以下、本発明に係る可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
なお、以下、可搬型放射線画像撮影装置を単に放射線画像撮影装置と表す。また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置やそれを用いた放射線画像撮影システムに対しても適用することができる。
[放射線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等が収納されたカセッテ型の可搬型放射線画像撮影装置として構成されている。
ハウジング2は、少なくとも放射線の照射を受ける側の面(放射線入射面)Rが放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。なお、図1や図2では、ハウジング2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわば弁当箱型である場合が示されているが、ハウジング2を一体的に形成する、例えば特開2002−311526号公報に記載されたX線画像撮影装置のような、いわばモノコック型とすることも可能である。
ハウジング2の内部の基板4の下方側には、図2に示すように、基台31が配置されており、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。また、本実施形態では、基台31やPCB基板33の下面側には、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R側から入射し、シンチレータ3や基板4、基台31等を透過した放射線を検出して、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されたことを検出する照射検出手段である放射線センサ35が取り付けられている。なお、本実施形態では、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板36が配設されている。
シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光線を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ本実施形態では光電変換素子である放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、放射線検出素子7は、基板4上に二次元状に配列されており、放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、放射線検出素子7として、放射線入射面Rから入射した放射線の照射線量に応じてシンチレータ3で変換されて出力される電磁波の光量に応じて電荷を発生させるフォトダイオードが用いられているが、この他にも、例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図3や図4の拡大図に示すように、スイッチ素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、オン状態とされることにより、すなわちゲート電極8gに信号読み出し用の電圧が印加されてTFT8のゲートが開かれることにより、放射線検出素子7に蓄積された電荷を信号線6に放出させるようになっている。ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
基板4の面4a上に、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCr等が積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCr、Mo等からなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。
放射線画像撮影装置1のハウジング2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は放射線検出素子7のi層76に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。放射線検出素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。
p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、本実施形態では、上記のように、放射線検出素子7としてp層77、i層76、n層75が積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合を説明したが、放射線検出素子7は、このようなpin型の放射線検出素子に限定されない。
また、放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7に逆バイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
図3や図4に示すように、本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。バイアス線9や結線10は、電気抵抗が小さい金属線で形成されている。
本実施形態では、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。
一方、図1に示すように、ハウジング2の一方側の短辺側側面部2aには、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1を持ち運ぶ際に把持するための略コ字状に形成された取手部37が設けられている。本実施形態では、取手部37は、固定部37aを介してハウジング2にねじ止め等により固定されるようにして取り付けられるようになっている。
なお、取手部37のハウジング2への取り付けを上記のようなねじ止めで行う代わりに、例えば、取手部37の固定部37aに凸部または凹部、ハウジング2の取手部37の固定部37aの取り付け箇所に凹部または凸部を設けておき、取手部37とハウジング2の凹部と凸部とを係止させる等して、取手部37をハウジング2に対して着脱可能に取り付けることができるように構成することも可能である。
また、取手部37には、外部機器と無線通信可能な通信手段としてのアンテナ装置38が埋め込まれて設けられている。さらに、ハウジング2の取手部37が設けられた側面部2aには、電源スイッチ39が設けられている。
なお、アンテナ装置38を設ける箇所は、本実施形態のように取手部37に限定されず、例えば、放射線画像撮影装置1のハウジング2の側面部2a〜2dのうちのいずれか、或いは複数の側面部に埋め込むように、或いはその表面に貼付する等して設けるように構成してもよい。その場合、取手部37にアンテナ装置38を設け、あわせてこれらの側面部2a〜2dにアンテナ装置を設けてもおく、取手部37にはアンテナ装置38を設けずに側面部2a〜2dにのみアンテナ装置を設けるように構成してもよい。また、特に、放射線画像撮影装置1に取手部37を設けない場合には、ハウジング2の1つの、或いは複数の側面部2a〜2dにアンテナ装置を設けることが好ましい。
また、放射線画像撮影装置1は、後述するように、例えば放射線画像撮影システム50においてブッキー装置51に装填されて使用される場合があるが、その際、放射線画像撮影装置1の側面部等にブッキー装置51と電気的に接続される図示しない端子等を設けておき、ブッキー装置51を介して外部機器と信号やデータ等の送受信を行うことができるように構成することも可能である。
ハウジング2の取手部37が設けられた側面部2aには、さらに、後述する制御手段22の制御により放射線画像撮影装置1が放射線を照射可能な状態であることを操作者に告知するためのLED(Light Emitting Diode)等で構成されたレディライト40が設けられている。
本実施形態では、例えば放射線画像撮影システム50において放射線画像撮影装置1がブッキー装置51に装填されて使用される場合、放射線画像撮影装置1は、操作者により取手部37が把持された状態で、取手部37が設けられた側面部2aに対向する側面部2b側からブッキー装置51に装填される。そのため、取手部37が設けられた側面部2aは、放射線画像撮影装置1がブッキー装置51に装填された状態では、外部に露出するようになり、レディライト40が点灯したか否かを操作者が外部から容易に視認することが可能となる。
なお、放射線画像撮影装置1に取手部37が設けられない場合もあり、その場合には、図1に破線で示すように、例えば、側面部2aに設けられたレディライト40のほかにハウジング2の側面部2aに対向する側面部2bにもレディライト40bを設けたり、或いは、ハウジング2の4つの側面部2a〜2dにそれぞれレディライト40〜40dを設けるように構成することが可能である。また、本実施形態にように、放射線画像撮影装置1に取手部37を設ける場合でも、取手部37が取り付けられレディライト40が設けられた側面部2a以外の単数または複数の側面部2b〜2dにもレディライト40b〜40dを設けるように構成することが可能である。
上記のように構成すれば、放射線画像撮影装置1がブッキー装置51に装填された場合のみならず、患者に直接的にあてがうように単独で用いられる場合でも、レディライト40〜40dが点灯したか否かを操作者が外部から容易に視認することが可能となる。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極78がそれぞれバイアス線9および結線10に接続されており、結線10は逆バイアス電源14に接続されている。逆バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7に印加する逆バイアス電圧を供給するようになっている。また、逆バイアス電源14は制御手段22に接続されており、制御手段22は、逆バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加する逆バイアス電圧を制御するようになっている。
各放射線検出素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7中ではGと表記されている。)は走査駆動回路15から延びる各走査線5にそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査線5を介して走査駆動回路15からTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用の電圧が印加されるとTFT8のゲートがオン状態とされて、放射線検出素子7に蓄積された電荷がTFT8のソース電極8sを介してドレイン電極8dから信号線6に読み出されるようになっている。
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には所定個数の読み出し回路17が設けられており、読み出しIC16が複数設けられることにより、信号線6の本数分の読み出し回路17が設けられるようになっている。
読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング回路19と、A/D変換器20とで構成されており、1本の信号線6ごとに1回路ずつ設けられているが、本実施形態では、A/D変換器20は、複数の回路で共通とされており、各相関二重サンプリング回路19から出力された各電気信号がアナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値に変換されるようになっている。
そして、読み出し回路17では、放射線検出素子7から信号線6を通じて電荷が読み出され、放射線検出素子7ごとに電荷が電荷電圧変換されて増幅される等して電気信号に変換されるようになっている。なお、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19は、図7中ではCDSと表記されている。
制御手段22は、マイクロコンピュータや専用の制御回路で構成されており、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、制御手段22には、RAM(Random Access Memory)等で構成される記憶手段23が接続されている。
また、前述したように、制御手段22は、逆バイアス電源14を制御して各放射線検出素子7に印加する逆バイアス電圧を制御したり、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を切り替えたり、或いは、各読み出し回路17内の増幅回路18や相関二重サンプリング回路19等を制御して、各放射線検出素子7からの電気信号の読み出しを行うようになっている。
また、制御手段22は、各相関二重サンプリング回路19から出力された各電気信号がアナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値に変換されて送信されてくると、各電気信号を、放射線画像撮影で得られた生の画像データである実写画像データとして各放射線検出素子7に対応付けて記憶手段23に保存するようになっている。
制御手段22には、各放射線検出素子7等の各部材に電力を供給するために放射線画像撮影装置1に内蔵されたバッテリ41が接続されており、バッテリ41には、外部装置からバッテリ41に電力を供給してバッテリ21を充電する際の接続端子42が取り付けられている。
また、制御手段22には、前述した放射線画像撮影装置1に放射線が照射されたことを検出する照射検出手段である放射線センサ35が接続されている。
制御手段22は、操作者が電源スイッチ39(図1参照)を操作する等して手動で、或いは、後述するように、アンテナ装置38を介して放射線画像撮影システム50のコンソール58等の外部装置から送信された切り替え信号を受信した場合にはその切り替え信号に応じて、放射線検出素子7等に対する電力供給状態を、放射線検出素子7等に電力を供給して放射線画像撮影を可能とする撮影可能モードと、制御手段22やアンテナ装置38等の必要な部材にのみ電力を供給し、放射線検出素子7への電力の供給を停止して放射線画像撮影ができないスリープモードとの間で切り替えることができるようになっている。
そして、制御手段22は、上記のように手動で或いは自動的に電力供給状態を撮影可能モードに切り替えた後、放射線センサ35が予め設定された所定時間内に放射線の照射を検出しない場合には、無駄な電力の消費を避けるため、電力供給状態を、撮影可能モードからスリープモードに切り替えるようになっている。
また、本実施形態では、制御手段22は、放射線検出素子7から暗電荷を読み出して、放射線検出素子7ごとにオフセット補正値Oを算出する演算手段として機能するように構成されている。
放射線検出素子7から暗電荷を読み出すためのダーク読取処理では、制御手段22は、まず、走査駆動回路15から全ての走査線5に対して信号読み出し用の電圧を印加し、走査線5に接続された全てのTFT8のゲート電極8gに上記の電圧を印加してTFT8をオン状態としてゲートを開く。そして、各放射線検出素子7から溜まった余分な電荷を信号線6に放出させる。また、その際、同時に、読み出し回路17の増幅回路18の図示しないスイッチをオン状態として、各放射線検出素子7から放出された余分な電荷とともに、増幅回路18の図示しないコンデンサ等に蓄積された余分な電荷を下流側に放出させて、放射線検出素子7や読み出し回路17等のリセット処理を行う。
そして、放射線検出素子7等のリセット処理を行うと、制御手段22は、続いて、走査駆動回路15からの全走査線5に対する信号読み出し用の電圧の印加を停止して、各TFT8をオフ状態としてゲートを閉じる。そして、通常の放射線画像撮影とは異なり、放射線画像撮影装置1を放射線が照射されない状態に保つ(すなわち放置する)。
そして、所定時間経過後(通常は、放射線画像撮影における放射線照射時の放射線検出素子7への電荷蓄積時間と同じ時間だけ経過した後)、走査駆動回路15から1本の走査線5に信号読み出し用の電圧を印加して、当該走査線5に接続されたTFT8のゲート電極8gに電圧を印加してTFT8をオン状態としてゲートを開き、各放射線検出素子7から溜まった暗電荷を信号線6に放出させる。
その後の処理は、通常の電気信号の読み出しの場合と同様に、放出された暗電荷を読み出し回路17の増幅回路18で電荷電圧変化して増幅して、アナログマルチプレクサ20を介して順次A/D変換器21を介して制御手段22に出力する。その際、読み出される電気信号が、ダーク読取処理で読み取られる、いわゆるダーク読取値Dである。
制御手段22は、各放射線検出素子7から出力された各ダーク読取値Dを各放射線検出素子7と対応付けて記憶手段23に保存する。そして、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を順次切り替えて(すなわち走査して)、全ての放射線検出素子7からダーク読取値Dを読み出すようになっている。
前述したように、従来の放射線画像撮影装置では、このダーク読取処理を、定期的に行われる放射線画像撮影装置のキャリブレーションの際に複数回行い、各放射線検出素子7ごとに、得られた複数個のダーク読取値Dの平均値を算出して、その平均値をオフセット補正値Oとしていた。本実施形態においても、キャリブレーション時に同様の処理を行うように構成してもよい。
しかし、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、操作者が電源スイッチ39(図1参照)を操作する等して手動で、或いは、アンテナ装置38を介して放射線画像撮影システム50のコンソール58等の外部装置から送信された切り替え信号を受信することにより、電力供給状態がスリープモードから撮影可能モードに切り替えられた場合には、制御手段22は、上記のようなリセット処理と少なくとも1回の所定回数のダーク読取処理を行うようになっている。
すなわち、本実施形態では、キャリブレーション時でなくても、手動によりまたは自動的に電力供給状態がスリープモードから撮影可能モードに切り替えられた場合には、自動的にリセット処理と所定回数のダーク読取処理が行われるようになっている。
そして、制御手段22は、自動的にリセット処理および所定回数のダーク読取処理を行うと、最後のダーク読取処理の後に放射線画像撮影用のリセット処理を行って放射線検出素子7や読み出し回路17等から余分な電荷を除去すると同時にレディライト40を点灯させて、操作者に放射線を照射可能な状態であることを告知させるようになっている。
なお、放射線画像撮影用のリセット処理では、所定回数のダーク読取処理の前に行われるリセット処理と同様の処理が行われる。
また、記憶手段23の記憶容量や算出処理に要する時間等にもよるが、この撮影可能モードに切り替えられた直後の所定回数のダーク読取で得られたダーク読取値Dの平均値の算出すなわちオフセット補正値Oの算出は、上記のリセット処理および所定回数のダーク読取を行った後、放射線画像撮影用のリセット処理を行う前に予め行うように構成することも可能である。或いは、上記のリセット処理および所定回数のダーク読取を行った後、放射線画像撮影用のリセット処理を行い、放射線画像撮影を行って実写画像データを取得した後で行うように構成することも可能である。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、制御手段22は、電力供給状態がスリープモードから撮影可能モードに切り替えると、リセット処理と少なくとも1回の所定回数のダーク読取処理を行い、かつ、最後のダーク読取処理の後に放射線画像撮影用のリセット処理を行うと同時にレディライト40を点灯させて、操作者に放射線を照射可能な状態であることを告知する。
そのため、電力供給状態がスリープモードから撮影可能モードに切り替えられて、その直後に放射線画像撮影が行われる可能性が高い状態で、所定回数のダーク読取処理を行ってオフセット補正値Oを算出する基礎となるダーク読取値Dを取得することができる。そのため、その直後に行われる放射線画像撮影と同じ温度環境におけるダーク読取値D、すなわちオフセット補正値Oを算出することが可能となり、放射線画像撮影時の撮影条件に即した適切なオフセット補正値Oを取得することが可能となる。そして、オフセット補正値Oで実写画像データを適切に補正して、最終的に得られた画像データのSN比を良好なものとすることが可能となる。
また、リセット処理や所定回数のダーク読取処理を行った後、最後のダーク読取処理の後に放射線画像撮影用のリセット処理を行うと同時にレディライト40が点灯されるため、操作者が、リセット処理や所定回数のダーク読取処理を行わないうちに、或いはそれらを行っている最中に放射線を照射して放射線画像撮影を行ってしまうことを確実に防止することが可能となる。
[放射線画像撮影システム]
次に、上記の放射線画像撮影装置1を用いた本実施形態に係る放射線画像撮影システムについて説明する。図8は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る放射線画像撮影システム50は、例えば、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、放射線画像として医療用の診断画像を撮影するシステムとして採用することができる。
放射線画像撮影システム50は、図8に示すように、例えば、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1と、放射線技師や医師等の操作者が被写体に照射する放射線の制御や取得した放射線画像の画像処理等の種々の操作を行う前室R2とに配置されるものである。撮影室R1は、放射線が外部に漏れないように鉛などでシールドされていることも多い。
本実施形態では、撮影室R1には、前述した放射線画像撮影装置1(可搬型放射線画像撮影装置1)を装填可能なブッキー装置51や、被写体に照射する放射線を発生させる図示しないX線管球を備える放射線源52、放射線画像撮影装置1とコンソール58とが無線通信する際にこれらの通信を中継する無線アンテナ53を備えた無線アクセスポイント(基地局)54等が設けられている。
また、前室R2には、放射線源52からの放射線の照射開始を指示するためのスイッチ手段55等を備えた放射線の照射を制御する操作卓56や、放射線画像撮影装置1に内蔵された後述するタグを検出するタグリーダ57、放射線画像撮影システム50全体の制御を行うコンソール58が設けられている。また、コンソール58には、ハードディスク等で構成された記憶手段59が接続されている。
放射線画像撮影装置1の構成については前述したとおりであるが、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、さらに下記の構成を有していることが好ましい。
具体的には、放射線画像撮影装置1内には、図示しないタグが内蔵されている。本実施形態では、タグとして、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグと呼ばれるタグが用いられており、タグには、タグの各部を制御する制御回路や放射線画像撮影装置1の固有情報を記憶する記憶部がコンパクトに内蔵されている。なお、固有情報には、例えば当該放射線画像撮影装置1に割り当てられた識別情報としてのカセッテIDやシンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等が含まれている。
また、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。すなわち、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内に形成され、8インチ×10インチ、10インチ×12インチ、11インチ×14インチ、14インチ×14インチ、14インチ×17インチ(半切サイズ)等のものが用意されている。
このように、本実施形態では、放射線画像撮影装置1はスクリーン/フィルム用のカセッテに関するJIS規格に準拠して形成されているため、同様にJIS規格に準拠して形成されるCRカセッテを装填可能なCRカセッテ用のブッキー装置51に装填して用いることができるようになっている。
なお、放射線画像撮影装置1を上記のようなJIS規格サイズに形成する場合、放射線入射方向の厚さが15mm+1mm〜15mm−2mmと薄くなるため、取手部37をハウジング2に取り付けることが必ずしも容易でなく、取手部37を設けない場合も多い。しかし、前述したように、例えば、取手部37やハウジング2に凹部と凸部とを設けてそれらを係止させるように構成すれば、取手部37をハウジング2に対して着脱可能に取り付けることが可能となる。
また、本発明は、放射線画像撮影装置1が上記のようにJIS規格に準拠して形成される場合や、また、ブッキー装置51としてCRカセッテ用のブッキー装置51を用いる場合に限定されない。しかし、ブッキー装置51としてCRカセッテ用のブッキー装置51を用いれば、FPDとしての放射線画像撮影装置1と従来のCRカセッテとのいずれをもブッキー装置51に装填して放射線画像撮影を行うことも可能となる。
一方、放射線画像撮影装置1は、ブッキー装置51に装填されない、いわば単独の状態で用いることもできるようになっている。すなわち、放射線画像撮影装置1を単独の状態で例えば撮影室R1内に設けられた支持台や図8に示すように臥位撮影用のブッキー装置51B等に配置してその放射線入射面R(図1参照)上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足等とベッドとの間に差し込んだりして用いることもできるようになっている。この場合、例えばポータブルの放射線源52B(図8参照)等から、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線を照射して放射線画像撮影が行われる。
また、本実施形態においても、放射線画像撮影装置1の制御手段22(図7参照)は、電力供給状態がスリープモードから撮影可能モードに切り替えられると、自動的にリセット処理と所定回数のダーク読取処理を行い、その後に放射線画像撮影用のリセット処理を行ってレディライト40を点灯させるが、それと同時に、コンソール58にアンテナ装置38を介して各処理を終了しレディライト40を点灯させたことを示すレディ信号を送信するようになっている。
ブッキー装置51には、放射線画像撮影装置1を所定の位置に保持するためのカセッテ保持部51aが設けられており、カセッテ保持部51aに放射線画像撮影装置1が装填できるようになっている。また、本実施形態では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bとがそれぞれ設けられている。
なお、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bにおいて、例えばそれら自体の位置調整やブッキー装置本体に対するカセッテ保持部51aの高さ調整等を適宜行うこと等が可能とされていることは、公知のブッキー装置と同様である。
また、各ブッキー装置51A、51Bは、それぞれケーブルや無線アクセスポイント(基地局)54等を介してコンソール58等と接続されており、各ブッキー装置51A、51Bやブッキー装置51A、51Bに装填された放射線画像撮影装置1とコンソール58との信号やデータ等の送受信を有線方式で行うことができるようになっている。そのため、前述した放射線画像撮影装置1からコンソール58へのレディ信号の送信を上記のケーブル等を介して行うように構成することも可能である。
撮影室R1には、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線を照射するX線管球を備える放射線源52が少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bに対して1つの放射線源52Aが共用されるようになっている。なお、各ブッキー装置51A、51Bに、別々の放射線源を対応付けて設けるように構成することも可能である。
放射線源52Aは、例えば撮影室R1の天井からつり下げられて配設されるようになっており、撮影時には後述する操作卓56からの指示に基づいてセットアップされ、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動され、放射線の照射方向が所定の方向を向くようにその向きが調整されるようになっている。
また、本実施形態では、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bには対応付けられていないポータブルの放射線源52Bも設けられており、ポータブルの放射線源52Bは、撮影室R1内の任意の場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。
なお、本実施形態では、ポータブルの放射線源52Bも、操作卓56からの指示に基づいてセットアップされるようになっているが、この他にも、例えば、操作者が手動でセットアップしたり、放射線画像撮影装置1からポータブルの放射線源52Bに無線信号を送信してセットアップするように構成することも可能である。
放射線源52のX線管球としては、回転陽極X線管球を用いた放射線源が好ましく用いられる。X線管球は、陰極から放射される電子線を陽極に衝突させることで放射線を発生させるように構成されている場合が多いが、電子線が陽極の同じ位置に衝突し続けると、熱の発生等で陽極が損傷する。そのため、回転陽極X線管球では、陽極を回転させて電子線が衝突する位置が同じ位置にならないようにすることで、陽極の長寿命化が図られるようになっている。
そして、X線管球として回転陽極X線管球を用いた放射線源52では、通常、操作卓56のスイッチ手段55のボタン部55a(後述する図9(A)〜(C)参照)がそのストローク方向に半分程度押し込まれる(すなわち、いわゆる半押しされる)と、操作卓56から所定の放射線源52に対して起動信号が送信されて当該放射線源52のX線管球の陽極の回転が開始され、スイッチ手段55のボタン部55aがさらに押し込まれてそのストローク方向に全部押し込まれる(すなわち、いわゆる全押しされる)と、操作卓56から当該放射線源52に対して照射信号が送信されて当該放射線源52のX線管球から放射線が照射されるようになっている。
また、撮影室R1内の一角には、放射線画像撮影装置1と、コンソール58やスイッチ手段55等とが無線通信する際に、これらの通信を中継する無線アンテナ53を備えた無線アクセスポイント54が設置されている。図1では、無線アクセスポイント54が撮影室R1の入口付近に設けられている場合が示されているが、これに限定されず、放射線画像撮影装置1のアンテナ装置38等と無線通信が可能な適宜の位置に設置される。
一方、前室R2には、放射線源52からの放射線の照射開始を指示するためのスイッチ手段55を備えた操作卓56が設けられている。なお、図8では、操作卓56とスイッチ手段55とが別体のように記載されており、実際にも、それらを別体として設け、スイッチ手段55を放射線技師等の操作者が操作し易い位置に配置される場合もあるが、それらが一体的に、すなわち操作卓56にスイッチ手段55が設けられる場合もある。
操作卓56は、汎用のCPU(Central Processing Unit)を備えるコンピュータで構成される場合があり、その場合には、ROM(Read Only Memory)に格納された所定のプログラムを読み出し、RAM(Random Access Memory)の作業領域に展開して、プログラムに従って各種処理が実行される。また、専用のプロセッサ(processor)を備えるコンピュータが用いられる場合もあり、操作卓56の構成については特に限定されない。
本実施形態では、操作卓56は、スイッチ手段55や放射線源52と接続されるとともに、コンソール58にも接続されている。
スイッチ手段55は、図9(A)〜(C)に示すように、所定長のストロークを有する棒状のボタン部55aと、ボタン部55aを図中矢印Sで示されるストローク方向に移動可能に支持する筐体部55bとで構成されている。
本実施形態では、ボタン部55aは、図9(A)に示すように、筐体部55bから上方に突出した円筒部55a1と、その内部からさらに上方に突出した円柱部55a2とで構成されている。そして、図9(B)に示すように、円柱部55a2が円筒部55a1の上端部分まで押し込まれることでボタン部55aのストロークの半分程度まで押し込まれた状態(すなわち半押しの状態)となり、さらに、図9(C)に示すように、円筒部55a1と円柱部55a2とがともに筐体部55bの上端部分まで押し込まれることで全押しの状態となるようになっている。
そして、筐体部55bの内部には、ボタン部55aの円筒部55a1や円柱部55a2のストローク方向への移動を検出する図示しない検出部が設けられている。そして、検出部は、ボタン部55aの円柱部55a2のみが押し込まれて半押しされると(図9(B)参照)、それを検出して起動信号を操作卓56に送信し、ボタン部55aの円筒部55a1と円柱部55a2とがともに押し込まれて全押しされると(図9(C)参照)、それを検出して照射信号を操作卓56に送信するようになっている。
操作卓56(図8参照)は、ボタン部55aが半押しされてスイッチ手段55から起動信号が送信されてくると、予め操作者により指定された放射線源52に起動信号を送信してその放射線源52を起動させる。起動信号を受信すると、前述したように、放射線源52はX線管球の陽極の回転を開始させる等して放射線の照射に向けて起動する。また、操作卓56は、ボタン部55aが全押しされてスイッチ手段55から照射信号が送信されてくると、指定された放射線源52に照射信号を送信してその放射線源52から放射線を照射させるようになっている。
なお、スイッチ手段55の上記の構成は、本発明に特有の構成ではなく、通常の放射線画像撮影システムの操作卓で多く採用されている構成であり、公知の構成である。
一方、スイッチ手段55には、ボタン部55aの移動を検出して検出信号をコンソール58に送信するストローク検出手段60が取り付けられている。
本実施形態では、ストローク検出手段60は、図10(A)、(B)に示すように、略L字状に形成され、その一端E1側がスイッチ手段55のボタン部55aの円柱部55a2の先端部に取り付けられ、ボタン部55aの円柱部55a2のストローク方向Sへの移動に伴って自らもストローク方向Sに移動する取付片60aと、取付片60aの他端E2側のストローク方向Sへの移動を検出してスイッチ手段55のボタン部55aの移動を検出して検出信号をコンソール58に送信する検出部60bと、検出部60b等を覆うカバー部60cとで構成されている。
ストローク検出手段60の検出部60bは、例えば、発光素子60b1と、発光素子60b1から発光された光を受光する受光素子60b2とで構成されている。そして、図10(A)に示すように、スイッチ手段55のボタン部55aが押し込まれていない状態では、発光素子60b1から発光された光を受光素子60b2が受光するが、図10(B)に示すように、スイッチ手段55のボタン部55aの円柱部55a2が押し込まれてボタン部55aが半押しされた状態では、発光素子60b1から発光された光が取付片60aの端部E2で遮断されて受光素子60b2が受光できなくなるような位置に、発光素子60b1と発光素子60b1とが配置されるようになっている。
そして、ストローク検出手段60の検出部60bは、発光素子60b1から発光され受光素子60b2で受光していた光が受光素子60b2で受光できなった時点で、取付片60aが取り付けられたスイッチ手段55のボタン部55aの円柱部55a2が押し込まれてボタン部55aが半押しされたことを検出して検出信号をコンソール58に送信するようになっている。
ストローク検出手段60をこのように構成することで、ストローク検出手段60を通常の公知のスイッチ手段55に容易に取り付けることができる。また、それとともに、ストローク検出手段60で、スイッチ手段55のボタン部55aが押し込まれた際の移動を検出し、ボタン部55aが半押しされるとそれを的確に検出してその検出信号をコンソール58に送信して、コンソール58にスイッチ手段55のボタン部55aが半押しされたことを確実に通知することが可能となる。
また、前述したように、X線管球メーカーや型式が異なっても照射開始を指示するスイッチ手段55のボタン部55aの構成は略同一であるため、ストローク検出手段60を上記のように構成すれば、ボタン部55aの円柱部55a2が押し込まれてボタン部55aが半押しされる際のストローク量にあわせて、ストローク検出手段60の受光素子の位置を調整する、いわば機械的な位置調整のみで対応することが可能となる。そのため、各メーカーの各型式ごとに、対応する電気的なインターフェース基板類を準備することが不要となるので好ましい。
本実施形態では、スイッチ手段55のボタン部55aが半押しされたことが検出されればよいため、ストローク検出手段60の検出部60bとして、ボタン部55aの半押しが検出できる位置に1つの(本実施形態では、1組の発光素子60b1と受光素子60b2との)検出部60bが設けられていれば十分であるが、さらに、1つの(或いは1組の)検出部60bのストローク方向Sの下流側(図中では検出部60bの下方側)にもう1つの(或いは1組の)検出部を設けて、スイッチ手段55のボタン部55aが全押しされたことを検出するように構成することも可能である。
また、前室R2の入口の近傍には、前述したRFIDの技術を用いて放射線画像撮影装置1と情報をやりとりするタグリーダ57(図8参照)が設置されている。タグリーダ57は、内蔵する図示しないアンテナを介して電波等に所定の指示情報を乗せて発信し、前室R2や撮影室R1に入室し或いは退室する放射線画像撮影装置1を検出するようになっている。
そして、タグリーダ57は、検出した放射線画像撮影装置1のRFIDタグに記憶された固有情報を読み取り、読み取った固有情報をコンソール58に送信するようになっている。
また、前室R2には、コンソール58が設けられている。コンソール58は、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されており、ROMに格納される所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行して、前述したように放射線画像撮影システム50全体の制御を行うようになっている。
コンソール58には、前述した無線アクセスポイント54や操作卓56、タグリーダ57、記憶手段59、スイッチ手段55に取り付けられたストローク検出手段60等が接続されており、また、無線アクセスポイント54を介して立位撮影用および臥位撮影用のブッキー装置51A、51B等が接続されている。
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示画面58aが設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段が接続されている。
コンソール58は、前述したようにタグリーダ57が検出した放射線画像撮影装置1のカセッテIDを含む固有情報が送信されてくると、記憶手段59に登録されている、撮影室R1内等に存在する放射線画像撮影装置1のリストを参照するようになっている。そして、コンソール58は、送信されてきた固有情報が記憶手段59に登録されていなければ、当該放射線画像撮影装置1が新たに撮影室R1や前室R2内に持ち込まれたものとしてその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストに追加して記憶手段59に登録する。
また、送信されてきた固有情報が既に記憶手段59に登録されているものであれば、当該放射線画像撮影装置1が撮影室R1や前室R2内から持ち出されたものとしてその放射線画像撮影装置1のカセッテID等を上記のリストから抹消する。このようにして、コンソール58は、撮影室R1内等に持ち込まれ或いは持ち出される放射線画像撮影装置1を把握して記憶手段59上で管理するようになっている。
コンソール58は、表示画面58a上に表示された放射線画像撮影装置1のアイコンをクリックする等の操作者の入力操作によって指定された放射線画像撮影装置1に対して、無線アクセスポイント54を介して切り替え信号を送信することができるようになっている。
そして、前述したように、放射線画像撮影装置1は、切り替え信号を受信すると、放射線検出素子7等に対する電力供給状態がスリープモードであれば撮影可能モードに切り替えて、放射線検出素子7等に電力を供給して放射線画像撮影が可能な状態に覚醒させる。このように、本実施形態では、コンソール58は、放射線画像撮影装置1の電力供給状態を制御することができるようになっている。
なお、指定される放射線画像撮影装置1は、必ずしも1個の放射線画像撮影装置1であるとは限らず、放射線画像撮影の撮影条件等に応じて複数の放射線画像撮影装置1が指定される場合もある。
また、指定された放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信してその電力供給状態を撮影可能モードに切り替えた際、撮影室R1内等に存在し、当該放射線画像撮影に用いない他の放射線画像撮影装置1が撮影可能モードになっている場合に、コンソール58から当該他の放射線画像撮影装置1に信号を送信して、その電力供給状態を撮影可能モードからスリープモードに切り替えるように構成することが可能である。
さらに、指定された放射線画像撮影装置1以外の当該放射線画像撮影に用いない他の放射線画像撮影装置1が撮影可能モードになっていることを許容する場合に、当該放射線画像撮影で取得された実写画像データの読み出し処理を、当該指定された放射線画像撮影装置1についてのみ行うようにコンソール58で制御するように構成することも可能である。
前述したように、放射線画像撮影装置1は、切り替え信号を受信して電力供給状態がスリープモードから撮影可能モードに切り替わると、リセット処理と、所定回数のダーク読取処理と、放射線画像撮影用のリセット処理とを自動的に行って、レディライト40を点灯させる。そして、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、コンソール58にアンテナ装置38を介して各処理を終了しレディライト40を点灯させたことを示すレディ信号を送信する。
コンソール58は、放射線画像撮影装置1からレディ信号を受信すると、経過時間のカウントを開始する。そして、レディ信号を受信した後、予め設定された所定時間t1が経過する前に、スイッチ手段55に取り付けられたストローク検出手段60からスイッチ手段55のボタン部55aの円柱部55a2が押し込まれてボタン部55aが半押しされたことを示す検出信号が送信されてくれば、コンソール58は、経過時間のカウントを停止して、カウントをリセットする。
一方、レディ信号を受信した後、予め設定された所定時間t1以上の時間が経過した後にスイッチ手段55に取り付けられたストローク検出手段60からスイッチ手段55のボタン部55aが半押しされたことを示す検出信号を受信した場合には、コンソール58は、当該放射線画像撮影装置1に再処理信号を送信して、再度、リセット処理と所定回数のダーク読取処理と放射線画像撮影用のリセット処理とを行わせるようになっている。
なお、上記のように、放射線画像撮影装置1では、撮影可能モードに切り替えられた直後にリセット処理や所定回数のダーク読取処理等が行われ、所定回数のダーク読取処理でダーク読取値Dが取得されるが、ダーク読取値Dが取得された後、長時間が経過した後にスイッチ手段55のボタン部55aが押し込まれて放射線画像撮影が行われると、放射線画像撮影の際の放射線検出素子7等の温度が、撮影可能モードへの切り替え直後に所定回数のダーク読取処理を行った時点での温度から変化してしまっている場合がある。そして、その場合、撮影可能モードへの切り替え直後の所定回数のダーク読取処理で取得されたダーク読取値Dに基づいてオフセット補正値Oを算出しても、放射線画像撮影で得られた実写画像データを有効にオフセット補正することができない。
そのため、上記の所定時間t1は、撮影可能モードへの切り替え直後の所定回数のダーク読取処理で取得されたダーク読取値Dに基づくオフセット補正値Oを用いて放射線画像撮影で得られた実写画像データを有効にオフセット補正することができる最長の時間に設定される。そして、この実写画像データを有効にオフセット補正することができる最長の時間、すなわち所定時間t1は、個々の放射線画像撮影装置1ごとに異なるため、例えば事前に行った実験の結果等に基づいて、放射線画像撮影装置1ごとに予め設定される。
このように、本実施形態では、コンソール58は、必要に応じて放射線画像撮影装置1に再度のリセット処理と所定回数のダーク読取処理と放射線画像撮影用のリセット処理とを行わせるように放射線画像撮影装置1を制御することができるようになっている。
その際、放射線画像撮影装置1では、電力供給状態を撮影可能モードに切り替えた直後に行った所定回数のダーク読取処理で取得されたダーク読取値Dは破棄され、再度行った所定回数のダーク読取処理で取得されたダーク読取値Dが記憶手段23に記憶される。また、再度のリセット処理等を行う際、本実施形態では、レディライト40を一旦消灯させて、それらの再度の各処理を終了した時点でレディライト40を再度点灯させるようになっているが、レディライト40を消灯させずに(すなわち、点灯させたまま)、処理を行うように構成することも可能である。また、それらの再度の各処理を終了しても改めてレディ信号は送信されない。
なお、本実施形態では、上記のように、放射線画像撮影装置1は、コンソール58から再処理信号を受信した後、放射線が照射されて放射線画像撮影が行われるまでの間に、再度のリセット処理等を行うように構成されているが、その代わりに、放射線画像撮影を優先して行わせて、放射線画像撮影が終了し、実写画像データを読み出した後に、再度のリセット処理や、照射待ち時間を含む撮影時間(電荷蓄積状態の時間)に対応する、所定回数のダーク読取処理等を行い、当該実写画像データ用のオフセット補正値を算出するように構成することも可能である。
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用について、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
コンソール58は、操作者の入力操作により放射線画像撮影装置1が指定されると(ステップS1)、指定された放射線画像撮影装置1に対して無線アクセスポイント54を介して切り替え信号を送信する(ステップS2)。
放射線画像撮影装置1は、切り替え信号を受信すると、電力供給状態を撮影可能モードに切り替えて、リセット処理と、所定回数のダーク読取処理と、放射線画像撮影用のリセット処理とを自動的に行って、レディライト40を点灯させる。また、それと同時に、コンソール58にレディ信号を送信する。
コンソール58は、放射線画像撮影装置1からレディ信号を受信すると(ステップS3;YES)、経過時間のカウントを開始する(ステップS4)。そして、ストローク検出手段60からスイッチ手段55のボタン部55aの円柱部55a2が押し込まれてボタン部55aが半押しされたことを示す検出信号が送信されてくるまで待機する(ステップS5;NO)。
ストローク検出手段60から検出信号が送信されてくると(ステップS5;YES)、コンソール58は、続いて、放射線画像撮影装置1からレディ信号を受信した後、ストローク検出手段60から検出信号が送信されてくるまでの経過時間が、予め設定された所定時間t1以上でなければ(ステップS6;NO)、経過時間のカウントを停止して、カウントをリセットする。
この状態で、操作者は、スイッチ手段55のボタン部55aの円柱部55a2を押し込んでボタン部55aを半押しした状態から、さらにボタン部55aの円筒部55a1と円柱部55a2とをともに押し込んでボタン部55aを押し込んで全押しする。そして、操作卓56から所定の放射線源52に対して照射信号が送信される。スイッチ手段55のボタン部55aを半押しされて起動信号に基づいてX線管球の陽極の回転を開始する等して起動していた放射線源52は、操作卓52から送信されてきた照射信号に基づいてX線管球から放射線を照射させる。このようにして、放射線画像撮影が行われる(ステップS8)。
このように、放射線画像撮影装置1からレディ信号を受信した後、ストローク検出手段60から検出信号が送信されてくるまでの経過時間が所定時間t1より短い場合には、コンソール58は、放射線画像撮影装置1に対して何ら制御せずにそのまま放射線画像撮影を許容する。
その理由は、経過時間が短い場合には、所定回数のダーク読取を行った際の放射線検出素子7等の温度と、放射線画像撮影の際の放射線検出素子7等の温度がさほど大きく変化しないため、放射線画像撮影装置1が撮影可能モードに切り替えた直後に行った所定回数のダーク読取処理で取得されたダーク読取値Dを用いて、当該放射線画像撮影で得られた実写画像データを十分に有効にオフセット補正することができるためである。
別の言い方をすれば、前述したように、放射線画像撮影装置1が撮影可能モードに切り替えた直後に行った所定回数のダーク読取処理で取得されたダーク読取値Dを用いて、当該放射線画像撮影で得られた実写画像データを十分に有効にオフセット補正することができるように、放射線画像撮影装置1からレディ信号を受信した後、ストローク検出手段60から検出信号が送信されてくるまでの経過時間に関する閾値である所定時間t1が設定される。
従って、所定時間t1は、各々の放射線画像撮影装置1についてそれぞれ設定されることが好ましい。なお、その場合、各放射線画像撮影装置1ごとの所定時間t1を、例えば記憶手段59に予め登録しておき、コンソール58は、例えばステップ1の処理で操作者により放射線画像撮影装置1が指定されると、切り替え信号を送信する(ステップS2)とともに、記憶手段59から当該放射線画像撮影装置1に関する所定時間t1を読み出すように構成することができる。
また、放射線画像撮影装置1からレディ信号を受信した後、ストローク検出手段60から検出信号が送信されてくるまでの経過時間が、予め設定された所定時間t1以上であれば(ステップS6;YES)、放射線画像撮影装置1が撮影可能モードに切り替えた直後に行った所定回数のダーク読取を行った際の放射線検出素子7等の温度と、放射線画像撮影の際の放射線検出素子7等の温度が無視できない程度に変化していると考えられる。
そのため、放射線画像撮影装置1が撮影可能モードに切り替えた直後に行った所定回数のダーク読取処理で取得されたダーク読取値Dを用いても、当該放射線画像撮影で得られた実写画像データを有効にオフセット補正することができないため、コンソール58は、経過時間が所定時間t1以上であれば(ステップS6;YES)、当該放射線画像撮影装置1に再処理信号を送信して(ステップS7)、再度、リセット処理と所定回数のダーク読取処理と放射線画像撮影用のリセット処理とを行わせる。
そして、操作者がスイッチ手段55のボタン部55aの円筒部55a1と円柱部55a2とをともに押し込んでボタン部55aを全押しすることで、操作卓52から放射線源52に照射信号が送信される。そして、照射信号に基づいて放射線源52のX線管球から放射線が照射され、放射線画像撮影が行われる(ステップS8)。
操作者がスイッチ手段55のボタン部55aを押し込んで半押しすると、放射線源52のX線管球の陽極の回転が開始される等して放射線源52が起動されるが、すぐには放射線を照射できる状態にはならず、通常、放射線を照射できるようになるまで1秒程度の時間がかかる。そして、操作者も、通常の放射線画像撮影の操作として、スイッチ手段55のボタン部55aを半押しした後、所定時間待ってから全押しをするが、一般的なスイッチ手段は、この半押しから全押しへ連続移行させても、ストローク端まで到達するのに要する時間が、前述した起動時間(1秒程度)と略一致するよう構成されている。
そのため、コンソール58上の処理においても、ストローク検出手段60から検出信号が送信されてから(ステップS5;YES)、放射線画像撮影が行われるまで(ステップS8)、少なくとも1秒程度の時間間隔があるため、この時間間隔の間に、放射線画像撮影装置1は十分に再度のリセット処理と所定回数のダーク読取処理と放射線画像撮影用のリセット処理とを行うことができる。
また、操作者は、通常の放射線画像撮影の操作を行う間に、放射線画像撮影装置1で再度のリセット処理等の処理が行われるため、放射線画像撮影装置1での再度のリセット処理等の終了を待つことなく、スイッチ手段55のボタン部55aを半押しした後、1秒程度待ってから、或いは連続して、全押しをする、従来のフィルム/スクリーンカセッテやCRカセッテを用いた撮影と同じ操作で、放射線画像撮影の操作を行うことができる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、コンソール58から放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信すると、放射線画像撮影装置1の電力供給状態がスリープモードから撮影可能モードに切り替えられて、リセット処理と少なくとも1回の所定回数のダーク読取処理と放射線画像撮影用のリセット処理が行われるため、前述した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の効果が有効に発揮される。
また、電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられて、放射線画像撮影装置1でリセット処理等が行われた後、スイッチ手段55のボタン部55aが半押しされてストローク検出手段60から検出信号が送信されてくるまでの経過時間が、予め設定された所定時間t1以上に長時間になると、撮影可能モードに切り替えた直後に行った所定回数のダーク読取を行った際の放射線検出素子7等の温度と、放射線画像撮影の際の放射線検出素子7等の温度が無視できない程度に変化し得る。
しかし、その場合には、操作者によりスイッチ手段55のボタン部55aが半押しされてから全押しされるまでの間に、放射線画像撮影装置1で再度リセット処理等が行われるため(或いは、放射線画像撮影後に所定時間のダーク読取処理等が行われるため)、当該放射線画像撮影時における放射線検出素子7等の温度と同じ温度環境下で所定回数のダーク読取を行い、それにより得られたダーク読取値Dに基づいてオフセット補正値Oを算出することが可能となる。
そのため、放射線画像撮影時の撮影条件、特に温度条件に即した適切なオフセット補正値Oを取得することが可能となり、オフセット補正値Oで実写画像データを適切に補正して、最終的に得られた画像データのSN比を良好なものとすることが可能となる。
また、放射線画像撮影装置1の電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられた後、放射線検出素子7等の温度が十分に上昇しないうちに放射線画像撮影が行われる場合であっても、それと同じ温度条件で所定回数のダーク読取処理を行うことが可能となり、放射線画像撮影の撮影条件に即した適切なオフセット補正値Oを取得することが可能となる。
このように、放射線画像撮影装置1の放射線検出素子7等の温度が、放射線画像撮影装置1のキャリブレーション時の温度に上昇するまで長時間待つ必要がなくなるため、本実施形態のようなバッテリ41が内蔵された可搬型の放射線画像撮影装置1において、バッテリ41を無駄に消耗させてしまうことを防止することが可能となる。
[放射線画像撮影システムの変形例]
上記の放射線画像撮影システム50では、放射線画像撮影装置1からコンソール58にレディ信号を送信し、コンソール58で、レディ信号を受信してからの経過時間をカウントしたり、経過時間が所定時間t1以上であるか否かの判断をするように構成されている場合について説明した。
しかし、前室R2にコンソール58が設けられていない場合も少なくなく、また、1つのコンソール58で複数の撮影室R1における放射線画像撮影を管理するように構成されているような場合もある。そのような場合には、コンソール58で上記のような処理を行わせるように構成することが困難である場合もある。
そのような場合には、コンソール58での判断処理等を放射線画像撮影装置1自体で行うように構成することが可能である。この場合、図12に示すように、放射線画像撮影システム70において、ストローク検出手段60を、上記の放射線画像撮影システム50のようにコンソール58に接続する代わりに、無線アクセスポイント54に接続し、ストローク検出手段60でスイッチ手段55のボタン部55aの円柱部55a2が押し込まれてボタン部55aが半押しされたことを検出した検出信号を放射線画像撮影装置1に送信するように構成する。
そして、放射線画像撮影装置1を、操作者の操作により、或いは、コンソール58や、撮影室R1や前室R2に新たに設けた外部装置から送信された切り替え信号を受信することによって、電力供給状態をスリープモードから撮影可能モードに切り替えることができるように構成する。
また、電力供給状態を撮影可能モードに切り替えると、リセット処理と、少なくとも1回の所定回数のダーク読取処理と、放射線画像撮影用のリセット処理とを行い、同時にレディライト40を点灯させる点では、上記の放射線画像撮影装置1の構成と同様であるが、さらに、レディライト40を点灯した後、放射線画像撮影装置1の制御手段22(図7参照)が自ら経過時間をカウントするように構成する。
そして、制御手段22は、レディライト40を点灯した後、予め設定された所定時間t1より短い時間でストローク検出手段60から検出信号を受信した場合には、改めてリセット処理等を行うことなく、そのまま放射線画像撮影を許容する。
また、レディライト40を点灯した後、予め設定された所定時間t1以上の時間が経過した後にストローク検出手段60から検出信号を受信した場合には、制御手段22は、再度、リセット処理と、所定回数のダーク読取処理と、放射線画像撮影用のリセット処理を行うように構成される。
なお、本変形例においても、上記の実施形態と同様に、放射線画像撮影を優先して行わせて、放射線画像撮影が終了し、実写画像データを読み出した後に、再度のリセット処理や所定回数のダーク読取処理等を行うように構成することも可能である。また、制御手段22は、上記のように手動で或いは自動的に電力供給状態を撮影可能モードに切り替えた後、放射線センサ35(図2、図7等参照)が予め設定された所定時間内に放射線の照射を検出しない場合には、無駄な電力の消費を避けるため、電力供給状態を、撮影可能モードからスリープモードに切り替えるようになっていることは前述したとおりである。
このように構成すれば、放射線画像撮影システム70においても、上記の放射線画像撮影システム50の場合と全く同様の効果を得ることができる。
また、少なくとも放射線画像撮影装置1の電力供給状態が撮影可能モードに切り替えられた後は、コンソール58を介して制御が行われることがないため、撮影室R1の前室R2にコンソール58が設けられていない場合や、1つのコンソール58で複数の撮影室R1における放射線画像撮影を制御するように構成されているような場合であっても、本発明の効果が有効に発揮され、放射線画像撮影時の撮影条件、特に温度条件に即した適切なオフセット補正値Oを取得することが可能となり、オフセット補正値Oで実写画像データを適切に補正して、最終的に得られた画像データのSN比を良好なものとすることが可能となる。
なお、上記のようにして、実写画像データやダーク読取値Dが取得された後、放射線画像撮影装置1からコンソール58等に実写画像データやダーク読取値Dを送信したり、放射線画像撮影装置1で実写画像データを所定の割合で間引いてデータ量を少なくした間引きデータを作成して送信したり、或いは、放射線画像撮影装置1からダーク読取値Dを送信する代わりに放射線画像撮影装置1でダーク読取値Dに基づいてオフセット補正値Oを算出し、それを実写画像データ等とともに送信するように構成することは適宜行われる。
また、放射線画像撮影装置1から送信された実写画像データや間引きデータ、ダーク読取値D、オフセット補正値O等に基づいて、コンソール58等の画像処理装置で画像処理が行われ、オフセット補正等が行われた最終的な放射線画像が生成される。
また、上記の実施形態や変形例では、所定時間t1を予め設定する場合について説明したが、実際に放射線画像撮影装置1の放射線検出素子7等の温度を測定して、放射線検出素子7等の温度が、撮影可能モードに切り替えた直後に所定回数のダーク読取を行った際の温度よりも大きく変化した場合に、すなわち例えば予め設定した閾値を越える値に変化した場合に、再度のリセット処理等を行うように構成することも可能である。
また、予め設定した閾値を越える値に変化した場合に再度のリセット処理等を行う場合には、放射線画像撮影を先行して行わせ、放射線画像撮影が終了し、実写画像データを読み出した後に、再度のリセット処理や所定回数のダーク読取処理等を行うように構成してもよい。
さらに、その他、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。