JP2010212925A - 可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システム - Google Patents

可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システム Download PDF

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Abstract

【課題】放射線画像撮影を効率良く行うことができ、かつ、画像データの送信時間の短縮化を図ることができる可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】可搬型放射線画像撮影装置1において、検出部Pを複数の領域A、Bから構成し、領域毎にバイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段24と、領域毎に各放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換する読み出し回路17と、を備え、制御手段22は、電流検出手段24により検出されるバイアス線を流れる電流の電流量の増加に基づいて放射線の照射の開始を領域毎に検出し、放射線の照射を検出した領域と放射線の照射を検出しない領域の処理とにおいて異なる処理を行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムに関するものである。
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、近年は、放射線画像のデジタル化が実現されており、輝尽性蛍光体シートを用いたCR(Computed Radiography)装置が開発され、最近では、照射された放射線をフォトダイオード等の放射線検出素子で検出してデジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は撮影装置、例えば、ブッキー装置と一体的に形成されていた(例えば特許文献1参照)。また、近年では、放射線検出素子等をハウジングに収納して可搬とした可搬型放射線画像撮影装置(以下、単に放射線画像撮影装置という場合には可搬型のものを指す。)が開発され、実用化されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、バッテリを内蔵するとともにアンテナ等の無線通信手段を備え、コンソール等の外部装置との間で無線通信を行う放射線画像撮影装置も開発されている(例えば特許文献3参照)。この放射線画像撮影装置は、コンソール等の外部装置や電源と接続するためのケーブルが不要なため、可搬型放射線画像撮影装置の可搬性を生かすことができる。
こうした放射線画像撮影装置では、各放射線検出素子により得られた画像データをコンソール等の外部装置に送信し、コンソール等の外部装置側で、放射線画像撮影装置から送られた画像データを画像化して医師による診断等が行われる。放射線画像撮影装置は、放射線検出素子の数(画素数)が多いほど高精細化を図ることができるが、その反面、1枚のデジタル画像データあたりのデータ量が多くなり、外部装置への画像データの送信時間が長くなるという問題があった。
そのため、元のデジタル画像データから所定の割合で画素(すなわち放射線検出素子から出力された画素データ)を間引いてデータ量を減少させた間引き画像データを生成し、生成した間引き画像データを、元のデジタル画像データの送信に先立ってコンソール等の外部装置に送ることが行われている(例えば特許文献4参照)。この方式によれば、コンソール等の外部装置において、間引き画像データに基づくプレビュー画像(間引き画像)を比較的早い段階で画面上に表示させることができるため、放射線技師や医師等の操作者が、被写体の撮影位置が適切であるか等をプレビュー画像上で早期に確認し、再撮影の要否を速やかに判断することができる。操作者は、間引き画像により撮影位置等が適切であると判断した場合に、改めて放射線画像撮影装置から元のデジタル画像データ(rawデータともいう。)をコンソール等に送信させる。
特開平9−73144号公報 特開2006−58124号公報 特許第3494683号 特開2006−26038号公報
しかしながら、上記特許文献3に開示された放射線画像撮影装置のように、コンソール等の外部装置との間で無線通信を行う場合には、元の画像データに優先して間引き画像データを送信する上記特許文献4に開示された方式を採用したとしても、外部装置への画像データの送信に時間がかかってしまい、コンソール等の外部装置においてプレビュー画像を迅速表示させることができないという問題があった。
また、一般に、放射線画像撮影装置は高価であって、病院等の医療施設によっては様々なサイズの放射線画像撮影装置を用意しておらず、撮影部位に関係なく、大きなサイズの放射線画像撮影装置で代用する場合がある。撮影部位に比して大きなサイズの放射線画像撮影装置を用いて放射線画像撮影を行う場合には、撮影領域の全範囲ではなく、撮影領域の一部に被写体を載置して撮影を行うこととなる。
例えば、通常は四切サイズ(10インチ×12インチ)の放射線画像撮影装置で撮影可能な手や指を、半切サイズ(14インチ×17インチ)の放射線画像撮影装置を使用して撮影するといったケースでは、撮影領域の下部領域等に手や指を載置して撮影を行うことが多い。この場合、手や指を載置した領域の画像データのみが診断等に必要なデータであり、手や指を載置していない領域の画像データは再撮影の要否の判断や診断等に不要である。
こうしたケースでは、従来のように、全ての画像データをコンソール等の外部装置に送信することとすると、再撮影の要否の判断や診断等に必要の無い画像データまで、読み出し処理やメモリへの保存処理、コンソール等の外部装置への送信処理を行うこととなっていた。
そのため、従来の放射線画像撮影装置では、不要な画像データの読み出し処理やメモリへの保存処理、外部装置への送信処理に、無駄な時間やメモリ容量、消費電力を費やすこととなり、効率が悪いという問題があった。また、外部装置への画像データの送信処理に余計な時間がかかるため、外部装置においてプレビュー画像を迅速表示することができないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、放射線画像撮影を効率良く行うことができ、かつ、画像データの送信時間の短縮化を図ることができる可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムを提供することである。
前記の問題を解決するために、本発明の可搬型放射線画像撮影装置は、
照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子が二次元状に配列された検出部を有する可搬型放射線画像撮影装置において、
前記検出部は、複数の領域から構成され、
前記各放射線検出素子にバイアス線を介して逆バイアス電圧を印加する逆バイアス電源と、
前記領域毎に、前記バイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記領域毎に、前記各放射線検出素子内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換する読み出し回路と、
前記読み出し回路により読み出した画像データを外部装置へ送信する通信手段と、
前記各部材に電力を供給するバッテリと、
前記電流検出手段により検出される前記バイアス線を流れる前記電流の電流量の増加に基づいて、放射線の照射の開始を前記領域毎に検出する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
放射線の照射を検出した前記領域と、放射線の照射を検出しない前記領域と、においてそれぞれ異なる処理を行うことを特徴とする。
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
上記の本発明の可搬型放射線画像撮影装置と、
前記可搬型放射線画像撮影装置から送信された前記画像データを受信して、受信した当該画像データに基づいて放射線画像を形成する外部装置と、
を備えることを特徴とする。
本発明のような方式の可搬型放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムによれば、検出部が複数の領域から構成されており、検出部を構成する領域毎に電流検出手段により検出されるバイアス線を流れる電流の電流量の増加に基づいて、放射線の照射の開始が領域毎に別々に検出され、放射線の照射を検出した領域と、放射線の照射を検出しない領域とにおいて、異なる処理が行われることとなる。
そのため、例えば、検出部を構成する複数の領域のうち、放射線の照射を検出した領域のみを対象として、画像信号の読み出し処理や外部装置への画像データの送信処理等を行うこととすれば、再撮影の要否の判断や診断等に必要な画像データのみを読み出して外部装置に送信することができる。したがって、再撮影の要否の判断や診断等に不要な画像データの読み出し処理や外部装置への画像データの送信処理に、無駄な時間や無駄なメモリ容量、無駄な消費電力を費やすことがなくなり、常に検出部の全領域を対象として画像信号の読み出し処理や外部装置への画像データの送信処理を行う場合と比較して、放射線画像撮影を効率良く行うことができるとともに、外部装置への画像データの送信時間の短縮化を図ることができる。
第1の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置の外観斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 第1の実施形態に係る基板の構成を示す平面図である。 図3の基板上の小領域に形成された放射線検出素子と薄膜トランジスタ等の構成を示す拡大図である。 図4におけるX−X線に沿う断面図である。 COFやPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。 第1の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置のブロック図である。 第1の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置における検出部を構成する1画素分についてのブロック図である。 増幅回路から出力される電圧値の時間的変化および相関二重サンプリング回路における動作を説明するグラフである。 第1の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置の制御手段における制御構成を示すフローチャートである。 バイアス線の結線を流れる電流を電流検出手段で電圧値に変換した場合に出力される電圧値の推移の一例を表すグラフである。 第2の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置の外観斜視図である。 第2の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置のブロック図である。 第2の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置における検出部を構成する1画素分についてのブロック図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの第1の実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
(放射線画像撮影システム)
第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム100は、可搬型放射線画像撮影装置1と、外部装置としてのコンソールCと、を備えて構成されている(図7参照)。
(可搬型放射線画像撮影装置)
まず、第1の実施形態に係る可搬型放射線画像撮影装置1について説明する。
なお、以下、可搬型放射線画像撮影装置1を単に放射線画像撮影装置1と表す。また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
図1は、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等が収納されたカセッテ型の可搬型放射線画像撮影装置1として構成されている。
ハウジング2は、少なくとも放射線の照射を受ける側の面R(以下、放射線入射面Rという。)が、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。
なお、図1や図2では、ハウジング2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわば弁当箱型に構成された放射線画像撮像装置1が示されているが、ハウジング2を一体的に形成する、いわばモノコック型とすることも可能である。
ハウジング2の内部の基板4の下方側には、図2に示すように、基台31が配置されており、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。また、本実施形態では、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側に、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。
また、ハウジング2の一方側の短辺側側面部には、図1に示すように、放射線画像撮影装置1の電源スイッチ25や、各種の操作状況等を表示するインジケータ26等が設けられている。
さらに、この側面部には、内蔵バッテリ27(図7参照)の交換用の蓋部材28が設けられており、蓋部材28には、放射線画像撮影装置1が、後述するコンソールC等の外部装置とデータや信号等の送受信を無線方式で行うためのアンテナ装置29(通信手段)が埋め込まれて設けられている。
なお、アンテナ装置29を設ける箇所は、本実施形態のようにハウジング2の1つの短辺側側面部に限定されず、他の位置に設けることも可能である。また、アンテナ装置29の個数は必ずしも1つに限定されず、必要な数だけ適宜設けられる。
シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光線を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a(図5参照)上に、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。
基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ放射線検出素子7が設けられている。放射線検出素子7は、基板4上に二次元マトリクス状に配列されており、これら複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態において、検出部Pは、図3に示すように、左右2つに等分割され、ブロック状の領域Aとブロック状の領域Bの2つの領域により構成されている。領域Aと領域Bとには、それぞれ同数の信号線6が配設されるとともに、同数の放射線検出素子7が設けられている。
そして、本実施形態の放射線画像撮影装置1では、領域Aのみを撮影領域とする放射線画像撮影と、領域Bのみを撮影領域とする放射線画像撮影と、領域Aおよび領域Bの両方から成る領域(すなわち、検出部Pの全領域)を撮影領域とする放射線画像撮影と、の3つの撮影パターンでの放射線画像撮影が可能となっている。
さらに、本実施形態の放射線画像撮影装置1では、放射線画像撮影に使用された領域毎に、各種の処理を行うことができるようになっている。なお、領域単位で行う各種処理については後述する。
なお、検出部Pの分割数(すなわち、検出部Pを構成する領域の数)は任意であり、例えば、検出部Pを3つの領域に分割しても良く、4つ以上の領域に分割しても良い。また、検出部Pの分割態様、例えば、各領域の大きさや形状も任意であり、例えば、各領域が異なる大きさに分割されていても良い。また、例えば、検出部Pが上下2つの領域から構成されるように分割しても良い。
また、図示は省略するが、ハウジング2の放射線入射面Rには、領域Aと領域Bとの境界に、操作者がそれぞれの領域A、Bを識別するための識別マークが設けられていることが好ましい。操作者は、ハウジング2に設けられた識別マークによって、撮影領域として使用する領域A、Bを容易に識別し、被写体のセッティングや放射線の照射を適切に行うことができる。
領域Aおよび領域Bのそれぞれに配設された各放射線検出素子7は、例えばフォトダイオードにより構成され、放射線入射面Rから入射した放射線がシンチレータ3で変換されて出力される電磁波の光量(シンチレータ3に入射した放射線の線量に応じて増加する。)に応じて電荷を発生させる。なお、放射線検出素子7として、この他にも、例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。
各放射線検出素子7は、図3や図4の拡大図に示すように、スイッチ素子であるTFT(薄膜トランジスタ)8のソース電極8sに接続されている。また、各TFT8のゲート電極8gは、各走査線5に接続され、各TFT8のドレイン電極8dは、各信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、オン状態とされることにより、すなわちTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用のオン電圧が印加されてTFT8のゲートが開かれることにより、放射線検出素子7に蓄積された電荷を、信号線6に放出させるようになっている。
ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
基板4の面4a上には、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiN)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiN)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCr等が積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCr、Mo等からなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHの箇所でTFT8のソース電極8sに接続されている。
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。
なお、放射線検出素子7におけるp層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。また、本実施形態では、上記のように、放射線検出素子7としてp層77、i層76、n層75が積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合を説明したが、放射線検出素子7は、このようなpin型の放射線検出素子に限定されない。
また、放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7に逆バイアス電圧を印加するバイアス線9A、9Bが接続されている。
さらに、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9A、9B、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
図3や図4に示すように、本実施形態では、基板4の検出部Pにマトリクス状に配置された複数の放射線検出素子7のうち、領域Aに配された各放射線検出素子7にはバイアス線9Aが接続されており、領域Bに配された各放射線検出素子7にはバイアス線9Bが接続されている。これらのバイアス線9A、9Bは、信号線6と同じ本数設けられ、各信号線6に平行に配設されている。そして、検出部Pの外側の位置において、領域A内の放射線検出素子7に接続された各バイアス線9Aが1本の結線10Aに結束され、一方、領域B内の放射線検出素子7に接続された各バイアス線9Bが1本の結線10Bに結束されている。
各走査線5や各信号線6は、基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子11(パッドともいう)にそれぞれ接続されている。また、各バイアス線9Aを結束する結線10Aと各バイアス線9Bを結束する結線10Bとは、それぞれ別の入出力端子11A、11Bに接続されている。
各入出力端子11、11A、11Bには、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について、図7および図8を用いて説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置のブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についてのブロック図である。
前述したように、基板4の検出部Pのうち、領域A内に配設された各放射線検出素子7は、その第2電極78がそれぞれバイアス線9Aおよび結線10Aに接続されている。また、領域B内に配設された各放射線検出素子7は、その第2電極78がそれぞれバイアス線9Bおよび結線10Bに接続されている。これらの各結線10A、10Bは、逆バイアス電源14に接続されている。
逆バイアス電源14は、制御手段22に接続されており、制御手段22からの制御にしたがって、各結線10A、10Bおよび各バイアス線9A、9Bを介して、各放射線検出素子7に逆バイアス電圧としての負の電圧を印加するようになっている。
なお、前述したように放射線検出素子7のp層77、i層76、n層75の積層順を逆に形成して第2電極78を介してn層75にバイアス線9A、9Bを接続する場合には、逆バイアス電源14からは第2電極78に逆バイアス電圧として正の電圧が印加される。その場合には、図7や図8における放射線検出素子の逆バイアス電源14に対する接続の向きが逆向きになる。
また、各バイアス線9A、9Bの結線10A、10Bには、それぞれ第1電流検出手段24A、第2電流検出手段24Bが設けられており、第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bは、制御手段22に接続されている。
第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bは、各バイアス線9Aが結束された結線10A内を流れる電流と、各バイアス線9Bが結束された結線10B内を流れる電流と、をそれぞれ独立に検出する。
具体的には、第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bは、図示を省略するが、それぞれ、結線10A、10Bに直列に接続される所定の抵抗値を有する抵抗と、抵抗の両端子間の電圧を測定する差動アンプとを備えて構成されている。そして、差動アンプで抵抗の両端子間の電圧を測定することで、結線10A、10Bを流れる電流を電圧値に変換して検出し、各結線10A、10Bを流れる電流値に相当する電圧値を、それぞれ制御手段22に出力するようになっている。
第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bに設けられる抵抗としては、結線10中を流れる必ずしも大きくない電流を増幅するために、抵抗値が100kΩや1MΩ等の大きな抵抗値を有する抵抗が用いられる。
また、このように第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bに設けられる抵抗の抵抗値が大きいと、例えば放射線照射によって蓄積された電荷を読み出す場合にバイアス線9A、9Bや結線10A、10B等を流れる電流の大きな妨げになる可能性があるため、各電流検出手段24A、24Bに、前記抵抗の両端子間を適宜短絡することができるようにスイッチ等が設けられていることが好ましい。
以下では、これらの第1電流検出手段24A、第2電流検出手段24Bのそれぞれを個別に識別する場合には、「第1電流検出手段24A」「第2電流検出手段24B」として説明し、第1電流検出手段24A、第2電流検出手段24Bを個別に識別する必要がない場合には、「電流検出手段24A、24B」または「電流検出手段24」と総称して説明する。
また、各領域A、Bに配設された各放射線検出素子7の第1電極74は、TFT8のソース電極8s(図7中ではSと表記)に接続されている。そして、各TFT8のゲート電極8g(図7中ではGと表記)は、走査駆動回路15から延びる各走査線5にそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7中ではDと表記)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
そして、制御手段22からの制御によって、走査駆動回路15から、走査線5を介してTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用の電圧が印加されると、TFT8のゲートが開き、放射線検出素子7に蓄積された電荷すなわち電気信号がTFT8のソース電極8sを介してドレイン電極8dから信号線6に読み出されるようになっている。
各信号線6は、それぞれ読み出し回路17A、17Bに接続されている。
本実施形態では、図7に示すように、2つの領域A、Bのそれぞれに対応する読み出し回路17が設けられていることとし、領域Aに対応する読み出し回路を17Aとし、領域Bに対応する読み出し回路を17Bとして説明するが、読み出し回路17の数はこれに限定されず、1本の信号線6ごとに1回路ずつ設けても良い。
以下では、これらの読み出し回路17のそれぞれを個別に識別する場合には、「読み出し回路17A、17B」として説明し、各読み出し回路17A、17Bを個別に識別する必要がない場合には、「読み出し回路17」と総称して説明する。
各読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、アナログマルチプレクサ20と、A/D変換器21とで構成されており、各放射線検出素子7から信号線6を通じて読み出された電荷を、放射線検出素子7ごとに電荷電圧変換するとともに増幅等を行って電気信号に変換するようになっている。
なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ20は省略されている。
増幅回路18は、例えばチャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cとが接続されて構成されている。
電荷リセット用スイッチ18cは、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。
また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子18a1には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子18a2は接地(GND)されている。すなわち、本実施形態は、初期電圧が0[V]に設定されている場合に相当する。
なお、以下、このように増幅回路18の入力側の非反転入力端子18a2が接地されている場合について説明するが、増幅回路18の入力側の非反転入力端子18a2に所定の初期電圧を印加するように構成することも可能である。
そして、増幅回路18では、電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で、放射線検出素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、走査駆動回路15により、走査線5を介してTFT8のゲート電極8gにオン電圧が印加されると)、当該放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力端子18a3から出力されるようになっている。増幅回路18は、このようにして、各放射線検出素子7から出力された電荷量に応じて電圧値を出力して電荷電圧変換して増幅する。
一方、制御手段22からの制御によって、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされると、増幅回路18の入力側と出力側とが短絡されてコンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて増幅回路18がリセットされる。
なお、増幅回路18を、放射線検出素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路19が接続されている。
本実施形態では、相関二重サンプリング回路19は、サンプルホールド機能を有しており、この相関二重サンプリング回路19におけるサンプルホールド機能は、制御手段22から送信されるパルス信号によりそのオン/オフが制御されるようになっている。
すなわち、相関二重サンプリング回路19は、図9に示すように、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態(図中の「18coff」参照)とされた直後に、制御手段22から1回目のパルス信号を受信すると、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持する(図中左側の「CDS保持」参照)。
ここで、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とされると、その瞬間にいわゆるkTCノイズが発生して増幅回路18のコンデンサ18bにkTCノイズに起因する電荷qが蓄積されるため、電荷リセット用スイッチ18cがオフ状態とした時点で増幅回路18から出力される電圧値が0[V]からVinに上昇する。
そして、放射線検出素子7のTFT8がオン状態(図中の「TFTon」参照)とされて当該放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、オペアンプ18aから出力される電圧値が上昇した時点で、放射線検出素子7のTFT8がオフ状態(図中の「TFToff」参照)とされた直後に、制御手段22から2回目のパルス信号を受信すると、相関二重サンプリング回路19は、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持する(図中右側の「CDS保持」参照)。
さらに、相関二重サンプリング回路19は、増幅回路18から出力された電圧値の差分値Vfi−Vinを、下流側に電気信号として出力する。相関二重サンプリング回路19から出力された電気信号は、アナログマルチプレクサ20(図7参照)に送信され、アナログマルチプレクサ20から順次A/D変換器21に送信される。
そして、各放射線検出素子7で発生した電荷に対応する電気信号が、A/D変換器21においてデジタル値に変換され、制御手段22に順次出力されて、制御手段22に接続された記憶手段23に保存されるようになっている。
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)等を備えたマイクロコンピュータや専用の制御回路で構成されており、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御する。
また、制御手段22には、RAM(Random Access Memory)等で構成される記憶手段23が接続されている。
さらに、制御手段22には、放射線画像撮影装置1の各部材に電力を供給するためのバッテリ27が接続されている。バッテリ27は、放射線画像撮影装置1のハウジング2内に内蔵されており、外部装置からバッテリ27に電力を供給してバッテリ27を充電する際の図示しない接続端子が取り付けられている。
前述したように、制御手段22は、逆バイアス電源14や第1電流検出手段24A、第2電流検出手段24B、走査駆動回路15、各読み出し回路17内の増幅回路18や相関二重サンプリング回路19等を制御することで、領域毎に、放射線画像撮影における各種処理を制御する。
具体的には、制御手段22は、第1電流検出手段24Aと第2電流検出手段24Bから出力される電圧値に基づいて、放射線の照射が開始されたか否かを領域A、B毎に別々に検出する。そして、制御手段22は、何れかの領域A、Bにおいて放射線の照射が開始されたことを検出した場合に、放射線が照射された領域内の放射線検出素子7に蓄積された電荷を、その領域に対応する読み出し回路17により読み出して電気信号に変換し、画像データを得る。さらに、制御手段22は、放射線が照射された領域から読み出した画像データに基づいて間引き画像データを生成し、生成した間引き画像データや元の画像データ(rawデータ)を、後述のコンソールCに送信する。
ここで、図10のフローチャートを参照しながら、制御手段22の制御構成について説明するとともに、併せて、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用について説明する。
初めに、制御手段22が放射線の照射の開始を領域単位で検出する処理について説明する。
制御手段22は、放射線の照射に先立って、まず、全ての増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオン状態とし、また、各走査線5を介して走査駆動回路15から全ての放射線検出素子7のTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用の電圧を印加して全TFT8をオン状態とする(図10のステップS1)。また、制御手段22は、各電流検出手段24A、24B内の抵抗の両端子間を短絡するスイッチもオン状態とする。
この処理により、各放射線検出素子7の内部や各信号線6、増幅回路18のコンデンサ18b、バイアス線9A、9B、各電流検出手段24A、24B等に蓄積されている不要な電荷が放電され、初期状態に設定される。
続いて、制御手段22は、全ての放射線検出素子7のTFT8のゲート電極8gに対する信号読み出し用の電圧の印加を停止して、全TFT8をオフ状態とする(図10のステップS2)。また、第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24B内のスイッチもオフ状態とする。
この状態で、制御手段22は、第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bの状態を監視し、放射線の照射開始を各領域A、B単位で別々に検出する(図10のステップS3)。
放射線画像撮影において、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R(図1参照)上或いはその近傍に存在する被写体を透過した放射線が、シンチレータ3(図2等参照)に入射し、シンチレータ3で放射線が電磁波に変換されて、電磁波がその下方の放射線検出素子7に入射する。
このとき、領域Aに照射された放射線の電磁波は、領域A内に配設された放射線検出素子7群に入射し、領域Bに照射された放射線の電磁波は、領域B内に配設された放射線検出素子7群に入射することとなる。
放射線が照射された領域内の放射線検出素子7では、入射した電磁波がi層76(図5参照)に到達すると、電磁波のエネルギによりi層76内で電子正孔対が発生する。そして、バイアス線9A、9Bを介して逆バイアス電源14から印加される逆バイアス電圧によって放射線検出素子7内に形成された電位勾配に従って、発生した電子と正孔のうちの一方の電荷(本実施形態では正孔)が第2電極78側に移動し、他方の電荷(本実施形態では電子)が第1電極74側に移動する。
このとき、TFT8のゲート電極8gにはオフ電圧が印加されてTFT8はオフ状態になっているため、放射線検出素子7内で第1電極74側に移動した電子は、TFT8から信号線6に流出できず、第1電極74付近に蓄積される。また、それと等量の正孔が第2電極78付近に蓄積される。
しかし、TFT8は、通常、信号線6への電子の漏出を完全に遮断することができず、微量ではあるが、TFT8を介して放射線検出素子7内の電子がリークする。従って、それと等量の正孔が放射線検出素子7の第2電極78からバイアス線9A、9Bに漏出する。
また、放射線検出素子7内に蓄積される電子や正孔の量が増えるほど、リークする電子や正孔の量が増加する。さらに、各放射線検出素子7の第2電極78からバイアス線9A、9Bにそれぞれ漏出する正孔の量は僅かであっても、百万個〜千万個の放射線検出素子7からそれぞれ漏出する正孔がバイアス線9A、9Bの結線10A、10Bに集められると、電流検出手段24A、24Bで検出できるレベルの量になる。
そこで、各電流検出手段24A、24Bのスイッチをオフ状態として各電流検出手段24A、24Bの抵抗の両端子間を短絡を解除し、バイアス線9A、9Bの結線10A、10Bを流れる少量の電流を増幅して電圧値として検出する。
そして、例えば図11に示すように、放射線画像撮影で放射線の照射が開始されて放射線検出素子7内で発生した電子正孔対のうち正孔がバイアス線9A、9Bに流出し始めると、結線10A、10Bに流れる電流が増加し始め、図11における時刻t1に示されるように、電流検出手段24A、24Bから出力される電圧値Vが増加し始める。
これを利用して、本実施形態では、各領域に対応する電流検出手段24A、24Bから出力される電圧値Vに予め所定の閾値Vthを設け、制御手段22で、それぞれの電流検出手段24A、24Bから出力される電圧値Vが閾値Vthを越えたか否かを別々に監視する。
そして、例えば、領域Aを撮影領域とする放射線画像撮影において、領域Aのみに放射線が照射された場合には、放射線の照射によって領域Aの放射線検出素子7内で電子正孔対が発生し、領域A内の放射線検出素子7に接続されたバイアス線9Aを結束する結線10Aに流れる電流が増加し始め、領域Aに対応する第1電流検出手段24Aから出力される電圧値Vが増加して閾値Vthを超えることとなる。一方、領域Bに対応する第2電流検出手段24Bから出力される電圧値Vは増加せず、閾値Vthを超えないこととなる。
そして、制御手段22は、第1電流検出手段24Aから出力される電圧値Vが閾値Vthを越えた場合には、電圧値Vが閾値Vthを越えた時点tstartで、第1電流検出手段24Aに対応する領域Aにおいて放射線の照射が開始されたと判断する。また、制御手段22は、第2電流検出手段24Bから出力される電圧値Vが閾値Vthを越えない場合には、第2電流検出手段24Bに対応する領域Bには放射線が照射されていないと判断する。
以上のように、本実施形態の放射線画像撮影装置1では、制御手段22が、各領域A、Bに対応する第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bからそれぞれ出力される電圧値Vを別々に監視し、各電流検出手段24A、24Bから出力される電圧Vが閾値Vthを超えたか否かを領域毎にそれぞれ個別に判断することで、放射線の照射開始を領域単位で検出するようになっている。
続いて、制御手段22は、放射線の照射の開始を検出した時点tstartから所定時間経過後に、放射線の照射が終了したと判断する(図10のステップS4)。
なお、放射線の照射が停止されて放射線画像撮影が終了すると、放射線検出素子7内で電子正孔対が発生しなくなるため、今度は電圧値Vが減少し始める。そのため、制御手段22は、例えば、各電流検出手段24から出力される電圧値Vが閾値Vth以下となった時点tendで、その電流検出手段24に対応する領域において、放射線の照射が終了したと判断するように構成することも可能である。
また、放射線の照射の開始や終了を検出するために、電圧値V自体に閾値Vthを設ける代わりに、例えば、電圧値Vの変化率ΔVに閾値ΔVthを設けておき、電圧値Vの増加率ΔVが閾値ΔVthを越えた時刻を放射線の照射開始時刻tstartとし、電圧値Vの減少率ΔVの絶対値が閾値ΔVth以上となった時刻を放射線の照射終了時刻tendとして検出するように構成することも可能である。
さらに、いずれか一つ以上の領域において放射線の照射が検出され、一方で、放射線の照射が検出されない領域が存在する場合には、いずれかの領域において放射線の照射を検出した段階で(放射線の照射の開始を検出した時点tstartの所定時間経過後に)、制御手段22が、放射線の照射を検出しない領域に対応する読み出し回路17への電力供給を停止するように構成することも可能である。
なお、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されていない状態でも、各放射線検出素子7の内部では、放射線検出素子7自体の熱による熱励起等によりいわゆる暗電荷が発生して蓄積される。そして、それに起因する電流がバイアス線に漏出し、それが結線10A、10Bに集められるため、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されていない状態でも、結線10A、10B中には微弱な電流が流れ、それに相当する電圧値Vaが電流検出手段24から出力される。
次に、上述の処理により、領域毎に放射線の照射を検出した後に、制御手段22が、放射線が照射された領域から電気信号の読み出しを行って、画像データを取得し、さらに、取得した画像データに基づいて間引き画像データを生成してコンソールCに送信する処理について説明する。
以下では、放射線が照射された領域(すなわち、放射線画像撮影に使用された領域)の処理を、放射線が照射されなかった領域(すなわち、放射線画像撮影に使用されない領域)の処理と容易に区別できるように、一例として、操作者が、2つの領域A、Bのうち、領域Aを使用して放射線画像撮影を実施し、領域Aのみに放射線が照射された場合について説明するが、領域Bを使用して放射線画像撮影を実施した場合や、領域A、Bの両方(検出部Pの全領域)を使用して放射線画像撮影を実施した場合であっても、以下と同様の処理が行われることは無論である。
読み出しに先立って、制御手段22は、各電流検出手段24A、24B内の抵抗の両端子間を短絡するスイッチをオン状態とする。これにより、各電流検出手段24A、24Bの抵抗の影響を取り除いて読み出すことが可能となる。
この状態で、制御手段22は、まず、放射線画像撮影において撮影領域とされた領域、すなわち、放射線の照射を検出した領域Aに対応する読み出し回路17Aに備わる各増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオフ状態とし(図10のステップS5)、その読み出し回路17Aに備わるCDS回路19に信号を送信する。この信号の送信を受けた相関二重サンプリング回路19は、図9に示すように、この段階で増幅回路18から出力される電圧値Vinを保持する。
そして、制御手段22は、走査駆動回路15(図6参照)から1本の走査線5に信号読み出し用の電圧を印加して、その走査線5にゲート電極8gが接続されているTFT8のゲートを開く。
すると、信号読み出し用の電圧が印加された走査線5上のTFT8が接続されている各放射線検出素子7から、TFT8のソース電極8sおよびドレイン電極8dを介して、それらの放射線検出素子7に蓄積された電荷(本実施形態の場合は電子)が電気信号として各信号線6に読み出される。
そして、放射線が照射されたことを検出した領域Aに対応する読み出し回路17Aでは、各信号線6から出力される電気信号が増幅回路18においてそれぞれ増幅され、増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積される(図10のステップS6)。
続いて、制御手段22は、放射線が照射された領域A内の放射線検出素子7から読み出された電荷が増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積された後に、走査駆動回路15に対して、信号の読み出しを行わない(すなわち信号を保持する)電圧を走査線5に印加する信号を出力して各TFT8のゲートを閉じる。また、制御手段22は、放射線の照射を検出した領域Aに対応する読み出し回路17A内の相関二重サンプリング回路19にも同様の信号を送信する。
この信号の送信を受けた相関二重サンプリング回路19は、図9に示すように、この段階で増幅回路18から出力される電圧値Vfiを保持する。そして、増幅回路18から出力されたこれらの電圧値Vin・Vfiの差Vfi−Vinを算出して出力する(図10のステップS7)。
放射線の照射を検出した領域Aに対応する読み出し回路17A内の各相関二重サンプリング回路19から出力された電気信号、すなわち前記差Vfi−Vinは、アナログマルチプレクサ20(図6参照)を介して順次A/D変換器21に送信され、A/D変換器21で順次デジタル値に変換される(図10のステップS8)。A/D変換器21から放射線検出素子7毎の電気信号が送信されてくると、制御手段22は、放射線検出素子7毎の電気信号を、記憶手段23に保存する。
続いて、制御手段22は、放射線の照射を検出した領域A内の全ての放射線検出素子7について電気信号の読み出しを終了していなければ(図10のステップS9;NO)、放射線の照射を検出した領域Aに対応する読み出し回路17A内の各増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオン状態として(図10ステップS10)、増幅回路18のコンデンサ18bに蓄積されている電荷を放電して除去した後、再び各増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cをオフ状態とし、走査駆動回路15から信号読み出し用の電圧を印加する走査線5を替えてステップS5以降の処理を繰り返す。
一方、放射線の照射を検出した領域A内の全ての放射線検出素子7について電気信号の読み出しを終了していれば(図10のステップS9;YES)、制御手段22は、各放射線検出素子7や各増幅回路18等に残っている電荷を放電する等の必要な処理を行って、放射線検出素子7からの電気信号の読み出し処理を終了する。
次に、制御手段22は、読み出し処理により取得したデータに対して、オフセット/ゲイン補正や欠陥補正等、必要に応じて各種の補正処理を施すことにより画像データ(rawデータ)を生成して、記憶手段23に記憶させるとともに、生成した画像データから、所定の割合で画素データを間引いて間引き画像データを生成する(図10のステップS11)。そして、生成した間引き画像データを、アンテナ装置29や図示しない無線アクセスポイントを介して、コンソールCに送信し(図10のステップS12)、処理を終了する。
さらに、図10のフローチャートにおいて図示は省略するが、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、間引き画像データをコンソールCに送信した後に、コンソールCから、間引き画像データの元の画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を受信した場合には、記憶手段23に記憶された元の画像データ(rawデータ)を読み出して、アンテナ装置29を介して、コンソールCに送信する。
以上のようにして、制御手段22は、放射線が照射された領域A(すなわち、放射線画像撮影に使用された領域A)のみから画像データを取得するとともに、放射線が照射された領域Aのみの間引き画像データや元の画像データ(rawデータ)を生成してコンソールCに送信するようになっている。
なお、制御手段22は、全ての領域(すなわち、領域Aおよび領域B)において放射線の照射を検出した場合には、領域Aおよび領域Bを一つの撮影領域とする画像データ(間引き画像データや元の画像データ(rawデータ))を生成し、コンソールCに送信するようになっている。
また、放射線画像撮像装置は、間引き画像データや元の画像データ(rawデータ)をコンソールCに送信する際に、これらの画像データがどの領域のデータであるか、すなわち、どの領域が放射線画像撮影に使用されかを示す情報を、間引き画像データや元の画像データ(rawデータ)とともにコンソールCに送信するように構成しても良い。
また、放射線画像撮像装置は、放射線の照射を検出しない領域が存在する場合に、その領域では放射線の照射を検出しなかった旨を、コンソールCに通知するように構成しても良い。
(コンソール)
次に、第1の実施形態に係るコンソールCについて説明する。
本実施形態のコンソールCは、コンソール制御手段101、通信手段102、入力手段103、表示手段104を備えている。さらに、コンソールCには、この他にも、例えば、コンソールCから出力された画像データに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録して出力するイメージャ(いずれも図示せず)等が適宜接続されている。
コンソール制御手段101は、例えば、汎用のCPU、ROM(Read Only Memory)、RAM等(いずれも図示せず)から構成されており、ROMに格納されている所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、当該プログラムに従ってCPUが各種処理を実行することで、コンソールCの各部の動作等を制御する。
通信手段102は、アンテナ装置102aを備え、放射線画像撮影装置1との間で各種制御信号やデータ等を送受信する。
入力手段103は、各種の指示や情報等を入力するためのキーボードやマウス等により構成されている。
表示手段104は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等から成り、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像や撮影オーダ情報等の各種の情報を表示する。
上記の放射線画像撮影装置1において放射線画像撮影が終了し、放射線画像撮像装置からアンテナ装置29を介して間引き画像データが送信されてくると、コンソールCは、送信されてきた間引き画像データを、アンテナ装置102aにより受信する。
また、コンソールCのコンソール制御手段101は、アンテナ装置102aにより放射線画像撮像装置から送信されてきた間引き画像データを受信すると、受信した間引き画像データに必要な画像処理を施して、放射線画像としてのプレビュー画像(間引き画像)を生成する。
さらに、コンソール制御手段101は、生成された間引き画像は、入力手段103から入力された操作内容に従って、表示手段104に表示したり、或いはイメージャに出力し、フィルム等の画像記録媒体に記録されたりする。
操作者は、コンソールCの表示手段104に表示されたプレビュー画像(間引き画像)を見て、再撮影の要否等を確認し、再撮影が必要ない場合には、入力手段103を用いて、間引き画像データの元の画像データ(rawデータ)の送信を指示する操作を行う。
そして、コンソール制御手段101は、入力手段103において、間引き画像データの元の画像データ(rawデータ)の送信が指示されると、元の画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を、アンテナ装置29を介して、間引き画像データを送信した放射線画像撮影装置1に対して送信する。
さらに、元の画像データの送信を要求する指示信号に基づいて、放射線画像撮像装置から、アンテナ装置29を介して元の画像データ(rawデータ)が送信されてくると、コンソールCは、送信されてきた元の画像データ(rawデータ)をアンテナ装置102aにより受信し、受信した元の画像データ(rawデータ)に必要な画像処理を施して、放射線画像としての診断用の画像を生成する。生成された画像は、表示手段104に表示等されたり、イメージャによりフィルム等の画像記録媒体に記録されることとなる。
以上のように、第1の実施形態に係る放射線画像撮影システム100の放射線画像撮影装置1では、検出部Pが複数の領域A、Bから構成されており、制御手段22が、検出部Pを構成する各領域A、Bに対応する第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bからそれぞれ出力される電圧値Vに基づいて、放射線の照射を各領域A、B毎に別々に検出する。さらに、検出部Pを構成する全ての領域A、Bのうち、放射線画像撮影に使用されて放射線の照射を検出した領域のみを対象として、画像信号の読み出し処理や記憶手段23への画像データの保存処理、コンソールCへの画像データの送信処理を行う。
したがって、放射線画像撮影において、照射野絞りを使用して、ある領域のみに放射線が照射された場合には、検出部Pの全領域の画像データではなく、放射線が照射された領域の画像データ、すなわち、再撮影の要否の判断や診断等に必要な画像データのみを読み出して、記憶手段23に保存するとともに、コンソールCに送信することができる。
一方、それ以外の領域、すなわち、放射線画像撮影に用いられず、放射線が照射されなかった領域に対しては、画像信号の読み出し処理は行われず、また、画像データの記憶手段23への保存処理、コンソールCへの送信処理も行われない。
そのため、再撮影の要否の判断や診断等に不要な画像データの読み出し処理やメモリへの保存処理、外部装置への送信処理に、無駄な時間や無駄なメモリ容量、無駄な消費電力を費やすことがなくなり、放射線画像撮影を効率良く行うことができる。
また、コンソールCに対して、放射線画像撮影において放射線が照射された領域の画像データのみが送信されることとなるため、放射線画像撮影に使用されなかった無駄な画像データの送信や、コンソールCにおけるこれらの画像データの受信に余計な時間を費やすことなく、画像データの送信や受信に要する時間を短縮することができる。
これにより、コンソールCでは、放射線画像撮影に使用された領域の画像データのみを、より素早く受信して、画像データに基づく画像を迅速に表示することができ、操作者や患者にとって利用し易いシステムとなる。
とくに、コンソールCでは、放射線画像撮影装置1から送信される間引き画像データを早期の段階で受信して、間引き画像データに基づくプレビュー画像を迅速に表示することが可能となるため、操作者が、再撮影の要否を早期に判断することができることとなり、操作者や患者への負担を軽減することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る放射線画像撮影システムの第2の実施形態について説明する。なお、以下では、上記の第1の実施形態と同じ機能を果たすものには同一符号を付すとともにその説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
(放射線画像撮影システム)
第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム200は、可搬型放射線画像撮影装置1aと、外部装置としてのコンソールCと、を備えて構成されている(図13参照)。なお、以下では、可搬型放射線画像撮影装置1aを単に放射線画像撮影装置1aと表す。
(可搬型放射線画像撮影装置)
図12は、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図である。また、図13は、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置のブロック図であり、図14は検出部Pを構成する1画素分についてのブロック図である。
第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1aでは、上記第1の実施形態の放射線画像撮影装置1と同様に、図13に示すように、検出部Pが、領域Aと領域Bの2つの領域により構成されている。
なお、検出部Pの分割数(すなわち、検出部Pを構成する領域の数)は任意であり、検出部Pの分割態様、例えば、各領域の大きさや形状も任意である。
また、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1aでは、2つの領域A、領域Bのそれぞれに対応する読み出し回路171が設けられている。以下、領域Aに対応する読み出し回路を171Aとし、領域Bに対応する読み出し回路171Bとして説明するが、読み出し回路171の数はこれに限定されず、1本の信号線6ごとに1回路ずつ設けても良い。
なお、以下では、これらの読み出し回路171のそれぞれを個別に識別する場合には、「読み出し回路171A、171B」として説明し、各読み出し回路171A、171Bを個別に識別する必要がない場合には、「読み出し回路171」と総称して説明する。
また、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1aは、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1の構成に加え、さらに、各読み出し回路171が、第1の実施形態において説明した各放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換することが可能な状態(以下、読み出し回路171をこのような状態とするモードを「電力供給モード」と称する)の他に、各放射線検出素子7からの電荷の読み出しを行わない待機モードを有している。そして、制御手段22aからの制御にしたがって、読み出し回路171毎に(すなわち、領域単位で)、電力供給モードと待機モードとを切り替えることができるようになっている。
ここで、読み出し回路171における待機モードについて説明するとともに、制御手段22aによる領域単位での電力供給モードと待機モードとの切り替え処理について説明する。
読み出し回路171の待機モードは、読み出し回路171自体には通電されず、増幅回路181を構成するチャージアンプ回路を非稼働状態とするモードである。
増幅回路181を構成するチャージアンプ回路が非稼働状態とされると、増幅回路181のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2(図14参照)との間で電流が流れなくなる。そのため、接地(GND)→逆バイアス電源14→(電流検出手段24)→放射線検出素子7→TFT8→信号線6と電気的につながったループがオペアンプ18aの部分で切れるため、放射線検出素子7や逆バイアス電源14等を含む閉ループを作ることができない。
そこで、本実施形態では、図14に示すように、各読み出し回路171の増幅回路181の各オペアンプ18aには、前述したように信号線6が接続された反転入力端子18a1と接地された非反転入力端子18a2とを結び、それらの短絡および短絡の解除を切り替えるモード切り替えスイッチ18dがそれぞれ各オペアンプ18aの上流側に設けられている。
モード切り替えスイッチ18dは、本実施形態ではMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)で構成されており、モード切り替えスイッチ18dであるMOSFETの図示しないゲート電極8gと制御手段22aとが接続されている。そして、制御手段22aからゲート電極8gへの電圧に印加および印加の停止が切り替えられることにより、モード切り替えスイッチ18dのオン/オフが制御されるようになっている。
そして、制御手段22aは、読み出し回路171を待機モードに切り替える場合には、読み出し回路171への通電を停止して、増幅回路181を構成するチャージアンプ回路を非稼働状態とするとともに、各モード切り替えスイッチ18dをオン状態として、読み出し回路171の増幅回路181の各オペアンプ18aの反転入力端子18a1と非反転入力端子18a2とを短絡させる。
このように、増幅回路181を構成するチャージアンプ回路が非稼働状態とされる場合であっても、各モード切り替えスイッチ18dがオン状態とされることで、図14に示すように、接地(GND)→逆バイアス電源14→(電流検出手段24)→放射線検出素子7→TFT8→モード切り替えスイッチ18d→接地(GND)の閉ループが形成されるようになっている。
一方、制御手段22aは、読み出し回路171を前述した電力供給モードに切り替える場合には、読み出し回路171への通電を行って、増幅回路181を構成するチャージアンプ回路を稼働状態とするとともに、モード切り替えスイッチ18dをオフ状態とする。
ここで、読み出し回路171では、各放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換することが可能な状態である電力供給モードよりも、電荷の読み出しを行わず、閉ループを形成して電流検出手段24にバイアス線9A、9Bの結線10A、10Bを流れる電流を検出し易くする待機モードの方が、電力の消費量が低い。
これを利用して、本実施形態の放射線画像撮影装置1aでは、制御手段22aが、各領域A、Bに対応する全ての読み出し回路171を待機モードに切り替えた状態で、各領域A、Bに対応する各電流検出手段24A、24Bにより検出されたバイアス線9A、9Bの結線10A、10Bを流れる電流の電流量に基づいて、放射線の照射の開始を領域A、B毎に別々に検出し、さらに、検出部Pを構成する複数の領域A、Bのうち、いずれかの領域において放射線の照射の開始を検出すると、放射線の照射を検出した領域に対応する読み出し回路171のみを、待機モードから電力供給モードに遷移させるようになっている。
このように、本実施形態の放射線画像撮影装置1aでは、検出部Pを構成する複数の領域のうち、放射線の照射を検出した領域に対応する読み出し回路171のみを、待機モードから電力供給モードに遷移させ、一方、放射線の照射を検出しない領域に対応する読み出し回路171は待機モードのまま維持することで、電力消費量を低減させることができるようになっている。
以下、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1aの作用について説明するとともに、制御手段22aによる放射線の照射開始の検出および読み出し回路171の待機モードから電力供給モードへの遷移について説明する。
まず、放射線画像撮影の開始前において、放射線画像撮影装置1aは、各放射線検出素子7には逆バイアス電源14からの逆バイアス電圧が印加されず、各TFT8にも電圧が印加されないスリープ状態で撮影室内に配置される。このとき、モード切り替えスイッチ18dのゲート電極8gに電圧が印加されずオフ状態とされ、読み出し回路171にも電力が供給されない。
つまり、スリープ状態では、制御手段22aや記憶手段23、アンテナ装置29等の必要な部材にのみ必要に応じて電力が供給される。
続いて、放射線画像撮影に向けて、放射線技師等の操作者の手動による操作やコンソールCからの信号を受信することにより放射線画像撮影装置1aのモード切り替えの指示がなされると、制御手段22aは、全ての読み出し回路171を待機モードに移行させ、放射線画像撮影装置1aをスリープ状態から照射待ち状態に移行させる。
照射待ち状態では、逆バイアス電源14から、各領域A、Bに配設された各放射線検出素子7に逆バイアス電圧が印加され、各TFT8には、まず、オフ電圧が印加される。このとき、上記の閉ループを形成するためにモード切り替えスイッチ18dがオン状態とされるとともに、読み出し回路171自体には通電されず、各読み出し回路171が待機モードとされる。
本実施形態では、制御手段22aは、放射線画像撮影装置1aを照射待ち状態に切り替えると、放射線検出素子7のリセット処理を行うようになっている。
リセット処理では、制御手段22aは、走査駆動回路15から各走査線5を介して各放射線検出素子7のスイッチ素子であるTFT8のゲート電極8gに信号読み出し用のオン電圧を印加させて全てのTFT8をオン状態とし、放射線検出素子7内に蓄積されている余分な電荷をバイアス線9A、9Bに放出させる。
なお、このリセット処理においては、バイアス線9A、9Bの結線10A、10Bを流れる電流を検出する必要がないため、余分な電荷を流出の妨げにならないように、各電流検出手段24A、24Bのスイッチをオン状態として各電流検出手段24A、24Bの抵抗の両端子間を短絡させておくことが好ましい。
リセット処理が終了すると、制御手段22aは、走査駆動回路15から各走査線5を介してTFT8のゲート電極8gにオフ電圧を印加させて、全てのTFT8をオフ状態とするとともに、各電流検出手段24A、24B内のスイッチもオフ状態とする。
この状態で、制御手段22aは、各領域に対応する各電流検出手段24A、24Bから出力される電圧値Vを別々に監視し、放射線の照射開始を領域毎に独立して検出する。
そして、放射線画像撮影装置1aへの放射線の照射が開始されると、放射線画像撮影装置1aの放射線入射面R(図12参照)上或いはその近傍に存在する被写体を透過した放射線が、シンチレータ3(図2等参照)に入射し、シンチレータ3で放射線が電磁波に変換されて、電磁波がその下方の放射線検出素子7に入射する。
このとき、領域Aに照射された放射線の電磁波は、領域A内に配設された放射線検出素子7群に入射し、領域Bに照射された放射線の電磁波は、領域B内に配設された放射線検出素子7群に入射することとなる。
以下では、放射線が照射された領域(すなわち、放射線画像撮影に使用された領域)の処理を、放射線が照射されなかった領域(すなわち、放射線画像撮影に使用されなかった領域)の処理と容易に区別できるように、一例として、操作者が、2つの領域A、Bのうち、領域Aを使用して放射線画像撮影を実施し、領域Aのみに放射線が照射された場合について説明する。
制御手段22aは、各領域A、Bに対応する各電流検出手段24A、24Bから出力される電圧値Vが閾値Vthを越えたか否かを別々に判断している。そして、上記のように領域Aに放射線が照射され、領域Bには放射線が照射されない場合、放射線の照射によって領域Aの放射線検出素子7内で電子正孔対が発生し、領域A内の放射線検出素子7に接続されたバイアス線9Aを結束する結線10Aに流れる電流が増加し始める。そして、領域Aに対応する第1電流検出手段24Aから出力される電圧値Vが増加し始め、閾値Vthを超えることとなる。一方、放射線が照射されない領域Bに対応する第2電流検出手段24Bから出力される電圧値Vは増加せず、閾値Vthを超えないこととなる。
そして、制御手段22aは、検出部Pを構成する2つの領域A、Bのうち、領域Aに対応する第1電流検出手段24Aから出力される電圧値Vが閾値Vthを超え、領域Bに対応する第2電流検出手段24Bから出力される電圧値Vが閾値Vthを超えないと判断すると、領域Aのみに放射線の照射が開始されたと判断する。
さらに、制御手段22aは、放射線の照射を検出した領域Aに対応する読み出し回路171Aのみを、待機モードから電力供給モードに遷移させる。すなわち、制御手段22aは、放射線の照射を検出した領域Aに対応する読み出し回路171Aのみに通電を開始し、その増幅回路181を構成するチャージアンプ回路を稼働状態とするとともに、モード切り替えスイッチ18dがオフ状態とする。
一方で、制御手段22aは、放射線の照射を検出した領域Bに対応する読み出し回路171Bには通電を行わず、その増幅回路181を構成するチャージアンプ回路を非稼動状態として、領域Bに対応する読み出し回路171Bを待機モードのまま維持する。
そして、放射線画像撮影装置1aへの放射線の照射が終了すると、制御手段22aは、放射線の照射を検出した領域Aに対応する読み出し回路171Aにより、放射線の照射によって領域Aに配設された各放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換する読み出し処理を実行する。
この処理により、放射線が照射されたことを検出した領域A内の放射線検出素子7に蓄積された電荷が電気信号として各信号線6に読み出されるとともに、放射線が照射されたことを検出した領域Aに対応する読み出し回路171Aにおいて、各信号線6から出力される電気信号が増幅、A/D変換等されて記憶手段23に保存されることとなる。
このとき、領域Aに対応する読み出し回路171Aには通電が行われ、領域Aに対応する読み出し回路171Aに備わる各種の部材(増幅回路181、相関二重サンプリング回路19、アナログマルチプレクサ20、A/D変換器21等)が稼動状態とされる。そのため、電力消費モードに遷移した領域Aの読み出し回路171Aでは、待機モードのまま維持されている場合よりも、電力の消費量が増加することとなるが、一方で、放射線の照射を検出しない領域Bに対応する読み出し回路171Bには、通電が行われない状態のまま維持される。
そのため、放射線の照射を検出した領域Aのみを電力供給モードに遷移させた場合には、領域Aと領域Bとの両方を電力供給モードに遷移させる場合よりも、領域Bの読み出し回路171Bに通電を行わない分だけ、装置全体の消費電力量が低減することとなる。
その後、制御手段22aは、放射線の照射を検出した領域Aにおける読み出し処理により取得したデータに対して、オフセット/ゲイン補正や欠陥補正等、必要に応じて各種の補正処理を施すことにより画像データ(rawデータ)を生成して、記憶手段23に記憶させるとともに、生成した画像データから、所定の割合で画素データを間引いて間引き画像データを生成し、生成した間引き画像データを、アンテナ装置29や図示しない無線アクセスポイントを介して、コンソールCに送信する。
さらに、制御手段22aは、間引き画像データをコンソールCに送信した後に、コンソールCから、間引き画像データの元の画像データ(rawデータ)の送信を要求する指示信号を受信した場合には、記憶手段23に記憶された元の画像データ(rawデータ)を読み出して、アンテナ装置29を介して、コンソールCに送信する。
その後、領域A及び領域Bの放射線検出素子7をリセットし、次の撮影に備えることとなる。
このように、制御手段22aは、全ての領域A、Bを消費電力の低い待機モードとした状態で、放射線の照射を各領域A、B毎に別々に検出するとともに、放射線画像撮影装置1aに対して放射線の照射が行われた場合に、放射線の照射を検出した領域Aのみを、放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換することが可能な電力供給モードに遷移させるようになっている。さらに、放射線が照射された領域Aのみから画像データを取得するとともに、取得した画像データに基づく間引き画像データや元の画像データ(rawデータ)をコンソールCに送信するようになっている。
以上のように、第2の実施形態に係る放射線画像撮影システム200の放射線画像撮影装置1aでは、検出部Pが複数の領域A、Bから構成されており、制御手段22aが、検出部Pを構成する全ての領域A、Bを消費電力の低い待機モードとした状態で、各領域A、Bに対応する第1電流検出手段24Aおよび第2電流検出手段24Bから出力される電圧値Vに基づいて、放射線の照射を各領域A、B毎に別々に検出する。そして、検出部Pを構成する全ての領域A、Bのうち、放射線画像撮影に使用されて放射線の照射を検出した領域に対応する読み出し回路171のみを、待機モードから、放射線検出素子7内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換することが可能な電力供給モードに遷移させる。
そのため、放射線画像撮影において、検出部Pを構成する複数の領域A、Bのそれぞれに対応する読み出し回路171A、171Bのうち、放射線の照射を検出しない領域に対応する読み出し回路171は、電力供給モードよりも低消費電力である待機モードのまま維持されることとなり、全ての領域A、Bに対応する読み出し回路171A、171Bを待機モードから電力供給モードに遷移させる場合と比較して、放射線画像撮影に要する電力消費量を低減することが可能となる。
また、制御手段22aは、検出部Pを構成する全ての領域A、Bのうち、放射線の照射を検出して、電力供給モードに遷移した領域のみを対象として、画像信号の読み出し処理や記憶手段23への画像データの保存処理、コンソールCへの画像データの送信処理を行う。
そのため、放射線画像撮影において、ある領域のみに放射線が照射された場合には、検出部Pの全領域の画像データではなく、放射線が照射された領域の画像データ、すなわち、再撮影の要否の判断や診断等に必要な画像データのみを読み出して、コンソールCに送信することができる。
一方、それ以外の領域、すなわち、放射線画像撮影に用いられず、放射線が照射されなかった領域に対しては、画像信号の読み出し処理は行われず、また、画像データの記憶手段23への保存処理、コンソールCへの送信処理も行われない。
そのため、再撮影の要否の判断や診断等に不要な画像データの読み出し処理やメモリへの保存処理、外部装置への送信処理に、無駄な時間や無駄なメモリ容量、無駄な電力を費やすことがなくなり、放射線画像撮影を効率良く行うことができる。
なお、第2の実施形態に係る放射線画像撮影装置1aの制御手段22aは、コンソールCに対して元の画像データ(rawデータ)を送信した後に、放射線の照射を検出した領域に対応する読み出し回路171への通電を停止するように構成されていても良い。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、放射線の照射を検出した領域について画像信号の読み出しを行わない場合について説明したが、全ての領域から画像信号を読み出すこととし、読み出した画像データのうち、放射線の照射を検出した領域の画像データのみをコンソールCに送信し、放射線の照射を検出しない領域の画像データはコンソールCに送信しないように構成しても良い。
また、このとき、全ての領域(すなわち、検出部Pの全領域)の画像データに基づいて、領域毎に放射線の照射の有無と被写体が撮影されているか否かを判別するように構成しても良い。これにより、放射線が照射されたか否かや被写体が撮影されているか否か等を、領域毎に正確に判別することが可能となり、より確実に、必要な画像データ(すなわち、被写体が載置され、放射線が照射された領域の画像データ)のみをコンソールに送信することができる。
また、検出部Pを構成する複数の領域のうち、ある領域に被写体を載置するとともに、検出部Pの全領域に対して放射線を照射した場合には、被写体が載置されていない領域は、放射線が直接照射される直接照射領域となる。直接照射領域とされた領域内の全放射線検出素子7からは、最高濃度Dmaxに対応する画像信号が出力される。
そこで、このように、いずれかの領域の全放射線検出素子7からDmaxの画像信号が出力された場合には、制御手段は、その領域を直接照射領域であると判別し、その領域の画像データは不要であるとして、記憶手段への保存処理やコンソールCへの送信処理を行わないように構成しても良い。
これにより、検出部Pの全領域に対して放射線が照射された場合であっても、領域毎に、放射線画像撮影に使用された画像データ(すなわち、被写体が載置され、放射線が照射された画像データ)であるか否かを判別して、再撮影の要否の判断や診断等に必要な画像データのみ記憶手段への保存処理やコンソールCへの送信処理を行うことができ、コンソールCへの画像データの送信時間を短縮し、効率の良い放射線画像撮影が可能となる。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、放射線画像撮影装置1、1aに対する放射線の照射を領域A、B毎に個別に検出するために2つの電流検出手段24(第1電流検出手段24A、第2電流検出手段24B)が設けられる場合について説明したが、電流検出手段の数は2つに限られず、放射線画像撮影装置への放射線の照射を領域毎に検出可能である限り、検出部Pの分割数(すなわち、検出部Pを構成する領域の数)に応じて任意の数の電流検出手段24を設けることができる。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、放射線画像撮影装置1、1aとコンソールCとの間で無線通信を行う場合について説明したが、放射線画像撮影装置とコンソールとをケーブル等により有線接続し、画像データや各種信号の送受信をケーブル等を介して行うこととしても良い。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、放射線画像撮影装置1、1aが、間引き画像データを、間引き画像データの元となる画像データ(rawデータ)に優先してコンソールCに送信する構成について説明したが、間引き画像データを生成せず、元の画像データ(rawデータ)のみを送信するように構成しても良い。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、操作者が、コンソールCの入力手段103により元の画像データ(rawデータ)の送信を要求した場合に、放射線画像撮影装置1、1aからコンソールCに対して元の画像データ(rawデータ)を送信する場合について説明したが、放射線画像撮影装置に画像データの送信を指示するための画像送信スイッチを設け、操作者により画像送信スイッチが操作された場合に、コンソールに対して画像データを送信するように構成されていても良い。
また、その他、本発明が上記の実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
100 放射線画像撮影システム
1 放射線画像撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)
9A、9B バイアス線
17A、17B(17) 読み出し回路
22 制御手段
24A(24) 第1電流検出手段
24B(24) 第2電流検出手段
27 バッテリ
29 アンテナ装置(通信手段)
C コンソール(外部装置)
P 検出部
A、B 領域
200 放射線画像撮影システム
1a 放射線画像撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)
171A、171B(171) 読み出し回路
22a 制御手段

Claims (6)

  1. 照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子が二次元状に配列された検出部を有する可搬型放射線画像撮影装置において、
    前記検出部は、複数の領域から構成され、
    前記各放射線検出素子にバイアス線を介して逆バイアス電圧を印加する逆バイアス電源と、
    前記領域毎に、前記バイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記領域毎に、前記各放射線検出素子内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換する読み出し回路と、
    前記読み出し回路により読み出した画像データを外部装置へ送信する通信手段と、
    前記各部材に電力を供給するバッテリと、
    前記電流検出手段により検出される前記バイアス線を流れる前記電流の電流量の増加に基づいて、放射線の照射の開始を前記領域毎に検出する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、
    放射線の照射を検出した前記領域と、放射線の照射を検出しない前記領域と、においてそれぞれ異なる処理を行うことを特徴とする可搬型放射線画像撮影装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記通信手段により、放射線の照射を検出した前記領域の画像データのみを前記外部装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
  3. 前記制御手段は、
    前記読み出し回路により、放射線の照射を検出した前記領域の画像データのみを読み出すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
  4. 前記制御手段は、
    放射線の照射を検出した前記領域における前記放射線検出素子に蓄積された電荷に基づいて間引き画像データを生成し、生成した当該間引きデータを、前記画像データに優先して前記外部装置に送信することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
  5. 前記読み出し回路は、
    前記領域の各々に対応して複数設けられ、
    前記各放射線検出素子内で発生し蓄積された電荷を読み出して電気信号に変換することが可能な状態である電力供給モードと、前記電荷の読み出しを行わず、前記電力供給モードよりも低消費電力である待機モードとを有し、
    前記制御手段は、
    放射線の照射の開始を検出した前記領域に対応する前記読み出し回路のみを、前記待機モードから前記電力供給モードに遷移させることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
  6. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載の可搬型放射線画像撮影装置と、
    前記可搬型放射線画像撮影装置から送信された前記画像データを受信して、受信した当該画像データに基づいて放射線画像を形成する外部装置と、
    を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
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