JP5145649B2 - 塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物、該組成物の製造方法及び該組成物を用いた顔料分散インキ及びカラーフィルタ - Google Patents

塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物、該組成物の製造方法及び該組成物を用いた顔料分散インキ及びカラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物、該組成物の製造方法及び該組成物を用いた顔料分散インキ及びカラーフィルタに関する。詳細には、本発明は、フタロシアニン骨格への塩素置換の位置を制御することにより得られる、より黄味の緑色である塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物に関する。
ハロゲン化フタロシアニン顔料は色調が美しいこと、着色力が大きいこと、耐熱性、耐候性などの諸性能が良好であることから、緑色顔料として色材工業の分野において広く使用されている。
ハロゲン化フタロシアニン顔料の工業的な製造方法としては、青色のフタロシアニン化合物を製造した後でハロゲン化する方法が一般的である。フタロシアニン化合物は中心金属(又はメタルフリー)の周りに4個のイソインドールを持つ環状化合物であり、1分子中に4個の芳香環を有する青色の化合物である。この芳香環はそれぞれ4個の水素原子を有しており、これら合計16個の水素原子が塩素、臭素などのハロゲン原子で置換されることにより緑色のハロゲン化フタロシアニン顔料が得られる。
フタロシアニン化合物をハロゲン化する一般的な方法としては、塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムの共融塩中にフタロシアニン化合物を溶解させてハロゲン化する方法(下記、特許文献1を参照)があげられる。また、他の方法としては、四塩化チタン溶媒中でフタロシアニン化合物と塩化アルミニウムの付加物を生成させてハロゲン化する方法(下記、特許文献2を参照)や、クロルスルホン酸中にフタロシアニン化合物を溶解させてハロゲン化する方法(下記、特許文献3を参照)などがあげられる。
このようにして製造されるハロゲン化フタロシアニン顔料としては、その中心金属として銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、アルミニウムなどを有した多くの構造、及びメタルフリーの構造が知られている。これらの構造の中でも、とりわけ、中心金属が銅であるハロゲン化銅フタロシアニン顔料は、その色調が最も鮮明であるため、最も多く使用されている(下記、特許文献4を参照)。
このハロゲン化銅フタロシアニン顔料としては、塩素化臭素化銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Green 36)や、塩素化銅フタロシアニン(C.I.Pigment Green 7)などがあげられ、液晶表示装置のカラーフィルタなどの電子材料や色材として広く利用されている。
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、ガラスなどの透明基板上に赤色、緑色、青色の3色の画素が形成されたものである。このうち、緑色画素の形成には一般的に緑色顔料が使用され、この緑色顔料としては、通常、黄味が強く明度の高い顔料が要求される。上記ハロゲン化銅フタロシアニン顔料のなかでも、塩素化臭素化銅フタロシアニン顔料は特に黄味の強い緑色顔料であるため、カラーフィルタの緑色画素用の顔料として多く用いられている。
フタロシアニン化合物のハロゲン化に関する従来の文献の中には、銅フタロシアニンを3〜9個の臭素原子及び6〜13個の塩素原子により置換することや、その置換位置として臭素原子がα位に置換し、塩素原子がβ位に置換することにより顔料としての黄味が増すことが記載されたものがある(下記、特許文献5を参照)。
しかしながら、近年の研究では、ハロゲン化フタロシアニン顔料の色調に関して、ハロゲン化度を高くすると共に置換するハロゲンを塩素より臭素とした方が黄味になることを応用した研究が多い。例えば、臭素原子数14個以上である黄味の強い塩素化臭素化銅フタロシアニン顔料が、カラーフィルタの緑色画素として多く用いられている(下記、特許文献6を参照)。
このような塩素化臭素化銅フタロシアニン顔料を製造する方法については、フタロシアニン化合物への塩素と臭素の導入順序として、まず臭素を導入した後に塩素を導入する方法がほとんどである。他の方法としては、反応系内に塩素源と臭素源とを同時に存在させる製造方法がある(下記、特許文献7を参照)。
特開昭52−155625号公報 特開平1−279975号公報 米国特許明細書第2662085号 特開2002−131521号公報 米国特許明細書第3332961号 特開2001−342374号公報 特開昭51−64534号公報 特開昭63−123004号公報 特開平10―160928号公報
しかしながら、臭素原子数14個以上である黄味の強い塩素化臭素化銅フタロシアニン顔料であっても、強い黄味の要求には十分でない場合が多い。そこで、カラーフィルタの緑色画素として黄味をより強くする目的で、塩素化臭素化銅フタロシアニン顔料を単独で使用するのではなく、例えばC.I.Pigment YELLOW 150、同185などの黄色顔料との混色で所望の色に調整することが行われる(上記、特許文献8及び9を参照)。
このように緑色顔料に黄色顔料を混合することで、色はより黄味にはなるが、それと同時に明度低下を引き起こすというおそれがあることも知られている。また、一般的に黄色顔料は耐光性が弱く、表示装置の寿命を低下させるおそれもある。したがって、黄色顔料の添加量をより少なくするために、さらには添加せずに済むようにするために、より黄味の強い高明度の緑色顔料が望まれている。
[1] 第1にフタロシアニン骨格を塩素化し、第2に該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化することによって得られる、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[2] さらに、第3に前記塩素化及び臭素化されたフタロシアニン骨格を塩素化することによって得られる、[1]に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[3] 塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物におけるフタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるα位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜3.0個であり、前記フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均10.0〜15.7個である、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(A)を含有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[4] さらに、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物におけるフタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるβ位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜4.0個であり、前記フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均10.0〜15.7個である、化合物群(A)以外の塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(B)を含有する、[3]に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[5] さらに、フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が16個である臭素化フタロシアニン骨格含有化合物(C)を含有する、[3]または[4]に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[6] 前記組成物中の化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)の含有比率は、化合物群(A)由来のフタロシアニン骨格の個数:化合物群(B)由来のフタロシアニン骨格の個数:化合物(C)由来のフタロシアニン骨格の個数が20〜150:100:1〜150となるような含有比率である、[5]に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[7] 前記フタロシアニン骨格における中心金属が銅の場合、前記組成物の色相h°値は140.00〜158.00であり、
前記フタロシアニン骨格における中心金属がアルミニウムの場合、前記組成物の色相h°値は140.00〜156.00であり、
前記フタロシアニン骨格における中心金属が亜鉛、ニッケル又はコバルトであるかメタルフリーである場合、前記組成物の色相h°値は140.00〜154.00である、
[3]ないし[6]のいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[8] 前記塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物は、顔料である、[1]ないし[7]のいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
[9] [8]に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物および顔料担体を含有する顔料分散インキ。
[10] 基板上に、[9]に記載する顔料分散インキにより形成される画素を有する、カラーフィルタ。
[11] フタロシアニン骨格を塩素化する第1ハロゲン化工程と、該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化する第2ハロゲン化工程とを有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
[12] 前記第1ハロゲン化工程は、前記フタロシアニン骨格1個あたり平均置換基数0.3〜6.0個となるように前記フタロシアニン骨格を塩素化するものである、[11]に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
[13] フタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるα位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜3.0個である、該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化する臭素化工程を有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
[14] さらに、前記塩素化及び臭素化されたフタロシアニン骨格を塩素化する塩素化工程を有する、[11]ないし[13]のいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
[15] 前記臭素化する工程は、前記フタロシアニン骨格1個あたり平均置換基数10.0〜15.7個となるように前記フタロシアニン骨格を臭素化するものである、[11]ないし[14]のいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
[16] 前記塩素化する工程又は前記臭素化する工程は、それぞれ独立して、塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムの共融塩中にフタロシアニンを溶解させて塩素化又は臭素化する工程、四塩化チタン溶媒中でフタロシアニンを塩素化又は臭素化する工程、またはクロルスルホン酸中にフタロシアニンを溶解させて塩素化又は臭素化する工程である、[11]ないし[15]のいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
本発明の好ましい態様によれば、より黄味の強い高明度の緑色顔料を提供することができる。したがって、基本的には、この緑色顔料単独で強い黄味の緑色を得ることができるため、補色として添加する黄色顔料の量を少なくしたり、さらには添加しないようにしたりすることができる。この結果、黄色顔料を添加した場合に生じる耐光性や明度の低下のおそれをなくすことができ、この緑色顔料を例えばカラーフィルタなどに用いた場合、表示装置の寿命を向上させることができる。
<塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(A)>
本発明に係る塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物は、以下に説明する組成物である。
すなわち、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物におけるフタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるα位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜3.0個であり、前記フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均10.0〜15.7個である、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(A)を含有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物である。
ここで、「塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物」とは、塩素化及び臭素化されたフタロシアニン骨格を分子内に含む化合物である。また「化合物群(A)」や「塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物」(以下、単に「組成物」ともいう)とは、様々な比率で芳香環の水素原子が臭素原子及び/又は塩素原子で置換された、複数の塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の混合物である。
本発明に係る組成物は、フタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるα位に置換した塩素原子の数がフタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜3.0個であり、フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均10.0〜15.7個である塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(A)を含有する。
色をより黄味にするためには、化合物群(A)のα位に置換した塩素原子の平均数が0.20〜2.5個であることが好ましく、0.25〜2.0個であることがより好ましく、0.30〜1.5個であることがさらに好ましく、0.35〜1.0個であることが最も好ましい。α位に置換した塩素原子の平均数が0.15より少ないと黄味化効果が小さいく、3.0を超えると臭素原子が少なくなるため青味になる傾向が強くなる。
化合物群(A)のα位に置換した塩素原子の平均数については上述するとおりであるが、化合物群(A)のα位に置換した塩素原子の数は、0個、1個、2個、3個又は4個であることが好ましい。より好ましくは0〜3個であり、さらに好ましくは0〜2個であり、最も好ましくは0個又は1個である。
化合物群(A)は、α位に塩素が置換した塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群であるが、同時にβ位の塩素が存在しても良い。
また、黄味の強い塩素化臭素化フタロシアニンを得るためには、化合物群(A)のフタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の平均数が10.0〜15.7個であることが好ましく、11.5〜15.4個であることがより好ましく、13.0〜15.2個であることがさらに好ましく、14.0〜15.0個であることが最も好ましい。臭素原子の平均数が10.0より少ないと青味が強くなり、α位に塩素が0.15以上置換していると、β位にも塩素が0.15以上置換しており、臭素は15.7以上置換することはできない。
化合物群(A)の4つの芳香環に置換した臭素原子の平均数については上述するとおりであるが、化合物群(A)の4つの芳香環に置換した臭素原子の数は、4つの芳香環における置換位置16箇所のうち上記塩素が置換された箇所以外の置換位置において、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個又は16個である。好ましい臭素原子の数は、塩素原子の数との関係で選ばれ、4つの芳香環に置換した塩素原子と臭素原子との和が、14個、15個又は16個となるように選ばれる。より好ましくは、和が15個又は16個となるように選ばれ、さらに好ましくは、和が16個となるように選ばれる。
<塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(B)>
本発明に係る組成物は、さらに、β位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜4.0個であり、前記フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均10.0〜15.7個である、化合物群(A)以外の塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(B)を含有することが好ましい。組成物中に化合物群(B)を含有することにより、組成物の結晶化度を抑えることができ、組成物を所望の色に調整することができる。
化合物群(B)のβ位に置換した塩素原子の平均数は、0.20〜3.0個であることが好ましく、0.25〜2.5個であることがより好ましく、0.30〜2.0個であることがさらに好ましく、0.35〜1.5個であることが最も好ましい。
化合物群(B)のβ位に置換した塩素原子の平均数については上述するとおりであるが、化合物群(B)のβ位に置換した塩素原子の数は、0個、1個、2個、3個、4個又は5個であることが好ましい。より好ましくは0〜4個であり、さらに好ましくは0〜3個であり、最も好ましくは0〜2個である。
また、化合物群(B)の4つの芳香環に置換した臭素原子の数は、4つの芳香環における置換位置16箇所のうち上記塩素が置換された箇所以外の置換位置において、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個又は16個である。好ましい臭素原子の数は、塩素原子の数との関係で選ばれ、4つの芳香環に置換した塩素原子と臭素原子との和が、14個、15個又は16個となるように選ばれる。より好ましくは、和が15個又は16個となるように選ばれ、さらに好ましくは、和が16個となるように選ばれる。
<塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物(C)>
本発明に係る組成物は、さらに、4つの芳香環に置換した臭素原子の数が16個である臭素化フタロシアニン骨格含有化合物(C)を含有することが好ましい。組成物中に化合物(C)を含有することにより、組成物を所望の色に調整することができる。
<化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)の含有比率>
上述する組成物が上記化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)を含有する場合には、組成物中の化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)の含有比率は、化合物群(A)由来のフタロシアニン骨格の個数:化合物群(B)由来のフタロシアニン骨格の個数:化合物(C)由来のフタロシアニン骨格の個数が20〜150:100:1〜150となる含有比率である。
ここで「化合物由来のフタロシアニン骨格の個数」を基準とする理由は、各化合物はフタロシアニン骨格を1個だけでなく複数個含有する場合(例えば二量体など)もある化合物であるため、化合物1分子中に含まれるフタロシアニン骨格の数を考慮して、各化合物の含有比率を規定するためである。
化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)の含有比率は、各化合物由来のフタロシアニン骨格の個数が、50〜120:100:15〜120となるような含有比率であることがより好ましく、70〜100:100:30〜100となるような含有比率であることが最も好ましい。色を黄味にする効果は、組成物中に化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)がほぼ均等に含まれることが重要だからである。
<組成物の色>
本発明に係る組成物は黄味の強い緑色であり、組成物の色相h°値は、塩素化及び臭素化の度合いや置換位置により影響を受ける他、フタロシアニン骨格の中心金属(又はメタルフリー)によっても影響を受ける。
例えば中心金属がCuである銅フタロシアニンの場合には、組成物の色相h°値は140.00〜158.00であることが好ましく、より好ましくは、142.00〜157.00であり、さらに好ましくは、144.00〜156.00であり、最も好ましくは、146.00〜155.00である。
また、中心金属がAl,Ga,In,Siであるフタロシアニンの場合には、組成物の色相h°値は140.00〜156.00であることが好ましく、より好ましくは、142.00〜155.00であり、さらに好ましくは、144.00〜153.00であり、最も好ましくは、146.00〜152.00である。
また、中心金属がZn,Co,Ni,又はメタルフリーであるフタロシアニンの場合には、組成物の色相h°値は140.00〜154.00であることが好ましく、より好ましくは、141.00〜153.00であり、さらに好ましくは、142.00〜151.00であり、最も好ましくは、143.00〜150.00である。
組成物がこれら各種フタロシアニンの混合物の場合には、それぞれの含有率に応じた寄与度で色相h°値が予想される。なお、「色相h°」とは、「明度L*」及び「彩度C*」と並んで、表色系における一要素であり、色相h°値は小さい方がより黄味の強い緑色であり、大きい方がより青味の強い緑色であることを表す。
<フタロシアニン骨格へのハロゲン以外の置換基>
フタロシアニン骨格の芳香環には、ハロゲン原子以外の置換基も結合していてもよい。フタロシアニン骨格の芳香環に置換してもよい、ハロゲン原子以外の置換基としては、水素、水酸基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、環状アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、環状アルキルチオ基、アルケニル基、環状アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルアミノカルボニル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルキルチオ基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホン酸基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノスルホニル基、アルキルアミノスルホン酸塩基、クロロスルホン基、カルバミド基、スルホンアミド基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、脂肪族複素環基又は芳香族複素環基などがあげられる。
アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基などの直鎖または分岐のアルキル基があげられる。環状アルキル基としては、炭素数3〜6の環状のアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基などがあげられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基などの直鎖または分岐のアルコキシ基があげられる。環状アルコキシ基としては、炭素数3〜6の環状アルコキシ基、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基などがあげられる。
アルコキシアルキル基としては、炭素数2〜5のアルコキシアルキル基、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基などの直鎖又は分岐のアルコキシアルキル基があげられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜4のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基などの直鎖または分岐のアルキルチオ基があげられる。環状アルキルチオ基としては、炭素数3〜6の環状アルキルチオ基、例えば、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基などがあげられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜5のアルケニル基、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などの直鎖または分岐のアルケニル基があげられる。環状アルケニル基としては、炭素数3〜6の環状アルケニル基、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニルなどがあげられる。アルケニルオキシ基としては、炭素数2〜5のアルケニルオキシ基、例えば、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基などの直鎖または分岐のアルケニルオキシ基があげられる。
アルキルアミノ基としては、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの直鎖または分岐のアルキルアミノ基があげられる。
アルキルカルボニル基としては、炭素数2〜5のアルキルカルボニル基、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基などの直鎖または分岐のアルキルカルボニル基があげられる。アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基などの直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基があげられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、炭素数2〜5のアルキルカルボニルオキシ基、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基などの直鎖または分岐のアルキルカルボニルオキシ基があげられる。
アルキルアミノカルボニル基としては、炭素数1〜6のアルキルアミノカルボニル基、例えば、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基などがあげられる。フルオロアルキル基としては、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基などの直鎖または分岐のフルオロアルキル基があげられる。
フルオロアルコキシ基としては、炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基、例えば、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−tert−ブトキシ基、パーフルオロ−sec−ブトキシ基などの直鎖または分岐のフルオロアルコキシ基があげられる。
フルオロアルキルチオ基としては、炭素数1〜4のフルオロアルキルチオ基、例えば、トリフルオロメチルチオ基、ペンタフルオロエチルチオ基、ヘプタフルオロ−n−プロピルチオ基、ヘプタフルオロイソプロピルチオ基、パーフルオロ−n−ブチルチオ基、パーフルオロ−tert−ブチルチオ基、パーフルオロ−sec−ブチルチオ基などの直鎖または分岐のフルオロアルキルチオ基があげられる。
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基などの直鎖または分岐のアルキルスルホニル基があげられる。アルキルアミノスルホニル基としては、炭素数1〜6のアルキルアミノスルホニル基、例えば、メチルアミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ジエチルアミノスルホニル基などがあげられる。
アルキルアミノスルホン酸塩基としては、炭素数1〜6のアルキルアミノスルホン酸塩基、例えば、メチルアミノスルホン酸塩基、エチルアミノスルホン酸塩基、ジメチルアミノスルホン酸塩基、ジエチルアミノスルホン酸塩基などがあげられる。
ハロゲン原子、及び水素原子以外の置換基の数は、置換基の大きさなどにもよるが、顔料としての性質を保つために、2個以下であることが好ましい。より好ましくは1個以下、もっとも好ましくは0個である。
<フタロシアニン骨格の中心金属と中心金属への置換基>
フタロシアニン骨格の中心金属としては、Cu,Ni,Co,Zn,Fe,Pd,Mg,Ru,Rh,Pt,Mn,Ti,Be,Ca,Ba,Cd,Hg,Pb,Sn,Ag,Auなどの2価金属(以下、「L2」ともいう)、Al,In,Ga,Tl,Mn,Fe,Ruなどの3価金属(以下、「L3」ともいう)、Si,Ge,Sn,Ti,Cr,Zr,Mn,Vなどの4価金属(以下、「L4」ともいう)など各種の金属をあげることができる。これらの中心金属は、オキシ金属の形態であったり、後述する置換基Zを1以上有する形態であったりしてもよい。フタロシアニン骨格の中心金属としては、好ましくは例えば、Cu,Ni,Co,Zn,Al,In,Ga,Si,Sn,Ti、より好ましくはCu,Al,Zn,Ni,Coがあげられ、さらに好ましくはCu,Al,Znがあげられる。また、中心金属がない(即ち2つの水素原子)形態も同様に好ましい。
具体的な中心金属の形態としては、Cu,Ni,Co,Zn,Fe,Pd,Mg,Ru,Rh,Pt,Mn,Ti,Be,Ca,Ba,Cd,Hg,Pb,Sn,Ag,Auなどの2価の金属L2や、Al−Z,In−Z,Ga−Z,Tl−Z,Mn−Z,Fe−Z,Ru−ZなどのL3−Zで表される1置換された3価の金属や、Si−Z,Ge−Z,Sn−Z,Ti−Z,Cr−Z,Zr−Z,Mn−ZなどのL4−Z(但し、L4に置換する2個のZは、互いに異なる置換基であってもよく、同一の置換基であってもよい。)で表される2置換された4価の金属や、V=O、Mn=O、Ti=OなどのL4=Oで表されるオキシ金属や、ランタニド類などがあげられる。
なお、Zは任意の置換基であるが、中でもハロゲン原子、水酸基、スルホン酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのいずれでもよいが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、特に塩素原子、又は臭素原子が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などの、アルキル鎖部分が直鎖、分岐又は環状である、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、特に炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、キノリルオキシ基などの、アリール部分が5員環、6員環、5員環及び/又は6員環の2又は3縮合環のいずれかであるアリールオキシ基などがあげられる。Zとしては、この中でも特にハロゲン原子、又は水酸基が好ましい。
中心金属のAl,In,Ga,Siなどに水酸基を配位させるには、例えばクロロアルミニウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン又はクロロシランフタロシアニンを公知の方法で加水分解すればよい。中心金属のAl,In,Ga,Siにアルコキシ基を配位させるには、例えば、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン若しくはクロロシランフタロシアニン又は、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン若しくはヒドロキシシランフタロシアニンを、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒中で加熱処理する方法が用いられる。この際、アルコール溶媒に、ナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウムなどの塩基を共存させてもよい。
中心金属のAl,In,Ga,Siなどにアリールオキシ基を配位させるためには、例えば、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン若しくはクロロシランフタロシアニン又は、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン若しくはヒドロキシシランフタロシアニンを、芳香族化合物のヒドロキシ誘導体などを含む溶媒中で加熱処理する方法が用いられる。この際、芳香族化合物のヒドロキシ誘導体などを含む溶媒に、ナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウムなどの塩基を共存させてもよい。
<フタロシアニンの二量体及び多量体構造>
フタロシアニン骨格は、中心金属が多価の原子団を介して複数の他のフタロシアニン骨格の中心金属と結合してなる多量体を形成していてもよい。また連結箇所は各フタロシアニン骨格の中心金属だけでなく、フタロシアニン骨格の有する4つの芳香環であってもよい。好ましくは、フタロシアニン骨格は、中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO−)からなる群から選ばれる二価原子団を介して他のフタロシアニン骨格の中心金属と結合してなる二量体を形成していることである。この場合、中心金属の具体的な態様としての3価の金属L3としては、Al、In、Ga、Tl、Mn、Fe、Ruなどがあげられ、L4−Zで表される1置換された4価の金属としては、Si−Z、Ge−Z、Sn−Z、Ti−Z、Cr−Z、Zr−Z、Mn−Zなどがあげられる。
<本発明に係る組成物の製造方法>
本発明に係る塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法は、以下に説明する製造方法である。
すなわち、フタロシアニン骨格を塩素化する第1ハロゲン化工程と、該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化する第2ハロゲン化工程とを有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法である。
また、必要に応じて、前記塩素化及び臭素化されたフタロシアニン骨格をさらに塩素化する第3ハロゲン化工程を有してもよい。
また、上述した本発明に係る組成物は、別の表現を用いれば、以下に説明する組成物である。
すなわち、第1にフタロシアニン骨格を塩素化し(第1ハロゲン化工程)、第2に該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化する(第2ハロゲン化工程)ことによって得られる、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物である。
また、必要に応じて、第3に前記塩素化及び臭素化されたフタロシアニン骨格を塩素化して(第3ハロゲン化工程)もよい。
本発明に係る組成物を製造するためには、各ハロゲン化の順序が重要であり、各ハロゲン化の順序については公知の方法によることはできない。このように、各ハロゲン化の順序が重要であるが、この順序は原料によって若干異なる。すなわち、フタロシアニン骨格が無置換の化合物を原料として用いる場合には、まず第1ハロゲン化工程(塩素化)を行い、次に第2ハロゲン化工程(臭素化)を行い、場合によってはさらに第2ハロゲン化工程(塩素化)を行う。一方、すでにα位に塩素原子が置換された、例えばモノクロロフタロシアニン骨格を有する化合物、ジクロロフタロシアニン骨格を有する化合物またはこれらの混合物を原料として用いる場合には、第1ハロゲン化工程(塩素化)をなくすか、又は第1ハロゲン化工程(塩素化)における塩素導入量を抑えるようにする。
本発明者らは、フタロシアニンをハロゲン化するにあたって、ハロゲン原子の置換位置について以下の反応式に示す知見を得た。なお、下記反応式には、一例として銅フタロシアニンのハロゲン(X=F,Cl,Br,I)化反応を示してあるが、本発明は中心金属として銅に限られず、他の中心金属にも適用することができる。
Figure 0005145649
上記反応式によれば、フタロシアニンをハロゲン化すると、まず芳香環のα位がハロゲン化された化合物(1)とβ位がハロゲン化された化合物(2)とがほぼ均等に生成する(ステップa)。
次に、化合物(1)から約100%の割合で2つのα位がハロゲン化された化合物(3)が生成すると共に、化合物(2)から約90%の割合でα位とβ位とがハロゲン化された化合物(4)及び約10%の割合で2つのβ位がハロゲン化された化合物(5)が生成する(ステップb)。
次に、それぞれ化合物(3)及び化合物(4)から約100%の割合でβ位と2つのα位とがハロゲン化された化合物(6)が生成すると共に、化合物(5)から約100%の割合でα位と2つのβ位とがハロゲン化された化合物(7)が生成する(ステップc)。
最後に、化合物(6)及び化合物(7)から全ての置換部位がハロゲン化された化合物(8)が生成する(ステップd)。
すなわち、ステップbまでの初期段階において、約95%の割合で少なくとも1つのα位がハロゲン化されたフタロシアニンが生成する。一方、ステップbまでにおいて、少なくとも1つのβ位がハロゲン化されたフタロシアニンは約50%の割合に留まる。このことから、芳香環のα位に所望のハロゲン元素(本発明では塩素)を置換したい場合には、まず第1工程として該ハロゲン元素によるハロゲン化を行えばよいことが分かる。
<製造方法における第1ハロゲン化(塩素化)工程>
塩素化臭素化フタロシアニンの色相を黄味の緑色とするためには、芳香環のα位に置換した塩素原子の数が重要であるが、従来のハロゲン化順序(まず臭素源を供給してから次に塩素源を供給するか、又は臭素源と塩素源とを同時に供給するか)では、芳香環のα位のほとんどが臭素により置換されてしまっていた。そこで、本発明では、第1ハロゲン化工程において塩素源を供給することにより、芳香環のα位に主として塩素原子で置換するようにした。
第1ハロゲン化工程では、フタロシアニン骨格1個あたり平均置換基数0.3〜6.0個となるようにフタロシアニン骨格を塩素化することが好ましい。上述するように、初期段階におけるハロゲン化ではα位及びβ位に均等に導入されるので、「フタロシアニン骨格1個あたり平均置換基数0.3〜6.0個となるように」とは、フタロシアニン骨格のα位(合計8箇所)に平均0.15〜3.0個の塩素が導入されると共に、β位(合計8箇所)にも平均0.15〜3.0個の塩素が導入されるようにとのことである。
なお、第1ハロゲン化工程は、該工程においてα位に置換した塩素原子の平均数が、0.20〜2.5個(β位も含めると合計0.40〜5.0個)となるようにすることが好ましく、0.25〜2.0個(β位も含めると合計0.50〜4.0個)となるようにすることがより好ましく、0.30〜1.5個(β位も含めると合計0.60〜3.0個)となるようにすることがさらに好ましく、0.35〜1.0個(β位も含めると合計0.70〜2.0個)となるようにすることが最も好ましい。
通常、最初のハロゲン化工程では反応系の発熱を抑えるために、ハロゲンの導入を比較的抑えながら行う。このことは、導入したハロゲンがほぼ100%の割合で反応し、α位とβ位とにほぼ均等に導入されることを意味する。したがって、第1ハロゲン化工程では所望の置換基数に相当する理論量の塩素を反応系に導入すればよい。
<製造方法における第2ハロゲン化(臭素化)工程>
上述するように本発明では、芳香環のα位が主に塩素原子で置換されるように制御しているため、塩素化である第1ハロゲン化工程の後に臭素化である第2ハロゲン化工程を行うようにする。第2ハロゲン化工程では、フタロシアニン骨格1個あたりの平均置換基数が10.0〜15.7個となるようにフタロシアニン骨格を臭素化することが好ましい。第2ハロゲン化工程における反応率は、ハロゲン化の方法および反応スケールによって異なる。したがって、ハロゲン化方法の種類ごとに、反応温度、臭素の導入速度、導入量などを決定する必要がある。
<製造方法における第3ハロゲン化(塩素化)工程>
第3ハロゲン化工程は、塩素化工程であり、必要に応じて行うようにすればよい。すなわち、第1及び第2ハロゲン化工程においてハロゲン化されていない芳香環の置換部位(水素原子が結合)が存在する場合であって、この置換部位に塩素を導入したい場合に、第3ハロゲン化工程を行う。第1及び第2ハロゲン化工程において、芳香環のα位のほとんど全てが塩素又は臭素で置換されているので、第3ハロゲン化工程における塩素の置換位置は主としてβ位である。なお、この水素原子が結合した置換部位は、水素原子のまま無置換としておいてもよく、またハロゲン以外の置換基を結合させてもよい。
上述する第1及び第2ハロゲン化工程(必要に応じて第3ハロゲン化工程)を経て得られる組成物は、上記化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)を含有することが好ましい。またこの場合には、組成物中の化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)の含有比率については、上述するとおりである。
<塩素化フタロシアニン骨格を出発原料としたときの製造方法>
また、本発明に係る組成物の他の製造方法は、以下に説明する製造方法である。
すなわち、フタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるα位に置換した塩素原子の数がフタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜3.0個である、該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化する臭素化工程を有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法である。
また、必要に応じて、前記塩素化及び臭素化されたフタロシアニン骨格をさらに塩素化する塩素化工程を有してもよい。
「臭素化工程」は上記第2ハロゲン化工程に相当し、「塩素化工程」は上記第3ハロゲン化工程に相当する。
塩素化臭素化フタロシアニンを製造するにあたって、出発原料としては無置換のフタロシアニンだけでなく、既にα位が塩素原子で置換されているフタロシアニンを用いることもできる。このフタロシアニンとしては、α位に置換した塩素原子の数がフタロシアニン骨格1個あたり平均0.15〜3.0個である塩素化フタロシアニンであることが好ましく、例えば、モノクロロフタロシアニンおよび/またはジクロロフタロシアニンを含む塩素化フタロシアニンおよびこれらの混合物があげられる。
原料とするα位が塩素原子で置換されているフタロシアニンとしては、α位に置換した塩素原子の平均数が0.20〜2.5個のものであることが好ましく、0.25〜2.0個のものであることがより好ましく、0.30〜1.5個のものであることがさらに好ましく、0.35〜1.0個のものであることが最も好ましい。さらに、α位が塩素で置換されたフタロシアニンに加えて、β位が塩素で置換されたモノクロロフタロシアニンおよび/またはジクロロフタロシアニンを併せて含む原料を使用して、第1及び第3ハロゲン化工程の塩素化を省略してもよい。
<第1〜第3ハロゲン化工程で適用可能なハロゲン化方法>
本発明に係る組成物の製造方法では、上述する第1〜第3のハロゲン化工程(塩素化又は臭素化)として、それぞれ独立して、塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムの溶融塩中にフタロシアニンを溶解させて塩素化又は臭素化する工程、四塩化チタン溶媒中にフタロシアニンと塩化アルミニウムの付加物を生成させて塩素化又は臭素化する工程、またはクロルスルホン酸中にフタロシアニンを溶解させて塩素化又は臭素化する工程など、公知のハロゲン化方法を採用することができる。
公知のハロゲン化方法については、例えば“The Phthalocyanines Volume II Manufacture and Applications”(CRC Press,Inc.1983年)などに記載された溶融塩法又はクロルスルホン酸法などがあげられる。
溶融塩法としては、例えば、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムのようなハロゲン化アルミニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウムなどのようなアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物、塩化チオニルなど、各種のハロゲン化の際に溶媒となる化合物の一種または二種以上の混合物からなる10〜170℃程度の溶融物中で、フタロシアニンをハロゲン化剤にてハロゲン化する方法があげられる(特開昭51−64534号公報(米国特許第4077974号明細書)等も参照)。
この方法においては、溶融塩中の塩化物と臭化物の比率を調節したり、ハロゲン化剤の導入量や反応時間を変化させたりすることによって、ハロゲン化率やハロゲン化の種類が異なるハロゲン化フタロシアニンの比率を任意にコントロールすることができる。ハロゲン化剤としては、特に限定されないが、塩素ガス、臭素、塩化スルフリル又は塩化臭素などがあげられる。
クロルスルホン酸法としては、フタロシアニンをクロロスルホン酸などの硫黄酸化物系の溶媒に溶解し、これにハロゲン化剤を仕込みハロゲン化する方法があげられる。この際の反応は、例えば、温度20〜120℃かつ1〜10時間の範囲で行われる。
<溶融塩法の具体的な説明>
溶融塩法によるハロゲン化の際の溶媒量、反応温度、反応時間などの操作条件は、ハロゲン化法の種類によって異なるが、それぞれ公知の方法に準じて行うことができる。以下に、四塩化チタン溶媒中にフタロシアニンと塩化アルミニウムの付加物を生成させてハロゲン化する方法、及び塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムの共融塩中にフタロシアニンを溶解させてハロゲン化する方法について、その条件等を詳細に説明する。
<四塩化チタン溶媒中でのハロゲン化の条件>
四塩化チタンの量は原料のフタロシアニンの重量に対して4倍以上、好ましくは5〜20倍、より好ましくは8〜12倍である。4倍以下ではスラリーの撹拌が困難であり、20倍以上では経済的に不利になる。
触媒である塩化アルミニウムを反応系に添加する方法は、反応系を安定に保つために重要である。すなわち、ハロゲン化前にフタロシアニンと塩化アルミニウムを加熱撹拌することにより、フタロシアニンと塩化アルミニウムの付加物または塩を生成させておくことが好ましい。このための適切な条件としては、例えば、ハロゲン化を行う前にフタロシアニンに対して0.4〜4倍モルの塩化アルミニウムを添加し50℃以上で予備撹拌を行う方法があげられる。この結果、フタロシアニンと塩化アルミニウムの塩を生成させることができる。この塩を生成させた後、ハロゲン化を行い、必要に応じてさらに塩化アルミニウムを追加して添加量の合計をフタロシアニンに対して3〜8倍モルとすることが好ましい。
塩化アルミニウムの初期添加量及び反応系の安定性は、四塩化チタンの量によっても影響される。すなわち、反応系を安定に保つためには、四塩化チタンの量が多い場合には必要とされる塩化アルミニウムの全量を一度に添加してもよいが、四塩化チタンの量が少ない場合には塩化アルミニウムの初期添加量も比較的少なくして、塩化アルミニウムの追加も少量ずつ行うことが好ましい。追加の塩化アルミニウムの添加時期については、ハロゲン化反応が緩慢になった時点が好ましい。
塩化アルミニウムとフタロシアニンの付加物又は塩を生成させるための予備撹拌の温度は50℃以上、好ましくは80〜137℃、より好ましくは120〜130℃である。また、この予備撹拌の時間は、塩化アルミニウムの初期添加量、四塩化チタン量及び温度によって異なるが、塩化アルミニウムの初期添加量がフタロシアニンおよび四塩化チタンに対して比較的少なく、温度が100〜130℃の場合には、0.5〜5時間とすることが好ましく、2〜5時間とすることがより好ましい。一方、塩化アルミニウムの初期添加量が比較的多い場合は、2〜10時間とすることが好ましく、5〜10時間とすることがより好ましい。
ハロゲン化工程の温度は、好ましくは100〜137℃、より好ましくは120〜135℃、さらに好ましくは125〜130℃であるが、反応速度を速くするために加圧して反応温度を高くしてもよい。ハロゲン化工程の時間は、好ましくは20〜200時間かけてハロゲンを導入し、より好ましくは30〜100時間、さらに好ましくは40〜80時間である。ハロゲン化工程の時間が20時間より少ないと反応するハロゲンの割合が低下し、200時間より多いと生産性が低下する。
<塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムの溶融塩中でのハロゲン化の条件>
溶融塩における塩化アルミニウムと塩化ナトリウムの組成比率は、融点がなるべく低くなる温度が好ましく、例えば融点が最も低くなる比率であり、モル比で63:37、重量比ではおよそ4:1である。この比率は±10%程度の範囲、より好ましくは±5%程度の範囲で調整することができる。この比率より塩化アルミニウム量が多い場合には、塩化アルミニウムの昇華量が増えるために工程上の問題となる場合があり、一方、上記比率よりも少ない場合には、溶融塩が固化しやすくなる場合がある。
原料のフタロシアニン(無置換及び塩素化フタロシアニン)の量は、溶融塩100重量部に対して10〜35重量部であることが好ましい。溶融塩100重量部に対して、より好ましくは15〜30重量部であり、さらに好ましくは20〜25重量部である。溶融塩100重量部に対して、30重量部より多いと反応系の粘度が高くなり過ぎ、取り出しが困難である。一方、溶融塩100重量部に対して10重量部より少ないとコスト的に不利になる。
ハロゲン化工程は、基本的には、フタロシアニンを含む溶融塩を120〜200℃に保ち、10〜160時間かけてハロゲンを導入する。反応温度については、好ましくは140〜190℃であり、より好ましくは150〜180℃である。また、反応時間については、好ましくは15〜100時間であり、より好ましくは20〜60時間である。反応温度が200℃より高いとグラスライニング釜の装置上の問題があり、120℃より低いと溶融塩が固化するおそれがある。また、反応時間が10時間より少ないと反応するハロゲンの割合の低下が起こり、また、溶融塩の反応熱による発熱が大きくなり危険性が増す場合がある。また、反応時間が160時間より多いと生産性が低下する。
なお、他のハロゲン化アルミニウムと他のアルカリ(土類)金属ハロゲン化物との共融塩の場合についても上記条件と同様であるか、当業者であれば上記条件から類推可能な範囲である。
<ハロゲン化フタロニトリル法>
本発明にかかる組成物は、ハロゲン化フタロニトリル法でも製造することができる。ハロゲン化フタロニトリル法としては、例えば“The Phthalocyanines Volume II Manufacture and Applications”(CRC Press,Inc.1983年)に記載されているように、例えば、芳香環の水素原子の一部または全部が臭素や塩素などで置換されたフタル酸やフタロジニトリルと、上述する中心金属種又はこの金属塩とを適宜、出発原料として使用して、対応する塩素化臭素化フタロシアニンを合成する方法があげられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウムなどの触媒を用いてもよい。この際の反応は、温度100〜300℃かつ1〜30時間の範囲で行われる。
上記いずれの製造方法においても、反応終了後、得られた反応混合物を水、あるいは塩酸などの酸性水溶液中に投入すると、ハロゲン化フタロシアニン骨格を含有する化合物の組成物(後述する粗製顔料)が沈殿する。該組成物を濾過した後、水、あるいは硫酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、もしくは水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液で洗浄し、必要に応じてアセトン、トルエン、メチルアルコール、エチルアルコール、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤で洗浄して乾燥するのが好ましい。
<塩素化臭素化フタロシアニンの二量体の製造方法>
塩素化臭素化フタロシアニンの二量体は、公知の方法で製造することができる。例えば、塩素化臭素化アルミニウムフタロシアニン、塩素化臭素化インジウムフタロシアニンなどを合成した後、公知の方法により加水分解することによりヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニンとし、さらに有機溶媒中で加熱脱水することにより得ることができる。この結果、酸素原子(連結基)を介して各中心金属が結合した、2個のフタロシアニン骨格を有する二量体を得ることができる。また、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO−)などの他の連結基を介しての2量体についても、それぞれ公知の方法で製造することができる。
<本発明に係る組成物の顔料化>
上述するようにして得られる本発明に係る組成物は、顔料用途とする場合には、いわゆる粗製顔料と呼ばれるもので、製造方法によって若干の違いはあるものの、およそ0.01μm以下の粗大な粒子や逆に非常に微細な粒子同士の強い凝集体(およそ10〜200μm程度)である。この粗製顔料のままでは、鮮明性、透明性、着色力などの諸適正が不十分であることは公知のことであり、インキ、塗料又はプラスチックスなどの着色用顔料としてはその価値は非常に低い。
この粗製顔料から価値の高い塩素化臭素化フタロシアニン顔料を得るには、色彩や分散性などの観点から粒径、アスペクト比や結晶型などを最適なものに調整する工程である、顔料化と呼ばれる工程が必要となる。この顔料化により、より一層分散性や着色力に優れ、かつ、黄味を帯びた明度の高い緑色を発色する組成物が得られる。
顔料化の方法としては、例えば、濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、ポリリン酸などの強酸あるいはこれらの混合物に本発明に係る組成物を溶解した後、これを多量の水に注いで微細顔料を生成させるアシッドペースト法や、同様に強酸に本発明に係る組成物を分散してこれを多量の水に注いで微細顔料を生成させるアシッドスラリー法などがある。また、本発明に係る組成物を、分散体とすると同時に顔料化を行ってもよい。
さらに別法として、ボールミルあるいはニーダーなどを用い、本発明に係る組成物に塩化ナトリウムなどの無機塩及び溶剤を加え摩砕した後に、無機塩及び溶剤を除去することにより微細顔料を得るソルベントソルトミリング法などがある。また、粒径が細かすぎる場合には、有機溶剤中で加熱処理をして結晶成長させるソルベントボイリング法もある。なお、ソルベントソルトミリング法やソルベントボイリング法を行う前に、本発明に係る組成物を、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミルなどの粉砕機で乾式摩砕しておいてもよい。
<ソルベントソルトミリング法による顔料化>
本発明においては、顔料化方法には特に制限はなく、公知慣用の方法がいずれも採用でき、上記いずれの方法で顔料化したものも用いることができる。特に、容易に結晶成長を抑制でき、かつ比表面積の大きい(すなわちより微細な)顔料粒子が得られる点で、ソルベントソルトミリング法を採用するのが好ましい。ソルベントソルトミリング処理は、組成物を製造した直後またはその後に摩砕を行った、顔料化を経ていない塩素化臭素化フタロシアニン粗製顔料と、磨砕助剤である無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕することにより行う。具体的には、粗製顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練摩砕を行う。この際の混練手段としては、例えば、ニーダーやミックスマーラーなどがあげられる。
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒径1〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。このような無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
また、有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る有機溶剤を使用することが好ましく、このような有機溶媒としては水溶性有機溶剤が好適に使用でき、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールなどを用いることができる。
この水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、本発明に係る組成物1重量部に対して0.5〜2.5重量部が好ましく、0.8〜1.5重量部とするのがより好ましい。無機塩の使用量は、本発明に係る組成物1重量部に対して5〜20重量部とするのが好ましく、7〜15重量部とするのがより好ましい。ソルベントソルトミリング処理の温度は、30〜190℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、90〜130℃がさらに好ましい。ソルベントソルトミリングの時間は、5〜20時間が好ましく、5〜15時間がより好ましく、6〜12時間がさらに好ましい。
このようにして、一次粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmの本発明に係る組成物からなる顔料と、無機塩、有機溶剤を主成分として含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と無機塩を除去し、必要に応じて本発明に係る組成物からなる顔料を主体とする固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕などをすることにより、本発明に係る組成物からなる顔料(以下「本発明に係る顔料」ともいう)を得ることができる。得られた顔料の精製のための洗浄としては、中性、酸性、又はアルカリ性の水洗、湯洗のいずれも採用できる。洗浄回数は、1〜5回の範囲で繰り返すことも出来る。水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を用いた前記混合物の場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することができる。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱などにより、得られた顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式あるいは連続式の乾燥などがあげられる。乾燥機としては一般に箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤーなどがある。また、乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり一次粒子の平均粒径を小さくしたりするための操作ではなく、箱型乾燥機、バンド乾燥機などを用いた乾燥の場合のように得られた顔料がランプ状などとなった際にそれを解して粉末化するために行うものである。一例として、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミルなどによる粉砕などがあげられる。
本発明に係る組成物を顔料化する方法においては、本発明に係る組成物(粗製顔料)のみをソルベントソルトミリングしても良いが、粗製顔料とフタロシアニン誘導体等の分散剤とを併用してソルベントソルトミリングすることもできる。また、フタロシアニン誘導体等の分散剤は、粗製顔料の合成時や顔料化の後に加えてもよいが、ソルベントソルトミリングなどの顔料化工程の前に加えることがより好ましい。フタロシアニン誘導体等の分散剤を加えることによって顔料分散インキの粘度特性の向上と分散安定性の向上が達成できる。
このようなフタロシアニン誘導体等の分散剤としては、公知慣用のものがいずれも使用出来るが、下記一般式(1)で示される置換基を少なくとも1つ有する無金属または金属フタロシアニン誘導体およびアントラキノン誘導体、アクリドン誘導体、トリアジン誘導体の群から選ばれることが好ましい。
一般式(1) −X−Y
(式中、Xは直接結合、または水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる2〜50個の原子で構成される化学的に合理的な組み合わせからなる2価の結合基、好ましくは−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CH−を表す。Yはニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR、−SO・M/mまたは−COO・M/mを表し、RとRはそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはRとRとで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表し、Mは水素イオン、1〜3価の金属イオンまたは少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、mはMの価数を表す。)
一般式(1)で示される置換基の具体例として、フタルイミドメチル基、4−ニトロフタルイミドメチル基、4−クロロフタルイミドメチル基、テトラクロロフタルイミドメチル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4−(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基、2−アルミニウムカルボキシラト−5−ニトロベンズアミドメチル基、などがある。
また、トリアジン誘導体を構成するトリアジンは、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等)、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)、およびフェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンである。
フタロシアニン誘導体等の分散剤添加量は、通常、粗製顔料1重量部当たり0.01〜0.3重量部である。フタロシアニン誘導体を用いる場合には、粗製顔料とフタロシアニン誘導体との合計量を粗製顔料の使用量とみなして、無機塩の使用量などは、前記した範囲から選択する。
<本発明に係る顔料の特性>
こうして得られる本発明に係る顔料の一次粒子の平均粒径は、10〜500nmであり、好ましくは20〜200nmであり、より好ましくは30〜100nmである。この顔料は、公知慣用の用途にいずれも使用できるが、特に上記範囲の平均粒径を有する場合には、顔料凝集も比較的弱く、樹脂などの顔料担体への分散性がより良好となる。本発明に係る顔料は、カラーフィルタ用顔料分散インキ以外にも、塗料、プラスチック、印刷インキ、ゴム、レザー、捺染、電子トナー、インクジェットインキ、熱転写インキなどの着色に適する。
一般に、カラーフィルタ用顔料分散インキの調製に使用する顔料は、分散状態におけるその粒径が小さいほど、これを使用して得られるカラーフィルタ画素部の透明性が高くなる。したがって、この目的で使用する顔料の平均一次粒径は、10〜100nmの範囲が好ましく、中でも30〜50nmの範囲が特に好ましい。この範囲の平均一次粒径である場合、近年要求されている透明性とコントラスト比とのいずれもが高いカラーフィルタがより簡便に得られる。
ここで、顔料の平均一次粒径が100nmを超える場合は、これを使用したカラーフィルタ画素部の透明性が低下する。また、顔料の平均一次粒径が10nmよりも小さい場合は、これを使用した顔料分散インキの粘度が経時的に上昇したり、チキソトロピーが強く現れたりするほか、顔料が凝集しやすくなるため、分散状態において、かえって粒径の大きい二次粒子を形成することがある。したがって、この場合もまた、カラーフィルタ画素部の透明性が低下する原因となるので好ましくない。
なお、上述する顔料の一次粒子の平均粒径とは、透過型電子顕微鏡(H7650型、日立ハイテクノロジーズ)で視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の、凝集体を構成する顔料一次粒子の50個につき、その長い方の径(長径)を各々求め、それを平均した値である。この際、試料である顔料は、これを溶媒に超音波分散させてから顕微鏡で撮影する。また、透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
<本発明に係る顔料と併用可能な黄色顔料>
本発明に係る顔料の利用に際しては、所望の色相に調整するなどの目的で、該顔料と黄色顔料とを混合して用いてもよい。本発明に係る顔料と黄色顔料とを混合することで、例えば、波長400〜500nmにおける分光透過スペクトルの透過率を低下させることが可能であり、前記波長域における透過率を例えば50%以下とすることができる。
以下、本発明に係る顔料と共に使用してもよい黄色顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下にあげる「C.I.ピグメントイエロー1」などの用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
この黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,1:1,2,3,4,5,6,9,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,41,42,43,48,53,55,60,61,62,62:1,63,65,73,74,75,77,81,83,87,93,94,95,97,98,100,101,104,105,106,108,109,110,111,113,114,115,116,117,118,119,120,126,127,127:1,128,129,133,134,136,138,139,142,147,148,150,151,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,183,184,185,187,188,189,190,191,191:1,192,193,194,195,196,197,198,199,200,202,203,204,205,206,207又は208などをあげることができる。この中でも、輝度が高い、又は、黄色顔料の添加量が少量で済み薄膜化に適している点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83,117,129,138,139,150,154,155,180又は185をあげることができ、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83,138,139,150,180又は185をあげることができる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に係る顔料と黄色顔料との併用割合は、用途に応じて適宜選択することができるが、前記顔料100重量部当たり、黄色顔料が0〜30重量部、好ましくは0〜20重量部である。
本発明に係る顔料を用いれば、黄色顔料を調色のために併用する場合でも少量で済むので、従来の緑色カラーフィルタと同じ色のカラーフィルタを得る場合には、併用すべき同一黄色顔料を大幅に削減することができる。さらに、本発明に係る顔料を用いれば、黄色顔料を併用する場合でも少量で済むので、調色のために2種以上の異なる色の顔料を混色する従来の場合に比べて、再凝集が起こりがたく濁りの少ない、色純度に優れ、かつ明るい画素部を有するカラーフィルタとすることができる。例えば、従来のC.I.ピグメントグリーン36のような緑色顔料に、上記した黄色顔料を併用した混合顔料を用いた場合に比べて、本発明に係る顔料を黄色顔料と併用した場合の方が、例えば液晶ディスプレイとしたときの明るさの低下がより小さくなるし、緑色領域の光透過量もより大きくなる。
<本発明に係る顔料と併用可能な他色の顔料>
また、本発明に係る顔料の利用に際しては、所望の色相に調整するなどの目的で、該顔料と、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料、赤色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料及び黒色顔料などの顔料とを混合して用いてもよい。以下、本発明に係る顔料と共に使用してもよい顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下にあげる「C.I.ピグメントレッド1」などの用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78又は79などをあげることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,45,48,50,51,54又は55などをあげることができる。
また、顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロムなどを用いることもできる。
なお、上述する黄色顔料や他色の顔料の平均一次粒径は、好ましくは0.5μm以下であり、さらに好ましくは0.2μm以下である。
また、本発明に係る顔料の利用に際しては、所望の色相に調整するなどの目的で、該顔料と染料とを混合して用いてもよい。この染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料などがあげられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11,C.I.アシッドオレンジ7,C.I.アシッドレッド37,C.I.アシッドレッド180,C.I.アシッドブルー29,C.I.ダイレクトレッド28,C.I.ダイレクトレッド83,C.I.ダイレクトイエロー12,C.I.ダイレクトオレンジ26,C.I.ダイレクトグリーン28,C.I.ダイレクトグリーン59,C.I.リアクティブイエロー2,C.I.リアクティブレッド17,C.I.リアクティブレッド120,C.I.リアクティブブラック5,C.I.ディスパースオレンジ5,C.I.ディスパースレッド58,C.I.ディスパースブルー165,C.I.ベーシックブルー41,C.I.ベーシックレッド18,C.I.モルダントレッド7,C.I.モルダントイエロー5,C.I.モルダントブラック7などがあげられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4,C.I.アシッドブルー40,C.I.アシッドグリーン25,C.I.リアクティブブルー19,C.I.リアクティブブルー49,C.I.ディスパースレッド60,C.I.ディスパースブルー56,C.I.ディスパースブルー60などがあげられる。
この他、フタロシアニン系染料としては、例えばC.I.パッドブルー5などが、キノンイミン系染料としては、例えばC.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー9などが、キノリン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,C.I.アシッドイエロー3,C.I.ディスパースイエロー64などが、ニトロ系染料として、例えばC.I.アシッドイエロー1,C.I.アシッドオレンジ3,C.I.ディスパースイエロー42などがあげられる。
<本発明に係る顔料を含有する顔料分散インキ>
顔料分散インキは、上記詳細に説明してきた本発明に係る顔料と、顔料担体を含有する。
<顔料担体>
顔料担体は、樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。本発明の顔料分散インキを用いてカラーフィルタを製造する場合には、樹脂として、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が80%以上、特に95%以上の透明樹脂を用いることが好ましい。
樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂等が挙げられる。樹脂の前駆体としては、放射線照射により硬化して樹脂を生成するモノマーまたはオリゴマーが挙げられ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
顔料担体は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いて、カラーフィルタ用の顔料分散インキを製造する場合には、場合には、樹脂は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、樹脂の前駆体は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性の置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
<添加剤>
本発明に係る顔料分散インキには、顔料の顔料担体への分散性を向上させるため、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体に分散してなる顔料分散インキを用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散助剤は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有する樹脂であり、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
市販の樹脂型顔料分散剤としては、例えば、ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業製)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ化学工業製)、フロラードFc430、Fc431(住友スリーエム製)、ソルスパース13240、20000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(アビシア製)、ディスパービック111、161、162、163、164、182、2000、2001などの各種ディスパービック分散剤(ビックケミー製)、アジスパーPB711、PB411、PB111、PB814、PB821、PB822などの各種アジスパー分散剤(味の素ファインテクノ製)、エフカ46、47などのエフカ分散剤(エフカーケミカルズ社製)などが挙げられる。
色素誘導体は、有機色素に、塩基性または酸性の置換基、もしくはフタルイミドメチル基を導入した化合物である。このような有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として含む本発明に係る顔料分散インキを紫外線等の光照射により硬化する場合には、光重合開始剤が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。光重合開始剤は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
上記光重合開始剤は、単独でまたは2種以上混合して用いることができるが、増感剤として、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤は、顔料分散インキ中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
本発明に係る顔料分散インキには、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布して緑色画素を形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルイソブチルケトン、n−ブチルアルコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブタノール、1,3-ブチレングリコール、トリアセチン、3,3,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、エチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、酢酸イソアミル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独でもしくは混合して用いることができる。
溶剤は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、合計して800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
本発明に係る顔料分散インキには、インキの経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,5ジ−tert−ブチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、tert−ブチル−βベンゾキノン、tert−ブチルハイドロキノン2,5ジフェニル−p−ベンゾキノンなどのハイドロキノン系化合物、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィンなどのホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどのホスファイト化合物、t−ブチルピロカテコールなどが挙げられる。貯蔵安定剤は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、顔料分散インキ中の顔料100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
また、本発明に係る顔料分散インキには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、熱重合防止剤、可塑剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤、密着向上剤、塗布性向上剤又は現像改良剤などの添加剤を添加することができる。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトールなどが用いられる。
<顔料分散インキの製造方法>
本発明の顔料分散インキは、1種または2種以上の顔料を、必要に応じて上記分散助剤、上記光重合開始剤と共に、顔料担体および有機溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む顔料分散インキは、各顔料を別々に顔料担体および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
本発明の顔料分散インキは、遠心分離、焼結フィルター、メンブレンフィルター等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
<顔料分散インキの形態>
本発明の顔料分散インキは、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製することができる。
溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材は、顔料担体である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、溶剤とを含有する組成物中に顔料を分散させたものである。
<カラーフィルタ>
上記詳細に説明してきた本発明に係る顔料分散インキは、公知の方法で基板上に塗布し、カラーフィルタの緑色画素を形成することができる。カラーフィルタは、一般的には、緑色画素のほかに、赤色画素、青色画素を有するが、色再現領域を広げるため、さらに、イエロー色画素やシアン色画素、マゼンタ色画素を有していても良い。
<カラーフィルタの作製方法>
一般に、カラーフィルタは、以下の製造工程を経て作製される。着色レジスト材として調製した顔料分散インキを、ブラックマトリックスを設けたカラーフィルタ用基板の全面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを通して紫外線あるいは可視光を照射し、現像することによって、画素部に着色レジスト材の光硬化塗膜層を形成する。各色ごとに同様の操作を3回繰り返して、所定の位置に赤色、緑色、青色(あるいは、シアン、マゼンタ、イエロー)の画素を有するカラーフィルタを作製する。その後、必要に応じて、カラーフィルタ全体を加熱処理(ポストベーク)して該着色レジスト材の光硬化塗膜層をさらに熱硬化させてもよい。以下に、本発明に係るカラーフィルタの製造方法を、上記一般的な製造方法を例として、工程順に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
基板の材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンなどの熱可塑性プラスチックシート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性プラスチックシート、或いは可視光に対して透過率の高いソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどの各種ガラス板などがあげられる。この中でも、耐熱性の点からガラス板、耐熱性プラスチックシートが好ましい。基板には、表面の接着性などの物性を改良するために、ブラックマトリクスの形成に先立ち、予めコロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマーなどの各種ポリマーの薄膜処理などを行っておいてもよい。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
ブラックマトリクスは、金属薄膜又はブラックマトリクス用顔料分散液を利用して、基板上に形成される。金属薄膜を利用したブラックマトリクスは、例えば、クロム単層又はクロムと酸化クロムの2層により形成される。この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法などにより、基板上にこれら金属又は金属/金属酸化物の薄膜を形成する。続いて、その上に感光性被膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングルなどの繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、感光性被膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、該薄膜をエッチング処理してブラックマトリクスを形成する。
ブラックマトリクス用顔料分散液を利用する場合は、黒色色材を含有する感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリクスを形成する。例えば、カーボンブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色色材単独もしくは複数の使用、或いは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤、緑、青色などの混合による黒色色材を含有する感光性樹脂組成物を使用し、下記赤、緑、青色の画素を形成する方法と同様にして、ブラックマトリクスを形成する。
ブラックマトリクスを設けた基板上に、赤、緑、青のうち1色の色材を含有する着色レジスト材を塗布して乾燥した後、着色レジスト材塗膜の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化或いは光硬化により画素を形成する。この操作を他の色の着色レジスト材を用いて各々行い、各色画素を形成する。本発明に係る顔料分散インキは、これらのうち緑色画素形成用の着色レジスト材として用いることができる。
着色レジスト材の塗布は、例えばスピンコート法、ダイコート法ロールコート法、スプレー法、印刷法、バーコート法、カーテンコート法などの公知の方法を用いて行うことができる。
着色レジスト材を塗布した後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンなどを用いて行えばよい。乾燥温度は、高温なほど基板に対する接着性が向上するが、高すぎると光重合開始剤が分解し、熱重合を誘発して現像不良を起こしやすいため、通常50〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲とする。また、乾燥時間は10秒〜10分、好ましくは30秒〜5分間の範囲とする。乾燥後の着色レジスト材の塗膜の膜厚は、通常0.5〜3μm、特に、1〜2μmの範囲であることが好ましい。
着色レジスト材塗膜の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線あるいは可視光を使用するのが好ましい。中でも波長が短くエネルギーの高い紫外線を使用するのが特に好ましい。紫外線あるいは可視光の光源としては、フォトファブリケーションの分野で広く使用されているものを使用することができる。
具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、アルゴンレーザー、Nd−YAGレーザーを用いたTHGやFHG光レーザーなどがあげられる。
特定の波長のみを使用する場合には光学フィルターを利用することもできる。また、光源としてレーザーを使用した場合は、フォトマスクを使用しないで、顔料分散レジスト塗膜に直接画素パターンを描画することができる。また、上記顔料分散レジストが電子線に対しても感度を有する場合には、レーザーと同様に、電子線で顔料分散レジスト塗膜に直接画素パターンを描画することもできる。この場合は、顔料分散レジスト中に必ずしも光重合開始剤を配合する必要はない。
着色レジスト材は、かかる光源にて画像露光を行った後、有機溶剤、又は界面活性剤とアルカリ剤を含有する水溶液を用いて現像することにより、基板上に画素を形成することができる。この水溶液には、さらに有機溶剤、緩衝剤を含有させることができる。
現像処理方法については特に制限はないが、通常、10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像などの方法が用いられる。
有機溶剤としては、単独で用いられる場合及び水溶液と併用される場合ともに、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどがあげられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
現像液の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が使用可能であり、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
現像液のアルカリ剤としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムなどの無機のアルカリ剤、或いはトリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウムなどの有機アミン類があげられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上述する現像処理の後、水洗して乾燥させる。得られたカラーフィルタを、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置により、100〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、着色レジスト材の光硬化塗膜中に残存する未反応のモノマーを熱硬化させ、カラーフィルタが完成する。上記工程を経て得られる本発明のカラーフィルタの緑色画素は、透明性、色純度、色濃度に優れている。
本発明に係るカラーフィルタは、上記方法の他に、本発明に係る顔料を含むポリイミド系樹脂組成物を塗布し、エッチング法により画素を形成する方法によっても製造することができる。また、本発明に係る顔料を含む顔料分散インキを用いて、印刷機により直接基板上に印刷して画素を形成する方法や、本発明に係る顔料を含む電着液に基板を浸漬させ所定パターンのITO電極上に着色膜を析出させて画素を形成する方法によっても製造できる。さらに、本発明に係る顔料を含む顔料分散インキを塗布したフィルムを基板に張り付けて剥離し画像露光、現像し画素を形成する方法や、本発明に係る顔料を含むインキを用いてインクジェットプリンターにより画素を形成する方法などによっても製造できる。
各色着色レジスト材に使用される色材の具体例を、ピグメントナンバーで示す。
青色着色レジスト材に使用される色材としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79などの青色顔料が挙げられる。青色着色レジスト材には、C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50などの紫色顔料を併用することができる。
赤色着色レジスト材に使用される色材としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275又は276などの赤色顔料が挙げられる。
赤色着色レジスト材には例えば、C.I.ピグメントオレンジ1,2,5,13,16,17,19,20,21,22,23,24,34,36,38,39,43,46,48,49,61,62,64,65,67,68,69,70,71,72,73,74,75,77,78又は79などのオレンジ顔料や先に例示した黄色顔料を併用することができる。
[実施例1]
四塩化チタン1200重量部と、粗製銅フタロシアニン60重量部と、塩化アルミニウム60重量部とを反応器に仕込み、撹拌しながら昇温させ、反応系の温度が135〜137℃になったら5時間予備撹拌をした。
この反応系に対して、まず、第1ハロゲン化工程では、塩素ガスを1時間あたり5重量部の導入速度で2時間導入した。次に、第2ハロゲン化工程では、臭素を1時間あたり3.5重量部の導入速度で80時間導入した。
ハロゲン化終了後、四塩化チタンを蒸留回収することにより、塩化アルミニウムと塩素化臭素化銅フタロシアニン化合物の組成物との混合物を得た。該混合物に5重量%の塩酸を注ぎスラリーとした後、ろ過水洗して、黄味の強い緑色を有する塩素化臭素化銅フタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
[比較例1]
四塩化チタン1200重量部と、粗製銅フタロシアニン60重量部と、塩化アルミニウム60重量部とを反応器に仕込み、撹拌しながら昇温させ、反応系の温度が135〜137℃になったら5時間予備撹拌をした。
この反応系に対して、塩素化である第1ハロゲン化工程は行わずに、まず、臭素化である第2ハロゲン化工程を行い、次に塩素化工程を行った。この第2ハロゲン化工程では、臭素を1時間あたり3.5重量部の導入速度で80時間導入した。次に、塩素化工程では、塩素ガスを1時間あたり5重量部の導入速度で2時間導入した。
ハロゲン化終了後の処理を実施例1と同様に行い、緑色を有する塩素化臭素化銅フタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
[実施例2]
無水塩化アルミニウム240重量部と、塩化ナトリウム60重量部とを反応機に仕込み、撹拌しながら昇温させて共溶塩とした後、この共溶塩中に粗製銅フタロシアニン60重量部を溶解させた。
この反応系に対して、まず、第1ハロゲン化工程では、160℃で塩素ガスを1時間あたり5重量部の導入速度で2時間導入した。次に、第2ハロゲン化工程では、臭素を1時間あたり5重量部の導入速度で50時間導入した。さらに、第3ハロゲン化工程では、塩素ガスを1時間あたり5重量部の導入速度で0.5時間導入した。
ハロゲン化終了後、反応液を5000重量部の水にゆっくりと注ぎ込み、70℃に加熱した後、ろ過・水洗して、黄味の強い緑色を有する塩素化臭素化銅フタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
[比較例2]
無水塩化アルミニウム240重量部と、塩化ナトリウム60重量部とを反応機に仕込み、撹拌しながら昇温させて共溶塩とした後、この共溶塩中に粗製銅フタロシアニン60重量部を溶解させた。
この反応系に対して、塩素化である第1ハロゲン化工程は行わずに、まず、臭素化である第2ハロゲン化工程を行い、次に塩素化工程を行った。この第2ハロゲン化工程では、160℃で臭素を1時間あたり5重量部の導入速度で50時間導入した。さらに、第3ハロゲン化工程では、塩素ガスを1時間あたり5重量部の導入速度で2.5時間導入した。 ハロゲン化終了後の処理を実施例2と同様に行い、緑色を有する塩素化臭素化銅フタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
[実施例3]
実施例2の粗製銅フタロシアニンを粗製アルミニウムフタロシアニンに変えた以外は同様にして、実施例3の塩素化臭素化アルミニウムフタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
[比較例3]
比較例2の粗製銅フタロシアニンを粗製アルミニウムフタロシアニンに変えた以外は同様にして、比較例3の塩素化臭素化アルミニウムフタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
[実施例4]
実施例2の粗製銅フタロシアニンを粗製亜鉛フタロシアニンに変えた以外は同様にして、実施例4の塩素化臭素化亜鉛フタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
[比較例4]
比較例2の粗製銅フタロシアニンを粗製亜鉛フタロシアニンに変えた以外は同様にして、比較例4の塩素化臭素化亜鉛フタロシアニン化合物の組成物(粗製顔料)を得た。
上述するようにして得られた実施例1〜4及び比較例1〜4の組成物における、臭素置換基数、塩素置換基数及び塩素の置換位置を、MASS分析と蛍光X線スペクトル分析の結果から決定した。この値を表1に示した。なお、各決定値の誤差は、MASS分析と蛍光X線スペクトル分析の誤差に由来するものである。
また、上述するようにして得られた実施例1〜4及び比較例1〜4の組成物(粗製顔料)はJIS K 5101−1991の顔料試験法に準じてインキを作成し、色相を測定した。即ち、フーバー式マーラーにより、実施例1及び比較例1に係る粗製顔料0.5gをそれぞれオフセットインキ用樹脂型ワニス1.5gと混練してインキを調整し、この2種のインキをJIS K 5101−1991に規定されている白紙上に並べて置き、鋼製へらで両者が接するように展色し、極めて薄い層と紙色に影響されない程度の厚い層を作り、試験票とした。この展色物の底色(薄い層)について3箇所を色彩計(日本電色工業株式会社製 Spectro Color Meter SE2000)で測色した(L*、C*、h°表色系)。表1には、h°値として、これら3箇所の値の平均値を示してある。同様に、実施例2〜4と比較例2〜4の試験票を作成し、測色したh°値を表1に示す。
表1に示すように、実施例1及び2は、比較例1及び2に比べて色相h°値が小さく、より黄味の強い緑色であった。また、中心金属をアルミニウムとした実施例3及び比較例3、及び中心金属を亜鉛とした実施例4及び比較例4は、中心金属が銅である実施例及び比較例よりも色相h°値が小さく、中心金属の変更でより黄味の強い緑色であった。さらに、中心金属がアルミニウム同士の比較では、実施例3は、比較例3に比べて色相h°値が小さく、より黄味の強い緑色であった。また、中心金属が亜鉛同士の比較では、実施例4は、比較例4に比べて色相h°値が小さく、より黄味の強い緑色であった。
Figure 0005145649

Claims (12)

  1. 塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物におけるフタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるα位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.35〜1.0個であり、前記フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均13.0〜15.2個であり、前記フタロシアニン骨格の中心金属がアルミニウム又は亜鉛である、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(A)を含有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
  2. さらに、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物におけるフタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるβ位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.35〜1.5個であり、前記フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均13.0〜15.2個であり、前記フタロシアニン骨格の中心金属がアルミニウム又は亜鉛である、化合物群(A)以外の塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物群(B)を含有する、請求項1に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
  3. さらに、フタロシアニン骨格の4つの芳香環に置換した臭素原子の数が16個であり、前記フタロシアニン骨格の中心金属がアルミニウム又は亜鉛である、臭素化フタロシアニン骨格含有化合物(C)を含有する、請求項1または2に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
  4. 前記組成物中の化合物群(A)、化合物群(B)及び化合物(C)の含有比率は、化合物群(A)由来のフタロシアニン骨格の個数:化合物群(B)由来のフタロシアニン骨格の個数:化合物(C)由来のフタロシアニン骨格の個数が20〜150:100:1〜150となるような含有比率である、請求項3に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
  5. 前記塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物は、顔料である、請求項1ないしのいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物。
  6. 請求項に記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物および顔料担体を含有する顔料分散インキ。
  7. 基板上に、請求項に記載する顔料分散インキにより形成される画素を有する、カラーフィルタ。
  8. フタロシアニン骨格を塩素化する第1ハロゲン化工程と、該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化する第2ハロゲン化工程とを有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法であって、
    前記フタロシアニン骨格の中心金属がアルミニウム又は亜鉛であり
    前記第1ハロゲン化工程は、前記フタロシアニン骨格のα位に平均0.35〜1.0個の塩素が導入されると共にβ位に平均0.35〜1.0個の塩素が導入されるように前記フタロシアニン骨格を塩素化するものである、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
  9. フタロシアニン骨格の4つの芳香環におけるα位に置換した塩素原子の数が前記フタロシアニン骨格1個あたり平均0.35〜1.0個であり、前記フタロシアニン骨格の中心金属がアルミニウム又は亜鉛であり、該塩素化されたフタロシアニン骨格を臭素化する臭素化工程を有する、塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
  10. さらに、前記塩素化及び臭素化されたフタロシアニン骨格を塩素化する塩素化工程を有する、請求項またはに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
  11. 前記臭素化する工程は、前記フタロシアニン骨格1個あたり平均置換基数13.0〜15.2個となるように前記フタロシアニン骨格を臭素化するものである、請求項ないし10のいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
  12. 前記塩素化する工程又は前記臭素化する工程は、それぞれ独立して、塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムの共融塩中にフタロシアニンを溶解させて塩素化又は臭素化する工程、四塩化チタン溶媒中でフタロシアニンを塩素化又は臭素化する工程、またはクロルスルホン酸中にフタロシアニンを溶解させて塩素化又は臭素化する工程である、請求項ないし11のいずれかに記載する塩素化臭素化フタロシアニン骨格含有化合物の組成物の製造方法。
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