WO2006077944A1 - 医療用樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
エステル基を有する繰り返し単位から構成される重合体(A)の粉剤と、炭素数が6以上のビニルエステル単量体(B)の液剤とを混合して増粘させ、さらに必要に応じて重合反応を進行させて、医療用樹脂組成物を製造する。こうして製造された樹脂組成物は、刺激性の物質の溶出が抑制され、エンドクリン阻害物質等による人体への悪影響が低減され、しかも操作性よく調製することが可能である。当該樹脂組成物は、粘膜調整材、機能印象材、裏装材、義歯床材又はマウスピース材などの歯科用樹脂組成物として好適に使用される。
Description
明 細 書
医療用樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法 技術分野
[0001] 本発明は、エステル基を有する繰り返し単位から構成される重合体とビュルエステ ル単量体とからなる医療用樹脂組成物、特に歯科用樹脂組成物に関する。また、樹 脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法に関する。
背景技術
[0002] 義歯を長期間使用することにより、歯槽堤の吸収などが発生し、次第に義歯粘膜面 と義歯床下粘膜面の適合が悪くなる。その結果、床下粘膜面に局部的な過剰圧が加 わることにより、義歯床下粘膜や歯槽堤に異常が発生する。義歯床下粘膜や歯槽堤 に異常がある場合、義歯粘膜面を軟性樹脂組成物である粘膜調整材などで裏装す ることにより、咬合時に義歯から床下粘膜面に加わる圧力を緩和し、正常な状態へと 回復させる。
[0003] このような軟性樹脂組成物は、使用に際して、粉剤と液剤を混合することによりベー スト状力 餅状を経て、ゴム状へと、すなわち、粘性体から弾性体へと物理的に性状 が変化することにその特徴がある。粉剤と液剤の混合物は、粘性状態で義歯粘膜面 に流し込まれ、流動状態で口腔内に装着されて、義歯粘膜面と義歯床下粘膜面の 空隙を満たし、時間とともに流動性の無い粘弾性体、あるいは弾性体へと物理的に 性状が変化していく。粘弾性体、あるいは弾性体へと変化した軟性樹脂組成物は、 通常 3日〜 10日程度、長い場合では 30日程度義歯床下粘膜面に接触した状態で 口腔内に保持される。
[0004] 現在、市販されている軟性樹脂組成物の組成は、粉剤として、ポリアルキル (メタ)ァ タリレート、液剤としてフタル酸ジブチル(DBP)、ブチルフタリルグリコール酸ブチル( BPBG)、フタル酸ジベンジルブチル等に代表されるフタル酸エステル系の可塑剤と エタノールとの混合物が広く使用されている。しかし、フタル酸エステル系可塑剤は、 エンドクリン阻害物質として生体に影響を与える可能性が指摘されており、除去が望 まれている。また、エタノールは、粉剤と液剤を混合する際のポリアルキル (メタ)アタリ
レートの膨潤速度を大きくさせるために添加される力 口腔内に刺激を与えたり、唾 液中へ溶出したりする問題を有している。また、エタノールは、接触する義歯床に対 しても膨潤性も有するため、義歯床の物性低下や変形などの問題を引き起こす場合 もあった。
[0005] 特許文献 1には、ブチルメタタリレートとェチルメタタリレートとの共重合体又はポリブ チルメタタリレートとポリェチルメタタリレートとの混合物からなる粉剤と、フタル酸エス テルなどの芳香族カルボン酸エステルからなる液剤とを混合して使用される粘膜調 整材が記載されている。特許文献 1によれば、当該粘膜調整材はエタノールを含有 しないために、使用時に刺激や臭気による患者の不快感がなくなるとされている。し 力、しながら、フタル酸エステル等はエンドクリン阻害物質であるし、その他の芳香族力 ルボン酸エステルも、生体に対する影響が懸念されている。
[0006] 特許文献 2には、(メタ)アタリレート単量体と、酸エステル系可塑剤と、ポリアルキル
(メタ)アタリレートと重合開始剤とからなる義歯床用軟性樹脂組成物が記載されてい る。特許文献 2によれば、当該樹脂組成物においては、フタル酸エステル系可塑剤 を使用する代わりに酸エステル系可塑剤を使用することによって、エンドクリン阻害物 質を使用しないでも、義歯床用軟性樹脂材料に求められる適度な柔らかさ及び義歯 床と口腔粘膜との適合性等の性能を満たすことができるとされている。し力しながら、 酸エステル系可塑剤を使用した場合には、ポリアルキル (メタ)アタリレートの膨潤速 度が遅ぐ作業性が低下するという問題を有しており、特許文献 2の実施例において はエタノールを配合する場合もあった。また、アクリル系モノマーを使用するので、そ れによる口腔内への刺激も問題になりやすかった。
[0007] 特許文献 3には、不飽和二重結合を有する重合性モノマーと、ポリアルキル (メタ) アタリレートと、重合触媒とが混合されてなり、前記ポリアルキル (メタ)アタリレートの少 なくとも一部が前記重合性モノマー中に溶解してレ、ることを特徴とする義歯床用樹脂 材料が記載されている。これにより、粉剤と液剤とを計量、混合、練和して一定時間 放置する操作が必要なぐ予めペースト状となっていて操作が簡略化できるとされて いる。し力、しながら、熱や紫外線などを利用して硬化させる必要があるために、口腔 内での印象採取には必ずしも適さない場合も多かった。
[0008] 特許文献 4には、酢酸ビエルモノマー等の可塑剤と、ポリメチルメタタリレートとの混 合物からなる、歯科铸造鈎あるいは铸造床のための歯科用プラスチックパターン材 料が記載されている。このとき、铸造鈎あるいは铸造床を装着する部位の模型に、未 重合又は仮重合状態の前記パターン材料を付けて力 硬化重合させることによって 、弾力性及び復元性を有するプラスチックパターンが作業性よく得られる。実施例に おいては、酢酸ビュルモノマーとポリメチルメタタリレート粉末とを混合してペースト状 にしたパターン形成材料を石膏模型の表面に取り付け、加熱して硬化重合させてプ ラスチックパターンを得る方法が示されている。特許文献 4に記載されたパターン材 料は、模型に対して装着して硬化させるものであって口腔内に装着されるものではな レ、。そのため、前記パターン材料においては酢酸ビュルモノマーのような揮発性の高 いモノマーが好適に使用されている。し力、しながら、口腔内に装着する場合には、安 全性の観点から揮発性のモノマーを使用することは好ましくない。
[0009] 特許文献 1 :特開平 3— 20204号公報
特許文献 2 :特開 2002— 104913号公報
特許文献 3:特開 2000— 254152号公報
特許文献 4 :特開平 3— 112911号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、刺激性の物質の溶出 が抑制され、エンドクリン阻害物質等による人体への悪影響が低減し、しかも操作性 よく調製することの可能な、医療用途に適した樹脂組成物を提供することを目的とす るものである。
課題を解決するための手段
[0011] 上記課題は、エステル基を有する繰り返し単位から構成される重合体 (A)と、炭素 数が 6以上のビニルエステル単量体 (B)とからなる医療用樹脂組成物を提供すること によって解決される。このとき、重合体 (A)がポリアルキル (メタ)アタリレート (A1)、特 に、ポリメチルメタタリレート、ポリェチルメタタリレート及びメチルメタタリレート一ェチ ノレメタタリレート共重合体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好適で
ある。また、ビニルエステル単量体(B)が、ビュルカルボキシレート単量体(B1)であ ること、ビニルエステル単量体(B)が分子内に 2個以上のビュル基を有すること力 い ずれも好適である。
[0012] 前記樹脂組成物において、重合体 (A) 100重量部に対してビニルエステル単量体
(B) 20〜200重量部を含有することが好適である。また、更に重合開始剤(C)を含 有することも好適である。本発明の医療用樹脂組成物の好適な実施態様は歯科用 樹脂組成物であり、具体的には、粘膜調整材、機能印象材、裏装材、義歯床材及び マウスピース材からなる群から選択される少なくとも一種として好適に使用される。
[0013] 特に好適な実施態様は、粘膜調整材、機能印象材及び裏装材からなる群から選択 される少なくとも一種の、 口腔内に装着される歯科用樹脂組成物であって、ポリアル キル (メタ)アタリレート(A1) 100重量部と、炭素数が 6以上のビュルカルボキシレート 単量体 (B1) 20〜200重量部とからなることを特徴とする歯科用樹脂組成物である。
[0014] また、上記課題は、エステル基を有する繰り返し単位から構成される重合体 (A)の 粉剤と、炭素数が 6以上のビュルエステル単量体 (B)の液剤とを混合して増粘させる ことを特徴とする樹脂組成物の製造方法を提供することによつても解決される。このと き、重合体 (A)の粉剤の平均粒子径が 2〜200 μ ΐηであることが好適である。また、 更に重合開始剤(C)も加えて混合して増粘させることも好適である。混合して得られ た lmLの樹脂組成物をガラス板間に挟んで 100gの荷重をかける広がり試験におい て、試験終了後に広がった樹脂組成物の直径が 30mmになるときの、前記 (A)、(B )両成分を混合してから加重を開始するまでの時間が 3〜8分であることも好適である
[0015] 特に好適な実施態様は、粘膜調整材、機能印象材及び裏装材からなる群から選択 される少なくとも一種の、 口腔内に装着される歯科用樹脂組成物の製造方法であつ て、平均粒子径が 2〜200 μ mであるポリアルキル(メタ)アタリレート(A1)の粉剤 10 0重量部と、炭素数が 6以上のビュルカルボキシレート単量体(B1)の液剤 20〜200 重量部とを混合して増粘させることを特徴とする歯科用樹脂組成物の製造方法であ る。
[0016] 前記方法によって製造された樹脂組成物を、増粘させた後に賦形する成形品の製
造方法も本発明の好適な実施態様である。このとき、賦形された前記成形品を 37°C の水中に浸漬した際の、浸漬開始から 7日後のタイプ C硬度(H7)力 浸漬開始から 1日後のタイプ C硬度(HI)の 0. 8〜: 1. 2倍であることが好適である。また、賦形した 後、重合反応を進行させることも好適である。
発明の効果
[0017] 本発明の樹脂組成物は、刺激性の物質の溶出が抑制され、エンドクリン阻害物質 等による人体への悪影響も低減されているので、人体、特に口腔内に対して、安全 に使用することができる。また、粉剤と液剤とを混合する際の粘度増加速度も適切な 範囲に設定できるので、操作性も良好である。しかも、必要に応じて架橋反応を進行 させることも可能である力 、樹脂組成物からの溶出成分をさらに低減し、適度な硬さ の成形品を得ることも容易である。
図面の簡単な説明
[0018] [図 1]直鎖アルキルビニルエステルを使用した例にっレ、て、横軸に加重開始時間(分 )をとり、縦軸に平均直径 (mm)をプロットしたグラフである。
[図 2]分岐アルキルビニルエステルを使用した例について、横軸に加重開始時間(分 )をとり、縦軸に平均直径 (mm)をプロットしたグラフである。
[図 3]その他のビニルエステルを使用した例について、横軸に加重開始時間(分)をと り、縦軸に平均直径(mm)をプロットしたグラフである。
[図 4]ジビュルエステルを使用した例とジカルボン酸アルキルビニルを使用した例と、 脂肪族ジカルボン酸ジアルキルを使用した例とを対比して、横軸に加重開始時間( 分)をとり、縦軸に平均直径 (mm)をプロットしたグラフである。
[図 5]分子量を横軸にして、縦軸に平均直径 30mmの加重開始時間(分)をプロットし たグラフである。
[図 6]横軸に水への浸漬時間(日)をとり、縦軸にタイプ C硬度をプロットしたグラフで ある。
発明を実施するための最良の形態
[0019] 本発明の樹脂組成物は、エステル基を有する繰り返し単位から構成される重合体( A)と、炭素数が 6以上のビュルエステル単量体(B)とからなるものである。
[0020] 本発明の樹脂組成物を、粉剤と液剤を混合することによって調製する場合には、粉 剤と液剤を混合することにより水あめ状から餅状を経てゴム状へと、すなわち、粘性 体から弾性体へと物理的に性状が変化する。例えば、 口腔内の形状にきれいに沿わ せるためには、流動性を未だ保っている水あめ状のときに口腔内へ導入し、患者の 負担にならない時間内で弾性体に変化することが好ましい。したがって、上記性状の 変化が早すぎても遅すぎても好ましくない。従来液剤として広く使用されていたフタル 酸エステルは、従来粉剤として広く使用されていたポリメチルメタタリレート、ポリェチ ノレメタタリレートあるいはメチルメタタリレート一ェチルメタタリレート共重合体を膨潤さ せる速度が遅ぐエタノールの併用を必要としていた。また、脂肪酸エステル系の可 塑剤も提案されているが、本件明細書の比較例にも記載されているように、やはりそ れらの重合体を膨潤させる速度が十分ではなかった。
[0021] これに対して、本発明の樹脂組成物では、エステル基を有する繰り返し単位から構 成される重合体 (A)と混合する化合物として、炭素数が 6以上のビニルエステル単量 体 (B)を使用することを最大の特徴とする。炭素数が 6以上のビュルエステル単量体 (B)は、通常は重合性モノマーとして使用されることが多いものである力 ここでは可 塑剤としての性能にも着目したのである。実際、ポリメチルメタタリレート、ポリェチルメ タクリレートあるいはメチルメタクリレートーェチルメタタリレート共重合体からなる粉剤 と混合してみたところ、十分に速い速度で粉剤を膨潤させられることが明らかになつ た。したがって、従来の可塑剤であるフタル酸エステル類や脂肪族エステル類を使用 するときのようにエタノールを配合する必要がなレ、。
[0022] また従来、医療用樹脂組成物、特に歯科材料用樹脂組成物においては、樹脂組 成物中で重合反応を進行させるための単量体としてはアルキル (メタ)アタリレートが 広く用いられてきた。その主たる理由は、重合反応性が良好なためであり、重合反応 後に未反応の残存モノマーが少ない樹脂組成物が得られるのが特徴であった。しか しながら、反応性が良好であるために、時には反応熱や反応時の収縮が問題になる こと力 Sあるし、生体に対する刺激性に問題を有する場合もあった。これに対し、炭素 数が 6以上のビュルエステル単量体 (B)を使用した場合には、確かに重合反応性は 低下するが、十分に実用的なレベルでの重合反応が可能である。し力、も、ポリビニノレ
エステルはポリアルキル (メタ)アタリレートに比べて Tgが低く柔軟であり、重合反応後 に得られる成形品を強靭なものとすることも容易である。また、仮に未反応の残存モノ マーが残ったとしても、それほど溶出するわけではなぐ重合反応の進行によって溶 出は効果的に抑制されるし、生体に対する安全性も高い化合物である。
[0023] まず、重合体 (A)について説明する。重合体 (A)は、エステル基を有する繰り返し 単位カゝら構成されるものである。ここで、繰り返し単位に含まれるエステル基は、ポリ アルキル (メタ)アタリレート(A1)やポリビュルエステルのように側鎖に含まれるもので あっても構わないし、ポリエステルのように主鎖に含まれるものであっても構わない。
[0024] なかでも重合体 (A)として好適に使用されるの力 ポリアルキル (メタ)アタリレート( A1)である。ポリアルキル (メタ)アタリレート (A1)は、比較的ガラス転移温度の高い 非晶性の重合体であり、懸濁重合によって本発明の実施に好適な粒径の粉剤を容 易に得ることも可能である。中でも、ポリメチルメタタリレート、ポリェチルメタタリレート 及びメチルメタクリレートーェチルメタタリレート共重合体からなる群から選択される少 なくとも一種であることが好ましい。この場合には、ガラス転移点が高いために、 S彭潤 した後も室温付近で形態保持性の良好な成形体になりやすい。より硬度の高い成形 体を得たい場合には、ポリメチルメタタリレートを使用することが好適である力 膨潤速 度を考慮すれば、ポリェチルメタタリレート又はメチルメタクリレートーェチルメタクリレ ート共重合体が好適である。
[0025] 重合体 (A)として好適に使用される他のものとしては、ポリエステル、特に脂肪族ポ リエステルが例示される。脂肪族ポリエステルは生分解性を有するものが多ぐ生体 適合性が良好で、医療用の樹脂材料として好適に使用されるものである。脂肪族ポリ エステルとしては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリ力プロラタトンなどが例示 される力 これらは、他の共重合成分が共重合されたものであってもよい。なかでも、 生分解性と生体親和性との観点からポリ乳酸が好適である。このような脂肪族ポリエ ステルからなる粉剤とビュルエステル単量体 (B)からなる液剤とを混合した場合には 、比較的速やかに増粘させることが可能である。
[0026] 重合体 (A)の分子量は特に限定されなレ、が、通常 5, 000〜2, 000, 000程度の 重量平均分子量を有するものが使用される。分子量が低すぎる場合には、樹脂組成
物が柔軟になりすぎて、得られる成形物の形態保持性が悪化するおそれがある。分 子量はより好適には 50, 000以上であり、さらに好適には 100, 000以上である。一 方、分子量が高すぎる場合には、樹脂組成物が硬くなりすぎるおそれがある。分子量 はより好適には 1, 500, 000以下であり、さらに好適には 1, 000, 000以下である。 上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測定する こと力 Sできる。
[0027] 炭素数が 6以上のビュルエステル単量体(B)としては、特に限定されるものではなく 、ビュルカルボキシレート単量体(Bl)、ビュルフォスフェート単量体、ビニルスルフォ ネート単量体などを使用することができる。これらのうちでも、ビュルカルボキシレート 単量体(B 1 )又はビュルフォスフェート単量体が好適に使用され、特にビュルカルボ キシレート単量体 (B1)力 安全性や入手の容易さなどの観点から好適である。
[0028] ビュルカルボキシレート単量体(B1)としては、モノビュルエステルを使用することも できるし、ジビニルエステル、トリビニルエステル等、分子内に 2個以上のビエル基を 有するもののいずれを使用することもできる。ビニルカルボキシレート単量体(B1)と しては、酪酸ビニル(n= 6)、カプロン酸ビュル(n=8)、力プリル酸ビニル(n= 10)、 力プリン酸ビニル(n= 12)、ラウリル酸ビニル(n= 14)、ミリスチン酸ビニル(n= 16) 、パルミチン酸ビニル(n= 18)、ステアリン酸ビュル(n= 20)などの直鎖飽和アルキ ノレビエルエステル;ゥンデシレン酸ビエル(n= 13)、ソルビン酸ビニル(n= 8)などの 直鎖不飽和アルキルビニルエステル;イソ酪酸ビニル(n= 6)、 2—メチル酪酸ビニル (n= 7)、イソ吉草酸ビニル(n= 7)、ビバリン酸ビュル(n= 7)、 2, 2—ジメチルブタ ン酸ビ二ノレ(n= 8)、 2—ェチルー 2—メチルブタン酸ビエル(n= 9)、 2, 2—ジメチル ペンタン酸ビュル(n= 9)、 2—ェチルへキサン酸ビュル(n= 10)、ネオノナン酸ビニ ノレ(n= l l)、ネオデカン酸ビュル(n= 12)などの分岐アルキルビュルエステル;シク 口へキサンカルボン酸ビュル(n= 9)などのシクロアルキルビュルエステル;安息香酸 ビュル(n= 9)、 p—メチル安息香酸ビュル(n= 10)、桂皮酸ビュル(n= l l)、 4一 te rt—ブチル安息香酸ビュル(n= 13)などの芳香族ビュルエステル;ノヽロゲン化アル キルビュルエステル;セバシン酸メチルビュル(n= 13)などのジカルボン酸アルキノレ ビュルなどが例示される。カルボン酸のジビュルエステルとしては、シユウ酸ジビュル
(n=6)、マロン酸ジビュル(n= 7)、コハク酸ジビニル(n= 8)、グルタル酸ジビュル( n= 9)、アジピン酸ジビエル(n= 10)、ァゼライン酸ジビエル(n= 11)、スベリン酸ジ ビュル(n= 12)、セバシン酸ジビニル(n= 14)、マレイン酸ジビニル(n= 8)、フマル 酸ジビュル(n=8)、フタル酸ジビュル(n= 12)、イソフタル酸ジビュル(n= 12)、テ レフタル酸ジビュル(n= 12)などが例示される。カルボン酸のトリビュルエステルとし ては、へミメリト酸トリビュル (n= 15)、トリメリット酸トリビュル (n= 15)、トリメシン酸トリ ビニル (n= 15)などが例示される。上記括弧内の数字は、ビニルエステル単量体(B )に含まれる炭素原子数である。
[0029] 本発明で使用されるビュルエステル単量体(B)の炭素数は 6以上である。ビュルェ ステル単量体 (B)の揮発性が高いと、臭気が発生したり、溶出しやすかつたりするの で好ましくなレ、。また、重合反応を進行させる場合には、収縮率が大きくなりやすいの で、寸法精度の点力 も好ましくなレ、。一般に、ポリビュルエステルは、ポリアルキル( メタ)アタリレートよりもガラス転移温度が低ぐ特に炭素数の大きい脂肪族のビュルェ ステル単量体 (B)を重合させたものは、室温以下のガラス転移温度を有することも多 レ、。したがって、本発明の樹脂組成物においてビュルエステル単量体(B)の重合反 応を進行させた場合に、炭素数を大きくすることによって、重合反応を進行させても 硬度の上昇を少なく抑えることができ、この場合、柔軟でありながらも低溶出性である 成形品を得ることができる。炭素数は、より好適には 8以上であり、さらに好適には 10 以上である。一方、炭素数が大きすぎると重合体 (A)からなる粉剤とビュルエステル 単量体 (B)からなる液剤を混合した場合に膨潤する速度が低下するので、ビニルェ ステル単量体(B)の炭素数が 20以下であることが好ましぐ 15以下であることがより 好ましい。
[0030] ビュルエステル単量体(B)が分子内に 2個以上のビュル基を有するものであること が好ましい。分子内に複数の官能基を有することによって、分子量の大きいビュルェ ステル単量体(B)であっても、重合体 (A)力、らなる粉剤とビュルエステル単量体(B) 力 なる液剤を混合した場合に膨潤する速度が速くなる。分子量が大きレ、ビュルエス テルであっても操作性良く使用することが可能になるので、結果として、刺激性、溶 出性の抑制された樹脂組成物を得ることができる。さらに、ビュルエステル単量体(B
)を網目状に重合させることができるので、重合反応を進行させた場合には、重合率 力 Sそれほど高くなくても溶出性を大きく抑制することができる。
[0031] エンドクリン阻害性など、生体に対する悪影響の発生する可能性を考慮すると、ビ ニルエステル単量体(B)が芳香環を含まなレ、構造であることが望ましレ、。したがって 、脂肪族ビュルエステルや脂環式ビュルエステルなどが好適に使用される。得られる 樹脂組成物の柔軟性も考慮すれば、脂肪族のビニルエステルが好適に使用される。 脂肪族ビュルエステルは、直鎖アルキルビュルエステルであっても分岐アルキルビ ニルエステルであっても構わない。また、モノビュルエステルであっても、分子内に 2 個以上のビュル基を有するビュルエステルであっても構わない。
[0032] ビュルエステル単量体(B)は、一種類のみを使用しても良レ、し、複数種類のビュル エステル単量体(B)を混合して使用しても構わなレ、。例えば、モノビニノレエステノレと、 分子内に 2個以上のビュル基を有するビュルエステルとを混合して使用してもよい。 また、炭素数の少なレ、ビュルエステルと炭素数の多レ、ビュルエステルとを混合して使 用しても良い。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、ビニルエステル 単量体 (B)と共重合可能な他の種類の単量体、例えば (メタ)アタリレート単量体、ス チレン単量体、塩化ビエル単量体などを併用しても構わない。エタノールなどのアル コールは、溶出の弊害があるので併用しない方が望ましい。
[0033] 本発明の樹脂組成物は、重合体 (A) 100重量部に対してビュルエステル単量体( B) 20〜200重量部を含有するものであることが好ましい。ビニルエステル単量体(B )の含有量が、重合体 (A) 100重量部に対して 20重量部未満の場合には、重合体( A)を十分に可塑化できず、例えば口腔内の印象を採取するのに十分な流動性を得 ることが困難になるおそれがある。より好適には 30重量部以上であり、さらに好適に は 50重量部以上である。一方、ビュルエステル単量体(B)の含有量力 重合体 (A) 100重量部に対して 200重量部を超える場合には、混合後の樹脂組成物の粘度が 低くなりすぎたり、長時間経過後も形態保持が可能な程度に硬化しなかったりするお それがある。より好適には 150重量部以下であり、さらに好適には 120重量部以下で ある。
[0034] 本発明の樹脂組成物は、更に重合開始剤(C)を含有することが好ましい。これによ
り、必要に応じてビニルエステル単量体 (B)を温和な条件で効果的に重合させること ができる。使用される重合開始剤(C)は、ビュルエステル単量体 (B)を重合させるこ とのできるものであれば特に限定されず、ラジカル重合開始剤や光重合開始剤など が使用される。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物や有機ァゾ化合物が好 適に使用される。これらのラジカル重合開始剤は加熱することによってラジカルを発 生させるものであっても構わないし、ァミンなどと混合することによって常温でラジカル を発生させるものであっても構わない。また、光重合開始剤を使用する場合には増感 剤と還元剤の組み合わせなどが採用される。
[0035] 重合開始剤 (C)を配合する際の好適な含有量は、ビニルエステル単量体 (B) 100 重量部に対して 0. 01〜: 10重量部である。 0. 01重量部未満の場合には、重合反応 を促進する効果が十分でなくなるおそれがあり、より好適には 0. 1重量部以上である 。一方、 10重量部を超える場合には、重合反応を促進する効果が頭打ちになるとと もに、重合開始剤(C)に由来する溶出成分が増加するおそれもある。配合量は、より 好適には 5重量部以下である。
[0036] 本発明の樹脂組成物は、上記重合体 (A)、ビニルエステル単量体 (B)及び重合開 始剤 (C)以外の成分を含有しても構わない。例えば、フィラー、着色料、抗菌剤、香 料などを用途に応じて配合することができる。
[0037] 本発明の樹脂組成物の好適な製造方法は、エステル基を有する繰り返し単位から 構成される重合体 (A)の粉剤と、炭素数力 ½以上のビニルエステル単量体 (B)の液 剤とを混合して増粘させる方法である。上記粉剤と液剤とを混合する際には、増粘速 度を向上させたり、全体を均質にしたりするために撹拌することが好ましい場合が多 レ、。し力 ながら、樹脂組成物内部への気泡の混入を防止したい場合には、液剤中 に粉剤を散布するか、粉剤中に液剤を浸み込ませるかした後、撹拌せずに静置して 増粘させる方が好ましレ、場合もある。
[0038] ここで使用される重合体 (A)の粉剤の平均粒子径が 2〜200 μ mであることが好ま しい。平均粒子径が 2 z m以下の場合には、取り扱いが困難になるとともに製造が困 難になる。平均粒子径は、より好適には 10 z m以上である。一方、平均粒子径が 20 0 μ mを超える場合には、重合体 (A)の粉剤とビニルエステル単量体 (B)の液剤とを
混合する際に、増粘速度が低下して操作性が悪化したり、得られる樹脂組成物の機 械強度が低下したりするおそれがある。平均粒子径は、より好適には 100 μ ΐη以下で ある。
[0039] 重合体 (A)及びビニルエステル単量体 (B)に加えて、更に重合開始剤 (C)を加え て混合して増粘させることによって、効果的に重合反応を進行させることができる。こ の場合、重合開始剤(C)を、重合体 (A)又はビニルエステル単量体 (B)のレ、ずれか に予め混合しておくことが、操作を簡便にできて好ましい。液剤の方が均一に混合し やすいので、ビュルエステル単量体 (B)に重合開始剤(C)を予め混合しておくことが 好適である。また、重合開始剤(C)が複数種類の化合物を混合してラジカルを発生 させるものである場合には、その一方を重合体 (A)に、他方をビュルエステル単量体 (B)に、予め混合しておくこともできる。
[0040] 重合体 (A)の粉剤とビュルエステル単量体 (B)の液剤とを混合することによって、 重合体 (A)の中にビュルエステル単量体 (B)が浸透し、重合体 (A)が膨潤して徐々 に粘度が上昇する。このようにして増粘させた後に賦形して成形品を製造することが 好ましい。賦形する際の樹脂組成物は、十分に粘度が上昇していながらも流動性を 保った状態であることが好ましい。賦形は、型に押し付けることによって、あるいは充 填することによって行われる。医療用途に使用する場合であれば、ここでいう「型」と は、身体又はその構成部分そのものであったり、それらから写し取った型である場合 が多い。
[0041] 本発明の樹脂組成物は、賦形された後にもさらに増粘し、多くの場合実質的に流 動性を失って、主として弾性体としての性質を有するものとなる。この状態のままで使 用することもできるし、その後、含まれるビュルエステル単量体 (B)を重合させても構 わない。室温で重合反応が進行するような重合開始剤(C)を使用する場合には、混 合しただけでも増粘と同時に重合反応が進行するが、熱や光を用いて重合反応を進 行させる場合には、熱や光で処理するまでは実質的に重合反応は進行しない場合 が多い。
[0042] 上述のように、重合体 (A)の粉剤とビュルエステル単量体(B)の液剤とを混合して 得られる樹脂組成物は、混合後に増粘させてから賦形される。そして、賦形後にもさ
らに増粘して実質的に流動性を失う。したがって、例えば口腔内に装着して賦形する ような場合に、医師の作業性と患者の負担とを考慮すれば、一定の時間内で適当な 粘度になることが好ましい。このような増粘速度を判断する方法が広力 Sり試験である。 すなわち、混合して得られた lmLの樹脂組成物をガラス板間に挟んで 100gの荷重 をかける広がり試験において、試験終了後に広がった樹脂組成物の直径が 30mm になるときの、前記 (A)、 (B)両成分を混合してから加重を開始するまでの時間が 3 〜8分であることが好ましい。当該時間力 ¾分未満である場合には、増粘速度が速す ぎて作業時間が十分に確保できないおそれがある。一方、当該時間が 8分を超える 場合には、増粘速度が遅すぎて作業効率が低下するとともに、患者の負担も大きくな る。ここで、広がり試験の具体的な方法は、後の実施例の欄に記載したとおりである。
[0043] また、上述のように、本発明の樹脂組成物は、従来の可塑剤であるフタル酸エステ ル類ゃ脂肪族エステル類を使用するときのようにエタノールを配合する必要がない。 従来のエタノールを含有する樹脂組成物からなる成形品においては、エタノールの 水中への溶出に由来すると思われる硬度上昇が認められる力 S、ビュルエステル単量 体 (B)を使用した本発明の成形品では、そのような硬度上昇は認められず、低溶出 性であることがわかる。すなわち、賦形された成形品を 37°Cの水中に浸漬した際の、 浸漬開始から 7日後のタイプ C硬度(H7) 、浸漬開始から 1日後のタイプ C硬度(H 1)の 0. 8〜: 1. 2倍であることが好ましい。浸漬開始直後には、温度変化や吸水率の 変化に伴う硬度の初期変動があるので、浸漬開始から 1日後のタイプ C硬度(HI)を 基準にしてその後の硬度変化を判断するものである。ここで、水中に浸漬する具体的 な方法は後の実施例の欄に記載したとおりである。
[0044] 以上のようにして賦形した後、重合反応を進行させることも可能である。これによつ て、成形品内に存在するビニルエステル単量体 (B)の溶出を効果的に抑制すること ができる。また、ビュルエステル単量体 (B)の種類やその重合度を調整することによ つて、樹脂組成物の硬度を上昇させることもできるから、所望の硬度を有する成形品 を容易に得ることができ、軟質の樹脂組成物から硬質の樹脂組成物まで、用途に応 じて任意の硬度を有する樹脂組成物を得ることができる。また、加熱することや、光照 射することによって、賦形した後で重合反応を進行させることができるが、作業性を考
慮すれば加熱する方法が好適である。例えば、温水に浸漬するだけでも簡単に重合 反応を進行させることができる。また、加熱条件によっては、重合開始剤(C)を使用し なくても重合反応を進行させることもできる。
[0045] 以上説明した本発明の樹脂組成物は、低溶出性であり、生体に対する安全性が高 レ、ことから、医療用樹脂組成物として好適に使用することができる。なかでも、口腔内 の粘膜に接触した際に刺激が少なぐ唾液中への溶出物質も少なぐ操作性よく調 製することができ患者の負担も少なくできるから、歯科用樹脂組成物として好適であ る。
[0046] 歯科用途に使用する場合の好適な実施態様は、具体的には、粘膜調整材、機能 印象材、裏装材、義歯床材及びマウスピース材などである。これらのうちでも、粘膜調 整材、機能印象材及び裏装材は、高粘度の流動状態にあるときに口腔内に装着さ れて、所定時間のうちに実質的に流動性が失われた弾性体にするものであり、本発 明の本発明の樹脂組成物を使用する利益が特に大きいものである。
[0047] 粘膜調整材は、義歯床下粘膜面に局部的な過剰圧が加わることにより、床下粘膜 や歯槽堤に異常が発生した場合に、咬合時に義歯から床下粘膜面に加わる圧力を 緩和し、正常な状態へと回復させるために使用されるものである。本発明の樹脂組成 物が高粘度の流動状態にあるときに義歯粘膜面に流し込んで口腔内に装着して、義 歯粘膜面と義歯床下粘膜面の空隙を満たし、所定時間のうちに実質的に流動性が 失われた弾性体になるものである。患者の口腔内で弾性体になることが要求されるの で、膨潤速度の速い樹脂組成物が望まれており、重合体 (A) 1S、ポリェチルメタクリレ ート又はメチルメタクリレートーェチルメタタリレート共重合体であることが好ましぐま たビュルエステル単量体 (Β)の炭素数が 15以下であることが好ましい。また、柔軟性 の要求される用途なので、ビニルエステル単量体 (Β)の重合反応は実質的に進行さ せなくても良ぐ進行させるとしても重合率は低くても良い。重合率を高めて裏装材に 移行させることも可能である。
[0048] 機能印象材は、実際の使用状態における義歯の不適合を調整するために、義歯を 装着した状態で一定の時間使用した上で印象を採取するためのものである。患者の 口腔内への装着方法は上記粘膜調整材と同様であるが、使用中も一定の流動性を
保っている必要があり、 S彭潤速度は粘膜調整材ほど速くなくても良い。したがって、ビ ニルエステル単量体(B)の炭素数は 8以上であることが好ましぐ 10以上であること 力 Sさらに好ましい。こうして採取された印象を用いて、義歯床の裏面が調整される。重 合反応を進行させる必要性については、上記粘膜調整材と同様である。重合率を高 めて裏装材に移行させることも可能である。
[0049] 裏装材は、義歯床の不適合部分を修正する目的で義歯床の裏面に接着させるも のである。上記粘膜調整材ゃ機能印象材と同様の方法で、本発明の樹脂組成物を 患者の口腔内へ装着して印象を採取して、そのまま裏装しても良い。また、別途採取 した印象から作成した型を使用し、本発明の樹脂組成物を用いて裏装しても良い。 裏装材は、上記粘膜調整材ゃ機能印象材よりは長期間、例えば 1ヶ月以上使用する ことも多いので、ある程度の強度を有し、し力 クッション性も良好であるものが望まし レ、。したがって、重合反応を少し進行させることが好ましい場合もある。重合率を調整 することにより硬さの調整が可能である。
[0050] 義歯床やマウスピースを製造する際、本発明の樹脂組成物を用いて直接口腔内で 成形品を製造する場合は少なぐ既に採取された印象を用いて本発明の樹脂組成 物からなる成形品を製造することが多い。これらの用途では機械的強度が要求される ので、本発明の樹脂組成物を賦形した後に重合反応を進行させることが好ましい。 本発明の樹脂組成物は、靭性に優れているので、このような用途にも好適に使用さ れる。
[0051] また、本発明の樹脂組成物は、低溶出性であり、生体に対する安全性が高ぐしか も反応熱の発生や収縮も少ないので、例えば、整形外科分野での骨セメントなどとし ての使用にも適してレ、ると考えられる。
実施例
[0052] 以下、実施例を用いて本発明を説明する。実施例に記載された測定方法、評価方 法は以下の方法に従って行った。
[0053] (1)平均粒子径
日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置 HRA (レーザー回折散乱法) を用いて、試料投入量 0. lg、計測時間 20秒の条件で 2回測定し、その平均値を重
合体 (A)の粉体の平均粒子径( μ m)とした。
[0054] (2)広がり試験
重合体 (A)からなる粉剤 2gと液剤 1. 8mLとを混合し、 30秒間攪拌してから、 lmL の混合物を試料採取用ジグに流し込んだ。試料採取用ジグは、内径 10mmのガラス 管とシリコーンゴム製のピストンとからなるものであり、ピストンの上に付着防止用のプ ラスチックフィルムを敷いてから、その上に混合物を流し込んだ。加重開始時間の 30 秒前にピストンを押して、混合物を試料採取用ジグからガラス板(70mm X 70mm X lmm)の上に押し出した。ここで、加重開始時間は、粉剤と液剤との混合を開始して 力 の時間である。加重開始時間になったら、おもりを載せたガラス板(70mm X 70 mm X lmm)で上記混合物を挟んで荷重を加えた。このとき、おもりとガラス板の合 計重量である 100gの荷重が加わることになる。この後 30秒間荷重を加えて、広がつ た樹脂組成物の最長径と最短径を計測し、その平均値を平均直径 (mm)として求め た。
[0055] (3)ゴム硬度測定
ガラス板の上にプラスチックフィルムを載せ、その上に内径 25mm、高さ 10mmのリ ング金型を載せた。次に、重合体 (A)からなる粉剤 6gと液剤 5mLとを混合し、 30秒 間攪拌してから、上記金型内に流し込んだ。金型の上にプラスチックフィルムを載せ てからガラス板を載せ、混和開始から 2分後に 2枚のガラス板に挟んだ状態で 37°C の水中に 1時間浸漬した。水から取り出した試料を金型からはずしてフィルムを取り除 き、ゴム硬度を測定した(0日)。その後、試料を 37°Cの脱イオン水に浸漬し、 1日後、 3日後及び 7日後に脱イオン水から取り出してゴム硬度を測定した。ゴム硬度(タイプ C)は、高分子計器株式会社製デュロメーター「ァスカーゴム硬度計 C2型」を使用し、 JIS K7312— 1996「熱可塑性ポリウレタンエラストマ一成型物の物理試験方法」の 付属書 2「スプリング硬さ試験タイプ C試験方法」に準拠した方法で測定した。
[0056] 実施例 1 (広がり試験)
重合体 (A)力もなる粉剤として平均粒子径が約 40 μ mのポリェチルメタタリレート( PEMA)の粉体 2gを使用し、液剤として 1重量%のベンゾィルパーォキシド(C:重合 開始剤)を含有する下記の様々なビュルエステル単量体 (B)などの液体 1. 8mLを
用いて、上記方法に従って広がり試験を行った。ここで、上記 PEMAの、ゲルパーミ エーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量は約 400, 000であ る。また、フタル酸ジブチルにエタノール 15重量%を混合したもの(Standard)は、 現在市販されている粘膜調整材の処方に相当するものであり、広力 ^試験の結果が これと同程度であれば、粘膜調整材として使用する際の操作性が良好であるという基 準になるものである。
[直鎖アルキルビュルエステル]
•力プリル酸ビュル (VO:n=10:分子量 170.25)
•力プリン酸ビュル(VD:n=12:分子量 198.3)
[分岐アルキルビュルエステル]
• 2 _メチル酪酸ビュル(V2MB: n=7:分子量 128.17)
•イソ吉草酸ビュル(V3MB:n = 7:分子量 128.17)
•ビバリン酸ビニル(N5 -VE: n = 7:分子量 128· 17)
•2, 2—ジメチルブタン酸ビエル (VDMB:n = 8:分子量 142· 2)
•2—ェチルー 2—メチルブタン酸ビエル(VEMB:n=9:分子量 156· 22)
[シクロアルキルビニルエステル]
•シクロへキサンカルボン酸ビエル (VCHC: n= 9:分子量 154.21)
[不飽和アルキルビニルエステル]
•ゥンデシレン酸ビエル (VUD: n = 13:分子量 210.31)
•ソルビン酸ビニル (VS:n=8:分子量 138· 16)
[芳香族ビュルエステル]
'安息香酸ビュル(VBz:n = 9:分子量 148.16)
•p_メチル安息香酸ビュル(VMB:n=10:分子量 162.19)
•桂皮酸ビュル (VC:n=ll:分子量 174.2)
•4_tert_ブチル安息香酸ビュル(VTBB:n=13:分子量 204.26)
[ジカルボン酸アルキルビュル]
•セバシン酸メチルビュル(MVS: n=13:分子量 242.31)
[ジビ二ノレエステノレ]
•アジピン酸ジビニノレ(DVA: n= 10:分子量 198. 22)
•セバシン酸ジビニル(DVS : n= 14 :分子量 254· 32)
[その他の液剤]
•アジピン酸ジブチル(DBA: n = 14:分子量 258. 4)
•セバシン酸ジブチル (DBS: n= 18:分子量 314. 47)
'フタル酸ジブチル(n= 16 :分子量 278. 35)にエタノール 15重量%を混合したもの (Standard)
[0058] 横軸に加重開始時間(分)をとり、縦軸に平均直径 (mm)をプロットしたグラフを図 1 〜4に示す。図 1には直鎖アルキルビュルエステルを使用した例を、図 2には分岐ァ ルキルビュルエステルを使用した例を、図 3にはその他のビュルエステルを使用した 例をそれぞれ示す。また、図 4にはジビュルエステルを使用した例とジカルボン酸ァ ルキルビュルを使用した例と、脂肪族ジカルボン酸ジアルキルを使用した例とを対比 して示した。ビュルエステル単量体 (B)の種類を選択することによって、広がり速度を 幅広くコントロールできることがわかる。なかでも、炭素数 10の直鎖アルキルビニルェ ステルである力プリル酸ビニル (VO:分子量 170· 25)及び炭素数 10のジビニルエス テルであるアジピン酸ジビュル (DVA:分子量 198. 22)力 粘膜調整材として使用 するのに適当な広がり速度を有することがわかる。
[0059] また、上記図 1〜4に示したグラフにおいて平均直径がちょうど 30mmになると想定 される加重開始時間(分)を算出した。図 5は、ビュルエステル単量体 (B)などの分子 量を横軸にして、縦軸に平均直径 30mmの加重開始時間(分)をプロットしたグラフ である。ここで、フタル酸ジブチルとエタノールとの混合物である「Standard」におけ る平均直径 30mmの加重開始時間 4. 1分については、グラフ上に横軸と平行な点 線で示した。
[0060] 図 5からわかるように、同種の化合物であれば、分子量が高いほど増粘速度が低下 する。また、同程度の分子量であれば直鎖アルキルビュルエステル (飽和、不飽和と も) >シクロアルキルビュルエステル >分岐アルキルビュルエステルの順に、増粘速 度が速いことがわかる。増粘速度が同じであれば、分子量が高い方が揮発性や溶出 性の観点からは有利なので、この点からは、分子骨格としては直鎖の骨格を有するも
のの方が好ましいと考えられる。また、芳香族ビエルエステルは、直鎖アルキルビニ ルエステル同様に比較的増粘速度が早いが、エンドクリン阻害性など、生体に対す る安全性に配慮しながら使用する必要があると思われる。
[0061] また、図 4及び図 5からわかるように、ジビュルエステルは、同程度の分子量であれ ば直鎖アルキルビュルエステルよりも増粘速度が速レ、ので、揮発性や溶出性の観点 力 はさらに有利である。さらに重合反応を進行させる場合には、重合性官能基を複 数個有するために、一段と溶出防止性能を向上させることができる。したがって、ジビ ニルエステルは本発明の樹脂組成物に使用するビュルエステル単量体(B)としては 、最も有用なものであることがわかる。ジカルボン酸アルキルビュルが有するビュルェ ステル基は 1つである力 他のエステル基をさらに 1つ有しているので、増粘速度はジ ビュルエステルよりも少し遅いだけであり、これも有用であることがわかる。ただし、ェ ステル基のみを 2つ有し、ビュル基を有さないアジピン酸ジブチル(DBA: n= 14 :分 子量 258. 4)については、セバシン酸ジビニル(DVS : n= 14 :分子量 254. 32)と 炭素数が同じで、分子量も同程度であるにもかかわらず、増粘速度が大きく低下して おり、ビエルエステル基を有することが、膨潤性の点から重要であることがわかる。
[0062] 実施例 2 (ゴム硬度試験)
重合体 (A)からなる粉剤として、実施例 1と同じポリェチルメタタリレート(PEMA)の 粉体 6gを使用し、液剤として 1重量%のベンゾィルパーォキシド(C:重合開始剤)を 含有する下記の様々なビュルエステル単量体(B)などの液剤 5mLを用いて、上記 方法に従ってタイプ C硬度を測定した。
[0063] [直鎖アルキルビニルエステル]
•力プリル酸ビュル (VO : n= 10 :分子量 170. 25)
[シクロアルキルビュルエステル]
•シクロへキサンカルボン酸ビュル(VCHC: n= 9 :分子量 154. 21)
[芳香族ビニルエステル]
•p_メチル安息香酸ビュル(VMB : n= 10 :分子量 162. 19)
•桂皮酸ビュル (VC : n= l l :分子量 174. 2)
[ジビ二ノレエステノレ]
•アジピン酸ジビニノレ(DVA: n= 10:分子量 198. 22)
[その他の液剤]
'フタル酸ジブチル(n= 16 :分子量 278. 35)にエタノール 15重量%を混 1
(Standard)
[0064] 図 6は、横軸に水への浸漬時間(日)をとり、縦軸にタイプ C硬度をプロットしたダラ フである。ビュルエステル単量体(B)を使用した例では、「Standard」よりも柔軟な成 形品を得ることができた。必要に応じて、ビュルエステル単量体 (B)を後から重合さ せて硬度をさらに上昇させることも可能であるから、幅広い硬度のゴム硬度の成形品 を得ることが可能であることがわかる。また、エタノールを含有する「Standard」は、ェ タノールの水中への溶出に由来すると思われる硬度上昇が認められる力 S、ビュルェ ステル単量体 (B)を使用した例では、そのような硬度上昇は認められず、低溶出性 であることがわかる。
[0065] 実施例 3 (重合試験)
平均粒子径が約 50 μ mのメチルメタクリレー ΜΜΜΑ: 40重量%)—ェチルメタタリ レート(ΕΜΑ: 60重量%)共重合体の粉体 2gとベンゾィルパーオキサイドを 1重量% 含有するアジピン酸ジビニル (DVA) lgとを混合して 30秒間攪拌した。ここで、上記 MMA— EMA共重合体の、 GPCで測定した重量平均分子量は約 500, 000である 。得られた混和物を 2mm X 2mm X 25mmの試験片が成型できる金型に填入し、 3ト ンの荷重をかけながら 100°Cで 10分間保持して重合反応を進行させた。 自然放冷 後、金型から取り出した試験片を空気中に一日放置した後、万能試験機 (インスト口 ン 5544)で三点曲げ試験(支点間距離: 20mm、クロスヘッドスピード: 0. 5mm/分 )を行い、曲げ強さ、曲げ弾性係数、破断エネルギー及び最大橈み量を測定した。ま た、重合反応前後の試料について、近赤外分光光度計において吸光スペクトル測定 を行レ、、末端メチレン基に由来する吸収ピークの高さから残存モノマー量を算出し、 重合率(0/0 )を求めた。比較例としてアジピン酸ジビュルの代わりにメチルメタクリレー トを使用した試料も同様に評価した。評価結果を表 1にまとめて示す。
[0066] [表 1]
MMA-EMA共重合体 MMA-EMA共重合体 及び DVA単量体 及び MMA単量体 曲げ強さ (MPa) 68.8 90.4 曲げ弾性係数(GPa) 1 .91 2.63 破断エネルギー (kJ/m2) 22.22 7.78 取大撓み量 (mm) 6.45 2.1 6 重合率 (%) 77.2 99.3
[0067] ビュルエステル単量体(B)であるアジピン酸ジビニル(DVA)を使用した場合には 、メチルメタクリレー HMMA)を使用した場合に比べると重合率が低ぐビュルエス テル単量体 (B)はアルキル (メタ)アタリレートよりも反応性が低レ、ことがわかる。その ため、 DVAを使用した場合の曲げ弾性率と曲げ弾性係数は、 MMAを使用した場 合よりもやや低い値を示した。し力 ながら、 DVAを使用した場合の破断エネルギー と最大橈み量は MMAを使用した場合よりもはるかに大きな値になっており、靭性に 優れた成形品が得られたことがわかる。このような靭性に優れた成形品は、歯科材料 用途であれば、義歯床材ゃマウスピース材として好適に使用できる可能性がある。
[0068] 実施例 4 (ポリ乳酸の使用)
重合体 (A)として、脂肪族共重合ポリエステル樹脂である、乳酸 (75モル%)—ダリ コール酸(25モル%)共重合体 (和光純薬株式会社製 rPLGA- 7510 :分子量 10, 000」)の粉体 0. 5gを混和カップに入れ、そこにプロピオン酸ビエルを 0. 45mL滴下 して、 30秒間攪拌して、物理的性状変化を観察した。その結果、「Standard」とほぼ 同様の速度で膨潤 (溶解)が進行し、数分後には見かけ上均一で粘調な液体となつ た。ただし、一晩経過後でも粘度は増しているもののゴムというよりは、更に粘度が増 カロした液体であり、ある形を作っても 1時間後にはその形が無くなってしまう程度に流 動性を持っていた。また、プロピオン酸ビエルの代わりにアジピン酸ジビニル(DVA) を使用したところ、その膨潤 (溶解)速度は極めて遅ぐ同様の性状になるのに半日 要した。したがって、混合するだけで弾性体を得る必要があるような用途には使用が 困難であることがわかった。し力 ながら、架橋させれば流動性をなくすることは可能 なはずであり、生分解性の要求される用途に対しては有用な材料であると考えられる
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ZLL00£/900Zdr/lDd OAV
Claims
請求の範囲
[I] エステル基を有する繰り返し単位から構成される重合体 (A)と、炭素数が 6以上のビ ニルエステル単量体 (B)とからなる医療用樹脂組成物。
[2] 重合体 (A)がポリアルキル (メタ)アタリレート (A1)である請求項 1記載の医療用樹脂 組成物。
[3] ビニルエステル単量体(B)力 ビニルカルボキシレート単量体(B1)である請求項 1 又は 2記載の医療用樹脂組成物。
[4] ビュルエステル単量体(B)が分子内に 2個以上のビュル基を有する請求項:!〜 3の いずれか記載の医療用樹脂組成物。
[5] 重合体 (A) 100重量部に対してビニルエステル単量体(B) 20〜200重量部を含有 する請求項 1〜4のいずれか記載の医療用樹脂組成物。
[6] 更に重合開始剤(C)を含有する請求項:!〜 5のいずれか記載の医療用樹脂組成物
[7] 粘膜調整材、機能印象材、裏装材、義歯床材及びマウスピース材からなる群から選 択される少なくとも一種の歯科用樹脂組成物である請求項 1〜6のいずれか記載の 医療用樹脂組成物。
[8] 粘膜調整材、機能印象材及び裏装材力 なる群から選択される少なくとも一種の、口 腔内に装着される歯科用樹脂組成物であって、ポリアルキル (メタ)アタリレート (A1) 100重量部と、炭素数が 6以上のビュルカルボキシレート単量体(Bl) 20〜200重量 部とからなることを特徴とする歯科用樹脂組成物。
[9] エステル基を有する繰り返し単位から構成される重合体 (A)の粉剤と、炭素数が 6以 上のビュルエステル単量体 (B)の液剤とを混合して増粘させることを特徴とする樹脂 組成物の製造方法。
[10] 重合体 (A)の粉剤の平均粒子径が 2〜200 μ mである請求項 9記載の樹脂組成物 の製造方法。
[II] 更に重合開始剤(C)も加えて混合して増粘させる請求項 9又は 10記載の樹脂組成 物の製造方法。
[12] 混合して得られた lmLの樹脂組成物をガラス板間に挟んで 100gの荷重をかける広
力 Sり試験において、試験終了後に広がった樹脂組成物の直径が 30mmになるときの
、前記 (A)、 (B)両成分を混合してから加重を開始するまでの時間が 3〜8分である 請求項 9〜: 11のいずれか記載の樹脂組成物の製造方法。
[13] 粘膜調整材、機能印象材及び裏装材カもなる群から選択される少なくとも一種の、口 腔内に装着される歯科用樹脂組成物の製造方法であって、平均粒子径が 2〜200 μ mであるポリアルキル (メタ)アタリレート (A1)の粉剤 100重量部と、炭素数が 6以 上のビュルカルボキシレート単量体(B1)の液剤 20〜200重量部とを混合して増粘 させることを特徴とする歯科用樹脂組成物の製造方法。
[14] 請求項 9〜: 13のいずれか記載の方法によって製造された樹脂組成物を、増粘させた 後に賦形する成形品の製造方法。
[15] 賦形された前記成形品を 37°Cの水中に浸漬した際の、浸漬開始から 7日後のタイプ
C硬度(H7)力 浸漬開始から 1日後のタイプ C硬度(HI)の 0. 8〜: 1. 2倍である請 求項 14記載の成形品の製造方法。
[16] 賦形した後、重合反応を進行させる請求項 14又は 15記載の成形品の製造方法。
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