JP2002072523A - 新規結晶型オキシチタニウムフタロシアニン及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents
新規結晶型オキシチタニウムフタロシアニン及びそれを用いた電子写真感光体Info
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Abstract
安定性に優れた電子写真感光体及び、それに使用する電
荷発生材料を提供する。 【解決手段】 Cu−Kα線に対するX線回折スペクト
ルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.3゜)7.6、1
4.5及び26.7゜にピークを示す結晶型オキシチタ
ニウムフタロシアニン及びそれを用いた電子写真感光
体。
Description
するオキシチタニウムフタロシアニン、及び、該オキシ
チタニウムフタロシアニンを感光層に含有する電子写真
感光体に関する。本発明のオキシチタニウムフタロシア
ニンを用いた電子写真感光体は、特にプリンター、ファ
クシミリ、複写機に有効に用いることができる。
な光導電性を示し、例えば電子写真感光体などに使用さ
れている。また、近年、従来の白色光のかわりにレーザ
ー光を光源とし、高速化、高画質、ノンインパクト化を
メリットとしたレーザープリンターが広く普及するに至
り、その要求に耐えうる感光体の開発が盛んである。
半導体レーザーを光源とする方式が主流であり、その光
源波長である780nm前後の長波長光に対して高感度
な特性を有する感光体が強く望まれている。このような
状況の中、フタロシアニン化合物は比較的容易に合成
できること、600nm以上の長波長域に吸収ピーク
を有すること、中心金属や結晶形により分光感度が変
化し、半導体レーザーの波長域で高感度を示すものがい
くつか発表されていることなどから、精力的に研究開発
が行われてきている。
無金属フタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニ
ン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン等を用いた電子写真感光体が報告され
ているが、最も多く報告されているのがチタニルフタロ
シアニンである。特開昭61−23248号公報、特開
昭62−670943号公報、特開昭62−27227
2号公報をはじめ、現在までに特開平1−17066号
公報、特開平1−82046号公報、特開平2−131
243号公報、特開平3−35242号公報、特開平3
−220193号公報、特開平4−224872号公
報、特開平5−6013号公報、特開平5−17702
号公報、特開平7−82504号公報、特開平7−27
1073号公報等に数多くの技術開示がなされている。
特に、同じ構造のフタロシアニンであってもスタッキン
グ状態の違いによって電気特性が大きく変化することが
良く知られているため、新たなスタッキング状態からな
る新規な結晶型を持つフタロシアニンの開発が望まれて
いる。
用のフタロシアニンとしては高感度で帯電性に優れ、し
かも高温高湿環境下・低温低湿環境下においても感度の
変動が少なく、かつ、繰り返し使用の安定なものが望ま
れるが、上記特許公開公報記載のフタロシアニンではす
べてに満足できるまでには至っていない。本発明はこの
ような従来の課題に鑑みなされたもので、高感度でしか
も外部環境の影響を受けにくく、繰り返し使用特性も良
好な電子写真感光体に使用できる新規結晶型フタロシア
ニン及びそれを用いた電子写真感光体を提供することを
目的とする。
ウムフタロシアニンの結晶型と電子写真特性との関係に
ついて十分な検討を重ねた結果、 CuーKα線に対す
るX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±
0.3゜)7.6、14.5及び26.7゜にピークを
示す新規結晶型オキシチタニウムフタロシアニンが、光
導電材料として光感度、耐久性、環境特性に優れている
ことを見い出した。即ち、本発明の要旨は、 CuーK
α線に対するX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角
2θ(±0.3゜)7.6、14.5及び26.7゜に
ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン、に存す
る。また本発明の別の要旨は、導電性支持体上に前記オ
キシチタニウムフタロシアニンを含有する感光層を用い
てなる電子写真感光体、に存する。
本発明の結晶型オキシチタニウムフタロシアニンは既述
した従来公知の結晶型オキシチタニウムフタロシアニン
はとは全く異なる結晶型を有すものであって、Cu−K
α線に対するX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角
2θ(±0.3゜)7.6、14.5及び26.7゜に
ピークを有するものである。なお、その他のピーク、例
えば9.4、10.8、20.0、31.7゜にもピー
クは有すが、製造条件の微妙な違い、結晶配向性の違
い、X線回折スペクトルの測定手法等でピーク強度の割
合、位置等が多少変動することもある。本発明によるオ
キシチタニウムフタロシアニンは上記の如く従来にはな
い新規なX線回折パターンを示すが、その結晶型は従来
のオキシチタニウムフタロシアニンのベンゼン核部分に
置換基を導入した構造をもつオキシチタニウムフタロシ
アニンにより得ることができる。置換基の導入により、
フタロシアニン分子間の距離を意図的にコントロールす
ることによりスタッキング状態が変わり、本発明の新規
な結晶型のオキシチタニウムフタロシアニンとなると推
定される。ベンゼン核部分に導入する置換基としては、
アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、
水酸基又はハロゲン原子等が挙げられる。また、本発明
のオキシチタニウムフタロシアニンは、導入された置換
基が異なる複数の構造のオキシチタニウムフタロシアニ
ンの集合体であっても良い。本発明の結晶型を有するオ
キシチタニウムフタロシアニンに他のフタロシアニンを
混合した混合物や、この混合物を組成物化する処理をし
た組成物でも、本発明の結晶型を有する場合があり得る
からである。ベンゼン核部分に導入する置換基として好
ましいものとして、アルキル基が挙げられる。このう
ち、次の一般式で表されるオキシチタニウムフタロシア
ニンがさらに好ましい。
し、k,l,m,nは0〜4の整数を表す。k,l,
m,nはすべて同時に0ではなく、また、フタロシアニ
ンのベンゼン環に置換したアルキル基の炭素数の合計は
15以下とする。べンゼン環に置換したアルキル基の炭
素数の合計を15以下としたのは、アルキル基置換フタ
ロシアニンの有機溶媒への溶解性が高すぎない方が、本
発明のオキシチタニウムフタロシアニンを電荷発生材料
とした場合に好適な特性を示すからである。特に、R=
メチル基であってk=l=m=n=1である化合物、R
=メチル基であってk=l=m=n=2である化合物等
が好ましい。上記X線回折スペクトルは下記条件で測定
したものである。
アニンは、例えば、置換フタロニトリルを用い、従来の
オキシチタニウムフタロシアニン合成法と同様の公知な
方法で製造することができる。また、異なる構造の2以
上の置換フタロニトリルを用いることにより、導入され
た置換基が異なる複数の構造のオキシチタニウムフタロ
シアニンの集合体として製造することもできる。置換フ
タロニトリルの合成は、置換基により公知の方法に従う
が、一般的には、置換フタル酸無水物から合成すること
ができる。
アニンは、製造後、公知な顔料化方法を用いて、さらに
結晶状態を調整することにより、より光導電材料として
特性の優れたものとすることができる。例えば、硫酸、
メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等のフタロシアニ
ンを溶解せしめる無機酸、有機酸に共溶解し、水、アル
コール等の貧溶剤に注ぐアシッドペースティング法やア
シッドスラリー法、ボールミル、アトライター、サンド
ミル、ペイントシェカー等で機械的に摩砕する方法によ
り粒子を微細化し、アモルファスに近い結晶状態とした
後、有機溶剤で処理することにより再び結晶を成長させ
ること等が効果的である。
アニンが電荷発生材料として優れた効果を発揮する理由
は必ずしも明確ではないが、以下のようなことが推定さ
れる。本発明の結晶型オキシチタニウムフタロシアニン
は、従来のオキシチタニウムフタロシアニンよりも分子
間の距離が大きいため、より緩やかなスタッキング状態
を持つ結晶となっていて、結晶の凝集状態も異なるとい
う特徴を有している。その結果、光導電材料として特性
の優れたものとするために通常用いられる溶剤処理、微
細化処理が効果的となっていることも考えられる。この
ような新規な結晶型オキシチタニウムフタロシアニン
が、半導体レーザー光等に対して極めて高感度な特性に
加え、良好な繰り返し使用特性を発揮しうるものであ
る。
タロシアニンを光導電材料として使用した電子写真感光
体について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電
性支持体上に上記の結晶型オキシチタニウムフタロシア
ニンを含有する感光層を有している。感光層は、単層型
構造からなるものであっても、あるいは電荷発生層およ
び電荷輸送層からなる積層型構造であっても良い。ま
た、導電性支持体と感光層との間に下引き層を形成して
もよく、単層型構造では感光層上に、積層型構造では電
荷輸送層上に表面保護層を設けていても良い。
感光体として使用されるものならばいずれも用いること
ができる。具体的には例えば、アルミニウム、銅、ニッ
ケル等の金属ドラム、シートあるいはこれら金属箔のラ
ミネート物、蒸着物が挙げられる。さらに、金属粉末、
カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電物
質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプ
ラスティックフィルム、プラスティックドラム、紙等が
挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素
繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラステ
ィックシートやドラムあるいは酸化スズ、酸化インジウ
ム等の導電性金属酸化物層を表面に有するプラスティッ
クフィルムなどが挙げられる。
電荷の注入を阻止するために有効であり、感光層の帯電
を高める作用がある。さらに、感光層と導電性支持体と
の密着性を高める作用もある。下引き層を構成する材料
としては、アルミニウム陽極酸化皮膜、酸化アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、表面処理酸化チ
タン等の無機物、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポ
リビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、
ゼラチン、デンプン類、ポリウレタン、ポリイミド、ポ
リアミド等の有機層、その他、有機ジルコニウム化合
物、チタニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシ
ド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング
剤等が挙げられる。下引き層の膜厚は0.1〜20mm
の範囲が好ましく、0.1〜10mmの範囲で使用する
のが最も効果的である。
合、電荷発生層は上述のフタロシアニン組成物および結
着樹脂から構成される。本発明では前記フタロシアニン
組成物の他にさらに他の電荷発生物質を併用しても良
い。併用できる電荷発生物質は、フタロシアニン系化合
物、アゾ化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系
化合物、多環キノン系化合物、スクアリック酸メチン系
化合物等が挙げられるが、これらに制限されるものでは
ない。
から選択することができる。好ましい結着樹脂として
は、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アク
リルアミド、アクリロニトリル、ビニルアルコール、エ
チルビニルエーテル、ビニルピリジン等のビニル化合物
の重合体および共重合体、フェノキシ樹脂、ポリスルホ
ン、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポ
リカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレ
タン、セルロースエステル、セルロースエーテル、エポ
キシ樹脂、ケイ素樹脂、アルキッド樹脂、ポリアリレー
ト等が挙げられるが、これらに制限されるものではな
い。
溶解した溶液に前記結晶型オキシチタニウムフタロシア
ニンを分散(一部溶解しても良い)させて塗布液を調整
し、それを導電性支持体上に塗布し、乾燥することによ
って形成することができる。分散処理する方法として
は、公知の方法、例えば、ボールミル、サンドグライン
ドミル、遊星ミル、ロールミル、ペイントシェーカー等
の方法を用いることができる。その場合、前記フタロシ
アニン組成物と結着樹脂との割合は、特に制限されない
が、フタロシアニン組成物100重量部に対して結着樹
脂1〜1000重量部、好ましくは10〜400重量部
の範囲である。フタロシアニン組成物の組成比率が上記
範囲より著しく高い場合には、塗布液の安定性が低下す
る傾向にあり、著しく低い場合には、残留電位が高くな
る傾向にある。
フラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル等のエーテル類、アセトン、メチエチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素、モノクロロベンゼン、ジクロロベン
ゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、塩化メチレン、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロ
エタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸メ
チル、酢酸エチル等のエステル類、N,N-ジメチルホルム
アミド、 N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジ
メチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられ
る。
レーコーティング法、スピナーコーティング法、ビード
コーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレー
ドコーティング法、ローラーコーティング法、カーテン
コーティング法、リングコーティング法等のコーティン
グ法により塗布することができる。塗布後の乾燥は、好
ましくは25〜250℃の温度で5分〜3時間の範囲で
静止または送風下で行うことができる。また、形成され
る電荷発生層の膜厚は、通常0.1〜5mm、好ましく
は0.3〜3mmである。
脂、また必要に応じて酸化防止剤等の添加物より構成さ
れる。電荷輸送材料は一般に電子輸送材料とホール輸送
材料の2種に分類されるが、本発明の電子写真感光体は
いずれも使用することができ、また、その混合物も使用
できる。電子輸送材料としては、ニトロ基、シアノ基、
カルボニル基等の電子吸引性基を有する電子受容性化合
物、例えば、2,4,7ートリニトロフルオレノン、 2,4,5,
7-テトラニトロフルオレノン等のニトロ化フルオレノ
ン、テトラシアノキノジメタン、あるいはジフェノキノ
ン等のキノン類が挙げられる。
性の有機光電性化合物、例えば、カルバゾール系、イン
ドール系、イミダゾール系、オキサゾール系、チアゾー
ル系、オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン
系、チアジアゾール系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾ
チアゾール系、ナフトチアゾール系等の複素環化合物、
ジフェニルメタンなどのジアリールアルカン誘導体、ト
リフェニルメタンなどのトリアリールアルカン誘導体、
トリフェニルアミンなどのトリアリールアミン誘導体、
フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール
誘導体、スチルベンなどのジアリールエチレン誘導体、
ヒドラゾン系誘導体、ジアルキルアミノ基、ジフェニル
アミノ基のような置換アミノ基、あるいはアルコキシ
基、アルキル基のような電子供与基(+M効果を有する
置換基)、あるいはこれらの電子供与基が置換した芳香
族環基が置換した電子授与性の大きな化合物が挙げられ
る。また、ポリビニルカルバゾール、ポリグリシジルカ
ルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルフェニルア
ントラセン、ポリビニルアクリジン、ピレンーホルムア
ルデヒド樹脂等、上記化合物からなる基を主鎖もしくは
側鎖に有する重合体も挙げられる。これらの内、例え
ば、分子内に式(4)、式(5)、式(6)、又は式
(7)で表される原子団を有する化合物が好ましい。
を以下に示す。なお、下記の具体例の内、(A−1)〜
(A−14)は式(2)で表される原子団を有する化合
物であり、(B−1)〜(B−8)は式(3)で表され
る原子団を有する化合物であり、(C−1)〜(C−
5)は式(4)で表される原子団を有する化合物であ
り、(D−1)〜(D−3)は式(5)で表される原子
団を有する化合物である。
しては、前記した電荷発生層に使用されるものと同様の
絶縁性樹脂が使用できる。電荷輸送材料と結着樹脂との
割合は、特に制限されないが、前記電荷輸送材料100
重量部に対して結着樹脂20〜3000重量部、好まし
くは50〜1000重量部の範囲である。電荷輸送層
は、上記電荷輸送材料および結着樹脂を前記した電荷発
生層に使用されるものと同様の有機溶剤を用いて塗布液
を調整した後、前記と同様の方法により塗布し、乾燥す
ることによって形成することができる。また、電荷輸送
層の膜厚は、通常5〜50mm、好ましくは10〜40
mmである。
は、感光層は前記結晶型オキシチタニウムフタロシアニ
ン、電荷輸送材料、結着樹脂から構成され、電荷輸送材
料および結着樹脂は、前期と同様なものが使用される。
感光層には必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添
加物を含んでいても良い。オキシチタニウムフタロシア
ニンおよび電荷輸送材料と結着樹脂との割合は、オキシ
チタニウムフタロシアニンおよび電荷輸送材料10重量
部に対して結着樹脂2〜300重量部、オキシチタニウ
ムフタロシアニンと電荷輸送材料との割合は、オキシチ
タニウムフタロシアニン1重量部に対して電荷輸送材料
0.01〜100重量部の範囲が適当である。そして、
前期と同様に塗布液を調整した後、塗布、乾燥すること
によって感光層が得られる。
的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以
下の実施例によって制限されるものではない。 [製造例1](テトラメチルジクロロチタニウムフタロシ
アニンの製造) 窒素雰囲気下、4−メチルオルトフタロジニトリル2
9.57gをメチルナフタレン174ml中に加え、次
に四塩化チタン10mlを滴下した。滴下後昇温し、攪
拌しながら200〜220℃の温度範囲で5時間反応さ
せた。放冷し、生成物を100〜130℃の温度範囲で
熱ろ過し、N−メチルピロリドン、メタノールの順で洗
浄後乾燥してテトラメチルジクロロチタニウムフタロシ
アニンの青色粉末23.55gを得た。構造解析は元素
分析で行った。元素分析の結果を以下に示すが、計算値
とほぼ一致している。これにより合成物はテトラメチル
ジクロロチタニウムフタロシアニンと確認された。
フタロシアニンのX線スペクトルを図1に示す。 図1
より、2θに主たるピーク7.8゜を有し、次に強度の
強いピーク26.6゜を有し、その他9.2、10.
8、13.4、21.4、25.9、31.9、32.
7゜にそれぞれピークを有する結晶型であることが確認
された。
ムフタロシアニンの製造例−1) 製造例1で得られたテトラメチルジクロロチタニウムフ
タロシアニンをN−メチルピロリドン213mlと濃ア
ンモニア水12.3gとともに145℃で2時間攪拌す
ることにより加水分解後、水、トルエン、メタノールで
それぞれ熱懸洗してテトラメチルオキシチタニウムフタ
ロシアニン17.70gを得た。構造解析はマススペク
トル(ネガティブ測定)、IR(KBr法)、元素分析
で行った。図3にIRスペクトルを示す。マススペクト
ルではm/z:632にテトラメチルオキシチタニウム
フタロシアニンのピークが確認された。IRスペクトル
(図3)では1654、1493、1327、127
5、1163、1134、1076、968、931、
821、769、747、722、668cm−1に吸
収がみられた。元素分析の結果を以下に示すが、計算値
とほぼ一致している。これにより合成物はテトラメチル
オキシチタニウムフタロシアニンと確認された。
タロシアニンのX線回折スペクトル(図4)では、2θ
に主たるピーク7.6゜を有し、次に強度の強いピーク
26.6゜を有し、その他9.3、10.9、13.
2、14.4、16.6、20.0、31.7゜にそれ
ぞれピークを有す本発明のテトラメチルオキシチタニウ
ムフタロシアニンであることが確認された。
ムフタロシアニンの製造例−2) 製造例1で得られたテトラメチルオキシチタニウムフタ
ロシアニン5.0gを直径1mmのガラスビーズ40m
lとともに100mlの容器に入れ、ペイントシェーカ
ーで20時間乾式摩砕した。顔料をビーズから分離した
後、N−メチルピロリドン200mlに懸濁させ100
℃で2時間熱懸洗した。これを濾取し、メタノールで洗
浄後乾燥してテトラメチルオキシチタニウムフタロシア
ニン4.2gを得た。構造確認は、IR(KBr法)と
X線回折スペクトル測定で行った。IRスペクトル(図
5)では1654、1493、1328、1164、1
134、1077、968、931、821、769、
748、722、668cm−1に吸収がみられ、実施
例1のオキシチタニウムフタロシアンニンと一致した。
X線回折スペクトル(図6)では、2θに主たるピーク
26.8゜を有し、次に強度の強いピーク7.7゜を有
し、その他9.5、10.8、13.2、14.6、1
6.7、20.1、21.7、31.9゜にそれぞれピ
ークを有す本発明のテトラメチルオキシチタニウムフタ
ロシアニンであることが確認された。
ムフタロシアニンの製造例−3) 製造例1で得られたテトラメチルオキシチタニウムフタ
ロシアニン5.0gを5℃以下に保った濃硫酸150g
に少しずつ添加後、1時間攪拌した。これを氷水1lに
徐々にあけ、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、
水1lで4〜5回懸洗して酸を除いて水ウエットケーキ
を得た。この段階でのX線スペクトルを図7に示した。
酸ペースト処理により、結晶がアモルファスとなってい
ることがわかる。これをN−メチルピロリドン200m
lで懸洗し濾取してN−メチルピロリドンウエットケー
キとした。このウエットケーキをN−メチルピロリドン
200mlに懸濁させ140〜145℃で2時間熱懸洗
した。これを濾取し、メタノールで洗浄後乾燥したもの
4.0gにさらに実施例2の処理を加えた。すなわち、
直径1mmのガラスビーズ40mlとともに100ml
の容器に入れ、ペイントシェーカーで20時間乾式摩砕
した。顔料をビーズから分離した後、N−メチルピロリ
ドン200mlに懸濁させ100℃で2時間熱懸洗し
た。これを濾取し、メタノールで洗浄後乾燥してテトラ
メチルオキシチタニウムフタロシアニン4.2gを得
た。構造確認は、IR(KBr法)とX線回折スペクト
ル測定で行った。
493、1327、1164、1134、1076、9
67、930、819、769、747、722、66
8cm−1に吸収がみられ、実施例1のオキシチタニウ
ムフタロシアンニンと一致した。X線回折スペクトル
(図9)では、2θに主たるピーク7.5゜を有し、次
に強度の強いピーク26.6゜を有し、その他9.4、
10.8、13.2、14.5、16.5、19.8、
31.7゜にそれぞれピークを有す本発明のテトラメチ
ルオキシチタニウムフタロシアニンであることが確認さ
れた。実施例1のオキシチタニウムフタロシアンニンと
同じ位置にピークを有しており配向が異なる同一の結晶
型であると推定される。
ロシアニン1.6gをジメトキシエタン30gに加え、
サンドグラインドミルで2時間粉砕、微粒子化分散処理
を行った。次に、ジメトキシエタン16gと4−メトキ
シ−4−メチルペンタノン−2を6g加え希釈し、さら
にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デン
カブチラール#6000C)0.4gとフェノキシ樹脂
(ユニオンカーバイド(株)製、UCAR)0.4gを
ジメトキシエタン7gに溶解した液と混合し、分散液を
得た。調液後の分散液中のテトラメチルオキシチタニウ
ムフタロシアニンのX線回折スペクトルを図9に示す。
分散によりそれぞれのピークがブロード化しているが、
7.6゜と26.7゜にピークを有し、調液前と比較し
大きな変化はないことが確認できる。この分散液をアル
ミニウム蒸着されたポリエステルフィルム上に乾燥後の
重量が0.4g/m2になるようにワイヤーバーで塗布
した後、乾燥して電荷発生層を形成させた。次にこの電
荷発生層の上に、下記に示すヒドラゾン化合物5.6g
と
(株)製、ノバレックス7030A)10gをTHF6
2gに溶解させた溶液をアプリケーターにより塗布し、
乾燥後の膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を設け
た。 [実施例5](電子写真感光体の作成−2) 実施例4において、実施例1で得たテトラメチルオキシ
チタニウムフタロシアニンに代えて、実施例2で製造し
たテトラメチルオキシチタニウムフタロシアニンを用い
た他は実施例4と同様にして電子写真感光体を作成し
た。 [実施例6](電子写真感光体の作成−3) 実施例4において、実施例1で得たテトラメチルオキシ
チタニウムフタロシアニンに代えて、実施例3で製造し
たテトラメチルオキシチタニウムフタロシアニンを用い
た他は実施例4と同様にして電子写真感光体を作成し
た。
チタニウムフタロシアニン組成物に代えて、実施例3で
中間体として製造した酸ペースト後のテトラメチルオキ
シチタニウムフタロシアニンを用いた他は実施例4と同
様にして電子写真感光体を作成した。
光体特性測定装置に装着して、表面電位が−700Vに
なるように帯電させた後、780nmの光を照射したと
きの半減露光量(E1/2感度)、さらに−700Vに帯
電して5秒放置後の電荷保持率(DDR5)、660n
mのLED光除電後の残留電位を測定した。繰り返し安
定性は帯電−除電を30000回繰り返し、1回目と3
0000回後の表面電位の差(△V)でみた。その結果
を表−1に示す。
チタニウムフタロシアニンは実用に十分適しており、特
に、電荷保持率、繰り返しの電位安定性に関して優れて
いることがわかる。
キシチタニウムフタロシアニンは、電荷保持性、繰り返
し安定性に優れており、プリンター、ファクシミリ、デ
ジタル複写機に有効に用いることができるものである。
また、本発明の結晶型オキシチタニウムフタロシアニン
は、製造法によっては、従来実用されているβ型オキシ
チタニウムフタロシアニン以上の感度を有し、電子写真
感光体の電荷発生材料として有用である。
X線回折図を示す。
ススペクトル図を示す。
IRスペクトル図を示す。
X線回折図を示す。
IRスペクトル図を示す。
X線回折図を示す。
ムフタロシアニンのX線回折図を示す。
IRスペクトル図を示す。
X線回折図を示す。
ムフタロシアニンのX線回折図を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 Cu−Kα線に対するX線回折スペクト
ルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.3゜)7.6、1
4.5及び26.7゜にピークを示す結晶型オキシチタ
ニウムフタロシアニン。 - 【請求項2】 ベンゼン核部分に置換基を有する請求項
1に記載の結晶型オキシチタニウムフタロシアニン。 - 【請求項3】 置換基がアルキル基である請求項2に記
載の結晶型オキシチタニウムフタロシアニン。 - 【請求項4】 置換基がメチル基である請求項2又は3
に記載の結晶型オキシチタニウムフタロシアニン。 - 【請求項5】 導電性支持体上に請求項1〜4のいずれ
かに記載の結晶型オキシチタニウムフタロシアニンを含
有する感光層を用いることを特徴とする電子写真感光
体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000260481A JP2002072523A (ja) | 2000-08-30 | 2000-08-30 | 新規結晶型オキシチタニウムフタロシアニン及びそれを用いた電子写真感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2000260481A JP2002072523A (ja) | 2000-08-30 | 2000-08-30 | 新規結晶型オキシチタニウムフタロシアニン及びそれを用いた電子写真感光体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2002072523A true JP2002072523A (ja) | 2002-03-12 |
Family
ID=18748479
Family Applications (1)
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JP2000260481A Pending JP2002072523A (ja) | 2000-08-30 | 2000-08-30 | 新規結晶型オキシチタニウムフタロシアニン及びそれを用いた電子写真感光体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2002072523A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013194068A (ja) * | 2012-03-16 | 2013-09-30 | Ricoh Co Ltd | チタニルフタロシアニン誘導体混合物及びその製造方法 |
JP2014021385A (ja) * | 2012-07-20 | 2014-02-03 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジ |
-
2000
- 2000-08-30 JP JP2000260481A patent/JP2002072523A/ja active Pending
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