JP6711213B2 - カラーフィルタ用顔料組成物及びカラーフィルタ - Google Patents

カラーフィルタ用顔料組成物及びカラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、カラーフィルタ用顔料組成物及びカラーフィルタに関する。
液晶ディスプレイに用いるカラーフィルタは、バックライトの白色光を透過させることでディスプレイのカラー表示を実現する部材である。そのうちのカラーフィルタ用緑色着色剤に対して、高輝度化及び高色再現化が要求されている。
高輝度化を達成するためには、バックライト光に対する透過率の高い顔料を選択することが重要であり、ピグメントグリーン58が主顔料として使用されている。顔料の高輝度化により、バックライトの白色光を効率的に使用できるようになるため、ディスプレイの省エネ化や製造コストダウンが可能となる。現行のディスプレイはsRGBで設計されるため、グリーン画素は(x、y)=(0.300,0.600)で輝度が高くなるように設計される。現在、バックライト用のLEDとしては、3色LEDではコストメリットが小さいため、青色LEDの表面に蛍光体を塗布することによって形成される擬似白色LED(青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせ(B−YAG)や青色LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体とを組み合わせ(B−RG))が主流となっている。このような白色LEDバックライトを使用した場合、青色発光強度と比較して緑色発光強度が微弱であることから、緑色着色層の透過率が落ちてしまうため、緑色着色層の高輝度化が求められている。
また、高色再現化を達成するためには、輝度が高いことに加えて鮮やかな色表示が可能な顔料が選択される。鮮やかな色表示を達成するためにはカラーフィルタの膜厚を厚くすれば良いが、露光工程で十分に塗膜を硬化するためには2〜3μm程度までに抑えなければならない。今後普及すると予測されている高色再現ディスプレイはDCI−P3で設計される見込みであるが、ピグメントグリーン36や58を使用すると膜厚が3μmを大きく超えてしまうため、ピグメントグリーン7が主顔料として選択される。例えば、ピグメントグリーン7、ピグメントイエロー185を含有する緑色感光性樹脂組成物を用いて緑色画素を形成し、2.2μm以下の薄膜で高色再現を達成する提案がなされている。しかし、ピグメントグリーン7はピグメントグリーン36、58と比べて透過率が低いため、得られるディスプレイの輝度が低下してしまうという問題があった。
輝度に関してはバックライトの光量アップで補うことも可能であるが、消費電力量の増大という新たな問題が生じるため、輝度と色再現性の両立が求められる。新規高色再現顔料としてピグメントグリーン59があり、同じ膜厚のカラーフィルタを作製した場合で比較すると、ピグメントグリーン7を用いるよりもピグメントグリーン59を用いた方が高輝度となる(例えば、特許文献1参照。)。
以上のことから、高輝度ディスプレイ用のカラーフィルタにはピグメントグリーン58を使用し、高色再現ディスプレイ用のカラーフィルタにはピグメントグリーン59を使用するのが良いと認識されている。
なお、高輝度ディスプレイ用のカラーフィルタと高色再現ディスプレイ用のカラーフィルタの大きな違いは、グリーン画素を設計する色度と、バックライトである。
現行の高輝度ディスプレイ用のカラーフィルタでは、色度はsRGB(x、y)=(0.300,0.600)であり、バックライトはB−YAGが主流である。ただし、B−YAGは製造会社によって異なるため、C光源を使用して(x,y)=(0.275,0.570)でカラーフィルタの評価を行う(例えば、特許文献2参照。)。
また、高色再現ディスプレイ用のカラーフィルタとして予測されるのは、色度がDCI−P3であり、バックライトがB−RGである。ただし、B−RGも製造会社によって異なるため、C光源を使用して、(x,y)=(0.250,0.615)でカラーフィルタの評価を行う(例えば、特許文献3参照。)。
特開2016−057635号公報 特開2014−085562号公報 特開2011−117986号公報
しかしながら、高色再現ディスプレイ用のカラーフィルタにピグメントグリーン58を使用すると、厚膜となるため、製版工程を繰り返さなければならないという問題があった。
そのため、高色再現ディスプレイ用のカラーフィルタには、ピグメントグリーン59が使用されるが、さらに輝度の高い顔料組成物が望まれていた。
従って、本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、色再現性が高く且つ輝度が高く、膜厚が3μm以下のカラーフィルタを形成できる新規のカラーフィルタ用顔料組成物及び前記カラーフィルタ用顔料組成物を含有するカラーフィルタを提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のxy色度座標領域を表示できる第一の顔料及び第二の顔料を混合し得られたカラーフィルタ用顔料組成物を用いることにより、色再現性が高く且つ輝度が高く、膜厚が3μm以下のカラーフィルタを形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]第一の顔料として、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、下記式(A)〜(D)で囲まれるxy色度座標領域を表示できる顔料から選択される一種、及び第二の顔料として、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、下記式(1)〜(4)で囲まれるxy色度座標領域を表示できる顔料から選択される一種を、少なくとも含有し、前記第一の顔料が1分子中にハロゲン原子を平均13個以上16個以下、臭素を平均13個以上16個以下、塩素を平均0個以上3個以下含有する亜鉛フタロシアニン化合物であり、前記第二の顔料が、中心金属原子として亜鉛又はアルミニウムを有するフタロシアニン化合物であることを特徴とするカラーフィルタ用顔料組成物。
式(A)
y=−4.910x+1.776
(式中、xは、0.23≦x≦0.27である。)
式(B)
y=1.090x+0.156
(式中、xは、0.24≦x≦0.27である。)
式(C)
y=−4.911x+1.596
(式中、xは、0.20≦x≦0.24である。)
式(D)
y=1.088x+0.396
(式中、xは、0.20≦x≦0.23である。)
式(1)
y=−1.581x+0.640
(式中、xは、0.10≦x≦0.20である。)
式(2)
y=4.190x−0.514
(式中、xは、0.18≦x≦0.20である。)
式(3)
y=0.240、かつ0.08≦x≦0.18
式(4)
y=12.095x−0.728
(式中、xは、0.08≦x≦0.10である。)
[2]前記第一の顔料は、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が520〜530nmであり、前記第二の顔料は、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が500〜520nmである[1]に記載のカラーフィルタ用顔料組成物。
]前記第二の顔料が1分子中にハロゲン原子を平均7個以上12個以下、臭素を平均3個以上9個以下、塩素を平均2個以上5個以下含有する臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンである[1]又は[2]に記載のカラーフィルタ用顔料組成物。
]さらに、黄色顔料を含有する[1]〜[]のいずれか一つに記載のカラーフィルタ用顔料組成物。
][1]〜[]のいずれか一つに記載のカラーフィルタ用顔料組成物を含有することを特徴とするカラーフィルタ。
本発明によれば、色再現性が高く且つ輝度が高く、膜厚が3μm以下のカラーフィルタを形成できるカラーフィルタ用顔料組成物及び前記カラーフィルタ用顔料組成物を含有するカラーフィルタを提供することができる。
CIEのXYZ表色系において、第一の顔料及び第二の顔料が表現できるxy色度座標領域(領域A及び領域B)を示す図である。 xy色度座標領域上における領域A、B、及びCを示す図である。
<<カラーフィルタ用顔料組成物>>
一実施形態において、本発明は、第一の顔料として、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、下記式(A)〜(D)で囲まれるxy色度座標領域(以下、「領域A」と称する場合がある。)を表示できる顔料から選択される一種、及び第二の顔料として、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、下記式(1)〜(4)で囲まれるxy色度座標領域(以下、「領域B」と称する場合がある。)を表示できる顔料から選択される一種を、少なくとも含有するカラーフィルタ用顔料組成物を提供する。
式(A)
y=−4.910x+1.776
(式中、xは、0.23≦x≦0.27である。)
式(B)
y=1.090x+0.156
(式中、xは、0.24≦x≦0.27である。)
式(C)
y=−4.911x+1.596
(式中、xは、0.20≦x≦0.24である。)
式(D)
y=1.088x+0.396
(式中、xは、0.20≦x≦0.23である。)
式(1)
y=−1.581x+0.640
(式中、xは、0.10≦x≦0.20である。)
式(2)
y=4.190x−0.514
(式中、xは、0.18≦x≦0.20である。)
式(3)
y=0.240、かつ0.08≦x≦0.18
式(4)
y=12.095x−0.728
(式中、xは、0.08≦x≦0.10である。)
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物は、上記第一の顔料と第二の顔料を適宜選択して組み合わせて用いるので、少ない顔料使用量で各規格に定められた緑色画素の色に近づけることができ、その結果、カラーフィルタの画素を形成する場合に膜厚を薄くすることができ、製版性が向上してフォトリソグラフィーで微細形状を形成しやすくなる。
また、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物によれば、透明性が高く、色純度が優れた緑色画素を形成でき、さらに、従来の緑色顔料を用いる場合よりも薄い膜厚で高い色再現性を実現できる。
また、上記第一の顔料及び第二の顔料はいずれも透過率が高いため、さらに黄色顔料と組合せて緑色画素を形成する場合に、色座標の着色力が高い領域(高濃度領域)においても従来よりも薄い膜厚で輝度を高くできる。従って、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を用いてカラーフィルタを形成する場合には、色再現性が高く、且つ輝度が高いカラーフィルタを形成することができる。また、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料を用いた従来の本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を用いて形成する場合と比べて、カラーフィルタの光の透過性が上がるため、強いバックライトが必要なくなり、液晶パネルのコストアップや消費電力の増加を抑えることができる。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物の各構成材料について、以下に詳細に説明する。
<構成材料>
[緑色顔料]
緑色のカラーフィルタでは、分光透過スペクトルにおいて、480〜600nm(好ましくは、510〜560nm)の範囲での透過率を高めることが明るく鮮明な表示を得るために重要である。
一方で、605〜700nmの範囲での透過率が高いと、色度xの値が増加して彩度を低下させるため、緑色のカラーフィルタを高彩度な色度で設計する(高色再現性を実現する)場合には、605〜700nmの範囲での透過率を低くする必要がある。すなわち、480〜600nmの範囲の透過率が高く、605〜700nmの範囲の透過率が低い緑色顔料が求められる。
第一の顔料は、分光透過スペクトルにおいて、650〜670nmの範囲に強い吸収を有し、560〜600nmの範囲での吸収が少ない(透過率が高い)。また、第二の顔料は、分光透過スペクトルにおいて、620〜640nmの範囲に強い吸収を有するため、高彩度な色度で(高色再現性を有する)緑色のカラーフィルタを設計するのに適しているが、560〜600nmの範囲にも弱い吸収を持つ(透過率がやや低い)ため、この吸収によりわずかに明るさが低下する。
以上のことから、本発明者らは、第二の顔料における560〜600nmの範囲での吸収による明るさの低下を、この範囲の吸収の少ない第一の顔料で希釈することにより解決し、分光透過スペクトルにおいて、480〜600nmの範囲での透過率が高く、605〜700nmの範囲での透過率が低い緑色顔料を完成するに至った。
なお、本明細書における「分光透過スペクトル」とは、日本工業規格JIS Z 8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)の第一種分光測光器に準じて求められるもので、ガラス基板等の上に前記所定乾燥膜厚に製膜した顔料を含む樹脂被膜について所定波長領域の光を走査照射して、各波長における各透過率値をプロットしたものである。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物の構成材料について、以下に詳細に説明する。
(第一の顔料)
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物に含まれる第一の顔料は、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、上記式(A)〜(D)で囲まれるxy色度座標領域(領域A)を表示でき(図1参照)、分光透過スペクトルにおいて、650〜670nmの範囲に強い吸収を有し、560〜600nmの範囲での吸収が少ない(透過率が高い)。
また、第一の顔料は380nm〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が520〜530nmであることが好ましい。
上記の性質を有する第一の顔料としては、無機顔料であってもよく、有機顔料であってもよい。中でも、第一の顔料としては、有機顔料であることが好ましく、フタロシアニン化合物であることがより好ましく、中心に金属原子を有するフタロシアニン化合物であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、「フタロシアニン化合物」とは、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造をもつ環状化合物であり、「中心に金属原子を有するフタロシアニン化合物」とは、前記フタロシアニン化合物の中心の4つの窒素原子と金属原子とが化学結合(例えば、共有結合、配位結合等)した構造をもつ化合物である。
フタロシアニン化合物の中心に存在する金属原子としては、特別な限定はなく、例えば、Zn、Mg、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Ge、Sn等が挙げられる。中でも、第一の顔料におけるフタロシアニン化合物の中心に存在する金属原子としては、Zn(亜鉛)であることが好ましい。
第一の顔料における中心に金属原子を有するフタロシアニン化合物としては、ハロゲン化金属フタロシアニンであることが好ましく、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンであることがより好ましく、臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンであることがさらに好ましい。
前記第一の顔料が臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンである場合、上記式(A)〜(D)で囲まれるxy色度座標領域(領域A)を表示する点から、1分子中ハロゲン原子を平均13個以上16個以下、臭素を13個以上16個以下、塩素を平均0個以上3個以下含有することが好ましい。
(第一の顔料の製造方法)
第一の顔料におけるハロゲン化金属フタロシアニンは、例えば、クロルスルホン酸法、ハロゲン化フタロニトリル法、溶融法等の様な公知の製造方法で製造できる。
クロルスルホン酸法としては、例えば、金属フタロシアニンを、クロロスルホン酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解し、これに塩素ガス、臭素を仕込みハロゲン化する方法等が挙げられる。この際の反応は、温度20〜120℃且つ3〜20時間の範囲で行われる。
ハロゲン化フタロニトリル法としては、例えば、芳香環の水素原子の一部又は全部が臭素、塩素等のハロゲン原子で置換されたフタル酸やフタロジニトリルと、亜鉛の金属又は金属塩を適宜出発原料として使用して、対応するハロゲン化金属フタロシアニンを合成する方法が挙げられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いてもよい。この際の反応は、温度100〜300℃且つ7〜35時間の範囲で行われる。
溶融法としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムの様なハロゲン化アルミニウム、四塩化チタンの様なハロゲン化チタン、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の様なアルカリ金属ハロゲン化物又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(以下、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物と称する場合がある。)、塩化チオニル等、各種のハロゲン化の際に溶媒となる化合物の一種又は二種以上の混合物からなる10〜170℃程度の溶融物中で、金属フタロシアニンをハロゲン化剤にてハロゲン化する方法等が挙げられる。
前記ハロゲン化アルミニウムとしては、塩化アルミニウムであることが好ましい。ハロゲン化アルミニウムを用いる上記溶融法における、ハロゲン化アルミニウムの添加量は、亜鉛フタロシアニンに対して、通常は、3倍モル以上であり、好ましくは10〜20倍モルである。
ハロゲン化アルミニウムは単独で用いてもよいが、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物をハロゲン化アルミニウムに併用すると溶融温度をより下げることができ操作上有利になる。前記アルカリ(土類)金属ハロゲン化物としては、塩化ナトリウムであることが好ましい。加えるアルカリ(土類)金属ハロゲン化物の量は溶融塩を生成する範囲内でハロゲン化アルミニウム10質量部に対してアルカリ(土類)金属ハロゲン化物が5〜15質量部が好ましい。
また、ハロゲン化剤としては、例えば、塩素ガス、塩化スルフリル、臭素等が挙げられる。
ハロゲン化の温度は10〜170℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。さらに、反応速度を速くするため、加圧してもよい。反応時間は、5〜100時間であることが好ましく、30〜45時間であることがより好ましい。
前記ハロゲン化の際に溶媒となる化合物の二種以上を併用する溶融法は、溶融塩中の塩化物と臭化物とヨウ素化物の比率を調節したり、塩素ガスや臭素やヨウ素の導入量や反応時間を変化させたりすることによって、生成するハロゲン化亜鉛フタロシアニン中における、特定ハロゲン原子組成のハロゲン化亜鉛フタロシアニンの含有比率を任意にコントロールすることができるので好ましい。
本実施形態における好適な原料となる金属フタロシアニンは、亜鉛フタロシアニンである。反応中の原料の分解が少なく原料からの収率がより優れ、強酸を用いず安価な装置にて反応を行えるので、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを得る上では、溶融法が好適である。
原料仕込方法、触媒種や使用量、反応温度や反応時間の最適化により、既存のハロゲン化亜鉛フタロシアニンとは異なるハロゲン原子組成のハロゲン化亜鉛フタロシアニンを得ることができる。
上記いずれの製造方法にせよ、反応終了後、得られた混合物を水又は塩酸等の酸性水溶液中に投入すると、生成したハロゲン化金属フタロシアニンが沈殿する。ハロゲン化金属フタロシアニンとしては、これをそのまま用いてもよいが、その後、濾過、又は水、硫酸水素ナトリウム水、炭酸水素ナトリウム水、若しくは水酸化ナトリウム水による洗浄、必要に応じてアセトン、トルエン、メチルアルコール、エチルアルコール、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤洗浄を行い、乾燥等の後処理を行ってから用いるのが好ましい。
ハロゲン化金属フタロシアニンは、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式磨砕し、ついで、ソルベントソルトミリング法やソルベントボイリング法等で顔料化することによって、顔料化前よりは、分散性や着色力に優れ、且つ、明度の高い緑色を発色する第一の顔料が得られる。
ハロゲン化金属フタロシアニンの顔料化方法には特に制限はなく、例えば、顔料化前のハロゲン化金属フタロシアニンを分散媒に分散させると同時に顔料化を行ってもよいが、多量の有機溶剤中でハロゲン化金属フタロシアニンを加熱攪拌するソルベント処理よりも、容易に結晶成長を抑制でき、かつ比表面積の大きい顔料粒子が得られる点で、ソルベントソルトミリング処理を採用するのが好ましい。
このソルベントソルトミリングとは、合成直後またはその後に磨砕を行った、顔料化を経ていないハロゲン化金属フタロシアニンである粗顔料と、無機塩と、有機溶剤とを混練磨砕することを意味する。この場合、後者の粗顔料を用いるほうが好ましい。具体的には、粗顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行う。この際の混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。この様な無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
本実施形態において、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.10μmのハロゲン化金属フタロシアニン顔料をカラーフィルタ用途に用いるのが好ましい。本実施形態における前記した好ましいハロゲン化金属フタロシアニンを得るために、ソルベントソルトミリングにおける粗顔料使用量に対する無機塩使用量を高くすることが好ましい。すなわち、当該無機塩の使用量は、粗顔料1質量部に対して5〜20質量部とするのが好ましく、7〜15質量部とするのがより好ましい。
有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る有機溶剤を使用することが好ましく、このような有機溶媒としては水溶性有機溶剤が好適に使用でき、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール等が挙げられる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定されず、粗顔料1質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
ソルベントソルトミリング時の温度は、30〜150℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。ソルベントソルトミリングの時間は、5時間から20時間が好ましく、8〜18時間がより好ましい。
こうして、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.10μmのハロゲン化金属フタロシアニン顔料、無機塩、有機溶剤を主成分として含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と無機塩を除去し、必要に応じてハロゲン化金属フタロシアニン顔料を主体とする固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等をすることにより、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料の粉体を得ることが出来る。
洗浄としては、水洗、湯洗のいずれも採用できる。洗浄回数は、1〜5回の範囲で繰り返せばよい。水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を用いた前記混合物の場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することができる。必要であれば、結晶状態を変化させない様に、酸洗浄、アルカリ洗浄、有機溶剤洗浄を行ってもよい。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水又は脱溶剤のうちすくなくともいずれかを行う回分式又は連続式の乾燥等が挙げられる。前記乾燥機としては一般に箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライアー等が挙げられる。特にスプレードライ乾燥はペースト作成時に易分散であるため好ましい。また、乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくするため、又は一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合のように、顔料がランプ状等となった際に顔料を解して粉末化するために行うものである。乾燥後に使用する粉砕機としては、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等が挙げられる。こうして、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料を主成分として含む第一の顔料の乾燥粉末が得られる。
(第二の顔料)
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物に含まれる第二の顔料は、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、上記式(1)〜(4)で囲まれるxy色度座標領域(領域B)を表示でき(図1参照)、好ましくは下記式(5)〜(8)で囲まれるxy色度座標領域(以下、「領域C」と称する場合がある。)を表示でき(図2参照)、分光透過スペクトルにおいて、620〜640nmの範囲に強い吸収を有するため、高彩度な色度で(高色再現性を有する)緑色のカラーフィルタを設計することができる。
式(5)
y=−1.766x+0.618
(式中、xは、0.10≦x≦0.18である。)
式(6)
y=6.012x−0.782
(式中、xは、0.17≦x≦0.18である。)
式(7)
y=0.240、かつ0.09≦x≦0.17
式(8)
y=20.140x−1.573
(式中、xは、0.09≦x≦0.10である。)
また、第二の顔料は、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が500〜520nmであることが好ましい。
上記の性質を有する第二の顔料としては、無機顔料であってもよく、有機顔料であってもよい。中でも、第二の顔料としては、有機顔料であることが好ましく、フタロシアニン化合物であることがより好ましく、中心に金属原子を有するフタロシアニン化合物であることがさらに好ましい。
第二の顔料において、フタロシアニン化合物の中心に存在する金属原子としては、Zn(亜鉛)又はAl(アルミニウム)であることが好ましい。
第二の顔料における中心に金属原子を有するフタロシアニン化合物としては、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン又はアルミニウムフタロシアニンであることが好ましく、臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンであることがさらに好ましい。
前記第二の顔料が臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンである場合、上記式(1)〜(4)で囲まれるxy色度座標領域(領域B)(好ましくは、上記式(5)〜(8)で囲まれるxy色度座標領域(領域C))を表示する点から、1分子中にハロゲン原子を平均7個以上12個以下、臭素を平均3個以上9個以下、塩素を平均2個以上5個以下含有することが好ましい。
前記第二の顔料がアルミニウムフタロシアニンである場合、アルミニウムフタロシアニンとしては、例えば、下記一般式[1]で表される化合物(以下、「化合物[1]」と称する場合がある。)等が挙げられる。
Figure 0006711213
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は下記一般式[2]で表される基(以下、「基[2]」と称する場合がある。)である。)
Figure 0006711213
(式中、Xは直接結合又は酸素原子である。Arはフェニル基又はナフチル基である。式中、アスタリスクは結合部位を示す。)
Rにおける前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でも、Rにおける前記ハロゲン原子としては、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましい。
化合物[1]におけるRは、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、又は基[2]であることが好ましい。
基[2]におけるXは酸素原子であることが好ましい。
化合物[1]で好ましいものとしては、例えば、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、ブロモアルミニウムフタロシアニン、式[1−1]で表される化合物、式[1−2]で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006711213
(第二の顔料の製造方法)
第二の顔料がハロゲン化亜鉛フタロシアニンである場合、上述の(第一の顔料の製造方法)に記載の方法と同様の方法を用いて、製造できる。
また、第二の顔料がアルミニウムフタロシアニンである場合、公知の製造方法(例えば、特開2013−87251号公報等)を用いて、製造できる。具体的には、まず、反応溶媒中でヒドロキシアルミニウムフタロシアニン又はクロロアルミニウムフタロシアニンと、リン酸ジフェニル、ビス(1−ナフチル)ホスフェート、ビス(1−ナフチル)クロロホスフェート、又はビス(1−ナフチル)ホスフィン酸と、を反応させ、次いで、前記反応溶媒を除去することにより製造できる。
前記反応溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等の一価のアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール系溶媒;1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、尿素、テトラメチル尿素等のアミド系溶媒;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級モノアルキルエーテル系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のポリエーテル系溶媒;スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3−スルホレン等の含イオウ系溶媒;ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能系溶媒;酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒;メタンスルホン酸、トリフルオロスルホン酸等のスルホン酸系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられるが、溶解性の観点から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価のアルコール系溶媒や、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましい。これらの反応溶媒は、単独で、又は2種以上を混合してもよい。
反応終了後に反応溶媒を除去する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、吸引濾過または加圧濾過を行った後、使用した反応溶媒と相溶性があり、且つ低沸点の他の有機溶媒で洗浄した後、乾燥除去する方法等が挙げられる。反応溶媒が水溶性有機溶媒の場合には、反応液を水と混合した後、ろ過、水洗により除去することが望ましい。
また、得られたアルミニウムフタロシアニンから、上述の(第一の顔料の製造方法)に記載の方法と同様の方法を用いて、顔料化することができる。
(含有比及び含有量)
前記第一の顔料及び前記第二の顔料の含有比としては、99:1〜65:35であることが好ましく、95:5〜70:30であることがより好ましい。含有比が上記範囲であることにより、分光透過スペクトルにおいて、480〜600nmの範囲での透過率が高く、605〜700nmの範囲での透過率が低いカラーフィルタ用顔料組成物となり、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を用いて、色再現性が高く、且つ輝度が高いカラーフィルタを形成することができる。
前記領域Aを表示できる緑色顔料から選ばれる一種である前記第一の顔料と、前記領域Bを表示できる顔料から選ばれる一種である前記第二の顔料とを組み合わせてもよく、それぞれ二種以上を組み合わせてもよい。中でも、前記領域Aを表示できる緑色顔料から選ばれる一種である第一の顔料と、前記領域Cを表示できる顔料から選ばれる一種である第二の顔料と組み合わせることが、比較的少ない顔料使用量で各規格の緑色画素の色に近づける、輝度を高くする、膜厚を薄くする、及び色再現域を広げる点から、特に好ましい。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物における第一の顔料及び第二の顔料の合計含有量は、高い色再現性で且つ高輝度のカラーフィルタの緑色画素を形成する点から、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物における着色成分の全量を基準として30質量% 以上であることが好ましく、39質量%以上であることがより好ましい。また、目標とする色座標によっては、50質量%以上であることが好ましい。
前記第一の顔料及び前記第二の顔料において、フタロシアニン化合物の中心金属は異なっていてもよく、同じであってもよく、中心金属が同じであることが、相性が良い、すなわち同様の分散剤系にすることができるため混合したときに分散安定性が良好になる点から好ましい。中でも、第一の顔料と第二の顔料において、フタロシアニン化合物の中心金属がいずれもZn(亜鉛)である場合には、着色力及び透過率が高く、上記範囲のxy色度座標領域を表示可能である点から、好ましい。亜鉛は、マルチメディアモニタ用sRGB規格、又はその周辺色度領域、及びテレビ用のNTSC、EBU規格の緑色を表示するのに、非常に適している。
前記第一の顔料及び前記第二の顔料が臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンであることが、顔料の分散安定性が良好で、且つ透過率が高くなる点から好ましい。
[黄色顔料]
また、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物は、緑色画素を形成するために、上記第一の顔料及び第二の顔料と共に、少なくとも1以上の黄色顔料を含有させることができる。
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー(PY)1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、199、231等が挙げられるが、輝度が高い、又は、顔料が少量で済み薄膜化に適している点から、PY83、138、139、150、185、又は231が好ましく、PY138、150、185、又は231が特に好ましい。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
黄色顔料を混合してカラーフィルタ用顔料組成物を調製する場合には、緑色顔料(第一の顔料及び第二の顔料)と黄色顔料との混合比は、前記緑色顔料(第一の顔料及び第二の顔料)100質量部当たり、黄色顔料が10〜400質量部であればよい。
また、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物において、黄色顔料を調色のために併用した場合でも、従来の緑色顔料を用いる場合に比べて、濁りの少ない、色純度、着色力に優れ、かつ明るいカラーフィルタ緑色画素部を作製することができる。
<カラーフィルタ用顔料組成物の製造方法>
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物は、公知の製造方法を用いて製造することができる。第一の顔料及び第二の顔料それぞれの製造方法については、上述のとおりである。
具体的には、第一の顔料及び第二の顔料と、必要に応じて黄色顔料とを、アトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式磨砕し、ついで、ソルベントソルトミリング法やソルベントボイリング法等で顔料化することができる。
顔料化の詳細な方法については、上述の(第一の顔料の製造方法)において記載したとおりである。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物は、一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.10μmであり、顔料凝集も比較的弱く、着色すべき合成樹脂等への分散性がより良好となる。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物の平均組成は、例えば、蛍光X線分析等から求めることができる。
<用途>
(カラーフィルタ)
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を用いて、緑色画素を形成することで、カラーフィルタを得ることができる。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を用いて形成された緑色画素は色再現性が高く、且つ、輝度が高いため、係る緑色画素を備えた表示性能の高いカラーフィルタ及び液晶パネルを用いて、sRGB等のマルチメディアモニタの表示規格、或いは、NTSC、EBU等の表示規格のような色座標の着色力が高い領域(高濃度領域)をも満足し得る液晶表示装置を製造することができる。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を緑色画素部に含有するカラーフィルタ
は、白色光、F10等の光源を用いた場合、光源の緑の輝線を良く透過させることができ、且つ緑色の色純度、着色力を最大限に発現することができる。
(カラーフィルタの製造方法)
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物は、公知の方法でカラーフィルタの緑色画素部のパターンの形成に用いることができる。典型的には、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物と、感光性樹脂とを必須成分して含むカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を得ることができる。
カラーフィルタの製造方法としては、例えば、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を感光性樹脂からなる分散媒に分散させた後、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、インクジェット法等でガラス等の透明基板上に塗布し、ついでこの塗布膜に対して、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を溶剤等で洗浄して緑色パターンを得る、フォトリソグラフィーと呼ばれる方法等が挙げられる。
その他の製造方法としては、例えば、電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法等の方法で緑色画素部のパターンを形成して、カラーフィルタを製造する方法等が挙げられる。なお、赤色画素部のパターン及び青色画素部のパターンも公知の顔料を使用して、同様の方法で形成できる。
カラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を調製するには、例えば、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物と、感光性樹脂と、光重合開始剤と、前記樹脂を溶解する有機溶剤とを必須成分として混合する。より具体的には、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物と有機溶剤と必要に応じて分散剤を用いて分散液を調製してから、そこに感光性樹脂等を加えて調製する方法が一般的である。
前記分散剤としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック(DISPERBYK登録商標)130、同161、同162、同163、同170、同LPN−6919、同LPN−21116、BASF社のエフカ46、エフカ47等が挙げられる。また、レベンリグ剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤なども併せて使用してもよい。
前記有機溶剤としては、例えばトルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル、水等がある。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系、水等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物100質量部当たり、300〜1000質量部の有機溶剤と、必要に応じて0〜100質量部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して分散液を得ることができる。次いでこの分散液に、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物100質量部当たり、3〜20質量部の感光性樹脂、感光性樹脂1質量部当たり0.05〜3質量部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物を得ることができる。
前記感光性樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等の熱可塑性樹脂や、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のような多官能モノマー等の光重合性モノマーが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン−2'−スルホン酸、4,4'−ジアジドスチルベン−2,2'−ジスルホン酸等が挙げられる。
調製されたカラーフィルタ緑色画素部用感光性組成物は、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を有機溶剤やアルカリ水等で洗浄することにより、カラーフィルタを得ることができる。
(その他用途)
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物は、青味の緑色で着色力が高く、高色純度でコントラストの高い明るい緑色を発色する。従って、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物は、詳述したカラーフィルタ以外にも、塗料、プラスチック、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、電子トナー、ジェットインキ、熱転写インキ等の着色に使用することができる。
以下、実施例及び比較例等を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[製造例1](顔料1)
300mLフラスコに、塩化スルフリル 91部、塩化アルミニウム 109部、塩化ナトリウム 15部、亜鉛フタロシアニン 30部、臭素 230部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより粗顔料1を得た。得られた粗顔料1 20部、粉砕した塩化ナトリウム 140部、ジエチレングリコール 32部、キシレン 1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水 2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、顔料1を得た。得られた顔料1は、リガク社製ZSX100Eによる蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均15.00個であり、そのうち臭素原子数が平均13.20個、塩素原子数が平均1.80個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
得られた顔料1 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物1を得た。着色組成物1 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物1を得た。この評価用組成物1をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)と膜厚(μm)を測定した。なお、コニカミノルタ社製CM−3500dで色度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚を測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料1は領域Aに含まれる。
<顔料1>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.249、色度y:0.522
膜厚:1.9 、色度x:0.243、色度y:0.555
膜厚:2.4 、色度x:0.234、色度y:0.596
また、評価用組成物1を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)(以下、「極大透過波長」と称する場合がある。)は、520nmであった。
[製造例2](顔料2)
300mLフラスコに、塩化スルフリル 91部、塩化アルミニウム 109部、塩化ナトリウム 15部、亜鉛フタロシアニン 30部、臭素 41部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより粗顔料2を得た。得られた粗顔料2 20部、粉砕した塩化ナトリウム 140部、ジエチレングリコール 32部、キシレン 1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水 2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、顔料2を得た。得られた顔料2は、リガク社製ZSX100Eによる蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均11.15個であり、そのうち臭素原子数が平均8.63個、塩素原子数が平均2.52個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
得られた顔料2 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物2を得た。着色組成物2 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物2を得た。この評価用組成物2をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)と膜厚(μm)を測定した。なお、コニカミノルタ社製CM−3500dで色度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚を測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料2は領域Bに含まれる。
<顔料2>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.150、色度y:0.383
膜厚:1.9 、色度x:0.144、色度y:0.392
膜厚:2.4 、色度x:0.137、色度y:0.404
また、評価用組成物2を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、506nmであった。
[製造例3](顔料3)
300mLフラスコに、塩化スルフリル 91部、塩化アルミニウム 109部、塩化ナトリウム 15部、亜鉛フタロシアニン 30部、臭素 30部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより粗顔料3を得た。得られた粗顔料3 20部、粉砕した塩化ナトリウム 140部、ジエチレングリコール 32部、キシレン 1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水 2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、顔料3を得た。得られた顔料3は、リガク社製ZSX100Eによる蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均10.01個であり、そのうち臭素原子数が平均6.92個、塩素原子数が平均3.09個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
得られた顔料3 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物3を得た。着色組成物3 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物3を得た。この評価用組成物3をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)と膜厚(μm)を測定した。なお、コニカミノルタ社製CM−3500dで色度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚を測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料3は領域Bに含まれる。
<顔料3>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.127、色度y:0.343
膜厚:1.9 、色度x:0.123、色度y:0.346
膜厚:2.4 、色度x:0.118、色度y:0.350
また、評価用組成物3を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、502nmであった。
[製造例4](顔料4)
反応容器中で、n−アミルアルコール1250部にフタロジニトリル225部と塩化アルミニウム無水物78部を混合攪拌した。これに、DBU(1,8−Diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)266部を加え、昇温し、136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、135部のクロロアルミニウムフタロシアニンを得た。次いで、反応容器中で、濃硫酸1200部にクロロアルミニウムフタロシアニン100部を室温にて加えた。40℃、3時間撹拌した後、3℃の冷水24000部にこの硫酸溶液を注入した。生成した青色の析出物をろ過、水洗、乾燥して、92部のヒドロキシアルミニウムフタロシアニンを得た。反応容器に、N,N−ジメチルホルムアミド100部、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン4部、リン酸ジフェニル2.16部を加えた。85℃で、4時間反応させた後、水600部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水24000部で洗浄後、90℃にて一昼夜乾燥させて後に、粉砕し、その粉末を耐熱容器に入れ、恒温室内で230℃、1時間加熱し、4.5部の顔料4を得た。
得られた顔料4 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物4を得た。着色組成物4 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物4を得た。この評価用組成物4をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)と膜厚(μm)を測定した。なお、コニカミノルタ社製CM−3500dで色度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚を測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料4は領域Bに含まれる。
<顔料4>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.157、色度y:0.262
膜厚:1.9 、色度x:0.149、色度y:0.255
膜厚:2.4 、色度x:0.140、色度y:0.246
また、評価用組成物4を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、506nmであった。
[製造例5](顔料1と顔料2との混合)
顔料1 1.45部、顔料2 0.53部をよく混合して、顔料5を得た。得られた顔料5 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物5を得た。着色組成物5 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物5を得た。
[製造例6](顔料1と顔料3との混合)
顔料1 1.80部、顔料3 0.18部をよく混合して、顔料6を得た。得られた顔料6 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物6を得た。着色組成物6 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物6を得た。
[製造例7](顔料1と顔料4との混合)
顔料1 1.52部、顔料4 0.46部をよく混合して、顔料7を得た。得られた顔料7 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物7を得た。着色組成物7 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物7を得た。
[製造例8](黄色顔料の分散)
ピグメントイエロー138(BASF社製Paliotol Yellow L0960 HD) 1.65部を、DISPERBYK−161(ビックケミー社製) 3.85部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.00部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物8を得た。着色組成物8 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することで調色用組成物を得た。
[実施例1](黄色顔料による調色)
製造例8で得られた調色用組成物と製造例5〜7で得られた評価用組成物5、評価用組成物6、評価用組成物7をそれぞれ混合、製膜、乾燥して評価用ガラス基板を得た。次いで、得られたガラス基板をそれぞれ230℃で1時間加熱した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作成し、コニカミノルタ社製CM−3500dで輝度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚を測定した。結果を以下の表1に示す。
[製造例9](顔料9)
300mLフラスコに、塩化スルフリル 91部、塩化アルミニウム 109部、塩化ナトリウム 15部、亜鉛フタロシアニン 30部、臭素 74部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより粗顔料9を得た。得られた粗顔料9 20部、粉砕した塩化ナトリウム 140部、ジエチレングリコール 32部、キシレン 1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水 2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、顔料9を得た。得られた顔料9は、リガク社製ZSX100Eによる蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均13.97個であり、そのうち臭素原子数が平均11.46個、塩素原子数が平均2.51個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
得られた顔料9 2.48部を、BYK−LPN6919(ビックケミー社製)(固形分:60%) 1.24部、ユニディックZL−295(DIC社製)(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物9を得た。着色組成物9 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物9を得た。この評価用組成物9をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)をコニカミノルタ社製CM−3500dで測定し、膜厚(μm)をレーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料9は領域Aにも領域Bにも含まれない。
<顔料9>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.200、色度y:0.466
膜厚:1.9 、色度x:0.191、色度y:0.497
膜厚:2.4 、色度x:0.180、色度y:0.536
また、評価用組成物9を用いて作製した評価用ガラス基板((膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、520nmであった。
[製造例10](顔料10)
300mLフラスコに、塩化スルフリル 91部、塩化アルミニウム 109部、塩化ナトリウム 15部、亜鉛フタロシアニン 30部、臭素 8部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより粗顔料10を得た。得られた粗顔料10 20部、粉砕した塩化ナトリウム 140部、ジエチレングリコール 32部、キシレン 1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水 2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、顔料10を得た。得られた顔料10は、リガク社製ZSX100Eによる蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均7.37個であり、そのうち臭素原子数が平均2.03個、塩素原子数が平均5.34個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
得られた顔料10 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物10を得た。着色組成物10 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物10を得た。この評価用組成物10をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)と膜厚(μm)を測定した。なお、コニカミノルタ社製CM−3500dで色度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚を測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料10は領域Aにも領域Bにも含まれない。
<顔料10>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.132、色度y:0.228
膜厚:1.9 、色度x:0.129、色度y:0.223
膜厚:2.4 、色度x:0.124、色度y:0.216
また、評価用組成物10を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、487nmであった。
[製造例11](ピグメントグリーン58(FASTOGEN Green A110))
ピグメントグリーン58(FASTOGEN Green A110) 2.48部を、BYK−LPN6919 1.24部、ユニディック ZL−295 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物11を得た。
次いで、着色組成物11 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物11を得た。
次いで、評価用組成物11を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、522nmであった。
[製造例12]ピグメントグリーン59(FASTOGEN Green C100)
ピグメントグリーン59(FASTOGEN Green C100) 2.48部を、BYK−LPN6919 1.24部、ユニディック ZL−295 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物12を得た。
次いで、着色組成物12 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物12を得た。
次いで、評価用組成物12を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、515nmであった。
[製造例13](ピグメントグリーン7(FASTOGEN Green S))
ピグメントグリーン7(FASTOGEN Green S) 1.65部を、BYK−LPN6919 1.93部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 12.93部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物13を得た。
次いで、着色組成物13 6.0部、ユニディックZL−295 1.47部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.33部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物13を得た。
次いで、評価用組成物9を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、503nmであった。
[製造例14](ピグメントグリーン36(FASTOGEN Green 2YK−50))
ピグメントグリーン36(FASTOGEN Green 2YK−50) 2.48部を、BYK−LPN6919 1.24部、ユニディック ZL−295 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物14を得た。
次いで、着色組成物14 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物14を得た。
次いで、評価用組成物14を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、514nmであった。
[製造例15](顔料1と顔料9との混合)
顔料1 1.02部、顔料9 0.96部をよく混合して、顔料15を得た。得られた顔料15 2.48部を、BYK−LPN6919 1.24部、ユニディック ZL−295 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物15を得た。着色組成物15 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物15を得た。
[製造例16](顔料1と顔料10との混合)
顔料1 1.90部、顔料10 0.08部をよく混合して、顔料16を得た。得られた顔料16 2.48部を、BYK−LPN6919 1.24部、ユニディック ZL−295 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物16を得た。着色組成物16 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物16を得た。
[比較例1](黄色顔料による調色)
製造例8で得られた調色用組成物と製造例11〜16で得られた評価用組成物11、評価用組成物12、評価用組成物13、評価用組成物14、評価用組成物15、又は評価用組成物16とを混合、製膜、乾燥してガラス基板を得た。次いで、得られたガラス基板をそれぞれ230℃で1時間加熱した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作成し、コニカミノルタ社製CM−3500dで輝度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚(μm)を測定した。結果を以下の表1に示す。
Figure 0006711213
表1から、評価用組成物5〜7はいずれもピグメントグリーン59を用いて作製した評価用組成物12よりも輝度が高く、また膜厚が3μm以下であった。一方、評価用組成物11、13〜16はピグメントグリーン59を含有する評価用組成物12を用いて作製した塗膜よりも輝度が低く、さらに、評価用組成物11、14〜16は膜厚が3μmを超えていた。
[製造例17](顔料17)
300mLフラスコに、塩化スルフリル 91部、塩化アルミニウム 109部、塩化ナトリウム 15部、亜鉛フタロシアニン 30部、臭素 250部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより粗顔料17を得た。得られた粗顔料17 20部、粉砕した塩化ナトリウム 140部、ジエチレングリコール 32部、キシレン 1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水 2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、顔料17を得た。得られた顔料17は、リガク社製ZSX100Eによる蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均15.24個であり、そのうち臭素原子数が平均13.71個、塩素原子数が平均1.53個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
得られた顔料17 2.48部を、BYK−LPN6919(ビックケミー社製) 1.24部、ユニディックZL−295(DIC社製) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物17を得た。着色組成物17 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物17を得た。この評価用組成物17をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)をコニカミノルタ社製CM−3500dで測定し、膜厚をレーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料17は領域Aにも領域Bにも含まれない。
<顔料17>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.252、色度y:0.587
膜厚:1.9 、色度x:0.248、色度y:0.596
膜厚:2.4 、色度x:0.242、色度y:0.607
また、評価用組成物17を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、523nmであった。
[比較例2](顔料17と、顔料9、顔料2、顔料3、顔料4、又は顔料10とを混合し、黄色顔料による調色)
顔料17と顔料9、2、3、4、又は10を以下の表2又は表3の比率でよく混合して、得られた顔料 2.48部を、BYK−LPN6919(固形分:60%) 1.24部、ユニディック ZL−295(固形分:40%) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4 mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物を得た。着色組成物 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物を得た。調色用組成物と評価用組成物を混合、製膜、乾燥して得られたガラス基板を230℃で1時間加熱した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作成し、コニカミノルタ社製CM−3500dで輝度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚(μm)を測定した。
Figure 0006711213
Figure 0006711213
表2及び表3から、いずれの評価用組成物を用いて作製した塗膜においても、ピグメントグリーン59を含有する評価用組成物12を用いて作製した塗膜(輝度:51.53)よりも輝度が低かった。また、膜厚が3μmを超えるものもあった。
よって、顔料17と、顔料9、顔料2、顔料3、顔料4、又は顔料10とを混合し、黄色顔料による調色したものでは、ピグメントグリーン59を含有する評価用組成物12を用いて作製した塗膜よりも輝度が高く、膜厚が3μm以下であるものがなかった。
[製造例18](顔料18)
300mLフラスコに、塩化スルフリル 91部、塩化アルミニウム 109部、塩化ナトリウム 15部、亜鉛フタロシアニン 30部、臭素 89部を仕込んだ。130℃まで40時間かけて昇温し、水に取り出した後、ろ過することにより粗顔料18を得た。得られた粗顔料18 20部、粉砕した塩化ナトリウム 140部、ジエチレングリコール 32部、キシレン 1.8部を1L双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水 2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、顔料18を得た。得られた顔料18は、リガク社製ZSX100Eによる蛍光X線分析から、1分子中のハロゲン原子数が平均14.20個であり、そのうち臭素原子数が平均12.05個、塩素原子数が平均2.15個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であった。
得られた顔料18 2.48部を、BYK−LPN6919(ビックケミー社製) 1.24部、ユニディックZL−295(DIC社製) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機社製ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物18を得た。着色組成物18 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物18を得た。この評価用組成物18をソーダガラスに膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。このガラス基板を230℃で1時間加熱した後、C光源における色度(x,y)をコニカミノルタ社製CM−3500dで測定し、膜厚をレーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で測定した。測定結果は以下の通りであった。よって、図1のCIE色度座標において、顔料18は領域Aにも領域Bにも含まれない。
<顔料18>(単色評価)
膜厚:1.5 、色度x:0.218、色度y:0.493
膜厚:1.9 、色度x:0.210、色度y:0.529
膜厚:2.4 、色度x:0.201、色度y:0.573
また、評価用組成物18を用いて作製した評価用ガラス基板(膜厚2.4μm)について、日立ハイテクノロジーズ社製U−3900を用いて、単色分光透過スペクトルを測定した。その結果、顔料1の380〜780nmにおける分光透過スペクトルの極大透過波長(Tmax)は、520nmであった。
[比較例3](顔料18と、顔料9、顔料2、顔料3、顔料4、又は顔料10とを混合し、黄色顔料による調色)
顔料18と顔料9、2、3、4、又は10を以下の以下の表4又は表5の比率でよく混合して、得られた顔料 2.48部を、BYK−LPN6919 1.24部、ユニディック ZL−295 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10.92部と共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、ペイントシェーカーで2時間分散して、着色組成物を得た。着色組成物 4.0部、ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物を得た。調色用組成物と評価用組成物を混合、製膜、乾燥して得られたガラス基板を230℃で1時間加熱した後に、C光源における色度(x,y)=(0.250,0.615)を示す塗膜を作成し、コニカミノルタ社製CM−3500dで輝度を測定し、レーザーテック社製リアルカラー共焦点顕微鏡OPTELICS C130で膜厚(μm)を測定した。
Figure 0006711213
Figure 0006711213
表4及び表5から、いずれの評価用組成物を用いて作製した塗膜においても、ピグメントグリーン59を含有する評価用組成物12を用いて作製した塗膜(輝度:51.53)よりも輝度が低かった。また、膜厚が3μmを超えるものもあった。
よって、顔料18と、顔料9、顔料2、顔料3、顔料4、又は顔料10とを混合し、黄色顔料による調色したものでは、ピグメントグリーン59を含有する評価用組成物12を用いて作製した塗膜よりも輝度が高く、膜厚が3μm以下であるものがなかった。
以上により、図1のCIE色度座標において、領域Aの色度範囲に含まれる顔料と領域Bの色度範囲に含まれる顔料とを混合することにより、ピグメントグリーン7、36、58、及び59よりも高輝度で、且つ膜厚が3μm以下のカラーフィルタを作製できることが確かめられた。
本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物によれば、透明性が高く、色純度が優れた緑色画素を形成でき、さらに、従来の緑色顔料を用いる場合よりも薄い膜厚で高い色再現性を実現できる。また、本実施形態のカラーフィルタ用顔料組成物を用いてカラーフィルタを形成する場合には、色再現性が高く、且つ輝度が高いカラーフィルタを形成することができる。

Claims (5)

  1. 第一の顔料として、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、
    単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、下記式(A)〜(D)で囲まれるxy色度座標領域を表示できる顔料から選択される一種、及び
    第二の顔料として、質量換算で顔料1部あたり1.25部の樹脂を使用して膜厚1.5μm〜2.4μmの塗膜としたときに、
    単体でC光源を使用して測色した時のCIEのXYZ表色系において、下記式(1)〜(4)で囲まれるxy色度座標領域を表示できる顔料から選択される一種を、
    少なくとも含有し、
    前記第一の顔料が1分子中にハロゲン原子を平均13個以上16個以下、臭素を平均13個以上16個以下、塩素を平均0個以上3個以下含有する亜鉛フタロシアニン化合物であり、
    前記第二の顔料が、中心金属原子として亜鉛又はアルミニウムを有するフタロシアニン化合物であることを特徴とするカラーフィルタ用顔料組成物。
    式(A)
    y=−4.910x+1.776
    (式中、xは、0.23≦x≦0.27である。)
    式(B)
    y=1.090x+0.156
    (式中、xは、0.24≦x≦0.27である。)
    式(C)
    y=−4.911x+1.596
    (式中、xは、0.20≦x≦0.24である。)
    式(D)
    y=1.088x+0.396
    (式中、xは、0.20≦x≦0.23である。)
    式(1)
    y=−1.581x+0.640
    (式中、xは、0.10≦x≦0.20である。)
    式(2)
    y=4.190x−0.514
    (式中、xは、0.18≦x≦0.20である。)
    式(3)
    y=0.240、かつ0.08≦x≦0.18
    式(4)
    y=12.095x−0.728
    (式中、xは、0.08≦x≦0.10である。)
  2. 前記第一の顔料は、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が520〜530nmであり、
    前記第二の顔料は、380〜780nmにおける分光透過スペクトルの透過率が最大となる波長(Tmax)が500〜520nmである請求項1に記載のカラーフィルタ用顔料組成物。
  3. 前記第二の顔料が1分子中にハロゲン原子を平均7個以上12個以下、臭素を平均3個以上9個以下、塩素を平均2個以上5個以下含有する臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンである請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用顔料組成物。
  4. さらに、黄色顔料を含有する請求項1〜のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用顔
    料組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用顔料組成物を含有することを特徴とするカラーフィルタ。
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