JP2008308605A - カラーフィルター用青色顔料組成物の製造方法、及びカラーフィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ε型フタロシアニン顔料、及び顔料混合物中の含有量が4〜15質量%のフタロイミドメチル基で置換されたフタロシアニン誘導体を含む顔料混合物を、水溶性無機塩及び有機溶媒の存在下に、80〜120℃で混練し、該混練物を水又は酸類で洗浄することによりカラーフィルター顔料組成物を製造方する。得られた青色顔料組成物をカラーフィルターに用いる。
【選択図】なし
Description
該顔料組成物は、インキ、塗料、顔料捺染剤、繊維用、プラスチック用、画像記録用、又は画像表示用顔料着色組成物としての用途があるが、原料として、不安定型銅フタロシアニンであるα型を用いているため、得られた顔料組成物にα型が、微量に残留しており、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)では、近年要求される耐熱性としては不十分であった。
しかしながら、本発明のごとく、特定の割合でフタロシアニン誘導体を含み、特定のε化率以上であって、優れた特性を有するカラーフィルター用ε型フタロシアニン青色顔料組成物の製造方法についてはこれまで知られていなかった。
即ち、本発明は、
カラーフィルター用顔料組成物の製造において、
(I)(A)ε型フタロシアニン顔料、及び
(B)顔料混合物中の含有率が4〜15質量%の一般式(1)
で表されるフタロシアニン誘導体
を含む顔料混合物を、水溶性無機塩及び有機溶媒の存在下に80〜120℃で混練する工程
(II)前記(I)で得られた顔料混合物の混練物を、水または酸類で洗浄する工程
を含むフィルター用顔料組成物の製造方法を提供することにより、上記課題を解決した。
(B)一般式(1)
で表されるフタロシアニン誘導体を含有する、ε化率が高いことを特徴とするカラーフィルター用青色顔料組成物の製造方法、その製造方法により得られる青色顔料組成物を配合してなるカラーフィルター用分散体、及び該顔料分散体を青色画素部に用いてなるカラーフィルターを提供する。
平均置換基数の測定法を簡単に説明すると、フタルイミドメチル基で置換されたフタロシアニン誘導体をKBrと混合し、加圧して赤外線吸収スペクトル用試料を作製し、これの赤外線吸収スペクトルを測定し、フタルイミドメチル基の特性吸収である、1770
cm-1、1720cm-1または1390cm-1の吸収のピーク高さと、フタロシアニンの特性吸収である1390cm-1の吸収のピーク高さの比率から平均置換基数を算出することによっておこなう。また、フタルイミドメチル基で置換されたフタロシアニン誘導体を直接質量分析や高速液体クロマトグラフィにかけて、1置換体から4置換体を定量分析し、それを平均して平均置換基数を算出することもできる。
また、フタルイミドメチル基のベンゼン核は、無置換あるいはハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、又はスルホン酸基等の置換体が挙げられるが、このなかでも無置換体が好ましい。
また、当該無機塩の使用量は、フタロシアニン1重量部に対して8〜20重量部とするのが好ましく、10〜15重量部とするのがより好ましい。
混練温度は、80〜120℃の間で行うことが好ましい。80度未満の温度で混練を行っても、120℃を超える温度で混練を行ってもε型銅フタロシアニンのε化率(銅フタロシアニンに含まれるε型結晶化率)は低く、耐熱性、コントラスト等が低下し、カラーフィルター用顔料として好ましくない。
本発明のカラーフィルター用顔料は遊離銅を含んでもよい。含まれる遊離銅は、銅フタロシアニンを合成する際の残存する遊離銅である場合や、合成後の銅フタロシアニンの分解によって生成したものである場合がある。
また、遊離銅は酸類で洗浄を行うことができる。使用される酸類は、例えば、塩酸、硫酸を挙げることができ、塩酸や硫酸の濃度は、0.5%〜4%が好ましい。また、洗浄時の温度は、50〜90℃が好ましい。また、水を用いて洗浄してもよい。
好ましい遊離銅の含有率は、顔料組成物中に900質量ppm以下である場合が挙げられ、これ以上の含有率の場合には、得られるカラーフィルターの耐熱性が低下するので好ましくない。
本発明にかかる組成物の分散方法で代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルター用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色、緑色、青色の色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルターを製造することができる。本発明の顔料組成物からは、青色画素部を形成することができる。尚、赤色画素部および緑色画素部を形成するための光硬化性組成物を調製するには、公知慣用の赤色顔料と緑色顔料を使用することができる。
光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、質量基準で、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
また、比較例、実施例における下記項目については、以下のように測定を行った。
1)遊離銅測定方法:
1.顔料1.00gを天秤で精秤し、トールビーカー(100mL)中に入れる。
2.硫酸10mLを加え、ガラス棒で充分攪拌後、時計皿をかぶせ80〜90℃のウオーターバス中で30分間加熱し、溶解させる。
3.溶解後、トールビーカーを振とうしながら、5mol/L熱硫酸10mLを徐々に滴下し、1〜2分間静置する。
4.更に5mol/L熱硫酸20mLと熱イオン交換水50mLを加え、完全に顔料化させる。
5.これをグラスフィルターにてアスピレーターを用いて減圧濾過し、次に熱イオン交換水150mLで水洗する。
6.濾液を1Lメスフラスコを用いてイオン交換水で1Lに希釈する。
7.希釈液に含有される銅分はICP発光分析装置又は原子吸光光度計を用いて測定する。
8.計算式:遊離銅(%)=銅分(ppm)/試料採取量(mg)×100
2)ε化率
顔料を粉末X線回折測定装置で測定し、ε化率=(1−6.8°/7.6°相対強度比)×100で算出した。
3)(ΔY)
輝度(Y値)は、オリンパス製顕微鏡MX−50と大塚電子製分光光度計MCPD−3000顕微分光測光装置CIE発色系色度におけるC光源におけるY値を測定した。
ΔY=耐熱試験後フィルターの輝度(Y値)−耐熱試験前フィルターの輝度(Y値)ΔYが小さい程、耐熱性が良好と評価した。
4)(ΔE)オリンパス製顕微鏡MX−50と大塚電子製分光光度計MCPD−300
顕微分光測光装置CIE発色系色度におけるC光源で測色し、耐熱前のフィルターの測色値と耐熱後のフィルターの測色値からΔE(色差)を求めた。ΔEが小さい程、耐熱性が良好と評価した。
5)(Δコントラスト)
当該カラーフィルター青色画素部を2枚の偏光板の間に設置し、一方には光源を、更にその反対側にはCCDカメラを設置して輝度の測定を行った。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比より算出した。
Δコントラスト=耐熱試験後フィルターのコントラスト−耐熱試験前フィルターのコントラスト
Δコントラストが小さい程、耐熱性が良好と評価した。
平均置換基数1.4の銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体を5%含む、遊離銅1500質量ppmでε化率90%のε型銅フタロシアニン0.95部、粉砕した塩化ナトリウム10部、ジエチレングリコール1部、平均置換基数1.4の銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体0.05部を双腕型ニーダーに仕込み、80℃〜90℃で10時間混練した。混練後80℃の2%塩酸100重量部に取り出し、次に、湯洗後のウェットケーキを80℃の0.5%塩酸100重量部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同組成物の、遊離銅は300質量ppmであり、銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体含有量は10%で、ε化率は88%であった。
実施例1の混練後80℃の2%塩酸100重量部に取り出し、次に、湯洗後のウェットケーキを80℃の0.5%塩酸100重量部に取り出すのに代え、80℃の2%塩酸100重量部に取り出すのみとし、後は実施例1と同様に処理し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は390質量ppmで、同顔料のε化率は88%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
実施例1の混練後80℃の2%塩酸100重量部に取り出し、次に、湯洗後のウェットケーキを80℃の0.5%塩酸100重量部に取り出すのに代え、80℃の0.8%塩酸に取り出すのみとし、後は実施例1と同様に処理し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は688質量ppmで、同顔料のε化率は88%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
実施例1の混練後80℃の2%塩酸100重量部に取り出し、次に、湯洗後のウェットケーキを80℃の0.5%塩酸100重量部に取り出すのに代え、80℃の0.5%塩酸に取り出し、後は実施例1と同様に処理し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は900質量ppmで、同顔料のε化率は88%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
混練温度を90〜100℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルターを得た。
(実施例6)
混練温度を110〜120℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルターを得た。
(実施例7)
平均置換基数1.4の銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体を3%用いる以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルターを得た。
(実施例8)
平均置換基数1.4の銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体を15%用いる以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルターを得た。
実施例1の混練後80℃の2%塩酸100重量部に取り出すのに代え、80℃の湯100部に取り出し、後は実施例1と同様に処理し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は1500質量ppmで、同顔料のε化率は88%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
実施例1の混練後80℃の2%塩酸100重量部に取り出すのに代え、80℃の0.1%塩酸に取り出し、後は実施例1と同様に処理し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は1222質量ppmで、同顔料のε化率は88%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
実施例1のニーダーでの混練温度を50〜60℃に下げ、混練後80℃の2%塩酸100重量部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗を行い、次に、湯洗後のウェットケーキを80℃の0.5%塩酸100重量部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗を行った以外は実施例1と同様の処理をして、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は300質量ppmで、同顔料のε化率は82%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
実施例1の平均置換基数1.4の銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体を5%含む、遊離銅1500質量ppmでε化率90%のε型銅フタロシアニンに代えて、銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体を2%含む、遊離銅1500質量ppmでε化率86%のε型銅フタロシアニンとして、さらに、ニーダー混練時に銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体0.05部を添加しなかった以外は、実施例1と同様の処理をして、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は390質量ppmで、同顔料のε化率は80%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
実施例1のニーダーでの混練温度を160〜170℃に上げた以外は、実施例1と同様の処理をして、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同顔料組成物の、遊離銅は390質量ppmで、同顔料のε化率は75%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
遊離銅200ppmのα型銅フタロシアニン1部と、平均置換基数1.4の銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体を0.03部、ε化率90%のε型銅フタロシアニン顔料0.1部、粉砕した塩化ナトリウム10部、ジエチレングリコール1部を双腕型ニーダーに仕込み、100℃〜110℃で20時間混練した。混練後80℃の0.5%塩酸100重量部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、ε型銅フタロシアニン顔料の青色顔料組成物を得た。同組成物の、遊離銅は200質量ppmであり、ε化率は80%であった。
この青色顔料組成物を用いて、実施例1と同様にして、カラーフィルターとした。
実施例より、本発明により得られるカラーフィルター用青色顔料組成物を配合してなる分散体を用いたカラーフィルターは、比較例に比べて、ΔY値、ΔE値、Δコントラスト値が小さく、耐熱性に優れ、いずれもカラーフィルターとして優れた特性を有することが明らかである。
Claims (10)
- カラーフィルター用顔料組成物の製造において、
(I)(A)ε型フタロシアニン顔料、及び
(B)顔料混合物中の含有率が4〜15質量%の一般式(1)
で表されるフタロシアニン誘導体、
を含む顔料混合物を、水溶性無機塩及び有機溶媒の存在下に80〜120℃で混練する工程
(II)前記(I)で得られた顔料混合物の混練物を、水または酸類で洗浄する工程
を含むカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。 - 前記ε型フタロシアニンが、ε型銅フタロシアニン、ε型亜鉛フタロシアニン、ε型コバルトフタロシアニン、ε型ニッケルフタロシアニン及びε型鉄フタロシアニンからなる群から選ばれる1種以上のε型フタロシアニンである請求項1記載のカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)のXが、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、酸化チタンまたは酸化バナジウムである請求項1または2に記載のカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。
- 前記一般式(1)中において、n1+n2+n3+n4=1〜2である請求項1乃至3の何れかに記載のカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。
- 前記水溶性無機塩が、塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムである請求項1乃至4の何れかに記載のカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。
- 前記有機溶媒が、多価アルコールである請求項1乃至5のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。
- 前記多価アルコールが、エチレングリコールまたはジエチレングリコールである請求項6に記載のカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。
- 前記酸類が、塩酸または硫酸である請求項1乃至7のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料組成物の製造方法。
- 請求項1乃至8の何れかに記載の製造方法により得られるカラーフィルター用顔料組成物を配合してなるカラーフィルター用顔料分散体。
- 請求項9に記載のカラーフィルター用顔料分散体を青色画素部に用いてなるカラーフィルター。
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