JPH10236913A - 軟質リベース材装着用キット - Google Patents

軟質リベース材装着用キット

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JPH10236913A
JPH10236913A JP9043998A JP4399897A JPH10236913A JP H10236913 A JPH10236913 A JP H10236913A JP 9043998 A JP9043998 A JP 9043998A JP 4399897 A JP4399897 A JP 4399897A JP H10236913 A JPH10236913 A JP H10236913A
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Satoshi Yamaguchi
里志 山口
Kenichi Hino
憲一 日野
Hidekazu Masuhara
英一 増原
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JAPAN INST ADVANCED DENTISTRY
SOGO SHIKA IRYO KENKYUSHO KK
Kuraray Co Ltd
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JAPAN INST ADVANCED DENTISTRY
SOGO SHIKA IRYO KENKYUSHO KK
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】適度な粘弾性と義歯床との接着性が口腔内で長
期間安定的に維持され、菌の繁殖や着臭の原因となる水
の浸入を極力抑制し、なおかつ食物中等に含まれる油性
成分の吸着をも抑制する軟質リベース材装着用キットを
提供すること。 【解決手段】(a)溶解度パラメーターが8.0以上
9.0以下の低吸水性エラストマーを30重量%以上含
有する重合性軟質リベース材、(b)該リベース材と実
質的に同一のエラストマーを含有する重合性組成物で、
該軟質リベース材より高弾性率の硬化物を与える軟質リ
ベース材と義歯床との接着剤、および(c)β−カロチ
ン変色度15以下の低親油性の硬化皮膜を与える軟質リ
ベース材の重合性コーティング材からなる軟質リベース
材装着用キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は義歯床の粘膜面に形
成する軟質リベース材に関する。より詳しくは、義歯床
に軟質リベース材を装着するにあたり、義歯床と軟質リ
ベース材との接着剤、軟質リベース材、および軟質リベ
ース材に対するコーティング材の3種の組成物からなる
軟質リベース材装着用のキットである。
【0002】
【従来の技術】現在歯科治療では、高齢等により歯を喪
失した患者に対し、重合性床用樹脂組成物(以下レジン
ということがある)で作製した義歯床を装着することが
行われている。一般に、義歯床装着者は顎堤の吸収が著
しく、クッション性を担う粘膜の菲薄化、および骨吸収
等に伴う歯槽骨の陥没のために、精度よく作製された義
歯床であっても、次第に口腔との適合性が低下すること
が指摘されている。
【0003】義歯床と口腔との適合性が低下した場合、
一般的にはリベース(裏装)と呼ばれる義歯床粘膜面の
再形成を行い、口腔との適合性を復元することが行われ
ている。リベースの手法は間接法と直接法の二種類に大
別することができる。間接法は、口腔内の形状を印象材
を用いて印象採得し、技工室にて口腔内と同じ形状の口
腔模型を再現し、その模型を使って古い義歯床の粘膜面
を形成する方法である。これに対して直接法は、義歯床
の粘膜面にリベース材を築盛し、口腔内で通常の印象採
得と同様にして印象操作を行い、得られた印象の形状を
保持したまま硬化させることによりリベースを行う方法
である。間接法は、上記のように技工室において行わ
れ、しかも多くの工程を必要とするため、リベースを行
うのに相当の期間を要し、その間患者の義歯床を預かる
ため、患者の日常生活に支障をきたす。このことから、
現状では広く直接法が受け入れられている。
【0004】リベース材は義歯床用レジンと同等の硬度
を有する硬質材料で行われるのが一般的である。しか
し、口腔粘膜の菲薄化により咬合痛がある場合等は、口
腔との適合性が回復しても、なお疼痛が残る場合があ
り、粘膜に代わるクッション性を付与するため、適度な
粘弾性を有する軟質材料を用いることがしばしば行われ
る。従来より、直接法による軟質リベース材として、ア
クリル樹脂に可塑剤を配合した軟質樹脂、シリコーン樹
脂系裏装材等が用いられてきた〔草刈ら、「歯界展
望」、第72巻、第6号(1988年)、第1267〜
1272頁参照〕。これらの軟質リベース材は、粉と
液、あるいは2つのペーストよりなるものであって、使
用直前にそれらを混練すると硬化するように調製された
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した軟
質リベース材は、口腔内に挿入する際、原料のモノマー
による刺激や、硬化時の発熱による刺激が生じる等の問
題点が指摘されたが、重合触媒やモノマーの改良により
大幅に改善されている。しかしながら、これらの軟質リ
ベース材から得られる硬化物には、気泡の混入が多く、
かつ吸水率も高いことから、長期間にわたって口腔内で
使用すると、硬化物の理工学的性質が低下するのみなら
ず、口腔内細菌による汚染や臭気が強いという点が依然
として問題である。特に要介護高齢者の死亡原因を見る
と40%以上が口腔内で繁殖した細菌による肺炎である
と言われており改善が急務である。また、義歯床に対す
る接着性も不十分でしばしば装着中に義歯床から軟質リ
ベース材が辺縁から剥離することがある。剥離により義
歯床の装着感が著しく低下することに加えて、この部分
もまた細菌の格好の繁殖場所となることも大きな問題で
ある。
【0006】本発明は、上記の従来技術の問題に鑑みて
なされたものであって、適度な粘弾性と義歯床との接着
性が口腔内で長期間安定的に維持され、菌の繁殖や着臭
の原因となる水の浸入を極力抑制し、なおかつ食物中等
に含まれる油性成分の吸着をも抑制する軟質リベース材
装着用キットを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、(a)溶
解度パラメーターが8.0以上9.0以下の低吸水性エ
ラストマーを30重量%以上含有する重合性軟質リベー
ス材、(b)該リベース材と実質的に同一のエラストマ
ーを含有する重合性組成物で、該軟質リベース材より高
弾性率の硬化物を与える軟質リベース材と義歯床との接
着剤、および(c)β−カロチン変色度15以下の低親
油性の硬化皮膜を与える軟質リベース材の重合性コーテ
ィング材からなる軟質リベース材装着用キットによって
解決される。また本発明の軟質リベース材装着用キット
は、本質的に柔軟性のある材料を使用しているため、可
塑剤を含めないものとしても使用できる。そういう場合
は、可塑剤の口腔内への溶出が無く長期間軟質性を維持
するのみならず、生体に対する悪影響もない。
【0008】本発明で用いられる軟質リベース材は、溶
解度パラメーターが8.0以上9.0以下の低吸水性エ
ラストマーを30重量%以上含有する。溶解度パラメー
ターはHildebrand−Scatchardの溶
液理論において分子間の引き合う力より導かれる定数
〔秋山ら、「ポリマーブレンド」、シーエムシー(19
81年)、第124〜144頁参照〕で、この値が高い
ほど極性が高いことを示し、吸水性が高くなる。しか
し、この値が低すぎると(メタ)アクリレート系モノマ
ーに対する溶解性が著しく低下し好ましくない。従来、
軟質リベース材として使用されているポリエチルメタク
リレートは9.1、ポリメチルメタクリレートは9.
3、ポリジメチルシロキサンは7.3である。溶解度パ
ラメーターが8.0〜9.0の低吸水性エラストマーを
使用すると硬化物の物性が低下することもなく、印象性
に優れたリベース材が得られる。
【0009】溶解度パラメーターが8.0以上9.0以
下の低吸水性エラストマーとしては、ポリイソプレン、
ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ブタジエン−スチ
レンコポリマー、イソプレン−ブタジエンコポリマー、
イソブチレン−イソプレンコポリマー、エチレン−プロ
ピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー等
の固形ゴムと、これらの固形ゴム成分を含む熱可塑性エ
ラストマーが挙げられる。中でも芳香族ビニルモノマー
からなる熱可塑性重合体ブロック(A)とエラストマー
重合体ブロック(B)とを含有したものは、(メタ)ア
クリレート系モノマーとの親和性が高く、両者を混合す
ることにより口腔内での印象性に優れたペースト性状物
が得られる点で好適である。また、熱可塑性エラストマ
ー中にブロック(A)とブロック(B)がひとつずつ存
在してもよいが、それぞれ複数存在してもよい。
【0010】熱可塑性エラストマーの構成成分である熱
可塑性重合体ブロック(A)は、好ましくは、芳香族ビ
ニルモノマー単位からなり、数平均分子量が3000以
上である。芳香族ビニルモノマー単位としては、例え
ば、スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフ
タレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、
4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、
2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブ
チル)スチレン等が挙げられる。なかでもスチレンが好
ましい。これらのモノマー単位の結合様式については特
に限定はなく、これらのモノマー単位の1つが単独で重
合した構造であってもよいし、あるいは2種以上のモノ
マー単位が共重合した構造であってもよい。
【0011】該芳香族ビニルモノマー単位の熱可塑性重
合体ブロック(A)の数平均分子量は、3,000以上
であることが必要であり、3,000〜1,000,0
00が好ましい。該ブロックAの数平均分子量が3,0
00未満であると、印象性に優れたペーストを得ること
ができない。
【0012】熱可塑性エラストマー中の熱可塑性重合体
ブロック(A)の含有率は、5〜70重量%の範囲内で
あるのが好ましい。さらに好ましくは、5〜30重量%
である。熱可塑性重合体ブロック(A)の含有率が、5
〜70重量%であれば、後述する(メタ)アクリレート
系モノマーとの相溶性もよく、望ましい性状のペースト
を得ることができる。
【0013】熱可塑性エラストマー中のエラストマー重
合体ブロック(B)は、公知の熱可塑性エラストマーを
構成するモノマー単位から構成される。モノマー単位の
結合様式については特に限定はなく、モノマー単位の1
つが単独で重合した構造であってもよいし、あるいは2
種以上のモノマー単位が共重合した構造であってもよ
い。
【0014】なかでもイソプレン、イソブチレンおよび
ブタジエンから選ばれる少なくとも1種のモノマー単位
で構成される熱可塑性エラストマー重合体、該重合体の
水素添加物、および該重合体の不飽和カルボン酸または
該酸の誘導体の付加物が好ましい。これらの重合体から
構成されるブロック(B)は、上記エラストマー重合
体、その水素添加物およびその付加物のうちのひとつを
構成成分とするものであってもよいし、複数を構成成分
とするものであってもよい。
【0015】さらに、ブロック(B)として、ポリイソ
プレンおよびイソプレン−ブタジエンコポリマーから選
ばれる少なくとも1種から構成され、40モル%以上の
ビニル結合含有量をもつ熱可塑性エラストマー重合体、
該重合体の水素添加物、および該重合体の不飽和カルボ
ン酸または該酸の誘導体の付加物も好ましい。これらも
上記同様、エラストマー重合体、その水素添加物および
その付加物のうちのひとつを構成成分とするものであっ
ても良いし、複数を構成成分とするものであっても良
い。ここで、ビニル結合含有量とは、ポリイソプレンま
たはイソプレン−ブタジエンのエラストマー重合体ブロ
ック中に含まれる炭素−炭素二重結合全体のうち、下記
する結合様式により生ずる側鎖にあるエチレン性二重結
合の割合(モル%)である。
【0016】イソプレン、ブタジエンモノマーを含有す
るエラストマー重合体ブロック(B)は、重合様式によ
り1,2結合または3,4結合を生じ、側鎖にエチレン
性二重結合を形成する。このエチレン性二重結合は1,
4結合により形成される主鎖の二重結合と比較して反応
性に富み、(メタ)アクリレート系モノマーと共重合が
可能である。よって、該結合をもつ重合体ブロックを有
する低吸水性エラストマーは、重合硬化性に優れたペー
ストを与えるとともに、重合硬化物は化学的な架橋形成
のため、永久ひずみが少なく好適である。
【0017】エラストマー重合体ブロック(B)の熱可
塑性エラストマー中の含有率は、30〜95重量%の範
囲が好ましく、さらに好ましくは70〜95重量%であ
る。
【0018】かかる熱可塑性エラストマーとしては、例
えば、ポリスチレンブロックを有するジブロック、トリ
ブロック、マルチブロック、星型およびブロックの境界
がランダム共重合で徐々に組成が変化しているテーパ型
のポリスチレン系のブロック共重合体を含有する熱可塑
性エラストマーであるスチレン−イソプレン系エラスト
マー、スチレン−ブタジエン系エラストマー、スチレン
−イソプレン−ブタジエン系エラストマー、スチレン−
イソブチレン系エラストマー、スチレン−ブチルアクリ
レート系エラストマー等が挙げられる。
【0019】これらの中でも、特開平2−102212
号公報に開示された熱可塑性エラストマー、すなわち、
分子中に数平均分子量が3,000以上40,000以
下の芳香族ビニルモノマーのブロックを2個以上と、ビ
ニル結合含有量が40モル%以上であるイソプレンおよ
び/またはイソプレン−ブタジエンのブロックを1個以
上とを含有する、分子量が40,000以上300,0
00以下であるブロック共重合体は、上記特性に加え、
制振性能に優れるため、本発明の重合硬化物を口腔内に
装着し、咬合した際の違和感が少なく、特に好適であ
る。
【0020】エラストマーを含有したペーストは、一般
的にクリープ回復が起こりやすい。この現象は口腔内で
印象を行った後取り出すと、時間とともに印象前の形態
に戻りやすいことを示しており、印象性に適していない
ことを表している。しかし、芳香族ビニルモノマーから
なる熱可塑性エラストマーブロックを有することによ
り、クリープ回復が起こり難くなり印象性に優れた組成
物を得ることができる。
【0021】熱可塑性エラストマーのゴム硬度について
は特に制限はないが、通常30〜90の範囲のものが好
ましい。ここでゴム硬度とは、JIS K 6253に
従い、デュロメータA型を用いて測定した値である。
【0022】本発明で使用されるリベース材は、低吸水
性エラストマーを30重量%以上含有する必要がある。
30重量%未満であると、硬化前の性状が液状に近くな
り操作性が低下する。
【0023】リベース材としては、上記低吸水性エラス
トマー、(メタ)アクリレート系モノマーおよび重合開
始剤からなる組成物が好ましい。(メタ)アクリレート
系モノマーとしては、一官能性の(メタ)アクリル酸エ
ステル、多官能性の(メタ)アクリル酸エステルのいず
れも使用することができる。一官能性(メタ)アクリル
酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ミリスチル(メタ)アクリレートおよびステアリル
(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレー
ト(アルキル基の炭素数1〜20)、
【0024】メトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート(重合度2
〜10)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ウンデセニル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HE
MA)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。
【0025】また、多官能性(メタ)アクリル酸エステ
ルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートおよ
び1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート等
のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(アル
キレン基の炭素数1〜20)、
【0026】ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートお
よびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等
のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
(アルキレン基の炭素数2〜4、かつ重合度2〜20
0)、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2、2’−
ビス〔p−(γ−メタクリオキシ−β−ヒドロキシプロ
ポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)、ビス
フェーノールAジメタクリレート、2,2’−ビス(4
−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(1
分子中のエトキシ基2〜10個)、
【0027】1,2−ビス(3−メタクリロキシ−2−
ヒドロキシプロポキシ)ブタン、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレ
ート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系
モノマーは、1種または2種以上を組み合わせて用いら
れる。
【0028】これらの中で、アルキル(メタ)アクリレ
ートおよびアルキレングリコールジ(メタ)アクリレー
トは、本発明で使用される熱可塑性エラストマーと相溶
性が特に高く好適である。これらのアルキル(メタ)ア
クリレートまたはアルキレングリコールジ(メタ)アク
リレートは、(メタ)アクリレート系モノマー中40重
量%以上含有されていることが望ましい。
【0029】なお、(メタ)アクリレート系モノマーと
して、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリ
ル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アク
リレート等炭素数の多い(炭素数6以上)アルキル基、
アルケニル基を有する一官能性(メタ)アクリレートを
主に使用すると、軟質性の硬化物が得られる。一方、
(メタ)アクリレート系モノマーとして、メチル(メ
タ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等
炭素数が少ないアルキル基、アルケニル基を有する一官
能性(メタ)アクリレートや多官能性(メタ)アクリレ
ートを配合すると、比較的硬質性の硬化物が得られる傾
向にある。
【0030】重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重
合開始剤、常温重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤
としては、例えば、カンファーキノン、ジアセチル、
2,3−ペンタンジオン、ベンジル、アセナフテンキノ
ンおよびフェナントラキノン等のα−ジケトン、2,
4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオ
キサイド等のアシルホスフィンオキサイド、ベンゾイン
メチルエーテル、ベンジルジメチルケータール、ベンゾ
フェノン、2−エチルチオキサントン等が挙げられる。
【0031】これらの光重合開始剤は、適宜、第3級ア
ミン、アルデヒド、メルカプタン等の還元剤と組み合わ
せた光重合開始剤系として使用される。かかる第3級ア
ミンとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル
メタクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチ
ル、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、
N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N−フェニ
ルグリシン、モルホリノメタクリレート、トリエタノー
ルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジ
メチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、N−ジ
メチルアミノ安息香酸イソアミル等を挙げることができ
る。
【0032】アルデヒドとしては、例えば、シトロネラ
ール、ラウリルアルデヒド、o−フタルジアルデヒド、
p−オクチルオキシベンズアルデヒド等を挙げることが
できる。メルカプタンとしては、例えば、1−デカンチ
オール、チオサリチル酸、2−メルカプトベンゾキサゾ
ール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプ
トベンズイミダゾール、4−メルカプトアセトフェノ
ン、4−t−ブチルチオフェノール等を挙げることがで
きる。さらに、該光重合開始剤に過酸化ベンゾイル等の
有機過酸化物を添加した系も好適に用いられる。
【0033】熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドおよ
びクメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビ
スイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、テトラメチル
チウラムジスルフィド等の開始剤が使用される。
【0034】さらに常温重合開始剤としては、有機過酸
化物/芳香族第3級アミン系、有機過酸化物/芳香族第
3級アミン/芳香族スルフィン酸系等のレドックス系開
始剤が使用される。なお、重合開始剤(c)として酸化
剤−還元剤の組み合わせを含有する場合は、保存安定性
の観点から、これらが混合しないように分割包装形態と
し、使用直前に混合する形態とする必要がある。
【0035】本発明の軟質リベース材における低吸水性
エラストマー、(メタ)アクリレート系モノマーおよび
重合開始剤の配合量は、使用する低吸水性エラストマー
の種類および分子量、(メタ)アクリレート系モノマー
の種類等により変化するが、通常、低吸水性エラストマ
ー、(メタ)アクリレート系モノマーおよび重合開始剤
の合計に対して、低吸水性エラストマーが30〜80重
量%、(メタ)アクリレート系モノマーが60〜20重
量%および重合開始剤が0.05〜5重量%の範囲で、
好ましくは低吸水性エラストマー成分が50〜60重量
%、(メタ)アクリレート系モノマー成分が50〜40
重量%、重合開始剤成分が0.1〜3重量%である。
【0036】本発明で使用される軟質リベース材と義歯
床との接着剤は、該軟質リベース材と実質的に同一のエ
ラストマーを含む重合性組成物で、なかでもこれと(メ
タ)アクリレート系モノマー、および重合開始剤からな
る組成物が好ましい。各成分は軟質リベース材の成分と
して記載したものがそのまま挙げられる。ただし、接着
性を高めるためには、軟質リベース材と比較して重合硬
化物の弾性率を高くする必要があり、多官能(メタ)ア
クリレート系モノマーの配合が好適である。中でも全
(メタ)アクリレート系モノマー中に多官能(メタ)ア
クリレート系モノマーを50重量%以上配合することが
好ましい。さらに酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、メチルエ
チルケントン、トルエン、エチルアルコール、メチルア
ルコール、エチルエーテル等の比較的揮発性の高い有機
溶剤を配合することもできる。中でも、塩化メチレン
は、義歯床用レジンとして最も使用されているポリメチ
ルメタクリレートを膨潤溶解する性質が強く、接着面積
の増大や接着剤中の(メタ)アクリレート系モノマーを
浸潤させ、接着性を増強する効果があり好適である。
【0037】軟質リベース材の重合硬化物よりも高弾性
率とは、具体的には、JIS K6251(1993年
版)記載による引っ張り試験における100%弾性率が
好ましくは10MPa以上であることを意味し、より好
ましくは20MPa以上である。これは軟質リベース材
の該100%弾性率はクッション性を得るために8MP
a程度以下であることが好ましいことに基づいている。
【0038】本発明で使用する接着剤組成物における低
吸水性エラストマー、(メタ)アクリル系モノマー、重
合開始剤および有機溶剤の配合量は、使用する低吸水性
エラストマーの種類および分子量、有機溶剤の種類等に
より変化するが、通常、低吸水性エラストマー、(メ
タ)アクリレート系モノマー、重合触媒および有機溶剤
の合計に対して、低吸水性エラストマーが1〜40重量
%、(メタ)アクリレート系モノマーが1〜90重量
%、重合触媒が0.05〜5重量%および有機溶剤が4
0〜90重量%である。
【0039】本発明のコーティング材から得られる硬化
皮膜はβ−カロチン変色度15以下の低親油性を示すも
のである。本発明で言うβ−カロチン変色度とは、本明
細書実施例の項に記載する変着色試験におけるβ−カロ
チンの0.1重量%オリーブ油溶液中での24時間浸漬
前後の色調の変化(△E*値)である。この値が15を
越えると口腔内での変着色が大きくなり望ましくない。
【0040】コーティング材の具体例として、低親油性
のポリマー、(メタ)アクリレート系モノマー、および
重合開始剤からなる組成物が好ましいものとして挙げら
れる。低親油性のポリマーとしては、アクリル系ポリマ
ーとフッ素含有エラストマーが挙げられる。アクリル系
ポリマーとしては、ポリメタアクリル酸メチル(以下P
MMAと略称する)、ポリメタアクリル酸エチル(以下
PEMAと略称する)、ポリメタアクリル酸ブチル(以
下PBMAと略称する)、およびPMMA−PEMA、
PMMA−PBMA等これらのコポリマーが挙げられ、
フッ素含有エラストマーとしては、ビニリデンフルオラ
イド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
【0041】ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロ
プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ビニリ
デンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン共重合
体、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレ
ン−テトラフルオロエチレン共重合体、ビニリデンフル
オライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラ
フルオロエチレン共重合体、ビニリデンフルオライド−
クロロトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素ゴムが
挙げられる。
【0042】(メタ)アクリレート系モノマーおよび重
合触媒は軟質リベース材の成分として記載したものが挙
げられる。さらに、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、メチルエ
チルケトン、トルエン、エチルアルコール、メチルアル
コール、エチルエーテル等比較的揮発性の高い有機溶剤
を配合することもできる。
【0043】コーティング材は、25℃での粘度が1〜
10,000センチポイズの範囲が塗布しやすく適して
いる。より好ましい粘度は1〜2,000ポイズの範囲
である。
【0044】コーティング材における低親油性のポリマ
ー、(メタ)アクリル系モノマー、重合開始剤および有
機溶媒の配合量は、使用する低親油性のポリマーの種類
および分子量、有機溶剤の種類により変化するが、通
常、低親油性のポリマー、(メタ)アクリル系モノマ
ー、重合開始剤、有機溶剤の合計に対して、低親油性の
ポリマーが2〜40重量%、(メタ)アクリレート系モ
ノマーが2〜98重量%、重合触媒が0.05〜5重量
%および有機溶剤が10〜95重量%である。本発明で
使用される軟質リベース材、接着剤、およびコーティン
グ材の各組成物には、重合禁止剤として必要に応じ、ハ
イドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブ
チルヒドロキシルトルエン等を少量添加してもよい。ま
た、エラストマーの安定性を高めるため、酸化防止剤や
光安定剤等を少量加えることもできる。さらに、ペース
トおよび硬化物の性状をより適したものに調整するた
め、各種の滑剤、界面活性剤、無機充填材、可塑剤等を
少量加えてもよく、また、本組成物に歯肉色を与えるた
め顔料、染料、擬態血管のための繊維を添加することも
できる。
【0045】本発明の軟質リベース材組成物は各成分を
混合して、通常ペーストとして提供される。各成分の混
合方法として、公知の方法が特に制限なく使用され、例
えば、溶剤による混練、溶融混練等が挙げられる。具体
的には、トルエンや塩化メチレン等の溶剤に、低吸水性
エラストマー、(メタ)アクリレート系モノマー、およ
び重合開始剤を溶解し、均一に混合した後、溶剤を除去
する方法や、プラスチコーダー(ブラベンダー社製)等
の混練機を用いてバッチ混練や2軸連続混練する方法等
があり、それにより均一なペーストを調製することがで
きる。得られたペーストは、脱泡処理を施すことが好ま
しい。一方、接着剤およびコーティング材は、通常それ
ぞれ均一に溶解した溶液として提供される。
【0046】本発明の組成物よりリベース材を形成する
手順は以下のとおりである。すなわち、義歯床の粘膜面
に接着剤を塗布後乾燥し、引き続き軟質リベース材を築
盛する。その後、口腔内において印象採取を行う。しか
る後口腔内より取りはずし、採取後の印象を保持したま
ま、光照射、常温重合等の手法により重合硬化させ、さ
らにコーティング材を塗布し重合硬化することによって
義歯床のリベースを行う。上記ステップを、石膏模型上
で同様に行うことも可能である。
【0047】
【実施例】
(1)硬化物のゴム硬度 直径10mm、厚さ10mmの金型に軟質リベース材を
充填し、歯科用光照射器〔α−ライト、(株)クラレ
製〕にて10分間光照射し重合硬化させ、得られた硬化
物にコーティング材を塗布し、乾燥後同様に3分間光照
射して重合硬化させたものを試験片とした。試験片を3
7℃、水中に1日漬浸した後、JIS K6253に従
い、デュロメータA型(高分子計器社製)を用いてゴム
硬度を測定した。
【0048】(2)変着色試験 直径20mm、厚さ1mmの金型に軟質リベース材を充
填し、α−ライトにて10分間光照射し重合硬化させ、
さらにコーティング材を塗布し乾燥後、再度α−ライト
にて3分間光照射し得られた硬化物を試験片とした。硬
化したサンプルの色調を色差計(日本電色製)を用い、
背景色を白の条件で反射測定を行った。各測定値をL*
0 、a*0 、b*0 とする。引き続いて37℃のコーヒ
ー(ネスカフェ製)の2重量%水溶液中、およびβ−カ
ロチン(和光純薬製)の0.1重量%オリーブ油(和光
純薬製)溶液中にサンプルを24時間浸漬し、浸漬後の
色調を同様に測定し、L*1 、a*1 、b*1 とする。
各変色度(△E*)を下式より求めた。
【0049】
【数1】
【0050】(3)硬化物の吸水量および溶解量 ISO1567に記載の方法に従って行った。すなわ
ち、直径20mm、厚さ1mmの金型に軟質リベース材
組成物を充填し、α−ライトにて10分間光照射し重合
硬化させ、さらにコーティング材を塗布し乾燥後、再度
α−ライトにて3分間光照射し得られた硬化物を試験片
とした。試験片をデシケーターに入れ、37±2℃のオ
ーブン中に23時間保持した後、23±2℃に保ったデ
シケーターに移し、1時間経過後、試験片を該デシケー
ターより取り出し、試験片の質量を0.2mgの精度で
秤量する。試験片の質量の秤量値が24時間につき0.
2mg以内の範囲内の変動に収まる恒量となるまでこの
操作を繰り返して行い、このときの秤量値を試験片の質
量とする(W1 )。次に、試験片を37±2℃の蒸留水
に7日間漬浸した後、ピンセットで取り出し、表面の水
分を拭き取り、試験片の質量を秤量する(W2 )。
【0051】次いで、かかる操作後の試験片を37±2
℃に保ったデシケーターに入れ、37±2℃のオーブン
中に23時間保持した後、23±2℃に保ったデシケー
ターに移し、1時間経過後、試験片を該デシケーターよ
り取り出す。試験片の質量の秤量値が24時間につき
0.2mg以内の範囲内の変動に収まる恒量となるまで
この操作を繰り返して行う(このときの秤量値:
3 )。試験片の体積をV(mm3 )とするとき、吸水
量(μg/mm3 )および溶解量(μg/mm3 )を以
下の式から求めた。
【0052】
【数2】
【0053】(4)引張り剪断接着試験 ISO1567(1988年版)の抗折たわみ試験サン
プル作成方法に従いPMMA系義歯床用材料アクロン
(GC製)の粉と液を65:35の比率で混和し、餅状
となったペーストを65×10×2.5mmの型に充填
しガラス板で挟み徐々に加熱し沸騰水中で60分間加熱
重合した。重合硬化後自然放冷した後、接着表面を#1
500サンドペーパーで研磨する。接着剤組成物を塗布
し自然乾燥させる。接着面積を直径8mm円に規定し、
厚さ1mm被着体を充填し、同様に接着剤を塗布したP
MMA系義歯床用材料板を重ねる被着体をα−ライトで
5分間光照射し重合硬化させる。37℃水中に24時間
保存した後、25℃条件下で万能材料試験機モデル11
75(インストロン製)を用いて、毎分10mmの変位
速度で引張り剪断接着試験を行い、5個の平均値を求め
接着強度とした。
【0054】実施例1 スチレン−イソプレン系熱可塑性エラストマーであるS
IS5000(日本合成ゴム製)を60g、n−ラウリ
ルメタクリレート(共栄社化学製)38g、1,10−
デカンジオールジメタクリレート(共栄社化学製)2
g、カンファーキノン(和光純薬製)を1.0g、ジメ
チルアミノエチルメタクリレート(和光純薬製)を0.
5g、過酸化ベンゾイル(以下BPOと略称する)0.
2gを塩化メチレン100ml中に溶解し、塩化メチレ
ンを留去することによりペースト化し、軟質リベース材
とした。
【0055】スチレン−イソプレン系熱可塑性エラスト
マーであるハイブラーVS−1(クラレ製)を30g、
1,4−ブタンジオールジメタクリレート(共栄社化学
製)10g、カンファーキノンを1.0g、ジメチルア
ミノエチルメタクリレートを0.5g、塩化メチレン
(和光純薬製)60gを均一に溶解し、接着剤とした。
ポリメタクリル酸エチルであるハイパールD−250E
(根上工業製)を14g、トリエチレングリコールジメ
タクリレート(新中村社製)を1.0g、カンファーキ
ノン0.3g、ジメチルアミノエチルメタクリレートを
0.1g、酢酸エチル(和光純薬製)75gを均一に溶
解し、コーティング材とした。これらからなる軟質リベ
ース材装着用キットを用いて、上記試験方法に従い硬化
物を作製し、試験に供した。試験結果を表1および2に
示す。
【0056】実施例2 スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマーであるT
R2825(日本合成ゴム製)を58g、n−ステアリ
ルメタクリレートを20g、セチルメタクリレート(日
本油脂製)を20g、1,6−ヘキサンジオールジメタ
クリレートを2g、カンファーキノン1.0g、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート0.5gをプラスチコー
ダー(ブラベンダー製)を用いて80℃、30分間混練
しペースト化し、軟質リベース材とした。
【0057】TR2825を20g、1,6−ヘキサン
ジオールジメタクリレートを20g、カンファーキノン
1.0g、ジメチルアミノエチルメタクリレート0.5
g、塩化メチレン60gを均一に溶解し、接着剤とし
た。フッ素ゴムであるダイエルG501NK(ダイキン
工業製)20g、トリメチルペンテントリメタクリレー
ト(共栄社化学製)5g、カンファーキノンを1.0
g、ジメチルアミノエチルメタクリレートを0.5g、
酢酸エチル75gを溶解しコーティング材とした。これ
らからなる軟質リベース材装着用キットを用いて、上記
試験方法に従い硬化物を作製し、試験に供した。試験結
果を表1および2に示す。
【0058】実施例3 スチレン−イソプレン系熱可塑性エラストマーであるハ
イブラーVS−1(クラレ製)を60g、n−ステアリ
ルメタクリレート(共栄社化学製)38g、1,10−
デカンジオールジメタクリレート(共栄社化学製)2
g、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホス
フィンオキサイド(BASF製、以下TMDPOと略称
する)1.0gをプラスチコーダー(ブラベンダー製)
を用いて80℃、30分間混練しペースト化し、軟質リ
ベース材とした。
【0059】ハイブラーVS−1を20g、トリエチレ
ングリコールジメタクリレート(新中村製)20g、T
MDPOを1.0g、メチルメタクリレート(和光純薬
製)60gを均一に溶解し、接着剤とした。フッ素ゴム
であるテクノフロンP710(日本ゼオン製)20g、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化
学製)5g、TMDPO1.0g、酢酸エチル(和光純
薬製)75gを溶解しコーティング材とした。これらか
らなる軟質リベース材装着用キットを用いて、上記試験
方法に従い硬化物を作製し、試験に供した。試験結果を
表1および2に示す。
【0060】実施例4 ハイブラーVS−1を40g、ラウリルメタクリレート
を57g、1,10−デカンジオールジメタクリレート
を3g、およびBPO0.5gを塩化メチレン100m
lに溶解後、塩化メチレンを留去することによりペース
ト(イ)とした。ハイブラーVS−1を40g、ラウリ
ルメタクリレートを57g、1,10−デカンジオール
ジメタクリレートを3g、およびジヒドロキシエチル−
p−トルイジン0.5gを塩化メチレン100mlに溶
解後、塩化メチレンを留去することによりペースト
(ロ)とした。上記2種のペーストを混和することによ
り常温重合する軟質リベース材とした。
【0061】ハイブラーVS−1を25g、エチレング
リコールジメタクリレート(共栄社化学製)15g、T
MDPOを1.0g、塩化メチレン(和光純薬製)60
gを均一に溶解し接着剤とした。フッ素ゴムであるダイ
エルG501NK20g、ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(共栄社化学製)5g、TMDPO1.
0g、酢酸エチル75gを溶解しコーティング材とし
た。これらからなる軟質リベース材装着用キットを用い
て、上記試験方法に従い硬化物を作製し、試験に供し
た。試験結果を表1および2に示す。
【0062】実施例5 スチレン−イソプレン系熱可塑性エラストマーの水素添
加物であるセプトン2005(クラレ製)60g、イソ
デシルメタクリレート(共栄社化学製)38g、トリエ
チレングリコールジメタクリレート2g、カンファーキ
ノン1.0g、メルカプトベンゾオキサゾール(東京化
成製)0.5gをプラスチコーダー(ブラベンダー製)
を用いて80℃、30分間混練しペースト化し軟質リベ
ース材とした。
【0063】スチレン−イソプレン系熱可塑性エラスト
マーであるハイブラーVS−3(クラレ製)25、エチ
レングリコールジメタクリレート20、TMDPO0.
5g、クロロホルム(和光純薬製)55gを均一に溶解
し接着剤とした。フッ素ゴムであるテクノフロンP71
0を20g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト(共栄社化学製)5g、TMDPO1.0g、酢酸エ
チル75gを溶解しコーティング材とした。これらから
なる軟質リベース材装着用キットを用いて、上記試験方
法に従い硬化物を作製し、試験に供した。試験結果を表
1および2に示す。
【0064】比較例1 アクリル系の軟質リベース材として市販されている、テ
ィッシュテンダー(亀水化学製)を添付されている取扱
い説明書に従い軟質リベース材装着用キットとした。す
なわち、粉成分と液成分からなる常温重合性の軟質リベ
ース材と液状のコーティング材(名称「トップコー
ト」)および液状の接着剤(名称「トップコート」)の
3種類である。これらの軟質リベース材装着用キットを
上記試験方法に従い硬化物を作製し、試験に供した。た
だし、本組成物はいずれも光照射を必要としないので、
各試験サンプル作製において、α−ライトによる光照射
を省略した。試験結果を表1および2に示す。
【0065】比較例2 シリコン系の軟質リベース材として市販されているエヴ
ァタッチ(ネオ製薬製)を添付されている取扱説明書に
従い軟質リベース材キットとした。すなわち、2種類の
ペーストからなる常温硬化性の軟質リベース材と液状の
接着剤(名称「アドヒーシブ」)の2種類である。これ
らの軟質リベース材装着用キットを上記試験方法に従い
硬化物を作製し、試験に供した。ただし、本組成物はい
ずれも光照射を必要としないので、各試験サンプル作製
において、α−ライトによる光照射を省略した。また、
本製品にはコーティング材はキットとして組み込まれて
いないので、各試験のサンプル作製において、コーティ
ングの工程を省略した。試験結果を表1および2に示
す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】本発明による軟質リベース材装着用キッ
トは、リベース材中への吸水を大幅に低減し、且つリベ
ース表面を低親油性とすることと義歯床への高接着性を
有することにより耐汚染性に優れ、特に細菌の繁殖や食
物等の汚染物質の付着を抑制する軟質リベース材を義歯
に装着することができる。さらに可塑剤を含まない組成
の場合、可塑剤の口腔内への溶出が無く長期間軟質性を
維持するのみならず、生体に対する悪影響もない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日野 憲一 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 増原 英一 東京都文京区本駒込2−5−11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)溶解度パラメーターが8.0以上
    9.0以下の低吸水性エラストマーを30重量%以上含
    有する重合性軟質リベース材、(b)該リベース材と実
    質的に同一のエラストマーを含有する重合性組成物で、
    該軟質リベース材より高弾性率の硬化物を与える軟質リ
    ベース材と義歯床との接着剤、および(c)β−カロチ
    ン変色度15以下の低親油性の硬化皮膜を与える軟質リ
    ベース材の重合性コーティング材からなる軟質リベース
    材装着用キット。
  2. 【請求項2】 (a)軟質リベース材が、低吸水性エラ
    ストマー、(メタ)アクリレート系モノマーおよび重合
    開始剤からなり、該低吸水性エラストマーが、芳香族ビ
    ニルモノマーからなる数平均分子量が3,000以上の
    熱可塑性重合体ブロック(A)と、エラストマー重合体
    ブロック(B)とをそれぞれ1ブロック以上有する熱可
    塑性エラストマーであり、(b)接着剤が低吸水性エラ
    ストマー、(メタ)アクリレート系モノマーおよび重合
    開始剤からなり、(メタ)アクリレート系モノマーの5
    0重量%以上が多官能(メタ)アクリレート系モノマー
    である請求項1記載の軟質リベース材装着用キット。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーのエラストマー重
    合体ブロック(B)が、ポリイソプレンおよびイソプレ
    ン−ブタジエンコポリマーから選ばれる少なくとも1種
    の重合体ブロックであり、40モル%以上のビニル結合
    含有量をもつ熱可塑性エラストマー重合体である請求項
    2記載の軟質リベース材装着用キット。
  4. 【請求項4】 (c)軟質リベース材の重合性コーティ
    ング材が、フッ素含有エラストマー、(メタ)アクリレ
    ート系モノマーおよび重合開始剤からなる請求項2記載
    の軟質リベース材装着用キット。
  5. 【請求項5】 (c)軟質リベース材の重合性コーティ
    ング材のフッ素含有エラストマーが、ビニリデンフルオ
    ライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ
    ピレン、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロメチ
    ルビニルエーテル、およびクロロトリフルオロエチレン
    からなる群から選ばれた1種以上のモノマーの重合体あ
    るいは共重合体である請求項4記載の軟質リベース材装
    着用キット。
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