以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
本実施形態では、放射線画像撮影システムは、図1に示すような開業医やクリニック等小規模な医療施設に用いられる医療用診断システム100の一部として構成されることが想定されている。
医療用診断システム100には、放射線画像撮影システム50のほかにも、マウス等の入力部やCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示部を備える入力操作部101aを有する変換装置101を備える超音波診断装置102や、内視鏡装置103等が、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介してコンソール58に接続されており、放射線画像撮影のほかに、超音波診断装置102を用いた超音波診断や、内視鏡装置103を用いた内視鏡検査等を行うことができるようになっている。
また、コンソール58には、放射線画像撮影や超音波画像、内視鏡画像等の撮影画像の画像データを保存する画像データベースを備えるサーバ104が接続されており、さらに、受付に配置されたレセプト用コンピュータ105も接続されている。レセプト用コンピュータ105では、来院した患者の受付登録、会計計算、保険点数計算等が行われ、その結果はコンソール58を介してサーバ104に保存される。
本実施形態に係る放射線画像撮影システム50は、主に放射線撮影室内の各装置と診察室のコンソール58とで構成されている。以下、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50について、図2に基づいて詳しく説明する。
ここで、まず、放射線画像撮影システム50で放射線画像撮影に用いられる放射線画像撮影装置(FPD)1について説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置1が可搬型の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、前述したように、電子部品に対する電力供給モードを、放射線検出素子に電力を供給して放射線画像撮影を可能とする撮影可能モードと、必要な機能部にのみ電力を供給して放射線検出素子には電力の供給を停止して放射線画像撮影ができないスリープモードとの間で切り替えることが可能であれば、放射線画像撮影装置1は、支持台と一体的に形成された固定型の放射線画像撮影装置であってもよい。
また、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置やそれを用いた放射線画像撮影システムに対しても適用することができる。
図3は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図4は、放射線画像撮影装置を反対側から見た外観斜視図である。また、図5は、図3のA−A線に沿う断面図である。放射線画像撮影装置1は、図3〜図5に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
図3や図4に示すように、本実施形態では、筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フレーム板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
図3に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や、選択スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
また、図4に示すように、筐体2の反対側の蓋部材2Cには、画像データ等をコンソール58に無線で送信するための通信手段であるアンテナ装置41が埋め込まれている。なお、画像データ等をコンソール58に有線方式で送信するように構成することも可能であり、その場合、例えば、前述したコネクタ39にケーブル等を接続して送受信するように構成される。また、アンテナ装置41は、放射線画像撮影装置1の図示した位置以外の位置に設けることも可能である。
筐体2の内部には、図5に示すように、センサパネルSPの基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。本実施形態では、さらに、基板4やシンチレータ3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板35が配設されており、センサパネルSPと筐体2の側面との間には、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材36が設けられている。
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。本実施形態では、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
基板4は、本実施形態では、ガラス基板で構成されており、図6に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図6に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
本実施形態では、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図6の拡大図である図7に示すように、スイッチ素子であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を保持するようになっている。
本実施形態では、図7に示すように、列状に配置された複数の放射線検出素子7にそれぞれバイアス線9が接続されており、図6に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
また、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図8に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、放射線画像撮影装置1のセンサパネルSPの基板4部分が形成されている。なお、図8では、電子部品32等の図示が省略されている。
ここで、図9を用いて放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。
各放射線検出素子7の一方の電極にはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の電極にそれぞれバイアス電圧(本実施形態では逆バイアス電圧)を印加するようになっている。
また、各放射線検出素子7の他方の電極はTFT8のソース電極8s(図9中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図9中ではGと表記されている。)は、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図9中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bにオン電圧やオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。ゲートドライバ15bは、前述したように、走査線5の各ラインL1〜Lxを介してTFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを制御するようになっている。
また、各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。
例えば、放射線画像撮影で被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線が照射され、シンチレータ3で放射線が他の波長の電磁波に変換されて、その直下の放射線検出素子7に照射される。そして、放射線検出素子7で照射された放射線の線量(電磁波の光量)に応じて電荷が発生する。
各放射線検出素子7からの電荷の読み出し処理においては、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxを介してゲート電極8gにオン電圧が印加されたTFT8がオン状態となり、放射線検出素子7から信号線6に電荷が放出される。
そして、放射線検出素子7から放出された電荷量に応じて増幅回路18から電圧値が出力され、それを相関二重サンプリング回路19で相関二重サンプリングしてアナログ値の画像データDがマルチプレクサ21に出力される。マルチプレクサ21から順次出力された画像データDは、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換され、記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記憶手段23や、放射線画像撮影装置1の各機能部に電力を供給するバッテリ24が接続されている。また、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、また、図9では図示を省略するが、前述した電源スイッチ37や選択スイッチ38、コネクタ39等(図3参照)が接続されている。
制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御するようになっている。そして、制御手段22は、医師等の操作者により選択スイッチ38が押下されると、自らが選択されたことを示す選択信号をアンテナ装置41を介してコンソール58に送信するようになっている。
制御手段22は、前述した放射線画像撮影装置1の走査駆動手段15や読み出しIC16等の各機能部を構成する電子部品に対する電力供給モードを、放射線検出素子7に電力を供給して放射線画像撮影を可能とする撮影可能モードと、通信手段であるアンテナ装置41を含む必要な機能部にのみ電力を供給するが放射線検出素子7には電力の供給を停止して放射線画像撮影を行うことができないスリープモードとの間で切り替えるようになっている。
そして、制御手段22は、電源スイッチ37(図3参照)が押下されると、電力供給モードをスリープモードとして、上記の必要な機能部にのみ電力を供給して当該機能部のみを起動させるようになっている。
また、制御手段22は、後述するように、医師等の操作者による放射線発生装置の操作卓57のスイッチ手段56に対する1段目の操作をストローク検出手段60が検出して送信した検出信号をアンテナ装置41を介して受信すると、即座に放射線画像撮影装置1の電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替え、放射線画像撮影装置1のスリープ状態にあった他の機能部に電力を供給して起動させて、放射線画像撮影に対するスタンバイ状態とさせるようになっている。
また、本実施形態では、制御手段22は、上記のように電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えると、走査駆動手段15から走査線5の各ラインL1〜Lxに一斉にオン電圧を印加させて各TFT8をオン状態として、各放射線検出素子7のリセット処理を少なくとも1回行うようになっている。
後述するように、放射線発生装置の操作卓57では、スイッチ手段56に対する1段目の操作が行われた後、1秒程度の時間をおいて2段目の操作が行われて放射線発生装置の放射線源52(図2参照)から放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射される。そのため、放射線画像撮影装置1では、放射線が照射されるまでの間に行うことができる必要な回数だけ各放射線検出素子7のリセット処理が行われる。リセット処理を行う回数は予め適宜の回数に設定される。また、リセット処理を行わないように構成することも可能である。
後述するように、放射線発生装置の操作卓57では、一般的に、スイッチ手段56に対する1段目の操作が行われた後、数百ミリ秒〜1秒程度の時間をおいて2段目の操作が可能となるように構成されており、この2段目の操作が行われると、放射線発生装置の放射線源52(図2参照)から放射線画像撮影装置1に対して放射線が照射される。そのため、放射線画像撮影装置1では、電力供給モードの切り替え、および必要な回数だけ各放射線検出素子7のリセット処理が可能となる。リセット処理を行う回数は予め適宜の回数に設定される。また、リセット処理を行わないように構成することも可能である。
また、制御手段22は、各放射線検出素子7のリセット処理が終了すると、走査駆動手段15から走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて各TFT8をオフ状態として、各放射線検出素子7に電荷が蓄積される状態とする。
制御手段22は、続いて、上記のように電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えた後、上記のように放射線が照射されて照射が終了するまでの時間を含む予め設定された時間、例えば照射開始から1秒が経過すると、前述したように、各放射線検出素子7から電荷を読み出して放射線検出素子7ごとに電荷を画像データDに変換する読み出し処理を行うようになっている。読み出された画像データDは、記憶手段23に一時的に記憶される。
また、本実施形態では、制御手段22は、上記のように各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理を行った後、少なくとも1回のダーク読取処理を行うようになっている。ダーク読取処理では、上記のように、放射線画像撮影において各TFT8がオフ状態とされて各放射線検出素子7に電荷が蓄積される状態とされてから各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理が開始されるまでの時間間隔と同じ時間間隔だけ、放射線が照射されない状態で放射線画像撮影装置1を放置し、その状態で各放射線検出素子7に蓄積された暗電荷を、上記の画像データDの読み出し処理と同じ手順で読み出してダーク読取値dを得る。
このダーク読取値dは、各放射線検出素子7から読み出された画像データDのオフセット補正に用いられるが、同じ条件でダーク読取処理を行ってもダーク読取値d自体にゆらぎが生じるため、ダーク読取処理を複数回行って、各放射線検出素子7ごとに得られた各回ごとのダーク読取値dの平均値を算出してオフセット補正値とするように構成することも可能である。
そのため、ダーク読取処理は、予め設定された回数だけ放射線画像撮影後に行われる。取得されたダーク読取値d、或いは複数回行われたダーク読取処理で得られた各ダーク読取値dの平均値は、記憶手段23に一時的に記憶される。
制御手段22は、読み出し処理やダーク読取処理を終了すると、各放射線検出素子7から読み出された画像データDや、ダーク読取処理で取得されたダーク読取値d(或いはそれらの平均値)を記憶手段23から読み出して、アンテナ装置41を介してコンソール58にそれらのデータを送信するようになっている。
そして、制御手段22は、読み出し処理やダーク読取処理、画像データDやダーク読取値d(或いはそれらの平均値)の送信処理を含む所定の処理を終了すると、電力供給モードを、撮影可能モードからスリープモードに切り替えるようになっている。そのため、放射線画像撮影装置1の電力供給モードは、一連の処理が終了すると、通信手段であるアンテナ装置41を含む必要な機能部にのみ電力が供給されるスリープモードに自動的に切り替えられる。
ところで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1をスクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ用のブッキー装置51に装填することが想定されており、放射線画像撮影装置1は、CRカセッテにおけるJIS規格サイズ(すなわち従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ。対応する国際規格はIEC 60406。)に準拠する14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成されている。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成されている。
しかし、スクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ用のブッキー装置を用いない場合には、放射線画像撮影装置1を上記の寸法で形成する必要はなく、放射線画像撮影装置1を任意の大きさや形状に形成することができる。また、その際には、ブッキー装置51のカセッテ保持部51a(図2参照)として、放射線画像撮影装置1を装填することができる形状のものが設置される。
次に、放射線画像撮影システム50における放射線画像撮影装置1以外の放射線撮影室内の各装置の構成について詳しく説明する。
放射線撮影室Rは、患者の身体の一部である被写体(患者の撮影対象部位)に放射線を照射して放射線画像撮影を行う部屋であり、図2に示すように、被写体に放射線を照射するための放射線発生装置の放射線源52等が配置され、放射線の撮影室外への漏洩防止が施された、いわゆる撮影室Raと、医師等の操作者が操作する放射線照射装置の操作卓57等が配置された前室(操作室等ともいう。)Rbとを備えている。
本実施形態では、撮影室Raには、放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51や放射線発生装置の放射線源52が設けられている。
なお、図2では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bとが設けられている場合が示されているが、この場合に限定されない。また、放射線画像撮影装置1がブッキー装置51に装填される可搬型の放射線画像撮影装置ではなく、支持台と一体式とされた固定型の放射線画像撮影装置でもよいことは前述したとおりである。
前述したように、本実施形態では、ブッキー装置51は、本実施形態ではカセッテ保持部(カセッテホルダ)51aにCRカセッテを装填して用いるように形成された既存のブッキー装置であり、放射線画像撮影装置1をカセッテ保持部51aに装填して用いることができるようになっている。
なお、放射線画像撮影装置1は、ブッキー装置51に装填された状態で用いることも可能であるが、ブッキー装置51に装填されない単独の状態で用いることも可能である。すなわち、放射線画像撮影装置1を例えば撮影室Ra内に設けられた図示しないベッドや図2に示すように臥位撮影用のブッキー装置51B等に上面側に配置してその放射線入射面R(図3参照)上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足等とベッドとの間に差し込んだりして用いることもできるようになっている。
放射線発生装置の放射線源52は、被写体に照射する放射線を発生させる図示しないX線管球を備えており、本実施形態では、図2に示すように、放射線源52のうち、放射線源52Aは、その位置や照射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填された放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射して放射線画像撮影を行うことができるようになっている。
また、本実施形態では、ブッキー装置51A、51Bには対応付けられていないポータブルの放射線源52Bも設けられている。ポータブルの放射線源52Bは、撮影室Ra内のいかなる場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっており、前述したように、放射線画像撮影装置1を単独の状態で使用する場合には、放射線源52Aのみならずポータブルの放射線源52Bからも放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射できるようになっている。
撮影室Ra内で照射された放射線が外部に漏出しないように、撮影室Raは鉛などでシールドされている。そのため、撮影室Ra内で放射線画像撮影装置1からアンテナ装置41を介して画像データD等の情報を送受信しようとしても、そのままでは送受信できない。そこで、本実施形態では、放射線画像撮影装置1とコンソール58とが無線通信する際に、これらの通信を中継する無線アンテナ53を備えた基地局(無線アクセスポイント)54が設けられている。
なお、本実施形態では、放射線画像撮影装置1からコンソール58に画像データD等を送信する際、アンテナ装置41を介して無線方式でデータを送信することが想定されているが、例えば図2に示すように、ブッキー装置51A、51Bと基地局54とがケーブル等で接続されている場合には、そのケーブル等を、例えば放射線画像撮影装置1のコネクタ39(図3参照)に接続して、有線方式でデータを送信するように構成することも可能である。なお、その場合には、コネクタ39が画像データD等を送信する通信手段ということになる。
本実施形態では、この他、撮影室Ra内には、放射線画像撮影装置1を挿入して保管するクレードル55が配置されている。クレードル55で放射線画像撮影装置1を充電するように構成することも可能である。なお、クレードル55は、放射線発生装置の放射線源52から照射された放射線が直接届かないような位置に設けられる。
図2に示すように、前室Rbには、放射線源52に対して放射線の照射開始等を指示するためのスイッチ手段56等を備えた放射線の照射を制御する放射線発生装置の操作卓57が設けられている。操作卓57は、CPU等を備える汎用コンピュータで構成される場合もあり、或いは、専用のプロセッサ(processor)を備えるコンピュータで構成される場合もある。操作卓57の構成については特に限定されない。
スイッチ手段56は、前述したように、通常、医師等の操作者により1段目の操作と2段目の操作を行うことができるようになっている。具体的には、本実施形態では、スイッチ手段56は、例えば図10(A)〜(C)に示すように、所定長のストロークを有する棒状のボタン部56aと、ボタン部56aを図中矢印Sで示されるストローク方向に移動可能に支持する筐体部56bとで構成されている。
また、スイッチ手段56のボタン部56aは、図10(A)に示すように、筐体部56bから上方に突出した円筒部56a1と、その内部からさらに上方に突出した円柱部56a2を備えて構成されている。
そして、図10(B)に示すように、円柱部56a2が円筒部56a1の上端部分までそのストローク方向Sに押し込まれることで1段目の操作(すなわちいわゆるボタン部56aの半押し操作)が行われ、さらに、図10(C)に示すように、円筒部56a1と円柱部56a2とがともに筐体部56bの上端部分まで押し込まれることで2段目の操作(すなわちいわゆるボタン部56aの全押し操作)が行われるようになっている。
筐体部56bの内部には、ボタン部56aの円筒部56a1や円柱部56a2のストローク方向Sへの移動を検出する図示しない検出部が設けられており、上記のようにスイッチ手段56のボタン部56aに対する1段目の操作が行われてボタン部56aが半押しされると、検出部がそれを検出して起動信号を操作卓57に送信するようになっている。そして、操作卓57はその起動信号を放射線源52に送信するようになっており、放射線源52は起動信号を受信すると、X線管球の陽極の回転を開始させてスタンバイ状態となるようになっている。
また、その後、上記のようにスイッチ手段56のボタン部56aに対する2段目の操作が行われてボタン部56aが全押しされると、検出部がそれを検出して照射信号を操作卓57に送信するようになっている。そして、操作卓57はその照射信号を放射線源52に送信するようになっており、放射線源52は照射信号を受信すると、X線管球から放射線を照射させるようになっている。
放射線照射装置の操作卓57は、このようにして放射線源52から被写体および放射線画像撮影装置1への放射線の照射を制御するようになっている。
また、本実施形態では、スイッチ手段56には、スイッチ手段56のボタン部56aに対する1段目の操作を検出し、基地局54を介して、前述したように放射線画像撮影装置1に検出信号を送信するストローク検出手段60(図2参照)が取り付けられている。
本実施形態では、ストローク検出手段60は、例えば図11(A)、(B)に示すように、略L字状に形成された取付片60aを備え、取付片60aの一端E1側がスイッチ手段56のボタン部56aの円柱部56a2の先端部に取り付けられている。そのため、取付片60aは、ボタン部56aの円柱部56a2のストローク方向Sへの移動に伴って自らもストローク方向Sに移動するようになっている。
また、取付片60aの他端E2側には、そのストローク方向Sへの移動を検出してスイッチ手段56のボタン部56aの円柱部56a2の移動を検出してボタン部56aに対する1段目の操作を検出し、検出信号を放射線画像撮影装置1に送信する検出部60bと、検出部60b等を覆うカバー部60cとが設けられている。
ストローク検出手段60の検出部60bは、例えば、発光素子60b1と、発光素子60b1から発光された光を受光する受光素子60b2とで構成されており、図11(A)に示すように、スイッチ手段56のボタン部56aの円柱部56a2が押し込まれていない状態では、発光素子60b1から発光された光を受光素子60b2が受光する。
そして、図11(B)に示すように、スイッチ手段56のボタン部56aの円柱部56a2が押し込まれてボタン部56aに対する1段目の操作が行われた状態では、発光素子60b1から発光された光が取付片60aの端部E2で遮断されて受光素子60b2が受光できなくなるような位置に、発光素子60b1と発光素子60b1とが配置されるようになっている。
そして、ストローク検出手段60の検出部60bは、発光素子60b1から発光され受光素子60b2で受光していた光が受光素子60b2で受光できなった時点で、取付片60aが取り付けられたスイッチ手段56のボタン部56aの円柱部56a2が押し込まれてボタン部56aに対する1段目の操作が行われたことを検出して、基地局54を介して検出信号を放射線画像撮影装置1に送信するようになっている。
ストローク検出手段60をこのように構成すれば、ストローク検出手段60を通常の公知のスイッチ手段56に容易に取り付けることが可能となる。また、それとともに、ストローク検出手段60で、スイッチ手段56のボタン部56aが押し込まれた際の移動を検出し、ボタン部56aに対する1段目の操作が行われるとそれを的確に検出して検出信号を放射線画像撮影装置1に送信することが可能となる。
また、前述したように、放射線画像撮影装置1や放射線発生装置52、57のメーカーや型式等が異なっても、スイッチ手段56のボタン部56aの構成は、大抵の場合、略同一であるため、ストローク検出手段60を上記のように構成すれば、ボタン部56aの円柱部56a2が押し込まれてボタン部56aが半押しされる際のストローク量にあわせて、ストローク検出手段60の受光素子の位置を調整する、いわば機械的な位置調整のみで対応することが可能となる。
そのため、メーカーや型式等が異なる放射線画像撮影装置1や放射線発生装置52、57の様々な組み合わせについて装置間のインターフェースを全て準備して放射線照射等のタイミング制御を行うことが不要となるため、好ましい。
なお、本実施形態では、スイッチ手段56のボタン部56aに対する1段目の操作(すなわち半押し)が行われたことが検出されればよいため、ストローク検出手段60の検出部60bには、上記のようにボタン部56aの半押しが検出できる位置に1つの検出部60b(本実施形態では1組の発光素子60b1と受光素子60b2)が設けられていれば十分であるが、さらに、もう1つの検出部のストローク方向Sの下流側(図中では検出部60bの下方側)に設けて、スイッチ手段56のボタン部56aに対する2段目の操作(すなわち全押し)が行われたことを検出するように構成することも可能である。
図1や図2に示すように、放射線発生装置の操作卓57は、コンソール58が接続されている。なお、本実施形態では、このように、コンソール58は操作卓57を介して基地局54(図2参照)に接続されているが、コンソール58と基地局54とを直接接続するように構成することも可能である。
コンソール58は、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータ等で構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、コンソール58は、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
コンソール58は、CRTやLCD等で構成される表示画面58aを備えており、また、HDD(Hard Disk Drive)等からなる記憶装置59を備えている。そして、コンソール58は、放射線画像撮影が終了し、前述したように放射線画像撮影装置1から画像データDやダーク読取値d(或いはそれらの平均値)が送信されてくると、それらのデータを記憶装置59に保存するようになっている。
また、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像データDやダーク読取値d(或いはそれらの平均値)に基づいてプレビュー画像を表示画面58aに表示するようになっている。
具体的には、コンソール58は、ダーク読取値dやそれらの平均値に基づいてオフセット補正値Oを算出し、また、記憶装置59に予め記憶されている当該放射線画像撮影装置1の各放射線検出素子7に関するゲイン補正値Gを読み出して、各放射線検出素子7からの画像データDを、
Do=G×(D−O) …(1)
に基づいて真の画像データDoに補正する。
また、当該放射線画像撮影装置1の各放射線検出素子7の中に異常な画像データDを出力する欠陥画素があれば、その欠陥画素の画像データDを、それに隣接する放射線検出素子7の画像データDで置換する等して、欠陥画素補正を行う。そして、欠陥画素補正等を行った真の各画像データDoに対して対数変換処理を施してプレビュー画像用のデータを算出して、そのデータに基づいてプレビュー画像を表示画面58aに表示するようになっている。
この場合、プレビュー画像は、医師等の操作者が表示画面58aに表示されたプレビュー画像を見て、放射線画像中に被写体が撮影されているか否か、および撮影されている場合には画像中の適切な位置に撮影されているか否かを確認して再撮影の要否を判断するためだけに使用されるものである。そのため、操作者が放射線撮影室R内での撮影を終えて診察室に移動してくるまでの短い時間内に上記の処理が行われ、操作者が診察室に入ってきた時点で、プレビュー画像がコンソール58の表示画面58a上に表示されていることが望ましい。
そのため、プレビュー画像を作成するための処理は、高速に処理を行うことができる簡易な処理であることが望ましい。また、上記の欠陥画素補正等を行わないように構成することも可能である。
また、放射線画像撮影装置1から送信されてきた全画像データDについて上記の処理を行うと処理に時間がかかるため、例えば、コンソール58で、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像データDに基づいて、画像データDが所定の割合で間引かれた間引きデータDtを作成し、その間引きデータDtに基づくプレビュー画像を表示画面58aに表示するように構成することも可能である。
この場合、間引きデータDtは、例えば、二次元状に配列された各放射線検出素子7に対応して各画像データDを配列した場合に3×3画素や4×4画素ごとに1画素分ずつ画像データDを抽出するようにして作成してもよく、或いは、走査線5の各ラインL1、L4、L7、…にそれぞれ接続された各放射線検出素子7からの画像データDのように、走査線5の所定の間隔ごとの各ラインLnに接続された各放射線検出素子7からの画像データDを抽出して作成するように構成することも可能である。
このように構成すれば、プレビュー画像を表示するために処理を行うデータのデータ量が、全画像データDに対して処理を行う場合よりも格段に少なくなるため、処理を高速に行うことが可能となり、プレビュー画像を速やかにコンソール58の表示画面58a上に表示させることが可能となる。
また、そのため、医師等の操作者は、プレビュー画像を見て再撮影の要否を速やかに判断することが可能となり、操作者にとっての使い勝手がよくなるとともに、再撮影の要否の判断に時間がかかって患者に負担をかけることを防止することが可能となる。
一方、コンソール58は、操作者により再撮影の必要なしと判断されて放射線画像の作成指示が入力されると、画像データDやダーク読取値d(或いはそれらの平均値)に基づいて、今度は、高精度の補正処理を行って最終的な診断用放射線画像を生成するようになっている。なお、最終的な診断用放射線画像を生成する手法は公知であり、説明を省略する。
このようにして生成された最終的な診断用放射線画像は、コンソール58からサーバ104(図1参照)に送信されて、サーバ104の前述した画像データベースに格納されるようになっている。なお、この診断用放射線画像の生成の基となった画像データDやダーク読取値d等も、当該診断用放射線画像と併せて画像データベースに格納するように構成することも可能である。
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用について説明する。
放射線画像撮影の際、放射線画像撮影装置1は、例えばクレードル55から引き出されて、電源スイッチ37(図3参照)が押下されると、制御手段22は、アンテナ装置41等の必要な機能部にのみ電力を供給し、当該機能部のみを起動させて、放射線画像撮影装置1の電力供給モードをスリープモードとする。
医師等の操作者は、放射線画像撮影装置1を例えば立位撮影用のブッキー装置51A(図2参照)のカセッテ保持部51aに装填して、患者をブッキー装置51Aの前に立たせて、カセッテ保持部51aの位置を適切な高さに調整する。そして、放射線発生装置の放射線源52Aからブッキー装置51Aに放射線が照射されるように放射線源52Aを所定の位置に移動させてその向きを調整し、適切な線量の放射線が照射されるように放射線源52Aを起動させる等した後、前室Rbに移動して、放射線発生装置の操作卓57のスイッチ手段56を操作する。
そして、まず、スイッチ手段56に対する1段目の操作がなされ、スイッチ手段56のボタン部56aの円柱部56a2が円筒部56a1の上端部分までそのストローク方向Sに押し込まれると(図10(B)参照)、スイッチ手段56から操作卓57に起動信号が送信され、その起動信号が操作卓57から放射線源52Aに送信される。放射線源52Aは起動信号を受信すると、X線管球の陽極の回転を開始させてスタンバイ状態となる。
その際、ストローク検出手段60は、上記のようにしてスイッチ手段56のボタン部56aに対する1段目の操作が行われたことを検出して(図11(B)参照)、基地局54を介して放射線画像撮影装置1に検出信号を送信する。
放射線画像撮影装置1の制御手段22は、アンテナ装置41を介してストローク検出手段60が送信した検出信号を受信すると、即座に放射線画像撮影装置1の電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替え、放射線画像撮影装置1のスリープ状態にあった他の機能部に電力を供給して起動させる。
そして、本実施形態では、走査駆動手段15から走査線5の各ラインL1〜Lxに一斉にオン電圧を印加させて各TFT8をオン状態として、各放射線検出素子7のリセット処理を所定回数行った後、走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて各TFT8をオフ状態として、各放射線検出素子7に電荷が蓄積される状態とする。
続いて、操作者によりスイッチ手段56のボタン部56aに対する2段目の操作が行われてボタン部56aが全押しされると(図10(C)参照)、スイッチ手段56から操作卓57に照射信号が送信され、その照射信号が操作卓57から放射線源52Aに送信される。放射線源52Aは照射信号を受信すると、X線管球から放射線を照射させる。
この放射線の照射により、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線が照射され、照射された放射線の線量(正確には照射された放射線がシンチレータ3で電磁波に変換された電磁波の光量)に応じて各放射線検出素子7に電荷が蓄積される。
放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線の照射が終了した後、電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えてから所定の時間が経過すると、各放射線検出素子7から電荷を読み出して放射線検出素子7ごとに電荷を画像データDに変換する読み出し処理を行う。読み出された画像データDは、記憶手段23に記憶される。
制御手段22は、続いて、少なくとも1回のダーク読取処理を行い、ダーク読取値dを取得して、ダーク読取値d(或いはそれらの平均値)を記憶手段23に記憶させる。そして、画像データDやダーク読取値d(或いはそれらの平均値)を記憶手段23から読み出して、アンテナ装置41を介してコンソール58に送信する。
そして、制御手段22は、読み出し処理やダーク読取処理、画像データDやダーク読取値d(或いはそれらの平均値)の送信処理を含む所定の処理を終了すると、電力供給モードを、撮影可能モードからスリープモードに自動的に切り替える。
コンソール58では、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像データDや、画像データDから作成した間引きデータDt等に基づいてプレビュー画像用のデータを作成し、プレビュー画像を表示画面58aに表示する。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、スイッチ手段56のボタン部56aに対する1段目の操作が行われ、放射線発生装置の放射線源52が起動されると同時に、それを検出したストローク検出手段60から検出信号が放射線画像撮影装置1に送信され、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、その検出信号に応じて放射線画像撮影装置1の電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替える。
ストローク検出手段60は既設のスイッチ手段56に後付けで取り付けることができるため、放射線画像撮影装置1や放射線発生装置52、57のメーカーが異なり型式等が異なるものであっても、それらのインターフェースを容易かつ的確にとることが可能となる。
また、スイッチ手段56のボタン部56aに対する1段目の操作が行われると同時に、放射線画像撮影装置1の電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えるため、放射線画像撮影装置1のモード切り替えタイミングと、放射線発生装置の放射線源52からの放射線の照射タイミングとを的確に合わせることが可能となる。
そのため、放射線源52から放射線を照射するタイミングで放射線画像撮影装置1が撮影可能モードになっておらず、放射線画像撮影を行うことができなかったり、逆に、放射線を照射するタイミングよりもかなり前から放射線画像撮影装置1のモードが撮影可能モードに切り替わってしまい、放射線画像撮影装置1の電力が浪費されたり放射線画像撮影装置1のバッテリ24が消耗したりすることを確実に防止することが可能となる。
また、上記のように、放射線画像撮影装置1の電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えた後、画像データDの読み出し処理や画像データD等の送信処理等の一連の処理を自動的に行い、一連の処理を終了すると、電力供給モードを撮影可能モードからスリープモードに自動的に切り替えるように構成することで、無駄な電力が消費されることを防止することが可能となり、特に放射線画像撮影装置1がバッテリ内蔵型である場合には、放射線画像撮影装置1のバッテリ24が消耗することを確実に防止することが可能となる。
さらに、開業医等のように放射線画像撮影装置1の使用頻度の低い施設においては、撮影の時以外は放射線画像撮影装置1の電力供給モードがスリープモードのままで保持されるため、放射線検出素子7等への通電による温度上昇等が発生せず、放射線検出素子7は開業医等の撮影室Raの比較的安定した雰囲気温度にさらされるのみである。そのため、その温度特性が安定しており、良好な読取画像を得ることが可能となる。
また、前述したように、放射線画像撮影装置1では読み出しIC16や走査駆動手段15等の電子部品の出力特性等が、自身の発熱や周囲温度に依存して変化するが、放射線画像撮影装置1では、スイッチ手段56のボタン部56aに対する1段目の操作と同時に電力供給モードをスリープモードから撮影可能モードに切り替えた後、短時間で一連の処理が行われる。
そのため、その間に放射線画像撮影装置1の読み出しIC16や走査駆動手段15等の温度が上昇することはなく、或いは、仮に温度が上昇したとしてもその度合いは僅かであるため、電子部品の出力特性等は変化せず、或いは、温度に依存して変化したとしてもその影響は無視できる程度に抑えることが可能となる。
そのため、温度変動分を補正するためにダーク読取を繰り返すことなく、安定した画質を得ることができる。また、放射線画像撮影装置1がバッテリが内蔵された可搬型の放射線画像撮影装置である場合には、このようにダーク読取を繰り返さないで済むため、バッテリ24の消耗を防止することが可能となる。
なお、本実施形態では、コンソール58で、送信されてきた画像データDに基づいて間引きデータDtを作成し、その間引きデータDtに基づくプレビュー画像を表示画面58aに表示するように構成することが可能であることを述べたが、放射線画像撮影装置1で間引きデータDtを作成するように構成することも可能である。
また、その他、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。