以下、本発明に係る可搬型放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
なお、以下、可搬型放射線画像撮影装置を単に放射線画像撮影装置と表す。また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を撮像素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施形態では、放射線画像撮影装置について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等が収納されたカセッテ型の可搬型放射線画像撮影装置として構成されている。
ハウジング2は、少なくとも放射線の照射を受ける側の面R(以下、放射線入射面Rという。)が放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。なお、図1や図2では、ハウジング2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわば弁当箱型である場合が示されているが、ハウジング2を一体的に形成する、例えば特開2002−311526号公報に記載されたX線画像撮影装置のような、いわばモノコック型とすることも可能である。
ハウジング2の内部の基板4の下方側には、図2に示すように、基台31が配置されており、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。また、本実施形態では、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。
シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光線を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ撮像素子7がそれぞれ設けられている。このように、撮像素子7は、基板4上に二次元状に配列されており、複数の撮像素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、撮像素子7として、放射線入射面Rから入射した放射線がシンチレータ3で変換されて出力される電磁波の光量(シンチレータ3に入射した放射線の線量に応じて増加する。)に応じて電荷を発生させるフォトダイオードが用いられているが、この他にも、例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各撮像素子7は、図3や図4の拡大図に示すように、スイッチ素子であるTFT(薄膜トランジスタ)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、オン状態とされることにより、すなわちゲート電極8gに信号読み出し用のオン電圧が印加されてTFT8のゲートが開かれることにより、撮像素子7に蓄積された電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5にオフ電圧が印加され、ゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、撮像素子7から信号線6への電荷の放出を停止し、撮像素子7内で発生した電荷を保持して、撮像素子7内に蓄積させるようになっている。
ここで、本実施形態における撮像素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
基板4の面4a上に、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、撮像素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
また、撮像素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCr等が積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCr、Mo等からなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。
p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。以上のようにして撮像素子7が形成されている。なお、本実施形態では、上記のように、撮像素子7としてp層77、i層76、n層75が積層されて形成されたいわゆるpin型の撮像素子を用いる場合を説明したが、撮像素子7は、このようなpin型の撮像素子に限定されない。
また、撮像素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して撮像素子7に逆バイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、撮像素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち撮像素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
図3や図4に示すように、本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の撮像素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
本実施形態では、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。
一方、図1に示すように、ハウジング2の一方側の短辺側側面部には、放射線画像撮影装置1の電源スイッチ36や各種の操作状況等を表示するインジケータ37等が設けられている。また、この側面部には、図1では図示しない内蔵バッテリの交換用の蓋部材38が設けられており、蓋部材38には、放射線画像撮影装置1が外部装置とデータや信号等の送受信を無線方式で行うためのアンテナ装置39が埋め込まれて設けられている。
なお、アンテナ装置39を設ける箇所は、本実施形態のようにハウジング2の1つの短辺側側面部に限定されず、他の位置に設けることも可能である。また、アンテナ装置39の個数は必ずしも1つに限定されず、必要な数だけ適宜設けられる。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各撮像素子7は、その第2電極78がそれぞれバイアス線9および結線10に接続されており、結線10は逆バイアス電源14に接続されている。逆バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧を供給するようになっている。また、逆バイアス電源14は制御手段22に接続されており、制御手段22は、逆バイアス電源14から各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧を制御するようになっている。
各撮像素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7中ではGと表記されている。)は走査駆動回路15から延びる各走査線5にそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査駆動回路15から走査線5を介してTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用のオン電圧が印加されるとTFT8のゲートがオン状態とされて、撮像素子7に蓄積された電荷がTFT8のソース電極8sを介してドレイン電極8dから信号線6に読み出されるようになっている。
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には所定個数の読み出し回路17が設けられており、読み出しIC16が複数設けられることにより、信号線6の本数分の読み出し回路17が設けられるようになっている。
読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、A/D変換器20とで構成されており、1本の信号線6ごとに1回路ずつ設けられているが、本実施形態では、A/D変換器20は、複数の回路で共通とされており、各相関二重サンプリング回路19から出力された各電気信号がアナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値に変換されるようになっている。
そして、読み出し回路17では、撮像素子7から信号線6を通じて電荷が読み出され、撮像素子7ごとに電荷が電荷電圧変換されて増幅される等して電気信号に変換されるようになっている。なお、相関二重サンプリング回路19は、図7や図8中ではCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
増幅回路18は、本実施形態では、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続されて構成されている。また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子18a1には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子18a2は接地(GND)されている。
なお、以下、このように増幅回路18の入力側の非反転入力端子18a2が接地されている場合について説明するが、増幅回路18の入力側の非反転入力端子18a2に所定の初期電圧を印加するように構成することも可能であり、その場合も以下と同様に説明することができる。すなわち、本実施形態は、初期電圧が0[V]に設定されている場合に相当する。
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で、撮像素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、TFT8のゲート電極8gに走査線5を介してオン電圧が印加されると)、当該撮像素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力端子18a3から出力されるようになっている。増幅回路18は、このようにして、各撮像素子7から出力された電荷量に応じて電圧値を出力して電荷電圧変換して増幅するようになっている。
また、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされると、増幅回路18の入力側と出力側とが短絡されてコンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて増幅回路18がリセットされるようになっている。なお、増幅回路18を、撮像素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路(CDS)19が接続されている。相関二重サンプリング回路19は、本実施形態では、サンプルホールド機能を有しており、この相関二重サンプリング回路19におけるサンプルホールド機能は、制御手段22から送信されるパルス信号によりそのオン/オフが制御されるようになっている。
すなわち、相関二重サンプリング回路19は、図9に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(図中の「18coff」参照)とされた直後に、制御手段22から1回目のパルス信号を受信すると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する(図中左側の「CDS保持」参照)。
なお、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とされると、その瞬間にいわゆるkTCノイズが発生して増幅回路18のコンデンサ18bにkTCノイズに起因する電荷qが蓄積されるため、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とした時点で増幅回路18から出力される電圧値が0[V]からVinに上昇する。
そして、撮像素子7のTFT8がオン状態(図中の「TFTon」参照)とされて当該撮像素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、オペアンプ18aから出力される電圧値が上昇した時点で、撮像素子7のTFT8がオフ状態(図中の「TFToff」参照)とされた直後に、制御手段22から2回目のパルス信号を受信すると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する(図中右側の「CDS保持」参照)。
そして、相関二重サンプリング回路19は、それらの電圧値の差分値Vfi−Vinを下流側に電気信号として出力するようになっている。相関二重サンプリング回路19から出力された各撮像素子7で発生した電荷に対応する電気信号は、アナログマルチプレクサ21(図7参照)に送信され、アナログマルチプレクサ21から順次A/D変換器20に送信される。そして、A/D変換器20で順次デジタル値の電気信号に変換され、記憶手段23に順次出力されて保存されるようになっている。
以上が、読み出し回路17の、各撮像素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換し、或いは、少なくともそのように電荷を読み出して電気信号に変換することが可能な状態である電力供給モードにおける処理であるが、読み出し回路17は、さらに、各撮像素子7からの電荷の読み出しを行わない待機モードを有している。待機モードを説明するためには電流検出手段42の説明が必要となるため、読み出し回路17の待機モードについては、後述する電流検出手段42の説明の後に説明する。
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)等を備えたマイクロコンピュータや専用の制御回路で構成されており、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、制御手段22には、RAM(Random Access Memory)等で構成される記憶手段23が接続されている。
前述したように、制御手段22は、逆バイアス電源14を制御して各撮像素子7に印加する逆バイアス電圧を制御したり、走査駆動回路15を駆動させたり、或いは、各読み出し回路17内の増幅回路18や相関二重サンプリング回路19等を制御して、各撮像素子7からの電気信号の読み出しを制御するようになっている。
また、制御手段22には、前述したアンテナ装置39が接続されており、さらに、各撮像素子7等の各部材に電力を供給するためのバッテリ40が接続されている。このように、バッテリ40は、放射線画像撮影装置1のハウジング2内に内蔵されており、バッテリ40には、外部装置からバッテリ40に電力を供給してバッテリ40を充電する際の接続端子41が取り付けられている。
また、バイアス線9の結線10には、電流検出手段42が設けられており、電流検出手段42は、制御手段22に接続されている。
電流検出手段42は、各バイアス線9が結束された結線10内を流れる電流を検出するようになっている。本実施形態では、電流検出手段42は、図示を省略するが、結線10に直列に接続される所定の抵抗値を有する抵抗と、抵抗の両端子間の電圧を測定する差動アンプとを備えて構成されており、差動アンプで抵抗の両端子間の電圧を測定することで結線10を流れる電流を電圧値に変換して検出するようになっている。
電流検出手段42に設けられる抵抗としては、結線10中を流れる必ずしも大きくない電流を増幅するために、抵抗値が100kΩや1MΩ等の大きな抵抗値を有する抵抗が用いられるようになっている。電流検出手段42は、このようにして変換して検出した結線10を流れる電流値に相当する電圧値を制御手段22に出力するようになっている。
なお、このように電流検出手段42に設けられる抵抗の抵抗値が大きいと、例えば放射線照射によって蓄積された電荷を読み出す場合にバイアス線9や結線10等を流れる電流の大きな妨げになる可能性があるため、電流検出手段42に、前記抵抗の両端子間を適宜短絡することができるようにスイッチ等が設けられていることが好ましい。
後述するように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されて撮像素子7内で電子正孔対が発生すると、本実施形態では正孔が撮像素子7内で第2電極78側に移動してその一部がバイアス線9に流れ出し、それが集められて結線10中を流れることで、後述する図11に示すように、電流検出手段42でその電流が検出され、それに相当する電圧値Vが出力される。
その際、撮像素子7や逆バイアス電源14等を含む閉ループを作らないと、撮像素子7から流れ出した電流がバイアス線9や結線10中をうまく流れない。そのため、本発明では、前述した読み出し回路17の待機モードにおいて、この閉ループを形成するようになっている。
前述したように、読み出し回路17の待機モードでは、各撮像素子7からの電荷の読み出しは行わない。そして、本実施形態では、読み出し回路17が待機モードとされる際には、読み出し回路17自体には通電されず、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路は非稼働状態とされるようになっている。
そして、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路が非稼働状態とされると、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2(図8参照)との間で電流が流れなくなる。そのため、接地(GND)→逆バイアス電源14→(電流検出手段42)→撮像素子7→TFT8→信号線6と電気的につながったループがオペアンプ18aの部分で切れるため、撮像素子7や逆バイアス電源14等を含む閉ループを作ることができない。
そこで、本実施形態では、図8に示すように、読み出し回路17の増幅回路18の各オペアンプ18aには、前述したように信号線6が接続された反転入力端子18a1と接地された非反転入力端子18a2とを結び、それらの短絡および短絡の解除を切り替えるモード切り替えスイッチ24がそれぞれ各オペアンプ18aの上流側に設けられている。
モード切り替えスイッチ24は、本実施形態ではMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)で構成されている。そして、モード切り替えスイッチ24であるMOSFETの図示しないゲート電極と制御手段22とが接続されており、制御手段22からゲート電極への電圧に印加および印加の停止が切り替えられることにより、モード切り替えスイッチ24のオン/オフが制御されるようになっている。
そして、制御手段22は、読み出し回路17を待機モードとする場合には、読み出し回路17に通電せず、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路を非稼働状態とするとともに、各モード切り替えスイッチ24をオン状態として、読み出し回路17の増幅回路18の各オペアンプ18aの反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2とを短絡させるようになっている。
このように、各モード切り替えスイッチ24がオン状態とされると、図8に示すように、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路が非稼働状態であっても、接地(GND)→逆バイアス電源14→(電流検出手段42)→撮像素子7→TFT8→モード切り替えスイッチ24→接地(GND)の閉ループが形成される。
また、読み出し回路17が前述した電力供給モードとされる際には、読み出し回路17に通電され、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路が稼働状態とされるとともに、モード切り替えスイッチ24がオフ状態とされるようになっている。
そのため、読み出し回路17においては、前述したように各撮像素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換することが可能な状態である電力供給モードよりも、電荷の読み出しを行わず、閉ループを形成して電流検出手段42にバイアス線9の結線10を流れる電流を検出し易くする待機モードの方が、電力の消費量が低くなる。
また、制御手段22は、読み出し回路17が待機モードにある状態で、電流検出手段42により検出されたバイアス線9の結線10を流れる電流の電流量が増加したことにより放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたことを検出するとともに、放射線の照射の開始を検出すると、読み出し回路17を待機モードから電力供給モードに遷移させるようになっている。
以下、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用について説明するとともに、この制御手段22による放射線の照射開始の検出および読み出し回路17の待機モードから電力供給モードへの遷移について説明する。
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、上記のようにして読み出し回路17のモードを切り替えられる等して、図10の表に示すように、その電力消費モードが少なくとも3つのモードmode1〜mode3の間で切り替えられるようになっている。なお、図10の表中において、Sはモード切り替えスイッチ24を表し、ICは読み出し回路17や読み出しIC16を表す。
まず、最も低消費電力である第1モードmode1(スリープ状態)では、図10に示すように、各撮像素子7には逆バイアス電源14から逆バイアス電圧を印加せず、各TFT8にも電圧を印加しない。
すなわち、各TFT8のオン/オフを切り替える場合には、通常、各TFT8をオン状態とする場合にはそのゲート電極8gに例えば+15[V]の信号読み出し用のオン電圧を印加し、各TFT8をオフ状態とする場合にはそのゲート電極8gに例えば−10[V]のオフ電圧を印加するが、この第1モードmode1では、各TFT8のゲート電極8gにオン電圧もオフ電圧も印加されない。
また、第1モードmode1では、モード切り替えスイッチ24のゲート電極には電圧が印加されずオフ状態とされ、読み出し回路17(読み出しIC16)にも電力が供給されない。つまり、放射線画像撮影装置1は、完全に電源がオフされた状態ではないが、制御手段22や記憶手段23等の必要な部材にのみ必要に応じて電力が供給される状態となる。
そのため、図10の表に示すように、本実施形態の放射線画像撮影装置1では、第1モードmode1における消費電力が例えば1.6[W]と小さい値になっている。なお、本実施形態では、第1モードmode1であるスリープの状態においても放射線画像撮影装置1が外部からの信号を受信することができるように、通信手段であるアンテナ装置39はオン状態とされているが、例えば、放射線画像撮影装置1に起動スイッチを設け、操作者による起動スイッチ操作により通信手段であるアンテナ装置39のオン/オフを切り替え可能に構成し、第1モードmode1でアンテナ装置39をオフ状態とするように構成すれば、第1モードmode1における消費電力は、例えば0.1[W]とさらに小さい値になる。
続いて、放射線画像撮影に向けて、放射線技師等の操作者の手動による操作や外部装置からの信号を受信することにより放射線画像撮影装置1のモード切り替えの指示がなされると、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替える。
第2モードmode2では、図10に示すように、逆バイアス電源14から各撮像素子7に逆バイアス電圧を印加し、各TFT8には、まず、オフ電圧が印加される。また、上記の閉ループを形成するためにモード切り替えスイッチ24がオン状態とされて読み出し回路17が待機モードとされるが、読み出し回路17自体には通電されない。このようにして、第2モードmode2では、図10の表に示すように、消費電力が例えば5.2[W]になる。
本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2に切り替えると、撮像素子7のリセット処理を行う。リセット処理では、制御手段22は、走査駆動回路15から各走査線5を介して各撮像素子7のスイッチ素子であるTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用のオン電圧を印加させて全てのTFT8をオン状態とし、撮像素子7内に蓄積されている余分な電荷をバイアス線9に放出させる。
なお、このリセット処理においては、バイアス線9の結線10を流れる電流を検出する必要がないため、余分な電荷を流出の妨げにならないように、前述した電流検出手段42のスイッチをオン状態として電流検出手段42の抵抗の両端子間を短絡させておくことが好ましい。
リセット処理が終了すると、制御手段22は、走査駆動回路15から各走査線5を介してTFT8のゲート電極8gにオフ電圧を印加させて、全てのTFT8をオフ状態とし、放射線画像撮影装置1への放射線の照射に向けて待機する。
前述したように、制御手段22は、放射線画像撮影装置1への放射線の照射の開始を、電流検出手段42により検出されたバイアス線9の結線10を流れる電流の電流量が増加したことにより検出するようになっている。以下、この放射線画像撮影装置1への放射線の照射と、バイアス線9の結線10を流れる電流の電流量の増加について説明する。
放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R(図1参照)上或いはその近傍に存在する被写体を透過した放射線が、本実施形態ではシンチレータ3(図2等参照)に入射し、シンチレータ3で放射線が電磁波に変換されて、電磁波がその下方の撮像素子7に入射する。
撮像素子7では、入射した電磁波がi層76(図5参照)に到達すると、電磁波のエネルギによりi層76内で電子正孔対が発生し、逆バイアス電圧の印加により撮像素子7内に形成された電位勾配に従って、発生した電子と正孔のうちの一方の電荷(本実施形態では正孔)が第2電極78側に移動し、他方の電荷(本実施形態では電子)が第1電極74側に移動する。
この場合、TFT8のゲート電極8gにはオフ電圧が印加されてTFT8はオフ状態になっているため、撮像素子7内で第1電極74側に移動した電子はTFT8から信号線6に流出できない。そのため、電子は第1電極74付近に蓄積される。また、それと等量の正孔が第2電極78付近に蓄積される。
しかし、TFT8は、通常、信号線6への電子の漏出を完全に遮断することができず、微量ではあるが、TFT8を介して撮像素子7内の電子がリークする。従って、それと等量の正孔が撮像素子7の第2電極78からバイアス線9に漏出する。その際、この第2モードmode2では読み出し回路17のモード切り替えスイッチ24がオン状態とされているため(図10参照)、閉ループが形成されて、撮像素子7から漏出した電流がバイアス線9や結線10に流れ易くなっている。
そして、通常、撮像素子7内に蓄積される電子や正孔の量が増えるほど、リークする電子や正孔の量が増加する。また、各撮像素子7の第2電極78からバイアス線9にそれぞれ漏出する正孔の量は僅かであっても、百万個〜千万個の撮像素子からそれぞれ漏出する正孔がバイアス線9の結線10に集められると、電流検出手段42で検出できるレベルの量になる。
そこで、電流検出手段42のスイッチをオフ状態として電流検出手段42の抵抗の両端子間の短絡を解除し、このバイアス線9の結線10を流れる少量の電流を増幅して電圧値として検出すると、例えば図11に示すように、放射線画像撮影で放射線の照射が開始されて撮像素子7内で発生した電子正孔対のうち正孔がバイアス線9に流出し始めると、結線10に流れる電流が増加し始め、図11における時刻t1に示されるように、電流検出手段42から出力される電圧値Vが増加し始める。
そのため、例えば、電流検出手段42から出力される電圧値Vに予め所定の閾値Vthを設けておき、制御手段22で、出力された電圧値Vが閾値Vthを越えたか否かを監視し、電圧値Vが閾値Vthを越えた時点tstartで放射線の照射が開始されたと検出するように構成することが可能である。
また、逆に、放射線の照射が停止されて放射線画像撮影が終了すると、撮像素子7内で電子正孔対が発生しなくなるため、今度は電圧値Vが減少し始める。そのため、例えば、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vth以下となった時点tendで、放射線の照射が終了したと判断するように構成することが可能である。
本実施形態では、制御手段22は、このようにして放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の開始および終了を検出するようになっている。このようにして放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射の開始を検出することで、百万個〜千万個の撮像素子からそれぞれ流れ出る正孔がバイアス線9の結線10に集められて電流検出手段42で検出できるレベルの量になるため、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R(図1参照)に対して主要被写体(関心領域)がどの位置にあっても、正しく放射線の照射開始を検出することが可能となる。
なお、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されていない状態でも、各撮像素子7の内部では、撮像素子7自体の熱による熱励起等によりいわゆる暗電荷が発生して蓄積される。そして、それに起因する電流がバイアス線9に漏出し、それが結線10に集められるため、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されていない状態でも、結線10中には微弱な電流が流れ、それに相当する電圧値Vaが電流検出手段42から出力される。
また、放射線の照射の開始や終了を検出するために、電圧値V自体に閾値Vthを設ける代わりに、例えば、電圧値Vの変化率ΔVに閾値ΔVthを設けておき、電圧値Vの増加率ΔVが閾値ΔVthを越えた時刻を放射線の照射開始時刻tstartとし、電圧値Vの減少率ΔVの絶対値が閾値ΔVth以上となった時刻を放射線の照射終了時刻tendとして検出するように構成することも可能である。
さらに、例えば、放射線の照射開始時刻tstartから照射終了時刻tendまでの間に電流検出手段42から出力される電圧値Vを積分して、それに相当する電流値に変換することで、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を推定することも可能である。
また、電流検出手段42から出力される電圧値Vをピークホールドするように構成し、その最高値Vpと、放射線の照射開始時刻tstartと照射終了時刻tendとの時間間隔との積を算出し、図11に示す電圧値Vの台形状の推移を長方形状に近似して電圧値Vの総量を推定し、それに基づいて放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を推定するように構成することも可能である。
本実施形態では、制御手段22は、上記のようにバイアス線9の結線10を流れる電流の電流量が増加し、電流検出手段42から出力される電流量に相当する電圧値Vが増加したことを検出して、放射線の照射が開始されたことを検出すると、読み出し回路17を待機モードから電力供給モードに遷移させて、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替える。
第3モードmode3では、図10に示すように、逆バイアス電源14から各撮像素子7への逆バイアス電圧の印加が継続され、各TFT8のオン/オフが必要に応じて切り替えられる。また、各読み出し回路17に通電され、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路が稼働状態とされ、モード切り替えスイッチ24がオフ状態とされて読み出し回路17が待機モードから電力供給モードに遷移される。このようにして、第3モードmode3では、図10の表に示すように、消費電力が例えば8.8[W]に増加する。
そして、放射線画像撮影装置1への放射線の照射が終了すると、放射線の照射により各撮像素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換する読み出し処理が開始される。なお、図10の表では、この読み出し処理の開始により、放射線画像撮影装置1の電力消費モードが第3モードmode3(電荷の蓄積状態)から第4モードmode4(読み出し状態)に移行するように記載されているが、撮像素子7での電荷の蓄積(第3モードmode3)と電荷の読み出し(第4モードmode4)は放射線画像撮影装置1における一連の処理である。
また、このように、読み出し処理が開始されると(図10の表における第4モードmode4)、読み出し回路17の増幅回路18、相関二重サンプリング回路19、アナログマルチプレクサ21、A/D変換器20や走査駆動回路15等の種々の部材が動作し始めるため、消費電力が例えば13.6[W]にさらに増加する。
読み出し処理では、バイアス線9の結線10を流れる電流を検出する必要がないため、電流検出手段42のスイッチをオン状態として電流検出手段42の抵抗の両端子間が短絡される。そして、走査駆動回路15から信号読み出し用のオン電圧が1ライン目の走査線5に印加され、この走査線5に接続されているTFT8がオン状態とされて、TFT8を介して各撮像素子7から電荷(本実施形態の場合は電子)が信号線6に放出される。
そして、信号線6に流出した電荷は、前述したように、読み出し回路17で電荷電圧変換されて増幅される等して電気信号に変換され、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、デジタル値に変換されて順次記憶手段23に記憶される。そして、走査駆動回路15は、この1ライン目の走査線5に印加する電圧をオフ電圧に切り替えて各TFT8をオフ状態とした後、信号読み出し用のオン電圧を印加する走査線5のラインを順次切り替えて、各撮像素子7から電荷を放出させる。
このようにして、各撮像素子7から読み出された電荷が順次電気信号を変換されて記憶手段23に順次記憶されることで、各撮像素子7からの電気信号の読み出し処理が行われる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22が、電流検出手段42により検出されるバイアス線9や結線10を流れる電流の電流量(或いはそれに相当する電圧値V)が増加したことを検出して放射線の照射が開始されたことを検出する。そして、放射線の照射が開始されたことを検出した段階で、読み出し回路17を低消費電力の待機モードから通常の電力供給モードに遷移させる。
そのため、放射線画像撮影装置1に放射線が照射され、間を置かずに読み出し処理が行われる段階で読み出し回路17が待機モードから電力供給モードに遷移されるため、読み出し回路17が待機モードよりは高消費電力である電力供給モードになっている時間が必要以上に長時間になることを抑制することが可能となる。そのため、放射線画像撮影の際の電力の消費量を低減することが可能となり、バッテリ40の消耗の度合いを低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、制御手段22が、放射線の照射が開始されたことを自ら検出するため、放射線発生装置とのインターフェースをとる等の制御を行う必要がない。そのため、例えば放射線発生装置と放射線画像撮影装置1とが異なる製造メーカにより製造されたものであるような場合であっても、放射線画像撮影装置1自体で容易かつ的確に放射線の照射の開始を検出して、上記の読み出し回路17のモードの遷移を行わせることが可能となる。
なお、本実施形態では、上記のように、読み出し回路17の増幅回路18の各オペアンプ18aの反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2とを結ぶモード切り替えスイッチ24を設け(図8参照)、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路の稼働状態/非稼働状態の切り替えおよびモード切り替えスイッチ24のオン/オフにより読み出し回路17における待機モードと電力供給モードとの間の遷移を行うように構成する場合について説明した。
しかし、オペアンプ18aの反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2とを結ぶモード切り替えスイッチ24を設ける代わりに、例えば、増幅回路18を構成するチャージアンプ回路の特性を利用して前述した閉ループを形成するように構成することが可能である。
例えば、増幅回路18のオペアンプ18aが、読み出し回路17の電力供給モードにおいて撮像素子7ごとの電荷を電荷電圧変換して増幅する通常の稼働状態でオペアンプ18aに流れる電流が高電流となる状態と、それより低い動作電流しか流れない低電流状態との間で切り替え可能に構成されている場合がある。このようなオペアンプ18aでは、オペアンプ18aに並列に接続されている電荷リセット用スイッチ18cをオン状態とすると、反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2とが同電位となり仮想接地される。
そこで、オペアンプ18aのこの特性を利用して、制御手段22(図8参照)は、読み出し回路17を待機モードに遷移させる際には、増幅回路18のオペアンプ18aを、それを流れる電流が低電流となる状態に切り替えるとともに、電荷リセット用スイッチ18cをオン状態とし、オペアンプ18aの反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2とを仮想接地して、前述した閉ループを形成する。
また、制御手段22は、読み出し回路17を電力供給モードに遷移させる際には、増幅回路18のオペアンプ18aを、それを流れる電流が高電流となる状態に切り替える。その際、電荷リセット用スイッチ18cは必要に応じてオン/オフが切り替えられる。
このように構成した場合、読み出し回路17の待機モードでも読み出し回路17の増幅回路18のオペアンプ18aに低電流が流れるように電力を供給しなければならなくなるが、読み出し回路17に通電し、オペアンプ18aに高電流が流れる状態とする読み出し回路17の電力供給モードに比べれば、消費電力を低く抑えることが可能となり、上記の実施形態の場合と同様の効果を得ることが可能となる。
なお、本実施形態では、電流検出手段42がバイアス線9の結線10に設けられている場合について説明したが、上記のように、電流検出手段42は、放射線の照射により放射線画像撮影装置1内を流れる電流を検出することができるものであり、制御手段22がその電流の電流量に基づいて放射線の照射の開始等を検出することができるものであれば、必ずしもバイアス線9の結線10に設ける必要はない。
前述したように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されて、放射線がシンチレータ3で電磁波に変換され、その電磁波が撮像素子7に入射すると、撮像素子7内で電子正孔対が発生し、本実施形態では、各撮像素子7の第1電極74付近に電子が蓄積され、第2電極78付近に正孔が蓄積される。そして、本実施形態では、各撮像素子7の第2電極78側からリーク(漏出)する正孔がバイアス線9の結線10を流れる際の電流を電流検出手段42で検出するように構成した。
しかし、各撮像素子7の第2電極78側から正孔がリークする際、同時に、それと等量の電子が各撮像素子7の第1電極74側からTFT8を介して各信号線6にリークする。そして、1本の信号線6には数千個の撮像素子7がTFT8を介して接続されており、それらから漏出する電子に由来する電流は、電流検出手段で検出できるレベルの量になる。
そのため、電流検出手段で、1本或いは所定本数の信号線6を流れる、各撮像素子7の第1電極74側から漏出した電子に由来する電流を検出するように構成すれば、放射線の照射の開始や終了に伴って信号線6内を流れる電流(或いはそれに相当する電圧値V)が電流検出手段により図11に示したように検出される。そのため、制御手段22で、電流検出手段が検出した信号線6を流れる電流の電流量に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが可能となる。
一方、電流検出手段を、走査線5や走査駆動回路15中を流れる電流を検出するように構成することも可能である。以下、この場合について説明する。
上記のように、本実施形態では、放射線画像撮影の際に、放射線技師等の操作者の手動による操作や外部装置からの信号を受信することにより放射線画像撮影装置1のモード切り替えの指示がなされると、制御手段22により、放射線画像撮影装置1の電力消費モードが第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えられて、逆バイアス電源14から各撮像素子7に逆バイアス電圧が印加される(図10参照)。また、同時に、各TFT8がオフ状態とされるため、その時点で、撮像素子7の第1電極74と第2電極78との間には逆バイアス電圧分の電位差が生じた状態となる(図8等参照)。
そして、上記のように、放射線画像撮影時に放射線が照射されて各撮像素子7内で電子正孔対が発生すると、電子正孔対の発生量に応じて第2電極78に対する第1電極74の電位が変化する。
すなわち、本実施形態では、第2電極78にはバイアス電源14からバイアス線9を介して所定の負の値の逆バイアス電圧が印加されていて、電位が固定されている。そして、撮像素子7内で発生した電子正孔対のうち、正孔が第2電極78側に移動し、電子が第1電極74側に移動するため、第1電極74側の電位が下がる。そして、撮像素子7の第1電極74側の電位が下がると、図8に示したTFT8のソース電極8s(図8中ではSと表記されている。)側の電位がそれに伴って下がる。
また、TFT8の部分では、ゲート電極8gとソース電極8sとそれらの間の絶縁層71(図5参照)とで一種のコンデンサが形成されており、ゲート電極8gとソース電極8sとの間に寄生容量が存在している。そして、TFT8のゲート電極8gには所定のオフ電圧が印加されており、電位が変わらない。
この電位が変わらないTFT8のゲート電極8gに対して、TFT8のソース電極8s側の電位が下がると、TFT8のゲート電極8gとソース電極8sとの電位差が変化する。そのため、変化した電位差に対応する電荷が走査線5を通ってTFT8のゲート電極8gに供給される。すなわち、走査線5中を電流が流れるのである。
そして、1本の走査線5には数千個のTFT8が接続されており、それらから漏出する電子に由来する電流は、電流検出手段で検出できるレベルの量になる。そのため、例えば、電流検出手段で、1本或いは所定本数の走査線5を流れる、各TFT8のゲート電極8gに供給される電荷に由来する電流を検出するように構成すれば、放射線の照射の開始や終了に伴って走査線5内を流れる電流(或いはそれに相当する電圧値V)が電流検出手段により図11に示したように検出される。そのため、制御手段22で、電流検出手段が検出した走査線5を流れる電流の電流量に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが可能となる。
また、走査駆動回路15(図7参照)が、例えば図12に示すように、走査線5の各ラインL1〜Lnを介して各TFT8のゲート電極8gにオン電圧やオフ電圧を印加するゲートドライバ15bと、ゲートドライバ15bにオン電圧やオフ電圧を供給する電源回路15aとを備えて構成される場合、走査線5の各ラインL1〜Lnにオフ電圧を印加している状態で上記のように各走査線5中を電流が流れると、結局、それらの電流は、電源回路15aをゲートドライバ15bとを結ぶ配線15c中を流れることになる。
そのため、例えば、電流検出手段42*を、図12に示すように、走査駆動回路15の電源回路15aとゲートドライバ15bとを結ぶ配線15c上に設け、電流検出手段42*で電源回路15aとゲートドライバ15bとの間を流れる電流を検出するように構成すれば、放射線の照射の開始や終了に伴って配線15c内を流れる電流(或いはそれに相当する電圧値V)が電流検出手段42*により図11に示したように検出される。そのため、制御手段22で、電流検出手段が検出した走査線5を流れる電流の電流量に基づいて放射線の照射の開始等を検出することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、上記の放射線画像撮影装置1を用いて放射線画像撮影を行う本発明の第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム100について説明する。
本実施形態に係る放射線画像撮影システム100は、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、図13に示すように、例えば、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う撮影室Rと、放射線技師や医師等(以下、操作者という。)が被写体に照射する放射線の制御等の各種操作を行う前室Raと、放射線画像撮影システム100全体の制御を行うコンソール107と、を備えて構成されている。
撮影室R内には、上述した放射線画像撮影装置1が、例えば5つ配置されている。なお、以下では、これらの放射線画像撮影装置のそれぞれを個別に識別する場合には、放射線画像撮影装置1A〜1Eとして説明し、各放射線画像撮影装置を個別に識別する必要がない場合には、これらの放射線画像撮影装置1A〜1Eを放射線画像撮影装置1と総称して説明する。
また、撮影室Rには、放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置101(図14参照)、被写体に放射線を照射する放射線発生装置102、放射線画像撮影装置1とコンソール107との間の通信を中継する無線アクセスポイント103等が設けられている。撮影室Rは、放射線が外部に漏れることがないよう、鉛などでシールドされている。
さらに、前室Raには、放射線画像撮影装置1に内蔵された後述するタグを検出するタグリーダ104や、放射線発生装置102による放射線の照射を制御する操作卓105が設けられている。
なお、放射線画像撮影装置1や放射線発生装置102等、撮影室Rや前室Raに配置された各装置の数は一例であり、図示例に限定されない。
以下、本実施形態の放射線画像撮影システム100に備わる放射線画像撮影装置1、ブッキー装置101、放射線発生装置102、無線アクセスポイント103、タグリーダ104、操作卓105、コンソール107のそれぞれについて詳細に説明する。
(放射線画像撮影装置1)
放射線画像撮影装置1の構成については前述した通りであるが、本実施形態の放射線画像撮影システム100では、放射線画像撮影装置1は、さらに下記の構成を有している。
具体的には、放射線画像撮影装置1A〜1Eには、予め、各放射線画像撮影装置1を特定するための識別情報としてのカセッテIDが割り当てられている。例えば、放射線画像撮影装置1AにはカセッテID「1001」、放射線画像撮影装置1BにはカセッテID「1002」、放射線画像撮影装置1CにはカセッテID「1003」、放射線画像撮影装置1DにはカセッテID「1004」、放射線画像撮影装置1EにはカセッテID「1005」が割り当てられている。
また、放射線画像撮影装置1内には、図示しないタグが内蔵されている。本実施形態では、タグとして、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグと呼ばれるタグが用いられており、タグには、タグの各部を制御する制御回路や放射線画像撮影装置1の固有情報を記憶する記憶部がコンパクトに内蔵されている。この固有情報には、当該放射線画像撮影装置1自身に割り当てられたカセッテIDや、シンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等が含まれている。
また、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。すなわち、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内に形成され、8インチ×10インチ、10インチ×12インチ、11インチ×14インチ、14インチ×14インチ、14インチ×17インチ(半切サイズ)等のものが用意されている。
このように、放射線画像撮影装置1はスクリーン/フィルム用のカセッテに関するJIS規格に準拠して形成されているため、同様にJIS規格に準拠して形成されるCRカセッテを装填可能な施設に既存のブッキー装置101に装填して用いることができるようになっている。
なお、放射線画像撮影装置1は、ブッキー装置101に装填されない、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。すなわち、放射線画像撮影装置1を単独の状態で例えば撮影室R内に設けられた支持台や臥位撮影用のブッキー装置(いずれも図示せず)等に配置してその放射線入射面R(図1参照)上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足等とベッドとの間に差し込んだりして用いることもできるようになっている。
本実施形態において、放射線画像撮影装置1は、通信手段としてのアンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介してコンソール107と接続されており、コンソール107との間で、各種の制御信号やデータを無線通信により送受信できるようになっている。
ここで、上記の説明と一部重複するが、放射線画像撮影に際し、放射線画像撮影装置1において行われる電源消費モードの切り替えの流れについて説明する。
放射線画像撮影装置1は、その電力消費モードが第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えられた状態で撮影室R内に配置されている。第1モードmode1(スリープ状態)は、前述したように、制御手段22や記憶手段23、アンテナ装置39等の必要な部材にのみ電力が供給され、読み出し回路17や撮像素子7、TFT8等には電力が供給されないモードである。
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えられた状態で、コンソール107から第2モードmode2(照射待ち状態)への切り替えを指示する第2モード移行信号を受信した場合に、撮像素子7に対して逆バイアス電圧の印加を開始するとともに、モード切り替えスイッチ24をオン状態として、読み出し回路17を待機モードへ遷移させ(この場合、読み出し回路17自体には通電されない。)、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えるようになっている。
第2モードmode2(照射待ち状態)は、前述したように、バイアス線9の結線10を流れる電流の電流量に応じて電流検出手段42から出力される電圧値Vに基づいて、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を検出可能なモードである。
なお、本実施形態の放射線画像撮影システム100では、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vthを越えた時点tstartで、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたと判断するとともに、電流検出手段42により出力される電圧値Vが閾値Vth以下となった時点tendで、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了したと判断する形態について説明する。しかしながら、前述したように、電流検出手段42から出力される電圧値Vの変化率ΔVや、電流検出手段42から出力される電圧値Vの総量の推定値に基づいて、放射線の照射の開始と終了を検出するように構成しても良い。
コンソール107からの第2モード移行信号に応じて第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えられると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、前述したように、電流検出手段42から出力される電圧値Vを監視して、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vthを越えたか否かを判断することにより、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたことを検出するようになっている。
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えられた状態で放射線の照射が開始されたことを検出した場合に、読み出し回路17を待機モードから電力供給モードに遷移させ、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、第2モードmode2(照射待ち状態)から第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えるようになっている。
第3モードmode3(電荷の蓄積状態)では、前述したように、撮像素子7に逆バイアス電圧が印加されるとともに読み出し回路17に電力が供給され、放射線の照射によって撮像素子7内で電荷が発生し、照射された放射線量に応じた電荷が各撮像素子7内に蓄積される。
さらに、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えられた後に、電流検出手段42から出力される電圧値Vを監視して、電流検出手段42により出力される電圧値Vが閾値Vth以下となったか否かを判断することにより、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了したことを検出するようになっている。
なお、放射線の照射開始から所定時間経過後に、放射線の照射が終了したものとみなして、放射線の照射が終了したと判断するように構成されていても良い。
第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えられた状態で放射線の照射が終了したことを検出すると、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、第3モードmode3(電荷の蓄積状態)から第4モードmode4(読み出し状態)に切り替え、撮像素子7内に蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換する読み出し処理を実行する。読み出し処理では、放射線の照射によって各撮像素子7に蓄積された電荷が、電気信号に変換されて記憶手段23に記憶される。
各撮像素子7に蓄積された電荷の読み出し処理を終えた放射線画像撮影装置1は、記憶手段23に記憶されたデータに対し、オフセット/ゲイン補正や欠陥補正等、必要に応じて各種の補正処理を施して画像データ(rawデータ)を生成し、生成した画像データから所定の割合で画素(すなわち各撮像素子7から出力されたデータ)を間引くことにより、データ量を減少させた間引き画像データを生成する。そして、放射線画像撮影装置1は、生成された間引き画像データを、アンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介してコンソール107に送信する。また、このとき、放射線画像撮影装置1は、間引き画像データに、自身に予め割り当てられているカセッテIDを対応づけて送信することで、自身のカセッテIDをコンソール107に通知するようになっている。
さらに、放射線画像撮影装置1は、無線アクセスポイント103およびアンテナ装置39を介して、コンソール107から、間引き画像データの元となる画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を受信した場合に、記憶手段23から間引き画像データの元の画像データを読み出して、アンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介してコンソール107に対して送信するようになっている。
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、コンソール107に対して元の画像データを送信した後に、装置の電源消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるようになっている。
ここで、サブトラクション系画像作成時を除いて、1つの撮影室Rにおける放射線画像撮影において、一回の放射線画像撮影時に、同時に2つ以上の放射線画像撮影装置1を使用することはない。すなわち、大多数の放射線画像撮影は、1つの放射線画像撮影装置1を使用して実行され、放射線の照射は、1つの放射線画像撮影装置1のみに対して行われる。
したがって、一回の放射線画像撮影において、放射線の照射を検出する放射線画像撮影装置1は、1つの撮影室Rにただ1つのみ存在し、同じ撮影室Rに存在するその他の放射線画像撮影装置1は放射線の照射を検出しない。そして、コンソール107では、放射線の照射を検出した1つの放射線画像撮影装置1のみから画像データを受信することとなる。
後述するように、撮影室R内の各放射線画像撮影装置1は、そのカセッテIDがタグリーダ104により読み取られてコンソール107に通知されており、コンソール107は、撮影室R内に存在する各放射線画像撮影装置1を把握するようになっている。そして、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1が、コンソール107に対して、自己のカセッテIDとともに間引き画像データを送信すると、コンソール107は、画像データとともに通知されたカセッテID以外のカセッテIDを有する放射線画像撮影装置1を、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1と判断し、これら撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1に対して、電力消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替える旨を指示する第1モード移行信号を送信する。そして、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1は、コンソール107から送信される第1モード移行信号に基づいて、その電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるようになっている。
なお、予め、コンソール107において、各放射線画像撮影装置1のカセッテIDにオフセット/ゲイン補正や欠陥補正等の各種の補正処理の内容を対応付けて記憶しておき、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1から間引き画像データとともに通知されるカセッテIDに基づいて、そのカセッテIDに対応付けられた補正処理(すなわち、撮影に使用された放射線画像撮影装置1に予め対応付けられた補正処理)を、コンソール107側で行うように構成することも可能である。
(ブッキー装置101)
ブッキー装置101には、図14に示すように、放射線画像撮影装置1を所定の位置に保持するためのカセッテ保持部101aが設けられており、カセッテ保持部101aに放射線画像撮影装置1が装填できるようになっている。また、撮影室Rには、図14に示す立位撮影用のブッキー装置101の他、図示しない臥位撮影用のブッキー装置が設けられている。
このブッキー装置101は、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠する寸法のCRカセッテやFPDカセッテ(放射線画像撮影装置1)を装填することができるように構成されている。
(放射線発生装置102)
放射線発生装置102は、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線を照射する図示しない放射線源を備えており、放射線源は、高圧電圧が印加されると電圧に応じた線量の放射線を照射するようになっている。また、それぞれの放射線源には、開閉自在とされた図示しない絞りが設けられている。
本実施形態において、放射線発生装置102は、図13に示すように、撮影室Rの天井からつり下げられて配設されるようになっており、撮影時には後述する操作卓105からの指示に基づいてセットアップされ、図示しない移動手段により、各撮影に応じた所定の位置(放射線画像撮影装置1に対峙する位置)にまで移動され、放射線の照射方向が所定の方向を向くようにその向きが調整されるようになっている。
なお、図13では、1つの放射線発生装置102のみが図示されているが、複数の放射線発生装置102を設け、各放射線発生装置102を複数のブッキー装置101のそれぞれに対応するように配設しても良い。また、撮影室R内の任意の場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるポータブルの放射線発生装置を備えることとしても良い。
(無線アクセスポイント103)
無線アクセスポイント103は、放射線画像撮影装置1とコンソール107との間の通信を中継するものである。図13では、撮影室R内の入口付近に無線アクセスポイント103が配設されているが、無線アクセスポイント103の数や配置位置はこれに限定されず、放射線画像撮影装置1とコンソール107との間の信号を中継可能な適宜の位置に配置されていれば良い。
(タグリーダ104)
タグリーダ104は、内蔵する図示しないアンテナを介して電波等に所定の指示情報を乗せて発信し、撮影室Rに入室し或いは退室する放射線画像撮影装置1、すなわち撮影室Rや前室Raの所定範囲内に進入した放射線画像撮影装置1を検出する。そして、タグリーダ104は、検出した放射線画像撮影装置1のRFIDタグに記憶されたカセッテID、シンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等の固有情報を読み取り、読み取った固有情報をコンソール107に送信する。
(操作卓105)
操作卓105は、汎用のCPUを備えるコンピュータや専用のプロセッサを備えるコンピュータ等で構成されている。操作卓105は、放射線発生装置102とケーブル等により接続されるとともに、ケーブル等を介してコンソール107にも接続され、コンソール107から撮影部位情報等を取得し、照射条件を設定可能に構成されている。
操作卓105には、放射線発生装置102からの放射線の照射開始を指示するためのスイッチ手段106等が設けられている。スイッチ手段106は、図示しない釦を有しており、釦が操作されると、操作卓105から放射線発生装置102に対して起動信号が送信され、この起動信号によって放射線発生装置102の放射線源が起動されるようになっている。
(コンソール107)
コンソール107は、図15に示すように、コンソール制御手段107a、通信手段107b、入力手段107c、表示手段107dおよび記憶手段107eを備えている。
コンソール制御手段107aは、例えば、汎用のCPU、ROM(Read Only Memory)、RAM等(いずれも図示せず)から構成されており、ROMに格納されている所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、当該プログラムに従ってCPUが各種処理を実行する。
通信手段107bは、無線アクセスポイント103を経由して放射線画像撮影装置1との通信を行うためのもので、放射線画像撮影装置1との間で各種制御信号やデータ等を送受信する。
入力手段107cは、各種の指示や情報等を入力するためのキーボードやマウス等により構成され、放射線画像撮影に先立って、操作者が放射線画像撮影の対象となる患者の情報や撮影条件を設定する際等に操作される。患者情報および撮影条件は、後述するように、操作者が、入力手段107cを用いて、所定の情報としての撮影オーダ情報を選択して入力することにより設定されるようになっている。
表示手段107dは、CRT(Cathode Ran Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等から成り、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像や撮影オーダ情報等の各種の情報を表示する。
記憶手段107eは、ハードディスク等で構成されており、各種情報を記憶している。
具体的には、記憶手段107eには、撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1のリストが記憶されている。コンソール107は、前述したように、前室Raの入口近傍に設置されたタグリーダ104が検出した放射線画像撮影装置1のカセッテIDを含む固有情報が送信されてくると、記憶手段107eに登録されている撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1のリストを参照するようになっている。
そして、コンソール107は、送信されてきた固有情報が記憶手段107eに登録されていなければ、当該放射線画像撮影装置1が新たに撮影室R内に持ち込まれたものと判断してその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストに追加して記憶手段107eに登録する。
また、送信されてきた固有情報が既に記憶手段107eに登録されているものであれば、当該放射線画像撮影装置1が撮影室R内から持ち出されたものと判断してその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストから抹消する。
このようにして、コンソール107は、撮影室R内の放射線画像撮影装置1のカセッテID等を記憶手段107eに記憶して、撮影室R内にどの放射線画像撮影装置1が存在するかを把握するようになっている。
また、記憶手段107eには、撮影室Rでの放射線画像撮影の対象となる患者の情報と撮影条件を含む撮影オーダ情報が記憶されている。撮影オーダ情報は、放射線画像撮影に先立ってリスト形式で予め記憶手段107eに格納されるようになっている。
本実施形態では、撮影オーダ情報は、図16に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5及び撮影条件としての「撮影部位」P6、「撮影方向」P7を含んで構成されるようになっている。そして、撮影オーダを受け付けた順に、各撮影オーダ情報に対して「撮影オーダID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
なお、撮影オーダ情報に書き込む患者情報や撮影条件の内容は、上記のものに限定されず、例えば、患者の生年月日、診察回数、放射線の線量、太っているか痩せているか等の情報を含むように構成することも可能であり、適宜設定することができる。また、例えば、ネットワークを介してコンソール107をHIS(Hospital Information System)やRIS(Radiology Information System)(いずれも図示せず)に接続し、それらから撮影オーダ情報を入手するように構成することも可能である。
さらに、記憶手段107eは、放射線画像撮影装置1から受信した画像データを、撮影オーダ情報に対応づけて記憶するようになっている。
また、コンソール107には、この他にも、例えば、コンソール107から出力された画像データに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等が適宜接続される。
本実施形態において、コンソール107は、予め撮影室Rと1対1で対応づけられており、通信手段107bや無線アクセスポイント103等を介して、撮影室R内に存在する全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eとの間で通信ができるようになっている。なお、1つのコンソール107に対して複数の撮影室Rが存在する場合には、撮影に先立って操作者が何れかの撮影室Rを指定することで、指定した撮影室Rとコンソール107とが1対1で対応づけられるように構成しても良い。
そして、コンソール107は、入力手段107cにより撮影オーダ情報が選択入力された場合に、撮影室R内に、第1モード(スリープ状態)で配置されている放射線画像撮影装置1に対して、第2モード移行信号を送信することで、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eの電源消費モードを、第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させるようになっている。
さらに、コンソール107は、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eを第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させた後に、放射線の照射を検出した何れか1つの放射線画像撮影装置1から送信される間引き画像データを、無線アクセスポイント103および通信手段107bを介して受信するようになっている。
前述したように、一回の放射線画像撮影で使用され、放射線が照射される放射線画像撮影装置1は一つだけである。つまり、コンソール107では、実際に撮影に使用された1つの放射線画像撮影装置1から送信された画像データが受信されることとなる。そして、コンソール107では、実際に撮影に使用された1つの放射線画像撮影装置1のみから画像データを受信すると、コンソール107に画像データを送信した放射線画像撮影装置1以外の放射線画像撮影装置1が全て、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1であることを認識することができる。
そして、放射線画像撮影装置1から送信された間引き画像データを受信したコンソール107は、受信した間引き画像データに対応付けられているカセッテIDを取得するとともに、記憶手段107eに記憶されている撮影室Rに存在する全ての放射線画像撮影装置1のカセッテIDを参照して、間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1以外の放射線画像撮影装置1、すなわち、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1を特定する。
そして、コンソール107は、撮影に使用された放射線画像撮影装置1からの間引き画像データの受信後に(所定のタイミングで)、撮影室Rに存在する間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1以外の放射線画像撮影装置1に対して、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して、第1モードmode1(スリープ状態)への切り替えを指示する第1モード移行信号を送信することにより、撮影に使用されていない全ての放射線画像撮影装置1を、放射線の照射を検出可能な第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に移行させるようになっている。
なお、撮影室R内でサブトラクション撮影を行う場合には、コンソール107に対して、2つの放射線画像撮影装置1から画像データがカセッテIDとともに送信されることとなる。そこで、選択された撮影オーダ情報がサブトラクション撮影である場合、コンソール107は、最初の画像データの取得後、直ちに第1モード移行信号を送信するのではなく、所定時間経過後に2つ目の画像データを取得した後に、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1に対して、第1モードmode1(スリープ状態)への切り替えを指示する第1モード移行信号を送信する。
このように構成することにより、サブトラクション撮影を実行する場合であっても、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1のみを第1モードmode1(スリープ状態)に移行させることができ、誤って撮影に使用されている放射線画像撮影装置1を第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えてしまうことを防止することができる。コンソール107から第1モード移行信号を送信するタイミングは、選択された撮影オーダ情報に、その撮影がサブトラクション撮影である旨を示す付帯情報が含まれているか否かに応じて決定されることが好ましい。
次に、図17および図18のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の作用について説明する。
まず、放射線画像撮影装置1A〜1Eは、電源消費モードが第1モードmode1(スリープ状態)とされた状態で、撮影室Rに配置される(図17のステップS1)。
放射線画像撮影に先立って、コンソール107のコンソール制御手段107aは、記憶手段107eに記憶されている撮影オーダ情報を読み出して(或いはネットワークを介してHIS/RISから撮影オーダ情報を入手して)取得し、例えば図19に示すように、表示手段107dの選択画面H1上に表示する。
本実施形態では、選択画面H1には、記憶手段107eに記憶された撮影オーダ情報のリストを表示するための撮影オーダ情報表示欄h11が設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の左側には、今回の放射線画像撮影で設定する撮影オーダ情報を選択するための選択ボタンh12が各撮影オーダ情報に対応して設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh13及び戻るボタンh14が設けられている。
操作者は、選択画面H1上で、入力手段107cを用いて、今回の放射線画像撮影の撮影オーダ情報に対応する選択ボタンh12をクリックし、さらに、決定ボタンh13をクリックすることにより、撮影オーダ情報を選択する(図17のステップS2)。
そして、コンソール107の入力手段107cにより、放射線画像撮影の撮影オーダ情報が選択されて入力されると、コンソール制御手段107aは、通信手段107b及び無線アクセスポイント103を介して、第2モードmode2(照射待ち状態)への切り替えを指示する第2モード移行信号を、撮影室Rに存在する全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eに対して送信する(図17のステップS3)。また、コンソール107は、操作者により、選択画面H1上で選択された撮影オーダ情報を、ケーブル等を介して前室Raに配設された操作卓105に送信する。
一方、撮影室Rに配置されている各放射線画像撮影装置1A〜1Eの制御手段22は、コンソール107から第2モード移行信号を受信したか否かを判断する(図17のステップS4)。そして、各放射線画像撮影装置1A〜1Eの制御手段22は、第2モード移行信号を受信したと判断すると(図17のステップS4;Yes)、撮像素子7に逆バイアス電圧を印加するとともに、モード切替スイッチをオン状態に制御して、読み出し回路17を電力が供給されない待機モードに遷移させることにより、電源消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替える(図17のステップS5)。
ここで、コンソール107から送信された第2モード移行信号は、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eにおいて受信される。したがって、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eが、コンソール107からの指示によって、第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に移行することとなる。
また、コンソール107は、撮影室Rに配置されている各放射線画像撮影装置1A〜1Eにおいて、放射線を照射しないで読み取りを実施するいわゆるダーク読取処理を行い、ダーク読取値を取得する。ダーク読取処理により取得されたダーク読取値は、後述する画像補正処理におけるオフセット補正を行うためのオフセット補正値として用いられる。
なお、ダーク読取処理を実行するタイミングは撮影前に限られず、撮影後のタイミングに実行されるように構成しても良い。
また、ダーク読取処理(オフセット補正処理)が放射線画像撮影装置1側で行われるように構成しても良い。
次に、撮影室R内の放射線画像撮影装置1A〜1Eの制御手段22は、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vthを越えたか否かを判断することにより、放射線の照射が開始されたか否かを判断する(図17のステップS6)。
操作者は、上述したコンソール107上で撮影オーダ情報を選択する作業が終了すると、コンソール107から撮影室Rに移動し、撮影室Rに第2モードmode2(照射待ち状態)で配置されている5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eの中から、所望の放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を実行する。具体的には、操作者は、前室Raに配置された操作卓105のスイッチ手段106を操作して放射線発生装置102を起動させ、放射線発生装置102からの放射線を、所望の放射線画像撮影装置1に対して照射させる。
このとき、操作者は、撮影室Rに第2モードmode2(照射待ち状態)で配置されている5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eのうちの、どの放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を実行しても良い。つまり、操作者は、撮影室R内で実際に放射線画像撮影を行う段階で、初めて、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を選び、放射線画像撮影を行うことができる。
また、操作者は、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を、撮影に使用する放射線画像撮影装置1として選択するための何らの操作や作業を行う必要がなく、単に、撮影に使用する放射線画像撮影装置1に対して、放射線発生装置102からの放射線を照射して放射線画像撮影を行うだけで良い。
以下では、撮影に使用される放射線画像撮影装置1で行われる処理と、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1で行われる処理とを区別して説明するため、一例として、操作者が、撮影室Rに配置された5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eのうち、放射線画像撮影装置1Eを使用して放射線画像撮影を実行する場合について説明することとする。
撮影に使用されず、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1A〜1Dの制御手段22は、放射線の照射が開始されないと判断すると(図17のステップS6;No)、ステップS6の処理を繰り返す。
一方、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、放射線の照射によって電流検出手段42から出力される電圧が閾値Vthを越えたことを検出し、放射線の照射が開始されたと判断すると(図17のステップS6;Yes)、モード切り替えスイッチ24をオフ状態として読み出し回路17に電力を供給し、読み出し回路17を電力供給モードに遷移させることにより、自身の電力消費モードを、第2モードmode2(照射待ち状態)から第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替える(図17のステップS7)。
すなわち、撮影室Rに配置された5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eのうち、実際に撮影に使用されている1つの放射線画像撮影装置1Eのみが、放射線の照射を受けて自動的に第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に移行し、一方、撮影に使用されないその他の放射線画像撮影装置1A〜1Dは、第2モードmode2(照射待ち状態)の状態のまま維持されることとなる。
次に、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vth以下となったか否かを判断することにより、放射線の照射が終了したか否かを判断する(図17のステップS8)。そして、放射線発生装置102からの放射線の照射が終了することにより、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vth以下となって、放射線の照射が終了したと判断すると(図17のステップS8;Yes)、走査駆動回路15に信号読み出し用のオン電圧を各走査線5に印加させることにより各走査線5に接続されているTFT8をオン状態とし、その電源消費モードを第3モードmode3(電荷の蓄積状態)から第4モードmode4(読み出し状態)に切り替える。そして、放射線の照射によって撮像素子7に蓄積された電荷を電気信号に変換する読み出し処理を実行し、読み出し処理により取得したデータを記憶手段23に記憶させる(図17のステップS9)。
さらに、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、読み出し処理により取得したデータに対して、オフセット補正等の各種の画像補正処理を施すことにより画像データ(rawデータ)を生成して記憶手段23に記憶させるとともに、生成した画像データから間引き画像データを生成する(図18のステップS10)。そして、生成した間引き画像データを、自身に割り当てられているカセッテID「1005」と対応づけて、アンテナ装置39や無線アクセスポイント103を介してコンソール107に送信する(図18のステップS11)。
そして、コンソール107は、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eから送信された間引きデータを、無線アクセスポイント103や通信手段107bを介して受信する(図18のステップS12)。
放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eから送信された間引き画像データを受信したコンソール107のコンソール制御手段107aは、間引き画像データに対応づけられているカセッテID「1005」と、記憶手段107aに記憶されている撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1A〜1EのカセッテID等のリストとに基づいて、撮影室R内の放射線画像撮影装置1A〜1Eのうち、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1E(すなわち、撮影に使用された放射線画像撮影装置1E)と、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1A〜1D(すなわち、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1A〜1D)とを特定する。
そして、コンソール107のコンソール制御手段107aは、撮影に使用された放射線画像撮影装置1E以外の放射線画像撮影装置1A〜1D、すなわち、撮影に使用されていない放射線画像撮影装置1A〜1Dに対して、電源消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替える旨を指示する第1モード移行信号を、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して送信する(図18のステップS13)。
コンソール107から送信された第1モード移行信号は、撮影に使用された放射線画像撮影装置1E以外の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Dにおいて受信され、撮影に使用されていない各放射線画像撮影装置1A〜1Dの電源消費モードが、第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えられることとなる。
次に、コンソール107のコンソール制御手段107aは、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eから受信した間引き画像データを、入力手段107cにより入力された撮影オーダ情報と対応づけて、表示手段107dに表示させる(図18のステップS14)。
操作者は、コンソール107の表示手段107dに表示された画像データを見て、再撮影の要否や正しい撮影オーダ情報と対応づけられているか等を確認し、再撮影を行わない場合には、入力手段107cを用いて、間引き画像データの元の画像データ(rawデータ)の送信を指示する操作を行う(図18のステップS15)。
コンソール107のコンソール制御手段107aは、入力手段107cにおいて、間引き画像データの元の画像データの送信が指示されると、元の画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して、間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1E(すなわち、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1E)に対して送信する(図18のステップS16)。
間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1E(すなわち、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1E)は、元の画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を受信すると、記憶手段23に記憶された元の画像データ(rawデータ)を読み出して、アンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介してコンソール107に対して送信する(図18のステップS17)。さらに、放射線画像撮影装置1Eは、画像データ(rawデータ)の送信後に、自動的にその電源消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替え、本処理を終了する(図18のステップS18)。
一方、コンソール107は、放射線画像撮影装置1Eから送信された画像データを受信すると(図18のステップS19)、受信した元の画像データ(rawデータ)を、撮影オーダ情報と対応づけて記憶手段107aに格納するとともに、撮影オーダ情報とともに表示手段107dに表示させ(図18のステップS20)、本処理を終了する。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100によれば、コンソール107は、入力手段107cにより撮影オーダ情報が入力されたタイミングで、撮影室R内に存在する全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eの電力消費モードを、放射線の照射開始を検出可能な第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させる。そして撮影室R内に配置されている放射線画像撮影装置1A〜1Eのうち、撮影に使用される1つの放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、電流検出手段42により検出されるバイアス線9を流れる電流の電流量を監視することにより放射線の照射を検出すると、その電力消費モードを、読み出し回路17を電力供給モードとする第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替える。さらに、第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えられた放射線画像撮影装置1Eは、放射線の照射によって撮像素子7に蓄積された電荷を読み出して画像データを生成し、コンソール107に送信する。
すなわち、操作者が、撮影前に撮影に使用する放射線画像撮影装置1を選択しなくとも、撮影オーダ情報を入力する作業を行うだけで、実際に撮影に使用した放射線画像撮影装置1からコンソール107に画像データが送信されることとなる。
したがって、本実施形態の放射線画像撮影システム100において、操作者は、個々の放射線画像撮影装置1を意識的に識別して使用する必要がなく、また、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を選択するための何らの操作や作業を行う必要がない。
つまり、操作者は、撮影に使用する放射線画像撮影装置1のカセッテIDを認識して、複数の放射線画像撮影装置1の中から、そのカセッテIDが付帯された放射線画像撮影装置1を探し出す作業を行う必要もなければ、撮影に使用する放射線画像撮影装置1の電源消費モードを、撮影可能なモードに切り替えるような操作や作業を行う必要もない。
これにより、操作者は、実際に放射線画像撮影を行う段階になって、初めて、患者の容態等に合わせて撮影に使用する放射線画像撮影装置1を決め、その放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を行うことができる。
また、放射線画像撮影を使用する段階になって、当初使用する予定であった放射線画像撮影装置1とは別の放射線画像撮影装置1を使用する必要が生じた場合であっても、操作者は、別の放射線画像撮影装置1を使用して撮影を行うための何らの操作を行う必要がない。
また、操作者は、撮影前にコンソール107上で撮影オーダ情報の入力のみを行って、あとは、撮影室Rにおいて、スイッチの操作やクレードルからの取り出し等の何らの作業を行うことなく、単に、所望の放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を実行するだけでよい。
また、操作者は、放射線画像撮影を行うにあたって、自分の使用している放射線画像撮影装置1がどの放射線画像撮影装置1であるかを意識する必要がない。
このように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、操作者の作業上の負担が非常に軽く、操作者にとって大変利便的なシステムとなる。
また、コンソール107に、実際に撮影に使用した放射線画像撮影装置1から画像データが送信されることとなるため、たとえ、操作者が、放射線画像撮影装置1を誤って識別して使用した場合であっても、コンソール107において、実際に撮影に使用した放射線画像撮影装置1からの正しい画像データを取得することができる。
すなわち、例えば、操作者がカセッテID「1004」が割り当てられた放射線画像撮影装置1Dを使用するつもりで、誤って、カセッテID「1005」が割り当てられた放射線画像撮影装置1Eを使用して放射線画像撮影を実行した場合であっても、コンソール107には、実際に撮影に使用したカセッテID「1005」の放射線画像撮影装置1Eから画像データが送信されることとなるため、放射線画像撮影装置1の取り違えがあったとしても、正しい画像データが取得できることとなる。
したがって、本実施形態の放射線画像撮影システム100では、操作者が、放射線画像撮影装置1を取り違えた場合であっても、画像データの取り違え(例えば、異なる患者のデータを、撮影対象の患者の画像データとして取り扱ってしまう)といったミスは発生し得ないこととなる。また、スリープ状態の放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を行うといったミスも防止することができる。
そのため、本実施形態の放射線画像撮影システム100では、医療上のミスを防止することができるとともに、ミスを犯してはならないという操作者の心理的な負担を軽減することができる。また、再撮影に伴う操作者や患者への負担の増大や、電力の無駄な消耗を防止することができる。
また、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されるまで読み出し回路17がより低消費電力の待機モードに維持されるため、読み出し回路17が待機モードよりは高消費電力である電力供給モードとされている時間が必要以上に長時間になることを抑制することが可能となる。そのため、放射線画像撮影の際の電力の消費量を低減することが可能となり、電力の無駄な消耗を抑制することが可能となる。
また、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1が、コンソール107からの制御によって、第2モードmode2よりもさらに消費電力の低い第1モードmode1に切り替えられることとなるため、消費電力をさらに低減することができる。
すなわち、コンソール107からの制御によって第2モードmode2に切り替えられた放射線画像撮影装置1が、所定時間以上に亘って放射線の照射を検出しない場合に、自主的に第1モードmode1に切り替えられるシステムでは、第2モードmode2から第1モードmode1への切り替えの時間間隔を十分に長く設定すると、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1における電力の無駄な消耗が増大してしまう。一方で、第2モードmode2から第1モードmode1への切り替えの時間間隔を短く設定すると、第2モードmode2に切り替えた時点から放射線画像撮影を実行するまでの時間が長い場合に、実際に放射線画像撮影を行う段階になって、既に全ての放射線画像撮影装置1が第1モードmode 1に移行している可能性がある。
このような場合と比較して、本実施形態の放射線画像撮影システム100のように、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1が、コンソール107からの制御によって、第2モードmode2から第1モードmode1に切り替えられるように構成した場合には、より適切なタイミングで、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1を第1モードmode1に切り替えることができる。
また、コンソール107において、入力手段107cにより入力された撮影オーダ情報と、実際に撮影に使用された放射線画像撮影から送信された画像データとが対応づけられるため、利便性が向上する。
さらに、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1は、間引き画像データを生成してコンソール107に送信するため、操作者は、早い段階で、コンソール107上で画像を確認して、再撮影の要否を判別することができる。
なお、上記実施形態では、撮影に使用されず、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1は、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1から送信された画像データがコンソール107で受信された後に、コンソール107から送信される第1モード移行信号に応じて、電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成されている場合について説明したが、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるタイミングはこれに限定されない。
例えば、放射線画像撮影装置1は、コンソール107から送信される第2モード移行信号に応じて、電力消費モードが第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えられた後、所定時間内に放射線の照射を検出しない場合に、制御手段22により、自動的に電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成しても良い。このように構成することにより、コンソール107と放射線画像撮影装置1との間で、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に移行させるための信号等をやり取りする必要が無くなり、制御構成がより簡略化することとなる。
また、例えば、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1が、放射線の照射を検出した時点で、直ちに、放射線の照射を検出した旨を自己のカセッテIDとともにコンソール107に通知し、その通知を受けたコンソール107が、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1以外の放射線画像撮影装置1に対して、第1モードへの切り替えを指示する第1モード移行信号を送信し、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成しても良い。このように構成することにより、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、さらに早い段階で第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えることができ、消費電力をさらに低減することができる。
また、上記実施形態では、コンソール107を、撮影室Rや前室Raとは別の場所に設ける場合について説明したが、例えば、コンソール107を前室Raに配置するように構成することも可能である。
なお、上述したように、入力手段による所定の情報の入力としては、コンソール107cの表示手段107d上にリスト表示される撮影オーダ情報の中から、所望の撮影オーダ情報を選択する操作も含まれている。
また、上記実施形態では、コンソール107において、入力手段107cにより、所定の情報としての撮影オーダ情報が選択されて入力されたことに基づいて、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させる場合について説明したが、所定の情報は撮影オーダ情報に限られることなく、放射線画像撮影と関連付けられる何らかの情報や操作であれば良い。すなわち、コンソール107において、放射線画像撮影と関連づけられる何らかの操作が行われた場合に、入力手段により所定の情報が入力されたものと判断され、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1の電力消費モードが第2モードmode2(照射待ち状態)に移行されるように構成されていても良い。
例えば、入力手段107cにより撮影部位等の撮影条件が選択された場合に、入力手段により所定の情報が入力されたものとして、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させるように構成しても良い。
また、例えば、コンソール107において起動操作が行われた場合に、入力手段により所定の情報が入力されたものとして、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させるように構成しても良い。起動操作とは、例えば、操作者がコンソール107のスクリーン(表示手段)に触れることで、コンソール107をスリープ状態から起動させるような操作も含まれる。
また、例えば、放射線画像撮影の開始を指示する情報を所定の情報とし、入力手段107cにおいて放射線画像撮影の開始が指示されたことに基づいて、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させるように構成しても良い。
また、例えば、放射線画像撮影を行う撮影室Rを選択する情報を所定の情報とし、入力手段107cにおいて放射線画像撮影を行う撮影室Rの選択が行われたことに基づいて、撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させるように構成しても良い。
また、上記実施形態では、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1が、間引き画像データを、間引き画像データの元となる画像データ(rawデータ)に優先してコンソール107に送信する構成について説明したが、間引き画像データを生成せず、画像データ(rawデータ)のみを送信するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、一回の放射線画像撮影が実行される場合について説明したが、本発明の放射線画像撮影システム100は、複数回の放射線画像撮影が連続して実行される場合にも適用することができる。
また、上記実施形態では、操作者が、コンソール107の入力手段107cにより、画像データの送信を要求した場合に、放射線画像撮影装置1からコンソール107に対して画像データを送信する場合について説明したが、放射線画像撮影装置1に、画像データの送信を指示するための画像送信スイッチを設け、操作者により画像送信スイッチが操作された場合に、コンソール107に対して画像データを送信するように構成されていても良い。
また、上記実施形態では、コンソール107が、撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1を予め把握している構成について説明したが、撮影室R内に存在する各放射線画像撮影装置1を第2モードmode2に移行させれば、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1から自動的に間引き画像データや元の画像データがコンソール107に送信されてくることとなるため、コンソール107は、撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1を必ずしも把握していなくても良い。
そのため、上記実施形態では、放射線画像撮影装置1に、カセッテID等を記憶するタグを内蔵し、タグリーダ104により、撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1を検出する場合について説明したが、放射線画像撮影装置1のタグやタグリーダ104は必ずしも必要でない。
[第3の実施の形態]
次に、上記の放射線画像撮影装置1を用いて放射線画像撮影を行う本発明の第3の実施形態に係る放射線画像撮影システム200について説明する。
本実施形態に係る放射線画像撮影システム200は、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、図20に示すように、例えば、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う複数の撮影室Rと、放射線画像撮影システム200全体の制御を行う複数のコンソールCと、データ管理サーバS等を備えて構成されている。
本実施形態では、図20に示すように、撮影室RがR1〜R4まで4室設けられ、コンソールCがC1〜C3まで3機設けられる場合について説明するが、撮影室やコンソールの数はこれに限定されない。また、本発明は、複数の撮影室Rに1つのコンソールCが共有に設けられているシステムにも適用される。
なお、以下では、これらの撮影室Rのそれぞれを個別に識別する場合には、撮影室R1〜R4として説明し、各撮影室Rを個別に識別する必要がない場合には、これらの撮影室R1〜R4を撮影室Rと総称して説明する。同様に、これらのコンソールCのそれぞれを個別に識別する場合には、コンソールC1〜C3として説明し、各コンソールCを個別に識別する必要がない場合には、これらのコンソールC1〜C3をコンソールCと総称して説明する。
各撮影室R内には、上述した放射線画像撮影装置1が複数配置されている。例えば、図13に示したように、撮影室R1には、5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eが配置されている。また、図示は省略するが、例えば、撮影室R2には、2つの放射線画像撮影装置1F、1Gが配置され、撮影室R3には、3つの放射線画像撮影装置1H〜1Jが配置され、撮影室R4には、4つの放射線画像撮影装置1K〜1Nが配置されている。
なお、以下では、これらの放射線画像撮影装置のそれぞれを個別に識別する場合には、放射線画像撮影装置1A〜1Nとして説明し、各放射線画像撮影装置を個別に識別する必要がない場合には、これらの放射線画像撮影装置1A〜1Nを放射線画像撮影装置1と総称して説明する。
本実施形態においても、各撮影室Rや前室Raにおける構成は上述した第2の実施形態の場合と同様であり、撮影室Rには、ブッキー装置101や放射線発生装置102、無線アクセスポイント103等が設けられており、前室Raには、タグリーダ104や操作卓105、スイッチ手段106等が設けられている(図13参照)。
なお、図20では、各撮影室R1〜R4にそれぞれ1つの放射線発生装置102のみが図示されているが、1つの撮影室Rに複数の放射線発生装置102を設け、各放射線発生装置102を複数のブッキー装置101のそれぞれに対応するように配設しても良い。また、撮影室R1内の任意の場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるポータブルの放射線発生装置を備えることとしても良い。
また、放射線画像撮影装置1の構成については第1の実施形態で述べた通りであり、第2の実施形態で述べたように、各放射線画像撮影装置1にはカセッテIDが割り当てられており、また、放射線画像撮影装置1内には、図示しないタグが内蔵されている。また、本実施形態においても、放射線画像撮影装置1は、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。
また、放射線画像撮影装置1は、ブッキー装置101に装填されない、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。すなわち、放射線画像撮影装置1を単独の状態で例えば撮影室R内に設けられた支持台や臥位撮影用のブッキー装置(いずれも図示せず)等に配置してその放射線入射面R(図1参照)上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足等とベッドとの間に差し込んだりして用いることもできるようになっている。
本実施形態において、放射線画像撮影装置1は、通信手段としてのアンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介して各コンソールC1〜C3と接続されており、各コンソールC1〜C3との間で、各種の制御信号やデータを無線通信により送受信できるようになっている。
ここで、上記の説明と一部重複するが、放射線画像撮影に際し、放射線画像撮影装置1において行われる電源消費モードの切り替えの流れについて説明する。
放射線画像撮影装置1は、その電力消費モードが第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えられた状態で撮影室R内に配置されている。第1モードmode1(スリープ状態)は、前述したように、制御手段22や記憶手段23、アンテナ装置39等の必要な部材にのみ電力が供給され、読み出し回路17や撮像素子7、TFT8等には電力が供給されないモードである。
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えられた状態で、コンソールCから第2モードmode2(照射待ち状態)への切り替えを指示する第2モード移行信号を受信した場合に、撮像素子7に対して逆バイアス電圧の印加を開始するとともに、モード切り替えスイッチ24をオン状態として、読み出し回路17を待機モードへ遷移させ(この場合、読み出し回路17自体には通電されない。)、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えるようになっている。
第2モードmode2(照射待ち状態)は、前述したように、バイアス線9の結線10を流れる電流の電流量に応じて電流検出手段42から出力される電圧値Vに基づいて、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射開始を検出可能なモードである。
なお、本実施形態の放射線画像撮影システム200においても、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vthを越えた時点tstartで、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたと判断するとともに、電流検出手段42により出力される電圧値Vが閾値Vth以下となった時点tendで、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了したと判断する形態について説明する。しかしながら、前述したように、電流検出手段42から出力される電圧値Vの変化率ΔVや、電流検出手段42から出力される電圧値Vの総量の推定値に基づいて、放射線の照射の開始と終了を検出するように構成しても良い。
コンソールCからの第2モード移行信号に応じて第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えられると、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、前述したように、電流検出手段42から出力される電圧値Vを監視して、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vthを越えたか否かを判断することにより、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が開始されたことを検出するようになっている。
そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えられた状態で放射線の照射が開始されたことを検出した場合に、読み出し回路17を待機モードから電力供給モードに遷移させ、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、第2モードmode2(照射待ち状態)から第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えるようになっている。
第3モードmode3(電荷の蓄積状態)では、前述したように、撮像素子7に逆バイアス電圧が印加されるとともに読み出し回路17に電力が供給され、放射線の照射によって撮像素子7内で電荷が発生し、照射された放射線量に応じた電荷が各撮像素子7内に蓄積される。
さらに、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えられた後に、電流検出手段42から出力される電圧値Vを監視して、電流検出手段42により出力される電圧値Vが閾値Vth以下となったか否かを判断することにより、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了したことを検出するようになっている。
なお、放射線の照射開始から所定時間経過後に、放射線の照射が終了したものとみなして、放射線の照射が終了したと判断するように構成されていても良い。
第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えられた状態で放射線の照射が終了したことを検出すると、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、第3モードmode3(電荷の蓄積状態)から第4モードmode4(読み出し状態)に切り替え、撮像素子7内に蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換する読み出し処理を実行する。読み出し処理では、放射線の照射によって各撮像素子7に蓄積された電荷が、電気信号に変換されて記憶手段23に記憶される。
各撮像素子7に蓄積された電荷の読み出し処理を終えた放射線画像撮影装置1が必要に応じて各種の補正処理を施して画像データ(rawデータ)を生成し、生成した画像データから間引き画像データを生成することについては、第2の実施形態で述べた通りである。
そして、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、生成された間引き画像データを、アンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介して、第2モード移行信号を送信したコンソールCから通知された画像データ送信先としてのコンソールCに対して送信する。また、このとき、放射線画像撮影装置1は、間引き画像データに、自身に予め割り当てられているカセッテIDを対応づけて送信することで、自身のカセッテIDを、画像データ送信先としてのコンソールCに通知するようになっている。
さらに、放射線画像撮影装置1は、無線アクセスポイント103およびアンテナ装置39を介して、画像データ送信先のコンソールCから、間引き画像データの元となる画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を受信した場合に、記憶手段23から間引き画像データの元となる画像データを読み出して、アンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介して、画像データ送信先のコンソールCに対して送信するようになっている。
ここで、サブトラクション系画像作成時を除いて、1つの撮影室Rにおける放射線画像撮影において、一回の放射線画像撮影時に、同時に2つ以上の放射線画像撮影装置1を使用することはない。すなわち、大多数の放射線画像撮影は、1つの放射線画像撮影装置1を使用して実行され、放射線の照射は、1つの放射線画像撮影装置1のみに対して行われる。
したがって、一回の放射線画像撮影において、放射線の照射を検出する放射線画像撮影装置1は、1つの撮影室Rにただ1つのみ存在し、同じ撮影室Rに存在するその他の放射線画像撮影装置1は放射線の照射を検出しない。そして、コンソールCでは、1つの撮影室Rにおいて、放射線の照射を検出した1つの放射線画像撮影装置1のみから画像データを受信することとなる。
後述するように、撮影室R内の放射線画像撮影装置1は、タグリーダ104により、そのカセッテIDが読み取られて、コンソールCに通知されており、コンソールCでは、各撮影室R内の各放射線画像撮影装置1を把握するようになっている。そして、撮影が行われた撮影室Rに存在する各放射線画像撮影装置1は、コンソールCにおいて、その撮影室R内の放射線画像撮影装置1が送信した画像データと撮影オーダ情報との対応づけが、操作者により確定された後に、コンソールCから送信される第1モード移行信号に基づいて、その電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるようになっている。
さらに、各放射線画像撮影装置1は、第2モードmode2(照射待ち状態)に移行してから、所定時間内に放射線の照射を検出しない場合にも、電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から自動的に第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるようになっている。
(コンソールC)
コンソールC(図20参照)は、第2の実施形態におけるコンソール107と同様に、コンソール制御手段107a、通信手段107b、入力手段107c、表示手段107dおよび記憶手段107eを備えている(図15参照)。
コンソール制御手段107aは、例えば、汎用のCPU、ROM、RAM等(いずれも図示せず)から構成されており、ROMに格納されている所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、当該プログラムに従ってCPUが各種処理を実行する。
通信手段107bは、無線アクセスポイント103を経由して放射線画像撮影装置1と通信を行うためのもので、放射線画像撮影装置1との間で各種制御信号やデータ等を送受信する。
入力手段107cは、各種の指示や情報等を入力するためのキーボードやマウス等により構成される。
具体的には、入力手段107cは、選択手段として、放射線画像撮影に先立って、操作者が複数の撮影室R1〜R4の中から、撮影を行う撮影室Rを選択する際に操作される。
また、入力手段107cは、放射線画像撮影に先立って、操作者が操作者IDを入力する際に操作されるとともに、撮影室Rでの撮影を終えた操作者が、再び操作者IDを入力する際に操作される。
また、入力手段107cは、第2選択手段として、放射線画像撮影に先立って、操作者が、複数のコンソールC1〜C3の中から、放射線画像撮影により取得された画像データを送信する画像データ送信先としてのコンソールCを選択する際に操作される。
また、入力手段107cは、操作者が放射線画像撮影の対象となる患者の情報や撮影条件を設定する際等に操作される。患者情報および撮影条件は、後述するように、操作者が、入力手段107cを用いて、所定の情報としての撮影オーダ情報を選択して入力することにより設定されるようになっている。また、撮影オーダ情報の選択(入力)は、放射線画像撮影前又は放射線画像撮影後の何れのタイミングにも行うことができるようになっている。
さらに、入力手段107cは、選択された撮影室Rにおける放射線画像撮影の後に、操作者が、その撮影室R内での放射線画像撮影に使用された放射線画像撮影装置1から送信された一または複数の画像データと、撮影前又は撮影後に入力された撮影オーダ情報との対応付けを確定する際に操作される。
表示手段107dは、CRTやLCD等から成り、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像や撮影オーダ情報等の各種の情報を表示する。表示手段107dは、同一の撮影室R内から複数の画像データが送信されてきた場合に、それらの画像データを撮影室R毎に同一画面上にまとめて表示させるようになっている。
記憶手段107eは、ハードディスク等で構成されており、各種情報を記憶している。
具体的には、記憶手段107eは、各撮影室R1〜R4の使用状況、すなわち、各撮影室R1〜R4が「使用中」であるかまたは「空室」であるかを記憶している。コンソールCは、何れの操作者にも選択されていない撮影室Rは、撮影に使用する撮影室Rとして選択可能であるとして、その撮影室Rが「空室」である旨を記憶手段107eに記憶するようになっている。
そして、放射線画像撮影に先立って、操作者が入力手段107cにより選択室Rを選択すると、コンソールCは、操作者の選択した撮影室Rは選択不可能であるとし、記憶手段107eにおけるその撮影室Rの使用状況を「空室」から「使用中」に変更するようになっている。
また、記憶手段107eには、各撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1のリストが記憶されている。記憶手段107eに記憶された放射線画像撮影装置1のリストには、撮影室R1〜R4のそれぞれに存在する放射線画像撮影装置1A〜1NのカセッテIDやシンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等が記憶されている。コンソールCは、前述したように、前室Raの入口近傍に設置されたタグリーダ104が検出した放射線画像撮影装置1のカセッテIDを含む固有情報が送信されてくると、記憶手段107eに登録されている各撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1のリストを参照するようになっている。
そして、コンソールCは、送信されてきた固有情報が記憶手段107eに登録されていなければ、当該放射線画像撮影装置1が新たに撮影室R内に持ち込まれたものと判断してその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストに追加して記憶手段107eに登録する。
また、送信されてきた固有情報が既に記憶手段107eに登録されているものであれば、当該放射線画像撮影装置1が撮影室R内から持ち出されたものと判断してその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストから抹消する。
このようにして、コンソールCは、各撮影室R内の放射線画像撮影装置1のカセッテID等を記憶手段107eに記憶して、各撮影室R内にどの放射線画像撮影装置1が存在するかを把握するようになっている。
また、記憶手段107eには、撮影室R1での放射線画像撮影の対象となる患者の情報と撮影条件を含む撮影オーダ情報が記憶されている。撮影オーダ情報は、放射線画像撮影に先立ってリスト形式で予め記憶手段107eに格納されるようになっている。
本実施形態では、撮影オーダ情報は、図16に例示したように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5及び撮影条件としての「撮影部位」P6、「撮影方向」P7を含んで構成されるようになっている。そして、撮影オーダを受け付けた順に、各撮影オーダ情報に対して「撮影オーダID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
なお、撮影オーダ情報に書き込む患者情報や撮影条件の内容は、上記のものに限定されず、例えば、患者の生年月日、診察回数、放射線の線量、太っているか痩せているか等の情報を含むように構成することも可能であり、適宜設定することができる。また、例えば、ネットワークを介してコンソールCをHISやRIS(いずれも図示せず)に接続し、それらから撮影オーダ情報を入手するように構成することも可能である。
さらに、記憶手段107eは、放射線画像撮影装置1から受信した画像データを、撮影オーダ情報に対応づけて記憶するようになっている。
また、記憶手段107eは、撮影を行った撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1から受信した画像データを、撮影を行った撮影室Rの撮影室IDと対応づけて記憶することで、各撮影室Rから受信した画像データを撮影室R単位で保存するようになっている。 また、記憶手段107eは、選択された1つの撮影室R内に存在する放射線画像撮影装置1から複数の画像データが送信されてきた場合に、それらの画像データをグループ化するとともに、グループ化した画像データを撮影室Rの撮影室IDと対応づけて記憶するようになっている。
また、記憶手段107eは、放射線画像撮影に先立って、入力手段107cにより操作者IDが入力されるとともに、撮影室Rが選択されると、選択された撮影室Rの撮影室IDと操作者IDとを対応づけて記憶するようになっている。
そして、コンソールCのコンソール制御手段107aは、撮影室R内の放射線画像撮影装置から送信された画像データを、無線アクセスポイント103および通信手段107bを介して受信した場合に、受信した画像データにヘッダ情報として付されている無線アクセスポイント103のアドレスに基づいて、その画像データの経由した無線アクセスポイント103を判別する。そして、画像データが経由した無線アクセスポイント103に対応する撮影室Rを、画像データを送信した放射線画像撮影装置が配置された撮影室Rとして特定する。
さらに、撮影室Rでの撮影を終えた操作者が、撮影室Rから画像送信先として選択されたコンソールCに移動して、入力手段107cにより操作者IDを入力すると、コンソール制御手段107aは、入力された操作者IDに対応づけられている撮影室Rの撮影室IDを記憶手段107eから読み出し、読み出した撮影室Rの撮影室IDと、画像データを送信した放射線画像撮影装置1が配置された撮影室Rの撮影室IDとが一致するか否かを判断する。そして、両者が一致する場合には、正しい撮影室R、すなわち、その操作者が選択した撮影室Rで撮影が行われたものと判断する。一方、両者が一致しない場合には、その操作者が選択した撮影室Rとは別の誤った撮影室Rで撮影が行われたものと判断する。
また、各コンソールC1〜C3は、自身の記憶手段107eが更新された場合に、その更新内容を、同じネットワークNに接続された他のコンソールCに対して送信するようになっている。そして、各コンソールC1〜C3の記憶手段107eの内容は、その他のコンソールCから送信される最新のデータに基づいて更新されるようになっている。
なお、各コンソールCの記憶手段107eに記憶された放射線画像撮影装置1のリストや撮影オーダ情報、画像データ等をデータ管理サーバSに格納し、データ管理サーバSが、コンソールCからの要求に応じたデータをそのコンソールCに送信するように構成されていても良い。
また、コンソールCには、この他にも、例えば、コンソールCから出力された画像データに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等が適宜接続される。
本実施形態において、コンソールCは、通信手段107bや各撮影室Rに設けられた無線アクセスポイント103等を介して、各撮影室R内に存在する全ての放射線画像撮影装置1A〜1Nとの間で通信ができるようになっている。また、コンソールCは、入力手段107cにより操作者が、撮影に使用する撮影室Rを選択した場合に、選択された撮影室Rと対応づけられるようになっている。
そして、コンソールCは、入力手段107cにより、撮影に使用する撮影室Rが選択された場合に、選択された撮影室R内に第1モード(スリープ状態)で配置されている放射線画像撮影装置1に対して、第2モード移行信号を送信することで、その撮影室R内の全ての放射線画像撮影装置1の電源消費モードを、第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させるようになっている。
また、第2モード移行信号の送信に際して、コンソールCは、選択された撮影室R内の放射線画像撮影装置1に対して、入力手段107cにより画像データ送信先として選択されて入力されたコンソールCを通知するようになっている。コンソールCは、例えば、第2モード移行信号とともに、画像データ送信先として選択されたコンソールCを特定するための識別情報を送信することで、画像データ送信先として選択されたコンソールCを放射線画像撮影装置1に通知する。
さらに、コンソールCは、そのコンソールCが画像データ送信先のコンソールCとして選択された場合に、放射線の照射を検出した何れか1つの放射線画像撮影装置1から送信される間引き画像データを、無線アクセスポイント103および通信手段107bを介して受信するようになっている。
そして、画像データ送信先として選択され、放射線画像撮影装置1から送信された間引き画像データを受信したコンソールCは、受信した間引き画像データに対応付けられている放射線画像撮影装置1のカセッテIDを取得する。また、このとき、コンソールCは、入力手段107cにより入力された操作者IDに対応付けられている撮影室IDの撮影室R(すなわち、その操作者が撮影を行った撮影室R)から送信された間引き画像データを、表示手段107dに表示させる。
さらに、表示手段107d上の画像を見た操作者が、再撮影の要否等を判断して、間引き画像データの元となる画像データの送信を要求する操作を行った場合に、間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1のカセッテIDに基づいて、間引き画像データの元となる画像データの送信を要求する指示を、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して、間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1に対して送信するようになっている。
また、画像データ送信先として選択され、間引き画像データを受信したコンソールCは、撮影に使用された放射線画像撮影装置1から間引き画像データの元となる画像データを受信すると、受信した間引き画像データの元となる画像データに基づく画像を、入力手段107cにより入力された撮影オーダ情報と対応づけて表示手段107dに表示させる。さらに、間引き画像データの元となる画像データと撮影オーダ情報との対応づけが確定されると、コンソールCは、その撮影室Rにおける放射線画像撮影が終了したと判断し、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して、第1モードmode1(スリープ状態)への切り替えを指示する第1モード移行信号を送信することにより、撮影室R内に存在する全ての放射線画像撮影装置1を、放射線の照射を検出可能な第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に移行させるようになっている。
さらに、このコンソールCは、選択された撮影室Rにおける放射線画像撮影が終了したと判断した後に、記憶手段107eに記憶されたその撮影室Rの使用状況を、「使用中」から「空室」に変更する。これにより、その撮影室Rが、選択不可能な撮影室Rから、選択可能な撮影室Rに切り替えられることとなる。
次に、図21〜図23のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る放射線画像撮影システム200の作用について説明する。
まず、使用中でない撮影室Rの放射線画像撮影装置1は、電源消費モードが第1モードmode1(スリープ状態)とされた状態で、撮影室Rに配置される(図21のステップS21)。
放射線画像撮影に先立って、放射線画像撮影を行う操作者は、コンソールCの入力手段107c等により、予め自身に割り当てられている操作者IDを入力する(図21のステップS22)。
次に、コンソールCのコンソール制御手段107aは、記憶手段107eに記憶されている撮影オーダ情報を読み出して(或いはネットワークを介してHIS/RISから撮影オーダ情報を入手して)取得し、例えば図19に示したように、表示手段107dの選択画面H1上に表示する。
本実施形態では、選択画面H1には、記憶手段107eに記憶された撮影オーダ情報のリストを表示するための撮影オーダ情報表示欄h11が設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の左側には、今回の放射線画像撮影で設定する撮影オーダ情報を選択するための選択ボタンh12が各撮影オーダ情報に対応して設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh13および戻るボタンh14が設けられている。
操作者は、選択画面H1上で、入力手段107cを用いて、今回の放射線画像撮影の撮影オーダ情報に対応する選択ボタンh12をクリックし、さらに、決定ボタンh13をクリックすることにより、撮影オーダ情報を選択する(図21のステップS23)。
次に、コンソールCのコンソール制御手段107aは、画像データ送信先としてのコンソールCを選択するための図示しない選択画面を表示手段107dに表示する。操作者は、この選択画面上で、選択可能なコンソールC1〜C3の中から、放射線画像撮影装置1からの画像データの送信先としてのコンソールCを選択する(図21のステップS24)。
なお、画像データ送信先の選択におけるデフォルト設定では、撮影オーダ情報や撮影室Rの選択を行ったコンソールCが画像データ送信先のコンソールとして選択されるようになっており、操作者が別のコンソールCを画像送信先として選択しない限りは、自動的に、撮影オーダ情報や撮影室Rの選択を行ったコンソールCが画像データ送信先として選択されることとなる。
次に、コンソールCのコンソール制御手段107aは、図24に示すように、撮影を行う撮影室Rを選択するための選択画面H2を表示手段107dに表示する。
本実施形態では、選択画面H2には、撮影室R1〜R4を表示するための撮影室表示欄h15が設けられている。
また、撮影室表示欄h15の左側には、今回の放射線画像撮影で選択可能な撮影室Rを選択するための選択ボタンh16が、選択可能な各撮影室Rに対応して設けられている。この選択ボタンh16は、記憶手段107eにおいて「空室」とされた選択可能な撮影室R1、R3、R4のみに対応して設けられており、記憶手段107eにおいて「使用中」とされた選択不可能な撮影室R2は選択できないようになっている。また、撮影室表示欄h15における使用中の撮影室R2の欄には、その撮影室R2が「使用中」である旨が表示されている。これにより、操作者は、図24の選択画面H2を見て、放射線画像撮影の行われていない空室の撮影室R1、R3、R4と、放射線画像撮影が行われている使用中の撮影室R2とを認識することができる。
また、撮影室表示欄h15の右側には、各撮影室Rに存在する放射線画像撮影装置1に関する情報を表示するための放射線画像撮影装置表示欄h17が設けられている。放射線画像撮影装置表示欄h17には、例えば図24に示すように、各撮影室Rに存在する各放射線画像撮影装置1A〜1NのカセッテIDが表示されており、操作者は、例えば、撮影室R1に、カセッテID「1001」〜「1005」が割り当てられた5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eが存在することを認識することができる。このように、操作者は、各撮影室Rに存在する放射線画像撮影装置1を認識した上で、撮影に使用する撮影室Rの選択を行うことができる。
なお、選択画面H2に表示される各撮影室Rに存在する各放射線画像撮影装置1に関する情報は、カセッテIDに限られず、例えば、各放射線画像撮影装置のシンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等の情報であっても良い。
また、撮影オーダ情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh18および戻るボタンh19が設けられている。
操作者は、選択画面H2上で、今回の放射線画像撮影の撮影オーダ情報に対応する選択ボタンh16をクリックし、さらに、決定ボタンh18をクリックすることにより、今回の放射線画像撮影に使用する撮影室Rを選択する(図21のステップS25)。
すると、コンソールCのコンソール制御手段107aは、記憶手段107eに記憶された各撮影室Rの使用状況において、選択された撮影室Rの使用状況を「空室」から「使用中」に変更する(図21のステップS26)。これにより、撮影室R1は、この撮影が終了するまでの間は、撮影に使用する撮影室Rとして選択できないこととなる。
また、コンソールCのコンソール制御手段107aは、選択された撮影室Rに予め割り当てられている撮影室IDと、ステップS22の処理において操作者により入力された操作者IDとを対応づけて記憶手段107eに記憶する(図21のステップS27)。
なお、以下では、撮影に使用する撮影室Rとして選択された撮影室Rにおける処理を、他の撮影室Rにおける処理と区別可能なように、例えば、操作者が、4つの撮影室R1〜R4の中から、撮影室R1を、撮影を行う撮影室Rとして選択した場合について説明する。また、画像データ送信先として選択されたコンソールCにおける処理を、他のコンソールCにおける処理と区別可能なように、例えば、操作者が、3つのコンソールC1〜C3の中から、コンソールC1を、画像データ送信先のコンソールCとして選択した場合について説明する。
次に、コンソール制御手段107aは、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して、第2モードmode2(照射待ち状態)への切り替えを指示する第2モード移行信号を、画像データ送信先として選択されたコンソールC1の識別情報とともに、選択された撮影室R1に存在する全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eに対して送信する(図21のステップS28)。また、コンソールCは、操作者により、選択画面H1上で選択された撮影オーダ情報を、ケーブル等を介して選択された撮影室R1の前室Raに配設された操作卓105に送信する。
一方、選択された撮影室R1に配置されている各放射線画像撮影装置1A〜1Eの制御手段22は、コンソールCから第2モード移行信号を受信したか否かを判断する(図21のステップS29)。そして、各放射線画像撮影装置1A〜1Eの制御手段22は、第2モード移行信号を受信したと判断すると(図21のステップS29;Yes)、撮像素子7に逆バイアス電圧を印加するとともに、モード切替スイッチをオン状態に制御して、読み出し回路17を電力が供給されない待機モードに遷移させることにより、電源消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替える(図21のステップS30)。
ここで、コンソールCから送信された第2モード移行信号は、撮影を行う撮影室Rとして選択された撮影室R1内の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eにおいて受信される。したがって、選択された撮影室R1内の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eが、コンソールCからの指示によって、第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に移行することとなる。
また、コンソールCは、選択された撮影室R1に配置されている各放射線画像撮影装置1A〜1Eにおいて、放射線を照射しないで読み取りを実施するいわゆるダーク読取処理を行い、ダーク読取値を取得する。ダーク読取処理により取得されたダーク読取値は、後述する画像補正処理におけるオフセット補正を行うためのオフセット補正値として用いられる。
なお、ダーク読取処理を実行するタイミングは撮影前に限られず、撮影後のタイミングに実行されるように構成しても良い。
また、ダーク読取処理(オフセット補正処理)が放射線画像撮影装置1側で行われるように構成しても良い。
次に、選択された撮影室R1内の放射線画像撮影装置1A〜1Eの制御手段22は、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vthを越えたか否かを判断することにより、放射線の照射が開始されたか否かを判断する(図21のステップS31)。
操作者は、上述したコンソールC上で撮影オーダ情報や撮影を行う撮影室R1、画像データ送信先としてのコンソールC1を選択する作業が終了すると、コンソールCから撮影室R1に移動し、撮影室R1に第2モードmode2(照射待ち状態)で配置されている5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eの中から、所望の放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を実行する。具体的には、操作者は、撮影室R2の前室Raに配置された操作卓105のスイッチ手段106を操作して放射線発生装置102を起動させ、放射線発生装置102からの放射線を、所望の放射線画像撮影装置1に対して照射させる。
このとき、操作者は、選択された撮影室R1に第2モードmode2(照射待ち状態)で配置されている5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eのうちの、どの放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を実行しても良い。つまり、操作者は、選択した撮影室R1内で実際に放射線画像撮影を行う段階で、初めて、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を選び、放射線画像撮影を行うことができる。
また、操作者は、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を、撮影に使用する放射線画像撮影装置1として選択するための何らの操作や作業を行う必要がなく、単に、撮影に使用する放射線画像撮影装置1に対して、放射線発生装置102からの放射線を照射して放射線画像撮影を行うだけで良い。
以下では、撮影に使用される放射線画像撮影装置1で行われる処理と、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1で行われる処理とを区別して説明するため、一例として、操作者が、撮影室R1に配置された5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eのうち、放射線画像撮影装置1Eを使用して放射線画像撮影を実行する場合について説明することとする。
撮影に使用されず、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1A〜1Dの制御手段22は、放射線の照射が開始されないと判断すると(図21のステップS31;No)、ステップS31の処理を繰り返す。
一方、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、放射線の照射によって電流検出手段42から出力される電圧が閾値Vthを越えたことを検出し、放射線の照射が開始されたと判断すると(図21のステップS31;Yes)、モード切り替えスイッチ24をオフ状態として読み出し回路17に電力を供給し、読み出し回路17を電力供給モードに遷移させることにより、自身の電力消費モードを、第2モードmode1から第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替える(図22のステップS32)。
すなわち、選択された撮影室R1に配置された5つの放射線画像撮影装置1A〜1Eのうち、実際に撮影に使用されている1つの放射線画像撮影装置1Eのみが、放射線の照射を受けて自動的に第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に移行し、一方、撮影に使用されないその他の放射線画像撮影装置1A〜1Dは、第2モードmode2(照射待ち状態)の状態のまま維持されることとなる。
次に、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vth以下となったか否かを判断することにより、放射線の照射が終了したか否かを判断する(図22のステップS33)。そして、放射線発生装置102からの放射線の照射が終了することにより、電流検出手段42から出力される電圧値Vが閾値Vth以下となって、放射線の照射が終了したと判断すると(図22のステップS33;Yes)、走査駆動回路15に信号読み出し用のオン電圧を各走査線5に印加させることにより各走査線5に接続されているTFT8をオン状態とし、その電源消費モードを第3モードmode3(電荷の蓄積状態)から第4モードmode4(読み出し状態)に切り替える。そして、放射線の照射によって撮像素子7に蓄積された電荷を電気信号に変換する読み出し処理を実行し、読み出し処理により取得したデータを記憶手段23に記憶させる(図22のステップS34)。
さらに、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、読み出し処理により取得したデータに対して、オフセット/ゲイン補正や欠陥補正等、必要に応じて各種の補正処理を施すことにより画像データ(rawデータ)を生成して記憶手段23に記憶させるとともに、生成した画像データから間引き画像データを生成する(図22のステップS35)。そして、生成した間引き画像データを、自身に割り当てられているカセッテID「1005」と対応づけて、アンテナ装置39や無線アクセスポイント103を介して、画像データ送信先としてのコンソールC1に送信する(図22のステップS36)。
コンソールC1は、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eから送信された間引きデータを、無線アクセスポイント103や通信手段107bを介して受信する(図22のステップS37)。
次に、コンソールC1のコンソール制御手段107aは、受信した間引き画像データのヘッダ情報として付された無線アクセスポイント103のアドレスに基づいて、間引き画像データが経由した無線アクセスポイント103を判別し、どの撮影室Rで撮影が行われたかを判断する(図22のステップS38)。
次に、撮影室R1での放射線画像撮影を終えた操作者は、撮影室R1から画像データ送信先として指定したコンソールC1に戻り、入力手段107cにより、自身に割り当てられている操作者IDを入力する(図22のステップS39)。
コンソールC1のコンソール制御手段107aは、入力手段107cにより操作者IDが入力されると、入力された操作者IDに対応づけられている撮影室Rの撮影室IDを記憶手段107eから読み出し、読み出した撮影室R1(すなわち、撮影に使用する撮影室Rとして選択された撮影室R1)の撮影室IDと、実際に撮影が行われた撮影室Rの撮影室IDとが一致するか否かに基づいて、その操作者が選択した撮影室R1で撮影が行われたことを確認する(図22のステップS40)。なお、入力された操作者IDに対応づけられている撮影室R1の撮影室IDと、実際に撮影が行われた撮影室Rの撮影室IDとが一致しない場合には、誤った撮影室Rで撮影が行われたと判断して、その旨を表示手段107d上で操作者に通知する。
次に、画像データ送信先としてのコンソールC1のコンソール制御手段107aは、その操作者が撮影を行った撮影室R1から受信した間引き画像データ、すなわち、その操作者が撮影に使用し、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1Eから受信した間引き画像データを、入力手段107cにより選択されて入力された撮影オーダ情報と対応づけて、表示手段107dに表示させる(図22のステップS41)。
操作者は、画像データ送信先としてのコンソールC1の表示手段107dに表示された画像データを見て、再撮影の要否や正しい撮影オーダ情報と対応づけられているか等を確認し、再撮影を行わない場合には、入力手段107cを用いて、間引き画像データの元の画像データ(rawデータ)の送信を指示する操作を行う(図23のステップS42)。
なお、コンソールC1のコンソール制御手段107aは、同一の撮影室R1から複数の間引き画像データを受信した場合には、同一の撮影室R1から受信したそれらの画像データを表示手段107dにグループ化して表示させる。このように、同一の撮影室R1から受信した複数の間引き画像データを表示手段107dに表示させる場合には、技師等の操作者が、表示手段107dに表示された各間引き画像データと撮影オーダ情報との対応関係を修正し、図示しない確定ボタン等を押下することで、各間引き画像データと撮影オーダ情報との対応関係を適宜修正して保存することができるようになっている。
画像データ送信先として選択されたコンソールCのコンソール制御手段107aは、入力手段107cにおいて、間引き画像データの元の画像データ(rawデータ)の送信が指示されると、元の画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して、間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1E(すなわち、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1E)に対して送信する(図23のステップS43)。
間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1E(すなわち、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1E)は、元の画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を受信すると、記憶手段23に記憶された元の画像データ(rawデータ)を読み出して、アンテナ装置39および無線アクセスポイント103を介して、画像データ送信先としてのコンソールC1に対して送信する(図23のステップS44)。
一方、画像データ送信先としてのコンソールC1のコンソール制御手段107aは、放射線画像撮影装置1Eから送信された元の画像データ(rawデータ)を受信すると(図23のステップS45)、同一の撮影室Rから複数の元の画像データ(rawデータ)を受信したか否かを判断する(図23のステップS46)。そして、同一の撮影室Rから複数の元の画像データ(rawデータ)を受信したと判断した場合には(図23のステップS46;Yes)、それら複数の元の画像データ(rawデータ)に撮影室Rの撮影室IDを対応づけることで、元の画像データ(rawデータ)を撮影室R単位でグループ化する(図23のステップS47)。
なお、このような撮影室R単位での元の画像データ(rawデータ)のグループ化処理と同様の処理が、前述した間引き画像データの取得時にも行われるようになっている。
さらに、コンソールC1のコンソール制御手段107aは、受信した元の画像データ(rawデータ)に基づく画像を、撮影オーダ情報とともに表示手段107dに表示させる(図23のステップS48)。このとき、同一の撮影室Rから受信した複数の画像データがある場合には、コンソール制御手段107aは、それらの画像データを同一画面上にグループ化して表示させる。
さらに、表示手段107d上の画像を見た操作者が、入力手段107cにより受信した元の画像データと撮影オーダ情報との対応付けを確定する操作を行うと(図23のステップS49)、コンソール制御手段107aは、受信した元の画像データ(rawデータ)と撮影オーダ情報との対応付けを確定し、撮影が行われた撮影室Rの撮影室IDと対応づけて、元の画像データ(rawデータ)を撮影室R毎に記憶手段107eに格納する。
さらに、コンソール制御手段107aは、元の画像データと撮影オーダ情報との対応づけが確定されると、その撮影室R1における撮影が終了したと判断して、撮影室R1内に存在する全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eに対して、電源消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替える旨を指示する第1モード移行信号を、通信手段107bおよび無線アクセスポイント103を介して送信する(図23のステップS50)。
撮影室R1に配置された放射線画像撮影装置1A〜1Eは、コンソールCから第1モード移行信号を受信すると、電源消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替え(図23のステップS51)、本処理を終了する。
そして、画像データ送信先として選択されたコンソールC1から送信された第1モード移行信号は、撮影室R1内に配置された全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eにおいて受信されることとなる。これにより、撮影に使用された撮影室R1内の全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eの電源消費モードが、第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えられ、さらに、当該撮影室R1は空室状態に切り替えられ、一連の処理が終了することとなる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム200によれば、コンソールCは、入力手段107cにより撮影を行う撮影室R1が選択されたタイミングで、選択された撮影室R1内に存在する全ての放射線画像撮影装置1A〜1Eの電力消費モードを、放射線の照射開始を検出可能な第2モードmode2(照射待ち状態)に移行させる。そして、選択された撮影室R1内に配置されている放射線画像撮影装置1A〜1Eのうち、撮影に使用される1つの放射線画像撮影装置1Eの制御手段22は、電流検出手段42により検出されるバイアス線9を流れる電流の電流量を監視することにより放射線の照射を検出すると、電力消費モードを、読み出し回路17を電力供給モードとする第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替える。さらに、第3モードmode3(電荷の蓄積状態)に切り替えられた放射線画像撮影装置1Eは、放射線の照射によって撮像素子7に蓄積された電荷を読み出して画像データを生成し、画像データ送信先として選択されたコンソールCに送信する。
すなわち、操作者が、撮影前に撮影に使用する放射線画像撮影装置1を選択しなくとも、撮影室を選択する操作を行うだけで、実際に撮影に使用した放射線画像撮影装置1からコンソールCに画像データが送信されることとなる。
したがって、本実施形態の放射線画像撮影システム200において、操作者は、個々の放射線画像撮影装置1を意識的に識別して使用する必要がなく、また、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を選択するための何らの操作や作業を行う必要がない。
つまり、操作者は、撮影に使用する放射線画像撮影装置1のカセッテIDを認識して、複数の放射線画像撮影装置1の中から、そのカセッテIDが付帯された放射線画像撮影装置1を探し出す作業を行う必要もなければ、撮影に使用する放射線画像撮影装置1の電源消費モードを、撮影可能なモードに切り替えるような操作や作業を行う必要もない。
これにより、操作者は、実際に放射線画像撮影を行う段階になって、初めて、患者の容態等に合わせて撮影に使用する放射線画像撮影装置1を決め、その放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を行うことができる。
また、放射線画像撮影を使用する段階になって、当初使用する予定であった放射線画像撮影装置1とは別の放射線画像撮影装置1を使用する必要が生じた場合であっても、操作者は、別の放射線画像撮影装置1を使用して撮影を行うための何らの操作を行う必要がない。
また、操作者は、放射線画像撮影を行うにあたって、自分の使用している放射線画像撮影装置1が、どの放射線画像撮影装置1であるかを意識する必要がない。
また、操作者は、撮影前にコンソールC上で撮影室Rの選択のみを行って、あとは、撮影室R1において、スイッチの操作やクレードルからの取り出し等の何らの作業を行うことなく、単に、所望の放射線画像撮影装置1を使用して放射線画像撮影を実行するだけでよい。
更に、コンソールCにおいて取得された画像データは、選択された撮影室Rに対応付けられて撮影室R毎に保存されるため、複数の撮影室Rのうちのどの撮影室Rを選択して使用しても、技師等の操作者は、撮影に使用した当該撮影室Rの番号等をコンソールCに入力することで、自分が撮影を担当した画像データのみを抽出することができ、コンソールCを、複数の技師等の操作者間、複数の撮影室R間で、共有するシステムであっても、画像データの混在を防止し、撮影オーダ情報との対応付けを正しく行うことができる。
このように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、操作者の作業上の負担が非常に軽く、操作者にとって大変利便的なシステムとなる。
また、コンソールCに、実際に撮影に使用した放射線画像撮影装置1から画像データが送信されることとなるため、たとえ、操作者が、放射線画像撮影装置1を誤って使用した場合(当初撮影に使用する予定であった放射線画像撮影装置1とは異なる放射線画像撮影装置1を使用した場合)であっても、コンソールCにおいて、実際に撮影に使用した放射線画像撮影装置1からの正しい画像データを取得することができる。
すなわち、例えば、操作者がカセッテID「1004」が割り当てられた放射線画像撮影装置1Dを使用するつもりで、誤って、カセッテID「1005」が割り当てられた放射線画像撮影装置1Eを使用して放射線画像撮影を実行した場合であっても、コンソールCには、実際に撮影に使用したカセッテID「1005」の放射線画像撮影装置1Eから画像データが送信されることとなるため、放射線画像撮影装置1の取り違えがあったとしても、正しい画像データが取得できることとなる。
また、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されるまで読み出し回路17がより低消費電力の待機モードに維持されるため、読み出し回路17が待機モードよりは高消費電力である電力供給モードになっている時間が必要以上に長時間になることを抑制することが可能となる。そのため、放射線画像撮影の際の電力の消費量を低減することが可能となり、電力の無駄な消耗を抑制することが可能となる。
また、画像データ送信先として選択されたコンソールCにおいて、入力手段107cにより入力された撮影オーダ情報と、実際に撮影に使用された放射線画像撮影から送信された画像データとが対応づけられるため、利便性が向上する。
さらに、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1は、間引き画像データを生成してコンソールCに送信するため、操作者は、早い段階で、コンソールC上で画像を確認して、再撮影の要否を判別することができる。
また、操作者は、撮影に使用する撮影室Rを複数の撮影室Rの中から選択することができるため、操作者は、所望の撮影室Rで撮影を行うことができることとなって、操作者にとって利用し易いシステムとなる。
さらに、撮影に使用する撮影室Rの選択の際に、各撮影室Rに存在する放射線画像撮影装置1のカセッテIDが、撮影室R毎に表示手段107d上に表示されるため、操作者は、各撮影室Rにどの放射線画像撮影装置1が存在するかを認識した上で、撮影に使用する撮影室Rを選択することができる。
また、本実施形態の放射線画像撮影システムにおいて、複数のコンソールCが設けられ、複数の撮影室R間で共有されている場合に、複数のコンソールCの中から、放射線画像撮影装置1から画像データを送信する画像データ送信先としてコンソールCを選択することができるため、操作者は、所望のコンソールCで画像データを確認することができることとなり、操作者にとって更に利用し易いシステムとなる。
また、デフォルト設定のコンソールC、或いは、画像データ送信先のコンソールCとして新たに選択されたコンソールCは、いずれも、同一の撮影室R内に存在する複数の放射線画像撮影装置1から送信された複数の画像データを受信した場合、受信した複数の画像データを撮影室毎にグループ化するため、操作者は、1つの撮影室R内で複数の放射線画像撮影装置1を使用して複数回の撮影を行った場合であっても、コンソールC上で、これらの撮影により取得された複数の画像データをまとめて把握することができる。
なお、上記実施形態では、撮影に使用する撮影室Rとして選択された撮影室R内の放射線画像撮影装置1は、その撮影室R内の放射線画像撮影装置1から送信された間引き画像データの元となる画像データ(rawデータ)と撮影オーダ情報との対応付けの確定後に、コンソールCから送信される第1モード移行信号に応じて、電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成されている場合について説明したが、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるタイミングはこれに限定されない。
例えば、放射線画像撮影装置1は、コンソールCから送信される第2モード移行信号に応じて、電力消費モードが第1モードmode1(スリープ状態)から第2モードmode2(照射待ち状態)に切り替えられた後、所定時間内に放射線の照射を検出しない場合に、制御手段22により、自動的に電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成しても良い。このように構成することにより、コンソールCと放射線画像撮影装置1との間で、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に移行させるための信号等をやり取りする必要が無くなり、制御構成がより簡略化することとなる。
また、1つの撮影室R内で放射線画像撮影が一回のみ行われる場合には、コンソールCは、撮影に使用される放射線画像撮影装置1から間引き画像データを受信した後に、撮影に使用された放射線画像撮影装置1以外の放射線画像撮影装置1を全て第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成しても良い。複数回の放射線画像撮影が行われるか否かは、例えば、撮影に先立って入力された撮影オーダ情報の数に基づいて判断することができる。
また、撮影室R内で放射線画像撮影が一回のみ行われる場合には、さらに、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1が、放射線の照射を検出した時点で、直ちに、放射線の照射を検出した旨を自己のカセッテIDとともにコンソールCに通知し、その通知を受けたコンソールCが、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1以外の放射線画像撮影装置1に対して、第1モードへの切り替えを指示する第1モード移行信号を送信することで、放射線の照射を検出しない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを第2モードmode2(照射待ち状態)から第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成しても良い。このように構成することにより、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、さらに早い段階で第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えることができ、消費電力をさらに低減することができる。
このように、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1が、コンソールCからの制御によって、第2モードmode2よりもさらに消費電力の低い第1モードmode1に切り替えられることとなるため、消費電力をさらに低減することができる。
すなわち、コンソールCからの制御によって第2モードmode2に切り替えられた放射線画像撮影装置1が、所定時間以上に亘って放射線の照射を検出しない場合に、自主的に第1モードmode1に切り替えられるシステムでは、第2モードmode2から第1モードmode1への切り替えの時間間隔を十分に長く設定すると、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1における電力の無駄な消耗が増大してしまう。一方で、第2モードmode2から第1モードmode1への切り替えの時間間隔を短く設定すると、第2モードmode2に切り替えた時点から放射線画像撮影を実行するまでの時間が長い場合に、実際に放射線画像撮影を行う段階になって、既に全ての放射線画像撮影装置1が第1モードmode 1に移行している可能性がある。
このような場合と比較して、本実施形態の放射線画像撮影システム200のように、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1が、コンソールCからの制御によって、第2モードmode2から第1モードmode1に切り替えられるように構成した場合には、より適切なタイミングで、撮影に使用されない放射線画像撮影装置1を第1モードmode1に切り替えることができる。
また、撮影に使用され、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1の制御手段22は、コンソールCに対して元の画像データ(rawデータ)を送信した後に、装置の電源消費モードを第1モードmode1(スリープ状態)に切り替えるように構成されていても良い。
また、上記実施形態では、放射線の照射を検出した放射線画像撮影装置1が、間引き画像データを、間引き画像データの元となる画像データに優先してコンソールCに送信する構成について説明したが、間引き画像データを生成せず、元の画像データ(rawデータ)のみを送信するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、操作者が、コンソールCの入力手段107cにより、画像データの送信を要求した場合に、放射線画像撮影装置1からコンソールCに対して画像データを送信する場合について説明したが、放射線画像撮影装置1に、画像データの送信を指示するための画像送信スイッチを設け、操作者により画像送信スイッチが操作された場合に、コンソールCに対して画像データを送信するように構成されていても良い。
なお、上記の第2の実施形態および第3の実施形態において、放射線画像撮影装置1で電流検出手段42により検出されるバイアス線9を流れる電流の電流量を監視して放射線の照射を検出する代わりに、第1の実施形態で説明したように、走査線5や信号線6を流れる電流を検出したり、或いは、電流検出手段42*(図12参照)で走査駆動回路15の電源回路15aとゲートドライバ15bとの間を流れる電流を検出する等して、放射線の照射により装置内を流れる電流を検出することにより放射線の照射を検出するように構成することも可能である。
なお、本発明が上記の各実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。