JP6042864B2 - 歯科用粉液型硬化性材料キット - Google Patents

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Description

本発明は、液材と粉材とからなり、両者を混ぜて硬化せしめて歯科用途に使用する粉液型硬化性材料キットに関するものである。
歯科治療の分野において使用される粉液型硬化性材料キットは、低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体等の(メタ)アクリル系のラジカル重合性単量体を主成分とする液材と、ポリメチルメタクリレート等の非架橋樹脂を主成分とする粉材とからなり、粉液混合により硬化性材料が調製されるものである。
このような硬化性材料キットでは、上記の(メタ)アクリル系のラジカル重合性単量体を重合するために、複数の構成成分からなる化学重合型ラジカル重合開始剤が使用されている。即ち、この化学重合型重合開始剤の複数の構成成分は、液材(liquid)と粉材(powder)とに分けて配合されており、液材と粉材とを混合したときに、ラジカルが発生し、上記(メタ)アクリレート系単量体のラジカル重合が始まるようになっている。
このような化学重合型ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物と芳香族3級アミンの組合せが一般的であるが、ピリミジントリオン誘導体、有機金属化合物および有機ハロゲン化合物の組合せも、硬化体の変色が起こり難いことから有利な重合開始剤として知られている(特許文献1、2参照)。
ラジカル重合の結果得られた硬化体は、非架橋樹脂を含んでいるため、無機フィラーを含有する硬化体と比較して高靭性の利点がある。従って、歯科用粉液型硬化性材料キットは、高靭性が求められる歯科臨床用途に大変有用であり、動揺歯(mobile tooth)の固定、矯正用ブラケットの接着・保定(baoding)、人工歯の接着等に使用する接着性レジンセメント材料や、破折した義歯の補修等に使用する常温重合レジン材料等として商品化されている。
これらの用途の多くは、液材と粉材との混合物の硬化を患者の口腔内で行うことが多いが、この場合、患者に苦痛を与えないため、硬化時の発熱が小さいことが要求される。更に、該混合物が硬化するまでの時間(硬化時間)を臨床の状況に応じてコントロールすることも重要である。
上記のような歯科用粉液型硬化性材料キットにおいては、発熱温度と硬化時間のコントロールのために、重合禁止剤を用いて硬化速度を適度に遅延させて硬化時間をコントロールする技術が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法で硬化時間をコントロールした場合、重合禁止剤が硬化遅延のために使い尽くされて消失した後に重合反応が一気に進行することとなり、硬化時の発熱の低減については効果がなかった。
また、ラジカル連鎖移動剤を用いることで、硬化体の物性を低下させることなく硬化時間を任意にコントロールし、且つ、硬化時の発熱を低減させる技術が報告されている(特許文献4参照)。
特開昭63−216811号公報 特開平11−228330号公報 特開平9−67222号公報 特開平11−071220号公報
ところで、歯科用粉液型硬化性材料キットにおいて、粉材と液材とからなる硬化性材料の硬化手法としては、大別して、練和法(kneading technique)と筆積み法(brush-on technique)の二通りがある。これらは、臨床の状況や使用する術者の試行により、その都度使い分けられる。
例えば、練和法は、ラバーカップ等の容器内に粉材と液材と入れ、ヘラなどを用いての混練りによって硬化性材料であるレジン泥を調製するものであり、一般に、テンポラリークラウン(TEK)やブリッジなどの比較的大きな部位を作成するような場合に適用される。
一方、筆積み法は、例えば図1に示されているようなステッィク1の先端に設けられた液吸収材3(例えばwriting brush or pencil brush)に液材を含ませ、この状態で液吸収材3を粉材に付け、付着した粉材と液吸収材3から滲み出てくる液材とを馴染ませて硬化性材料であるレジン泥を調製するというものである。この技法は、TEK内面の調整や義歯床の補修のような細やかな部分での作業に適用される。
尚、上記のような液吸収材3は、日本では「筆」と呼ばれている。
しかるに、前述した化学重合型ラジカル重合開始剤が使用されている粉液型硬化性材料キットにおいては、練和法に比して筆積み法での硬化速度が遅延化しすぎる問題があった。即ち、筆積み法は、液材と粉材の混合が、液吸収材3から滲み出る液材が粉材に浸透することにより行われるため、強制的に攪拌する練和法に比べて、硬化時に重合反応に必要な酸素が不足しがちになり、これにより硬化時間が大幅に長くなるものと推測される。
従って、粉液型の硬化性材料では、特許文献4で提案されているように、ラジカル連鎖移動剤の添加により硬化時間をコントロールした場合、練和法と筆積み法の両方で満足し得るような硬化時間を確保することができないのが実情である。即ち、練和法と筆積み法とでは硬化挙動が異なっているため、一方に好適となるように硬化時間を調整した場合、他方では不適当となってしまい、硬化のための操作性が低下してしまうなどの問題が生じてしまう。
例えば、練和法の場合、得られたレジン泥(硬化性材料)を比較的大きな部位に築盛してその形態が調整される。従って、素早い硬化が求められ、粉材と液材とを混合してからの最適の硬化時間は1分30秒〜3分程度である。他方、筆積み法の場合、得られたレジン泥は、細やかな部分での補修作業に供され、しかも口腔内での適用もあり得る。従って、最適な硬化時間は練和法に比して若干長く、液吸収材3から滲み出る液材に粉材を馴染ませてから3〜4分程度である。
ところが、ラジカル連鎖移動剤の添加により、練和法に適当な硬化時間に調整しても、筆積み法で硬化すると、その硬化時間は、筆積みに適した硬化時間よりも大幅に長くなってしまう。また、筆積み法に適当な硬化時間に調整すると、この逆で、練和法では硬化が早すぎるものになってしまう。
以上の説明から理解されるように、レジン泥を作製する手法毎に、専用の粉材と液材とを含むキットを用意しなければならず、術者への負担が大きく、改善が強く求められていた。
従って、本発明の目的は、液材と粉材とからなる歯科用途に使用する粉液型硬化性材料キットにおいて、液材と粉材との混合物である硬化性材料の硬化時の発熱を低減させ得ると共に、筆積み法により硬化させても硬化時間の過度の長期化が生じ難く、筆積み法と練和法との双方において適度な硬化時間を確保することを可能とすることにある。
本発明者らは、上記技術課題を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、ピリミジントリオン化合物、有機金属化合物および有機ハロゲン化合物からなる化学重合型ラジカル重合開始剤を用い、且つラジカル連鎖移動剤が使用されている歯科用粉液型硬化性材料キットにおいて、さらに、過酸化物を配合することで、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、液材(A)と粉材(B)とからなり、ラジカル重合開始剤として、有機ハロゲン化合物とピリミジントリオン化合物と有機金属化合物との組み合わせが使用されている歯科用粉液型硬化性材料キットにおいて、
前記液材(A)は、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)、前記有機ハロゲン化合物(a2)及びラジカル連鎖移動剤(a3)を含み、
前記粉材(B)は、非架橋樹脂粒子(b1)、前記ピリミジントリオン化合物(b2)及び前記有機金属化合物(b3)を含み、
前記液材(A)および粉材(B)の少なくとも一方に過酸化物(Z)が配合されていることを特徴とする歯科用粉液型硬化性材料キットが提供される。
本発明の歯科用粉液型硬化性材料キットにおいては、
(1)前記液材(A)は、ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、有機ハロゲン化合物(a2)を0.001〜5質量部、ラジカル連鎖移動剤(a3)を0.01〜10質量部の量で含み、前記粉材(B)は、前記樹脂粒子(b1)100質量部当り、前記ピリミジントリオン化合物(b2)を0.03〜5質量部、前記有機金属化合物(b3)を0.0003〜0.02質量部の量で含んでいること、
(2)前記過酸化物(Z)は、前記樹脂粒子(b1)100質量部当り0.03〜5質量部の量で、前記粉材(B)に配合されていること、
(3)前記有機ハロゲン化合物(a2)が第4級ハロゲン化アンモニウムであること、
(4)前記ラジカル連鎖移動剤(a3)が、メルカプタン、ハロゲン化炭化水素或いはフェニル基含有モノオレフィンであること、
(5)前記非架橋樹脂粒子(b1)が、(メタ)アクリレート樹脂粒子であること、
(6)前記ピリミジントリオン化合物が、下記一般式(1):
Figure 0006042864
式中、3つのRは、全てが水素原子ではないことを条件として、それぞれ、水素原子
、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基或いはフェニル基
、を示す、
で表される化合物であること、
(7)前記有機金属化合物(b3)が銅または鉄化合物であること、
(8)前記有機金属化合物(b3)がアセチルアセトン銅(II)、酢酸銅(II)、オレイン酸銅(II)及びアセチルアセトン鉄(II)からなる群より選択された少なくとも1種であること、
が好ましい。
本発明の歯科用粉液型硬化性材料キットでは、ラジカル重合開始剤として、有機ハロゲン化合物(a2)とピリミジントリオン化合物(b2)と有機金属化合物(b3)との組合せが使用され、且つラジカル連鎖移動剤(a3)も使用されているため、硬化時の発熱が低く抑えられるばかりか、硬化速度も遅延でき、臨床に応じたコントロールが可能となっている。しかも、これらに加えて、さらに過酸化物(Z)が使用されているため、特に筆積み法により液材(A)と粉材(B)とを混合した場合においての硬化時間の過度の長期化が抑制されている。即ち、筆積み法での硬化時間が練和法での硬化時間に比して過度に長くなるという不都合が有効に回避され、筆積み法での硬化時間の延長は、練和法に比して若干大きい程度に維持される。
このことから理解されるように、本発明の歯科用粉液型硬化性材料キットは、筆積み法を適用した場合に、従来公知のものとは全く異なる挙動を示し、これにより、筆積み法と練和法との共用型として何れの硬化手法に適用した場合においても、その硬化時間の長期化に大きな差異がなく、両手法で良好な操作性が確保された材料として、臨床上有利に使用できる。
本発明において、筆積み法での硬化時間の過度の長期化が防止できるのは、次の理由によるものと本発明者らは推定している。
既に述べたように、筆積み法においての硬化速度が遅く、硬化時間が長くなるのは、この手法では、液材と粉材の混合が、前述した図1の吸収材3から滲み出る液材が粉材へ浸透することによりなされるため、強制的に攪拌する練和法に比べて、硬化時に重合反応に必要な酸素が不足するためと考えられる。
しかるに、本発明によれば、過酸化物が酸素供給源となり、筆積み法における硬化時の酸素不足が解消しており、この結果、硬化時間の過度な長期化が抑制されるわけである。
筆積み法に用いる治具を示す図。
本発明の歯科用硬化性材料キットは、液材(A)と粉材(B)とからなり、ラジカル重合開始剤として、有機ハロゲン化合物とピリミジントリオン化合物と有機金属化合物との組み合わせが使用されているものであり、これらのラジカル重合開始剤成分は、液材(A)と粉材(B)とにより分けて配合され、さらに、過酸化物が、液材(A)及び/または粉材(B)、好ましくは液材(A)に配合される。
<液材(A)>
液材(A)は、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)、ラジカル重合開始剤成分である有機ハロゲン化合物(a2)及びラジカル連鎖移動剤(a3)を必須成分として含み、さらに、好ましくは過酸化物(Z)が配合される。
1.(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1);
本発明において、液材(A)には、主成分として(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体が配合されるが、かかるラジカル重合性単量体は、重合性の良さや人体に対する適合性などから、歯科分野で通常使用されているものである。
このような(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体の具体例としては、これに限定されるものではないが、以下のものを例示することができる。
メチル(メタ)アクリレート;
エチル(メタ)アクリレート;
イソプロピル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート;
2−(メタ)アクリロキシエチルプロピオネート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;
1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;
2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン;
2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシフェ
ニル)]プロパン;
2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン

2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパ
ン;
2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパ
ン;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;
トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物;
上記の(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体は、それぞれ、1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
本発明においては、得られる歯科用粉液型硬化性材料の操作性が良く、しかも硬化物が高靭性を有し折れにくいという観点から、上記の中でも低級アルキル(メタ)アクリレート系単量体(特にカルボキシルの酸素原子に結合している炭素数が4以下のアルキル)が好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。例えば、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)の50質量%以上がメチルメタクリレートであることが最も好適である。
2.有機ハロゲン化合物(a2);
液材(A)に配合される有機ハロゲン化合物は、後述するピリミジントリオン化合物(b2)及び有機金属化合物(b3)との組み合わせで重合開始剤(以下、ピリミジントリオン系開始剤と呼ぶことがある)として機能する成分であり、具体的には、液材(A)中でハロゲン化物イオンを形成させる化合物が使用される。
このようなピリミジントリオン系開始剤に用いる有機ハロゲン化合物は、第4級ハロゲン化アンモニウムが代表的であり、以下のものを例示することができる。
ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド;
ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;
ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド;
ジイソブチルアミンハイドロクロライド;
テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド;
トリエチルアミンハイドロクロライド;
トリメチルアミンハイドロクロライド;
ジメチルアミンハイドロクロライド;
ジエチルアミンハイドロクロライド;
メチルアミンハイドロクロライド;
エチルアミンハイドロクロライド;
イソブチルアミンハイドロクロライド;
トリエタノールアミンハイドロクロライド;
β−フェニルエチルアミンハイドロクロライド;
アセチルコリンクロライド;
2−クロロトリメチルアミンハイドロクロライド;
(2−クロロエチル)トリエチルアンモニウムクロライド;
テトラ−デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;
テトラエチルアンモニウムクロライド;
テトラメチルアンモニウムクロライド;
トリオクチルメチルアンモニウムクロライド;
ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロライド;
ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド;
ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド;
テトラブチルアンモニウムブロマイド;
ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド;
これらの有機ハロゲン化合物は、それぞれ、1種単独で使用することもできるし、複数種を組み合わせて使用することもできる。
本発明においては、特に高い重合活性を得ることができるという観点から、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライドを使用することが特に好ましい。
上述した有機ハロゲン化合物(a2)は、前述した(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、0.001〜5質量部、特に0.01〜2質量部の量で使用される。この量が少ないと、ピリミジントリオン系開始剤の重合開始特性が十分に発揮されないため、重合反応が十分に進行せず硬化体の物性が著しく低下する傾向にある。また、この量が必要以上に多いと、硬化体の着色や変色の原因となる可能性がある。
3.ラジカル連鎖移動剤(a3);
ラジカル連鎖移動剤(a3)は、成長ポリマー鎖からラジカルを受け取り連鎖移動反応を引き起こすために使用されるものであり、先行技術でも提案されているように、ラジカル連鎖移動剤の使用により、重合速度を遅延化させ、臨床での作業時間を確保することができる。
このようなラジカル連鎖移動剤としては、メルカプタン、ハロゲン化炭化水素、フェニル含有モノオレフィンが代表的であり、その具体例は、これに限定されるものではないが、次の通りである。
メルカプタン:
オクチルメルカプタン;
ラウリルメルカプタン;
t−ドデシルメルカプタン;
n−ヘキサデシルメルカプタン;
n−テトラデシルメルカプタン;
m−チオクレゾール;
チオフェノール;
チオグリコール(2−メルカプトエタノール);
チオグリコール酸2−エチルヘキシル;
β−ナフタレンチオール;
ハロゲン化炭化水素:
四塩化炭素;
臭化エチレン;
フェニル基含有モノオレフィン;
2−フェニル−1−プロペン(α−メチルスチレン);
2−フェニル−1−ブテン;
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレ
ンダイマー);
3,5−ジフェニル−5−メチル−2−へプテン;
2,4,6−トリフェニル−4,6−ジメチル−1−へプテン;
3,5,7−トリフェニル−5−エチル−7−メチル−2−ノネン;
1,3−ジフェニル−1−ブテン;
2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン;
3,5−ジフェニル−5−メチル−3−へプテン;
1,1−ジフェニルエチレン;
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン;
2−フェニル−1−プロペン;
1,3−ジフェニル−1−ブテン;
このようなラジカル連鎖移動剤(a3)は、それぞれ、1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
本発明においては、上記のラジカル連鎖移動剤(a3)の中では、フェニルキ含有モノオレフィンが好ましく、特に入手の容易さから、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)が最も好適である。
上述したラジカル連鎖移動剤(a3)は、一般に、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、0.01〜10質量部、特に0.03〜7質量部、最も好ましくは0.05〜5質量部の量で使用される。この使用量が少ないと、硬化発熱が低減されにくく、硬化時間をコントロールする効果も見られにくい傾向にある。また、この使用量が必要以上に多いと、必要以上に硬化が遅延してしまい、得られる硬化体の物性も低下する傾向にある。
4.その他の成分;
本発明においては、液材(A)中に、上述した(a1)〜(a3)の成分以外の他の配合剤を適宜添加しておくことができる。特に、後述する過酸化物(Z)は、この液材(A)中に配合しておくこともできる。
また、適宜配合される過酸化物(Z)以外の配合剤としては、エタノール等の有機溶媒;ブチルヒドロキシトルエン、メトキシハイドロキノン等の重合禁止剤;2−(2−ベンゾトリアゾール)−p−クレゾール等の紫外線吸収剤;色素;顔料;香料;過酸化物の酸素供給能を向上させるための芳香族アミン;などを挙げることができる。これらの配合剤は、硬化速度(硬化時間)や臨床での作業性等に悪影響を与えない限りの量で使用される。
<粉材(B)>
粉材(B)は、前述した液材(A)と混合されて使用されるものであるが、このような粉材(B)は、非架橋樹脂粒子(b1)、ピリミジントリオン化合物(b2)および有機金属化合物(b3)を必須成分として含む。
1.非架橋樹脂粒子(b1);
非架橋樹脂粒子(b1)は、実質的に架橋構造を有していない樹脂(単官能単量体から得られる樹脂)の粒状物であり、この分野では周知の材料である。即ち、架橋構造を実施的に有していないことから、前述した(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)に溶解するか、或いは該単量体中に浸漬したときに膨潤して体積が増大する性質を有している。
このような非架橋樹脂粒子(b1)は、これを液材(A)と混ぜることにより、得られる混合物(硬化性材料)の粘度を増大せしめ、液材(A)中のラジカル重合性単量体(a1)の重合性を促進すると共に、得られる硬化体の靭性を高める作用も有する。
非架橋樹脂粒子(b1)としては、ラジカル重合性単量体(a1)に対して膨潤性を有する程度に分子量の小さいものであれば使用可能であるが、特には、この樹脂粒子(b1)200質量部を23℃のラジカル重合性単量体(a1)100質量部に混合して攪拌した際に、10質量部以上溶解するものが好適に使用される。
また、該粒子(b1)を構成する非架橋樹脂としては、上記のような膨潤性或いは溶解性を有している限り制限されず、公知の合成樹脂または天然樹脂を使用できるが、屈折率が歯科用フィラーとして有用な1.4〜1.7の範囲にあるものが好適である。
このような好適な樹脂の具体例は以下のとおりである。
(メタ)アクリレート樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート、ア
ルキル鎖の炭素数が4以下のアルキル(メタ)アクリレート系単量体の
重合体(例えばポリエチルメタクリレート)、メチルメタクリレートと
エチルメタクリレートの共重合体。
オレフィン樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン。
ポリアミド類。
ポリエステル類。
ポリスチレン類。
本発明においては、得られる硬化体が高靭性となるという観点から、(メタ)アクリレート樹脂が特に好ましい。
上述した非架橋樹脂粒子(b1)の粒径は、特に制限されないが、ラジカル重合性単量体(a1)へのなじみの良さを考慮すると200μm以下の平均粒径を有していることが好ましく、筆積み法に際しての液材(A)の浸透性を考慮すると、その平均粒径は、1〜100μmの範囲にあることが特に好ましい。
尚、粒子形状も特に限定されず、球状、異形状若しくは不定形でもよい。
本発明において、このような非架橋樹脂粒子(b1)は、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)の重合性の促進効果や得られる硬化体の靭性の良好さを勘案すると、液材(A)と粉材(B)とを混合したとき、該重合性単量体(a1)100質量部当り、30〜400質量部、特に100〜300質量部の量で混合物(硬化性材料)中に存在させることが好ましい。即ち、液材(A)と粉材(B)との混合比は、重合性単量体(a1)に対する非架橋樹脂粒子(b1)の量が、上記範囲内となるように設定されることとなる。
2.ピリミジントリオン化合物(b2);
粉材(B)中に配合されるピリミジントリオン化合物(b2)は、液材(A)中の有機ハロゲン化合物(a2)及び後述する有機金属化合物(b3)との組み合わせでラジカル重合開始剤として機能する成分である。即ち、後述する有機金属化合物(b3)により、ピリミジントリオン化合物(b2)の水素原子が引き抜かれてラジカル種が発生する。さらに、このラジカル種は、有機ハロゲン化合物(a2)の触媒作用により、大気中の酸素と反応し、この結果、ピリミジントリオン化合物(b2)の5位炭素に酸素が結合したラジカル種が発生する。このようなピリミジントリオン化合物から発生する二つのラジカル種が開始点となって(メタ)アクリレート系ラジカル重合性単量体のラジカル重合が進行していくものである。
このようなピリミジン化合物(b2)は、それ自体公知であり、例えば下記一般式(1):
Figure 0006042864
式中、3つのRは、全てが水素原子ではないことを条件として、それぞ
れ、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロア
ルキル基或いはフェニル基、を示す、
で表される化合物である。
上記の炭素数1〜8のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。また、炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、3−又は4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
即ち、上記一般式(1)において、カルボニル基によって活性化されている5位の水素原子が引き抜かれてラジカル開始点となる。
本発明において、このようなピリミジン化合物の具体例としては、これに限定されるものではないが、以下のものを例示することができ、これらは、1種単独或いは2種以上の組み合わせで使用することができる。
5−メチルピリミジントリオン;
5−エチルピリミジントリオン;
5−プロピルピリミジントリオン;
5−ブチルピリミジントリオン;
5−イソブチルピリミジントリオン;
1,5−ジメチルピリミジントリオン;
1,5−ジエチルピリミジントリオン;
1−メチル−5−エチルピリミジントリオン;
1−エチル−5−メチルピリミジントリオン;
1−メチル−5−ブチルピリミジントリオン;
1−エチル−5−ブチルピリミジントリオン;
1−メチル−5−イソブチルピリミジントリオン;
1−エチル−5−イソブチルピリミジントリオン;
1−メチル−5−シクロヘキシルピリミジントリオン;
1−エチル−5−シクロヘキシルピリミジントリオン;
1−ベンジル−5−フェニルピリミジントリオン;
1,3,5−トリメチルピリミジントリオン;
1,3−ジメチル−5−エチルピリミジントリオン;
1,3−ジメチル−5−ブチルピリミジントリオン;
1,3−ジメチル−5−イソブチルピリミジントリオン;
1,3,5−トリエチルピリミジントリオン;
1,3−ジエチル−5−メチルピリミジントリオン;
1,3−ジエチル−5−ブチルピリミジントリオン;
1,3−ジエチル−5−イソブチルピリミジントリオン;
1.3−ジメチル−5−フェニルピリミジントリオン;
1.3−ジエチル−5−フェニルピリミジントリオン;
1−エチル−3−メチル−5−ブチルピリミジントリオン;
1−エチル−3−メチル−5−イソブチルピリミジントリオン;
1−メチル−3−プロピル−5−エチルピリミジントリオン;
1−エチル−3−プロピル−5−メチルピリミジントリオン;
1−シクロヘキシル−5−メチルピリミジントリオン;
1−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン;
5−ブチル−1−シクロヘキシルピリミジントリオン;
5−sec−ブチル−1−シクロヘキシルピリミジントリオン;
1−シクロヘキシル−5−ヘキシルピリミジントリオン;
1−シクロヘキシル−5−オクチルピリミジントリオン;
1,5−ジシクロヘキシルピリミジントリオン;
本発明においては、上記のピリミジントリオンの中でも、重合性単量体(a1)への溶解性およびラジカル重合の活性の点から、窒素原子に結合した水素がアルキル基(好適には炭素数1〜4のもの)又はシクロアルキル基(好適には炭素数3〜6のもの)で置換されているものが好適であり、窒素原子に結合した水素がシクロアルキル基で置換されている下記の化合物が最適である。
1−シクロヘキシル−5−メチルピリミジントリオン;
1−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン;
5−ブチル−1−シクロヘキシルピリミジントリオン;
5−sec−ブチル−1−シクロヘキシルピリミジントリオン;
1−シクロヘキシル−5−ヘキシルピリミジントリオン;
1−シクロヘキシル−5−オクチルピリミジントリオン;
1,5−ジシクロヘキシルピリミジントリオン;
上述したピリミジントリオンは、粉材(B)を液材(A)と混合したときに、該混合物中に、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、0.01〜10質量部、特に0.05〜7質量部であり、最も好適には0.1〜5質量部の量で存在していることが良好な重合活性を発現させる上で好ましい。
従って、このような観点から、この粉材(B)中のピリミジントリオン化合物(b2)の量は、非架橋樹脂粒子(b1)100質量部当り、0.03〜5質量部、特に0.05〜3質量部の範囲とすることが好ましい。即ち、このような範囲に粉材(B)中のピリミジントリオン化合物(b2)の量を設定しておけば、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)に対する非架橋樹脂粒子(b1)の量が先に述べた所定の範囲となるように液材(A)と粉材(B)とを混合したとき、混合物中でのピリミジントリオン化合物(b2)の量を上記範囲内とすることができるからである。
3.有機金属化合物(b3);
粉材(B)中の有機金属化合物(b3)は、繰り返し述べたように、有機ハロゲン化合物(a2)及びピリミジントリオン化合物(b2)との組み合わせで重合開始剤として機能する成分である。即ち、この有機金属化合物により、ピリミジントリオン化合物(b2)の水素原子が引き抜かれてラジカル種が発生し、さらに、このラジカル種が前述した有機ハロゲン化合物(a2)の触媒作用により、大気中の酸素と反応し、ピリミジントリオン化合物(b2)の5位炭素に酸素が結合したラジカル種が生成する。これらのラジカルが開始点となって、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)のラジカル重合が進行するというものである。
このような有機金属化合物(b3)としては、この種の開始剤に使用するものとして従来公知のものを使用することができ、その具体例としては、これに限定するものではないが、以下のものを例示することができ、これらは、単独或いは2種以上の組み合わせで使用することができる。
銅化合物:
アセチルアセトン銅(II);4−シクロヘキシル酪酸銅(II);
酢酸銅(II);オレイン酸銅(II);
マンガン化合物:
アセチルアセトンマンガン;ナフテン酸マンガン;
オクチル酸マンガン;
コバルト化合物:
アセチルアセトンコバルト;ナフテン酸コバルト;
リチウム化合物:
アセチルアセトンリチウム;酢酸リチウム;
亜鉛化合物:
アセチルアセトン亜鉛;ナフテン酸亜鉛;
ニッケル化合物:
アセチルアセトンニッケル;酢酸ニッケル;
アルミニウム化合物:
アセチルアセトンアルミニウム;
カルシウム化合物:
アセチルアセトンカルシウム;
鉄化合物:
アセチルアセトン鉄(II);
その他:
アセチルアセトンクロム;ナフテン酸ナトリウム;
レアアースオクトエートなど;
上述した有機金属化合物(b3)の中でも、重合活性の観点から、銅(II)化合物又は鉄(II)化合物が好ましく、アセチルアセトン銅(II)、酢酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、アセチルアセトン鉄(II)が特に好ましい。
本発明において、このような有機金属化合物(b3)は、粉材(B)を液材(A)と混合したときに、該混合物中に、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、0.0001〜0.05質量部、特に0.0005〜0.03質量部、最も好適には0.001〜0.01質量部の量で存在させることが良好な重合活性を発現させる上で好ましい。この有機金属化合物の使用量が少ないと、重合反応が十分に進行せず硬化体の物性が低下する傾向にある。また、使用量が多すぎると、硬化体の着色や変色の原因となる可能性がある。
従って、このような観点から、この粉材(B)中の有機金属化合物(b3)の量は、非架橋樹脂粒子(b1)100質量部当り、0.0003〜0.02質量部、特に0.0005〜0.007質量部の範囲とすることが好ましい。即ち、このような範囲に粉材(B)中の有機金属化合物(b3)の量を設定しておけば、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)に対する非架橋樹脂粒子(b1)の量が先に述べた所定の範囲となるように液材(A)と粉材(B)とを混合したとき、混合物中での有機金属化合物(b3)の量を上記範囲内とすることができるからである。
4.その他の成分;
本発明において、粉材(B)中には、上述した(a1)〜(a3)の成分以外の他の配合剤を適宜添加しておくことができる。特に、後述する過酸化物(Z)は、この粉材(A)中に配合しておくことが、保存安定性の点で好ましい。この過酸化物(Z)については、後で詳述する。
また、適宜配合される過酸化物(Z)以外の配合剤としては、臨床に際しての操作性などを調節するために無機充填剤を配合することもできる。
このような無機充填剤としては、石英粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、炭酸カルシウム、酸化チタン、乾式シリカ、湿式シリカ等を、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。
さらに、色素、顔料、および香料等も配合することができ、上記の無機充填剤も含め、適宜配合されるこれらの剤は、硬化性や硬化物の物性に悪影響を与えない範囲の量で目的に応じて配合することができる。
<過酸化物(Z)>
本発明の最大の特徴は、過酸化物(Z)を、上述した液材(A)および粉材(B)のいずれか一方またはその両方に配合させた点にある。即ち、このような過酸化物の使用により、例えば筆積み法により液材(A)と粉材(B)とを混合して硬化させた場合の酸素不足による硬化速度の著しい遅延、即ち硬化時間の過度の長期化を有効に回避することができ、前述したラジカル連鎖移動剤(a3)の使用による硬化時間の調整(硬化時間の長期化)は、筆積み法の場合も練和法とさほど変わらない。この結果、本発明の粉液型硬化性材料キットは、練和法及び筆積み法の何れにも好適に適用できることとなる。
即ち、本発明においては、過酸化物(Z)はラジカル重合開始剤として機能するものではなく、特に筆積み法に際しての酸素供給源として機能することから、上記のように筆積み法に際しての硬化時間の著しい長期化を回避することが可能になると信じられる。
このような過酸化物(Z)の具体例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリールパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネートに分類される各種過酸化物を挙げることができる。以下に、その具体例を例示する。
(ケトンパーオキサイド類)
メチルエチルケトンパーオキサイド;
シクロヘキサノンパーオキサイド;
メチルシクロヘキサノンパーオキサイド;
メチルアセトアセテートパーオキサイド;
アセチルアセトンパーオキサイド;
(パーオキシケタール類)
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン;
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン;
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン;
2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;
n−ブチル 4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート;
2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)
プロパン;
(ハイドロパーオキサイド類)
P−メンタンハイドロパーオキサイド;
ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド;
1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド;
クメンハイドロパーオキサイド;
t−ヘキシルハイドロパーオキサイド;
t−ブチルハイドロパーオキサイド;
(ジアリールパーオキサイド)
α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン;
ジクミルパーオキサイド;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン

t−ブチルクミルパーオキサイド;
ジ−t−ブチルパーオキサイド;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン
−3;
(ジアシルパーオキサイド類)
イソブチリルパーオキサイド;
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド;
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド;
オクタノイルパーオキサイド;
ラウロイルパーオキサイド;
ステアリルパーオキサイド;
スクシニックアシッドパーオキサイド;
m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド;
ベンゾイルパーオキサイド;
(パーオキシジカーボネート類)
ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート;
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート;
ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート;
ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート;
ジー2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート;
ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート;
ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート;
(パーオキシエステル類)
α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン

クミルパーオキシネオデカノエート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート;
1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート

t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート;
t−ブチルパーオキシネオデカノエート;
t−ヘキシルパーオキシピバレート;
t−ブチルパーオキシピバレート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキ
シ)ヘキサン;
1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート;
t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;
t−ブチルパーオキシイソブチレート;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート;
t−ブチルパーオキシマレイックアシッド;
t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート;
t−ブチルパーオキシラウレート;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキ
サン;
t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート;
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート;
t−ヘキシルパーオキシベンゾエート;
2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン

t−ブチルパーオキシアセテート;
t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート;
t−ブチルパーオキシベンゾエート;
ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート;
上述した過酸化物(Z)は、何れも1種単独で使用することができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。これらの中でも、保存安定性の観点から10時間半減期温度が60℃以上のものを用いるのが望ましい。
また、上記でも述べたように、このような過酸化物(Z)は、液材(A)及び粉材(B)の何れにも配合することができるが、通常、液状の過酸化物(Z)は液材(A)に配合し、固体状の過酸化物(Z)は粉材(B)に配合される。特に、本発明では、保存安定性の観点からジアシルパーオキサイド類が好適であり、中でもベンゾイルパーオキサイド等の固体状のものを粉材(B)に配合することが最も好適である。
本発明において、上記の過酸化物(Z)は、粉材(B)を液材(A)と混合したときに、該混合物中に、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、0.01〜10質量部、特に0.05〜7質量部、最も好適には0.07〜5質量部の量で存在させることが好ましい。この過酸化物の使用量が少ないと、筆積み法を適用したときの硬化時間の過度の長期化を抑制する効果が不十分となるおそれがある。また、必要以上に多量の過酸化物(Z)の使用は、保存安定性が低下する傾向にある。
従って、過酸化物(Z)は、液材(A)に配合するにしろ或いは粉材(B)に配合するにしろ、粉材(B)を液材(A)と混合したときの重合性単量体(a1)当りの量が上記範囲内となるように設定される。
即ち、液材(A)に過酸化物(Z)を配合するときは、上記の量割合をそのまま適用できる。
また、粉材(B)に過酸化物(Z)を配合するときは、液材(A)と粉材(B)との混合比を考慮して設定する必要があり、例えば、粉材(B)中の過酸化物(Z)の量は、非架橋樹脂粒子(b1)100質量部当り、0.03〜5質量部、特に0.05〜3質量部の範囲とすることが好適である。即ち、このような範囲に粉材(B)中の過酸化物(Z)の量を設定しておけば、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)に対する非架橋樹脂粒子(b1)の量が先に述べた所定の範囲となるように液材(A)と粉材(B)とを混合したとき、混合物中での過酸化物(Z)の量を上記範囲内とすることができる。
勿論、過酸化物(Z)を液材(A)と粉材(B)とに分配するような場合にも、液材(A)と粉材(B)との混合比を考慮して、液材(A)中及び粉材(B)中への過酸化物(Z)の配合量を定めればよい。
ところで、化学重合開始剤としては、過酸化物と有機金属化合物との組み合わせも知られているが、本発明では、過酸化物は酸素補給のために使用される。即ち、本発明においても、過酸化物と有機金属化合物との組み合わせが存在しているが、この組み合わせは化学開始剤として機能するものではない。
具体的に説明すると、本発明で用いる過酸化物と有機金属化合物との組み合わせは、両者の反応性が極めて小さい。また、本発明において、過酸化物と反応性の高い成分が存在する場合には、過酸化物量は、酸素補給源としては十分な量であるが、重合を生じさせ得るラジカル供給源には至らない程度の少量に設定される。即ち、本発明で採用しているようなピリミジントリオン系重合開始剤の系においては、硬化時の発熱が小さいことが利点であり、過酸化物がラジカル供給源となり、結果重合が生じ得るような量で使用されると、硬化時の発熱が大きくなってしまい、この結果、口腔内に粉液の混合物を施すことが困難となってしまう。従って、本発明では、臨床で採用される液材(A)と粉材(B)との混合比を考慮して、過酸化物がラジカル重合開始剤として機能しない程度の少量に設定されることとなる。
例えば、本発明の粉液型硬化性材料では、極めて多様な成分を液材(A)や粉材(B)に含んでおり、さらに、それ自体公知の各種の添加剤が適宜配合され、場合によっては、過酸化物(Z)からラジカルが発生し易いような組み合わせが採用されてしまうこともある。しかるに、このような場合においても、予めのラボ試験などにより硬化時の発熱を確認しておき、この発熱が患者に負担を与えない程度に抑制されるように、過酸化物(Z)の使用量を制限しておけばよい。一般的には、液材(A)と粉材(B)とを混合したときの混合物100質量部当り、0.5質量部未満、特に0.1〜0.2質量部程度の量となるように、過酸化物(Z)の量が設定されていればよい。
<粉液型硬化性材料キット>
上述した液材(A)及び粉材(B)は、従来公知のものと同様、それぞれ各成分の所定量を均一に混合することにより調製され、互いに接触しないように、別々の容器に収容され、粉液型硬化性材料キットとして歯科用に使用される。
即ち、この粉液型硬化性材料キットは、練和法及び筆積み法の何れにも適用できる共用型として使用することができ、何れの手法によっても液材(A)と粉材(B)とを混合し、この混合物(硬化性材料)を所定の部位に施して重合硬化が行われ、硬化体が形成されることとなる。
何れの手法により液材(A)と粉材(B)とを混合するにしろ、その混合比は、先に述べたように、粉材(B)中の非架橋樹脂粒子(b1)の量が、液材(A)中の重合性単量体(a1)100質量部当り30〜400質量部(特に100〜300質量部)の範囲となるように設定される。
通常、具体的な混合比は、粉材(g)/液材(ml)=0.3/1〜4/1の範囲であり、臨床では、多くの場合、粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合で混合される。
本発明の粉液型硬化性材料キットにおいて、練和法を採用して硬化性材料(液材と粉材との混合物)を調製して硬化させた場合、粉材(A)と液材(B)とを混合してから硬化が完了するまでの時間(硬化時間)は1分30秒〜3分、特に1分40秒〜2分20秒程度である。一方、筆積み法を適用した場合には、図1の吸収材3滲み出る液材(A)に粉材(B)を馴染ませてから硬化が完了するまでの硬化時間は3〜4分、特に3分10秒〜3分40秒程度であり、いずれの手法においても良好な操作性を有する硬化性材料とすることができる。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。
尚、実施例および比較例で使用した化合物の略称、各種の測定方法は以下の通りである。
(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1);
MMA:メチルメタクリレート
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
有機ハロゲン化合物(a2);
DLDMACl:ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド
DLDMABr:ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド
ラジカル連鎖移動剤(a3);
α−MSD:
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
[0076]
非架橋性樹脂粒子(b1);
PEMA:ポリメタクリル酸エチル
P(MMA−EMA):
メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体
ピリミジントリオン化合物(b2);
cHexEt−PTO:
1−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン
cHexMe−PTO:
1−シクロヘキシル−5−メチルピリミジントリオン
有機金属化合物(b3);
CuAcAc:アセチルアセトン銅
CuAc:酢酸第二銅
過酸化物(Z);
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
パーオクタH:
1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド
重合禁止剤
BHT:ブチルヒドロキシトルエン
(1−1)硬化時間の測定(筆積法);
粉材(B)と液材(A)とを別々の容器に取り出し、液材を吸収材(writing brush)に含ませた。この吸収材を粉材(B)に付け、吸収材から滲み出る液材(A)を粉材(B)に馴染ませてレジン泥(硬化性材料)を調製した。
レジン泥を手で触り、爪跡が付くかどうか調べた。液材(A)を含んだ吸収材を粉材(B)に付けてから爪跡が付かなくなるまでの時間を測定し、筆積み法での硬化時間とした。測定は23℃の恒温室で行った。
なお、レジン泥は、粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合で混合している。
筆積み法による硬化時間は操作性の観点から、3分〜4分が最適である。硬化時間が4分を超えると、例えば、TEK内面の調整時に口腔内での硬化が求められるような症例での使用が困難になる。
(1−2)硬化時間の測定(練和法);
粉材(B)と液材(A)とを、粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合でラバーカップ内に入れ、20秒間練和した。ラバーカップから練和物を取り出し、手で触り、爪跡が付くかどうか調べた。練和開始から爪跡が付かなくなるまでの時間を測定し、練和法での硬化時間とした。測定は23℃の恒温室で行った。
練和法による硬化時間は、形態調整後に素早い硬化が求められるため、1分30秒〜3分が最適である。
(2)硬化発熱の測定;
硬化発熱の評価は、サーミスタ温度計による発熱法によって行った。
粉材(B)と液材(A)とを、B/A=2/1(g/ml)の割合で混合し、20秒間練和した。次いで、中心に9mmφの孔の空いたテフロン製モールド(30mm×30mm×12mm)に流し込んだ後、サーミスタ温度計を差し込み、記録計により最高温度を測定した。なお、測定は23℃の恒温室で行った。
歯科用常温重合レジンは患者の口腔内で硬化させることが多い為、硬化発熱の最高温度は60℃未満であることが好ましく、60℃を超えると患者に苦痛を与えてしまう。
(3)曲げ強さの測定;
硬化体の曲げ強さの測定は、以下の方法で行った。
粉材(B)と液材(A)とを、B/A=2/1(g/ml)の割合で混合し、20秒間練和した。次いで、25mm×2mm×2mmのモールドに流し込み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体を支点間距離20mmで曲げ破壊試験を行った。クロスヘッドスピードは1mm/minである。なお、測定は23℃の恒温室で行った。
(4)硬化体の色調試験;
硬化体の色調試験は、以下の方法で行った。まず、粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合で各成分を混合し、20秒間練和した。次いで、10mm×10mm×1mmのモールドに流し込み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体の色調を目視で評価した。
<実施例1>
下記処方により、各成分を3時間攪拌混合し、液材(A)を得た。
重合性単量体(a1);
メチルメタクリレート 90g
トリメチロールプロパントリメタクリレート 10g
有機ハロゲン化合物(a2);
ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド 0.2g
ラジカル連鎖移動剤(a3);
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン 0.2g
重合禁止剤(その他);
ブチルヒドロキシトルエン 0.1g
一方、下記処方により、揺動ミキサーを用いて各成分を3時間混合し、粉材(B)を得た。
非架橋樹脂粒子(b1);
ポリメタクリル酸エチル(平均粒径35μm) 10g
メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体
(平均粒径60μm) 90g
ピリミジントリオン化合物(b2);
1−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン 1.5g
有機金属化合物(b3);
アセチルアセトン銅 0.002g
過酸化物(Z);
ベンゾイルパーオキサイド 0.15g
得られた粉材(B)と液材(A)から成る常温重合型の粉液硬化性材料キットを用いて、筆積み法及び練和法による硬化時間、硬化発熱、曲げ強さ、および硬化体の色調を評価した。
硬化性材料キットにおける液材(A)及び粉材(B)の組成を表1に、試験結果を表3に示した。
<実施例2〜39>
液材(A)及び粉材(B)の処方(組成)を表1或いは表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に、粉液硬化性材料キットを作製し、硬化時間、硬化発熱、曲げ強さ、および硬化体の色調を評価した。試験結果を表3に示した。
<比較例1〜17>
液材(A)及び粉材(B)の処方(組成)を表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様に、粉液硬化性材料キットを作製し、硬化時間、硬化発熱、曲げ強さ、および硬化体の色調を評価した。試験結果を表5に示した。
Figure 0006042864
Figure 0006042864
Figure 0006042864
Figure 0006042864
Figure 0006042864
本発明例である実施例1〜実施例39では、何れも、筆積み法および練和法での硬化時間が最適範囲であった。また、ラジカル連鎖移動剤である2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの配合効果により、発熱量においても良好な結果が得られた。
一方、過酸化物(Z)が使用されていない比較例1〜比較例13では、練和法での硬化時間は最適範囲であるが、筆積み法での硬化時間が大幅に長期化した。
また、ピリミジントリオン化合物(b2)、有機金属化合物(b3)または有機ハロゲン化合物(b3)が使用されていない比較例14〜16では、いずれも硬化せず、硬化性材料(常温重合レジン)を調製できなかった。
ラジカル連鎖移動剤(a3)が使用されていない比較例17では、筆積み法および練和法の両方で、硬化時間が実施例に比して大幅に短縮され、十分な操作時間が取れず使用が困難であった。また、硬化発熱が高く、患者に苦痛を与えるものであった。

Claims (11)

  1. 液材(A)と粉材(B)とからなり、ラジカル重合開始剤として、有機ハロゲン化合物とピリミジントリオン化合物と有機金属化合物との組み合わせが使用されている歯科用粉液型硬化性材料キットにおいて、
    前記液材(A)は、(メタ)アクリル系ラジカル重合性単量体(a1)、前記有機ハロゲン化合物(a2)及びラジカル連鎖移動剤(a3)を含み、
    前記粉材(B)は、非架橋樹脂粒子(b1)、前記ピリミジントリオン化合物(b2)及び前記有機金属化合物(b3)を含み、
    前記液材(A)および粉材(B)の少なくとも一方に過酸化物(Z)が配合されていることを特徴とする歯科用粉液型硬化性材料キット。
  2. 前記液材(A)は、ラジカル重合性単量体(a1)100質量部当り、有機ハロゲン化合物(a2)を0.001〜5質量部、ラジカル連鎖移動剤(a3)を0.01〜10質量部の量で含み、前記粉材(B)は、前記樹脂粒子(b1)100質量部当り、前記ピリミジントリオン化合物(b2)を0.03〜5質量部、前記有機金属化合物(b3)を0.0003〜0.02質量部の量で含んでいる請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  3. 前記過酸化物(Z)は、前記樹脂粒子(b1)100質量部当り0.03〜5質量部の量で、前記粉材(B)に配合されている請求項2に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  4. 前記有機ハロゲン化合物(a2)が第4級ハロゲン化アンモニウムである請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  5. 前記ラジカル連鎖移動剤(a3)が、メルカプタン、ハロゲン化炭化水素或いはフェニル基含有モノオレフィンである請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  6. 前記非架橋樹脂粒子(b1)が、(メタ)アクリレート樹脂粒子である請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  7. 前記ピリミジントリオン化合物が、下記一般式(1):
    Figure 0006042864
    式中、3つのRは、全てが水素原子ではないことを条件として、それぞれ、水素
    原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基或いは
    フェニル基、を示す、
    で表される化合物である請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  8. 前記有機金属化合物(b3)が銅または鉄化合物である請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  9. 前記有機金属化合物(b3)がアセチルアセトン銅(II)、酢酸銅(II)、オレイン酸銅(II)及びアセチルアセトン鉄(II)からなる群より選択された少なくとも1種である請求項8に記載の歯科用粉液型硬化性材料キット。
  10. 筆積み法により前記液材(A)と粉材(B)とを口腔外で混合して該混合物を口腔外で硬化せしめる請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キットの使用方法。
  11. 筆積み法及び練和法の共用型として使用される請求項1に記載の歯科用粉液型硬化性材料キットの口腔外における使用方法。
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