JP2013194068A - チタニルフタロシアニン誘導体混合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は新規なチタニルフタロシアニン誘導体混合物、およびその製造方法に関する。
従来、電子写真方式において使用される感光体の光導電体としては大きく分けて種々の無機及び有機光導電体が知られている。ここにいう「電子写真方式」とは一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得、この潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成するようにした、いわゆるカールソンプロセスとよばれる画像形成プロセスである。有機の光導電体を用いた感光体は無機光導電体のものに比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面等において利点を持つため、現在ではほとんどの感光体には有機光導電体が用いられている。またこの電子写真方式および類似プロセスにおいてくり返し使用される感光体には、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光感度特性に代表される静電特性が優れていることが要求される。
近年ではこの電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うデジタル記録方式を用いたプリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。またこのデジタル記録方式はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。さらに、このデジタル複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため今後その需要性が益々高まっていくと予想される。
このようなデジタル記録方式に対応させる感光体には従来からあるアナログ方式とは異なった特性が要求されている。例えば光源としては現在のところ小型かつ安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく使われているLDの発光波長域は近赤外光領域にあり、LEDの発光波長は650nmより長波長である。このため前記電子写真用感光体への要求事項に加え、可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有することが望まれる。
この観点から、スクエアリリウム染料(特許文献1、及び特許文献2)、トリフェニルアミン系トリスアゾ顔料(特許文献3)、フタロシアニン顔料(特許文献4、及び特許文献5)等が、デジタル記録用の光導電体として提案されている。特にテトラアザポルフィリン誘導体であるフタロシアニン顔料は、長波長域まで感光波長域を持つと共に高い光感度を有し、また中心金属や結晶形の種類によって様々な特性のバリエーションが得られることからデジタル記録用の光導電体として盛んに研究が行われている。これまで知られている良好な感度を示すフタロシアニン顔料としては、ε型銅フタロシアニン、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等が挙げられる。
中でも特許文献6〜8によって高感度のチタニルフタロシアニン顔料が提案されている。これらのチタニルフタロシアニン顔料の分光波長域は700〜860nmに最大吸収を示しており、半導体レーザー光に対して極めて高感度を示すものである。しかしながら、上述の特許公報に示されるチタニルフタロシアニン顔料を電子写真感光体に用いた場合、感度的には充分であるものの、繰り返し疲労による帯電性の低下や、温湿度による感度変動が大きいなどの実用上の多くの問題を残している(非特許文献1)。
更には、特許文献9には光電変換材料用クロロガリウムフタロシアニン顔料が、特許文献10にはX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強い回折ピークを有する光電変換材料用の高感度なV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が開示されている。これらガリウムフタロシアニン顔料も近赤外領域まで実用的な感度を示し、上述のチタニルフタロシアニン顔料に比べ光感度は低いものの、光感度の湿度依存性がこれに比べて小さいことがいわれている(非特許文献2)。しかしながらこのガリウムフタロシアニン顔料も繰り返し疲労による帯電性の低下や残留電位上昇という問題を残している。
また、特許文献11には原料として塩化チタンを用いた場合、一部のフタロシアニンが塩素化されたチタニルフタロシアニン顔料が提案されている。これらのチタニルフタロシアニンも近赤外域まで実用的な感度を示し、帯電特性もよいが、繰り返し疲労による感度低下、帯電性の悪化という問題がある。
また、特許文献12、特許文献13にはピリジンもしくはピラジンなどのヘテロ環を有するポルフィラジン系顔料について開示されている。更には、特許文献14〜16にはフタロシアニンと他のポルフィラジン系顔料の混合物が光導電体として有用であることが開示されているが、これらを用いた電子写真感光体も同様に可視域および近赤外域における感度、繰り返し疲労による帯電性の低下や残留電位上昇、温湿度による感度変動が大きい等の点で前記電子写真用感光体の要求事項を充分満足するものではなかった。
本発明は、上記従来の電子写真用感光体における光導電体の持つ欠点を除去した、更に詳しくは可視域から近赤外域での感度や、繰り返し疲労における帯電安定性、温湿度変動に対して安定性に優れた電子写真感光体に用いられる有機光導電体として有用な新規チタニルフタロシアニン誘導体混合物、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、チタニルフタロシアニンと、下記一般式(2)で表される種々のチタニルフタロシアニン誘導体の1種以上との混合物が有効であることを見出すに至り、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)フタロニトリル、ジシアノベンゼン誘導体及び下記一般式(1)で表される有機チタン化合物を反応させることにより得られた、チタニルフタロシアニンと、下記一般式(2)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体の1種以上との混合物。
(一般式(1)中、R1はアルキル基を表す)
(一般式(2)中、k,l,m,nは0〜4の整数を表し、k,l,m,nは同一でも異なっていても良いが、全てが同時に0ではない。Xは塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基を表す。)
(2)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(3)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.8°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(4)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(5)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(6)フタロニトリル、ジシアノベンゼン誘導体及び下記一般式(1)で表される有機チタン化合物を反応させることを特徴とする、チタニルフタロシアニンと下記一般式(2)で表される1種以上のチタニルフタロシアニン誘導体との混合物の製造方法。
(一般式(1)中、R1はアルキル基を表す)
(一般式(2)中、k,l,m,nは0〜4の整数を表し、k,l,m,nは同一でも異なっていても良いが、全てが同時に0ではない。Xは塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基を表す。)
(7)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(8)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.8°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(9)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(10)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(11)上記(6)乃至(10)のいずれかに記載の混合物の製造方法で得られた混合物を、更に結晶変換処理することを特徴とする混合物の製造方法。
(2)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(3)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.8°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(4)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(5)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする上記(1)に記載の混合物。
(6)フタロニトリル、ジシアノベンゼン誘導体及び下記一般式(1)で表される有機チタン化合物を反応させることを特徴とする、チタニルフタロシアニンと下記一般式(2)で表される1種以上のチタニルフタロシアニン誘導体との混合物の製造方法。
(7)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(8)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.8°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(9)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(10)CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする上記(6)に記載の混合物の製造方法。
(11)上記(6)乃至(10)のいずれかに記載の混合物の製造方法で得られた混合物を、更に結晶変換処理することを特徴とする混合物の製造方法。
本発明により、新規な、チタニルフタロシアニンと、少なくとも1種以上のチタニルフタロシアニン誘導体との混合物が得られる。かかる本発明の混合物により、可視域から近赤外域での感度や、繰り返し疲労における帯電安定性、温湿度変動に対して安定性に優れた電子写真感光体に用いられる有機光導電体が得られる。
本発明のチタニルフタロシアニン誘導体混合物を用いた電子写真感光体は、可視域から近赤外域での感度、帯電性に優れ、かつ繰返し疲労特性においても耐久性に優れたものであることから、高速複写機やレーザープリンター等の電子写真感光体用の有機光導電体、特に電荷発生材料として有用なものである。
本発明のチタニルフタロシアニン誘導体混合物を用いた電子写真感光体は、可視域から近赤外域での感度、帯電性に優れ、かつ繰返し疲労特性においても耐久性に優れたものであることから、高速複写機やレーザープリンター等の電子写真感光体用の有機光導電体、特に電荷発生材料として有用なものである。
本発明に係る混合物は、フタロニトリル、ジシアノベンゼン誘導体及び下記一般式(1)で表される有機チタン化合物を反応させることにより得られた、チタニルフタロシアニンと、下記一般式(2)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体の1種以上との混合物であることを特徴とする。
なお、以下においては、チタニルフタロシアニンと、下記一般式(2)で表される少なくとも1種以上のチタニルフタロシアニン誘導体との混合物を、単にチタニルフタロシアニン誘導体混合物ともいう。
(一般式(1)中、R1はアルキル基を表す)
(一般式(2)中、k,l,m,nは0〜4の整数を表し、k,l,m,nは同一でも異なっていても良いが、全てが同時に0ではない。Xは塩素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基を表す。)
なお、以下においては、チタニルフタロシアニンと、下記一般式(2)で表される少なくとも1種以上のチタニルフタロシアニン誘導体との混合物を、単にチタニルフタロシアニン誘導体混合物ともいう。
一般式(2)で表されるチタニルフタロシアニン誘導体混合物は、下記式(3)で示されるフタロニトリルと下記一般式(4)で示されるジシアノベンゼン誘導体の混合物とを下記一般式(1)で表される有機チタン化合物と共に、無溶媒か、α−クロロナフタレン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ペンタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、キノリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、ジオキサン等の溶媒の存在下で反応させる事により得ることができる。
また該反応は必要に応じて尿素、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、アンモニア等の存在下反応を行っても良い。反応温度は通常室温〜300℃で行い、好ましくは100℃〜250℃である。
また該反応は必要に応じて尿素、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、アンモニア等の存在下反応を行っても良い。反応温度は通常室温〜300℃で行い、好ましくは100℃〜250℃である。
ここでのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクタデカニル基が挙げられ、好ましくはn-ブチル基が挙げられる。
ここで、上記式(3)と式(4)で表される化合物の混合割合(モル比)[(3):(4)]は、1:99999〜99999:1、好適には1:1〜399:1、更に好ましくは1:1〜39:1(モル比)である。式(3)で表されるフタロニトリルが前述の混合割合の範囲にあることにより、本発明のチタニルフタロシアニン誘導体混合物を用いた電子写真感光体の電子写真特性において帯電性や感度がより良好なものとなる。また、一般式(4)で表されるジシアノベンゼン誘導体の混合物の混合割合が前述の範囲にあることにより、電子写真感光体の繰り返し疲労等による帯電低下の変化率をより少なくすることができる。
また、感光体の要求特性に応じて、混合比率の異なる2種以上のチタニルフタロシアニン誘導体混合物、あるいはフタロシアニン系顔料とチタニルフタロシアニン誘導体混合物を混合してもよい。
この場合フタロシアニン系顔料としては銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン等が挙げられる。
この場合フタロシアニン系顔料としては銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン等が挙げられる。
また、本発明の混合物は、CuKα特性X線(波長1.542Å)によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)のうち、7.5°、7.8°、26.7°、27.2°のいずれかに最も強い回折ピークを有する。そして、このような本発明の混合物を電子写真感光体に使用することにより、感度や、帯電安定性、温湿度変動に対する安定性に優れた感光体を得ることができる。
また、上記の方法により得られた本発明の混合物を結晶変換処理することにより、感光体等への応用に対してより優れた混合物とすることができる。結晶変換の方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
結晶変換は、チタニルフタロシアニン誘導体混合物の結晶型を変換する方法であり、具体的な方法としては、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物(低結晶性チタニルフタロシアニン誘導体混合物)を乾燥せずに、水の存在下で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、所望の結晶型を得るものである。
結晶変換は、チタニルフタロシアニン誘導体混合物の結晶型を変換する方法であり、具体的な方法としては、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物(低結晶性チタニルフタロシアニン誘導体混合物)を乾燥せずに、水の存在下で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、所望の結晶型を得るものである。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる少なくとも1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。結晶変換に使用される前記有機溶媒の量は、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物(低結晶性チタニルフタロシアニン誘導体混合物)の重量の10倍以上、好ましくは30倍以上の重量であることが望ましい。これは、結晶変換を素早く十分に起こさせると共に、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物(低結晶性チタニルフタロシアニン誘導体混合物)に含まれる不純物を十分に取り除く効果が発現されるからである。
尚、ここで使用する不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物(低結晶性チタニルフタロシアニン誘導体混合物)は、アシッド・ペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を十分に洗浄したものを使用することが望ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行うと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、出来上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことが出来ない。硫酸イオンが残存した場合には、感光体の感度低下、帯電性低下を引き起こすなど、好ましい結果を得られない。この際、本発明で得られるチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることが出来るが、チタニルフタロシアニン誘導体混合物中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニン誘導体混合物の製造方法としては良好なものではない。この理由は、先に述べたとおりである。
本発明の混合物を電子写真感光体に含有される電荷発生物質として用いる場合においては、チタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料の粒子サイズを所望の大きさにすることにより、電荷発生層中のチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料のより好ましい割合を実現するとともに、感度も十分となった。すなわち、チタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料の平均粒径は、0.15μm以上0.3μm以下が好ましい。平均粒径が0.3μm以下であることにより、十分な感度が発現され、地汚れが発生しなくなる。また、平均粒径が0.15μm以上であることにより、顔料の比表面積が適切な範囲となり、電荷発生層中の樹脂の比率を大きくしなくても、十分な分散安定性や結晶安定性が得られる。
感光層に含有されるチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料の一次粒径をコントロールするための方法の1つに、結晶変換の際の時間を制御する方法がある。前述の不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物(低結晶性チタニルフタロシアニン誘導体混合物)は、一次粒径が0.1μm以下であるが、結晶変換に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが確認されている(例えば特開2005−148725号公報など)。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行なわれた後に、濾過を行ない、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(0.5μmより大)を得ているものである。このような一次粒径の大きなものを分散する場合、非常に大きなシェアを与えることで、一次粒径より小さい粒子に粉砕することは不可能ではないが、その場合、結晶型が転移してしまい所望の感度が得られない。よって、合成段階からチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料の一次粒径を制御することは重要である。その具体的手法は、結晶変換に際して結晶成長がほとんど起こらない範囲(不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物粒子のサイズが、結晶変換後において遜色ない小ささ、概ね0.15μm以上0.3μm以下に保たれる範囲)で、結晶変換が完了した時点を見極めることで、本発明において好適な粒径のチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料を得ようというものである。結晶変換後の粒径は、結晶変換時間に比例して大きくなる。よって結晶変換の時間は出来るだけ短時間で行い、その後の結晶成長の時間により一次粒径を制御する手法が良い。
結晶変換を短時間に行うための方法として、1つは、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めることがある。もう1つは、溶媒とチタニルフタロシアニン誘導体混合物水ペースト(前述の如く作製した原料:不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるものである。具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法により、短時間での結晶変換を実現させるものである。
また、これらの場合において、結晶変換に使用する有機溶媒量の適正化が有効な手段である。具体的には、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物の固形分に対して、10倍以上、好ましくは30倍以上の有機溶媒を使用することが望ましい。これにより、短時間での結晶変換を確実なものとすると共に、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物中に含まれる不純物を確実に取り除くことが出来る。
また、これらの場合において、結晶変換に使用する有機溶媒量の適正化が有効な手段である。具体的には、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物の固形分に対して、10倍以上、好ましくは30倍以上の有機溶媒を使用することが望ましい。これにより、短時間での結晶変換を確実なものとすると共に、不定形チタニルフタロシアニン誘導体混合物中に含まれる不純物を確実に取り除くことが出来る。
また所望の一次粒径のチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料を得るために、結晶成長を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶変換を行なった後、結晶変換の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶変換の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。このようにして、本発明において好適に用いられる一次粒径に制御することが出来る。一次粒径は、チタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料粉末、あるいは分散液を電子顕微鏡観察することで把握することが出来る。
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルターを用いることにより行なわれる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。その後、分別されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物顔料は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化するような材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
本発明の一般式(2)で示されるチタニルフタロシアニン誘導体混合物を、単独もしくは電荷輸送物質と組み合わせて単層型あるいは積層型(機能分離型)の電子写真用感光体を作製することできる。
層構成としては単層型の場合、導電性基体の上に、結着剤中にチタニルフタロシアニン誘導体混合物単独、もしくは電荷輸送物質を組み合わせ分散させた感光層を設ける。機能分離型の場合は、基体上にチタニルフタロシアニン誘導体混合物よりなる電荷発生層、その上に電荷輸送物質よりなる電荷輸送層を形成するものであるが、電荷発生層、電荷輸送層を逆に積層しても良い。
層構成としては単層型の場合、導電性基体の上に、結着剤中にチタニルフタロシアニン誘導体混合物単独、もしくは電荷輸送物質を組み合わせ分散させた感光層を設ける。機能分離型の場合は、基体上にチタニルフタロシアニン誘導体混合物よりなる電荷発生層、その上に電荷輸送物質よりなる電荷輸送層を形成するものであるが、電荷発生層、電荷輸送層を逆に積層しても良い。
また、上記電子写真感光体には、接着性、電荷ブロッキング性を向上させるために、感光層と基体との間に中間層を設けても良い。さらに、耐摩擦性など、機械的耐久性を向上させるために、感光層上に保護層を設けても良い。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物分散感光層は、適当な溶媒に、必要に応じてバインダー樹脂を加え溶解もしくは分散せしめ、塗布し乾燥させることにより設けることができる。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物の分散方法としては、例えば、ボールミル、超音波、ホモミキサー等が挙げられ、また塗布手段としては、ディッピング塗工法、ブレード塗工法、スプレー塗工法等が挙げられる。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物の分散方法としては、例えば、ボールミル、超音波、ホモミキサー等が挙げられ、また塗布手段としては、ディッピング塗工法、ブレード塗工法、スプレー塗工法等が挙げられる。
チタニルフタロシアニン誘導体混合物を分散せしめて感光層を形成する場合、層中への分散性を良くするために、そのチタニルフタロシアニン誘導体混合物は2μm以下、好ましくは1μm以下の平均粒径のものが好ましい。ただし、上記の粒径があまりに小さいとかえって凝集しやすく、層の抵抗が上昇したり、結晶欠陥が増えて感度及び繰り返し特性が低下したり、或いは微細化する上で限界があるから、平均粒径の下限を0.01μmとするのが好ましい。
感光層の分散液或いは溶液を調整する際に使用する溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、1、2−ジクロルエタン、1、1、1−トリクロルエタン、ジクロルメタン、1、1、2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオキサン等を挙げることができる。
感光層形成時に用いる結着剤としては、絶縁性がよい従来から知られている電子写真感光体用結着剤であれば何でも使用でき、特に限定はない。例えば、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重付加型樹脂、重縮合型樹脂、ならびにこれらの樹脂の繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂等の絶縁性樹脂のほか、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらのバインダーは単独または2種類以上の混合物として用いることが出来る。
また、本発明のチタニルフタロシアニン誘導体混合物は、例えば以下に示す様な顔料と混合、分散して使用しても良い。有機顔料としては、例えば、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI 21180)、シーアイピグメントレッド41(CI 21200)、シーアイアシッドレッド52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド3(CI 45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などのアゾ顔料、例えば、シーアイピグメントブルー16(CI 74100)、チタニルフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、例えば、シーアイバットブラウン5(CI 73410)、シーアイバットダイ(CI 73030)などのインジコ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インタンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン顔料などが挙げられる。なお、これらの有機顔料は単独あるいは2種類以上が併用されても良い。
以上のような層構成、物質を用いて感光体を作成する場合には、膜厚、物質の割合に好ましい範囲がある。
機能分離型(基体/電荷発生層/電荷輸送層)の場合、電荷発生層において、必要に応じて結着剤が使用され、その場合結着剤に対するチタニルフタロシアニン誘導体混合物の割合は20重量%以上、膜厚は0.01〜5μmが好ましい。電荷輸送層においては、結着剤に対する電荷輸送物質の割合は20〜200重量%、膜厚は5〜100μmとするのが好ましい。また高分子型電荷輸送物質を用いる場合はそれ単独で電荷輸送層を形成しても良い。
さらに、電荷発生層中には電荷輸送物質を含有することが好ましく、含有させることにより残留電位の抑制、感度の向上に対し効果を持つ。この場合の電荷輸送物質は、結着剤に対し20〜200重量%含有させることが好ましい。
機能分離型(基体/電荷発生層/電荷輸送層)の場合、電荷発生層において、必要に応じて結着剤が使用され、その場合結着剤に対するチタニルフタロシアニン誘導体混合物の割合は20重量%以上、膜厚は0.01〜5μmが好ましい。電荷輸送層においては、結着剤に対する電荷輸送物質の割合は20〜200重量%、膜厚は5〜100μmとするのが好ましい。また高分子型電荷輸送物質を用いる場合はそれ単独で電荷輸送層を形成しても良い。
さらに、電荷発生層中には電荷輸送物質を含有することが好ましく、含有させることにより残留電位の抑制、感度の向上に対し効果を持つ。この場合の電荷輸送物質は、結着剤に対し20〜200重量%含有させることが好ましい。
また、単層型の感光体の場合は、その感光層中に結着剤樹脂に対するチタニルフタロシアニン誘導体混合物の割合は5〜95重量%、膜厚は10〜100μmとするのが好ましい。また電荷輸送物質と組み合わせる場合、電荷輸送物質の結着樹脂に対する割合は30〜200重量%が好ましい。また高分子型電荷輸送物質とチタニルフタロシアニン誘導体混合物で感光層を形成しても良く、高分子型電荷輸送物質に対するチタニルフタロシアニン誘導体混合物の割合は5〜95重量%、膜厚は10〜100μmとするのが好ましい。
さらに上記感光層中には、帯電性の向上等を目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールが同一分子中に存在する化合物などを添加することが出来る。
さらに上記感光層中には、帯電性の向上等を目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールが同一分子中に存在する化合物などを添加することが出来る。
導電性基体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、チタン、金、ステンレス等の金属板、金属ドラムまたは金属箔、アルミニウム、ニッケル、銅、チタン、金酸化錫、酸化インジウムなどを蒸着したプラスチックフィルム或いは導電性物質を塗布した紙、プラスチックなどのフィルムまたはドラム等が挙げられる。
また、必要に応じて導電性基体上に下引き層が使用される。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜25μmが適当である。
更に、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることがある。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
電荷輸送物質について、正孔輸送物質と電子輸送物質、及び高分子電荷輸送物質に分け、以下に説明する。
正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及び以下の一般式(5)乃至(28)で示される化合物がある。
正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及び以下の一般式(5)乃至(28)で示される化合物がある。
一般式(5)で表される化合物には、例えば、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある
一般式(6)で表される化合物には、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−カルボアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−カルボアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾンなどがある。
一般式(7)で表される化合物には、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド 1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある。
一般式(8)で表される化合物には、例えば、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタンなどがある。
一般式(9)で表される化合物には、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどがある。
一般式(10)で表される化合物には、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾールなどがある。
一般式(13)で表される化合物には、例えば、1,2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1,2−ビス(2,4−ジメトキシスチリル)ベンゼンなどがある。
一般式(14)で表される化合物には、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾールなどがある。
一般式(15)で表される化合物には、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレンなどがある。
また、一派式(17)、(18)において、mが2以上の時R2は同一でも異なっても良い。また、nが0の時、AとR1は共同で環を形成しても良い。)
一般式(16)で表される化合物には、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベンなどがある。
一般式(20)で表される化合物には、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリンなどがある。
一般式(21)で表される化合物には、例えば、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
一般式(22)で表される化合物には、例えば、2−N、N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
一般式(23)で表されるベンジジン化合物には、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどがある。
一般式(24)で表されるビフェニリルアミン化合物には、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミンなどがある。
一般式(25)で表されるトリアリールアミン化合物には、例えば、N,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミンなどがある。
一般式(26)で表されるジオレフィン芳香族化合物には、例えば、1,4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1,4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼンなどがある。
一般式(28)で表されるスチリルピレン化合物には、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレンなどがある。
前記電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどを挙げることができ、さらに下記一般式(29)、(30)、(31)及び(32)に挙げる電子輸送物質を好適に使用することができる。
これらの電荷輸送物質は単独または2種類以上混合して用いられる。
これらの電荷輸送物質は単独または2種類以上混合して用いられる。
前記高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、構造式(I)〜(XIII)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。これらを以下に例示し、具体例を示す。
また、本発明の一般式(2)で示されるチタニルフタロシアニン誘導体混合物は、電子写真感光体の光導電体として有用であるばかりでなく、太陽電池、光ディスク等のエレクトロニクス分野で電子デバイスとして好適に使用することが可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、これにより本発明の実施例の態様が限定されるものではない。
(実施例1)
フタロニトリル10.19g(78mmol)、3,4−ジシアノ−1−ヒドロキシベンゼン0.29g(2mmol)及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.50g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のヒドロキシ基が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)を9.62g(収率82.7%)得た。得られた結晶のX線回折図を図1に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例1)
フタロニトリル10.19g(78mmol)、3,4−ジシアノ−1−ヒドロキシベンゼン0.29g(2mmol)及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.50g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のヒドロキシ基が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)を9.62g(収率82.7%)得た。得られた結晶のX線回折図を図1に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例2)
フタロニトリルと3,4−ジシアノ−1−ヒドロキシベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は実施例1と同様に操作してヒドロキシ基が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.2)9.74g(収率84.5%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図2に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
フタロニトリルと3,4−ジシアノ−1−ヒドロキシベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は実施例1と同様に操作してヒドロキシ基が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.2)9.74g(収率84.5%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図2に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例3)
フタロニトリル19.99g(156mmol)、4,5−ジシアノ−1,2−ジクロロベンゼン0.79g(4mmol)及び1−オクタノール24.48gにテトラブトキシチタン14.97g(44mmol),尿素4.8g(80mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末の塩素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.3)を19.92g(収率85.4%)得た。得られた結晶のX線回折図を図3に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
フタロニトリル19.99g(156mmol)、4,5−ジシアノ−1,2−ジクロロベンゼン0.79g(4mmol)及び1−オクタノール24.48gにテトラブトキシチタン14.97g(44mmol),尿素4.8g(80mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末の塩素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.3)を19.92g(収率85.4%)得た。得られた結晶のX線回折図を図3に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例4)
フタロニトリルと4,5−ジシアノ−1,2−ジクロロベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は実施例3と同様に操作して塩素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.4)を19.22g(収率83.0%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図4に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
フタロニトリルと4,5−ジシアノ−1,2−ジクロロベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は実施例3と同様に操作して塩素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.4)を19.22g(収率83.0%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図4に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例5)
フタロニトリル10.19g(78mmol)、テトラフルオロ−1,2−ジシアノベンゼン0.40g(2mmol)及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.5g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のフッ素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.5)を8.9g(収率80.9%)得た。得られた結晶のX線回折図を図5に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
フタロニトリル10.19g(78mmol)、テトラフルオロ−1,2−ジシアノベンゼン0.40g(2mmol)及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.5g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のフッ素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.5)を8.9g(収率80.9%)得た。得られた結晶のX線回折図を図5に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例6)
フタロニトリルとテトラフルオロ−1,2−ジシアノベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は実施例5と同様に操作してフッ素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.6)を9.54g(収率82.7%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図6に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
フタロニトリルとテトラフルオロ−1,2−ジシアノベンゼンの混合モル比を399:1にかえた以外は実施例5と同様に操作してフッ素原子が置換されたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.6)を9.54g(収率82.7%)を得た。得られた結晶のX線回折図を図6に示す。また、粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例7):チタニルフタロシアニン誘導体混合物の結晶変換
濃硫酸80gを氷水浴で撹拌冷却し、これに実施例1で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)5.00gを少量ずつ30分かけ添加し溶解させた。1時間撹拌の後、内容物を500gの氷水に滴下し、30分間撹拌の後濾過をおこなった。得られた結晶を3回水洗し、濾過をおこない湿ケーキ48.9gを得た(固形分濃度10.2%)。この湿ケーキ29.27gにイオン交換水0.73g、テトラヒドロフラン120gを加え、室温にて6時間撹拌をおこなった。これを濾過し、減圧乾燥をおこない青色結晶のチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)2.9gを得た。このチタニルフタロシアニン誘導体混合物の粉末X線回折スペクトル図を図7に示す。また粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
濃硫酸80gを氷水浴で撹拌冷却し、これに実施例1で得られたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)5.00gを少量ずつ30分かけ添加し溶解させた。1時間撹拌の後、内容物を500gの氷水に滴下し、30分間撹拌の後濾過をおこなった。得られた結晶を3回水洗し、濾過をおこない湿ケーキ48.9gを得た(固形分濃度10.2%)。この湿ケーキ29.27gにイオン交換水0.73g、テトラヒドロフラン120gを加え、室温にて6時間撹拌をおこなった。これを濾過し、減圧乾燥をおこない青色結晶のチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)2.9gを得た。このチタニルフタロシアニン誘導体混合物の粉末X線回折スペクトル図を図7に示す。また粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
(実施例8)〜(実施例12)
実施例7において仕込んだ化合物No.1を化合物No.2〜6にかえた以外は同様に操作してチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.8〜12)を得た。このチタニルフタロシアニン誘導体混合物の粉末X線回折スペクトル図をそれぞれ図8〜12に示す。粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
実施例7において仕込んだ化合物No.1を化合物No.2〜6にかえた以外は同様に操作してチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.8〜12)を得た。このチタニルフタロシアニン誘導体混合物の粉末X線回折スペクトル図をそれぞれ図8〜12に示す。粉末X線回折スペクトルにおける最も強い回折ピークのブラッグ角(2θ)を表1に示す。
[応用例1]
下記組成の混合物をボールミルポットに取り、10mmφのアルミナボールを使用し、48時間ボールミリングして下引層塗布液を調製した。
・オイルフリーアルキッド樹脂
(大日本インキ化学製:ベッコライトM6401) 1.5部
・メラミン樹脂
(大日本インキ化学製:スーパーベッカミンG−821) 1部
・二酸化チタン
〔石原産業(株)製:タイペークCR−EL〕 5部
・2−ブタノン 22.5部
この塗布液をアルミ板支持体上に塗布後、130℃で20分間乾燥し、厚さ約2.5μmの下引き層を形成した。
下記組成の混合物をボールミルポットに取り、10mmφのアルミナボールを使用し、48時間ボールミリングして下引層塗布液を調製した。
・オイルフリーアルキッド樹脂
(大日本インキ化学製:ベッコライトM6401) 1.5部
・メラミン樹脂
(大日本インキ化学製:スーパーベッカミンG−821) 1部
・二酸化チタン
〔石原産業(株)製:タイペークCR−EL〕 5部
・2−ブタノン 22.5部
この塗布液をアルミ板支持体上に塗布後、130℃で20分間乾燥し、厚さ約2.5μmの下引き層を形成した。
次に、チタニルフタロシアニン誘導体混合物結晶(化合物No.1)3部、ポリビニルブチラール樹脂2部(BM−S:積水化学工業製)、テトラヒドロフラン495部からなる分散液をボールミルポットに取り、2mmφのPSZボールを使用し、3時間ボールミリングし電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を下引層上に塗布後100℃で20分間乾燥し、厚さ約0.3μmの電荷発生層を形成した。
続いて、下記構造式(33)で示される電荷輸送物質7部、ポリカーボネート樹脂(PCX−5;帝人化成社製)10部、ジクロロメタン83部、シリコーンオイル(KF−50;信越化学社製)0.0002部の電荷輸送層塗布液を調製し、前記電荷発生層上に塗布後110℃で20分間乾燥し、厚さ約25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真用感光体を作製した。
以上のようにして得られた電子写真用感光体の静電特性をEPA−8100(川口電気製作所製)を用い、ダイナミック方式(回転速度1000rpm)にて測定した。
まず、印加電圧−6KVで20秒間帯電した後、20秒間減衰させた時の表面電位Vo(V)を測定し、ついでハロゲンランプによる白色光を表面照度5.3luxになるようにして露光を行った。感度は、露光時の表面電位が−800(V)から−400(V)までに要する時間を求め、半減露光量Ew1/2(lux・sec)を算出した。また同じ装置にて780nmの単色光を感光体表面での照度が1μW/cm2になるように照射して、感光体の表面電位が−800Vから−400Vまでに要する半減露光量Em1/2(μJ/cm2)をLD光源域(近赤外域)の感度として測定した。Vo、Ew1/2、Em1/2を以下の表2に示す。
まず、印加電圧−6KVで20秒間帯電した後、20秒間減衰させた時の表面電位Vo(V)を測定し、ついでハロゲンランプによる白色光を表面照度5.3luxになるようにして露光を行った。感度は、露光時の表面電位が−800(V)から−400(V)までに要する時間を求め、半減露光量Ew1/2(lux・sec)を算出した。また同じ装置にて780nmの単色光を感光体表面での照度が1μW/cm2になるように照射して、感光体の表面電位が−800Vから−400Vまでに要する半減露光量Em1/2(μJ/cm2)をLD光源域(近赤外域)の感度として測定した。Vo、Ew1/2、Em1/2を以下の表2に示す。
(比較例1)
フタロニトリル10.24g(78mmol)、及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.50g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のチタニルフタロシアニン(比較例化合物No.1)を9.87g得た。得られた結晶のX線回折図を図13に示す。
フタロニトリル10.24g(78mmol)、及び1−オクタノール12.24gにテトラブトキシチタン7.50g(22mmol),尿素2.4g(40mmol)を加え、アルゴン気流下160〜180℃で6時間加熱撹拌をおこなった。70℃まで放冷し、メタノール40mlを加えさらに30分加熱攪拌した。室温まで冷却した後、濾過し得られた結晶をトルエン、メタノール、水にて洗浄後、減圧加熱乾燥をおこなって青色粉末のチタニルフタロシアニン(比較例化合物No.1)を9.87g得た。得られた結晶のX線回折図を図13に示す。
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに図13の粉末X線回折スペクトルをしめす比較例化合物No.1のチタニルフタロシアニンを用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製し、電子写真用感光体の静電特性をEPA−8100(川口電気製作所製)を用い、ダイナミック方式(回転速度1000rpm)にて測定した。その測定結果のVo、Ew1/2、Em1/2を以下の表3に示す。
表2、3より本発明の応用例の感光体は比較例の感光体に比べ、帯電性、感度において優れていることがわかる。
[応用例2]
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに実施例7で作製したチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)を用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製した。この電子写真感光体の静電特性を応用例1と同様にして測定した。その結果を表4に示す。
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに実施例7で作製したチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.7)を用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製した。この電子写真感光体の静電特性を応用例1と同様にして測定した。その結果を表4に示す。
(比較例2)
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに図14の粉末X線回折スペクトルをしめすチタニルフタロシアニン(比較化合物No.2)を用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製した。この電子写真用感光体の静電疲労特性をEPA−8100(川口電気製作所製)を用い、ダイナミック方式(回転速度1000rpm)にて測定した。感光体に対して印加電圧約−6KVにて帯電、ハロゲンランプによる白色光露光を繰り返し、通過電流約5.6μA、帯電電位−800(V)に保持しながら60分間(30分、および60分後に電位測定)おこなった。
また応用例2で得られた感光体も同様な条件にて静電疲労特性を測定した。これらの表面電位Vo(V)の変化を図15に示す。
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに図14の粉末X線回折スペクトルをしめすチタニルフタロシアニン(比較化合物No.2)を用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製した。この電子写真用感光体の静電疲労特性をEPA−8100(川口電気製作所製)を用い、ダイナミック方式(回転速度1000rpm)にて測定した。感光体に対して印加電圧約−6KVにて帯電、ハロゲンランプによる白色光露光を繰り返し、通過電流約5.6μA、帯電電位−800(V)に保持しながら60分間(30分、および60分後に電位測定)おこなった。
また応用例2で得られた感光体も同様な条件にて静電疲労特性を測定した。これらの表面電位Vo(V)の変化を図15に示す。
図15より本発明の応用例2の感光体は比較例2の感光体に比べ、疲労特性における帯電電位の安定性が優れていることがわかる。
[応用例3]
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに実施例10で作製したチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.10)を用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製した。この電子写真感光体の静電特性を応用例1と同様にして測定した。その結果を表5に示す。
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに実施例10で作製したチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.10)を用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製した。この電子写真感光体の静電特性を応用例1と同様にして測定した。その結果を表5に示す。
(比較例3)
特開2008−174753号公報に記載の実施例1の方法に従って以下のチタニルフタロシアニン(比較化合物No.3)を製造し、評価を行った。
窒素雰囲気下、フタロニトリル3.3gをジフェニルメタン21ml中に分散し、40℃で四塩化チタン1.3gを添加した。その後、反応液を210℃にし、その温度で5時間反応させた。得られた化合物を130℃で熱ろ過し、ジフェニルメタン、メタノールの順で洗浄した。次いで、N-メチルピロリドン40ml中で140℃加熱撹拌を2回繰り返し、熱水、メタノールの順で洗浄後、乾燥してチタニルフタロシアニン2.4gを得た。塩素含有量は0.51%であった。
特開2008−174753号公報に記載の実施例1の方法に従って以下のチタニルフタロシアニン(比較化合物No.3)を製造し、評価を行った。
窒素雰囲気下、フタロニトリル3.3gをジフェニルメタン21ml中に分散し、40℃で四塩化チタン1.3gを添加した。その後、反応液を210℃にし、その温度で5時間反応させた。得られた化合物を130℃で熱ろ過し、ジフェニルメタン、メタノールの順で洗浄した。次いで、N-メチルピロリドン40ml中で140℃加熱撹拌を2回繰り返し、熱水、メタノールの順で洗浄後、乾燥してチタニルフタロシアニン2.4gを得た。塩素含有量は0.51%であった。
応用例1で用いたチタニルフタロシアニン誘導体混合物(化合物No.1)の代わりに比較例化合物No.3のチタニルフタロシアニンを用いたこと以外は応用例1と同様に操作して感光体を作製した。この電子写真感光体の静電特性を応用例1と同様にして測定した。その結果を表5に示す。表5より本発明の応用例3の感光体は比較例3の感光体に比べ、帯電性、感度特性において優れていることがわかる。
図1〜14に示す各粉末X線回折スペクトルの各回折ピークのブラッグ角(2θ)を、小さい方から順に表6に示す。
Y. Fujimaki, Proc. IS&T’s 7th International Congress on Advances in Non-Impact Printing Technologies, 1, 269 (1991)
K. Daimon, et al. : J. Imaging Sci. Technol., 40, 249 (1996)
Claims (11)
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の混合物。
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.8°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の混合物。
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の混合物。
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の混合物。
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする請求項6に記載の混合物の製造方法。
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.8°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする請求項6に記載の混合物の製造方法。
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)26.7°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする請求項6に記載の混合物の製造方法。
- CuKα線によるX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最も強い回折ピークを有する混合物を製造することを特徴とする請求項6に記載の混合物の製造方法。
- 前記請求項6乃至10のいずれかに記載の混合物の製造方法で得られた混合物を、更に結晶変換処理することを特徴とする混合物の製造方法。
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