JPH1160982A - β型銅フタロシアニン顔料の製造方法 - Google Patents

β型銅フタロシアニン顔料の製造方法

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JPH1160982A
JPH1160982A JP23241097A JP23241097A JPH1160982A JP H1160982 A JPH1160982 A JP H1160982A JP 23241097 A JP23241097 A JP 23241097A JP 23241097 A JP23241097 A JP 23241097A JP H1160982 A JPH1160982 A JP H1160982A
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JP
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copper phthalocyanine
type copper
organic solvent
crude
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JP23241097A
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English (en)
Inventor
Koji Ono
晃司 大野
Tadashi Sasaki
忠志 佐々木
Akiyoshi Kanai
明美 金井
Toshio Takei
俊夫 武井
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色力が高く、鮮明な色相を呈するβ型銅フ
タロシアニン顔料を、生産性、経済性、品質安定性、汎
用性等を損なうことなく製造するための製造方法を提供
すること。 【解決手段】 有機溶剤を含む粗製β型銅フタロシアニ
ン反応混合物から有機溶剤を除去して得られた粗製β型
銅フタロシアニンを、精製することなく、水及び有機溶
剤、好ましくは沸点30〜150℃の有機溶剤と共に粉
砕媒体の存在下で機械的に湿式粉砕して水性懸濁液と
し、次いで有機溶剤を除去した後、洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色相が鮮明で、着
色力も大きく、耐候性、耐熱性、耐薬品性などの諸耐性
に優れた青色顔料として色材工業において広範囲に使用
されているβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】β型銅フタロシアニン顔料は、色相が鮮
明で、着色力も大きく、耐候性、耐熱性、耐薬品性など
の諸耐性に優れた青色顔料として印刷インキ、塗料、プ
ラスチック等の着色剤として広範囲かつ多量に使用され
ている。通常、このようなβ型銅フタロシアニン顔料
は、粗製β型銅フタロシアニンを製造した後、機械的に
粉砕して微細化することによって製造される。
【0003】粗製β型銅フタロシアニンは、(I)フタ
ロニトリルと銅及び/又はその化合物を、有機溶剤中又
はその不存在下において、180〜300℃で常圧又は
加圧下で加熱反応させるか、(II)フタル酸及び/又は
その誘導体、銅及び/又はその化合物、尿素及び/又は
その誘導体を、触媒の存在下、有機溶剤中又はその不存
在下において、180〜300℃で常圧又は加圧下で加
熱反応させた後、有機溶剤を使用した場合には溶剤を留
去し、不純物を除去するためにアルカリ水溶液及び/又
は酸性水溶液中に分散し、濾過、水洗、乾燥して製造さ
れる。
【0004】しかしながら、これらの方法で得た粗製β
型銅フタロシアニンは、数ミクロンから数十ミクロンの
粒子からなっており、そのままでは着色力が低く、色相
もくすんでおり、着色剤としての利用価値は殆どない。
【0005】従って、これらの粗大粒子からなる粗製β
型銅フタロシアニンを数十ナノメータまで程度まで微細
化する(以後、この操作を「顔料化」と称す)ことによ
り、着色力や鮮明性のような顔料適性を付与する必要が
ある。
【0006】β型銅フタロシアニン顔料の製造方法とし
て、以下に示すような種々の製法が開示されている。
(1)特公昭38−7117号明細書には、粗製β型銅
フタロシアニンを水溶性無機塩類及び粘結剤と共にボー
ルミルやニーダー等を用いて湿式粉砕して顔料化し、水
洗、乾燥、粉砕する製法が開示されている。(2)特開
平7−310024号明細書及び特開平8−41369
号明細書には、粗製β型銅フタロシアニンをボールミル
等で乾式粉砕し、少量の有機溶剤を含む水性懸濁液中で
湿式粉砕した後、有機溶剤を留去し、濾過、水洗、乾
燥、粉砕する製法が開示されている。(3)米国特許
4,427,810号明細書には、粗製β型銅フタロシ
アニンを界面活性剤を含む水溶液中でボールミルやビー
ズミル等で湿式粉砕した後、必要に応じて有機溶剤を加
え、加熱処理を行った後、有機溶剤を留去し、濾過、水
洗、乾燥、粉砕する製法が開示されている。(4)特開
平6−80898号明細書には、粗製β型銅フタロシア
ニンを水及び/又は有機溶剤の混合物中でボールミルや
ビーズミル等で湿式粉砕した後、さらに有機溶剤を加
え、加熱処理を行った後、有機溶剤を除去し、濾過、水
洗、乾燥、粉砕する製法が開示されている。(5)米国
特許第2,556,727号明細書等には、粗製β型銅
フタロシアニンを有機溶剤中でボールミルやビーズミル
等で湿式粉砕した後、有機溶剤を除去し、濾過、水洗、
乾燥、粉砕する製法が開示されている。(6)特開平8
−302229号明細書には、高沸点芳香族溶剤中で粗
製β型銅フタロシアニンを製造し、溶剤を除去するする
ことなく、アトライターやサンドミル等で湿式粉砕し、
有機溶剤を除去した後、アルカリ性水溶液及び/又は酸
性水溶液中に分散し、濾過、水洗、乾燥する製法が開示
されている。
【0007】上記(1)〜(5)の製造方法で使用され
る粗製β型銅フタロシアニンは、いずれも反応に用いた
有機溶剤を留去した後、アルカリ性水溶液及び/又は酸
性水溶液中に分散し、濾過、水洗、乾燥、粉砕したもの
か、或いは、有機溶剤を使用しない場合においても、ア
ルカリ性水溶液及び/又は酸性水溶液中に分散し、濾
過、水洗、乾燥、粉砕したものを用いており、湿式粉砕
に用いる粉砕媒体は殆どの場合、平均直径5mm以下で
あることが例示されている。特に、特開平6−8089
8号明細書本文中には、純度及び色合いの改善のため、
硫酸で洗浄して精製した粗製銅フタロシアニン用いるこ
とが好ましいことが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1)の
製造方法では、粉砕に多大なエネルギーを必要とし、処
理時間が長く生産性が低く、無機塩や粘結剤の回収にも
多大な費用が必要である。(2)の製造方法では、粗製
β型銅フタロシアニンを一旦、乾式粉砕しなければなら
ず工程が繁雑であり、生産性に劣る。(3)の製造方法
では、粗製β型銅フタロシアニンが水中では分散しにく
いことや不安定なα型顔料の混入を防ぐため、界面活性
剤を多量に用いる必要があり、洗浄時に高BOD排水が
生じ、その処理が問題となり、水質汚染、環境汚染の原
因となる。(4)の製造方法では、有機溶剤中で湿式粉
砕を行うため、湿式粉砕時や溶剤留去時に結晶成長し、
着色力等の顔料適性を低下させる。また、特開平6−8
0898号明細書には、実施例2と実施例23から明ら
かなように、粗製銅フタロシアニンの純度が高い場合に
は、α型銅フタロシアニン顔料となることが例示されて
いる。(5)の製造方法では、湿式粉砕後にさらに有機
溶剤を添加する工程が必要であり、工程の簡素化や品質
の安定性という意味では好ましくない。いずれにせよ
(1)〜(5)の製造方法において、粗製フタロシアニ
ンの洗浄操作は、顔料までの工程を考えた場合、重複し
ており、生産性も低く不経済である。
【0009】また、上記(6)の製造方法では、粗製β
型銅フタロシアニンの製造に用いた高沸点芳香族溶剤中
で粉砕するため、粉砕が進行するにつれ、懸濁液の粘度
が高くなり、粉砕効率が低下するだけでなく、移送やそ
の他作業上の問題を引き起こすため、高濃度の懸濁液を
処理することが困難である。そのため使用する溶剤量が
多くなり、有機溶剤の除去に長時間を必要とし、生産性
が低い。
【0010】さらに、上記(5)及び(6)の製造方法
はいずれも、粗製β型銅フタロシアニンは微粒子化され
るものの、湿式粉砕時又は有機溶剤の除去時に加えられ
る熱により、粉砕された顔料が再び結晶成長し易く、銅
フタロシアニン誘導体のような結晶成長阻害物質を添加
する必要がある。しかも、銅フタロシアニン誘導体はコ
ストも高く、その添加は顔料の使用適性を制限するた
め、得られた顔料の汎用性が低下する。さらに、高沸点
芳香族溶剤を用いた場合には、顔料に有機溶剤が残留し
易く、臭気等の問題があった。
【0011】本発明が解決しようとする課題は、着色力
が高く、鮮明な色相を呈するβ型銅フタロシアニン顔料
を、生産性、経済性、品質安定性、汎用性等を損なうこ
となく製造するための製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意研究した結果、粗製β型銅フタロ
シアニンを湿式粉砕により顔料化する方法において、粗
製β型銅フタロシアニン反応混合物から反応に用いた有
機溶剤を除去した後、得られた粗製β型銅フタロシアニ
ンを、アルカリ水溶液及び/又は酸性水溶液中に分散、
濾過、水洗、乾燥する等による精製を行うことなく、水
及び有機溶剤と共に粉砕媒体の存在下で機械的に湿式粉
砕して水性懸濁液とし、次いで得られた水性懸濁液から
有機溶剤を、例えば共沸蒸留や水蒸気蒸留により除去し
た後、洗浄するβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法
は、粗製β型銅フタロシアニンの精製が不要で、生産
性、経済性、品質安定性、汎用性等を損なうことがな
く、銅フタロシアニン誘導体のような添加物の添加がな
くとも、着色力が高く、鮮明な色相を呈するβ型銅フタ
ロシアニン顔料を製造できること、湿式粉砕の際に用い
る有機溶剤としては、反応に用いた有機溶剤よりも沸点
の低いもの、例えば沸点30〜150℃の有機溶剤が好
ましく、なかでも沸点30〜150℃のアルカノール類
やジアルキルケトン類を必須とし、更に必要により沸点
30〜150℃の芳香族系炭化水素やエステル類等を加
えたものがより好ましく、回収も容易なこと、湿式粉砕
の際の粗製β型銅フタロシアニン濃度は5〜40重量%
が好ましいこと、等を見い出し、本発明を完成するに至
った。
【0013】即ち、本発明は、 (1) 有機溶剤を含む粗製β型銅フタロシアニン反応
混合物から有機溶剤を除去して得られた粗製β型銅フタ
ロシアニンを、精製することなく、水及び有機溶剤と共
に粉砕媒体の存在下で機械的に湿式粉砕して水性懸濁液
とし、次いで有機溶剤を除去した後、洗浄することを特
徴とするβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法、
【0014】(2) 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤
が、沸点30〜150℃の有機溶剤である上記(1)記
載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法、
【0015】(3) 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤
が、沸点30〜150℃のアルカノール類及び/又はジ
アルキルケトン類である上記(1)記載のβ型銅フタロ
シアニン顔料の製造方法、
【0016】(4) 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤
が、沸点30〜150℃の炭アルカノール類及び/又は
ジアルキルケトン類と、沸点30〜150℃の芳香族炭
化水素及び/又は脂肪族エステル類との混合有機溶剤で
ある上記(1)記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造
方法、
【0017】(5) 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤中
の沸点30〜150℃のアルカノール類及び/又はジア
ルキルケトン類の含有率が、70重量%以上である上記
(3)又は(4)記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製
造方法、
【0018】(6) 湿式粉砕の際の粗製β型銅フタロ
シアニン濃度が、5〜40重量%である上記(1)〜
(5)のいづれか一つに記載のβ型銅フタロシアニン顔
料の製造方法、
【0019】(7) 平均直径0.20〜0.50mm
の球状の粉砕媒体を用いたボールミル、アトライター又
はビーズミルにより湿式粉砕する上記(1)〜(6)の
いづれか一つに記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造
方法、及び
【0020】(8) 水性懸濁液から有機溶剤を除去す
る方法が、共沸蒸留又は水蒸気蒸留である上記(1)〜
(7)のいづれか一つに記載のβ型銅フタロシアニン顔
料の製造方法、を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の製造方法を更に詳
しく説明する。本発明で用いる、有機溶剤を含む粗製β
型銅フタロシアニン反応混合物としては、例えばフタ
ロニトリルと銅及び/又はその化合物を、不活性有機溶
剤中、180〜300℃で常圧又は加圧下に加熱反応さ
せて得られた反応液、フタル酸及び/又はその誘導
体、銅及び/又はその化合物、尿素及び/又はその誘導
体を、触媒の存在下に、不活性有機溶剤中、180〜3
00℃で常圧又は加圧下に加熱反応させて得られた反応
液等が挙げられる。しかしながら、フタロニトリルは、
高価なうえ、環境衛生上取扱いに特別な注意が必要であ
るため、フタル酸及び/又はその誘導体を用いて得られ
る上記の反応液がが好ましい。
【0022】上記フタル酸又はその誘導体としては、種
々の文献で広く知られている種々の化合物を特に制限な
く使用することができる。そのようなフタル酸又はその
誘導体としては、例えばフタル酸、その塩又はそのエス
テル、無水フタル酸、フタルイミド、フタルアミド酸、
その塩又はそのエステル等が挙げられる。さらに、これ
らの化合物のベンゼン核上に、塩素原子、臭素原子、ア
ルキル基、フェニル基、スルホン基の如き置換基を有す
るものであってもよい。
【0023】また、フタル酸及び/又はその誘導体の一
部に代えて、その他の化合物を用いることができ、その
他の化合物としては、特開昭61−203175号公報
に示されているような、無水トリメリット酸、無水ピロ
メリット酸の如き芳香族多塩基酸無水物;4−カロバモ
イルフタルイミド、ピロメリットイミドの如き芳香族多
塩基酸イミド;トリメリット酸アルキルエステル、ピロ
メリット酸アルキルエステルの如き芳香族多塩基酸エス
テル等の誘導体が挙げられる。これらの化合物は、単独
でも複数の化合物を併用してもよい。
【0024】これらのフタル酸又はその誘導体の中で
は、工業的規模での製造の際に原料として入手し易いこ
と、人体に対する安全性及び粗製β型銅フタロシアニン
の収率等の面から、無水フタル酸を用いることが好まし
い。また、溶剤を留去する工程での結晶成長を防ぎ、よ
り顔料に近い粒子径を有する粗製β型銅フタロシアニン
を製造し、湿式粉砕の効率を上げるために、上記その他
の化合物、なかでも芳香族多塩基酸無水物を極少量併用
することが特に好ましい。
【0025】上記その他の化合物は、その使用量が多い
ほど得られる粗製β型銅フタロシアニン粒子は細かくな
るが、多量に使用すると反応途中で内容物が固化した
り、製造コストや色相の不鮮明化、耐薬品性などが低下
することがある。従って、その使用量は自ずと制限さ
れ、フタル酸及び/又はその誘導体とその他の化合物の
総モル数に対して25モル%以下が好ましく、1〜10
モル%が特に好ましい。
【0026】本発明で粗製β型銅フタロシアニンの製造
に用いる銅又はその化合物としては、種々の文献で広く
知られている種々の化合物を特に制限なく使用すること
ができ、例えば、第一銅又は第二銅のハロゲン化物、酸
化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、シアン化
物、リン酸塩、硝酸塩、硫化物等が挙げられる。その使
用量は、フタル酸及び/又はその誘導体(その他の化合
物併用の場合はこれも含む。以下、同様)の総使用量の
4モルあたり0.8〜1.3モルの範囲が好ましい。
【0027】本発明で粗製β型銅タロシアニンの製造に
用いる尿素又はその誘導体としては、種々の文献で広く
知られている種々の化合物を特に制限なく使用すること
ができ、例えば、尿素、アンモニア等が挙げられる。そ
の使用量はフタル酸及び/又はその誘導体の総使用量の
4モルあたりアンモニアに換算して4〜26モルの範囲
が好ましい。
【0028】本発明で粗製β型銅フタロシアニンの製造
に用いる有機溶剤としては、製造に際してフタル酸等の
原料に対して不活性なものであればよく、種々の文献で
広く知られている種々の化合物を特に制限なく使用する
ことができ、例えば、アルキルベンゼン、アルキルナフ
タレン、テトラリン等の芳香族炭化水素;アルキルシク
ロヘキサン、デカリン、アルキルデカリン等の脂環式炭
化水素;デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素;ニトロ
ベンゼン、o−ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合
物;トリクロロベンゼン、クロルナフタレン等の芳香族
ハロゲン化炭化水素;ジフェニルエーテル等のエーテル
類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、メチルスルホ
ラン、ジメチルスルホラン、N−メチルスルホラン等の
硫黄化合物、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾ
リジノン等の複素環式化合物等が挙げられる。これらは
2種以上の混合物であってもよい。
【0029】本発明で粗製β型銅フタロシアニンの製造
に用いる触媒は、種々の文献で広く知られている種々の
化合物を特に制限なく使用することができ、例えば、モ
リブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン、リンモリブ
デン酸等のモリブデン化合物、四塩化チタン、チタン酸
エステル等のチタン化合物、塩化ジルコニウム、炭酸ジ
ルコニウム等のジルコニウム化合物、酸化アンチモン、
酸化ヒ素、ホウ酸等が挙げられ、これら2種以上を併用
してもよい。その総使用量は、一般にフタル酸及び/又
はその誘導体の総使用量の4モルあたり、0.01〜
0.04当量の範囲が好ましい。
【0030】粗製β型銅フタロシアニン反応混合物から
有機溶剤を除去する方法としては、特に限定はなく、濾
過、減圧蒸留、共沸蒸留、水蒸気蒸留、スプレードラ
イ、フラッシュ蒸留等が挙げられる。この際の有機溶剤
は、完全に除去する必要はなく、通常90重量%以上、
なかでも95重量%以上除去することが好ましい。
【0031】本発明の湿式粉砕時に使用する有機溶剤と
しては、芳香族系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤等、各種
の有機溶剤が使用可能であり、沸点30〜150℃の範
囲にあるものが好ましい。これら沸点30〜150℃の
有機溶剤としては、アルカノール類、ジアルキルケトン
類、グリコールエーテル類、エーテル類、脂肪族エステ
ル類が好ましく、なかでも回収が容易で、湿式粉砕によ
り着色力の高い顔料が得られることから、アルカノール
類とジアルキルケトン類が特に好ましい。これらは併用
することもできる。
【0032】アルカノール類としては、例えば、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタ
ノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノ
ール等が、グリコールエーテル類としては、例えば、メ
チルグリコール、エチルグリコール、ブチルグリコー
ル、エチルジグリコール、メトキシプロパノール、メト
キシブタノール、エチレングリコール−モノメチルエ−
テル、エチレングリコール−モノエチルエ−テル、プロ
ピレングリコール−モノメチルエーテル、プロピレング
リコール−モノエチルエーテル等が、エーテル類として
は、例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等
が、ジアルキルケトン類としては、例えば、アセトン、
ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチ
ルケトン等が、脂肪族エステル類としては、例えば、メ
チルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート
等がそれぞれ挙げられる。
【0033】これらの有機溶剤の中で、アルカノール類
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールのような炭素原子数が1〜6のアルカノール類
が好ましく、ジアルキルケトン類としては、アセトン、
メチルエチルケトンのような炭素原子数が3〜5のジア
ルキルケトン類が好ましく、脂肪族エステル類として
は、エチルアセテートが好ましい。
【0034】これらの有機溶剤は、単独で使用しても良
いが、沸点30〜150℃のアルカノール類及び/又は
ジアルキルケトン類に、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水
素、脂肪族エステル類、好ましくは沸点30〜150℃
の芳香族炭化水素及び/又は脂肪族エステル類を併用す
ると、粗製β型銅フタロシアニンの水性懸濁液中への分
散が容易で、湿式粉砕時の水性懸濁液の粘度も低く、作
業性が良好であり、α型顔料の混入もなく、着色力の高
い顔料が得られることから好ましい。
【0035】ここで用いる芳香族炭化水素としては、例
えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベ
ンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロ
ロベンゼン又はブロモベンゼン、ニトロベンゼン、フェ
ノール類等を挙げることができ、なかでもアルキルベン
ゼン類が好ましく、溶剤除去のし易さから沸点が80〜
150℃の範囲にあるトルエンやキシレン等が特に好ま
しい。
【0036】また、脂肪族炭化水素としては、例えば、
粗製β型銅フタロシアニンの合成に用いられるようなミ
ネラルスピリット、ケロシン、アルキルシクロヘキサ
ン、デカリン、アルキルデカリン、デカン、ドデカン等
を挙げることができ、なかでも臭気等の問題から沸点が
100〜250℃の範囲にある溶剤が好ましい。これら
の脂肪族炭化水素は、芳香族化合物に比べ、顔料に対す
る親和性が弱いためか、顔料に対する結晶成長能も小さ
く、回収も比較的容易である。
【0037】湿式粉砕時に使用する有機溶剤の量として
は、特に限定されないが、水と有機溶剤の合計重量に対
して10〜80重量%の範囲が良く、溶剤を回収して再
利用しやすいため、水との共沸組成、又はその前後の割
合が好ましい。
【0038】本発明の湿式粉砕における水性懸濁液中の
粗製β型銅フタロシアニン濃度は、有機溶剤の種類や
量、さらには湿式粉砕の程度に依存しており、5〜40
重量%の範囲が好ましく、生産性や作業性を考慮した場
合、10〜30重量%の範囲が特に好ましい。
【0039】本発明の製造方法において使用する機械的
エネルギーを与える湿式粉砕機としては、例えば、ボー
ルミル、ペブルミル、振動ミル、アトリッションミル、
アトライター、アジテーターミル、コロイドミル等が挙
げられる。これらの湿式粉砕機の中でも、連続流通式の
アジテーターミルは、微細な粉砕媒体が使用でき、シリ
ンダー容量が小さくても多量の処理が可能であり、ま
た、粉砕効率も高く粉砕時間が短縮でき、かつ、得られ
る顔料粒子径の均一性が高いなどの利点があり好まし
い。その具体例としては、グレインミル、ジョンミル、
コブラミル、サンドグラインダー、サンドミル、ダイノ
ーミル、パールミル、コボルミル、スーパーミル等が挙
げられる。
【0040】なお、湿式粉砕に用いる粉砕媒体として
は、平均直径が1.00mmを越える大きさの粉砕媒体を
用いることも可能であるが、その直径は小さいほど粉砕
力は増す。しかし、平均直径があまりに小さいと水性懸
濁液からの分離が難しくなるため、粉砕媒体の平均直径
は0.10〜1.00mmの範囲が好ましく、0.20〜
0.50mmの範囲が特に好ましい。
【0041】また、湿式粉砕に用いる粉砕媒体の種類と
しては、ガラス製、セラミック製、アルミナ製、ジルコ
ニア製、スチール製、窒化ケイ素製、サイアロン製、炭
化ケイ素製等のビーズが挙げられるが、粉砕媒体の比
重、耐摩耗性及び入手の容易さからイットリウム処理さ
れたジルコニア製ビーズが好ましい。
【0042】湿式粉砕後の水性懸濁液から有機溶剤を除
去する方法としては、濾過、減圧蒸留、共沸蒸留、水蒸
気蒸留等、スプレードライ、フラッシュ蒸留等が挙げら
れる。これらの有機溶剤を除去する方法のなかでも共沸
蒸留や水蒸気蒸留は特殊な設備も必要としないため特に
好ましい。
【0043】本発明において湿式粉砕に供する粗製β型
銅フタロシアニンとしては、反応混合物から有機溶剤を
除去しただけのもので、特に精製されていないものを用
いることが必須である。この原因は定かではないが、恐
らく当該反応混合物中の不純物が湿式粉砕する工程や得
られた懸濁液から有機溶剤を留去する工程での顔料の結
晶転移や結晶成長を抑える作用をしているため、上記の
本発明が解決しようとする課題を解決するに至ったもの
と推察される。また、アルカノール類及び/又はジアル
キルケトン類と、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂
肪族エステル類とを併用することによって粗製β型銅フ
タロシアニンの媒体中への湿潤とα型銅フタロシニンの
生成が防止できる。
【0044】本発明により得られたβ型銅フタロシアニ
ン顔料は、印刷インキワニス、塗料用樹脂、プラスチッ
ク用樹脂等の目的に応じた媒体中へ分散することによ
り、印刷インキ、塗料、プラスチック着色剤等を製造す
ることができる。
【0045】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更
に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に
限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較
例において「部」及び「%」は、夫々『重量部』及び
『重量%』を表わす。
【0046】<実施例1>無水フタル酸245部、尿素
310部、無水塩化第一銅40部、モリブデン酸アンモ
ニウム0.9部及び有機溶剤として「ハイゾールP」
(日本石油化学(株)製の芳香族炭化水素化合物)550
部を反応器に仕込み、撹拌しながら加熱し、180℃ま
で昇温させた後、同温度で2.5時間反応して得られた
反応混合物から減圧蒸留によってハイゾールPの99%
以上を除去して粗製β型銅フタロシアニンを得た。得ら
れた粗製β型銅フタロシアニンの純度は92%であっ
た。なお、減圧蒸留によって除去したハイゾールPは再
利用した。
【0047】得られた粗製β型銅フタロシアニン200
部を、水437部、メタノール632部及びキシレン6
4部からなる混合液中に分散させた。これを、平均直径
が0.30mmのジルコニアビーズ3700部を充填した
ビーズミル(日本アイリッヒ(株)製PM−DCP12
型)を用い、ミル回転数1280rpm(湿式粉砕機周
速11.4m/秒)、分散液の供給速度100部/分の
条件で2回通して湿式粉砕し、水性懸濁液を得た。
【0048】得られた水性懸濁液から吸引濾過により有
機溶剤を除去した後、スラリー中の苛性ソーダ濃度が1
〜2%となるまで20%苛性ソーダ水溶液を加え、80
〜90℃で1時間撹拌した後、吸引濾過した。このよう
にして得たケーキを2%塩酸水溶液1500部中に解膠
し、濾過し、温水で充分洗浄した後、乾燥させてβ型銅
フタロシアニン顔料を得た。なお、吸引濾過により除去
した有機溶剤は組成を調製した後、再利用した。
【0049】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を下記に示す方法により作成した印刷インキ試験で
着色力、色相を評価し、結果を以下の実施例、比較例と
ともに表1に示した。
【0050】なお、色相の評価は、β型銅フタロシアニ
ン顔料0.40部、印刷インキ用MG−63ワニス(大
日本インキ化学工業(株)製)1.60部をフーバーマー
ラー(東洋精機(株)製)を用いて分散させて、印刷用イ
ンキを得、次いで、この印刷用インキ0.20部と白イ
ンキ2.00部をフーバーマーラーで混合し、ヘラで展
色して得られた展色物を分光光度計で測色した場合の色
相で評価し、着色力の評価は、下記比較例1で得たβ型
銅フタロシアニン顔料を用いた以外は同様にして得た展
色物の着色力を基準とした場合の相対着色力で評価し
た。
【0051】<比較例1>実施例1と同様にして合成さ
れた粗製β型銅フタロシアニン300部を、2%苛性ソ
ーダ水溶液3000部中に加え、75〜80℃で1時間
攪拌した後、濾過し、さらに濾過物を温水で洗浄した。
次いで、この濾過物を2%硫酸水溶液中に加え、75〜
80℃で1時間攪拌した後、濾過し、さらに濾過物を温
水で充分洗浄し、乾燥して、比較用の粗製β型銅フタロ
シアニンを得た。
【0052】この粗製β型銅フタロシアニン180部と
銅フタロシアニンのベンゼン核上にフタルイミドメチレ
ン基を有する化合物20部を、水1710部及びイソブ
タノール90部からなる混合液中に分散させた。これ
を、平均直径が0.30mmのジルコニアビーズ3700
部を充填したビーズミル(日本アイリッヒ(株)製PM−
DCP12型)を用い、ミル回転数1280rpm(湿
式粉砕機周速11.4m/秒)、分散液の供給速度10
0部/分の条件で2回通して湿式粉砕し、水性懸濁液を
得た。
【0053】次いで、得られた水性懸濁液に、水500
部とイソブタノール200部を加え、共沸蒸留により有
機溶媒を除去後、吸引濾過した。このようにして得たケ
ーキを温水で充分洗浄した後、乾燥させてβ型銅フタロ
シアニン顔料を得た。しかし、X線回折チャートから少
量のα型顔料の混入が認められた。
【0054】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。なお、着色力は100.0とし、基準とし
た。
【0055】<実施例2>実施例1と同様に合成された
粗製β型銅フタロシアニン200部を、水1000部、
イソプロパノール700部及びキシレン100部からな
る混合液中に分散させた。これを、平均直径が0.30
mmのジルコニアビーズ3700部を充填したビーズミル
(日本アイリッヒ(株)製PM−DCP12型)を用い、
ミル回転数1280rpm(湿式粉砕機周速11.4m
/秒)、分散液の供給速度100部/分の条件で2回通
して湿式粉砕し、水性懸濁液を得た。
【0056】得られた水性懸濁液から共沸蒸留により有
機溶剤を除去した後、スラリー中の苛性ソーダ濃度が1
〜2%となるまで20%苛性ソーダ水溶液を加え、80
〜90℃で1時間撹拌した後、吸引濾過した。このよう
にして得たケーキを2%塩酸水溶液1500部中に解膠
し、濾過し、温水で充分洗浄した後、乾燥させてβ型銅
フタロシアニン顔料を得た。
【0057】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0058】<実施例3>実施例1と同様に合成された
粗製β型銅フタロシアニン36.5部を、水65部、メ
タノール127部及び酢酸エチル15部からなる混合液
中に分散させた。これを、容積0.6Lの容器に平均直
径0.5mmのシルコニアビーズ500部を充填したサン
ドグラインダーを用い、ディスク回転数1100rpm
(湿式粉砕機周速3.6m/秒)の条件で6時間湿式粉
砕した。なお、湿式粉砕後の水性懸濁液温度は60℃に
達していた。その後、ジルコニアビーズを濾別し、湿式
粉砕処理された水性懸濁液を得た。
【0059】得られた水性懸濁液から減圧下で共沸蒸留
により有機溶剤を除去した後、スラリー中の苛性ソーダ
濃度が1〜2%となるまで20%苛性ソーダ水溶液を加
え、80〜90℃で1時間撹拌した後、吸引濾過した。
このようにして得たケーキを2%塩酸水溶液150部中
に解膠し、濾過し、温水で充分洗浄した後、乾燥させて
β型銅フタロシアニン顔料を得た。
【0060】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0061】<実施例4>無水フタル酸17,800
部、無水トリメリット酸230部、尿素2,360部、
無水塩化第一銅3,000部、モリブデン酸アンモニウ
ム67部及び有機溶剤として「ハイゾールP」(日本石
油化学(株)製の芳香族炭化水素)39,700部を反応
器に仕込み、撹拌しながら加熱し、200℃まで昇温さ
せた後、同温度で2.5時間反応させた。得られた反応
混合物から減圧蒸留によってハイゾールPの99%以上
を除去して粗製β型銅フタロシアニンを得た。得られた
粗製β型銅フタロシアニンの純度は92%であった。な
お、減圧蒸留によって除去したハイゾールPは再利用し
た。
【0062】得られた粗製β型銅フタロシアニン11,
000部を、水23,500部、メタノール34,00
0部及びキシレン3,500部からなる混合液中に分散
させた。これを、平均直径が0.30mmのジルコニアビ
ーズ32,000部を充填したビーズミル(アシザワ
(株)製システムゼータLMZ10型)を用い、ミル回転
数1300rpm(湿式粉砕機周速13m/秒)、分散
液の供給速度20,000部/分の条件で120分間循
環させて湿式粉砕し、水性懸濁液を得た。
【0063】得られた水性懸濁液400部を取り、減圧
蒸留により有機溶剤を除去した後、スラリー中の苛性ソ
ーダ濃度が1〜2%となるまで20%苛性ソーダ水溶液
を加え、80〜90℃で1時間撹拌した後、吸引濾過し
た。このようにして得たケーキの一部[187部(顔料
分30%)]を2%塩酸水溶液5,000部中に解膠
し、濾過し、温水で充分洗浄した後、乾燥させてβ型銅
フタロシアニン顔料を得た。なお、減圧蒸留により除去
した有機溶媒は組成を調製した後、再利用した。
【0064】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0065】<実施例5>実施例4で用いたのと同一の
粗製β型銅フタロシアニン200部を、水437部、メ
タノール632部及びキシレン64部からなる混合液中
に分散させた。これを、平均直径が0.30mmのジルコ
ニアビーズ3700部を充填したビーズミル(日本アイ
リッヒ(株)製PM−DCP12型)を用い、ミル回転数
1280rpm(湿式粉砕機周速11.4m/秒)、分
散液の供給速度100部/分の条件で2回通して湿式粉
砕し、水性懸濁液を得た。
【0066】得られた水性懸濁液から吸引濾過により有
機溶剤を除去した後、スラリー中の苛性ソーダ濃度が1
〜2%となるまで20%苛性ソーダ水溶液を加え、80
〜90℃で1時間撹拌した後、吸引濾過した。このよう
にして得たケーキを2%塩酸水溶液1500部中に解膠
し、濾過し、温水で充分洗浄した後、乾燥させてβ型銅
フタロシアニン顔料を得た。
【0067】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0068】<実施例6>実施例4で用いたのと同一の
粗製β型銅フタロシアニン200部を、水355部、メ
タノール696部及び酢酸エチル82部からなる混合液
中に分散させた。これを、平均直径が0.30mmのジル
コニアビーズ3700部を充填したビーズミル(日本ア
イリッヒ(株)製PM−DCP12型)を用い、ミル回転
数1280rpm(湿式粉砕機周速11.4m/秒)、
分散液の供給速度100部/分の条件で2回通して、湿
式粉砕し、水性懸濁液を得た。
【0069】得られた水性懸濁液から共沸蒸留により有
機溶剤を除去した後、スラリー中の苛性ソーダ濃度が1
〜2%となるまで20%苛性ソーダ水溶液を加え、80
〜90℃で1時間撹拌した後、吸引濾過した。このよう
にして得たケーキを2%塩酸水溶液1500部中に解膠
し、濾過し、温水で充分洗浄した後、乾燥させてβ型銅
フタロシアニン顔料を得た。
【0070】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0071】<実施例7>実施例4で用いたのと同一の
粗製β型銅フタロシアニン600部を、水780部、イ
ソプロパノール550部及びキシレン70部からなる混
合液中に分散させた。これを、平均直径が0.30mmの
ジルコニアビーズ3700部を充填したビーズミル(日
本アイリッヒ(株)製PM−DCP12型)を用い、ミル
回転数1280rpm(湿式粉砕機周速11.4m/
秒)、分散液の供給速度100部/分の条件で6回通し
て湿式粉砕し、水性懸濁液を得た。
【0072】得られた水性懸濁液から共沸蒸留により有
機溶剤を除去した後、スラリー中の苛性ソーダ濃度が1
〜2%となるまで20%苛性ソーダ水溶液を加え、80
〜90℃で1時間撹拌した後、吸引濾過した。このよう
にして得たケーキを2%塩酸水溶液5000部中に解膠
し、濾過し、温水で充分洗浄した後、乾燥させてβ型銅
フタロシアニン顔料を得た。
【0073】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0074】<実施例8>水355部、メタノール69
6部及び酢酸エチル82部からなる混合液の代わりに、
水453部、メチルエチルケトン112部及びアセトン
568部からなる混合液を用いた以外は実施例6と同様
にして、β型銅フタロシアニン顔料を得た。
【0075】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0076】<実施例9>水355部、メタノール69
6部及び酢酸エチル82部からなる混合液の代わりに、
水376部及びイソブタノール757部からなる混合液
を用いた以外は実施例6と同様にして、β型銅フタロシ
アニン顔料を得た。
【0077】このようにして得たβ型銅フタロシアニン
顔料を実施例1と同様な方法で評価した。その結果を表
1に示した。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】着色力が高く、鮮明な色相を呈するβ型
銅フタロシアニン顔料を、生産性、経済性、品質安定
性、汎用性等を損なうことなく製造することができる。
また、本発明の製造方法によって製造されたβ型銅フタ
ロシアニン顔料は、分散性も良好であり、そのまま樹
脂、ワニス、プラスチック等の目的に応じた媒体中へ分
散させることにより、塗料、インキ、プラスチック着色
剤等を製造することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶剤を含む粗製β型銅フタロシアニ
    ン反応混合物から有機溶剤を除去して得られた粗製β型
    銅フタロシアニンを、精製することなく、水及び有機溶
    剤と共に粉砕媒体の存在下で機械的に湿式粉砕して水性
    懸濁液とし、次いで有機溶剤を除去した後、洗浄するこ
    とを特徴とするβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤が、沸点
    30〜150℃の有機溶剤である請求項1記載のβ型銅
    フタロシアニン顔料の製造方法。
  3. 【請求項3】 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤が、沸点
    30〜150℃のアルカノール類及び/又はジアルキル
    ケトン類である請求項1記載のβ型銅フタロシアニン顔
    料の製造方法。
  4. 【請求項4】 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤が、沸点
    30〜150℃の炭アルカノール類及び/又はジアルキ
    ルケトン類と、沸点30〜150℃の芳香族炭化水素及
    び/又は脂肪族エステル類との混合有機溶剤である請求
    項1記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  5. 【請求項5】 湿式粉砕の際に用いる有機溶剤中の沸点
    30〜150℃のアルカノール類及び/又はジアルキル
    ケトン類の含有率が、70重量%以上である請求項3又
    は4記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  6. 【請求項6】 湿式粉砕の際の粗製β型銅フタロシアニ
    ン濃度が、5〜40重量%である請求項1〜5のいづれ
    か一つに記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  7. 【請求項7】 平均直径0.20〜0.50mmの球状
    の粉砕媒体を用いたボールミル、アトライター又はビー
    ズミルにより湿式粉砕する請求項1〜6のいづれか一つ
    に記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  8. 【請求項8】 水性懸濁液から有機溶剤を除去する方法
    が、共沸蒸留又は水蒸気蒸留である請求項1〜7のいづ
    れか一つに記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005075577A1 (en) * 2004-01-29 2005-08-18 Ciba Specialty Chemicals Holding Inc. Beta copper phthalocyanine composition and conditioning process leading thereto
JP2007297483A (ja) * 2006-04-28 2007-11-15 Toyo Ink Mfg Co Ltd 顔料の微細化方法、および該方法で得られる微細顔料を用いた着色組成物
US7569106B2 (en) * 2004-06-16 2009-08-04 Colour Ltd. Method for producing β copper phthalocyanine blue pigments and use thereof

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