JPH11241032A - 顔料組成物及びその製造方法 - Google Patents

顔料組成物及びその製造方法

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JPH11241032A
JPH11241032A JP4521398A JP4521398A JPH11241032A JP H11241032 A JPH11241032 A JP H11241032A JP 4521398 A JP4521398 A JP 4521398A JP 4521398 A JP4521398 A JP 4521398A JP H11241032 A JPH11241032 A JP H11241032A
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JP
Japan
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phthalocyanine
dimer
aluminum
substituent
aluminum phthalocyanine
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JP4521398A
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English (en)
Inventor
Akira Kimura
亮 木村
Toshio Takei
俊夫 武井
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09BORGANIC DYES OR CLOSELY-RELATED COMPOUNDS FOR PRODUCING DYES, e.g. PIGMENTS; MORDANTS; LAKES
    • C09B47/00Porphines; Azaporphines
    • C09B47/04Phthalocyanines abbreviation: Pc
    • C09B47/08Preparation from other phthalocyanine compounds, e.g. cobaltphthalocyanineamine complex

Abstract

(57)【要約】 【課題】緑味に寄っておりかつ高彩度であるアルミニウ
ムフタロシアニン系顔料を従来より簡便容易に効率的に
製造する方法を提供する。 【解決手段】次の工程からなる、フタロシアニン環に置
換基を有していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタ
ロシアニンダイマー(A)と、当該ダイマー(A)以外
のフタロシアニン環に置換基を有していても良いアルミ
ニウムフタロシアニン化合物(B)とからなる顔料組成
物であって、両者合計を100モル%とした時、前者ダ
イマー(A)が40〜95モル%の顔料組成物(D)の
製造方法。 第1工程:フタロシアニン環に置換基を有していても良
いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー
(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外のフタロシア
ニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロ
シアニン化合物(B)を無機酸に溶解又は懸濁させた
後、多量の水と接触させて、アルミニウムフタロシアニ
ン組成物(C)を得る。 第2工程:前記組成物(C)を有機溶媒の存在下で加熱
処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷インキ、塗
料、プラスチック、トナー等の着色剤として多量に使用
されているフタロシアニン顔料の分野にあり、緑味鮮明
な青色を呈するアルミニウムフタロシアニン系顔料の組
成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より諸耐性に優れた青色顔料とし
て、各種インキ、塗料、プラスチックなどの樹脂着色等
に銅フタロシアニン顔料が幅広く用いられているが、特
に塗料業界においては新しい色調の顔料が強く望まれて
いる。さらに、近年の世界的な環境保全に関する意識の
高まりとともに、環境に対して悪影響を及ぼす重金属の
規制が強まり、製品中の遊離銅やクルード及び顔料製造
時の廃水中に流出する銅に関しては、かなり厳しいレベ
ルで規制が行われている。また、その規制の適用範囲
は、製造工程や顔料化工程のみならず、製品の焼却等に
よる最終処分の各段階での廃棄物にまで広がりつつあ
る。
【0003】今後この種の規制が強化されることによ
り、ある種の用途において、重金属である銅を中心金属
に有する銅フタロシアニンそのものが規制の対象となる
ことが十分に予想される。そこで、重金属を含まない青
色顔料への要望が高まりつつある。その代替候補とし
て、アルミニウムフタロシアニン顔料が挙げられる。
【0004】アルミニウムフタロシアニン化合物を合成
する方法としては、米国特許第2,197,458号公
報明細書(1940年)に記載されているように、無水
フタル酸、尿素及びハロゲン化アルミニウムを溶媒の不
存在下で反応させアルミニウムフタロシアニン化合物を
合成し、硫酸に溶解し、水に注いで、濾過、洗浄、乾燥
して顔料を得る方法や英国特許第552,124号公報
明細書(1943年)に記載されているように、フタロ
ニトリルとハロゲン化アルミニウムを有機溶媒中で反応
させる方法や、Bull.Chem.Soc.Jpn.,68,1001(1995)に記
載されているように、フタロニトリルにアルミニウムア
ルコキサイド反応させてアルミニウムフタロシアニン化
合物を合成する方法や、特開平8−170025号公報
明細書に記載されているように、無水フタル酸、尿素、
触媒及びリン酸化合物を予め加熱反応させた後、アルミ
ニウム化合物を添加する方法等が知られている。
【0005】アルミニウムフタロシアニンの粉末X線回
折ピークについては、公表特許公報昭60−50176
0号明細書や特開平5−93150号公報明細書にはヒ
ドロキシアルミニウムフタロシアニン(以下、Al(O
H)Pcと略す)が、特開平9−217020には一般
式(I)で示されるアルミニウムフタロシアニン(以
下、(AlPc)2Oと略す)が記載されており、いず
れも電子写真感光体としての利用である。
【0006】一方、顔料としての利用は、米国特許第
2,197,458号公報明細書(1940年)には緑
味が強い青色の色相であるとの記載があるが、化学構造
や粉末X線回折スペクトルで表されるような結晶構造及
びその組成については記載されていない。
【0007】アルミニウムフタロシアニン化合物を顔料
化する方法として、特開平6−100787号公報明細
書には、銅フタロシアニンの顔料化方法が適用できると
の記載や特願平8−150937号公報明細書には、フ
タロニトリルにアルミニウム及び/又はその化合物を反
応させることによって得られたアルミニウムフタロシア
ニン化合物を酸に溶解した後、多量の水と接触させるこ
とによって、(AlPc)2Oを含有し、回折角(2θ
±0.2°;Cu−Kα)7.0°、14.0、16.
6°、21.0°及び25.9°に回折強度を示す粉末
X線回折スペクトルにより特徴づけられる結晶構造を有
するアルミニウムフタロシアニン顔料組成物の製造方法
が開示されている。
【0008】さらに、特開平9−217020号公報明
細書には、(AlPc)2Oを乾式粉砕した後、有機溶
媒で処理することによって、回折角(2θ±0.2°;
Cu−Kα)6.9°、9.7、13.8°、15.4
°、23.9°及び25.9°に回折強度を示す粉末X
線回折スペクトルにより特徴づけられる結晶構造を有す
るアルミニウムフタロシアニン化合物及びその製造方法
が開示されている。
【0009】しかし、特開平9−217020号明細書
に開示されている特定の粉末X線回折スペクトルを有す
るアルミニウムフタロシアニン化合物は電子写真感光体
への利用であることや当該化合物を製造するためには、
フタロジニトリルや1,3−ジイミノイソインドリンを
出発原料としてクロロアルミニウムフタロシアニンを製
造し、加水分解、有機溶媒中で加熱処理、乾式粉砕した
後、再度、有機溶媒中で加熱処理する必要があり、工程
が煩雑である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、印刷イン
キ、塗料、プラスチック、トナー等の着色剤として用い
た場合、緑味鮮明な青色を呈する、μ−オキソ−アルミ
ニウムフタロシアニンダイマーと、それ以外のアルミニ
ウムフタロシアニンとからなる顔料組成物を提供する。
【0011】また本発明は、フタロシアニン環に置換基
を有していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシ
アニンダイマーと、それ以外のアルミニウムフタロシア
ニン化合物とを含む顔料組成物の効率的な製造方法を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来公知
の方法で、アルミニウムフタロシアニン化合物のみ又は
アルミニウムフタロシアニン化合物を主成分とする原料
組成物を製造し、次いで、これを無機酸に溶解又は懸濁
させ、多量の水と接触させて組成物を製造し、μ−オキ
ソ−アルミニウムフタロシアニンダイマーのみ又は当該
ダイマーを主成分とする組成物とした後、有機溶媒の存
在下で加熱処理することにより、当該ダイマーを含む顔
料組成物が、従来の方法に比べて、簡便容易に高収率で
得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は次の発明を提供する。
【0014】(1) フタロシアニン環に置換基を有し
ていても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン
ダイマー(A)と、当該ダイマー(A)以外のフタロシ
アニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタ
ロシアニン化合物(B)とからなる顔料組成物であっ
て、両者合計を100モル%とした時、前者ダイマー
(A)が40〜95モル%であることを特徴とする顔料
組成物(D)。
【0015】(2) 両者合計を100モル%とした
時、前者ダイマー(A)が50〜90モル%である上記
(1)記載の顔料組成物(D)。
【0016】(3) 前者ダイマー(A)が、CuKα
線による粉末X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±
2゜)として6.8゜、9.7゜、13.8゜、15.
4゜、23.9゜及び25.8゜に回折強度を有するダ
イマーである上記(1)記載の組成物(D)。
【0017】(4) 次の工程からなる、フタロシアニ
ン環に置換基を有していても良いμ−オキソ−アルミニ
ウムフタロシアニンダイマー(A)と、当該ダイマー
(A)以外のフタロシアニン環に置換基を有していても
良いアルミニウムフタロシアニン化合物(B)とからな
る顔料組成物であって、両者合計を100モル%とした
時、前者ダイマー(A)が40〜95モル%の顔料組成
物(D)の製造方法。 第1工程:フタロシアニン環に置換基を有していても良
いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー
(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外のフタロシア
ニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロ
シアニン化合物(B)を無機酸に溶解又は懸濁させた
後、多量の水と接触させて、アルミニウムフタロシアニ
ン組成物(C)を得る。 第2工程:前記組成物(C)を有機溶媒の存在下で加熱
処理する。
【0018】(5) (1)無水フタル酸及び/又はその
誘導体もしくはフタロジニトリル及び/又はその誘導
体、尿素又はその誘導体もしくはアンモニア、アルミニ
ウム及び/又はその化合物とを有機溶媒中で加熱反応さ
せた後、有機溶媒を除去してフタロシアニン環に置換基
を有していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシ
アニンダイマー(A)及び/又は前記ダイマー(A)以
外のフタロシアニン環に置換基を有していても良いアル
ミニウムフタロシアニン化合物(B)を製造する工程、
(2)得られたフタロシアニン環に置換基を有していても
良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー
(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外のフタロシア
ニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロ
シアニン化合物(B)を無機に溶解又は懸濁させた後、
多量の水と接触させて、フタロシアニン環に置換基を有
していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニ
ンダイマー(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外の
フタロシアニン環に置換基を有していても良いアルミニ
ウムフタロシアニン化合物(B)を析出させる工程、
(3)得られたフタロシアニン環に置換基を有していても
良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー
(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外のフタロシア
ニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロ
シアニン化合物(B)を、有機溶媒の存在下で加熱処理
する工程からなる、回折角(2θ±0.2°;Cu−K
α)6.8°、9.7°、13.8°、15.4°、2
3.9°及び25.8°に回折強度を示す粉末X線回折
スペクトルにより特徴づけられる結晶構造を有するフタ
ロシアニン環に置換基を有していても良いμ−オキソ−
アルミニウムフタロシアニンダイマー(A)と、当該ダ
イマー(A)以外のフタロシアニン環に置換基を有して
いても良いアルミニウムフタロシアニン化合物(B)と
を、両者合計を100モル%とした時、前者ダイマー
(A)が40〜95モル%となる様に含有する顔料組成
物(D)の製造方法。
【0019】(6) 顔料組成物(D)が、フタロシア
ニン環に置換基を有していても良いμ−オキソ−アルミ
ニウムフタロシアニンダイマー(A)を50〜90モル
%含有する上記4又は5記載の顔料組成物(D)の製造
方法。
【0020】(7) ダイマー(A)及び/又は化合物
(B)をアルコール系溶媒、グリコール系溶媒、芳香族
系溶媒、ホルムアミド系溶媒又はそれらの混合溶媒の存
在下において常圧下もしくは加圧下で加熱処理する上記
4、5又は6記載の顔料組成物(D)の製造方法。
【0021】(8) ダイマー(A)及び/又は化合物
(B)を水と有機溶媒、必要に応じ界面活性剤の存在下
において、加圧下で加熱処理する上記4、5、6又は7
記載のアルミニウムフタロシアニン顔料(D)の製造方
法。
【0022】(9) ダイマー(A)及び/又は化合物
(B)を有機溶媒及び粉砕助剤の存在下で双腕式ニーダ
ーを用いて常圧下もしくは加圧下で加熱処理する上記
4、5、6、7又は8記載のアルミニウムフタロシアニ
ン顔料(D)の製造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明のアルミニウムフタ
ロシアニン顔料の製造方法についてさらに詳しく説明す
る。
【0024】本発明は、フタロシアニン環に置換基を有
していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニ
ンダイマー(A)と、フタロシアニン環に置換基を有し
ていても良いアルミニウムフタロシアニン化合物(B)
とからなる顔料組成物であって、両者合計を100モル
%とした時、前者ダイマー(A)が40〜95モル%で
あることを特徴とする顔料組成物を提供する(以下、第
1発明という。)。
【0025】また本発明は、次の工程からなる、フタロ
シアニン環に置換基を有していても良いμ−オキソ−ア
ルミニウムフタロシアニンダイマー(A)と、フタロシ
アニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタ
ロシアニン化合物(B)とからなる顔料組成物であっ
て、両者合計を100モル%とした時、前者ダイマー
(A)が40〜95モル%の顔料組成物の製造方法を提
供する(以下、第2発明という。)。
【0026】第1工程:フタロシアニン環に置換基を有
していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニ
ンダイマー(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外の
フタロシアニン環に置換基を有していても良いアルミニ
ウムフタロシアニン化合物(B)を無機酸に溶解又は懸
濁させた後、多量の水と接触させて、アルミニウムフタ
ロシアニン組成物(C)を得る。 第2工程:上記で得られた組成物(C)を有機溶媒の存
在下で加熱処理する。
【0027】第1発明の顔料組成物は、第2発明の製造
方法により得ることが出来る。第2発明においては、第
1工程が最初に行われる。この第1工程は、さらに下記
の通り、例えば(1)及び(2)の二つの工程に分類で
きる。
【0028】第2発明において、まず、原料アルミニウ
ムフタロシアニンが準備される。原料アルミニウムフタ
ロシアニンとしては、(AlPc)2Oの他、J.E.Owe
n,M.E.Kenny,Inorg.Chem.,1,331〜333,19
62に記載されているようなクロロアルミニウムフタロ
シアニン(以下、Al(Cl)Pcと略す)やAl(O
H)Pcで表される化学構造を有するアルミニウムフタ
ロシアニンが知られている。
【0029】本発明で用いる原料アルミニウムフタロシ
アニンは、公知慣用のものがいずれも使用出来るが、そ
れらが単独物質であっても混合物質のどちらであっても
差し支えない。本発明の原料アルミニウムフタロシアニ
ン及び後述するアルミニウムフタロシアニン化合物
(B)は、代表的には、フタロシアニン環に置換基を有
していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニ
ンダイマー(A)以外の、フタロシアニン環に置換基を
有していてもよい、アルミニウムフタロシアニン化合物
のみ、またはそれを主成分とする混合物である。
【0030】本発明の原料アルミニウムフタロシアニン
としては、従来公知の方法で製造したものが採用しう
る。第2発明の工程(1)では、例えば、無水フタル酸
及び/又はその誘導体もしくはフタロジニトリル及び/
又はその誘導体、尿素又はその誘導体もしくはアンモニ
ア、アルミニウム及び/又はその化合物とを有機溶媒中
で加熱反応させた後、有機溶媒を除去して、原料アルミ
ニウムフタロシアニンを製造することが出来る。
【0031】上記製造方法においては、通常触媒が用い
られ、好ましくは触媒と助触媒とを併用するのが好まし
い場合が多い。触媒と助触媒については後に詳述する。
【0032】より具体的には、例えば、フタロニトリル
や1,3−ジイミノイソインドリン及びそれらの誘導
体、アルミニウム及び/又はその化合物を有機溶媒中又
はその不存在下において180〜300℃の温度で常圧
下又は加圧下に加熱反応させる方法、あるいは、フタル
酸及び/又はその誘導体、アルミニウム及び/又はその
化合物、尿素及び/又はその誘導体とを触媒の存在下、
有機溶媒中又はその不存在下において180〜300℃
の温度で常圧下又は加圧下に加熱反応させる方法で製造
することができる。
【0033】尚、上記において有機溶媒中で製造された
場合、アルミニウムフタロシアニン反応混合物から有機
溶媒を除去した後、精製することなくそのままの状態で
使用することもできる。
【0034】なお、原料アルミニウムフタロシアニン化
合物の製造に用いられる原料としては以下のようなもの
が挙げられる。
【0035】フタロニトリルや1,3−ジイミノイソイ
ンドリン及びそれらの誘導体としては、例えば、o−フ
タロジニトリルや1,3−ジイミノイソインドリンのベ
ンゼン環上の水素原子が塩素原子、臭素原子等のハロゲ
ン原子、アルキル基、フェニル基、ニトロ基等で置換さ
れているもの等が挙げられる。
【0036】フタル酸及び/又はその誘導体としては、
種々の文献等で広く知られており、例えばフタル酸及び
その塩又はそのエステル、無水フタル酸、フタルイミ
ド、フタルアミド酸及びその塩又はそのエステル等が挙
げられ、これらの化合物は、ベンゼン環上が塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、フェニル基、
ニトロ基、スルホン基等で置換されていてもよい。これ
らの中でも、経済性・入手の容易さから無水フタル酸が
特に好ましい。以下にフタル酸及びその誘導体を主原料
として用いた場合について、より具体的に例示する。
【0037】アルミニウム及び/又はその化合物として
は、例えば、塩化アルミニウムのようなアルミニウムの
ハロゲン化物、水酸化アルミニウムのようなアルミニウ
ムの水酸化物、アルミニウムイソプロポキシドのような
アルミニウムアルコキシド、硫酸アルミニウムのような
アルミニウムの硫酸塩、燐酸アルミニウムのようなアル
ミニウムの燐酸塩等が挙げられるが、これらの中でも、
経済性、取り扱い易さから硫酸アルミニウムが特に好ま
しい。
【0038】尿素及び/又はその誘導体としては、例え
ば尿素、ビウレット等があり、中でも反応時に溶融して
系を均一にしやすく、経済性・作業性に優れることから
尿素が特に好ましい。 その使用量は、フタル酸及び/
又はその誘導体4モルあたり、アンモニアに換算して4
〜50モル程度である。
【0039】また後述する触媒には、必要に応じて助触
媒が併用される。助触媒としては、例えば硫酸化合物及
び/又は燐酸化合物が挙げられる。この様なものとして
は、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸ア
ルカリ金属塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ス
トロンチウム、硫酸マグネシウム等の硫酸アルカリ土類
金属塩、硫酸アルミニウム塩、硫酸アンモニウム塩等が
挙げられ、なかでも硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫
酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム
などの硫酸化合物や、オルト燐酸、メタ燐酸、ポリ燐
酸、ポリメタ燐酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、スト
ロンチウム塩、マグネシウム塩等の燐酸化合物を挙げる
ことができる。
【0040】これらの硫酸化合物及び/又は燐酸化合物
は2種類以上の混合物であっても良いが、廃水への影響
を考えると、硫酸化合物とりわけ硫酸ナトリウムが好ま
しい。
【0041】その使用量としては、原料アルミニウムフ
タロシアニンやアルミニウムフタロシアニン化合物
(B)として用いる、アルミニウムフタロシアニンその
ものの収率の低下や、反応終了後の洗浄工程において酸
性懸濁液からアルミニウムフタロシアニンを分離する際
の濾過速度の低下が防止できることから、無水フタル酸
及び/又はその誘導体4モル当たり0.04〜0.30
モルが好ましく、なかでも0.10〜0.25モルが特
に好ましい。
【0042】この際、原料アルミニウムフタロシアニン
やアルミニウムフタロシアニン化合物(B)を製造する
際のアルミニウム化合物と硫酸化合物を兼ねる化合物と
して硫酸アルミニウムを用いることもでき、この場合、
硫酸アルミニウムの使用量は、硫酸塩とアルミニウム化
合物の合計モル数とする必要は必ずしもなく、合計モル
以下、なかでもアルミニウム化合物の使用量と等モル程
度が好ましい。
【0043】触媒としては、従来公知の種々の化合物が
あるが、なかでもモリブデン化合物が好ましい。モリブ
デン化合物の例としては、モリブデン酸アンモニウム、
酸化モリブデン、リンモリブデン酸アンモニウム等のモ
リブデン化合物、四塩化チタン、チタン酸エステル等の
チタン化合物、塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム等
のジルコニウム化合物、酸化アンチモン、酸化ヒ素、ホ
ウ酸等が挙げられる。その使用量は、フタル酸及び/又
はその誘導体4モル当たり0.01〜0.05当量程度
である。
【0044】本発明の原料アルミニウムフタロシアニン
及びアルミニウムフタロシアニン化合物(B)の製造に
おいて使用する有機溶媒としては、例えばアルキルベン
ゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭化
水素、アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキルデ
カリン等の脂環式炭化水素、デカン、ドデカン等の脂肪
族炭化水素、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等の
芳香族ニトロ化合物、トリクロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、クロロナフタレン等の芳香族ハロゲン化炭化水
素、スルホラン、ジメチルスルホラン、ジメチルスルホ
キシド等の硫黄化合物、キノリン等の複素環化合物等を
挙げることができ、これらの2種以上の混合物としても
使用できる。
【0045】アルミニウム化合物としては、例えば塩化
アルミニウム等のハロゲン化物、水酸化アルミニウム、
硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等が挙げられ、
なかでも硫酸アルミニウムもしくは塩化アルミニウムが
好ましい。その使用量は、フタル酸又はその誘導体4モ
ル当たりアルミニウムとして1.0〜2.0モル、なか
でも1.1〜1.5モルとなる範囲が好ましい。
【0046】このように、本発明においては上記のいず
れの方法や原料を用いても、原料アルミニウムフタロシ
アニンやアルミニウムフタロシアニン化合物(B)を製
造することが可能であるが、作業環境衛生および経済性
を考慮すると、無水フタル酸、硫酸アルミニウム、尿
素、モリブデン酸アンモニウムを有機溶媒中、0.3〜
0.4MPaの加圧下に180℃から220℃で4〜6
時間反応させる製造方法が、工業的には好ましい。
【0047】一方、フタロニトリルや1,3−ジイミノ
イソインドリン及びそれらの誘導体を主原料として用い
た場合には、必ずしも上記の例示以外の物質も使用でき
る。
【0048】また本発明では、フタル酸及び/又はその
誘導体を利用して原料アルミニウムフタロシアニンを調
製するほうが、フタロニトリルに比べ安全性がはるかに
高いという利点がある。
【0049】本発明の顔料組成物(D)は、フタロシア
ニン環に置換基を有していても良いμ−オキソ−アルミ
ニウムフタロシアニンダイマー(A)と、フタロシアニ
ン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロシ
アニン化合物(B)とを含む顔料組成物である。尚、フ
タロシアニン環に置換基を有していても良いμ−オキソ
−アルミニウムフタロシアニンダイマー(A)として
は、以下の様な一般式(I)のものが代表的なものであ
る。
【0050】
【化1】一般式(I) (AlPc)2O …(I) 〔式中、Pcは置換基を有していても良いフタロシアニ
ン骨格(環)を表す。〕
【0051】一般式(I)に含まれる、たとえばPcに
置換基を有さないμ−オキソ−アルミニウムフタロシア
ニンダイマーの化学構造を明記するならば、次の通りで
ある。
【化2】
【0052】上記(1)において、例えば加熱反応させ
た後有機溶媒を除去して得られた、原料アルミニウムフ
タロシアニンは、フタロシアニン環に置換基を有してい
ても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイ
マー(A)のみの場合もあるし、ダイマー(A)以外の
フタロシアニン環に置換基を有していても良いアルミニ
ウムフタロシアニン化合物(B)のみの場合もあるし、
それらの混合物である場合もあり得る(以下、これらを
総称して混合物と称する。)。
【0053】第2発明では、例えば上記工程(1)で得
られた上記混合物を、例えば無機酸に溶解又は懸濁させ
た後、多量の水と接触させる工程(2)により、析出物
を得ることが出来る。
【0054】尚、多量の水とは、前記化合物が溶解又は
懸濁した液媒体よりも過剰の水を意味する。
【0055】ここで得られた析出物は、フタロシアニン
環に置換基を有していても良いμ−オキソ−アルミニウ
ムフタロシアニンダイマー(A)及び/又はダイマー
(A)以外のフタロシアニン環に置換基を有していても
良いアルミニウムフタロシアニン化合物(B)との記載
の通り、フタロシアニン環に置換基を有していても良い
μ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー
(A)のみの場合もあるし、ダイマー(A)以外のフタ
ロシアニン環に置換基を有していても良いアルミニウム
フタロシアニン化合物(B)のみの場合もあるし、それ
らの混合物である場合もあり得る。
【0056】しかしながら、この析出物は、通常は、フ
タロシアニン環に置換基を有していても良いμ−オキソ
−アルミニウムフタロシアニンダイマー(A)のみか、
ダイマー(A)と、ダイマー(A)以外のフタロシアニ
ン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロシ
アニン化合物(B)の混合物であり、いずれにせよ、ダ
イマー(A)を主成分としたものとなる。
【0057】典型的には、この析出物は、ダイマー
(A)と、ダイマー(A)以外のフタロシアニン環に置
換基を有していても良いアルミニウムフタロシアニン化
合物(B)の混合物であって、前者を主成分とするもの
となる。
【0058】本発明においては、便宜上、上記ダイマー
(A)のみの場合と、ダイマー(A)と化合物(B)の
混合物との場合を併せて、同工程で得られたもの組成物
(C)と呼ぶ。
【0059】ここにおいて、より具体的には、析出に当
たっては、通常の銅フタロシアニン顔料を製造する方法
が適用でき、例えば上記混合物を、例えば0〜80℃で
無機酸に溶解又は懸濁させた後、0〜90℃の水中に注
ぎ、必要に応じ加熱処理し、濾過、水洗し、必要に応じ
乾燥、粉砕することによって製造できる。
【0060】ここで用いる無機酸としては、硫酸や燐酸
が挙げられるが、排水処理等の関係から硫酸が好まし
い。
【0061】上記混合物を溶解又は懸濁させるために用
いる無機酸の濃度は特に限定されるものではなく、例え
ば、80〜110%の濃度であればよく、市販品をその
まま使用できるため95〜98%の濃度が特に好まし
い。
【0062】また、無機酸、特に硫酸の重量は、特に限
定されるものではなく、上記混合物の重量に対し5〜3
0倍量であればよく、廃水処理と言う点から、8から1
2倍量が特に好ましい。
【0063】本工程には、種々の方法によって製造さ
れ、種々のアルミニウムフタロシアニン系化合物からな
る上記混合物の組成を、フタロシアニン環に置換基を有
していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニ
ンダイマー(A)〔例えば、一般式(I)で示される化
学構造のダイマー(A)〕を主成分とする組成に変える
作用があり、「無機酸に溶解又は分散させた後に多量の
水と接触させる」工程の前後において、工程前より工程
後のほうが、よりフタロシアニン環に置換基を有してい
ても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイ
マー(A)をより多く含ませることが出来る。さらに
は、上記混合物に含まれるダイマー(A)及び/又はア
ルミニウムフタロシアニン化合物(B)以外の不純物を
除去する作用がある。
【0064】上記した通り、上記混合物を溶解又は懸濁
する無機酸としては硫酸以外にもリン酸も使用すること
ができるのは勿論である。
【0065】第2発明においては、第1工程に次いで、
次いで第2工程が実施される。本発明の顔料組成物
(D)は、上記組成物(C)を有機溶媒の存在下で加熱
処理することにより、フタロシアニン環に置換基を有し
ていても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン
ダイマー(A)と、当該ダイマー(A)以外のアルミニ
ウムフタロシアニン化合物(B)とからなる顔料組成物
であって、前者ダイマーを主成分とする、好適には、両
者合計を100モル%とした時、前者ダイマー(A)が
40〜95モル%、最適には同50〜90モル%である
ことを特徴とする顔料組成物を得ることが出来る。
【0066】より具体的には、フタロシアニン環に置換
基を有していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロ
シアニンダイマー(A)が、上記(2)で得られた一般
式(I)で示されるダイマーである場合、それを含有す
る顔料組成物は、上記析出物からなる組成物(C)を、
有機溶媒の存在下で加熱処理することにより、一般式
(I)で示されるダイマーを含有し、以下に示す特定粉
末X線回折スペクトルに特徴づけられる結晶構造を有す
るダイマーを含んだものとすることが出来る。
【0067】即ち、この場合、組成物(D)中のフタロ
シアニン環に置換基を有していても良いμ−オキソ−ア
ルミニウムフタロシアニンダイマーは、CuKα線によ
る粉末X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±2゜)
として6.8゜、9.7゜、13.8゜、15.4゜、
23.9゜及び25.8゜に回折強度を有する。
【0068】尚、上記加熱処理により、一般式(I)で
示されるフタロシアニン環に置換基を有していても良い
μ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマーは顔
料とすることが出来る。
【0069】顔料組成物(D)を得るために、第2発明
の第2工程の様な、析出したアルミニウムフタロシアニ
ン組成物(C)を処理する有機溶媒としては、組成物を
構成するダイマー(A)及び/又は化合物(B)のいず
れもが溶解又は溶解しにくいものであれば、特に限定さ
れるものではないが、アルコール系溶媒、グリコール系
溶媒、芳香族系溶媒、ホルムアミド系溶媒、ケトン系溶
媒、グリコールエーテル系溶媒、エーテル系溶媒等が挙
げられる。
【0070】アルコール系溶媒としては、例えば、プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール、tert−ブタノール、ペンタノール、シク
ロヘキサノール等の鎖状又は環状アルコール;グリコー
ル系溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリメチレングリコール等のアルキ
レングリコール;芳香族系溶媒としては、例えば、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香
族炭化水素、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、
トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン等の芳香族ハロゲ
ン化炭化水素、フェノール、ニトロベンゼン、エチルベ
ンゾエート等の置換芳香族化合物;ホルムアミド系溶媒
としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド;ケトン系溶媒としては、例えば、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピル
ケトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等の
鎖状又は環状ケトン;グリコールエーテル系溶媒、例え
ば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチル
エーテル、ブチルグリコール、エチルジグリコール、メ
トキシブタノール等のアルキレングリコールモノアルキ
ルエーテル;エーテル系溶媒としては、例えば、テトラ
ヒロロフラン、ジオキサン、ブチルエーテル等の鎖状又
は環状エーテル;ヘテロ環塩基性溶媒、例えば、ピリジ
ン、モルホリン、ピコリン等が挙げられ、これらの混合
溶媒であっても差し支えない。
【0071】これらの溶媒の中では、アルコール系溶
媒、グリコール系溶媒、芳香族系溶媒、ホルムアミド系
溶媒が好ましく、アルコール系溶媒としてはブタノール
やイソプロピルアルコール、グリコール系溶媒としては
ジエチレングリコール、芳香族溶媒としてはキシレンや
トルエン、ホルムアミド系溶媒としはジメチルホルムア
ミドが特に好ましい。
【0072】本発明の第2発明の第2工程の加熱処理に
用いる上記に記載の有機溶媒の重量としては、組成物
(C)の重量に0.05〜200倍である。
【0073】本発明の第2発明の第2工程の有機溶媒中
で加熱処理する場合の温度は、有機溶媒の種類や量など
の実施形態によって異なり、特に限定されないが、通
常、有機溶媒の沸点程度でよく、加圧下で行ってもよ
い。常圧に換算した場合においては、加熱すべき温度や
時間は、代表的には、温度50〜170℃の範囲、時間
30分〜24時間の範囲から選択するのが好ましい。
【0074】また、顔料組成物(D)を得るために、組
成物(C)を水と有機溶媒の存在下で加熱処理する場
合、水と有機溶媒との重量割合は、特に限定されない
が、廃水処理等を考えると、水を70重量%以上用いる
ことが好ましい。この場合、必要に応じ界面活性剤が併
用できる。
【0075】また、ここで水に対して難溶性の有機溶媒
を用いる場合には、水と有機溶媒のそのままの状態で用
いても良いが、加熱処理を均一に行うため少量のノニオ
ン性、アニオン性もしくはカチオン性の界面活性剤を加
えて予めエマルジョンの状態として用いることが好まし
い。この場合、組成物(C)は粉体状態もしくはウエッ
トケーキの状態のどちらを用いても構わないが、組成物
(C)の乾燥が不要なことや加熱処理する際の系の均一
性等からウエットケーキの状態で用いることが特に好ま
しい。
【0076】顔料組成物(D)を得るために、本発明の
第2発明の第2工程の様に、組成物(C)を有機溶媒及
び粉砕助剤の存在下で加熱処理する場合、例えば銅フタ
ロシアニン顔料の製造に用いられている双腕式ニーダや
二軸押出機のような混練装置や食塩、塩化カルシウムや
硫酸ナトリウムなどの銅フタロシアニンシアニン顔料の
製造に用いられている粉砕助剤を用いることが出来る。
【0077】さらに、本発明の組成物(D)を製造する
にあたり、その他の方法として、スチールボールのよう
な粗大磨砕媒体とともに乾式粉砕し、次いで、有機溶媒
の存在下で常圧下もしくは加圧下で加熱処理する方法
や、有機溶媒の存在下でスチールビーズのような微小磨
砕媒体とともに湿式粉砕しながら、もしくは湿式粉砕し
た後、常圧下もしくは加圧下で加熱処理する方法等が挙
げられる。
【0078】尚、本発明の顔料組成物(D)を得るに当
たっては、次の方法を採用するのが好ましい。
【0079】上記した様に、上記第1工程で得られ
た、フタロシアニン環に置換基を有していても良いμ−
オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマーを含む、
アルミニウムフタロシアニン組成物(C)をアルコール
系溶媒、グリコール系溶媒、芳香族系溶媒、ホルムアミ
ド系溶媒又はそれらの混合溶媒の存在下において常圧下
もしくは加圧下で加熱処理する。
【0080】上記した様に、上記第1工程で得られ
た、フタロシアニン環に置換基を有していても良いμ−
オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマーを含む、
アルミニウムフタロシアニン組成物(C)を水と有機溶
媒、必要に応じ界面活性剤の存在下において、加圧下で
加熱処理する。
【0081】上記した様に、上記第1工程で得られ
た、フタロシアニン環に置換基を有していても良いμ−
オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマーを含む、
アルミニウムフタロシアニン組成物(C)を有機溶媒及
び粉砕助剤の存在下で双腕式ニーダーを用いて常圧下も
しくは加圧下で加熱処理する。
【0082】なかでも、上記またはの方法が、好ま
しい。
【0083】なお、ダイマー(A)及びそれ以外のアル
ミニウムフタロシアニン化合物(B)及び顔料組成物
(D)中の各化学構造及び組成は、試料をTHFに超音
波分散し、質量分析計M200A型(日立製作所(株)
製)等を用いて測定し、その相対強度から求めることが
出来る。勿論、結晶形態は、公知慣用のX線回折測定装
置で測定できるブラッグ角より、求めることが出来る。
【0084】このような方法で本発明における回折角
(2θ±0.2°;Cu−Kα)6.8°、9.7°、
13.8°、15.4°、23.9°及び25.8°に
回折ピークを示す粉末X線回折スペクトルにより特徴づ
けられる結晶構造を有するフタロシアニン環に置換基を
有していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシア
ニンダイマーを含むアルミニウムフタロシアニン顔料組
成物(D)中のアルミニウムフタロシアニンの組成を求
めると、必須成分である(AlPc)2Oの他、Al
(OH)PcやAl(Cl)Pcのようなアルミニウム
原子への配位子が異なるアルミニウムフタロシアニンか
らなる場合がある。
【0085】しかしながら、それらの組成は、上記
(1)の工程の様な、原料アルミニウムフタロシアニン
の製造方法や組成、上記(2)の工程の製造条件や組成
及び上記(3)の工程の有機溶媒中での加熱処理方法や
条件によっても若干異なり、特に限定されるものではな
いが、着色力や、彩度等の点で優れたものとするために
は、一般式(I)で表される化合物を主成分とすること
が好ましく、(AlPc) 2Oを、全体の40mol%
以上含有することが好ましい。
【0086】さらに本発明で得られた顔料は、着色剤と
しての適用例として、次に記載するような方法で印刷イ
ンキ用として評価することが出来る。即ち、まず顔料
0.4部をワニス1.6部と共に、フーバーマラーで混
練し、濃色インキを得る。この濃色インキ0.2部と白
インキ2.0部とを、フーバーマラーで混練し、淡色イ
ンキを得る。これらのインキを展色し、淡色インキの色
相及び相対着色力を分光光度計を用いて測色する。こう
して印刷インキ用着色材としての評価が出来る。
【0087】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更
に詳細に説明する。なお、例中において「部」は「重量
部」を意味する。
【0088】実施例1 ガラス製オートクレーブ反応器に、無水フタル酸122
3部、尿素1983部、モリブデン酸アンモニウム17
部及び「ハイゾールP」(日本石油化学株式会社製の有
機溶媒)3330部を仕込み、攪拌しながら150℃ま
で加熱し、ガスの発生により上昇した反応容器内の圧力
を0.35MPaに調節した。この状態で1時間撹拌を
続けてから、反応容器内の圧力を常圧に戻し、反応容器
内に塩化アルミニウム276部、尿素396部及びリン
酸一アンモニウム24部を添加した。その後、加熱を続
け、0.35MPaの加圧下、220℃で6時間反応を
行った。次いで、反応混合物から「ハイゾールP」を減
圧下で留去し、2%水酸化ナトリウム水溶液25000
部中に分散し、80℃で1時間撹拌した後、濾過、湯洗
した。次いで、得られた濾過ケーキを1%塩酸2500
0部に解膠して70℃で1時間加熱撹拌した後、濾過、
湯洗した後、90℃にて乾燥させて、原料アルミニウム
フタロシアニン(X−1)1035部を得た。
【0089】この原料アルミニウムフタロシアニン(X
−1)800部を、95%硫酸9000部に温度を40
℃以下に保ちながら徐々に添加し、90分間撹拌して溶
解させた。これを撹拌下の水120000部中へ注ぎ、
固体を晶出させた。この懸濁液を30分間撹拌した後、
濾過した。得られた濾過ケーキを2%水酸化ナトリウム
水溶液10000部に解膠し、25℃で1時間撹拌した
後、濾過、水洗した。得られた濾過ケーキを90℃で乾
燥させてアルミニウムフタロシアニン組成物(C−1)
610部を得た。
【0090】次いで、容量8Lの双腕式ニーダに、粉砕
塩1331部、アルミニウムフタロシアニン組成物(C
−1)600部、ジエチレングリコール123部、キシ
レン372部を仕込み125℃で4時間湿式磨際した
後、およそ30分間キシレンを吸引捕集した。60℃ま
で冷却してから、湿式磨砕物を温水8000部中に取り
出し、ディズパーを用いて解膠しながら、20%塩酸4
50部を加え、30分間そのまま解膠を続けた後、濾過
し、濾液のpHが中性になるまで濾過ケーキを湯洗した
後、90℃で乾燥し、アルミニウムフタロシアニン顔料
組成物(D−1)604部を得た。
【0091】原料アルミニウムフタロシアニン(X−
1)、アルミニウムフタロシアニン組成物(C−1)及
びアルミニウムフタロシアニン顔料組成物(D−1)の
粉末X線回折スペクトルを図1、図2及び図3に示す。
それらのうち、アルミニウムフタロシアニン顔料組成物
(D−1)の粉末X線回折スペクトルは、回折角(2θ
±0.2°;Cu−Kα)6.8°、9.7°、13.
8°、15.4°、23.9°及び25.8°に特徴的
なピークを示していた。
【0092】また、アルミニウムフタロシアニン化合物
(X−1)、アルミニウムフタロシアニン組成物(C−
1)及びアルミニウムフタロシアニン顔料組成物(D−
1)のマススペクトルから算出した組成を表1に示す。
【0093】実施例2 ガラス製オートクレーブ反応器に、無水フタル酸77
部、尿素109部、モリブデン酸アンモニウム1部、硫
酸ナトリウム0.9部及び「ハイゾールP」(日本石油
化学株式会社製の芳香族有機溶媒)210部を仕込み、
攪拌しながら150℃まで加熱し、ガスの発生により上
昇した反応容器内の圧力を0.35MPaに調節した。
この状態で1時間撹拌を続けてから、反応容器内の圧力
を常圧に戻し、反応容器内に塩化アルミニウム19部及
び尿素16部を添加した。その後、加熱を続け、0.3
5MPaの加圧下、220℃で6時間反応を行った。次
いで、反応混合物から減圧下で「ハイゾールP」を留去
した後、2%苛性ソーダ水溶液1000部中に分散し、
70℃で1時間加熱した後、濾過、湯洗した。次いで、
この濾過ケーキを1%塩酸水溶液1000部中に分散
し、70℃で1時間撹拌した後、濾過、水洗してから9
0℃で乾燥し、原料アルミニウムフタロシアニン(X−
2)66部を得た。
【0094】この原料アルミニウムフタロシアニン(X
−2)60部を、95%硫酸660部に温度を40℃以
下に保ちながら徐々に添加し、90分間撹拌して溶解さ
せた。これを水7000部へ、撹拌しながら注ぎ、固体
を晶出させた。この懸濁液を30分間撹拌し、濾過し
た。得られた濾過ケーキを2%水酸化ナトリウム水溶液
500部に解膠し、25℃で1時間撹拌した後、濾過、
水洗した。得られた濾過ケーキを90℃で乾燥させてア
ルミニウムフタロシアニン組成物(C−2)45部を得
た。
【0095】次いで、撹拌機、還流管、温度計を備えた
円筒容器にアルミニウムフタロシアニン組成物(C−
2)20部、ジメチルホルムアミド200部を仕込み、
150〜153℃の還流下、1時間加熱処理した後、熱
時濾過し、イソプロパノール300部でジメチルホルム
アミドを置換した。得られた濾過ケーキを2%苛性ソー
ダ水溶液200部中に分散し、70℃で1時間加熱した
後、濾過、湯洗した。次いで、このウエットケーキを1
%塩酸水溶液200部中に分散し、70℃で1時間加熱
した後、濾過し、濾液のpHが中性になるまで湯洗した
のち、90℃で乾燥し、アルミニウムフタロシアニン顔
料組成物(D−2)18.3部を得た。
【0096】原料アルミニウムフタロシアニン化合物
(X−2)、アルミニウムフタロシアニン組成物(C−
2)及びアルミニウムフタロシアニン顔料組成物(D−
2)の粉末X線回折スペクトルは、回折強度はややこと
なるが、図1、図2及び図3と同様なスペクトルを示し
ていた。
【0097】また、原料アルミニウムフタロシアニン
(X−2)、アルミニウムフタロシアニン組成物(C−
2)及びアルミニウムフタロシアニン顔料組成物(D−
2)のマススペクトルから算出した組成を表1に示す。
【0098】実施例3 撹拌機、還流管、温度計を備えた円筒容器に、実施例2
で用いたアルミニウムフタロシアニン組成物(C−2)
20部、イソプロパノール200部を仕込み、81〜8
3℃の還流下、1時間加熱処理した後、熱時濾過し、温
水200部でイソプロパノールを置換した。さらに、得
られた濾過ケーキを70℃の温水中に解膠した後、濾過
した。この濾過ケーキを90℃で乾燥し、アルミニウム
フタロシアニン組成物(D−3)19.5部を得た。
【0099】アルミニウムフタロシアニン組成物(D−
3)の粉末X線回折スペクトルは、回折強度はやや異な
るが、図3同様なスペクトルを示していた。
【0100】また、アルミニウムフタロシアニン組成物
(D−3)のマススペクトルから算出した組成を表1に
示す。
【0101】実施例4 ガラス製オートクレーブ反応器に、無水フタル酸77
部、尿素125部、モリブデン酸アンモニウム1部、硫
酸ナトリウム0.9部及び「ハイゾールP」(日本石油
化学株式会社製の芳香族有機溶媒)210部を仕込み、
攪拌しながら150℃まで加熱し、ガスの発生により上
昇した反応容器内の圧力を0.35MPaに調節した。
この状態で1時間撹拌を続けてから、反応容器内の圧力
を常圧に戻し、反応容器内に無水硫酸アルミニウム27
部及び尿素25部を添加した。その後、加熱を続け、
0.35MPaの加圧下、220℃で6.5時間反応を
行った。次いで、反応混合物からハイゾールPを減圧下
で留去し、2%苛性ソーダ水溶液1000部中に分散
し、70℃で1時間加熱した後、濾過、湯洗した。次い
で、得られた濾過ケーキを1%塩酸水溶液1000部中
に分散し、70℃で1時間撹拌した後、濾過、水洗した
のち、90℃で乾燥し、原料アルミニウムフタロシアニ
ン(X−3)71部を得た。
【0102】この原料アルミニウムフタロシアニン(X
−3)60部を、95%硫酸660部に温度を40℃以
下に保ちながら徐々に添加し、90分間撹拌して溶解さ
せた。これを撹拌下にある水9000部へ注ぎ、固体を
晶出させた。この懸濁液を30分間撹拌してから濾過し
た。得られた濾過ケーキを2%水酸化ナトリウム水溶液
500部に解膠し、25℃で1時間撹拌した後、濾過し
てアルミニウムフタロシアニン組成物(C−3)のウエ
ットケーキ140部(固形分32%)を得た。
【0103】次いで、撹拌機、温度計を備えたオートク
レーブにアルミニウムフタロシアニン組成物(C−3)
のウエットケーキ125部、キシレン8部と水315部
及びエマルゲン913(花王(株)製ノニオン系界面活
性剤)0.5部とから作製したエマルジョンを仕込み、
140〜142℃、0.4MPaの加圧下で2時間加熱
処理し、40〜50℃まで冷却、濾過、湯洗した後、得
られた濾過ケーキを90℃で乾燥し、アルミニウムフタ
ロシアニン顔料組成物(D−4)19.5部を得た。
【0104】原料アルミニウムフタロシアニン(X−
3)、アルミニウムフタロシアニン組成物(C−3)及
びアルミニウムフタロシアニン顔料(D−4)の粉末X
線回折スペクトルは、回折強度はやや異なるが、図1、
図2、図3と同様なスペクトルを示していた。
【0105】また、原料アルミニウムフタロシアニン
(X−3)、アルミニウムフタロシアニン組成物(C−
3)及びアルミニウムフタロシアニン顔料組成物(D−
4)のマススペクトルから算出した組成を表1に示す。
【0106】実施例5 容積が0.75Lのアトライターに、実施例1で用いた
アルミニウムフタロシアニン組成物(C−1)30部と
直径1/4インチステンレス製ボール2500部を仕込
み、ジャケットに50℃の温水を通じながら、1時間乾
式磨砕して乾式磨砕物(a)を得た。
【0107】次いで、撹拌機、還流管、温度計を備えた
円筒容器に得られた乾式磨砕物(a)20部とキシレン
200部を仕込み、138〜140℃の温度で還流下、
6時間加熱処理した後、およそ50℃まで冷却した後、
濾過し、イソプロパノール50部でキシレンを置換し
た。得られた濾過ケーキを水200部中に解膠し、70
℃で1時間加熱した後、濾過、湯洗した後、90℃で乾
燥し、アルミニウムフタロシアニン顔料組成物(D−
5)19部を得た。アルミニウムフタロシアニン顔料組
成物(D−5)の粉末X線回折スペクトルは、回折強度
がやや異なっているが、図3と同様なスペクトルを示し
ていた。また、乾式磨砕物(a)の粉末X線回折スペク
トルは図2と同じ位置に回折ピークを示していたが、回
折強度が小さく非常にブロードなスペクトルであった。
【0108】また、アルミニウムフタロシアニン顔料組
成物(D−5)のマススペクトルから算出した組成を表
1に示す。
【0109】実施例6 ガラス製反応器に、フタロニトリル64部、尿素30部
及びα−クロロナフタレン250部を仕込み、150℃
で1時間反応させた後、塩化アルミニウム16部を加え
220℃で6時間反応を行った。得られた反応混合物を
濾過し、イソプロピルアルコール800部に解膠し、2
5℃で1時間撹拌した後、濾過した。得られた濾過ケー
キを十分水洗してから2%水酸化ナトリウム水溶液15
00部に解膠し、室温下で1時間撹拌した後、濾過、水
洗した。
【0110】次いで、この濾過ケーキを1%塩酸水溶液
1500部中に分散し、70℃で1時間撹拌した後、濾
過、水洗してから、90℃で乾燥し、原料アルミニウム
フタロシアニン(X−4)72部を得た。
【0111】得られた原料アルミニウムフタロシアニン
化合物(X−4)50部を、95%硫酸550部に温度
を40℃以下に保ちながら徐々に添加し、90分撹拌し
て溶解させた。これを撹拌下にある水7500部に加
え、固体を晶出させ、濾過、水洗した。この濾過ケーキ
を2%水酸化ナトリウム水溶液1500部に解膠し、2
5℃で1時間撹拌してから濾過した。更に水1500部
に解膠して25℃で1時間撹拌してから濾過、水洗した
後、90℃で乾燥してアルミニウムフタロシアニン組成
物(C−4)47部を得た。
【0112】次いで、撹拌機、還流管、温度計を備えた
円筒容器にアルミニウムフタロシアニン組成物(C−
4)20部、キシレン200部を仕込み、138℃の還
流下、4時間加熱処理した後、室温まで冷却してから濾
過し、メタノール300部でキシレンを置換した。さら
に水洗した後、90℃で乾燥してアルミニウムフタロシ
アニン顔料組成物(D−6)19.7部を得た。
【0113】原料アルミニウムフタロシアニン(X−
4)の粉末X線回折スペクトルは、図4に示されるよう
に、回折角(2θ±0.2°;Cu−Kα)7.0°、
11.0°、14.1°、17.0°、21.4°、2
5.3°に回折強度を示していた。また、アルミニウム
フタロシアニン組成物(C−4)及びアルミニウムフタ
ロシアニン顔料組成物(D−6)の粉末X線回折スペク
トルは、回折強度はやや異なるが、図2及び図3と同様
なスペクトルを示していた。
【0114】また、原料アルミニウムフタロシアニン
(X−4)、アルミニウムフタロシアニン組成物(B−
4)及びアルミニウムフタロシアニン顔料組成物(C−
6)のマススペクトルから算出した組成を表1に示す。
【0115】加熱処理に用いた各組成物(C)は、いず
れも対応するダイマー(A)を70モル%以上含んでい
た。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】*表2中のCuPc顔料としては、 Fastogen
Blue TGR(大日本インキ化学工業(株)製のβ型銅フタ
ロシアニン顔料を用いて、同様な評価を行った場合の色
相を示す。
【0119】表1において、組成の異なる原料アルミニ
ウムフタロシアニン(X)を用いても、アルミニウムフ
タロシアニン組成物(C)及び本発明のアルミニウムフ
タロシアニン顔料組成物(D)の主成分は(AlPc)
2Oであることを示しており、図2と図3から有機溶剤
中で加熱処理することにより結晶型のみが変化すること
を示している。
【0120】表2において、L*は塗膜の明度を表わ
し、 色相が近い場合には、その値が小さいほど着色力
が大きいことを示す。a*は色相の赤味〜緑味を表わ
し、 その値が大きいほど赤味であることを示してい
る。 b*は黄味〜青味を表わし、その値が大きいほど黄
味であることを示している。また、C*は彩度を表わ
し、その値が大きいほど高彩度であり、色相が鮮明であ
ることを示している。さらにH*は色相角であり、色合
いを表し、その値が大きいほど青味であることを示して
いる。
【0121】表2に示した結果から、実施例1〜7によ
り得られる顔料は、緑味に寄った色相であり、かつ、高
彩度であることがわかる。さらに、銅フタロシアニン顔
料に比べ、彩度は低いが非常に緑味であることが理解で
きる。
【0122】
【発明の効果】本発明では、原料アルミニウムフタロシ
アニンを無機酸に溶解または分散させた後、多量の水と
接触させて、次いで有機溶媒の存在下に加熱処理するの
で、着色力に優れ、より緑味に寄っており、かつ高彩度
である、オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー
のみ顔料又は当該ダイマーとそれ以外のアルミニウムフ
タロシアニンとを前者主成分とし含む組成物からなる顔
料、を得るための従来の製造方法に比べて、簡便容易に
高収率であるという格別顕著な効果を奏する。
【0123】本発明の顔料組成物は、銅フタロシアニン
顔料に比べて緑味鮮明であり、例えば、印刷インキ、塗
料、プラスチック、トナー等の重金属を含まない着色用
顔料として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の原料アルミニウムフタロシアニン
(X−1)の粉末X線回折スペクトルを示す。
【図2】 実施例1のアルミニウムフタロシアニン組成
物(C−1)の粉末X線回折スペクトルを示す。
【図3】 実施例1のアルミニウムフタロシアニン顔料
組成物(D−1)の粉末X線回折スペクトルを示す。
【図4】 実施例6のアルミニウムフタロシアニン化合
物(X−4)の粉末X線回折スペクトルを示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フタロシアニン環に置換基を有していて
    も良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマ
    ー(A)と、当該ダイマー(A)以外のフタロシアニン
    環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロシア
    ニン化合物(B)とからなる顔料組成物であって、両者
    合計を100モル%とした時、前者ダイマー(A)が4
    0〜95モル%であることを特徴とする顔料組成物
    (D)。
  2. 【請求項2】 両者合計を100モル%とした時、前者
    ダイマー(A)が50〜90モル%である請求項1記載
    の顔料組成物(D)。
  3. 【請求項3】 次の工程からなる、フタロシアニン環に
    置換基を有していても良いμ−オキソ−アルミニウムフ
    タロシアニンダイマー(A)と、当該ダイマー(A)以
    外のフタロシアニン環に置換基を有していても良いアル
    ミニウムフタロシアニン化合物(B)とからなる顔料組
    成物であって、両者合計を100モル%とした時、前者
    ダイマー(A)が40〜95モル%の顔料組成物(D)
    の製造方法。 第1工程:フタロシアニン環に置換基を有していても良
    いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー
    (A)及び/又は前記ダイマー(A)以外のフタロシア
    ニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタロ
    シアニン化合物(B)を無機酸に溶解又は懸濁させた
    後、多量の水と接触させて、アルミニウムフタロシアニ
    ン組成物(C)を得る。 第2工程:前記組成物(C)を有機溶媒の存在下で加熱
    処理する。
  4. 【請求項4】 (1)無水フタル酸及び/又はその誘導
    体もしくはフタロジニトリル及び/又はその誘導体、尿
    素又はその誘導体もしくはアンモニア、アルミニウム及
    び/又はその化合物とを有機溶媒中で加熱反応させた
    後、有機溶媒を除去してフタロシアニン環に置換基を有
    していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニ
    ンダイマー(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外の
    フタロシアニン環に置換基を有していても良いアルミニ
    ウムフタロシアニン化合物(B)を製造する工程、
    (2)得られたフタロシアニン環に置換基を有していて
    も良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダイマ
    ー(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外のフタロシ
    アニン環に置換基を有していても良いアルミニウムフタ
    ロシアニン化合物(B)を無機酸に溶解又は懸濁させた
    後、多量の水と接触させて、フタロシアニン環に置換基
    を有していても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシ
    アニンダイマー(A)及び/又は前記ダイマー(A)以
    外のフタロシアニン環に置換基を有していても良いアル
    ミニウムフタロシアニン化合物(B)を析出させる工
    程、(3)得られたフタロシアニン環に置換基を有して
    いても良いμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニンダ
    イマー(A)及び/又は前記ダイマー(A)以外のフタ
    ロシアニン環に置換基を有していても良いアルミニウム
    フタロシアニン化合物(B)を、有機溶媒の存在下で加
    熱処理する工程からなる、回折角(2θ±0.2°;C
    u−Kα)6.8°、9.7°、13.8°、15.4
    °、23.9°及び25.8°に回折強度を示す粉末X
    線回折スペクトルにより特徴づけられる結晶構造を有す
    るフタロシアニン環に置換基を有していても良いμ−オ
    キソ−アルミニウムフタロシアニンダイマー(A)と、
    当該ダイマー(A)以外のフタロシアニン環に置換基を
    有していても良いアルミニウムフタロシアニン化合物
    (B)とを、両者合計を100モル%とした時、前者ダ
    イマー(A)が40〜95モル%となる様に含有する顔
    料組成物(D)の製造方法。
  5. 【請求項5】 顔料組成物(D)が、フタロシアニン
    環に置換基を有していても良いμ−オキソ−アルミニウ
    ムフタロシアニンダイマー(A)を50〜90モル%含
    有する請求項3又は4記載の顔料組成物(D)の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 組成物(C)をアルコール系溶媒、グ
    リコール系溶媒、芳香族系溶媒、ホルムアミド系溶媒又
    はそれらの混合溶媒の存在下において常圧下もしくは加
    圧下で加熱処理する請求項3、4又は5記載の顔料組成
    物(D)の製造方法。
  7. 【請求項7】 組成物(C)を水と有機溶媒の存在下に
    おいて、加圧下で加熱処理する請求項3、4又は5記載
    の顔料組成物(D)の製造方法。
  8. 【請求項8】 組成物(C)を有機溶媒及び粉砕助剤の
    存在下で双腕式ニーダーを用いて常圧下もしくは加圧下
    で加熱処理する請求項3、4又は5記載の顔料組成物
    (D)の製造方法。
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JP2006008877A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Mitsubishi Chemicals Corp フタロシアニン化合物の製造方法、並びに電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置
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