JPH08245330A - 歯科用組成物 - Google Patents
歯科用組成物Info
- Publication number
- JPH08245330A JPH08245330A JP7049542A JP4954295A JPH08245330A JP H08245330 A JPH08245330 A JP H08245330A JP 7049542 A JP7049542 A JP 7049542A JP 4954295 A JP4954295 A JP 4954295A JP H08245330 A JPH08245330 A JP H08245330A
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- JP
- Japan
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- meth
- acrylate
- chlorine
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 (メタ)アクリレート系モノマー、塩素含有
樹脂および重合開始剤を含有する歯科用組成物。 【効果】 可撓性、耐衝撃性や破壊靱性に優れた硬化物
を与える。
樹脂および重合開始剤を含有する歯科用組成物。 【効果】 可撓性、耐衝撃性や破壊靱性に優れた硬化物
を与える。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は歯科用組成物に関する。
より詳しくは、義歯床、義歯床リベース材、義歯床補修
材、マウスピース、矯正床、テンポラリークラウンなど
の歯科装着用物品の製造に適した組成物に関する。
より詳しくは、義歯床、義歯床リベース材、義歯床補修
材、マウスピース、矯正床、テンポラリークラウンなど
の歯科装着用物品の製造に適した組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、歯科治療において、例えば義歯
床、矯正床やスプリントなどの補綴や矯正等に用いる装
着用物品を歯科用樹脂で作製することがある。このよう
な装着用物品を作製する際にはポリメチルメタクリレー
ト(PMMA)粉末とメチルメタクリレート(MMA)
を主成分とするモノマー液からなる粉−液タイプの重合
硬化性レジンが専ら使用されている。すなわちPMMA
粉末とモノマー液を所定の比率で混和してペースト状の
組成物を調製し、該組成物を石膏模型中に填入し、次い
で重合硬化させることにより装着用物品を作製する。
床、矯正床やスプリントなどの補綴や矯正等に用いる装
着用物品を歯科用樹脂で作製することがある。このよう
な装着用物品を作製する際にはポリメチルメタクリレー
ト(PMMA)粉末とメチルメタクリレート(MMA)
を主成分とするモノマー液からなる粉−液タイプの重合
硬化性レジンが専ら使用されている。すなわちPMMA
粉末とモノマー液を所定の比率で混和してペースト状の
組成物を調製し、該組成物を石膏模型中に填入し、次い
で重合硬化させることにより装着用物品を作製する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして作製された装着用物品は、可撓性、耐衝撃
性、破壊靱性において十分ではなく、臨床上満足し得る
ものとはいい難いのが現状である。例えば、PMMA系
レジン床義歯に関する臨床報告によると、装着後5年強
で全症例中の約60%において義歯装着が中止されてお
り、その原因の第1位は義歯破損である〔雨森洋ら、
「補綴誌」第12巻、第1号、第155〜171頁(1
968年)参照〕。義歯破損の要因としては、ペースト
状組成物を硬化させて得られる硬化物の力学的強度が不
足していることに加え、該組成物を硬化させる際に生じ
る力学的強度の低下が挙げられる。かかる力学的強度の
低下を引き起こす原因としては、第一にPMMA粉末と
モノマー液を混和する際の気泡の混入が挙げられる。気
泡の混入は、PMMA粉末とモノマー液を事前に混練し
てペースト状に調製した組成物を使用することにより回
避し得るが、PMMAとモノマー液とは親和性が高く、
PMMAがモノマー液中に徐々に溶解するため、組成物
の組成や粘度が変化し、ペーストの安定性が劣る。ま
た、PMMA自体が充填剤として機能しなくなるため、
得られる硬化物の力学的強度が損なわれてしまう。
ようにして作製された装着用物品は、可撓性、耐衝撃
性、破壊靱性において十分ではなく、臨床上満足し得る
ものとはいい難いのが現状である。例えば、PMMA系
レジン床義歯に関する臨床報告によると、装着後5年強
で全症例中の約60%において義歯装着が中止されてお
り、その原因の第1位は義歯破損である〔雨森洋ら、
「補綴誌」第12巻、第1号、第155〜171頁(1
968年)参照〕。義歯破損の要因としては、ペースト
状組成物を硬化させて得られる硬化物の力学的強度が不
足していることに加え、該組成物を硬化させる際に生じ
る力学的強度の低下が挙げられる。かかる力学的強度の
低下を引き起こす原因としては、第一にPMMA粉末と
モノマー液を混和する際の気泡の混入が挙げられる。気
泡の混入は、PMMA粉末とモノマー液を事前に混練し
てペースト状に調製した組成物を使用することにより回
避し得るが、PMMAとモノマー液とは親和性が高く、
PMMAがモノマー液中に徐々に溶解するため、組成物
の組成や粘度が変化し、ペーストの安定性が劣る。ま
た、PMMA自体が充填剤として機能しなくなるため、
得られる硬化物の力学的強度が損なわれてしまう。
【0004】本発明は、上記の問題点を解決すべくなさ
れたものであって可撓性、耐衝撃性や破壊靱性に優れた
硬化物を与える歯科用組成物を提供することを課題とす
る。
れたものであって可撓性、耐衝撃性や破壊靱性に優れた
硬化物を与える歯科用組成物を提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
課題は、(メタ)アクリレート系モノマー、塩素含有樹
脂および重合開始剤を含有する歯科用組成物を提供する
ことによって解決される。
課題は、(メタ)アクリレート系モノマー、塩素含有樹
脂および重合開始剤を含有する歯科用組成物を提供する
ことによって解決される。
【0006】本発明における(メタ)アクリレート系モ
ノマーとしては、一官能性の(メタ)アクリル酸エステ
ル、多官能性の(メタ)アクリル酸エステルのいずれを
も使用することができる。一官能性(メタ)アクリル酸
エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)
アクリレート(アルキル基の炭素数1〜20)、メトキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート(重合度2〜10)、テトラヒ
ドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、ウンデセニル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(H
EMA)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
などが挙げられる。また、多官能性(メタ)アクリル酸
エステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート
等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(ア
ルキレン基の炭素数1〜20)、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)
アクリレート(アルキレン基の炭素数2〜4、かつ重合
度2〜200)、グリセリンジ(メタ)アクリレート、
2,2’−ビス〔p−(γ−メタクリオキシ−β−ヒド
ロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GM
A)、ビスフェーノールAジメタクリレート、2,2’
−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プ
ロパン(一分子中のエトキシ基2〜10個)、1,2−
ビス(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)ブタン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリ
レート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは1種ま
たは数種を組み合わせて用いられる。
ノマーとしては、一官能性の(メタ)アクリル酸エステ
ル、多官能性の(メタ)アクリル酸エステルのいずれを
も使用することができる。一官能性(メタ)アクリル酸
エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)
アクリレート(アルキル基の炭素数1〜20)、メトキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート(重合度2〜10)、テトラヒ
ドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、ウンデセニル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(H
EMA)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
などが挙げられる。また、多官能性(メタ)アクリル酸
エステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート
等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(ア
ルキレン基の炭素数1〜20)、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)
アクリレート(アルキレン基の炭素数2〜4、かつ重合
度2〜200)、グリセリンジ(メタ)アクリレート、
2,2’−ビス〔p−(γ−メタクリオキシ−β−ヒド
ロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GM
A)、ビスフェーノールAジメタクリレート、2,2’
−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プ
ロパン(一分子中のエトキシ基2〜10個)、1,2−
ビス(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)ブタン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリ
レート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは1種ま
たは数種を組み合わせて用いられる。
【0007】上記の(メタ)アクリレート系モノマーの
中でも多官能性の(メタ)アクリル酸エステルを使用す
ると、力学的強度に優れた硬化物を得ることができるの
で好ましい。特に好適なモノマーを例示するとBis−
GMA、2,2’−ビス(4−メタクリロキシポリエト
キシフェニル)プロパン、ウレタン(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートで
ある。
中でも多官能性の(メタ)アクリル酸エステルを使用す
ると、力学的強度に優れた硬化物を得ることができるの
で好ましい。特に好適なモノマーを例示するとBis−
GMA、2,2’−ビス(4−メタクリロキシポリエト
キシフェニル)プロパン、ウレタン(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートで
ある。
【0008】本発明における塩素含有樹脂としては、塩
素化エチレン、塩素化プロピレン等のポリオレフィンの
塩素化物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有不
飽和モノマーの単独重合体、塩素含有不飽和モノマーと
エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等
の不飽和モノマーとの共重合体、塩素含有不飽和モノマ
ーのエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム等の
ポリマーへのグラフト共重合体、あるいはこれらの重合
体とABS樹脂、MBS樹脂、アクリルゴム、ポリスチ
レン等とのブレンド物が使用できる。これらの中でもポ
リ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体が特に
好適である。
素化エチレン、塩素化プロピレン等のポリオレフィンの
塩素化物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有不
飽和モノマーの単独重合体、塩素含有不飽和モノマーと
エチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等
の不飽和モノマーとの共重合体、塩素含有不飽和モノマ
ーのエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム等の
ポリマーへのグラフト共重合体、あるいはこれらの重合
体とABS樹脂、MBS樹脂、アクリルゴム、ポリスチ
レン等とのブレンド物が使用できる。これらの中でもポ
リ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体が特に
好適である。
【0009】塩素含有樹脂の形状は粉末、ペレットなど
特に制限はないが、通常粉末状のものが使用される。こ
の場合、粉末の平均粒径は通常0.1〜150μmの範
囲内にある。なお、塩素含有樹脂はシリカ、アルミナ等
の公知の無機物質を適宜含有するものであってもよい。
特に制限はないが、通常粉末状のものが使用される。こ
の場合、粉末の平均粒径は通常0.1〜150μmの範
囲内にある。なお、塩素含有樹脂はシリカ、アルミナ等
の公知の無機物質を適宜含有するものであってもよい。
【0010】また、塩素含有樹脂は、(メタ)アクリレ
ート系モノマーに対して通常40〜90重量%の範囲で
使用される。
ート系モノマーに対して通常40〜90重量%の範囲で
使用される。
【0011】本発明は(メタ)アクリレート系モノマー
と塩素含有樹脂とを組み合わせて使用する点に特徴があ
り、両者の親和性がさほど高くないことから、得られる
ペーストの安定性が優れている。
と塩素含有樹脂とを組み合わせて使用する点に特徴があ
り、両者の親和性がさほど高くないことから、得られる
ペーストの安定性が優れている。
【0012】本発明では、塩素含有樹脂に(メタ)アク
リレート系モノマーを含浸させることにより、該塩素含
有樹脂を可塑化し、得られる硬化物の強度を向上させる
ことができる。塩素含有樹脂に含浸させる(メタ)アク
リレート系モノマーとしては、上記において例示したモ
ノマーが特に制限なく使用される。
リレート系モノマーを含浸させることにより、該塩素含
有樹脂を可塑化し、得られる硬化物の強度を向上させる
ことができる。塩素含有樹脂に含浸させる(メタ)アク
リレート系モノマーとしては、上記において例示したモ
ノマーが特に制限なく使用される。
【0013】(メタ)アクリレート系モノマーが塩素含
有樹脂をどの程度可塑化できるかは両者の親和性に関係
がある。塩素含有樹脂と(メタ)アクリレート系モノマ
ーの親和性は、一定形状に成形した塩素含有樹脂を(メ
タ)アクリレート系モノマー中に一定温度にて一定時間
浸漬したときの重量増加分から導かれる含浸度を指標と
して判断することができる。本発明では、後述の参考例
に記載の処理条件下で測定した重量増加分に基づき、以
下の式によって定義される値を含浸度とする。
有樹脂をどの程度可塑化できるかは両者の親和性に関係
がある。塩素含有樹脂と(メタ)アクリレート系モノマ
ーの親和性は、一定形状に成形した塩素含有樹脂を(メ
タ)アクリレート系モノマー中に一定温度にて一定時間
浸漬したときの重量増加分から導かれる含浸度を指標と
して判断することができる。本発明では、後述の参考例
に記載の処理条件下で測定した重量増加分に基づき、以
下の式によって定義される値を含浸度とする。
【0014】
【数1】
【0015】塩素含有樹脂に対する含浸度が5〜100
の範囲にある(メタ)アクリレート系モノマーを使用す
ると、塩素含有樹脂が適度に可塑化され、可撓性、耐衝
撃性および破壊靱性の優れた硬化物を得ることができ
る。塩素含有樹脂に対する含浸度が5〜80の範囲にあ
る(メタ)アクリレート系モノマーを使用するとより好
適である。具体的なモノマーを例示すると前述のアルキ
レングリコールジ(メタ)アクリレート(アルキレン基
の炭素数2〜20)、アルキル(メタ)アクリレート
(アルキル基の炭素数1〜10)等である。なお、塩素
含有樹脂に対する含浸度が100を超える(メタ)アク
リレート系モノマーを使用すると、塩素含有樹脂が溶解
される傾向にあり、塩素含有樹脂の粒子同士が融合して
しまい、均一なペーストを得ることが困難となったり、
塩素含有樹脂が充填剤として機能しなくなり、得られる
硬化物の力学的強度が損なわれてしまったりする。
の範囲にある(メタ)アクリレート系モノマーを使用す
ると、塩素含有樹脂が適度に可塑化され、可撓性、耐衝
撃性および破壊靱性の優れた硬化物を得ることができ
る。塩素含有樹脂に対する含浸度が5〜80の範囲にあ
る(メタ)アクリレート系モノマーを使用するとより好
適である。具体的なモノマーを例示すると前述のアルキ
レングリコールジ(メタ)アクリレート(アルキレン基
の炭素数2〜20)、アルキル(メタ)アクリレート
(アルキル基の炭素数1〜10)等である。なお、塩素
含有樹脂に対する含浸度が100を超える(メタ)アク
リレート系モノマーを使用すると、塩素含有樹脂が溶解
される傾向にあり、塩素含有樹脂の粒子同士が融合して
しまい、均一なペーストを得ることが困難となったり、
塩素含有樹脂が充填剤として機能しなくなり、得られる
硬化物の力学的強度が損なわれてしまったりする。
【0016】塩素含有樹脂に含浸させる(メタ)アクリ
レート系モノマーとしては、複数のモノマーの混合物を
使用することもできる。この場合、モノマー混合物の塩
素含有樹脂に対する含浸度が上記の範囲内となるように
適宜調製したものを使用すればよい。
レート系モノマーとしては、複数のモノマーの混合物を
使用することもできる。この場合、モノマー混合物の塩
素含有樹脂に対する含浸度が上記の範囲内となるように
適宜調製したものを使用すればよい。
【0017】塩素含有樹脂に含浸させる(メタ)アクリ
レート系モノマーは、本発明のペーストを構成する(メ
タ)アクリレート系モノマー(以下、これをマトリック
スモノマーと略称する)と同一のものを使用しても、異
なるものを使用してもよい。
レート系モノマーは、本発明のペーストを構成する(メ
タ)アクリレート系モノマー(以下、これをマトリック
スモノマーと略称する)と同一のものを使用しても、異
なるものを使用してもよい。
【0018】塩素含有樹脂への(メタ)アクリレート系
モノマーの含浸は、例えば、モノマー中に塩素含有樹脂
の粉末を分散させ、次いで加熱処理、超音波処理、マイ
クロ波照射、加圧処理等を施す方法、また塩素含有樹脂
の粉末を適度に膨潤させる溶媒を用いて該塩素含有樹脂
粉末中に(メタ)アクリレート系モノマーを含浸させ、
次いで溶媒を留去する方法などの公知の方法に従って行
うことができる。なお、(メタ)アクリレート系モノマ
ーの中には常温において塩素含有樹脂に含浸していくも
のがある。かかるモノマーを使用する場合には、(メ
タ)アクリレート系モノマー中に塩素含有樹脂を浸漬し
ておくだけでモノマーの含浸を行うことができる。ポリ
塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体に対し、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジ
オールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコ
ールジ(メタ)アクリレートがかかるモノマーに相当す
る。
モノマーの含浸は、例えば、モノマー中に塩素含有樹脂
の粉末を分散させ、次いで加熱処理、超音波処理、マイ
クロ波照射、加圧処理等を施す方法、また塩素含有樹脂
の粉末を適度に膨潤させる溶媒を用いて該塩素含有樹脂
粉末中に(メタ)アクリレート系モノマーを含浸させ、
次いで溶媒を留去する方法などの公知の方法に従って行
うことができる。なお、(メタ)アクリレート系モノマ
ーの中には常温において塩素含有樹脂に含浸していくも
のがある。かかるモノマーを使用する場合には、(メ
タ)アクリレート系モノマー中に塩素含有樹脂を浸漬し
ておくだけでモノマーの含浸を行うことができる。ポリ
塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体に対し、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−
ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジ
オールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコ
ールジ(メタ)アクリレートがかかるモノマーに相当す
る。
【0019】さらに、本発明にあっては、塩素含有樹脂
の屈折率とマトリクッスモノマーを硬化させて得られる
重合体の屈折率が等しくなるような組み合わせとしてお
くと、高度に透明な硬化物を得ることができる。
の屈折率とマトリクッスモノマーを硬化させて得られる
重合体の屈折率が等しくなるような組み合わせとしてお
くと、高度に透明な硬化物を得ることができる。
【0020】本発明における重合開始剤としては、光重
合開始剤、熱重合開始剤、常温重合開始剤が使用でき
る。光重合開始剤としては、例えば、カンファーキノ
ン、ジアセチル、2,3−ペンタンジオン、ベンジル、
アセナフテンキノン、フェナントラキノンなどのα−ジ
ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチル
ケタール、ベンゾフェノン、2−エチルチオキサントン
などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、適宜第3
級アミン、アルデヒド、メルカプタンなどの還元剤と組
み合わせた光重合開始剤系として使用される。かかる第
3級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香
酸エチル、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノ
ン、N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N−フ
ェニルグリシン、モルホリノメタクリレート、トリエタ
ノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどを、
アルデヒドとしては、例えば、シトロネラール、ラウリ
ルアルデヒド、o−フタルジアルデヒド、p−オクチル
オキシベンズアルデヒドなどを、メルカプタンとして
は、例えば、1−デカンチオール、チオサリチル酸、2
−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトベンゾ
チアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−
メルカプトアセトフェノン、4−t−ブチルチオフェノ
ールなどを挙げることができる。さらに、光重合開始剤
系に過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物を添加した系
も好適に用いられる。また、熱重合開始剤としては、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾ
ビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、テトラメチ
ルチウラムジスルフィドなどの開始剤が使用できる。さ
らに常温重合開始剤としては、有機過酸化物/芳香族第
3級アミン系、有機過酸化物/芳香族第3級アミン/芳
香族スルフィン酸系などのレドックス系開始剤が使用さ
れる。
合開始剤、熱重合開始剤、常温重合開始剤が使用でき
る。光重合開始剤としては、例えば、カンファーキノ
ン、ジアセチル、2,3−ペンタンジオン、ベンジル、
アセナフテンキノン、フェナントラキノンなどのα−ジ
ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチル
ケタール、ベンゾフェノン、2−エチルチオキサントン
などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、適宜第3
級アミン、アルデヒド、メルカプタンなどの還元剤と組
み合わせた光重合開始剤系として使用される。かかる第
3級アミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香
酸エチル、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノ
ン、N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N−フ
ェニルグリシン、モルホリノメタクリレート、トリエタ
ノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどを、
アルデヒドとしては、例えば、シトロネラール、ラウリ
ルアルデヒド、o−フタルジアルデヒド、p−オクチル
オキシベンズアルデヒドなどを、メルカプタンとして
は、例えば、1−デカンチオール、チオサリチル酸、2
−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトベンゾ
チアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−
メルカプトアセトフェノン、4−t−ブチルチオフェノ
ールなどを挙げることができる。さらに、光重合開始剤
系に過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物を添加した系
も好適に用いられる。また、熱重合開始剤としては、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾ
ビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、テトラメチ
ルチウラムジスルフィドなどの開始剤が使用できる。さ
らに常温重合開始剤としては、有機過酸化物/芳香族第
3級アミン系、有機過酸化物/芳香族第3級アミン/芳
香族スルフィン酸系などのレドックス系開始剤が使用さ
れる。
【0021】重合開始剤は、全組成物に対し、通常0.
05〜5重量%の範囲で使用される。
05〜5重量%の範囲で使用される。
【0022】本発明の組成物は、(メタ)アクリレート
系モノマー、塩素含有樹脂および重合開始剤を混合しペ
ーストとして提供される。各成分の混合には公知の手段
が特に制限なく使用され、バッチ式混練機や単軸及び2
軸混練押し出し機が利用される。得られたペーストには
脱泡処理を施すことが望ましい。
系モノマー、塩素含有樹脂および重合開始剤を混合しペ
ーストとして提供される。各成分の混合には公知の手段
が特に制限なく使用され、バッチ式混練機や単軸及び2
軸混練押し出し機が利用される。得られたペーストには
脱泡処理を施すことが望ましい。
【0023】なお、重合開始剤が、酸化剤−還元剤の組
み合わせを含有する場合には、保存安定性の観点から、
これらが混合しないように分割包装形態とし、使用直前
に混合する形態とする必要がある。
み合わせを含有する場合には、保存安定性の観点から、
これらが混合しないように分割包装形態とし、使用直前
に混合する形態とする必要がある。
【0024】本発明の組成物には、必要に応じて、重合
禁止剤としてハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチ
ルエーテル、ブチルヒドロキシルトルエン等を適宜添加
することができる。また、ペーストの性状をより適した
ものとするため、各種滑剤、界面活性剤、無機充填剤を
少量加えることもできる。さらに組成物に歯肉色を与え
るため顔料、染料などを、また、擬態血管として繊維状
物を添加することもできる。
禁止剤としてハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチ
ルエーテル、ブチルヒドロキシルトルエン等を適宜添加
することができる。また、ペーストの性状をより適した
ものとするため、各種滑剤、界面活性剤、無機充填剤を
少量加えることもできる。さらに組成物に歯肉色を与え
るため顔料、染料などを、また、擬態血管として繊維状
物を添加することもできる。
【0025】また、本発明の組成物には各種安定剤、可
塑剤等の添加剤を加えることも可能である。安定剤とし
ては、主にポリ塩化ビニルの安定剤として使用される金
属石ケン、有機スズ系安定剤、鉛系安定剤、アンチモン
系安定剤、およびエポキシ化合物、ホスファイト、β−
ジケトン、ポリオール、光安定剤、酸化防止剤等の非金
属系安定剤など従来公知の安定剤が使用できる。また、
可塑剤としては、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エ
ステル、エポキシ系天然油脂、塩素化パラフィン、五塩
化ステアリン酸メチル、リン酸トリクレジル等のリン酸
エステル、トリメリット酸エステル、ポリエスエル系可
塑剤など従来公知の可塑剤が使用できる。
塑剤等の添加剤を加えることも可能である。安定剤とし
ては、主にポリ塩化ビニルの安定剤として使用される金
属石ケン、有機スズ系安定剤、鉛系安定剤、アンチモン
系安定剤、およびエポキシ化合物、ホスファイト、β−
ジケトン、ポリオール、光安定剤、酸化防止剤等の非金
属系安定剤など従来公知の安定剤が使用できる。また、
可塑剤としては、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エ
ステル、エポキシ系天然油脂、塩素化パラフィン、五塩
化ステアリン酸メチル、リン酸トリクレジル等のリン酸
エステル、トリメリット酸エステル、ポリエスエル系可
塑剤など従来公知の可塑剤が使用できる。
【0026】本発明の組成物は、義歯床、義歯床リベー
ス材、義歯床補修材、マウスピース、矯正床、テンポラ
リークラウンなどの可撓性、強靱性が求められる歯科装
着用物品の製造に適している。実際には、本発明の組成
物を石膏模型等に築盛し、所定形状とした上で、光照
射、加熱等の手段により硬化させて歯科装着用物品とす
る。
ス材、義歯床補修材、マウスピース、矯正床、テンポラ
リークラウンなどの可撓性、強靱性が求められる歯科装
着用物品の製造に適している。実際には、本発明の組成
物を石膏模型等に築盛し、所定形状とした上で、光照
射、加熱等の手段により硬化させて歯科装着用物品とす
る。
【0027】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はかかる実施例に限定されるものでは
ない。
る。なお、本発明はかかる実施例に限定されるものでは
ない。
【0028】本実施例では、ペースト状組成物から得ら
れる硬化物の力学的性質は以下の方法により測定した。
れる硬化物の力学的性質は以下の方法により測定した。
【0029】(1) 破壊靱性 文献〔松本、「歯科材料・器械」第7巻、第5号、第7
56〜768頁(1988年)〕に記載の方法に準じて
測定を行った。すなわち、ペースト状の組成物を、2.
5×5×30mmの角柱状であり、かつ中心部に剃刀に
よる2.5mmの切り欠き部を有するモールドに充填
し、歯科用可視光線照射器(アルファーライト、(株)
モリタ社製)にて5分間光を照射しペーストを硬化させ
た。得られた硬化物を試験片とし、37℃、水中に1日
浸漬した後、インストロン万能試験機(インストロン社
製)を用い、25℃にて、クロスヘッドスピード1mm
/min.、支点間距離20mmで破壊靱性試験を行
い、試験片が破断した点を以て破壊靱性強度とした。
56〜768頁(1988年)〕に記載の方法に準じて
測定を行った。すなわち、ペースト状の組成物を、2.
5×5×30mmの角柱状であり、かつ中心部に剃刀に
よる2.5mmの切り欠き部を有するモールドに充填
し、歯科用可視光線照射器(アルファーライト、(株)
モリタ社製)にて5分間光を照射しペーストを硬化させ
た。得られた硬化物を試験片とし、37℃、水中に1日
浸漬した後、インストロン万能試験機(インストロン社
製)を用い、25℃にて、クロスヘッドスピード1mm
/min.、支点間距離20mmで破壊靱性試験を行
い、試験片が破断した点を以て破壊靱性強度とした。
【0030】(2) 曲げ強度 ペースト状の組成物を2×2×30mmの角柱状のモー
ルドに充填し、歯科用可視光線照射器(アルファーライ
ト)による3分間の光照射を2回行い、ペーストを硬化
させた。得られた硬化物を試験片とし、37℃水中に1
日浸漬した後、インストロン万能試験機を用い、25℃
にて、クロスヘッドスピード1mm/min.、支点間
距離20mmで3点曲げ試験を行った。
ルドに充填し、歯科用可視光線照射器(アルファーライ
ト)による3分間の光照射を2回行い、ペーストを硬化
させた。得られた硬化物を試験片とし、37℃水中に1
日浸漬した後、インストロン万能試験機を用い、25℃
にて、クロスヘッドスピード1mm/min.、支点間
距離20mmで3点曲げ試験を行った。
【0031】参考例(ポリ塩化ビニルに対する各種モノ
マーの含浸度) ポリ塩化ビニルロッド(硬質)を直径10mm、厚さ2
mmの円板に調製し、重量を測定した(W1)後、各種
モノマー中に浸漬する。95℃にて1時間加熱処理を行
った後、該ポリ塩化ビニルの円板を取り出し、JKワイ
パー(十条キンバリー社製)にて円板の表面に付着した
モノマーをぬぐい取った後、重量を測定する(W2)。
円板の重量増加分(W2−W1)を、浸漬前の円板の重量
(W1)で除し、含浸度とする。代表的な(メタ)アク
リレート系モノマーについて、含浸度の値を表1に示
す。
マーの含浸度) ポリ塩化ビニルロッド(硬質)を直径10mm、厚さ2
mmの円板に調製し、重量を測定した(W1)後、各種
モノマー中に浸漬する。95℃にて1時間加熱処理を行
った後、該ポリ塩化ビニルの円板を取り出し、JKワイ
パー(十条キンバリー社製)にて円板の表面に付着した
モノマーをぬぐい取った後、重量を測定する(W2)。
円板の重量増加分(W2−W1)を、浸漬前の円板の重量
(W1)で除し、含浸度とする。代表的な(メタ)アク
リレート系モノマーについて、含浸度の値を表1に示
す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例1 ポリ塩化ビニル粒子〔東ソー(株)社製、リューロンペ
ースト761、以下これをPVC粒子と略称する〕30
g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート〔共栄
社化学(株)社製、以下これをHDと略称する〕20
g、アセトン200gを室温にて混合し、同温度にて1
2時間攪拌後、減圧下にアセトンを留去してモノマー含
浸PVC粒子Aを50g得た。2,2’−ジ(4−メタ
クリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下これ
をD−2.6Eと略称する)20g、カンファーキノン
(以下これをCQと略称する)0.1g、2−ジメチル
アミノエチルメタクリレート(以下これをDMAEMA
と略称する)0.1g、およびベンゾイルパーオキサイ
ド(以下これをBPOと略称する)0.1gを均一に混
合し、マトリックスモノマーAとした。上記で得たモノ
マー含浸PVC粒子A7.8gにマトリックスモノマー
Aを2.2g添加し、混練することによりペースト状組
成物を調製した。このペースト状組成物は、室温におい
て2年以上安定なペースト性状を維持した。かかるペー
スト状組成物から得られる硬化物の力学的性質を表2に
示す。なお、曲げ強度測定時、試験片は水平の位置から
3.2mm押されてから折れた。
ースト761、以下これをPVC粒子と略称する〕30
g、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート〔共栄
社化学(株)社製、以下これをHDと略称する〕20
g、アセトン200gを室温にて混合し、同温度にて1
2時間攪拌後、減圧下にアセトンを留去してモノマー含
浸PVC粒子Aを50g得た。2,2’−ジ(4−メタ
クリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下これ
をD−2.6Eと略称する)20g、カンファーキノン
(以下これをCQと略称する)0.1g、2−ジメチル
アミノエチルメタクリレート(以下これをDMAEMA
と略称する)0.1g、およびベンゾイルパーオキサイ
ド(以下これをBPOと略称する)0.1gを均一に混
合し、マトリックスモノマーAとした。上記で得たモノ
マー含浸PVC粒子A7.8gにマトリックスモノマー
Aを2.2g添加し、混練することによりペースト状組
成物を調製した。このペースト状組成物は、室温におい
て2年以上安定なペースト性状を維持した。かかるペー
スト状組成物から得られる硬化物の力学的性質を表2に
示す。なお、曲げ強度測定時、試験片は水平の位置から
3.2mm押されてから折れた。
【0034】実施例2 PVC粒子40gおよびHD20gを混練した後、95
℃にて1時間加熱処理し、モノマー含浸PVC粒子Bを
60g得た。このモノマー含浸PVC粒子B7.7gに
マトリックスモノマーAを2.3g添加し、よく混練し
てペースト状組成物を得た。かかるペースト状組成物か
ら得られる硬化物の力学的性質を表2に示す。
℃にて1時間加熱処理し、モノマー含浸PVC粒子Bを
60g得た。このモノマー含浸PVC粒子B7.7gに
マトリックスモノマーAを2.3g添加し、よく混練し
てペースト状組成物を得た。かかるペースト状組成物か
ら得られる硬化物の力学的性質を表2に示す。
【0035】実施例3 PVC粒子40g、HD12g、およびトリエチレング
リコールジメタクリレート(以下これをTEGDMAと
略称する)12gを混練した後、95℃にて1時間処理
し、モノマー含浸PVC粒子Cを64g得た。このモノ
マー含浸PVC粒子C8.5gにマトリックスモノマー
A1.5gを添加し、よく混練することによりペースト
状組成物を調製した。このペースト状組成物は室温にお
いて2年以上安定なペースト性状を維持した。また、こ
のペースト状組成物から得られる硬化物の力学的性質を
表2に示す。なお、曲げ強度測定時、試験片は水平の位
置から4.6mm押されてから折れた。
リコールジメタクリレート(以下これをTEGDMAと
略称する)12gを混練した後、95℃にて1時間処理
し、モノマー含浸PVC粒子Cを64g得た。このモノ
マー含浸PVC粒子C8.5gにマトリックスモノマー
A1.5gを添加し、よく混練することによりペースト
状組成物を調製した。このペースト状組成物は室温にお
いて2年以上安定なペースト性状を維持した。また、こ
のペースト状組成物から得られる硬化物の力学的性質を
表2に示す。なお、曲げ強度測定時、試験片は水平の位
置から4.6mm押されてから折れた。
【0036】実施例4 PVC粒子20g、HD10g、CQ0.1g、DMA
EMA0.1gおよびBPO0.1gを室温にて混練し
ペースト状組成物を調製した。このペースト状組成物
は、室温において2年以上安定なペースト性状を維持し
た。また、このペースト状組成物から得られる硬化物の
力学的性質を表2に示す。なお、曲げ強度測定時、試験
片は水平の位置から5.6mm押されてから折れた。
EMA0.1gおよびBPO0.1gを室温にて混練し
ペースト状組成物を調製した。このペースト状組成物
は、室温において2年以上安定なペースト性状を維持し
た。また、このペースト状組成物から得られる硬化物の
力学的性質を表2に示す。なお、曲げ強度測定時、試験
片は水平の位置から5.6mm押されてから折れた。
【0037】実施例5 酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体〔東ソー(株)社製、
リューロンペースト850、以下これをVA−PVC粒
子と略称する〕40g、HD19g、D−2.6E5g
を混練し、95℃にて1時間加熱処理し、モノマー含浸
VA−PVC粒子Aを64g得た。上記モノマー含浸V
A−PVC粒子A8.0gにマトリックスモノマーAを
2.0g添加し、よく混練することによりペースト状組
成物を調製した。このペースト状組成物は、室温におい
て2年以上安定なペースト性状を維持した。また、この
組成物から得られる硬化物の力学的性質を表2に示す。
なお、曲げ強度測定時、試験片は水平の位置から4.7
mm押されてから折れた。
リューロンペースト850、以下これをVA−PVC粒
子と略称する〕40g、HD19g、D−2.6E5g
を混練し、95℃にて1時間加熱処理し、モノマー含浸
VA−PVC粒子Aを64g得た。上記モノマー含浸V
A−PVC粒子A8.0gにマトリックスモノマーAを
2.0g添加し、よく混練することによりペースト状組
成物を調製した。このペースト状組成物は、室温におい
て2年以上安定なペースト性状を維持した。また、この
組成物から得られる硬化物の力学的性質を表2に示す。
なお、曲げ強度測定時、試験片は水平の位置から4.7
mm押されてから折れた。
【0038】比較例1 義歯床用レジンとして市販されているアクロン(GC社
製)をメーカー指示の粉液比で混和し(PMMAを主成
分とする粉剤100gと、MMAを主成分とする液剤1
00mlとを混合)、餅状化したレジンを所定のモール
ドに填入し、該モールドを95℃の水中に1時間浸漬す
ることによってレジンを重合硬化させた。得られた硬化
物の力学的性質を前述の方法に従って測定した。結果を
表2に併せて示す。なお、曲げ強度測定時、試験片は水
平の位置から1.2mm押されてから折れた。
製)をメーカー指示の粉液比で混和し(PMMAを主成
分とする粉剤100gと、MMAを主成分とする液剤1
00mlとを混合)、餅状化したレジンを所定のモール
ドに填入し、該モールドを95℃の水中に1時間浸漬す
ることによってレジンを重合硬化させた。得られた硬化
物の力学的性質を前述の方法に従って測定した。結果を
表2に併せて示す。なお、曲げ強度測定時、試験片は水
平の位置から1.2mm押されてから折れた。
【0039】
【表2】
【0040】実施例6 実施例2で調製したペースト状組成物を用いて下記の要
領で矯正床を作製した。すなわち、患者より印象採取し
て作成した作業模型を咬合器に取り付け、上下顎の咬合
面に分離剤を塗布した。次に上顎の口蓋部にペーストを
築盛して石膏模型に密着させた。余分なペーストを除去
し、形態を修正した後、前述の歯科用可視光線照射器を
用いて光を照射した。得られたレジン硬化物を石膏模型
より取り外し、研磨して形態を整え、矯正床を得た。
領で矯正床を作製した。すなわち、患者より印象採取し
て作成した作業模型を咬合器に取り付け、上下顎の咬合
面に分離剤を塗布した。次に上顎の口蓋部にペーストを
築盛して石膏模型に密着させた。余分なペーストを除去
し、形態を修正した後、前述の歯科用可視光線照射器を
用いて光を照射した。得られたレジン硬化物を石膏模型
より取り外し、研磨して形態を整え、矯正床を得た。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、可撓性、耐衝撃性や破
壊靱性に優れた硬化物を与える歯科用組成物が提供され
る。本発明の組成物は、可撓性、耐衝撃性、強靱性が求
められる歯科装着用物品の製造に適している。
壊靱性に優れた硬化物を与える歯科用組成物が提供され
る。本発明の組成物は、可撓性、耐衝撃性、強靱性が求
められる歯科装着用物品の製造に適している。
Claims (3)
- 【請求項1】 (メタ)アクリレート系モノマー、塩素
含有樹脂および重合開始剤を含有する歯科用組成物。 - 【請求項2】 塩素含有樹脂に(メタ)アクリレート系
モノマーが含浸されていることを特徴とする請求項1記
載の歯科用組成物。 - 【請求項3】 (メタ)アクリレート系モノマー、塩素
含有樹脂および重合開始剤を含有する組成物から得られ
る歯科装着用物品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04954295A JP3489899B2 (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 歯科用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04954295A JP3489899B2 (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 歯科用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08245330A true JPH08245330A (ja) | 1996-09-24 |
JP3489899B2 JP3489899B2 (ja) | 2004-01-26 |
Family
ID=12834085
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04954295A Expired - Fee Related JP3489899B2 (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 歯科用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3489899B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10236913A (ja) * | 1997-02-27 | 1998-09-08 | Kuraray Co Ltd | 軟質リベース材装着用キット |
CN112535640A (zh) * | 2019-09-05 | 2021-03-23 | 台北科技大学 | 临时假牙材料的组合物 |
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JPS50124491A (ja) * | 1974-01-23 | 1975-09-30 | ||
JPS53103691A (en) * | 1977-02-19 | 1978-09-09 | Shiyoufuu Toushi Seizou Kk | Composite resin for dental tray |
JPS53110294A (en) * | 1977-03-08 | 1978-09-26 | Shiyoufuu Toushi Seizou Kk | Composite resin for dental tray |
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JPS5879911A (ja) * | 1981-11-05 | 1983-05-13 | Sankin Kogyo Kk | 歯科用接着剤 |
JPS5962510A (ja) * | 1982-08-26 | 1984-04-10 | ロ−ム・アンド・ハ−ス・コンパニ− | 歯科用永久修復材料 |
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JPS6244244A (ja) * | 1985-08-22 | 1987-02-26 | 三菱油化株式会社 | 歯科用重合型熱可塑性樹脂組成物 |
JPS6399212A (ja) * | 1986-06-20 | 1988-04-30 | コ−ト−ルズ パブリツク リミテイド カンパニ− | ポリマ−分散液の製法 |
JPS63233905A (ja) * | 1987-03-20 | 1988-09-29 | Kuraray Co Ltd | 矯正用光硬化型樹脂複合組成物 |
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-
1995
- 1995-03-09 JP JP04954295A patent/JP3489899B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN112535640A (zh) * | 2019-09-05 | 2021-03-23 | 台北科技大学 | 临时假牙材料的组合物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3489899B2 (ja) | 2004-01-26 |
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