JP5258498B2 - 歯科用機能印象材及びその調合用キット - Google Patents

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Description

本発明は、歯科用機能印象材及びその調合用キットに関する。更に詳述すれば、本発明は低分子量モノマー及び低分子量の可塑剤を含まない歯科用機能印象材及びその調合用キットに関する。
従来、義歯使用者が義歯を長期にわたって使用していると、顎堤を形成する歯槽骨の吸収等が原因となり口腔の形状が次第に変化することが知られている。この場合は、義歯床と口腔粘膜との適合が悪くなり、口腔内で義歯が固定されなくなる。適合が悪くなった義歯をそのまま使用し続けると、義歯床下粘膜に不均一な圧力が加わるため、該粘膜に潰瘍や炎症が発生したり、咬合圧による疼痛が引き起こされたりするようになる。上記のような不適合が起こった場合には、新しい義歯を作製するか、使用中の義歯を裏装するなどして、義歯の粘膜に対する適合性を回復させる必要がある。
しかしながら、著しい潰瘍や炎症がある患者の口腔粘膜は極めて形状が不安定な状態であるため、新しい義歯の作製や裏装を行う前に、口腔粘膜が比較的健全な状態になるのを待つことが必要で、これにより義歯床下粘膜との良好な適合性を確保する。
このような場合に使用される材料が歯科用粘膜調整材である。即ち、歯科用粘膜調整材は義歯床下粘膜の形態、色調が正常な状態に回復するまで使用中の義歯の粘膜面に裏装して用いられる治療用材料である。
現在、義歯床に使用する軟質材料としては、大きく分けて義歯床固定用糊材(いわゆる義歯安定材)、歯科用粘膜調整材、軟質裏装材の3種類があるが、これらはいずれも使用目的、方法、使用期間、所要性状などが異なっている。
例えば義歯床固定用糊材は、疼痛緩和のために患者本人が自ら施術して非常に短い期間使用するものである。一時的な使用に限定されるものであり治療を目的とする材料ではない。粉状、クリーム状、シール状のものがあり、また水溶性のものと非水溶性のものがある。前者はだ液の粘性を高め、義歯床の粘膜面との粘着力の増大を期待する。非水溶性のものは義歯床と粘膜面の隙間をなくして適合性を良くすると共に、辺縁封鎖効果による吸着力の増加等を期待している。その組成物は、ほとんど弾性を有しておらず、咬合するたびにその咬合圧に応じて大きな塑性変形が起こる。このため、該義歯床固定用糊材の使用期間は1日ないしは数日間に限定される。
これに対し、歯科用粘膜調整材及び軟質裏装材はいずれも施術者が医師である点で共通している。しかし、その使用目的の違いにより、それぞれ要求される物性が大きく異なっている。具体的には歯科用粘膜調整材は、前述したように義歯修理の前段階で口腔粘膜の治療用として使用するものである。義歯床下粘膜のひずみ、圧痕を開放し、各部の被圧変位性に対応した機能的な形態を印記するために、義歯床下粘膜面に用いられる軟性高分子材である。歯科用粘膜調整材は、粉末と液とを先ず混和することにより調製する。この混和直後の歯科用粘膜調整材は、流動性の高いペースト状を示すが、時間の経過と共に液が粉末に浸透して粘弾性が発現してくる。ペーストに流動性のあるうちに義歯床粘膜面に盛りつけ、口腔内に挿入して賦形する。使用期間として口腔粘膜が健全な状態に回復するまでの1週間〜数週間必要である。
その目的からして、歯科用粘膜調整材は咬合時に義歯と粘膜面の間から押し出されず粘膜面に保持されながらも、柔軟で且つ口腔粘膜の回復に追従する程度の微小変形が可能でなければならない。より詳細には、粘膜調整材を適合不良となった義歯の粘膜面に裏装することで、義歯と口腔粘膜の適合性を回復させて疼痛を緩和させつつ、口腔粘膜の潰瘍や炎症が次第に消失するのを待つ。
口腔粘膜の潰瘍や炎症が次第に消失するに伴い、口腔粘膜の形態も経時的に本来あるべき状態へと回復していくが、このとき、該粘膜調整材は口腔粘膜の形態変化に合わせて塑性変形する必要がある。なぜならば、粘膜調整材が上記のような変形を生じない場合には、口腔粘膜の形態の回復に従い形態に対する適合性が失われていき、逆に再度の疼痛を生じる要因となるからである。
軟質裏装材のような義歯床裏装材は、上記のようにして最終的に口腔粘膜の潰瘍や炎症が消失し、口腔粘膜が健全な状態を得た後に用いる材料である(ただし、潰瘍や炎症がない場合には、通常は粘膜調整材を用いずに、すぐに裏装材を用いる)。粘膜調整材は潰瘍や炎症が存在する場合に用いるため、非常に柔らかい材料である必要があるが、このような目的に対して要求される柔らかさは、長期に渡る義歯の適切な保持、義歯の使用感という観点からすると柔らかすぎる。また、回復後の口腔粘膜はそれ以上大きな変形を起こさないため、粘膜調整材の有する高い可塑性も義歯の保持性や使用感に対して悪影響を与える。従って、義歯床裏装材としては、柔らかい材料であっても、粘膜調整材よりは若干硬く、また、大きな塑性変形を示さない必要がある。
さらに、粘膜調整材の場合には、その使用期間が数日〜数週間であるのに対し、最終的な補修義歯を構成することになる義歯床裏装材は、最低でも6ヶ月はその機能を発現することが要求される。さらに、義歯床裏装材としては、その引張強度等の機械的物性も粘膜調整材に求められるものよりも遥かに高い。
このように、上記の3種の材料は形式的にはいずれも軟質材料で義歯を裏装して使用するものであるが、その使用目的及び要求性能から歯科用材料として明確にその分類を異にするものである。
上記のように、粘膜調整材にはそれほど高い強度が求められない反面、高い柔軟性と可塑性が要求されており、種々の組成が提案されている。
粘膜調整材は、使用時の簡便性などの点から(メタ)アクリル系の重合体粉末からなる粉材と、各種可塑剤からなる液材とを主成分とするものが多い(例えば、非特許文献1、2、特許文献1、2参照)。上記可塑剤は柔軟性と可塑性を発現させるために必要な成分であり、現在は、フタレート系の可塑剤が主流である。より詳細には、(メタ)アクリル系の歯科用粘膜調整材としては、ポリエチルメタクリレートもしくはその共重合体などの(メタ)アクリル系の重合体粉末からなる粉成分と、エタノールを4〜30質量%程度含有するフタレート系可塑剤からなる液成分との練成材料が広く使用されている。なお、液成分には、練和性や練和後の物性などを改良するために、エタノールが配合されることが多い。
しかし、上記のような可塑剤を用いる粘膜調整材は、口腔内で使用しているうちに可塑剤が徐々に溶出していく(例えば、非特許文献1〜3参照)。
上記可塑剤の溶出により、粘膜調整材は経時的にその粘弾性が失われて、硬くなる。この溶出は、数日間程度の比較的短期間に起こるため、義歯床裏装材に比べて使用期間が短い粘膜調整材にとっても問題になり、通常は、数日ごとに粘膜調整材を貼り換える必要がある。更に、可塑剤の含まれる素材が他の物質と接触して放置されると、可塑剤が拡散により他の物質へと移っていく傾向にある。従って、可塑剤の含まれた粘膜調整材を、義歯床の口腔粘膜面に貼付して口腔内で使用していると、可塑剤が徐々に義歯床に移行していく。その結果、可塑剤の移行により義歯床の軟化、劣化等の問題を起こす。
健康への影響が懸念される該フタレート系に代る可塑剤として、近年、セバケート系可塑剤が用いられている。しかしながら、前述の可塑剤溶出に伴う柔軟性低下や、可塑剤の義歯床への移行に伴う義歯床劣化等の課題は解決されていない。
本発明者らは、上記課題を解決する粘膜調整材として、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、且つ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下である液状ポリマーと粉材とを用いると、柔軟性が維持され、且つ上記問題を引き起こす可塑剤や、重合性モノマーを含まない粘膜調整材を調製できることを見出して、特許出願した(特許文献3)。
さらに粘膜調整材は、上記目的以外にしばしば機能印象を目的として用いられる。機能印象とは、一般的に印象材とよばれる硬化性材料をトレーで上顎、下顎ごとに短時間(5分程度)でかたどりする静的印象に対して、口腔(義歯)の機能時に顎粘膜への加圧量を調節し顎堤周囲可動組織の動的状態を記録することを目的とした印象方法のことである。具体的には義歯などの裏側に流動性のある材料を貼り付けた状態で数週間程度の日常生活(咀嚼)を経て印象を得る。そのようにして得た印象に対して、そのまま石膏を流入して模型を作製することが多い。そのことから、石膏を流す際には、得られた形状を保護するためにある程度表面を固めることができれば好都合である。
しかし、この粘膜調整材は、重合性モノマーを含まないことから、印象面を得た後、硬化させてその形状を維持することが出来ない問題が生じている。
川口 稔、外3名、「試作粘膜調整材からのフタル酸エステル類の溶出性に影響をおよぼす因子について」、歯科材料・器械、日本歯科理工学会、平成16年7月、第23巻、第4号、p.273−278 中村 正明、「フタル酸エステルフリーの粘膜調整材の開発を目指して」、[online]、2003年3月、日本歯科医師会、[平成17年1月12日検索]、インターネット<URL:http://eturan.bookpark.ne.jp/jdab/pdf/JDAB-200307-008.pdf> 佐藤 吉則、外5名、「粘膜調整材の経時的な表面粗さに関する研究 − 短期的変化について−」、[online]、日本大学歯学部、[平成17年1月12日検索]、インターネット<URL:http://www.dent.nihon-u.ac.jp/drc/A-5.pdf> 特開平3−20204号公報 特開平2−297358号公報 特開2006−225281号公報
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討するうちに、ラジカル重合性基を主鎖に結合した液状ポリマーを用い、ラジカル重合開始剤を適宜選択することにより、口腔内で印象面を得た後、硬化してその形状を壊すことなく維持できる機能印象材が得られることを知得した。
従って、本発明の目的とするところは、可塑剤の溶出による印象材の劣化が無く、且つ口腔内で印象面を得た後その形状を壊すことなく維持できる機能印象材を提供することにある。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕質量平均分子量が1000〜10000で、分子量500以下のオリゴマーの含有率が10質量%以下で、ラジカル重合性基を主鎖に1以上結合してなり、且つ18〜40℃で液状を示す重合性液状ポリマーと、
該重合性液状ポリマーに溶解された、18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーと、
ラジカル重合開始剤と、
を含むペースト組成物からなる歯科用機能印象材。
〔2〕 重合性液状ポリマーの主鎖が、(メタ)アクリル酸誘導体単位を含む〔1〕に記載の歯科用機能印象材。
〔3〕 主鎖に結合しているラジカル重合性基が、(メタ)アクリル酸基を含む〔1〕に記載の歯科用機能印象材。
〔4〕 ラジカル重合開始剤が、化学重合型又は光重合型である〔1〕に記載の歯科用機能印象材。
〔5〕ラジカル重合開始剤が光重合型であり、上記ペースト組成物の包装形態で保存されてなる〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯科用機能印象材。
〔6〕 (1)質量平均分子量が1000〜10000で、分子量500以下のオリゴマーの含有率が10質量%以下で、ラジカル重合性基を主鎖に1以上結合してなり、且つ18〜40℃で液状を示す重合性液状ポリマーが含有されてなる液材と
(2)該重合性液状ポリマーに溶解性を有する、Tgが0〜60℃である18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーを含有する粉材
とからなり、これら(1)液材及び(2)粉材の少なくとも一方にラジカル重合開始剤が、保存時にラジカルが発生しない態様で配合されてなる、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の歯科用機能印象材の調合用キット。
本発明の歯科用機能印象材は、非架橋ポリマーを溶解させる液材として、所定の重合性液状ポリマーを使用しているので、必要なときに、これを重合させることにより、簡単、確実にその形状を固定できる。
更に、低分子量の可塑剤を使用していないので、該可塑剤の溶出による歯科用印象材の粘弾性の変化を避けられる。また、低分子量の重合性モノマーを使用していないので、味覚に影響を起しがたい。
本発明の歯科用機能印象材は、18〜40℃で液状を示す重合性液状ポリマーと、前記重合性液状ポリマー溶解された、18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーと、ラジカル重合開始剤とを少なくとも含むペースト状の組成物である。
本発明における最大の特徴は、質量平均分子量が1000〜10000の範囲にあり、且つ分子量500以下のオリゴマーの割合が10質量%以下で、ラジカル重合性基を主鎖に1以上結合してなり、且つ18〜40℃で液状を示す重合性液状ポリマーが含まれる点にある(以下、単に「重合性液状ポリマー」とも称する)。主鎖に結合するラジカル重合性基の数は1以上で、1〜10が好ましく、中でも1〜5であることがより好ましい。
なお、本発明において、液状であるとは、室温〜口腔内温度、即ち18〜40℃の範囲の温度下で液状であることを意味し、固体状に対する概念である。該温度範囲内で液状でない場合には、練和しても歯科用機能印象材がペーストにならない場合、適度な粘弾性が得られない場合が起きやすい。
また、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)により測定される、標準ポリスチレン換算分子量である。
該重合性液状ポリマーは、機能印象材としての変形性状を維持する役目を担うと共に、重合性基が重合することによって口腔内で形成された印象形態を維持する役割を担う。そのため上記重合性液状ポリマーの分子量が大変重要であり、特定の範囲を外れるものではその役割を果たさない。
具体的には該重合性液状ポリマーの質量平均分子量が1000〜10000で、分子量500以下のオリゴマーの含有率が10質量%以下である必要がある。
質量平均分子量が1000未満の化合物では、該化合物は口腔内のような環境では溶出しやすく、比較的短時間で粘弾性や柔軟性が失われるようになる。
また、質量平均分子量が10000を超える場合には適度な変形性・柔軟性を付与することができず、機能印象材とすることが困難になる。また液状で且つ質量平均分子量が10000を超えるポリマーの入手も困難である。
上記重合性液状ポリマーは前記の平均分子量の範囲を満たすものであればその分子量分布は特に制限されないが、分子量が500以下の重合体は溶出しやすいために、機能印象材としての粘弾性や柔軟性を保つことができない。よってこのような重合体は10質量%以下である必要があり、7質量%以下であることが好ましい。また、練和性などの観点から、質量平均分子量が1200〜7000の範囲にある液状ポリマーが好ましく、質量平均分子量が1500〜5000の範囲にある液状ポリマーがより好ましい。
本発明中の重合性液状ポリマーの有するラジカル重合性基としてはラジカル重合反応で重合する置換基が用いられる。そのような置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。
当該重合性液状ポリマーの材質は特に限定されるものではないが、後述するこの成分に溶解される非架橋ポリマーとして(メタ)アクリル系のポリマーを使用した場合には、該ポリマーとのなじみがよく、練和性や得られるペーストの各種物性に優れる点で、(メタ)アクリル系の液状ポリマーを採択するのが好ましい。なかでも上記分子量の範囲で液状のポリマーが得やすい点で、(メタ)アクリル酸エステル系{(メタ)アクリレート系とも呼ぶ}のポリマーがより好ましい。なお、該(メタ)アクリル系ポリマーは、前記粉材に配合される(メタ)アクリル系ポリマーと同義である(但し、液材に配合されるものは液状であり、かつ平均分子量が限定される点で異なる)。
このような重合性液状ポリマーの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で製造されたものを特に制限されることなく使用できる。代表的な製造方法としては、重合性モノマーを、ポリマー鎖中、又は末端にラジカル重合性基を導入可能な反応基が結合する状態に重合させて液状ポリマーを得、次いで、該ラジカル重合性基を導入可能な反応基にラジカル重合性基を導入する方法が挙げられる。この液状ポリマーの重合方法としては、ラジカル重合が好適である。
ここで、上記液状ポリマー合成のためのラジカル重合時に、そのポリマー鎖中、又は末端にラジカル重合性基を直接的に導入しようとしても、該液状ポリマーの重合と同種の重合性基であるため、同時に反応してしまい残存するようにコントロールすることが難しい。したがって、係る液状ポリマーの製造に際しては、当初、ラジカル重合性基を導入可能な反応基、すなわち、非ラジカル重合性基を導入し、液状ポリマーの重合終了後に、改めて該反応基にラジカル重合性基を導入する方法を採用するのが好ましい。
上記ラジカル重合性基を導入可能な反応基としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基、及びヒドロシリル基などが例示される。前者2つはエポキシ化合物、ベンジルクロライド化合物、酸クロライド化合物、イソシアネート化合物等と容易に反応し、またヒドロシリル基は白金触媒下でビニル基と選択的に反応させることができることから、これらの反応基を液状ポリマーの一部に含むように液状ポリマーを合成した後、前者2つで例示すれば(メタ)アクリロイルクロライド化合物やイソシアナト(メタ)アクリレート化合物を反応させることで液状ポリマー中に(メタ)アクリル基を導入することができる。また後者で例示すれば塩化白金酸などのヒドロシリル化反応を起こす白金触媒存在下でビニル(メタ)アクリレートやアリル(メタ)アクリレートなどを反応させることで液状ポリマー中に(メタ)アクリル基を導入する事ができる。
そのような反応基を有する液状ポリマーの合成法としては、いくつかの手段が挙げられるが、上記の反応基を有する液状ポリマーの合成法としては、チオール化合物共存下で前記のラジカル重合性モノマーのみを重合させる方法が挙げられる。この方法で使用するチオール化合物は連鎖移動剤として働くことが知られており、このように重合させることでポリマー末端に硫黄原子を介して上記ラジカル重合性基を導入可能な反応基を導入させることができる。このようなチオール化合物は上記の反応基を有する化合物であれば制限なく用いることができるが、中でもチオグリコール酸はカルボキシル基を導入するためのチオール化合物として好適に用いられる。
また、上記の反応基を有する液状ポリマーの合成法としては、上記ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはヒドロシリル基を含んだラジカル重合性モノマー(ラジカル重合性基導入用モノマー)と、後述するラジカル重合性モノマーとを共重合させることで容易に得ることができる。
ラジカル重合性基導入用モノマーとしては、公知のものが制限なく使用可能であるが、例えば、2−アクリルロイルオキシエチルサクシネート、2-メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、3−アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、3−メタクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルハイドロジェンジメチルシラン、2−メタクリロイロキシエチルハイドロジェンジメチルシラン、3−アクリロイロキシプロピルハイドロジェンジメチルシラン、3−メタクリロイロキシプロピルハイドロジェンジメチルシランなどが挙げられる。
こうしたラジカル重合性基導入用モノマーと共重合させるラジカル重合性モノマーとしては、一般的なポリマー合成に用いる公知のモノマーが使用できる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマーや、酢酸ビニル、スチレン等のモノマーも挙げられる。
中でも、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレートは、そのポリマーが、(メタ)アクリレート系ポリマーとの相溶性に特に優れることからより好適である。
上記の方法で得られる重合性液状ポリマーとしては、下記化学式(a)、(b)、(c)で示されるものが具体的に好適なものとして例示される。
Figure 0005258498
ここで、Rは炭素数が1〜10のアルキル基、又は炭素数が6〜12のフェニル基である。m、nは任意の整数で、その分子量が1000〜10000での範囲に入る整数である。
これらの重合性液状ポリマーのいくつかは市販品として入手することも可能であるがその種類が限られているため、上述の方法に従って自製して任意の種類のものを得れば良い。
その合成方法を改めて詳述すれば、例えば上記(a)はチオグリコール酸と、(a)構造中の繰り返し単位に相当するアルキル(もしくはフェニル)アクリレートとを共重合させた後、グリシジルメタクリレートと反応させることで容易に得ることができる。(b)も(a)と同様にして重合物を得た後、クロロメチルスチレンと反応させることで得ることができる。また(c)は、ラジカル重合性基導入用モノマーであるヒドロキシエチルメタクリレートと、アルキル(もしくはフェニル)アクリレートとを共重合させた後に、(メタ)アクリル酸クロライドを反応させることで得ることができる。
むろん、本発明の歯科用機能印象材に配合する重合性液状ポリマーとしては、上記分子量に関する条件を満たす限り、広い分子量分布を有するものを用いてもよいし、また、分子量分布の異なる2種以上のポリマーを併用してもよい。さらに、ポリマーを構成する単量体単位の種類や割合の異なる2種以上の液状ポリマーを併用してもよい。
本発明の歯科用機能印象材では、上記重合性液状ポリマーには、18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーが溶解される。ここで、上記重合性液状ポリマーへの該固体状非架橋ポリマーの溶解は、必ずしも全量が溶解している必要はなく、通常は、一部、好適には含有される固体状非架橋ポリマーの30重量%、より好適には40重量%が溶解し、残りは膨潤した状態にある。
この固体状ポリマーは、非架橋であるため、重合性液状ポリマーに対して溶解性を備えているが、この性状を十分に確保するために質量平均分子量は通常2万以上であるのが一般的である。なお、上記固体状非架橋ポリマーは、重合性液状ポリマーに対して、20℃で15分以内にほぼ完全に溶解・膨潤することが好ましく、より好ましくは10分以内でほぼ完全に溶解・膨潤することが好ましい。なお、ここでいうほぼ完全な溶解・膨潤とは液状ポリマーが固体状非架橋ポリマーに浸透して固体状非架橋ポリマーがほぼ完全に透明になる状態をいう。
上記固体状非架橋ポリマーは、さらに、平均分子量が小さすぎる場合には、ペーストの操作性が不良であったり、あるいは極端な場合には液状になってしまったりする場合があり好ましくない。一方、平均分子量が極めて大きなものは合成・入手が困難である。更に、ペーストの操作性を不良なものにする場合がある。従って、固体状非架橋ポリマーとしては、質量平均分子量が2万〜500万のものが好適であり、5万〜100万のものがより好ましい。
上記固体状非架橋ポリマーの代表的なものを例示すると、(メタ)アクリル系非架橋ポリマー、シリコーン系非架橋ポリマー、オレフィン系非架橋ポリマー、スチレン系非架橋ポリマー、ブタジエン系非架橋ポリマー系、イソプレン系非架橋ポリマー、ホスファゼン系非架橋ポリマーなどが挙げられる。これらのポリマーは複数の成分から成り立っていても何ら問題はなく、それらの成分を混合して使用しても、前記要件の柔軟なペースト組成物が得られるのであれば有効に用いることができる。また混合の際、重合反応などを起こして上記硬度の性質を示すものであってもよい。
上記に示したポリマーの中でも(メタ)アクリル系非架橋ポリマーは、入手が容易で安価である他、(メタ)アクリル系義歯床との親和性が高く、また適度な粘弾性を有する点で好ましい。ここで、(メタ)アクリル系のポリマーとは、重合性基としてアクリル基またはメタクリル基を有する重合性モノマー(以下、(メタ)アクリル系モノマー)を単独重合させて得られるホモポリマー、2種以上の異なる(メタ)アクリル系モノマーを共重合させて得られるコポリマー、及び(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとを共重合させて得られるコポリマー(但し、(メタ)アクリル系モノマーに基づくモノマー単位の割合が50mol%以上)のいずれも含む。
係る(メタ)アクリル系非架橋ポリマーは、歯科材料に用いられるものであれば制限なく用いることが可能である。一般に、こうした(メタ)アクリル系非架橋ポリマーは、ガラス転移温度(以下、Tgとも称する)が120℃以下の範囲にある。このうち該Tgが60℃以下のものを用いるのが好ましい。すなわち、(メタ)アクリル系非架橋ポリマーのTgが60℃を越える場合は、粉材と液材とを練和して得られるペーストが硬くなり、歯科用機能印象材として用いることのできる柔軟性がやや不足する傾向がある。これに対して、上記Tgが60℃以下、より好ましくは50℃以下のものを用いれば、得られる歯科用機能印象材はショアA硬度が20以下の柔軟なものにすることができ好適である。
こうしたTgが60℃以下の(メタ)アクリル系非架橋ポリマーを具体的に例示すると、ホモポリマーでは、Tgが0℃以上のものとして、ポリ(ベンジルアクリレート)、ポリ(4−ブトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ{3−クロロ−2,2−ビス(クロロメチル)プロピルアクリレート}、ポリ(2−クロロフェニルアクリレート)、ポリ(4−クロロフェニルアクリレート)、ポリ(4−メトキシフェニルアクリレート)、ポリ(2,4−ジクロロフェニルアクリレート)、ポリ(シクロヘキシルアクリレート)、ポリ(シクロドデシルアクリレート)、ポリ(2−メトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(3−メトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(2−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(3−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(4−エトキシカルボニルフェニルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロ−2−プロピルアクリレート)、ポリ(ヘキサデシルアクリレート)、ポリメチルアクリレート、ポリネオペンチルアクリレート、ポリフェニルアクリレート、ポリ(m−トリルアクリレート)、ポリ(o−トリルアクリレート)、ポリ(p−トリルアクリレート)、ポリ(N−ブチルアクリルアミド)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(i−ブチルメタクリレート)、ポリ(ネオペンチルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(ヘキサデシルメタクリレート)、ポリ(オクタデシルメタクリレート)、ポリ(3−オキサブチルメタクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(ブチルブトキシカルボニルメタクリレート)、ポリ(1H,1H−ヘプタフルオロブチルメタクリレート)、ポリ(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート)、ポリ(1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート)等が挙げられる。
また、Tgが0℃未満のものでは、ポリ(デシル)メタクリレート、ポリ(ドデシルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(1H、1H、9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート)、ポリ(オクタデシルメタクリレート)、ポリ(オクチルメタクリレート)、ポリ(N−オクチルアクリルアミド)、ポリ(N−オクタデシルアクリルアミド)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(へプチルアクリレート)、ポリ(メトキシブチルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)等が挙げられる。
なお、コポリマーは、前記条件を満たす限り、ランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー等の如何なるコポリマーでもよい。コポリマーである場合、共重合比等によりTgを調整することができ、単独重合体のTgが60℃よりも高い重合性モノマーに基づくモノマー単位を含むものであってもよい。
(メタ)アクリル系モノマーのみを共重合させたTgが60℃以下に調整可能なコポリマーとしては、Tgが0℃以上になるものでは、ポリ(メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート−n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)、ポリ(i−ブチルメタクリレート−n−ブチルメタクリレート)等が挙げられる。また、Tgが0℃未満のものでは、ポリ(デシルメタクリレート−ドデシルメタクリレート)、ポリ(デシルメタクリレート−2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリ(デシルメタクリレート−1H、1H、9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート)、ポリ(デシルメタクリレート−オクタデシルメタクリレート)、ポリ(デシルメタクリレート−オクチルメタクリレート)、ポリ(デシルメタクリレート−N−オクチルアクリルアミド)、ポリ(デシルメタクリレート−N−オクタデシルアクリルアミド)、ポリ(ドデシルメタクリレート−1H、1H、9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート)、ポリ(デシルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリ(デシルメタクリレート−へプチルアクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート−メトキシブチルアクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート−イソブチルアクリレート)等が挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーと他の重合性モノマーとを共重合させたTgが60以下に調整可能なコポリマーとしては、ポリ(スチレン−n−ブチルメタクリレート)等が挙げられる。
この他、Tgが60℃を超える(メタ)アクリル系非架橋ポリマーとして、例えば、ホモポリマーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリネオペンチルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポリ(o−トリルメタクリレート)、ポリ(m−トリルメタクリレート)、ポリ(p−トリルメタクリレート)、ポリ(N−メチルメタクリルアミド)等が使用でき、上記Tgのものになり得るコポリマーとしてポリ(メチルメタクリレート−エチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−ネオペンチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−o−トリルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−m−トリルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−p−トリルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−N−メチルメタクリルアミド)、ポリ(エチルメタクリレート−フェニルメタクリレート)、ポリ(値エチルメタクリレート−N−メチルメタクリルアミド)等が挙げられる。
固体状非架橋ポリマーとしては、該ポリマーを構成するモノマー単位の種類や割合、平均分子量や分子量分布、平均粒子径等の異なる2種以上の固体状ポリマーの混合物を使用してもよい。
本発明の歯科用機能印象材には、前記重合性液状ポリマーを重合させるために、有効量のラジカル重合開始剤を配合する。
ラジカル重合開始剤は、加熱することによりラジカルが発生し、重合が開始する化学重合型と、光を照射することによりラジカルが発生し、重合が開始する光重合型との何れも用いることが出来る。さらに第3級アミン等との接触により室温条件下でラジカルを発生しうるもの(複数の成分からなり、これら成分が接触せしめられた場合にラジカルを生成する重合開始剤)も化学重合型として使用される。
ここで、前記重合性液状ポリマーは、分子量が大きく動きの自由度が小さいポリマーにラジカル重合性基が結合するものであり、該ラジカル重合性基の結合濃度は小さいので、ラジカル重合開始剤として上記化学重合型のもの(以下、「化学重合型重合開始剤」と称する)を配合した場合には、重合は徐々に進行し、徐々に歯科用機能印象材の硬度が高くなる。即ち、化学重合型重合開始剤を配合する歯科用機能印象材は、口腔内に適用すると、体温で加熱され、柔らかいながらも少しずつ弾性を増し、時間経過と共にその性状が変化して印象面を維持させることが出来る歯科用機能印象材である。この歯科用機能印象材は、口腔内の印象面が得られた後、口腔内から取出し、更に加熱することにより、更に硬化させることも出来る。加熱時間及び加熱温度は、上記化学重合型重合開始剤の種類に応じて、常法に従う。
ラジカル重合開始剤として光重合型のもの(以下、「光重合型重合開始剤」と称する)を配合する場合は、印象面を形成した歯科用機能印象材を口腔内から取出した後、光を照射することにより重合が開始し、短時間で適度の弾性を有する形状に保持される。この歯科用機能印象材は、術者の望む任意のタイミング(例えば1週間後や、1月後)で自由に形状を固定できる。この光重合型重合開始剤を配合する歯科用機能印象材は、口腔内に適用している期間は弾性を増加することなく、時間経過と共にその性状が変化して印象面を形成する。照射する光は、上記光重合型重合開始剤の種類に応じて、従来公知の光を公知の時間照射すればよい。
即ち、この歯科用機能印象材は、任意のタイミングで、形状が維持される性状に瞬時に変化させることの出来る材料である。
もちろん、本歯科用機能印象材には、化学重合開始剤と光重合開始剤とを併用し、両者の特徴を併せ持つ様にしても良い。
化学重合型重合開始剤において、加熱もしくは第3級アミンとの接触によりラジカルを発生させる物質としては、有機過酸化物が例示される。代表的な有機過酸化物を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
これら有機過酸化物の好適な使用量は、用いられる有機過酸化物の種類によって異なるため一概に限定できないが、重合性液状ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部の範囲である。
また、これら有機過酸化物と接触してラジカルを発生させる第3級アミンとしては、公知の化合物が特に制限されず使用される。好適に使用される第3級アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジプロピルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N−メチル,N−β−ヒドロキシエチルアニリン等のアニリン類、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジン、N,N−ジブチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン、p−トリルジエタノールアミン、p−トリルジプロパノールアミン等のトルイジン類、N,N−ジメチル−アニシジン、N,N−ジエチル−p−アニシジン、N,N−ジプロピル−p−アニシジン、N,N−ジブチル−p−アニシジン等のアニシジン類、N−フェニルモルフォリン、N−トリルモルフォリン等のモルフォリン類、ビス( N,N−ジメチルアミノフェニル)メタン、ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)エーテル等が挙げられる。
これらのアミン化合物は、塩酸、リン酸等の無機酸や、酢酸、プロピオン酸等の有機酸などとの塩であってもよい。上記第3級アミン化合物の内、重合活性が高く、低刺激、低臭という観点から、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−トリルジエタノールアミン、p−トリルジプロパノールアミンが好適に使用される。
第3級アミン化合物の使用量は重合性液状ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部の範囲である。
上記、有機過酸化物と第3級アミン化合物の組合せのうち、好適なものを具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジエチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジプロピル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジエタノール−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ベンゾイルパーオキサイド/p−トリルジエタノールアミン、ベンゾイルパーオキサイド/p−トリルジプロパノールアミン等の組合せが挙げられる。中でも、第3級アミン化合物を重合性液状ポリマーと混合した状態で長期保存する場合は、保存安定性の観点からベンゾイルパーオキサイド/N, N−ジエチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジプロピル−p−トルイジンの組合せが最も好ましい。
光重合型重合開始剤としては、α-ジケトン−還元剤、ケタール−還元剤、チオキサントン−還元剤などの公知の開始剤系が好ましい。α−ジケトンとしてはカンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタジオン、3,4−ヘプタジオンなどを挙げることができる。ケタールとしてはベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)などを挙げることができる。チオキサントンとしてはチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどを挙げることができる。
光重合型重合開始剤の一成分としての還元剤は、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などを挙げることができる。また、アシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイドなどのリン系化合物も好適に用いることができる。
これら光重合型重合開始剤の好適な使用量は、用いられる該重合開始剤の種類によって異なるため一概に限定できないが、開始剤系の総量として重合性液状ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部の範囲である。
本発明の歯科用機能印象材には、無機粉末を加えてもよい。無機粉末を加えることにより、最終的に硬化した歯科用機能印象材の硬度を調整することができる。
即ち、本発明の歯科用機能印象材に無機粉末を配合することにより、最終的な硬度が高くなる。従って、保存安定性、練和性、経済性等の観点から決定された他の配合成分(上記、各ポリマーの粉末や、後述する液材に配合する重合性液状ポリマー、有機溶媒等)を所定の割合で混合して硬化させて得られる歯科用機能印象材の硬度が柔らかくなりすぎる場合には、無機粉末を加えて適切な硬度(ショアAで5〜20程度。好ましくは10〜20程度)に上げることができる。該無機粉末は粉材、液材のいずれに加えても良いが、保存安定性、練和性等の観点から粉材に配合することが好ましい。
該無機粉末の種類は特に制限されるものではなく、一般的な樹脂組成物に添加されている補強材、充填材の中から選択することが可能である。
具体的に例示すると、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硅石粉末、ガラス粉末、珪藻土、シリカ、珪酸カルシウム、タルク、アルミナ、ベントナイト、ゼオライト、カオリンクレー、マイカ、石英ガラスなどが挙げられる。取扱の容易さ、液材とのなじみ、唾液への溶解性(溶出)が少ない等の観点からシリカやアルミナが好適に用いられる。
該無機粉末の粒径は特に限定されるものではないが、保存安定性、練和性等の観点から体積平均粒子径が1μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。このような粒径の無機粒子は、入手の容易さ等を考慮すると、ヒュームドシリカが最も好ましい。むろん、材質や平均粒径等の異なる2種以上の無機粉末を併用しても構わない。
上記無機粉末の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限なく加えることが可能であるが、多すぎると硬化後の歯科用機能印象材として必要な硬度よりも高くなってしまう。また粉材と液材の練和感のよさ等の点からも、無機粉末の配合量は、Tgが0〜60℃の範囲にある非架橋ポリマー100質量部に対して、0.001〜5質量部であることが好ましく、0.01〜2質量部であることがより好ましい。
さらに本発明の歯科用機能印象材には、上記各成分に加えて、必要に応じ、染料、顔料等の着色材料、香料、抗菌剤、防黴剤等を配合してもよい。
なお本発明の歯科用機能印象材には、フタル酸ジエステル系可塑剤、セバシン酸ジエステル系可塑剤などの、分子量が500以下で、かつ不揮発性の成分も本発明の効果を妨げない限り含まれていてもよいが、このような成分は、徐々に溶出し、義歯床に移行することがあり、本発明の効果を得ることを妨げる可能性が高いため、粉材と液材とを混合して得られる歯科用機能印象材の総量を100質量%としたとき、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。前述のように、本発明の歯科用機能印象材は、柔軟性を付与するために従来用いられてきた上記のようなカルボン酸ジエステル系可塑剤が配合されていなくても充分な柔軟性が得られる。
本発明の歯科用機能印象材の具体的な使用方法は以下の通りである。ペースト状の組成物を義歯床の上に盛り付け、一定時間口腔内で保持させることによって所望の形状に賦形させた後、患者にその義歯を使って数週間程度日常生活(咀嚼)を行ってもらう。この間、口腔粘膜の変化や動きに追従して本材料が変形し、最終的に口腔の動きに適応した形状が材料に記印される。そのようにして得た印象から模型を作製する手段は幾つかあるが、そのまま石膏を流入して模型を作製することが一般的である。
本発明中に含まれる重合性液状ポリマーが重合開始剤によって重合することによって、本機能印象材が適度に架橋され、口腔内で得られた形状を維持させることができる。化学重合型重合開始剤を用いたものでは、口腔内で使用している期間中に少しずつ緩やかに硬化が進むことで、石膏模型を作製する時点で形状が維持されている。また光重合開始剤を用いたものでは、石膏模型を作製する直前に、口腔内より形が崩れないように慎重に取り出した本材料を、市販の光重合照射器を用いて硬化させることで、同様に形状が維持された印象を得ることができる。
機能印象に適した形状変形性の評価方法としては、材料の粘弾性を測定する方法がある。この方法は、粘弾性測定装置を用いてオシレーションの測定を行い、時間ごとの貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定した後、以下に示す計算式より粘弾性の指標となるtanδを算出する。
tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率
tanδが0.2を下回ると外圧に対して反発して元の形状に戻りやすくなる。tanδが1を越えると形状保持性はほとんどなく外圧に対して容易に塑性変形を起こすことを示す。機能印象を行うためには適度に形状を保ちながらも持続的な外圧に対して少しずつ形状を変えていくことが求められる。そのため、口腔内で用いている期間中のtanδは0.1〜1であり、0.3〜0.8がより好ましい。
本発明の歯科用機能印象材の包装形態に特に制限はなく、ペースト形態、分包形態のいずれでも構わない。ペースト形態の場合は、例えば予めミキサーなどの混練装置などを用いて混練し、適切な包装容器に充填して用いる。包装容器としては軟膏壷、箱型容器、シリンジ、チューブなどが例示される。いずれの場合も使用直前に術者が容器より必要量だけ取り出し、義歯に対して盛り付けて使用する。また混練装置としては食品製造などに用いるプラネタリーミキサー等が好適である。
分別包装の場合には、用いる分封容器によって使用形態は異なるが、例えば粉成分と液成分に分別包装する手段が挙げられる。すなわち粉材と、液材とを使用直前に混合、練和して均一なペースト状の軟質材料にして用いるものである。いずれの包装形態であっても問題なく使用することができるが術者の意図によって流動性や性状をある程度変化させる粉液型が好適に用いられる。
分包形態の歯科用機能印象材は、使用時には両材を混和してペースト状にして用いる。
ペースト形態の歯科用機能印象材は、使用時に包装を開きそのまま用いる。
以下それぞれの包装形態毎に例示して説明する。
1. 分包形態の歯科用機能印象材
先ず、分包形態の歯科用機能印象材につき、説明する。
(1)粉材は、前記重合性液状ポリマーに溶解される、18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーの粉末を主成分とするが、良好な粉末性状を確保するため、該固体状非架橋ポリマーはガラス転移温度が0〜60℃の範囲のものを使用する。
(2)液材は、前記重合性液状ポリマーを主成分とする。
(1)粉材には、固体状の架橋ポリマー、ガラス転移温度が60℃以上、且つ体積平均粒子径が1μm以下の固体状のポリマー、無機粉末等を配合することにより付加的に様々な効果を得ることができる。
(2)液材には水溶性有機溶媒を配合することにより、粉材と液材との練和性などを向上させることができる。
以下、これら配合成分につき詳述する。
粉材
(1)粉材に配合される18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーは、Tgが0〜60℃の範囲のものである(以下、該ポリマーを単に「低Tg非架橋ポリマー」と称す場合がある)。Tgが0℃未満のポリマーは、室温(使用前の歯科用機能印象材が保存される環境温度;18〜40℃程度)で粉材を保存する間に、該固体状非架橋ポリマー粒子同士が極めて強い凝集を起こす傾向がある。その結果、液材と練和してペーストを得ることが困難になる。
また、Tgが60℃を越える場合は、既に説明しように、粉材と液材とを練和して得られるペーストが硬くなり、歯科用機能印象材として柔軟性が不足しがちになる他、重合性液状ポリマーへの溶解性が低下し、上記粉粉材と液材とを練和性やその操作性が低下する。特に、この粉粉材と液材との練和性やその操作性を良好にし、また保存時の凝集を防止する点で、係る固体状非架橋ポリマーのTgは10〜50℃の範囲にあることが好ましい。
上記Tgが0〜60℃の範囲になる固体状非架橋ポリマーとしては、前記固体状非架橋ポリマーの説明の中で例示したものが制限なく良好に使用される。その中でも、溶解性や取扱いの容易さ等の点で、モノマー単位として(メタ)アクリル酸エステル系のモノマーに由来するモノマー単位を有する非架橋ポリマーが好ましい。特に、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)等の、炭素数3〜20(より好ましくは3〜10)のアルコールの(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマー単位がポリマー中に50〜100モル%(より好ましくは80〜100モル%)を占めるホモポリマー又はコポリマーが好ましい。
上記固体状非架橋ポリマーは粉末状であれば粒子径は特に限定されないが、粉材としての取り扱い易さ(流動性、凝集性)や、液材との混合・練和性などの点から、体積平均粒子径は0.1〜100μmが好ましく、1〜90μmがより好ましく、5〜50μmが特に好ましい。
(1)粉材には、上記Tgが0〜60℃の範囲にある固体状非架橋ポリマーに加えて、固体状の架橋ポリマーが配合されていることが好ましい。固体状の架橋ポリマーを粉材に配合しておくことにより、粉/液を混合・練和して得られるペーストに良好な初期流動性を付与できる。即ち、粉材と液材とを混合・練和すると、前記固体状非架橋ポリマーが液材成分に溶解し、粘度が上昇する。
架橋ポリマーも液材により膨潤して粘度を上昇させるが、その粘度上昇速度は、非架橋ポリマーよりも遅い。その結果、最終的な歯科用機能印象材として適切な粘度となるように固体状非架橋ポリマーと固体状架橋ポリマーとの双方を粉材に配合しておくと、混合初期には混合最終粘度よりも粘度が低く流動性に優れたペーストとなり、この状態のペーストは付形性などの操作性に優れる。
上記固体状架橋ポリマーとしては、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限なく任意の架橋ポリマーを用いることができる。架橋された(メタ)アクリル系ポリマーは、歯科用機能印象材の物性に大きな影響を及ぼさないことから好適に用いられる。
架橋ポリマーを具体的に示すと、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート系の架橋ポリマーが挙げられる。該架橋ポリマーは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記固体状架橋ポリマーの粒径は特に制限はないが、練和時の練和感のよさを維持させる点や、練和後の組成物の触感をよりよく保つ観点から、体積平均粒子径が0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。
上記の固体状架橋ポリマーの配合量は、本発明の目的を妨げない範囲であれば特に制限されないが、調製した粉材と液材の練和感、最終組成物の柔らかさを良好なものとするため、前記Tgが0〜60℃の範囲にある固体状非架橋ポリマー100質量部に対して、5〜100質量部の範囲が好ましく、10〜90質量部の範囲がより好ましい。
上記固体状架橋ポリマーとしては、該ポリマーを構成するモノマー単位の種類や割合、平均分子量や分子量分布、平均粒子径等の異なる2種以上の固体状の架橋ポリマーを併用してもよい。
(1)粉材に配合される前記ガラス転移温度が0〜60℃の範囲にある固体状非架橋ポリマーは、そのTgの低さゆえ、保存中に凝集しやすい。その結果、保存容器からの取り出しやすさや、液材との混合・練和性が低下する傾向がある。
この凝集を防止するために、(1)粉材中の固体状非架橋ポリマーとして、Tgが60℃よりも高く、且つ体積平均粒子径が1μm以下の固体状ポリマー(以下、単に「高Tg非架橋ポリマー」とも称する)を、練和後に得られるペーストの柔軟性が損なわれない範囲で添加することが好ましい。なお平均粒子径が1μmを越えると十分な凝集抑制効果が得られないことがある。
高Tg非架橋ポリマーとしては公知の如何なるものでも使用できるが、一般に化学的安定性、透明性などの点で、(メタ)アクリル系ポリマーが好適に使用され、中でも義歯床を構成するポリマーに組成が類似するポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)が特に好適である。
高Tgポリマーの配合量は、凝集防止効果が得られ、且つ、ペースト練和後の柔軟性に大きな影響を与えないようにするため、非架橋ポリマー中に、0.01〜25質量%の範囲で含まれるように用いることが好ましく、0.1〜20質量%の範囲で用いることがより好ましい。
上記高Tg非架橋ポリマーとしては、該ポリマーを構成するモノマー単位の種類や割合、平均分子量や分子量分布、平均粒子径等の異なる2種以上の高Tg非架橋ポリマーを併用してもよい。
液材
液材(2)中には、前記重合性液状ポリマーが含まれる。
液材(2)には、上記液状ポリマーに加えてさらに、水溶性有機溶媒が配合されていることが好ましい。水溶性有機溶媒を配合することにより、液材の流動性が向上して取り扱いやすくなる。さらに、粉材と液材を混合、練和する際の練和性、初期流動性が向上する。これは、上記液状ポリマーが、前記粉材に配合される固体状非架橋ポリマーを溶解させたり膨潤させたりする際の液状ポリマーの浸透しやすさ、なじみやすさ等を向上させるためであると考えられる。なお、本発明の歯科用機能印象材は比較的長期に渡って口腔内で使用されるものであるため、人体への有害性が懸念される非水溶性有機溶媒は好ましくない。
添加することが可能な上記水溶性有機溶媒を具体的に例示すると、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類等が挙げられ、特に生体への為害性、臭気等の面からエタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類が好適であり、エタノールが特に好ましい。
上記水溶性有機溶媒の配合量は、本発明の効果を得られる範囲であれば特に制限はないが、組成物の取扱いや臭気、ペーストから溶出した後の物性変化が大きくなる可能性等の観点から、上記液状ポリマー100質量部に対して1〜30質量部の範囲であることが好ましい。特に3〜20質量部の範囲とすることにより、良好な操作感を得ることができる。
本発明の歯科用機能印象材に含まれる重合開始剤は用いる重合開始剤の性状に応じて、粉材、液材のいずれに加えても良いし、必要に応じて双方に加えても構わないが、いずれにしても、分包して保存している間にラジカルが発生しない態様で重合開始剤を配合する必要がある。これらの態様としては、具体的には、重合開始剤が光重合型や加熱によりラジカルを発生させる化学重合型である場合は、前者において容器を遮光性のものとすれば、いずれも保存中におけるラジカルの発生は抑えられるため、粉材、液材のいずれにも配合することができる。また、化学重合型重合開始剤のうち、有機過酸化物と第3級アミンとの組合せ等の、複数の成分からなり、これら成分が接触せしめられた場合にラジカルを生成するタイプの場合、保存中にラジカルが発生しないように、成分を分割して粉材および液材の夫々に配合することになる。なお、一般には、固体状の重合開始剤であれば粉材に、また液状のものであれば液材に加えるのが好ましい。
上記に示した分封包装の歯科用機能印象材は、使用時に粉材と液材を所定量計り取り、混合・練和して用いる。粉材と液材との混合比は適宜設定され、上述したような各任意成分の配合量などにより相違するが、好ましくは粉材に配合される固体状非架橋ポリマー100質量部に対して、液材に配合される液状ポリマーの量が50〜300質量部となる範囲が好ましく、80〜250質量部となる範囲がより好ましい。
粉材と液材との混合割合に大きく差があると、双方を混合してもペーストとならない場合がある。従って、粉材と液材とは、質量比で粉材/液材=0.5〜2.5の範囲になるように、予め粉材中及び液材中の各配合成分が調整されていることが好ましい。使用時の計量や混合が容易である点で、質量比で粉材/液材=0.8〜2.0程度に混合できるように調整されていることがより好ましい。
2.ペースト形態の歯科用機能印象材
ペースト形態の歯科用機能印象材は、最初から各成分が練和され、ペースト状に形成されている。ペースト状の歯科用機能印象材の粘弾性は通常、0.3〜0.8に予め調製されている。
このペースト状の歯科用機能印象材に配合する重合開始剤は、加熱によりラジカルを発生させる化学重合型であっても良いが、好適には光重合開始剤である。光重合開始剤としては、上記分包形態の歯科用機能印象材で使用した光重合開始剤がそのまま使用できる。複数の成分からなり、これら成分が接触せしめられた場合にラジカルを生成するタイプの化学重合型重合開始剤は、ペースト状の歯科用機能印象材に配合しない方が良い。このような化学重合型重合開始剤を配合すると、通常、長期保存安定性が悪くなるため、長期保存安定性を必要としない場合等に使用は控えるべきである。
ペースト状の歯科用機能印象材の場合も、重合性液状ポリマーに溶解される、18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーとしては、前記低Tg非架橋ポリマーが好適に使用できるが、粉材として良好な粉末性状は求められず、練和性の良さも混練装置を用いて十分に時間をかければかなり緩和されるため、上記固体状非架橋ポリマーのTgは120℃以下の範囲において、前記0〜60℃の範囲外のものも広く使用できる。柔軟性の観点からは該Tgは、60℃以下であるのが好ましい。
また、ペーストには、粘度が過度に高くならない範囲で、任意の架橋ポリマーを配合することが出来る。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例における各種物性の評価方法は以下の通りである。
(1)ガラス転移点(Tg)の測定方法
Tgは示差走査熱量測定装置(DSC6200/セイコー社製)を用いて測定した。およそのTgよりも30℃ほど高温まで10℃/分で初期昇温を続け、そこで5分間保持後、50℃/分で降温した。次いで直ちに最昇温して得られたシグナルにおいて得られる3本の接線の交点の温度を求め、それらの中間の温度をTgとした。
(2)体積平均粒子径
ベックマンコールター社製LS230を用いて測定した。測定は水を分散媒とし、測定前に超音波で3分以上処理した後、すみやかに測定した。
(3)粘弾性(形状変形性)評価方法
機能印象に適した形状変形性を評価するデータとして、印象材の粘弾性のデータを用いた。粘弾性測定装置CSレオメーター「CVO120HR」(ボーリン社製)を用いてオシレーションの測定を行い、時間ごとの貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定した後、以下に示す計算式より粘弾性の指標となるtanδを算出した。
tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率
なお、CSレオメーターにおける測定条件としては、直径20mm、パラレルプレートを使用し、測定温度(プレート温度)37℃、ショアストレス500Paの条件で粘弾性を測定した。測定は試験開始より同一サンプルで行うものとし、サンプルをセットした後、そのままの状態で静置させた。化学重合開始剤を用いた組成では1日後、4日後、7日後、及び14日後に測定を行った。光重合開始剤を用いた組成では14日後に測定を行った後、そのまま光照射器(「パールキュアライト」トクヤマデンタル社製)で3分間光照射を行った直後のサンプルの測定をあわせて行った。なお、測定の際は、プレートの周囲を樹脂板で覆ってサンプル及びプレートが水(37℃)に浸漬された状態で行った。
(4)表面性状の測定方法
練和後(練和を必要としないものの場合は、容器より取り出した後)、得られたペーストを、Ra3.0μmを有する標準板に押し当てた状態で37℃の水中に浸漬させそのまま14日間静置させた。化学重合開始剤を用いた組成ではそのまま保存後のサンプル表面の粗さを測定し、光重合開始剤を用いた組成では光照射を行った直後のサンプルの粗さを測定した。表面粗さはサーフコム570A(株式会社東京精密社製)を用い、JIS B0601の定義に基づき中心線粗さ(Ra)を測定した。なお、カットオフ値も前記JIS規格に基づき設定した。すなわち0.8mmで行い、測定によって得られたRaが12.5μm以上である場合に限り、2.5mmに設定し再測定を行った。また、測定長さは4mmで行った。
(5)味、及び臭気の評価方法
練和30秒後(練和を必要としないものの場合は、容器より取り出して30秒後)の組成物2gの臭気を10秒間確認した後、口腔内に加え60秒間舌で転がしながら味覚を評価した。評価は3人で行い、その結果に応じて以下のように区分した。
A: 全員不快と感じなかった。
B: 2人は不快と感じなかった。
C: 2人不快を訴えた。
D: 全員不快を訴えた。
(6)硬度の測定方法
柔軟性の指標であるショアA硬度は、JIS−K7215(デュロメータ タイプA)に基づいて測定した。測定は練和後37℃で一晩静置した時点と、そのまま37℃で1ヶ月間水中浸漬させた時点でそれぞれ行った。
また各実施例及び比較例で使用した各種化合物は以下の通りである。
1.粉材成分
実施例、比較例にて用いた粉材中の主成分となる低Tg非架橋ポリマーは以下の表1に示す通りである。
Figure 0005258498
製造例1
PHDMAの合成;三つ口フラスコにヘキサデシルメタクリレートを31.1g(100mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.02g、トルエン20mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応物を10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、18.6gの残留物を回収した(収率60%)。これをGPC測定したところ質量平均分子量が230,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.80であった。得られた固体を凍結粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製リンレックスミル)で粉砕して体積平均粒子径80μmの粉末とした。なお、体積平均粒子径はベックマンコールター社製LS230を用い、水を分散媒とし測定前に超音波で3分以上処理した後すみやかに測定した。
製造例2
PTMHMAの合成;ヘキサデシルメタクリレートに代えて、3,5,5−トリメチルヘキシルメタクリレートを21.2g(100mmol)用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、11.7gの残留物を回収した(収率55%)。これをGPC測定したところ質量平均分子量が250,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.83であった。得られた固体を凍結粉砕機(ホソカワミクロン社製リンレックスミル)で粉砕して体積平均粒子径80μmの粉末とした。なお、体積平均粒子径はベックマンコールター社製LS230を用い、水を分散媒とし測定前に超音波で3分以上処理した後すみやかに測定した。
製造例3
POMAの合成;ヘキサデシルメタクリレートに代えて、n−オクチルメタクリレートを19.8g(100mmol)用いた以外は製造例1と同様の操作を行い、10.9gの残留物を回収した(収率55%)。これをGPC測定したところ質量平均分子量が220,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.78であった。このものは室温で液状(ペースト状)であった。
任意成分である架橋ポリマーは、以下の表2に示す通りである。
Figure 0005258498
高Tg非架橋ポリマーとしては、ガラス転移温度(Tg)105℃であり、質量平均分子量20万であり、平均粒子径0.1μmのポリメチルメタクリレート(綜研化学社製、MP1451)を用いた。なお以下では、該ポリマーをPMMAと略記する。
任意成分である無機粉末としては以下の表3に示す通りである。
Figure 0005258498
2.液材成分
実施例、比較例にて用いた液材中の主成分となる重合性液状ポリマーの化学式及び略号を以下の表4及び表5に示す通りである。BAC以外の重合性液状ポリマーは以下の製造例4〜21に記すように方法で得た。
Figure 0005258498
Figure 0005258498
製造例4
MAPA−1:三口フラスコにブチルアクリレート12.8g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を秤量し、脱気を繰り返した後、オイルバスを取り付け、バス温度60℃で3時間攪拌を続けた。冷却した後、分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、7.3gの淡黄色透明の液状化合物を得た(収率50%)。GPC測定したところ質量平均分子量が1900(ポリスチレン換算)であった。
上記カルボキシル末端プレポリマーを1.5倍molのグリシジルメタクリレート(以下GMAと略す)、微量のヒドロキノンモノメチルエーテル(以下HQMEと略す)、及びジメチルラウリルアミンとともに窒素下トルエン中に溶解し、140℃で4時間攪拌した。冷却した後、分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄し、シリカゲルカラムを通して120℃で真空乾燥を行うことで12.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2500であった。また分子量500未満のものは6%含まれていた。
製造例5
MAPA−2:ブチルアクリレート12.8g(100mmol)、チオグリコール酸0.9g(10mmol)、及びAIBN0.082g(0.5mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.5gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が6000であった。また分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例6
MAPA−3:ブチルアクリレート12.8g(100mmol)、チオグリコール酸0.7g(8mmol)、及びAIBN0.066g(0.4mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、11.5gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が8000であった。また分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例7
MAPA−4:ブチルアクリレート12.8g(100mmol)、チオグリコール酸0.18g(2mmol)、及びAIBN0.016g(0.1mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、12.5gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が20000であった。また分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例8
MAPA−5:エチルアクリレート10.0g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2000であった。また分子量500未満のものは6%であった。
製造例9
MAPA−6:プロピルアクリレート11.4g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2000であった。また分子量500未満のものは6%であった。
製造例10
MAPA−7:2−エチルヘキシルアクリレート18.4g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が3000であった。また分子量500未満のものは6%であった。
製造例11
SPA−1:三口フラスコにブチルアクリレート12.8g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を秤量し、脱気を繰り返した後、オイルバスを取り付け、バス温度60℃で2時間攪拌を続けた。冷却した後、分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、10.9gの淡黄色透明の液状化合物を得た(収率55%)。GPC測定したところ質量平均分子量が1900(ポリスチレン換算)であった。
上記カルボキシル末端プレポリマーを2倍molのクロロメチルスチレン(以下CMSと略す)、及び等量molの50%水酸化ナトリウム水溶液とともに窒素下テトラヒドロフラン(以下THFと略す)中に溶解し、30℃で24時間攪拌した。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄し、シリカゲルカラムを通して120℃で真空乾燥を行うことで14.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2000であった。また分子量500未満のものは6%含まれていた。
製造例12
SPA−2:ブチルアクリレート12.8g(100mmol)、チオグリコール酸0.9g(10mmol)、及びAIBN0.082g(0.5mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.5gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が6000であった。また分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例13
SPA−3:ブチルアクリレート12.8g(100mmol)、チオグリコール酸0.7g(8mmol)、及びAIBN0.066g(0.4mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、11.5gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が8000であった。また分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例14
SPA−4:エチルアクリレート10.0g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2000であった。また分子量500未満のものは6%であった。
製造例15
SPA−5:プロピルアクリレート11.4g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2000であった。また分子量500未満のものは6%であった。
製造例16
MAPA−6:2−エチルヘキシルアクリレート18.4g(100mmol)、チオグリコール酸1.8g(20mmol)、及びAIBN0.164g(1mmol)を用いて、製造例4と同様に合成した結果、10.8gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が3000であった。また分子量500未満のものは6%であった。
製造例17
MAPAMA−1:三つ口フラスコにポリブチルアクリレートを12.8g(100mmol)、ヒドロキシエチルメタクリレートを2.6g(20mmol)、及びアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.02g、トルエン20mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。冷却した後、分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、9.2gの無色透明の液状化合物を得た(収率60%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2600(ポリスチレン換算)であった。
得られた上記コポリマーをTHF20mlに溶解させた後、モレキュラーシーブス3Aを5g加え、アルゴンガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけて十分に脱気を行った。アルゴンガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で攪拌しながら滴下ロートを用いて10分間でメタクリル酸クロライド2.08g(20mmol)を加えそのまま3時間攪拌を続けた。冷却した後、分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、8.4gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2900(ポリスチレン換算)であった。また分子量500未満のものは4%含まれていた。
製造例18
MAPAMA−2:ブチルアクリレートを12.8g(100mmol)、ヒドロキシエチルメタクリレートを2.6g(20mmol)、及びアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.01g、トルエン20mlを用いて製造例19と同様にして合成した結果、7.3gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が6500(ポリスチレン換算)であった。また分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例19
MAPAMA−3:ブチルアクリレートを12.8g(100mmol)、ヒドロキシエチルメタクリレートを2.6g(20mmol)、及びアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.007g、トルエン20mlを用いて製造例19と同様にして合成した結果、7.3gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が9000(ポリスチレン換算)であった。また分子量500未満のものは1%未満であった。
製造例20
MAPAMA−4:エチルアクリレートを10.0g(100mmol)、ヒドロキシエチルメタクリレートを2.6g(20mmol)、及びアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.02g、トルエン20mlを用いて製造例19と同様にして合成した結果、9.3gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2900(ポリスチレン換算)であった。また分子量500未満のものは4%含まれていた。
製造例21
MAPAMA−5:プロピルアクリレートを11.4g(100mmol)、ヒドロキシエチルメタクリレートを2.6g(20mmol)、及びアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.02g、トルエン20mlを用いて製造例19と同様にして合成した結果、8.5gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が2900(ポリスチレン換算)であった。また分子量500未満のものは4%含まれていた。
製造例22
MAPAMA−6:2−エチルヘキシルアクリレートを10.0g(100mmol)、ヒドロキシエチルメタクリレートを2.6g(20mmol)、及びアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)を0.02g、トルエン20mlを用いて製造例19と同様にして合成した結果、9.3gの無色透明の液状化合物を得た。GPC測定したところ質量平均分子量が3800(ポリスチレン換算)であった。また分子量500未満のものは4%含まれていた。
また、比較例で用いた非反応性液状ポリマー(PBA)は以下の製造例を用いた方法で合成した。
製造例23
PBA:トリ(n−ブチル)アルミニウムのトルエン溶液(1.0mol/l)3.0ml(3.0mmol)をトルエン40mlと混合し、−78℃に冷却した。これにt−ブチルリチウムのトルエン溶液(1.0mol/l)7.4ml(7.4mmol)を加え、数分間攪拌させた後、ブチルアクリレート16.1g(126mmol)を、反応系中の温度が上がらないように注意しながら加えた。この反応は窒素雰囲気下、標準的なシュレンク管中で行い、試薬の移動は注射器を用いて行った。トルエンはナトリウム上で還流した後、窒素雰囲気下で蒸留した。ブチルアクリレートは塩基性アルミナカラム及びモレキュラーシーブス4Aのカラムを通して精製した。24時間攪拌させた後、メタノールを加えて反応を停止させた。分液漏斗を用いて50%メタノール水溶液で洗浄した後120℃で真空乾燥して、11.6gの無色透明の液状化合物を得た(収率72%)。GPC測定したところ質量平均分子量が2000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=1.15であり、分子量500未満のものが5%含まれていた。
3.重合開始剤
(1)化学重合開始剤
過酸化ベンゾイル(以下BPOと略す)(川口化学株式会社製)
アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略す)(和光純薬株式会社製)
(2)光重合開始剤
カンファーキノン(以下CQと略す)(東京化成株式会社社製)
ビスアシルフォスフィンオキサイド(以下BTPOと略す)(和光純薬株式会社製)
(3)第三級アミン
ジエタノールパラトルイジン(以下DEPTと略す)(東京化成株式会社製)
ジエチルパラトルイジン(以下PEATと略す)(東京化成株式会社製)
ジメチルパラトルイジン(以下DMPTと略す)(東京化成株式会社製)
ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(以下DMBEと略す)(東京化成株式会社製)
4.接着材
各実施例、比較例で本発明の歯科用機能印象材を(メタ)アクリル系の義歯床に接着する際に用いた接着材は、以下の製造例によって合成した共重合体を、酢酸エチル(和光純薬社製)を溶媒として5重量%となるように調製したものである。なお、調製する際に用いた共重合体の製造方法は以下の製造例23に示す。
製造例24
MMAとBMA(30:70)共重合体の合成:三つ口にMMA3.0g(30mmol)、BMA10.0g(70mmol)、AIBN0.02g、及びトルエン10mlを加え、窒素ガスを5ml/分の割合で2時間流しつづけた。窒素ガスを止めた後、オイルバスを取り付け、バス温度70℃で6時間攪拌を続けた。反応物を10倍量のメタノールに入れ、生じた沈殿を回収し、メタノールで洗浄した。得られた沈殿物をベンゼンに溶解した後凍結乾燥を行い、8.6gの残留物を回収した(収率66%)。GPC測定したところ質量平均分子量が180,000(ポリスチレン換算)、Mw/Mn=2.10であった。
実施例1
低Tg非架橋ポリマーであるPBMAの粉末及び化学重合開始剤のBPOからなる粉材と、重合性液状ポリマーMAPA−1及び第3級アミンのDEPTからなる液材とを用いて歯科用機能印象材とした。この歯科用機能印象材の評価結果を表6に示した。なお粉材と液材とは、粉/液=1.3(重量比)で混合して用いた。
Figure 0005258498
上記表6に示したように、本発明の歯科用機能印象材は、1日後のtanδが0.40であり、弾性と変形性の両方を兼ねていることが示唆された。また0.37(4日後)、0.32(7日後)と口腔内で適度な変形性を保ちながら14日後には0.05となることがわかった。この結果より使用開始より7日間程度は変形する性質を保ちながら14日間経過時点までには形状が変化しない状態に変化していく性質を有していることがわかった。さらに14日後のRaが3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
実施例2〜19
表6に示した組成で粉材、液材を調製し、実施例1と同様にそれぞれ評価した。結果を表6に示した。
上記表6に示したように、いずれもそれぞれ7日後までのtanδが0.10以上であり、弾性と変形性の両方を兼ねていることが示唆され、使用開始より7日間程度は変形する性質を保ちながら14日間経過時点までには形状が変化しない状態に変化していく性質を有していることがわかった。さらに14日後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
比較例1
重量平均分子量が20000の重合性ポリマーを用いて粉材、液材を調製し、実施例1と同様にそれぞれ評価した。結果を表7に示した。
Figure 0005258498
表7にも示したように、液材の粘性が極めて高く練和して均一なペーストを得ることができず、本材料を歯科用機能印象材として用いることは難しいことが示された。
比較例2
重合性液状ポリマーの代わりに低分子量の重合性モノマーを用いて粉材、液材を調製し、実施例1と同様にそれぞれ評価した。結果を表7に示した。
表7に示したように、tanδの変化が極めて大きく、7日後までに0.08まで低下していることがわかった。さらに、味、臭気がともに強く全員が不快感を示した。以上のことから本材料を歯科用機能印象材として用いることは難しいことが示された。
比較例3
重合性反応基を持たない、非反応性液状ポリマーを用いて粉材、液材を調製し、実施例1と同様にそれぞれ評価した。結果を表7に示した。
表7に示したように、14日経過後もtanδが低下せず、この時点でも変形性を有していることがわかった。そのため表面粗さを測定する時点でも形状が変化し、正確な表面粗さを測定することができなかった。以上のことから本材料を歯科用機能印象材として用いることは難しいことが示された。
実施例20〜22
表8に示したように、粉材に用いる低Tg非架橋ポリマーを代えてそれぞれ粉材、液材を調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表8にまとめた。
Figure 0005258498
表8に示したようにいずれもそれぞれ7日後までのtanδが0.10以上であり、弾性と変形性の両方を兼ねていることが示唆され、使用開始より7日間程度は変形する性質を保ちながら14日間経過時点までには形状が変化しない状態に変化していく性質を有していることがわかった。さらに14日後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
実施例23〜35
重合開始剤及びアミンの種類や添加量を変化させてそれぞれ粉材、液材を調製し、実施例1と同様に評価した。組成と結果を表9にまとめた。
Figure 0005258498
上記表9に示したように、いずれもそれぞれ7日後までのtanδが0.10以上であり、弾性と変形性の両方を兼ねていることが示唆され、使用開始より7日間程度は変形する性質を保ちながら14日間経過時点までには形状が変化しない状態に変化していく性質を有していることがわかった。さらに14日後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においても実施例31以外はA判定であった。なお、実施例31ではアミンの添加量が多く、アミン由来の味や臭いを感じる結果が一部ででたことからB判定となった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
実施例36〜44
任意成分としてさらにいくつかの添加成分を加え、それぞれ粉材、液材を調製し、実施例1と同様に評価した。組成を表10に、結果を表11にそれぞれまとめた。
Figure 0005258498
Figure 0005258498
上記表11に示したように、いずれもそれぞれ7日後までのtanδが0.10以上であり、弾性と変形性の両方を兼ねていることが示唆され、使用開始より7日間程度は変形する性質を保ちながら14日間経過時点までには形状が変化しない状態に変化していく性質を有していることがわかった。さらに14日後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
実施例45
重合開始剤として光重合開始剤であるCQを用いて粉材と液材を調製し、それぞれ評価を行った。組成と結果を表12に示した。
Figure 0005258498
表12に示したように、14日後のtanδが0.40であり、化学重合開始剤を用いたときと異なり、14日後でも変形性を保っていることが示された。また光照射後のtanδは0.05となっており、光照射によって形状保持性が発現したことがわかった。さらに光照射後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
実施例46〜63
表12に示した組成で粉材、液材を調製し、実施例45と同様にそれぞれ評価した。結果を表12に示した。
上記表12に示したように、いずれもそれぞれ14日後のtanδが0.1以上であり、変形性を保っていることが示された。また光照射後のtanδは0.1未満となっており、光照射によって形状保持性が発現したことがわかった。さらに光照射後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
比較例4
比較例1と同様に重合性液状ポリマーを代えてそれぞれ粉材と液材を調製し、実施例45と同様にして評価した。組成及び結果を表13に示した。
Figure 0005258498
表13に示したように、比較例1と同様、練和が難しく均一なペーストを得ることができなかった。
比較例5
表13に示した組成で粉材と液材を作成し、実施例45と同様にして評価した。結果を表13に示した。
表13に示したように、14日経過時点でかなりtanδが低下しているとともに面が荒れた状態になっていることがわかった。光照射後の表面粗さが21.5μmであり、面あれが激しいことがわかった。また比較例2と同様に味、臭気が強いものであった。以上のことから本材料を歯科用機能印象材として用いることは難しいことが示された。
比較例6
比較例3と同様に非反応性の液状ポリマーを用いて粉材、液材を調製し、実施例45と同様にして評価した。結果を表13に示した。
表13に示したように、光照射後もtanδが0.38であり、変形性を有していることがわかった。そのため形状を維持することができず、表面粗さを測定する際にも変形が見られ、正確な値を得ることができなかった。以上のことから本材料を歯科用機能印象材として用いることは難しいことが示された。
実施例64〜76
重合開始剤及びアミンの種類や添加量を変化させてそれぞれ粉材、液材を調製し、実施例45と同様に評価した。組成と結果を表14にまとめた。
Figure 0005258498
上記表14に示したように、いずれもそれぞれ14日後のtanδが0.1以上であり、変形性を保っていることが示された。また光照射後のtanδは0.1未満となっており、光照射によって形状保持性が発現したことがわかった。さらに光照射後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においても実施例72以外はA判定であった。なお、実施例72ではアミンの添加量が多く、アミン由来の味や臭いを感じる結果が一部ででたことからB判定となった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
実施例77〜85
任意成分としてさらにいくつかの添加成分を加え、それぞれ粉材、液材を調製し、実施例1と同様に評価した。組成を表15に、結果を表16にそれぞれまとめた。
Figure 0005258498
Figure 0005258498
上記表16に示したように、いずれもそれぞれ14日後のtanδが0.1以上であり、変形性を保っていることが示された。また光照射後のtanδは0.1未満となっており、光照射によって形状保持性が発現したことがわかった。さらに光照射後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。
実施例86〜91
重合性液状ポリマー、非架橋ポリマー、光重合開始剤CQ、及び第三級アミンDEPTをプラネタリーミキサー(井上製作所製)で混練して、包装形態がペースト組成物である歯科用機能印象材を調製し、実施例45と同様に評価した。組成、結果を表17に示した。
Figure 0005258498
表17に示したように、いずれもそれぞれ14日後のtanδが0.1以上であり、変形性を保っていることが示された。また光照射後のtanδは0.1未満となっており、光照射によって形状保持性が発現したことがわかった。さらに光照射後のRaがいずれも3.0であり、良好な表面状態であることがわかった。また味と味覚の評価においてもいずれもA判定であった。以上のことより本材料が歯科用機能印象材として優れた性質を示していることが示唆された。

Claims (6)

  1. 質量平均分子量が1000〜10000で、分子量500以下のオリゴマーの含有率が10質量%以下で、ラジカル重合性基を主鎖に1以上結合してなり、且つ18〜40℃で液状を示す重合性液状ポリマーと、
    該重合性液状ポリマーに溶解された、18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーと、
    ラジカル重合開始剤と、
    を含むペースト組成物からなる歯科用機能印象材。
  2. 重合性液状ポリマーの主鎖が、(メタ)アクリル酸誘導体単位を含む請求項1に記載の歯科用機能印象材。
  3. 主鎖に結合しているラジカル重合性基が、(メタ)アクリル酸基を含む請求項1または請求項2に記載の歯科用機能印象材。
  4. ラジカル重合開始剤が、化学重合型又は光重合型である請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用機能印象材。
  5. ラジカル重合開始剤が光重合型であり、上記ペースト組成物の包装形態で保存されてなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用機能印象材。
  6. (1)質量平均分子量が1000〜10000で、分子量500以下のオリゴマーの含有率が10質量%以下で、ラジカル重合性基を主鎖に1以上結合してなり、且つ18〜40℃で液状を示す重合性液状ポリマーが含有されてなる液材と
    (2)該重合性液状ポリマーに溶解性を有する、Tgが0〜60℃である18〜40℃で固体状の非架橋ポリマーを含有する粉材
    とからなり、これら(1)液材及び(2)粉材の少なくとも一方にラジカル重合開始剤が、保存時にラジカルが発生しない態様で配合されてなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用機能印象材の調合用キット。
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