JP2008019383A - ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン、感光性組成物およびカラーフィルター - Google Patents

ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン、感光性組成物およびカラーフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】黄味が強く明度の高い緑色を発色し、高輝度、高コントラストかつ高明度のカラーフィルターの緑色画素部を形成するのに適したポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを提供する。
【解決手段】X線回折スペクトルにおいて、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)26.4゜に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°にピークを有することを特徴とするポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン、感光性樹脂と同ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンとを必須成分して含むカラーフィルター緑色画素部用感光性組成物及び同ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを緑色画素部に含有してなるカラーフィルタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置のカラーフィルターに用いるのに好適なポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン、それを含有してなる感光性組成物およびこれを用いたカラーフィルターに関する。
従来使用されていたカラーフィルターは高透明性であり、バックライトの輝線を良く透過させて色表示できる顔料が優れているとされていた。この技術は現在でも携帯電話やモバイルゲーム機、PDA等、二次電池や乾電池等の限られた電気量で、バックライト光源が電気容量を小さくする必要のある機器については有利である。
しかしながら、パーソナルコンピュータの液晶表示モニター、液晶テレビ等、電源を常につないだ状態で使用される機器に使用されるカラーフィルターは、バックライト光源が常に供給される電源を持つため、その要求特性は色純度が高く、かつ高透過性の色材が要求される。
この高色純度が要求される液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、ガラス等の透明基板上に赤色、緑色、青色の3色のパターンが形成されたものであり、緑色の着色パターンを形成するためには、一般に塩素化銅フタロシアニン顔料(C.I.PIGMENT Green7)や塩素化臭素化銅フタロシアニン(C.I.PIGMENT Green36)等の緑色顔料からなる着色剤が使用されている。
銅フタロシアニンは、銅原子のまわりに4個のイソインドールを持つ環状化合物であり、1分子中に4個の芳香環を有する。そして、この芳香環はそれぞれ4個の水素原子を有していて、これら合計16個の水素原子は臭素、塩素等のハロゲン原子によって置換可能である。
従って、高色純度が要求される液晶表示装置に用いられるカラーフィルターの緑色パターンに使用される上記着色剤は、通常、この16個の水素原子のうちの一部またはすべてが、塩素や臭素によって置換されたポリハロゲン化銅フタロシアニン顔料を含む緑色顔料組成物が使用されていた。
これとは別に、最近では特許文献1〜3にある様に、カラーフィルタの緑色画素部を、ポリハロゲン化銅フタロシアニン顔料よりも高色再現域が広く、着色力が高い、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを緑色顔料として使用して形成することが知られている。
特開2003−176424公報 特開2004−70342公報 特開2004―70343公報
しかしながら、これら特許文献に従って得られる、公知のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、X線回折スペクトルにおいて、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)25.0゜に最大回折ピークを有し、16.8°,23.1°,32.4°にピークを有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンであった。
この様な結晶型のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、初期においては優れた性質を示すものの、機械的応力や有機溶剤との接触・浸漬、或いは熱負荷に対して比較的不安定であり、色味が安定せず発色が赤味がかったり、明度が低くなってしまい、初期の優れた性質が安定的に維持し難いという場合があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、初期のみならず、安定的に、黄味が強く明度の高い緑色を発色し、例えば、結果的に高輝度、高コントラストかつ高明度のカラーフィルターの緑色画素部を形成するのに適した結晶型のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを提供することを課題とする。さらには調色するにしても、より少ない黄色顔料の併用で済み、調色によっても明度の低下がより小さいカラーフィルターを安定に提供することを課題とする。
本発明は、公知のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの製造方法を新たに工夫することにより、従来とは異なる新規な結晶型が出現し、それがより高輝度、より高コントラストかつより高明度を有するカラーフィルターの緑色画素部の形成に好適であることを見いだし、本発明に至ったものである。
即ち本発明は、本発明は上記課題を解決するために、X線回折スペクトルにおいて、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=26.4゜に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°にピークを有することを特徴とするポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを提供する。
また本発明は、感光性樹脂と、前記をポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン必須成分して含むカラーフィルター緑色画素部用感光性組成物を提供する。
更に本発明は、前記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを緑色画素部に含有するカラーフィルタを提供する。
本発明の新規結晶型のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、X線回折スペクトルにて特定ブラッグ角にピークを有しているので、従来の結晶型のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンに比べて、輝度、コントラスト及び光透過率にいずれにおいても性能上優位であり、それが安定的に持続するという格別顕著な効果を奏する。したがって、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、例えばディスプレー等の大画面用のカラーフィルターの緑色画素部のパターンの形成に最適である。
また本発明の感光性組成物は、前記したX線回折スペクトルにて特定ブラッグ角にピークを有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含有するので、容易に輝度、コントラスト及び光透過率にいずれにおいても性能上優位なカラーフィルターを製造出来るという格別顕著な効果を奏する。
さらに本発明のカラーフィルターは、前記したX線回折スペクトルにて特定ブラッグ角にピークを有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含有するので、輝度、コントラスト及び光透過率にいずれにおいても性能上優位であるという格別顕著な効果を奏する。
亜鉛フタロシアニンは、フタロシアニン環中に16個の水素原子を有しているため、これらの水素原子を、最大16個まで臭素原子及び/又は塩素原子で置換することが出来る。これらハロゲン原子は、全て同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。置換基数を一定とした場合には、臭素原子>塩素原子の順に緑色が濃くなる。これら水素原子を、臭素原子と、例えば塩素原子とで置換すると、臭素原子数が0〜16個、塩素原子数が0〜16個、水素原子数が0〜16個の範囲で、理論上では合計136種類の置換体を製造できる。
この様なポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、具体的には下記一般式にて表される。
Figure 2008019383
(上記一般式1中、X〜X16は、いずれも独立に塩素原子、臭素原子または水素原子である。ただし、全てのXのうち少なくとも8つは、塩素原子または臭素である。)
ここで、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、臭素原子を8個以上含有することが、黄味を帯びた明度の高い緑色を発色し、カラーフィルターの緑色画素部パターンへの使用に最適であるので最適である。本発明では、臭素原子を8個以上含有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンという。
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの平均組成は、マススペクトロスコピーに基づく質量分析と、フラスコ燃焼イオンクロマトグラフによるハロゲン含有量分析から容易に求められる。
また本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、X線回折スペクトルにおいて、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=26.4゜に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°にピークを有することを特徴とする。
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、例えば、クロルスルホン酸法、ハロゲン化フタロニトリル法、溶融法等の様な公知の製造方法で製造できる。
クロルスルホン酸法としては、亜鉛フタロシアニンを、クロロスルホン酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解し、これに塩素ガス、臭素を仕込みハロゲン化する方法が挙げられる。この際の反応は、温度20〜120℃かつ1〜10時間の範囲で行われる。
ハロゲン化フタロニトリル法としては、例えば、芳香環の水素原子の一部または全部が臭素の他、塩素等のハロゲン原子で置換されたフタル酸やフタロジニトリルと、亜鉛の金属または金属塩を適宜出発原料として使用して、対応するハロゲン化金属フタロシアニンを合成する方法が挙げられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いてもよい。この際の反応は、温度100〜300℃かつ1〜30時間の範囲で行われる。
溶融法としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムの様なハロゲン化アルミニウム、四塩化チタンの様なハロゲン化チタン、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の様なアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物〔以下、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物という〕、塩化チオニル等、各種のハロゲン化の際に溶媒となる化合物の一種または二種以上の混合物からなる10〜170℃程度の溶融物中で、亜鉛フタロシアニンをハロゲン化剤にてハロゲン化する方法が挙げられる。
好適なハロゲン化アルミニウムは、塩化アルミニウムである。ハロゲン化アルミニウムを用いる上記方法における、ハロゲン化アルミニウムの添加量は、金属フタロシアニンに対して、通常は、3倍モル以上であり、好ましくは10〜20倍モルである。
ハロゲン化アルミニウムは単独で用いてもよいが、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物をハロゲン化アルミニウムに併用すると溶融温度をより下げることができ操作上有利になる。好適なアルカリ(土類)金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウムである。加えるアルカリ(土類)金属ハロゲン化物の量は溶融塩を生成する範囲内でハロゲン化アルミニウム10質量部に対してアルカリ(土類)金属ハロゲン化物が0〜10質量部が好ましい。
また、ハロゲン化アルミニウムとして、塩化アルミニウムを用いる場合には、塩化チオニルや四塩化チタンを溶媒として用いることが好ましい。塩化チオニルや四塩化チタンの量は金属フタロシアニン1質量部に対して、1質量部以上、好ましくは2〜10質量部である。
ハロゲン化剤としては、塩素ガス、塩化スルフリル、臭素等がある。
ハロゲン化の温度は10〜170℃が好ましいが、30〜140℃がより好ましい。更に、反応速度を速くするため、加圧することも可能である。反応時間は、5〜100時間で好ましくは、10〜30時間である。
前記化合物の二種以上を併用する溶融法は、溶融塩中の塩化物と臭化物とヨウ素化物の比率を調節したり、塩素ガスや臭素やヨウ素の導入量や反応時間を変化させたりすることによって、生成するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン中における種々のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの比率を任意にコントロールすることができるので好ましい。
反応中の原料の分解が少なく原料からの収率がより優れ、強酸を用いず安価な装置にて反応を行えるので、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを得る上では、溶融法が好適である。
上記いずれの製造方法にせよ、反応終了後、得られた混合物を水又は塩酸等の酸性水溶液中に投入すると、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンが沈殿する。その後、濾過、水または硫酸水素ナトリウム水、炭酸水素ナトリウム水、水酸化ナトリウム水洗浄、必要に応じてアセトン、トルエン、メチルアルコール、エチルアルコール、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤洗浄を行い、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの原料として用いるのが好ましい。
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、前記した様な洗浄により得られたウエットケーキまたはこれを乾燥して得た乾燥物を、結晶変換させることで、新規な結晶型の本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンとすることが出来る。
この結晶変換は、例えば、原料となるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを有機溶剤中で加熱することにより行うことが出来る。
有機溶剤としては、例えばアルキルベンゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソブタノール等のアルコール、アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキルデカリン等の脂環式炭化水素、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等の芳香族ハロゲン化炭化水素、スルホラン、ジメチルスルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、キノリン等の複素環化合物等を挙げることが出来、これらの2種以上の混合物としても使用出来る。必要であれば、結晶成長や結晶変換の速度を、より制御しやすい好適な範囲とするために水が併用されても良い。
中でも、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の常温液状の芳香族炭化水素が、少量かつより低温での加熱において、結晶成長及び結晶変換の程度を容易に制御することが出来、入手や取扱いが容易であることから好ましい。
この際の有機溶剤の使用量は、例えば、質量換算でポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン100部当たり、500〜1500部、中でも800〜1200部とすることが好ましい。必要であれば、結晶成長や結晶変換の速度を、より制御しやすい好適な範囲とするために水が併用することが出来る。
またこの加熱は、常圧、加圧、減圧下のどの状態で行っても良い。有機溶剤のみまたは有機溶剤を含む液媒体での加熱は、有機溶剤が揮散しない様にして、温度、沸点±20℃の範囲、時間、1〜10時間の範囲で行うことが出来る。常圧においては、乾留しながら3〜8時間加熱することが好ましい。
こうして、X線回折スペクトルにおいて、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)25.0゜に最大回折ピークを有し、16.8°,23.1°,32.4°にピークを有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=26.4゜に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°にピークを有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンとすることが出来る。
加熱終了後は、有機溶剤を分離し、好適には、得られたポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを結晶変換に寄与しない液体にて洗浄し乾燥することで、本発明の新規結晶型のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを得ることが出来る。
こうして得られた本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式摩砕し、次いで、ソルベントソルトミリング法やソルベント法等で顔料化することによって、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmであるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを得ることが出来る。この様な操作を行うことで、顔料化前よりは、分散性や着色力に優れ、かつ、黄味を帯びた明度が高く、コントラストの高い緑色を発色するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンとすることが出来る。
なお、本発明における一次粒子の平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子株式会社製)で視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の、凝集体を構成するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン一次粒子の50個につき、その長い方の径(長径)を各々求め、それを平均した値である。この際、試料であるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、これを溶媒に超音波分散させてから顕微鏡で撮影する。また、透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
前記した顔料化方法は特に制限はないが、例えば多量の有機溶剤中でハロゲン化金属フタロシアニンを加熱攪拌するソルベント処理よりも、容易に結晶成長を抑制でき、かつ平均粒子径の比較的小さい顔料粒子が得られる点で、ソルベントソルトミリング処理を採用するのが好ましい。
このソルベントソルトミリングとは、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンと、無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕することを意味する。勿論、前記した様に粒子径の大きいポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは乾式摩砕してからソルベントソルトミリングを行っても良い。具体的には、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンと、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練摩砕を行う。この際の混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。この様な無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
本発明では、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmのポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンをカラーフィルターの緑色画素部の形成用途に用いるのが好ましい。この様な好適な平均粒子径のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを得るに当たっては、ソルベントソルトミリングにおけるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン使用量に対する無機塩使用量を高くするのが好ましい。即ち当該無機塩の使用量は、質量換算でポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン1部に対して5〜20部とするのが好ましく、7〜15部とするのがより好ましい。
有機溶剤としては、前記したのと異なり、結晶成長を抑制し得る有機溶剤を使用することが好ましく、このような有機溶剤としては水溶性有機溶剤が好適に使用でき、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール等を用いることができる。
この際の水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、質量換算でポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン1部に対して0.01〜5部、0.8〜2部が好ましい。
ソルベントソルトミリング時の温度は、30〜150℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。ソルベントソルトミリングの時間は、5〜20時間が好ましく、8〜18時間がより好ましい。
こうして、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン、無機塩、有機溶剤を主成分として含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と無機塩を除去し、必要に応じてポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを主体とする固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等をすることにより、微細なポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン粉体を得ることが出来る。
洗浄としては、水洗、湯洗のいずれも採用できる。洗浄回数は、1〜5回の範囲で繰り返すことも出来る。水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を用いた前記混合物の場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することが出来る。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式あるいは連続式の乾燥等が挙げられ、乾燥機としては一般に箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライアー等がある。また、乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合の様に顔料がランプ状等のとなった際に顔料を解して粉体化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕等が挙げられる。
こうして、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの粉体が得られる。本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは顔料であり、従来のハロゲン化銅フタロシアニンに比べて一次粒子の凝集力が弱く、より解れやすい性質を持つ。そのため、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、公知慣用の被着色媒体の着色の用途にいずれも使用できる。中でも、前記した好適な一次粒子の平均粒子径のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、着色すべき合成樹脂等への分散性がより良好となるので、着色剤としては好適である。
また、前記した様な好適な一次粒子の平均粒子径を有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンをカラーフィルターの画素部の形成に使用する場合においては、感光性組成物を硬化する際に多用される365nmにおける遮光性が低下することなく、光硬化感度の低下がなく、現像時の膜へりやパターン流れも起こり難くなるので好ましい。
本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの一次粒子は、更に縦横のアスペクト比が1〜3であると、各用途分野において粘度特性が向上し、流動性がより高くなる。アスペクト比を求めるには、前記した様な、一次粒子の平均粒子径を求める場合と同様に、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の、凝集体を構成する一次粒子の50個につき長い方の径(長径)と、短い方の径(短径)の平均値を求め、これらの値を用いて算出する。
本発明の新規結晶型ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを製造する任意の工程において、各種フタロシアニン誘導体を含有させることが出来る。新規結晶型ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンにフタロシアニン誘導体を併用することで、カラーフィルター緑色画素部用感光性組成物の粘度特性の向上と分散安定性の向上を達成出来る場合がある。
分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長がより長波長側にあり、かつその最大透過率値も大きいことで、従来のポリハロゲン化銅フタロシアニンよりも更に黄味の緑色と優れた明度も兼備する緑色部分を有するカラーフィルターが得られる。即ち、従来のポリハロゲン化銅フタロシアニンでは達成できなかった、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が520〜590nmで、前記Tmaxにおける透過率が70%以上、かつ、波長650〜700nmにおける前記分光透過スペクトルの透過率が20%以下である緑色画素部を有するカラーフィルターが、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを用いることにより、初めて、より簡便にかつより安価に得ることができる。
本発明における分光透過スペクトルとは、日本工業規格JIS Z 8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)の第一種分光測光器に準じて求められるもので、ガラス基板等の上に前記所定乾燥膜厚に製膜したポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含む樹脂被膜について所定波長領域の光を走査照射して、各波長における各透過率値をプロットしたものである。カラーフィルターとしての透過率は、例えば樹脂のみで同一乾燥膜厚となした被膜について同様に求めた分光透過スペクトルで補正すること(ベースライン補正等)によって、より精度良く求めることが出来る。
本発明のカラーフィルターは、上記した特性を有するものであるが、より好適なのは、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が520〜590nmであり、前記Tmaxにおける透過率が70〜99%、かつ、波長650〜700nmにおける前記分光透過スペクトルの透過率が0〜20%のものである。
なお、本発明においては、カラーフィルターの緑色画素部の形成に、黄味つけのために各種黄色顔料を併用することが好ましい。即ち前記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンに、黄色顔料を併用し、これに含ませることで、波長400〜500nmにおける同分光透過スペクトルの透過率を低下させることが可能であり、例えば前記波長域における透過率を50%以下となすことが出来る。
ここで併用できる黄色顔料としては、例えばC.I.Pigment YELLOW 83、同110、同138、同139、同150、同180、同185等の黄色有機顔料が挙げられる。本発明におけるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンと黄色顔料との併用割合は、質量換算で、前記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン100部当たり、黄色顔料が10〜100部とすることが好ましい。
本発明においては、カラーフィルターの緑色画素部の形成に、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを用いることで、黄色顔料を調色のために併用するにしてもより少量の併用で良いので、380〜780nmの全域における光透過率の低下を最小限に防止できる。
また、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを用いれば、黄色顔料を併用するにしてもより少量の併用で良いので、従来のカラーフィルター緑色画素部と同じ色の緑色画素部を有するカラーフィルターを得る場合には、併用すべき同一黄色顔料を質量換算で30%以上、最大50%程度削減することが出来る。
さらに、同様の理由で調色のために2種以上の異なる色の顔料を混色する従来の場合に比べて、濁りの少ない、色純度に優れた画素部とすることが出来、明るいカラーフィルターとすることが出来る。
例えば、従来のC.I.Pigment GREEN 36の様な緑色顔料に、上記した黄色顔料を併用した混合顔料を用いた場合に比べて、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを黄色顔料と併用した場合のほうが、液晶ディスプレイとした時の明るさの低下がより小さくなるし、緑色領域の光透過量もより大きくなる。
本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、公知の方法でカラーフィルターの緑色画素部の形成に用いることが出来る。この画素部は、典型的には、感光性樹脂と、本発明の新規結晶型ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンとを必須成分して含むカラーフィルター緑色画素部用感光性組成物から得ることが出来る。
この際に使用可能な感光性樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等の熱可塑性樹脂や、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のような多官能モノマー等の光重合性モノマーが挙げられる。
カラーフィルターの製造方法としては、例えば、このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを感光性樹脂からなる分散媒に分散させた後、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等でガラス等の透明基板上に塗布し、ついでこの塗布膜に対して、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を溶剤等で洗浄して緑色パターンを得る、フォトリソグラフィーと呼ばれる方法が挙げられる。
その他、電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法の方法で緑色画素部のパターンを形成して、カラーフィルターを製造してもよい。なお、赤色画素部および青色画素部の各パターンも公知の顔料を使用して、同様の方法で形成できる。
カラーフィルター用レジストインキを調製するには、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンと、感光性樹脂と、光重合開始剤と、前記樹脂を溶解する有機溶剤とを必須成分として混合する。その製造方法としては、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンと有機溶剤と必要に応じて分散剤を用いて分散液を調製してから、そこに感光性樹脂等を加えてレジストインキとする方法が一般的である。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン−2'−スルホン酸、4,4'−ジアジドスチルベン−2,2'−ジスルホン酸等がある。
有機溶剤としては、例えばトルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル、水等がある。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系、水等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
必要に応じて用いる分散剤としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、エフカ社のエフカ46、エフカ47等が挙げられる。また、レベンリグ剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤なども併せて使用可能である。
まず最初に、質量換算で、本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、必要に応じて0〜100部の分散剤及び/又は0〜20部のフタロシアニン誘導体とを、均一となる様に攪拌分散することで分散液を得ることが出来る。次いでこの分散液に、質量換算で、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン1部当たり、3〜20部の感光性樹脂、感光性樹脂1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散することで、前記したレジストインキを得ることができる。
こうして調製されたカラーフィルター用レジストインキは、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を有機溶剤やアルカリ水等で洗浄することによりカラーフィルターとなすことができる。
本発明のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンは、黄味の緑色を有する化合物であり、顔料として上で詳述したカラーフィルター用緑色画素部への適用以外にも、塗料、プラスチック、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、電子写真トナー、ジェットインキ、熱転写インキなどの着色に適する。
次に本発明を実施例を示して具体的に説明する。以下、断りのない限り、%は質量%、部は質量部を意味する。
[製造例1]
無水フタル酸、尿素、塩化亜鉛を原料として亜鉛フタロシアニンを製造した。これの1−クロロナフタレン溶液は、750〜850nmに光の吸収を有していた。
ハロゲン化は、塩化チオニル3.2部、無水塩化アルミニウム3.8部、塩化ナトリウム0.5部を40℃で混合し、臭素2.7部を滴下して加える。これに亜鉛フタロシアニン1部を加え、90℃で15時間反応し、その後反応混合物を水に投入し、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させる。この水性スラリーを濾過し、60℃の湯洗浄、1%硫酸水素ナトリウム水洗浄、60℃の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、2.7部の精製されたポリ臭素化亜鉛フタロシアニン(粗顔料)を得た。
この粗顔料のX線回折スペクトルを図1に示した。この粗顔料は、本発明で規定するのと異なり、非晶質(アモルファス)であった。着色力も極めて劣っていた。
尚、X線回折スペクトルは、PHILIPS(株)製XRD−XPERT−PRO−MPDを用いて、管球:Cu,サンプリング角度:0.020゜、スキャンスピード:4.00゜/min、操作角2θ/θの条件で測定した。
製造例1と同様の操作を行ない、60℃の湯洗浄を行った後に、濾過することで、ウェットケーキを準備した。このウエットケーキ100部(不揮発分35%)とキシレン(和光純薬工業(株)製試薬1級)350部とを、4つ口付き1Lフラスコに入れ、常圧下、乾留状態で6時間加熱処理した後、濾過、メタノールで洗浄後、乾燥し、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンA 33部を得た。
このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンAは、質量分析とフラスコ燃焼イオンクロマトグラフによるハロゲン含有量分析から、平均組成ZnPcBr13.9Cl1.8H0.3であった。
このポリ臭素化亜鉛フタロシアニンAのX線回折スペクトルを図2に示した。
このX線回折スペクトルは、ブラック角2θが26.4゜に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°に回折ピークを有しており、本発明で規定する新規結晶型を有していた。また、一次粒子の縦横のアスペクト比は3を越えていた。
実施例1で用いたウェットケーキの代わりに、製造例1で得られた乾燥品35部を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンB 32部を得た。
このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンBは、質量分析とフラスコ燃焼イオンクロマトグラフによるハロゲン含有量分析から、平均組成ZnPcBr13.9Cl1.8H0.3であった。
このポリ臭素化亜鉛フタロシアニンBは、実施例1の同Aと同一のX線回折スペクトルとアスペクト比を示していた。
実施例1のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンA 1部、粉砕した塩化ナトリウム10部、ジエチレングリコール1部を双腕型ニーダーに仕込み、100℃で8時間混練した。混練終了後、得られたマグマケーキを60℃の温水に取り出し、1時間撹拌後、濾過、湯洗を繰り返し比電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄を繰り返し、乾燥、粉砕してポリ臭素化亜鉛フタロシアニンC 0.9部を得た。
このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンCは、質量分析とフラスコ燃焼イオンクロマトグラフによるハロゲン含有量分析から、同Aと同一元素組成であった。
このX線回折スペクトルは、ブラック角2θが26.4゜に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°に回折ピークを有しており、本発明で規定する新規結晶型を有していた。また、一次粒子の平均粒子径は50nm、一次粒子の縦横のアスペクト比は1〜3の範囲内にあった。
実施例1のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンAに代えて、実施例2のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンBを使用した以外は実施例3と同様に実施し、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンD 0.9部を得た。
このポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンDは、質量分析とフラスコ燃焼イオンクロマトグラフによるハロゲン含有量分析から、同Bと同一元素組成であった。 このポリ臭素化亜鉛フタロシアニンDは、実施例3の同Cと同一のX線回折スペクトルとアスペクト比を示していた。
[比較例1]
実施例1のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンAの代わりに、製造例1で得られたポリ臭素化亜鉛フタロシアニン(粗顔料)を使用した以外は実施例3と同様の操作を行い、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンE 0.9部を得た。
このポリ臭素化亜鉛フタロシアニンEのX線回折スペクトルを図4に示した。
このX線回折スペクトルは、ブラック角2θが25.0゜に最大回折ピークを有し、16.8°,23.1°,32.4°に回折ピークを有しており、従来の結晶型を有していた。また、一次粒子の平均粒子径は60nm、一次粒子の縦横のアスペクト比は1〜3の範囲内にあった。
上記の実施例3のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンCを緑色顔料として用い、フォトリソグラフィーでカラーフィルター緑色画素部を製造した。
まず、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンC 14部、C.I.Pigment Yellow 150 3部、N,N'−ジメチルホルムアミド2.5部、ディスパービック161(ビックケミー社製)17.0部、ユーカーエステルEEP(ユニオン・カーバイド社製)63.5部を0.5mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で1時間分散し、顔料分散液を得た。
この顔料分散液75.00部と、ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックスM7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリスレートヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEFP13.5部を分散攪拌機で攪拌し、感光性組成物であるカラーレジストを得た。カラーレジストは1mm厚ガラスに乾燥膜厚1μmとなるように塗布した。
次いでフォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を有機溶剤で洗浄することによりカラーフィルターとした。
ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンCから製造したカラーフィルター緑色画素部のパターンの色味および明るさを目視評価した。
輝度(Y値)は、大塚電子(株)製の顕微分光光度計MCPD−3000を使用して、F10光源測色で色度座標x値とy値を算出し、両色度座標x、y値を合わせてCIE発色系色度におけるY値を測定した。ここでは、輝度(Y値)が大きいほど視覚明度が高いと評価した。
コントラストは、該カラーフィルター赤色画素部を2枚の偏光板の間に設置し、一方には光源を、更にその反対側にはCCDカメラを設置して輝度の測定を行った。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比より算出した。
また、JIS Z 8722に規定する第一種分光測光器(分光光度計)を用いて測定したところ、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)=525nm、波長650〜700nmにおける最大透過率=6.0%であった。
これら輝度、コントラスト及びTmaxにおける光透過率を各々表1に示した。
実施例3のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンCに代えて、実施例4のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンDを用いる以外は、実施例5と同様の操作を行い、カラーフィルター緑色画素部を作製した。
得られたカラーフィルター緑色画素部は、実施例5と同様の測定を行った。その結果を各々表1に示した。
[比較例2]
実施例3のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンCに代えて、比較例1のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンEを用いる以外は、実施例5と同様な操作を行い、カラーフィルター緑色画素部を作製した。
得られたカラーフィルター緑色画素部は、実施例5と同様の測定を行った。その結果を各々表1に示した。
Figure 2008019383
表1から明らかなように、本発明の新規結晶型ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含有する緑色画素部を有する実施例4及び5のカラーフィルターは、比較例2の従来の結晶型のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含有する緑色画素部を有する比較例2のそれに比べて、Tmaxにおける光透過率が高いだけでなく、輝度及びコントラストともに非常に高いものであった。
また、実施例1及び比較例2で調製した各顔料分散液を、室温で1週間保存し同様にカラーレジストを調製し、カラーフィルター緑色画素部を製造した。その結果、実施例1の顔料分散液を経由して得られたカラーフィルターは、初期と一週間保存後の顔料分散液とで、性能に変動はなかったが、比較例2の顔料分散液の場合は、初期と一週間保存後の顔料分散液とで、性能に大きな変動があった。
本発明のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンの原料(粗顔料)のX線回折スペクトルである。 本発明の新規結晶型ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンのX線回折スペクトルである。 本発明の好適な新規結晶型ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンのX線回折スペクトルである。 従来の結晶型のポリ臭素化亜鉛フタロシアニンのX線回折スペクトルである。

Claims (6)

  1. X線回折スペクトルにおいて、Cu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=26.4゜に最大回折ピークを有し、22.6°,24.8°,25.7°,27.8°にピークを有することを特徴とするポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン。
  2. ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンが、ポリ臭素化亜鉛フタロシアニンである請求項1記載の化合物。
  3. 一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.1μmである請求項1または2に記載の化合物。
  4. 感光性樹脂と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を必須成分して含むカラーフィルター緑色画素部用感光性組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を緑色画素部に含有するカラーフィルタ。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を緑色画素部に含有し、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が520〜590nmであり、前記波長(Tmax)における透過率が70%以上で、かつ、波長650〜700nmにおける前記分光透過スペクトルの透過率が20%以下であるカラーフィルター。




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