号公報には、酸処理工程を行わずに特定の
結晶形の高純度なオキソチタニウムフタロシアニンの製
造方法が開示されているが、そこにはフタロシアニン化
合物の合成条件が何ら開示されていない。また、特開平
9−165527号公報には、高純度なジハロゲノチタ
ニウムフタロシアニンの製造方法として、オルトフタロ
ジニトリルとチタン化合物との反応において、特定の溶
媒を加えることが開示されているが、そこには得られる
フタロシアニン化合物の結晶形が何ら開示されていな
い。
【0004】また、フタロシアニン系化合物は、各種原
料から化学反応により合成し、さらに再結晶、再沈殿、
溶剤抽出、溶剤洗浄、昇華等の方法により精製し、さら
に結晶形変換操作により、目的とするフタロシアニン系
化合物の凝集状態を制御する方法が知られている。
【0005】一方、これらのフタロシアニン系化合物の
多くは有機溶剤類に不溶または難溶であり、化合物分子
の凝集した状態、あるいは特定の結晶形を有する顔料状
態で使用されることが多い。すなわち、フタロシアニン
系化合物はその使用に際して、化合物の分子構造のみな
らず、凝集状態内部に取り込まれている不純物や、凝集
状態、結晶形がその品質及び特性に大きく影響するもの
である。しかしながら、化学反応の条件、精製法の条
件、結晶形変換の条件等は各々のフタロシアニン系化合
物の種類、目的とする結晶形等により異なり、安価で高
品質のフタロシアニン系化合物を得る方法を見いだすこ
とは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特に、フタロシアニン
系化合物を、結晶形や残留不純物により大きく特性や品
質に影響が見られるエレクトロニクス関連材料に用いる
場合は、再結晶、再沈殿、昇華等による煩雑あるいは生
産性の低く、特別な装置を必要とする問題がある。本発
明が解決しようとする課題は、再結晶、再沈殿、昇華精
製等の煩雑操作を必要とせずに、エレクトロニクス関連
材料として用いることができるチタニウムフタロシアニ
ン化合物類の製造方法を提供することにある。さらに、
本発明は、前述のような問題を解決した高性能なチタニ
ウムフタロシアニン化合物類を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために検討を重ねた結果、チタニウムフタロ
シアニン化合物を製造するにあたり、フタロジニトリル
誘導体とハロゲン化チタン化合物とを、芳香族ハロゲン
化炭化水素と特定量の塩基性化合物の存在下に加熱する
ことにより、エレクトロニクス関連材料として利用可能
なオキソチタニウムフタロシアニン化合物に誘導可能な
チタニウムフタロシアニン化合物を得ることができるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、フタロジニトリル誘
導体とハロゲン化チタン化合物とを、芳香族ハロゲン化
炭化水素と特定量の塩基性化合物の存在下に加熱するこ
とを特徴とするチタニウムフタロシアニン化合物の製造
方法及び、当該製造方法によるチタニウムフタロシアニ
ン化合物、さらに当該チタニウムフタロシアニン化合物
から誘導されたオキソチタニウムフタロシアニン化合物
とその製造方法を提供する。
【0009】本発明によれば、高純度で好ましい結晶形
のチタニウムフタロシアニン化合物を再結晶、再沈殿、
昇華精製等の煩雑操作を必要とせずに得ることができ、
これを処理することにより、エレクトロニクス関連材料
として好適に用いることができるオキソチタニウムフタ
ロシアニン化合物を容易に得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造方法と本発明
のチタニウムフタロシアニン化合物類について詳細に説
明する。
【0011】一般にチタニウムフタロシアニン化合物の
合成では、原料としてフタロジニトリル誘導体とハロゲ
ン化チタン化合物とを反応させて得る方法が一般的であ
る。一般の工業的フタロシアニン化合物類の合成反応に
は、必ずしも溶媒となる溶剤を用いない場合もあるが、
素材の純度や均一性が要求される本発明のようなエレク
トロニクス関連材料に用いる高性能なチタニウムフタロ
シアニン化合物を得るためには、十分な量の溶剤を用い
ることが望ましく、特に芳香族ハロゲン化炭化水素系溶
剤が好ましい。
【0012】本発明の製造方法において溶剤として用い
られる芳香族ハロゲン化炭化水素としては、クロロナフ
タレン類、ポリクロロベンゼン類等が挙げられる。これ
らの芳香族ハロゲン化炭化水素のなかでは、クロロナフ
タレン類が特に好ましい。使用量は、原料となるフタロ
ジニトリル誘導体の重量比5倍以上、好ましくは10倍
以上用いることにより、以下の製造操作が容易となる。
【0013】本発明の製造方法においては、溶剤として
芳香族ハロゲン化炭化水素に併用して塩基性化合物を用
いることが特徴である。これによって、得られるチタニ
ウムフタロシアニン化合物が以下の処理によって、エレ
クトロニクス関連材料に用いるのに好適な高性能なオキ
ソチタニウムフタロシアニン化合物に容易に誘導される
特定の結晶構造として得られ易い。本発明に用いられる
塩基性化合物としては、芳香族アミン類、脂肪族アミン
類、複素芳香環化合物類等が挙げられる。塩基性物質と
しては、昇華性が低く、沸点の高いものが好適であり、
特にキノリン等の複素環芳香化合物が好ましい。
【0014】本発明の製造方法に用いられる塩基性物質
の量は、反応開始時に用いるフタロジニトリル誘導体と
等モル以下、好ましくは0.01〜0.1倍の範囲であ
ることが好ましい。塩基性物質を多量に用いると、反応
が十分に進行しない、不純物が多い等の問題を有し、フ
タロジニトリル誘導体に対してモル比0.01倍以下で
は、その効果が不十分である。
【0015】本発明の製造方法に用いられるフタロジニ
トリル誘導体としては、置換及び無置換のオルトフタロ
ジニトリル類及び置換及び無置換の1,3−ジイミノイ
ソインドリンが挙げられる。これらのフタロジニトリル
誘導体のうち、無置換のオルトフタロジニトリルが特に
好ましい。
【0016】本発明の製造方法に用いられるハロゲン化
チタン化合物としては、四塩化チタン、三塩化チタン、
四臭化チタン等が挙げられる。これらのハロゲン化チタ
ン化合物のなかでは、反応系に残存する特性上悪影響を
及ぼす不純物の少ない四塩化チタンが特に好ましい。
【0017】フタロジニトリル誘導体とハロゲン化チタ
ン化合物との比率は、反応モル比から数割の増分を含む
範囲に設定すればよく、フタロジニトリル誘導体とハロ
ゲン化チタン化合物との反応モル比が4対1であれば、
4対0.75〜1.5の範囲が好適である。
【0018】チタニウムフタロシアニン化合物の製造方
法において、反応は芳香族ハロゲン化炭化水素と塩基性
化合物の存在下に、フタロジニトリル誘導体とハロゲン
化チタン化合物とを加熱することによって行われる。反
応温度は100℃以上、好ましくは150℃以上である
が、経済的な面からも、反応を短時間で終結させるため
にも、好ましくは170℃以上で30分以上、好ましく
は1時間以上保持することが望ましい。さらに、加熱時
の昇温及び冷却時の降温はなるべく急激に行うことが望
ましい。具体的には、通常室温から反応温度への昇温に
3時間以内、好ましくは2時間以内が望ましく、降温に
ついても3時間以内、好ましくは2時間以内で冷却し、
後処理することが望ましい。
【0019】本発明の製造方法によって得られるチタニ
ウムフタロシアニン化合物は、特定の結晶形をなしてお
り、CuKα線のX線回折において特定のピークを示す
ものが好ましい。特に本発明のチタニウムフタロシアニ
ン化合物の製造方法による反応後、溶媒と分離された固
体あるいは一部の溶剤を含むウェット状態でCuKα線
のX線回折において、ブラッグ角2θ(±0.2゜)の
7.4゜にメインピークを有するチタニウムフタロシア
ニン化合物が好ましい。上記X線回折に特定ピークを有
するチタニウムフタロシアニン化合物は主として下記構
造式1及び構造式2で表されるものの単独または複数の
成分からなる固溶体状態にあると考えられる。下記構造
式1及び構造式2は、芳香環の一部が塩素原子等のハロ
ゲン原子で置換されているものも含まれる。
【0020】
【式1】
【0021】
【式2】
【0022】このようにして製造されたチタニウムフタ
ロシアニン化合物は、反応溶媒等との分離後、溶剤洗
浄、真空乾燥等により単離することができる。また、従
来公知の昇華、アシッドペースト、アシッドスラリー、
再沈殿、再結晶、抽出等の操作によって不純物を除去す
ることも可能であるが、これら煩雑で再現性の乏しい操
作を必ずしも行わなくても、溶剤との接触による洗浄等
の操作で十分に特性の良好なチタニウムフタロシアニン
化合物として利用することができる。
【0023】本発明のフタロジニトリル誘導体とハロゲ
ン化チタン化合物とを、芳香族ハロゲン化炭化水素と特
定量の塩基性化合物の存在下に加熱して製造されたこと
を特徴とするチタニウムフタロシアニン化合物を中間体
として誘導されるオキソチタニウムフタロシアニン化合
物は、特定の結晶形をなしており、CuKα線のX線回
折において特定のピークを示すものである。CuKα線
のX線回折において、ブラッグ角2θ(±0.2゜)の
7.5゜にメインピークを有するオキソチタニウムフタ
ロシアニン化合物が好ましい。オキソチタニウムフタロ
シアニン化合物は主として上記構造式2で表されるもの
の単独または複数の成分からなる固溶体状態にある。
【0024】いずれの中間的な処理操作を行うか否かに
関わらず、オキソチタニウムフタロシアニン化合物類
は、真空乾燥等により、特性に悪影響を及ぼし、特性上
安定性が低くなる揮発性の不純物を十分に除去すること
が望ましい。本発明の製造方法によるオキソチタニウム
フタロシアニン化合物に残留する揮発性溶剤類は、熱分
析、抽出物のクロマトグラフィ分析等により定量可能で
ある。本発明におけるオキソチタニウムフタロシアニン
化合物の残留溶剤類とは、これら揮発あるいは抽出等の
操作によって化合物から分離することが可能な、水分を
含めた低分子化合物の総称である。
【0025】一般に、オキソチタニウムフタロシアニン
化合物の残留溶剤類の総量は、処理に用いた溶剤等の分
離条件を適宜操作することにより、あるいは不活性な溶
剤類の添加等により、特定の値にすることができるが、
本発明の残留溶剤類の総量とは、フタロシアニン化合物
自体が分解、揮発しない通常の真空乾燥操作、より具体
的には減圧度5〜30hPa、温度50〜150℃で、
3〜12時間程度乾燥後、デシケーター等の乾燥雰囲気
下常温常圧状態とし、重量測定して変化が殆ど認められ
ない状態における数値を表すものである。
【0026】本発明のオキソチタニウムフタロシアニン
化合物における残留溶剤類としては、反応に用いた各種
材料及び副成する化合物、溶剤等からなるが、特にフタ
ロジニトリル誘導体とチタン化合物との加熱時反応に用
いた芳香族ハロゲン化炭化水素及び塩基性化合物、及び
/または後工程の処理に用いた塩基性化合物の量は、特
性に影響を及ぼし、残留溶剤類全体の10%以下とする
ことが好適であり、さらに可能な限り除去することが望
ましい。具体的には,オキソチタニウムフタロシアニン
化合物中の残留溶剤類が2%以下,残留溶剤類中のキノ
リンが10%以下であること,さらに,オキソチタニウ
ムフタロシアニン化合物の残留溶剤としてのキノリンが
0.2%以下であることが好ましい。
【0027】しかしながら、キノリン等に代表される塩
基性化合物を除去するために、アシッドペースト、アシ
ッドスラリー、酸洗浄等による処理操作、再結晶、昇華
等の精製操作を行うことは、経済的見地から必ずしも好
ましいものではなく、本発明の製造方法における塩基性
化合物の使用量をフタロジニトリル誘導体の一定量以下
とすることは、特性の優れたオキソチタニウムフタロシ
アニン化合物を簡便な操作で得るためには重要なことで
ある。
【0028】ただし、本発明の製造方法は、アシッドペ
ーストや昇華精製等の操作を追加することを何ら除外す
るものではなく、必要に応じて結晶形の異なるチタニウ
ムフタロシアニン化合物を得るためにも、公知の結晶変
換方法並びに精製方法を組み合わせることができる。
【0029】具体的には、本発明の製造方法によるチタ
ニウムフタロシアニン化合物及びオキソチタニウムフタ
ロシアニン化合物は、さら機械的圧力による磨砕や温度
による物理的処理、あるいは溶剤等の他の化合物との接
触による化学的処理を施すことで、エレクトロニクス関
連材料として必要とする特性を有する材料とすることが
できる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例により、より詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例によって限定されるものではない。
【0031】実施例1 温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた1リットル反応フ
ラスコに、オルトフタロジニトリル(東京化成社製試
薬)50g、1−クロロナフタレン(東京化成社製試
薬)750g、キノリン(東京化成社製試薬)3gを仕
込み、撹拌下反応フラスコ内を乾燥窒素置換した。加熱
を行い、50℃で内容物が均一溶液となったことを確認
後、四塩化チタン(関東化学社製試薬)19gを滴下し
た。滴下後2時間で220℃まで昇温し、さらに3時間
反応を続けた。この間反応液は、暗褐色から緑色に変色
した。強制的に室温付近まで冷却し、直ちに内容物を濾
過、少量の1−クロロナフタレンで洗浄し、暗黒色固形
状態のチタニウムフタロシアニン化合物46gを得た。
これを、ガラス容器に密封保管し、理学社製X線回折分
析装置RAD−Bシステムにて、Cu−Kα線に対する
粉末X線回折を測定したところ、図1に示すような、ブ
ラッグ角2θ(±0.2°)の7.4°に主たる回折ピ
ークを有するチタニウムフタロシアニン化合物であっ
た。また、FD−マススペクトルによる分析では、m/
z=631、665にピークを有するジクロロチタニウ
ムフタロシアニン及びモノクロロジクロロチタニウムフ
タロシアニンが主成分であった。m/zはいずれも同位
体元素存在比による最強イオンピークである。
【0032】実施例2 実施例1で得たチタニウムフタロシアニン化合物を、ア
セトン洗浄後濾過し、20gを温度計、攪拌機、還流冷
却器を備えた1リットル反応フラスコに仕込み、濃アン
モニア水700gを加えて、還流条件下、3時間撹拌を
行った。放冷後、沈殿物を濾別し、熱水で十分に洗浄を
繰り返し、濾別、次いでアセトンにて洗浄を行い、濾別
後120℃で8時間真空乾燥を行い、18gの青色粉末
固体を得た。FD−マススペクトルによる分析によれ
ば、m/z=576、610を主成分とする一部が塩素
化されたオキソチタニウムフタロシアニン化合物であっ
た。それぞれの同位体元素比率を元にした最強イオンピ
ークであり、強度比からオキソチタニウムフタロシアニ
ンの一部塩素置換体と無置換体との比率は11%:88
%であった。この粉末のCu−Kα線に対する粉末X線
回折によれば、図2に示すような、ブラッグ角2θ(±
0.2°)の7.5°に主たる回折ピークを有するα型
オキソチタニウムフタロシアニン化合物であった。
【0033】実施例3 実施例1で得たチタニウムフタロシアニン化合物20g
を、20倍量のアセトン、次いでDMFで懸濁洗浄し
た。さらに、実施例2と同様にして、濃アンモニア水で
処理を行い、20倍量の熱水で3回、次いで20倍量の
アセトンにて3回洗浄を行い、濾別後120℃で8時間
真空乾燥を行った。得られたオキソチタニウムフタロシ
アニン化合物の一部を秤量し、ガスクロマトグラフィー
にて残留する溶剤量を測定したところ、DMFは0.5
%検出したが、キノリンは検出限界0.0001%以下
であった。
【0034】比較例1 実施例1の反応において、キノリンを50g用いて反応
を行った。得られたチタニウムフタロシアニン化合物の
収量は多いが、濾紙を用いた濾別に長時間を要し、不純
物を多く含むものであった。これをアセトン、次いでD
MFで懸濁洗浄し、次いで実施例2と同様にして、濃ア
ンモニア水で処理を行い、水洗、真空乾燥を行った。得
られたオキソチタニウムフタロシアニン化合物の一部を
秤量し、ガスクロマトグラフィーにて残留する溶剤量を
測定したところ、キノリンがの0.5%観測された。
【0035】比較例2 温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた反応容器に、オル
トフタロジニトリル92gと1−クロロナフタレン71
6g仕込み、撹拌下四塩化チタン35gを滴下し、20
0℃に昇温し5時間反応した。反応液を120℃に冷却
後、熱時濾過し、600gの1−クロロナフタレンで洗
浄し、次いでメタノール240gで洗浄し、真空乾燥に
よりチタニウムフタロシアニン化合物を得た。これを特
開昭61−2117050号公報記載の濃アンモニア水
と煮沸する方法により、オキソチタニウムフタロシアニ
ン化合物とした。次いで、オキソチタニウムフタロシア
ニン化合物10gを0℃に冷却した濃硫酸400gに徐
々に加え、溶解した。0℃の氷水8000g中に硫酸溶
液を滴下し、低結晶性のオキソチタニウムフタロシアニ
ンとした。これは、硫酸イオンを多量に含んでいるた
め、硫酸イオンを十分に除去するために、洗浄水が中性
状態を示すまで、500gのイオン交換水で10回以上
洗浄が必要であり、多量の廃液と長時間を要した。得ら
れたオキソチタニウムフタロシアニン化合物のCu−K
α線に対する粉末X線回折測定では明瞭な回折ピークを
示さない低結晶状態であった。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、再結
晶、再沈殿、昇華精製等の煩雑操作を必要とせずに、エ
レクトロニクス関連材料として好適に用いることができ
るオキソチタニウムフタロシアニン化合物を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるチタニウムフタロシアニン化
合物の粉末X線回折図である。
【図2】実施例2におけるオキソチタニウムフタロシア
ニン化合物の粉末X線回折図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フタロジニトリル誘導体とハロゲン化チタ
    ン化合物とを、芳香族ハロゲン化炭化水素とフタロジニ
    トリル誘導体に対して等モル以下の塩基性化合物の存在
    下に加熱することを特徴とするチタニウムフタロシアニ
    ン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】フタロジニトリル誘導体がオルトフタロジ
    ニトリル及び/または1,3−ジイミノイソインドリン
    であり、芳香族ハロゲン化炭化水素がクロロナフタレン
    であり、ハロゲン化チタン化合物が四塩化チタンであ
    り、塩基性化合物がキノリンあることを特徴とする請求
    項1記載のチタニウムフタロシアニン化合物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】塩基性化合物をフタロジニトリル誘導体の
    モル比0.01〜0.1倍の範囲で使用することを特徴
    とする請求項1または2に記載のチタニウムフタロシア
    ニン化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の何れかに記載の製造方法に
    よって得られる、CuKα線のX線回折において、ブラ
    ッグ角2θ(±0.2゜)の7.4゜にメインピークを
    有することを特徴とするチタニウムフタロシアニン化合
    物。
  5. 【請求項5】請求項4に記載のチタニウムフタロシアニ
    ン化合物を中間体として用いることを特徴とするオキソ
    チタニウムフタロシアニン化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の製造方法によって得られ
    る、CuKα線のX線回折において、ブラッグ角2θ
    (±0.2゜)の7.5゜にメインピークを有すること
    を特徴とするオキソチタニウムフタロシアニン化合物。
  7. 【請求項7】残留溶剤としての塩基性化合物が0.2%
    以下であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法
    によるオキソチタニウムフタロシアニン化合物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014021385A (ja) * 2012-07-20 2014-02-03 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジ
JP2016012126A (ja) * 2014-06-03 2016-01-21 キヤノン株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに、フタロシアニン結晶およびフタロシアニン結晶の製造方法

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JP2014021385A (ja) * 2012-07-20 2014-02-03 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジ
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