JP2002088269A - 有機顔料の製造方法 - Google Patents

有機顔料の製造方法

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JP2002088269A
JP2002088269A JP2000280691A JP2000280691A JP2002088269A JP 2002088269 A JP2002088269 A JP 2002088269A JP 2000280691 A JP2000280691 A JP 2000280691A JP 2000280691 A JP2000280691 A JP 2000280691A JP 2002088269 A JP2002088269 A JP 2002088269A
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organic solvent
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Minoru Katagiri
実 片桐
Teruya Nakai
照弥 中井
Masao Komada
政夫 駒田
Masao Kawamorita
正雄 川守田
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機顔料セミクルードを、大量の有機溶剤や
無機塩類を使用することなく、従来よりも少ない工程数
で、かつ低エネルギーコストの簡単な方法で容易に顔料
化し、着色力、鮮明性、色相に優れた有機顔料を生産性
良く提供する。 【解決手段】 有機顔料セミクルードを、有機溶剤の雰
囲気下で乾式で混合撹拌し、顔料化する。有機溶剤量
は、少なくとも有機顔料セミクルード重量の1重量%以
上、50重量%未満で十分である。従来の方法に比べ
て、非常に簡単で低コストな有機顔料の製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機顔料の製造方法
に関するものであり、さらに詳しくは、有機顔料セミク
ルードから、低エネルギーコストである簡単な工程で、
容易に有機顔料を製造できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】有機顔料には、合成後にそのままで着色
剤として利用できるような粒子サイズの顔料が得られる
アゾ系顔料や、合成後に顔料化工程を経ることによっ
て、初めて色剤として利用出来る粒子サイズが得られる
銅フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料等がある。
【0003】例えば、従来、芳香族多環系顔料として代
表的なβ型フタロシアニン顔料を得るためには、まず、
無水フタル酸と尿素と必要に応じて金属化合物とを反応
させるワイラー法や、フタロジニトリルと金属化合物と
を反応させるフタロジニトリル法によってフタロシアニ
ンを製造する。ここで得られたフタロシアニンはクルー
ドと呼ばれ、一般的に、ワイラー法で得られるクルード
は、5〜40μm程度の平均一次粒子径を有するβ型結
晶粒子であり、フタロジニトリル法で得られるクルード
は、0.1〜5μm程度の平均一次粒子径を有するα型
結晶粒子である。次いで、通常、このクルードをセミク
ルードを経由する以下の方法に従って微粒子化する顔料
化を行い、β型フタロシアニン顔料を製造する。
【0004】1.クルードをボールミル、アトライター
や振動ボールミル等で乾式摩砕してセミクルードとした
後に、ニーダー等を用いて食塩やジエチレングリコール
等と共にソルベントソルトミリング処理してβ型フタロ
シアニン顔料を得る。ここで得られるβ型フタロシアニ
ン顔料は着色力が高く、色相緑味で鮮明である。 2.クルードをボールミル、アトライターや振動ボール
ミル等で乾式摩砕してセミクルードとした後に、アルコ
ール類、または芳香族溶媒等の有機溶媒類と共にソルベ
ントボイリング処理してβ型フタロシアニン顔料を得
る。この方法は1の方法よりコストが安くて済むが、得
られるβ型フタロシアニン顔料は着色力が低く、色相は
赤味である。
【0005】ここで、ソルベントソルトミリング処理と
は、セミクルードを、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム
等の無機塩類と、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール等の多価アルコール等の粘性の高い水溶性有機溶
剤の存在下で、ニーダー等で機械的に摩砕して顔料化す
る方法であり、通常70〜130℃で行われる。
【0006】ソルベントボイリング処理とは、芳香族
系、アルコール系、エステル系、エーテル系等の有機溶
剤を使用してセミクルードを反応釜内で煮沸し、セミク
ルードの二次凝集をほぐすとともに、結晶成長と結晶変
換を同時に行う顔料化方法である。この結晶変換では、
一般的に不安定型結晶から安定型結晶に変換するが、結
晶変換を伴わない顔料については結晶成長のみを行う顔
料化方法である。
【0007】また、その他の方法として、特公昭55−
6670号公報には、印刷インキ及び着色ワニスに適す
る溶剤もしくは溶剤混合物の中で、室温ないし200℃
において顔料が最適の着色性を示すまで、湿潤状態で懸
濁させることを特徴とする顔料組成物が記載されてい
る。また、特開昭11−35841号公報には、粗製銅
フタロシアニンを乾式摩砕した後、樹脂を加えさらに乾
式摩砕を続け、α型結晶の残存した顔料組成物を得る方
法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来行
われているソルベントソルトミリング処理やソルベント
ボイリング処理等の従来の顔料化法では、ニーダーまた
は反応釜等を使用することからエネルギーコストが高
く、単位エネルギー当たりの生産性が不十分であった。
また、これらの処理には、通常、クルードまたはセミク
ルードと同量ないし数倍量の有機溶剤や、大量の無機塩
類を使用している。そのため、処理後には、これらの有
機溶剤や無機塩類から顔料を分離するために濾過等の工
程が別途必要であった。また、これらの有機溶剤、無機
塩類は産業廃棄物となり、環境上も好ましくなかった。
そして、このように分離して得られた顔料を、さらに水
洗、乾燥、粉砕する場合もあり工程数が多く単位時間当
たりの生産量も小さかった。
【0009】また、特公昭55−6670号公報に開示
の方法でも、銅フタロシアニンに対し、50重量%以上
の有機溶剤を使用しなければならない。そのため、乾燥
した顔料を得る際には、大量の有機溶剤を除去しなけれ
ばならず、製造工程上不利である。さらに、特開昭11
−35841号公報に記載の方法によると、この後にβ
型結晶へ転移する工程が必要であり、実用上好ましくな
い。
【0010】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、有機顔料セミクルードを、大量の有機溶剤や無機塩
類を使用することなく、従来よりも少ない工程数で、か
つ低エネルギーコストの簡単な方法で容易に顔料化し、
且つ、着色力、鮮明性に優れた有機顔料を生産性良く提
供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の各発明を
提供する。 (1) 有機顔料セミクルードを、有機溶剤の雰囲気下
で混合攪拌して、顔料化する有機顔料の製造方法であっ
て、有機溶剤の使用量が、少なくとも有機顔料セミクル
ード重量の1重量%以上、50重量%未満であることを
特徴とする有機顔料の製造方法。 (2) 混合攪拌を、0〜150℃で行うことを特徴と
する上記(1)記載の有機顔料の製造方法。 (3) 有機溶剤が、沸点50〜250℃の有機溶剤で
あることを特徴とする上記(1)及び(2)に記載の有
機顔料の製造方法。 (4) 有機顔料セミクルードが、芳香族多環系顔料セ
ミクルードであることを特徴とする上記(1)、(2)
及び(3)に記載の有機顔料の製造方法。 (5) 芳香族多環系顔料セミクルードが、フタロシア
ニン系顔料セミクルードであることを特徴とする上記
(4)に記載の有機顔料の製造方法。 (6) X線回折スペクトル(CuKα1線)におけ
る、フラッグ角2θ=6.98±0.1度のX線回折線
を用いて、Stokes & Wilsons式(ε=λ
/βcosθ 、なお式中、λ=X線の波長、β=積分幅、
θ=回折線のフラッグ角)により求めた短軸方向のサイ
ズ(ε)が25ないし30nmであり、且つ電子顕微鏡
写真より求めた、短軸と長軸の長さの比が1から3であ
る結晶からなることを特徴とする、β型銅フタロシアニ
ン顔料。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機顔料の製造方法では、有機顔料セミクルー
ドを、有機溶剤の雰囲気下で混合攪拌して、顔料化す
る。本発明において、有機溶剤の雰囲気下とは、上記し
た従来法で用いられるより遙かに少ない有機溶剤量の存
在下を意味する。また、本発明では有機溶剤を用いる
が、実質的には乾式での混合攪拌であり、有機顔料セミ
クルード表面を、ガス状となった有機溶剤が薄膜となっ
て覆う様な状態を包含する。また、本発明においてこの
混合攪拌とは、有機顔料セミクルードが砕かれない、有
機顔料セミクルードの混合操作を意味し、摩砕とは異な
る。すなわち、摩砕においては粒子を砕くための大きな
機械的エネルギーが要求されるが、本発明の混合攪拌
は、有機溶剤を単に有機顔料セミクルード表面に十分に
接触させることが出来れば、顔料化には十分なため、摩
砕より遙かに小さいエネルギーしか必要としない。しか
も、この操作により、有機顔料セミクルードがさらに砕
かれることは実質上ない。更に、系内の粘性が低い状態
なので装置内壁や攪拌子等への付着も極めて少ない。例
えば、摩砕の代表的な例である、ニーダーを使用して行
われる、ソルベントソルトミリング法に比べて、本発明
における混合撹拌では、顔料の単位重量当たり必要なエ
ネルギーは1/5〜1/10ですむ。
【0013】本発明で使用する有機顔料セミクルードと
は、それの前駆体である、前記セミクルードよりも大き
な粒子径を有する有機顔料クルードを乾式摩砕して得ら
れる、平均一次粒子径が0.001〜0.01μmの微
粒子が強く凝集した分散性の不十分な有機顔料の前駆体
である。本発明の有機顔料の製造方法を適用できる有機
顔料セミクルードとしては、公知慣用の有機顔料をいず
れも使用できるが、なかでも芳香族多環系顔料セミクル
ード、例えば、フタロシアニン系、キナクリドン系、イ
ソインドリノン系、インダンスロン系、ジケトピロロピ
ロール系、ジオキサジン系等が好ましい。特に、無金属
フタロシアニン、銅フタロシアニン等のフタロシアニン
系顔料セミクルードが、本発明の実施には最も適してい
る。
【0014】また、ここで使用する有機顔料セミクルー
ドとして、有機不純物量が1重量%以下で、無機不純物
量が0.01重量%以下のものを使用すると、より着色
力と鮮明性に優れる有機顔料が得られるため好ましい。
ここで有機不純物とは、有機顔料成分以外の有機化合物
のことであり、反応時に副生した原料成分の誘導体等の
低分子量の有機化合物等である。また、無機不純物とは
有機顔料成分以外の無機化合物のことであり、未反応の
金属化合物の他、反応時に使用した触媒由来の無機化合
物等である。
【0015】この様な有機顔料セミクルードは、それの
前駆体である有機顔料クルードを精製処理してから、摩
砕することにより得ることが好ましい。精製処理してこ
れらの有機不純物および無機不純物を低減させる方法と
しては、有機顔料クルードを無機塩基溶液で洗浄する方
法が好ましい。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられ、
1〜5重量%程度の水溶液として使用することが好まし
い。また、洗浄は30〜90℃の水溶液中で、0.5〜
5時間攪拌する方法が好ましい。このようなアルカリ金
属水酸化物水溶液で有機顔料クルードを洗浄すると、ア
ルカリ可溶化合物である有機不純物の大部分を除去でき
るとともに、無機不純物も除去することができる。
【0016】また、無機塩基溶液で洗浄する際には、こ
の無機塩基溶液中に水蒸気を導入しながら有機顔料クル
ードを洗浄してもよい。あるいは、有機顔料クルードを
無機塩基溶液で洗浄することに加えて、硫酸、塩酸等の
無機酸溶液でこれを洗浄してもよい。さらには、メタノ
ール等のアルコールによるアルコール洗浄や、アセトン
洗浄等を行ってもよい。このように無機塩基溶液による
洗浄に加えて、無機酸溶液での洗浄、アルコール洗浄、
アセトン洗浄等を適宜組み合わせて行うことによって、
有機不純物および無機不純物をより低減することができ
る。
【0017】これらの洗浄を行う順序には特に制限はな
いが、まず初めに無機塩基溶液で洗浄し、ついで無機酸
溶液による洗浄やアルコール洗浄等を適宜行うことが好
ましい。さらに好ましくは、まず初めに無機塩基溶液に
水蒸気を導入しながら銅フタロシアニン未精製物を洗浄
し、ついで、無機酸溶液で洗浄する方法が好ましい。こ
のような組み合わせで洗浄すると、無機塩基溶液洗浄で
主として有機不純物を除去でき、無機酸溶液洗浄で主と
して無機不純物を除去でき、好ましい。
【0018】有機顔料セミクルードは、公知慣用の装置
で有機顔料クルードを摩砕して製造できる。ここで、例
えば、有機顔料クルードを原料として、これをボールミ
ルやアトライタで乾式摩砕する方法で有機顔料セミクル
ードを得ると、得られた有機顔料セミクルードを装置か
ら取り出さずに、引き続いて、この装置内に有機溶剤を
添加して混合攪拌することによって、1つの装置内で、
連続的にセミクルードの製造と顔料化ができるので好ま
しい。なお、有機顔料セミクルードを得るときには、例
えば界面活性剤、顔料誘導体等を添加して乾式摩砕して
も良い。
【0019】本発明において、有機溶剤を添加して有機
顔料セミクルードを混合撹拌する装置としては、特に制
限はなく通常の摩砕機(例えば、ボールミル、振動ミ
ル、振動ボールミル、アトライタ、ミックスマラー、ニ
ーダ等)や、通常の撹拌機、混練機(例えば、ヘンシェ
ルミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー
等)を用いることができる。本発明の有機顔料の製造方
法における最大の特徴は、ここで例示したような、本来
粒子を摩砕するための摩砕機を、粒子が摩砕されない条
件で運転すること、或いは、撹拌機や混練機を、従来よ
り軽度の負荷で運転することにより、顔料化を達成でき
ることを見い出した点にある。また、本発明において
は、有機溶剤の使用量が極めて少量なので、実質的には
乾燥した粉体を混合攪拌しているのと同様の状態で顔料
化が行われ、従来摩砕に用いていた摩砕機を用いても、
遙かに小さなエネルギー量で顔料化が達成できる。
【0020】使用する有機溶剤としては特に制限はな
く、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベン
ゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロフラン、エタノー
ルアミン、アニリン、ピリジン、ジメチルホルムアミ
ド、シメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ト
リクロロエチレン、テトラクロロエチレン、酢酸セロソ
ルブ、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メ
タノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカ
ン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、軽油、動
植物油等を使用できる。また、これらの溶剤を単独ある
いは2種類を以上混合して使用しても良い。有機溶剤と
しては、沸点が50〜250℃の有機溶剤を用いること
が好ましい。
【0021】また、本発明の製造方法においては、顔料
化に当たり、少なくとも粒子状の有機顔料セミクルード
の表面を覆うことのできる有機溶剤量が存在していれ
ば、混合攪拌により、非常に優れた着色力と色相を有す
る有機顔料が得られる。ここで使用する有機溶剤の量
は、少なくとも粒子状の有機顔料セミクルードの1重量
%相当量以上、50重量%未満に相当する量であり、よ
り好ましくは、有機顔料セミクルードの少なくとも1重
量%相当量以上、30重量%以下に相当する量であり、
さらに好ましくは、少なくとも有機顔料セミクルード1
重量%相当量以上、20重量%以下に相当する量であ
る。有機溶剤の使用量がこの様な範囲であると、脱有機
溶剤等に要するエネルギーや時間を削減でき、後処理工
程が簡単で単位時間当たりの有機顔料の生産性をより高
めることが出来る。
【0022】これらの有機溶剤の中では、粉末状態の有
機顔料を得る場合には、後に除去しやすいことから比較
的沸点の低い有機溶剤の使用が好ましく、沸点が、特に
50〜150℃の有機溶剤の使用が好ましい。これらの
有機溶剤は、温度0〜100℃かつ用いる有機溶剤の沸
点未満の温度範囲で混合攪拌を行うのが好ましい。この
ような有機溶剤としては、例えば、p−キシレン、キシ
レン、エチルベンゼン、トルエン、イソブタノール等が
挙げられる。これらの中では、p−キシレンが融点が高
く凍結乾燥等の操作ができるので、特に好ましい。
【0023】一方、印刷インキや塗料用等の有機顔料を
得る場合には、有機溶剤としては、インキや塗料の調製
に多用されている有機溶剤を用いることが出来る。この
場合は、混合攪拌による顔料化が終了した後に有機溶剤
を除去しても良いが、除去する必要はない。顔料と有機
溶剤を含むこの混合物を用いれば、印刷インキや塗料等
を調製する際に、粉末状の有機顔料の表面をインキ用有
機溶剤や塗料用有機溶剤で充分に湿潤させるための作業
時間等を削減できるし、インキや塗料等を調製する際に
新たに用いる有機溶剤の使用量を削減することも出来る
し、最終用途における着色皮膜もより高性能とすること
が出来る。
【0024】平版印刷インキ用有機顔料を得る場合にお
ける有機溶剤としては、脂肪族炭化水素や動植物油を用
い、温度100℃を越えて300℃かつ用いる有機溶剤
の沸点未満または分解点未満の温度範囲で混合攪拌を行
うのが好ましい。好適には、脂肪族炭化水素より環境へ
の負荷がより軽い、大豆油、ヒマシ油、桐油等の植物油
が挙げられる。これらの中では、大豆油が、油中の揮発
性成分の放出がより少なく、黄色や赤色の発色性がより
良好で、脱墨(漂白)しやすいので、特に好ましい。
【0025】脂肪族炭化水素や動植物油は、室温付近で
は、セミクルードの結晶状態を変化させることが無い
か、極めて遅い場合が多いので、いったん結晶状態の変
化を促進する温度で攪拌混合し、セミクルードを顔料と
なし、再び室温に戻すという方法を採用することが出来
る。しかしながら、同一装置、同一条件での混合攪拌下
での対比では、有機溶剤として、芳香族炭化水素、アル
コールを用いたほうが、脂肪族炭化水素、動植物油より
も、性能的により優れた顔料となる。また、有機溶剤
を、有機顔料セミクルードを有機顔料とするための、結
晶制御(結晶成長または結晶変換)の効果の点で良好な
順に並べるならば、芳香族炭化水素≫アルコール>脂肪
族炭化水素>動植物油となる。
【0026】尚、本発明において印刷インキ用や塗料用
等の有機顔料を得る場合には、混合攪拌に当たっては、
有機溶剤に印刷インキ用樹脂や塗料用樹脂を併用しない
ことが好ましい。何故ならば、これらを併用すると混合
攪拌において、有機溶剤のみを用いるよりも系内粘度が
上昇しやすく、混合攪拌により多くのエネルギーを消費
するからである。また、この様な樹脂は装置内部に付着
することになり、異なる色相の顔料を得る様な場合にお
ける、装置の洗浄等のメンテナンス頻度を増すことにな
り、作業性も悪くなる。
【0027】有機溶剤を添加し混合撹拌する温度は、最
終的に粉末状態の有機顔料を得る場合において、前記し
た好適な溶剤を用いる時には、好ましくは0〜150
℃、さらに好ましくは、より省エネルギー化の点で0〜
80℃、より好ましくは 10〜30℃の温度であり、
特に温度を制御せずに常温で混合撹拌を行っても、優れ
た着色力と鮮明性を有する有機顔料が得られる。一方、
最終的に平版印刷インキ用有機顔料を得る場合におい
て、前記した好適な溶剤を用いる時には、180〜30
0℃の加熱下で混合攪拌するのが好ましい。また、混合
撹拌は、最終的に粉末状態の有機顔料を得る場合でも、
顔料と有機溶剤を含む混合物を得る場合でも、有機顔料
に要求される粒子径の程度に応じて適宜設定できるが、
通常0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間、さらに
好ましくは1〜3時間である。また、この混合撹拌時に
は、有機溶剤の他に、必要に応じて窒素ガス、ヘリウ
ム、アルゴンガス等の不活性ガスを導入して行ってもよ
い。
【0028】この混合攪拌は、上記した公知慣用の各種
装置を、有機顔料セミクルードの摩砕が起こらない条件
で運転することにより達成することが出来る。有機顔料
セミクルードの摩砕が起こらない装置の運転条件は、そ
の機構、攪拌子形状、その回転速度、メディア使用有
無、メディアの形状、重量、使用量等により選択され、
一義的に定めることは出来ないが、例えば、装置内を所
定温度となる様に保って、以下の様な条件で行うことが
出来る。
【0029】(アトライターの場合)容器が円筒形であ
り、攪拌子(攪拌羽根)として、円筒中心に設けられた
回転軸から容器側壁にむかって外向き対称にのびた3〜
8対の腕を有するものを使用し、且つ、攪拌メディアと
して、直径5〜20mmの球形メディアを使用する場合
は、球形メディア総量を有機顔料セミクルード重量の5
〜30倍相当量となる様に用いて、回転数50〜200
rpmで0.5時間〜5.0時間回転させる。
【0030】(ボールミルの場合)攪拌メディアを用い
ない場合は、回転速度60〜180rpmで0.5時間
〜6時間回転させる。直径30〜70mmの球形メディ
アを用いる場合は、球形メディア総量を有機顔料セミク
ルード重量の5〜30倍相当量となる様に用いて、回転
数60〜180rpmで0.5〜3時間回転させる。
【0031】(ナウターミキサーの場合)容器が逆円錐
形であり、容器内には、自転しながら容器側壁に沿って
公転するスクリューが設けられていて、このスクリュー
のピッチが50〜200mmであるものを用いる場合に
は、スクリューの自転速度を50〜200rpmとし、
公転速度を前記自転速度の1/20〜1/50の速度と
し、0.5時間〜6時間回転させる。
【0032】(ミックスマラーの場合)容器が円筒形で
あり、円筒中心に設けられた回転軸から容器側壁にむか
って外向き対称にのびた2対の腕に、腕を中心軸として
自転し、かつ、この腕の長さ方向に沿って、容器中心と
容器側壁との間を移動するホイールが設けられたものを
用いる場合は、容器底部とホイールとの間隙を2〜20
mmとし、ホイール公転速度を5〜50rpmの速度と
して、このホイールを容器中心と容器側壁との間で、
0.5時間〜6時間、移動させながら回転軸を回転させ
る。
【0033】(ニーダーの場合)容器が、水平方向の断
面が略楕円形である筒形であり、円筒内には、2本の回
転軸が設けられ、これら2本の回転軸を中心として回転
するスクリューが、それぞれの回転軸に設けられてい
て、かつ、2つのスクリューにはサイズが異なるものを
使用する場合には、容器側壁とそれぞれのスクリューと
の間隙を2〜10mmとし、スクリュー回転速度は低速
軸側は15〜40rpm、高速軸側は30〜60rpm
として0.5時間〜60時間回転させる。
【0034】本発明者等の知見によれば、これらの条件
では、有機顔料セミクルードが摩砕されることなく、実
質的に混合攪拌のみが行われ、顔料化が達成される。上
記装置の中でも、顔料をより省エネルギーでより生産性
高く得るには、ボールミルを用いて上記条件にて混合攪
拌を行うのが好ましい。
【0035】混合攪拌の終点の決定方法は、例えば、第
一ロットの混合攪拌時に、所定スケールの装置に、所定
量の有機顔料セミクルードと有機溶剤を入れ、混合攪拌
の条件を一定に固定し、時間毎にサンプリングを行い、
結晶の粒子径、結晶型、色相、着色力等を測定し、意図
する顔料特性になるまでの混合攪拌時間を予め求めてお
き、第二ロット以降は、その所定時間に到達した段階で
混合攪拌を中止する様にする。顔料化後には、装置から
有機顔料粉末と有機溶剤との混合物を取り出し、つい
で、この混合物から有機溶剤を除去して有機顔料粉末を
得ることが出来る。有機溶剤を除去する方法としては特
に制限はなく、真空乾燥、真空凍結乾燥、通気乾燥、加
熱乾燥等の方法であるが、有機顔料の結晶構造に影響を
与えずに有機溶剤を除去できることから、凍結乾燥法が
好ましい。
【0036】本発明では、このようにして有機顔料セミ
クルードが顔料化され、平均一次粒子径が0.02〜
0.2μmの有機顔料を得ることができる。また、得ら
れる有機顔料は、その結晶の形状が短軸の長さに対する
長軸の長さの比が1.0〜3.0程度であり、着色力と
鮮明性に優れる。
【0037】有機顔料セミクルードとして、芳香族多環
系顔料セミクルードであるフタロシアニン系顔料セミク
ルードを用いて上記した本発明の製造方法を実施する
と、X線回折スペクトル(CuKα1線)における、ブ
ラッグ角2θ=6.98±0.1度のX線回折線を用い
て、Stokes & Wilsons式(ε=λ/βco
sθ、なお式中、λ=X線の波長、β=積分幅、θ=回
折線のブラッグ角)により求めた短軸方向のサイズ
(ε)が25ないし30nmであり、且つ電子顕微鏡写
真より求めた、短軸と長軸の長さの比が1から3の結晶
からなることを特徴とする、β型銅フタロシアニン顔料
が得られる。
【0038】このβ型銅フタロシアニン顔料は、短軸方
向のサイズと、短軸と長軸の長さの比とが、いずれも特
定範囲であり、その結果、従来に比べより正立方体に近
い形状を有するので、従来の製造方法で得られるβ型銅
フタロシアニン顔料よりも、着色力と鮮明性の2点にお
いて、いずれも優れている。また、従来よりも緑味の強
い青色が得られる。
【0039】また、この顔料はβ型結晶であるので、従
来の顔料と同様に、結晶粉末のX線回折スペクトル(C
uKα1線)におけるブラッグ角2θ(±0.1度)=
6.98,9.12,23.72及び26.16に、5
000cps以上の強い強度の回折線を有している。こ
のうちの、ブラッグ角2θ=6.98±0.1度のX線
回折線はβ型銅フタロシアニン結晶の短軸(c軸 =
0,0,1面)方向の面指数を現している。そこで、こ
の回折線2θ(±0.1度)=6.98を用いて、上記
した、Stokes & Wilsons式により短軸方
向(c軸)方向のサイズ(ε)を求めることが出来る。
このようにして求めた短軸方向(c軸)のサイズが従来
のβ型銅フタロシアニン顔料では20〜24.5nmで
あるのに対し、本発明で得られた、β型銅フタロシアニ
ン顔料では25〜30nmであり、従来よりも大きい点
が特徴的である。
【0040】また、この顔料は電子顕微鏡写真より求め
た短軸と長軸の長さの比が1から3である。この比は顔
料粉体を適量サンプリングし、電子顕微鏡写真で撮影を
行い、視野内に存在する粒子の二次元画像を用いて測定
する。より具体的には、この画像から、短軸と長軸の長
さの比が最も大きい粒子と最も小さい粒子とを選択し、
その平均値で表すことが出来る。顔料粒子の長軸は二次
元画像の二つの辺のうち長いほう、短軸は二次元画像の
二つの辺のうち短いほうを意味する。尚、長軸方向のサ
イズはb軸方向のサイズを意味する。尚、電子顕微鏡に
よる顔料粒子の短軸は二次元画像として把握されるの
で、角柱体の三辺(a軸方向、b軸方向及びc軸方向)
のうち長軸を除く二辺(a軸またはc軸)のどちらかは
不明だが、それらのいずれか一方が短軸のサイズとして
認識されるので、前記したStokes & Wilso
ns式により求めた短軸方向のサイズ(c軸方向サイ
ズ)とは必ずしも一致はしない場合がある。
【0041】本発明の製造方法で得られた有機顔料は、
そのままで公知慣用の用途、例えば印刷インキ用途、塗
料用途、成形品着色用途、電子写真用途、カラーフィル
ター用途、ジェットインキ用途等に使用することが可能
であり、公知の方法に従って顔料の表面処理や顔料添加
剤の添加を適宜行って使用してもよい。
【0042】添加剤を用いる方法としては、高流動性と
高透明性、高光沢を付与させるために、界面活性剤、ロ
ジン、ロジン金属塩、重合ロジン、ロジン変性フェノー
ル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂及び顔料の主成分の
有機化合物の化学構造を持つスルホン酸誘導体、あるい
はアルキルアミノメチル誘導体、スルホンアミド誘導
体、フタルイミドメチル誘導体等を加えることができる
し、異種構造の顔料のこれらの誘導体類を加えることも
できる。
【0043】誘導体類を用いる方法としては、例えば、
銅フタロシアニン顔料に銅フタロシアニンスルホン酸を
加え高流動性と高光沢を付与する方法、ジオキサジン顔
料に銅フタロシアニンアルキルアミノメチル誘導体を加
え高流動性を付与する方法がある。
【0044】スルホン酸誘導体を使用する場合には、ス
ルホン酸のスルホン基を、必要に応じて金属塩またはア
ンモニウム塩として使用することもできる。これらの誘
導体類は、クルード合成時またはセミクルード作製時に
混合しても良いし、顔料化後に混合しても良い。
【0045】表面処理剤や、スルホン酸誘導体、アルキ
ルアミノメチル誘導体、スルホンアミド誘導体、フタル
イミドメチル誘導体、脂肪族および芳香族スルホン酸化
合物等の添加量は、特に制限されるものではないが、顔
料に対して0.1〜30重量%相当量の範囲が好まし
い。
【0046】本発明の製造方法で得られた有機顔料と、
ビヒクル(有機溶剤、樹脂、可塑剤)と前記したのと異
なるインキ調製用の各種添加剤(ロウ、ドライヤ、界面
活性剤、ゲル化剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤等)
とを混合することにより、印刷インキとすることが出来
る。
【0047】印刷インキとして代表的な平版印刷インキ
は、本発明の製造方法で得られた有機顔料、ワニス及び
有機溶剤をロールあるいはビーズミル等を使用して均一
に練り合わせて作られる。有機顔料の形態として、例え
ば粉末、含水組成物(ウェットケーキまたはウエットス
ラリー)の2つの形態がある。ワニスには天然油脂(例
えば亜麻仁油、桐油、ロジン等)、合成樹脂(例えば硝
化綿、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等)
等が使用される。また有機溶剤にはメタノール、イソプ
ロピルアルコール、トルエン、石油系溶剤、動植物油等
が使用される。
【0048】これらの重量割合は、特に制限されるもの
ではないが、例えば有機顔料100重量部に対して、ワ
ニス200〜400重量部、有機溶剤100〜400重
量部となる様にするのが一般的である。
【0049】
【実施例】次に本発明を実施例および比較例により具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。 [実施例1]無水フタル酸、尿素、塩化銅をアルキルベ
ンゼン中で、モリブデン酸アンモニウム触媒の存在下、
200℃で3時間反応させて、銅フタロシアニン顔料の
クルードを製造した。この銅フタロシアニン顔料クルー
ド1000gと、2重量%水酸化ナトリウム水溶液10
000gを80℃に保持しながら1時間攪拌した後、ビ
ーカー中の内容物を濾過して固液分離し固形分を得た。
この固形分を水洗して、さらに、1重量%硫酸1000
0gととも80℃に保持しながら1時間攪拌した。つい
で、ビーカー中の内容物を濾過して固液分離し、固形分
を水洗、乾燥して精製された銅フタロシアニン顔料クル
ードを得た。
【0050】ついで、この銅フタロシアニン顔料クルー
ドの500gを、予め直径9.5mmのスチールボール
13.0kgを充填した内容量5Lのアトライターに導
入し、回転速度300rpm、アトライター内の温度を
90〜110℃に制御し、60分間乾式摩砕して銅フタ
ロシアニン顔料セミクルードを得た。
【0051】そして、この銅フタロシアニン顔料セミク
ルード210gとp−キシレン42gを、内容積が4.
0Lのボールミルに投入し、直径50mmのアルミナボ
ール3.9kg(9個)を入れ、回転数70rpmでボ
ールミル内を20℃に保って、混合撹拌を2時間行っ
た。その後、ボールミルから、銅フタロシアニン顔料と
p−キシレンの混合物を取り出して、凍結乾燥法でp−
キシレンを除去し、粉末銅フタロシアニン顔料を得た。
【0052】これらの顔料を、X線回折装置(Riga
ku社製:RINT 1100型)で分析したところい
ずれも純粋なβ型で、平版インキにそのまま使用できる
ものであった。
【0053】また、このX線回折装置を用いて、管電圧
40kV、管電流30mAで、X線回折スペクトル(C
uKα1)のブラッグ角2θ=6.98度のX線回折線
を用いて、β(積分幅)について精密測定を行い、その
結果をStokes & Wilsons式(ε=λ/β
cosθ、尚式中、λ=0.154nm、θ=3.49)
に代入することより、短軸方向(C軸方向)のサイズ
(ε)を求めた。また、透過型の電子顕微鏡(日本電子
(株)製JEM−2010による)写真により、短軸と
長軸の長さの比(アスペクト比)を求めた。さらに、こ
れらの銅フタロシアニン顔料を使用して以下に記した試
験例にしたがって平版インキを作成し、下記に示す評価
法にしたがって着色力、鮮明性及び色相を評価した。以
上の結果を表1に示す。
【0054】着色力、鮮明性及び色相の評価方法得られ
た顔料を用い、以下の方法により平版インキを作成し
た。本発明の製造方法で得た有機顔料0.3g、インキ
用樹脂ワニス(大日本インキ化学工業(株)製MG−6
3、有機溶剤含有率30重量%)1.2gをフーバーマ
ーラーで分散し濃色インキを作製した。次いでこの濃色
インキ0.1gと、白色顔料が30%の白インキ2.0
gを混合して淡色インキを作製した。この淡色インキを
展色紙にヘラで展色した後、分光光度計(データカラー
(株)製Micro flash)を用いて、D65光
源、10度視野で測色した。この時、後述の比較例1で
得られた銅フタロシアニン顔料を同様な操作で淡色イン
キを作製・測色し、これを標準として、着色力(%)、
鮮明性(CIE Lab表示による彩度の差:DC*で
表示した。)、色相(CIE Lab表示による色相角
の差:DH*で表示した。)を求めた。
【0055】[実施例2]銅フタロシアニン顔料セミク
ルードに添加する溶剤をo−キシレンとし、顔料化後の
溶剤の除去に真空乾燥を用いた以外は、実施例1と同様
にして銅フタロシアニン顔料を得て、同様に評価した。
その結果を表1に示す。
【0056】[実施例3]銅フタロシアニン顔料セミク
ルードに添加する溶剤をトルエンとした以外は実施例2
と同様にして銅フタロシアニン顔料を得て、同様に評価
した。その結果を表1に示す。
【0057】 [比較例1] <ソルベント ソルトミリング法> 実施例1と同様にして得た銅フタロシアニン顔料クルー
ド500gと粉砕塩2500g、ジエチレングリコール
500g及びキシレン30gを容量8Lのニーダーに入
れ、80℃で6時間摩砕を行った。ここで得られた混練
物の100gに1%塩酸溶液2000gを加え、80℃
で2時間撹拌した。その後、ろ過、水洗、乾燥及び粉砕
して銅フタロシアニン顔料を得た。この顔料を実施例1
と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0058】 [比較例2] <ソルベント ボイリング法> 実施例1と同様にして得た銅フタロシアニン顔料セミク
ルード30gとイソブチルアルコール100g及び水2
00gを1.0Lフラスコに取り、369Kで4時間還
流した。その後、イソブチルアルコールを留去し、ろ
過、水洗、乾燥し、フタロシアニン顔料を得た。この顔
料を実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1において、色相はマイナスの値が大き
いほど緑味であることを示す。また、ここでは、鮮明性
の指標として彩度を用いた。彩度はプラスの値が大きい
ほど鮮明であることを示す。尚、実施例及び比較例の有
機顔料は、電子顕微鏡写真による測定によれば、いずれ
も一次粒子径は20〜200nm程度であった。
【0061】表1から明らかなように、銅フタロシアニ
ン顔料セミクルードに対して、20重量%の溶剤を添加
して、乾式で混合撹拌する簡単な方法で、従来行われて
いるいるソルベントソルトミリング法〔比較例1〕及び
ソルベントボイリング法〔比較例2〕の銅フタロシアニ
ン顔料より、高着色力、高鮮明で色相緑味の銅フタロシ
アニン顔料が得られた。また、本発明で得られた銅フタ
ロシアニン顔料は、X線回折法より求めた短軸方向(C
軸)のサイズがソルベントソルトミリング法〔比較例
1〕及びソルベントボイリング法〔比較例2〕の銅フタ
ロシアニン顔料より、2〜3nm程大きい特徴を有して
いる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明の製造方法に
よれば、有機顔料セミクルードを有機溶剤の雰囲気下で
乾式で混合・撹拌摩砕する非常に簡単な工程で、着色
力、鮮明性、色相等に優れた有機顔料を容易に得ること
ができる。すなわち、無機塩類や水等を使用する必要が
ないため、これらを水洗、濾過等で除去したり、廃棄し
たりする後処理が必要ない。また、ニーダー等で高いせ
ん断力を加える必要もなく、混合撹拌時の温度が80℃
以下の低温であっても、着色力、鮮明性が高い有機顔料
が得られるため、低エネルギーで有機顔料を製造でき
る。また、使用する有機溶剤は従来使用されるよりも大
幅に少なくて済み、得られた有機顔料から有機溶剤を簡
単に除去できる。さらに、無機塩類等の摩砕助剤も必要
としないため、有機顔料セミクルードの仕込量を大幅に
増やすことが出来るので、低コストでの顔料化が可能で
ある。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機顔料セミクルードを、有機溶剤の雰
    囲気下で混合攪拌して、顔料化する有機顔料の製造方法
    であって、有機溶剤の使用量が、少なくとも有機顔料セ
    ミクルード重量の1重量%以上、50重量%未満である
    ことを特徴とする有機顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】 混合攪拌を、0〜150℃で行うことを
    特徴とする請求項1に記載の有機顔料の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機溶剤が、沸点50〜250℃の有機
    溶剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    有機顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機顔料セミクルードが、芳香族多環系
    顔料セミクルードであることを特徴とする請求項1ない
    し3のいずれかに記載の有機顔料の製造方法。
  5. 【請求項5】 芳香族多環系顔料セミクルードが、フタ
    ロシアニン系顔料セミクルードであることを特徴とする
    請求項4に記載の有機顔料の製造方法。
  6. 【請求項6】 X線回折スペクトル(CuKα1線)に
    おける、フラッグ角2θ=6.98±0.1度のX線回
    折線を用いて、Stokes & Wilsons式(ε
    =λ/βcosθ、 なお、式中、λ=X線の波長、β=積
    分幅、θ=回折線のフラッグ角)により求めた短軸方向
    のサイズ(ε)が25ないし30nmであり、且つ電子
    顕微鏡写真より求めた、短軸と長軸の長さの比が1から
    3である結晶からなることを特徴とする、β型銅フタロ
    シアニン顔料。
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