JP2001172519A - 超臨界場を応用した有機顔料の製造方法 - Google Patents

超臨界場を応用した有機顔料の製造方法

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JP2001172519A
JP2001172519A JP35808899A JP35808899A JP2001172519A JP 2001172519 A JP2001172519 A JP 2001172519A JP 35808899 A JP35808899 A JP 35808899A JP 35808899 A JP35808899 A JP 35808899A JP 2001172519 A JP2001172519 A JP 2001172519A
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crude
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semi
organic
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JP35808899A
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Mitsuo Kamiwano
満雄 上和野
Kazuhiko Nishi
和彦 仁志
Isao Fujii
勲 藤井
Kazunobu Tomimori
和宣 富盛
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DIC Corp
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大量の有機溶剤や無機塩、ニーダー等の装置
を使用することなく従来よりも短時間で有機顔料セミク
ルードを結晶転移及び/又は結晶成長させて顔料化し、
有機顔料を生産性良く提供する。 【解決手段】 フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔
料、インダンスロン顔料、キナクリドン顔料、イソイン
ドリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料等の有機顔料
セミクルードを超臨界流体に曝して結晶転移及び/又は
結晶成長させる。超臨界流体として、二酸化炭素等の常
温で気体の物質を使用すると、顔料化の後に容易に顔料
を分離することができる。また、超臨界流体中に、超臨
界流体と均一相を形成するように有機溶剤を含有させる
ことによって、より緩やかな条件で、有機顔料セミクル
ードを結晶転移及び/又は結晶成長させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機顔料の製造方法
に関し、さらに詳しくは、有機顔料セミクルードの結晶
転移及び/又は結晶成長による顔料化を、生産性良く行
えるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】有機顔料は無機顔料にくらべて色相が豊
富で鮮明であり、着色力、透明性が大きいため幅広く用
いられているが、近年、より高彩色、高着色力の有機顔
料が要求されている。例えば、従来、β型フタロシアニ
ン顔料を得るためには、まず、無水フタル酸と尿素と必
要に応じて金属化合物とを反応させるワイラー法や、フ
タロジニトリルと金属化合物とを反応させるフタロジニ
トリル法によってフタロシアニンを製造する。ここで得
られたフタロシアニンはクルードと呼ばれ、一般的に
は、ワイラー法では5〜40μm程度の平均一次粒子径
を有するβ型結晶粒子で、フタロジニトリル法では0.
1〜5μm程度の平均一次粒子径を有するα型結晶粒子
が得られる。次いで、このクルードを大別して以下の3
つの方法に従って微粒子化を行って顔料とする。1.ク
ルードをニーダー等を用いて食塩やエチレングリコール
と共にソルベントソルトミリング処理してβ型フタロシ
アニン顔料を得る。2.クルードをアトライター、振動
ミルや振動ボールミル等で乾式摩砕してセミクルードと
した後に、上記と同様にソルベントソルトミリング処理
してβ型フタロシアニン顔料を得る。3.クルードをア
トライター、振動ミルや振動ボールミル等で乾式摩砕し
てセミクルードとした後に、アルコール類、または芳香
族溶媒等の有機溶媒類と共にソルベントボイリング処理
してβ型フタロシアニン顔料を得る。
【0003】ここで、ソルベントソルトミリング処理と
は、クルードまたはセミクルードを、塩化ナトリウムや
硫酸ナトリウム等の無機塩類と、エチレングリコール、
ジエチレングリコール等の多価アルコール等の粘性の高
い水溶性有機溶剤の存在下で、ニーダー等で機械的に摩
砕して顔料化する方法であり、通常343〜403Kで
行われる。ソルベントボイリング法とは、芳香族系、ア
ルコール系、エステル系、エーテル系等の有機溶剤を使
用してセミクルードを煮沸し、セミクルードの二次凝集
をほぐすとともに、結晶成長と結晶変換を同時に行う顔
料化方法である。この結晶変換では、一般的に不安定型
結晶から安定型結晶に変換するが、結晶変換を伴わない
顔料については結晶成長のみを行う顔料化方法である。
これらの処理で得られたものは、ウェット顔料として、
または、乾燥、必要に応じて更に粉砕、分級して顔料粉
末として実用に供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ソルベ
ントソルトミリング処理やソルベントボイリング処理等
の従来の顔料化法では、処理に通常6時間以上必要なう
えに、ニーダー又は反応釜等を使用することからエネル
ギーを多量に消費し、生産性が未だ不十分であった。ま
た、処理後には、顔料と有機溶剤又は無機塩類を分離す
るための工程が別途必要であるとともに、有機溶剤、無
機塩類が産業廃棄物として発生した。また、分離して得
られた顔料を、さらに濾過や水洗、乾燥、粉砕する場合
もあり工程数が多かった。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、セミクルードを大量の有機溶剤や無機塩類、ニーダ
ー、反応釜等の装置を使用すること無く、従来よりも短
時間で結晶転移及び/又は結晶成長をさせて顔料化し、
有機顔料を生産性良く提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の有機顔料の製造
方法は、有機顔料セミクルードを超臨界流体に曝して結
晶転移及び/又は結晶成長による顔料化を同時に行うこ
とを特徴とする。上記有機顔料セミクルードは、フタロ
シアニン顔料セミクルード、ジオキサジン顔料セミクル
ード、インダンスロンブルー顔料セミクルード、キナク
リドン顔料セミクルード、イソインドリノン顔料セミク
ルード、ジケトピロロピロール顔料セミクルードから選
ばれる1種であることが好ましい。上記超臨界流体は、
二酸化炭素であることが好ましい。上記超臨界流体に曝
す時間は、60分以内であることが好ましい。上記超臨
界流体中に、超臨界流体と均一相を形成するように、有
機溶剤を含有させることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
有機顔料のセミクルードとは、有機顔料の平均一次粒子
径より微細な粒子が強固に凝集して二次粒子を形成して
いる凝集塊のことをいう。この様な有機顔料のセミクル
ードは、例えば次ぎの様に製造できる。 1.クルードの結晶をアトライター、振動ミル、振動ボ
ールミル、ボールミル等で乾式摩砕する方法。 2.クルードの結晶を硫酸に溶解または部分溶解した
後、水中に取り出し濾過、水洗、乾燥、必要に応じて粉
砕する方法。 ここで得られるセミクルードの粒子径は、一般的に顔料
の粒子径より一桁微細な粒子径を有する。また、セミク
ルードの結晶型はクルードの結晶型と異なる結晶型とな
る場合もあるし、異なる結晶型が部分的に混合する場合
もあるし、全く結晶型に変化が生じない場合もある。本
発明で用いる有機顔料セミクルードとしては、公知慣用
のものがいずれも使用できるが、フタロシアニン系、キ
ナクリドン系、イソインドリノン系、インダンスロン
系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の公知
の顔料のセミクルードが好ましい。フタロシアニン系セ
ミクルードとしては、例えば無金属フタロシアニン、銅
フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、チタニ
ルフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン等のセ
ミクルードが挙げられ、これらの中では銅フタロシアニ
ンセミクルードが好ましいがこれらに限定されるもので
はない。
【0008】次にセミクルードを得る方法として、フタ
ロシアニン系セミクルードの製造方法を例に挙げて説明
する。フタロシアニン系セミクルードを製造するために
は、まず、フタロシアニン系クルードを得る。フタロシ
アニン系クルードは、例えば無水フタル酸またはその誘
導体と、尿素またはその誘導体と、必要に応じて中心金
属に対応する金属源とを反応させるか、フタロジニトリ
ルと必要に応じて金属源を反応させることにより得られ
る。フタル酸誘導体としては、例えばフタル酸塩または
そのエステル類、無水フタル酸、フタルイミド等が挙げ
られる。金属源としては、例えば金属銅、第一銅または
第二銅のハロゲン化物、酸化銅、硫酸銅、硫化銅、水酸
化銅、塩化アルミニウム、塩化チタニウム、塩化コバル
ト等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0009】これらを反応させる場合には、必要に応じ
てモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いて、有機溶
媒存在下または不存在下で373〜573K、1〜5時
間加熱して反応させる。有機溶媒としては、アルキルベ
ンゼン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、アル
キルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環式
炭化水素、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ニト
ロベンゼン、ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物、
トリクロロベンゼン、クロロナフタレン等の芳香族ハロ
ゲン化炭化水素、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール等の高沸点多価アルコ
ール類、エタノール、プロパノール、ブタノール等のア
ルコール類等が挙げられ、これらを単独または、2種類
以上を混合して使用される。
【0010】このようにして得られた有機化合物はその
ままクルードとして使用するか、必要に応じて、例えば
硫酸アシッドペースト法等により、比較的大きな一次結
晶粒子からなるクルードとした後に使用してもよい。硫
酸アシッドペースト法とは、上記の反応で得られた有機
化合物を5〜15倍の濃硫酸に溶解した後、この硫酸溶
液を約30〜50倍の大量の水中に攪拌しながら注入し
て、急速に硫酸濃度を低下させ結晶を析出させる方法で
あり、硫酸倍率、水倍率、水への注入温度等に依り粒子
の大きさを制御することができる。無水フタル酸または
その誘導体と、尿素またはその誘導体から得られたフタ
ロシアニン系クルードは平均一次粒子径5〜40μmの
凝集していない結晶粒子であり、BET法での比表面積
は、4〜10m2 /g程度である。またフタロジニトリ
ルから得られたフタロシアニン系クルードは、平均一次
粒子径0.1〜5μmで、BET法での比表面積は10
〜50m2 /g程度である。このクルードは、次いで乾
式摩砕するか、または硫酸に溶解した後に大量の水中に
攪拌しながら注入されてセミクルードとなるが、ここで
使用されるクルードとしては、未反応のクルード原料や
副生成物を極力含まないものが好ましい。このように純
度の高いクルードを使用すると、超臨界流体に曝した後
の工程で、不純物の洗浄工程を省略できる。
【0011】フタロシアニン系クルードを摩砕してセミ
クルードとする方法としては乾式、または湿式の従来の
公知の方法を採用できるが、乾式法で摩砕することが好
ましい。しかしながら、前工程にて得られるクルードの
大きさによっては、水、有機溶剤等を単独、または2種
類以上同時に入れて摩砕する湿式摩砕法でもよい。ま
た、必要に応じて窒素ガス、ヘリウム、アルゴンガス等
の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。摩砕に要する時
間は特に制限されるものではないが、通常数分〜数時間
の範囲である。
【0012】摩砕には、例えばビーズ、ロッド等のメデ
ィアをベッセルに内蔵する粉砕機を使用でき、アトライ
ター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等が挙げ
られるがこれらに限定されるものではない。メディアと
しては、ガラス製、金属製やセラミックス製のメディア
が一般的に用いられる。クルードを摩砕してセミクルー
ドとする場合の温度は、通常323〜453K、好まし
くは343〜393Kである。粉砕機としては、粉砕温
度をコントロールできる粉砕機が好ましいが、摩砕する
メディアの衝突状態をコントロールして摩砕温度を管理
してもよい。また、従来分散機として使用されている媒
体攪拌ミルを使用して摩砕してもよい。摩砕は、例えば
メディア同士、またはメディアとベッセル壁との衝突に
よる衝撃力や破壊力を利用して行われる。この様なセミ
クルードの製造方法は、フタロシアニン以外の他の顔料
セミクルードの製造にも採用することもできる。
【0013】次いで、得られた有機顔料セミクルードを
超臨界流体に曝して結晶転移及び/又は結晶成長させ、
有機顔料を得る方法を説明する。ここで、超臨界流体と
は、純物質固有の臨界温度(Tc)、臨界圧力(Pc)を
越えた温度、圧力条件下にある流体をいう。この超臨界
流体は、いわゆる気液平衡が存在しないため、圧力のみ
による密度の連続変化が可能である。そのため、臨界点
近傍では微少な圧力変化で、密度の関数として表すこと
のできる粘度、拡散係数、溶解度、固体に対する濡れ性
等の諸物性を激変させることが可能となる。
【0014】超臨界流体として使用する物質としては、
セミクルードと化学反応を起こさず、セミクルードを形
成する顔料の分解温度よりも低温で超臨界状態となる物
質が好ましく、例えば、表1に示す物質が挙げられるが
これらに限定されるものではない。これらの物質を超臨
界流体とする際の条件は既に知られており、これらの条
件も表1に併せて示す。
【0015】
【表1】
【0016】これらの物質は、純物質で使用しても、2
種以上の物質を混合物として使用してもよいが、より穏
和な温度と圧力条件で超臨界流体を形成するものを使用
することが工業的に有利である。特に、常温で気体の状
態にあるものは、後処理が容易であることから好まし
い。これらの観点から、超臨界流体として使用する物質
としては二酸化炭素が好ましい。
【0017】セミクルードを超臨界流体に曝す方法とし
ては、例えば耐熱耐圧容器にセミクルードを充填し、そ
こに超臨界流体を形成させる物質をガス、又は液体、又
は固体の状態で導入する方法が挙げられる。この際、超
臨界流体を形成させる物質を、液体又は固体の状態で耐
熱耐圧容器に導入すると、超臨界流体の導入時間を大幅
に短縮できる。こうしてセミクルードと超臨界流体とを
接触させることによって、セミクルードは結晶転移及び
/又は結晶成長し、顔料化される。この際、セミクルー
ドを耐熱耐圧容器内で静置しておいてもセミクルードは
結晶転移及び/又は結晶成長し顔料化できるが、より短
時間で進行させるためには容器を攪拌または振とうし、
超臨界流体とセミクルードの接触効率を上げることが好
ましい。セミクルードを超臨界流体に曝す時間は、超臨
界流体の温度と圧力に依存すると考えられ、目的とする
有機顔料が得られるまで適宜行えばよい。工業的には通
常、60分以内とすることが好ましく、ニーダー又は反
応釜を使用する従来法に比べて生産性を大幅に高くでき
る特徴がある。こうしてセミクルードを超臨界流体に曝
すことによって、セミクルードに含まれる凝集塊がほぐ
れ、例えば銅フタロシアニンでは、平均一次粒子径0.
02〜0.05μmの非凝集結晶粒子からなる有機顔料
が得られる。
【0018】セミクルードを超臨界流体に曝す際には、
超臨界流体に、この超臨界流体と均一相を形成するよう
に、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤を含
有させる方法としては、例えば、耐熱耐圧容器にセミ
クルードを充填し、そこに有機溶剤を液体で導入してか
ら、超臨界流体を形成させる物質を導入する方法。耐
熱耐圧容器にセミクルードを充填し、加熱した後に、有
機溶剤をプレヒーティングしてガス状態で導入し、続い
て超臨界流体を形成する物質を導入する方法。耐熱耐
圧容器にセミクルードを充填し、有機溶剤を超臨界流体
を形成させる物質に溶解させながら導入する方法があ
る。上記、又はの方法によれば、高濃度の有機溶剤
がセミクルードに直接接触することが防止でき、品質面
から特に好ましい。このような有機溶剤としては、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の
芳香族化合物類、ヘプタン、ヘキサン、石油ベンジン、
ミネラルスピリット、ケロシン等の脂肪族炭化水素化合
物類、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノー
ル、ヘプタノール、イソヘプタノール、ジエチレングリ
コール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエ
ーテル、セロソルブ等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル類、DMF、ジメチルアセトアミド
等のアルキルアミド、N−メチルピロリドン、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノン等の窒素を含んだ環状
有機物が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。又、有機溶剤の使用量は、超臨界流体を形成させる
物質と均一層を形成する範囲の量を使用する。
【0019】このような有機溶剤を添加して使用する
と、セミクルードの顔料への結晶転移及び/又は結晶成
長に必要とされる条件が緩和されるため、工業的に好ま
しい。例えば、銅フタロシアニンセミクルードに、超臨
界流体として二酸化炭素を使用し、上述の有機溶剤を併
用すると、二酸化炭素のみを使用する場合に比べて、同
一圧力、同一時間において、より低温でセミクルードを
結晶転移させることができる。
【0020】顔料化を行った後、耐熱耐圧容器内を超臨
界状態から常温常圧状態に戻すことによって、有機顔料
を取り出すことができる。超臨界流体を形成する物質と
して、二酸化炭素等の常温で気体の物質を使用すると、
この操作により有機顔料のみを容易に取り出すことがで
きる。一方、超臨界流体を形成する物質として常温で液
体の物質を使用すると、必要に応じて濾別、乾燥等を行
うことによって、有機顔料を取り出すことができる。こ
のように一旦、顔料化され非凝集結晶粒子とすれば、超
臨界流体に曝した後にその超臨界状態を常温常圧状態に
戻しても、超臨界流体に曝す前のセミクルードの凝集塊
へは戻ることはなく、優れた着色力を有する有機顔料が
得られる。
【0021】こうして得られた有機顔料は、そのままで
公知慣用の用途、例えば印刷インキ用途、塗料用途、成
形品着色用途、電子写真用途、カラーフィルター用途、
ジェットインキ用途等に使用することが可能であるが、
超臨界流体に曝した後公知の方法に従って表面処理や添
加剤の添加を適宜行って使用してもよい。添加剤として
は、高流動性と高透明性、高光沢を付与させるために、
顔料の主成分の有機化合物の化学構造を持つスルホン酸
誘導体、あるいはアルキルアミノメチル誘導体、スルホ
ンアミド誘導体、フタルイミドメチル誘導体等を加える
ことができるし、異種構造の顔料のこれらの誘導体類を
加えることもできる。例えば、銅フタロシアニン顔料に
銅フタロシアニンスルホン酸を加え高流動性と高光沢を
付与する方法、ジオキサジン顔料に銅フタロシアニンア
ルキルアミノメチル誘導体を加え高流動性を付与する方
法がある。スルホン酸誘導体を使用する場合には、スル
ホン酸のスルホン基を、必要に応じて金属塩またはアン
モニウム塩として使用することもできる。これらの誘導
体類は、クルード合成時またはセミクルード作成時に混
合しても良いし、顔料化後に混合しても良い。表面処理
剤や、スルホン酸誘導体、アルキルアミノメチル誘導
体、スルホンアミド誘導体、フタルイミドメチル誘導
体、脂肪族および芳香族スルホン酸化合物等の添加量
は、特に制限されるものではないが、顔料に対して0.
1〜30重量%の範囲が好ましい。こうして得られた有
機顔料は、特に平版インキ用途に適している。
【0022】このような製造方法によれば、大量の有機
溶剤や無機塩等を使用せずに顔料化を行えるため産業廃
棄物の発生がほとんどなく、また、ニーダーなどの装置
を使用せずに従来よりも短時間でセミクルードを結晶転
移及び/又は結晶成長させることができる。また、超臨
界流体として、二酸化炭素等の常温で気体の物質を使用
すると、顔料化の後に容易に顔料を分離することがで
き、濾過や水洗、乾燥、粉砕等の後処理工程を省略でき
る。よって、有機顔料を従来よりも生産性良く提供する
ことができる。
【0023】
【実施例】次に本発明を実施例および比較例により具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。以下において、とくに断わりの無い限り、
「%」は『重量%』を表わす。 [実施例1]純度98.5%の銅フタロシアニンクルー
ドをアトライターで363K、1時間乾式摩砕して得ら
れたα型の混合比率が58%の銅フタロシアニンセミク
ルード5gを40mlの耐圧容器に入れ、二酸化炭素の
超臨界流体中で403K、20MPaで20分間曝し
た。この後圧力を下げ二酸化炭素を回収した後、銅フタ
ロシアニン顔料の粉体を取り出した。この顔料は、X線
回折装置(Rigaku社製:RINT 1100型)
で分析したところ純粋なβ型で、粉砕等の微粉末化工程
を加えることなく、平版インキにそのまま使用できるも
のであった。以下に記した試験例に従って平版インキを
作成し、着色力の評価法、透明性の評価法に従って着色
力、透明性を評価した。その結果を表2に示す。
【0024】[実施例2]実施例1と同じセミクルード
5gとp−キシレン0.25gを40ml耐圧容器に入
れ、二酸化炭素の超臨界流体中で343K、20MPa
で20分間曝した後、実施例1と同様にして銅フタロシ
アニン顔料の粉体を取り出した。この粉体を実施例1と
同様に分析したところ、純粋なβ型で粉砕等の微粉末化
工程を加えることなく、平版インキにそのまま使用でき
るものであった。実施例1と同様にして平版インキを作
成し、着色力、透明性を評価した。その結果を表2に示
す。
【0025】[実施例3]攪拌機、温度計、温度調節装
置を備えた200mlビーカーに、68%硫酸100g
を入れ、攪拌、冷却しながらβ型ジオキサジン顔料クル
ード10gを温度が303K以上にならない様に少量づ
つ加えた。303Kで2時間攪拌した後、1500ml
の氷水の中に取り出した。これを濾過、水洗、乾燥した
後粉砕して、ジオキサジンのα型セミクルード9.6g
を得た。このセミクルード5gを40ml耐圧容器に入
れ、二酸化炭素の超臨界流体中で403K、20MPa
で20分間曝した後、実施例1と同様にしてジオキサジ
ン顔料の粉体を取り出した。この粉体を実施例1と同様
に分析したところ、純粋なβ型ジオキサジン顔料で粉砕
等の微粉末化工程を加えることなく、平版インキにその
まま使用できるものであった。実施例1と同様にして平
版インキを作成し、着色力、透明性を評価した。その結
果を表2に示す。
【0026】[実施例4]純度98%、平均粒子径4μ
mのα型インダンスロンブルークルードを実施例1と同
様に、アトライター中で363K、1時間乾式摩砕して
α型のインダンスロンブルーセミクルードを得た。この
セミクルード5gを、40mlの耐圧容器に入れ、二酸
化炭素の超臨界流体中で413K、20MPaで20分
間曝した後、実施例1と同様にしてインダンスロンブル
ー顔料の粉体を取り出した。この粉体を実施例1と同様
に分析したところ、α型インダンスロンブルー顔料で、
粉砕等の微粉末化工程を加えることなく、平版インキに
そのまま使用できるものであった。実施例1と同様にし
て平版インキを作成し、着色力、透明性を評価した。そ
の結果を表2に示す。
【0027】[比較例1]実施例1と同じセミクルード
5gとイソブタノール50gを攪拌機、冷却器、温度計
を備えた100mlフラスコに入れ、1時間、363K
に加熱した。これを濾過し、メタノール洗浄、次いで水
洗浄し、乾燥、粉砕してβ型銅フタロシアニン顔料4.
8gを得た。実施例1と同様にして平版インキを作成し
た後、着色力、透明性を評価した。その結果を表2に示
す。
【0028】[比較例2]実施例1と同じセミクルード
500gを8Lニーダー中でジエチレングリコール50
0gと粉砕した食塩2500gと共に363Kで、6時
間摩砕した。その後、このマグマを水に取り出し、濾
過、水洗、乾燥、粉砕して460gのβ型銅フタロシア
ニン顔料を得た。実施例1と同様にして平版インキを作
成した後、着色力、透明性を評価した。その結果を表2
に示す。
【0029】[比較例3]実施例3と同じジオキサジン
顔料クルード500gを8Lニーダー中でジエチレング
リコール400gと粉砕した食塩2500gと共に35
3Kで、5時間摩砕した。その後、このマグマを水に取
り出し、濾過、水洗、乾燥、粉砕して475gのβ型ジ
オキサジン顔料を得た。実施例1と同様にして平版イン
キを作成した後、着色力、透明性を評価した。その結果
を表2に示す。
【0030】[比較例4]実施例4と同様にして得られ
たα型インダンスロンブルーセミクルード5g、イソブ
タノール50gを攪拌機、冷却器、温度計を備えた10
0mlフラスコに入れ、1時間、363Kに加熱した。
これを濾過し、メタノール洗浄、次いで水洗浄し、乾
燥、粉砕してα型インダンスロンブルー顔料4.8gを
得た。実施例1と同様にして平版インキを作成した後、
着色力、透明性を評価した。その結果を表2に示す。
【0031】<試験例>実施例1〜4及び比較例1〜4
により得られた有機顔料を用い、以下の方法により平版
インキを作成した。顔料0.3g、インキ用樹脂ワニス
MG−63(大日本インキ化学工業製)1.2gをフー
バーマラーで分散し濃色インキを作成した。上記で得ら
れた濃色インキ0.1gと白顔料が30%の白インキ2
gを混合して淡色インキを作成した。得られた各インキ
を試験インキとし、着色力と透明性を評価した。着色力
と透明性は以下の方法で評価した。
【0032】・着色力の評価方法 銅フタロシアニン顔料については、比較例2で得られた
顔料を用いて、上記記載の濃色インキ(標準とする)
と、顔料使用量を2%刻みで、+10%及びー10%迄
増減した濃色インキ(比較標準とする)を作成した。標
準および、比較標準の濃色インキより、上記淡色インキ
作成法に従って、対応する淡色インキを作成し、それぞ
れ標準淡色インキ及び比較標準淡色インキとした。実施
例1〜2、比較例1で得られた顔料の淡色インキを、比
較標準淡色インキと、展色紙にヘラを使用して展色して
着色力を比較し、着色力の一致した点を実施例1〜2、
及び比較例1で得られた顔料の着色力とした。標準イン
キの着色力を100%とし、着色力の一致した比較標準
インキの標準に対する顔料量%を、評価サンプルの着色
力として、数値化した。ジオキサジン顔料については比
較例3で得られた顔料を標準とし、同様にして実施例3
で得られた顔料の着色力%を評価した。インダンスロン
ブルー顔料については比較例4で得られた顔料を標準と
し、同様にして実施例4で得られた顔料の着色力%を評
価した。 ・透明性の評価方法 黒インキを用いて黒帯を印刷した白い展色紙に、ヘラを
用いて濃色インキを展色し、黒帯の上の展色状態を目視
で観察した。黒帯の上に試験インキが展色される事によ
り黒帯が白く見えるものを不透明と判断し、目視判定1
とした。黒帯上に試験インキが展色されていることがわ
かりにくいものを透明と判断し、目視判定10とした。
【0033】
【表2】
【0034】表2から明らかなように、超臨界流体に曝
して顔料化されたβ型フタロシアニン顔料、β型ジオキ
サジン顔料及びα型インダンスロンブルー顔料は着色力
および透明性ともに優れていた。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明の製造方法に
よれば、大量の有機溶剤や無機塩等を使用することなく
顔料化を行えるため産業廃棄物の発生がほとんどなく、
また、ニーダーなどの装置を使用せずに、従来よりも短
時間でセミクルードを結晶転移及び/又は結晶成長させ
ることができる。また、超臨界流体として、二酸化炭素
等の常温で気体の物質を使用すると回収が容易で、更に
顔料化の後に顔料を容易に分離することができ、濾過、
乾燥及び粉砕等の後処理工程を簡略化できる。よって、
有機顔料を従来よりも生産性良く提供することができ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機顔料セミクルードを超臨界流体に曝
    して結晶転移及び/又は結晶成長をさせることを特徴と
    する有機顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機顔料セミクルードが、フタロシアニ
    ン顔料セミクルード、ジオキサジン顔料セミクルード、
    インダンスロン顔料セミクルード、キナクリドン顔料セ
    ミクルード、イソインドリノン顔料セミクルード、ジケ
    トピロロピロール顔料セミクルードから選ばれる1種で
    あることを特徴とする請求項1に記載の有機顔料の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 超臨界流体が二酸化炭素であることを特
    徴とする請求項1または2のいずれかに記載の有機顔料
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 超臨界流体中に曝す時間が、60分以内
    であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに
    記載の有機顔料の製造方法。
  5. 【請求項5】 超臨界流体と均一相を形成するように、
    超臨界流体に有機溶剤を含めることを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれかに記載の有機顔料の製造方法。
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