JP2010264181A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無駄な電力の消費を抑制しつつ、かつ、放射線検出素子内に残存する電荷を的確に除去することが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子7と、信号線6を通じて放射線検出素子7から読み出された電荷を画像データDに変換する増幅回路18と、バイアス線9を介して各放射線検出素子7にバイアス電圧を印加するバイアス電源14と、バイアス線9を流れる電流を検出する電流検出手段43と、放射線の照射時に電流検出手段43で検出された電流の値に基づいて、照射された放射線の線量を算出する線量算出手段22と、算出された線量に基づいて、各放射線検出素子7のリセット処理条件を設定し、設定したリセット処理条件に従って各放射線検出素子7のリセット処理を行う制御手段22とを備える。
【選択図】図7
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子7と、信号線6を通じて放射線検出素子7から読み出された電荷を画像データDに変換する増幅回路18と、バイアス線9を介して各放射線検出素子7にバイアス電圧を印加するバイアス電源14と、バイアス線9を流れる電流を検出する電流検出手段43と、放射線の照射時に電流検出手段43で検出された電流の値に基づいて、照射された放射線の線量を算出する線量算出手段22と、算出された線量に基づいて、各放射線検出素子7のリセット処理条件を設定し、設定したリセット処理条件に従って各放射線検出素子7のリセット処理を行う制御手段22とを備える。
【選択図】図7
Description
本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線検出素子のリセット処理を行う放射線画像撮影装置に関する。
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納した可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
このような放射線画像撮影装置では、放射線画像撮影の際に、放射線が照射され、例えば患者の身体の一部等である被写体を透過した放射線が放射線検出素子に到達し、或いは被写体を透過した放射線がシンチレータに到達し、シンチレータで可視光等の他の波長に変換された電磁波が放射線検出素子に照射されると、照射された放射線の線量(或いは変換されて照射された電磁波の量)に応じて電荷が放射線検出素子の内部で発生する。
そして、放射線の照射が終了すると、各放射線検出素子に蓄積された電荷を画像データDとして読み出す読み出し処理が行われる。しかし、この取得された画像データDには、放射線の照射とは関係なく、放射線検出素子自体の熱による熱励起等により放射線検出素子内部で発生したいわゆる暗電荷に相当するオフセット分Oが含まれている。
そのため、通常、放射線画像撮影の後などに、放射線画像撮影装置に放射線を照射しない状態で放射線検出素子に暗電荷を蓄積させて読み出すいわゆるダーク読取処理を行い、得られたダーク読取値から上記のオフセット分Oを算出し、画像データDを下記(1)式に従って補正して真の画像データD*が算出される。なお、下記(1)式におけるGは、放射線検出素子ごとのゲイン補正値を表す。
D*=G×(D−O) …(1)
D*=G×(D−O) …(1)
ところで、放射線画像撮影の際に、放射線検出素子に強い放射線が照射されると、放射線検出素子内に大きな電荷が発生する。そして、読み出し処理で、そのような放射線検出素子から電荷を読み出し、さらにリセット処理を施しても、発生した電荷が完全に流出されずに、放射線検出素子内にある程度の量の電荷が残存することが知られている。
このような電荷の残存を放置すると、残存した電荷が、その後に行われるダーク読取処理で暗電荷とともに読み出されてしまうため、ダーク読取処理で得られたダーク読取値に対して、いわば残像のように重畳された状態となって現れる。そして、そのような不適切なダーク読取値に基づいてオフセット分Oを算出して画像データDを補正すると、得られる放射線画像に残像の悪影響が現れてしまう。
また、放射線画像撮影後に読み出し処理を行い、リセット処理を施した後に、続けて次の放射線画像撮影を行うような場合には、当該次の放射線画像撮影で放射線検出素子に新たに発生した電荷とともに上記の残存した電荷が読み出されるため、当該次の放射線画像撮影で取得された画像データに対して、上記の残存した電荷がいわば残像のように重畳された状態となって現れる。そのため、この場合にも、得られる放射線画像に残像の悪影響が現れてしまう。
そこで、特許文献4では、放射線画像撮影装置に、放射線検出素子に発生する上記のような残像を検知する残像検知手段を設け、残像検知手段が残像を検知した場合には、被写体が介在しない状態で放射線画像撮影装置に放射線を照射して放射線画像を取得し、取得した放射線画像に基づいて、放射線検出素子に発生した残像を除去することが提案されている。
しかしながら、特許文献4に記載されているように、放射線画像撮影を行った後、被写体が介在しない状態で放射線画像撮影装置に放射線を再度照射して放射線画像を取得するように構成すると、取得される放射線画像あたりの放射線の照射回数が増加して電力消費量が増大するとともに、放射線発生装置のX線管球等の消耗が激しくなる。
また、放射線画像撮影装置側では、各放射線検出素子からの電荷(画像データ)の読み出し処理の回数が増えるため、電力消費量が多くなり、特に可搬型の放射線画像撮影装置では内蔵されたバッテリの消耗が大きくなり、1回の充電あたりの放射線画像撮影装置の使用効率が低下するといった問題が生じる。
しかし、放射線検出素子内に残存する電荷による残像の悪影響は的確に排除されなければならない。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、無駄な電力の消費を抑制しつつ、かつ、放射線検出素子内に残存する電荷を的確に除去することが可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子と、
信号線を通じて前記放射線検出素子から読み出された電荷を画像データに変換する増幅回路と、
前記放射線の照射時に照射された放射線の線量を算出する線量算出手段と、
前記線量算出手段により算出された前記線量に基づいて、前記各放射線検出素子のリセット処理条件を設定し、設定した前記リセット処理条件に従って前記各放射線検出素子のリセット処理を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子と、
信号線を通じて前記放射線検出素子から読み出された電荷を画像データに変換する増幅回路と、
前記放射線の照射時に照射された放射線の線量を算出する線量算出手段と、
前記線量算出手段により算出された前記線量に基づいて、前記各放射線検出素子のリセット処理条件を設定し、設定した前記リセット処理条件に従って前記各放射線検出素子のリセット処理を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子と、
信号線を通じて前記放射線検出素子から読み出された電荷を画像データに変換する増幅回路と、
バイアス線を介して前記各放射線検出素子にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
前記バイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記放射線の照射時に前記電流検出手段で検出された電流の値に基づいて、前記照射された放射線の線量を算出する線量算出手段と、
前記線量算出手段により算出された前記線量に基づいて、前記各放射線検出素子のリセット処理条件を設定し、設定した前記リセット処理条件に従って前記各放射線検出素子のリセット処理を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子と、
信号線を通じて前記放射線検出素子から読み出された電荷を画像データに変換する増幅回路と、
バイアス線を介して前記各放射線検出素子にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
前記バイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記放射線の照射時に前記電流検出手段で検出された電流の値に基づいて、前記照射された放射線の線量を算出する線量算出手段と、
前記線量算出手段により算出された前記線量に基づいて、前記各放射線検出素子のリセット処理条件を設定し、設定した前記リセット処理条件に従って前記各放射線検出素子のリセット処理を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、例えば電流検出手段でバイアス線を流れる電流を検出する等して、放射線画像撮影の際の放射線の照射時に放射線画像撮影装置に照射された放射線の線量を算出する。そして、算出した線量に基づいて、リセット処理条件を設定し、設定したリセット処理条件に従って各放射線検出素子のリセット処理を行うように構成した。
そのため、前述した特許文献4に記載されている従来の手法のように、放射線検出素子に残存する電荷に由来する残像を除去するために撮影が終了した放射線画像撮影装置に、被写体が介在しない状態で放射線を再度照射する必要がなく、再度の放射線の照射に伴う無駄な電力の消費や放射線発生装置のX線管球等の消耗を回避することが可能となる。
また、例えば電流検出手段でバイアス線を流れる電流を検出する等して放射線画像撮影の際の放射線の照射時に放射線画像撮影装置に照射された放射線の線量を算出するように構成すれば、放射線画像撮影装置で、従来の手法のように再度の放射線の照射により発生した電荷(画像データ)を各放射線検出素子から読み出す処理を行う必要がなくなる。そのため、無駄な電力の消費を抑制することが可能となり、特にバッテリが内蔵された可搬型の放射線画像撮影装置では、バッテリの消耗を抑制することが可能となる。そのため、1回の充電あたりの放射線画像撮影装置の使用効率を向上させることが可能となる。
さらに、本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、強い放射線の照射により放射線検出素子内に多量の電荷が発生し、読み出し処理や通常のリセット処理では電荷を放射線検出素子から完全に除去できないような場合でも、照射された放射線の線量が多いことを的確に検出して、リセット処理の回数を増やしたりリセット時間を延長するようにリセット処理条件が設定される。そのため、放射線検出素子内に多量の電荷が発生する場合でも、放射線検出素子内から電荷を十分に除去することが可能となり、放射線検出素子内に残存する電荷による残像の悪影響を的確に排除することが可能となる。
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置が、シンチレータ等を備え、照射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。また、放射線画像撮影装置が可搬型である場合について説明するが、支持台等と一体的に形成された放射線画像撮影装置に対しても適用される。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4等が収納された可搬型(カセッテ型)の装置として構成されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4等が収納された可搬型(カセッテ型)の装置として構成されている。
筐体2は、少なくとも放射線の照射を受ける側の面R(以下、放射線入射面Rという。)が放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されている。なお、図1や図2では、筐体2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわゆる弁当箱型である場合が示されているが、例えば特開2002−311526号公報に記載されたX線画像撮影装置のように、筐体2を一体的に角筒状に形成した、いわゆるモノコック型とすることも可能である。
また、図1に示すように、筐体2の側面部分には、電源スイッチ36や、LED等で構成されたインジケータ37、図示しないバッテリ41(後述する図7参照)の交換等のために開閉可能とされた蓋部材38等が配置されている。また、本実施形態では、蓋部材38の側面部には、外部と無線で通信するための通信手段であるアンテナ装置39が埋め込まれている。
また、図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。なお、本実施形態では、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、それぞれ放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図3や図4の拡大図に示すように、スイッチ素子であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15により、接続された走査線5にオン電圧が印加され、ゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、放射線検出素子7内で発生し蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5にオフ電圧が印加され、ゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内で発生した電荷を放射線検出素子7内に保持して蓄積させるようになっている。
ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
基板4の面4a上に、AlやCr等からなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上に前記ゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCr等が積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に前記第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCr、Mo等からなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。
放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は放射線検出素子7のi層76に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。放射線検出素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。
また、p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。本実施形態では、以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。また、本実施形態では、放射線検出素子7として、上記のようにp層77、i層76、n層75の順に積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合が説明されているが、これに限定されない。
放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7にバイアス電圧(本実施形態ではいわゆる逆バイアス電圧。以下同じ。)を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
図3や図4に示すように、本実施形態では、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
本実施形態では、図3に示すように、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bを構成するゲートIC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。図7は本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極78にそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極78にそれぞれバイアス電圧を印加するようになっている。また、バイアス電源14は、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22は、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を制御するようになっている。
バイアス線9の結線10には、結線10(バイアス線9)を流れる電流の値を検出する電流検出手段43が設けられており、結線10を流れる電流の増減を検出して放射線の照射の開始や終了を検出できるようになっている。図示を省略するが、本実施形態では、電流検出手段43は、結線10に直列に接続される所定の抵抗値を有する抵抗と、抵抗の両端子間の電圧を測定する差動アンプとを備えて構成されており、差動アンプで抵抗の両端子間の電圧を測定することで結線10を流れる電流を電圧値Vに変換して検出するようになっている。
各バイアス線9や結線10を流れる電流が微弱であるため、電流検出手段43に備えられる前記抵抗として、有効な電圧値Vを得るために抵抗値が100kΩや1MΩ等の大きな抵抗値を有する抵抗が用いられるようになっている。電流検出手段43は、このようにして検出した結線10の電流値に相当する電圧値Vを制御手段22に出力するようになっている。
なお、このように抵抗値が大きいと、例えば放射線照射によって蓄積された電荷を読み出す読み出し処理等においてバイアス線9や結線10等を流れる電流の大きな妨げになることから、電流検出手段43には前記抵抗の両端子間を短絡するスイッチが設けられている。そして、電流検出手段43でバイアス線9の結線10中を流れる電流を検出する際にはスイッチがオフ状態とされ、また、電流の検出が不要になった場合にはスイッチがオン状態とされて抵抗の両端子間が短絡されるようになっている。
また、電流検出手段43は、バイアス電源14と放射線検出素子7との間のバイアス線9やその結線10に流れる電流、或いはそれに相当する電圧値Vを検出することができるものであればよく、上記のような構成には限定されず、適宜の構成とすることが可能である。
図7や図8に示すように、本実施形態では、放射線検出素子7のp層77側(図5参照)に第2電極78を介してバイアス線9が接続されていることからも分かるように、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極78にバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極74側にかかる電圧以下の電圧(すなわち逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
各放射線検出素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7、図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7、図8中ではGと表記されている。)は、後述する走査駆動手段15のゲートドライバ15bから延びる各走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7、図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査駆動手段15は、本実施形態では、電源回路15aとゲートドライバ15bとを備えており、本実施形態では、ゲートドライバ15bは、前述したゲートIC12aが複数並設されて形成されている。また、走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bに接続されている各走査線5を介してTFT8のゲート電極8gに印加する電圧を制御して、電圧を前述したオン電圧とオフ電圧との間で切り替えるようになっている。
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には所定個数の読み出し回路17が設けられており、読み出しIC16が複数設けられることにより、信号線6の本数分の読み出し回路17が設けられるようになっている。
読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。なお、図7や図8や後述する図9中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
本実施形態では、増幅回路18はチャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列にコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cが接続されて構成されている。また、増幅回路18には、増幅回路18に電力を供給するための電源供給部18dが接続されている。
また、増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位V0が印加されるようになっている。なお、基準電位V0は適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加されるようになっている。
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、後述する制御手段22に接続されており、制御手段22によりオン/オフが制御されるようになっている。電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で、放射線検出素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、TFT8のゲート電極8gに走査線5を介してオン電圧が印加されると)、当該放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるようになっている。
増幅回路18は、このようにして、各放射線検出素子7から出力された電荷量に応じて電圧値を出力して電荷電圧変換して増幅するようになっている。また、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされると、増幅回路18の入力側と出力側とが短絡されてコンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて増幅回路18がリセットされるようになっている。なお、増幅回路18を、放射線検出素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。
増幅回路18の出力側には、相関二重サンプリング回路(CDS)19が接続されている。相関二重サンプリング回路19は、本実施形態では、サンプルホールド機能を有しており、この相関二重サンプリング回路19におけるサンプルホールド機能は、制御手段22から送信されるパルス信号によりそのオン/オフが制御されるようになっている。
各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理や前述したダーク読取処理の際、制御手段22は、相関二重サンプリング回路19等を起動させて画像データやダーク読取値の読み出し処理を行うが、処理の際、まず、各読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを制御してオフ状態にする。その際、電荷リセット用スイッチ18cをオフ状態にした瞬間に、いわゆるkTCノイズが発生し、増幅回路18のコンデンサ18bにkTCノイズに起因する電荷qが溜まる。
前述したように、増幅回路18では、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じた電圧値が増幅回路18のオペアンプ18aの出力端子から出力されるが、上記のようにkTCノイズに起因する電荷qがコンデンサ18bに溜まることにより、図9に示すように、オペアンプ18aの出力端子から出力される電圧値が、電荷リセット用スイッチ18cをオフ状態にした瞬間(図9では「18coff」と表示)に、前述した基準電位V0から、kTCノイズに起因する電荷qの分だけ瞬間的に変化し、電圧値Vinに変わる。
制御手段22は、この段階で、相関二重サンプリング回路19に1回目のパルス信号を送信して、その時点(図9では「CDS保持」(左側)と表示)で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持させる。
続いて、走査駆動回路15から走査線5にオン電圧を印加して走査線5にゲート電極8gが接続されているTFT8をオン状態とすると(図9では「TFTon」と表示)、これらのTFT8が接続されている各放射線検出素子7から蓄積された電荷が各信号線6を介して増幅回路18のコンデンサ18bに流れ込んで蓄積される。そのため、コンデンサ18bに蓄積された電荷量に応じてオペアンプ18aの出力側から出力される電圧値が上昇していく。
そして、制御手段22は、所定時間が経過した後、走査駆動回路15から走査線5に印加しているオン電圧をオフ電圧に切り替えてTFT8をオフ状態とし(図9では「TFToff」と表示)、この段階で各相関二重サンプリング回路19に2回目のパルス信号を送信して、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持させる(図9では「CDS保持」(右側)と表示)。
各相関二重サンプリング回路19は、2回目のパルス信号で電圧値Vfiを保持すると、電圧値の差Vfi−Vinを算出し、算出した差Vfi−Vinを画像データDとして下流側に出力するようになっている。
相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データDは、アナログマルチプレクサ21に送信され、アナログマルチプレクサ21から順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段40に出力されて順次保存されるようになっている。
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータ等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。また、制御手段22には、前述した記憶手段40が接続されている。
また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置39が接続されており、さらに、検出部Pや走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段40、バイアス電源14等の各部材に電力を供給するためのバッテリ41が接続されている。このように、バッテリ41は、放射線画像撮影装置1のハウジング2内に内蔵されており、バッテリ41には、外部装置からバッテリ41に電力を供給してバッテリ41を充電する際の接続端子42が取り付けられている。
前述したように、制御手段22は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり、読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフを制御したり、相関二重サンプリング回路19にパルス信号を送信して、そのサンプルホールド機能のオン/オフを制御する等の各種の処理を実行するようになっている。
また、制御手段22は、各放射線検出素子7のリセット処理時や放射線画像撮影後の各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理時に、走査駆動手段15に対して、走査駆動手段15から各走査線5を介して各TFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えさせるためのパルス信号を送信するようになっている。
そして、制御手段22は、放射線画像撮影時に放射線が照射された際に、電流検出手段43で検出された電流に相当する電圧値Vに基づいて、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を算出するとともに、算出した放射線の線量に基づいて、各放射線検出素子7のリセット処理の際のリセット処理条件を設定し、設定したリセット処理条件に従って各放射線検出素子7のリセット処理を行うようになっている。すなわち、本実施形態では、制御手段22が本発明における線量算出手段を兼ねている。
以下、放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理、電流検出手段43で検出された電流に相当する電圧値Vに基づく放射線の照射の開始や終了の検出、放射線の線量の算出、読み出し処理、ダーク読取処理前のリセット処理、およびダーク読取処理等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用について説明する。
図10は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1において行われる放射線画像撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理以下の各処理の手順を示すフローチャートである。
制御手段22は、まず、放射線画像撮影前に、各放射線検出素子7内に蓄積されている暗電荷等の余分な電荷を放射線検出素子7内から除去するためのリセット処理を行う(ステップS1)。
そのため、制御手段22は、各増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18c(図8参照)をオン状態として、各コンデンサ18bに蓄積された電荷を下流側に流出させるとともに、走査駆動手段15に対して、走査線5の各ラインL1〜Lxを介して各TFT8のゲート電極8gにオン電圧を印加して各TFT8のゲートを開くようにパルス信号を送信する。なお、電流検出手段43のスイッチをオン状態として、抵抗の両端子間を短絡させる。
その際、図11に示すように、例えば時刻T1に走査線5の全ラインL1〜Lx(或いは所定の範囲のライン)に一斉にオン電圧Vonを印加して全TFT8(或いは所定の範囲のTFT8)を一括してオン状態とするように制御してもよく、また、オン電圧Vonを印加する走査線5のラインLnを順次切り替えてオン状態とするように制御してもよい。また、図11では、放射線画像撮影前のリセット処理を1回だけ行う場合が示されているが、必要に応じてリセット処理を繰り返して行うように構成することも可能である。
制御手段22は、放射線画像撮影前のリセット処理(ステップS1)を終了すると、続いて、走査駆動手段15に対してパルス信号を送信して、走査線5の各ラインL1〜Lxを介して各TFT8のゲート電極8gにオフ電圧Voffを印加させて、各TFT8のゲートを閉じる。また、電流検出手段43を起動させ、スイッチをオフ状態として抵抗の両端子間の短絡を解除する。
そして、制御手段22は、その状態で、電流検出手段43の差動アンプから出力されるバイアス線9の結線10を流れる電流に相当する電圧値Vの変化に基づいて放射線の照射を検出する(ステップS2)。
図12に、電流検出手段43から出力される電流に相当する電圧値Vの変化を示す。放射線画像撮影装置1に放射線が照射される前段階においても、前述したように、放射線検出素子7内では熱励起等により暗電荷が発生するため、図12における時刻taに示すように、電流検出手段43からは発生する暗電荷に相当する電圧値Vaが出力される。
そして、放射線画像撮影装置1への放射線の照射が開始されると、前述したように、各放射線検出素子7内で電子正孔対が発生して、バイアス線9内を電流が流れ始めるため、図12における時刻tbに示すように、電流検出手段43から出力される電圧値Vが増加し始める。
そこで、本実施形態では、制御手段22は、電流検出手段43から出力される電圧値Vが大きく増加し始めたことを検出することで、放射線の照射の開始を検出するようになっている。なお、例えば、電流検出手段43から出力される電圧値Vが所定の閾値Vthを越えた時刻tcに放射線の照射が開始されたとして検出するように構成してもよく、また、例えば、電圧値Vの時間微分値が所定の閾値を越えた時刻tdに放射線照射が開始されたとして検出するように構成することも可能である。
また、放射線画像撮影装置1に対する放射線の照射が終了すると、各放射線検出素子7内での電子正孔対の発生が停止するため、今度は図12における時刻teに示すように、電流検出手段43から出力される電圧値Vが減少し始める。そこで、本実施形態では、制御手段22は、電流検出手段43から出力される電圧値Vが減少したことを検出することで、放射線の照射の終了を検出するようになっている。
なお、例えば、電流検出手段43から出力される電圧値Vが前述した所定の閾値Vthを下回った時刻tfに放射線の照射が終了されたとして検出するように構成してもよく、また、電圧値Vの時間微分値が所定の負の値の閾値をより負側に越えた時刻tgに放射線の照射が終了されたとして検出するように構成することも可能である。なお、以下、放射線の照射開始時刻が時刻tcであり、放射線の照射終了時刻が時刻tfであるものとして説明する。
また、放射線が照射されると、全TFT8がオフ状態となっているにもかかわらず、バイアス線9や結線10中を電流が流れる理由は、以下のように説明できる。すなわち、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1に入射した放射線がシンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が直下の放射線検出素子7のi層76(図5参照)に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。
そのため、放射線検出素子7内では、第2電極78に対する第1電極74の電位が変化する。本実施形態では、第2電極78にはバイアス電源14からバイアス線9を介して所定の負の値のバイアス電圧(すなわち逆バイアス電圧)Vbiasが印加されていて電位が固定されている。また、i層76内で発生した電子正孔対のうち、正孔が第2電極78側に移動し、電子が第1電極74側に移動するため、第1電極74側の電位が下がる。そして、放射線検出素子7の第1電極74側の電位が下がると、図8に示したTFT8のソース電極8s(図8中ではSと表記されている。)側の電位がそれに伴って下がる。
その際、TFT8がオフ状態となっている場合すなわちTFT8のゲート電極8gに所定のオフ電圧が印加されている場合、TFT8のゲート電極8gとソース電極8sとの電位差が変化する。TFT8のゲート電極8gとソース電極8sとの間には寄生容量が存在するため、変化した電位差に対応する電荷が走査線5を通って所定の電荷がTFT8のゲート電極8gに供給される。すなわち、走査線5中を電流が流れる。
そして、それと等量の電流がTFT8のソース電極8sと放射線検出素子7の第1電極74間を流れ、また、等量の電流が放射線検出素子7の第2電極78とバイアス電源14間を流れる。このようにして、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、全TFT8がオフ状態となっていても、バイアス線9や結線10中を電流が流れる。
制御手段22は、続いて、放射線の照射時に電流検出手段43で検出された電流に相当する電圧値Vの値に基づいて、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を算出するようになっている(図10のステップS3)。すなわち、この処理では、制御手段22は線量算出手段として機能する。なお、このステップS3と後述するステップS4の処理は、ダーク読取処理前のリセット処理(ステップS6)の前に行われればよく、例えば各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理(ステップS5)の後やそれと同時並行で行われるように構成することも可能である。
放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、図12に示したように、放射線の照射が開始された時点tcで、電流検出手段43から出力されたバイアス線9の結線10を流れる電流に相当する電圧値Vが立ち上がり、放射線の照射が終了した時点tfで電圧値Vが下がる。
そこで、例えば、積分回路等を用いて、図12に示した照射開始時刻tcから照射終了時刻tfまでの時間間隔における電圧値V(或いは電圧値Vからノイズに相当する一定値を減じた値)の積分値を算出し、それを放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量として算出するように構成することが可能である。このように構成すれば、放射線の線量を正確に算出することが可能となる。
また、より簡単に照射された放射線の線量を算出する手法として、例えば、図12に示した照射開始時刻tcから照射終了時刻tfまでの時間間隔における電圧値V(或いは電圧値Vからノイズに相当する一定値αを減じた値)のピーク値Vpを保持し(ピークホールドし)、この電圧値Vのピーク値Vpと、放射線の照射の開始および終了の時間間隔tf−tcとを乗算することにより、照射された放射線の線量を算出するように構成することも可能である。
制御手段22は、続いて、算出した照射された放射線の線量に基づいて、後述するダーク読取処理(ステップS7)の前に行う放射線検出素子7のリセット処理(ステップS6)におけるリセット処理条件を設定するようになっている(ステップS4)。
本実施形態では、このリセット処理条件には、ダーク読取処理前に行う放射線検出素子7のリセット処理の回数、或いは、ダーク読取処理前に行う放射線検出素子7のリセット処理において各放射線検出素子7に接続されたTFT8にオン電圧Vonを印加する時間が含まれており、制御手段22は、算出した放射線の線量が多いほど、リセット処理の回数を増加させ、或いは、リセット処理の時間を延長するように、リセット処理条件を設定するようになっている。
通常、放射線画像撮影装置1に用いられている各放射線検出素子7の読み出し効率や、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し時間がどのように設定されているか等によって、ダーク読取処理前にリセット処理を行うか否か、或いは、リセット処理を行う場合にはその回数やTFT8にオン電圧Vonを印加する時間等のリセット処理条件が、放射線画像撮影装置1ごとに予め設定されている。
そこで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量が過大ではなく通常のレベルである場合には、放射線画像撮影装置1に予め設定されたリセット処理条件に基づいてダーク読取処理前のリセット処理を行うようになっている。
そして、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量のレベルが過大になり、前述したように、放射線検出素子7に強い放射線が照射されて多量に発生した電荷がリセット処理を施しても完全にリセットできずに放射線検出素子内に残存して残像の問題が生じるようなレベルになった場合に、リセット処理条件を変更して、リセット処理の回数を増加させ、或いは、リセット処理の時間を延長するようになっている。
これを実現するために、本実施形態では、算出された放射線の線量に、予め線量を複数の数値範囲に区分するための閾値が設定されている。すなわち、例えば、照射された放射線の線量のレベルを、線量が少ない方から順に「通常レベル」、「多いレベル」、「非常に多いレベル」の3段階に区分するための境界値として2つの閾値が予め設定されている。
そして、例えば、通常の場合にダーク読取処理前のリセット処理を1回行うように設定されている放射線画像撮影装置1では、例えば、算出した放射線の線量のレベルが「通常レベル」である場合にはダーク読取処理前のリセット処理を1回行い、「多いレベル」である場合には2回行い、「非常に多いレベル」である場合には3回行うようにリセット処理条件が設定される。
また、上記のようにリセット処理の時間を延長するように構成することも可能であり、例えば、算出した放射線の線量のレベルが「通常レベル」である場合には、ダーク読取処理前のリセット処理では、予め設定された通常の場合の時間だけTFT8にオン電圧Vonを印加し、「多いレベル」である場合にはその2倍の時間だけオン電圧Vonを印加し、「非常に多いレベル」である場合には3倍の時間オン電圧Vonを印加するようにリセット処理条件が設定される。
なお、上記の例はあくまで一例であり、リセット処理の回数の増加のさせ方や、リセット処理の時間の延長のさせ方は、当該放射線画像撮影装置1の実情に合うように、すなわち、予め実験等を行い、その結果に基づいて、放射線検出素子7に強い放射線が照射された場合でも各放射線検出素子7から的確に電荷が放出されてリセットされるように設定される。
本実施形態では、上記のようにして、放射線の線量の数値範囲の区分ごとにリセット処理の回数やリセット処理の時間が割り当てられたテーブルが予めROM等に保存されており、制御手段22は、放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を算出すると(ステップS3)、上記のテーブルを参照して、ダーク読取処理前に行う放射線検出素子7のリセット処理(ステップS6)におけるリセット処理の回数やリセット処理の時間等のリセット処理条件を設定するようになっている(ステップS4)。
なお、上記のようなテーブルを用いる代わりに、例えば、算出された放射線の線量から、ダーク読取処理前のリセット処理におけるリセット処理の回数やTFT8にオン電圧Vonを印加する時間を算出するための演算式を予め求めておき、ステップS4のリセット処理条件の設定処理では、照射された放射線の線量から演算式に従ってダーク読取処理前のリセット処理におけるリセット処理の回数やリセット処理の時間を算出するように構成することも可能である。
その際、演算式は、放射線の線量が増加するに従って連続的に増加する関数であってもよく、また、階段状に増加する関数であってもよい。また、リセット処理条件として特にリセットの回数を設定する場合には、例えば、演算式に従って算出された数値の小数点以下を切り上げてダーク読取処理前のリセット処理におけるリセット処理の回数を算出することが可能である。
続いて、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理(ステップS5)では、制御手段22は、前述したように各機能部を制御して、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出しを行うようになっている。
具体的には、制御手段22は、電流検出手段43のスイッチをオン状態として抵抗の両端子間を短絡させて、電流検出手段43の起動を停止させる。そして、読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cを制御してオフ状態とし(図9参照)、相関二重サンプリング回路19に1回目のパルス信号を送信して、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vinを保持させる。
続いて、走査駆動回路15から走査線5の1ラインにオン電圧Vonを印加して当該ラインにTFT8を介して接続されている各放射線検出素子7から蓄積された電荷を各信号線6に放出させ、所定時間が経過した後、走査駆動回路15から走査線5の当該ラインに印加している電圧をオフ電圧に切り替え、各相関二重サンプリング回路19に2回目のパルス信号を送信して、その時点で増幅回路18から出力されている電圧値Vfiを保持させる。
各相関二重サンプリング回路19からは、電圧値の差Vfi−Vinが画像データDとして出力され、アナログマルチプレクサ21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて記憶手段40に順次保存される。
そして、制御手段22は、図11に示したように、走査駆動回路15からオン電圧Vonを印加する走査線5のラインL1〜Lxを順次切り替え(図11における時刻T3n参照)、各放射線検出素子7から画像データDを読み出して、記憶手段40に保存するようになっている。
制御手段22は、続いて、ステップS4のリセット処理条件の設定処理で、算出した照射された放射線の線量に基づいて前記テーブルを参照して設定したリセット処理条件に従って、ダーク読取処理前のリセット処理を行うようになっている(ステップS6)。
なお、図11では、算出した放射線の線量のレベルが「通常レベル」である場合に、ダーク読取処理前のリセット処理を1回だけ行う場合が示されているが(時刻T4〜T5の部分参照)、前述したように、放射線の線量のレベルが「多いレベル」や「非常に多いレベル」である場合には、ステップS4で設定されたリセット処理条件に従って、ダーク読取処理前のリセット処理が2回或いは3回繰り返される。或いは、図11に示したオン電圧Vonの印加時間の2倍或いは3倍の時間、各TFT8にオン電圧Vonを印加するように制御される。
制御手段22は、続いて、ダーク読取処理を行う(ステップS7)。ダーク読取処理では、制御手段22は、ダーク読取処理前のリセット処理(ステップS6)が終了した後、放射線を照射しない状態で放射線画像撮影装置1を放置して、各放射線検出素子7内で発生する暗電荷を各放射線検出素子7に蓄積させる。
放射線画像撮影装置1を放置する時間間隔ΔTnは、放射線画像撮影の際に各TFT8をオフ状態としていた時間間隔ΔTnすなわち放射線画像撮影前のリセット処理が終了してTFT8に印加する電圧をオフ電圧Voffに切り替えた時刻T2から、読み出し処理でTFT8に印加する電圧をオン電圧Vonに切り替えた時刻T3nまでの時間間隔ΔTnと同じ時間間隔になるように設定されている。
そして、制御手段22は、ダーク読取処理前のリセット処理(ステップS6)が終了してTFT8に印加する電圧をオフ電圧Voffに切り替えた時刻T5から、走査線5の各ラインL1〜Lxごとに時間間隔ΔTnだけ放置した後、画像データDの読み出し処理(ステップS5)と同じ手順で各機能部を制御し、各放射線検出素子7からダーク読取値dを読み出すようになっている。
具体的には、制御手段22は、走査駆動回路15からオン電圧Vonを印加する走査線5のラインL1〜Lxを順次切り替えながら、各放射線検出素子7から蓄積された暗電荷を読み出し、増幅回路18で電荷電圧変換し、A/D変換器20で順次デジタル値のダーク読取値dに変換する等して、記憶手段40に順次保存される。
なお、ダーク読取処理(ステップS7)の手法は、上記の本実施形態のように、走査線5の各ラインL1〜Lxごとに時間間隔ΔTnだけオフ電圧Voffが印加されるように放射線画像撮影装置1を放置する手法に限定されず、有効なダーク読取値dを取得できる手法であれば、他の手法を採用することも可能である。
また、前述したように、このようにして得られたダーク読取値dからオフセット分Oを算出し、画像データDを上記(1)式に従って補正して真の画像データD*を算出する処理を放射線画像撮影装置1で行うように構成してもよく、また、画像データDやダーク読取値dをアンテナ装置39等を介して図示しない外部装置に送信し、外部装置で真の画像データD*を算出する処理等を行うように構成することも可能である。
さらに、リセット処理(ステップS6)を行った後、連続して放射線画像撮影が行われる場合もある。このような場合でも、各放射線画像撮影が行われるごとに照射された放射線の線量が算出され(ステップS3)、リセット処理条件が設定されて(ステップS4)、リセット処理(ステップS6)が行われる。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、電流検出手段43でバイアス線9の結線10を流れる電流(電流に相当する電圧値V)を検出し、それに基づいて放射線画像撮影時に放射線画像撮影装置1に照射された放射線の線量を算出する。そして、算出した線量に基づいて、ダーク読取処理前のリセット処理条件を設定し、設定したリセット処理条件に従って各放射線検出素子7のリセット処理を行うように構成した。
そのため、前述した特許文献4に記載されている手法のように、放射線検出素子7に残存する電荷に由来する残像を除去するために撮影が終了した放射線画像撮影装置に、被写体が介在しない状態で放射線を再度照射する必要がなく、再度の放射線の照射に伴う無駄な電力の消費や放射線発生装置のX線管球等の消耗を回避することが可能となる。
また、放射線画像撮影装置1では、再度の放射線の照射により発生した電荷(画像データ)の各放射線検出素子7からの読み出し処理を行う必要がなくなる。本実施形態に係る放射線画像撮影装置1では、上記のように、照射された放射線の線量が多い場合には、ダーク読取処理前のリセット処理の回数を増やしたり、TFT8をオン状態とする時間を延長するようにリセット処理条件が設定されるため、その分だけ消費電力は多くなる。
しかし、読み出し処理に要する電力はリセット処理に要する電力よりも格段に大きいため、再度の読み出し処理を行う従来の手法に比べれば、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1における残存電荷の除去の手法で消費される電力は格段に低減され、無駄な電力の消費を抑制することが可能となる。そのため、特に本実施形態のような内蔵されたバッテリ41を備える可搬型の放射線画像撮影装置1では、バッテリ41の消耗を抑制することが可能となり、1回の充電あたりの放射線画像撮影装置1の使用効率を向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、強い放射線の照射により放射線検出素子7内に多量の電荷が発生し、読み出し処理や通常のリセット処理では電荷を放射線検出素子7から完全に除去できないような場合でも、照射された放射線の線量が多いことを的確に検出して、ダーク読取処理前のリセット処理の回数を増やしたり、TFT8をオン状態とする時間を延長するようにリセット処理条件が設定される。
そのため、放射線検出素子7内に多量の電荷が発生する場合でも、放射線検出素子7内から電荷を十分に除去することができ、放射線検出素子7内に電荷が残存しないようにすることが可能となる。そのため、放射線検出素子7内に残存する電荷による残像の悪影響を的確に排除することが可能となる。
[第2の実施の形態]
上記の第1の実施形態では、放射線画像撮影装置1が、バイアス線9の結線10を流れる電流或いは電流に相当する電圧値Vを検出する電流検出手段43を備え、制御手段22で、放射線画像撮影装置1に放射線が照射された際に電流検出手段43で検出された電流の値(或いは電圧値V)に基づいて算出した放射線の線量に基づいて、ダーク読取処理前のリセット処理条件を設定する場合について説明した。しかし、一般的には、放射線画像撮影装置には電流検出手段が設けられていない場合が多い。
上記の第1の実施形態では、放射線画像撮影装置1が、バイアス線9の結線10を流れる電流或いは電流に相当する電圧値Vを検出する電流検出手段43を備え、制御手段22で、放射線画像撮影装置1に放射線が照射された際に電流検出手段43で検出された電流の値(或いは電圧値V)に基づいて算出した放射線の線量に基づいて、ダーク読取処理前のリセット処理条件を設定する場合について説明した。しかし、一般的には、放射線画像撮影装置には電流検出手段が設けられていない場合が多い。
そこで、第2の実施形態では、このような電流検出手段が設けられていない一般的な放射線画像撮影装置において、放射線の照射時に照射された放射線の線量を算出し、算出した放射線の線量に基づいて、ダーク読取処理前の各放射線検出素子7のリセット処理条件を設定し、設定したリセット処理条件に従ってダーク読取処理前の各放射線検出素子7のリセット処理を行う放射線画像撮影装置について説明する。
本実施形態に係る放射線画像撮影装置50の構成は、図1〜図6に示した第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1の構成とほぼ同様であるため、第1の実施形態に係る放射線画像撮影装置1と同じ機能部が用いられている場合には、それらの各機能部については第1の実施形態の場合と同じ符号を付して説明する。
しかし、本実施形態に係る放射線画像撮影装置50では、図13に示す本実施形態に係る放射線画像撮影装置50の等価回路を表すブロック図や、図14に示す検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図に示すように、第1の実施形態のような電流検出手段が設けられていない。
以下、本実施形態における放射線の線量の算出等の各処理について、図15に示すフローチャートに基づいて説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置50の作用について説明する。
本実施形態においても、制御手段22は、まず、放射線画像撮影前に、各放射線検出素子7内に蓄積されている暗電荷等の余分な電荷を放射線検出素子7内から除去するためのリセット処理を行う(ステップS11)。
この場合、第1の実施形態の場合と同様に、図11に示したように走査線5の全ラインL1〜Lx(或いは所定の範囲のライン)に一斉にオン電圧Vonを印加して全TFT8(或いは所定の範囲のTFT8)を一括してオン状態とするように制御してもよく、また、オン電圧Vonを印加する走査線5のラインLnを順次切り替えてオン状態とするように制御してもよい。また、放射線画像撮影前のリセット処理は、必要に応じて予め設定された回数だけ行われる。
そして、放射線画像撮影が行われ、図示しない被写体を介して放射線画像撮影装置50に放射線が照射されるが(ステップS12)、本実施形態では、電流検出手段を備えないため、バイアス線9や結線10を流れる電流を検出して放射線の照射を検出することができない。そのため、放射線画像撮影装置50に、放射線が照射されたことを検知する放射線センサ等が設けられていれば、その情報に基づいて放射線の照射を検知する。
また、放射線画像撮影装置50自体に、放射線の照射を検知する手段が設けられていない場合には、アンテナ装置39等の通信手段を介して外部装置から、或いは、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置50の図示しないボタンを操作する等して、少なくとも放射線の照射が終了したことが放射線画像撮影装置50に通知される。
制御手段22は、放射線の照射が終了したことが通知されると、続いて、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理を行う(ステップS13)。この画像データDの読み出し処理(ステップS13)は、第1の実施形態における画像データDの読み出し処理(図10のステップS5、図11参照)と同様に行われ、各放射線検出素子7から読み出された画像データDが記憶手段40に保存される。
制御手段22は、続いて、ダーク読取処理前のリセット処理を行うようになっている(ステップS14)。しかし、第1の実施形態の場合と異なり、この場合のリセット処理は、放射線画像撮影装置50ごとに予め設定されたリセット処理条件に従って行われる。そのため、ダーク読取処理前のリセット処理を行わないように予め設定されている場合には、このリセット処理(ステップS14)はスキップされる。
制御手段22は、続いて、ダーク読取処理を行う(ステップS15)。このダーク読取処理(ステップS15)も、第1の実施形態におけるダーク読取処理(図10のステップS7、図11参照)と同様に行われ、各放射線検出素子7から読み出されたダーク読取値dが記憶手段40に保存される。
そして、本実施形態では、線量算出手段としての制御手段22により、このダーク読取値dに基づいて、放射線画像撮影時に放射線画像撮影装置50に照射された放射線の線量が算出されるようになっている(ステップS16)。
具体的には、本実施形態では、予め標準的な状態で各放射線検出素子7ごとに取得されたダーク読取値d*(以下、標準的なダーク読取値d*という。)がROM等に保存されている。
この場合、標準的な状態とは、例えば各放射線検出素子7のリセット処理を複数回繰り返して各放射線検出素子7に電荷が残存していないと見なされる状態とした後、ダーク読取処理において放射線を照射しない状態で放射線画像撮影装置50を放置する際の標準的な時間に予め設定された所定の放置時間だけ放射線画像撮影装置50を放置して、例えば図11に示したように走査駆動回路15からオン電圧Vonを印加する走査線5のラインL1〜Lxを順次切り替えながらダーク読取値dを読み出すことをいう。
ステップS15のダーク読取処理で取得された放射線検出素子7ごとのダーク読取値dは、ダーク読取処理の際に放射線を照射しない状態で放射線画像撮影装置50を放置した放置時間に依存する値であるから、制御手段22は、実際の放置時間と上記の標準的な状態における所定の放置時間とに基づいて、放射線検出素子7ごとに取得されたダーク読取値dを、標準的な状態におけるダーク読取値dcに変換する。
そして、制御手段22は、標準的なダーク読取値d*を読み出し、上記のように標準的な状態における値に変換したダーク読取値dcと標準的なダーク読取値d*との差分Δdを放射線検出素子7ごとに算出する。そして、差分Δdを、全放射線検出素子7について加算し、或いは検出部P(図3参照)の所定の範囲の各放射線検出素子7について加算して、その加算値ΣΔdを算出するようになっている。
なお、ダーク読取処理で読み出されるのは、放射線検出素子7内で発生した暗電荷や、画像データDの読み出し処理(ステップS13)で読み出されずリセット処理(ステップS14)でもリセットされずに放射線検出素子7内に残存している電荷である。従って、ステップS16の算出処理では、放射線画像撮影時に放射線画像撮影装置50に照射された放射線の強い線量に起因して各放射線検出素子7に残存する残像のレベルを算出することになる。
制御手段22は、続いて、上記のようにして算出した加算値ΣΔdが、予め設定された閾値Thを越えるか否かを判断するようになっている(ステップS17)。本実施形態では、この閾値Thが予め実験等に基づいて設定されており、閾値Thは、加算値ΣΔdが当該閾値Thを越えた場合には放射線検出素子7内に残存する電荷によって残像の悪影響が生じ得ると判断される値に設定される。
そして、算出した加算値ΣΔdが閾値Th以下である場合には(ステップS17;NO)、放射線検出素子7内に残存する電荷によって残像の悪影響が生じることはないと判断できるため、制御手段22は、以下のステップS18からステップS20の処理をスキップして以上の処理を終了する。
そして、第1の実施形態と同様に、必要に応じて、放射線画像撮影装置50自体でこのようにして得られたダーク読取値dからオフセット分Oを算出し、画像データDを上記(1)式に従って補正して真の画像データD*を算出する処理を行い、或いは、画像データDやダーク読取値dをアンテナ装置39等を介して図示しない外部装置に送信し、外部装置で真の画像データD*の算出等の処理を行う。
また、算出した加算値ΣΔdが閾値Thを越える場合には(ステップS17;YES)、放射線検出素子7内に残存する電荷によって残像の悪影響が生じ得ると判断できるため、制御手段22は、再度のダーク読取処理前のリセット処理(ステップS19)を行うためのリセット処理条件を設定するようになっている(ステップS18)。
本実施形態においても、算出された加算値ΣΔdと閾値Thとの差分ΣΔd−Thに、予め差分を複数の数値範囲に区分するための境界値が設定されており、残像レベルが「多いレベル」と「非常に多いレベル」の2段階に区分されるようになっている。そして、差分ΣΔd−Thが境界値以下であれば残像レベルが「多いレベル」であるとして、再度のダーク読取処理前のリセット処理を1回行い、差分ΣΔd−Thが境界値を越えれば残像レベルが「非常に多いレベル」であるとして、再度のリセット処理を2回行うようにリセット処理条件が設定される。
また、再度のダーク読取処理前のリセット処理の回数を可変させる代わりにリセット処理の時間を可変させるように構成することも可能であり、例えば、算出した差分ΣΔd−Thに基づいて残像レベルが「多いレベル」である場合よりも「非常に多いレベル」である場合の方がリセット処理の時間が長くなるように可変させてリセット処理条件を設定するように構成することも可能である。
なお、上記の例もあくまで一例であり、再度のリセット処理の回数やリセット処理の時間の設定の仕方は、当該放射線画像撮影装置50の実情に合うように、適宜設定される。また、本実施形態では、上記のようにして、差分ΣΔd−Thの数値範囲の区分ごとに再度のリセット処理の回数やリセット処理の時間が割り当てられたテーブルが予めROM等に保存されており、制御手段22は、差分ΣΔd−Thを算出すると、上記のテーブルを参照して、再度のダーク読取処理前のリセット処理(ステップS19)におけるリセット処理の回数やリセット処理の時間等のリセット処理条件を設定するようになっている(ステップS18)。
なお、例えば、上記のようなテーブルを用いる代わりに演算式を予め求めておき、演算式に従って再度のダーク読取処理前のリセット処理におけるリセット処理の回数やリセット処理の時間を算出するように構成することも可能であることは第1の実施形態の場合と同様である。
制御手段22は、続いて、このステップS18のリセット処理条件の設定処理で設定したリセット処理条件に従って、再度のダーク読取処理前のリセット処理を行うようになっている(ステップS19)。そして、上記と同様にして、改めてダーク読取処理を行い(ステップS20)、各放射線検出素子7から読み出されたダーク読取値dを記憶手段40に保存して、以上の処理を終了する。
なお、ステップS20のダーク読取処理を終了した後、再度ステップS16の放射線の線量(残像レベル)の算出処理に戻り、加算値ΣΔdが閾値Th以下(ステップS17;NO)になるまでステップS16からステップS20の処理を繰り返すように構成することも可能である。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置50によれば、ダーク読取処理で取得されたダーク読取値dに基づいて、放射線画像撮影時に放射線画像撮影装置50に照射された放射線の線量に起因して各放射線検出素子7に残存する残像レベルを算出する。そして、算出した残像レベル(加算値ΣΔd)が高い場合には、各放射線検出素子7に対するリセット処理条件を設定し、設定したリセット処理条件に従って各放射線検出素子7に対して再度のダーク読取処理前のリセット処理を行うように構成した。
そのため、第1の実施形態の場合と同様に、前述した特許文献4に記載されている手法のように、放射線検出素子7に残存する電荷に由来する残像を除去するために撮影が終了した放射線画像撮影装置に、被写体が介在しない状態で放射線を再度照射する必要がなく、再度の放射線の照射に伴う無駄な電力の消費や放射線発生装置のX線管球等の消耗を回避することが可能となる。
また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置50によれば、強い放射線の照射により放射線検出素子7内に多量の電荷が発生し、読み出し処理や通常のリセット処理では電荷を放射線検出素子7から完全に除去できないような場合でも、照射された放射線の線量に起因して各放射線検出素子7に残存する残像レベルが高い場合にはそれを的確に検出し、残像レベルが高いほどリセット処理の回数や時間を増加させるようにリセット処理条件が設定されて再度のダーク読取処理前のリセット処理が行われる。
そのため、放射線検出素子7内に多量の電荷が発生する場合でも、放射線検出素子7内から電荷を十分に除去することができ、放射線検出素子7内に電荷が残存しないようにすることが可能となる。そのため、放射線検出素子7内に残存する電荷による残像の悪影響を的確に排除することが可能となる。
なお、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
1、50 放射線画像撮影装置
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ素子)
9 バイアス線
14 バイアス電源
18 増幅回路
22 制御手段(線量算出手段)
43 電流検出手段
D 画像データ
tf−tc 放射線の照射の開始および終了の時間間隔
V 電流に相当する電圧値(バイアス線を流れる電流)
Von オン電圧
Vp 電流に相当する電圧値Vのピーク値(電流のピーク値)
6 信号線
7 放射線検出素子
8 TFT(スイッチ素子)
9 バイアス線
14 バイアス電源
18 増幅回路
22 制御手段(線量算出手段)
43 電流検出手段
D 画像データ
tf−tc 放射線の照射の開始および終了の時間間隔
V 電流に相当する電圧値(バイアス線を流れる電流)
Von オン電圧
Vp 電流に相当する電圧値Vのピーク値(電流のピーク値)
Claims (6)
- 照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子と、
信号線を通じて前記放射線検出素子から読み出された電荷を画像データに変換する増幅回路と、
前記放射線の照射時に照射された放射線の線量を算出する線量算出手段と、
前記線量算出手段により算出された前記線量に基づいて、前記各放射線検出素子のリセット処理条件を設定し、設定した前記リセット処理条件に従って前記各放射線検出素子のリセット処理を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。 - 照射された放射線の線量に応じて電荷を発生させる複数の放射線検出素子と、
信号線を通じて前記放射線検出素子から読み出された電荷を画像データに変換する増幅回路と、
バイアス線を介して前記各放射線検出素子にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
前記バイアス線を流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記放射線の照射時に前記電流検出手段で検出された電流の値に基づいて、前記照射された放射線の線量を算出する線量算出手段と、
前記線量算出手段により算出された前記線量に基づいて、前記各放射線検出素子のリセット処理条件を設定し、設定した前記リセット処理条件に従って前記各放射線検出素子のリセット処理を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。 - 前記線量算出手段は、前記照射された放射線の線量を、前記放射線の照射の開始および終了の時間間隔と、前記電流検出手段により検出された前記バイアス線を流れる電流のピーク値とに基づいて算出することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記線量算出手段は、前記電流検出手段により検出された前記バイアス線を流れる電流の、前記放射線の照射の開始および終了の時間間隔における積分値として、前記照射された放射線の線量を算出することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記リセット処理条件は、前記各放射線検出素子のリセット処理の回数、または、前記リセット処理において前記放射線検出素子に接続されたスイッチ素子にオン電圧を印加する時間を含み、
前記制御手段は、前記線量算出手段により算出された前記線量が多いほど、前記回数を増加させ、または、前記時間を延長するように、前記各放射線検出素子のリセット処理条件を設定することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。 - 前記線量算出手段により算出された前記線量には、前記線量を複数の数値範囲に区分するための閾値が予め設定されており、
前記閾値に基づいて区分された前記数値範囲ごとに、前記各放射線検出素子のリセット処理の回数、または、前記リセット処理において前記放射線検出素子に接続されたスイッチ素子にオン電圧を印加する時間が予め設定されており、
前記制御手段は、前記線量算出手段により算出された前記線量が属する前記数値範囲に設定された前記回数または前記時間を、前記各放射線検出素子のリセット処理条件として設定することを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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