JP4086338B2 - 歯科用弾性修復材料並びにそれを用いた歯科補綴材料の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム状弾性体で重合後ヌープ硬度が10以上になる新規な生体修復材料に関する。
【0002】
本発明の生体修復材料は、生体を修復する材料であり具体的には人工歯、連結歯、前装冠、暫間補綴物、義歯床材料等の歯科用補綴材料やコンタクトレンズ、爪修復材料に使用することができる。更に玩具材料、一般工業材料等として使用することもできる。
【0003】
【従来の技術】
〈人工歯〉
人工歯は前歯、臼型、連結歯等がありこれらは重合可能な化合物を金型に加圧填入し適当な温度と時間を選択した成型条件により重合し人工歯を成型する。材料はポリメチルメタクリレート(以下、「PMMA」と略称する)とメチルメタクリレート(以下、「MMA」と略称する)の混合系或いは7,7,9-トリメチル-4,13-ジオキソ-3,14-ジオキソ-5,12-ジアザ-ヘキサデカン-1,16-ジオール-ジメタクリレート(以下、「UDMA」と略称する)に代表される高粘度多官能メタクリレートと無機、有機充填剤から成る複合体が使用されてきた。人工歯は金型内で重合し、ヌープ硬度が約11〜50付近に設計されている。歯科の通法どおり義歯を作製後、天然歯の脱落、既製人工歯の摩耗、脱落、破折等による欠損歯の補修を行うことが歯科医療のなかで重要な位置を占めている。一般には、既製のレジン歯を用い形態修正を口腔外で行うことが通法である。患者の負担、適合性を考えれば義歯を装着した状態で行えればより短時間でより正確なものが作製できる。しかしながら既製の人工歯は硬く口腔内で或いは模型上で物理的に力を加え変形さすのは作業上困難である。
【0004】
〈歯冠修復材料〉
欠損した歯冠部の審美性を修復物で回復するときに用いる歯冠の色調をもったレジンジャケット冠、レジン前装冠などがある。材料は一般的に多官能性モノマーと無機充填剤の混合物である硬質レジンが使用される。他方暫間補綴物は最終補綴物処置が行われるまでの一定期間、咬合の維持、改善、発音、咀嚼効率などを補うことを目的として暫間的に使用される修復物である。例えば支台歯の歯質や辺縁歯肉の保護、二次う蝕の防止、隣接歯の移動防止、審美性の回復などを目的として多くは、既製のシェルクラウン及びシェル臼歯やアクリル系の常温重合レジンを用いて作製した暫間被覆冠が使用されている。
【0005】
〈人工歯の製造方法〉
人工歯の成型はMMAとPMMAの混合系或いは複合体に琺瑯色、象牙色、ベース色に着色したものを金型に填入し、加熱加圧し、第一図、第四図では琺瑯部、象牙部次にベース部、第二図、第三図では琺瑯部、ベース部と順次金型を換え段階的に成型し一体としての人工歯が成型される。無論成型の順序を逆にしても問題はない。基本的に人工歯成型は、各々を成型する時初回の成型は完了しない成型条件で行い、最終成型時にすべての成型部を完全重合し、琺瑯部と象牙部、象牙部とベース部の化学的反応を行い結合さす。次に成型された人工歯は多層成型を行った為に人工歯に材料重合物のバリがあり、それをバレル研磨機或いは手修正で粗仕上げ後艶だし研磨という工程を経て人工歯が完成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の人工歯、連結歯は完全重合しているために蝋義歯上或いは義歯床上で適当な圧力で変形せず容易に咬合調整できず、加えて連結歯に関しては顎提アーチの緩急に合わせて変形ることが不可能であり、義歯の補修或いは義歯床製作において時間と技術を必要とした。
【0007】
従来のシエル、シエル臼歯は完全重合しているために適当な圧力で変形せず容易に支台歯形状に適合さすのが困難であった。
【0008】
義歯の歯冠表面や天然歯の表面を修復する従来の歯冠修復材料は形態修正が難しく更に適当な形態と着色がされていないためにより簡便で安定色的に色調を再現することが困難であり技工士の技量によって歯冠修復の品質に差があった。加えて口腔内で直接支台歯に接着することができなかった。
【0009】
従来の人工歯の製造方法は大型の加熱加圧成型機が必要であり、成型条件も接着を考慮した条件が必要となり成型条件範囲が狭く設定しにくかった。
【0010】
本発明は、長期間ゴム弾性状態を保持することができ、それにより優れた加工特性、操作性および適合性を有する歯科用補綴材料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は重合するまで少なくともズリ弾性率が1.0〜9.99E+4〜1.0〜9.99E+9及びゴム硬度1〜90を維持する特性を持ち、重合後ヌープ硬度が10以上になりうる生体修復材料である。
より詳しくは本発明は、重合体14.5〜62.5重量%、重合性単量体10.0〜37.5重量%、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート10.0〜60.0重量%及び重合開始剤を含んでなる上記生体修復材料に関する。
また、本発明は上記生体修復材料を用いて得られる歯科用補綴材料に関する。
【0012】
本発明の生体修復材料を用いることにより新規歯科補綴材料として利用でき従来の人工歯、歯冠修復材料にない応用性と特性を生かすことができる。
【0013】
本発明の生体修復材料は、人工歯、歯冠修復材料を型より取り出した時その形態が変形せず長期間ズリ弾性率又はゴム硬度を維持し適当な圧力で変形することができ、簡便に形態修正可能な生体修復材料を提供することにある。
【0014】
更に本発明の生体修復材料は、人工歯、可動性連結歯として用いた場合そのズリ弾性率及びゴム硬度を利用し、蝋義歯上或いは義歯床上で容易に咬合調整でき、可動性連結歯に関しては顎提アーチの緩急に合わせることが可能となり簡便に且つ正確に義歯を作製することを可能にする。
【0015】
歯冠修復材料は一般的に技工士の技工技量に左右されやすいが、本発明の生体修復材料は、重合前では形態修正が可能であり、且つ予め適当な形態及び着色を施しており容易に、且つ製作者の技量に関係なく品質が安定な歯冠修復材料を作製することが可能である。勿論、必要性があれば重合後も従来の歯冠修復材料と同様な方法で修正できる。また口腔内或いは口腔外でも使用が可能な生体修復材料である。
【0016】
更に本発明は金型より取り出した後、重合するために、接着を考慮した段階的な加熱成型は必要なく加えてバリ発生も少なく特に成型性、接着性、審美性に優れた人工歯を作製することができるという特徴を有する。
【0017】
【発明の実施の態様】
本発明の生体修復材料は重合するまで少なくともズリ弾性率が1.0〜9.99E+4Pa〜1.0〜9.99E+9Pa及びゴム硬度が1〜90を維持するという特徴を有する。ズリ弾性率又はゴム硬度を維持するとは、4℃〜35℃の温度で保存後、20℃〜25℃の温度範囲でズリ弾性率及びゴム硬度を測定した結果少なくとも3ケ月間上記値を維持することを意味する。より好ましくは2年間ズリ弾性率及びゴム硬度を維持することである。
【0018】
本発明の生体修復材料は特定の成分或いは特定の混合比で混合された熟成混合物を型を用い人工歯、歯冠修復材料に造形でき形態修正可能な生体修復材料を与える。
【0019】
以下、本発明の生体修復材料に関して詳しく説明する。
本発明で示される均一分散とはシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートの硬化前、硬化後の透過率が80%以上を示す。透過率の測定は〔スペクトロフォトメータU−3200〕(株式会社日立製作所製)を用い750nm〜380nmの透過率を測定した。
【0020】
本発明で用いられる重合体はPMMA、ポリエチルメタクリレート(以下「PEMA」と略称する)のポリアルキル(メタ)アクリレートの重合体或いは共重合体或いは重合体粒子の核が架橋ポリアルキル(メタ)アクリレートで且つシェルがPMMA或いはPEMA等の重合体の単独又はこれらの単独或いは2種以上の混合系である。上記重合体は重合性単量体と室温下短時間で膨潤或いは溶解する必要がある。また核が架橋ポリマーで重合性単量体に対して膨潤溶解せず、シェルがPMMAから作製された重合体は、エラストマーを調整する時により効果的である。かかる観点からは重合体の平均分子量10万〜100万、平均粒子1〜100μm、好ましくは20万〜100万、平均粒子径1〜75μmを有するものを使用することが適当である。
【0021】
本発明の重合性単量体は、具体的にエチレン性不飽和結合を1個含有する単官能性モノマー、MMA、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、「2−HEMA」と略称する)等、エチレン性不飽和結合を2個以上含有する多官能性モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(以下、「EG」と略称する)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(以下、「TG」と略称する)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(以下、「TMPT」と略称する)、ホスホニルクロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの反応組成物(以下、「PPZ」と略称する)、2、2−ビス〔4−メタクリロキシフェニル〕プロパンジ(メタ)アクリレート(以下、「D−2.6E」と略称する)、UDMA等がある。好ましくはMMA、2−HEMA、EG、TG、TMPT、D−2.6E、UDMAである。更に好ましくは、MMA、EG、TG、TMPTである。
【0022】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、一分子中に少なくとも1個以上のアクロイル基及び/又はメタクリロイル基並びにウレタン基を有する。代表的には、UDMA、1、6ビス[(2−フェノキシ−2’−アクリロキシ)イソプロピル−オキシ−カルボニルアミノ]ヘキサン(以下、UDAと略称する)、1、1、1−トリ[6[(1−アクリロキシ−3フェノキシ)イソプロピルオキシカルバニルアミノ]−ヘキシルカルバモイロキシメチル]プロパン(以下、「URO」と略称する)、また下記の構造式
【0023】
【化1】
で示されるウレタン(メタ)アクリレートも好ましい。基本的にウレタン結合の主鎖骨格が脂肪族、芳香族、脂環族でもよく又は主鎖骨格に芳香族、脂環族を含まず側鎖に脂肪族、芳香族、脂環族を含むものが更に好ましい。特に好ましいウレタン(メタ)アクリレートは、UDMA、UDA、UROである。
【0024】
本発明のシリカ分散ウレタン(メタ)アクリレートとは、シラン化合物で処理された一次粒子の平均粒子径が1〜85nmであるコロイダルシリカがウレタン(メタ)アクリレート中に均一分散している組成物である。好ましくはウレタン(メタ)アクリレート29.0〜69.0重量%、コロイダルシリカ10.0〜70.0重量%、シラン化合物が1.0〜30.0重量%である。コロイダルシリカは式(I)
YSiX4-n (I)
〔式中、Yは炭化水素基またはビニル重合可能な反応性基、Xは加水分解性基を表し、nは1、2または3の数値を表す〕
で示されるシラン化合物で処理されている。
【0025】
本発明において使用される溶剤分散コロイダルシリカは、各種の市販品が使用できる。コロイダルシリカの好ましい粒子径は1〜85nmである。このようなコロイダルシリカとして各種の市販品が使用でき、代表的なものとして商品名〔スノーテックス IPA−ST〕(日産化学工業株式会社製)以下、「IPA−STと略称する)(平均粒子径10〜15nm)、〔OSCAL−1432〕(触媒化成工業株式会社製)(平均粒子径10〜20nm)、〔OSCAL−1632〕(触媒化成工業株式会社製)(平均粒子径11nm)を列挙できる(ここで平均粒径とは一次粒子の平均粒子径をいう)。コロイダルシリカの分散媒は特に限定されないが、通常、水、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、セロソルブ類、ジメチルアセトアミド等が使用される。特に好ましい分散媒は、アルコール類、セロソルブ類及び水である。
【0026】
本発明で用いるシリカ化合物は一般式(I)
YSiX4-n (I)
〔式中、Yは炭化水素基またはビニル重合可能な反応性基、Xは加水分解性基を表し、nは1、2または3の数値を表す〕
で表されるものである。ここで、炭化水素基とは炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基の炭化水素基またはこれらの混合物を表す。またビニル重合可能な反応性基とはビニル基、アクリル基、メタクリル基またはこれらの混合物を表す。
また加水分解性基とは 酸触媒中で脱離する性質を有するものであり、具体例としてアルコキシ基、メトキシアルコキシ基、アセトキシ基、フェニルオキシ基を挙げることができる。
【0027】
一般式(I)で表されるシラン化合物の例としては、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メトキシエチルトリエトキシシラン、アセトキシエチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(アクリロキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メタクリロキシエトキシ)シラン、β−メタクリロキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロキシプロピルメトキシジメチルシラン、β−メタクリロキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0028】
CH3Si(OC2H5)3 (I−1)
C6H5Si(OCH3)3 (I−2)
CH2=CHSi(OC2H4OCH3)3 (I−3)
CH2=CHSi(OCH3)3 (I−4)
CH2=CHSi(OC2H5)3 (I−5)
CH2=CCH3COOC3H6Si(OCH3)3 (I−6)
【0029】
前記構造式で表わされるシラン化合物は、メチルトリエトキシシラン(I−1)、フェニルトリメトキシシラン(I−2)、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン(I−3)、ビニルトリメトキシシラン(I−4)、ビニルトリエトキシシラン(I−5)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(I−6)である。
【0030】
これらシラン化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を混合してもよい。また1分子中にYがアルキル基とビニル重合可能な反応性基をともに含んでいてもよいし、Yがアルキル基のシラン化合物とYがビニル重合可能な反応性基であるシラン化合物とを併用してもよい。好ましくはYがアルキル基であるシラン化合物とYがビニル重合可能な反応性基であるシラン化合物とを併用するのが好ましい。更に好ましくはYがビニル重合可能な反応性基であるシラン化合物である。
【0031】
コロイダルシリカのシラン処理は酸触媒を用いてシラン化合物を加水分解をする。加水分解反応は、反応を均一に行うために溶媒を用いることができる。溶媒としては、反応物であるシランアルコキシドと水、触媒を相溶さすものがのが望ましい。溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチルセロソルブ等をあげることができる。特に好ましいのはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールである。溶媒中でコロイダルシリカと混合された状態にあるシラン化合物の加水分解の反応条件は、室温〜120℃程度の温度で30分〜24時間の条件下で、好ましくは溶媒の沸点程度で1〜10時間程度の条件下で行われる。
【0032】
構造式(I−1またはI−2)で表されるシラン化合物の配合量はコロイダルシリカ固形分65.0〜98重量%に対し、シラン化合物2〜35重量%が好ましく、コロイダルシリカ固形分70.0〜98重量%に対し、シラン化合物2〜30重量%がより好ましい。
【0033】
構造式(I−3、I−4、I−5またはI−6)で表されるシラン化合物の配合量はコロイダルシリカ固形分65.0〜98.0重量%に対し、シラン化合物2.0〜35.0重量%が好ましく、コロイダルシリカ固形分70.0〜98.0重量%に対し、シラン化合物2.0〜30.0重量%がより好ましい。
【0034】
構造式(I−1またはI−2)で表される化合物の1種以上と構造式(I−3、I−4、I−5またはI−6)で表されるシラン化合物の1種以上とを併用する場合には、コロイダルシリカ固形分65.0〜98.0重量%に対し、構造式(I−1またはI−2)で表されるシラン化合物は1.0〜34.0重量%が好ましく、構造式(I−3、I−4、I−5またはI−6)で表されるシラン化合物は1.0〜34.0重量%が好ましい。
【0035】
溶媒分散コロイダルシリカをウレタン(メタ)アクリレートに分散させる方法は、コロイダルシリカの分散液にシラン化合物及び必要ならば水や触媒を混合し、前述した反応条件で反応させ、この反応液中にウレタン(メタ)アクリレートを混合し、ついで溶媒分散コロイダルシリカの分散媒およびシラン化合物の加水分解反応生成物を除去する方法が特に好ましい。
【0036】
本発明のシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート組成物は以下のように調製することができる。
溶媒分散コロイダルシリカにシラン処理シリカを均一に分散するため、セパラブルフラスコ、三ッ口カバー、アブザッツ、、水銀シール、撹拌棒、撹拌片、分液ロート、冷却器、止め金具からなる反応装置(有限会社 桐山製作所社製)を用いるのが好ましい。ついで、分散液中に存在するコロイダルシリカの分散媒、シラン化合物の加水分解反応生成物を除去する。分散媒と溶媒、その他の比較的揮発性の物質は系を減圧下に置いて除去するのが好ましい。より好ましくは、反応系にウレタン(メタ)アクリレートを分液ロートで滴下しながら揮発性溶媒を除去することである。こうして本発明の均一分散した歯科用硬化性組成物を調整することができる。
【0037】
本発明のポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物が溶解性或いは膨潤性を示すとは、本来ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性も膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートにポリアルキルメタクリレートが均質に膨潤或いは溶解し、高い粘性の透明な混合液を形成し、混合液中にはポリアルキルメタクリレート粒子が肉眼的に観察されず、かつ原則的にポリアルキルメタクリレートが経日的に沈降しないことを意味する。
【0038】
本発明においてポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物は、ポリアルキルメタクリレート及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の均質相溶液中でイソシアネート化合物を(メタ)アクリレートと反応させるか、又は添加順序を逆にして重合体とイソシアネート化合物の均質相溶液中で水酸基含有(メタ)アクリレートをイソシアネートと反応させることにより得られる。
【0039】
得られる組成物はウレタン(メタ)アクリレートがポリアルキルメタクリレート中に分子レベルで均質に混合している。かかる組成物は透明性が高くその硬化物は架橋密度の増加、相組織の微細化、相間接着力の増大等の特徴がある。
【0040】
ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物に用いるポリアルキルメタクリレートは平均分子量が10万〜100万、平均粒子径が1〜75μmのPMMA、PEMAである。ポリアルキルメタクリレートはPEMA及び/PMMAの使用方法が可能である。これらのポリアルキルメタクリレートは水酸基含有(メタ)アクリレート或いはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「TMDI」と略称する)等の脂肪族イソシアネートや脂環式イソシアネート、芳香族イソシアネート化合物類の各々により溶解または膨潤可能なものである。即ち、上記ポリアルキルメタクリレートは水酸基含有(メタ)アクリレート化合物またはイソシアネート化合物と混合すると均質に膨潤または溶解し、高粘性の透明な混合液を形成する。
【0041】
本発明に用いられる水酸基含有の(メタ)アクリレートは、2−HEMA、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルメタクリレート(以下、「2−HPPA」と略称する)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキプロピルアクリレート等が適切で、好ましくは2−HEMA、2−HPPA、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、更に好ましくは、2−HEMA、2−HFPAである。
【0042】
一方、イソシアネート化合物としては、TMDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HMDI」と略称する)、ビスフェノールAジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略称する)、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が適切で、好ましくはTMDI、HMDI、IPDIである。更に好ましくは、TMDI、HMDIである。
【0043】
またポリオールと過剰のジイソシアネートを反応させた末端にイソシアネートを有するポリイソシアネートも使用することが出来る。このようなポリオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン等であり、ジイソシアネートとしては上記のもので何ら支障ない。
【0044】
本発明において、「ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物」とは、ポリアルキルメタクリレートとウレタン(メタ)アクリレートとが均一に混合した組成物を言う。
ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物は以下の手順で得ることができる。例えばフラスコに2−HEMA等の水酸基含有(メタ)アクリレートを入れ、窒素ガスを吹き込み、40〜50℃に加温し、50〜80rpmの速度で撹拌しながらポリアルキルメタクリレートを少量ずつ加え、完全に膨潤溶解させる。
【0045】
次に、ウレタン合成に一般的に使用される錫触媒を溶かし、溶解後フラスコ容器内を酸素ガスで置換し、このガスを吹き込みながらTMDI等のイソシアネート化合物を2〜3時間かけて滴下する。通常、ジイソシアネートを僅かに過剰量使用する。滴下後、70±1℃に加温し目的物を得た。
【0046】
逆にフラスコにTMDI等を入れ、後から2−HEMA等を加えても前記同様に製造することができる。
【0047】
ポリオールと過剰のジイソシアネートを反応させた末端にイソシアネートを有するポリイソシアネートを使用する場合は、重合体とイソシアネートの均質相溶液中で多価アルコール(水酸基数2〜4)を反応させ、次にその反応末端イソシアネート基と水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて使用すればよい。
【0048】
尚、重合体の添加量は生成するUDMA等のイソシアネート化合物1モルに対して5.2から47gが適当である。
【0049】
本発明で使用する可塑剤としてはフタル酸系可塑剤が好ましい。フタル酸系可塑剤の例としてはジメチルフタレート(以下、DMP略称する)ジブチルフタレート(以下、「DBP」と略称する)、ジオクチルフタレートに代表されるフタル酸系エステル誘導体である。
【0050】
本発明の生体修復材は重合性単量体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート、重合開始剤及び/又はポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物及び/又は可塑剤を重合体に混合した時、重合性単量体中の単官能モノマー、具体的にはMMA等が最適に膨潤拡散した後、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート或いはポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物がマトリックス部分を占め且つ長期にエラストマーを維持することが重要である。そのためにウレタン(メタ)アクリレートはMMAに比較して分子量が大きく且つ膨潤性を示さず更にそのものを重合した時その物理特性が強靭性と透明性を兼ね添えたものでなければならない。そのためにシラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート或いはポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を含むことに大きな特徴がある。
【0051】
本発明の生体修復材料は、適度な弾性を維持し、使用時に鋏み、鋭利な刃物で容易に修正可能でなおかつ必要があれば塩化メチレン、アセトン、酢酸エチル等の有機溶剤或いは重合性単量体で簡単に表面処理でき特に接着性に有効な特徴がある。
【0052】
重合体、重合性単量体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート及び重合開始剤及び/又はポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレート組成物及び/又は可塑剤の混合方法は、1)乳鉢混合2)容器混合3)ボールミル混合4)ダブルプラネタリー混合等の方法で可能であるがより好ましくはボールミル混合及びダブルプラネタリー混合である。当実施にはボールミル混合を用いた。ボールミル混合は、[実験用遊星型ボールミル P−5](フリッチュ・ジャパン株式会社製)を用いて行った。混合条件は室温下、回転数50〜250回/分、混合時間5分〜60分、玉石量4個〜10個(10mmφ)とした。
【0053】
[実験用遊星型ボールミル P−5]を用いる場合の好ましい混合条件は室温下、回転数50〜250回/分、混合時間5分〜60分、玉石量4個〜10個(10mmφ)である。混合に加熱の必要はなく室温(約23℃)で充分均一混合可能であった。混合に当たってはボールミル内および混合物を不活性ガスで置換することが好ましい。
【0054】
人工歯、可動性連結人工歯、歯冠修復材料等の歯科補綴材料を作製する方法は重合体と重合性単量体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート及び重合開始剤及び/又はポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物及び/又は可塑剤を含む混合物を人工歯用金型、連結人工歯用金型、歯冠材料作製用鋳型或いは石膏型に填入し20〜500kgf/cm2 で約10分〜120分間予備圧後、型より取り出し形態修正を行う。生体修復材料の保存は室温下(35℃以下)、より好ましくは簡易密封容器中、5℃〜25℃である。特に光重合タイプは、必然的に紫外線、可視光線を避ける為に遮光する必要がある。
【0055】
本発明の重合開始剤としては、目的に適した重合形式に応じて任意に選択することが可能である。生体修復材料を重合させるには50〜150℃の範囲が良く、この際、重合開始剤には過酸化物が有効で、重合性単量体、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を含む混合物100重量部に対して、0.1〜3.0重量部を添加する。具体的に過酸化物はラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド(以下、「BPO」と略称する)、1,1-ビス-t-ブチルパーオキシシクロノキサンが好ましい。紫外線及び可視光線で重合さす場合には、光重合開始剤、還元剤を重合性単量体、コロイダルシリカ分散重合性単量体、ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物の混合物100重量部に対して0.2〜3.0重量部を添加する。具体的に、光重合開始剤はα−ジケトン化合物、ケタール系化合物、アントラキノン系化合物が有効であり、特にα−ジケトン化合物のカンフアーキノン(以下、「CQ」と略称する)が好ましい。還元剤としては第1級、第2級アミン又は第3級アミンが有効であり、特に第3級アミンのメタクリル酸ジメチルアミノエチルが好ましい。またジブチルチンジラウレートのスズ化合物も好ましい。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。
〔シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートの調製〕
(1)シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート組成物1
イソプロピルアルコール分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30重量%)、平均粒子径10〜15nm、粘度3〜20cps(20℃)、商品名〔スノーテックス IPA−ST〕(日産化学工業株式会社製)以下、「IPA−STと略称する」)600gのγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン67.2g、0.01規定の塩酸水溶液18.0gを加え、70℃に昇温した。1時間後、反応溶液をろ過し、反応溶液面に析出したシリカを除去した。次にUDMA360.0gを加えながら緩やかに撹拌し減圧下40℃で揮発成分を留去し、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート(以下、「SA−1」と略称する)を得た。この組成物をフォトメーターで380nm〜780nmの透過率を測定した結果90%以上の透過率を示し、またこの組成物を重合後、同様に透過率を測定した結果89.0%であった。SA−1をるつぼ中で焼成した後の灰分から算出した固形分(SiO2)は29.3重量%であった。
【0057】
(2)シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート組成物2
600gのIPA−STにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン33.6g、フェニルトリメトキシシラン33.6g、0.01規定の塩酸水溶液18.0gを加え、70℃に昇温した。1時間後、反応溶液をろ過し、反応溶液面に析出したシリカを除去した。次にUDMA360.0gを加えながら緩やかに撹拌し減圧下40℃で揮発成分を留去し、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート(以下、「SA−2」と略称する)を得た。この組成物をフォトメーターで380nm〜780nmの透過率を測定した結果90%以上の透過率を示し、またこの組成物を重合後、同様に透過率を測定した結果89.5%であった。SA−2組成物をるつぼで中で焼成した後の灰分から算出した固形分(SiO2)は29.0重量%であった。
【0058】
〔ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物の調製〕
(1)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物1
撹拌羽根付きガラス製フラスコに2−HEMA260.3g(2モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し、速度50〜80rpmで撹拌しながらPMMA5.2gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤溶解させた。得られた溶液にジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しながら、次にTMDI210.3g(1モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続け硬化性組成物を得た。(以下、「B−1」と略称する)反応終了点は、イソシアネート当量滴定法により確認した。収率は98.6%であった。
【0059】
イソシアネート当量滴定法による反応終了点は次の方法により測定した。▲1▼試料3gを共栓付き三角フラスコに正しく測り取る。▲2▼これにジ−n−ブチルアミン溶液50mlを正しく加え15分間静置する。▲3▼次に試薬1級イソプロピルアルコール20mlを加えた後、ブロムクレゾールグリーン指示薬(ブロムクレゾールグリーン0.1gにN/10水酸化ナトリウム溶液1.5mlを加え、よくすりつぶして溶解し水を加えて全量を100mlとする)3〜4滴を加えよく振り混ぜる。▲4▼次にN/2塩酸で滴定する。終点付近ではN/2塩酸を一滴ずつ加えそのつど溶液を振り混ぜながら滴定を続け、青色又は青紫色が消えて少なくとも15秒間黄色が持続する点を終点とする。この試験には、同一条件で空試験を行う。
【0060】
【数1】
【0061】
但し、A:本試験のN/2塩酸標準液使用量(ml)
B:空試験のN/2塩酸標準液使用量(ml)
f:N/2塩酸標準液のフアクター
S:試料採取量(g)
【0062】
(2)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物2
PMMA量を9.4gとする以外は、B−1と同様にして組成物を得た。(以下、「B−2」と略称する)収率(99.5%)。
【0063】
(3)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物3
PMMAの代わりにPEMA5.2gを用いる以外は、B−1と同様にして組成物を得た。(以下、「B−3」と略称する)収率(99%)。
【0064】
(4)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物4
PEMA9.4gを用いる以外は、B−3と同様にして組成物を得た。(以下、「B−4」と略称する)収率(98%)。
【0065】
(5)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物5
撹拌羽根付きガラス製フラスコにTMDI210.3g(1モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し、速度50〜80rpmで撹拌しながらPEMA9.4gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤溶解した。
得られた溶液にジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しながら、次に2−HEMA260.3g(2モル)を2時間かけて滴下した。滴下後70±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続けた。反応終了点は、FT−IR、イソシアネート当量滴定法により確認しポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を得た。(以下、「B−5」と略称する)収率(98.2%)。
【0066】
(6)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物6
PEMA47gとする以外は、B−5と同様にして組成物を得た。(以下、「B−6」と略称する)収率(98% )。
【0067】
(7)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物7
撹拌羽根付きガラス製フラスコにHMDI168.20g(1モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し、速度50〜80rpmで撹拌しながらPEMA10gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤した。
得られた溶液にジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しながら、次に2−HFPA444.5g(2モル)を2時間かけて滴下した。滴下後50±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続け1,6ビス[(2−フェノキシ−2'−アクリロキシ)イソプロピル−オキシ−カルボニルアミノ]ヘキサン(以下、「UDA」と略称する)を得た。反応終了点は、FT−IR、イソシアネート当量滴定法により確認しポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を得た。(以下、「B−7」と略称する)
【0068】
(8)ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物8
撹拌羽根付きガラス製フラスコにHMDI504.6g(3モル)を入れ、窒素ガスを吹き込みながら40〜50℃に加温し速度50〜80rpmで撹拌しながらPEMA9gを少量ずつ3〜5時間かけて添加し完全に膨潤させた。
得られた溶液にジブチルチンジラウレート10mgを添加した。添加後窒素ガスを止めフラスコ内を酸素で置換した。酸素ガスを流しがら、次にトリメチロールプロパン(以下、「TMP」と略称する)134.18g(1モル)を2時間かけて滴下した。滴下後50±1℃に加温し、HMDIの一方のイソシアネートとTMPの付加反応を行った。
【0069】
付加反応後、ジブチルチンジラウレート110mgを添加した。添加後2−HFPA666.75g(3モル)を2時間かけて滴下した。滴下後70±1℃に加温し、イソシアネート基全てが反応するまで付加反応を続け三官能のウレタンアクリレートオリゴマ1,1,1−トリ〔6〔(1−アクリロキシ−3−フェノキシ)イソプロピルオキシカルバニルアミノ〕−ヘキシルカルバモイロキシメチル〕プロパン(以下、「URO」と略称する)を得た。反応終了点は、FT−IR、イソシアネート当量滴定法により確認しポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物を得た。(以下、「B−8」と略称する)収率(98.5%)。
【0070】
B−1〜B−8のポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物は〔FT−IR(FT−300)〕(株式会社堀場製作所製)を用いてそれぞれの特性吸収を測定し、また、GPCを用いて重合体の平均分子量と保持時間及びウレタンモノマーの分子量と保持時間を測定し、それぞれの組成物であることを確認した。
【0071】
【実施例】
実施例 1
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液と重合体PMMA−1(平均分子量100万、平均粒子径8ミクロンPMMA)を1:1の重量比で混合した。混合液とPMMA−1の混合方法は、1)乳鉢混合2)容器混合3)ボールミル混合等の方法で可能であるが今回は、[実験用遊星型ボールミル P−5](フリッチュ・ジャパン株式会社製)を用いて行った。混合比率は、混合液10gに重合体10g、混合条件は室温下、回転数100回/分、混合時間10分、玉石量4個(10mmφ)とした。
【0072】
重合体が単量体で膨潤した後、金型中に20〜80Kgf/cm2の圧力下で、10〜25分間圧をかけゴム弾性材料を作製した。表1及び表2にそれぞれ、得られたゴム弾性材料のゴム硬度およびズリ弾性率の経日変化を示した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。
【0073】
実施例 2
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4gのSA−1および1gのTMPを用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0074】
実施例 3
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4gのSA−1および1gのPPZを用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0075】
実施例 4
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、3gのMMA、5gのSA−1、10重量部のTMPおよび1gのPPZからなる混合液を用い、重合体としてPEMA(平均分子量45万、平均粒径20〜25μm)を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0076】
実施例 5
重合体としてPMMA−1と実施例4で使用したPEMAの重量比1対1の混合品を用いる以外は実施例4と同様にしてゴム弾性材料材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0077】
実施例 6
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4.5gのSA−1およびTMP0.5g重量部からなる混合液を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0078】
実施例 7
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4gのSA−1および1gのB−5からなる混合液以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0079】
実施例 8
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4gのSA−1、5重量部のTMPおよび0.5gのDMPからなる混合液を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0080】
実施例 9
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、4gのSA−1、0.5gのPPZおよび0.5gのDMPからなる混合液を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0081】
実施例 10
5gのMMAと5gのSA−1とからなる混合液の代わりに、5gのMMA、3.8gのSA−2、1gのB−5および0.2gのDBPからなる混合液を用いる以外は実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製して評価した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0082】
実施例 11〜17
組成物B−5の代わりに組成物B−1、B−2、B−3、B−4、B−6、B−7、B−8を用いる以外は実施例7と同様とにしてゴム弾性材料を作製した。ゴム弾性材料は2年間重合することなくゴム弾性状態を維持した。結果を表1、表2に示した。
【0083】
比較例 1
歯冠用常温重合レジン[アドファ](株式会社 松風社製)を用い実施例1と同様にしてゴム弾性材料を作製した。混合約9〜10分後に硬化した。ゴム硬度は92以上、ズリ弾性率に関しては測定不可能であった。結果を表1、表2に示した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
〔ゴム弾性材料特性の評価方法〕
ゴム硬度:
ゴム硬度測定は、〔HARDNESS TESTER TypeC〕(高分子精機社製)を用い23℃±1.5℃で測定した。
【0087】
ズリ弾性率:
ズリ弾性率は、〔DMS110〕(セイコー電子工業株式会社製)を用い測定した。測定試料は厚さ1.45±0.02mm、縦7.17+0.02mm、横9.29+0.02mmを用い測定条件は、面積66.61mm2 、温度23℃、変位量100μm、振動数0.01HZで測定した。DMS110によるズリ弾性率は以下の式に従って行った。
【0088】
【数2】
【0089】
粘弾性測定の対象となる多くの材料についてσ=0.5が成立し、(2)よりE=3Gとなる。
E:ヤング率(伸び弾性率及び縦弾性率)
G:ズリ弾性率
K:体積弾性率
σ:ポアソン比
【0090】
実施例 18〜27
実施例1〜10の混合液10gに0.06gのBPOを加える以外は実施例1〜10と同じ組成物を用いて、以下のような条件でそれぞれ生体修復材料を作製した。
【0091】
重合体が単量体で十分膨潤した後、これを金型中に20〜80Kgf/cm2の圧力下で、10〜20分間圧をかけ、その後金型より取り出し生体修復材料とした。大気圧下、80℃5分間重合後、次に120℃10分間重合し、重合後100℃で8hrアニールした。得られた重合物について、硬度、曲げ特性(強度、エネルギー、弾性率)及び透過率について測定した。生体修復材料は、5℃保存で1日後と14ヶ月後の2点について前記条件で重合し物理特性の評価試料とした。全ての実施例18〜37において物理特性の低下は発生しなかった。表3に結果を示した。
【0092】
比較例 2
歯冠用常温重合レジン[アドファ](株式会社 松風社製)を用い実施例18〜27と同様にした。結果を表3に示した。
【0093】
実施例 28〜37
実施例1〜10の混合液10gに0.02gのCQおよび0.042gのジブチルチンジラウレートを加える以外は実施例1〜10と同じ組成物を用いて生体修復材料を作製した。実施例28〜37において物理特性の低下は発生しなかった。表3に結果を示した。
【0094】
生体修復材料の重合は光重合器〔光重合器ツイン〕(株式会社松風製)で行った。照射時間は、3〜5分間とした。
【0095】
【表3】
【0096】
〔生体修復材料の物理特性評価〕
硬度測定:
「Hardness Tester DMH−2」(松沢精機株式会社製)を用い50℃水中保存24時間後のヌープ(Knoop)硬度を測定した。荷重25g。
【0097】
曲げ強度測定:
「オートグラフAG5000B」(株式会社島津製作所製)を用い、試験体寸法が幅(2mm)、厚さ(2mm)及び長さ(25mm)の試料を作製し50℃の水中に24時間保存後の強度(最大曲げ強度)、エネルギー(破折エネルギー)を測定した。試験体数は5ヶ。測定条件は、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/minとした。
【0098】
透過率:
「スペクトロフォトメーターU−3200」(株式会社日立製作所)を用い、780nm〜380nmの波長範囲で測定した。
【0099】
摩耗率:
ハブラシ摩耗試験後の摩耗率を測定した。測定条件は、ハブラシ〔ビトィーン〕(サンスター株式会社製)、試験体寸法縦15mm、横20mm、厚さ2.5mm、試験体数4ヶ荷重185g、歯摩材〔練り歯磨きグリーンサンスター)ハブラシ滑走回数3万回とした。
【0100】
〔人工歯の作製〕
実施例 38〜47
実施例1〜10において、各混合液10gに0.06gのBPOまた10.0gのPMAA1−に0.01gの顔料を加え、実施例1〜10と同様な方法で混合し人工歯の琺瑯色を作製した。同様に顔料添加量のみを変えて各混合液の各々象牙色とベース色を作製した。
【0101】
MMAが膨潤した後、硬質レジン歯「エンデュラアンテリオ」(株式会社松風製)のC5中切型で人工歯を作製した。第一成型は琺瑯色原料を40〜100Kgf/cm2 の圧力下10〜15分間圧後、次に象牙色原料を40〜100Kgf/cm2 の圧力下10〜15分間圧、最後にベース色原料を40〜100Kgf/cm2 で圧後、金型より人工歯の形態をした生体修復材料を取り出した。多層成型にも関わらずバリは殆ど発生しなかった。また余剰部分のバリは必要性があれば鋏み或いは鋭利な刃物で除去できる。重合後人工歯のバリは殆ど無くバリ修正の必要は無かった。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0102】
人工歯の重合は、80℃10分間重合後、冷却、次に120℃10分間重合した。或いは80℃重合後、続けて120℃10分間重合しても問題は無い。重合後100℃で8hrアニールした。
【0103】
比較例 3
通常のアクリル系人工歯材料としてPMMAに琺瑯色、象牙色、ベース色に着色しMMAとの混合物を実施例39〜48と同様の金型を用い加熱加圧し 、琺瑯部。象牙部、ベース部の順序で金型を換え段階的に成型し人工歯を得た。全ての人工歯にバリ修正が必要なバリが発生した。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0104】
なお成型条件は、琺瑯部、象牙部、ベース部ともに予備圧200〜300Kgf/cm2で2〜5分間、次に1000〜3000Kgf/cm2、80〜130℃の任意の温度で10分間成型した。各部成型後、5分間冷却した。重合後人工歯は金型より取り出し、100℃で8hrアニールした。
【0105】
比較例 4
琺瑯部に使用される複合体原料として、特願昭48−29294に開示されている実施例1の30g「ポリライト8000」(大日本インキ工業株式会社製)、68.5gの硅ほう酸ガラス粉末(平均粒径20μm)、0.1gの含水硅酸「カープレックス」(塩野義製薬社製)、0.5gのBPOおよび顔料を「卓上ニーダーPBV−03」(株式会社入江商会社製)で混練し複合材料を作製した。また象牙部及びベース色の原料として比較例3の組成物を用い、比較例3と同様な方法で人工歯を作製した。全ての人工歯にバリ修正が必要であった。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0106】
実施例 48〜50
実施例1、2、3の各混合液10gに0.02gのCQおよび0.042gのジブチルチンジラウレートを、また10gのPMMA−1に0.01gの顔料を加え、実施例1〜10と同様な方法で混合し人工歯の琺瑯色原料を作製した。同様に顔料量をかえてそれぞれ象牙色原料とベース色原料を作製した。
【0107】
MMAが膨潤後、可視光線を遮断した部屋で実施例38〜47と同様な方法で生体修復材料を作製した。
【0108】
重合は光重合器〔ツイン重合器〕(株式会社松風製)で行った。成型条件は、40℃で10〜15分間とした。重合後人工歯のバリは無く、バレル研磨の必要はなく審美的に優れていた。表4に成型後のバリの厚みを示した。
【0109】
【表4】
【0110】
〔人工歯の成型性および人工歯の評価〕
実施例51〜63
実施例38〜50の人工歯組成を用い、成型条件として、第一段階重合を65〜125℃で2.5〜10分間、最終段階重合を105〜130℃で3〜15分間とし、この範囲内の条件で多数の人工歯を作製した。得られた人工歯について琺瑯部のクラック、白濁、琺瑯部と象牙部、象牙部とベース部間の接着性を検討した。この人工歯を加熱重合用床用レジン「アーバン」(株式会社 松風社製)と結合させ、床用レジンと人工歯の接着強度及び人工歯の繰り返し衝撃強度試験を行った。全ての実施例51〜63は、人工歯として優れた接着強度及び衝撃強度を示した。また人工歯の成型条件は幅広く且つどの条件下に於いても成型不良は発生しなかった。人工歯と床用レジンの結合力を表5に示した。表6に成型試験結果を示した。
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
〔人工歯の評価方法〕
結合力試験:
JIS T6506レジン歯の7.5結合試験に規定された方法によって、義歯床用レジン材との結合力を測定した。結果を表7に示した。
【0114】
【表7】
【0115】
JIS T6506レジン歯の7.5結合試験により作製した人工歯の舌面側の切端エナメル部を主軸に対して垂直に削除し、その中心部に高さ10mmの位置から径1mmのステンレス棒を繰り返し落下させ人工歯の衝撃強度を落下回数と落下荷重により評価した。その得点の計算方法を下記に示す。
第一回目の荷重と衝撃回数 (100g×1000回)
第二回目の荷重と衝撃回数 (150g×1000回)
第三回目の荷重と衝撃回数 (200g×1000回)
衝撃強度の計算は、各段階での衝撃回数を100で割った数値の総合計を得点とした。例えば最大衝撃強度は、100、150及び200gの荷重で各々1000回の繰り返し衝撃後人工歯が破折しなければ(1000/100+1000/100+1000/100=30点)となる。
【0116】
接着性試験:
上記のの繰り返し衝撃試験により琺瑯部/象牙部間の接着性を確認した。同時に人工歯の繰り返し強度試験も行った。測定は50℃ 水中保存7日後に行った。
【0117】
比較例 5、6
比較例3、4で得られた混合物を用い、表7に記載した成型条件で人工歯を成型した。得られた人工歯を実施例51〜63と同様に評価した。成型体は人工歯の重欠陥である琺瑯部と象牙部及び象牙部とベース部間に接着不良が発生した。成型性は適性条件幅がせまくクラック、白濁不良が発生した。結果を表7に示した。
【0118】
〔歯冠用修復材の評価〕
実施例 64〜66
実施例48、49、50で得られた琺瑯色混合物を硬質レジン歯、「エンデュラアンテリオ」(株式会社松風製)の前歯金型(T5中切犬歯)に20〜80kgf/cm2 で5〜10分間加圧した。加圧後金型より取り出した琺瑯部材料を口腔内で装着し形態修正を行った後、歯科用接着材を用い接着後、120秒間可視光線を照射し重合して歯冠修復した。修復物は審美性、接着性とも良好であり非常に簡便に操作できた。歯科用接着材は、光重合系或いは常温重合系どちらでも使用が可能である。。口腔内で直接行う場合には、常温重合の場合無刺激性のものがより好ましい。またより審美性を持たすためには、琺瑯部材料の裏側に硬質レジン前装冠材料「ソリデックス」(株式会社松風製)を裏装し使用することも問題ない。
【0119】
実施例 67〜69
実施例48、49、50で得られた琺瑯色原料をそれぞれ硬質レジン歯「エンデュラポステリオ」(株式会社松風製)の臼歯金型(M30下顎型第二大臼歯)に20〜80Kgf/cm2 で10〜15分間加圧し琺瑯部材料を作製した。金型より取り出し予め印象模型上で咬合調整を行いその後口腔内に装着し再度咬合を確認後、歯科用接着材を用い支台に接着後120秒間可視光線を照射し重合して歯冠修復した。修復物は審美性、接着性とも良好であり非常に簡便に操作できた。接着材は光重合系或いは常温重合系どちらでも使用することが可能である。口腔内で直接行う場合には、常温重合の場合無刺激性のものがより好ましい。
【0120】
〔人工歯としての評価〕
実施例 70〜72
実施例48、49、50で得られた琺瑯色原料、象牙色原料、ベース色原料を硬質レジン歯「エンデュラポステリオ」(株式会社松風製)の臼歯金型(M30下顎型大二第臼歯)に20〜80Kgf/cm2 で10〜15分間加圧し人工歯を作製した。M30下顎第二大臼歯の欠損のある義歯床に試作人工歯を仮装着し口腔内で咬合調整を行い欠損部に歯科用常温重合レジンで接着ご光重合した。補修した義歯は審美性、適合性ともに良好であり、特に操作は簡便短時間で終了した。
【0121】
〔可動性連結人工歯としての評価〕
実施例 73
実施例50で得られた琺瑯色原料を硬質レジン歯「エンデュラポステリオ」(株式会社松風製)の試作連結臼歯金型(M30左右下顎及び上顎型の第一、二小臼歯、第一、第二大臼歯の連結歯)に20〜80Kgf/cm2 で10〜15分間加圧し可動性連結歯を作製した。市販の光重合床用材料「トライアドレジンマテリアル」(株式会社デンップライ社製)を用い通常法で石膏模型上に上下顎を作製後、仮重合し試作可動性連結臼歯を仮配列した。仮配列後模型上でおおよその形態修正及び顎提アーチの調整後口腔内に装着し人工歯の調整を行った。調整終了後、再度口腔内で仮重合し人工歯が変形しないことを確認後、口腔外に取り出し本重合した。作製した義歯は審美性、強度、適合性ともに良好であり仮義歯として充分な特性を持ち得た。操作は簡便で短時間で終了した。
【0122】
実施例 74
実施例50で得られた琺瑯色原料を硬質レジン歯「エンデュラポステリオ」(株式会社松風製)の試作連結臼歯金型(M30左右上下顎型の第一、二小臼歯、第一、第二大臼歯の連結歯)と硬質レジン歯「エンデュラポステリオ」(株式会社松風社製)の試作連結前歯金型(C5左右上下顎及の中側犬歯の連結歯)に20〜80Kgf/cm2 で10〜15分間加圧し可動性連結歯を作製した。得られた可動性連結歯を通法の義歯製作で作製した蝋義歯に装着した。配列及び咬合調製後重合し義歯床を作製した。義歯床は特に人工歯の配列が容易で簡便、短時間で作製できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】琺瑯部、象牙部及びベース部からなる前歯の構造模式図
【図2】琺瑯部とベース部からなる前歯の構造模式図
【図3】琺瑯部と象牙部からなる臼歯の構造模式図
【図4】琺瑯部、象牙部及びベース部からなる臼歯の構造模式図
【符号の説明】
1:琺瑯部、2:象牙部、3:ベース部
Claims (8)
- 重合体14.5〜62.5重量%、重合性単量体10.0〜37.5重量%、シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレート10.0〜60.0重量%及び重合開始剤からなり、少なくともズリ弾性率が1.0〜9.99E+4Pa〜1.0〜9.99E+9Pa及びゴム硬度が1〜90を示すゴム弾性体で重合後ヌープ硬度が10以上になる生体修復材料。
- ポリアルキルメタクリレートに対して溶解性及び膨潤性も示さないウレタン(メタ)アクリレートが均質に混合している組成物0.01〜25.0重量%及び/又は可塑剤0.01〜20.0重量%を更に含む請求項1記載の生体修復材料。
- 平均分子量が10万〜100万、平均粒子径が1〜75μmの重合体を含む請求項1または2記載の生体修復材料。
- シラン処理シリカ均一分散ウレタン(メタ)アクリレートが一次粒子の平均径が1〜85nmであるコロイダルシリカの表面を特定のシラン化合物で処理して得られるシラン処理シリカをウレタン(メタ)アクリレートに均一分散して得られる請求項1〜3いずれかに記載の生体修復材料。
- ウレタン(メタ)アクリレートは一分子に少なくとも1個のアクロイル基及び/又はメタクリロイル基並びに少なくとも1個のウレタン基を有することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の生体修復材料。
- 可塑剤としてフタル酸系エステル化合物を含む請求項2〜5いずれかに記載の生体修復材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の生体修復材料を用いて得られる歯科用硬化性補綴材料。
- 請求項7記載の歯科用硬化性補綴材料を重合して得られる歯科用補綴材料。
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